説明

撮影装置

【課題】小型化が実現され、消音化機能を組み込みつつ光量調整の工夫が施された撮影装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 撮影光学系に入射した被写体光の光量を絞って撮像素子304の撮像面に伝える光量制御機構500を備え、上記光量制御機構500は、撮影光学系の光軸上に開口を有するベース板502と、そのベース板502に重ねて配置され、電場に応じて伸縮してそのベース板502の開口に重なる開口の面積を変化させる複数枚の絞り羽根からなる光量制御板501a、501bとを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像面上に結像した被写体像を読み取って画像データを生成する撮像素子と、被写体を前記撮像面上に結像する撮影光学系とを備え、撮影操作に応じて撮影データを生成する撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、撮影レンズを経由して入射してきた被写体光を撮像素子で捉えて画像信号を生成する、いわゆるデジタルカメラが急速に普及してきている。このデジタルカメラには、撮影場所の明るさなどに応じて被写体光の光量を調整するための絞りや撮像素子の撮像面上に照射される被写体光の照射時間を制限するシャッタ等が備えられている。また、絞りやシャッタの駆動源としては、モータなどが一般的に用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された技術によれば、シャッタに用いられる羽根部材の駆動に工夫が施されて、駆動源であるモータの消費電力の抑制がなされている。
【特許文献1】特開平7−191378号公報(第7頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、デジタルカメラによっては、動画撮影機能が搭載されている機種があり、動画撮影においては、その動画像データとともに音声データも記録されるのが一般的である。
【0005】
ところが、動画撮影時に絞りやシャッタを駆動させる駆動源の機械的な動作音が、撮影装置に備えられているマイクを経由して録音されてしまうことがある。
【0006】
例えば、特許文献1に開示されたシャッタを動画撮影機能が搭載されているデジタルカメラに採用した場合、駆動源であるモータの消費電力の抑制を図ることができても、動画撮影時に、モータの動作音がマイクを経由して録音されてしまうおそれが生じる。
【0007】
すなわち、絞りやシャッタを駆動させる駆動源の機械的な動作音は、使用者にとっては不要な音であり、消音化の対策が施されることが望ましい。
【0008】
また、近年、デジタルカメラの小型化が進められている。ここで、絞りやシャッタを駆動させるモータなどの駆動源が、一般的に大きなスペースを必要とするという問題もある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑み、小型化が実現され、消音化機能を組み込みつつ光量調整の工夫が施された撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する本発明の撮影装置のうちの第1の撮影装置は、撮像面上に結像した被写体像を読み取って画像データを生成する撮像素子と、被写体を上記撮像面上に結像する撮影光学系とを備え、撮影操作に応じて撮影データを生成する撮影装置において、
上記撮影光学系に入射した被写体光の光量を絞って上記撮像面に伝える光量制御機構を備え、
上記光量制御機構は、
上記撮影光学系の光軸上に開口を有するベース板と、
上記ベース板に重ねて配置され、電圧の印加より形成される電場に応じて伸縮してベース板の開口を覆う面積を変化させる光量制御板とを備えたことを特徴とする。
【0011】
第1の撮影装置では、電場に応じて光量制御板が伸縮して被写体光の光量を制御する光量制御機構を採用することで、絞りやシャッタに使用されるモータなどの駆動源で駆動する機構を用いずに、絞りやシャッタの機能を備えた撮影装置が実現する。そのため、この光量制御機構が、絞りやシャッタに使用されるモータなどの駆動源による駆動音を発生する機構を持たず、絞りやシャッタの消音化が実現する。また、絞りやシャッタに使用されるモータなどの駆動源を設置するスペースが空くため、小型化された撮影装置が実現する。
【0012】
本発明の撮影装置のうちの第1の撮影装置において、上記光量制御板は、上記ベース板の開口に重なる開口を協同で形成するとともに、電場に応じて伸縮してそのベース板の開口に重なる開口の面積を変化させる複数枚の絞り羽根からなることが好ましい。
【0013】
第1の撮影装置では、複数枚の絞り羽根自体が電場に応じて伸縮するので、従来のように絞り羽根を動かす部材を用いずに済み、部品点数を減らすことができるので撮影装置の小型化が実現する。
【0014】
また、本発明の撮影装置のうちの第1の撮影装置において、
上記光量制御板は、
電場に応じて伸縮する液晶エラストマと、
その液晶エラストマを挟んで配備された、電圧の印加を受けて上記液晶エラストマに電場を形成してその液晶エラストマを伸縮させる一対の電極とを有することが好適である。
【0015】
この第1の撮影装置では、上記光量制御板として液晶エラストマを採用することにより、その光量制御板が電場に応じて高速に伸縮するため、被写体光の光量を効率良く制御することが可能となる。
【0016】
また、本発明の撮影装置のうちの第1の撮影装置において、
上記光量制御板は、
電場に応じて伸縮する電歪高分子と、
その電歪高分子を挟んで配備された、電圧の印加を受けて上記電歪高分子に電場を形成してその電歪高分子を伸縮させる一対の電極とを有していても好適である。
【0017】
この第1の撮影装置では、上記光量制御板として電歪高分子を採用しても、その光量制御板が電場に応じて高速に伸縮するため、被写体光の光量を効率良く制御することが可能となる。
【0018】
上記目的を達成する本発明の撮影装置のうちの第2の撮影装置は、
撮像面上に結像した被写体像を読み取って画像データを生成する撮像素子と、被写体を前記撮像面上に結像する撮影光学系とを備え、撮影操作に応じて撮影データを生成する撮影装置において、
上記撮影光学系に入射した被写体光の光量を絞って上記撮像面に伝える光量制御機構を備え、
上記光量制御機構は、
上記撮影光学系の光軸上に開口を有するベース板と、
移動により上記ベース板の開口を覆う面積を変化させる光量制御板と、
電圧の印加により形成される電場に応じて伸縮して上記光学制御板を移動させる駆動板とを備えたことを特徴とする。
【0019】
この第2の撮影装置では、電場応じて駆動板が伸縮して光学制御板を移動させることにより被写体光の光量を制御する光量制御機構を採用することで、第1の撮影装置と同様に、絞りやシャッタに使用されるモータなどの駆動源で駆動する機構を用いずに、絞りやシャッタの機能を備えた撮影装置が実現する。そのため、この光量制御機構が、絞りやシャッタに使用されるモータなどの駆動源による駆動音を発生する機構を持たず、絞りやシャッタの消音化が実現する。また、絞りやシャッタに使用されるモータなどの駆動源を設置するスペースが空くため、小型化された撮影装置が実現する。
【0020】
ここで、本発明の撮影装置のうちの第2の撮影装置において、上記光量制御板が、開口を有し、上記駆動板により駆動されて、その開口が上記ベース板の開口に重なる小絞り位置とその光量制御板が上記ベース板の開口から退避した退避位置との間で移動する絞り部材であることが好ましい。
【0021】
この第2の撮影装置では、上記ベース板の開口を通過する光の光量を精度良く調整することができる。
【0022】
また、本発明の撮影装置のうちの第2の撮影装置において、上記光量制御板が、上記ベース板と重ねて配置され、上記駆動板により駆動されて移動してそのベース板の開口を覆う面積を変化させる絞り部材であることが好適である。
【0023】
この第2の撮影装置では、このような絞り部材を採用することにより、複数枚の絞り羽根を用いずに、光量を制御することができる。
【0024】
また、本発明の撮影装置のうちの第2の撮影装置において、上記光量制御板が、上記ベース板の開口に重なる開口を協同で形成するとともに、上記駆動板に駆動されて、そのベース板の開口に重なる開口の面積を変化させる複数枚の絞り羽根からなることが好適である。
【0025】
この第2の撮影装置では、複数枚の絞り羽根を用いることで、絞り孔を複数段階の大きさに調整することができ、光量調整の自由度を高めることができる。
【0026】
ここで、本発明の撮影装置のうちの第2の撮影装置において、上記駆動板は、
電場に応じて伸縮する液晶エラストマと、
その液晶エラストマを挟んで配備された、電圧の印加を受けて上記液晶エラストマに電場を形成してその液晶エラストマを伸縮させる一対の電極とを有することが好適である。
【0027】
この第2の撮影装置では、上記駆動板として液晶エラストマを採用することにより、その駆動板が電場に応じて高速に伸縮するため、被写体光の光量を効率良く制御することが可能となる。
【0028】
また、本発明の撮影装置のうちの第2の撮影装置において、上記駆動板は、
電場に応じて伸縮する電歪高分子と、
その電歪高分子を挟んで配備された、電圧の印加を受けて上記電歪高分子に電場を形成してその電歪高分子を伸縮させる一対の電極とを有することであっても好適である。
【0029】
この第2の撮影装置では、上記駆動板として電歪高分子を採用しても、その駆動板が電場に応じて高速に伸縮するため、被写体光の光量を効率良く制御することが可能となる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、小型化が実現され、消音化機能を組み込みつつ光量調整の工夫が施された撮影装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0032】
図1は、本発明の第1の撮影装置の第1実施形態で採用されている光量制御機構の原理説明図である。
【0033】
この図1の原理説明図に示す光量制御板100は、内部に形成された電場に応じて伸縮する伸縮層101を有している。この伸縮層101には、電歪高分子が用いられている。
【0034】
この電歪高分子はゴム弾性を持つ高分子であり、電場に応じて伸縮するものである。この伸縮層101は、遮光性を有している。
【0035】
また、光量制御板100には、伸縮層101に貼着され伸縮層101と共に伸縮する一対の電極102a、電極102bが備えられている。ここで、光量制御板100が重なり合ったときのショートを防ぐために、光量制御板100には、絶縁処理が施されている。
【0036】
図1(a)に示すように、電場を印加するための電源スイッチ103がオフの状態では、伸縮層101は初期状態として所定の厚みを有している。図1(b)に示すように、この電源スイッチ103がオンされることにより、光量制御板100は電源104_2と電気的に結合する。そして、電極102aと電極102bとの間に電場が形成される。この電場が形成されることにより、伸縮層101は伸張するとともに、電極102a、電極102bも伸張する。また、電源スイッチ103がオンされた後にオフにされたときには、この光量制御板100は、図1(a)に示すように、初期状態に戻る。また、電圧を可変に制御することにより、この光量制御板100は、内部に形成された電場に応じて伸縮する。
【0037】
ここで、上述した伸縮層101には電歪高分子が用いられたが、液晶エラストマであっても同様の効果が得られる。この液晶エラストマもゴム弾性を持つ高分子であり、電場に応じて伸縮するものである。
【0038】
次に、本発明の第1の撮影装置の第1実施形態であるデジタルカメラを説明する。
【0039】
図2、および図3は、第1の撮影装置の第1実施形態であるデジタルカメラの、前方斜め上から見たときの外観斜視図である。
【0040】
図2には、デジタルカメラ1の、撮影レンズが内蔵されたレンズ鏡胴10の沈胴状態が示されており、図3には、レンズ鏡胴10の繰出状態が示されている。
【0041】
図2および図3に示すデジタルカメラ1の前面11には、被写体に向けて閃光を発光するための閃光発光窓12、被写体を見るためのファインダ対物窓13、および音声を録音するためのマイク14が配備されている。また、このデジタルカメラ1の上面15には、レリーズボタン16が備えられている。
【0042】
図4は、図2に示すデジタルカメラの、後方斜め上から見たときの外観斜視図である。
【0043】
また、図2に示されるように、このデジタルカメラ1の背面21には、電源ボタン22、モードスイッチ23が設けられている。この電源ボタン22は、デジタルカメラ1の電源をON/OFFするものであり、このモードスイッチ23は、撮影モードと再生モードとを切り換えるスイッチである。
【0044】
また、このデジタルカメラ1の背面21には、メニュー切替えおよび実行キー24が備えられている。このメニュー切替えおよび実行キー24は、撮影モード時には静止画撮影や動画撮影、再生モード時には静止画再生や動画再生に使用されるメニューを自在に切り替えて設定条件を選択して実行するキーである。
【0045】
さらに、このデジタルカメラ1の背面21には、広角ズームキー25、望遠ズームキー26、液晶表示パネル27、光学式ファインダ接眼窓28、スピーカ29が備えられている。広角ズームキー25は、焦点距離を広角側に変更するためのキーであり、望遠ズームキー26は、焦点距離を望遠側に変更するためのキーである。液晶表示パネル27は、被写体の画像、メニュー切替えおよび実行キー24のメニュー等を液晶表示するものである。光学式ファインダ接眼窓28は、使用者が撮影の際に被写体を覗く窓である。スピーカ29は、マイク14で収録された音声を再生するものである。
【0046】
図5は、第1の撮影装置の一実施形態であるデジタルカメラの、沈胴状態にあるレンズ鏡胴を光軸に沿って切断した断面図である。
【0047】
レンズ鏡胴10の内部空間には、前方から順に、前群レンズ301、後群レンズ302、およびフォーカスレンズ303の3群が光軸を揃えて並べられてなる撮影レンズが収容されている。また、フォーカスレンズ303の後方には、被写体光を読み取って画像データを生成するCCD304が配置されている。このCCD304は、本発明にいう撮像素子の一例に相当するものである。
【0048】
図6は、第1の撮影装置の一実施形態であるデジタルカメラの、後群レンズが広角状態にあるレンズ鏡胴を光軸に沿って切断した断面図であり、図7は、第1の撮影装置の一実施形態であるデジタルカメラの、後群レンズが望遠状態にあるレンズ鏡胴を光軸に沿って切断した断面図である。
【0049】
ここで、上記撮影レンズは、後群レンズ302が図6に示す広角端と図7に示す望遠端との間で光軸に沿って移動することにより焦点距離が変化し、フォーカスレンズ303が光軸に沿って移動することによりピント調節が行われる構成となっている。前群レンズ301と後群レンズ302との間には、光量制御機構500が配置されている。この光量制御機構500については、後で詳しく説明する。
【0050】
また、レンズ鏡胴10には、カメラボディに固定された固定筒50と、その固定筒50に対し回転自在な駆動筒52が備えられている。この駆動筒52は、固定筒50の外周面に周方向に形成された突条50aが、駆動筒52の内周面に設けられた溝に係入していることにより、固定筒50に対して光軸方向の移動が規制されている。駆動筒52の外周面にはギア51が設けられており、このギア51にモータ(図示せず)からの回転駆動力が伝達されて、駆動筒52が回転する。
【0051】
駆動筒52には、さらに、光軸方向に延びるキー溝52aが設けられており、このキー溝52aには、回転移動筒53に固設されたピン状のカムフォロワ54が、固定筒50に設けられた螺旋状のカム溝を貫通して係入している。したがって、駆動筒52が回転すると、回転移動筒53は、回転しながら上記カム溝に沿って光軸方向に移動する。
【0052】
回転移動筒53の内側には、直進移動枠55が設けられている。この直進移動枠55は、回転移動筒53に対し相対的回転が自在に係合しているとともに、固定筒50のキー溝50bに係入することにより回転が規制されている。したがって、駆動筒52の回転に伴って回転移動筒53が回転しながら光軸方向に移動すると、直進移動枠55は回転移動筒53の移動に伴って光軸方向に直線的に移動する。
【0053】
上述した後群レンズ302を保持している後群レンズ保持枠302aには、ピン状のカムフォロワ63が固設されている。このカムフォロワ63は、回転移動筒53のカム溝に係入しているとともに、直進移動枠55の光軸方向に延びるキー溝55aにも係入していることにより、駆動筒52の回転に伴って回転移動筒53が回転しながら光軸方向に移動すると、後群レンズユニット305が回転移動筒53のカム溝の形状に沿って、光軸方向に直進移動する。
【0054】
さらに、このレンズ鏡胴10には、前群レンズ301を保持する直進移動筒56が備えられている。この直進移動筒56は、それに固設されたカムフォロワ57が回転移動筒53のカム溝に係入しているとともに、直進移動枠55の、光軸方向に延びるキー溝55aにも係入している。したがって、駆動筒52の回転に伴って回転移動筒53が回転しながら光軸方向に移動すると、直進移動筒56は、カムフォロワ57が係入している回転移動筒53のカム溝の形状に沿って、光軸方向に直進移動する。
【0055】
上述した通り、レンズ鏡胴10の繰り出しが行なわれ、また、駆動筒52が逆方向に回転することによりレンズ鏡胴10の沈胴が行われる。
【0056】
また、回転移動筒53は、レンズ鏡胴10の繰出しが完了した後も、前群レンズ301の位置を保持したままさらに回転することができ、このとき、後群レンズユニット305は、回転移動筒53のカム溝に沿って光軸方向方向に移動し、これにより撮影画角(すなわち、焦点距離)の調整が行なわれる。
【0057】
さらに、撮影レンズのうちのフォーカスレンズ303は、モータ(図示せず)によりリードスクリュー61が回転し、フォーカスレンズ303を保持しているフォーカスレンズ保持枠62がリードスクリュー61に螺合していることにより、そのリードスクリュー61の回転に伴ってフォーカスレンズ303が光軸方向に移動して、ピント調整が行なわれる。
【0058】
次に、第1の撮影装置の第1実施形態であるデジタルカメラの光量制御機構について説明する。
【0059】
図8は、第1の撮影装置の第1実施形態であるデジタルカメラの光量制御機構の構成を示す図である。
【0060】
図8(a)は、第1の絞り羽根および第2の絞り羽根の構成を示す図である。
【0061】
図8(b)は、光量制御機構の正面図および断面図である。
【0062】
この光量制御機構500は、開口を有するベース板502、第1の絞り羽根501a、および第2の絞り羽根501bから構成されている。これらの第1の絞り羽根501aおよび第2の絞り羽根501bは、図1で説明した、光遮蔽性の光量制御板である。第1の絞り羽根501aは、伸縮層101_2を挟んで電極102a_2、102b_2が配備されており、第2の絞り羽根501bは、伸縮層101_3を挟んで電極102a_3、102b_3が配備されている。これら伸縮層101_2、101_3には、電歪高分子が用いられている。なお、説明の都合上、第1の絞り羽根501aおよび第2の絞り羽根501bの断面を厚く描いているが、実際には、図8(c)に示すように薄く作られている。
【0063】
第1の絞り羽根501aおよび第2の絞り羽根501bは、各々がベース板502上に配置されている。第1の絞り羽根501aには、絞り羽根開口501c、孔501eが設けられており、係止用のピン止め部材502bでベース板502上にピン止めされている。第2の絞り羽根501bも、絞り羽根開口501d、孔501fが設けられており、係止用のピン止め部材502cでベース板502上にピン止めされている。この係止用のピン止め部材502b、502cのみでピン止めしているのは、第1の絞り羽根501a、第2の絞り羽根501bを伸縮させるためである。
【0064】
また、第1の絞り羽根501a、第2の絞り羽根501bは、ベース板502の開口502aに重なり、絞り羽根開口501cと絞り羽根開口501dとが協同でベース板の開口502aに重なる開口を形成するとともに、電場に応じて伸縮してベース板の開口502aに重なる開口の面積を変化させるものである。
【0065】
図8(b)は、第1の絞り羽根501aと第2の絞り羽根501bとの、初期状態の位置関係を示す図である。図8(b)では、電圧の印加がなされておらず、ベース板502の開口502aは全て覆われている。
【0066】
図8(c)は、電源がオンされて、所定の電圧が印加された後の第1の絞り羽根501aおよび第2の絞り羽根501bの位置関係を示す図である。
【0067】
第1の絞り羽根501aと第2の絞り羽根501bとは、電圧の印加を受けて伸張し、ベース板の開口502aに重なる開口の面積が変化する。図8(c)では、ベース板の開口502aの一部が、第1の絞り羽根501aと第2の絞り羽根501bとによって覆われている。
【0068】
図8(d)は、図8(c)の状態から、さらに所定の電圧が印加された後の第1の絞り羽根501aおよび第2の絞り羽根501bの位置関係を示す図である。
【0069】
第1の絞り羽根501aと第2の絞り羽根501bとは電圧の印加を受けて伸張し、ベース板の開口502aの全てが空いた状態になっている。
【0070】
この光量制御機構500は、電源オフのときにベース板の開口502aが、第1の絞り羽根501aと第2の絞り羽根501bとによって覆われており、電源がオンになることで、ベース板の開口502aに被写体光が通過可能となるので、絞りやシャッタに使用する場合は、消費電力の節約になる。
【0071】
再び、図6に戻って説明する。
【0072】
光量制御機構500は保持枠302bに保持され、この光量制御機構500は、後群レンズ302と後群レンズ保持枠302aとで構成された後群レンズユニット305とともに、光軸に沿って移動可能に保持されている。
【0073】
次に、本発明の第1の撮影装置の第1実施形態であるデジタルカメラ1の内部構成について説明する。
【0074】
図9は、図2に示すデジタルカメラ1の概略的な内部構成図である。
【0075】
このデジタルカメラ1にはメインCPU110が備えられており、すべての処理がメインCPU110によって制御される。
【0076】
このメインCPU110には、EEPROM110_1が備えられている。このEEPROM110_1は書き換え可能な不揮発性メモリで構成されている。また、このメインCPU110にはROMが内蔵されており、このROM内にはプログラムが格納されている。このプログラムの手順にしたがってデジタルカメラ1の動作がメインCPU110により制御される。
【0077】
このこのデジタルカメラ1には、操作部20、および電源104が備えられている。この操作部20は、図2、図4において既に説明したデジタルカメラ1の背面21および上面14に備えられている各操作子の操作を受け付けてメインCPU110に各操作子の処理の命令を出すものである。この電源104は、電源投入操作を受けて各ブロックへ給電するものである。
【0078】
このデジタルカメラ1には、撮影光学系を構成する撮像部30が備えられている。この撮像部30には、既に説明した通り、レンズ鏡胴10、CCD304が備えられている。このレンズ鏡胴10内には、光量制御機構500が備えられている。この光量制御機構500の動作については、後で説明する。
【0079】
このデジタルカメラ1には、CDSAMP120、A/D変換部121、ホワイトバランス・γ(ガンマ)処理部122、光学制御CPU123、およびクロックジェネレータ124が備えられている。CDSAMP120は、CCD304から出力されたアナログ画像信号の雑音を低減する処理等を行ない、A/D変換部121は、このアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換するものである。ホワイトバランス・γ処理部122は、被写体像における画像データの白色の色を調整するとともにその被写体像の階調特性における直線の傾き(γ)を調整するものである。光学制御CPU123は、メインCPU110からの指示に従って、モータ(不図示)を制御することでレンズ鏡胴10を繰り出したり、レンズ鏡胴10内部の撮影レンズを移動させたりするものである。クロックジェネレータ124は、メインCPU110からの指示に基づいて光学制御CPU123を介してタイミング信号を出力するものである。CCD304、A/D変換部121、およびホワイトバランス・γ処理部122では、クロックジェネレータ124から発せられるタイミング信号に同期して順序良く画像信号の処理が流れるように行われる。
【0080】
このデジタルカメラ1には、AF検出部111、AE検出部112が備えられている。AF検出部111は画像のピント情報を検出し、AE検出部112は画像の輝度情報を検出するものである。
【0081】
このデジタルカメラ1には、バッファメモリ125、YC処理部126、YC/RGB変換部127、ドライバ128、およびデータバス130が備えられている。バッファメモリ125は、ホワイトバランス・γ処理部122において画像処理が施されたRGB画像データを一時的に記憶するものである。YC処理部126は、データバス130を介して入力されたデジタルの画像信号を輝度(Y)と色(C)とで表されるYC信号に変換するものであり、YC/RGB変換部127は、YC信号をRGB画像データに変換するものである。ここで、バッファメモリ125に記憶された低解像度なスルー画像データは、古い時刻に記憶されたスルー画像データから先に、バス130を経由してYC/RGB変換部127に供給される。スルー画像データはRGB信号であるため、YC/RGB変換部127では処理が行われずに、スルー画像データを高速に処理するドライバ128を介して液晶表示パネル27に伝えられ、液晶表示パネル27上に、スルー画像が表示される。
【0082】
このデジタルカメラ1には、圧縮伸張部131、インターフェース(I/F)部132、メモリカード133、および閃光発光制御部134が備えられている。圧縮伸張部131は、メインCPU110の指示によりYC信号に変換された画像データを圧縮処理するものであり、インターフェース(I/F)部132は、圧縮された撮影画像データをメモリカード133に記録できるように、様々な通信規格に準拠した通信インターフェースを提供するものである。閃光発光制御部134は、閃光発光窓12を通して、閃光発光をするものである。
【0083】
このデジタルカメラ1には、音声処理部141、および音声再生部142が備えられている。音声処理部141は、マイクで収録された音声を音声データに変換処理するものであり、音声再生部142は、スピーカ29を介して適切な音声データを再生するものである。
【0084】
次に、デジタルカメラ1の撮影動作について説明する。
【0085】
なお、使用者が、動画撮影をする場合について以下述べる。
【0086】
先ず、使用者が電源ボタン22を押して電源投入操作をすると、操作部20が電源投入操作を受け付けて、メインCPU110では、ROMのプログラムの実行が開始され、液晶表示パネル27に画像が表示されるとともに、撮影条件の設定操作を受け付ける状態となる。
【0087】
ここで、使用者が、モードスイッチ23を撮影モードにした後、メニュー切替えおよび実行キー24を用いて動画モードを選択することにより、メインCPU110は、CCD304に結像されている被写体を表わす画像データを所定の間隔ごとにCDSAMP120に出力させる。この所定の間隔ごとに出力される画像データを、A/D変換部121以降の信号処理段で処理してスルー画像を得て、そのスルー画像を液晶表示パネル27に表示させている。そうすると、撮影レンズが捉えた範囲の被写体があたかも動画像のようになって液晶表示パネル27上に表示される。
【0088】
使用者が、デジタルカメラ1の背面21に設けられた広角ズームキー25もしくは望遠ズームキー26を使って撮影画角を指示すると、その指示された撮影画角がメインCPU110に伝えられ、さらに、メインCPU110を介して光学制御CPU123に伝えられる。光学制御CPU123は、モータ等(不図示)を制御することで、図6および図7に示すようにレンズ鏡胴10を繰り出し、撮影画角に応じた位置に後群レンズ302を移動させる。また、光学制御CPU123は、モータ等(不図示)を制御することで、図5、図6、図7に示すフォーカスレンズ303を光軸に沿う方向に移動させる。
【0089】
また、この液晶表示パネル27上に表示されているスルー画像に基づいて使用者によって撮影が行なわれるため、このデジタルカメラ1を向けた方向の被写体がすぐにスルー画像として表示されるように、AF検出回路111で常に合焦点位置を検出してフォーカスレンズ303をピント調整機構により合焦点位置に移動させている。
【0090】
ここで、使用者が、メニュー切替えおよび実行キー24を用いて撮影条件を録画開始に設定することで、AE検出部112によって被写界輝度が検出される。
【0091】
この被写界輝度に基づいて、メインCPU110から指示を受けた光学制御CPU123が、第1の絞り羽根501aおよび第2の絞り羽根501bの電極に電場を印加させる。第1の絞り羽根501aおよび第2の絞り羽根501bは、内部に形成された電場に応じて伸縮するとともにこの伸縮層101_2、101_3に貼着されている電極も伸縮する。これら第1の絞り羽根501aと第2の絞り羽根501bとが伸張することで、ベース板の開口502aに重なる開口の面積が変化する。その結果、被写体光の光量が被写界輝度に基づく最適な光量となり、絞りが調整される。
【0092】
続いて、CCD304に結像されている被写体を表わす画像データを所定の間隔ごとにCDSAMP120に出力させる。CDSAMP120では、CCD304から出力された画像データの雑音の低減が行なわれその雑音が低減された画像データがA/D変換部121に供給される。このA/D変換部121では、アナログ信号からデジタル信号に変換されたRGBからなる画像データが生成される。生成された撮影画像データは、ホワイトバランス・γ処理部122で画像処理が施されて、バッファメモリ125に記憶される。バッファメモリ125に記憶された撮影画像データは、YC処理部126に供給されて、RGB信号からYC信号に変換される。YC信号に変換された撮影画像データは、圧縮・伸張部131において圧縮処理が施される。また、メインCPU110は、撮影中の音声データと動画像データとを関連づけて、I/F132を介してメモリカード133に記憶する。
【0093】
また、メモリカード133に記憶された動画像データは、圧縮・伸張部131において伸張処理が施された後、YC/RGB変換部127においてRGB信号に変換され、ドライバ128を介して液晶表示パネル27に伝えられる。液晶表示パネル27には、動画像データが表わす動画像が表示される。
【0094】
使用者が、メニュー切替えおよび実行キー24を用いて撮影条件を録画終了に設定することにより、動画像の録画および音声の録音も終了される。
【0095】
ここで、上記の説明においては、光量制御機構500について開口径を制御する絞りとして説明したが、開口径やシャッタ速度を機械的に制御するシャッタとしての機能も果たすことができる。
【0096】
次に、本発明の第1の撮影装置の第2実施形態であるデジタルカメラについて説明する。
【0097】
この第1の撮影装置の第2実施形態であるデジタルカメラについては、デジタルカメラ1との相違点について説明する。
ここで、デジタルカメラ1との相違点は、光量制御機構の構成である。
【0098】
図10は、第1の撮影装置の第2実施形態であるデジタルカメラの光量制御機構の構成図である。
【0099】
図10(a)は、第1の絞り羽根および第2の絞り羽根の構成を示す図である。
【0100】
図10(b)は、光量制御機構の正面図および断面図である。
【0101】
この光量制御機構600は、開口を有するベース板602、第1の絞り羽根601a、および第2の絞り羽根601bから構成されている。これらの第1の絞り羽根601aおよび第2の絞り羽根601bは、図1で説明した、光遮蔽性の光量制御板である。
【0102】
第1の絞り羽根601aは、伸縮層101_4を挟んで電極102a_4、102b_4が配備されており、第2の絞り羽根601bは、伸縮層101_5を挟んで電極102a_5、102b_5が配備されている。これら伸縮層101_4、101_5には、電歪高分子が用いられている。なお、説明の都合上、第1の絞り羽根601aおよび第2の絞り羽根601bの断面を厚く描いているが、実際には、図10(b)に示すように薄く作られている。
【0103】
第1の絞り羽根601aおよび第2の絞り羽根601bは、各々がベース板602上に配置されている。第1の絞り羽根601aには、孔601cが設けられており、係止用のピン止め部材602bでベース板602上にピン止めされている。第2の絞り羽根601bも、孔601dが設けられており、係止用のピン止め部材602cでベース板602上にピン止めされている。
【0104】
図10(b)は、第1の絞り羽根601aと第2の絞り羽根601bとの、初期状態の位置関係を示す図である。
【0105】
ここで、図8(a)に示した絞り羽根と構造が異なる点は、電源オフ時にベース板602aの開口が、第1の絞り羽根601aと第2の絞り羽根601bとによって全開されている点である。こうすることで、CCD304の画像データの読み出し用のシャッタに使用する場合には、消費電力の節約になる。
【0106】
図10(c)は、電源がオンされて、所定の電圧が印加された後の第1の絞り羽根601aおよび第2の絞り羽根601bの位置関係を示す図である。
【0107】
第1の絞り羽根601aと第2の絞り羽根601bとは、電圧の印加を受けて伸張し、ベース板の開口602aに重なる開口の面積が変化する。図10(c)では、ベース板の開口602aの一部が、第1の絞り羽根601aと第2の絞り羽根601bとによって覆われている。
【0108】
図10(d)は、図10(c)の状態から、さらに所定の電圧が印加された後の第1の絞り羽根601aおよび第2の絞り羽根601bの位置関係を示す図である。
【0109】
第1の絞り羽根601aと第2の絞り羽根601bとは電圧の印加を受けて伸張し、ベース板の開口602aの全てが塞がれた状態になっている。
【0110】
この第1の撮影装置の第2実施形態で採用されている光量制御機構600が、図6、図7、および図8に示す光量制御機構500に置き換えられて用いられることにより、上述したデジタルカメラ1と同様に、使用者は、消音化が実現された動画撮影をすることができる。
【0111】
次に、第2の撮影装置の第1実施形態であるデジタルカメラの光量制御機構を説明する。
【0112】
第1の撮影装置における光量制御機構との相違点は、以下の通りである。第1の撮影装置における光量制御機構では、光量制御板自体が電圧の印加に応じて伸縮する構成であるのに対し、第2の撮影装置における光量制御機構では、光量制御板自体は伸縮せず、光量制御板が移動することによりベース板の開口を覆う面積を変化させる構成とした。くわえて、電場に応じて伸縮して光量制御板を移動させる駆動板を新たに設ける構成とした。
【0113】
図11は、第2の撮影装置の第1実施形態であるデジタルカメラの光量制御機構の構成図である。
【0114】
図11(a)は、電場に応じて伸縮して光量制御板を移動させる駆動板の構成図である。
【0115】
図11(b)は、光量制御板である第1の絞り羽根の正面図であり、図11(c)は、光量制御板である第2の絞り羽根の正面図である。
【0116】
図11(a)に示す駆動板704は、図1で説明した光量制御板と同じ原理により電圧の印加により形成される電場に応じて伸縮するものである。この駆動板704は、光遮蔽性であり、電場に応じて伸縮する伸縮層101_6を挟んで電極102a_6、102b_6が配備されている。また、この駆動板704には、孔705a、705b、および705cが設けられている。この孔については後で説明する。
【0117】
この伸縮層101_6には、電歪高分子が用いられている。
【0118】
また、電極102a_6、102b_6は、伸縮層101_6に貼着されて伸縮層101_6と共に伸縮する伸縮性高分子からなるものである。
【0119】
なお、説明の都合上、駆動板704の断面を厚く描いているが、実際には薄く作られている。
【0120】
第1の絞り羽根701は、ベース板701上で移動するためのガイド孔701a、701b、および701cが設けられており、第2の絞り羽根702も同様にベース板701上で移動するためのガイド孔702a、702b、および702cが設けられている。
【0121】
図11(d)は、光量制御機構700の正面図である。
【0122】
第1の絞り羽根701と第2の絞り羽根702とは、ベース板703上に重なりあう形状で配置されている。
【0123】
第1のピン703eは、駆動板704の孔705aと第1の絞り羽根701のガイド孔701cを貫通しており、第2のピン703fは、駆動板704の孔705cと第2の絞り羽根702のガイド孔702cを貫通している。第1のピン703eおよび第2のピン703fは、ベース板703に設けられた駆動板ガイド溝703d上をスライドする。
【0124】
また、駆動板704の孔705bには、第3のピン704aでピン止めされている。また、第4のピン703bが、ガイド孔701a、702aを貫通して設けられており、第5のピン703cが、ガイド孔701b、702bを貫通して設けられている。
【0125】
図11(d)は、電源がオンされて、所定の電圧が印加された後の第1の絞り羽根701および第2の絞り羽根702の位置関係を示す図である。
【0126】
第1の絞り羽根701と第2の絞り羽根702とは、電圧の印加を受けて伸張し、ベース板の開口703aに重なる開口の面積が変化する。図11(d)では、ベース板の開口703aの一部が、第1の絞り羽根701と第2の絞り羽根702とによって覆われている。
【0127】
図11(e)は、図11(d)の状態から、さらに所定の電圧が印加された後の第1の絞り羽根701aおよび第2の絞り羽根701bの位置関係を示す図である。
【0128】
第1の絞り羽根701aと第2の絞り羽根701bとは電圧の印加を受けて伸張し、ベース板の開口703aの全てが空いた状態になっている。図11(f)は、図11(e)の断面図である。
【0129】
この第2の撮影装置の第1実施形態で採用されている光量制御機構700が、図6、図7、および図8に示す光量制御機構500に置き換えられて用いられることにより、上述したデジタルカメラ1と同様に、使用者は、消音化が実現された動画撮影をすることができる。
【0130】
次に、第2の撮影装置の第2実施形態であるデジタルカメラの光量制御機構を説明する。
【0131】
図12は、第2の撮影装置の第2実施形態であるデジタルカメラの光量制御機構の構成図である。
【0132】
図12(a)は、第1の絞り羽根802の正面図である。
【0133】
この第1の絞り羽根802には、駆動板805の伸縮によりベース板801上をスライドするためのガイド孔802a、802b、および802cが設けられている。駆動板805については、後で後述する。
【0134】
図12(b)は、第2の絞り羽根803の正面図である。この第1の絞り羽根803にも、駆動板805の伸縮によりベース板801上をスライドするためのガイド孔803a
、803b、および803cが設けられている。
【0135】
図12(c)は、光量制御機構800の正面図である。
【0136】
第1の絞り羽根802と第2の絞り羽根803とは、ベース板801上に重なりあう形状で配置されている。第1の絞り羽根802のガイド孔802aと第2の絞り羽根803のガイド孔803aとが重なり、これら2つのガイド孔をガイドピン801bが貫通してベース板801上に設置されている。また、第1の絞り羽根802のガイド孔802bと第2の絞り羽根803のガイド孔803bとが重なり、これら2つのガイド孔をガイドピン801cが貫通してベース板801上に設置されている。
【0137】
この光量制御機構800には、駆動板805がデジタルカメラの筐体の一部807に取り付けられている。この駆動板805は、駆動板704と同様に、電圧の印加により形成される電場に応じて伸縮するものである。
【0138】
この駆動板805の先端部分に絞り羽根をスライドさせるためのガイド部材804の一端がガイドピン906を介して連結している。また、ガイドピン804bが、第1の絞り羽根802のガイド孔801c、第2の絞り羽根802のガイド孔802c、およびベース板801を貫通して、ガイド部材804の他端に取り付けられている。また、ガイド部材804は回動軸804aに軸支されている。
【0139】
駆動板805が、電圧の印加を受けて伸張することにより、ガイド部材は、回動軸804aを中心に反時計回りに回転し、その結果、第1の絞り羽根802と第2の絞り羽根803は、互いが逆方向にスライドし、ベース板801の開口801aが覆われていく。したがって、駆動板805に電圧を可変に印加することで、ベース板の開口801aは、開口径を変化させることができる。
【0140】
この第2の撮影装置の第2実施形態で採用されている光量制御機構800が、図6、図7、および図8に示す光量制御機構500に置き換えられて用いられることにより、上述したデジタルカメラ1と同様に、使用者は、消音化が実現された動画撮影をすることができる。
【0141】
次に、第2の撮影装置の第3実施形態であるデジタルカメラの光量制御機構を説明する。
【0142】
図13は、第2の撮影装置の第3実施形態であるデジタルカメラの光量制御機構の構成図である。
【0143】
この光量制御機構900は、駆動板901がデジタルカメラの筐体の一部904に取り付けられている。この駆動板901は、駆動板704と同様に、電圧の印加により形成される電場に応じて伸縮するものである。また、移動によりベース板905の開口905aを覆う面積を変化させる光量制御板902が、連結部903で駆動板901と連結している。この光量制御板902には、開口905aより小さい開口902bが設けられている。また、この光量制御板902には、回動軸902aで軸支されており、この光量制御板902は、駆動板901により駆動されて、開口902bがベース板の開口905aに重なる小絞り位置と光量制御板902が前記ベース板の開口905aから退避した退避位置との間で移動する絞り部材である。
【0144】
ベース板905が、撮影光学系の光軸上に開口905aを有するように配置されており、
この第2の撮影装置の第3実施形態で採用されている光量制御機構900が、図6、図7、および図8に示す光量制御機構500に置き換えられて用いられることにより、上述したデジタルカメラ1と同様に、使用者は、消音化が実現された動画撮影をすることができる。
【0145】
ここで、第1の撮影装置の実施形態で採用されている光量制御板の伸縮層と第2の撮影装置の実施形態で採用されている駆動板の伸縮層に電歪高分子を使用したが、電場に応じて伸縮する液晶エラストマを使用しても同様の効果が得られる。
【0146】
以上説明したように、本発明によれば、小型化が実現され、消音化機能を組み込みつつ光量調整の工夫が施された撮影装置を提供することができる。
【0147】
なお、以上に説明した実施形態では、伸縮層として電歪高分子や液晶エラストマを例に挙げて説明したが、電場に応じて伸縮する高分子として、高分子ゲル、イオン導電性高分子、電子導電性高分子、および圧電高分子等を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】本発明の撮影装置で採用されている光量制御機構の原理説明図である。
【図2】第1の撮影装置の第1実施形態であるデジタルカメラの外観斜視図である。
【図3】第1の撮影装置の第1実施形態であるデジタルカメラの外観斜視図である。
【図4】図2に示すデジタルカメラの、後方斜め上から見たときの外観斜視図である。
【図5】第1の撮影装置の第1実施形態であるデジタルカメラの、沈胴状態にあるレンズ鏡胴を光軸に沿って切断した断面図である。
【図6】第1の撮影装置の第1実施形態であるデジタルカメラの、後群レンズが広角状態にあるレンズ鏡胴を光軸に沿って切断した断面図である。
【図7】第1の撮影装置の第1実施形態であるデジタルカメラの、後群レンズが望遠状態にあるレンズ鏡胴を光軸に沿って切断した断面図である。
【図8】第1の撮影装置の第1実施形態であるデジタルカメラの光量制御機構の構成図である。
【図9】図2に示すデジタルカメラ1の概略的な内部構成図である。
【図10】第1の撮影装置の第2実施形態であるデジタルカメラの光量制御機構の構成図である。
【図11】第2の撮影装置の第1実施形態であるデジタルカメラの光量制御機構の構成図である。
【図12】第2の撮影装置の第2実施形態であるデジタルカメラの光量制御機構の構成図である。
【図13】第2の撮影装置の第3実施形態であるデジタルカメラの光量制御機構の構成図である。
【符号の説明】
【0149】
1 デジタルカメラ
10 レンズ鏡胴
11 前面
12 閃光発光窓
13 ファインダ対物窓
14 マイク
15 上面
16 レリーズボタン
20 操作部
21 背面
22 電源ボタン
23 モードスイッチ
24 メニュー切替えおよび実行キー
25 広角ズームキー
26 望遠ズームキー
27 液晶表示パネル
28 光学式ファインダ接眼窓
29 スピーカ
30 撮像部
50 固定筒
50a 突条
50b キー溝
51 ギア
52 駆動筒
52a キー溝
53 回転移動筒
54、57、63 カムフォロワ
55 直進移動枠
56 直進移動筒
61 リードスクリュー
62 フォーカスレンズ保持枠
100、902 光量制御板
101、101_2、101_3、101_4、101_5、101_6 伸縮層
102a、102b、102a_2、102b_2 電極
102a_3、102b_3、102a_4、102b_4 電極
102a_5、102b_5、102a_6、102b_6 電極
103 電源スイッチ
104、104_2 電源
105 係止用部材
106 開口板
107 ネジ
108 保持枠
110 メインCPU
110_1 EEPROM
111 AF検出部
112 AE検出部
120 CDSAMP
121 A/D変換部
122 ホワイトバランス・γ処理部
123 光学制御CPU
124 クロックジェネレータ
125 バッファメモリ
126 YC処理部
127 YC/RGB変換部
128 ドライバ
130 データバス
131 圧縮伸張部
132 インターフェース(I/F)部
133 メモリカード
134 閃光発光制御部
301 前群レンズ
302 後群レンズ
302b 保持枠
302a 後群レンズ保持枠
303 フォーカスレンズ
304 CCD
305 後群レンズユニット
500、600、700、800、900 光量制御機構
501a、601a、701、802 第1の絞り羽根
501b、601b、702、803 第2の絞り羽根
501c、501d 絞り羽根開口
501e、501f、705c、705b 孔
502、602、701、801 ベース板
502b、602a、703a、905a 開口
502b、502c、602b、602c ピン止め部材
701a、701b、701c ガイド孔
702a、702b、702c ガイド孔
803a、803b、803c ガイド孔
703d 駆動板ガイド溝
703e 第1のピン
703f 第2のピン
704、805、901 駆動板
704a 第3のピン
705a、705b、705c 孔
801b、801c ガイドピン
804 ガイド部材
804a 回動軸
807、904 筐体の一部
902b 小さい開口
903 連結部
905a 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像面上に結像した被写体像を読み取って画像データを生成する撮像素子と、被写体を前記撮像面上に結像する撮影光学系とを備え、撮影操作に応じて撮影データを生成する撮影装置において、
前記撮影光学系に入射した被写体光の光量を絞って前記撮像面に伝える光量制御機構を備え、
前記光量制御機構は、
前記撮影光学系の光軸上に開口を有するベース板と、
前記ベース板に重ねて配置され、電圧の印加より形成される電場に応じて伸縮して該ベース板の開口を覆う面積を変化させる光量制御板とを備えたことを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
前記光量制御板は、前記ベース板の開口に重なる開口を協同で形成するとともに、電場に応じて伸縮して該ベース板の開口に重なる開口の面積を変化させる複数枚の絞り羽根からなることを特徴とする請求項1記載の撮影装置。
【請求項3】
前記光量制御板は、
電場に応じて伸縮する液晶エラストマと、
該液晶エラストマを挟んで配備された、電圧の印加を受けて前記液晶エラストマに電場を形成して該液晶エラストマを伸縮させる一対の電極とを有することを特徴とする請求項1記載の撮影装置。
【請求項4】
前記光量制御板は、
電場に応じて伸縮する電歪高分子と、
該電歪高分子を挟んで配備された、電圧の印加を受けて前記電歪高分子に電場を形成して該電歪高分子を伸縮させる一対の電極とを有することを特徴とする請求項1記載の撮影装置。
【請求項5】
撮像面上に結像した被写体像を読み取って画像データを生成する撮像素子と、被写体を前記撮像面上に結像する撮影光学系とを備え、撮影操作に応じて撮影データを生成する撮影装置において、
前記撮影光学系に入射した被写体光の光量を絞って前記撮像面に伝える光量制御機構を備え、
前記光量制御機構は、
前記撮影光学系の光軸上に開口を有するベース板と、
移動により前記ベース板の開口を覆う面積を変化させる光量制御板と、
電圧の印加により形成される電場に応じて伸縮して前記光量制御板を移動させる駆動板とを備えたことを特徴とする撮影装置。
【請求項6】
前記光量制御板が、開口を有し、前記駆動板により駆動されて、該開口が前記ベース板の開口に重なる小絞り位置と該光量制御板が前記ベース板の開口から退避した退避位置との間で移動する絞り部材であることを特徴とする請求項5記載の撮影装置。
【請求項7】
前記光量制御板が、前記ベース板と重ねて配置され、前記駆動板により駆動されて移動して該ベース板の開口を覆う面積を変化させる絞り部材であることを特徴とする請求項5記載の撮影装置。
【請求項8】
前記光量制御板が、前記ベース板の開口に重なる開口を協同で形成するとともに、前記駆動板に駆動されて、該ベース板の開口に重なる開口の面積を変化させる複数枚の絞り羽根からなることを特徴とする請求項5記載の撮影装置。
【請求項9】
前記駆動板は、
電場に応じて伸縮する液晶エラストマと、
該液晶エラストマを挟んで配備された、電圧の印加を受けて前記液晶エラストマに電場を形成して該液晶エラストマを伸縮させる一対の電極とを有することを特徴とする請求項5記載の撮影装置。
【請求項10】
前記駆動板は、
電場に応じて伸縮する電歪高分子と、
該電歪高分子を挟んで配備された、電圧の印加を受けて前記電歪高分子に電場を形成して該電歪高分子を伸縮させる一対の電極とを有することを特徴とする請求項5記載の撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−127718(P2007−127718A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−318614(P2005−318614)
【出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【出願人】(000005430)フジノン株式会社 (2,231)
【Fターム(参考)】