説明

操作装置およびこれを備えた電子機器

【課題】スイッチから離れた複数の場所を選択的かつ安定して発光させることが可能な薄型の操作装置を提供する。
【解決手段】凹部が形成された導光性を有する樹脂シートと、スイッチおよび光源が配備された電気配線基板とを、スイッチおよび光源が凹部によって覆われるように積層し、凹部に相当する領域を外側から押下することによってスイッチの切り替えが可能な構成とする。この際、光源からの光が、樹脂シートの凹部に相当する領域から表面に透過するのを防ぐための遮光部と、光源からの光を、凹部に相当する領域の外側であって樹脂シートの表面に形成された表示部へ導くための反射面を配備する。これにより、多くの光を凹部表面からもらすことなく、反射板を介して確実に表示部まで到達させることが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は本体装置を制御する操作キーに裏側から光を照射して、視覚的に確認することができる自照のキーを用いた操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本体装置を制御するための操作パネルにおいては、操作キーとこれをカバーする材料とを一体的に樹脂成形することで、部品点数を減らして製品のコストを下げる構成が知られている。このような操作パネルでは、操作キーとカバーの隙間を少なくして薄膜化したシームレス構成にすることにより、防塵性、防水性、耐静電性を向上させることができる。
【0003】
例えば特許文献1には、発光素子やスイッチ素子(操作キー)を設けた基板に対し、複数の凹部を形成した樹脂シート(カバー)を、当該凹部が発光素子とスイッチ素子を夫々覆うように基板と樹脂シートを積層構成した自照キーが開示されている。このような特許文献1では、可撓性と導光性を有する樹脂シートが使用されており、ユーザは樹脂シートを透過する発光素子の光を確認し、樹脂シートの凹部に配置されたスイッチ素子を押下することによって、装置を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−109334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示された操作パネルでは、可撓性の大きな樹脂シートを使用しているため、特に凹部における強度が低く、スイッチの押下によって発光素子が発する光の透過状態、すなわち視覚上の発光が変化しやすいという解決すべき課題がある。また、発光箇所と押下箇所が1対1の構成であるので、スイッチから離れた複数の場所を選択的に発光させる等の制御を行うことは出来ないという解決すべき課題がある。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものである。本発明の目的とするところは、スイッチから離れた場所を選択的かつ安定して発光させることが可能な操作装置およびこの操作装置を備えた電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために本発明は、凹部が形成された導光性を有する樹脂シートと、スイッチおよび光源が搭載された基板とを、前記スイッチおよび前記光源が前記凹部によって覆われるように積層することによって構成されており、前記樹脂シートの前記凹部に相当する領域が外側から押されることによってスイッチの入力がなされる操作装置であって、前記光源からの光が、前記樹脂シートの前記凹部に相当する領域から表面に透過するのを防ぐための遮光部と、前記光源からの光を、前記凹部に相当する領域の外側であって前記樹脂シートの表面に形成された表示部へ導くための反射面とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、スイッチから離れた場所を選択的かつ安定して発光させることが可能な薄型の操作装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)および(b)は、操作パネル1の上面図および断面図である。
【図2】実施例1における光源と対応する導光部の経路を説明するための図である。
【図3】実施例2における光源と対応する導光部の経路を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。本実施形態の操作パネル(操作装置)は、操作パネルを備えた種々の電子機器に広く適用することができる。操作パネルを備えた電子機器の一例として、マルチファンクションプリンタ、カメラ、通信端末機器、計測機器、表示機器、生産機器などが挙げられる。
【0011】
<実施例1>
図1(a)および(b)は、本実施例の操作装置である操作パネル1の上面図およびC−C断面図である。操作パネル1は、各種素子が電気的に配備された操作パネル基板3とこれをカバーする操作カバー2とが積層されることで構成され、両者はビス等によって固定されている。
【0012】
操作パネル基板3は、装置の情報をユーザに通知したりユーザからのコマンドを受信したりするための電気配線基板であり、装置本体と電気的に接続されている。操作パネル基板3には、複数の光源6、ドーム型押圧式のスイッチ7が搭載されているとともに、制御部を構成する部品および接点12等を含む回路パターンが形成されている。光源6は、発光ダイオード(LED)であり、回路パターンから供給される電源によって発光する。スイッチ7は、導電性を有する弾性変形可能な材料で構成され、薄肉金属で中空の略半球薄肉形状(ドーム型)に形成されている。スイッチ7は、通常は図のようなドーム状の姿勢を維持しているが、ユーザが操作キー13を上面から押下することにより弾性変形し、スイッチ7の下方に配備されている接点12に接触する。これにより、二つの接点12が互いに導通してスイッチの入力がなされ、装置本体において所定の制御が実行される仕組みになっている。
【0013】
本実施例の操作カバー2は、樹脂成型処理が可能な例えばPC樹脂やアクリル樹脂等の樹脂シートで成り、肉厚が約0.5mmの場合には、ある程度の可撓性を備え、全光線透過率約90%程度の物性値を有するものとする。本実施例において操作カバー2の基本的肉厚は約2.5mmとし、この肉厚においても、光は透過する。
【0014】
操作カバー2は、成型処理されることによって凹部5が形成される。このような凹部5を形成することにより凹部5の底部分に薄肉部4が作られ、この薄肉部4の領域にキー13が配置されるように、操作カバー2とキー13は隙間の無いように一体的に成型されている。薄肉部4の厚みは0.5mm程度であり、上下方向への可撓性を有する領域となる。
【0015】
このように形成された操作カバー2の薄肉部4が、上述した光源6やスイッチ7の位置に合うように、操作カバー2と操作パネル基板3とをビス等で固定することにより、本実施例の操作パネル1が形成される。
【0016】
操作パネル1において、光源6の光は導光性を有する操作カバー2を透過して進む。この際、光の進路を制御するために、本実施例では、操作カバー2の必要な箇所に反射面10や遮光部11を配備している。具体的には、光源6の光が所定の表示部9以外から表面に漏れないようにするため、光源6から表示部9までの操作カバー2の表面に遮光性のある塗料を塗布或いは印刷し、遮光部11を形成しておく。これにより、操作カバー2の凹部5の周辺領域には事実上の導光部9が画成される。また、導光部9を進む光が表示部9に向かうように、表示部9の直下に反射面10を形成しておく。以上のような構成により、光源6で発光した光を、光源6やスイッチ7とは離れた表示部9まで確実に導くことが出来る。
【0017】
本実施例においては、凹部5に相当する領域の周辺外側には4つの表示部9(9a、9b、9c、9d)が用意され、装置の機能がいずれのモードに設定されているかを示すために使用される。この例では、マルチファンクションプリンタが有する複数の機能として、FAXモード、SCAN(画像読み取り)モード、コピーモード、カード(カードデータ読み取り)モードが用意される。図では現在FAXモードが設定されていることを示している。夫々の表示部に対応して、光源6も4つ用意されており、設定されたモードに対応した光源6に電力が供給される仕組みになっている。例えば、操作パネル1のキー13が3秒以上押されることにより、上記モードはシーケンシャルに切り替えられ、同時に発光する光源6も切り替えられる。
【0018】
図2は、4つの光源6とそれぞれに対応する導光部8の経路を説明するため、図1(b)のD方向から観察した場合の図である。図において、光源6aの発光面は凹部5の側面によって画成される入光部15aに対向しており、光源6aから発せられた光はスイッチ7の側部を通過して入光面15aに入射する。本実施例において、導光部8の入光面15は基本的に薄肉部4と垂直な平面に形成されており、光源6から発せられた光が垂直に入光するように、光源6の向きが固定されている。よって、入斜光の多くは入光部15aで反射せず導光部15aに進入し、その端部である反射面10まで進行する。その後反射面10aにて、図面垂直方向に向きが変えられ、操作パネル1の表面に配備された表示部9aより表面に進出する。本実施例では、導光部8を進む光が反射面10のほぼ中央で反射するように反射面10が位置合わせされており、表示部9a全体に一様に光が導光されるようになっている。このように表示部から発せられる光をユーザが目視することにより、装置が現在FAXモードであることを確認できるようになっている。他のモードについても同様である。
【0019】
<実施例2>
図3は、実施例2における4つの光源6とそれぞれに対応する導光部8の経路を説明するための上面図である。実施例1と異なる点は、入光面15が平面ではなく、光源6からの距離Rが一定な円弧状に形成されていることである。このような構成にすると、導光部8に入射した光をさらに拡散させることができるので、表示部9の面積が比較的大きい場合であっても、表示部全体を一様に発光させることができるようになる。
【0020】
逆に、表示部9の面積が比較的小さい場合は、発行部の光が表示部に集光されるように入光面15を凸型の曲面にすることも有効である。
【0021】
以上説明した本発明によれば、1つの凹部5の中に少なくとも1つのスイッチ7と光源6を配置していることにより、複数の凹部を配備した従来構成に比べてスペース効率を高めることができる。また、一般的な樹脂成型技術によって操作カバー2に薄肉部4を設け、これによりスイッチ7のON/OFFが可能な程度の可撓性を生み出しているので、操作パネル1全体については、従来よりも強度の高い状態で更に薄く製造することが可能となる。また、スイッチ7の押下に伴って入光面15が傾くことなく、発光の程度が変化することも回避できる。更に、本発明の操作パネルでは、成型処理可能な一般的な樹脂と、スイッチ7および光源6などが配備された配線基板とが、ビス止めで固定されて形成されている。よって、従来のように感光性を有する特殊なシート材料を露光したり、シート材量と電気基板とを接着剤を用いて接着したり、といった工程がなく、製造時のコストを大幅に削減することができる。
【0022】
その上で、表示部9の位置をスイッチや光源が配備された凹部5から分離しているので、操作カバー2を大きくすることなく、光源6から表示部9までの距離を従来よりも長くすることができる。その結果、進行中の光をある程度拡散し、表示部9の発光状態の均一化を促すこともできる。また、本実施例のように光源と当該光源に対応した反射面および表示部の組を複数用意することにより、1つの凹部5内の1つのスイッチ7によって、複数の表示部9を選択的に発光させることが可能となる。
【符号の説明】
【0023】
1 操作パネル(操作装置)
2 操作カバー
3 操作パネル基板
4 薄肉部
5 凹部
6 光源
7 スイッチ
8 導光部
9 表示部
10 反射面
11 遮光部
12 接点
13 キー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部が形成された導光性を有する樹脂シートと、スイッチおよび光源が搭載された基板とを、前記スイッチおよび前記光源が前記凹部によって覆われるように積層することによって構成されており、前記樹脂シートの前記凹部に相当する領域が外側から押されることによってスイッチの入力がなされる操作装置であって、
前記光源からの光が、前記樹脂シートの前記凹部に相当する領域から表面に透過するのを防ぐための遮光部と、
前記光源からの光を、前記凹部に相当する領域の外側であって前記樹脂シートの表面に形成された表示部へ導くための反射面と
を有することを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記光源と該光源に対応した前記反射面および前記表示部の組が複数用意されており、前記スイッチの入力によって、前記複数の光源のうち発光する光源が切り替わることにより、発光する前記表示部も切り替わることを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記光源から発光された光が前記凹部の側面に入射する領域における前記側面が、平面であることを特徴とする請求項1または2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記光源から発光された光が前記凹部の側面に入射する領域における前記側面が、前記光源からの距離が等しい曲面であることを特徴とする請求項1または2に記載の操作装置。
【請求項5】
前記光源から発光された光が前記凹部の側面に入射する領域における前記側面が、前記光源からの光を集光させるような凸型の曲面であることを特徴とする請求項1または2に記載の操作装置。
【請求項6】
前記凹部は前記樹脂シートの樹脂成型処理によって形成され、積層された前記樹脂シートと前記基板は、ビスによって固定されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の操作装置を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−243466(P2012−243466A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110668(P2011−110668)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】