説明

操作スイッチ

【課題】 検出機構の機械的劣化が無く、かつ操作部の部材や機構を自由に設計できる操作スイッチを提供する。
【解決手段】 操作スイッチにおいて、被検知体の動きを検知するセンシング手段1と、このセンシング手段1を収納する筐体と、負荷6の駆動を操作する操作部3とを備えた操作スイッチであって、前記センシング手段1からの検知信号に基づいて、前記被検知体の動きが前記操作部3を操作する動きであるか否かを判断する操作判断回路4と、この操作判断回路4からの出力信号に基づいて、前記負荷6を駆動する負荷駆動手段5とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作スイッチに係り、特に、センシング手段としてのドップラーセンサを用いた操作スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の操作スイッチの内で、機械的接点を持つものは、繰り返しの使用により接点が劣化し、スイッチの検知機構の寿命に限界があるという問題があった。
【0003】
その問題を改善するために、図5に示すような、フォトインタラプタのような赤外線センサを用いた非接触式レバースイッチがある。
【0004】
図5は従来の非接触式レバースイッチの一構成例(スロットのスタートレバー)を示す図である。
【0005】
この図において、101はフォトインタラプタ、102は支持部、103は操作部材、104はレバー本体、105はスプリング、106は揺動軸である。
【特許文献1】特開2002−260495号公報
【特許文献2】特開2005−135635号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図5に示した従来の操作スイッチは、レバー全体を可動させる必要があり、その剛性を確保するためには、レバー本体104の素材が制限されるといった問題があった。
【0007】
本発明は、上記状況に鑑みて、検知機構の機械的劣化が無く、かつ操作部の部材や機構を自由に設計できる操作スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕操作スイッチにおいて、被検知体の動きを検知するセンシング手段と、このセンシング手段を収納する筐体と、負荷の駆動を操作する操作部とを備えた操作スイッチであって、前記センシング手段からの検知信号に基づいて、前記被検知体の動きが前記操作部を操作する動きであるか否かを判断する操作判断回路と、この操作判断回路からの出力信号に基づいて、前記負荷を駆動する負荷駆動手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
〔2〕上記〔1〕記載の操作スイッチにおいて、前記センシング手段は、所定の同一方向または複数の方向へ電波ビームを送受信し、前方を移動する前記被検知体の動きを周波数に換算し、検知信号として外部に出力するドップラーセンサであることを特徴とする。
【0010】
〔3〕上記〔1〕又は〔2〕記載の操作スイッチにおいて、前記操作部は、前記筐体に支持された可動しない固定部と、この固定部と連結された可動する可動部とを備えた棒状のレバーであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、操作スイッチにおいて、検知機構の機械的劣化が無く、かつ操作部の部材や機構を自由に設計することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の操作スイッチは、被検知体の動きを検知するセンシング手段と、このセンシング手段を収納する筐体と、負荷の駆動を操作する操作部とを備えた操作スイッチであって、前記センシング手段からの検知信号に基づいて、前記被検知体の動きが前記操作部を操作する動きであるか否かを判断する操作判断回路と、この操作判断回路からの出力信号に基づいて、前記負荷を駆動する負荷駆動手段とを備えた。
【実施例】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明の操作スイッチの原理を示す模式図、図2はその操作スイッチのドップラーセンサの構成を示すブロック図である。
【0015】
これらの図において、1はセンシング手段としてのドップラーセンサ(ドップラーセンサは1つでも複数であってもよい)、2はドップラーセンサ1が収納される筐体であり、ここでは、筐体2の後方内面2Aにドップラーセンサ1が配置されている。3は操作部であり、ここでは、筐体2の前方表面2Bに配置されており、この操作部3の操作方向がドップラーセンサ1から放射される電波ビームの放射方向と交わるように配置されていればよい。4は操作部3を操作する動きであるか否かを判断する操作判断回路、5はこの操作判断回路4に接続される負荷駆動手段、6は負荷駆動手段5に接続される負荷である。ここで、センシング手段としてのドップラーセンサ1は、所定の同一方向または複数の方向へ電波ビームを送受信し、前方を移動する被検知体の動きを周波数に換算し、それを検知信号として外部に出力するように構成している。なお、被検知体とは、人体四肢のうち少なくとも1つの部位、例えば、指や手である。
【0016】
ここで、図2に示すように、ドップラーセンサ1は、電波ビーム(送信波)を発生する発振器7と、その発振器7から放射され、被検知体の動きにより反射して戻ってきた電波ビームを受信波として受信するアンテナ8と、送信波と受信波の周波数の差分を抽出する検波器9とを備えている。
【0017】
そこで、操作部3の移動に関する検波器9からの検知信号に基づいて、操作判断回路4は被検知体の動きが操作部3を操作する動きであるか否かを判断する。つまり、被検知体の移動速度及び移動方向を検出する。この操作判断回路4は、検波器9から出力された検知信号を増幅する増幅回路(図示なし)と、この増幅回路により増幅した検知信号を用いて、利用者の手や指による操作(被検知体の動き)が操作部3を操作する動きであるか否かを判断するために被検知体の移動速度および移動方向を算出するCPU(中央演算処理装置)(図示なし)とを備えている。そして、この操作判断回路4からの出力信号により、負荷駆動手段5が駆動されて、負荷6が動作する。
【0018】
このように、センシング手段としてのドップラーセンサ1と被検知体の動きが操作部3を操作する動きであるか否かを判定する操作判断回路4とを備えており、電波ビームを用いて遠隔より操作部3の移動を連続的に検出することができるため、検知機構の機械的劣化がない。また、その検出範囲は赤外線と比較すると広範囲に設定できるため、ドップラーセンサ1の設置場所を比較的自由に設定できる。
【0019】
図3は本発明の実施例を示す操作スイッチの模式図である。
【0020】
この図において、11はセンシング手段としてのドップラーセンサ(ドップラーセンサは1つでも複数でもよい)、12はドップラーセンサ11が収納される筐体であり、ここでは、ドップラーセンサ11は、筐体12の後方内面12Aに配置されている。13は操作部としての棒状レバーであり、ここでは、筐体12の前方表面12Bに固定されている。14は被検知体の動きが操作部としての棒状レバー13を操作する動きであるか否かを判断する操作判断回路、15は負荷駆動手段、16は負荷駆動手段15により動作する負荷である。
【0021】
ここで、ドップラーセンサ11は、棒状レバー13が可動する複数の方向(ここでは、上下方向)に電波ビーム(送信波)の放射方向を切替え、その反射を利用して棒状レバー13を操作する被検知体の移動に関する情報を得て、この移動に関する情報に基づいて、棒状レバー13を操作する動きであるか否かを判断する操作判断回路14で被検知体の移動速度と移動方向を検出する。すなわち図3に示すように、被検知体が棒状レバー13を操作すると、ドップラーセンサ11の電波ビーム(送信波)を発生する発振器7は、送信波を前方の下方11A又は上方11Bに切り替えて放射する。送信された電波ビームは被検知体に衝突し反射して戻ってくる。そして、その戻ってきた反射波を受信波として、図2に示すアンテナ8で受信する。そのアンテナ8を介して受信した受信波と送信波との周波数の差分を検波器9で抽出する。この検波器9からの出力信号に基づいて、操作判断回路14にて被検知体の動きが棒状レバー13を操作する動きであるか否かを判断するために被検知体の移動速度と移動方向を検出する。
【0022】
このような構成により、レバースイッチのように複数方向に操作される操作スイッチにおいて、ドップラーセンサ11が放射する送信波(電波ビーム)の方向を複数方向に切替えることができ、被検知体の動きを検知することにより、操作部としての棒状レバー13の操作方向を識別することが可能になる。
【0023】
図4は本発明の実施例に係る操作部としての棒状レバーの構成図である。
【0024】
この図において、操作部としての棒状レバー21は、筐体(図示なし)の前方表面に固定される固定部22と、この固定部22に連結される可動部23からなる。
【0025】
このように構成したので、例えばレバースイッチの場合、ドップラーセンサが人体四肢の一例である手や指などの被検知体の移動を検知し、操作部を操作する動きを検出するので、図5に示されるレバースイッチのように操作部としてのレバー全体を動かす必要が無く、複雑な構成も必要ではない。
【0026】
また、操作部としての棒状レバーの部材も、樹脂やゴムなどの部材を適宜選択することができる。
【0027】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の操作スイッチは、検知機構の機械的劣化が無く、かつ、操作部の部材や機構を自由に設計することができる操作スイッチとして利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の操作スイッチの原理を示す模式図である。
【図2】本発明の操作スイッチのドップラーセンサの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例を示す操作スイッチの模式図である。
【図4】本発明の実施例に係る操作部としての棒状レバーの構成図である。
【図5】従来の非接触式レバースイッチの一構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
1,11 ドップラーセンサ(センシング手段)
2,12 筐体
2A,12A 筐体の後方内面
2B, 12B 筐体の前方表面
3 操作部
4,14 操作判断回路
5,15 負荷駆動手段
6,16 負荷
7 発振器
8 アンテナ
9 検波器
11A 前方の下方
11B 前方の上方
13,21 棒状レバー
22 固定部
23 可動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)被検知体の動きを検知するセンシング手段と、
(b)該センシング手段を収納する筐体と、
(c)負荷の駆動を操作する操作部とを備えた操作スイッチであって、
(d)前記センシング手段からの検知信号に基づいて、前記被検知体の動きが前記操作部を操作する動きであるか否かを判断する操作判断回路と、
(e)該操作判断回路からの出力信号に基づいて、前記負荷を駆動する負荷駆動手段とを備えたことを特徴とする操作スイッチ。
【請求項2】
前記センシング手段は、所定の同一方向または複数の方向へ電波ビームを送受信し、前方を移動する前記被検知体の動きを周波数に換算し、検知信号として外部に出力するドップラーセンサであることを特徴とする請求項1記載の操作スイッチ。
【請求項3】
前記操作部は、前記筐体に支持された可動しない固定部と、該固定部と連結された可動する可動部とを備えた棒状のレバーであることを特徴とする請求項1又は2記載の操作スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−158428(P2009−158428A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−338500(P2007−338500)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000230722)日本開閉器工業株式会社 (79)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】