説明

操作パネルカバーへのオーバーレイシートの取付構造、及び該取付構造を用いた操作パネルを備えた画像形成装置

【課題】操作パネルカバーをリサイクル部品として有効に再利用できると共に、操作パネルの解体時にオーバーレイシートを操作パネルカバーから取り外す作業を効率良く行える操作パネルカバーへのオーバーレイシートの取付構造、及び該取付構造を用いた操作パネルを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】操作パネルカバー10へのオーバーレイシート20の取付構造であって、オーバーレイシート20を、弾性を有するスナップフィット係合爪を備えたリベット30で操作パネルカバー10に取付固定した。さらに、リベット30とオーバーレイシート20と操作パネルカバー10とを互いに親和性のある樹脂材料で構成すれば、操作パネル1を処分する際に、操作パネルカバー10に装着されたオーバーレイシート20を取り外さずに、そのままの状態でリサイクル部品として有効に再利用できるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作パネルの操作パネルカバーにオーバーレイシートを取り付ける操作パネルカバーへのオーバーレイシートの取付構造、及び該取付構造を用いた操作パネルを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やファクシミリ装置やプリンタなどの画像形成装置には、特許文献1に示すように、各種機能を備えた操作キーを配置した操作パネルが設けられている。この操作パネルでは、該操作パネルに装着された操作パネルカバーの上面側に操作キーが配列されている。そして、この操作パネルカバー上面の各操作キーの周囲には、操作キーの操作内容を表示する文字や記号や図柄が印刷形成されたオーバーレイシートが取り付けられている。
【特許文献1】特開2001−238013号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の操作パネルでは、予めオーバーレイシートの下面に接着剤を印刷塗布した接着面を形成しておき、該接着面を操作パネルカバーに接着固定することで、オーバーレイシートを操作パネルカバーに取り付けている。ところが、樹脂(合成樹脂)製の操作パネルカバーをリサイクルするためには、使用済みの画像形成装置を解体処分する際に、操作パネルカバーに接着固定されているオーバーレイシートを引き剥がして操作パネルカバーと分離する必要がある。しかしながら、従来のオーバーレイシートに印刷塗布されている接着剤は、操作パネルカバーに一度接着すると剥離が容易でない材質の接着剤であったため、オーバーレイシートを操作パネルカバーから引き剥がすと、接着剤が操作パネルカバー側に付着して残ってしまうという問題があった。このように樹脂製の操作パネルカバーに異種材料である接着剤が付着して残ると、操作パネルカバーをリサイクル部品として有効に再利用することができなかった。
【0004】
また、操作パネルカバーに接着剤で密着固定されていた従来のオーバーレイシートは、操作パネルカバーから引き剥がすことが容易でなく、オーバーレイシートと操作パネルカバーを分離する作業に非常に手間が掛かり、操作パネルの解体作業を効率良く行うことができなかった。
【0005】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、操作パネルカバーをリサイクル部品として有効に再利用できると共に、操作パネルの解体時にオーバーレイシートを操作パネルカバーから取り外す作業を効率良く行える操作パネルカバーへのオーバーレイシートの取付構造、及び該取付構造を用いた操作パネルを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本願の請求項1に記載の発明は、操作パネルの操作パネルカバーにオーバーレイシートを取り付ける操作パネルカバーへのオーバーレイシートの取付構造であって、前記オーバーレイシートを、弾性を有するスナップフィット係合爪を備えたリベットで前記操作パネルカバーに取り付けることを特徴とする。
【0007】
本願の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の操作パネルカバーへのオーバーレイシートの取付構造において、前記リベットと前記オーバーレイシートと前記操作パネルカバーとが、互いに親和性のある樹脂材料で構成されていることを特徴とする。
【0008】
本願の請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の操作パネルカバーへのオーバーレイシートの取付構造において、前記オーバーレイシートと前記操作パネルカバーとに前記リベットを挿通させる挿通部が形成されており、前記リベットを、前記オーバーレイシートと前記操作パネルカバーの各挿通部に挿通して、該リベットのスナップフィット係合爪を前記操作パネルカバーに係合することを特徴とする。
【0009】
本願の請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の操作パネルカバーへのオーバーレイシートの取付構造において、前記リベットは、弾性を有する頭部を備え、前記リベットのスナップフィット係合爪が前記操作パネルカバーに係合する際に、前記頭部が弾性変形して前記オーバーレイシートを押さえるように構成したことを特徴とする。
【0010】
本願の請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の操作パネルカバーへのオーバーレイシートの取付構造において、前記オーバーレイシートに、前記挿通部から該オーバーレイシートの周縁部に連通する薄肉部又は切込部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
本願の請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の操作パネルカバーへのオーバーレイシートの取付構造において、前記操作パネルカバーに、前記オーバーレイシートの端辺を差し込むスリット部が形成されており、前記オーバーレイシートの少なくとも一の端辺を前記スリット部に差し込んで前記オーバーレイシートを取り付けることを特徴とする。
【0012】
本願の請求項7に記載の発明は、操作パネルを備えた画像形成装置において、前記操作パネルの操作パネルカバーにオーバーレイシートを取り付ける取付構造として、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の操作パネルカバーへのオーバーレイシートの取付構造を用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本願の請求項1に記載の発明によれば、オーバーレイシートを、弾性を有するスナップフィット係合爪を備えたリベットで操作パネルカバーに取り付けるので、操作パネルカバーを解体する際に、このリベットを取り外せば操作パネルカバーからオーバーレイシートを取り外せるようになり、操作パネルカバーとオーバーレイシートを容易且つ確実に分離することが可能となる。したがって、操作パネルカバーやオーバーレイシートをリサイクル部品として有効に再利用することができる。また一方で、リベットでオーバーレイシートを操作パネルカバーに固定するので、従来の接着剤による固定などと比較して、オーバーレイシートの取付作業が簡単に行えるようになり、操作パネルの製造コストを低減することが可能となる。
【0014】
本願の請求項2に記載の発明によれば、リベットとオーバーレイシートと操作パネルカバーとが、互いに親和性のある樹脂材料で構成されているので、操作パネルを処分する際に、操作パネルカバーに装着されたオーバーレイシートを取り外さずに、そのままの状態でリサイクル部品として有効に再利用することができるようになる。
【0015】
本願の請求項3に記載の発明によれば、リベットを、オーバーレイシートと操作パネルカバーの各挿通部に挿通して、スナップフィット係合爪を操作パネルカバーに係合するので、簡単な構造で、容易に操作パネルカバーへのオーバーレイシートの取り付け・取り外しができるようになる。
【0016】
本願の請求項4に記載の発明によれば、リベットのスナップフィット係合爪が操作パネルカバーに係合する際に、リベットの頭部が弾性変形してオーバーレイシートを押さえるように構成したので、操作パネルカバーに装着したオーバーレイシートが、リベットの頭部で押さえられた状態になり、容易にずれたりガタついたりするおそれがなくなる。
【0017】
本願の請求項5に記載の発明によれば、オーバーレイシートにその挿通部から周縁部に連通する薄肉部又は切込部が形成されているので、操作パネルカバーを分解する際に、オーバーレイシートを引っ張るだけで、リベットで切断される薄肉部に沿って該リベットが挿通部から抜けるか、或いは、切込部に沿ってリベットが挿通部から抜けて、オーバーレイシートを操作パネルカバーから取り外すことができる。したがって、リベットを取り外す作業の手間が省け、オーバーレイシートと操作パネルカバーをさらに容易且つ確実に分離することが可能となる。
【0018】
本願の請求項6に記載の発明によれば、オーバーレイシートの少なくとも一の端辺を操作パネルカバーのスリット部に差し込んでオーバーレイシートを取り付けるので、オーバーレイシートをリベットだけで取り付ける場合よりも、さらに簡単な構造で、容易にその取り付け・取り外しができるようになる。
【0019】
本願の請求項7に記載の発明によれば、画像形成装置の操作パネルに上記の操作パネルカバーへのオーバーレイシートの取付構造を用いたので、使用済みの画像形成装置の製品リサイクルを促進させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態にかかる操作パネルを備えた画像形成装置の概略全体構成について説明する。図1は、画像形成装置を示す斜視図である。本発明にかかる画像形成装置としては、操作パネルを備えた画像形成装置であれば、コピー機やファクシミリ装置やプリンタ或いはこれらの機能を兼ね備えたいわゆる複合機のうちのいずれであっても良い。同図に示す画像形成装置100は、下段側に配置した記録部101と上段側に配置した読取部102とを備えて構成されている。記録部101には、記録装置103と給紙カセット104及び記録紙排出トレイ105が内装され、給紙カセット104内に収容されている用紙を記録装置103へ給紙し、該記録装置103で用紙への記録を行った後、用紙を記録紙排出トレイ105へ排出するように構成されている。
【0021】
一方、読取部102は、読取ケース106内に読取装置(図示せず)を収納しており、読取ケース106の上面側に設置したプラテンガラス(図示せず)上に載置された原稿を、読取装置で走査して読み取るようになっている。また、読取ケース106の上部には、その一辺を中心に開閉可能に取り付けられた原稿押えカバー107が配置され、該原稿押えカバー107でプラテンガラス上に載置された原稿を上方から押えるように構成している。さらに、原稿押えカバー107の一端部には、原稿を自動的に搬送する自動原稿搬送装置(ADF装置)108が付設されている。この自動原稿搬送装置108は、原稿供給トレイ109に載置された原稿を一枚ずつピックアップして、搬送装置(図示せず)で読取ケース106上面の一端部に設けられたADF読取部(図示せず)へ搬送し、静止状態の読取装置で原稿を読み取った後、原稿押えカバー107の上面に設けた原稿排出トレイ110へ排出するように構成している。このように、読取部102は、読取装置を走査させて静止原稿を読み取るフラットベッドタイプのスキャナとしても、読取装置の位置を固定して原稿を給送しながら読み取りを行うシートフィードタイプのスキャナとしても用いることができるように構成されている。
【0022】
そして、読取ケース106の一方の側部(画像形成装置100の前面側の側部)には、操作パネル1が設置されている。図2は、操作パネル1の外観構成を示す斜視図である。この操作パネル1には操作パネルカバー10が装着されていて、該操作パネルカバー10の上面10aの略中央位置には、画像形成装置100の動作状態や設定状態などの各種情報を表示する表示部3が設けられていて、表示部3の周囲には、各種操作キー2やランプ点灯部4などが配列されている。各種操作キー2には、原稿内容のファクシミリ送信やコピーを開始するためのスタートキー2aや、ファクシミリ送信先へダイヤルしたりコピー枚数を設定したりするためのテンキー2bや、画像形成装置100の各種設定や先に入力した操作内容をリセットするためのリセットキー2cや、表示部3の表示濃度を調節するための表示調節キー2dなどがある。そして、これら各種操作キー2や表示部3の周囲に、文字や記号や図柄が印刷形成されたオーバーレイシート20が取り付けられている。このオーバーレイシート20は、下記で詳細に説明するように、複数個(本実施形態では6個)のリベット30で操作パネルカバー10の上面10aに取り付けられている。
【0023】
またこの操作パネル1には、ワンタッチキー配列部5が設けられている。このワンタッチキー配列部5には開閉カバー5aが取り付けられており、図示は省略するが、開閉カバー5aの下側に複数のワンタッチキーが配列されている。ワンタッチキーは、ファクシミリ送信の相手先を予め登録しておき、ワンタッチ操作で当該相手先へのファクシミリ送信を行える機能などを備えた操作キーである。
【0024】
次に、操作パネル1の詳細構造について説明する。図3は、操作パネル1の構成部品を示す分解斜視図である。同図に示すように操作パネル1は、操作パネルカバー10と、操作パネルカバー10にリベット30で取り付けられているオーバーレイシート20と、操作パネルカバー10の下面側に取り付けられるキートップ40と、液晶表示器50と、回路基盤60と、下カバー70とを備えて構成されている。以下、各構成部品について説明する。なお、以下ではワンタッチキー配列部5の説明は省略する。
【0025】
操作パネルカバー10は、ABSなどの樹脂製の成形品で、操作パネル1の上側全体を覆う略長方形の平板状に形成されている。そして、操作パネル1における各種操作キー2の位置に、キートップ40の下記する操作キー部45を挿通する貫通穴からなる操作キー挿通部12が形成されている。また表示部3に対応する位置には、下記する液晶表示器50の表示面50aを露出させる開口部13が形成されている。またランプ点灯部4に対応する位置には、貫通穴からなるLEDランプ挿入部14が形成されている。また、この操作パネルカバー10の上面10aには、略長方形の凹部状に形成されたオーバーレイシート取付部11が設けられている。そしてオーバーレイシート取付部11内の四隅の近傍位置と、長手方向の両辺の中間部の近傍位置の合計6箇所には、貫通穴からなるリベット挿通部15が形成されている。
【0026】
オーバーレイシート20は、PETやポリカーボネイト或いはABSなどの樹脂製の透明又は半透明のシート状部材で、その外形が操作パネルカバー10のオーバーレイシート取付部11の内形と略一致する長方形状に形成されている。そして操作パネルカバー10の操作キー挿通部12や開口部13に対応する位置に、それぞれ切り抜きからなる操作キー挿通部22や開口部23が形成されている。また、操作パネルカバー10の各リベット挿通部15に対応する6箇所の位置には、貫通穴からなるリベット挿通部25が形成されている。そして、図示は省略するが、このオーバーレイシート20の下面20bの所定位置には、文字や記号や図柄が印刷形成されている。一方で、このオーバーレイシート20の下面20bのうち、操作パネル1のランプ点灯部4に対応する位置には図柄などが印刷形成されておらず、この部分は透明又は半透明で、下記するLEDランプ62の光を透過させる透光部24になっている。
【0027】
図4は、リベット30を示す図で、同図(a)は斜視図、同図(b)は同図(a)のA−A断面図である。リベット30は、ポリエチレンなど弾性を有する樹脂製の成形品で、同図に示すように、円形平板状の頭部31と、該頭部31の下面に一体形成されたスナップフィット係合爪32とを備えている。スナップフィット係合爪32は、頭部31の下面31aから垂下する略円筒形状の軸部33と、該軸部33の下端部の外周に形成した外側に向かってつば状に突出する爪部34とを備えている。そして、これら軸部33と爪部34が、軸部33の軸方向(上下方向)に沿って形成したスリット部35で左右に二分割されている。これにより、爪部34が外側から押されると、軸部33がスリット部35の幅寸法分だけ内側に弾性変形するように構成されている。また、爪部34の上面外周は、下記で説明するように操作パネルカバー10の下面10bに係合する段部34aになっている。
【0028】
図3に戻り、各キートップ40は、樹脂製又はゴム製で、いずれも平板状の基部41の上面に、一又は複数の突起状の操作キー部45を設置した形状に形成されている。液晶表示器50は、表示面50aを備えた表示装置であり、取付具51を介して回路基盤60上に固定されるようになっている。回路基盤60は、配線回路が形成されている硬質基盤で、上面の各種操作キー2に対応する位置にスイッチ61が実装され、操作パネルカバー10のLEDランプ挿入部14に対応する位置にLEDランプ62が実装されている。下カバー70は、操作パネルカバー10の下面10bと一致する外形を有する平板状の樹脂製の成形品である。なおこの下カバー70は、上記の読取ケース106の側部に一体に形成したものであってもよい。
【0029】
次に、操作パネル1の組立手順を説明する。まず、操作パネルカバー10のオーバーレイシート取付部11にオーバーレイシート20を載置する。このとき、オーバーレイシート取付部11の内周の形状とオーバーレイシート20の外周の形状とが略一致しているので、操作キー挿通部12と操作キー挿通部22、及び開口部13と開口部23の位置が一致する。また、操作パネルカバー10のLEDランプ挿入部14とオーバーレイシート20の透光部24の位置が一致すると共に、操作パネルカバー10の各リベット挿通部15と、対応するオーバーレイシート20の各リベット挿通部25の位置も一致する。その状態で、オーバーレイシート20の上面側からリベット挿通部25とリベット挿通部15とにリベット30のスナップフィット係合爪32を挿入し、リベット30の頭部31を押圧してスナップフィット係合爪32をさらに奥へ押し込む。
【0030】
図5は、操作パネルカバー10とオーバーレイシート20のリベット挿通部15,25にリベット30を取り付けた状態を示す側断面図である。同図に示すように、リベット挿通部15,25に押し込まれたスナップフィット係合爪32は、その爪部34がリベット挿通部15の内壁で押されて軸部33が内側に撓んだ状態でリベット挿通部15を通過し、該爪部34が操作パネルカバー10の下面10b側に突出したら、軸部33が弾性で元の形状に復帰することで、段部34aが操作パネルカバー10の下面10bのリベット挿通部25の縁部に係合して固定される。6個のリベット30をすべて同様の方法で固定する。これにより、オーバーレイシート20がリベット30の頭部31で操作パネルカバー10の上面10a(オーバーレイシート取付部11)に押し付けられた状態で、オーバーレイシート20と操作パネルカバー10とが密着固定される。
【0031】
次に、操作パネルカバー10の下面10b側から操作キー挿通部12に操作キー部45を挿通して各キートップ40を取り付ける。一方で、回路基盤60上に取付具51を介して液晶表示器50を取り付け、操作パネルカバー10の下面10b側にこの回路基盤60を配置し、該回路基盤60を図示しないネジなどの締結手段で操作パネルカバー10に固定する。この際、液晶表示器50の表示面50aが操作パネルカバー10の開口部13内に配置され、各キートップ40の操作キー部45の下側に各スイッチ61が配置される。また、LEDランプ挿入部14内に、回路基盤60上に実装されたLEDランプ62が挿入配置される。そして、回路基盤60の下面側に下カバー70を配置してこれを操作パネルカバー10と一体に固定すれば、操作パネル1の組み立てが完了する。
【0032】
次に、使用済みの画像形成装置100を解体処分する際に、操作パネル1を分解する手順について説明する。操作パネル1を分解するには、まず操作パネルカバー10から下カバー70を取り外すと共に、回路基盤60及びその上に載置されているキートップ40や液晶表示器50なども取り外す。この状態で、オーバーレイシート20が取付固定されている操作パネルカバー10とその他の部品とが分離される。
【0033】
ここで、操作パネルカバー10の下面10b側に突出しているリベット30の爪部34を指や工具で摘むことで、左右の爪部34の間隔を縮めて段部34aの係合を解除する。その状態で、爪部34をリベット挿通部15内に押し込む。そうすると、リベット30の頭部31が上昇してオーバーレイシート20との間に隙間ができるので、頭部31を指や工具で摘んで引き上げれば、容易にリベット30を取り外すことができる。あるいは、ドライバーなどの棒状の工具でリベット挿通部15内の爪部34を押し上げてリベット30を取り外しても良い。6個のリベットを同様の手順で取り外せば、オーバーレイシート20と操作パネルカバー10が分離される。
【0034】
この操作パネル1では、オーバーレイシート20を、弾性を有するスナップフィット係合爪32を備えたリベット30で操作パネルカバー10に取り付けているので、操作パネル1を分解する際には、上記したように、リベット30を取り外すだけでオーバーレイシート20を操作パネルカバー10から取り外せるようになり、操作パネルカバー10とオーバーレイシート20を容易且つ確実に分離することが可能となる。したがって、操作パネルカバー10やオーバーレイシート20をリサイクル部品として有効に再利用することできるようになる。また一方で、リベット30による固定でオーバーレイシート20を操作パネルカバー10に取り付けるので、従来の接着剤による固定などと比較して、オーバーレイシート20の取付作業が簡単に行えるようになり、操作パネル1及びそれを備えた画像形成装置100の製造コストを低減することが可能となる。
【0035】
一方、リベット30とオーバーレイシート20と操作パネルカバー10とを、例えばいずれもABS樹脂材料で構成するなど同種の樹脂材料で構成するか、少なくとも互いに親和性のある樹脂材料で構成すれば、操作パネル1を処分する際に、オーバーレイシート20が装着された操作パネルカバー10をそれ以上分解せずに、そのままの状態でリサイクル部品として有効に再利用することができる。したがって、使用済みの画像形成装置100の製品リサイクルを促進させることができるようになる。
【0036】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本発明の第2実施形態では、上記の第1実施形態と同一又は相当する構成部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。また、以下で説明する事項以外の事項や図示する以外の部分は、上記の第1実施形態と同じである。以下の他の実施形態においても同様とする。図6は、本発明の第2実施形態にかかる画像形成装置の操作パネルに取り付けたリベットを示す側断面図である。本実施形態では、第1実施形態の操作パネル1に取り付けたリベット30に代えて、爪部34の段部34aの形状が異なる他のリベット30−2を用いたものである。このリベット30−2の段部34−2aは、下側に向かって次第に拡径するテーパ面形状に形成されている。
【0037】
本実施形態では、リベット30−2の段部34−2aを上記のような形状としたことで、リベット30−2を取り外す際に、爪部34−2を摘んでその幅を縮める工程を省略でき、そのまま爪部34−2をリベット挿通部15に押し込むようにするか、或いは、リベット30−2の頭部31を工具等で摘んで引き上げるだけで、段部34−2aのテーパ面に沿ってその係合を解除できるので、リベット30−2を容易に取り外すことができる。したがって、オーバーレイシート20の取り外し作業がさらに容易に行えて、操作パネルカバー10の分解作業の効率が向上する。
【0038】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図7は、本発明の第3実施形態にかかる画像形成装置の操作パネルに取り付けたリベットを示す側断面図である。本実施形態では、第1実施形態の操作パネル1に取り付けたリベット30に代えて、頭部31の下面31aの形状が異なる他のリベット30−3を用いたものである。このリベット30−3は、頭部31−3の下面31−3aに、細片状の工具を挿入するスリット状に形成された工具挿入溝36を設けている。この工具挿入溝36は、頭部31−3の下面31−3aをその外周から中心に向かって直線帯状に凹ませて形成したものである。
【0039】
本実施形態ではリベット30−3の頭部31−3に上記形状の工具挿入溝36を設けたことで、リベット30−3を取り外す際に、この工具挿入溝36にマイナスドライバーなどの細片状の工具を挿入して頭部31−3を持ち上げれば、段部34aの係合を解除してリベット30−3をリベット挿通部15,25から引き抜くことができる。したがって、オーバーレイシート20の取り外し作業がさらに容易に行えるようになって、操作パネル1の分解作業の効率が向上する。特に、操作パネルカバー10の上面10a側からの作業だけでリベット30−3を取り外すことができるので、操作パネル1の分解工程において操作パネルカバー10の下面10bが露出しない構造であっても、オーバーレイシート20と操作パネルカバー10との分離作業に支障が出ずに済み、操作パネル1の分解作業の効率が向上する。なお、本実施形態のリベット30−3に、第2実施形態のリベット30−2が備えるテーパ面形状の段部34−2aを合わせて採用すれば、リベット30−3の取り外し作業がさらに容易に行えるようになり、操作パネル1の分解作業の効率をさらに向上させることができる。
【0040】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図8は、本発明の第4実施形態にかかる画像形成装置の操作パネルに取り付けたリベットを示す側断面図である。本実施形態では、第1実施形態の操作パネル1に取り付けたリベット30に代えて、頭部31の形状が異なる他のリベット30−4を用いたものである。このリベット30−4は、その頭部31−4を上方に向かって凸となる半球型ドーム形状に形成したもので、該頭部31−4の外周部31−4aは、下端部が押し上げられることで容易に弾性変形するようになっている。またこのリベット30−4は、爪部34の段部34aと頭部31−4の外周部31−4aの下端との間の幅寸法が、オーバーレイシート20と操作パネルカバー10を合わせた厚み寸法よりも僅かに小さな寸法に形成されている。
【0041】
このリベット30−4は、上記の構成によって、取り付けの際にスナップフィット係合爪32の段部34aが操作パネルカバー10の下面10bに係合すると、頭部31−4の外周部31−4aが弾性変形によって若干拡径し、オーバーレイシート20を操作パネルカバー10に押え付けた状態で固定するようになっている。このように、操作パネルカバー10に装着したオーバーレイシート20がリベット30−4の頭部31−4で押さえられた状態になるので、オーバーレイシート20が操作パネルカバー10に密着固定され、装着後に容易にずれたりガタついたりするおそれがなくなる。
【0042】
〔第5実施形態〕
次に、本発明の第5実施形態について説明する。図9は、本発明の第5実施形態にかかる画像形成装置の操作パネルが備えるオーバーレイシートの操作パネルカバーへの装着状態を示す図である。本実施形態では、第1実施形態のオーバーレイシート20に代えて、リベット挿通部25から周縁部20−5aに連通する薄肉部26が形成されたオーバーレイシート20−5を用いたものである。薄肉部26は、リベット挿通部25からオーバーレイシート20−5の周縁部20−5aまで直線帯状に形成されたオーバーレイシート20−5の他の部分よりもその厚さ寸法が薄い部分である。また、図示は省略するが、他のリベット挿通部25にも同様の薄肉部26が形成されている。
【0043】
本実施形態では、オーバーレイシート20−5に上記のような薄肉部26を設けたことにより、操作パネル1を分解する際に、オーバーレイシート20−5を引っ張るだけで、リベット30によって切断される薄肉部26に沿って、リベット30がリベット挿通部25から抜けるので、リベット30を取り外す作業の手間が省け、オーバーレイシート20−5を操作パネルカバー10から容易に取り外すことができる。また、図示は省略するが、上記の薄肉部26に代えて、リベット挿通部25からオーバーレイシート20−5の周縁部20−5aまで直線帯状に形成された切込部を設けることも可能である。その場合でも、オーバーレイシート20−5を引っ張るだけでリベット30がリベット挿通部25から抜けるので、オーバーレイシート20−5を操作パネルカバー10から容易に取り外すことができる。なお、本実施形態では、操作パネルカバー10からリベット30を取り外さずに済むように、少なくとも操作パネルカバー10とリベット30とは、互いに親和性のある樹脂材料で構成することが望ましい。
【0044】
〔第6実施形態〕
次に、本発明の第6実施形態について説明する。図10は、本発明の第6実施形態にかかる画像形成装置の操作パネルが備えるオーバーレイシートの操作パネルカバーへの装着状態を示す図で、同図(a)はその斜視図、同図(b)は同図(a)のB−B部分の概略断面図である。なお、同図(a)では、オーバーレイシートを取り外した状態を示している。本実施形態では、第1実施形態の操作パネルカバー10に代えて、オーバーレイシート20の端辺20cを差し込むスリット部16を備えた他の操作パネルカバー10−6を用いたものである。この操作パネルカバー10−6のスリット部16は、オーバーレイシート取付部11におけるオーバーレイシート20の長手方向の一方の端辺20cに沿う辺に形成されている。また、本実施形態では、第1実施形態の操作パネル1が備える6個のリベット30のうち、オーバーレイシート20の端辺20cに沿う3個のリベット30を省略して、長手方向の他方の端辺20dに沿う残りの3個のリベット30のみを備えている。
【0045】
本実施形態では、オーバーレイシート20を、操作パネルカバー10−6のオーバーレイシート取付部11に載置する際に、その端辺20cをスリット部16に差し込む。その状態で3個のリベット30を固定することで、オーバーレイシート20を操作パネルカバー10−6上に取付固定する。このように、オーバーレイシート20の一の端辺20cを操作パネルカバー10−6のスリット部16に差し込んでオーバーレイシート20を取り付けるので、オーバーレイシート20をリベット30だけで取り付ける場合よりも、その取り付け・取り外しがさらに簡単に行えるようになる。また、異なる機種の画像形成装置に用いるデザインの違う操作パネルを製造する場合に、オーバーレイシート20の端辺20cの形状さえ共通にすれば、複数種類のオーバーレイシート20を同じ型の操作パネルカバー10−6に装着することが容易に行えるので、画像形成装置100の製造コストを抑制することが可能となる。また、図示は省略するが、操作パネルカバー10−6に設けるスリット部16は、上記のようにオーバーレイシート20の一の端辺20cのみを差し込むように構成する以外にも、二方の端辺、或いは三方の端辺を差し込むように構成することも可能である。
【0046】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書、図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお、直接明細書及び図面に記載のない何れの形状・構造・材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、操作パネルカバー10やオーバーレイシート20やリベット30の具体的な形状や材質は、上記実施形態に示すものには限定されない。なお、操作パネル1を分解する際に、オーバーレイシート20と操作パネルカバー10の分離が不要となるようにする場合でも、リベット30とオーバーレイシート20と操作パネルカバー10の三者を互いに親和性のある樹脂材料で構成すれば、これらは上記で例示した以外の他の種類の樹脂材料で構成してもよい。
【0047】
また、本発明の操作パネルカバーでは、接着剤による固定ではなくリベットによる固定でオーバーレイシートを操作パネルカバーに取り付けているので、下面に文字や図柄を印刷形成したオーバーレイシートを用いる以外にも、透明なオーバーレイシートと操作パネルカバーとの間に、文字や図柄を印刷した紙などのシート状部材を介在させることも可能である。そのようにすれば、シート状部材を交換することによって、操作パネル上の文字や図柄の変更が容易に行えるので、操作パネルの利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態にかかる操作パネル1を備えた画像形成装置100の概略全体構成を示す斜視図である。
【図2】操作パネル1の外観構成を示す斜視図である。
【図3】操作パネル1の構成部品を示す分解斜視図である。
【図4】リベット30を示す図で、同図(a)は斜視図、同図(b)は同図(a)のA−A断面図である。
【図5】オーバーレイシート20と操作パネルカバー10のリベット挿通部25,15に挿通して取り付けたリベット30を示す側断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態にかかる画像形成装置の操作パネルに取り付けたリベット30−2の構成を示す側断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態にかかる画像形成装置の操作パネルに取り付けたリベット30−3の構成を示す側断面図である。
【図8】本発明の第4実施形態にかかる画像形成装置の操作パネルに取り付けたリベット30−4の構成を示す側断面図である。
【図9】本発明の第5実施形態にかかる画像形成装置の操作パネルが備えるオーバーレイシート20−5の操作パネルカバー10への装着状態を示す図である。
【図10】本発明の第6実施形態にかかる画像形成装置の操作パネルが備えるオーバーレイシート20の操作パネルカバー10−6への装着状態を示す図で、同図(a)は斜視図、同図(b)は同図(a)のB−B部分の概略断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 操作パネル
2 各種操作キー
3 表示部
4 ランプ点灯部
5 ワンタッチキー配列部
10 操作パネルカバー
11 オーバーレイシート取付部
12 操作キー挿通部
13 開口部
15 リベット挿通部
16 スリット部
20 オーバーレイシート
20c 端辺
22 操作キー挿通部
23 開口部
25 リベット挿通部
26 切込部
30 リベット
31 頭部
32 スナップフィット係合爪
33 軸部
34 爪部
34a 段部
35 スリット部
36 工具挿入溝
40 キートップ
50 液晶表示器
60 回路基盤
70 下カバー
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作パネルの操作パネルカバーにオーバーレイシートを取り付ける操作パネルカバーへのオーバーレイシートの取付構造であって、
前記オーバーレイシートを、弾性を有するスナップフィット係合爪を備えたリベットで前記操作パネルカバーに取り付けることを特徴とする操作パネルカバーへのオーバーレイシートの取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の操作パネルカバーへのオーバーレイシートの取付構造において、
前記リベットと前記オーバーレイシートと前記操作パネルカバーとが、互いに親和性のある樹脂材料で構成されていることを特徴とする操作パネルカバーへのオーバーレイシートの取付構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の操作パネルカバーへのオーバーレイシートの取付構造において、
前記オーバーレイシートと前記操作パネルカバーとに前記リベットを挿通させる挿通部が形成されており、
前記リベットを、前記オーバーレイシートと前記操作パネルカバーの各挿通部に挿通して、該リベットのスナップフィット係合爪を前記操作パネルカバーに係合することを特徴とする操作パネルカバーへのオーバーレイシートの取付構造。
【請求項4】
請求項3に記載の操作パネルカバーへのオーバーレイシートの取付構造において、
前記リベットは、弾性を有する頭部を備え、
前記リベットのスナップフィット係合爪が前記操作パネルカバーに係合する際に、前記頭部が弾性変形して前記オーバーレイシートを押さえるように構成したことを特徴とする操作パネルカバーへのオーバーレイシートの取付構造。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の操作パネルカバーへのオーバーレイシートの取付構造において、
前記オーバーレイシートに、前記挿通部から該オーバーレイシートの周縁部に連通する薄肉部又は切込部が形成されていることを特徴とする操作パネルカバーへのオーバーレイシートの取付構造。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の操作パネルカバーへのオーバーレイシートの取付構造において、
前記操作パネルカバーに、前記オーバーレイシートの端辺を差し込むスリット部が形成されており、
前記オーバーレイシートの少なくとも一の端辺を前記スリット部に差し込んで前記オーバーレイシートを取り付けることを特徴とする操作パネルカバーへのオーバーレイシートの取付構造。
【請求項7】
操作パネルを備えた画像形成装置において、
前記操作パネルの操作パネルカバーにオーバーレイシートを取り付ける取付構造として、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の操作パネルカバーへのオーバーレイシートの取付構造を用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−87345(P2008−87345A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−271153(P2006−271153)
【出願日】平成18年10月2日(2006.10.2)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】