説明

撮像装置

【課題】 周囲が暗いときでも適切に故障なのか否か判定できるようにする。
【解決手段】 ハイブリットAFシステムにおいて、センサーの故障を検知する手段に一方のAFシステムの割り込み信号を利用し、ファーム起動後、前記一方の手段により、故障チェックを行い、撮影中には他方の手段から得られる情報も用いて故障チェックを行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AFシステムを有する撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年のデジタルカメラ、デジタルビデオカメラは、多様な機能を搭載しており、実装する部品数も多くなっている。従来、デジタルビデオカメラやデジタルカメラに設けられる絞り、メカシャッタ、ミラー等の機械的に駆動する部品の故障を検出するにはその駆動状態を監視する故障検出用のセンサーが必要とされている。
【0003】
また、他の部品の故障を検出する場合においても検出手段を搭載する必要があり、コストが高くなってしまう。更に装置の小型化設計の弊害になるということもある。
【0004】
専用のセンサー等の検出手段を搭載することなく故障検出を行う技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−137916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
また、機械的に駆動する部品以外の故障を検出する場合においても、その検出手段を搭載することは望まれている。
【0007】
特に近年のデジタルカメラ、デジタルビデオカメラに必須なAF機能においても該AF機能の故障を検出する手段は重要である。
【0008】
本発明は上記の問題の鑑み、低コストでかつ、容易な手法でAF機能の故障を検出する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の撮像装置は、AFシステム、特にハイブリッドAFシステムにおいて、一方のAFシステムに利用するAFセンサーの故障を検出する手段に他方のAFシステムにおいて得られる情報を利用する。例えば、ファーム起動後、前記一方の手段により、接続チェックを行い、撮影中には他方の手段から得られる情報も用いて故障チェックを行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡易な構成でハイブリッドAFシステムにおけるAFセンサーの故障検出時の誤検出を抑制し、検出確度を上げ、複数のAFシステムを有効に活用し、撮像することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1、2の実施の形態に係るDVC等の撮像装置の構成図
【図2】第1、2の実施の形態に係るAFセンサーのインターフェース信号
【図3】第1の実施の形態に係るAFセンサー故障検出処理のフローチャート
【図4】第1、2の実施の形態に係る蓄積完了割り込み信号のタイミングチャート
【図5】第1、2の実施の形態に係る蓄積完了割り込み信号のタイミングチャート
【図6】第1、2の実施の形態に係る蓄積完了割り込み信号のタイミングチャート
【図7】第1、2の実施の形態に係る蓄積完了割り込み信号のタイミングチャート
【図8】第2の実施の形態に係るAFセンサー故障検出処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な形態を説明する。
【0013】
[実施例1]
図1は本発明実施形態におけるデジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等の撮像装置の全体構成である。
【0014】
図中、101はレンズユニットであり、撮影された映像は、該レンズユニット101で結像され、CCD等の撮像センサー102に入射される。AFE103は撮像センサー102と各種信号処理とのインターフェース部であり、映像データをディジタル信号データに変換する。104はディジタル信号に変換された撮像センサー102からの信号を処理する映像信号処理部、105は被写体検出手段、106はコントラストAF検出手段(TVAF)、107は位相差AF検出手段におけるパッシブ方式のラインセンサーで構成されるAFセンサー、108はAFセンサー107を制御するセンサーI/F(インターフェース)部、109はAFセンサー107から得られる被写体の像をディジタル信号データに変換するA/D変換部、110は各信号処理部にて処理されたデータを一旦、格納するDRAM等のメインメモリであり、該各機能ブロックは、該メインメモリ110をシェアして使用しており、該メインメモリ110を介して各信号処理データの受け渡しを行っている。111はメインメモリ110の制御部であるメモリコントローラ、112は映像データを表示・記録処理手段であり、メインメモリ110に保持している映像データを読み出し、記録媒体(不図示)へ記録、および表示手段(不図示)へ映像を表示、また撮影画における被写体を指示する枠の表示を行う。113は撮像装置全体を制御するシステム制御部である。
【0015】
本撮像装置のハイブリッドAFシステムは、位相差AF検出手段、コントラスト焦点検出手段から構成され、位相差AF検出手段は、パッシブ方式のラインセンサーから得られる被写体の像のずれ量を検出することによってフォーカスレンズの焦点状態を検出する焦点検出手段である。
【0016】
また、コントラスト焦点検出手段は、映像データから得られた画像情報のコントラスト検出方式での焦点検出を行う焦点検出手段である。TVAFは焦点を検出する領域を規定する焦点検出枠といわゆる山登り方式によってフォーカスレンズを移動させてコントラストがピークとなるフォーカスレンズ位置を検出する。
【0017】
図2は位相差AF検出手段におけるAFセンサー107とAFセンサーI/F部108の間の信号線を示した図である。
【0018】
AFセンサー107とAFセンサーI/F部108の信号線の種類は、例えばシリアル通信、センサー制御信号、蓄積完了割り込み信号、被写体の像のデータの各種信号線から構成される。
【0019】
図3は処理のフローチャートの説明である。撮像装置の電源ON(301)後、ファームウェアを起動(302)し、各種初期設定を行う(303)。初期設定完了後、AFセンサー107の接続チェックを行う。
【0020】
AFチェック方法は図2に示されているAFセンサーとAFセンサーI/F部108の間の各種信号のうち、蓄積完了割り込み信号を用いて行う。該蓄積完了割り込み信号は、AFセンサー107からAFセンサーI/F部108に対し、送出される信号であり、AFセンサー107において電荷の蓄積が完了した後、H(High)レベルからL(Low)レベルにレベルが遷移する。
【0021】
また、該蓄積完了割り込み信号は、図4に示すようにAFセンサー107に電源が供給された場合、まずHレベルに駆動される。
【0022】
従って、撮像装置の電源ON(301)後、ファームウェアを起動(302)し、各種初期設定を行う際(303)、AFセンサー107に対し、電源を投入した場合、蓄積完了割り込み信号は、図4に示すように、Hレベルに駆動される。
【0023】
該蓄積完了割り込み信号がAFセンサーI/F部108において、電源を投入時に図5に示すようにHレベルが検出されず、Lレベルを検出した場合、AFセンサー107は撮像装置に接続されておらず、断線としていると判定する(304)。断線していると判定した場合、位相差AF検出手段をスリープさせ(315)、位相差AF機能を無効とする。具体的には、該位相差AF検出手段にて得られるデータを無効データとし、該データを位相差AF処理に使用しない。再度、ファームウェアが起動(302)されるまで該データをAF処理に使用しない。
【0024】
上記の処理により、撮像装置にAFセンサー107が接続されているか、否かを確認できる。
【0025】
該蓄積完了割り込み信号がAFセンサーI/F部108において、図4に示すようにHレベルを検出した後(304)、シャッターボタンSWが押印され、半押し状態になった場合(305)、AFセンサーI/F部108からAFセンサー107に対し、シリアルコマンドを送出し(306)、AFセンサー107における電荷の蓄積を開始させる(307)。
【0026】
図6にAFセンサー107における電荷の蓄積指示からを電荷蓄積完了までの蓄積完了割り込み信号の挙動を示す。図6に示すように電荷蓄積完了した場合、AFセンサー107は蓄積完了割り込み信号をHレベルからLレベルにレベルが遷移させることにより、AFセンサーI/F部108側に電荷の蓄積が完了したことを報知する。その後、AFセンサーI/F部108からAFセンサー107に対し、蓄積が完了したことを認識した(308)こと(蓄積完了割り込み信号を受信したこと)をシリアルコマンドにより返送する(309)。その後、再度、シリアルコマンドを送出し(306)、AFセンサー107における電荷の蓄積を開始させる(307)。本シーケンスを繰り返すことにより、AFセンサー107から被写体の像のずれ量を検出する。
【0027】
ここで、図7に示すように所定時間経過してもAFセンサー107から出力される蓄積完了割り込み信号がHレベルからLレベルにレベル遷移しない場合、該蓄積完了割り込み信号がHレベルからLレベルにレベル遷移しない回数をインクリメントする(310)。該回数がN回を超えたか、否かを比較し(311)、N回を超えない場合は、再度、AFセンサー107の蓄積を開始する。該蓄積完了割り込み信号がHレベルからLレベルにレベル遷移しない回数がN回を超えた場合、もう一方のAF機能であるコントラストAF検出手段(TVAF)より得られる画像情報のコントラスト成分(輝度情報)を所定のレベル(th)と比較する(312)。該コントラスト成分(輝度情報)が所定のレベル(th)より小さい場合、所定時間以内に蓄積完了割り込み信号がHレベルからLレベルにレベル遷移しない回数Nをクリアし(313)、再度、AFセンサー107の蓄積を開始する。コントラスト成分(輝度情報)が所定のレベル(th)より大きい場合、AFセンサー107は故障していると判定し、位相差AF機能を無効とする(314)。このとき、例えば撮像装置の表示手段にAFセンサー107の故障情報をユーザーに報知する。
【0028】
[実施例2]
次に図8を用いて、他の実施の形態を説明する。
【0029】
図8は処理のフローチャートの説明である。撮像装置の電源ON(801)後、ファームウェアを起動(802)し、各種初期設定を行う(803)。初期設定完了後、AFセンサー107の接続チェックを行う。
【0030】
AFチェック方法は図2に示されているAFセンサーの各種信号のうち、蓄積完了割り込み信号を用いて行う。該蓄積完了割り込み信号は、AFセンサー107からAFセンサーI/F部108に対し、送出される信号であり、AFセンサー107において電荷の蓄積が完了した後、H(High)レベルからL(Low)レベルにレベルが遷移する。
【0031】
また、該蓄積完了割り込み信号は、図4に示すようにAFセンサー107に電源が供給された場合、Hレベルに駆動される。
【0032】
従って、撮像装置の電源ON(801)後、ファームウェアを起動(802)し、各種初期設定を行う際(803)、AFセンサー107に対し、電源を投入する。その結果、蓄積完了割り込み信号は、図4に示すようにAFセンサー107に電源が供給された場合、Hレベルに駆動される。
【0033】
該蓄積完了割り込み信号がAFセンサーI/F部108において、図5に示すようにHレベルが検出されず、Lレベルを検出した場合、AFセンサー107は撮像装置に接続されておらず、断線としていると判定する(804)。断線としていると判定した場合、位相差AF検出手段をスリープさせ(816)、位相差AF機能を無効としている。具体的には、該位相差AF検出手段にて得られるデータを無効データとし、該データを位相差AF処理に使用しない。再度、ファームウェアが起動(802)されるまで該データをAF処理に使用しない。
【0034】
上記の処理により、撮像装置にAFセンサー107が接続されていることを確認できる。
【0035】
該蓄積完了割り込み信号がAFセンサーI/F部108において、図4に示すようにHレベルを検出した後(804)、シャッターボタンSWが押印され、半押し状態になった場合(805)、AFセンサーI/F部108からAFセンサー107に対し、シリアルコマンドを送出し(806)、AFセンサー107における電荷の蓄積を開始させる(807)。
【0036】
図6にAFセンサー107における電荷の蓄積指示からを電荷蓄積完了までの蓄積完了割り込み信号の挙動を示す。図6に示すように電荷蓄積完了した場合、AFセンサー107は蓄積完了割り込み信号をHレベルからLレベルにレベルが遷移させることにより、AFセンサーI/F部108側に電荷の蓄積が完了したことを報知する。その後、AFセンサーI/F部108からAFセンサー107に対し、蓄積が完了したことを認識した(808)こと(蓄積完了割り込み信号を受信したこと)をシリアルコマンドにより返送する(809)。その後、再度、シリアルコマンドを送出し(806)、AFセンサー107における電荷の蓄積を開始させる(807)。本シーケンスを繰り返すことにより、AFセンサー107から被写体の像のずれ量を検出する。
【0037】
ここで、図7に示すように所定時間経過してもAFセンサー107から出力される蓄積完了割り込み信号がHレベルからLレベルにレベル遷移しない場合、その要因として、下記2つの可能性がある。
(1)AFセンサー107そのものの故障。
(2)撮影時にユーザーの指により、AFセンサー107が覆われている。
【0038】
(2)はユーザーの指により、撮像装置に搭載されているAFセンサー107が覆われてしまうことにより、AFセンサー107が遮光されてしまう。そのため、蓄積完了割り込み信号がHレベルからLレベルにレベル遷移しない。この場合、AFセンサー107の故障との判別ができず、一律「AFセンサーの故障」と判定してしまう。
【0039】
そこで、所定時間経過してもAFセンサー107から出力される蓄積完了割り込み信号がHレベルからLレベルにレベル遷移しない場合、まず、撮像装置の表示手段にてAFセンサー107に対し、遮光しないようにユーザーに報知したか否かを判定する(810)。既に報知した場合、AFセンサー107の故障として判断する(817)。まだ報知していない場合、該蓄積完了割り込み信号がHレベルからLレベルにレベル遷移しない回数をインクリメントする(811)。該回数がN回を超えたか、否かを比較し(812)、N回を超えない場合は、再度、AFセンサー107の蓄積を開始する。該蓄積完了割り込み信号がHレベルからLレベルにレベル遷移しない回数がN回を超えた場合、もう一方のAF機能であるコントラストAF検出手段(TVAF)より得られる画像情報のコントラスト成分(輝度情報)を所定のレベル(th)と比較する(813)。該コントラスト成分(輝度情報)が所定のレベル(th)より小さい場合、所定時間以内に蓄積完了割り込み信号がHレベルからLレベルにレベル遷移しない回数Nをクリアし(815)、再度、AFセンサー107の蓄積を開始する。コントラスト成分(輝度情報)が所定のレベル(th)より大きい場合、撮像装置の表示手段にてAFセンサー107に対し、遮光しないようにユーザーに報知する(814)。その後、再度、AFセンサー107の蓄積を開始する。
【0040】
上記のように撮影時にAFセンサー107にユーザーの指により、該AFセンサー107を遮光していないかをユーザーに報知した後に再度、AFセンサー107を故障と判定することにより、AFセンサー107の故障検出の確度を向上させることが可能である。
【符号の説明】
【0041】
101:レンズユニット
102:センサ
103:AFE
104:信号処理手段
105:被写体(顔)検出手段
106:コントラスト焦点検出手段
107:AFセンサー
108:センサーインターフェース
109:A/D変換
110:メモリ
111:メモリコントローラー
112:表示/記録手段
113:システム制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の自動焦点調節機能を有する撮像装置のハイブリッドAFシステムにおいて、該AFシステムを構成するAFセンサーの故障を検出する手段において、電源投入後、一方のAFシステムの信号を用いて故障を検出し、撮影中には他方のAFシステムから得られる情報を用いて故障を検出することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
撮影中に前記AFセンサーから出力される信号が所定の時間以内に出力されないことを検出する手段と、該AFセンサーから出力される信号が所定の時間以内に出力されない回数を算出する手段を有し、所定の時間以内に出力されない回数が所定の回数より大きい場合、他方のAFシステムから得られる輝度情報用いて故障を検出することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
他方のAFシステムから得られる輝度情報が所定の値より、高い場合(高輝度)AFセンサーは故障していると判断することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
他方のAFシステムから得られる輝度情報が所定の値より、低い場合(低輝度)AFセンサーは故障していないと判断することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
AFセンサー故障と判定した場合、ユーザーに報知することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
撮影時にAFセンサーを指で覆わないようにユーザーに報知した後にAFセンサー故障を判定することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の撮像装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−83864(P2013−83864A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224784(P2011−224784)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】