説明

操作装置及び操作方法

【課題】キー操作に関連する音情報に対応して、ユーザが適切なキーの操作感を視覚的に得ることができ、ユーザに対する操作性を向上させることが可能な操作部103を提供する。
【解決手段】前記キーの操作に関連する音情報を検知する音情報検知手段502と、前記操作音の音強を基準として段階的に決定された複数の音強レベルのうち、検知された音情報が、いずれの音強レベルに該当するか決定する音強レベル決定手段504と、前記音強レベルと、前記選択時表示形態における視覚的な印象の強弱を示すパラメータとを関連付けてパラメータテーブルとして記憶するパラメータ記憶手段507と、決定された音強レベルに対応する前記パラメータテーブルのパラメータに基づいて、前記選択時表示形態を変更する表示形態変更手段506とを備えることを特徴とする操作部103を提供する。これにより、ユーザは、適切なキーの操作感を視覚的に得ることが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作装置及び操作方法に関し、詳しくは、キー操作に関連する音情報に対応して、ユーザが適切なキーの操作感を視覚的に得ることができ、ユーザに対する操作性を向上させることが可能な操作装置及び操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、オフィスには、複写機、デジタル複合機、プリンタ等の画像形成装置が導入されている。これらの画像形成装置においては、原稿をコピーしたり、ファックスで受信したデータを印刷したりする際に、転写ドラムが回転する音や紙をさばく音等のノイズが発生する。そのため、電話中や商談中にファクスでのデータの受信があったり、コピーが行われると、電話や商談の相手の声が聞き取りにくい場合がある。
【0003】
そこで、近年では、コピーや印刷の際に発生するノイズを装置外に漏れないようにした防音性の高い画像形成装置や、ノイズそのものを抑えた画像形成装置が開発されてきている。
【0004】
又、画像形成装置が発生させる音は、上記印刷の際に発生するノイズだけでなく、例えば、操作パネルに表示される操作キーが押下されたことを報知する報知音、ファックスでのデータの受信を示す報知音、印刷が終了したことを示す報知音、用紙切れ等の警告を示す報知音等もある。これらの報知音はそれ程大きくないため、オフィス内の雑音によってかき消されてしまう場合がある。そのため雑音が発生しているとき、ユーザはキーの操作感が得られなかったり、ファックスでのデータの受信、印刷の完了、紙切れに気付かなかったりする問題がある。
【0005】
当該問題を解決するために、例えば、特開2004−333881号公報(特許文献1)には、ユーザが指定した音を記憶する記憶手段と、集音手段と、上記集音手段にて集音された音の特性を特定する特定手段と、上記記憶手段に記憶された音または上記特性に基づいて、動作モードを切り替えるモード切替手段を備えたことを特徴とする画像形成装置が開示されている。当該構成により、画像形成装置が動作することで発する音を抑えたい状況において発生する当該状況特有の音を上記記憶手段に登録しておけば、実際に当該状況となった場合、画像形成装置から発せられる音を抑えた動作モードで、画像形成装置が動作する。そのため、画像形成装置の周囲で行われる作業を妨げることはなく、ユーザに聞き取られ易い報知音を報知することが可能となるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−333881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、通常使用されている報知音を、ユーザ指定の報知音に変更(切替)する。そのため、通常の報知音を聞き慣れたユーザは、当該報知音が変更すると、当該報知音に伴うキー入力が不適切であったと勘違いする場合もあり、キー操作の入力がユーザに適切に伝わらないという問題がある。
【0008】
ところで、近年、市販されている画像形成装置の操作部では、画面に表示されたキーがユーザにより選択された時点で、当該キーに対応する操作音を発生させるとともに、当該キーの表示形態を一時的に切り換える構成を採用している。これにより、ユーザは、聴覚的にも、視覚的にも、キー操作がなされたことを知ることができ、キー操作による入力(キー操作入力、キー入力)が確実に行われていることを十分に認識することが出来るとしている。
【0009】
しかしながら、当該構成では、操作部周辺から発生する雑音、画像形成装置の駆動音、キーの操作音の音量等のキー操作に関連する音情報に対してキーの表示形態が一義的に決定された構成である。そのため、前記音情報が、何らかの理由により変動して、ユーザが、聴覚的にキー操作の入力を認識することが出来ない場合、キーの表示形態の切換のみでは、ユーザがキー操作の入力を十分に認識することが出来ないという問題がある。
【0010】
例えば、前記音情報が、操作部周辺から発生する雑音である場合、当該雑音の音強が大きいと、当該雑音により予め設定された操作音がかき消されてしまい、ユーザは、操作音によるキー操作を聴覚的に認識することが出来なくなる。又、例えば、前記音情報が、キーの操作音の音量である場合、ユーザが会議を行なうために操作音の音量を小さくすると、ユーザは、当然に操作音によるキー操作を聴覚的に認識することが出来なくなる。このような場合、ユーザはキー操作の入力を十分に認識することが出来ない。
【0011】
一方、どのような音情報においても、上述したキーの表示形態の視覚的な印象を一律に強調するように設定する方法も考えられる。しかしながら、視覚的な印象が強調され過ぎると、ユーザに対して、チラつき、違和感等の視覚的な障害を与える場合があり、ユーザに心地よい(適切な)キーの操作感を視覚的に与えることが出来ないという問題がある。
【0012】
そこで、本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、キー操作に関連する音情報に対応して、ユーザが適切なキーの操作感を視覚的に得ることができ、ユーザに対する操作性を向上させることが可能な操作装置及び操作方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る操作装置は、画面に表示された所定のキーがユーザにより選択されると、選択されたキーに対応する操作音を発生するとともに、当該キーの表示形態を、ユーザにキーの選択を知らせるための選択時表示形態に一時的に切り換える操作装置を前提とする。
【0014】
当該操作装置において、前記キーの操作に関連する音情報を検知する音情報検知手段と、前記操作音の音強を基準として段階的に決定された複数の音強レベルのうち、検知された音情報が、いずれの音強レベルに該当するか決定する音強レベル決定手段とを備える。更に、当該操作装置は、前記音強レベルと、当該音強レベルの高低に応じた、前記選択時表示形態における視覚的な印象の強弱を示すパラメータとを関連付けてパラメータテーブルとして記憶するパラメータ記憶手段と、決定された音強レベルに対応する前記パラメータテーブルのパラメータに基づいて、前記選択時表示形態を変更する表示形態変更手段とを備える。
【0015】
当該構成により、キー操作に関連する音情報の音強レベルに応じて、キーの選択時表示形態の視覚的な印象が強調されたり抑えられたりする。そのため、キー操作の環境に応じて、ユーザは聴覚的にも視覚的にも適切なキーの操作感を得ることが可能となる。その結果、ユーザに対する操作性を向上させ、ユーザにキー操作を円滑に進行させることが可能となる。
【0016】
又、前記音情報が、自装置の周辺から発生した雑音の音強であり、前記音強レベルが、前記雑音の音強が前記操作音の音強と比較して大きくなるにつれて高いレベルとなるように段階的に決定され、前記パラメータが、前記音強レベルが高くなるにつれて前記印象が強調されたパラメータとなるように設定された構成とすることが出来る。
【0017】
当該構成により、雑音の音強が大きくて、ユーザが操作音を聞き取ることが出来ない場合、選択時表示形態の印象が大きく強調されるため、ユーザは、視覚的にキー操作の入力を認識することが可能となる。一方、雑音の音強が小さくて、ユーザが操作音を十分に聞き取ることが出来る場合、選択時表示形態の印象が抑えられるため、ユーザは、当該選択時表示形態の印象により、チラつき、違和感等を覚えることなく、適切なキーの操作感を得ることが可能となる。
【0018】
又、前記音情報が、ユーザにより予め設定され、操作音の音強に対して正比例する操作音の音量であり、前記音強レベルが、前記操作音の音量が小さくなるにつれて低いレベルとなるように段階的に決定され、前記パラメータが、前記音強レベルが低くなるにつれて前記印象が強調されたパラメータとなるように設定された構成とすることが出来る。
【0019】
当該構成により、操作音の音量が小さくて、ユーザが操作音を聞き取ることが出来ない場合、選択時表示形態の印象が大きく強調されるため、ユーザは、視覚的にキー操作の入力を認識することが可能となる。一方、操作音の音量が大きくて、ユーザが操作音を十分に聞き取ることが出来る場合、選択時表示形態の印象が抑えられるため、ユーザは、当該選択時表示形態の印象により、チラつき、違和感等を覚えることなく、適切なキーの操作感を得ることが可能となる。
【0020】
前記パラメータは、非選択時のキーの表示領域に対する選択時のキーの表示領域の割合を示す表示拡大率、及び/又は、非選択時のキーの背景色の濃度に対する選択時のキーの背景色の濃度の割合を示す表示濃度を含む構成とすることが出来る。
【0021】
当該構成により、前記音情報の音強レベルに応じて、最も視覚的な印象の強弱に影響を及ぼし易い表示拡大率、及び/又は、表示濃度を変更するため、当該変更により、ユーザに対する視覚的な印象を顕著に切り換えることが可能となる。その結果、より一層、上述した効果を図ることが可能となる。
【0022】
又、当該操作装置は、画像形成装置に適用することが出来る。
【0023】
当該構成により、画像形成装置を利用するユーザは、最適なキー操作感を得ることが可能となり、快適にキー操作を実行することが出来るとともに、キー操作を円滑に進めることが可能となる。
【0024】
尚、本発明は、画面に表示された所定のキーがユーザにより選択されると、選択されたキーに対応する操作音を発生するとともに、当該キーの表示形態を、ユーザにキーの選択を知らせるための選択時表示形態に一時的に切り換える操作方法として提供することが出来る。即ち、当該操作方法において、前記キーの操作に関連する音情報を検知する音情報検知ステップと、前記操作音の音強を基準として段階的に決定された複数の音強レベルのうち、検知された音情報が、いずれの音強レベルに該当するか決定する音強レベル決定ステップと、前記音強レベルと、当該音強レベルの高低に応じた、前記選択時表示形態における視覚的な印象の強弱を示すパラメータとを関連付けて記憶するパラメータテーブルを参照する参照ステップと、決定された音強レベルに対応する前記パラメータテーブルのパラメータに基づいて、前記選択時表示形態を変更する表示形態変更ステップとを含むことを特徴とする操作方法を提供出来る。当該構成としても、上述と同様の効果を得ることが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の操作装置及び操作方法によれば、キー操作に関連する音情報に対応して、ユーザが適切なキーの操作感を視覚的に得ることができ、ユーザに対する操作性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る複合機の内部の全体構成を示す概念図である。
【図2】本発明に係る画像読取部の拡大図である。
【図3】本発明に係る操作部の全体構成を示す概念図である。
【図4】本発明に係る複合機及び操作部の制御系ハードウェアの構成を示す図である。
【図5】本発明の第一の実施形態に係る操作部及び複合機の機能ブロック図である。
【図6】本発明の第一の実施形態に係る実行手順を示すためのフローチャートである。
【図7】本発明の第一の実施形態に係る第一の音強レベルテーブルの一例を示す図(図7(a))と、本発明の第一の実施形態に係る第一のパラメータテーブルの一例を示す図(図7(b))である。
【図8】本発明の第一の実施形態に係るパラメータと選択時表示形態との関係の一例を示す図(図8(a))であり、本発明の第一の実施形態に係るタッチパネル上に表示された初期設定画面の一例を示す図(図8(b))である。
【図9】ユーザに「カラー選択」キーが選択された時点における初期設定画面の一例を示す図(図9(a))と、「カラー選択」キーが選択されてから所定時間経過後の初期設定画面の一例を示す図(図9(b))である。
【図10】本発明の第二の実施形態に係る操作部及び複合機の機能ブロック図である。
【図11】本発明の第二の実施形態に係る実行手順を示すための第一のフローチャート(画像形成のフローチャート)である。
【図12】本発明の第二の実施形態に係る実行手順を示すための第二のフローチャート(音量調整のフローチャート)である。
【図13】本発明の第二の実施形態に係るタッチパネル上に表示されたシステムメニュー画面の一例を示す図(図13(a))と、本発明の第二の実施形態に係るタッチパネル上に表示された音量調整画面の一例を示す図(図13(b))である。
【図14】本発明の第二の実施形態に係る第二の音強レベルテーブルの一例を示す図(図14(a))と、本発明の第二の実施形態に係る第二のパラメータテーブルの一例を示す図(図14(b))である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、添付図面を参照して、本発明の操作装置を備えた画像形成装置の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。又、フローチャートにおける数字の前に付されたアルファベット「S」はステップを意味する。
【0028】
<画像形成装置及び操作装置>
以下に、本発明に係る操作装置(例えば、操作部)を備えた画像形成装置(例えば、複合機)について説明する。
【0029】
図1は、本発明に係る複合機の内部の全体構成を示す概念図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。
【0030】
本発明の複合機100は、例えばプリンタやスキャナ単体、あるいはプリンタ、コピー、スキャナ、ファックス等を備えた複合機等が該当する。尚、一例として複合機を利用して原稿のコピー機能を提供する際の複合機100の動作を簡単に説明する。
【0031】
ユーザが複合機100を利用して例えば原稿Pの印刷を行う場合、原稿Pを図1に示す原稿台101、或いは載置台102に配置し、原稿台101近傍に供えられた操作部103に対してコピー条件を入力し、印刷の指示を行う。操作部103の構成については後述する。当該印刷の指示があると、以下に示す各部(駆動部)が動作することで、印刷が行われる。
【0032】
即ち、図1に示すように、本発明の複合機100は、本体104と、本体104の上方に取り付けられたプラテンカバー105を備える。本体104の上面は原稿台101が設けられており、原稿台101は、プラテンカバー105によって開閉されるようになっている。プラテンカバー105は、自動原稿給紙装置106と載置台102と排紙台107が設けられている。
【0033】
自動原稿給紙装置106は、プラテンカバー105の内部に形成された原稿搬送路108と、プラテンカバー105の内部に備えられたピックアップローラ109や搬送ローラ110A、110B等で構成される。原稿搬送路108は、載置台102から、本体104に設けられた画像読取部111にて読み取りが行なわれる読取位置Xを経由して、排紙台107に通じる原稿の搬送路である。
【0034】
自動原稿給紙装置106は、載置台102に載置された複数の原稿から1枚ずつ原稿をピックアップローラ109で搬送路内108に引き出し、搬送ローラ等によって引き出した原稿を、読取位置Xを通過させて、搬送ローラ110Bにより排紙台107に排紙する。読取位置Xを通過する時に原稿は画像読取部111にて読み取られる。
【0035】
上記画像読取部111は、原稿台101の下方に設けられており、図2にその詳細が示されている。画像読取部111は、原稿台102を照射する走査方向に長い光源112と、原稿台からの光を選択的に通過させるスリット113と、原稿台からの光を導くミラー114とを備える第一の移動キャリッジ115や、第一の移動キャリッジ115からの反射光を再度反射するミラー116A、116Bを備える第二の移動キャリッジ117、更にミラーで導かれた光を光学的に補正するレンズ群118、当該レンズ群118より補正された光を受光する撮像素子119、撮像素子119にて受光した光を電気信号に変換し、必要に応じて補正処理・画質処理・圧縮処理などを行う画像データ生成部120とで構成されている。
【0036】
自動原稿給紙装置106上の原稿を読み取る場合には、光源112は、読取位置Xを照射できる位置に移動して発光する。光源112からの光は、原稿台101を透過して読取位置Xを通過する原稿にて反射し、スリット113、ミラー114、116A、116B、レンズ群118によって撮像素子119に導かれる。撮像素子119は、受光した光を電気信号に変換して画像データ生成部120に送信する。画像データ生成部120には、上記撮像素子119にて受光された光がR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)のアナログ電気信号として入力され、ここでアナログ−デジタル変換され、即ちデジタル化される。さらに、画像データ生成部120では、順次変換されたデジタル信号を単位データとし、これら単位データを補正処理、画質処理、圧縮処理等することで複数の単位データからなる画像データを生成する。
【0037】
又、画像読取部111は、自動原稿給紙装置106で搬送される原稿だけでなく、原稿台101に載置された原稿も読み取ることが可能となっている。原稿台101に載置された原稿を読み取る場合は、第一のキャリッジ114は、光源112を発光しながら副走査方向に移動し、光源112から撮像素子119までの光路長を一定にするために、第二の移動キャリッジ117は第一の移動キャリッジ115の1/2の速度で撮像素子119方向に移動する。
【0038】
撮像素子119は、自動原稿給紙装置106に搬送された原稿のときと同様に、ミラー114、116A、116Bに導かれた光に基づいて原稿台101に載置された原稿からの光を電気信号に変換し、これに基づいて画像データ生成部120が画像データを生成し、記憶部120Bに記憶する。
【0039】
本体104の画像読取部111の下方には、画像データを印刷する画像形成部121を備えている。画像形成部121が印刷できる画像データは、上記のように画像データ生成部120にて生成されたものや、その他複合機100とLAN等のネットワークに接続されたパーソナルコンピューター等の端末から、ネットワークインターフェイスを介して受信したものである。
【0040】
画像形成部121が行う印刷方式には、電子写真方式が用いられている。即ち、感光ドラム122を帯電器123で一様に帯電させ、その後レーザ124で感光ドラム122を照射して感光ドラム122に潜像を形成し、現像器125で潜像にトナーを付着させて可視像を形成し、転写ローラにて可視像を転写媒体に転写する方式である。
【0041】
尚、フルカラー画像に対応した複合機では、上記現像器(ロータリー現像器)125が、図1の紙面に対して垂直方向に構成される回転軸を中心として周方向に回転させられ、対応する色のトナーが格納された現像ユニットが感光ドラム122の対向位置に配置される。この状態で、感光ドラム122上の潜像が、現像器125が格納するトナーにより現像され、中間転写ベルト126Aに転写される。なお、現像器125は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各トナーをそれぞれ格納する4つの現像ユニット125(Y)、(C)、(M)、(K)を有している。上記中間転写ベルト126Aへの転写を上記各色毎に繰り返すことにより、当該中間転写ベルト126A上にフルカラー画像が形成される。
【0042】
可視像が印刷される転写媒体、即ち用紙は、給紙カセット132、133、134などの給紙トレイに載置されたものである。
【0043】
画像形成部121が印刷を行う際には、何れか1つの給紙トレイから転写媒体1枚を、ピックアップローラ135を用いて引き出し、引き出した転写媒体を搬送ローラ136やレジストローラ137で中間転写ベルト126Aと転写ローラ126Bの間に送り込む。
【0044】
画像形成部121は、中間転写ベルト126Aと転写ローラ126Bの間に送り込んだ転写媒体に、上記中間転写ベルト126A上の可視像を転写すると、可視像を定着させるために、搬送ベルト127で定着部128(定着装置)に転写媒体を送る。定着部128は、ヒータが内蔵された加熱ローラ129と、所定の圧力で加熱ローラ129に押し当てられた加圧ローラ130とで構成されている。加熱ローラ129と加圧ローラ130の間を転写媒体が通過すると、熱と転写媒体への押圧力によって可視像が転写媒体に定着する。定着が行われた転写媒体は排紙トレイ131に排紙される。
【0045】
上記手順により、複合機100はコピー機能の処理をユーザに提供する。
【0046】
図3は、本発明に係る操作部の全体構成を示す概念図である。ユーザは、上記操作部103を用いて、上述のような画像形成についての設定条件、文字、数字等を入力したり、入力された設定条件等を確認したりする。前記設定条件等が入力される場合、前記操作部103に備えられたタッチパネル301(操作パネル)、タッチペン302、操作キー303が用いられる。
【0047】
前記タッチパネル301には、アナログ抵抗膜方式が採用され、透光性を有する上部フィルムと下部ガラス基板とがスペーサを介して重ね合わされた構成となっており、上部フィルムと下部ガラス基板との各々の対向面には、ITO(Indium Tin Oxide)等からなる透明電極層が設けられている。更に、上部フィルムがユーザにより押下されると、当該押下位置に対応する上部フィルム側の透明電極層と下部ガラス基板側の透明電極層とが接触するよう構成されている。上部フィルム又は下部ガラス基板に電圧を印加し、下部ガラス基板又は上部フィルムから押下位置に対応する電圧値を取り出すことにより、当該電圧値に対応する座標値(押下位置)を検出する。検出された押下位置が、例えば、タッチパネル上に表示された初期設定画面内の設定項目キー(例えば、「カラー選択」キー)の表示領域内に含まれると、当該設定項目の設定条件(「カラー」)が入力される。尚、設定項目キーの他に、例えば、文字キー、キーボードキー、テンキー等であっても同様である。
【0048】
又、下部ガラス基板の下方には、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示部が設けられており、当該表示部が、例えば、初期設定画面、キーボード画面等の画面を表示することにより、タッチパネル上に特定の画面が表示される。これにより、タッチパネル301には、設定条件等を入力する機能と当該設定条件等を表示する機能が兼ね備えられる。
【0049】
更に、前記表示部は、ユーザにより画面内のキーが選択されると、当該キーの表示形態を、予め設定された選択時表示形態に一時的(数秒)に切り換えて、ユーザにキー操作がなされたことを視覚的に知らせるように構成されている。
【0050】
又、タッチパネル301の近傍には、図示しない操作音発生器が備えられており、ユーザにより画面内の所定のキーが選択されると、当該操作音発生器が当該キーに対応する操作音(例えば、ビープ音)を所定時間(数秒)発生する。これにより、前記操作音発生器が、ユーザにキー操作がなされたことを聴覚的に知らせるように構成されている。
【0051】
又、タッチパネル301の近傍には、タッチペン302が備えられており、ユーザがそのタッチペン302の先をタッチパネル301に接触させると、当該接触位置(押下位置)に対応する座標値が、上記と同様に出力され、ユーザはタッチペン302により、表示された設定項目キー等を押下・選択することが可能となる。
【0052】
更に、タッチパネル301近傍には、所定数の操作キー303が設けられ、例えば、テンキー304、スタートキー305、クリアキー306、ストップキー307、リセットキー308、電源キー309が備えられている。尚、上記テンキー304は、部数や倍率を設定する際に具体的な数字の入力に用いられる。
【0053】
次に、図4を用いて、複合機100及び操作部103の制御系ハードウェアの構成を説明する。図4は、本発明に係る複合機及び操作部の制御系ハードウェアの構成を示す図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。
【0054】
複合機100の制御回路は、CPU(Central Processing Unit)401、ROM(Read Only Memory)402、RAM(Random Access Memory)403、HDD(Hard Disk Drive)404、各駆動部に対応するドライバ405を内部バス406によって接続している。上記CPU401は、例えば、RAM403を作業領域として利用し、上記ROM402、HDD404等に記憶されているプログラムを実行し、当該実行結果に基づいて上記ドライバ405と図示しない操作部103からのデータや指示を授受し、上記図1に示した各駆動部の動作を制御する。また、上記駆動部以外の後述する各手段(図5に示す)についても、上記CPU401がプログラムを実行することで当該各手段を実現する。
【0055】
又、制御回路の内部バス406には、内部インターフェイス407も接続されており、当該内部インターフェイス407は、操作部103の制御回路等と複合機100の制御回路とを接続する。CPU401は、内部インターフェイス407を介して操作部103等の制御回路からの命令信号を受信したり、操作部103等の制御回路へ命令信号、データ等を送信したりする。
【0056】
又、操作部103の制御回路には、内部バス416に、CPU409、ROM410、RAM411、LCD412、操作キー413(303)、タッチパネル414(301)、操作音発生器415、内部インターフェイス408を備える。操作キー413やタッチパネル414をユーザが操作すると、CPU409は、内部インターフェイス408を介して、当該操作に基づく命令信号を複合機100の制御回路に送信する。又、CPU409は、LCD412や操作音発生器415に、キーの表示形態を一時的に切り換えさせたり、操作音を発生させたりする。又、CPU409、ROM410、RAM411の機能も上記と同様であり、後述する各手段(図5に示す)についても、上記CPU409がプログラムを実行することで当該各手段を実現する。上記ROM410には、以下に説明する各手段を実現するプログラムやデータが記憶されている。
【0057】
<本発明の第一の実施形態>
次に図5、図6を参照しながら、本発明の第一の実施形態に係る操作部103の実行手順について説明する。図5は、本発明の第一の実施形態に係る操作部及び複合機の機能ブロック図である。図6は、本発明の第一の実施形態に係る実行手順を示すためのフローチャートである。
【0058】
まず、ユーザが、複合機100の電源を投入すると、複合機100とともに操作部103が起動し、操作部103の表示受付手段501が、設定項目キーが表示されたコピーサービス画面(ここでは、画像形成の設定条件に対応する初期設定画面)をタッチパネル上に表示する(図6:S101)。
【0059】
ここで、表示受付手段501が前記初期設定画面を表示する際に、その旨を音情報検知手段502に通知する。当該通知を受けた音情報検知手段502は、操作部103の周辺の雑音の音強(キー操作に関連する音情報)を検知する(図6:S102)。
【0060】
検知方法は、どのような方法でも構わないが、例えば、操作部103の近傍に予め備えた雑音計503を用いて雑音の音強(単位:dB)を検知する方法が挙げられる。当該雑音計503の取り付け形態により、検知する雑音の種類(例えば、人のざわめき、画像形成装置内部の駆動音等)は様々となる。本実施形態では、雑音計503の検出部を操作部103の外部へ向けるように取り付けることで、検出される雑音を、主として人のざわめきによる雑音としている。尚、前記検出部を操作部103の内部へ向ければ、駆動音による雑音となる。
【0061】
前記音情報検知手段502が雑音の音強を検知すると、その旨を音強レベル決定手段504に通知する。当該通知を受けた音強レベル決定手段504は、音強レベル記憶手段505に予め記憶された第一の音強レベルテーブルを参照する(図6:S103)。
【0062】
図7(a)は、本発明の第一の実施形態に係る第一の音強レベルテーブルの一例を示す図である。図7(b)は、本発明の第一の実施形態に係る第一のパラメータテーブルの一例を示す図である。
【0063】
第一の音強レベルテーブル700には、図7(a)に示すように、操作音の音強を基準として段階的に決定された雑音の音強の範囲701(例えば、「77dBを越える」701a)と、当該雑音の音強の範囲に対応して決定された音強レベル702(例えば、「大」702a)とが関連付けて記憶されている。
【0064】
ここで、前記音強レベル702が、前記雑音の音強が前記操作音の音強と比較して大きくなるにつれて高いレベルとなるように段階的に決定されている。例えば、図7(a)に示すように、前記雑音の音強が前記操作音の音強と比較して大きい範囲の「77dBを超える」701aの場合には、音強レベルが高い「大」702aが関連付けて記憶される。又、前記雑音の音強が前記操作音の音強と比較して中程度の範囲の「67dB以上、77dB以下」の場合には、音強レベルが中程度である「中」が関連付けて記憶される。更に、前記雑音の音強が前記操作音の音強と比較して小さい範囲の「67dB未満」の場合には、音強レベルが低い「小」が関連付けて記憶される。
【0065】
尚、前記雑音の音強の範囲701と、音強レベル702との対応関係は、例えば、所定の音強の雑音中でユーザが前記操作音を当該操作音の音強(例えば、「60dB」)で聞いた場合に当該ユーザが当該操作音を聞き取れるか否かに基づいて決定されている。
【0066】
さて、第一の音強レベルテーブル700を参照した音強レベル決定手段504は、検知された雑音の音強が、前記複数の音強レベルのうち、いずれの音強レベルに該当するか決定する(図6:S104)。具体的には、音強レベル決定手段504が、第一の音強レベルテーブル700における雑音の音強の範囲701を規定する規定値(例えば、上限値、下限値)と、検知された雑音の音強とを比較して、検知された雑音の音強が、いずれの雑音の音強の範囲701に含まれるか判定する。当該判定の結果、音強レベル決定手段504は、前記雑音の音強が含まれた雑音の音強の範囲701に対応する音強レベル702を、検知された雑音に対する音強レベルとして決定する。
【0067】
音強レベル決定手段504が前記音強レベルを決定すると、その旨を表示形態変更手段506に通知する。当該通知を受けた表示形態変更手段506は、パラメータ記憶手段507に予め記憶された第一のパラメータテーブルを参照する(図6:S106)。
【0068】
第一のパラメータテーブル703には、図7(b)に示すように、前記音強レベル704(例えば、「大」704a)と、当該音強レベル704の高低に応じた、前記選択時表示形態の視覚的な印象の強弱を示すパラメータ705(例えば、表示拡大率「130%」705a1、表示濃度「130%」705a2)とが関連付けて記憶されている。ここで、本実施形態では、前記音情報として雑音の音強が採用されている。そのため、第一のパラメータテーブル703のパラメータ705は、当該雑音に対応した音強レベル704(「大」704a)が高くなるにつれて前記印象が強調されるパラメータ(表示拡大率「130%」705a1、表示濃度「130%」705a2)となるように設定されている。
【0069】
これにより、例えば、雑音の音強が大きくて、ユーザが操作音を聞き取ることが出来ない場合、選択時表示形態の印象が大きく強調されるため、ユーザは、視覚的にキー操作の入力を認識することが可能となる。一方、雑音の音強が小さくて、ユーザが操作音を十分に聞き取ることが出来る場合、選択時表示形態の印象が抑えられるため、ユーザは、当該選択時表示形態の印象により、チラつき、違和感等を覚えることなく、適切なキーの操作感を得ることが可能となる。
【0070】
又、前記パラメータ705は、図7(b)に示すように、例えば、表示拡大率(キーが沈むように見えるため、沈み量、凹み量ともいうことがある)と、表示濃度とが記憶される。ここで、表示拡大率とは、非選択時のキーの表示領域(面積)に対する選択時のキーの表示領域の割合(単位:%)を示す。そのため、表示拡大率が大きくなるほど、選択時のキーの表示領域が大きくなるから、選択時表示形態の視覚的な印象が強調されることになる。尚、第一のパラメータテーブル705に記憶される表示拡大率は100%以上である。又、表示濃度とは、非選択時のキーの背景色の濃度に対する選択時のキーの背景色の濃度の割合(単位:%)を示す。そのため、表示濃度が大きくなるほど、選択時のキーの背景色の濃度が濃くなるから、選択時表示形態の視覚的な印象が強調されることになる。尚、第一のパラメータテーブル705に記憶される表示濃度は100%以上である。
【0071】
図8(a)は、本発明の第一の実施形態に係るパラメータと選択時表示形態との関係の一例を示す図である。図8(b)は、本発明の第一の実施形態に係るタッチパネル上に表示された初期設定画面の一例を示す図である。
【0072】
所定のパラメータ(表示拡大率、表示濃度)に対応して、所定の選択時表示形態が決定される。例えば、図8(a)に示すように、第一のパラメータテーブル703のパラメータ705の表示拡大率が「110%」705b1であり、表示濃度が「100%」705b2である場合、選択時のキーの背景色が、非選択時のキーの背景色の「白色」となり、キーの表示領域が、非選択時の(四角形状の)キーの上方左端部801を基準として右方向と下方向に10%拡大される(例えば、非選択時のキーの下端802と選択時のキーの下端803との間の寸法が1mm)。
【0073】
又、表示拡大率が「120%」705c1であり、表示濃度が「110%」705c2である場合、選択時のキーの背景色が、白色に黒色を10%加えた混色「淡いグレー色」となり、キーの表示領域が、前記上方左端部を基準として右方向と下方向に20%拡大される(非選択時のキーの下端と選択時のキーの下端との寸法が3mm)。
【0074】
更に、表示拡大率が「130%」705a1であり、表示濃度が「130%」705a2である場合、選択時のキーの背景色が、白色に黒色を30%加えた混色「濃いグレー色」となり、キーの表示領域が、前記上方左端部を基準として右方向と下方向に30%拡大される(非選択時のキーの下端と選択時のキーの下端との寸法が5mm)。
【0075】
さて、第一のパラメータテーブル703を参照した表示形態変更手段506は、設定項目キーが選択された時点の選択時表示形態を、決定された音強レベルに対応する第一のパラメータテーブル703のパラメータ705に基づいて変更する(図6:S107)。具体的には、表示形態変更手段506が、選択時表示形態記憶手段508に予め記憶されている、従前の音強レベル(「中」)に対応した前記選択時表示形態のパラメータ(表示拡大率「120%」、表示濃度「110%」)を、決定された音強レベル(「大」704a)に対応する第一のパラメータテーブル703のパラメータ705(表示拡大率「130%」705a1、表示濃度「130%」705a2)に変更する。これにより、選択時表示形態の変更が完了する。
【0076】
前記選択時表示形態の変更が完了すると、表示形態変更手段506がその旨を表示受付手段501に通知し、当該通知を受けた表示受付手段501は、初期設定画面をタッチパネル301上に表示する。
【0077】
初期設定画面804には、図8(b)に示すように、画像形成できる旨のメッセージ805と、複数の設定項目キー806と、スタートキー807と、キャンセルキー808とが選択可能に表示される。
【0078】
さて、ユーザが、初期設定画面804を見ながら、所定の設定項目キー(例えば、「カラー選択」キー806a)を選択すると(図6:S107YES)、表示受付手段501が、「カラー選択」キー806aの選択を受け付けて、所定のメモリに予め記憶されている初期条件(例えば、「モノクロ」)を、当該「カラー選択」キー806aに対応する設定条件(「カラー」)に変更(記憶、設定)する(図6:S108)。
【0079】
又、表示受付手段501は、前記「カラー選択」キー806aが選択された旨を操作音発生手段509に通知する。当該通知を受けた操作音発生手段509は、当該「カラー選択」キー806aに対応する操作音(例えば、ビープ音)を所定の音強(「60dB」)で所定時間(例えば、数秒)発生する(図6:S109)。
【0080】
更に、表示受付手段501は、前記選択時表示形態記憶手段508に記憶されているパラメータ(表示拡大率「130%」705a1、表示濃度「130%」705a2)を参照し、前記「カラー選択」キー806aを、当該パラメータに基づいた選択時表示形態で、所定時間(数秒)切換表示する(図6:S110)。
【0081】
図9(a)は、ユーザに「カラー選択」キーが選択された時点における初期設定画面の一例を示す図である。図9(b)は、「カラー選択」キーが選択されてから所定時間経過後の初期設定画面の一例を示す図である。
【0082】
ユーザにより選択された「カラー選択」キー806aの選択時表示形態900は、図9(a)に示すように、その背景色が「濃いグレー色」となり、キーの表示領域が、非選択時の「カラー選択」キーの上方左端部901を基準として左方向と下方向に30%拡大される。
【0083】
これにより、雑音の音強が大きいことにより、操作音がかき消される場合、つまり、ユーザが聴覚的にキー操作の入力を認識することが出来ない場合には、キーの選択時表示形態における視覚的な印象が強調されることになる。そのため、ユーザは、キー操作による入力を視覚的に認識することが可能となる。
【0084】
尚、雑音の音強が小さい場合(例えば、「25dB」等)は、選択時表示形態900は、図8(a)に示した表示拡大率「110%」705b1、表示濃度「100%」705b2の表示形態のようになり、視覚的な印象が抑えられる。そのため、ユーザは、視覚的にキーのチラつき、違和感を覚えることがない。当該選択時表示形態の変更は上記と同様となるため、その説明は割愛する。
【0085】
さて、前記表示受付手段501が、前記切換表示を完了すると、図9(b)に示すように、選択された「カラー選択」キー902の背景色を白色からグレー色に変更する(図6:S111)。これにより、ユーザは、当該「カラー選択」キー902が既に設定(選択)されていることを知ることになる。
【0086】
初期設定画面804を見ながら、ユーザは、自己の選択した設定項目キーを確認し、初期設定画面804のスタートキー807を選択すると(図6:S112YES)、表示受付手段501は、スタートキー807の選択を受け付けて、スタートキー807の選択とともに、所定のメモリに記憶された設定条件(例えば、「カラー」)を画像形成手段510に通知する。当該通知を受けた画像形成手段510は、ユーザにより選択された設定条件等に基づいて画像形成を実行する(図6:S113)。これにより、画像形成が完了する。
【0087】
尚、ユーザが、前記初期設定画面のスタートキー807を選択しない場合(図6:S112NO)、S107に戻り、表示受付手段501は、ユーザから、画像形成の設定条件を受け付けることになる(図6:S107)。
【0088】
<本発明の第一の実施形態の作用・効果、実施例、比較例について>
上述した効果を示す一例を挙げるとすると、操作音の音強、設定項目キーの表示領域(サイズ)、表示色、表示濃度、雑音の種類等に応じて、結果が多少変動するとは思われるが、本発明の第一の実施形態の構成(音情報検知手段502、音強レベル決定手段504、パラメータ記憶手段507、表示形態変更手段506)を備えた操作部103(第一の実施例操作部)と、本発明の実施形態の構成を備えていないこと以外は第一の実施例操作部と構成を同等とする操作部(第一の比較例操作部)とにおいて、以下の操作環境条件にて、ユーザに、複数の設定条件(カラー選択「カラー」、用紙「A4」、拡大縮小「70%」、原稿サイズ「B4」)を入力させた場合の結果を示す。
【0089】
まず、操作環境条件として、操作音の音強が「60dB」(音量「2」)であり、選択時表示形態のパラメータの表示拡大率が「120%」、表示濃度が「110%」であり、雑音の音強が「80dB」(近辺に工事がされている場合に相当)である場合、第一の実施例操作部では、雑音の音強(音強レベル)に応じて、前記表示拡大率が「130%」、表示濃度が「130%」となり、キーの選択時表示形態の視覚的な印象が強調された。そのため、ユーザは、雑音によりキーの操作音を聞き取ることが出来ず、聴覚的にキー操作の入力を認識することが出来なくても、視覚的に当該キーの操作の入力を認識することが出来た。その結果、ユーザによるキー操作は円滑に進行し、設定条件の入力のためのキー操作に要した時間は数秒程度で完了する傾向である。
【0090】
これに対して、第一の比較例操作部では、キーの選択時表示形態の視覚的な印象は強調されることがない。そのため、ユーザは、雑音が気になって、キーを選択したにも関わらず、当該キー操作の入力を視覚的にも聴覚的にも十分に確認することが出来なかった。その結果、ユーザは、キーの選択毎に、設定条件が入力されているか否かを確認したりして、前記キー操作に要した時間は数十秒−数分掛かる傾向である。
【0091】
次に、操作環境条件として、操作音の音強が「60dB」(音量「2」)であり、選択時表示形態のパラメータの表示拡大率が「120%」、表示濃度が「110%」であり、雑音の音強が「25dB」(静かな部屋に相当)である場合、第一の実施例操作部では、雑音の音強(音強レベル)に応じて、前記表示拡大率が「110%」、表示濃度が「100%」となり、キーの選択時表示形態の視覚的な印象が抑えられた。そのため、ユーザは、キーの選択時表示形態により視覚的に違和感(チラつき)を覚えることが無く、操作音の音強により、聴覚的にキーの操作の入力を十分に認識することが出来た。その結果、ユーザによるキー操作は円滑に進行し、設定条件の入力のためのキー操作に要した時間は数秒程度で完了する傾向がある。
【0092】
これに対して、第一の比較例操作部では、キーの選択時表示形態の視覚的な印象は抑えられることがない。そのため、ユーザは、聴覚的にキーの操作の入力を十分に認識出来るにも関わらず、視覚的にキーのチラつき、違和感を覚えならが、キーの操作の入力をしなければならなかった。その結果、前記キー操作に要した時間は数十秒である傾向である。
【0093】
このように、本発明の第一の実施形態の操作部103では、雑音計により操作部103の周辺から発生した雑音の音強を検知する音情報検知手段502と、前記雑音の音強が前記操作音の音強と比較して大きくなるにつれて高いレベルとなるように段階的に決定された複数の音強レベルのうち、検知された雑音の音強が、いずれの音強レベルに該当するか決定する音強レベル決定手段504とを備える。更に、当該操作部103は、前記音強レベルと、当該音強レベルが高くなるにつれて前記選択時表示形態の視覚的な印象が強調されるパラメータとなるように設定された、前記印象の強弱を示すパラメータとを関連付けて第一のパラメータテーブルとして記憶するパラメータ記憶手段507と、決定された音強レベルに対応する前記第一のパラメータテーブルのパラメータに基づいて、前記選択時表示形態を変更する表示形態変更手段506とを備える。
【0094】
これにより、操作部103の周辺から発生した雑音の音強に応じて、キーの選択時表示形態の視覚的印象が強調されたり抑えられたりする。ユーザは聴覚的にも視覚的にも適切なキーの操作感を得ることが可能となる。その結果、ユーザに対する操作性を向上させ、ユーザにキー操作を円滑に進行させることが可能となる。
【0095】
<本発明の第二の実施形態>
次に、図10−図14を参照しながら、第二の実施形態の操作部103の実行手順について説明する。第一の実施形態と比較して、第二の実施形態の異なる点は、前記音情報が、ユーザにより予め設定され、操作音の音強に対して正比例する操作音の音量であり、前記音強レベルが、前記操作音の音量が小さくなるにつれて低いレベルとなるように段階的に決定され、前記パラメータが、前記音強レベルが低くなるにつれて前記印象が強調されたパラメータとなるように設定された点である。その他の点については、第一の実施形態と同様であるため、第一の実施形態の説明において用いた図面(図1−図9)も適宜参照しながら、第二の実施形態について説明する。
【0096】
図10は、本発明の第二の実施形態に係る操作部及び複合機の機能ブロック図である。図11は、本発明の第二の実施形態に係る実行手順を示すための第一のフローチャート(画像形成のフローチャート)である。図12は、本発明の第二の実施形態に係る実行手順を示すための第二のフローチャート(音量調整のフローチャート)である。
【0097】
まず、ユーザが、複合機100の電源を投入すると、複合機100とともに操作部103が起動し、操作部103の表示受付手段501が、図8(b)に示す初期設定画面804をタッチパネル301上に表示する(図11:S201)。
【0098】
<操作音の音量調整>
ここで、ユーザは、通常、ユーザが視認することが出来ない位置(例えば、操作部103の側面部)に設けられたシステムメニューキー(図示せず)を選択すると(図11:S202YES)、表示受付手段501が、当該システムメニューキーの選択を受け付けて、操作部103全体(又は複合機全体)のシステムを設定、管理するためのシステムメニュー画面をタッチパネル301上に表示する(図12:S301)。
【0099】
図13(a)は、本発明の第二の実施形態に係るタッチパネル上に表示されたシステムメニュー画面の一例を示す図である。図13(b)は、本発明の第二の実施形態に係るタッチパネル上に表示された音量調整画面の一例を示す図である。
【0100】
システムメニュー画面1300には、図13(a)に示すように、システムメニューである旨のメッセージ1301と、システムに関する条件を設定するためのシステム項目キー1302(例えば、操作音の音量を調整するための音量調整キー1302a)と、OKキー1303と、キャンセルキー1304とが表示される。
【0101】
ここで、ユーザが、音量調整キー1302aを選択すると(図12:S302YES)、表示受付手段501が、音量調整キーの選択を受け付けて、操作音の音量調整に関する画面(ここでは、音量調整画面)をタッチパネル上に表示する(図12:S303)。
【0102】
音量調整画面1305には、図13(b)に示すように、操作音の音量の調整をユーザに促す旨のメッセージ1306と、左から右に向かって音量が段階的に大きくなるように表示された複数の音量キー1307(例えば、「0(消音)」キー1307a)と、OKキー1308と、キャンセルキー1309とが表示される。
【0103】
ここで、操作音の音量(ボリュームともいう)とは、ユーザにより予め設定された量(単位:−)であり、当該音量は、操作音の音強と、操作音の周波数と、操作音の発生持続時間とに依存する量である。又、操作音の音量は、ユーザによる感覚的な量(非物理量)であり、上述した物理量である操作音の音強とは異なる。更に、操作音の音量は、主として操作音の音強に対し正比例する。例えば、操作音の音量が「1」の場合、操作音発生器(操作音発生手段509)の性能に応じて多少変動するとは考えられるものの、操作音の音強は「40dB」であり、操作音の音量が「2」の場合、操作音の音強は「60dB」である。
【0104】
ユーザが、前記音量調整画面1305を見ながら、所定の音量キー1307(「0(消音)」キー1307a)を選択すると(図12:S304YES)、表示受付手段501が、音量キーの選択を受け付けて、その旨を操作音発生手段509に通知する。当該通知を受けた操作音発生手段509は、所定のメモリに予め記憶(設定)されていた操作音の音量(例えば、「2」)を、選択された音量キーに対応する操作音の音量(「0(消音)」)に変更(書き換え)する(図12:S305)。当該音量変更が完了すると、操作音発生手段509は、その旨を表示受付手段501に通知する。当該通知を受けた表示受付手段501は、選択された「0(消音)」キー1207aの背景色を白色からグレー色に変更する。
【0105】
更に、表示受付手段501が、所定の音量キーが選択された旨を音情報検知手段502に通知する。当該通知を受けた音情報検知手段502は、音量キーに対応する操作音の音量(「0(消音)」)を検知する(図12:S306)。
【0106】
前記音情報検知手段502が、音量キーの音量を検知すると、その旨を音強レベル決定手段504に通知する。当該通知を受けた音強レベル決定手段504は、音強レベル記憶手段505に予め記憶された第二の音強レベルテーブルを参照する(図12:S307)。
【0107】
図14(a)は、本発明の第二の実施形態に係る第二の音強レベルテーブルの一例を示す図である。図14(b)は、本発明の第二の実施形態に係る第二のパラメータテーブルの一例を示す図である。
【0108】
第二の音強レベルテーブル1400には、図14(a)に示すように、操作音の音強を基準として段階的に決定された操作音の音量1401(例えば、「0(消音)」1401a)と、当該操作音の音量に対応して決定された音強レベル1402(例えば、「小」1402a)とが関連付けて記憶されている。
【0109】
ここで、第二の音強レベルテーブル1400の音強レベル1402は、前記操作音の音量が小さくなるにつれて低いレベルとなるように段階的に決定されている。例えば、図14(a)に示すように、前記操作音の音量が小さい「0(消音)」1401aには、音強レベルが低い「小」1402aが関連付けて記憶される。又、前記操作音の音量が中程度である「1」及び「2」には、音強レベルが中程度である「中」が関連付けて記憶される。更に、前記操作音の音量が大きい「4」及び「5」には、音強レベルが大きい「大」が関連付けて記憶される。
【0110】
さて、第二の音強レベルテーブル1400を参照した音強レベル決定手段504は、検知された音量が、前記複数の音強レベルのうち、いずれの音強レベルに該当するか決定する(図12:S308)。具体的には、音強レベル決定手段504が、第二の音強レベルテーブル1400における操作音の音量1401と、検知された音量とを比較して、両者が一致するか否か判定する。当該判定の結果、音強レベル決定手段504は、一致する音量に対応する第二の音強レベルテーブル1400の音強レベル1401を、検知された音量に対する音強レベルとして決定する。
【0111】
音強レベル決定手段504が前記音強レベルを決定すると、その旨を表示形態変更手段506に通知する。当該通知を受けた表示形態変更手段506は、パラメータ記憶手段507に予め記憶された第二のパラメータテーブルを参照する(図12:S309)。
【0112】
第二のパラメータテーブル1403には、図14(b)に示すように、前記音強レベル1404(例えば、「小」1404a)と、当該音強レベル1404の高低に応じた、前記選択時表示形態の視覚的な印象の強弱を示すパラメータ1405(例えば、表示拡大率「130%」1405a1、表示濃度「130%」1405a2)とが関連付けて記憶されている。ここで、本実施形態では、前記音情報として操作音の音量が採用されている。そのため、第二のパラメータテーブル1403のパラメータ1405は、当該音量に対応した音強レベル1404(「小」1404a)が低くなるにつれて前記印象が強調されたパラメータ(表示拡大率「130%」1405a1、表示濃度「130%」1405a2)となるように設定されている。
【0113】
これにより、例えば、操作音の音量が小さくて、ユーザが操作音を聞き取ることが出来ない場合、選択時表示形態の印象が大きく強調されるため、ユーザは、視覚的にキー操作の入力を認識することが可能となる。一方、操作音の音量が大きくて、ユーザが操作音を十分に聞き取ることが出来る場合、選択時表示形態の印象が抑えられるため、ユーザは、当該選択時表示形態の印象により、チラつき、違和感等を覚えることなく、適切なキーの操作感を得ることが可能となる。
【0114】
さて、第二のパラメータテーブル1403を参照した表示形態変更手段506は、設定項目キーが選択された時点の選択時表示形態を、決定された音強レベルに対応する第二のパラメータテーブル1403のパラメータ1405に基づいて変更する(図12:S310)。具体的には、表示形態変更手段506が、選択時表示形態記憶手段508に予め記憶されている、従前の音強レベル(「中」)に対応する前記選択時表示形態のパラメータ(表示拡大率「120%」、表示濃度「110%」)を、決定された音強レベル(「小」1404a)に対応する第一のパラメータテーブル1403のパラメータ1405(表示拡大率「130%」1405a1、表示濃度「130%」1405a2)に変更する。これにより、選択時表示形態の変更が完了する。
【0115】
前記選択時表示形態の変更が完了すると、表示形態変更手段506がその旨を表示受付手段501に通知し、当該通知を受けた表示受付手段501は、音量調整画面1305を表示する。
【0116】
所定の音量キー1307を選択したユーザは、音量調整画面1305を見ながら、OKキー1308を選択すると(図12:S311YES)、表示受付手段501が、OKキー1308の選択を受け付け、S301に戻り、図12(a)に示すシステムメニュー画面1300をタッチパネル301上に表示する(図12:S301)。
【0117】
尚、ユーザが、音量調整画面1305中のOKキー1308を選択しない場合(図12:S311NO)、S304に戻り、表示受付手段501は、ユーザから特定の音量キーの選択を受け付けることになる(図12:S304)。
【0118】
さて、S301において、ユーザが、システムメニュー画面1300を見ながら、OKキー1303を選択すると、(図12:S312YES)、表示受付手段501が、OKキー1303の選択を受け付け、S201に戻り、図8(b)に示す初期設定画面804をタッチパネル301上に表示することになる(図11:S201)。尚、システムメニュー画面1300内の、音量調整キー1302a以外のシステム項目キー1302については、本実施形態と直接関係がないため、その説明を割愛する。
【0119】
<画像形成>
S201において、初期設定画面804を見ながら、ユーザが、所定の設定項目キー806(例えば、「カラー選択」キー806a)を選択すると(図11:S203YES)、表示受付手段501が、「カラー選択」キー806aの選択を受け付けて、所定のメモリに予め記憶されている初期条件(例えば、「モノクロ」)を、当該「カラー選択」キー806aに対応する設定条件(「カラー」)に変更(記憶、設定)する(図11:S204)。
【0120】
又、表示受付手段501は、前記「カラー選択」キー806aが選択された旨を操作音発生手段509に通知し、当該通知を受けた操作音発生手段509は、先ほどユーザにより設定された音量で、当該「カラー選択」キー806aに対応する操作音(ビープ音)を所定時間(数秒)発生する(図11:S205)。尚、音量が「0(消音)」である場合、操作音発生手段509は操作音を発生しない。
【0121】
更に、表示受付手段501は、前記選択時表示形態記憶手段508に記憶されているパラメータ(表示拡大率「130%」1405a1、表示濃度「130%」1405a2)を参照し、前記「カラー選択」キー806aを、当該パラメータに基づいた選択時表示形態で、所定時間(数秒)切換表示する(図11:S206)。
【0122】
具体的には、図9(a)に示すように、「カラー選択」キー806aの選択時表示形態900は、その背景色が「濃いグレー色」となり、キーの表示領域が、非選択時の「カラー選択」キーの上方左端部901を基準として左方向と下方向に30%拡大される。
【0123】
これにより、キーの操作音が発生しないことにより、ユーザが聴覚的にキー操作の入力を認識することが出来ない場合には、キーの選択時表示形態における視覚的な印象が強調されることになる。そのため、ユーザは、キー操作による入力を視覚的に認識することが可能となる。
【0124】
尚、キーの操作音の音量が大きい場合(例えば、「5」等)は、選択時表示形態900は、図8(a)に示した表示拡大率「110%」705b1、表示濃度「100%」705b2の表示形態のようになり、視覚的な印象が抑えられる。そのため、ユーザは、視覚的にキーのチラつき、違和感を覚えることがない。当該選択時表示形態の変更は上記と同様となるため、その説明は割愛する。
【0125】
前記表示受付手段501が、前記切換表示を完了すると、図9(b)に示すように、選択された「カラー選択」キー902の背景色を白色からグレー色に変更する(図11:S207)。
【0126】
更に、ユーザにより、初期設定画面804内のスタートキー807が選択された場合(図11:S208YES)、所定のメモリに記憶された設定された設定条件(例えば、「カラー」)に基づいて画像形成が実行される(図11:S209)。一方、スタートキー807が選択されない場合(図11:S208NO)、S202に戻ることになる(図11:S202)。これらの場合は、第一の実施形態と同様であるため、詳細な説明は割愛する。
【0127】
<本発明の第二の実施形態の作用・効果、実施例、比較例について>
上述した効果を示す一例を挙げるとすると、本発明の第二の実施形態の構成(音情報検知手段502、音強レベル決定手段504、パラメータ記憶手段507、表示形態変更手段506)を備えた操作部103(第二の実施例操作部)と、本発明の実施形態の構成を備えていないこと以外は第二の実施例操作部と構成を同等とする操作部(第二の比較例操作部)とにおいて、以下の操作環境条件にて、ユーザに、複数の設定条件(カラー選択「カラー」、用紙「A4」、拡大縮小「70%」、原稿サイズ「B4」)を入力させた場合の結果を示す。
【0128】
まず、操作環境条件として、会議等を行なうために、操作音の音量が「0(消音)」とされた場合、第二の実施例操作部では、操作音の音量(音強レベル)に応じて、前記表示拡大率が「130%」、表示濃度が「130%」となり、キーの選択時表示形態の視覚的な印象が強調された。そのため、ユーザは、キーの操作音を聞き取ることが出来なくても、視覚的にキー操作の入力を認識することが出来た。その結果、ユーザによるキー操作は円滑に進行し、設定条件の入力のためのキー操作に要した時間は数秒程度で完了する傾向である。
【0129】
これに対して、第二の比較例操作部では、キーの選択時表示形態の視覚的な印象は強調されることがない。そのため、ユーザは、キーを選択したにも関わらず、当該キー操作による入力が聴覚的にも視覚的にも十分に確認することが出来なかった。その結果、ユーザは、キーの選択毎に、設定条件が入力されているか否かを確認したりして、前記キー操作に要した時間は数十秒−数分掛かる傾向である。
【0130】
次に、操作環境条件として、操作音が響き渡るように、操作音の音量が「5」とされた場合、第二の実施例操作部では、操作音の音量(音強レベル)に応じて、前記表示拡大率が「110%」、表示濃度が「100%」となり、キーの選択時表示形態の視覚的な印象が抑えられた。そのため、ユーザは、キーの選択時表示形態により視覚的に違和感を覚えることが無く、操作音の音強により、聴覚的にキーの操作の入力を十分に認識することが出来た。その結果、ユーザによるキー操作は円滑に進行し、設定条件の入力のためのキー操作に要した時間は数秒程度で完了する傾向がある。
【0131】
これに対して、第二の比較例操作部では、キーの選択時表示形態の視覚的な印象は抑えられることがない。そのため、ユーザは、聴覚的にキーの操作の入力を十分に認識出来るにも関わらず、視覚的にキーのチラつき、違和感を覚えならが、キーの操作をしなければならなかった。その結果、前記キー操作に要した時間は数十秒である傾向である。
【0132】
このように、本発明の第二の実施形態の操作部103では、ユーザにより予め設定され、操作音の音強に対して正比例する操作音の音量を検知する音情報検知手段502と、前記操作音の音量が小さくなるにつれて低いレベルとなるように段階的に決定された複数の音強レベルのうち、検知された操作音の音量が、いずれの音強レベルに該当するか決定する音強レベル決定手段504とを備える。又、当該操作部103は、前記音強レベルと、当該音強レベルが低くなるにつれて前記選択時表示形態の視覚的な印象が強調されたパラメータとなるように設定された、前記印象の強弱を示すパラメータとを関連付けて第二のパラメータテーブルとして記憶するパラメータ記憶手段507と、決定された音強レベルに対応する前記第二のパラメータテーブルのパラメータに基づいて、前記選択時表示形態を変更する表示形態変更手段506と備える。
【0133】
これにより、操作音の音量が小さくて、ユーザが操作音を聞き取ることが出来ない場合(会議、商談等により操作音の音量を小さくする、又は消音にしなければならない場合)、選択時表示形態の印象が大きく強調されるため、ユーザは、視覚的にキー操作の入力を認識することが可能となる。一方、操作音の音量が大きくて、ユーザが操作音を十分に聞き取ることが出来る場合、選択時表示形態の印象が抑えられるため、ユーザは、当該選択時表示形態の印象により、チラつき、違和感等を覚えることなく、適切なキーの操作感を得ることが可能となる。
【0134】
尚、本発明の第一の実施形態、又は第二の実施形態に係るパラメータは、最も視覚的な印象の強弱に影響を及ぼし易い表示拡大率と、表示濃度とを採用したが、他のパラメータを採用しても構わない。例えば、非選択時のキーの色に対して、視覚的な印象が強調された、選択時のキーの色を示す表示色、非選択時のキーの形状に対して、視覚的な印象が強調された、選択時のキーの形状を示す表示形状、非選択時のキーの画像に対して、視覚的な印象が強調された画像(波表示、浪打、波紋の広がり等)が追加された、選択時のキーの画像を示す表示画像等が挙げられる。又、前記表示拡大率は、キーの表示領域が、非選択時のキーの上方左端部を基準として右方向と下方向に拡大されるよう構成したが、他の構成(例えば、左方向と上方向に拡大等)でも構わない。
【0135】
又、本発明の第一の実施形態に係る音情報検知手段502は、雑音計により雑音の音強を検知するよう構成したが、他の構成でも構わない。例えば、音情報検知手段502が、操作部103(複合機100)が設置された部屋の人数と、経験的に算出される、一人当たりの雑音の音強(単位雑音音強)とに基づいて部屋における雑音の音強(人数×単位雑音音強)を操作部103の周辺から発生した雑音の音強として算出(検知)するよう構成しても構わない。当該構成とすると、雑音計を備える必要がなく、コストパフォーマンスを向上させることが可能となる。
【0136】
又、本発明の第一の実施形態に係る音情報検知手段502は、表示受付手段501が初期設定画面をタッチパネル上に表示する際に、雑音の音強を検知するよう構成したが他の構成でも構わない。例えば、音情報検知手段502が、ユーザがログインした時点で(ユーザ毎に)雑音の音強を検知するよう構成してもよい。
【0137】
又、例えば、表示受付手段501が初期設定画面をタッチパネル上に表示した時点から、所定の周期(例えば、10分)毎に、音情報検知手段502が、雑音の音強を検知するよう構成しても構わない。当該構成とすると、工事開始等の何らかの理由により、周囲の雑音の音強が急激に大きくなった場合であっても、適切にキーの選択時表示形態が変更されるため、上述した効果を適切なタイミングで得ることが可能となる。
【0138】
又、本発明の第二の実施形態に係るシステムメニューキーは、通常、ユーザが視認することが出来ない位置に設けるよう構成したが、例えば、管理者がログインした時点に表示される初期設定画面の所定の位置に、選択可能に設けるよう構成してもよい。
【0139】
又、本発明の実施形態に係る操作部103では、複合機100のコピーサービスの処理に関して採用したが、例えば、ファクシミリ送受信サービス、プリントサービス等に対しても採用できる。更に、本発明の実施形態では、操作部103を複合機に適用した場合について説明したが、タッチパネル301を有する操作部103(操作装置)を備えた各種画像形成装置、各種電子装置、各種測定装置等に適用しても、同一の作用効果を奏する。
【0140】
又、本発明の実施形態では、操作部103が各手段を備えるよう構成したが、当該各手段を実現するプログラムを記憶媒体に記憶させ、当該記憶媒体を提供するよう構成しても構わない。当該構成では、上記プログラムを操作部103或いは複合機100に読み出させ、その操作部103或いは複合機100が上記各手段を実現する。その場合、上記記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の作用効果を奏する。さらに、各手段が実行するステップをハードディスクに記憶させる方法として提供することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0141】
以上のように、本発明に係る操作装置及び操作方法は、複合機はもちろん、複写機、プリンタ等に有用であり、キー操作に関連する音情報に対応して、ユーザが適切なキーの操作感を視覚的に得ることができ、ユーザに対する操作性を向上させることが可能な操作装置及び操作方法として有効である。
【符号の説明】
【0142】
100 複合機
103 操作部
501 表示受付手段
502 音情報検知手段
503 雑音計
504 音強レベル決定手段
505 音強レベル記憶手段
506 表示形態変更手段
507 パラメータ記憶手段
508 選択時表示形態記憶手段
509 操作音発生手段
510 画像形成手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面に表示された所定のキーがユーザにより選択されると、選択されたキーに対応する操作音を発生するとともに、当該キーの表示形態を、ユーザにキーの選択を知らせるための選択時表示形態に一時的に切り換える操作装置において、
前記キーの操作に関連する音情報を検知する音情報検知手段と、
前記操作音の音強を基準として段階的に決定された複数の音強レベルのうち、検知された音情報が、いずれの音強レベルに該当するか決定する音強レベル決定手段と、
前記音強レベルと、当該音強レベルの高低に応じた、前記選択時表示形態における視覚的な印象の強弱を示すパラメータとを関連付けてパラメータテーブルとして記憶するパラメータ記憶手段と、
決定された音強レベルに対応する前記パラメータテーブルのパラメータに基づいて、前記選択時表示形態を変更する表示形態変更手段と、
を備えることを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記音情報が、自装置の周辺から発生した雑音の音強であり、
前記音強レベルが、前記雑音の音強が前記操作音の音強と比較して大きくなるにつれて高いレベルとなるように段階的に決定され、
前記パラメータが、前記音強レベルが高くなるにつれて前記印象が強調されるパラメータとなるように設定された
請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記音情報が、ユーザにより予め設定され、操作音の音強に対して正比例する操作音の音量であり、
前記音強レベルが、前記操作音の音量が小さくなるにつれて低いレベルとなるように段階的に決定され、
前記パラメータが、前記音強レベルが低くなるにつれて前記印象が強調されたパラメータとなるように設定された
請求項1に記載の操作装置。
【請求項4】
前記パラメータは、非選択時のキーの表示領域に対する選択時のキーの表示領域の割合を示す表示拡大率、及び/又は、非選択時のキーの背景色の濃度に対する選択時のキーの背景色の濃度の割合を示す表示濃度を含む
請求項1−3のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項5】
請求項1−4のいずれか一項に記載の操作装置を備えた画像形成装置。
【請求項6】
画面に表示された所定のキーがユーザにより選択されると、選択されたキーに対応する操作音を発生するとともに、当該キーの表示形態を、ユーザにキーの選択を知らせるための選択時表示形態に一時的に切り換える操作方法において、
前記キーの操作に関連する音情報を検知する音情報検知ステップと、
前記操作音の音強を基準として段階的に決定された複数の音強レベルのうち、検知された音情報が、いずれの音強レベルに該当するか決定する音強レベル決定ステップと、
前記音強レベルと、当該音強レベルの高低に応じた、前記選択時表示形態における視覚的な印象の強弱を示すパラメータとを関連付けて記憶するパラメータテーブルを参照する参照ステップと、
決定された音強レベルに対応する前記パラメータテーブルのパラメータに基づいて、前記選択時表示形態を変更する表示形態変更ステップと、
を含むことを特徴とする操作方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−32988(P2012−32988A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171701(P2010−171701)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】