説明

撮影システム、撮影方法、及び撮影プログラム

【課題】所定の方向を撮影可能な角度で、車両の外界を撮影可能な位置に撮影端末が設置されたか否かを自動的に判断することができる、撮影システムを提供すること。
【解決手段】撮影システム1は、車両2に着脱自在に設置される撮影端末20による画像の撮影位置を特定する撮影位置特定部24bと、撮影端末20に複数回の撮影を行わせ、当該撮影された複数の画像間の差異に基づき、撮影端末20が車両2の外界を撮影可能な位置に設置されたか否かを判定する設置判定部24dと、設置判定部24dにより、撮影端末20が車両2の外界を撮影可能な位置に設置されたと判定された場合、撮影端末20により撮影された画像と撮影位置特定部24bにより特定された当該画像の撮影位置とを相互に関連付けた画像情報を送信する画像情報送信部24cとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影システム、撮影方法、及び撮影プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路の渋滞状況等を遠隔地の人に伝えるために、車両に搭載されたカメラにより当該車両の周囲を撮影し、当該撮影した画像を、無線通信機を介して画像サーバに送信する、画像アップロード装置が提案されている。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−317193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、カメラ付き携帯電話等の撮影機能付携帯型情報端末が用いられるようになってきている。そこで、上述の如き従来の装置において、車両に撮影機能付携帯型情報端末を設置し、当該端末により撮影された画像を、無線通信機を介して画像サーバに送信することも考えられる。
【0005】
しかしながら、利用者により撮影機能付携帯型情報端末が車内に設置される場合、必ずしも適切な位置に、適切な方向に向けて端末が設置されるとは限らなかった。例えば車両の進行方向前方を撮影する必要があるにも関わらず、車両の進行方向側方や後方に向けて端末が設置されたり、あるいは、車両の外界を撮影不可能な位置(例えばカメラの前方にダッシュボード等の障害物が存在する位置)に端末が設置される可能性があった。このような場合、必要な画像を当該端末によって撮影できない可能性があった。また、従来の装置では、必要な画像が撮影できてるか否かに関わらず、撮影された全ての画像情報を端末から画像サーバに送信するため、必要な画像を撮影できていない場合(例えば車両の進行方向側方や後方を撮影してしまった場合や、ダッシュボードを撮影してしまった場合等)、無用な画像情報の送信のために通信コストを浪費してしまう可能性があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、所定の方向を撮影可能な角度で、車両の外界を撮影可能な位置に撮影端末が設置されたか否かを自動的に判断することができ、無用な画像情報の送信のために通信コストを浪費してしまうことを防止できる、撮影システム、撮影方法、及び撮影プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の撮影システムは、車両に着脱自在に設置される撮影端末による画像の撮影位置を特定する撮影位置特定手段と、前記撮影端末に複数回の撮影を行わせ、当該撮影された複数の画像間の差異に基づき、当該撮影端末が前記車両の外界を撮影可能な位置に設置されたか否かを判定する設置判定手段と、前記設置判定手段により、前記撮影端末が前記車両の外界を撮影可能な位置に設置されたと判定された場合、当該撮影端末により撮影された画像と前記撮影位置特定手段により特定された当該画像の撮影位置とを相互に関連付けた画像情報を送信する画像情報送信手段と、を備える。
【0008】
また、請求項2に記載の撮影システムは、請求項1に記載の撮影システムにおいて、前記車両が走行中か否かを判定する走行判定手段を備え、前記設置判定手段は、前記走行判定手段により前記車両が走行中と判定された場合に、前記撮影端末に複数回の撮影を行わせ、当該撮影された複数の画像間の差異に基づき、当該撮影端末が当該車両の外界を撮影可能な位置に設置されたか否かを判定する。
【0009】
また、請求項3に記載の撮影システムは、請求項1又は2に記載の撮影システムにおいて、前記設置判定手段は、所定の時間間隔で前記撮影端末に撮影を行わせ、当該撮影端末により当該所定の時間間隔で連続して撮影された2つの画像について、各画像を構成する画素毎に階調値の差分を算出し、全画素について算出した当該階調値の差分の総和が閾値以上である場合に、当該撮影端末が前記車両の外界を撮影可能な位置に設置されたと判定する。
【0010】
また、請求項4に記載の撮影システムは、請求項3に記載の撮影システムにおいて、設置判定手段は、前記撮影端末により前記所定の時間間隔で連続して撮影された2つの画像の各組み合わせについて、各画像を構成する画素毎に階調値の差分を算出し、全画素について算出した当該階調値の差分の総和が閾値以上である当該2つの画像の組み合わせの数が所定数以上である場合に、当該撮影端末が前記車両の外界を撮影可能な位置に設置されたと判定する。
【0011】
また、請求項5に記載の撮影方法は、車両に着脱自在に設置される撮影端末による画像の撮影位置を特定する撮影位置特定ステップと、前記撮影端末に複数回の撮影を行わせ、当該撮影された複数の画像間の差異に基づき、当該撮影端末が前記車両の外界を撮影可能な位置に設置されたか否かを判定する設置判定ステップと、前記設置判定ステップで、前記撮影端末が前記車両の外界を撮影可能な位置に設置されたと判定された場合、当該撮影端末により撮影された画像と前記撮影位置特定ステップで特定された当該画像の撮影位置とを相互に関連付けた画像情報を送信する画像情報送信ステップと、を含む。
【0012】
また、請求項6に記載の撮影プログラムは、請求項5に記載の方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の撮影システム、請求項5に記載の撮影方法、及び請求項6に記載の撮影プログラムによれば、設置判定手段は、撮影端末に複数回の撮影を行わせ、当該撮影された複数の画像間の差異に基づき、撮影端末が車両の外界を撮影可能な位置に設置されたか否かを判定するので、撮影端末の撮影対象の動きの有無を利用して、撮影端末が車両の外界を撮影可能な位置に設置されたか否かを容易且つ確実に判定することができる。また、撮影端末が車両の外界を撮影可能な位置に設置されたと設置判定手段により判定された場合に、画像情報送信手段が、撮影端末により撮影された画像と撮影位置特定手段により特定された当該画像の撮影位置とを相互に関連付けた画像情報を送信するので、車両の外界を撮影した画像を確実に送信することができ、無用な画像情報の送信のために通信コストを浪費してしまうことを防止できる。
【0014】
また、請求項2に記載の撮影システムによれば、設置判定手段は、走行判定手段により車両が走行中と判定された場合に、撮影端末に複数回の撮影を行わせるので、車両の走行に伴う撮影端末の撮影対象の動きの有無を利用して、撮影端末が車両の外界を撮影可能な位置に設置されたか否かを一層容易且つ確実に判定することができる。
【0015】
また、請求項3に記載の撮影システムによれば、設置判定手段は、撮影端末により所定の時間間隔で連続して撮影された2つの画像について、各画像を構成する画素毎に階調値の差分を算出し、全画素について算出した当該階調値の差分の総和が閾値以上である場合に、撮影端末が車両の外界を撮影可能な位置に設置されたと判定するので、撮影端末の撮影対象の動きの有無を確実に判定することができ、撮影端末が車両の外界を撮影可能な位置に設置されたか否かを一層確実に判定することができる。
【0016】
また、請求項4に記載の撮影システムによれば、設置判定手段は、撮影端末により所定の時間間隔で連続して撮影された2つの画像の各組み合わせについて、各画像を構成する画素毎に階調値の差分を算出し、全画素について算出した当該階調値の差分の総和が閾値以上である当該2つの画像の組み合わせの数が所定数以上である場合に、撮影端末が車両の外界を撮影可能な位置に設置されたと判定するので、撮影端末の撮影対象の動きの有無を一層確実に判定することができ、撮影端末が車両の外界を撮影可能な位置に設置されたか否かを一層確実に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態に係る撮影システムを例示するブロック図である。
【図2】車両に設置された撮影端末を例示した図である。
【図3】設置判定処理のフローチャートである。
【図4】撮影処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る撮影システム、撮影方法、及び撮影プログラムの実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
(構成)
最初に、実施の形態に係る撮影システムの構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る撮影システムを例示するブロック図である。図1に示すように、撮影システム1は、車載装置10、及び撮影端末20を備えている。
【0020】
(構成−車載装置)
車載装置10は、通信部11、現在位置検出処理部12、制御部13、及びデータ記録部14を備えている。
【0021】
(構成−車載装置−通信部)
通信部11は、無線又は有線で撮影端末20と通信を行う通信手段であり、公知の通信装置を用いることができる。
【0022】
(構成−車載装置−現在位置検出処理部)
現在位置検出処理部12は、車載装置10が搭載された車両2の現在位置を検出する現在位置検出手段である。具体的には、現在位置検出処理部12は、GPS、地磁気センサ、距離センサ、又はジャイロセンサ(いずれも図示省略)の少なくとも一つを有し、現在の車両2の位置(座標)及び方位等を公知の方法にて検出する。
【0023】
(構成−車載装置−制御部)
制御部13は、車載装置10を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである(後述する撮影端末20の制御部24についても同じ)。特に、本実施の形態に係る撮影プログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して車載装置10にインストールされることで、制御部13の各部を実質的に構成する。
【0024】
この制御部13は、機能概念的に、現在位置特定部13a、及び車両方向特定部13bを備えている。現在位置特定部13aは、現在位置検出処理部12からの出力に基づき車両2の現在位置を特定する現在位置特定手段である。車両方向特定部13bは、車両2の進行方向を特定する車両方向特定手段である。これらの制御部13の各部によって実行される処理の詳細については後述する。
【0025】
(構成−車載装置−データ記録部)
データ記録部14は、車載装置10の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記憶装置としてのハードディスク(図示省略)の如き磁気的記録媒体を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、フラッシュメモリの如き半導体型記憶媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる(後述する撮影端末20のデータ記録部25についても同じ)。
【0026】
(構成−撮影端末)
撮影端末20は、設置用のブラケット等を介して車両2に着脱自在に設置される。図2は、車両2に設置された撮影端末20を例示した図である。図2に示すように、撮影端末20は、例えばブラケット等(図示省略)を介してダッシュボード上に設置される。この撮影端末20としては、例えばスマートフォンやカメラ付き携帯電話等の撮影機能付携帯型情報端末を用いることができる。図1に戻り、この撮影端末20は、通信部21、カメラ22、方向センサ23、制御部24、及びデータ記録部25を備えている。
【0027】
(構成−撮影端末−通信部)
通信部21は、無線又は有線で車載装置10と通信を行うと共に、インターネットや電話網等のネットワークを介してサーバ(いずれも図示省略)と通信を行う通信手段であり、公知の通信装置を用いることができる。
【0028】
(構成−撮影端末−カメラ)
カメラ22は、画像を撮影する撮影手段である。カメラ22が撮影した画像データは、制御部24に入力される。なお、カメラ22の具体的な構成は任意で、例えばCMOSイメージセンサやCCDイメージセンサ等の公知の撮像素子、及びレンズやプリズム等の公知の光学系部品を用いて構成されている。
【0029】
(構成−撮影端末−方向センサ)
方向センサ23は、撮影端末20に固定された所定の方向(例えばカメラ22の光軸の方向)を検出する方向検出手段である。この方向センサ23としては、例えば地磁気センサ(電子コンパス)や加速度センサ等の公知の方位センサを用いることができる。
【0030】
(構成−撮影端末−制御部)
制御部24は、撮影端末20を制御する制御手段であり、機能概念的に、撮影方向特定部24a、撮影位置特定部24b、画像情報送信部24c、設置判定部24d、及び走行判定部24eを備えている。撮影方向特定部24aは、方向センサ23からの出力に基づきカメラ22の撮影方向を特定する撮影方向特定手段である。撮影位置特定部24bは、カメラ22による画像の撮影位置を特定する撮影位置特定手段である。画像情報送信部24cは、カメラ22により撮影された画像と撮影位置特定部24bにより特定された当該画像の撮影位置とを相互に関連付けた画像情報を、通信部21を介してサーバに送信する画像情報送信手段である。設置判定部24dは、所定の方向を撮影可能な角度で、車両2の外界を撮影可能な位置に、撮影端末20が設置されたか否かを判定する設置判定手段である。以下では、設置判定部24dが、車両2の進行方向を撮影可能な角度で撮影端末20が設置されたか否かを判定する場合を例として説明する。走行判定部24eは、車両2が走行中か否かを判定する走行判定手段である。これらの制御部24の各部によって実行される処理の詳細については後述する。
【0031】
(構成−撮影端末−データ記録部)
データ記録部25は、撮影端末20の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段である。
【0032】
(処理)
次に、このように構成された撮影システム1によって実行される処理について説明する。撮影システム1によって実行される処理は、設置判定処理と撮影処理とに大別される。
【0033】
(処理−設置判定処理)
まず、設置判定処理について説明する。設置判定処理は、所定の方向を撮影可能な角度で、車両2の外界を撮影可能な位置に、撮影端末20が車両2に設置されたか否かを判定するための処理である。図3は設置判定処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。この設置判定処理は、例えば車載装置10及び撮影端末20に電源が投入され、車載装置10と撮影端末20との間で通信が確立された場合に、撮影端末20及び車載装置10において起動される。
【0034】
図3に示すように、設置判定処理が起動されると、撮影端末20の設置判定部24dは撮影可能フラグをOFFにする(SA1)。ここで「撮影可能フラグ」とは、所定の方向を撮影可能な角度で撮影端末20が車両2に設置されたか否かを示すフラグであり、例えば撮影端末20のRAM(図示省略)に記憶される。
【0035】
続いて設置判定部24dは、車両2の進行方向(以下、必要に応じて「車両方向」)を特定する情報を要求する信号を、通信部21を介して車載装置10に送信する(SA2)。
【0036】
車載装置10の通信部11が、車両方向を特定する情報の送信要求信号を撮影端末20から受信すると、車両方向特定部13bは、車両2の進行方向を特定する(SA3)。例えば、車両方向特定部13bは、現在位置検出処理部12が有する地磁気センサからの出力に基づき、車両2の進行方向を特定する。この「車両2の進行方向」は、例えば、所定の方向(例えば水平面内における真北方向)を基準とする単位ベクトルとして表される。あるいは、北を基準とする方位角と、水平面を基準とする仰角との組み合わせとして表すようにしてもよい。
【0037】
続いて車両方向特定部13bは、SA3で特定した車両方向を特定する情報を、通信部11を介して撮影端末20に送信する(SA4)。その後、車載装置10の制御部13は設置判定処理を終了する。
【0038】
撮影端末20の通信部21が、車両方向を特定する情報を車載装置10から受信すると、撮影方向特定部24aは、方向センサ23からの出力に基づきカメラ22の撮影方向を特定する(SA5)。「カメラ22の撮影方向」とは、カメラ22のレンズの光軸に沿ってカメラ22の内部から外部に向かう方向であり、車両方向と同様に、所定の方向を基準とする単位ベクトルや、北を基準とする方位角と水平面を基準とする仰角との組み合わせとして表される。
【0039】
続いて設置判定部24dは、SA4で車載装置10から受信した情報により特定される車両方向と、SA5で撮影方向特定部24aにより特定された撮影方向との差分が、閾値以下か否かを判定する(SA6)。例えば設置判定部24dは、水平面内における真北方向を基準として、車両方向を示す単位ベクトルと撮影方向を示す単位ベクトルとの内積を算出し、当該算出した内積に基づき、車両方向と撮影方向とが成す角度を算出する。そして、当該算出した角度が閾値以下の場合に、車両方向と撮影方向との差分が閾値以下であると判定する。
【0040】
SA6の結果、車両方向と撮影方向との差分が閾値以下ではない場合(閾値より大きい場合)(SA6、No)、設置判定部24dは、所定の方向(ここでは車両2の進行方向)を撮影可能な角度で撮影端末20が設置されていないと判定し、SA1に戻る。以降、SA6で車両方向と撮影方向との差分が閾値以下である(SA6、Yes)と判定されるまで、撮影システム1はSA1からSA6までの処理を繰り返す。
【0041】
一方、SA6の結果、車両方向と撮影方向との差分が閾値以下である場合(SA6、Yes)、走行判定部24eは、車両2が走行中か否かを判定する(SA7)。例えば走行判定部24eは、車両2に搭載された車速センサ(図示省略)の出力値を車載装置10の通信部11を介して取得し、当該出力値に基づき特定された車速が所定値(例えば5km/h)以上である場合に、車両2が走行中であると判定する。
【0042】
その結果、車両2が走行中ではない場合(車両2が停止中である場合)(SA7、No)、撮影端末20が車両2の外界を撮影可能な位置に設置されたか否かを判定できないものとし、設置判定部24dはSA1に戻る。以降、SA7で車両2が走行中である(SA7、Yes)と判定されるまで、撮影システム1はSA1からSA7までの処理を繰り返す。
【0043】
一方、SA7の結果、車両2が走行中である場合(SA7、Yes)、設置判定部24dは、所定の時間間隔(例えば2秒間隔)でカメラ22に複数回(例えば2回)の撮影を行わせる(SA8)。
【0044】
続いて、設置判定部24dは、SA8でカメラ22により所定の時間間隔で連続して撮影された2つの画像について、各画像を構成する画素毎に階調値の差分を算出し、全画素について算出した当該階調値の差分の総和を算出する(SA9)。例えば、SA8でカメラ22により撮影された画像における座標(X,Y)の画素の階調値が128であり、その2秒後に当該カメラ22により連続して撮影された画像における当該座標(X,Y)の画素の階調値が156である場合、設置判定部24dは、座標(X,Y)の画素における階調値の差分の絶対値を156−128=28と算出する。同様に、設置判定部24dは、SA8でカメラ22により撮影された画像における各画素について階調値の差分の絶対値を算出し、全画素について算出した階調値の差分の絶対値の総和を算出する。この際、設置判定部24dは、算出した各画像を構成する画素毎の階調値の差分の総和をRAMに記憶させる。
【0045】
次に設置判定部24dは、SA8でカメラ22により所定の時間間隔で連続して撮影された2つの各画像を構成する画素毎の階調値の差分の総和をSA9で当該設置判定部24dが算出した回数を示す算出回数Nを、1回分加算する(SA10)。この「算出回数N」は、例えばRAMに記憶されているものとする。
【0046】
続いて設置判定部24dは、RAMに記憶されている算出回数Nが一定回数(例えば5回)に到達したか否かを判定する(SA11)。その結果、RAMに記憶されている算出回数Nが一定回数に到達していない場合(算出回数Nが一定回数未満である場合)(SA11、No)、撮影端末20が車両2の外界を撮影可能な位置に設置されたか否かを判定するタイミングではないものとし、設置判定部24dはSA8に戻る。以降、SA11で算出回数Nが一定回数に到達した(SA11、Yes)と判定されるまで、設置判定部24dはSA8からSA11の処理を繰り返す。
【0047】
一方、SA11の結果、算出回数Nが一定回数に到達した場合(SA11、Yes)、設置判定部24dはRAMに記憶されている算出回数Nを0にリセットする(SA12)。
【0048】
続いて設置判定部24dは、SA8でカメラ22により所定の時間間隔で連続して撮影された2つの画像の各組み合わせについて、SA9において当該設置判定部24dにより算出された各画像を構成する画素毎の階調値の差分の総和が閾値(例えば1000)以上である当該2つの画像の組み合わせの数(すなわち、SA8で撮影された各画像を構成する画素毎の階調値の差分の総和をSA9で設置判定部24dが算出した一定回数の内、当該各画像を構成する画素毎の階調値の差分の総和が閾値以上であった回数)が、所定数以上(例えば3回)であるか否かを判定する(SA13)。例えば設置判定部24dは、SA9で各画像を構成する画素毎の階調値の差分の総和を算出する度にRAMに記憶させた各算出値を閾値と比較し、当該各画像を構成する画素毎の階調値の差分の総和が閾値以上であった回数を特定し、当該特定した回数が所定数以上か否かを判定する。
【0049】
その結果、SA8でカメラ22により所定の時間間隔で連続して撮影された2つの画像の各組み合わせについて、SA9において当該設置判定部24dにより算出された各画像を構成する画素毎の階調値の差分の総和が閾値以上である当該2つの画像の組み合わせの数が、所定数以上ではない場合(すなわち、SA8で撮影された各画像を構成する画素毎の階調値の差分の総和をSA9で設置判定部24dが算出した一定回数の内、当該各画像を構成する画素毎の階調値の差分の総和が閾値以上であった回数が、所定数以上ではない場合)(SA13、No)、設置判定部24dは、カメラ22の撮影対象の動きが乏しいことから、カメラ22の前方にダッシュボード等の障害物が存在する可能性が高く、撮影端末20が車両2の外界を撮影可能な位置に設置されていないものと判定し、SA1に戻る。以降、SA13で、SA8でカメラ22により所定の時間間隔で連続して撮影された2つの画像の各組み合わせについて、SA9において当該設置判定部24dにより算出された各画像を構成する画素毎の階調値の差分の総和が、閾値以上である当該2つの画像の組み合わせの数が所定数以上である(SA13、Yes)と判定されるまで、撮影システム1はSA1からSA13の処理を繰り返す。
【0050】
一方、SA8でカメラ22により所定の時間間隔で連続して撮影された2つの画像の各組み合わせについて、SA9において当該設置判定部24dにより算出された各画像を構成する画素毎の階調値の差分の総和が閾値以上である当該2つの画像の組み合わせの数が、所定数以上である場合(すなわち、SA8で撮影された各画像を構成する画素毎の階調値の差分の総和をSA9で設置判定部24dが算出した一定回数の内、当該各画像を構成する画素毎の階調値の差分の総和が閾値以上であった回数が、所定数以上である場合)(SA13、Yes)、設置判定部24dは、カメラ22の撮影対象の動きがあることから、カメラ22の前方に障害物が存在する可能性は低く、撮影端末20が、所定の方向(ここでは車両2の進行方向)を撮影可能な角度で、車両2の外界を撮影可能な位置に設置されているものと判定し、撮影可能フラグをONにする(SA14)。その後、撮影端末20の制御部24は設置判定処理を終了する。
【0051】
(処理−撮影処理)
次に、撮影処理について説明する。撮影処理は、カメラ22により車両2の外界を撮影し、当該撮影した画像と当該画像の撮影位置とを相互に関連付けた画像情報をサーバに送信するための処理である。図4は、撮影処理のフローチャートである。この撮影処理は、車載装置10及び撮影端末20に電源が投入され、車載装置10と撮影端末20との間で通信が確立された場合に、撮影端末20及び車載装置10において起動される。
【0052】
図4に示すように、撮影処理が起動されると、画像情報送信部24cは撮影端末20のRAMを参照し、撮影可能フラグがONか否かを判定する(SB1)。その結果、撮影可能フラグがONではない場合(OFFである場合)(SB1、No)、所定の方向(ここでは車両2の進行方向)を撮影可能な角度で、車両2の外界を撮影可能な位置に撮影端末20が設置されておらず、カメラ22により適切な画像を撮影することができないものとし、画像情報送信部24cは撮影可能フラグがONとなるまでSB1の判定を繰り返す。
【0053】
一方、撮影可能フラグがONである場合(SB1、Yes)、画像情報送信部24cは、撮影タイミングが到来したか否かを判定する(SB2)。撮影タイミングが到来したか否かの判定基準は任意で、例えば、通信部21を介して車載装置10やサーバから撮影リクエストを受信した場合に、画像情報送信部24cは撮影タイミングが到来したと判定する。
【0054】
その結果、撮影タイミングが到来していない場合(SB2、No)、画像情報送信部24cはSB1に戻り、撮影タイミングが到来する(SB2、Yes)までSB1及びSB2の処理を繰り返す。
【0055】
一方、撮影タイミングが到来した場合(SB2、Yes)、画像情報送信部24cはカメラ22により撮影を行わせる(SB3)。この場合、車両2の外界における所定の方向(ここでは車両2の進行方向)の画像がカメラ22により撮影される。
【0056】
続いて撮影位置特定部24bは、車両2の現在位置を特定する情報を要求する信号を、通信部21を介して車載装置10に送信する(SB4)。
【0057】
車載装置10の通信部11が、車両2の現在位置を特定する情報の送信要求信号を撮影端末20から受信すると、現在位置特定部13aは、現在位置検出処理部12からの出力に基づき車両2の現在位置を特定する(SB5)。
【0058】
続いて現在位置特定部13aは、SB5で特定した車両2の現在位置を特定する情報を、通信部11を介して撮影端末20に送信する(SB6)。その後、車載装置10の制御部13は撮影処理を終了する。
【0059】
撮影端末20の通信部21が、車両2の現在位置を特定する情報を車載装置10から受信すると、当該受信した情報に基づき、撮影位置特定部24bはカメラ22による画像の撮影位置を特定する(SB7)。例えば撮影位置特定部24bは、車載装置10から受信した情報に基づき特定される車両2の現在位置を、カメラ22による画像の撮影位置として特定する。
【0060】
続いて、画像情報送信部24cは、SB3でカメラ22により撮影された画像とSB7で撮影位置特定部24bにより特定された当該画像の撮影位置とを相互に関連付けた画像情報を、通信部21を介してサーバに送信する(SB8)。その後、撮影端末20の制御部24は撮影処理を終了する。
【0061】
(効果)
このように本実施の形態によれば、設置判定部24dは、車両方向特定部13bにより特定された車両2の進行方向と、撮影方向特定部24aにより特定されたカメラ22の撮影方向とに基づき、所定の方向を撮影可能な角度で撮影端末20が設置されたか否かを判定するので、車両2の進行方向を基準として、所定の方向(例えば車両2の進行方向)を撮影可能な角度で撮影端末20が設置されたか否かを自動的に判定することができる。また、所定の方向を撮影可能な角度で撮影端末20が設置されたと設置判定部24dにより判定された場合に、画像情報送信部24cが、カメラ22により撮影された画像と撮影位置特定部24bにより特定された当該画像の撮影位置とを相互に関連付けた画像情報を送信するので、所定の方向を撮影した画像を確実に送信することができ、無用な画像情報の送信のために通信コストを浪費してしまうことを防止できる。
【0062】
特に、設置判定部24dは、車両方向特定部13bにより特定された車両2の進行方向と、撮影方向特定部24aにより特定されたカメラ22の撮影方向との差分が、閾値以下の場合に、所定の方向を撮影可能な角度で撮影端末20が設置されたと判定するので、車両2の進行方向を撮影可能な角度で撮影端末20が設置されたか否かを一層確実に判定することができる。
【0063】
また、設置判定部24dは、カメラ22に複数回の撮影を行わせ、当該撮影された複数の画像間の差異に基づき、撮影端末20が車両2の外界を撮影可能な位置に設置されたか否かを判定するので、カメラ22の撮影対象の動きの有無を利用して、撮影端末20が車両2の外界を撮影可能な位置に設置されたか否かを容易且つ確実に判定することができる。
【0064】
特に、設置判定部24dは、走行判定部24eにより車両2が走行中と判定された場合に、カメラ22に複数回の撮影を行わせるので、車両2の走行に伴うカメラ22の撮影対象の動きの有無を利用して、撮影端末20が車両2の外界を撮影可能な位置に設置されたか否かを一層容易且つ確実に判定することができる。
【0065】
また、設置判定部24dは、カメラ22により所定の時間間隔で連続して撮影された2つの画像について、各画像を構成する画素毎に階調値の差分を算出し、全画素について算出した当該階調値の差分の総和が閾値以上である場合に、撮影端末20が車両2の外界を撮影可能な位置に設置されたと判定するので、カメラ22の撮影対象の動きの有無を確実に判定することができ、撮影端末20が車両2の外界を撮影可能な位置に設置されたか否かを一層確実に判定することができる。
【0066】
特に、設置判定部24dは、カメラ22により所定の時間間隔で連続して撮影された2つの画像の各組み合わせについて、各画像を構成する画素毎に階調値の差分を算出し、全画素について算出した当該階調値の差分の総和が閾値以上である当該2つの画像の組み合わせの数が所定数以上である場合に、撮影端末20が車両2の外界を撮影可能な位置に設置されたと判定するので、カメラ22の撮影対象の動きの有無を一層確実に判定することができ、撮影端末20が車両2の外界を撮影可能な位置に設置されたか否かを一層確実に判定することができる。
【0067】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0068】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。
【0069】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成できる。例えば、撮影端末20の制御部24の一部又は全部の機能を、車載装置10の制御部13に持たせるようにしてもよい。あるいは、車載装置10の制御部13の一部又は全部の機能を、撮影端末20の制御部24に持たせるようにしてもよい。
【0070】
(設置判定処理について)
図3のSA6における、車両方向と撮影方向との差分が閾値以下か否かの判定結果に基づき、設置判定部24dが、撮影端末20のディスプレイや車載装置10のディスプレイ(いずれも図示省略)等により所定の情報を出力させるようにしてもよい。例えば、車両方向と撮影方向との差分が閾値以下ではなかった場合に、所定の方向(例えば車両2の進行方向)を撮影可能な角度で撮影端末20が設置されていない旨のメッセージや、所定の方向にカメラ22を向けて撮影端末20を設置するように促すメッセージを、撮影端末20のディスプレイや車載装置10のディスプレイ等により出力させるようにしてもよい。
【0071】
また、図3のSA13における、SA8でカメラ22により所定の時間間隔で連続して撮影された2つの画像の各組み合わせについて、SA9において設置判定部24dにより算出された各画像を構成する画素毎の階調値の差分の総和が閾値以上である当該2つの画像の組み合わせの数が、所定数以上か否かの判定結果に基づき、設置判定部24dが、撮影端末20のディスプレイや車載装置10のディスプレイ(いずれも図示省略)等により所定の情報を出力させるようにしてもよい。例えば、SA8でカメラ22により所定の時間間隔で連続して撮影された2つの画像の各組み合わせについて、SA9において設置判定部24dにより算出された各画像を構成する画素毎の階調値の差分の総和が閾値以上である当該2つの画像の組み合わせの数が、所定数以上ではなかった場合に、撮影端末20が車両2の外界を撮影可能な位置に設置されていない旨のメッセージや、カメラ22の前方に障害物のない位置に撮影端末20を設置するように促すメッセージを、撮影端末20のディスプレイや車載装置10のディスプレイ等により出力させるようにしてもよい。
【0072】
また上述の実施の形態では、図3のSA7で、車両2が走行中か否かを走行判定部24eが判定すると説明したが、このSA7の処理を省略し、車両2が走行中か否かに関わらず、SA8以降の各処理を実行するようにしてもよい。
【0073】
また、図3に示した設置判定処理の内、SA7からSA13の処理を省略し、所定の方向を撮影可能な角度で撮影端末20が設置されたか否かのみを設置判定部24dが判定するようにしてもよい。あるいは、図3に示した設置判定処理の内、SA2からSA6の処理を省略し、撮影端末20が車両2の外界を撮影可能な位置に設置されたか否かのみを設置判定部24dが判定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 撮影システム
2 車両
10 車載装置
11、21 通信部
12 現在位置検出処理部
13、24 制御部
13a 現在位置特定部
13b 車両方向特定部
14、25 データ記録部
20 撮影端末
22 カメラ
23 方向センサ
24a 撮影方向特定部
24b 撮影位置特定部
24c 画像情報送信部
24d 設置判定部
24e 走行判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に着脱自在に設置される撮影端末による画像の撮影位置を特定する撮影位置特定手段と、
前記撮影端末に複数回の撮影を行わせ、当該撮影された複数の画像間の差異に基づき、当該撮影端末が前記車両の外界を撮影可能な位置に設置されたか否かを判定する設置判定手段と、
前記設置判定手段により、前記撮影端末が前記車両の外界を撮影可能な位置に設置されたと判定された場合、当該撮影端末により撮影された画像と前記撮影位置特定手段により特定された当該画像の撮影位置とを相互に関連付けた画像情報を送信する画像情報送信手段と、
を備える撮影システム。
【請求項2】
前記車両が走行中か否かを判定する走行判定手段を備え、
前記設置判定手段は、前記走行判定手段により前記車両が走行中と判定された場合に、前記撮影端末に複数回の撮影を行わせ、当該撮影された複数の画像間の差異に基づき、当該撮影端末が当該車両の外界を撮影可能な位置に設置されたか否かを判定する、
請求項1に記載の撮影システム。
【請求項3】
前記設置判定手段は、所定の時間間隔で前記撮影端末に撮影を行わせ、当該撮影端末により当該所定の時間間隔で連続して撮影された2つの画像について、各画像を構成する画素毎に階調値の差分を算出し、全画素について算出した当該階調値の差分の総和が閾値以上である場合に、当該撮影端末が前記車両の外界を撮影可能な位置に設置されたと判定する、
請求項1又は2に記載の撮影システム。
【請求項4】
前記設置判定手段は、
前記撮影端末により前記所定の時間間隔で連続して撮影された2つの画像の各組み合わせについて、各画像を構成する画素毎に階調値の差分を算出し、全画素について算出した当該階調値の差分の総和が閾値以上である当該2つの画像の組み合わせの数が所定数以上である場合に、当該撮影端末が前記車両の外界を撮影可能な位置に設置されたと判定する、
請求項3に記載の撮影システム。
【請求項5】
車両に着脱自在に設置される撮影端末による画像の撮影位置を特定する撮影位置特定ステップと、
前記撮影端末に複数回の撮影を行わせ、当該撮影された複数の画像間の差異に基づき、当該撮影端末が前記車両の外界を撮影可能な位置に設置されたか否かを判定する設置判定ステップと、
前記設置判定ステップで、前記撮影端末が前記車両の外界を撮影可能な位置に設置されたと判定された場合、当該撮影端末により撮影された画像と前記撮影位置特定ステップで特定された当該画像の撮影位置とを相互に関連付けた画像情報を送信する画像情報送信ステップと、
を含む撮影方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法をコンピュータに実行させる撮影プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−165337(P2012−165337A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26269(P2011−26269)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】