説明

撮影装置、プログラム、及び撮影方法

【課題】再生中のコンテンツを視聴しながら行う自身の動作を、事後、該コンテンツの映像と容易に比較しながら確認することを可能にする新たな技術を提供する。
【解決手段】映像信号を出力する撮像手段11と、映像信号が記録される記録手段16とを備えた撮影装置において、撮像手段により得られる第1の映像に係る第1の映像信号、及び外部から供給される第2の映像に係る第2の映像信号に基づき、所定の映像信号の記録を記録手段に対して行うとともに、該記録手段に対して行われた映像信号の記録に基づき、第1映像及び第2映像の合成映像に係る第3の映像信号を出力する制御手段17とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像手段を有する撮影装置、該装置における制御手段としてコンピュータを機能させるプログラム、及び該装置における撮影方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビ等の表示装置に自分を映し出す方法として、たとえばテレビ電話システムが知られている(たとえば特許文献1参照)。このシステムにおいては、話者のそれぞれがテレビジヨンカメラ及びディスプレイを有し、テレビジヨンカメラで撮影した画像情報を相手側のディスプレイ上に表示することができる。その際、自らのテレビジヨンカメラの撮影方向を制御するとともに、相手側のテレビジヨンカメラの撮影方向をも制御することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−111863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、再生中の映像コンテンツを視聴しながら動作する自身の映像を、後で該映像コンテンツにおける動作と比較して見てみたいと思う場合がある。たとえば、ダンスやヨガ等の教則ビデオを視聴しながら、その教則ビデオの動作と同じ動作を試みた後、自身の動作と教則ビデオの動作とを比較してうまくいっているかどうかを確かめたり、不都合な部分を発見したりして、ダンスやヨガ等の上達に役立てることができれば好都合である。また身体を動かすテレビゲームの場合においても、同様にゲーム画面の進行と自分の動きを同時に記録しておき、その後、その記録を再生して双方の動きを比較し、ゲームの上達に役立てることができれば好都合である。
【0005】
しかしながら、自身を映し出す装置としては、上述のテレビ電話システムやTVカメラが知られているが、これらは、自身が視聴している映像コンテンツと、視聴しながら行っている自身の動作とを、事後、容易に比較検討することを可能とするものではない。またこのような比較検討を容易に行うことを可能にするような簡便な装置は知られていない。
【0006】
そこで本発明の目的は、再生中のコンテンツを視聴しながら行う自身の動作を、事後、該コンテンツの映像と容易に比較しながら確認することを可能にする新たな技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するため、第1の発明に係る撮影装置は、映像信号を出力する撮像手段と、映像信号が記録される記録手段と、前記撮像手段により得られる第1の映像に係る第1の映像信号、及び外部から供給される第2の映像に係る第2の映像信号に基づき、所定の映像信号の記録を前記記録手段に対して行うとともに、該記録手段に対して行われた映像信号の記録に基づき、前記第1映像及び第2映像の合成映像に係る第3の映像信号を出力する制御手段とを具備することを特徴とする。
【0008】
第2の発明に係る撮影装置は、第1発明において、前記所定の映像信号は、基礎となる前記第1映像信号及び第2映像信号を、前記合成映像の映像信号となるように合成した信号であることを特徴とする。
【0009】
第3の発明に係る撮影装置は、第1発明において、前記所定の映像信号の記録は、前記第1映像信号の記録、前記第2映像信号の記録、及びこれらの記録の少なくとも一方に付随させて記録され、これらの記録が相互に対応するものであることを示す対応情報の記録であることを特徴とする。
【0010】
第4の発明に係る撮影装置は、第3発明において、前記制御手段は、前記第1映像信号の記録又は第2映像信号の記録を再生する旨の指示が与えられたとき、該記録に基づく映像信号と、前記対応情報により示される対応する記録に基づく映像信号とを、前記第3映像信号として出力するものであることを特徴とする。
【0011】
第5の発明に係る撮影装置は、第1〜第4のいずれかの発明において、前記第3映像信号に基づき、前記合成映像を表示する表示手段を有することを特徴とする。
【0012】
第6の発明に係る撮影装置は、第1〜第5のいずれかの発明において、前記合成映像に関する設定を受け入れる入力手段を備え、前記設定には、前記合成映像において前記第1映像若しくは第2映像の部分を鏡像反転させるかどうかの設定が含まれることを特徴とする。
【0013】
第7の発明に係る撮影装置は、第6発明において、前記設定には、前記撮像手段における撮像素子の使用領域の設定が含まれることを特徴とする。
【0014】
第8の発明に係る撮影装置は、第6又は第7発明において、前記設定には、前記合成映像をピクチャ・イン・ピクチャ又は2画面表示のいずれの映像とするかの設定、又は前記合成映像における前記第1映像の部分若しくは前記第2映像の部分のアスペクト比の設定が含まれることを特徴とする。
【0015】
第9の発明に係る撮影装置は、第1〜第8のいずれかの発明において、前記制御手段は、前記記録手段に対する映像信号の記録に際し、前記第2映像信号とともに供給される音声信号又は装置が備えるマイクからの音声信号を記録し、記録した音声信号を、前記第3映像信号の出力に際し、該信号とともに出力するものであることを特徴とする。
【0016】
第10の発明に係るプログラムは、コンピュータを、第1〜第9のいずれかの発明に係る撮影装置における制御手段として機能させることを特徴とする。
【0017】
第11の発明に係る撮影方法は、映像信号を出力する撮像手段と、映像信号が記録される記録手段とを備えた撮影装置における撮影方法であって、前記撮像手段により得られる第1の映像に係る第1の映像信号、及び外部から供給される第2の映像に係る第2の映像信号に基づき、所定の映像信号の記録を前記記録手段に対して行うとともに、該記録手段に対して行われた映像信号の記録に基づき、前記第1映像及び第2映像の合成映像に係る第3の映像信号を出力する制御工程を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、再生中のコンテンツを視聴しながら行う自身の動作を、事後、該コンテンツの映像と容易に比較しながら確認することを可能にする新たな技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係るAVシステムを示す図である。
【図2】図1のシステムにおける撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図2の撮像装置における記録処理を示すフローチャートである。
【図4】図3の一部の処理の詳細を示すフローチャートである。
【図5】図1のシステムにおける撮像装置の別の実施形態に係る構成を示すブロック図である。
【図6】図5の撮像装置における記録処理を示すフローチャートである。
【図7】図6の記録処理によって記録されたファイルを再生する再生処理を示すフローチャートである。
【図8】図3及び図4の処理によって記録されたファイルに基づいて再生される映像の一例を示す図である。
【図9】図7の再生処理によって再生される映像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係るAVシステムを示す。このシステムは撮影に使用する撮像装置1、撮像装置1に接続されたAV装置2を備える。AV装置2は、コンテンツの再生映像の表示や再生音の出力を行うと同時に、表示中の映像及び出力中の音声に係る映像信号及び音声信号を撮像装置1に出力する機能を備える。撮像装置1としてはたとえばビデオカメラが該当する。AV装置2としてはたとえば、テレビジョンセットや、AVパソコン、ゲーム機が該当する。AV装置2により再生されるコンテンツとしては、無線又は有線の放送により提供される放送コンテンツや、ネットワークを介して配信されるコンテンツ、DVD等に記録されたコンテンツなどが該当する。撮像装置1は撮影機能を備えるとともに、AV装置2から供給される映像信号及び音声信号の記録を撮影と同時に行う機能を備える。
【0021】
図1においては、ユーザ3がAV装置2において再生されているコンテンツを視聴しながら、コンテンツの映像及び音声に合わせて運動をしている様子を撮像装置1により撮影している状況が示されている。撮像装置1は、ユーザ3を撮影すると同時に、AV装置2から供給される映像信号及び音声信号を記録している。
【0022】
図2は撮像装置1の構成を示すブロック図である。同図に示すように、撮像装置1は、装置の撮影範囲に存在する物体からの光に基づいて結像を行い、その像を映像信号に変換する撮像部11、装置の周囲の音声を音声信号に変換するマイク部12、テレビやゲーム機等の外部ソースからの映像信号の入力を受け入れる映像信号入力部13、外部ソースからの音声信号の入力を受け入れる音声信号入力部14、各種操作入力を受け入れるためのユーザインタフェースを構成する操作入力部15、記録データを格納する記録部16、装置各部の制御を行う制御部17、各種の表示を行う表示部18、記録又は再生中の音声信号に基づいて音声の出力を行うスピーカ部19、記録又は再生中の映像信号を外部に出力する映像信号出力部20、及び記録又は再生中の音声信号を外部に出力する音声信号出力部21を備える。
【0023】
操作入力部15が受け入れる各種操作入力としては、たとえば、撮像部11による撮影や、映像信号入力部13や音声信号入力部14からの信号に基づく記録部16への記録、映像信号入力部13及び撮像部11からの映像信号の合成、記録部16における記録内容の再生処理や編集処理に関するものが該当する。記録部16に記録される信号としてはたとえば、撮像部11や、マイク部12、映像信号入力部13、音声信号入力部14からの信号や、これらの信号を操作入力部15からの指示に基づいて合成したものが該当する。記録部16としては、典型的にはハードディスクやメモリーカード等を用いることができるが、DVDやBD(ブルーレイディスク)等のディスクメディアであってもよい。制御部17は、操作入力部15における操作入力に従い、記録部16への記録処理や、記録部16の記録内容に基づく再生処理や、撮影モード等に関する各種の設定処理を行う。表示部18は、操作入力に基づく制御部17からの指令に応じ、再生映像や記録中の映像の表示、設定画面の表示等の各種表示を行う。スピーカ部19は、再生音の出力を行う。
【0024】
図3は撮像装置1における記録処理を示すフローチャートである。この処理は、制御部17により、所定のプログラムに従って行われ、ユーザの操作入力による所定の記録指示に基づいて開始される。記録処理を開始すると、制御部17は、まず、ステップS31において、撮像部11からの映像信号と、映像信号入力部13を介して入力される映像信号とを同時に記録する要求が、記録指示においてなされているかどうかを判定する。要求がなされていると判定した場合には、ステップS32において、映像信号入力部13からの映像信号に、コピーを禁止する旨を示す信号が含まれているか否かを判定する。含まれていないと判定した場合には、ステップS33において、撮像部11からの映像信号及びマイク部12からの音声信号、並びに映像信号入力部13からの映像信号及び音声信号入力部14からの音声信号に基づき、これらの信号を合成しながら、記録部16への記録を行う。これにより、図3の処理が終了する。
【0025】
一方、ステップS31において同時に記録する要求がなされていないと判定した場合には、ステップS34へ進み、通常のビデオカメラの場合と同様に、撮像部11からの映像信号及びマイク部12からの音声信号に基づく記録を行い、図3の処理を終了する。また、ステップS32においてコピー禁止の信号が含まれていると判定した場合には、ステップS35へ進み、コピー禁止である旨を示す表示や音声の出力を行い、図3の処理を終了する。
【0026】
図4は図3のステップS33の処理を示すフローチャートである。この処理では、ユーザが設定する合成方法に従って、撮像部11からの映像信号及びマイク部12からの音声信号、並びに映像信号入力部13からの映像信号及び音声信号入力部14からの音声信号を合成し、1つの動画ファイルとして記録する。
【0027】
すなわち、処理を開始すると、まずステップS41において、ユーザの操作入力による合成方法の設定を受け入れる。この設定においては、映像信号入力部13及び音声信号入力部14からの信号と、撮像部11及びマイク部12からの信号とをどのようにして合成するかが設定される。設定事項としては、たとえば、映像信号入力部13からの映像信号による映像及び撮像部11からの映像信号による映像の配置に関する設定、撮像部11による撮像エリアに関する設定、撮像部11からの映像信号について撮像部11からの映像信号について鏡に写ったような映像変換を行う処理(以下、反転処理又は鏡像変換処理と呼ぶ)を行うか否かの設定、音声信号入力部14からの音声信号及びマイク部12からの音声信号のうち記録する音声信号及びその記録形態に関する設定が該当する。
【0028】
映像の配置に関する設定としては、たとえば、従来のピクチャ・イン・ピクチャや2画面表示といった表示形式に対応した画面配置形式の設定や、その場合におけるどちらの画面にどちらの映像を割り当てるかの設定や各画面のアスペクト比の設定が該当する。記録する音声信号及びその記録形態に関する設定としては、たとえば、音声信号入力部14からの主・副音声信号のうちの双方又は一方のみを記録するかどうか、マイク部12からの音声信号を記録するかどうか等に関する設定や、記録する各音声信号を主・副音声として記録するかどうか、どの音声信号をどのチャンネルの音声信号として記録するかどうか等に関する設定が該当する。各設定事項については、ユーザによる設定がなされない場合には、デフォルトの設定や、前回の設定が採用される。
【0029】
撮像部11による撮像エリアに関する設定は、画面配置形式の設定内容やアスペクト比の設定内容に応じ、予め定められた方法で行うようにしてもよい。たとえば、画面配置形式として2画面表示に対応した形式が設定され、設定映像信号入力部13からの映像信号の映像を表示する画面のアスペクト比がデフォルトのままとされた場合には、撮像エリアを8:9のエリアに設定するようにしてもよい。なお、撮像エリアの設定とは、撮像部11の撮像素子において使用する撮像エリアの設定を意味する。つまり、たとえば、2画面表示を行うために、撮像素子の全撮像エリア(全画素)を用いて16:9で撮像して得た映像信号を縮小やトリミングして8:9の映像信号を得るのではなく、撮像素子における最大の8:9の撮像エリアにより撮影を行い、そのままの解像度により記録を行うことを意味する。
【0030】
次に、ステップS42において、設定された合成方法に応じ、撮像エリアを変更するか否かを判定する。変更すると判定した場合には、ステップS43において、撮像エリアの変更を行うとともに、変更後の撮像部11により撮影される映像を表示し、ステップS44へ進む。ユーザはこの表示を参照し、撮像装置1を被写体に向けることができる。ステップS42において撮像エリアの変更を要しないと判定した場合にはそのままステップS44へ進む。
【0031】
ステップS44では、設定された合成方法に合致するように、映像信号入力部13からの映像信号及び/又は撮像部11からの映像信号のアスペクト比を変更する必要があるか否かを判定する。変更を要すると判定した場合には、ステップS45においてアスペクト比の変更を行い、変更後の映像信号入力部13からの映像信号及び/又は撮像部11からの映像信号に基づく表示を行い、ステップS46へ進む。アスペクト比の変更を要しないと判定した場合には、そのままステップS46へ進む。
【0032】
ステップS46では、設定された合成方法に合致するように、撮像部11からの映像信号について反転処理を行うかどうかを判定する。反転処理を行うと判定した場合には、ステップS47において、撮影部11からの映像信号について反転処理を開始し、反転処理された映像信号に基づく映像の表示を行い、ステップS48に進む。反転処理は行わないと判定した場合には、そのままステップS48に進む。
【0033】
ステップS48では、映像信号入力部13及び撮像部11からの映像信号を、設定された合成方法により合成した信号に基づく映像の表示を行うとともに、ユーザからの記録指示を待って、該合成信号を、音声に関する設定内容に従い、音声信号入力部14又はマイク部12からの音声信号とともに記録する。これにより図4の処理が完了する。なお、映像信号の合成は、たとえば、所定のメモリ領域を用い、両映像信号の各時点での映像フレーム毎に、設定された合成方法に従い、両フレームのデータに基づいて該メモリ領域に書込みを行い、該メモリ領域から1フレームの映像信号として読み出すことにより行うことができる。
【0034】
図8は図3及び図4の処理によって記録されたファイルに基づいて再生される映像の一例を示す。図中の81は撮像部11により撮影された部分に対応する映像部分であり、82は映像信号入力部13からの映像信号に対応する映像部分である。つまり、図8においては、画面配置形式が2画面表示に対応した形式に設定され、撮像部11における撮像エリアが8:9に設定され、かつ撮像部11からの映像信号を鏡像反転するように設定されて記録が行われたファイルについての再生映像が示されている。映像部分82は、デフォルトのアスペクト比に従い、縮小されている。映像部分81は鏡像反転されている。映像部分81により、ユーザは、鏡に映った自分を見ている場合と同じ向きで自分の映像を見ることができる。
【0035】
本実施形態によれば、映像信号入力部13及び音声信号入力部14からの映像信号及び音声信号と、撮像部11及びマイク部12からの映像信号及び音声信号とを合成して記録できるようにしたため、たとえば、AV装置2により表示している映像とともに、それを視聴している状況も併せて記録することができる。たとえば、ダンスやヨガ、ゲームのコンテンツを観ながらそれらに対応する動作をしているユーザの映像や音声を、コンテンツのデータと合成して記録することができる。また、記録を開始するときに表示される映像(ステップS43及びS45)により示される合成方法の設定結果に合わせて、撮像部11における撮像エリアを変更するようにしているため、撮像部11により撮影される映像部分81のアスペクト比を所定のアスペクト比(16:9や4:3)に固定すること無く、かつ解像度の劣化を極力抑えて、合成映像の記録を行うことができる。したがって、ユーザは、再生中のコンテンツを視聴しながら行う自身の動作を、事後、該コンテンツの映像と容易に比較しながら確認することができる。
【0036】
図5は撮像装置1の別の実施形態に係る構成を示すブロック図である。図5中の図2の場合と符号が同一の要素は、図2の場合と同様の要素を示す。つまり、ブロック図としては、記録部16を第1の記録部16a及び第2の記録部16bの2つの記録部により構成されるものとした以外は図2の場合と同様である。上述図2の撮像装置1においては、映像信号入力部13及び撮像部11からの信号を合成して記録するようにしているが、図5の撮像装置1においては、それぞれの信号を別個に記録し、再生を行う際に合成するようにしている。
【0037】
すなわち、撮像部11からの映像信号及びマイク部12からの音声信号に基づく記録を第1の記録部16aに対して行い、映像信号入力部13からの映像信号及び音声信号入力部14からの音声信号に基づく記録は第2の記録部16bに対して行うようにしている。また、第1の記録部16a及び第2の記録部16bに対する記録を同時に行う場合には、それぞれの記録により生成されるファイルに付随させて、同時に記録される他方のファイルを特定する情報が、対応ファイル特定情報として記録される。再生時には、再生するファイルの指示とともに対応ファイルを同時に再生する指示がなされた場合には、ユーザにより設定される合成方法に従った合成映像となるように、再生するファイル及び対応するファイルの映像信号が1つの映像信号に合成され、映像信号出力部20を介してAV装置2に出力される。該合成された映像信号に基づいて表示部18により表示を行うようにしてもよい。また、これと同時に、両ファイルに基づく音声信号のうちの指示されたものが音声信号出力部21を介してAV装置2に出力され、又はスピーカ部19により音声に変換される。
【0038】
なお、表示部18により表示を行う場合には、再生するファイル及び対応するファイルの映像信号を1つの映像信号に合成する代わりに、各映像信号に基づき、設定される合成方法に従った合成映像となるように、表示部18のビデオメモリ上に書込みを行うようにしてもよい。また、AV装置2がピクチャ・イン・ピクチャ表示や、2画面表示に対応するものである場合には、各画面に対応した信号として、再生するファイル及び対応するファイルの映像信号をAV装置2に供給し、AV装置2において、合成した映像の表示を、ユーザによる合成方法の設定に従い、行うようにしてもよい。
【0039】
合成方法の設定に際しては、再生するファイル及び対応するファイルに基づく映像信号をどのようにして合成し、及び各ファイルに基づく音声信号のうちのどれを出力するかが設定される。設定事項としては、たとえば、各ファイルに基づく映像の表示位置に関する設定、各ファイルのうち第1の記録部16aに記録されているファイル(撮像部11により撮影された映像のファイル)に基づく映像信号について反転処理(ミラー又は鏡像変換処理)を行うか否かの設定、音声信号入力部14からの音声信号及びマイク部12からの音声信号のうちのどれを出力するかに関する設定が該当する。
【0040】
映像の表示位置に関する設定としては、たとえば、従来のピクチャ・イン・ピクチャや2画面表示といった表示形式の設定や、その場合におけるどちらの画面にどちらの映像を割り当てるかの設定や、各画面のアスペクト比の設定が該当する。出力する音声信号に関する設定としては、たとえば、再生するファイル又は対応するファイルのうちの第2の記録部16bに記録されている方のファイルにおける主・副音声信号のうちの双方又は一方のみを出力するかどうかの設定や、第1の記録部16aに記録されている方のファイルからの音声信号(マイク部12により記録した音声)を出力するかどうかに関する設定が該当する。各設定事項については、ユーザによる設定がなされない場合には、デフォルトの設定や、前回の設定が採用される。
【0041】
図6は図5の撮像装置における記録処理を示すフローチャートである。この処理は、上述の第1の記録部16a及び第2の記録部16bに対する記録を行う処理であり、所定のプログラムに従い、制御部17によって行われる。すなわち、ユーザからの記録指示に応じて処理を開始すると、ステップS61において、撮像部11により撮影して得られる映像信号と、映像信号入力部13からの映像信号とを同時に記録する要求が記録指示においてなされているかどうかを判定する。要求がなされていると判定した場合には、ステップS62において、映像信号入力部13からの映像信号においてコピーを禁止する旨を示すコピー禁止信号が含まれているか否かを判定する。
【0042】
コピー禁止信号が含まれていないと判定した場合には、ステップS63において、撮像部11からの映像信号に基づく記録を第1の記録部16aに対して行うとともに、これと同時に、映像信号入力部13からの映像信号に基づく記録を第2の記録部16bに対して行う。この記録により生成される各ファイルに付随させて、他方のファイルを特定する対応ファイル特定情報を、記録の終了時に記録する。対応ファイル特定情報は、たとえばメタデータやタグ情報として記録される。対応ファイル特定情報としては、たとえば対応するファイルのファイル名や記録日時、記録位置等に関する情報が該当する。これにより図6の処理が完了する。
【0043】
ステップS61において同時記録の要求がなされていないと判定した場合には、ステップS64において、通常のビデオカメラの場合と同様に、撮像部11からの映像信号及びマイク部12からの音声信号に基づく記録を第1の記録部16aに対して行い、図6の処理を終了する。また、ステップS62においてコピー禁止信号が含まれていると判定した場合には、ステップS65において、映像信号入力部13からの映像信号に係るコンテンツはコピー禁止である旨の表示や音声の出力を行い、記録処理を終了する。
【0044】
図7は図6の記録処理によって記録されたファイルを再生する再生処理を示すフローチャートである。この処理は、所定のプログラムに従い、制御部17によって行われる。すなわち、ユーザからの再生指示に応じて処理を開始すると、ステップS71において、再生指示において再生対象として指示されたファイルに上述の対応ファイル特定情報が記録されているかどうかを判定する。記録されていると判定した場合には、ステップS72において、該対応ファイル特定情報により特定される対応ファイルが第1の記録部16a又は第2の記録部16bにおいて実際に存在するかどうかを判定する。
【0045】
対応ファイルが存在しない場合としては、たとえば、再生指示がなされたファイルの記録時に、第1の記録部16a又は第2の記録部16bとしてSDカードのような記録媒体が用いられたが、現在はその記録媒体が撮像装置1内に存在しない場合や、対応ファイルが既に消去されている場合が該当する。なお、再生指示がなされたファイルがSDカードのような可搬型記録媒体に存在する場合は、そのファイルの対応ファイル特定情報が他の機器において上書きされることにより、撮像装置1にはその対応ファイル特定情報により特定される対応ファイルが存在しない場合もあり得る。
【0046】
ステップS72において対応ファイルが存在すると判定した場合には、ステップS73において、対応ファイルを同時に再生する旨のユーザ指示があったかどうかを判定する。該指示があったと判定した場合には、ステップS74において、各ファイルを同時に再生する場合の合成方法の設定を受け入れる。設定事項に関しては上述したとおりである。
【0047】
次に、ステップS75において、再生するファイル及び対応するファイルのうち、第1の記録部16aのファイルに基づく映像(撮像部11で撮影した映像)の反転処理(ミラー又は鏡像変換処理)を行うか否かを、上述ステップS74における設定内容に基づいて判定する。反転処理を行うと判定した場合には、ステップS76において、第1の記録部16aのファイルに基づく映像については反転処理を行うように設定し、ステップS77へ進む。反転処理を行わないと判定した場合には、そのままステップS77へ進む。
【0048】
ステップS77では、再生対象として指示されたファイル及びこれに対応するファイルに基づき、ステップS74における設定に従い、合成した映像信号及び出力すべき音声信号を映像信号出力部20及び音声信号出力部21を介してAV装置2に出力する。あるいは、該合成した映像信号及び出力すべき音声信号に基づき、表示部18により表示を行い及びスピーカ部19により音声の出力を行う。これにより図7の処理が完了する。AV装置2に出力される映像信号及び音声信号は、AV出力装置2における映像及び音声の出力に供されることになる。
【0049】
なお、ステップS77における再生対象とされたファイル及び対応ファイルに基づく映像信号の合成は、たとえば、所定のメモリ領域を用い、両映像信号の各時点での映像フレーム毎に、設定された合成方法に従い、両フレームのデータに基づいて該メモリ領域に書込みを行い、該メモリ領域から1フレームの映像信号として読み出すことにより行うことができる。その際、両映像信号の映像フレーム間の時間的関係は、両映像信号が記録されたときの時間的関係と同一である必要がある。この時間的関係の同一性が確保されるように合成時に両映像信号の映像フレーム間のタイミングを合わせるためには、再生対象とされたファイルに対応ファイル特定情報を記録する際に(図6のステップS63)対応ファイル特定情報中にタイミングを合わせるための情報を含めておき、このタイミング情報を合成時に参照する必要がある。タイミング情報としては、たとえば、再生対象とされたファイルの映像信号の最初の映像フレームに対応する、対応ファイルの映像フレームに付されたタイムスタンプを用いることができる。両映像信号の合成に際しては、該タイムスタンプが示す時刻の対応ファイルの映像フレームと、再生対象とされたファイルの最初の映像フレームとを対応付けて合成を開始することにより、両映像信号のタイミングを合わせた合成を行うことができる。あるいは、図6のステップS63における第1の記録部16a及び第2の記録部16bへの記録を同時に開始し、両記録の合成に際しては、最初の映像フレーム同士を対応付けて合成を開始することにより、両映像信号のタイミングを合わせた合成を行うようにしてもよい。なお、再生対象とされたファイル及び対応するファイルの映像信号をAV装置2に供給し、AV装置2において、合成した映像の表示を行うよう場合にも、両映像信号のタイミングを同様にして一致させる必要がある。
【0050】
一方、ステップS71において対応ファイル特定情報が記録されていないと判定した場合、及びステップS73において対応ファイルを同時に再生する旨のユーザ指示がなかったと判定した場合には、ステップS79に進む。ステップS72において対応ファイルが存在しないと判定した場合には、その旨を表示部18において表示してからステップS79に進む。ステップS79においては、再生対象として指示されたファイルに基づき、映像信号及び音声信号を映像信号出力部20及び音声信号出力部21を介してAV出力装置2に出力する。あるいは該ファイルに基づき、表示部18により表示を行い及びスピーカ部19により音声の出力を行う。出力される映像信号及び音声信号はAV出力装置2における映像及び音声の出力に供されることになる。これにより図7の処理が完了する。なお、ステップS73において対応ファイルを同時に再生する旨のユーザ指示がなかったと判定した場合には、再生指示がなされたファイルの再生終了後に続けて対応ファイルの再生を行うようにしてもよい。
【0051】
図9は図7の再生処理によって再生される映像の一例を示す。図中の91は撮像部11により撮影して記録部16aに記録されたファイルに基づく映像部分、92は映像信号入力部13からの映像信号に基づいて記録部16bに記録されたファイルに基づく映像部分である。図9においては、ステップS74において表示形式が2画面表示に設定され、かつ第1の記録部16aに記録されているファイルに基づく映像信号について反転処理を行うように設定されている場合の再生映像の様子が示されている。映像部分91及び92はデフォルトのアスペクト比に従い、縮小されている。映像部分91は鏡像反転されているので、ユーザは鏡に映った自分を見ている場合と同じ向きで、映像部分91内の自分の映像を見ることができる。
【0052】
本実施形態によれば、映像信号入力部13及び音声信号入力部14からの映像信号及び音声信号と、撮像部11及びマイク部12からの映像信号及び音声信号とを同時に記録するとともに、記録により生成される各ファイルに付随させて対応ファイル特定情報を記録できるようにしたため、一方のファイルを再生する際には、双方のファイルに基づく映像を合成した画面を表示させることができる。たとえば、AV装置2によりダンスやヨガ、ゲームのコンテンツを観ながらそれらに対応する動作をしているユーザの映像や音声を、コンテンツのデータと同時に記録し、後で、設定した合成方法により、合成して再生することができる。したがって、ユーザは、再生中のコンテンツを視聴しながら行う自身の動作を、事後、該コンテンツの映像と容易に比較しながら確認することができる。
【0053】
なお、本発明は、上述実施形態に限定されることなく適宜変形して実施することができる。たとえば、上述においては、鏡像反転の設定は、撮像部11からの映像信号又は記録部16aに記録されているファイル(撮像部11により撮影された映像のファイル)に基づく映像信号を対象として行うことができることとしているが、これとは逆に、映像信号入力部13からの映像信号又は記録部16bに記録されているファイルに基づく映像信号を対象として行うことができるようにしてもよい。この場合には、ユーザの映像は反転せず、ユーザが視聴しているコンテンツの映像の方を反転させて合成映像を再生することができるので、両映像の比較や確認を行いやすい場合がある。
【0054】
また、上述においては、撮像部11により得られた映像部分と、映像信号入力部13からから取得した映像信号に基づく映像部分とをそのままの時間的関係で合成し、あるいはその時間的関係を維持したまま表示するようにしているが、この代わりに、撮像部11により得られた映像部分を、映像信号入力部13からから取得した映像信号に基づく映像部分よりもやや遅らせて合成し又は表示するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1:撮像装置、2:AV装置、3:ユーザ、11:撮像部、12:マイク部、13:映像信号入力部、14:音声信号入力部、15:操作入力部、16:記録部、16a:第1の記録部、16b:第2の記録部、17:制御部、18:表示部、19:スピーカ部、20:映像信号出力部、21:音声信号出力部、81,82,91,92:映像部分。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号を出力する撮像手段と、
映像信号が記録される記録手段と、
前記撮像手段により得られる第1の映像に係る第1の映像信号、及び外部から供給される第2の映像に係る第2の映像信号に基づき、所定の映像信号の記録を前記記録手段に対して行うとともに、該記録手段に対して行われた映像信号の記録に基づき、前記第1映像及び第2映像の合成映像に係る第3の映像信号を出力する制御手段とを具備することを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
前記所定の映像信号は、基礎となる前記第1映像信号及び第2映像信号を、前記合成映像の映像信号となるように合成した信号であることを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
前記所定の映像信号の記録は、前記第1映像信号の記録、前記第2映像信号の記録、及びこれらの記録の少なくとも一方に付随させて記録され、これらの記録が相互に対応するものであることを示す対応情報の記録であることを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第1映像信号の記録又は第2映像信号の記録を再生する旨の指示が与えられたとき、該記録に基づく映像信号と、前記対応情報により示される対応する記録に基づく映像信号とを、前記第3映像信号として出力するものであることを特徴とする請求項3に記載の撮影装置。
【請求項5】
前記第3映像信号に基づき、前記合成映像を表示する表示手段を有することを特徴とする請求項1〜4に記載の撮影装置。
【請求項6】
前記合成映像に関する設定を受け入れる入力手段を備え、
前記設定には、前記合成映像において前記第1映像若しくは前記第2映像の部分を鏡像反転させるかどうかの設定が含まれることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の撮影装置。
【請求項7】
前記設定には、前記撮像手段における撮像素子の使用領域の設定が含まれることを特徴とする請求項6に記載の撮影装置。
【請求項8】
前記設定には、前記合成映像をピクチャ・イン・ピクチャ又は2画面表示のいずれの映像とするかの設定、又は前記合成映像における前記第1映像の部分若しくは前記第2映像の部分のアスペクト比の設定が含まれることを特徴とする請求項6又は7に記載の撮影装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記記録手段に対する映像信号の記録に際し、前記第2映像信号とともに供給される音声信号又は装置が備えるマイクからの音声信号を記録し、記録した音声信号を、前記第3映像信号の出力に際し、該信号とともに出力するものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の撮影装置。
【請求項10】
コンピュータを、請求項1〜9のいずれかの撮影装置における制御手段として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
映像信号を出力する撮像手段と、映像信号が記録される記録手段とを備えた撮影装置における撮影方法であって、
前記撮像手段により得られる第1の映像に係る第1の映像信号、及び外部から供給される第2の映像に係る第2の映像信号に基づき、所定の映像信号の記録を前記記録手段に対して行うとともに、該記録手段に対して行われた映像信号の記録に基づき、前記第1映像及び第2映像の合成映像に係る第3の映像信号を出力する制御工程を具備することを特徴とする撮影方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−258917(P2010−258917A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−108523(P2009−108523)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(308036402)JVC・ケンウッド・ホールディングス株式会社 (1,152)
【Fターム(参考)】