説明

操作装置

【課題】情報処理装置を操作するための操作装置において、操作者であるユーザの認証が要求される操作を容易に実行させ、結果としてユーザ操作性を向上させる。
【解決手段】操作装置(カード入力手段50で例示)は、表示装置(LCDパネル11で例示)を備えた情報処理装置(CPU15、HDD16等からなる制御装置で例示)の操作装置として機能する。カード入力手段50は、非接触カードに記録された識別情報を非接触で読み取る複数の通信手段と、複数の通信手段のいずれかで非接触カードの識別情報を読み取ったときに、その識別情報の読み取りを行った通信手段に対応した操作信号を出力する信号出力手段とを有する。CPU15はこの操作信号と同時に或いは操作信号に含めて送信される識別情報とから、制御装置の利用認証と同時に操作の内容を実行することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作装置に関し、より詳細には、表示装置を備えた情報処理装置の操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ(PC)などの情報処理装置には、それを操作するためのキーボードやポインティングデバイスといった操作装置が具備され、同じく具備された表示装置に表示した情報等に対してユーザ操作が可能となっている。
【0003】
また、非接触方式の電子カードの情報を、表示装置の背面に設けたカードリーダで読み取って入力する装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2003−346094号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の情報処理装置では、装置本体の使用に際しユーザ認証を必要とする場合には認証作業を実行してからユーザが望む所定の操作を行う必要がある。また、情報処理装置においてユーザ認証を必要とする所定の操作を行う場合にも、認証作業を実行してから所定の操作を実行する必要がある。この認証作業は、操作装置で認証コードをキー入力等により入力するか、或いはより操作性を向上させるために、特許文献1に記載の技術を採用して非接触方式の電子カード(非接触カード)で認証コードを入力するなどによって実行している。
【0005】
このように、従来の情報処理装置では、所定の操作を行う場合に予めユーザ認証が要求される場合、認証作業と実際に実行しようとする所定の操作とで合計2つの操作が必要であり、操作性が悪くなっている。
【0006】
本発明は、上述のごとき実状に鑑みてなされたものであり、情報処理装置を操作するための操作装置において、操作者であるユーザの認証が要求される操作を容易に実行させ、結果としてユーザ操作性を向上させることを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述のごとき課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、表示装置を備えた情報処理装置の操作装置であって、非接触カードに記録された識別情報を非接触で読み取る複数の通信手段と、該複数の通信手段のいずれかで非接触カードの識別情報を読み取ったときに、該識別情報の読み取りを行った通信手段に対応した操作信号を出力する信号出力手段とを有することを特徴としたものである。
【0008】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記表示装置には表示画面上に複数のアイコンが表示されており、前記信号出力手段は、前記識別情報の読み取りを行った通信手段に対応した操作信号として、前記アイコンの選択を行うための操作信号を出力することを特徴としたものである。
【0009】
第3の技術手段は、第2の技術手段において、前記情報処理装置には1又は複数のプログラムが実行可能に組み込まれており、且つ、前記複数のアイコンは、前記組み込まれたプログラムのいずれかで開くファイルに対応したアイコン、又は各プログラムに対応したアイコンであることを特徴としたものである。
【0010】
第4の技術手段は、第3の技術手段において、前記複数の通信手段の一つは、前記選択したアイコンに対応するプログラム又はファイルを起動するために設けられており、前記信号出力手段は、前記一つの通信手段で非接触カードの識別情報を読み取ったときに、前記選択されたアイコンに対応するプログラム又はファイルを起動するための操作信号を出力することを特徴としたものである。
【0011】
第5の技術手段は、第2の技術手段において、前記情報処理装置には該情報処理装置からの命令により利用可能な複数のデバイスが接続されており、且つ、前記複数のアイコンは、各デバイスに対応したアイコンであることを特徴としたものである。
【0012】
第6の技術手段は、第5の技術手段において、前記複数の通信手段の一つは、前記選択したアイコンに対応するデバイスを利用するために設けられており、前記信号出力手段は、前記一つの通信手段で非接触カードの識別情報を読み取ったときに、前記選択されたアイコンに対応するデバイスを利用するための操作信号を出力することを特徴としたものである。
【0013】
第7の技術手段は、第5又は第6の技術手段において、前記デバイスの少なくとも一つは画像形成装置又は情報処理装置であることを特徴としたものである。
【0014】
第8の技術手段は、第1の技術手段において、前記信号出力手段は、前記非接触カードに記憶されたファイルを読み取るための操作信号を出力することを特徴としたものである。
【0015】
第9の技術手段は、第1の技術手段において、前記信号出力手段は、前記情報処理装置に記憶されているファイルを前記非接触カードに記憶するための操作信号を出力することを特徴としたものである。
【0016】
第10の技術手段は、第1〜第9の技術手段において、前記信号出力手段は、前記読み取った識別情報に対する認証処理を、当該操作装置で実行するか或いは前記情報処理装置に実行させることを特徴としたものである。
【0017】
第11の技術手段は、第10の技術手段において、前記認証処理は、前記識別情報の読み取りを行った通信手段に依らず共通の認証方式を用いることを特徴としたものである。
【0018】
第12の技術手段は、第10又は第11の技術手段において、前記認証処理は、前記識別情報の読み取りを行った通信手段に応じて、認証レベルを異ならしめて実行されることを特徴としたものである。
【0019】
第13の技術手段は、第1の技術手段において、前記複数の通信手段は、所定の文字群及び/又は数字群に対応して設けられており、前記信号出力手段は、前記所定の文字群又は数字群を入力するための操作信号を出力することを特徴としたものである。
【0020】
第14の技術手段は、第1〜第13の技術手段において、前記表示装置はタッチパネルを有し、前記複数の通信手段は前記表示装置の表示画面の背後に設置されており、前記タッチパネルは、当該操作装置で操作を実行中には、前記複数の通信手段が設置された領域に対応した表示領域でのタッチ操作を無効にすることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る、情報処理装置を操作するための操作装置によれば、操作者であるユーザの認証が要求される操作を容易に実行させ、結果としてユーザ操作性を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明に係る操作装置は、画面上に表示を行う表示装置を備えた情報処理装置を操作対象とする。以下、この情報処理装置が、本発明に係る操作装置と、表示装置と、その操作装置からのユーザ操作に基づく表示装置の表示制御を含めた制御を行う制御装置とを備えたシステムとして構成されるものとして、説明する。なお、この情報処理装置には、本発明に係る操作装置以外に、タッチパネルで例示するように他の操作装置が設けられていてもよい。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る操作装置を備えた情報処理装置の一例を示す外観図である。図1で例示する情報処理装置は、大型の表示装置10と、表示装置10に接続されたPC等の制御装置(図示せず)とを備えた、主として会議などでの利用に好適な情報表示システム(以下、単に「表示システム」という)である。
【0024】
ここで例示する表示装置10は、その画像データを表示する薄型且つ大型のLCD(Liquid Crystal Display)パネル等の表示手段11に加え、表示手段11の画面の前面側に設けられ、表示手段11で表示された情報に対する操作を行うためのタッチパネル12を備えている。表示手段11及びタッチパネル12については後述する。
【0025】
制御装置は、表示対象となる画像データを表示手段11に送り、表示手段11に表示させる制御も行う。また、この制御装置は、表示装置10に内蔵しても外付けしてもよい。さらに、表示制御を行う表示制御手段を表示装置10側に内蔵し他の制御を行う手段のみ外付けの制御装置側に設けるなど、制御装置と表示装置10との間で処理機能を分散させるように設けてもよい。
【0026】
さらに、この表示システムには、本発明に係る操作装置の一例としてのカード入力手段50が設けられている。カード入力手段50は、表示装置10に組み込まれており、表示手段11の下側に、斜めに検知面51が向くように設置されている。カード入力手段50が制御装置に対して操作信号を出力することで、制御装置が他の部位を制御してその操作信号に対応した処理を実行させる。そして、この処理には表示手段11での表示内容の変更処理も伴うことが多くなる。カード入力手段50並びにそれによるユーザ操作については、様々な例を挙げて後述する。
【0027】
この表示システムは、図1で例示するように、台座(スタンド)20と、その台座20に支持された薄型且つ大型の表示装置10と、台座20に収納されたプリンタ30及びスキャナ装置40とを備えている。なお、プリンタ30やスキャナ装置40等の機器(デバイス)は、後述する特定の実施形態を適用する場合を除けば設けなくてもよい。
【0028】
表示装置10を支持する台座20は、左右一対の脚部21と、基台22と、基台キャスター(移動用車輪)23とを備えている。一対の脚部21は、基台22と表示装置10とを連結するために設けられたものである。基台キャスター(移動用車輪)23は、表示装置10を含む表示システム全体の移動を容易にするために、基台22の底部に設けられたものである。
【0029】
プリンタ30は、基台22上であって一対の脚部21の間に載置している。また、制御装置を外付けする場合には、例えばプリンタ30の後方に設置するなどしてもよい。ここでは、表示装置10の表示画面が視認できる面を表示装置10の前面側とする。そして表示画面に向かって手前側を本表示システムの前側とし、表示装置10の背面側を本表示システムの後方とする。
【0030】
また、台座20は、図示しない機構により基台22のプリンタ搭載部分が基台22に対して前後にスライド可能としておくことが好ましい。プリンタ30のトナーカートリッジの交換等のメンテナンス時にはこのプリンタ搭載部分を手前に引き出せばよい。このような構成により、台座20のスペースを有効に利用することができ、表示装置10の前でプレゼンテーションや会議進行などを行う利用者は、プリンタ30が邪魔にならずに表示システムを利用することができる。
【0031】
スキャナ装置40は、プリンタ30の上方の脚部21の内側空間に取り付けられている。スキャナ装置40は、さらに図示しないレール機構などにより、前方にスライドして引き出し可能に構成されている。また、スキャナ装置40は、その前面側に、シート状の原稿を挿入して内部に導入するための挿入口と、画像を読み取った後の原稿を排出するための排出口とを構成する2つの開口部を設けておくとよい。挿入口にシート状の原稿を挿入することにより、スキャナ装置40の給紙搬送機構によって原稿が搬送され、CCD(Charge Coupled Device)センサなどによる画像読み取り装置に送られる。そして画像読み取り装置によって画像が読み取られた原稿は、排出ローラにより搬送され、排出口から排出される。
【0032】
このような構成により、ユーザは、スキャナ装置40を台座20の脚部21の間に収納したままの状態で、スキャナ装置40の前面側からシート上の原稿の給紙と排出とを行うことができる。また、ブック原稿の画像読み取りやメンテナンスを行う場合には、スキャナ装置40を前方に引き出してこれらの処理を行うことができる。
【0033】
また、大型の表示装置10を支持する台座20の表示装置10の下方にスキャナ装置40やプリンタ30などのデバイスを収納することにより、表示システムの重心を下方に位置させることができ、これにより表示システムの加重バランスを安定させて、表示システムの転倒防止を図ることができる。このとき、複数のデバイスのうち、他のデバイスより重量の重い電子機器を下方に設けるようにすることが好ましい。
【0034】
図2は図1の表示システムの一構成例を示すブロック図で、ここでは図1において台座20を除いた部分の構成例を示している。また、図3は図2のタッチパネルの一構成例を示す図である。
【0035】
図2で例示する表示システムでは、上述の制御装置が、メモリ13、LCDコントローラ14、CPU(Central Processing Unit)15、ハードディスクドライブ(HDD)16、及び外部機器接続インターフェース(I/F)17により構成されるものとして説明する。
【0036】
CPU15は、表示装置10の全体の制御を行う。メモリ13、HDD16は、オペレーションシステム(OS)を含むプログラムと、そのプログラムで読み出し可能なデータとを記憶する。メモリ13は、例えばOSを記憶したROM(Read Only Memory)とプログラムの実行領域(作業領域)としてのRAM(Random Access Memory)とで構成するとよく、HDD16はそれ以外のプログラムやデータを格納しておくとよい。
【0037】
以下、表示手段11としてLCDパネルを挙げて説明する。但し、表示手段11としては、LCDの他に、プラズマディスプレイ(Plasma Display Panel)、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display)、表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(Surface-conduction Electron-emitter Display)、有機ELディスプレイ(Organic Electroluminescence Display)等の表示装置を適用することができる。LCDパネル11は、LCDコントローラ14で制御され、画像表示を行う。LCDコントローラ14は、CPU15に制御されてLCDパネル11の表示を制御する。
【0038】
タッチパネル12は、タッチペンや指などにより座標入力を行う装置であり、ユーザによるタッチ位置の座標を検出し、CPU15に送る。タッチパネル12は、図3で例示するように、ガラス等の透過部材の4辺にそれぞれペンのタッチ位置を検出するためのLED(Light Emitting Diode)アレイとフォトトランジスタアレイを設けるなどによって構成できる。図3の例では、下辺にX方向LEDアレイ12a、上辺にX方向フォトトランジスタアレイ12b、左辺にY方向LEDアレイ12c、右辺にY方向フォトトランジスタアレイ12dを設けている。隣接するLED若しくはフォトトランジスタは、例えば0.5mmなどの所定の間隔で並べて配置すればよい。
【0039】
操作部材であるタッチペンにより透過部材上に触れると、触れた位置Tを通過するLEDの光がタッチペンにより遮蔽されフォトトランジスタに到達しなくなるために、到達しなかったフォトトランジスタの座標を指定された座標として出力する。図3の例ではxi、yiがこの座標に相当する。
【0040】
タッチパネル12から座標の情報を受けたCPU15は、例えば、入力された座標の位置に所定のオブジェクトを表示するようにLCDコントローラ14を制御する。これにより、このオブジェクトがLCDパネル11に表示できる。オブジェクトとは、例えば点画像である。ユーザがタッチペン等で透過部材の表面をなぞることにより点画像のオブジェクトを連続的に表示させ、操作者の所望する図形や文字を描くことができる。その他オブジェクトとしては直線、円形、三角形、四角形といった予め定められた定形図形でもよい。
【0041】
他の例として、CPU15は、タッチパネル12から所定時間以内に2回同じとみなせる座標が入力され、且つその座標に対応する画面に或るアプリケーションやファイルのアイコンが表示されていた場合、すなわちユーザによるダブルクリック操作がなされ場合、そのアプリケーションやファイルをHDD16から読み出し、LCDコントローラ14を制御してそれをLCDパネル11に表示させる。また、CPU15は、所定時間続けて同じとみなせる座標が入力され、且つその座標に対応する画面にアイコンが表示されていた場合、そのアイコンを選択する操作とみなし、選択したことを視認させるためにアイコンの表示色等を変更するよう、LCDコントローラ14を制御する。
【0042】
カード入力手段50は、図4等を参照しながら詳細を後述するように、CPU15に接続され操作信号をCPU15に渡す。これにより、ユーザはカード入力手段50からもこの表示システムの操作が可能となっている。
【0043】
また、プリンタ30及びスキャナ装置40は、外部機器接続I/F17によりCPU15に接続され、CPU15から制御可能となっている。制御装置のCPU15は、カード入力手段50(及びタッチパネル12)からのユーザ操作に基づき、外部機器接続I/F17経由でプリンタ30に対して印刷要求を行う。プリンタ30は、この印刷要求に応じて、例えば制御装置のHDD16に記憶されたファイルやLCDパネル11に表示中の画像などを記録用紙に印刷可能となっている。またプリンタ30は、スキャナ装置40で取り込んだ画像データの印刷出力なども行うことができる。
【0044】
制御装置のCPU15は、カード入力手段50(及びタッチパネル12)からのユーザ操作に基づき、外部機器接続I/F17経由でスキャナ装置40に対して原稿読取要求を行う。スキャナ装置40は、この原稿読取要求に応じて、原稿を光学的に読み取り画像データを制御装置側へ返すことが可能となっている。スキャナ装置40で読み取られた画像データは、HDD16への記録、LCDパネル11での表示、プリンタ30から印刷出力などの処理も可能となっている。
【0045】
図4は図2のカード入力手段の一構成例を示すブロック図、図5は図4のカード入力手段における検知面の一例を示す外観図、図6は図4のカード入力手段に対して操作可能な非接触カードの一構成例を示すブロック図である。
【0046】
カード入力手段50は、非接触カードに記録された識別情報を非接触で読み取る通信手段を複数(図4の例では9つ)有する。カード入力手段50は、さらに、複数の通信手段のいずれかで非接触カードの識別情報を読み取ったときに、その識別情報の読み取りを行った通信手段に対応した操作信号を出力する信号出力手段を有するものとする。この操作信号は、上述の制御装置を操作するため、通信手段に各々対応した信号であり、図2の例ではCPU15に伝送される。そして、制御装置では、受信した操作信号から、いずれの通信手段で識別情報を読み取ったかが判別でき、それに応じた処理が実行される。この処理には、LCDパネル11での表示内容を変更する処理も含まれることが多い。識別情報を用いた認証については後述する。
【0047】
図4では、上述の複数の通信手段として、9つのアンテナ52a〜52iを配設した例を示している。以下、これらのアンテナ52a〜52iのうち不特定のアンテナを指すときは符号52を使用する。アンテナ52は、非接触カードと情報通信を行うもので検知面51に複数設けられる。そして、非接触カードを検知面51におけるアンテナ52に対応する位置に近づけることで操作がなされる。従って、アンテナ52は、正当な位置のいずれかに非接触カードを近づけたときに、2以上のアンテナ52でそれを検知(検出)することがないような位置に配置する。
【0048】
また、図4では、上述の信号出力手段として、セレクタ53及び通信ユニット54を設けた例を示している。セレクタ53は、複数のアンテナ52からの入出力を時分割で切り替えて、1つの通信ユニット54に複数のアンテナ52を接続する。通信ユニット54は、アンテナ52を介して非接触カードとの通信を行う。さらに、通信ユニット54はCPU15に接続されており、アンテナ52a〜52iのうち識別情報を受信したアンテナに対応した操作信号(識別情報を含む)をCPU15に出力可能となっている。
【0049】
なお、上述のごとくカード入力手段50は、識別情報を読み取ったアンテナ52を示す信号を出力するため、複数配置されたアンテナ52で示される座標情報を入力(取得)する座標情報取得手段であるとも言える。すなわち、カード入力手段50は非接触カードを検知面51にかざすことによる座標入力を行うための装置であると言える。また、カード入力手段50は、非接触カードでの操作位置を取得する操作位置取得手段であるとも言える。
【0050】
また、通信ユニット54は、操作信号を識別情報を含めたものに変換してからCPU15に出力する構成を採用してもよいし、非接触カードとCPU15との通信を経由させるような構成を採用してもよい。後者の場合、操作信号に読み取った識別情報を含まないような通信も可能である。また、非接触カードとの通信を行った通信ユニット54が、操作信号(どのアンテナ52が接続されたかが判別可能な信号)をCPU15に送ることで、CPU15が識別情報を要求して通信ユニット54から識別情報を得るような通信を行う構成など、他の構成を採用してもよい。この構成でも操作信号に識別情報が含まれないこととなる。
【0051】
このように、読み取った識別情報は最終的にCPU15に送られることとなるが、上述の信号出力手段がこの読み取った識別情報に対する認証処理、すなわち非接触カードに記録された識別情報に基づく認証処理を、制御装置側に実行させることが好ましい。認証用のデータ(認証情報と呼ぶ)を制御装置側(図2の例ではメモリ13又はHDD16)に格納しておき、認証自体は、制御装置側(図2の例ではCPU15)で実行すればよい。このとき、信号出力手段(この例では通信ユニット54)は認証処理の中の認証を要求する処理だけを行えばよい。また、CPU15は認証に失敗した場合、その操作信号を無視するか、或いは認証が失敗して操作できない旨をLCDパネル11に表示させるなどしてもよい。
【0052】
また、上述の認証処理を全てカード入力手段50側で実行し、認証に成功した場合のみ操作信号(この場合には識別情報は別途使用しない限り含まれなくてよい)をCPU15に送信してもよい。但し、その場合、識別情報と比較する認証情報をカード入力手段50側に格納しておく必要がある。
【0053】
また、認証処理をどのように分散させた場合にも、認証自体は各通信手段(ここではアンテナ52a〜52i)に対して共通の手段で実行されることとなる。すなわち、認証処理は、識別情報の読み取りを行った通信手段に依らず共通の処理(共通の認証方式での処理)とする。
【0054】
図5を参照してカード入力手段50の検知面51について説明する。図5で例示する検知面51には9つの検知領域51a〜51iがあり、各検知領域51a〜51iに対して検知面51の背面にそれぞれアンテナ52a〜52iが配置されている。各検知領域51a〜51iには、ユーザに視認可能なように8方向の矢印と「OK」とがプリントされている。
【0055】
「OK」の検知領域51eはアンテナ52eに対応することとなり、この検知領域51eに非接触カード60を近づけた場合(非接触カード60でタッチした場合も同様)には、「OK」に対応した操作信号が通信ユニット54からCPU15に出力されることとなる。同様に、例えばアンテナ52aに対応する検知領域51aに非接触カード60を近づけた場合には、左斜め上を選択する操作信号が出力され、その結果、現在表示画面で選択されているアイコンの左斜め上にあるアイコンが選択されることとなる。
【0056】
また、検知面51には対応する操作の内容がプリントされている例を示したが、検知面51も表示装置で構成し操作の内容を表示してもよい。これにより、操作の内容を適宜変更することも可能となる。
【0057】
図6を参照して非接触カードについて説明する。非接触カード60は、非接触方式の電子カードであり、IC(Integrated Circuit)カードが例示できる。図6で例示する非接触カード60は、アンテナ61、CPU62、及びメモリ63を備える。カード側アンテナ61は、カード入力手段50のアンテナ52と電磁波で通信を行う。カード側CPU62、カード側メモリ63は、カード側アンテナ61で受信した電磁波を供給電力として動作し、カード側メモリ63に記憶された情報をカード入力手段50に送信する。若しくは、カード入力手段50からの情報をメモリ63に記憶するような処理を実行してもよい。識別情報は、非接触カード60を所持するユーザに対して一対一に付与されるID情報である。
【0058】
図7は、図2のHDDに格納されたファイルを、図5の検知面で非接触カードにより操作可能とするために格納された情報の一例を示す図である。HDD16には、検知面51で非接触カード60により操作可能とするために、例えば図7に示すような情報16a〜16cが格納されている。情報16aとしては、ユーザ操作の対象となるファイル自体、そのファイルに対する認証情報、そのファイルを識別するための名称であるファイル名、及び、そのファイルを開くためのアプリケーション名(プログラム名)が、関連づけられて格納されている。
【0059】
このファイルとしては、例えばプレゼンテーションファイルなどが挙げられる。また、認証情報はファイルに含まれており、例えばファイルを作成したユーザの識別情報と一致する情報である。ユーザの識別情報と直接一致しなくても、例えばファイルの作成者情報などを採用してもよく、その場合、情報16c(ユーザ情報)を介して識別情報と一致すればよい。また、ファイルを開くための(或いは開いて編集/印刷するための)パスワードなどとして、識別情報と同じ認証情報をファイルに格納しておいてもよい。
【0060】
情報16bは、CPU15がカード入力手段50から出力された操作信号を認識できるようにするための情報である。ここでは、各アンテナに対してユニークに付与されるアンテナ番号が操作信号として出力されることを前提とし、情報16bとして、アンテナ番号と各アンテナ番号が示す操作内容を含むアンテナ情報とが関連づけて格納されている。
【0061】
また、情報16cとしては、ユーザ情報(利用者情報)が格納されている。ユーザ情報16cには、この表示システムを利用可能なユーザの識別情報のリストであり、例えばこの表示システムを所有する部署の所属員の情報である。
【0062】
図8は、図5の検知面及びそこで非接触カードにより操作可能な表示画面の一例を示す図で、操作の様子も示している。図9は、図8の表示画面により操作され開かれたファイルが表示された表示画面の一例を示す図である。また、図10は、図2の表示システムにおいて図7の情報に基づき非接触カードで操作を受け付ける処理を説明するためのフロー図で、図11は、図10においてファイルを開く際にさらに認証処理を課した場合の処理を説明するためのフロー図である。
【0063】
まず、図8〜図10を主に参照して説明する。まずCPU15は、LCDコントローラ14を制御し、複数のアイコンをLCDパネル11に表示させる(ステップS1)。各アイコンはHDD16内のファイルに対応しており、且つそのうち一つのアイコンが選択され他のアイコンと異なる表示形態(例えばグレー色にするなど)で表示している。この例では、図8の上段に示すように、表示画面上にプレゼンテーション用のファイルを示すアイコンが並んで表示されており、そのうち一つプレゼン1のアイコン71が異なる色で表示されている。例えば一番右上に表示されたアイコン71など、所定のアイコンが選択状態になるように表示させるように制御しておけばよい。ここでは、制御装置のHDD16等に1又は複数のプログラム(アプリケーション)が実行可能に組み込まれており、且つ、複数のアイコンは、組み込まれたプログラムのいずれかで開くファイルに対応したアイコンであるものとする。
【0064】
カード入力手段50では、セレクタ53を用いて、複数のアンテナ52と1つの通信ユニット54との接続を時分割で切り替えて、複数のアンテナ52で非接触カード60の検出を行う(ステップS2)。このような処理を実行中に、ユーザは、図5の検知面51のプリント内容を見ながら、選択アイコンが示す選択ファイルから選択対象を移動させるために、移動させたい方向の矢印の位置に非接触カード60をかざす。この例では、図8の下段に示すように、ユーザは非接触カード60をカード入力手段50の検知面51(この例ではアンテナ52fの位置)にかざしている。なお、アンテナ52fに対応した検知領域51fには、図5の検知面51に示すように右方向への移動を示す矢印がプリントされている。
【0065】
通信ユニット54は、いずれかのアンテナ52で非接触カード60を検出したとき、そのアンテナ52を介して非接触カード60から識別情報を読み出し、CPU15に渡す(ステップS3)。そして、CPU15が、識別情報がユーザ情報16cと一致するか判定することで認証を実行する(ステップS4)。ステップS4で一致した場合には、非接触カード60を検出したアンテナ52のアンテナ番号に基づいて、情報16bから方向情報を取得し、その方向にアイコンの指定箇所を移動させるよう表示を変更する、若しくはファイルを開くなどの操作を実行する(ステップS5)。ファイルを開く際は、アイコンを選択した状態、例えば図8下段の表示状態で、「OK」がプリントされた検知領域51eに非接触カード60をかざして接近させカード入力手段50に検知させることにより、図8のアイコン72に対応する図9のプレゼン2のファイル73のように、その選択ファイルを開くことができる。このように、ステップS5では、非接触カードを検出したアンテナのアンテナ番号に基づいて入力情報を取得し、その入力情報に対応した操作を実行する。一方、ステップS4で識別情報が予め定められたユーザ情報と一致しなかった場合、この識別情報が格納された非接触カード60をもつユーザが本表示システムのユーザではないものとして、CPU15はこの操作を受け付けず、LCDコントローラ14を制御してエラー表示を行う(ステップS6)。
【0066】
このようにして、ユーザ操作に対し、信号出力手段の通信ユニット54は、識別情報の読み取りを行ったアンテナ52fに対応した操作信号として、アイコンの選択を行うための操作信号をCPU15に出力すると共に、読み取った識別情報も送信する。アンテナ52fに対応した操作信号と識別情報の信号を受信したCPU15は、まず識別情報を用いて認証処理を実行する。この例では、CPU15は、識別情報をHDD16のユーザ情報16cと比較して一致するか否かにより認証を実行する。
【0067】
そして、認証が成功であった場合のみ、いずれの通信手段で識別情報を読み取ったかに応じたアイコンの選択処理を実行する。この例では、CPU15は、アンテナ52fのアンテナ番号6を操作信号として受信すると、情報16bの対応するアンテナ情報を参照して、選択対象を「右方向への移動」させ、同時にその移動をLCDパネル11で反映させる。この反映により、右隣のプレゼン2のアイコン72が選択された状態で表示される。なお、さらに2回「右方向への移動」の操作を行った場合には、次の段のプレゼン4のアイコンが選択された状態で表示するとよい。このように、ユーザが所望する方向に表示されているアイコンが選択され、そのアイコンに対応するファイルが選択ファイルとなる。但し、上述の認証処理で認証が成功した場合のみ、その操作信号を有効にすることで、このような操作が権限の無いユーザによって反映されることがなくなる。
【0068】
上述したように、例示した表示システムでは、制御装置側で非接触カード60の識別情報を読み取り、識別情報がユーザ情報と合致すると操作者を認証して、表示システム(制御装置及びその表示部としての表示装置)の操作を許可し、識別情報を読み取ったアンテナに応じて上下左右の方向が入力情報として装置に入力される。そして、CPU15は入力情報に基づき、指定先のアイコンを移動させる制御を行う。
【0069】
従って、この表示システムでは、表示システムの利用許可と方向指定が一度で実施できるので、操作性を向上させることができる。実際、プレゼンテーション時にプレゼンテーション用のファイルを読み出すときに手間取っていると、視聴者にとっては煩わしく感じてしまうが、本発明に係るカード入力手段50の組み込みにより、非接触カード60を所定のアンテナにかざすだけで認証と操作が同時に実行できるので、ユーザの作業が少なく操作に手間取ることはなくなる。このように、本発明に係る、情報処理装置を操作するための操作装置によれば、操作者であるユーザの認証が要求される操作を容易に実行させ、結果としてユーザ操作性を向上させることが可能となる。
【0070】
次に、図8、図9、及び図11を主に参照して、ファイルを開くときにも認証処理を実行する例を説明する。まず図11のステップS1〜S4と同様にLCDパネル11にアイコンを表示した状態で識別情報の読み出しを行ってユーザ情報16cと比較する(ステップS11〜S14)。ステップS14で一致しなかった場合にはステップS6と同様に操作を受け付けずエラー表示を行えばよい(ステップS20)。
【0071】
一方、ステップS14で一致した場合には、次に説明するようなステップS15〜S19及びステップS20の処理を実行する。ここで例示した処理では、複数のアンテナ52の一つ(ここではアンテナ52e)は、選択したアイコンに対応するファイルを起動するために設けられており、通信ユニット54は、その一つの通信手段で非接触カードの識別情報を読み取ったときに、選択されたアイコンに対応するファイルを起動するための操作信号(「OK」に対応する信号)を出力するものとする。すなわち、いずれの通信手段で識別情報を読み取ったかに応じてアイコンに対応するファイルを所定のアプリケーションで処理開始する操作を実行するような処理を行う。
【0072】
具体的に説明すると、まず入力情報がアンテナ番号5に対応するOK情報か否かを判定する(ステップS15)。ステップS15でNOの場合、すなわち入力情報がアンテナ番号が5以外のアンテナからの入力である方向情報であった場合、検知したアンテナに対応する方向にアイコンの指定箇所を移動させる制御を行い(ステップS16)、ステップS12へ戻って次の検出を待つ。
【0073】
一方、ステップS15でYESの場合、すなわち入力情報がアンテナ番号が5であった場合には、HDD16の情報16aのうち、指定中のアイコンに対応するファイルと共に記憶されているファイルの認証情報を読み取り(ステップS17)、識別情報との一致を判定する(ステップS18)。ステップS18で一致した場合にはそのファイルを対応するアプリケーションで開く(ステップS19)。一方、一致しなかった場合にはステップS20へ進み、操作を受け付けずエラー表示を行う。
【0074】
ステップS15でOK情報か否かを判定しているのは、開こうとしているファイルが秘密情報を含むものである場合、ファイルを開くことができる利用者は限られるべきであり、ファイルに対する認証処理が必要か否かを判定するためである。図8及び図9を参照すると、アイコンを選択した状態、例えば図8下段の表示状態で、「OK」がプリントされた検知領域51eに非接触カード60をかざして接近させカード入力手段50に検知させ、認証に成功した場合、図8のアイコン72に対応する図9のプレゼン2のファイル73のように、その選択ファイルを開くことができる。例えばファイルを作成した人間のみが開くことができるようにしてもよい。この場合、ファイルに認証情報を記録し、非接触カード60をかざしてアイコンが選択されたときに、当該アイコンに対応するファイルから認証情報を取得して、非接触カード60から得られた識別情報と認証情報の一致を判定して、一致したときのみファイルを開くことができる。
【0075】
このように、表示システムにおいてユーザ認証を必要とする所定の操作(ここではファイルを開く操作で例示)を行う場合にも、従来、認証作業を実行してから所定の操作を実行する必要があったが、本発明では一度で実施できる。従って、ファイルの認証のために別途入力を行う必要がなく、操作性を向上させることができる。
【0076】
また、図10及び図11の処理で説明したように、上述の認証処理は、識別情報の読み取りを行った通信手段(ここではアンテナ52)に応じて、認証レベルを異ならしめて実行するとよい。図10の処理では単にユーザ情報16cとの比較で認証を行っているのに対し、図11の処理ではさらなる認証(ファイルへのアクセス権を鑑みたセキュリティ用の比較)を実行している。認証レベルを通信手段に応じて異ならせる方法はこれに限ったものではなく、例えばアンテナ52e以外のアンテナはユーザ情報16c(表示システムのユーザリスト)のみを識別情報と比較し、アンテナ52eに対してはユーザ情報16cに含ませた権限情報に基づき操作の可/不可を判定してもよい。
【0077】
図12は、図2のHDDに実行可能に格納されたプログラムを非接触カードにより起動可能とするために格納された情報の例を示す図である。また、図13は、図5の検知面及びそこで非接触カードにより操作可能な表示画面の他の例を示す図である。
【0078】
図7〜図11を参照した説明では、アイコンがファイルに対応付けられているものとして説明したが、制御装置のHDD16等に複数のプログラム(アプリケーション)が実行可能に組み込まれており、且つ、複数のアイコンは、各プログラムに対応したアイコンであるように構成してもよい。プログラムは、例えばプレゼンテーションソフトなどのアプリケーションプログラムである。その場合、例えば図12に示すように、HDD16に情報16aの代わりに或いは別途、情報16eを格納しておくとよい。情報16eとしては、プログラムと、そのプログラム又はそのプログラムのファイルに含まれる認証情報と、プログラム識別するための名称であるプログラム名とを関連づけて格納しておくとよい。ここで、認証情報は、例えばプログラムが利用可能なユーザの識別情報と一致する情報である。
【0079】
情報16eをHDD16に格納しておくことで、LCDパネル11で図13のようにプログラムアイコンを表示画面上に表示したときに、非接触カード60をアンテナ52上にかざすことでプログラムの選択と、利用可能か否かの判定を同時に実施することができ、操作性を向上させることが可能となる。この場合にも、複数の通信手段の一つ(この例ではアンテナ52e)は、選択したアイコンに対応するプログラムを起動するために設けられており、信号出力手段は、この一つの通信手段で非接触カード60の識別情報を読み取ったときに、選択されたアイコンに対応するプログラムを起動するための操作信号を出力することが好ましい。
【0080】
図14は、図2のHDDに格納されたファイルを、図5の検知面で非接触カードにより操作可能とするために格納された情報の他の例を示す図である。図15は、図5の検知面及びそこで非接触カードにより操作可能な表示画面の他の例を示す図であり、ここでは図14の情報に基づき操作可能となっている表示画面例を示している。また、図16は、図2の表示システムにおいて図14の情報に基づき非接触カードで操作を受け付ける処理を説明するためのフロー図である。
【0081】
以上の例では、アイコンとしてファイルアイコンやプログラムアイコンの操作を対象としたものであったが、アイコンが指し示すものはデバイスであってもよい。デバイスとは、この制御装置に例えばネットワーク接続されるクライアントPC等の情報処理装置であったり、周辺機器、複合機(MFP)等の画像形成装置であり、制御装置からの命令により利用可能な複数のデバイスである。また、このデバイスの一つとして本制御装置(情報処理装置)を採用し、ログインなどする際に非接触カード60を利用してもよい。図1の例では、プリンタ30及びスキャナ装置40がこのデバイスに相当するものとして図示している。
【0082】
その場合、例えば図14に示すように、HDD16に情報16a,16eの代わりに或いは別途、情報16dを格納しておくとよい。情報16dとしては、デバイスの管理のためのデバイス情報と、デバイスの認証情報と、デバイスの名称であるデバイス名とが関連づけて格納されている。デバイス情報としては、デバイスに対応するアイコンをアイコン情報として記憶しておくとよい。
【0083】
情報16dをHDD16に格納しておくことで、LCDパネル11で図15のようにデバイスアイコンを表示画面上に表示したときに、非接触カード60をアンテナ52上にかざすことでデバイスの選択と、利用可能か否かの判定を同時に実施することができ、操作性を向上させることが可能となる。この場合にも、複数の通信手段の一つは、選択したアイコンに対応するデバイスを起動するために設けられており、信号出力手段は、この一つの通信手段で非接触カード60の識別情報を読み取ったときに、選択されたアイコンに対応するデバイスを起動するための操作信号を出力することが好ましい。
【0084】
より具体的に説明すると、まず図11のステップS11と同様に、LCDパネル11にアイコン(但しこの例ではデバイスアイコン)を表示した状態にする(ステップS31)。この例では、図15に示すように、表示画面上にPC1〜3、MFP1〜3、NAS(Network Attached Storage)を示すアイコンが並んで表示されており、そのうち一つPC1のアイコンが異なる色で表示されている。
【0085】
続いて、図11のステップS12〜S16と同様の処理を実行する(ステップS32〜S36)と共に、ステップS35でYESの場合には、CPU15が、HDD16の情報16dから、指定されたアイコンに対応するデバイスと共に記憶されているデバイスの認証情報を読み取る(ステップS37)。そして、この認証情報と読み取った識別情報との一致を判定する(ステップS38)。ステップS38で一致した場合にはそのデバイスの利用を許可し、そのドライバソフト等の操作画面を開く(ステップS39)。一方、一致しなかった場合にはステップS40へ進み、操作を受け付けずエラー表示を行う。
【0086】
ステップS39では、例えばデバイスがPCやNASである場合には、非接触カード60による認証に成功したらPCやNASのHDDに記憶されているファイル名のリストを操作画面として表示し、ファイルがアクセスできるように画面表示するとよい。また、デバイスがMFPである場合には、認証に成功したら印刷出力の指示が可能なようにプリンタドライバの設定画面を操作画面として開くとよい。
【0087】
このように、信号出力手段は、識別情報の読み取りを行った通信手段に対応したデバイスを選択するための選択処理、及び選択したデバイスを利用可能とするための識別情報に対する認証処理、を行うための操作信号を出力するとよい。なお、識別情報は、上述したようにこの操作信号に含ませてもよいし、通信中に別途出力するなどすればよい。また、ここでも認証処理は、識別情報の読み取りを行った通信手段に依らず共通の処理(共通の認証方式での処理)とするものとする。さらに、この例における認証処理でも、上述したように、識別情報の読み取りを行った通信手段に応じて、認証レベルを異ならしめて実行するようにすることが好ましい。例えばPC1はユーザAのみ利用可能で、PC2はユーザBのみ利用可能、NASは所属部門の上長のみ利用可能などといったアクセス権の制御も可能となる。
【0088】
また、図14〜図16を参照して説明した例は、図12及び図13で説明した例において、アプリケーションプログラムがデバイスを利用するためのアプリケーション(ドライバ、ネットワーク接続プログラム等)であるものとして取り扱うことでも実現できる。
【0089】
図17は、図2のカード入力手段における検知面の他の例を示す外観図であり、ここでは図5の検知面51とは異なる例を示している。以上の例では、複数のアンテナ52に対応する操作が移動及び決定(起動)に関するものであったが、所定の文字群及び/又は数字群としてもよい。すなわち、複数の通信手段は、所定の文字群又は数字群に対応して設けられたものとしてもよい。例えば図17に示すように1〜9の数字キー51a〜51iと共に、OKキー51j及びキャンセルキー51kを検知面51にプリントしておくとよい。このとき、11個の検知領域51a〜51kのそれぞれに対応して図4のごときアンテナ群が11個設けられている。そして、信号出力手段の通信ユニット54は、識別情報の読み取りを行った通信手段に対応した操作信号として、所定の文字群及び/又は数字群を入力するための操作信号(数値又は文字データ)を出力するとよい。なお、この例でも上述のごとき認証処理を実行し、また例えばOKキー51jに対応するアンテナだけはアクセス権レベルを異ならせるなどしてもよい。
【0090】
図18は、図4のカード入力手段を表示装置の表示画面の背面(背後)に組み込んだ構成例を示す概略図である。以上の例では、カード入力手段50はLCDパネル11の外側に取り付けられていたが、図18のようにアンテナ52aやアンテナ52e等を含むカード入力手段50を、LCDパネル11の表示画面の背面に取り付けることもできる。そして、アンテナの位置に該当する操作の内容をガイダンス表示しておくとよい。このような構成を採用することで、操作内容を変更した場合に、変更後の操作内容のガイダンス表示の変更が容易に実施できる。
【0091】
一例として、図15のごときデバイスアイコンを図18のカード入力手段50の位置に表示させた場合を例に挙げて説明する。ユーザが非接触カード60を用いた操作によりデバイスアイコンを選択すると、各アイコンの背面に設置されたアンテナ52、及びアンテナ52に接続された通信ユニット54を介して、非接触カード60の識別情報を判定してデバイス操作を許可すべき人物か否かを判定して、各デバイスを操作するための操作画面を開く。このように、表示システムの利用許可とデバイスの指定が一度で実施できるので、操作性を向上させることができる。
【0092】
さらに、図18で説明した例において、LCDパネル11にタッチパネル12を搭載することを前提とし、タッチパネル12は、カード入力手段50で操作を実行中には、複数のアンテナ52が設置された領域に対応した表示領域でのタッチ操作を無効にすることが好ましい。このようにこの表示領域のタッチ入力を禁止することにより、ユーザが非接触カード60でタッチしてしまったりしてもその領域のタッチパネルの検出を無効とできる。ここで、カード入力手段50で操作を実行中とは、アンテナ52に対応するアイコンが表示された状態を言う。従って、例えばファイルアイコンが表示され、そのアイコンに非接触カード60を近づけてファイルを開いた後は、この領域の検出を有効に戻せばよい。また、複数のアンテナ52が設置された領域としては、全てのアンテナ52の設置領域を全て囲んだ領域(例えば図18でカード入力手段50で示した領域)であることが好ましい。
【0093】
次に、本発明で採用可能な他の例について、図2、図4、及び図6を参照しながら説明する。図4のごときアンテナ52により非接触カード60の識別情報を読み取り、ユーザ情報と一致したら図6の非接触カード60内のカード側メモリ63に記憶されているファイルをリードして、図2のHDD16に記憶してもよい。そのため、上述の信号出力手段は、非接触カード60に記憶されたファイルを読み取るための操作信号を出力するよう構成するとよい。この制御信号によりCPU15は、カード入力手段50の通信ユニット54を制御して非接触カード60に記録された文書ファイル等のファイルを読取りHDD16に記憶させることが可能となる。このような構成を採用することで、例えばプレゼンテーションファイルを予めHDD16に記憶されていなくともプレゼンテーションが実行できる。
【0094】
また、逆に、アンテナ52により非接触カード60の識別情報を読み取り、ユーザ情報と一致したら非接触カード60で指定したファイルを非接触カード60に送信してカード側メモリ63に記憶してもよい。そのため、上述した信号出力手段は、制御装置側(例えばHDD16)に記憶されているファイルを非接触カード60に記憶する(書き込む)ための操作信号を出力するよう構成するとよい。この制御信号によりCPU15は、対象となる文書ファイル等のファイルをHDD16から読み取り、カード入力手段50の通信ユニット54を制御して非接触カード60に記憶させることが可能となる。なお、対象となるファイルの選択は適宜行えばよく、予め所定のフォルダに記憶されたファイルとして規定しておいてもよいし、タッチパネル12やカード入力手段50でファイル選択後に、認証レベルの高い処理として、このようなファイル読み出し処理を実行してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の一実施形態に係る操作装置を備えた情報処理装置の一例を示す外観図である。
【図2】図1の表示システムの一構成例を示すブロック図である。
【図3】図2のタッチパネルの一構成例を示す図である。
【図4】図2のカード入力手段の一構成例を示すブロック図である。
【図5】図4のカード入力手段における検知面の一例を示す外観図である。
【図6】図4のカード入力手段に対して操作可能な非接触カードの一構成例を示すブロック図である。
【図7】図2のHDDに格納されたファイルを、図5の検知面で非接触カードにより操作可能とするために格納された情報の一例を示す図である。
【図8】図5の検知面及びそこで非接触カードにより操作可能な表示画面の一例を示す図である。
【図9】図8の表示画面により操作され開かれたファイルが表示された表示画面の一例を示す図である。
【図10】図2の表示システムにおいて図7の情報に基づき非接触カードで操作を受け付ける処理を説明するためのフロー図である。
【図11】図10においてファイルを開く際にさらに認証処理を課した場合の処理を説明するためのフロー図である。
【図12】図2のHDDに実行可能に格納されたプログラムを非接触カードにより起動可能とするために格納された情報の例を示す図である。
【図13】図5の検知面及びそこで非接触カードにより操作可能な表示画面の他の例を示す図である。
【図14】図2のHDDに格納されたファイルを、図5の検知面で非接触カードにより操作可能とするために格納された情報の他の例を示す図である。
【図15】図5の検知面及びそこで非接触カードにより操作可能な表示画面の他の例を示す図である。
【図16】図2の表示システムにおいて図14の情報に基づき非接触カードで操作を受け付ける処理を説明するためのフロー図である。
【図17】図2のカード入力手段における検知面の他の例を示す外観図である。
【図18】図4のカード入力手段を表示装置の表示画面の背面に組み込んだ構成例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0096】
10…表示装置、11…表示手段(LCDパネル)、12…タッチパネル、13…メモリ、14…LCDコントローラ、15…CPU、16…HDD、17…外部機器接続I/F、20…台座、30…プリンタ、40…スキャナ装置、50…カード入力手段、51…検知面、51a〜51i…検知領域、52a〜52i(52)…アンテナ、53…セレクタ、54…通信ユニット、60…非接触カード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置を備えた情報処理装置の操作装置であって、非接触カードに記録された識別情報を非接触で読み取る複数の通信手段と、該複数の通信手段のいずれかで非接触カードの識別情報を読み取ったときに、該識別情報の読み取りを行った通信手段に対応した操作信号を出力する信号出力手段とを有することを特徴とする操作装置。
【請求項2】
請求項1に記載の操作装置において、前記表示装置には表示画面上に複数のアイコンが表示されており、前記信号出力手段は、前記識別情報の読み取りを行った通信手段に対応した操作信号として、前記アイコンの選択を行うための操作信号を出力することを特徴とする操作装置。
【請求項3】
請求項2に記載の操作装置において、前記情報処理装置には1又は複数のプログラムが実行可能に組み込まれており、且つ、前記複数のアイコンは、前記組み込まれたプログラムのいずれかで開くファイルに対応したアイコン、又は各プログラムに対応したアイコンであることを特徴とする操作装置。
【請求項4】
請求項3に記載の操作装置において、前記複数の通信手段の一つは、前記選択したアイコンに対応するプログラム又はファイルを起動するために設けられており、前記信号出力手段は、前記一つの通信手段で非接触カードの識別情報を読み取ったときに、前記選択されたアイコンに対応するプログラム又はファイルを起動するための操作信号を出力することを特徴とする操作装置。
【請求項5】
請求項2に記載の操作装置において、前記情報処理装置には該情報処理装置からの命令により利用可能な複数のデバイスが接続されており、且つ、前記複数のアイコンは、各デバイスに対応したアイコンであることを特徴とする操作装置。
【請求項6】
請求項5に記載の操作装置において、前記複数の通信手段の一つは、前記選択したアイコンに対応するデバイスを利用するために設けられており、前記信号出力手段は、前記一つの通信手段で非接触カードの識別情報を読み取ったときに、前記選択されたアイコンに対応するデバイスを利用するための操作信号を出力することを特徴とする操作装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の操作装置において、前記デバイスの少なくとも一つは画像形成装置又は情報処理装置であることを特徴とする操作装置。
【請求項8】
請求項1に記載の操作装置において、前記信号出力手段は、前記非接触カードに記憶されたファイルを読み取るための操作信号を出力することを特徴とする操作装置。
【請求項9】
請求項1に記載の操作装置において、前記信号出力手段は、前記情報処理装置に記憶されているファイルを前記非接触カードに記憶するための操作信号を出力することを特徴とする操作装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の操作装置において、前記信号出力手段は、前記読み取った識別情報に対する認証処理を、当該操作装置で実行するか或いは前記情報処理装置に実行させることを特徴とする操作装置。
【請求項11】
請求項10に記載の操作装置において、前記認証処理は、前記識別情報の読み取りを行った通信手段に依らず共通の認証方式を用いることを特徴とする操作装置。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の操作装置において、前記認証処理は、前記識別情報の読み取りを行った通信手段に応じて、認証レベルを異ならしめて実行されることを特徴とする操作装置。
【請求項13】
請求項1に記載の操作装置において、前記複数の通信手段は、所定の文字群及び/又は数字群に対応して設けられており、前記信号出力手段は、前記所定の文字群又は数字群を入力するための操作信号を出力することを特徴とする操作装置。
【請求項14】
請求項1〜13に記載の操作装置において、前記表示装置はタッチパネルを有し、前記複数の通信手段は前記表示装置の表示画面の背後に設置されており、前記タッチパネルは、当該操作装置で操作を実行中には、前記複数の通信手段が設置された領域に対応した表示領域でのタッチ操作を無効にすることを特徴とする操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−37401(P2009−37401A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−200863(P2007−200863)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】