説明

操縦支援装置

【課題】 管制官の管制指示に対する操縦者の認識状態に応じた適切な操縦支援を行うことができる操縦支援装置を提供する。
【解決手段】 操縦支援装置は、管制官の管制指示に対する操縦者の応答内容を認識する応答内容認識手段と、操縦者が操縦する機体の機体状態を取得する機体状態取得手段と、を備える。また、操縦者の応答内容および機体状態取得手段で取得された機体状態に基づいて、機体の目標機体状態を設定する目標機体状態設定手段を備え、目標機体状態設定で設定された目標機体状態に基づいて、操縦者に対する操縦支援を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操縦支援装置に係り、特に、管制官からの管制指示に対する操縦者の応答態様に応じた操縦支援を行う操縦支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機における操縦者は、管制塔における管制官からの指示に従った操縦が要求される場面がある。このような場面では、操縦者が管制官からの指示に従わないと、航空交通を阻害する原因となる。その一方、管制官に指示ミスが生じることもあり、管制官に指示ミスが生じた場合にもやはり航空交通を妨げる要因となることがある。
【0003】
このような管制官の指示ミスに対して管制官の管制指示を音声認識して管制指示の内容を把握して、指示内容の適否を判定し、指示内容が不適切であると判定した場合には、操縦者に対して警告を行う航空管制指示誤り訂正装置がある(たとえば、特許文献1参照)。この航空管制指示誤り訂正装置では、航空管制情報と管制官による管制指示とを比較し、管制官による管制指示と一致する管制指示内容データが航空管制情報中に存在しない場合に、警告音を出力するとともに、警告情報を表示するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−145566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の操縦支援装置では、管制官の管制指示に対して、操縦者がオウム返しで復唱することによって指示内容を確認している。しかし、上記特許文献1に開示された航空管制指示誤り訂正装置では、管制官による管制指示と一致する管制指示内容データが航空管制情報中に存在しない場合に、警告音を出力するとともに、警告情報を表示している。
【0006】
このため、管制官の管制指示に対する操縦者の応答が実際には異なっているにもかかわらず、管制官による管制指示と一致する管制指示内容データが航空管制情報中に存在すれば、警告音を出力等が行われないこととなる。したがって、管制指示を操縦者が確実に把握していないにもかかわらず、警告音の出力等が行われない可能性がある等、管制官の管制指示に対する操縦者の認識状態に応じた適切な操縦支援を行うことができないことがあるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明の課題は、管制官の管制指示に対する操縦者の認識状態に応じた適切な操縦支援を行うことができる操縦支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決した本発明に係る操縦支援装置は、管制官の管制指示に対する操縦者の応答内容を認識する応答内容認識手段と、操縦者が操縦する機体の機体状態を取得する機体状態取得手段と、操縦者の応答内容および機体状態取得手段で取得された機体状態に基づいて、機体の目標機体状態を設定する目標機体状態設定手段と、目標機体状態設定で設定された目標機体状態に基づいて、操縦者に対する操縦支援を行う操縦支援手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る操縦支援装置においては、操縦者の応答内容および機体状態取得手段で取得された機体状態に基づいて、機体の目標機体状態を設定している。このため、操縦者の操縦内容に依存することなく目標機体状態を設定することができる。したがって、発話内容自体が適切か否かを評価することが可能となる。さらに、目標機体状態と実際の操作等による機体状態とを比較すること等が可能となるため、操縦者が会話内容を誤って認識してしまい、誤った操作をしそうになっていることを判定することができる。したがって、管制官の管制指示に対する操縦者の認識状態に応じた適切な操縦支援を行うことができる。
【0010】
ここで、機体状態取得手段で取得された機体状態と、目標機体状態設定手段で設定された目標機体状態とを比較する機体状態比較手段をさらに備え、操縦支援手段は、機体状態比較手段における比較結果に基づいて、操縦者に対する操縦支援を行う態様とすることができる。
【0011】
このように、機体状態取得手段で取得された機体状態と、目標機体状態設定手段で設定された目標機体状態とを比較することにより、操縦者が会話内容を誤って認識してしまい、誤った操作をしそうになっていることを判定することができる。したがって、管制官の管制指示に対する操縦者の認識状態に応じた適切な操縦支援を行うことができる。
【0012】
また、操縦支援手段は、機体状態比較手段における比較結果が、機体状態と目標機体状態との相違が所定量以上である場合に、操縦者に対する警告を行う態様とすることができる。
【0013】
このように、機体状態と目標機体状態との相違が所定量以上である場合に、操縦者に対する警告を行うことにより、操縦者に対して、目標機体状態とするための操縦を促すことができる。
【0014】
さらに、操縦支援手段は、機体状態比較手段における比較結果が機体状態と目標機体状態との相違が所定量以上となっている時間である相違時間を計測し、相違時間が所定時間以上である場合に、操縦者に対する警告を行う態様とすることができる。
【0015】
このように、相違時間が所定時間以上である場合に、操縦者に対する警告を行うにより、操縦者に対する過度の警告を防止することができる。
【0016】
このとき、機体状態が、機体の運動状態である機体運動、機体に対する操縦者の操作である機体操作、機体の姿勢である機体姿勢、機体の位置である機体位置、および機体の速度である機体速度のうちの少なくとも1つである態様とすることができる。
【0017】
このように、機体状態としては、機体運動、機体操作、機体姿勢、機体位置、および機体速度などを用いることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る操縦支援装置によれば、管制官の管制指示に対する操縦者の認識状態に応じた適切な操縦支援を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施形態に係る操縦支援装置のブロック構成図である。
【図2】第1の実施形態に係る操縦支援装置の処理手順を説明するフローチャートである。
【図3】機体状態比較処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】第2の実施形態における機体状態比較処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
【0021】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る操縦支援装置のブロック構成図である。図1に示すように、本実施形態に係る操縦支援装置は、航空機の機体Xに設けられるECU(Electronic controlunit)1を備えている。ECU1には、操縦者用マイク2、および機体側データ送受信装置3が接続されている。また、EUC1には、機体運動操作検出部4、機体姿勢検出部5、機体位置速度検出部6、および警告装置7が接続されている。
【0022】
また、ECU1には、音声認識部11、データ抽出部12、音声比較判定部13、および飛行動作コマンド抽出部14が設けられている。さらに、ECU1には、機体状態解析部15、目標機体状態設定部16、および機体状態比較部17が設けられている。機体状態解析部15には、機体運動操作解析部15A、機体姿勢解析部15Bおよび機体位置速度解析部15Cが設けられている。さらに、目標機体状態設定部16には、目標機体運動操作設定部16A、目標機体姿勢設定部16B、および目標機体位置速度設定部16Cが設けられている。そして、機体状態比較部17には、機体運動操作比較部17A、機体姿勢比較部17B、および機体位置速度比較部17Cが設けられている。
【0023】
また、機体Xと信号を送受信する管制塔Yは、管制官用マイク21、管制塔側データ送受信装置22、および出力装置23を備えている。管制官用マイク21は、管制塔側データ送受信装置22に接続されており、管制塔側データ送受信装置22には、出力装置23が接続されている。
【0024】
機体Xにおける操縦者用マイク2は、たとえば機体Xにおける図示しない操縦席に設けられており、操縦者の音声を含む周辺の音響を拾得する。操縦者用マイク2からは、拾得した音響に基づく操縦者側拾得音関係データがECU1における音声認識部11に出力される。操縦者側拾得音関係データには、操縦者の音声に基づく操縦者音声データが含まれる。
【0025】
機体側データ送受信装置3には、アンテナが設けられており、管制塔Yにおける管制塔側データ送受信装置22から送信される各種信号を受信し、ECU1に出力する。また、機体側データ送受信装置3は、ECU1から送信される各種信号を管制塔側データ送受信装置22に送信する。
【0026】
機体運動操作検出部4は、機体の操縦席に設けられた操縦桿の回転角度およびストローク位置を検出する操縦桿センサ、エンジンのスロットル開閉動作を検出するスロットル開閉センサ、およびプロペラのプロペラピッチ角を検出するプロペラピッチ角センサを備えている。機体運動操作検出部4は、操縦桿センサで検出した操縦桿の回転角度、ストローク位置、スロットル開閉センサで検出したスロットル開度、およびプロペラピッチ角センサで検出したプロペラピッチ角の情報を含む機体運動操作信号を機体状態解析部15における機体運動操作解析部15Aに送信する。
【0027】
機体姿勢検出部5は、機体Xの姿勢を検出する。機体姿勢検出部5は、検出した機体の姿勢に関する機体姿勢信号を機体状態解析部15における機体姿勢解析部15Bに送信する。
【0028】
機体位置速度検出部6は、機体の3次元位置を検出する位置センサおよび機体の速度を検出する速度センサを備えている。機体位置速度検出部6は、位置センサで検出した機体の三次元位置および速度センサで検出した機体の速度に関する機体位置速度信号を機体状態解析部15における機体位置速度解析部15Cに送信する。
【0029】
警告装置7は、たとえばスピーカ等の音声出力装置、モニタ等の画像表示装置、操縦席に設けられたバイブレータ等の振動発生装置を備えている。警告装置7は、ECU1から送信される警告信号に基づいて、音声出力装置、画像表示装置、および振動発生装置から所定の態様の警告を操縦者に向けて出力する。
【0030】
ECU1における音声認識部11は、操縦者用マイク2から出力される操縦者側拾得音関係データの中から、操縦者音声データを認識する。また、機体側データ送受信装置3から出力される管制官側拾得音関係データの中から、管制官音声データを認識する。音声認識部11は、認識した操縦者音声データおよび管制官音声データをデータ抽出部12に出力する。
【0031】
データ抽出部12は、音声認識部11から出力された管制官音声データから指示内容を抽出する。さらには、音声認識部11から出力された操縦者音声データから復唱内容を抽出する。また、データ抽出部12は、データ記憶部を備えており、抽出した指示内容および復唱内容をデータ記憶部に一時的に記憶する。
【0032】
音声比較判定部13は、データ抽出部12におけるデータ記憶部に記憶された管制官音声データに含まれる指示内容および操縦者音声データに含まれる復唱内容をそれぞれ読み出し、管制官音声データに含まれる指示内容と操縦者音声データに含まれる復唱内容を比較する。また、音声比較判定部13は、操縦者音声データから読み取れる操縦者の復唱内容を判定する。音声比較判定部13は、指示内容と復唱内容との比較結果および操縦者の復唱内容に関する音声認識信号を飛行動作コマンド抽出部14に出力する。
【0033】
飛行動作コマンド抽出部14は、飛行動作コマンド記憶部を備えている。飛行動作コマンド記憶部には、種々の飛行コマンドが記憶されている。ここでの飛行動作コマンドとしては、「右旋回」「左旋回」「上昇」「下降」「高度維持」「加速」「減速」等がある。飛行動作コマンド抽出部14は、音声比較判定部13から出力される音声認識信号に応じた操縦者の復唱内容に基づいて、適切な飛行動作コマンドを抽出する。さらに、飛行動作コマンド抽出部14は、抽出した飛行動作コマンドを目標機体状態設定部16に出力する。
【0034】
機体状態解析部15は、機体運動操作検出部4から送信される機体運動操作信号、機体姿勢検出部5から送信される機体姿勢信号、および機体位置速度検出部6から送信される機体位置速度信号を受信している。機体状態解析部15では、受信した機体運動操作信号、機体姿勢信号、および機体位置速度信号に基づいて、飛行中の機体の機体状態を解析して検出する。また、機体状態解析部15は、検出した機体状態に関する機体状態解析信号を目標機体状態設定部16および機体状態比較部17に出力している。
【0035】
機体状態解析部15における機体運動操作解析部15Aでは、機体運動操作検出部4から送信される機体運動操作信号に基づいて、飛行中の機体における機体運動操作を解析する。機体状態解析部15は、機体運動操作解析部15Aで解析された機体運動操作に関する機体運動操作解析信号を目標機体状態設定部16および機体状態比較部17に出力する。
【0036】
また、機体状態解析部15における機体姿勢解析部15Bでは、機体姿勢検出部5から送信される機体姿勢信号に基づいて、飛行中の機体における機体姿勢を解析する。機体状態解析部15は、機体姿勢解析部15Bで解析された機体姿勢に関する機体姿勢解析信号を目標機体状態設定部16および機体状態比較部17に出力する。
【0037】
さらに、機体状態解析部15における機体位置速度解析部15Cでは、機体位置速度検出部6から送信される機体位置速度信号に基づいて、飛行中の機体における飛行位置および飛行速度を解析する。機体状態解析部15は、機体姿勢解析部15Bで解析された飛行位置および飛行速度に関する機体位置速度解析信号を目標機体状態設定部16および機体状態比較部17に出力する。
【0038】
目標機体状態設定部16は、機体状態解析部15から出力される機体運動操作解析信号、機体姿勢解析信号、および機体位置速度解析信号に基づいて、飛行中の機体状態に対する目標値を算出する。また、目標機体状態設定部16は、算出した目標値に関する機体状態目標値信号を機体状態比較部17に出力している。
【0039】
目標機体状態設定部16における目標機体運動操作設定部16Aでは、飛行動作コマンド抽出部14から出力される飛行コマンドと、機体状態解析部15から出力される機体運動操作解析信号とに基づいて、機体運動動作に対する目標値である機体運動操作目標値を算出して設定する。目標機体状態設定部16は、目標機体運動操作設定部16Aにおいて設定した機体運動操作目標値に関する機体運動操作目標値信号を機体状態比較部17に出力する。
【0040】
また、目標機体状態設定部16における目標機体姿勢設定部16Bでは、飛行動作コマンド抽出部14から出力される飛行コマンドと、機体状態解析部15から出力される機体姿勢解析信号とに基づいて、機体姿勢に対する目標値である機体姿勢目標値を算出して設定する。目標機体状態設定部16は、目標機体姿勢設定部16Bにおいて設定した機体姿勢目標値に関する機体姿勢目標値信号を機体状態比較部17に出力する。
【0041】
さらに、目標機体状態設定部16における目標機体位置速度設定部16Cでは、飛行動作コマンド抽出部14から出力される飛行コマンドと、機体状態解析部15から出力される機体位置速度解析信号とに基づいて、機体の飛行位置および飛行速度に対する目標値である機体位置速度目標値を算出して設定する。目標機体状態設定部16は、目標機体位置速度設定部16Cにおいて設定した機体位置速度目標値に関する機体位置速度目標値信号を機体状態比較部17に出力する。
【0042】
機体状態比較部17は、機体状態解析部15から出力される機体状態信号と、目標機体状態設定部16から出力される目標値信号を比較している。その比較の結果、機体状態信号と目標値信号との相違が大きくなっている場合に、警告装置7に対して警告信号を送信する。
【0043】
機体状態比較部17における機体運動操作比較部17Aでは、機体状態解析部15から出力された機体運動操作解析信号と目標機体状態設定部16から出力された機体運動操作目標値信号とを比較し、機体運動操作が機体運動操作目標値に近づいているか否かを判断している。機体状態比較部17は、機体運動操作が機体運動操作目標値に近づいていない場合に、警告装置7に対して機体運動操作警告信号を送信する。
【0044】
また、機体状態比較部17における機体姿勢比較部17Bでは、機体状態解析部15から出力された機体姿勢解析信号と目標機体状態設定部16から出力された機体姿勢目標値信号とを比較し、機体姿勢が機体姿勢目標値に近づいているか否かを判断している。機体状態比較部17は、機体姿勢が機体姿勢目標値に近づいていない場合に、警告装置7に対して機体姿勢警告信号を送信する。
【0045】
さらに、機体状態比較部17における機体位置速度比較部17Cでは、機体状態解析部15から出力された機体位置速度解析信号と目標機体状態設定部16から出力された機体位置速度目標値信号とを比較し、機体の飛行位置および飛行速度が位置速度目標値に近づいているか否かを判断している。機体状態比較部17は、飛行位置および飛行速度が位置速度目標値に近づいていない場合に、警告装置7に対して機体位置速度警告信号を送信する。
【0046】
また、機体位置速度比較部17Cでは、位置速度目標値に基づく目標位置を機体が逸脱しているか否かを判断している。そして、機体が目標位置を逸脱していると判断した場合には、警告装置7に対して逸脱警告信号を送信する。
【0047】
次に、本実施形態に係る操縦支援装置の処理手順について説明する。図2は、本実施形態に係る操縦支援装置における処理手順を示すフローチャートである。
【0048】
図2に示すように、本実施形態に係る操縦支援装置では、音声認識部11における音声認識処理を行う(S1)。音声認識処理では、音声認識部11は、機体側データ送受信装置3から出力される管制官側拾得音関係データから管制官音声データを認識する。このとき、管制塔Yでは、管制官用マイク21によって操縦者側拾得音関係データが拾得され管制塔側データ送受信装置22を介して機体側データ送受信装置3に送信されている。また、音声認識部11では、合わせて、操縦者用マイク2から出力される操縦者側拾得音関係データから管制官音声データを認識する。
【0049】
音声認識処理が済んだら、音声認識部11は、認識した管制官音声データおよび操縦者音声データをデータ抽出部12に出力する。データ抽出部12では、管制官音声データに含まれる管制官指示機体番号および指示内容を抽出する(S2)。さらに、データ抽出部12では操縦者音声データに含まれる操縦者指示機体番号および復唱内容を抽出する(S3)。データ抽出部12は、抽出した管制官指示機体番号および指示内容、並びに操縦者指示機体番号および復唱内容を記憶する。このとき、操縦者が管制官の指示に応答しておらず、操縦者音声データがない場合には、警告装置7による警告を行う。
【0050】
続いて、機体状態比較部17では、記憶した管制官指示機体番号と操縦者指示機体番号とを比較し、管制官指示機体番号と操縦者指示機体番号とが一致しているか否かを判断する(S4)。その結果、管制官指示機体番号と操縦者指示機体番号とが一致していないと判断した場合には、警告装置7から機体番号が異なる旨の警告を操縦者に行って(S7)、操縦支援装置による処理を終了する。ここでの警告としては、警告装置におけるスピーカから機体番号が異なる旨を出力したり、モニタに表示したりすることができる。
【0051】
一方、管制官指示機体番号と操縦者指示機体番号とが一致していると判断した場合には、操縦者の復唱内容が管制官の指示内容と一致しているか否かを判断する(S5)。その結果、操縦者の復唱内容が管制官の指示内容と一致していないと判断した場合には、警告装置7によって、操縦者の復唱内容が管制官の指示内容と一致していない旨の警告を行い(S7)、操縦支援装置による処理を終了する。
【0052】
また、操縦者の復唱内容が管制官の指示内容と一致していると判断した場合には、機体状態比較処理を行って(S6)、操縦支援装置による処理を終了する。次に、機体状態比較処理の手順について説明する。図3は機体状態比較処理の手順を示すフローチャートである。
【0053】
図3に示すように、機体状態比較処理では、飛行動作コマンド抽出部14において、操縦者の復唱内容に応じた飛行動作コマンドを抽出する(S11)。飛行動作コマンド抽出部14は、抽出した飛行動作コマンドを目標機体状態設定部16に出力する。次に、機体状態の検出を行う(S12)。機体状態の検出は、機体運動操作検出部4、機体姿勢検出部5、および機体位置速度検出部6において行われる。
【0054】
機体運動操作検出部4では、操縦桿の回転角度、ストローク位置、スロットル開度、およびプロペラピッチ角を検出し、これらの検出結果を含む機体運動操作信号を機体状態解析部15に送信する。また、機体姿勢検出部5では機体の姿勢を検出し、検出した機体の姿勢に関する機体姿勢信号を機体状態解析部15に送信する。さらに、機体位置速度検出部6は、機体の位置および速度を検出し、検出した機体の位置および速度に関する機体位置速度信号を機体状態解析部15に送信する。
【0055】
続いて、機体状態解析部15において、機体状態の解析を行う(S13)。機体状態の解析では、機体運動操作解析部15Aにおいて、機体運動操作信号に基づく機体運動操作の解析を行う。また、機体姿勢解析部15Bにおいて、機体姿勢信号に基づく機体姿勢の解析を行う。さらに、機体位置速度解析部15Cにおいて、機体位置速度信号に基づく機体の位置および速度の解析を行う。こうして解析された機体運動操作、機体姿勢、および機体の位置と速度とは、それぞれ機体運動操作解析信号、機体姿勢解析信号、および機体位置速度解析信号として目標機体状態設定部16に出力される。
【0056】
それから、目標機体状態設定部16において、機体状態の目標設定が行われる(S14)。機体状態の目標設定では、目標機体運動操作設定部16Aにおいて、飛行動作コマンドおよび機体運動動作解析信号に基づいて、機体運動操作目標値を設定する。また、目標機体姿勢設定部16Bにおいて、飛行動作コマンドおよび機体姿勢解析信号に基づいて、機体姿勢目標値を設定する。さらに、目標機体位置速度設定部16Cにおいて、飛行動作コマンドおよび機体位置速度解析信号に基づいて、位置速度目標値を設定する。
【0057】
次に、機体状態比較部17において、機体状態解析部15で解析された機体状態の解析結果と、目標機体状態設定部16で設定された機体状態の目標値とを比較する(S15)。機体状態比較部17では、機体状態解析部15から出力された機体状態解析信号と目標機体状態設定部16から出力された機体状態目標値信号とを比較することによって、機体状態解析部15で解析された機体状態の解析結果と、目標機体状態設定部16で設定された機体状態の目標値とを比較する。
【0058】
機体状態の解析結果と機体状態の目標値との比較の結果、機体状態の解析結果が機体状態の目標値に近づいているか否かを判断する(S16)。ここでは、機体状態としての機体運動操作、機体姿勢、および機体の位置と速度とがすべて目標値に近づいているか否かを判断する。
【0059】
その結果、機体状態がすべて目標値に近づいていると判断した場合には、機体姿勢が機体姿勢の目標値に到達しているか否かを判断する(S17)。その結果、機体姿勢が機体姿勢の目標値に到達していないと判断した場合には、ステップS16に戻って、機体状態の解析結果が機体状態の目標値に近づいているか否かを判断する。
【0060】
その一方、機体姿勢が機体姿勢の目標値に到達していると判断した場合には、機体の位置および速度が位置および速度の目標値にそれぞれ到達しているか否かを判断する(S18)。その結果、機体の位置および速度が位置および速度の目標値にそれぞれ到達していないと判断した場合には、ステップS16に戻って、機体状態の解析結果が機体状態の目標値に近づいているか否かを判断する。
【0061】
また、機体の位置および速度が機体の位置および速度の目標値に到達していると判断した場合には、機体が目標位置を逸脱しているか否かを判断する(S19)。その結果、機体が目標位置を逸脱していないと判断した場合には、機体状態が目標値に到達していることとなる。この場合には、飛行動作コマンドをクリアして(S20)、機体状態比較処理を終了する。その一方で、機体が目標位置を逸脱していると判断した場合には、警告装置7によって、目標位置から逸脱している旨の警告を操縦者に対して行い(S21)、機体状態比較処理を終了する。
【0062】
さらに、ステップS16において、機体状態が目標値に近づいていないと判断した場合、具体的に、機体状態の一部または前部が目標値に近づいておらず、目標値から遠ざかっていると判断した場合には、警告装置7による警告を行う(S21)。警告装置7による警告は、目標値に近づいていない機体状態の種類に応じて行われる。たとえば、機体運動操作が機体運動操作目標値に近づいていない場合には、機体運動操作、たとえば操縦桿の操作やスロットル開閉動作に対する警告を行う。また、機体姿勢が機体姿勢目標値に近づいていない場合には、機体姿勢に対する警告を行う。さらに、機体位置速度が位置速度目標値に近づいていない場合には、機体の飛行位置や飛行速度に対する警告を行う。その後、飛行動作コマンドをクリアして(S20)、機体状態比較処理を終了する。
【0063】
このように、本実施形態に係る操縦支援装置においては、操縦者の応答内容および機体状態解析部15で解析された機体状態に基づいて、目標機体状態設定部16において、機体の目標機体状態を設定している。このため、操縦者の操縦内容に依存することなく目標機体状態を設定することができる。したがって、発話内容自体が適切か否かを評価することが可能となる。
【0064】
さらに、本実施形態に係る操縦支援装置では、機体状態比較部17において、機体状態解析部15で解析された実際の操作等による機体状態と、目標機体状態設定部で設定された目標機体状態とを比較している。このため、操縦者が会話内容を誤って認識してしまい、誤った操作をしそうになっていることを判定することができる。したがって、管制官の管制指示に対する操縦者の認識状態に応じた適切な操縦支援を行うことができる。
【0065】
また、機体状態比較部17における比較の結果、機体状態が機体状態の目標値に近づいていない場合に、警告装置7による警告を行うようにしている。このため、操縦者に対して、機体状態を目標機体状態に近づけるための操縦を促すことができる。
【0066】
続いて、具体的な操縦支援内容について、順次説明する。
【0067】
〔水平飛行をしている機体が指定の方位へ機首を傾けるために右旋回する飛行動作を行う場合〕
【0068】
この場合、機体状態解析部15では機体状態が水平飛行であると解析される。それから、目標機体状態設定部16における目標機体運動操作設定部16Aでは、旋回を行うために操縦桿を右に回す操作を機体運動操作目標値として設定する。
【0069】
次に、機体状態解析部15における解析の結果、機体が旋回状態に入ったと解析された後は、旋回を維持するために操縦桿を水平に戻す操作を機体運動操作目標値として設定する。このとき、目標機体姿勢設定部16Bでは、0度以上規定角度以内で右側に傾く角度を機体姿勢目標値として設定する。また、目標機体位置速度設定部16Cでは、音声比較判定部13で認識された音声に基づく方位から旋回停止操作に必要な角度を引いた方位を目標位置として設定する。
【0070】
その後、機体運動操作検出部4で検出され、機体運動操作解析部15Aで解析された機体運動操作が直線飛行または左旋回するための操作である場合には、警告装置7による警告を行う。また、解析された機体運動操作が右旋回するための操作である場合には、機体状態比較部17において、機体姿勢検出部5で検出され、機体姿勢解析部15Bで解析される機体姿勢および機体位置速度検出部6で検出され、機体位置速度解析部15Cで解析される機体位置速度が目標の右傾斜角度と方位に到達するまで右旋回を継続していることを監視する。そして、機体運動操作が水平に戻ろうとするための運動操作となっている場合には、警告装置7による警告を行う。
【0071】
さらに、機体姿勢が目標機体姿勢設定部16Bで設定された右傾斜となる機体姿勢および目標機体位置速度設定部16Cで設定された目標方位に到達した場合、その後、目標機体位置速度設定部16Cで設定された目標位置を中心とした許容範囲からの逸脱を監視する。そして、機体位置速度解析部15Cで解析された機体位置が目標位置を中心とした許容範囲からの逸脱が生じた場合や、機体運動操作解析部15Aで解析された機体運動操作が目標位置から遠ざかる方向へ移動するための操作である場合には、警告装置7による警告を操縦者に対して行う。
【0072】
〔水平飛行している機体が指定の方位へ機首を傾けるために左旋回する飛行動作を行う場合〕
【0073】
この場合、機体状態解析部15では機体状態が水平飛行であると解析される。それから、目標機体状態設定部16における目標機体運動操作設定部16Aでは、旋回を行うために操縦桿を左に回す操作を機体運動操作目標値として設定する。
【0074】
続いて、機体状態解析部15における解析の結果、機体が旋回状態に入ったと解析された後は、旋回を維持するために操縦桿を水平に戻す操作を機体運動操作目標値として設定する。このとき、目標機体姿勢設定部16Bでは、0度以上規定角度以内で左側に傾く角度を機体姿勢目標値として設定する。また、目標機体位置速度設定部16Cでは、音声比較判定部13で認識された音声に基づく方位から旋回停止操作に必要な角度を引いた方位を目標位置として設定する。
【0075】
その後、機体運動操作検出部4で検出され、機体運動操作解析部15Aで解析された機体運動操作が直線飛行または右旋回するための操作である場合には、警告装置7による警告を行う。また、解析された機体運動操作が左旋回するための操作である場合には、機体状態比較部17において、機体姿勢検出部5で検出され、機体姿勢解析部15Bで解析される機体姿勢および機体位置速度検出部6で検出され、機体位置速度解析部15Cで解析される機体位置速度が目標の左傾斜角度と方位に到達するまで左旋回を継続していることを監視する。そして、機体運動操作が水平に戻ろうとするための運動操作となっている場合には、警告装置7による警告を行う。
【0076】
さらに、機体姿勢が目標機体姿勢設定部16Bで設定された左傾斜となる機体姿勢および目標機体位置速度設定部16Cで設定された目標方位に到達した場合、その後、目標機体位置速度設定部16Cで設定された目標位置を中心とした許容範囲からの逸脱を監視する。そして、機体位置速度解析部15Cで解析された機体位置が目標位置を中心とした許容範囲からの逸脱が生じた場合や、機体運動操作解析部15Aで解析された機体運動操作が目標位置から遠ざかる方向へ移動するための操作である場合には、警告装置7による警告を操縦者に対して行う。
【0077】
〔右旋回を行っている機体が指定の方向へ機首を傾ける飛行動作を行う場合〕
【0078】
この場合、機体状態解析部15では機体状態が右旋回を行っていると解析される。それから、目標機体状態設定部16における目標機体運動操作設定部16Aでは、旋回を停止するために操縦桿を左に回す操作を機体運動操作目標値として設定する。また、目標機体状態設定部16では、機体が水平となる角度を機体姿勢目標値として設定する。さらに、目標機体位置速度設定部16Cでは、音声比較判定部13で認識された音声に基づく方位を目標位置として設定する。
【0079】
その後、機体運動操作検出部4で検出され、機体運動操作解析部15Aで解析された機体運動操作が直線飛行または右旋回するための操作である場合には、警告装置7による警告を行う。また、解析された機体運動操作が右旋回を停止するための操作である場合には、機体状態比較部17において、機体姿勢検出部5で検出されて機体姿勢解析部15Bで解析される機体姿勢および機体位置速度検出部6で検出されて機体位置速度解析部15Cで解析される機体位置速度が、目標の機体が水平となる角度と目標方位に到達するまで右旋回を停止するための操作を継続していることを監視する。そして、機体運動操作が右旋回を続けるための操作となっている場合には、警告装置7による警告を行う。あるいは、機体運動操作が右旋回を続けるための操作となっているが所定時間となっている場合に、警告装置7による警告を行うようにすることもできる。
【0080】
さらに、機体姿勢が目標機体姿勢設定部16Bで設定された機体が水平となる機体姿勢および目標機体位置速度設定部16Cで設定された目標方位に到達した場合、その後、目標機体位置速度設定部16Cで設定された目標位置を中心とした許容範囲からの逸脱を監視する。そして、機体位置速度解析部15Cで解析された機体位置が目標位置を中心とした許容範囲からの逸脱が生じた場合や、機体運動操作解析部15Aで解析された機体運動操作が目標位置から遠ざかる方向へ移動するための操作である場合には、警告装置7による警告を操縦者に対して行う。
【0081】
〔左旋回を行っている機体が指定の方向へ機首を傾ける飛行動作を行う場合〕
【0082】
この場合、機体状態解析部15では機体状態が左旋回を行っていると解析される。それから、目標機体状態設定部16における目標機体運動操作設定部16Aでは、旋回を停止するために操縦桿を右に回す操作を機体運動操作目標値として設定する。また、目標機体状態設定部16では、機体が水平となる角度を機体姿勢目標値として設定する。さらに、目標機体位置速度設定部16Cでは、音声比較判定部13で認識された音声に基づく方位を目標位置として設定する。
【0083】
その後、機体運動操作検出部4で検出され、機体運動操作解析部15Aで解析された機体運動操作が直線飛行または左旋回するための操作である場合には、警告装置7による警告を行う。また、解析された機体運動操作が左旋回を停止するための操作である場合には、機体状態比較部17において、機体姿勢検出部5で検出されて機体姿勢解析部15Bで解析される機体姿勢および機体位置速度検出部6で検出されて機体位置速度解析部15Cで解析される機体位置速度が、目標の機体が水平となる角度と目標方位に到達するまで左旋回を停止するための操作を継続していることを監視する。そして、機体運動操作が左旋回を続けるための操作となっている場合には、警告装置7による警告を行う。あるいは、機体運動操作が右旋回を続けるための操作となっているが所定時間となっている場合に、警告装置7による警告を行うようにすることもできる。
【0084】
さらに、機体姿勢が目標機体姿勢設定部16Bで設定された機体が水平となる機体姿勢および目標機体位置速度設定部16Cで設定された目標方位に到達した場合、その後、目標機体位置速度設定部16Cで設定された目標位置を中心とした許容範囲からの逸脱を監視する。そして、機体位置速度解析部15Cで解析された機体位置が目標位置を中心とした許容範囲からの逸脱が生じた場合や、機体運動操作解析部15Aで解析された機体運動操作が目標位置から遠ざかる方向へ移動するための操作である場合には、警告装置7による警告を操縦者に対して行う。
【0085】
〔機体が水平飛行の状態から指定高度まで上昇する飛行動作を行う場合〕
【0086】
この場合、機体状態解析部15では機体状態が水平飛行であると解析される。それから、目標機体状態設定部16における目標機体運動操作設定部16Aでは、エンジン出力を上げるためのスロットル操作、プロペラピッチ角を大きくする操作、または操縦桿を引く動作を目標機体運動操作目標値として設定する。また、目標機体姿勢設定部16Bでは、水平機首上げ姿勢角を機体姿勢目標値として設定する。さらに、目標機体位置速度設定部16Cでは、音声比較判定部13で認識された音声に基づく高度を目標高度として設定する。
【0087】
その後、機体運動操作検出部4で検出され、機体運動操作解析部15Aで解析された機体運動操作がエンジン出力を絞るための操作、プロペラピッチ角を小さくする操作、または操縦桿を押す操作であった場合には、警告装置7による警告を行う。また、解析された機体運動操作がエンジン出力を上げるためのスロットル操作、プロペラピッチ角を大きくする操作、または操縦桿を引く操作である場合には、機体状態比較部17において、機体姿勢検出部5で検出されて機体姿勢解析部15Bで解析される機体姿勢および機体位置速度検出部6で検出されて機体位置速度解析部15Cで解析される機体位置速度が、それぞれ機首上げ姿勢角および目標高度に到達するまでそれらの操作を継続していることを監視する。そして、目標高度に到達する前に機体運動操作解析部15Aで解析される機体運動操作が、機体が上昇を停止するための機体運動操作である場合には、警告装置7による警告を行う。
【0088】
さらに、機体姿勢が機首上げ姿勢角に到達するとともに、機体の高度が目標高度に到達した場合、その後、目標機体位置速度設定部16Cで設定された目標位置を中心とした許容範囲からの逸脱を監視する。そして、機体位置速度解析部15Cで解析された機体位置が目標位置を中心とした許容範囲からの逸脱が生じた場合や、機体運動操作解析部15Aで解析された機体運動操作が目標位置から遠ざかる方向へ移動するための操作である場合には、警告装置7による警告を操縦者に対して行う。
【0089】
〔機体が水平飛行の状態から指定高度まで下降する飛行動作を行う場合〕
【0090】
この場合、機体状態解析部15では機体状態が水平飛行であると解析される。それから、目標機体状態設定部16における目標機体運動操作設定部16Aでは、エンジン出力を絞るためのスロットル操作、プロペラピッチ角を小さくする操作、または操縦桿を押す動作を目標機体運動操作目標値として設定する。また、目標機体姿勢設定部16Bでは、水平機首下げ姿勢角を機体姿勢目標値として設定する。さらには、目標機体位置速度設定部16Cでは、音声比較判定部13で認識された音声に基づく高度を目標高度として設定する。
【0091】
その後、機体運動操作検出部4で検出され、機体運動操作解析部15Aで解析された機体運動操作がエンジン出力を上げるための操作、プロペラピッチ角を大きくする操作、または操縦桿を引く操作であった場合には、警告装置7による警告を行う。また、解析された機体運動操作がエンジン出力を絞るためのスロットル操作、プロペラピッチ角を小さくする操作、または操縦桿を押す操作である場合には、機体状態比較部17において、機体姿勢検出部5で検出されて機体姿勢解析部15Bで解析される機体姿勢および機体位置速度検出部6で検出されて機体位置速度解析部15Cで解析される機体位置速度が、それぞれ機首下げ姿勢角および目標高度に到達するまでそれらの操作を継続していることを監視する。そして、目標高度に到達する前に機体運動操作解析部15Aで解析される機体運動操作が、機体が下降を停止するための機体運動操作である場合には、警告装置7による警告を行う。
【0092】
さらに、機体姿勢が機首下げ姿勢角に到達するとともに、機体の高度が目標高度に到達した場合、その後、目標機体位置速度設定部16Cで設定された目標位置を中心とした許容範囲からの逸脱を監視する。そして、機体位置速度解析部15Cで解析された機体位置が目標位置を中心とした許容範囲からの逸脱が生じた場合や、機体運動操作解析部15Aで解析された機体運動操作が目標位置から遠ざかる方向へ移動するための操作である場合には、警告装置7による警告を操縦者に対して行う。
【0093】
〔上昇している機体が高度維持飛行に移行する飛行動作を行う場合〕
【0094】
この場合、機体状態解析部15では機体状態が上昇飛行であると解析される。それから、目標機体状態設定部16における目標機体運動操作設定部16Aでは、エンジン出力を絞るためのスロットル操作、プロペラピッチ角を小さくする操作、または操縦桿を押す動作を目標機体運動操作目標値として設定する。また、目標機体姿勢設定部16Bでは、水平飛行姿勢を機体姿勢目標値として設定する。さらに、目標機体位置速度設定部16Cでは、音声比較判定部13で認識された音声に基づく高度を目標高度として設定する。
【0095】
その後、機体運動操作検出部4で検出され、機体運動操作解析部15Aで解析された機体運動操作がエンジン出力を上げるための操作、プロペラピッチ角を大きくする操作、または操縦桿を引く操作であった場合には、警告装置7による警告を行う。また、解析された機体運動操作がエンジン出力を絞るためのスロットル操作、プロペラピッチ角を小さくする操作、または操縦桿を押す操作である場合には、機体状態比較部17において、機体姿勢検出部5で検出されて機体姿勢解析部15Bで解析される機体姿勢および機体位置速度検出部6で検出されて機体位置速度解析部15Cで解析される機体位置速度が、それぞれ水平飛行姿勢および目標高度に到達するまでそれらの操作を継続していることを監視する。そして、目標高度に到達する前に機体運動操作解析部15Aで解析される機体運動操作が、機体の上昇率を大きくするための機体運動操作である場合には、警告装置7による警告を行う。
【0096】
さらに、機体姿勢が水平飛行姿勢に到達するとともに、機体の高度が目標高度に到達した場合、その後、目標機体位置速度設定部16Cで設定された目標位置を中心とした許容範囲からの逸脱を監視する。そして、機体位置速度解析部15Cで解析された機体位置が目標位置を中心とした許容範囲からの逸脱が生じた場合や、機体運動操作解析部15Aで解析された機体運動操作が目標位置から遠ざかる方向へ移動するための操作である場合には、警告装置7による警告を操縦者に対して行う。
【0097】
〔下降している機体が高度維持飛行に移行する飛行動作を行う場合〕
【0098】
この場合、機体状態解析部15では機体状態が下降飛行であると解析される。それから、目標機体状態設定部16における目標機体運動操作設定部16Aでは、エンジン出力を上げるためのスロットル操作、プロペラピッチ角を大きくする操作、または操縦桿を引く操作を目標機体運動操作目標値として設定する。また、目標機体姿勢設定部16Bでは、水平飛行姿勢を機体姿勢目標値として設定する。さらに、目標機体位置速度設定部16Cでは、音声比較判定部13で認識された音声に基づく高度を目標高度として設定する。
【0099】
その後、機体運動操作検出部4で検出され、機体運動操作解析部15Aで解析された機体運動操作がエンジン出力を絞るための操作、プロペラピッチ角を小さくする操作、または操縦桿を押す操作であった場合には、警告装置7による警告を行う。また、解析された機体運動操作がエンジン出力を上げるためのスロットル操作、プロペラピッチ角を大きくする操作、または操縦桿を引く操作である場合には、機体状態比較部17において、機体姿勢検出部5で検出されて機体姿勢解析部15Bで解析される機体姿勢および機体位置速度検出部6で検出されて機体位置速度解析部15Cで解析される機体位置速度が、それぞれ水平飛行姿勢および目標高度に到達するまでそれらの操作を継続していることを監視する。そして、目標高度に到達する前に機体運動操作解析部15Aで解析される機体運動操作が、機体の下降率を大きくするための機体運動操作である場合には、警告装置7による警告を行う。
【0100】
さらに、機体姿勢が水平飛行姿勢に到達するとともに、機体の高度が目標高度に到達した場合、その後、目標機体位置速度設定部16Cで設定された目標位置を中心とした許容範囲からの逸脱を監視する。そして、機体位置速度解析部15Cで解析された機体位置が目標位置を中心とした許容範囲からの逸脱が生じた場合や、機体運動操作解析部15Aで解析された機体運動操作が目標位置から遠ざかる方向へ移動するための操作である場合には、警告装置7による警告を操縦者に対して行う。
【0101】
〔機体の飛行速度を上げる飛行動作を行う場合〕
【0102】
この場合、目標機体状態設定部16における目標機体運動操作設定部16Aでは、エンジン出力を上げるためのスロットル操作、プロペラピッチ角を大きくする操作、または操縦桿を押す動作を目標機体運動操作目標値として設定する。また、目標機体姿勢設定部16Bでは、水平飛行姿勢または機首下げ姿勢角を機体姿勢目標値として設定する。さらに、目標機体位置速度設定部16Cでは、音声比較判定部13で認識された音声に基づく速度を目標速度として設定する。
【0103】
その後、機体運動操作検出部4で検出され、機体運動操作解析部15Aで解析された機体運動操作がエンジン出力を絞るための操作、プロペラピッチ角を小さくする操作、または操縦桿を引く操作であった場合には、警告装置7による警告を行う。また、解析された機体運動操作がエンジン出力を上げるためのスロットル操作、プロペラピッチ角を大きくする操作、または操縦桿を押す操作である場合には、機体状態比較部17において、機体姿勢検出部5で検出されて機体姿勢解析部15Bで解析される機体姿勢が水平飛行姿勢または機首下げ飛行姿勢角に到達し、さらには、機体位置速度検出部6で検出されて機体位置速度解析部15Cで解析される機体位置速度が目標速度に到達するまでそれらの操作を継続していることを監視する。そして、目標速度に到達する前に機体運動操作解析部15Aで解析される機体運動操作が、機体の速度を遅くするための機体運動操作である場合には、警告装置7による警告を行う。機体の速度を遅くするための機体運動動作としては、エンジン出力を絞るための操作、プロペラピッチ角を小さくする操作、または操作桿を引く操作が挙げられる。
【0104】
さらに、機体の飛行速度が目標速度に到達した場合、その後、目標機体位置速度設定部16Cで設定された目標位置を中心とした許容範囲からの逸脱を監視する。そして、機体位置速度解析部15Cで解析された機体位置が目標位置を中心とした許容範囲からの逸脱が生じた場合や、機体運動操作解析部15Aで解析された機体運動操作が目標位置から遠ざかる方向へ移動するための操作である場合には、警告装置7による警告を操縦者に対して行う。
【0105】
〔機体の飛行速度を下げる飛行動作を行う場合〕
【0106】
この場合、目標機体状態設定部16における目標機体運動操作設定部16Aでは、エンジン出力を絞るためのスロットル操作、プロペラピッチ角を小さくする操作、または操縦桿を引く操作を目標機体運動操作目標値として設定する。また、目標機体姿勢設定部16Bでは、水平飛行姿勢または機首上げ姿勢角を機体姿勢目標値として設定する。さらに、目標機体位置速度設定部16Cでは、音声比較判定部13で認識された音声に基づく速度を目標速度として設定する。
【0107】
その後、機体運動操作検出部4で検出され、機体運動操作解析部15Aで解析された機体運動操作がエンジン出力を上げるための操作、プロペラピッチ角を大きくする操作、または操縦桿を押す操作であった場合には、警告装置7による警告を行う。また、解析された機体運動操作がエンジン出力を絞るためのスロットル操作、プロペラピッチ角を小さくする操作、または操縦桿を引く操作である場合には、機体状態比較部17において、機体姿勢検出部5で検出されて機体姿勢解析部15Bで解析される機体姿勢が水平飛行姿勢または機首上げ飛行姿勢角に到達し、さらには、機体位置速度検出部6で検出されて機体位置速度解析部15Cで解析される機体位置速度が目標速度に到達するまでそれらの操作を継続していることを監視する。そして、目標速度に到達する前に機体運動操作解析部15Aで解析される機体運動操作が、機体の速度を速くするための機体運動操作である場合には、警告装置7による警告を行う。機体の速度を速くするための機体運動動作としては、エンジン出力を上げるための操作、プロペラピッチ角を大きくする操作、または操作桿を押す操作が挙げられる。
【0108】
さらに、機体の飛行速度が目標速度に到達した場合、その後、目標機体位置速度設定部16Cで設定された目標位置を中心とした許容範囲からの逸脱を監視する。そして、機体位置速度解析部15Cで解析された機体位置が目標位置を中心とした許容範囲からの逸脱が生じた場合や、機体運動操作解析部15Aで解析された機体運動操作が目標位置から遠ざかる方向へ移動するための操作である場合には、警告装置7による警告を操縦者に対して行う。
【0109】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態に係る操縦支援装置は、上記の第1の実施形態に係る操縦支援装置と同様の構成を備えており、機体状態比較処理の手順が主に異なっている。以下、上記の第1の実施形態との相違点を中心として本実施形態について説明する。
【0110】
図4は、本実施形態に係る操縦支援装置における機体状態比較処理の手順を示すフローチャートである。図4に示すように、本実施形態に係る機体状態比較処理では、上記の第1の実施形態と同様の手順によって飛行動作コマンド抽出部14における操縦者の復唱内容に応じた飛行動作コマンドの抽出を行い(S31)、次に、機体状態の検出は、機体運動操作検出部4、機体姿勢検出部5、および機体位置速度検出部6による機体状態の検出を行う(S32)。
【0111】
続いて、機体状態解析部15における機体状態の解析を行い(S33)、その後、目標機体状態設定部16における機体状態の目標設定を行う(S34)。それから、機体状態比較部17において、機体状態解析部15で解析された機体状態の解析結果と、目標機体状態設定部16で設定された機体状態の目標値とを比較し(S35)、機体状態の解析結果が機体状態の目標値に近づいているか否かを判断する(S36)。
【0112】
その結果、機体状態がすべて目標値に近づいていると判断した場合には、機体姿勢が機体姿勢の目標値に到達しているか否かを判断し(S37)、機体姿勢が機体姿勢の目標値に到達していない場合には、ステップS36に戻って、機体状態の解析結果が機体状態の目標値に近づいているか否かを判断する。また、機体姿勢が機体姿勢の目標値に到達している場合には、機体の位置および速度が位置および速度の目標値にそれぞれ到達しているか否かを判断する(S38)。その結果、機体の位置および速度が位置および速度の目標値にそれぞれ到達していないと判断した場合には、ステップS36に戻って、機体状態の解析結果が機体状態の目標値に近づいているか否かを判断する。
【0113】
また、機体の位置および速度が機体の位置および速度の目標値に到達していると判断した場合には、機体が目標位置を逸脱している時間である逸脱時間を計測し、逸脱時間が所定のしきい値を経過しているか否かを判断する(S39)。その結果、逸脱時間が所定のしきい値を経過していないと判断した場合には、そのまま飛行動作コマンドをクリアして(S40)、機体状態比較処理を終了する。その一方で、逸脱時間が所定のしきい値を経過していると判断した場合には、警告装置7によって、目標位置から逸脱した時間が長時間にわたっている旨の警告を操縦者に対して行う(S42)。その後、機体状態比較処理を終了する。
【0114】
さらに、ステップS36において、機体状態が目標値に近づいていないと判断した場合、具体的に、機体状態の一部または前部が目標値に近づいておらず、目標値から遠ざかっている場合には、機体状態が目標値に近づいていない状態の継続時間を計測する。それから、機体状態が目標値に近づいていない状態の継続時間が所定のしきい値を経過したか否かを判断する(S41)。
【0115】
その結果、機体状態が目標値に近づいていない状態の継続時間が所定のしきい値を超えていない場合には、ステップS36に戻り、再び機体状態の解析結果が機体状態の目標値に近づいているか否かを判断する(S36)。
【0116】
一方、機体状態が目標値に近づいていない状態の継続時間が所定のしきい値を超えている場合には、警告装置7による警告を行う(S21)。警告装置7による警告は、目標値に近づいていない状態の継続時間が経過した機体状態の種類に応じて行われる。たとえば、機体運動操作が機体運動操作目標値に近づいていない状態の継続時間が経過した場合には、機体運動操作、たとえば操縦桿の操作やスロットル開閉動作に対する警告を行う。また、機体姿勢が機体姿勢目標値に近づいていない状態の継続時間が経過した場合には、機体姿勢に対する警告を行う。さらに、機体位置速度が位置速度目標値に近づいていない状態の継続時間が経過した場合には、機体の飛行位置や飛行速度に対する警告を行う。その後、飛行動作コマンドをクリアして(S40)、機体状態比較処理を終了する。
【0117】
このように、本実施形態に係る操縦支援装置では、機体が目標位置を逸脱している逸脱時間を計測し、逸脱時間が所定のしきい値を経過していると判断した場合には、警告装置7によって、目標位置から逸脱した時間が長時間にわたっている旨の警告を操縦者に対して行うようにしている。このため、目標位置を逸脱したとしても、その時間がある程度の時間を経過しなければ警告装置7による警告が行われないこととなる。したがって、操縦者に対する過度の警告を防止することができる。
【0118】
さらには、機体状態が目標値に近づいていないと判断した場合、機体状態が目標値に近づいていない状態の継続時間を計測し、この継続時間が所定のしきい値を超えている場合には、警告装置7による警告を行うようにしている。このため、操縦者に対する過度の警告を防止することができる。
【0119】
本実施形態に係る操縦支援装置では、具体的な操縦内容が上記の第1の実施形態と若干異なる。たとえば、水平飛行をしている機体が指定の方位へ機首を傾けるために右旋回する飛行動作を行う場合、上記第1の実施形態では、機体運動操作検出部4で検出され、機体運動操作解析部15Aで解析された機体運動操作が直線飛行または左旋回するための操作である場合には、警告装置7による警告を行う。これに対して、本実施形態に係る操縦支援装置では、機体運動操作検出部4で検出され、機体運動操作解析部15Aで解析された機体運動操作が直線飛行または左旋回するための操作が一定時間継続した場合には、警告装置7による警告を行うこととなる。
【0120】
また、上記第1の実施形態に係る操縦支援装置では、機体運動操作が右旋回するための操作である場合に、機体運動操作が水平に戻ろうとするための運動操作となっている場合には、警告装置7による警告を行う。これに対して、本実施形態に係る操縦支援装置では、機体運動操作が右旋回するための操作である場合に、機体運動操作が水平に戻ろうとするための運動操作が一定時間継続した場合に、警告装置7による警告を行うこととなる。
【0121】
さらには、上記第1の実施形態に係る操縦支援装置では、機体位置速度解析部15Cで解析された機体位置が目標位置を中心とした許容範囲からの逸脱が生じた場合や、機体運動操作解析部15Aで解析された機体運動操作が目標位置から遠ざかる方向へ移動するための操作である場合には、警告装置7による警告が行われる。これに対して、本実施形態に係る操縦支援装置では、機体位置速度解析部15Cで解析された機体位置が目標位置を中心とした許容範囲からの逸脱時間が一定時間経過した場合や、機体運動操作解析部15Aで解析された機体運動操作が目標位置から遠ざかる方向へ移動するための操作が一定時間継続して行われた場合に、警告装置7による警告が行われることとなる。
【0122】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。たとえば、上記実施形態では、機体状態として機体運動操作、機体姿勢、および機体位置速度を用いているが、これらの一部のみを機体状態として用いる態様とすることができる。
【符号の説明】
【0123】
1…ECU、2…操縦者用マイク、3…機体側データ送受信装置、4…機体運動操作検出部、5…機体姿勢検出部、6…機体位置速度検出部、7…警告装置、11…音声認識部、12…データ抽出部、13…音声比較判定部、14…飛行動作コマンド抽出部、15…機体状態解析部、15A…機体運動操作解析部、15B…機体姿勢解析部、15C…機体位置速度解析部、16…目標機体状態設定部、16A…目標機体運動操作設定部、16B…目標機体姿勢設定部、16C…目標機体位置速度設定部、17…機体状態比較部、17A…機体運動操作比較部、17B…機体姿勢比較部、17C…機体位置速度比較部、21…管制官用マイク、22…管制塔側データ送受信装置、23…出力装置、X…機体、Y…管制塔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管制官の管制指示に対する操縦者の応答内容を認識する応答内容認識手段と、
前記操縦者が操縦する機体の機体状態を取得する機体状態取得手段と、
前記操縦者の応答内容および前記機体状態取得手段で取得された機体状態に基づいて、前記機体の目標機体状態を設定する目標機体状態設定手段と、
前記目標機体状態設定で設定された目標機体状態に基づいて、前記操縦者に対する操縦支援を行う操縦支援手段と、
を備えることを特徴とする操縦支援装置。
【請求項2】
前記機体状態取得手段で取得された機体状態と、前記目標機体状態設定手段で設定された目標機体状態とを比較する機体状態比較手段をさらに備え、
前記操縦支援手段は、前記機体状態比較手段における比較結果に基づいて、前記操縦者に対する操縦支援を行う請求項1に記載の操縦支援装置。
【請求項3】
前記操縦支援手段は、前記機体状態比較手段における比較結果が、前記機体状態と前記目標機体状態との相違が所定量以上である場合に、前記操縦者に対する警告を行う請求項2に記載の操縦支援装置。
【請求項4】
前記操縦支援手段は、前記機体状態比較手段における比較結果が前記機体状態と前記目標機体状態との相違が所定量以上となっている時間である相違時間を計測し、前記相違時間が所定時間以上である場合に、前記操縦者に対する警告を行う請求項2に記載の操縦支援装置。
【請求項5】
前記機体状態が、前記機体の運動状態である機体運動、前記機体に対する前記操縦者の操作である機体操作、前記機体の姿勢である機体姿勢、前記機体の位置である機体位置、および前記機体の速度である機体速度のうちの少なくとも1つである請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項に記載の操縦支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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