説明

操作装置

【課題】横並びに複数個隙間なく並列した操作ボタンを有する操作装置において、操作ボタンを一体に成型し、部品数の最小化や、組立の簡易化をすること。
【解決手段】操作基板14を支持する操作部12と、操作部12に支持され、2個以上横並びに一体化され操作選択をするための操作ボタン11と、操作基板14上にあり、操作ボタン11と同軸上に配置された操作スイッチ13と、操作部12の操作ボタン11を配設するための開口部と、開口部の周囲に配置された周縁部17を備えた操作パネル30において、操作ボタン11の端面側のボタンに、周縁部に先当たりする凸部16を設け、操作ボタン11を故意に弓形に反らせる構成とすることにより、隣り合う各ボタンの隙間を小さくすることが可能になり、すなわち複数個のボタンが横並びに隙間なく並んだ形状を1部品で形成することができるため、部品点数の減少、組立の簡易化が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器における操作部を構成する操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、音響機器、映像機器をはじめ、電子レンジなどの家電製品にいたるまで、電子機器の操作パネルには、操作部と独立した操作ボタン構成が、広く用いられている。
【0003】
これらの独立した操作ボタンは、複数個のボタンがそれぞれ離れた場所に位置する構成や、横並びに平行に隙間なく並んだ構成のものが、一般的に知られている(例えば、特許文献1参照)。また複数個のボタンが、離れた場所に位置されるボタン構成においては、複数個のボタンを、一体に成型した樹脂を用いることは、比較的容易にボタンの平行度等、外観上の課題を解決することが可能である。
【0004】
図7は従来の操作装置を示した外観斜視図である。図7に示すように、操作ボタン11は、操作部12から独立した構成である。各操作ボタン11は、操作部12に開けられた各ボタン用の開口部により、独立して外観表面に突出している。また、操作部12の前面には、操作シート15を貼り付けている。
【0005】
図8は、本構成の操作装置における操作ボタンの一例を示す正面図である。図8に示すように、複数個のボタンが、ある一定の距離を保って、それぞれ位置するボタンレイアウトにおいては、操作ボタンを一体に構成することは比較的容易に解決できる。
【0006】
しかしながら、横並びに平行に隙間なく並んだボタン構成においては、図7のような操作ボタン11を一体にすることは、成型上の問題があり、ボタン間の隙間をある程度(一般的には1mm程度)発生してしまう。この問題を解決するため、一般的には各ボタンを独立した部品構成にすることが、広く用いられている。
【0007】
図9は、複数個のボタンを横並びに、隙間なく並べたボタンレイアウトを有した外観斜視図である。図9に示すように、操作ボタン11は、隣り合う操作ボタン11との隙間が少ない構成である。本構成を実現するため、図10に示すように、各操作ボタン11a、11b、11cは、それぞれ独立して操作部12に配設されている。また、操作基板14は操作部12に支持されている。そして、この操作基板14には、操作ボタン11の対向面側に、操作スイッチ13が配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−269286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、横並びに平行に隙間なく並んだ操作ボタン11構成において、各操作ボタン11を独立した部品構成にすることは、成型部品点数の増加、組立作業の増加など、コスト面や組立工数の問題が介在していた。それを解決するためには、各操作ボタン11を一体に成型することが必要であるが、一体に成型することにより、成型上の問題から、隣り合う各操作ボタン11の隙間が大きくなる課題を有してしまう。
【0010】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、横並びに平行に隙間なく並んだ操作ボタ
ン構成において、各操作ボタンを一体に成型し、すなわち1部品構成とし、また、その弊害である隣り合うボタンの隙間を小さくすることにより、部品点数の減少、組立の簡易化を行うことを可能にした操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記従来の課題を解決するために、本発明の操作装置は、電子機器を制御する操作基板と、前記操作基板を支持する操作部と、前記操作部に支持され、2個以上横並びに一体化された操作選択をするための操作ボタンと、前記操作基板上に取り付けられ前記操作ボタンの対向面に配置された操作スイッチと、前記操作部の前記操作ボタンを配設するための開口部と、前記開口部の周囲に配置された周縁部を備え、前記操作ボタンの端面側のボタンに、前記周縁部に先当たりする凸部を設け、操作ボタンを故意に弓形に反らせる構成としたものである。
【0012】
上記発明によれば、操作ボタンを弓形上に反らせることにより、隣り合う各ボタンの隙間を小さくすることが可能になり、すなわち複数個のボタンが横並びに隙間なく並んだ形状を1部品で形成することができるため、部品点数の減少、組立の簡易化が可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の操作装置によれば、操作ボタンの隣り合うボタン間の隙間を小さくすることが可能になり、すなわち複数個のボタンが横並びに隙間なく並んだ形状を1部品で形成することができるため、部品点数の減少、組立の簡易化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】同操作装置を有する加熱調理器の外観図
【図2】本発明の一実施の形態における操作装置に構成された操作ボタンの正面図
【図3】同操作装置の操作スイッチ部における縦断面図
【図4】同操作装置の操作ボタンの凸部における縦断面図
【図5】同操作装置の操作スイッチ部における弓形変形前の状態の横断面図
【図6】同操作装置の操作スイッチ部における弓形変形後の状態の横断面図
【図7】従来の操作装置の操作ボタンがそれぞれ離れた位置に配置された例の外観図
【図8】図7に示された操作装置に構成された操作ボタンの正面図
【図9】操作ボタンがそれぞれ近接した位置に配置された従来の操作装置の外観図
【図10】操作ボタンがそれぞれ近接した位置に配置された従来の操作装置の構成図
【発明を実施するための形態】
【0015】
第1の発明は、電子機器を制御する操作基板と、前記操作基板を支持する操作部と、前記操作部に支持され、2個以上横並びに一体化され操作選択をするための操作ボタンと、前記操作基板上にあり、前記操作ボタンの対向面に配置された操作スイッチと、前記操作部の前記操作ボタンを配設するための開口部と、前記開口部の周囲に配置された周縁部を備え、前記操作ボタンの端面側のボタンに、前記周縁部に先当たりする凸部を設け、操作ボタンを故意に弓形に反らせることにより、前記操作ボタンの隣り合う各ボタンの隙間を小さくすることが可能となり、操作ボタンの部品点数の減少、組立の簡易化を行うことができる。
【0016】
第2の発明は、特に第1の発明の操作装置において、操作ボタンを弓形に反らせた形状に合わせて、隣り合う各ボタンの凸部を弓形に反らせた状態で平面になるように、予め各ボタンを凹凸に構成することにより、各ボタンの凸部のボタン間の差異がなくなり、外観の向上、および使用者の操作感を向上させることができる。
【0017】
第3の発明は、特に第1の発明の操作装置において、2個以上横並びに配設された操作
ボタンが、縦方向に複数個一体に構成することにより、複数個の操作ボタンレイアウトが可能になり、デザイン性の向上および、更なる部品点数の減少、組立の簡易化が可能になる。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって、本発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態における操作装置を有した一例としての電子レンジ(電子機器)の外観斜視図、図2は同操作装置の操作ボタンの正面図、図3は同操作装置の操作スイッチ部の縦断面図、図4は同操作装置の凸部近傍の縦断面図、図5は同操作装置の操作スイッチ部における弓形変形前の状態の横断面図、図6は同操作装置の操作スイッチ部における弓形変形後の状態の横断面図を示している。
【0020】
同図において、電子機器としての電子レンジ20には、食材の加熱調理を行うため、食品のような被加熱物を収容する加熱室21が設けられている。この加熱室21の前面に形成された被加熱物取出口には、被加熱物取出口を開閉する横開きの扉22が設けられている。この扉22の中央部には、覗き窓が形成され、調理中の被加熱物の加熱状況を確認することができる。
【0021】
また、電子レンジ20の正面から向かって右側部には、機械室が設けられている。この機械室内には、高周波発生装置であるマグネトロン(図示せず)が設けられ、このマグネトロンで発生した高周波電力は、導波管を伝播して、加熱室21内へ、供給されるように構成されている。
【0022】
電子レンジ20の前面でかつ扉22の右側には、操作装置としての操作パネル30が、扉22に隣り合って設置されている。そして、操作パネル30は、操作部12、操作基板14、操作ボタン11を備えている。操作部12の前面、電子レンジ20の使用者が操作する側には、操作シート15が貼付されており、この操作シート15には、各操作ボタンに11に割り当てられた機能等を説明する表示が印刷されている。
【0023】
操作部12は、ポリカーボネートABS樹脂で、形成されている。そして、操作部12の前面には、操作ボタン挿入用開口部18(開口部)が、操作部12の幅方向にわたって、上下方向に5つ、長孔状に形成されている。使用者は、操作部12の操作ボタン11を押すことにより、調理メニュー選択および加熱開始を行うことができる。
【0024】
また、この操作ボタン挿入用開口部18の後面側には、操作ボタン挿入用開口部18の全周に、リブ状の周縁部17が形成されている。なお、本実施の形態では、操作部12の材料として、ポリカーボネートABS樹脂を用いたが、その他の樹脂を用いても構わない。
【0025】
操作基板14は、操作部12に取り付けられている。そして、操作基板14は、電子レンジ20の前面側(操作側)に、14個のタクトスイッチを用いた操作スイッチ13と、液晶表示パネル(図示せず)とを搭載している。操作スイッチ13は、後述する操作ボタン11に、それぞれ対向して設置されている。
【0026】
操作基板14の後面には回路パターンが印刷され、IC(図示せず)に配線されている。そして、操作基板14により、操作スイッチ13を操作することによる入力処理を行い、別基板の制御装置へ信号を出力するとともに、制御装置からの信号を入力して、前記液晶表示パネルに、操作スイッチ13の操作内容や選択した調理内容の進行状況(調理終了
までの時間等)を表示する。
【0027】
また、操作ボタン11は、ABS樹脂を射出成型することにより製造され、操作部12に取り付けられている。そして、操作ボタン11は、操作部12に横並びに3個並んだ構造であり、各操作ボタン11間の隙間は、金型成型上、可能な隙間を有した形状となっている。また、同様の配列が、縦方向にも5段形成されている。
【0028】
各操作ボタン11は、それぞれ独立して動作するヒンジ機構が形成されている。例えば、使用者がある操作ボタン11を押すと、その周囲の操作ボタン11は動かないで、押した操作ボタン11のみが後方へ押し下げられる構造になっている。
【0029】
また、横並びに並列された3個の操作ボタン11のうち、両端の2個の操作ボタン11の中央寄りには、リブ状に前方へ所定の高さで突出した凸部16が、操作ボタン11と直交するように上下方向に、形成されている。そして、3個の操作ボタン11が並列された他の段も、凸部16が同様に形成されている。操作ボタン11が2個だけ並設された最下段については、2個の操作ボタン11両方の中央側にそれぞれ凸部16が、形成されている。
【0030】
以上のように構成された操作装置について、以下その取り付けを説明する。
【0031】
図4に示すように、複数の操作ボタンが一体に構成された操作ボタン11は、操作ボタン挿入用開口部18に、操作部12の後方から前方へ挿入されている。この時、操作ボタン11と一体に形成された凸部16が、操作ボタン挿入用開口部18の周縁部17に干渉する(凸部16が周縁部17に当接する)。
【0032】
ヒンジ機構が形成された操作ボタン11は、必然的に後方(図4の右方向)に、移動することになる(操作ボタン11が周縁部17により後方に押される)。前述のように、各操作ボタン11は、それぞれ単独で可動であるため、操作ボタン11の端部側を軸に、操作ボタン11の中央側を後方へ移動(回動)させている。
【0033】
横並び状態で操作ボタン11を見ると、操作ボタン11に並んで設けられたリブ状凸部16近傍の操作ボタン11が、凸部16の高さだけ、後方へ移動(回動)した状態になる。これにより、横並びの操作ボタン11間の隙間が、成型時に比べ狭くなる。
【0034】
また、操作ボタン11の前方への突出高さが略同じになるよう、凸部16と周縁部17の高さを設定することにより、操作ボタン11の表面の突出高さが、相互に一致し、凸凹がなくなり、外観上の美観を向上できる。
【0035】
また、操作ボタン11と操作部12の周縁部17とが近接し隙間を狭くすることにより、操作ボタン挿入用開口部18から水が浸入し、操作基板14に浸水しにくくでき、誤動作が発生することを防止できる。
【0036】
以上のように構成された操作装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0037】
操作部12に支持された操作ボタン11を押すと、その対向面に設置されたタクトスイッチを用いた操作スイッチ13がONし、この操作スイッチ13が設置されている操作基板14により、IC(図示せず)に信号が伝達され、制御が行われることになる。
【0038】
以上のように、本実施の形態によれば、横並びに複数個隙間なく並列した一体型の操作ボタン11を有する操作パネル30において、操作部12の操作ボタン挿入用開口部18
の周縁部17に、操作ボタン11に一体に形成された凸部16を干渉させることにより、操作ボタン11の一端を後方に移動させることが可能となるため、隣り合う操作ボタン11間の隙間を狭くすることが可能になる。すなわち、横並びの操作ボタン11を、それぞれ独立したボタンにする必要がなくなるため、部品点数の減少および組立性の向上を実現することが可能となる。
【0039】
なお、本実施の形態において、本発明の操作装置を電子機器である電子レンジに適用した例を述べたが、電子レンジに限定されるものではなく、電子制御を行う操作装置を持つ分野等の用途にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上のように、本発明にかかる操作装置は、操作ボタンの最適形状に関するものであるため、同様のボタンレイアウトを有する操作装置を持つ分野等の用途にも適用可能である。
【符号の説明】
【0041】
11 操作ボタン
12 操作部
13 操作スイッチ
14 操作基板
15 操作シート
16 凸部
17 周縁部
18 操作ボタン挿入用開口部(開口部)
20 電子レンジ
21 加熱室
22 扉
30 操作パネル(操作装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器を制御する操作基板と、前記操作基板の操作側に配置され前記操作基板を支持する操作部と、前記操作部に支持され直線状に接続された複数個の操作ボタンと、前記操作基板上に搭載され前記操作ボタンの対向面に配置された操作スイッチと、前記操作ボタンを配設するため前記操作部に形成された開口部と、前記開口部の周囲でかつ前記操作ボタン方向に突出して形成した周縁部と、を備え、
前記操作ボタンの端面側のボタンに前記周縁部に先当たりする凸部を設け、操作ボタンを故意に弓形に反らせることにより、前記操作ボタンの隣り合う各ボタンの隙間を小さくすることを特徴とした操作装置。
【請求項2】
操作ボタンは、弓形に反らせた形状に合わせて、隣り合う各ボタンの凸部を弓形に反らせた状態で平面になるように、予め各ボタンを凹凸に構成した請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
2個以上横並びに配設された操作ボタンが、縦方向に複数個一体に構成された請求項1または2に記載の操作装置。

【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図10】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−45539(P2013−45539A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181239(P2011−181239)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】