説明

操作キー機構

【課題】複数の操作キーの配列ピッチを従来よりも狭小化することが出来る操作キー機構を提供する。
【解決手段】本発明に係る操作キー機構は、複数のスイッチを押圧操作するための複数の操作キー2を弾性支持してなり、複数の操作キーを弾性支持する弾性部材として、ワイヤーを屈曲させて複数のU字状部34を形成したワイヤー部材3を用いている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の電子機器において複数のスイッチを押圧操作するための複数の操作キーを弾性支持してなる操作キー機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の電子機器においては、基板上にユーザの操作に応じて接点が閉じられるべき複数のスイッチが配列されると共に、これらのスイッチを押圧操作するための複数の操作キーを弾性支持してなる操作キー機構が配備されている(特許文献1参照)。
【0003】
例えば図6に示す操作キー機構においては、それぞれ杵突き部(81)が突設された複数の操作キー(8)が配列されており、これらの操作キー(8)は、合成樹脂製の板ばね部材(9)によって弾性支持されている。
該板ばね部材(9)は、中央部を延びる帯板状の幹線部(90)と、該幹線部(90)から左右に突出してU字状に屈曲する複数の支線部(91)とから構成され、支線部(91)の変形に伴って発揮される弾性により、操作キー(8)が弾性支持されている。
【0004】
従って、何れかの操作キー(8)を押圧操作すると、該操作キー(8)を支持してる支線部(91)が弾性変形し、これに伴う操作キー(8)の弾性変位によって、その下方に配備されているスイッチ(図示省略)の接点が閉じられることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−190233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の操作キー機構においては、図6に示す様に、複数の操作キー(8)の間に、板ばね部材(9)の幹線部(90)や支線部(91)が延びているため、操作キー(8)の配列ピッチの狭小化に限界がある問題があった。
そこで本発明の目的は、複数の操作キーの配列ピッチを従来よりも狭小化することが出来る操作キー機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る操作キー機構は、複数のスイッチ(41)を押圧操作するための複数の操作キー(2)を弾性支持してなり、複数の操作キー(2)を弾性支持する弾性部材として、ワイヤーを屈曲させて複数のU字状部(34)を形成したワイヤー部材(3)を用いている。
【0008】
上記本発明の操作キー機構によれば、複数の操作キー(2)を弾性支持する弾性部材としてワイヤーを屈曲させて形成したワイヤー部材(3)が用いられているので、従来の合成樹脂製の板ばね部材によって弾性部材を構成した場合と比較して、線幅の狭小化が可能であり、ひいては複数の操作キー(2)の配列ピッチの狭小化が可能である。
【0009】
具体的態様において、前記ワイヤー部材(3)は、複数のU字状部(34)と、隣接する2つのU字状部(34)(34)どうしを繋ぐ渡り部(35)とを具え、各U字状部(34)に操作キー(2)が係合し、隣接する2つの操作キー(2)(2)の間を渡り部(35)が延びている。
該具体的構成によれば、1つの操作キー(2)を押下すると、該操作キー(2)の降下に伴って、該操作キー(2)が係合しているU字状部(34)が弾性変位して、該操作キー(2)の下方に位置するスイッチ(41)の接点が閉じられることになる。
【0010】
他の具体的態様において、前記ワイヤー部材(3)のU字状部(34)と対向する操作キー(2)の裏面(23)には、ワイヤー部材(3)から離間する凹面(24)が形成されている。
該具体的態様によれば、ワイヤー部材(3)の操作キー(2)との非接触領域が拡大して、ワイヤー部材(3)がより大きな弾性を発揮する。
【0011】
他の具体的態様において、前記ワイヤー部材(3)の渡り部(35)には、スイッチ基板(4)の表面に向かって突出するV字状屈曲部(39)が形成され、該V字状屈曲部(39)の頂部がスイッチ基板(4)の表面に当接している。
該具体的態様によれば、1つの操作キー(2)を押下したとき、該操作キー(2)の降下に伴って、該操作キー(2)が係合しているU字状部(34)がスイッチ基板(4)に向かって弾性変位するが、該U字状部(34)に繋がっている渡り部(35)は、そのV字状屈曲部(39)の頂部がスイッチ基板(4)によって受け止められているので、該渡り部(35)を介して該U字状部(34)と繋がっている他のU字状部(34)は、殆ど弾性変形することがない。従って、当該他のU字状部(34)に係合している他の操作キー(2)が同時に降下することは殆どない。
【0012】
具体的態様において、前記ワイヤー部材(3)は導電性を有するバネ材から形成され、前記スイッチ基板(4)の表面には、前記ワイヤー部材(3)のV字状屈曲部(39)の頂部が接触するグランド部(42)が形成されている。
該具体的態様によれば、ワイヤー部材(3)がV字状屈曲部(39)を介してグランド部(42)に接地されており、これによって静電対策が施されている。
【0013】
具体的態様において、前記ワイヤー部材(3)は導電性を有するバネ材から形成され、操作キー(2)のフランジ部(25)よりも外側へ突出する突出部(38)を有している。
該具体的態様によれば、操作キー(2)を操作する指が帯電しており、その指からスイッチ基板(4)に向かってスパークが発生する虞があったとしても、そのスパークはワイヤー部材(3)のU字状部(34)や突出部(38)へ落ちる可能性が高いので、スイッチ基板(4)に対するスパークの影響を軽減することが出来る。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る操作キー機構によれば、複数の操作キーの配列ピッチを従来よりも狭小化することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の実施例である操作キー機構の背面図である。
【図2】図2は、該操作キー機構の断面図である。
【図3】図3は、該操作キー機構のワイヤー部材に形成されたV字状屈曲部を示す断面図である。
【図4】図4は、操作キーを押下したときの前記V字状屈曲部近傍の変形状態を示す断面図である。
【図5】図5は、操作キーの裏面を示す図である。
【図6】図6は、従来の操作キー機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
本発明に係る操作キー機構は、図2に示す如く、電子機器のキャビネット(1)の内部に設置されたスイッチ基板(4)上に配備されるものであって、スイッチ基板(4)の表面には複数のスイッチ(41)が搭載されている。
【0017】
キャビネット(1)には、複数のスイッチ(41)のそれぞれに対応させて、複数の開口(10)が形成されており、これらの開口(10)から複数の操作キー(2)が臨出しており、1つの操作キー(2)を押圧操作することによって、該操作キー(2)の下方に位置するスイッチ(41)の接点を閉じることが出来る。
【0018】
各操作キー(2)は、キャビネット(1)の開口(10)から上方へ突出するキートップ(20)と、キャビネット(1)の背面側に係合するフランジ部(25)と、スイッチ基板(4)上のスイッチ(41)へ向かって突出する杵突き部(21)とを具えている。
【0019】
スイッチ基板(4)の上方位置には、SUS(Steel Use Stainless:ステンレス鋼)製のバネ材からなる1本の導電性ワイヤーを屈曲させて形成したワイヤー部材(3)が配備されている。
該ワイヤー部材(3)は、図1に示す様に、始端部(31)から折り返し部(32)を経て終端部(33)まで延びており、始端部(31)と折り返し部(32)との間、及び終端部(33)と折り返し部(32)との間にはそれぞれ、3つのU字状部(34)と、隣接する2つのU字状部(34)(34)を互いに2つの渡り部(35)とが形成されている。
【0020】
ワイヤー部材(3)の始端部(31)、終端部(33)及びU字状部(34)はそれぞれ接地されている。
【0021】
ワイヤー部材(3)の6つのU字状部(34)にはそれぞれ、操作キー(2)が係合している。又、ワイヤー部材(3)の渡り部(35)は、隣接する2つの操作キー(2)(2)の間を延びている。
【0022】
操作キー(2)の裏面には、杵突き部(21)を挟んで両側に、一対の凸部(22)(22)が形成されており、両凸部(22)(22)がU字状部(34)の内側に嵌合し、これによって操作キー(2)が回転不能に係止されている。
【0023】
ワイヤー部材(3)は、始端部(31)及び終端部(33)の近傍部分(36)(36)がキャビネット(1)内の支持片(11)(11)によって支持されると共に、折り返し部(32)の近傍部分(37)(37)がキャビネット(1)内の支持片(12)(12)によって支持されている。
ワイヤー部材(3)の始端部(31)及び終端部(33)は図2に示す如く、キャビネット(1)内のグランド部(13)に圧接されている。又、ワイヤー部材(3)の折り返し部(32)は、キャビネット(1)内のグランド部(13)に圧接されている。
【0024】
又、ワイヤー部材(3)の渡り部(35)には、図3及び図4に示す如く、スイッチ基板(4)に向かって突出するV字状屈曲部(39)が形成されており、該V字状屈曲部(39)の頂部がスイッチ基板(4)の表面に当接している。
スイッチ基板(4)の表面には、V字状屈曲部(39)の頂部が当接する位置に、グランド部(42)が設けられている。
【0025】
又、ワイヤー部材(3)は、図5に示す如く円弧状に屈曲している部分が操作キー(2)のフランジ部(25)よりも外側へ突出して、複数の突出部(38)が形成されている。
更に又、各操作キー(2)には、ワイヤー部材(3)のU字状部(34)が接触すべき裏面(23)に、U字状部(34)とは非接触を保つ凹面(24)が形成されている。
【0026】
上記操作キー機構において、図4に示す矢印Fの如く1つの操作キー(2)を押下すると、ワイヤー部材(3)は、図1に示す始端部(31)及び終端部(33)の近傍部分(36)(36)と折り返し部(32)の近傍部分(37)(37)にて両端支持されると共に、図4に示すV字状屈曲部(39)の頂部がスイッチ基板(4)上に支持された状態で、該操作キー(2)が係合する1つのU字状部(34)が弾性変位し、該操作キー(2)の杵突き部(21)が図4に示す様に1つのスイッチ(41)を押圧し、該スイッチ(41)の接点を閉じる。
【0027】
ここで、ワイヤー部材(3)は、操作の対象となった操作キー(2)の両側において、支持片(11)(12)又はスイッチ基板(4)の表面によって支持されているので、該操作キー(2)が係合する1つのU字状部(34)はスイッチ基板(4)に向かって大きく弾性変位するが、他のU字状部(34)は殆ど弾性変位することはない。
従って、操作の対象となった操作キー(2)の下方に位置にするスイッチ(41)のみが押圧されて、その接点が閉じられることになる。
【0028】
上記本発明の実施例である操作キー機構によれば、複数の操作キー(2)を弾性支持する弾性部材としてワイヤー部材(3)が用いられているので、図6に示す従来の操作キー機構と比較して、従来の板ばね部材(9)における幹線部(90)は省略されており、ワイヤー部材(3)のワイヤー径は板ばね部材(9)における支線部(91)の幅よりも小さくなっている。この結果、複数の操作キー(2)の配列ピッチが従来の操作キー(8)の配列ピッチよりも狭小化されている。
【0029】
又、操作キー(2)を操作する指が帯電しており、その指からスイッチ基板(4)に向かってスパークが発生する虞があったとしても、ワイヤー部材(3)が複数箇所でグランド部に接地されており、然も、操作キー(2)のフランジ部(25)よりも外側へ突出する突出部(38)が形成されているので、図3に示す様に操作キー(2)のキートップ(20)の周囲に存在する空隙を経てスイッチ基板(4)に向かうスパークが発生したとしても、該スパークは、ワイヤー部材(3)のU字状部(34)や突出部(38)に落ちる可能性が高い。この結果、スイッチ基板(4)に対するスパークの影響が軽減されることになる。
【0030】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、図3に示すワイヤー部材(3)のV字状屈曲部(39)や、図5に示す操作キー(2)の凹面(24)は、省略することが可能である。
【0031】
又、ワイヤー部材(3)の複数のU字状部(34)の配列は、図1に示すものに限らず、種々の配列を採用することが出来る。
又、ワイヤー部材(3)は1本に限らず、複数本のワイヤー部材(3)を用いて操作キー機構を構成することも可能である。
【0032】
更に、ワイヤー部材(3)の材質としては、SUSに限らず、他の金属を用いることも可能である。例えば、酸化防止等を目的として表面処理(コーティング等)が施された結果、表面における導電性を有しなくなったワイヤー部材(3)であっても、複数の操作キーの配列ピッチを従来よりも狭小化することが出来るという効果を奏する。
【符号の説明】
【0033】
(1) キャビネット
(10) 開口
(11) 支持片
(12) 支持片
(13) グランド部
(2) 操作キー
(20) キートップ
(21) 杵突き部
(22) 凸部
(24) 凹面
(25) フランジ部
(3) ワイヤー部材
(31) 始端部
(32) 折り返し部
(33) 終端部
(34) U字状部
(35) 渡り部
(4) スイッチ基板
(41) スイッチ
(42) グランド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスイッチを押圧操作するための複数の操作キーを弾性支持してなる操作キー機構において、複数の操作キーを弾性支持する弾性部材として、ワイヤーを屈曲させて複数のU字状部を形成したワイヤー部材を用いたことを特徴とする操作キー機構。
【請求項2】
前記ワイヤー部材は、その両端部を固定端として支持されている請求項1に記載の操作キー機構。
【請求項3】
前記ワイヤー部材は、前記複数のU字状部と、隣接する2つのU字状部どうしを繋ぐ渡り部とを具え、各U字状部に操作キーが係合し、隣接する2つの操作キーの間を渡り部が延びている請求項1又は請求項2に記載の操作キー機構。
【請求項4】
前記ワイヤー部材のU字状部と対向する操作キーの裏面には、ワイヤー部材から離間する凹面が形成されている請求項3に記載の操作キー機構。
【請求項5】
前記複数のスイッチはスイッチ基板の表面に搭載されており、該スイッチ基板上に前記ワイヤー部材が設置されている請求項3に記載の操作キー機構。
【請求項6】
前記ワイヤー部材の渡り部には、スイッチ基板の表面に向かって突出するV字状屈曲部が形成され、該V字状屈曲部の頂部がスイッチ基板の表面に当接している請求項5に記載の操作キー機構。
【請求項7】
前記ワイヤー部材は導電性を有するバネ材から形成され、前記スイッチ基板の表面には、前記ワイヤー部材のV字状屈曲部の頂部が接触するグランド部が形成されている請求項6に記載の操作キー機構。
【請求項8】
前記ワイヤー部材は導電性を有するバネ材から形成され、操作キーのフランジ部よりも外側へ突出する突出部を有している請求項1乃至請求項7の何れかに記載の操作キー機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−209062(P2012−209062A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72590(P2011−72590)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】