説明

操作装置及び二輪車

【課題】ハンドルの回転をロックするロック装置の動作及び動作解除をユーザーが手元操作により行うことができると共に、誤操作によるハンドルのロックを防止する。
【解決手段】ハンドル14のグリップ20付近に取付けられた操作装置本体32には、操作レバー36が回動可能に設けられており、手元操作で操作レバー36をロック位置に移動させることによりインナワイヤ34Aを引いてロック装置18によりハンドル14の回転をロックする。操作装置本体32には、操作レバー36の移動をロックするセーフティ装置38と、手元操作によりセーフティ装置38のロックを解除する解除レバー40とが設けられている。操作レバー36の根元部36Bには第1ストッパ部36Cが設けられており、解除レバー40の第1当接部41Aがコイルバネ64の作用によって第1ストッパ部36Cに当接することによって、操作レバー36の移動が規制されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体フレームに対して相対回転するハンドルの回転をロックするロック装置を操作する操作装置、及びこの操作装置を備えた二輪車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、二輪車等の車体フレームのヘッド部分には、車体フレームに対して相対回転するハンドルの回転をロックするロック装置が設けられている。
【0003】
このようなロック装置としては、車体フレームのヘッド部分に設けられた玉受の外周を歯型状に形成し、歯型部を有する係合部材を玉受に係合させることにより、係合部材と連結されたハンドルをロックするものがある。車体フレームのヘッド部分には、係合部材を動作させるロックレバーが設けられており、ユーザーがロックレバーを操作することによってハンドルのロック又はロック解除を行うように構成されている(例えば特許文献1を参照)。
【0004】
しかし、このロック装置では、ハンドルをロックする際に、ユーザーがヘッド部分まで手を伸ばしてロックレバーを操作する必要があり、特に狭い駐輪場では操作しにくく不便である。また、ハンドルの上部に前かごを取り付けた自転車では、ロックレバーを操作する際に前かごが邪魔になる。
【0005】
このような不具合に対する対策として、ヘッド部分に設けられたロックレバーとスタンド装置に設けられた脚可動部とをワイヤで連結し、ユーザーがスタンドをかける操作と同時にハンドルのロック操作が行われるような自転車用のロック装置が提案されている(特許文献2を参照)。
【0006】
しかし、このロック装置では、駐輪の際に重い荷物や子供を前かごに乗せている状態でスタンドをかけようとすると、前かごの重みによりハンドルが回転し、不安定になって自転車が転倒するという危険がある。また、片方の手でハンドルを支えながら、もう一方の手と足でスタンドを掛ける必要があり、操作が不便である。
【0007】
一方、特許文献3には、自転車の前ホークの発電機取付板に配設された発電機の起倒操作を、ハンドルのグリップの近傍に装備される引起しレバーと解除レバーにより遠隔操作で行う装置が提案されている。しかし、この装置をハンドルのロック装置のロック及びロック解除を遠隔操作で行う操作装置に適用しようとすると、自転車の走行中などに誤ってレバーを操作したときに、ハンドルがいきなりロックされ、転倒などの危険性がある。このため、特許文献3に記載の装置をハンドルのロック装置を操作する操作装置に適用することはできない。
【特許文献1】特許第2861079号公報
【特許文献2】特開2004−322805号公報
【特許文献3】実用新案登録第2605815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ハンドルの回転をロックするロック装置の動作及び動作解除をユーザーが手元操作により行うことができるとともに、誤操作等によるハンドルのロックを防止できる操作装置及び二輪車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、車体フレームに対して相対回転するハンドルをロックするロック装置に接続され、前記ロック装置を動作及び動作解除する操作装置であって、前記ロック装置に接続され、前記ロック装置を動作させる操作部材と、前記操作部材に連結されると共に、前記ハンドルにロック位置とロック解除位置の間を手元操作で揺動可能に設けられ、前記ロック位置で前記操作部材を動作して前記ロック装置で前記ハンドルをロックさせ、前記ロック解除位置で前記操作部材を動作して前記ロック装置による前記ハンドルのロックを解除させる操作レバーと、前記ハンドルに設けられ、前記操作レバーの移動をロックするセーフティ機構と、前記ハンドルに揺動可能に設けられ、手元操作により前記セーフティ機構のロックを解除する解除レバーと、を有することを特徴としている。
【0010】
請求項1に記載の発明では、車体フレームに対して相対回転するハンドルをロックするロック装置に操作装置が接続されており、操作装置に設けられた操作部材によりロック装置を動作させ、ハンドルをロック又はロック解除する。ハンドルには、操作部材が連結された操作レバーがロック位置とロック解除位置の間を揺動可能に設けられており、ハンドルをロックするときは、ユーザーが手元操作により操作レバーをロック位置に移動させるが、操作レバーの移動はセーフティ機構によりロックされている。
【0011】
ハンドルには、解除レバーが揺動可能に設けられており、ユーザーが手元操作により解除レバーを移動させることにより、セーフティ機構のロックが解除され、操作レバーが移動可能な状態となる。この状態で、ユーザーが手元操作により操作レバーをロック位置に移動させることにより、操作部材が動作してロック装置でハンドルがロックされる。このため、ロック装置の動作及び動作解除をユーザーが手元操作により行うことができる。また、手元操作により解除レバーを移動させることで、セーフティ機構のロックが解除され、操作レバーが移動可能な状態となるので、二輪車の走行中などに操作レバーの誤操作又は不用意な操作によりハンドルがロックされることがなく、転倒などの危険性が防止される。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の操作装置において、前記操作レバーと前記解除レバーは、前記ハンドルに設けられた握り部の、当該握り部を握ったときに親指側となる側に設けられていることを特徴としている。
【0013】
請求項2に記載の発明では、操作レバーと解除レバーは、ハンドルに設けられた握り部の、当該握り部を握ったときに親指側となる側に設けられているので、ユーザーの手元操作により解除レバーを容易に移動させることができると共に、解除レバーによりセーフティ機構のロックを解除した状態でユーザーの手元操作により操作レバーを容易に移動させることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の操作装置において、前記セーフティ機構は、前記操作レバーに設けられ、前記解除レバーに形成された第1当接部が当接して前記操作レバーの移動を規制する第1ストッパ部と、前記解除レバーに当接して前記第1当接部が前記第1ストッパ部と当接する位置に前記解除レバーを保持するストッパと、前記ストッパと当接する方向に前記解除レバーを付勢する第1付勢部材と、を有することを特徴としている。
【0015】
請求項3に記載の発明では、第1付勢部材で解除レバーが付勢されて解除レバーがストッパに当接することによって、解除レバーに形成された第1当接部が操作レバーの第1ストッパ部と当接する位置に解除レバーが保持される。第1当接部が操作レバーの第1ストッパ部と当接することにより、操作レバーの移動が規制される。また、手元操作により解除レバーを移動させて、第1当接部と操作レバーの第1ストッパ部との当接を解除することにより、操作レバーが移動可能な状態となる。このため、構成を複雑化することなく、誤操作により操作レバーが移動してハンドルがロックされることを防止することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の操作装置において、前記ハンドルに設けられ、前記ロック解除位置の方向へ前記操作レバーを付勢する第2付勢部材と、前記操作レバーに設けられ、前記ロック位置で前記解除レバーに形成された第2当接部に当接して前記操作レバーの前記ロック解除位置への移動を規制する第2ストッパ部と、を有することを特徴としている。
【0017】
請求項4に記載の発明では、ハンドルに設けられた第2付勢部材によって、ロック解除位置の方向へ操作レバーが付勢されている。また、操作レバーには第2ストッパ部が設けられており、ロック位置で解除レバーに形成された第2当接部が第2ストッパ部に当接することにより、第2付勢部材による操作レバーのロック解除位置への移動が規制される。これにより、ロック装置によるハンドルのロックが維持される。また、ハンドルのロックを解除するときは、ユーザーが手元操作により解除レバーを移動させることで、第2当接部と操作レバーの第2ストッパ部との当接が解除され、第2付勢部材によって操作レバーがロック解除位置へ移動する。このため、ユーザーが手元操作により解除レバーを移動させることでハンドルのロックを解除することができ、操作性が良好となる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の操作装置において、前記ハンドルに設けられた取付部と、前記操作レバーの一端に形成され、前記取付部に回動可能に取付けられた円弧状部と、前記円弧状部の周縁に形成された目印と、前記取付部に鉛直方向に沿って形成され、前記目印と対向したときに前記操作レバーが前記ロック位置にあることを示すロック状態表示部、及び前記操作レバーが前記ロック解除位置にあることを示すロック解除状態表示部を備えた表示手段と、を有することを特徴としている。
【0019】
請求項5に記載の発明では、ハンドルに設けられた取付部に、操作レバーの一端に形成された円弧状部が回動可能に取付けられている。円弧状部の周縁には目印が形成されており、操作レバーのロック位置とロック解除位置への移動により円弧状部が回動して目印が移動する。取付部には鉛直方向に沿って、目印と対向したときに操作レバーがロック位置にあることを示すロック状態表示部、及び操作レバーがロック解除位置にあることを示すロック解除状態表示部を備えた表示手段が形成されており、目印がロック状態表示部と対向するときはハンドルがロック状態にあり、目印がロック解除状態表示部と対向するときはハンドルがロック解除状態にあることを確認できる。その際、取付部に鉛直方向に沿ってロック状態表示部及びロック解除状態表示部を形成することにより、二輪車のユーザーの視線の位置によって、目印とロック状態表示部及びロック解除状態表示部との位置関係がずれることを抑制することができる。このため、ユーザーがハンドルのロック状態とロック解除状態とを瞬時に判別できる。
【0020】
これに対して、例えば、円弧状部に形成された目印に対応して取付部に放射状のロック状態表示部及びロック解除状態表示部を設けた場合には、二輪車のユーザーの視線の位置によって、目印と放射状のロック状態表示部及びロック解除状態表示部との位置関係がずれ、ユーザーがロック状態とロック解除状態とを瞬時に判別しにくくなる。
【0021】
請求項6に記載の発明に係る二輪車は、車体フレームに対して相対回転するハンドルと、前記ハンドルをロックするロック装置と、前記ロック装置に接続され、前記ロック装置を動作及び動作解除する請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の操作装置と、前記ハンドルに設けられ、子供が着席可能な子供用椅子と、を備え、前記子供用椅子の後方側又は斜め後方側に位置する前記ハンドルに前記操作装置の前記操作レバーと前記解除レバーとが設けられていることを特徴としている。
【0022】
請求項6に記載の発明では、車体フレームに対して相対回転するハンドルをロックするロック装置の動作及び動作解除が、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の操作装置によって操作される。ハンドルには、子供が着席可能な子供用椅子が設けられており、子供用椅子の後方側又は斜め後方側に位置するハンドルに操作装置の操作レバーと解除レバーとが設けられている。これにより、子供用椅子に着席した子供の手が操作レバーと解除レバーに届きにくい。また、解除レバーの移動によりセーフティ機構のロックを解除した状態でなければ、操作レバーを移動することはできないので、子供がいたずら等により解除レバーと操作レバーとを操作してハンドルをロックすることを防止することができる。
【0023】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の二輪車において、前記解除レバーが、前記ハンドルの前記子供用椅子から遠い側に設けられていることを特徴としている。
【0024】
請求項7に記載の発明では、解除レバーが、ハンドルの子供用椅子から遠い側に設けられているので、子供用椅子に着席した子供の手が解除レバーにより一層届きにくい。このため、子供がいたずらによって解除レバーを操作してセーフティ機構のロックを解除したり、又はハンドルのロックが不用意に解除されることを防止又は抑制することができる。
【発明の効果】
【0025】
請求項1の発明に係る操作装置では、ユーザーの手元操作によりハンドルの回転のロック及びロック解除を行うことができる。また、操作レバーの誤操作等によりハンドルの回転がロックさせることを防止できる。
【0026】
請求項2の発明に係る操作装置では、ユーザーの手元操作により解除レバーと解除レバーの移動を容易に行うことができ、操作性が良好となる。
【0027】
請求項3の発明に係る操作装置では、誤操作等による操作レバーの移動を効果的に防止することができ、二輪車の走行中などにハンドルの回転がロックさせる危険性を防止することができる。
【0028】
請求項4の発明に係る操作装置では、解除レバーの手元操作により容易にハンドルのロックを解除することができ、操作性が良好となる。
【0029】
請求項5の発明に係る操作装置では、操作レバーの目印とロック状態表示部及びロック解除状態表示部との位置関係がずれることを抑制することができ、ユーザーが異なる方向から見た場合でもロック状態とロック解除状態とを瞬時に判別できる。
【0030】
請求項6の発明に係る二輪車では、ユーザーの手元操作によりハンドルの回転のロック及びロック解除を行うことができる。また、二輪車の走行中などに操作レバーの誤操作によりハンドルの回転がロックさせることを防止でき、転倒などの危険性を防止できる。
【0031】
請求項7の発明に係る二輪車では、子供がいたずらによってセーフティ機構のロックを解除したり、又はハンドルのロックが不用意に解除されることを防止又は抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0033】
図1には、本発明の一実施形態である操作装置30を用いた二輪車10の部分斜視図が示されている。また、図2及び図3には、図1に示す二輪車10を別の方向から見た斜視図が示されている。
【0034】
図1〜図3に示されるように、二輪車10は、車体フレームであるヘッドパイプ12の上部に相対回転可能に設けられたハンドル14と、ハンドル14の下部14Aから左右両側に屈曲した立上がり部14Bの間に設けられた子供用椅子16と、ハンドル14の下部14Aとヘッドパイプ12との連結部分に設けられたロック装置18と、ハンドル14の先端部に設けられた握り部としてのグリップ20と、一方のハンドル14のグリップ20の、当該グリップ20を握ったときに親指側となる側付近に取付けられた操作装置30と、を備えている。また、ハンドル14のグリップ20の下部には、ブレーキ操作のためのブレーキレバー24が取付部材26により取付けられている。
【0035】
子供用椅子16は、子供が着席可能な座部16Aと、座部16Aの後方側に配設された背凭れ部16Bと、背凭れ部16Bから座部16Aの両サイドに延びた側面部16Cと、側面部16Cの前方側に掛け渡された握り部16Dと、を備えている。子供用椅子16では、座部16Aに子供が着席して背凭れ部16Bに寄り掛かることができ、また、着席時に子供が握り部16Dを握って身体を支えることができる。
【0036】
ロック装置18は、操作装置30の操作により、ヘッドパイプ12に対して相対回転するハンドル14の回転をロック及びロック解除するものである。このロック装置18については後述する。
【0037】
図4及び図5に示されるように、操作装置30は、二輪車10のユーザーの手元部であるハンドル14のグリップ20の、当該グリップ20を握ったときに親指側となる側付近に取付けられた操作装置本体32と、操作装置本体32とロック装置18とを接続する操作部材としての操作ワイヤ34と、を備えている。操作ワイヤ34は、内部に挿通されたインナワイヤ34A(図6参照)が軸方向に移動してロック装置18を動作させるものである。操作装置本体32には、操作ワイヤ34のインナワイヤ34Aが連結されると共に、インナワイヤ34Aを移動させてロック装置18によりハンドル14をロックさせるロック位置と、インナワイヤ34Aを移動させてロック装置18によりハンドル14のロックを解除するロック解除位置との間を揺動する操作レバー36が設けられている。また、操作装置本体32には、操作レバー36の移動をロックするセーフティ機構としてのセーフティ装置38と、セーフティ装置38のロックを解除する解除レバー40と、が設けられている。
【0038】
図4〜図7に示されるように、操作装置本体32は、バンド状に形成されており、ハンドル14の周囲に巻き掛けられて固定されている。操作レバー36は、ハンドル14の幅方向内側(二輪車10に乗車しているユーザー側、すなわちグリップ20を握ったときに親指側となる側)の操作装置本体32に設けられており、操作レバー36の先端部36Aが二輪車10の後方側に斜め上方向に延びている。操作レバー36の先端部36Aと反対側には、円弧状部としての円形状の根元部36Bが形成されており、根元部36Bが操作装置本体32に設けられた取付部32Aに軸部42を中心に回動可能に支持されている。すなわち、操作レバー36は、軸部42を中心として先端部36Aがハンドル14の軸方向とほぼ平行に上下方向に回動するように支持されている。この操作レバー36は、ユーザーがハンドル14のグリップ20を握ったときに手元操作可能な位置に配設されており、本実施形態ではユーザーが親指で操作できる位置に設けられている。
【0039】
解除レバー40は、ハンドル14の幅方向外側(二輪車10に乗車しているユーザーと反対側)の操作装置本体32に設けられており、解除レバー40の先端部40Aが二輪車10の後方側に略水平方向に延びている。図6に示されるように、解除レバー40の根元部40Bは先端部40Aから直交する方向に折り曲げられており、根元部40Bが操作装置本体32の下部にハンドル14の軸方向とほぼ平行に配置された軸部44を中心に回動可能に支持されている。解除レバー40は、ユーザーがハンドル14のグリップ20を握ったときに手元操作可能な位置に配設されており、本実施形態ではユーザーが人差し指で操作できる位置に設けられている。
【0040】
図8−1及び図8−2に示されるように、操作装置30の操作装置本体32は、ハンドル14(図1等参照)に巻き掛けられる円弧状凹部48Aを備えた下側バンド部48と、ハンドル14に巻き掛けられる円弧状凹部50Aを備えた上側バンド部50と、を備えている。下側バンド部48と上側バンド部50は、両者の一端部にそれぞれ形成された孔に軸部51が取り付けられ、両者の他端部にそれぞれ形成された孔にボルト52が締結されることで、ハンドル14に取付けられるようになっている。下側バンド部48の幅方向内側(ハンドル14の幅方向内側)には、上記取付部32Aを構成する基部48Bが上下方向に沿って設けられている。
【0041】
基部48Bの幅方向内側には、幅方向外側から順に、座金を介して操作レバー36を回動可能に支持する軸部42を備えた支持体54と、軸部42の周囲に装着される第2付勢部材としてのコイルバネ56と、軸部42に装着される孔部(図5参照)が根元部36Bに形成された操作レバー36と、軸部42に操作レバー36の孔部(図5参照)を回動可能に取付けるねじ部58と、上記取付部32Aを構成する蓋部60と、蓋部60を基部48Bに締結するボルト62が配置されている。基部48Bに座金を介して支持体54、コイルバネ56、操作レバー36、ねじ部58、蓋部60、ボルト62を組み付けることによって、操作レバー36が操作装置本体32の取付部32Aに回動可能に支持される。なお、支持体54と操作レバー36は、一体となって回動するようになっている。操作レバー36と支持体54は一部品で構成することもできるが、本実施形態のように操作レバー36と支持体54とを別体とすることで、操作レバー36系の軸受を支持体54が兼ねる構造となっている。
【0042】
また、下側バンド部48の幅方向内側の下部には、軸部44が挿通される孔が形成されており、解除レバー40の根元部40Bに形成された貫通孔40Cに軸部44を挿通させることで、解除レバー40が軸部44に回動可能に支持される。解除レバー40を下側バンド部48の内部に組み付ける際には、軸部44の周囲に第1付勢部材としてのコイルバネ64が装着される。
【0043】
操作ワイヤ34は、取付部32Aを構成する基部48Bと蓋部60との間を貫通しており、操作ワイヤ34内に挿通されたインナワイヤ34Aの一端が操作レバー36の根元部36Bに一体に組み付けられた支持体54に連結されている(図6参照)。インナワイヤ34Aは、軸方向に移動してロック装置18を動作させるものであり、操作レバー36の先端部36Aを下方側のロック位置に移動させたときに(図11参照)、インナワイヤ34Aが引かれてロック装置18が動作し、ハンドル14がロックされる構成となっている。また、操作レバー36の先端部36Aを上方側のロック解除位置に移動させたときに(図6参照)、インナワイヤ34Aが戻されて(引き方向と逆方向に移動して)ロック装置18が動作し、ハンドル14のロックが解除される構成となっている。コイルバネ56は、その一端が操作レバー36に係合し、もう一方の端が基部48Bと係合しているので、操作レバー36の先端部36Aをロック解除位置の方向(インナワイヤ34Aを戻す方向)に回動させるように付勢している。また、操作装置本体32には、操作レバー36の先端部36Aがロック解除位置に移動したときに、コイルバネ56による操作レバー36の移動を規制するストッパ(図示省略)が設けられている。
【0044】
図6に示されるように、操作装置30には上記セーフティ装置38が設けられており、セーフティ装置38によって、操作レバー36の先端部36Aのロック位置への移動(インナワイヤ34Aを引く方向への移動)がロックされている。セーフティ装置38は、解除レバー40の根元部40Bから先端部40Aと反対側に突出する突出部41と、突出部41の一方の側面に形成された第1当接部41Aと、操作レバー36の根元部36Bの下部に略半径方向に沿って形成された第1ストッパ部36Cと、を備えている。また、セーフティ装置38は、支持体54の下部に第1ストッパ部36Cを露出させるように形成されたストッパとしての切り欠き部54Aと、解除レバー40の突出部41を切り欠き部54Aと当接させる方向に付勢する上記コイルバネ64と、を備えている。コイルバネ64の作用により解除レバー40の突出部41の上面を切り欠き部54Aの下面と当接させることによって、第1当接部41Aが第1ストッパ部36Cに当接する位置に解除レバー40が保持される。
【0045】
第1ストッパ部36Cは、根元部36Bのコイルバネ56の付勢方向(操作レバー36のリターン力発生方向A)と反対側に形成されており、第1当接部41Aは、突出部41のコイルバネ56の付勢方向(操作レバー36のリターン力発生方向A)の側に形成されている。第1ストッパ部36Cと第1当接部41Aとが当接することにより、操作レバー36の先端部36Aがロック位置(インナワイヤ34Aを引く方向)に移動するのを規制している。
【0046】
また、解除レバー40の先端部40Aを上方側へ移動させることで、解除レバー40の突出部41がコイルバネ64の力(リターン力発生方向B)に抗して下方側へ移動し、第1当接部41Aと第1ストッパ部36Cとの当接が解除されるようになっている。これにより、セーフティ装置38による操作レバー36のロックが解除され、操作レバー36の先端部36Aがロック位置へ移動可能となる。
【0047】
また、図9及び図11に示されるように、操作レバー36には、根元部36Bの下部の第1ストッパ部36Cよりもコイルバネ56の付勢方向(リターン力発生方向A)の側に、略半径方向に沿って第2ストッパ部36Dが形成されている。また、操作レバー36には、突出部41の第1当接部41Aと反対側の側面に第2当接部41Bが形成されている。図11に示されるように、コイルバネ64の力により解除レバー40が回動して第2当接部41Bが第2ストッパ部36Dに当接することで、コイルバネ56の力により操作レバー36の先端部36Aがロック解除位置(リターン力発生方向A側)に回動することを規制している。
【0048】
図5及び図14に示されるように、操作装置本体32の取付部32Aには、軸部42を中心として操作レバー36の根元部36Bが回動可能に支持されており、根元部36Bの上部の周縁には円形の凸状の目印74が形成されている。操作レバー36の先端部36Aをロック位置に移動させ、また操作レバー36の先端部36Aをロック解除位置に移動させる操作に伴って、操作レバー36の根元部36Bが回動し、目印74が所定の位置を移動する。すなわち、目印74が移動した一方の位置は、操作レバー36の先端部36Aがロック位置に移動したハンドル14のロック状態の位置であり、目印74が移動した他方の位置は、操作レバー36の先端部36Aがロック解除位置に移動したハンドル14のロック解除状態の位置となる。
【0049】
取付部32Aには、ロック解除状態に移動した目印74と対向する位置にロック解除状態を示す円形表示部76Aが設けられており、円形表示部76Aから取付部32Aの側面と上面にかけて鉛直方向に沿って線状に延びたロック解除状態表示部76Bが設けられている。また、取付部32Aには、ロック状態に移動した目印74と対向する位置にロック状態を示す逆三角形表示部78Aが設けられており、逆三角形表示部78Aから取付部32Aの側面と上面にかけて鉛直方向に沿って線状に延びたロック状態表示部78Bが設けられている。
【0050】
図1〜図3に示されるように、操作装置30には、操作レバー36と解除レバー40が子供用椅子16の斜め後方側(背面側)に設けられており、操作レバー36と解除レバー40が背凭れ部16Bの側方に位置している。このため、子供用椅子16に着席した子供の手が操作レバー36及び解除レバー40に届きにくいレイアウトとなっている。また、解除レバー40は、ハンドル14のグリップ20付近の外側(二輪車10の幅方向外側)に設けられており、子供用椅子16から遠い側に位置しているため子供の手が届きにくく、しかも見えにくい状態にある。
【0051】
図23に示されるように、ロック装置18は、ヘッドパイプ12の上端に固着される上ワン124を備えている。上ワン124の周縁にはフランジ部124Aが延設されており、フランジ部124Aの周囲に波形の凹凸からなる係合部124Bが形成されている。上ワン124の上部には、リテーナー125を介して上玉押し126が配設される。この上玉押し126は、ハンドル14(図1参照)と一体的に回転する前ホークステム132に螺合される。前ホークステム132は、端部がヘッドパイプ12に挿入され、ヘッドパイプ12に対して相対回転が可能となっている。上玉押し126の上部には、固定片139を有するベースアッシー127が前ホークステム132に回り止めによって固定される。さらに、ベースアッシー127の上部及び周囲を覆うように本体カバー128が取り付けられる。本体カバー128の上面に回止め座金129が嵌合され、その上に中ナット130が螺合された後、止めナット131を前ホークステム132に螺合して全体を締め付けている。
【0052】
図24に示されるように、ベースアッシー127は、前ホークステム132に固定されるベース137と、このベース137に対してシャフト141を中心に揺動可能に取り付けられるアーム138と、を備えている。アーム138の一端部には固定片139が延設されている。固定片139には、係合部124Bと係合される歯型部139Aが形成されている。シャフト141には、図示しないリターンバネが装着されており、固定片139がリターンバネによって係合部124Bの方向に付勢されている。
【0053】
また、アーム138の他端部は係合部124B回りに沿って延出しており、その延出端部に縦方向の支持部138Bが形成されている。この支持部138Bに設けられた孔にナット143が挿通されてバネ受けボルト144が締結されている。このナット143には、固定片139と係合部124Bとの係合を解除するための解除バネ145が装着されており、支持部138Bが軸線方向に移動可能となっている。
【0054】
ナット143の端面にはインナワイヤ34Aが挿通される孔143Aが形成されており、孔143Aの周囲にインナワイヤ34Aの端部に設けられた固定片154が係止されている。操作ワイヤ34の端部147は、ベース137に形成された保持部137Cに取り付けられている。
【0055】
図6に示されるように、ハンドル14のロックを解除した状態では、操作装置30の操作レバー36の先端部36Aは上方側のロック解除位置へ移動しており、インナワイヤ34Aが戻されている。この状態では、図24に示されるように、ロック装置18内でインナワイヤ34Aが本体カバー128の奥側の湾曲部128Aに移動しており、ナット143に支持されたアーム138が奥側に揺動している。このとき、固定片139と係合部124Bとが係合していない。
【0056】
一方、図11に示されるように、ハンドル14の回転をロックした状態では、操作レバー36の先端部36Aは下方側のロック位置へ移動しており、インナワイヤ34Aが引かれている。この状態では、図25に示されるように、ロック装置18内でインナワイヤ34Aが引っ張られ、ナット143が移動して支持部138Bが移動し、アーム138がシャフト141を支点としてベース137に対して揺動する。これによって、固定片139の歯型部139Aが係合部124Bに係合し、ハンドル14と連結された前ホークステム132の回転がロックされるようになっている。
【0057】
次に、操作装置30の作用について説明する。
【0058】
図4〜図7に示されるように、ハンドル14の回転がロックされていないときは、操作レバー36の先端部36Aが上方側のロック解除位置に移動している。この状態では、操作ワイヤ34のインナワイヤ34Aが引かれておらず、ロック装置18によりハンドル14の回転のロックは解除されている(図24参照)。
【0059】
このとき、図6に示されるように、操作レバー36の移動がセーフティ装置38によりロックされている。すなわち、コイルバネ64により解除レバー40の突出部41が上方側へ揺動し、第1当接部41Aが操作レバー36の根元部36Bの第1ストッパ部36Cと当接している。これにより、操作レバー36の先端部36Aを下方側のロック位置に移動させようとしても、根元部36Bの第1ストッパ部36Cが解除レバー40の第1当接部41Aに当接して根元部36Bの回動が規制されているため、操作レバー36を移動させることができない。
【0060】
この状態では、図5に示されるように、根元部36Bの目印74が取付部32Aの円形の円形表示部76A及びロック解除状態表示部76Bと対向する位置にあり、二輪車10のユーザーはハンドル14がロック解除状態であることを目視により確認することができる。
【0061】
図9〜図10に示されるように、ハンドル14の回転をロックする際には、セーフティ装置38による操作レバー36のロックを解除する必要がある。すなわち、二輪車10のユーザーが、例えば右手の人差し指で解除レバー40の先端部40Aを上方側へ移動させると、コイルバネ64の力に抗して解除レバー40の突出部41が下方側に移動し、第1当接部41Aと第1ストッパ部36Cとの当接が解除される。これによって、セーフティ装置38による操作レバー36のロックが解除され、操作レバー36が移動可能な状態となる。
【0062】
図11〜図14に示されるように、解除レバー40の先端部40Aを上方側へ移動させた状態で(図9参照)、二輪車10のユーザーが、例えば右手の親指で操作レバー36の先端部36Aをロック位置に移動させる。これにより、操作レバー36の根元部36Bがリターン力発生方向Aと逆方向に回動し、根元部36Bに連結された操作ワイヤ34のインナワイヤ34Aが引かれる。図25に示されるように、インナワイヤ34Aが引かれることによりロック装置18でハンドル14の回転がロックされる。
【0063】
図11に示されるように、二輪車10のユーザーが右手の人差し指を解除レバー40の先端部40Aから離すと、突出部41が切り欠き部54Aに当接し、第2当接部41Bが操作レバー36の根元部36Bの第2ストッパ部36Dと当接する。これにより、操作レバー36の先端部36Aをロック解除位置に移動させようとしても、根元部36Bの第2ストッパ部36Dが第2当接部41Bに当接し、根元部36Bの回動がロックされている。このため、操作レバー36を移動させることができない。
なお、解除レバー40の先端部40Aは、必ずしも操作レバー36をロック位置に移動し終えるまで、人差し指で上方に引き上げておく必要はなく、少なくとも解除レバー40の突出部41が、第1ストッパ部36Cを構成する突起の下側円弧部に乗り上げるまで、上方に引き上げておけばよい。突出部41が第1ストッパ部36Cを構成する突起の下側円弧部に乗り上げた後は、人差し指を解除レバー40の先端部40Aから離しても、突出部41がコイルバネ64により上方側に付勢されているので、突出部41が下側円弧部に接触した状態となる。この状態で、操作レバー36をロック位置までまわし続けることにより、コイルバネ64により解除レバー40の第2当接部41Bが操作レバー36の第2ストッパ部36Dと当接し、操作レバー36の回動がロックされる。
【0064】
この状態では、図14に示されるように、根元部36Bの目印74が取付部32Aの三角形の逆三角形表示部78A及びロック状態表示部78Bと対向する位置にあり、ユーザーはハンドル14がロック状態であることを目視により確認することができる。
【0065】
ハンドル14の回転のロックを解除する際には、二輪車10のユーザーが例えば右手の人差し指で解除レバー40の先端部40Aを上方側へ移動させることで、解除レバー40の突出部41が下方側に移動し、第2当接部41Bと第2ストッパ部36Dとの当接が解除される。これにより、コイルバネ56の力により操作レバー36の根元部36Bが矢印A方向(図6参照)に回動し、操作レバー36の先端部36Aがロック解除位置に移動すると共に、根元部36Bに連結されたインナワイヤ34Aが元の位置に戻される。図24に示されるように、インナワイヤ34Aが元の位置に戻されることによりロック装置18によるハンドル14のロックが解除される。このように解除レバー40は、インナワイヤ34Aの位置を保持する保持機構も兼ねているので、部品点数の削減と低コスト化が可能であり、また組み立ても容易である。また、ハンドル14のロックを解除するときに解除レバー40を操作すればよいので、操作が簡単である。
【0066】
このような操作装置30では、二輪車10のユーザーの手元操作により解除レバー40の先端部40Aを上方側へ移動させることで、セーフティ装置38による操作レバー36のロックが解除され、操作レバー36が操作可能な状態となるので、操作レバー36の誤操作又は不用意な操作によりハンドル14の回転がロックされることを防止することができる。このため、二輪車10の走行中などに操作レバー36の誤操作等によりハンドル14が突然ロックさせることがなく、転倒などの危険性を防止することができる。
【0067】
また、二輪車10のユーザーの例えば人差し指で解除レバー40の先端部40Aを上方側へ移動させた状態で、ユーザーの親指で操作レバー36の先端部36Aをロック位置へ移動させるので、解除レバー40と操作レバー36の同時操作が容易であり、操作性が良い。また、解除レバー40を操作する指を人差し指に設定することで、他の4本の指でグリップ20を確実に握ることができる。このようにユーザーが操作装置30により手元操作でハンドル14の回転のロック及びロック解除を行うことができるので、子供用椅子16に子供を乗せる場合や降ろす場合に、ハンドル14の回転をロックして二輪車10を安定化させることができる。
【0068】
また、図1〜図3に示されるように、操作レバー36と解除レバー40が子供用椅子16の斜め後方側(背面側)に配設されているため、子供用椅子16に着席した子供の手が操作レバー36及び解除レバー40に届きにくい。このため、子供がいたずら等により操作レバー36及び解除レバー40を操作することを防止又は抑制することができる。また、解除レバー40の操作により、セーフティ装置38のロックを解除した状態でなければ、操作レバー36を操作することはできないので、子供がいたずら等により解除レバー40と操作レバー36とを操作してハンドル14の回転をロックさせることを回避できる。また、解除レバー40がハンドル14の幅方向外側の子供用椅子16から遠い側に設けられているので、子供用椅子16に着席した子供の手が解除レバー40により一層届きにくい。このため、子供がいたずら等により解除レバー40を操作して、ハンドル14のロックを解除することを防止又は抑制することができる。
【0069】
図5に示されるように、取付部32Aには、ロック解除状態に移動した目印74と対向する位置に円形表示部76Aと、この円形表示部76Aから取付部32Aの側面と上面にかけて鉛直方向に沿って線状に延びたロック解除状態表示部76Bと、が設けられている。これによって、図15、図16−1、図16−2に示されるように、ユーザーが斜め後方側(図15)、斜め上方側(図16−1)、上方側(図16−2)などの異なる方向から目印74と円形表示部76Aとロック解除状態表示部76Bを見た場合、目印74と円形表示部76Aとロック解除状態表示部76Bとが略直線状に並び、ユーザーの視線の方向によって、目印74と円形表示部76Aとロック解除状態表示部76Bとの対応位置がずれることを抑制することができる。
【0070】
また、図14に示されるように、取付部32Aには、ロック状態に移動した目印74と対向する位置に逆三角形表示部78Aと、この逆三角形表示部78Aから取付部32Aの側面と上面にかけて鉛直方向に沿って線状に延びたロック状態表示部78Bと、が設けられている。これによって、図17、図18−1、図18−2に示されるように、ユーザーが斜め後方側(図17)、斜め上方側(図18−1)、上方側(図18−2)などの異なる方向から目印74と逆三角形表示部78Aとロック状態表示部78Bを見た場合、目印74と逆三角形表示部78Aとロック状態表示部78Bが略直線状に並び、ユーザーの視線の方向によって、目印74と逆三角形表示部78Aとロック状態表示部78Bとの対応位置がずれることを抑制することができる。このため、二輪車10のユーザーがハンドル14のロック状態とロック解除状態とを瞬時に判別できる。
【0071】
一方、比較例として、図19、図20−1、図20−2に示されるように、ロック状態に移動した目印74と対向する取付部202Aに円形表示部204Aと、この円形表示部204Aから放射線状に延びたロック解除状態表示線204Bと、を設ける。この構成では、ユーザーが斜め後方側、斜め上方側、上方側などの異なる方向から目印74と円形表示部204Aとロック解除状態表示線204Bを見た場合、ユーザーの視線の方向によって、目印74と円形表示部204Aとロック解除状態表示線204Bとの対応位置がずれる場合がある。
【0072】
同様に比較例として、図21、図22−1、図22−2に示されるように、ロック状態に移動した目印74と対向する取付部202Aに逆三角形表示部206Aと、この逆三角形表示部206Aから放射線状に延びたロック状態表示線206Bと、を設ける。この構成では、ユーザーが斜め後方側、斜め上方側、上方側などの異なる方向から目印74と逆三角形表示部206Aとロック状態表示線206Bを見た場合、ユーザーの視線の方向によって、目印74と逆三角形表示部206Aとロック状態表示線206Bとの対応位置がずれる場合がある。このため、ユーザーがハンドル14のロック状態とロック解除状態とを瞬時に判別することが難しい。
【0073】
これに対して、本実施形態の操作装置30では、ユーザーがハンドル14のロック状態とロック解除状態とを瞬時に判別することができ、操作装置30の誤操作などを防止できる。
【0074】
なお、本実施形態の操作装置30では、ユーザーが親指で操作する位置に操作レバー36を設け、ユーザーが人差し指で操作する位置に解除レバー40を設けたが、これに限定されず、ユーザーの手元操作が可能であれば他の構成でもよい。また、操作レバー36と解除レバー40の形状や移動方向もこれに限定されず、他の構成でもよい。
なお、本実施形態の操作装置30では、インナワイヤ34Aの一端が操作レバー36の根元部36Bに一体に組み付けられた支持体54に連結されているが、インナワイヤ34Aの一端を操作レバー36の根元部36Bに直接連結する構成でもよい。すなわち、請求項1は、操作部材としてのインナワイヤ34Aが操作レバーに直接連結される場合のほか、操作レバーと一体となって揺動する部材に連結される場合も含む。
【0075】
なお、本実施形態では、二輪車10のハンドル14に子供用椅子16を設けたが、この子供用椅子16は荷物籠と兼用できるタイプであり、荷物籠として用いてもよい。これにより、荷物籠に荷物を載せた状態でハンドル14を操作装置30によりロックすることで、二輪車10を安定化させることができる。なお、子供用椅子16に代えて、専用の荷物籠を設けてもよい。
【0076】
なお、操作装置30は、二輪車10に限らず、自動二輪、三輪車など、ハンドルの回転のロック及びロック解除を操作するものであれば広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の一実施形態に係る操作装置が用いられた二輪車を示す部分斜視図である。
【図2】図1に示す操作装置が用いられた二輪車の他の方向を示す部分斜視図である。
【図3】図1に示す操作装置が用いられた二輪車の他の方向を示す部分斜視図である。
【図4】ハンドルのロックを解除した状態の操作装置を示す斜視図である。
【図5】ハンドルのロックを解除した状態の操作装置の取付部を示す側面図である。
【図6】操作装置のセーフティ装置を示す内部斜視図である。
【図7】ハンドルのロックを解除した状態の操作装置を他の方向から見た斜視図である。
【図8−1】操作装置を示す分解斜視図である。
【図8−2】図8−1に示す操作装置を他の方向から見た分解斜視図である。
【図9】操作装置のセーフティ装置により操作レバーのロックを解除した状態を示す内部斜視図である。
【図10】操作装置のセーフティ装置により操作レバーのロックを解除した状態を示す斜視図である。
【図11】ハンドルをロックした状態の操作装置を示す内部斜視図である。
【図12】ハンドルをロックした状態の操作装置を示す斜視図である。
【図13】ハンドルをロックした状態の操作装置を他の方向から見た斜視図である。
【図14】ハンドルをロックした状態の操作装置の取付部を示す側面図である。
【図15】ハンドルのロックを解除した状態の操作装置の取付部を示す斜視図である。
【図16−1】ハンドルのロックを解除した状態の操作装置の取付部を斜め上方側から見た斜視図である。
【図16−2】ハンドルのロックを解除した状態の操作装置の取付部を上方側から見た平面図である。
【図17】ハンドルをロックした状態の操作装置の取付部を示す斜視図である。
【図18−1】ハンドルをロックした状態の操作装置の取付部を斜め上方側から見た斜視図である。
【図18−2】ハンドルをロックした状態の操作装置の取付部を上方側から見た平面図である。
【図19】比較例の操作装置のハンドルのロックを解除した状態の取付部を示す斜視図である。
【図20−1】比較例の操作装置のハンドルのロックを解除した状態の取付部を斜め上方側から見た斜視図である。
【図20−2】比較例の操作装置のハンドルのロックを解除した状態の取付部を上方側から見た平面図である。
【図21】比較例の操作装置のハンドルをロックした状態の取付部を示す斜視図である。
【図22−1】比較例の操作装置のハンドルをロックした状態の取付部を斜め上方側から見た斜視図である。
【図22−2】比較例の操作装置のハンドルをロックした状態の取付部を上方側から見た平面図である。
【図23】ロック装置のベースアッシーを示す分解斜視図である。
【図24】ロック装置のハンドルのロックを解除した状態を示す構成図である。
【図25】ロック装置のハンドルのロック状態を示す構成図である。
【符号の説明】
【0078】
10 二輪車
12 ヘッドパイプ(車体フレーム)
14 ハンドル
16 子供用椅子
18 ロック装置
20 グリップ(握り部)
30 操作装置
32 操作装置本体
32A 取付部
34 操作ワイヤ
34A インナワイヤ(操作部材)
36 操作レバー
36B 根元部(円弧状部)
36C 第1ストッパ部
36D 第2ストッパ部
38 セーフティ装置(セーフティ機構)
40 解除レバー
41A 第1当接部
41B 第2当接部
54A 切り欠き部(ストッパ)
56 コイルバネ(第2付勢部材)
64 コイルバネ(第1付勢部材)
74 目印
76A 円形表示部(表示手段)
76B ロック解除状態表示部(表示手段)
78A 逆三角形表示部(表示手段)
78B ロック状態表示部(表示手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームに対して相対回転するハンドルをロックするロック装置に接続され、前記ロック装置を動作及び動作解除する操作装置であって、
前記ロック装置に接続され、前記ロック装置を動作させる操作部材と、
前記操作部材に連結されると共に、前記ハンドルにロック位置とロック解除位置の間を手元操作で揺動可能に設けられ、前記ロック位置で前記操作部材を動作して前記ロック装置で前記ハンドルをロックさせ、前記ロック解除位置で前記操作部材を動作して前記ロック装置による前記ハンドルのロックを解除させる操作レバーと、
前記ハンドルに設けられ、前記操作レバーの移動をロックするセーフティ機構と、
前記ハンドルに揺動可能に設けられ、手元操作により前記セーフティ機構のロックを解除する解除レバーと、
を有することを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記操作レバーと前記解除レバーは、前記ハンドルに設けられた握り部の、当該握り部を握ったときに親指側となる側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記セーフティ機構は、
前記操作レバーに設けられ、前記解除レバーに形成された第1当接部が当接して前記操作レバーの移動を規制する第1ストッパ部と、
前記解除レバーに当接して前記第1当接部が前記第1ストッパ部と当接する位置に前記解除レバーを保持するストッパと、
前記ストッパと当接する方向に前記解除レバーを付勢する第1付勢部材と、
を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記ハンドルに設けられ、前記ロック解除位置の方向へ前記操作レバーを付勢する第2付勢部材と、
前記操作レバーに設けられ、前記ロック位置で前記解除レバーに形成された第2当接部に当接して前記操作レバーの前記ロック解除位置への移動を規制する第2ストッパ部と、
を有することを特徴とする請求項3に記載の操作装置。
【請求項5】
前記ハンドルに設けられた取付部と、
前記操作レバーの一端に形成され、前記取付部に回動可能に取付けられた円弧状部と、
前記円弧状部の周縁に形成された目印と、
前記取付部に鉛直方向に沿って形成され、前記目印と対向したときに前記操作レバーが前記ロック位置にあることを示すロック状態表示部、及び前記操作レバーが前記ロック解除位置にあることを示すロック解除状態表示部を備えた表示手段と、
を有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項6】
車体フレームに対して相対回転するハンドルと、
前記ハンドルをロックするロック装置と、
前記ロック装置に接続され、前記ロック装置を動作及び動作解除する請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の操作装置と、
前記ハンドルに設けられ、子供が着席可能な子供用椅子と、を備え、
前記子供用椅子の後方側又は斜め後方側に位置する前記ハンドルに前記操作装置の前記操作レバーと前記解除レバーとが設けられていることを特徴とする二輪車。
【請求項7】
前記解除レバーが、前記ハンドルの前記子供用椅子から遠い側に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の二輪車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16−1】
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【図16−2】
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【図17】
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【図18−1】
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【図18−2】
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【図19】
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【図20−1】
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【図20−2】
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【図21】
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【図22−1】
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【図22−2】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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