説明

撮影機器

【課題】両手がふさがっている場合でも、簡単な構成で誤動作無く撮影を行うことを可能にする。
【解決手段】 撮影機器は、被写体を撮像する撮像部と、上記撮像部を有する撮影機器本体に設けられたタッチパネルと、上記タッチパネルによる検出結果を記録する記録部と、上記検出結果が第1の状態から第2の状態に連続的に変化すると上記撮像部に対する制御を行う制御部とを具備したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着時の撮影を容易にした撮影機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラなどの撮影機能付き携帯機器(撮影機器)が普及している。この種の撮影機器においては、撮影の開始を指示するためのレリーズボタン等が配設されており、ユーザが指等で操作を行うことで、撮像が行われるようになっている。
【0003】
しかしながら、両手に荷物を持っている場合、両手を使うスポーツ等の最中においては、ボタン操作が困難な場合がある。特許文献1においては、筋電位センサを用いて撮影者の撮影動作を検出して撮像動作を制御する撮像装置が提案されている。この特許文献1の撮像装置を用いることで、両手がふさがっている場合でも、撮影操作が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2010−79173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の装置においては、筋電位センサ等の特別なセンサが必要であり、構成が複雑であるという問題があった。
【0006】
本発明は、両手がふさがっている場合でも、簡単な構成で誤動作無く撮影を行うことができる撮影機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る撮影機器は、被写体を撮像する撮像部と、上記撮像部を有する撮影機器本体に設けられたタッチパネルと、上記タッチパネルによる検出結果を記録する記録部と、上記検出結果が第1の状態から第2の状態に連続的に変化すると上記撮像部に対する制御を行う制御部とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、両手がふさがっている場合でも、簡単な構成で誤動作無く撮影を行うことができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る撮影機器の回路構成を示すブロック図。
【図2】図1中の撮影機器10の外観及び撮影機器10が収納される収納ケースを説明するための説明図。
【図3】撮影機器10の人の腕への装着を説明するための説明図。
【図4】第1の状態及び第2の状態の検出を説明するための説明図。
【図5】上腕二頭筋及び三頭筋の筋肉の変化を示す説明図。
【図6】タッチパネル8の出力に基づく第2の状態の検出を具体的に説明するための説明図。
【図7】タッチパネル8の出力に基づく第2の状態の検出を具体的に説明するための説明図。
【図8】第1の実施の形態における動作を説明するためのフローチャート。
【図9】第2の実施の形態を説明するためのフローチャート。
【図10】第2の実施の形態を説明するための説明図。
【図11】第2の実施の形態を説明するためのフローチャートであり。
【図12】第2の実施の形態を説明するための説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係る撮影機器の回路構成を示すブロック図である。図2は図1中の撮影機器10の外観及び撮影機器10が収納される収納ケースを説明するための説明図である。また、図3は撮影機器10の人の腕への装着を説明するための説明図である。
【0012】
図2(a)は撮影機器10の外観を示している。撮影機器10は前面にレンズ21が取り付けられた本体部20を有している。図2(b)は図2(a)の破線にて示す切断面にて切断した断面を模式的に示している。本体部20の背面には、タッチパネル8が配設されている。図2(c)は、本体部20を破線矢印の方向に移動させることにより、収納ケース30内に収納しようとする状態を示している。収納ケース30は、本体部20の外形状に応じた内形状を有する筐体であり、少なくとも本体部20の前面側及び背面側が開口し、レンズ21及びタッチパネル8を露出させることができるようになっている。収納ケース30には、本体部20の背面側近傍の上端及び下端にベルト係止部31を有し、このベルト係止部31にベルト32が取り付けられるようになっている。ベルト32は、一対のベルト係止部31間の長さを適宜調節することができるようになっている。
【0013】
収納ケースとしては、レンズ21及びタッチパネル8を露出させることができれば、種々のケースを採用可能である。図3(a)は図2(c)の収納ケース30とは異なる収納ケース33を示しており、腕37の径方向の切断面で切断した断面を模式的に示している。
【0014】
図3(a)の収納ケース33は、腕37に取り付けた場合にケースが安定的に取り付けられるように、腕37の形状に略合わせた枠部材35が設けられている。また、収納ケース33には、一対のベルト係止部34が設けられており、これらのベルト係止部34にベルト36を取り付けるようになっている。
【0015】
撮影機器10の本体部20を収納ケース33に収納した状態で、ベルト36を人物の腕37に巻き付け、一対のベルト係止部34間のベルト36の長さを適宜調節することにより、収納ケース33を腕37に取り付けるようになっている。この状態では、図3(a)に示すように、収納ケース33に収納された撮影機器10のタッチパネル8の表面が腕33に押し当てられるか又は近接するようになっている。なお、図2(c)の収納ケース30を用いた場合でも、タッチパネル8の表面が腕に押し当てられるか又は近接するようになっている。
【0016】
また、図3(a)では、撮影機器10を収納ケース33に収納した状態で腕37に装着する例を説明したが、図3(b)に示すように、撮影機器10の本体部20にベルト39を直接取り付けて、このベルト39により撮影機器10を腕に装着するようにしてもよい。なお、この場合には、本体部20に図3(a)の枠部材35と同様の枠部材を設けてもよい。
【0017】
図3(c)は人物41の上腕38に撮影機器10を取り付けた状態を示している。図3(c)では収納ケースやベルトは図示を省略しているが、撮影機器10を収納ケースに収納して収納ケースを上腕38に取り付けてもよく、撮影機器10の本体部20にベルトを直接とりつけ、このベルトによって撮影機器10を上腕38に取り付けてもよい。上腕38に取り付けた収納ケースから撮影機器10を取り出すことにより、或いは、上腕38に巻かれたベルトを上腕38から取り外すことにより、撮影機器10を手にとって、通常撮影を行うことも可能である。
【0018】
(回路構成)
図1に示すように、撮影機器10は、CCDやCMOSセンサ等の撮像素子によって構成された撮像部2を有している。撮影機器10の前面に設けたレンズ21を含む撮影光学系2aからの被写体の光学像は、撮像部2を構成する撮像素子の撮像面に結像するようになっている。この撮像部2は、画像処理及び制御部11によって駆動制御される。画像処理及び制御部11は、撮像部2に撮像素子の駆動信号を出力すると共に、撮像素子が光学像を光電変換して得た画像信号を取り込む。
【0019】
画像処理及び制御部11は、撮像素子の光電変換によって得られた画像信号に対して、所定の信号処理、例えば、色信号生成処理、マトリックス変換処理、その他各種のデジタル処理を行う。画像処理及び制御部11の画像圧縮部11bは、画像信号及び音声信号等の記録に際して、符号化処理を施して圧縮した画像情報及び音声情報等を出力することもできるようになっている。
【0020】
また、撮影機器10には、操作部3、時計部4も配設されている。時計部4は画像処理及び制御部11が用いる時間情報を発生する。操作部3は、撮影機器10に設けられた撮影開始終了ボタンや撮影モード設定等の図示しない各種スイッチに対するユーザ操作に基づく操作信号を発生して、画像処理及び制御部11に出力するようになっている。画像処理及び制御部11は、操作信号に基づいて、各部を制御する。
【0021】
撮影機器10には、加速度検知部5も設けられている。加速度検知部5は、加速度センサ等によって構成することができる。例えば、加速度検知部5は、撮影機器10の本体部20の3軸加速度を検出することで、本体部20の傾きや、動きを検出して検出結果を画像処理及び制御部11に与えるようになっている。加速度検知部5によって撮影機器10の本体部20の姿勢も検出することができる。
【0022】
また、撮影機器10には、表示制御部11a及び記録再生制御部11cが設けられている。記録再生制御部11cは、画像処理及び制御部11からの画像情報及び音声情報を記録部9に与えて記録することができるようになっている。記録部9は記録再生制御部11cに制御されて、記録及び再生を行う。記録部9としては、例えばカードインターフェースを採用することができ、記録部9はメモリカード等の記録媒体に画像情報及び音声情報等を記録可能である。また、記録部9は、記録媒体に記録された画像情報及び音声情報を読み出して画像処理及び制御部11の記録再生制御部11cに供給することができる。記録再生制御部11cは、再生された記録部9からの画像情報及び音声情報を画像圧縮部11bによって復号化して、画像信号及び音声信号を得ることができるようになっている。
【0023】
表示制御部11aは、撮像部2からの撮像画像や記録再生制御部11cからの再生画像を表示部6に与えて、これらの画像を表示させるようになっている。また、表示制御部11aは、図示しないマイクロホンによって取得した音声や記録再生制御部11cからの再生音声を音声発生部7に与えて音響出力することもできるようになっている。また、表示制御部11aは、撮影機器10の操作を行うためのメニュー表示等を表示部6に表示させることもできるようになっている。なお、表示部6は、例えば、撮影機器10の本体部20の背面部や上面等に設けられる。
【0024】
本実施の形態においては、画像処理及び制御部11には、撮影操作検出部11dが設けられている。撮影操作検出部11dは、撮影機器10の本体部20の背面に設けられたタッチパネル8の検出結果が与えられるようになっている。撮影操作検出部11dは、人物の動きに基づく撮影操作を検出するようになっている。本実施の形態においては、撮影操作検出部11dは、タッチパネル8の検出結果によって撮影操作を検出する。例えば、撮影操作検出部11dは、人物の腕等の筋肉の動きに応じたタッチセンサ8の出力の変化を検出して、撮影操作があったものと判断する。
【0025】
本実施の形態においては、撮影操作検出部11dは、人物の筋肉の動きを検出するために、動きの起点となる状態を初期状態とし、この初期状態におけるタッチセンサ8の検出結果を第1の状態として変化記録部9aに記録するようになっている。
【0026】
また、撮影操作検出部11dは、撮影開始操作と判断すべき人物の筋肉の動きに基づくタッチセンサ8の検出結果を第2の状態として検出する。更に、撮影操作検出部11dは、第1及び第2の状態を検出する前に、撮影者が撮影操作を行う意志があって撮影準備の状態になったか否かを判断する。例えば、撮影操作検出部11dは、撮影準備の状態になったか否かを例えば撮影機器10の状態によって判定する。例えば、撮影操作検出部11dは、加速度検知部5の検知結果によって、撮影機器10の本体部20が水平になって横構図撮影を可能にする姿勢になったことを所定時間検出すると、撮影準備の状態に到達したものと判定する。
【0027】
また、例えば、撮影操作検出部11dは、撮影機器10の本体部20が移動中の状態から所定期間停止したことを検出することで、撮影準備の状態に到達したものと判定してもよい。更に、撮影操作検出部11dは、撮影機器10の本体部20に加えられた加速度の変化を検出し、所定加速度以上の変化が所定回数あったことを検出することによって撮影準備の状態に到達したことを検出してもよい。
【0028】
撮影操作検出部11dは、撮影準備の状態の検出後に、タッチセンサ8の出力から人物の動きの起点となる初期状態の検出結果(第1の状態)を取得し、記録再生制御部11cによって変化記録部9aに記録させる。撮影操作検出部11dは、第1の状態の記録後において、人物の筋肉の動きを随時検出し、第1の状態に対する変化の状態によって第2の状態に到達したか否かを判定する。
【0029】
なお、撮影操作検出部11dは、予め第2の状態として検出すべき状態を変化記録部4aに記録させておき、変化記録部4aの内容とタッチセンサ8の検出結果とを比較することで、第2の状態に到達したことを検出するようにしてもよい。
【0030】
画像処理及び制御部11は、撮影操作検出部11dによって第2の状態に到達したことが検出された場合には、撮像部2からの撮像画像を記録再生制御部11cに与えて、記録部9により記録させるようになっている。
【0031】
図4は第1の状態及び第2の状態の検出を説明するための説明図である。図4(a)は人物41が撮影機器10を上腕42に取り付けた状態で、矢印に示すように、上腕42を下から上に上げて、水平にする様子を示している。これにより撮影機器10の姿勢が変化し、この変化は加速度検知部5によって検知される。加速度検知部5の検知結果は撮影操作検出部11dに供給され、撮影操作検出部11dは、例えば撮影機器10の本体部20が所定期間、横構図撮影が可能な水平の状態になったことを検出すると、撮影準備の状態に到達したものと判定する。この状態になると、人物41は筋肉の動きによって撮影を開始させることができる。即ち、人物41は、図4(b)に示すように、撮影開始のために、腕43を矢印のように曲げて筋肉を動かす。
【0032】
図5はこの場合における上腕二頭筋及び三頭筋の筋肉の変化を示している。図5は筋繊維を模式的に示しており、腕40には、腕40の表側に上腕二頭筋40a、裏側に上腕三頭筋40bという筋肉がある。図5(a)は腕40を伸ばした状態における筋肉の様子を示し、図5(b)は腕40を曲げた状態における筋肉の様子を示している。図5(b)に示すように、腕40を曲げると、上腕二頭筋40aは矢印の方向に縮み、上腕三頭筋40bは矢印の方向に伸びる。
【0033】
このように筋肉が動くことによって、図4(b)の腕42に表面が押し当てられているタッチパネル8の検出結果が変化する(図3(a)参照)。撮影操作検出部11dは、第1の状態の検出後に、タッチパネル8の検出結果から、腕43が折り曲げられたことを第2の状態として検出する。これにより、画像処理及び制御部11は、撮像部2からの画像の記録を開始する。
【0034】
図6及び図7はタッチパネル8の出力に基づく第2の状態の検出を具体的に説明するための説明図である。図6はタッチパネル8による検出状態を模式的に示すものである。タッチパネル8としては、抵抗膜式、赤外線式、SAW式、静電容量式、光電センサ型等の種々の方式を採用することができる。例えば、静電容量式と抵抗膜式とを組み合わせて、押す(接触する)という動きにZ軸方向のパラメータを追加することで、接触する圧力を感知するフォースセンサ型を採用してもよい。
【0035】
図6の横線部及び斜線部は、撮影機器10を上腕に装着した状態で、タッチパネル8の表面に対向する腕表面又は腕の周囲の衣服表面(以下、単に腕表面という)が、タッチパネル8の表面に接触しているか、所定の距離以内に近接しているか、又は所定の圧力以上で押圧している領域を示している。例えば、タッチセンサ8として静電容量式を採用することで、接触状態及び所定距離以内に近接している状態を検出することができる。図6の横線部は腕を伸ばした状態におけるタッチパネル8の検出結果を示し、斜線部は腕を曲げた状態におけるタッチパネル8の検出結果を示している。
【0036】
図6では、見やすさを考慮して、上腕二頭筋及び上腕三頭筋による各検出結果を別々に示しており、図6(a)は上腕二頭筋による検出結果を示し、図6(b)は上腕三頭筋による検出結果を示している。なお、図6においては、タッチパネル8の腕に対する配置を表側、裏側、肘側、肩側によって示しており、表側は上腕二頭筋側で裏側は上腕三頭筋側のことである。
【0037】
腕を伸ばした場合には、図5(a)に示すように、上腕二頭筋は伸び、上腕三頭筋は縮む。これに対し、腕を曲げると、図5(b)に示すように、上腕二頭筋は縮み、上腕三頭筋は伸びる。上腕二頭筋が縮むことによって腕の表側は膨らみ、上腕三頭筋が伸びることによって腕の裏側の肘側が膨らむ。上述したように、タッチパネル8は、腕表面の変化を、タッチパネル8と腕表面との接触の変化、距離の変化、圧力の変化等によって検出することができる。これにより、タッチパネル8は、これらの筋肉の動きによる腕表面の変化を検出することができる。
【0038】
具体的には、腕を伸ばした状態から腕を曲げた場合には、上腕三頭筋が肘の方に引き寄せられて集まって来た筋肉が膨らむと共に、上腕二頭筋によって表側が膨らんだことを、タッチパネル8によって検出することができる。
【0039】
例えば、腕を伸ばした状態において、タッチパネル8によって図6(a),(b)の横線に示す検出結果が得られるものとする。この場合に、腕を曲げると、上腕二頭筋に着目すれば、図6(a)のように、タッチパネル8の検出結果は、横線部から斜線部に示す検出結果に変化する。上腕三頭筋については、図6(b)のように、タッチパネル8の検出結果は横線部から斜線部のように肘側に変化する。
【0040】
撮影操作検出部11dは、腕を伸ばした状態における検出結果を第1の状態として変化記録部9aに記録させる。図6(a),(b)の横線部の状態を第1の状態とすると、撮影操作検出部11dは、斜線部の状態に向かう変化を検出することで、第2の状態に移行したことを判定することができる。
【0041】
上述したように、撮影操作検出部11dは、第2の状態に対応した検出結果を予め記録させ、この検出結果に略一致する状態になることにより、第2の状態に移行したことを判定することも可能である。しかし、個人差や装着時のずれによる影響を考慮すると、撮影操作検出部11dは、第1の状態の検出結果を記録し、この第1の状態の検出結果から所定の変化が発生したことを検出することによって第2の状態に移行したことを検出するようにした方が、高精度の検出が可能であるものと考えられる。なお、各個人毎に、第2の状態に対応した検出結果を登録可能にするようにしてもよい。この場合には、第2の状態に対応した検出結果を記録させ、この検出結果に略一致する状態になることにより、第2の状態に移行したことを判定する場合でも、十分な精度の検出が可能である。
【0042】
図7はタッチパネル8として対象物が所定の距離以内に近接していることを検出する光電センサ型のタッチパネルを採用した場合の検出の様子を示す説明図である。図7のタッチパネル8は表示部6と兼用することができる。図7において、タッチパネル8を構成する液晶パネル50の各画素には光センサ50aが作り込まれている。液晶パネル50の背面にはバックライト51が配設されており、バックライト51からの出射光52の透過率を液晶パネル50によって制御することで表示を行うことができる。
【0043】
また、液晶パネル50は、液晶パネル50の前面に物体が接触するか又は前面に物体が近接すると、液晶パネル50を透過したバックライト51の出射光52が物体によって反射し、この反射光53が液晶パネル50に作り込まれた光センサ50aによって検出されるようになっている。光センサ50aを液晶パネル50内の画素毎、或いは適宜の間隔で配置し、いずれの位置の光センサ50aによって反射光53の検出が行われたかによって、液晶パネル50の前面に接触又は近接した物体の位置を検出することができる。
【0044】
図7(a)は物体54が液晶パネル50の前面に近接している状態を示し、図7(b)は物体54が液晶パネル50の前面に接している状態を示している。いずれの場合にも、物体54による反射光53が光センサ50aに入射して、物体54が検知されるようになっている。また、図7(a),図7(b)の物体54が同一物である場合には、物体54が液晶パネル50の前面に押圧されることによる物体54の変形についても光センサ50aの検出結果から判定することができる。なお、液晶パネル50は、液晶パネル50の前面の複数のポイントにおいて、接触又は近接した物体54を検知可能である。
【0045】
これにより、図7(c)のように、腕55が液晶パネル50の前面に位置する場合には、液晶パネル50の光センサ50aによって、液晶パネル50の前面に対する腕55表面又は腕55の周囲の衣服表面までの距離分布や接触具合の変化を検出することができる。
【0046】
次に、このように構成された実施の形態の作用について図8を参照して説明する。図8は本実施の形態における動作を説明するためのフローチャートである。
【0047】
撮影機器10に電源が投入されると、画像処理及び制御部11は、図8のステップS1において、装着モードであるか否かを判定する。装着モードでない場合には、画像処理及び制御部11は、ステップS2においてレリーズ操作が行われたか否かを判定し、ステップS13では再生モードであるか否かを判定する。ステップS2においてレリーズ操作が行われたことを検出すると、ステップS10において撮影を行う。なお、装着モードは、図4のように、人物41が腕42に撮影機器10を装着しているモードのことである。なお、画像処理及び制御部11は、操作部3の操作等によって装着モードであるか否かを判定可能である。
【0048】
画像処理及び制御部11は、ステップS10において、撮像部2からの撮像信号に所定の信号処理を施した後、画像圧縮部11bによって符号化処理を行って画像情報を記録再生制御部11cから記録部9に与えて記録媒体に記録する(ステップS11)。画像処理及び制御部11は、ステップS13において再生モードが指示されていると判定すると、ステップS14において画像再生を行う。
【0049】
装着モードにおいては、画像処理及び制御部11は、加速度検知部5の出力に基づいて撮影機器10の本体部20の姿勢を検知する(ステップS3)。次のステップS4において、画像処理及び制御部11の撮影操作検出部11dは、本体部20の姿勢が横構図撮影が可能な状態(水平な状態)であるか否かを判定する。図4(a)のように、人物41が腕42を持ち上げ、上腕を水平にすることにより、本体部20を水平な状態にすることができる。
【0050】
画像処理及び制御部11は、本体部20が水平になったことを検出すると、ステップS5において水平状態が所定時間継続するか否かを判定する。本体部20の水平状態が所定時間維持されると、撮影操作検出部11dは、人物が撮影を行う意志があり撮影準備の状態に入ったものと判断する。これにより、撮影操作検出部11dは、撮影操作の起点となる初期状態になったものと判断し、タッチパネル8の検出結果を取得し、第1の状態として記録再生制御部11cによって変化記録部9aに記録させる。こうして、第1の状態として、例えば、図6の横線部に示す検出結果が得られて変化記録部9aに記録される。
【0051】
次に、画像処理及び制御部11は、音声発生部7から「撮影しますか」という音声を発声させる。装着モードにおいては、撮影者は、体の筋肉の動きによって撮影を行い、しかもファインダーを見ることなく撮影を行う可能性があるので、撮影前に撮影操作の検出を開始したことを音声メッセージによって知らせることで、撮影者の操作を補助する。
【0052】
次に、撮影操作検出部11dは、ステップS8において所定時間待機した後、ステップS9において撮影者の撮影開始操作に相当する第2の状態への変化があったか否かを判定する。ステップS8の所定時間内に撮影者が腕を曲げると、タッチパネル8の検出結果は例えば図6の横線部から斜線部に示すものに変化する。撮影操作検出部11dは、変化記録部9aに記録されている初期状態との比較によって、このような第2の状態への変化を検出すると、処理をステップS10に移行して撮影を行う。撮影操作検出部11dは、ステップS8の所定時間内に、第2の状態への変化を検出しなかった場合には、処理をステップS1に戻す。
【0053】
ステップS9においては、撮影操作検出部11dは、ステップS9の判定時に本体部20の水平状態が維持されていたことを、撮影開始の条件とすることができる。これにより、撮影者の撮影の意図を確実に反映させた撮影が可能である。なお、撮影操作検出部11dは、本体部20の水平状態が維持されていない場合でも、撮影を開始させるようにしてもよい。なお、ステップS10の撮影は、動画撮影を開始するものであってもよい。
【0054】
このように本実施の形態においては、撮影機器の本体部にタッチパネルを設けた撮影機器を撮影者に装着し、撮影者の筋肉の動きをタッチパネルによって検出することで、撮影操作を検出するようになっており、両手がふさがった場合等、撮影者のレリーズボタンの操作が困難な場合においても、腕等の筋肉を動かすことで撮影が可能である。この場合には、撮影機器本体部の姿勢が所定の状態になったことを検出し、この検出の後に撮影者の筋肉の動きによる撮影操作を検出するようになっており、誤動作を防止し撮影者が撮影操作を希望するタイミングにおいて確実に撮影を行うことを可能にしている。更に、撮影者の個人差や撮影機器の装着ばらつきに拘わらず撮影操作を確実に検出するために、撮影操作の起点となる初期状態におけるタッチパネルの検出結果を第1の状態として記録し、第1の状態との変化によって撮影開始操作と判定する第2の状態になったことを検出するようになっており、撮影者の撮影操作を誤動作無く確実に検出可能である。
【0055】
なお、上記実施の形態においては、腕を伸ばした第1の状態から腕を曲げた第2の状態を検出することで撮影を行ったが、腕を曲げた第1の状態から腕を伸ばした第2の状態を検出することで撮影を行うようにしてもよい。
【0056】
また、上記実施の形態においては、上腕二頭筋及び三頭筋の筋肉の動きを直接検出するようにしたが、例えば、腕の曲げ伸ばしによって上腕周囲の長さが変化し、上腕に装着した撮影機器のタッチパネルと上腕(又は上腕周囲の衣服)との接触面積又は圧力が増減したことを検出するようにしてもよい。
【0057】
(第2の実施の形態)
図9乃至図12は本発明の第2の実施の形態に係り、図9及び図11は第2の実施の形態を説明するためのフローチャートであり、図10及び図12は第2の実施の形態を説明するための説明図である。本実施の形態におけるハードウェア構成は第1の実施の形態と同様である。本実施の形態は撮影操作検出部11dの撮影操作の検出方法が第1の実施の形態と異なるのみである。
【0058】
本実施の形態は、人体の筋肉の動きを考慮した検出を行うことで、更に撮影操作の検出精度を向上させたものである。
【0059】
図9は人体とタッチパネル8との接触又は距離分布の状態の判定方法を示しており、図8のステップS6における初期状態判定及びステップS9における第2の状態の判定に用いられる。また、図10は図9の判定方法を説明するためのものである。
【0060】
タッチパネル8が人体(又は衣服)とどの様に接触しているかを検出するためには、人体の特性に対応した接触判定を行う必要がある。タッチパネル8の平らなパネル面に対し、人体は丸みを帯びており、人体がタッチパネル8の中央部から四隅まで均一に接触することはできない。そこで、タッチパネル8の四隅の接触の状態を基準として、人体が接している領域を判定する。
【0061】
撮影操作検出部11dは、図9のステップS21において、図10に示すタッチパネル8の4隅の領域R1の接触状態を判定する。タッチパネル8と人体の接触状態は、タッチパネル8が検出した領域の面積や圧力によって求めることができる。例えば、撮影操作検出部11dは、4箇所の領域R1におけるタッチパネル8に対する圧力Paを求める。
【0062】
次に、撮影操作検出部11dは、人体が接触していると考えられるタッチパネル8の中央部分における接触状態を検出する。例えば、撮影操作検出部11dは、中央部分において接触している領域の中心Pにおける圧力Pbを求める。
【0063】
次に、撮影操作検出部11dは、ステップS23において、人体が接触していると判定する領域R2を求めるための閾値を求める。例えば、撮影操作検出部11dは、ステップS21,S22において求めた圧力の平均値Pc(=Pa+Pb/2)を閾値とする。
【0064】
次に、撮影操作検出部11dは、タッチパネル8の全域のうち、圧力Pc以上が検出された領域を人体が接触している領域R2(図10の横線部)として求める。更に、撮影操作検出部11dは、演算量を低減するために、領域R2の上下左右のポイントp1〜p4の座標を求め(ステップS25)、この座標値を第1の状態として変化記録部9aに記録させる。
【0065】
なお、図9の判定方法においては、圧力に代えて人体とタッチパネル8の表面との距離を用いてもよい。なお、ここでの閾値の求め方は、上述の平均値に限らず、所定圧力以上のポイントにしても良いし、ユーザーの好みで設定できるようにしてもよい。また、第1の状態の判定としては、ポイントp1〜p4以外のポイントすべてで検出する必要はなく、限られたポイントで判定してもよい。例えば、これらのポイントの中央座標とか、所定の演算をしたものでもよい。領域の形状を例えば輪郭ラインの座標群で判定したり、押された部分の面積を判定用に使ってもよい。従来のスライド操作とは異なり、変化前後で、図12のように接触部の面積や形状や、その重心が連続的に変化するような移動が、筋肉の伸縮に特有の動作を検出したものとなる。
【0066】
図9の判定方法を用いることで、丸みを帯びた人体とタッチパネル8との接触状態を容易に判定することができる。
【0067】
図11は図8のステップS8,S9に対応するものであり、図12は図11の判定方法を説明するためのものである。
【0068】
伸ばした腕を曲げること等の人体の動きは、筋肉の連続的な収縮によって生じると考えられる。従って、筋肉の動きによる人体とタッチパネル8との接触状態の変化は、連続的且つ決まった方向に生じる。図11においては、このような人体の筋肉に特有の動きを検出することで、撮影操作を一層確実に検出することができるようになっている。
【0069】
図11のステップS31において、撮影操作検出部11dは、接触状態の判定を行う。ステップS31においては、図9と同様のフローが採用される。即ち、撮影操作検出部11dは、接触していると判定した領域R2’の上下左右のポイントp1’〜p4’の座標値を求める。なお、図12では、初期状態における接触領域R2とステップS31によって求めた接触領域R2’とを示してある。
【0070】
次に、撮影操作検出部11dは、ステップS32において0.1秒経過したか否かを判定する。0.1秒経過していない場合には、撮影操作検出部11dは、ステップS38においてカメラ姿勢に変化があったか否かを判定し、ステップS8において所定時間経過したか否かを判定して、処理をステップS31に戻す。
【0071】
これにより、略0.1秒経過毎の接触状態判定結果について、ステップS33以降の処理が行われることになり、時々刻々と変化する筋肉の状態を検出することができる。なお、ステップS32の時間は適宜変更可能である。
【0072】
図8のステップS8と同様の所定時間が経過する前に、撮影機器10の姿勢が横構図撮影可能な水平状態から変化すると、撮影操作検出部11dは、撮影者に撮影の意志がないものと判断して、ステップS38から判定処理を終了する。また、撮影操作検出部11dは、ステップS8において所定時間が経過したものと判定した場合にも、撮影者に撮影の意志がないものと判断して、ステップS38から判定処理を終了する。
【0073】
ステップS32において0.1秒が経過したものと判定された場合には、撮影操作検出部11dは、ステップS33において、図9のフローによって求めた初期状態におけるポイントp1〜p4の座標とステップS31において求めたポイントp1’〜p4’の座標との変化を求め、この変化が所定の閾値以内であるか否かを判定する。例えば、撮影操作検出部11dは、対応するポイントp1,p1’、ポイントp2,p2’、ポイントp3,p3’、ポイントp4,p4’同士のX,Y座標の変化分のうち、所定の閾値Δ1より大きくΔ2より小さい変化分があるか否かを判定する。
【0074】
次に、撮影操作検出部11dは、ステップS33において閾値Δ1,Δ2の範囲内の変化であったと判定されたポイントの変化が、前回(0.1秒前)の変化と同じ方向(90度以内の方向)であるか否かを判定する(ステップS34)。
【0075】
人体の筋肉の動きは、滑らかで且つ同一方向に変化すると考えられる。従って、筋肉の動きに伴う接触状態の変化も、変化分が所定の閾値の範囲内で且つ同様の方向であると考えられる。本実施の形態においては、ステップS33,S34の処理を行うことで、接触状態の変化が人体の筋肉の動きに基づくものか否かを判定することが可能である。
【0076】
次に、撮影操作検出部11dは、ステップS35において、人体の動きと判定したポイントの変化量を積算する。この場合には、撮影操作検出部11dは、対応する各ポイント毎に変化量の積算を行ってもよく、各ポイントの変化量の和や平均を積算してもよい。
【0077】
撮影操作検出部11dは、変化量の積算値が所定値に到達したか否かを判定し(ステップS36)、到達した場合には、第2の状態になったものと判定する(ステップS37)。到達していない場合には、撮影操作検出部11dは処理をステップS31に戻して各ステップを繰り返す。所定時間内にカメラ姿勢の変化がなく、変化量の積算値が所定値に到達すると、撮影操作検出部11dは、第2の状態になったものと判定する。
【0078】
このように本実施の形態においては、筋肉の動きに基づく接触状態の連続的な変化を刻一刻検出しており、筋肉の動きによる撮影操作を確実に検出可能である。
【符号の説明】
【0079】
2…撮像部、5…加速度検知部、8…タッチパネル、9…記録部、9a…変化記録部、10…撮影機器、11…画像処理及び制御部、11a…表示制御部、11b…画像圧縮部、11c…記録再生制御部、11d…撮影操作検出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像する撮像部と、
上記撮像部を有する撮影機器本体に設けられたタッチパネルと、
上記タッチパネルによる検出結果を記録する記録部と、
上記検出結果が第1の状態から第2の状態に連続的に変化すると上記撮像部に対する制御を行う制御部と
を具備したことを特徴とする撮影機器。
【請求項2】
上記タッチパネルは、上記第1及び第2の状態を、上記タッチパネルと人体との接触面の面形状及び接触面積の少なくとも1つのデータに基づいて検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の撮影機器。
【請求項3】
上記撮影機器本体の姿勢を検出する姿勢検出部を具備し、
上記制御部は、上記撮影機器本体の姿勢が所定の姿勢になったことが上記姿勢検出部によって検出されると、上記タッチパネルの検出結果を上記第1の状態として上記記録部に記録させる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の撮影機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−90003(P2012−90003A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233877(P2010−233877)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】