説明

操作表示装置

【課題】表示部と操作部とを兼ね備えたユーザインタフェースに対する遠隔操作を可能とすること。
【解決手段】監視操作画面表示装置100aと、ポインティングデバイス100bとを含み、監視操作画面表示装置100aは、LCD60の背面に配置され、光線を検知して検知信号を出力する光検知部70と、出力された検知信号に基づき、光線が検知された位置を示す座標情報を生成する検知信号処理部102と、座標情報と操作情報とが関連付けられた画面情報から操作情報を取得して出力する操作判定処理部103とを含み、ポインティングデバイス100bは、第一の操作態様に応じてポインティングレーザー光を照射する可視光照射部203と、第二の操作態様に応じて、光路がポインティングレーザー光と同じである操作レーザー光を照射する操作光照射部204とを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作表示装置に関し、特に、表示面に対する遠隔での操作が可能な表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話や自動販売機等の表示部に用いられる液晶表示装置には、画面上の位置情報入力手段が設けられたタッチパネル機能付きのものがある。そして、位置情報入力手段としては、例えば、光センサが用いられている場合がある。この場合、指操作による外光の影を光センサで感知するか、あるいは、バックライトからの光を反射させて反射光を検知することによって、表示画面における指や専用ペンの接触位置を検知している(例えば、特許文献1参照)。また、タッチパネルの検知精度及びタッチ感覚を向上するため、感圧式と光検知式とを組み合わせた態様も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
一方、今日のプレゼンテーション手段として、PC(Personal Computer)で資料を表示すると共に、液晶プロジェクタを用いてPCと同じ画面を映し出す手段がある。その際、プレゼンテーションの発表者がPCの操作部であるマウスやキーボードを使用することなく、プレゼン資料のページ送りやページ戻し、あるいはカーソルを操作できるレーザーポインタを含むシステムがある(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
このシステムは、レーザーポインタ内部に搭載されたワイヤレスリモコンが無線信号を発し、USB(Universal Serial Bus)等によってPCに取り付けられた受信部がその無線信号を受信し、PCの操作部であるマウスやキーボードの出力信号に変換する変換部が受信された無線信号を変換することによって実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−288956号公報
【特許文献2】特開2008−129574号公報
【特許文献3】特開2001−282424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、タッチパネルのような表示部と操作部とを兼ね備えたユーザインタフェースは様々な分野において用いられているが、例えば、工場等のプラントを制御するための制御端末において用いられている。プラントの各部の状態をモニターし、その結果に応じてパラメータの設定等を行うプラントの制御においては、上記タッチパネルのようなデバイスは有効である。しかしながら、プラントのオペレーターは、常にタッチパネルに向かって作業をしているとは限らず、タッチパネルに対する遠隔操作が求められる。
【0007】
ここで、上述したプレゼンテーションのシステムでの遠隔操作は、レーザーポインタから照射されるレーザーによって操作が実現されているわけではなく、内蔵されているリモコンによって操作が実現されており、表示面に対する直接の操作が可能となるものではない。また、表示面に対する直接の操作と同様の操作が可能となるようにレーザーポインタを構成するためには、多くの機能や操作ボタン類を搭載する必要があり、現実的ではない。
【0008】
また、上述したように、光を検知することによって表示面に対する操作を可能とする方法は既に提案されているが、いずれも、指やタッチペンなどを表示面に接触させることが前提となっており、レーザーによる遠隔操作が想定されたものではない。特に、表示面に対する操作を実現する場合、レーザーポインタからレーザーを照射していない状態からレーザーを照射する際、ユーザが所望の位置に向けてレーザーを照射したとしても、最初から所望の位置にレーザーが投射されるとは限らず、所望の位置から外れた位置に投射される可能性がある。
【0009】
そのため、レーザーポインタから照射されるレーザーを検知してそのまま操作情報とする構成とすると、誤操作の多い装置となってしまう。尚、表示部と操作部とを兼ね備えたユーザインタフェースに対する遠隔操作が求められるのは、上述したプラントの制御端末に限らず、プレゼンテーションシステム等、様々な分野において考えられる。
【0010】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、表示部と操作部とを兼ね備えたユーザインタフェースに対する遠隔操作を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、表示部を兼ねた操作面への遠隔からの光線による操作が可能な操作表示装置であって、前記表示部及び操作面を含む表示操作端末と、前記光線を照射する光照射器とを含み、前記表示操作端末は、画像を表示する表示面の背面に配置され、所定の波長範囲の光線を検知して検知信号を出力する光検知素子が前記表示面の全面にわたって配置された光検知部と、前記出力された検知信号に基づき、前記表示面において光線が検知された位置を示す検知位置情報を生成する検知信号処理部と、前記表示面における位置を示す情報と操作内容とが関連付けられた操作位置情報から、前記生成された検知位置情報が示す位置に関連付けられた操作内容を取得して出力する操作判定処理部とを含み、前記光照射器は、第一の操作態様に応じて、波長が前記所定の波長の範囲外である可視光を照射する可視光照射部と、第二の操作態様に応じて、波長が前記所定の波長の範囲内であって且つ光路が前記可視光と同じである光線を操作光として照射する操作光照射部とを含むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の他の態様は、表示部を兼ねた操作面への遠隔からの光線による操作が可能な操作表示装置であって、画像を表示する表示面の背面に配置され、所定の波長範囲であって且つ遠隔から照射された光線を検知して検知信号を出力する光検知素子が前記表示面の前面にわたって配置された光検知部と、前記出力された検知信号に基づき、前記表示面において光線が検知された位置を示す検知位置情報を生成する検知信号処理部と、前記表示面における位置を示す情報と操作内容とが関連付けられた操作位置情報から、前記生成された検知位置情報が示す位置に関連付けられた操作内容を取得して出力する操作判定処理部とを含み、前記光検知部は、前記光検知素子が出力する前記光線の波長を示す信号に基づき、前記光線の波長を示す波長情報を生成し、前記操作判定処理部は、前記光線の波長と操作の権限に関する情報とが関連付けられた操作権限情報から、前記生成された波長情報が示す波長に関連付けられた操作の権限に関する情報を取得し、前記取得した操作内容が前記操作の権限の範囲内である場合に、前記取得した操作内容を出力し、前記取得した操作内容が前記操作の権限の範囲外である場合に、前記取得した操作内容を破棄することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の更に他の態様は、表示部を兼ねた操作面への遠隔からの光線による操作が可能な操作表示装置であって、前記表示部及び操作面を含む表示操作端末と、前記光線を照射する光照射器とを含み、画像を表示する表示面の背面に配置され、所定の波長範囲であって且つ遠隔から照射された光線を検知して検知信号を出力する光検知素子が前記表示面の前面にわたって配置された光検知部と、前記出力された検知信号に基づき、前記表示面において光線が検知された位置を示す検知位置情報を生成する検知信号処理部と、前記表示面における位置を示す情報と操作内容とが関連付けられた操作位置情報から、前記生成された検知位置情報が示す位置に関連付けられた操作内容を取得して出力する操作判定処理部とを含み、前記光照射器は、前記光検知部を前記光線が検知可能な状態へ遷移させるための無線信号を発信する無線信号発信部を含み、前記光検知部は、前記無線信号に応じて前記光線を検知可能な状態となることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明を用いる事で、表示部と操作部とを兼ね備えたユーザインタフェースに対する遠隔操作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る操作表示装置が用いられたシステムの全体構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る監視操作画面表示装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る監視操作画面表示装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係るLCD及び光検知部が組み合わされた構成を示す正面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るLCD及び光検知部が組み合わされた構成を示す断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る画面情報の例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係るユーザ情報の例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係るポインティングデバイスの使用態様を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係るポインティングデバイスの機能構成を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る監視操作画面表示装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の他の実施形態に係るポインティングデバイスの機能構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本実施形態に係る操作表示装置について説明する。図1は、本実施形態に係る操作表示装置100が用いられたシステムの全体構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態においては、プラント機器であるフィールド装置121を制御するプラント監視制御装置120のユーザインタフェースとして操作表示装置100が用いられるシステムを例として説明する。そして、本実施形態に係る操作表示装置100は、表示面及び操作面であるパネルを含む表示操作端末である監視操作画面表示装置100a及び光照射器であるポインティングデバイス100bによって構成される。
【0017】
本実施形態に係る監視操作画面表示装置100aは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによってその機能が実現される。先ず図2を参照して、監視操作画面表示装置100aのハードウェア構成について説明する。図2に示すように、本実施形態に係る監視操作画面表示装置100aは、一般的なPC(Personal Computer)やサーバ等の情報処理装置と同様の構成を有する。即ち、本実施形態に係る監視操作画面表示装置100aは、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)20、ROM(Read Only Memory)30、HDD(Hard Disk Drive)40及びI/F50がバス90を介して接続されている。また、I/F50にはLCD(Liquid Crystal Display)60、光検知部70及び操作部80が接続されている。
【0018】
CPU10は演算手段であり、監視操作画面表示装置100a全体の動作を制御する。RAM20は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM30は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD40は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納されている。
【0019】
I/F50は、バス90と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD60は、ユーザが情報管理サーバ1の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。光検知部70は、表示面であるLD60に対して照射されたポインティングデバイス100bのレーザー光を検知して検知信号を出力する専用のハードウェアデバイスである。操作部80は、キーボードやマウス等、ユーザが情報管理サーバ1に情報を入力するためのユーザインタフェースである
【0020】
このようなハードウェア構成において、ROM30やHDD40若しくは図示しない光学ディスク等の記憶媒体に格納されたプログラムがRAM20に読み出され、CPU10の制御に従って動作することにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係る監視操作画面表示装置100aの機能を実現する機能ブロックが構成される。
【0021】
次に、本実施形態に係る監視操作画面表示装置100aの機能構成について、図3を参照して説明する。図3に示すように、監視操作画面表示装置100aは、図2において説明したLCD60及び光検知部70に加えて、コントローラ110を含む。そして、コントローラ110は、表示制御部101、検知信号処理部102、操作判定処理部103、情報記憶部104及び通信処理部105を含む。
【0022】
図3に示すように、本実施形態に係るLCD60と光検知部70とは、一体に組み合わせられて構成される。図4は、本実施形態に係る監視操作画面表示装置100aにおいてLCD60と光検知部70とが組み合わせられた構成を正面からみた状態を示す図である。図4においては、LCD60の一部を省略してその奥に配置された光検知部70を示している。
【0023】
図4に示すように、LCD60及び光検知部70は、方形で板状のデバイスであり、その板面が重ね合わせられて配置される。本実施形態に係る光検知部70は、その板面の全体に光検知素子が配置されて構成されている。これにより、LCD60の全体において、ポインティングデバイス100bから照射されたレーザー光を検知することが可能となる。
【0024】
図5は、図4の切断線AA’における切断面を示す図である。図5に示すように、LCD60と光検知部70とが組み合わせられた構成においては、LCD60の全面側に透明基板300が配置されており、LCD60の表示面が保護されている。光検知部70は、LCD60の背面側に配置されており、レーザー光が照射された位置に配置されている光検知素子が、検知信号を出力する。また、本実施形態に係る光検知部70は、レーザー光を検知すると、検知したレーザー光の波長に応じた信号を特徴量信号として出力する。
【0025】
光検知部70の更に背面側には、検知信号処理部102が配置されており、光検知部70が出力する信号を処理してレーザー光によって操作された位置の座標を示す情報及びレーザー光の波長を示す情報を出力する。尚、本実施形態においては、図5に示すように、検知信号処理部102を専用のハードウェアとして説明するが、上述したように、ソフトウェアによって実現することも可能である。
【0026】
表示制御部101は、LCD60への画面表示を制御する制御部である。表示制御部101は、情報記憶部104に記憶されている画面情報に基づき、LCD60に表示させる画面の表示情報を生成して出力する。検知信号処理部102は、図5において説明した通り、光検知部70が出力する信号を処理して座標情報及び波長情報を出力する。
【0027】
操作判定処理部103は、検知信号処理部102が出力した座標情報に基づき、情報記憶部104に記憶されている情報を参照して、ユーザによる操作の内容を判断する。また、操作判定処理部103は、検知信号処理部102が出力した波長情報に基づき、情報記憶部104に記憶されている情報を参照して、操作を行ったユーザの操作権限を判断する。
【0028】
情報記憶部104は、上述したように様々な場面で参照される情報を記憶している記憶部である。以下、情報記憶部104に記憶されている情報について説明する。図6は、情報記憶部104に記憶されている情報のうち、LCD60に表示される画面の情報が記憶されている画面情報の例を示す図である。
【0029】
図6に示すように、本実施形態に係る画面情報は、LCD60に表示される画面の種類を識別するための“画面ID”と、夫々の画面において、LCD60の表示面の位置を示す“座標情報”と、夫々の画面におけるLCD60の表示面に位置に対する操作の内容を示す“操作情報”とが関連付けられた操作位置情報である。表示制御部101は、図6に示す画面情報を参照して、LCD60に表示させる画面の表示情報を生成する。また、操作判定処理部103は、図6に示す画面情報を参照して、検知信号処理部102から出力された座標信号に基づいて操作内容を判断する。
【0030】
図7は、情報記憶部104に記憶されている情報のうち、監視操作画面表示装置100aを操作するユーザの情報が記憶されているユーザ情報の例を示す図である。本実施形態に係る操作表示装置100において、ポインティングデバイス100bが監視操作画面表示装置100aに対して操作のために照射するレーザー光(以降、操作レーザー光とする)は、ポインティングデバイス100bの個体毎にその波長が異なる。そして、監視操作画面表示装置100aは、ポインティングデバイス100bの操作レーザー光の波長に基づいて、ユーザを識別する。
【0031】
そのため、図7に示すように、ユーザ情報は、ユーザを識別するための“ユーザID”と、そのユーザが所有しているポインティングデバイス100bが照射する操作レーザー光の“波長”と、そのユーザが許可されている操作を示す“権限情報”とが関連付けられている操作権限情報である。操作判定処理部103は、図7に示すユーザ情報を参照して、検知信号処理部102から出力された波長信号に基づいて、許可されるべき操作か否かを判断する。
【0032】
通信処理部105は、操作判定処理部103によって判断された操作内容が有効な操作であった場合に、その操作情報をプラント監視制御部120に送信する。通信処理部105は、例えば、USB(Universal Serial Bus)やPCI(Peripheral Component Interface)−express等の通信インタフェースによって実現される。
【0033】
次に、本実施形態に係るポインティングデバイス100bについて説明する。本実施形態に係るポインティングデバイス100bは、図1に示すように少なくとも2つのボタンを有する。そして、一方のボタンがユーザによって押された場合、ポインティングデバイス100bは、ポインティングのための可視光のレーザー(以降、ポインティングレーザー光とする)を照射する。このポインティングレーザー光は、光検知部70が反応しない光であり、ポインティングのためだけのレーザー光である。
【0034】
他方、上記ポインティングレーザー光が照射されるボタンとは異なるボタンがユーザによって押された場合、ポインティングデバイス100bは、上述した操作レーザー光を照射する。この照射レーザー光は、上記ポインティングレーザー光と同じ光路をたどり、ポインティングレーザー光とは波長の異なる光線である。即ち、ユーザがポインティングデバイス100bを操作してLCD60の表示面の一地点をポインティングしている状態において、他方のボタンを押して操作レーザー光を照射した場合、操作レーザー光は、ポインティングレーザー光がポインティングしている地点に到達する。
【0035】
尚、光検知部70による誤検知を防ぐため、操作レーザー光は照明器具等によって発生する光とは波長の異なる光線であることが好ましく、例えば赤外線を用いることができる。これにより、光検知部70の光検知素子が常にアクティブな状態であっても、ポインティングデバイス100bから照射される光線以外が光検知部70に入射することによる誤検知を避けることができる。
【0036】
このように、本実施形態に係るポインティングデバイス100bにおいては、光検知部70が反応しないポインティングのための可視光であるポインティングレーザー光と、光検知部70が反応する操作のための操作レーザー光とを、同じ光路で夫々照射することができる。ここで、本実施形態に係るポインティングデバイス100bの使用態様について説明する。図8(a)、(b)は、本実施形態に係るポインティングデバイス100bの使用態様を示す図である。
【0037】
ユーザは、まず、図8(a)に示すように、一方のボタンを押すことにより、ポインティングレーザー光によって操作するべき位置をポインティングする。この状態において、ユーザは、他方のボタンを押すことにより、図8(b)に示すようにポインティングデバイス100bから操作レーザー光を照射する。これにより、離れた位置からであっても、所望の位置に操作レーザー光を投射することが可能となる。尚、図8(a)、(b)に示すように、操作レーザー光が照射される際に、照射されているポインティングレーザー光の色を変化させることにより、操作が行われたことをユーザが目視で確認することができる。
【0038】
このような機能を実現するため、本実施形態に係るポインティングデバイス100bは、図8に示すような構成を有する。図8は、本実施形態に係るポインティングデバイス100bの機能構成を示すブロック図である。図8に示すように、ポインティングデバイス100bは、第一操作部201、第二操作部202、可視光照射部203及び操作光照射部204を含む。
【0039】
第1操作部201及び第二操作部202は、夫々可視光照射部203、操作光照射部204に接続されており、上述した2つのボタンに相当する。そして、可視光照射部203は、第一操作部に対する操作に応じて、上述した可視光であるポインティングレーザー光を照射すると共に、第二操作部に対する操作に応じて、ポインティングレーザー光の色を変化させる発光部である。また、操作光照射部204は、第二操作部202に対する操作に応じて、上述した操作レーザー光を照射する発光部である。
【0040】
次に、本実施形態に係る監視操作画面表示装置100aの動作について、図10のフローチャートを参照して説明する。図10のフローチャートは、光検知部70が操作レーザー光を検知した後のコントローラ110の動作を示すフローチャートである。図10に示すように、光検知部70が操作レーザー光を検知して検知信号及び波長信号を出力すると、検知信号処理部102が、検知信号及び波長信号を取得する(S1001)。
【0041】
そして、検知信号及び波長信号を取得した検知信号処理部102は、検知信号に基づいて操作位置の座標を特定すると共に、波長信号に基づいて検知された操作レーザー光の波長を特定する(S1002)。尚、検知信号処理部102は、操作位置の座標を特定する際、どの光検知素子が検知信号を出力したかに基づいて操作位置の座標を特定する。検知信号処理部102は、座標及び波長を特定すると、夫々座標情報、波長情報として操作判定処理部103に出力する。
【0042】
座標情報及び波長情報を取得した操作判定処理部103は、上述したように、情報記憶部104に記憶されている画面情報を参照し、座標情報が示す座標が含まれる範囲に関連付けられた操作情報を取得する(S1003)。この際、座標情報が示す座標が含まれる範囲に関連付けられた操作情報が登録されていなければ、そのまま処理を終了する。また、操作判定処理部103は、情報記憶部104に記憶されているユーザ情報を参照し、波長情報が示す波長に関連付けられているユーザの権限情報を参照する(S1004)。
【0043】
そして、操作判定処理部103は、S1003において取得した操作情報の操作が、S1004において取得した権限情報の権限において許可されているか否か判断する(S1005)。S1005の判断の結果、権限ありと判断した場合(S1005/YES)、即ち、画面情報から取得した操作情報が権限情報によって示される権限の範囲内であった場合、操作判定処理部103は、S1003において取得した操作情報を通信処理部105に出力し(S1006)、処理を終了する。
【0044】
他方、S1005の判断の結果、権限なしと判断した場合(S1005/NO)、即ち、画面情報から取得した操作情報が権限情報によって示される権限の範囲外であった場合、操作判定処理部103は、S1003において取得した操作情報を破棄し(S1007)、処理を終了する。この際、表示制御部101が、権限が与えられていないことを示す画面をLCD60に表示することにより、操作がキャンセルされたことをユーザに通知することができる。このような処理により、本実施形態に係る監視操作画面表示装置100aの動作が完了する。
【0045】
以上説明したように、本実施形態に係る操作表示装置においては、操作レーザー光を照射するポインティングデバイスが、操作レーザー光だけでなく、光検知部70によっては検知されないポインティングのための可視光であるポインティングレーザー光を照射する機能を有する。そして、操作レーザー光とポインティングレーザー光との光路が同一であるため、ユーザは、ポインティングレーザー光で所望の位置をポインティングした上で、操作レーザー光を照射することが可能であり、誤操作を回避することができる。
【0046】
また、本実施形態においては、個体毎に操作光照射部204が照射する操作レーザー光の波長が異なるポインティングデバイス100bを、各ユーザ専用のポインティングデバイスとして配布しておく。これにより、監視操作画面表示装置100aにおいては、操作レーザー光の波長によって操作者を判別することが可能となり、操作者毎の操作権限の判断を容易に行うことが可能となる。
【0047】
尚、上記実施形態においては、光検知部70を構成する光検知素子に操作レーザー光が入射した場合に、光検知部70が検知信号を出力する場合を例として説明した。この場合においては、例えば、位置の光検知素子に一定時間以上操作レーザー光が入射し続けなければ、マウスクリックと同様の操作をしたことにはならないような処理を行うことが考えられる。具体的には、検知信号処理部102が、一の光検知素子による検知信号が一定時間以上出力された場合にのみ、座標情報を生成する等の処理が考えられる。これにより、操作レーザー光として用いられている波長帯の光が偶然入射してしまった場合であっても、誤操作を防ぐことができる。
【0048】
また、上記実施形態においては、光検知部70による検知信号に従って検知信号処理部102が座標情報を生成し、生成された座標におけるマウスクリックと同様の処理をを認識する場合を例として説明した。この他、操作レーザー光で画面上のある範囲を囲む操作等、操作レーザー光を動かす軌跡に対して画面操作を割り当てることも可能であり、操作におけるユーザの利便性を向上することができる。
【0049】
上述したような軌跡による操作を実現するためには、軌跡のパターンを示す情報と操作情報とを関連付けた情報(以降、軌跡操作情報とする)を情報記憶部104に記憶しておく。そして、操作判定処理部103が、検知信号処理部102から入力された座標情報が示す座標の軌跡と、軌跡操作情報に格納されている軌跡のパターンとをマッチングすることにより軌跡を判定し、その軌跡に関連付けられた操作情報を取得することにより実現可能である。
【0050】
また、ポインティングデバイス100bの操作レーザー光によって操作された信号と、監視操作画面表示装置に接続されたキーボードやマウスからの信号が競合した場合には、キーボードやマウスからの信号を優先して取り扱うように構成することも可能である。
【0051】
また、上記実施形態においては、図1及び図9において説明したように、ポインティングレーザー光を照射するための操作部と操作レーザー光を照射するための操作部とが夫々異なる場合を例として説明した。この他、操作するポイントとしては1つであり、その操作態様を変えることによって操作レーザー光の照射とポインティングレーザー光の照射とを切り替えても良い。
【0052】
例えば、一のボタンについて2段階の押下態様が設けられており、1段階の押下態様によって先ずはポインティングレーザー光が照射され、2段階目の押下態様によって操作レーザー光が照射されるようにしても良い。また、一のボタンについて、ボタンの押下によりポインティングレーザー光が照射され、その状態からボタンをスライドさせることにより操作レーザー光が照射されるようにしても良い。どのような態様であっても、ポインティングデバイス100bが、2通り以上の操作態様を搭載することにより、ポインティングレーザー光の照射と操作レーザー光の照射とを切り替えることが可能であり、上記と同様の効果を得ることができる。
【0053】
また、上記実施形態においては、光検知部70が常に入射光を検知可能なアクティブな状態であり、検知範囲の波長帯の光が入射したら常に検知信号を出力することを前提として説明した。この他、ポインティングデバイス100bによる操作のみによって光検知部70をアクティブにすることも可能である。そのような例について、図11に示す。
【0054】
図11は、ポインティングデバイス100bによる操作の際にのみ光検知部70をアクティブにする態様におけるポインティングデバイス100bの機能構成を示す図である。図11に示す態様に係るポインティングデバイス100bは、図9の態様に加えて、信号出力部205を含む。
【0055】
信号出力部205は、第一操作部201が操作された場合に、光検知部70をアクティブにするための無線信号(以降、アクティブ化信号とする)を出力する無線信号発信部である。これにより、第一操作部201が操作された場合、可視光照射部203がポインティングレーザー光を照射するだけでなく、信号出力部205がアクティブ化信号を発信する。これにより、光検知部70がアクティブになり、次に照射される操作レーザー光を検知するための状態が整う。
【0056】
このような態様により、デフォルトの状態では光検知部70が光線を検知可能な状態とはなっておらず、誤検知を更に確実に回避することができ、ポインティングデバイス100bによる操作を行う際には、確実に光検知部70をアクティブ化し、検知漏れを回避することができる。
【0057】
尚、信号出力部205が、第一操作部201に対する操作に応じてアクティブ化信号を発信することにより、操作レーザー光が照射されるよりも前に光検知部70をアクティブにすることができ、検知漏れを回避することができるが、少なくとも第二操作部202に対する操作の間に光検知部70がアクティブであればよく、信号出力部205が、第二操作部202に対する操作に応じてアクティブ化信号を発信しても良い。
【0058】
また、第一操作部201、第二操作部202とは異なる他の操作部への操作に応じてアクティブ化信号を発信しても良い。この場合、第一操作部201、第二操作部202という異なる二つの操作態様は必ずしも必要ではない。即ち、信号出力部205及びその無線信号に応じて光検知部70をアクティブ化する構成は、図9に示すポインティングデバイス100bの有無に関わらず採用することが可能である。
【0059】
また、本実施形態においては、上述したように、操作判定処理部103が、操作レーザー光の波長に応じて操作権限を判断する。即ち、操作判定処理部103が、操作レーザー光の波長に応じてユーザ認証を行った上で、操作の有効/無効を判断する。そのため、本実施形態に係る操作表示装置においては、パスワード入力等の煩雑な操作が不要であり、遠隔からの操作であってもユーザ権限を判断した上での迅速な操作が可能となる。この構成は、図9に示すポインティングデバイス100bの有無に関わらず採用することが可能である。
【符号の説明】
【0060】
10 CPU
20 RAM
30 ROM
40 HDD
50 I/F
60 LCD
70 操作部
80 バス
100 操作表示装置
100a 監視操作画面表示装置
100b ポインティングデバイス
101 表示制御部
102 検知信号処理部
103 操作判定処理部
104 情報記憶部
105 通信処理部
110 コントローラ
201 第一操作部
202 第二操作部
203 可視光照射部
204 操作光照射部
205 信号出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部を兼ねた操作面への遠隔からの光線による操作が可能な操作表示装置であって、
前記表示部及び操作面を含む表示操作端末と、前記光線を照射する光照射器とを含み、
前記表示操作端末は、
画像を表示する表示面の背面に配置され、所定の波長範囲の光線を検知して検知信号を出力する光検知素子が前記表示面の全面にわたって配置された光検知部と、
前記出力された検知信号に基づき、前記表示面において光線が検知された位置を示す検知位置情報を生成する検知信号処理部と、
前記表示面における位置を示す情報と操作内容とが関連付けられた操作位置情報から、前記生成された検知位置情報が示す位置に関連付けられた操作内容を取得して出力する操作判定処理部とを含み、
前記光照射器は、
第一の操作態様に応じて、波長が前記所定の波長の範囲外である可視光を照射する可視光照射部と、
第二の操作態様に応じて、波長が前記所定の波長の範囲内であって且つ光路が前記可視光と同じである光線を操作光として照射する操作光照射部とを含むことを特徴とする操作表示装置。
【請求項2】
前記可視光照射部は、前記第二の操作態様に応じて、照射する可視光の色を変化させることを特徴とする請求項1に記載の操作表示装置。
【請求項3】
前記光検知部は、前記光検知素子が出力する前記光線の波長を示す信号に基づき、前記光線の波長を示す波長情報を生成し、
前記操作判定処理部は、前記光線の波長と操作の権限に関する情報とが関連付けられた操作権限情報から、前記生成された波長情報が示す波長に関連付けられた操作の権限に関する情報を取得し、前記取得した操作内容が前記操作の権限の範囲内である場合に、前記取得した操作内容を出力し、前記取得した操作内容が前記操作の権限の範囲外である場合に、前記取得した操作内容を破棄することを特徴とする請求項1または2に記載の操作表示装置。
【請求項4】
前記操作権限情報は、前記光線の波長と前記光照射器を使用しているユーザを識別する情報とが関連付けられたユーザ情報であることを特徴とする請求項3に記載の操作表示装置。
【請求項5】
前記光照射器は、前記光検知部を前記光線が検知可能な状態へ遷移させるための無線信号を発信する無線信号発信部を含み、
前記光検知部は、前記無線信号に応じて前記光線を検知可能な状態となることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項に記載の操作表示装置。
【請求項6】
前記無線信号発信部は、前記第一の操作態様に応じて前記無線信号を発信することを特徴とする請求項5に記載の操作表示装置。
【請求項7】
表示部を兼ねた操作面への遠隔からの光線による操作が可能な操作表示装置であって、
画像を表示する表示面の背面に配置され、所定の波長範囲であって且つ遠隔から照射された光線を検知して検知信号を出力する光検知素子が前記表示面の前面にわたって配置された光検知部と、
前記出力された検知信号に基づき、前記表示面において光線が検知された位置を示す検知位置情報を生成する検知信号処理部と、
前記表示面における位置を示す情報と操作内容とが関連付けられた操作位置情報から、前記生成された検知位置情報が示す位置に関連付けられた操作内容を取得して出力する操作判定処理部とを含み、
前記光検知部は、前記光検知素子が出力する前記光線の波長を示す信号に基づき、前記光線の波長を示す波長情報を生成し、
前記操作判定処理部は、前記光線の波長と操作の権限に関する情報とが関連付けられた操作権限情報から、前記生成された波長情報が示す波長に関連付けられた操作の権限に関する情報を取得し、前記取得した操作内容が前記操作の権限の範囲内である場合に、前記取得した操作内容を出力し、前記取得した操作内容が前記操作の権限の範囲外である場合に、前記取得した操作内容を破棄することを特徴とする操作表示装置。
【請求項8】
表示部を兼ねた操作面への遠隔からの光線による操作が可能な操作表示装置であって、
前記表示部及び操作面を含む表示操作端末と、前記光線を照射する光照射器とを含み、
画像を表示する表示面の背面に配置され、所定の波長範囲であって且つ遠隔から照射された光線を検知して検知信号を出力する光検知素子が前記表示面の前面にわたって配置された光検知部と、
前記出力された検知信号に基づき、前記表示面において光線が検知された位置を示す検知位置情報を生成する検知信号処理部と、
前記表示面における位置を示す情報と操作内容とが関連付けられた操作位置情報から、前記生成された検知位置情報が示す位置に関連付けられた操作内容を取得して出力する操作判定処理部とを含み、
前記光照射器は、前記光検知部を前記光線が検知可能な状態へ遷移させるための無線信号を発信する無線信号発信部を含み、
前記光検知部は、前記無線信号に応じて前記光線を検知可能な状態となることを特徴とする操作表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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