操舵可能な先端部捕捉TAA送達システム
一体式先端部捕捉解放メカニズムを有する操舵可能なカテーテル送達システムにより、ステントグラフトが配置される。操舵メカニズムは、ロックされた阻害と送達カテーテルの遠位端部において遠位ロックを提供する。構成は、全ての近位スプリングクラウンの完全な解放がなされる前にステントグラフトの新しい位置決めが検証され確実にすることができるように、先端部捕捉メカニズムに捕捉された近位スプリングの半分またはそれより少ない数のクラウンの選択的な周囲に分散した解放を可能にする。このようにして、カテーテル位置が検証され受け入れ可能なステントグラフト位置が得られるまで、カテーテルの1つまたは複数の操舵要素は張力を保持されることが可能である。この機器および方法は、特に、胸部大動脈のような湾曲した流路内にステントグラフトを配置するのに有益である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略的には、ステントおよびステントグラフトを送達するのに使用される操舵可能な先端部捕捉TAA送達システムに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、概略的には、医療装置および操作に関し、詳細には、血管系内にステントグラフトを配置する方法およびシステムに関する。
【0003】
生体の血管または他の類似の器官内の埋め込みの補綴具が、医療分野で広く知られている。例えば、生体適合性素材で形成された人工血管グラフト(例えばDacron(登録商標)素材または拡張された多孔性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)管)が、損傷または閉塞した生来の血管の置換またはバイパスに採用されてきた。
【0004】
フレーム構造により支持されたグラフト素材が、ステントグラフトまたは腔内グラフトとして公知である。一般に、動脈瘤および疾患により薄くまたは厚くなった血管壁の治療または分離(腔内の修復または除去)のためのステントグラフトの使用が公知である。
【0005】
多くのステントグラフトは「自己拡張」、すなわち、圧縮または収縮した状態で血管系内に挿入され、抑制がなくなると拡張が可能になる。自己拡張ステントグラフトは、通常は、径方向外方へ力を作用させるように構成された(例えば、曲げられたまたはカットされた)ワイヤまたはチューブを採用し、ステンレス鋼またはニチノール(ニッケル−チタニウム)のような適切な弾性物質を採用する。ニチノールは、さらに形状記憶特性を採用してもよい。
【0006】
特定の位置に埋め込まれた自己拡張ステントグラフトは、通常、ステントグラフトの使用を意図する血管の直径より少し大きい直径のチューブ状に構成される。一般に、ステントグラフトは、最小の侵襲の腔内送達、すなわち好都合な(およびより外傷が少ない)挿入ポイントにおいて続く膨脹を介して内腔または脈管または経皮的に達するための皮膚の切開、および内腔を通って補綴物が配置されるべき部位へのステントグラフトへの経路付けを通して通常は配置される。
【0007】
1つの例の腔内配置は、相対的な軸方向の移動のために設計された同軸の内側チューブおよびシースと送達カテーテルを用いて達成される。ステントグラフトは、圧縮されて、カテーテルの遠位端部の近位にあるシースの遠位端部内に配置され、カテーテルシャフトに取り付けられたステントストップまたは遠位ステントグラフト先端部捕捉メカニズムによって保持される。
【0008】
カテーテルは、その後、操作され、カテーテル(およびその中に含まれるステントグラフト)の端部が意図された治療部位の近くに位置決めされるまで、通常は、血管を通して、送られる。カテーテルシャフトは、その後、静止状態を保ち、一方で送達カテーテルのシースは引き抜かれる。カテーテルは、シースが引き抜かれるときステントグラフトが後退するのを防ぐストップまたは先端部捕捉部を有してもよい。
【0009】
シースが引き抜かれるにつれ、ステントグラフトはその近位端部から徐々に露出される(カバーが外される−解放される−配置される)。ステントグラフトが露出されるにつれ、それは、少なくとも露出されたステントグラフトの部分が、内腔の内部、例えば、血管壁の部分と表面接触となるように実質的に適合するように、径方向に拡張する。
【0010】
直線状の血管内では、ステントグラフトの配置は比較的単純である。しかし、複雑な血管、例えば大動脈弓または他の湾曲した血管内では、取り囲む血管が湾曲する一方で直線状の形状を保つカテーテルの傾向により、ステントグラフトの配置は複雑である。
【0011】
特に、大動脈弓内では、送達カテーテルの固さが、送達カテーテルの遠位先端部が大動脈弓の湾曲の外半径で(適合していなければ)血管壁に近接して位置決される状態を引き起こす。送達システムの遠位先端部の(外半径に対する)この偏った位置決めは、ステントグラフトが配置されたときにそれにかかる血流作用力の影響と組み合わさり、ステントグラフトが非対称的に配置される可能性が高い結果となる。
【0012】
図1Aは、実質的に胸部大動脈30の湾曲の外半径に適合したステントグラフト22を含む、ステントグラフト送達カテーテル20を示す。図1Bに示されるように、ステントグラフトが配置され始めたとき、矢印32で示される血流はステントグラフト22の近位端部においてベアスプリング24の最初の配置が胸弓の内半径に近いスプリングの部分が外側および下側(ステントグラフトの中心線から)に曲がるように不均一に開く状態を引き起こす。結果として、ステントグラフト22の近位端部26は血管壁と直交しない(図1C参照)。
【0013】
繰り返すと、ステントグラフト22の配置が始まると、血流(例えば、32)は最初に配置されたスプリング(例えば、24)を帆船の帆のように捉え、いくつかのスプリングおよび/またはステントグラフトの部分が血流の方向に優先的に曲がる状態を引き起こす。これは、図示されているように血管内で高く配置されたとき、大動脈弓の湾曲の内半径に近いスプリングまたはステントグラフトの部分が、ステントグラフトから(図1Bおよび1Cに示されるように湾曲の半径に対して内側に)下側に曲がるような不均一な配置を引き起こす。結果として、ステントグラフトの近位端部は大動脈弓の壁に対し直交に配置されない。この初期非対称形配置を修正するため、医師は通常はステントグラフトの再配置を試みるが、これは、含まれる特定のステントグラフトおよび解剖学的幾何学配置にもよるが、これは、通常望ましくない(血管壁擦傷およびより広範囲の損傷という結果となりうるので)。さらに、再配置により、付加的なカフ(延長部材)タイプのステントグラフトが配置される必要がありうる。
【0014】
本明細書に記載されるように、ステントグラフトの近位端部は血流路を経由して心臓に最も近い端部であり、一方、遠位端部は配置されたときに心臓から最も遠い端部である。反対に、送達カテーテルの遠位端部は操作者(ハンドル)から最も遠い端部と通常同一視され、一方、カテーテルの近位端部は操作者(ハンドル)から最も近い端部である。記述を明瞭にするため、本明細書で使用されるように、送達カテーテルの遠位端部は操作者から最も遠い端部(ハンドルから最も遠い端部)であり、一方、ステントグラフトの遠位端部は操作者に最も近い端部(ハンドルに最も近い端部)である。すなわち、カテーテルの遠位端部およびステントグラフトの近位端部がハンドルから最も遠い端部であり、一方、カテーテルの近位端部およびステントグラフトの遠位端部がハンドルに最も近い端部である。しかし、当業者は、アクセスする位置によってステントグラフトおよび送達システムの近位および遠位の呼称が、実際の使用状況で一致または逆である場合があることが解る。大腿動脈アクセスを用いるとき、装置およびカテーテルでは遠位端部は逆であり、一方、上腕動脈アクセスを用いるとき、それらは一致する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
1つの送達カテーテルシステム内で、操舵可能なカテーテルの機能および先端部解放メカニズムを用いて、湾曲した血管内にステントグラフトを配置する装置および方法が提供される。操舵メカニズムは、送達システムの遠位先端部を中央におき、それによって湾曲した血管内のステントグラフトの近位端部を中央におく。ステントグラフト送達システムのシースは後退させられ、カテーテル先端部捕捉メカニズム内で捕捉されたステントグラフトの近位スプリングの近位端部を露出する。ステントグラフトは血管の中央に保たれ、先端部捕捉メカニズムに保持されたクラウンの分割(全体より少ない)部分が、ステントグラフトが配置のため拡張されるにつれて湾曲した血管内で部分的に安定化するよう最初に解放される。ステントグラフトをさらに配置した後、送達システム先端部操舵メカニズムの張力は弛緩され、送達システム先端部捕捉メカニズムになお捕捉されているステントグラフトの近位端部のクラウンが解放される。
【0016】
ステントグラフトの近位スプリングが非制御で外側に曲がるのを防ぐため、先端部捕捉部を用いて、配置の前および同時に、ステントグラフトを含むカテーテルの端部を中央におくため送達カテーテルを操舵することにより、ステントグラフトの最初の配置(その近位端ステントグラフト素材)はその配置位置において湾曲した血管の軸方向中心線に対し実質的に直交する。ステントグラフトの最初の配置が対称的なので、最初の配置後にステントグラフトを再配置する必要をなくすことができる。従って、最初に配置されたステントグラフトは湾曲した血管内に正確に取り付けられ、付加的なステントグラフトを配置する必要がなくなる。
【0017】
これらおよび他の特徴は、添付の図と併せて後述の詳細な記載からより容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1A〜図1Cは、ステントグラフトを非対称的に配置する先行技術の送達システムの順送りの概略横断面図である。
【図2】図2A〜図2Eは、血管内の送達カテーテルを操舵し配置の間、先端部捕捉機能を提供する、先端部捕捉要素と操舵可能な要素を有する、送達システムの概略横断面図である。
【図3】図3Aは、図2Aに示されるような送達カテーテルの図式化した斜視図であり、図3Bは、シースの部分が取り除かれ、シース内に置かれるステントグラフトが示されていない図3Aの部分的にカットした図である。
【図4】カテーテルの先端部から見た、図3Bに示される送達カテーテル40の遠位端部のクローズアップした図である。
【図5】カテーテルのハンドル端部から見た、図4に示される送達カテーテル40の遠位部のクローズアップした図である。
【図6】図6Aおよび図6Bは、直線状および曲げられた構成およびそのハンドルに対する操作における図2Aのカテーテルの側面を図式化した図である。
【図7】図7A〜図7Cは、図2A〜図2Eに示されるような送達カテーテルからのステントの配置の順送りのステップの図式化した斜視図である。
【図8】図8A〜図8Dは、図2A〜図2Eに示されるような送達システムからのステントグラフトの配置に関連する配置の順送りのステップおよび動作を図式化した断面図である。
【図9】図9A〜図9Bは、図2A〜図2Eに示されるようなステントグラフトを配置する送達カテーテルのハンドルにおける特定の操舵部材および解放部材コントロール要素に実行されおよび観察されるような、要素および配置の順送りのステップを図式化した斜視図、側面図、および端面図である。
【図10】図10A〜図10Bは、図2A〜図2Eに示されるようなステントグラフトを配置する送達カテーテルのハンドルにおける特定の操舵部材および解放部材コントロール要素に実行されおよび観察されるような、要素および配置の順送りのステップを図式化した斜視図、側面図、および端面図である。
【図11】図11A〜図11Cは、図2A〜図2Eに示されるようなステントグラフトを配置する送達カテーテルのハンドルにおける特定の操舵部材および解放部材コントロール要素に実行されおよび観察されるような、要素および配置の順送りのステップを図式化した斜視図、側面図、および端面図である。
【図12】図12A〜図12Cは、図2A〜図2Eに示されるようなステントグラフトを配置する送達カテーテルのハンドルにおける特定の操舵部材および解放部材コントロール要素に実行されおよび観察されるような、要素および配置の順送りのステップを図式化した斜視図、側面図、および端面図である。
【図13】図13Aおよび図13Bは、図2A〜図2Eに示されるような送達カテーテルの使用を通してのステントグラフトの送達のためのハンドル筐体の配列の実施形態の端面図である。
【図14】図2A〜図2Eに示されるような送達カテーテルを使用したステントグラフトの送達のためのハンドル筐体の端面図の代替的な実施形態の代替の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
一体式先端部解放メカニズムを有する操舵可能なカテーテルを以下に述べる。弓形33の湾曲34の外半径に適合した送達カテーテル40(先端部42を有しステントグラフト44を含む)が入った大動脈弓30が、図2Aに示されている。送達カテーテル40の先端部42は血管の中央から離れて弓形の外半径に沿って自然に位置するので、血管の中央へカテーテルの先端部42の先端部および遠位端部46を移動するため(図2Bで血管の中央へ移動される送達カテーテル40の遠位端部46を示す移動矢印48で示されるように)、操舵メカニズム(後述)が使用される。図2Bに示されるような点線の記述に示すように血管の中央へ移動され、そこに保持されると、送達システムのシースをステントグラフト44の配置を開始するため後退させられる。分枝動脈、例えば28に対して送達カテーテル40を長手方向の位置に位置決めするため、コントラスト注入カテーテル50を使用してもよい。シース56が部分的に後退させられたとき、必要であれば、ステントグラフトを操作し所望に応じて(長手方向および径方向に)位置決めしてもよい。最初、図2Cに示されるように、全てのクラウン52a、52b、52c、52d、52e、52fは先端部42の先端部捕捉メカニズム54に捕捉されている。ステントグラフト44の近位端部58、すなわちグラフト素材の近位端が、分枝動脈に対して正しく位置決めされており(近接するが妨害していない)、近位スプリング60の6つのクラウンの半分の血管部分的配置(解放)の中央線に実質的に直交している、すなわち、図2Dに示すように52a、52c、および52eが、最初に安定化させ、かつ中央におく作用力を与えて、ステントグラフト44の近位端部58を径方向に中央におき、なお血管内の送達カテーテルの遠位端部に接合されていることを一度、医師が確認する。その後、シース56がステントグラフトを完全に配置するためさらに後退させられ、ステントグラフトおよび残りの未配置のクラウン52b、52d、52fが先端部から解放され、それによって図2Eに示すようにステントグラフト44が胸部大動脈30に完全に解放される。
【0020】
ステントグラフトの前述の送達を実行する送達メカニズムが、図3Aに図示されている。送達カテーテル40は、ガイドワイヤ64上を送達されるのが示される先端部42を有する。送達システムの近位端部68のハンドル70は、前述のようにカテーテルからステントグラフトを操舵および解放するメカニズムを提供する。
【0021】
図3Bは、送達システム40の先端部捕捉メカニズム54内に配置することができるのでステントグラフトのクラウンを表す短いワイヤを除く、ステントグラフトを図示しない送達カテーテル40の一部分を破断した図である。カテーテルシャフト80が、ハンドル70からカテーテル先端部42へ伸び、その中にガイドワイヤ内腔を構成している。この構成のカテーテルシャフトは、ステントグラフトが保持される領域内のスプラインを除くため芯がない領域であるスプラインシャフトからつくられる。中央シャフト80はPEEKからつくられる。少なくとも1つの操舵部材88aは、ハンドル70から遠位アンカー62へ伸び、この実施形態では先端部42の一部分である。操舵部材88aは、操舵タブ72に加えられた張力が操舵部材88a内の張力が操舵部材側のカテーテルの長さを短くする状態を起こし、カテーテルがその方向に曲がる状態を引き起こすよう、ハンドル内の操舵タブ(例えば72)で引いてもよい。
【0022】
そのような曲がりが、図6Aおよび6Bに示される送達カテーテルの側面図の比較で示され、そこでは操舵タブ72が後退させられ、操舵部材88aが遠位アンカー62を優先的に張力の側のハンドルへ引くカテーテル側の張力を生じ、図6Bの矢印90で示されるように曲がりまたはたわみを引き起こす。
【0023】
図4および図5は、送達カテーテル40の先端部および遠位アンカーの拡大図である。カテーテルシャフト80は、スプライン90a、90b、90c、90d、90e、90f下の空間においてステントのバルクを収容するため芯がない領域を有する。本明細書で示されるようなスプラインは、PEEKチューブのようなポリマー素材で作られた中空のチューブである、操舵部材88a、88b、88cを収容する貫通穴を有する。操舵部材88a、88b、88cは、遠位アンカー62内の操舵部材受入開口部92a、92b、92c内へ伸び、この実施形態では先端部42の一部分である。解放部材96d、96e、96fは、別のスプライン、すなわち90b、90d、90fを通って伸び、この実施形態では、ステントグラフトの近位スプリングの別のクラウンに捕捉および解放機能を提供する。
【0024】
図5では、スプラインの頂部、すなわち、90a、90b、90c、90d、90e、90fと遠位アンカー62の底部の間の空間内で捕捉されたクラウン部分、52a、52b、52c、52d、52e、52fが示されている。スプライン、例えば52aに面した遠位アンカー62の表面は、そこでの3つの操舵部材受入開口部92a、92b、92c、および3つの解放部材受入開口部94a、94b、94cを有する。操舵部材受入開口部、例えば、92a、92b、92cは、それぞれ、操舵部材88a、88b、88cの遠位端部が解放部材96a、96b、96cにより所定の位置にロックされるよう伸張されて置かれるように、遠位アンカー62の内部の直径が拡大されたキャビティである直径拡張円錐状穴(例えば、93a、93b、93c)へ通じ、図5に示されたおよびさらに後述するように拡張するコレットのような拡張可能なロック要素の除去を防ぐ機械的な妨害係合に関与する中核の要素としてはたらく。
【0025】
配置されるべきステントグラフトの近位ステントスプリング60のクラウン要素の順送りおよび部分的解放を、図7A〜図7C、図8A〜図8Dを参照して記載する。部分的に配置されたステントグラフトおよびその捕捉された状況の先端部が図7Aおよび図8Aに示されている。シース56は当業者に公知の(従って本明細書に記載しない)メカニズムを用いて部分的に後退させられている。近位スプリング60のクラウン52a、52b、52c、52d、52e、52fが、スプライン、例えば、90a、90bと遠位アンカー62の間の空間に捕捉されて示されている。シース56は部分的に後退させられている一方、先端部捕捉メカニズム54から移動が可能なクラウンはない。図8Aの図式化した断面に見られるように、クラウン52bは、カテーテルシャフト80と遠位アンカー62、スプライン90bおよび解放部材96dの末端部分の間の空間で捕捉される。ステントクラウン52eは、同様に、スプライン90e、遠位アンカー62、カテーテルシャフト80、および操舵部材88cの遠位端部へその中央線に沿って通る解放部材96cにより所定の位置に増強およびロックされた操舵部材88cの間で捕捉される。
【0026】
解放部材(ワイヤ)96d、96e、96fを、配置されるべきステントまたはステントグラフト、例えば、52bの、別の全てより多いまたは未満のクラウンを解放するため後退させてもよく、一方、血管内で中央におかれたカテーテルの遠位先端部を保持する操舵部材の張力は維持される。ステントグラフトの部分的配置が行われるとき、例えば、全てのクラウンの解放の前に、近位ステントの6つのクラウンの3つが解放され、一方、図7Bに見られるように、自身に関連付けられた対応する操舵部材を持たない解放部材96d、96e、96fの移動により、クラウン52b、52d、52fは解放されている。図8Bおよび図7Bに見られるように、近位スプリング60の円周の周りのクラウン52eおよび別のクラウンは捕捉されたままである。医師がまだ配置されていないクラウン、例えば52eの配置の準備ができたとき、図8Cに示されるように、操舵部材88cおよび88aの先端部ロックメカニズムをそれぞれ解除するため、解放部材96cおよび96aを最初に後退させなければならない。図8で、拡張可能なロック要素(コレット)86c、86aは、操舵部材受入開口部92c(図示)、92a(図示せず)の拡張された部分とともに一度阻害から解放される。操舵部材88c、88aは、前述のように、解放部材96d、96e、96fが後退させられたのと同様に容易に後退させることが可能で、これにより近位スプリング60のクラウン52eを解放する。6つのクラウンおよび近位スプリング60の全ての解放が図7Cに示され、これは図8Dで見られる状況に関連する。拡張可能なロック要素(コレット)86a、86b、86cは、操舵部材のチューブ状の素材のPEEKチューブにポリマー素材を成形することで構成が可能である。中央を通る横断方向の直線状カット(スロット)が、拡張された部分の2つの半分の部分が互いへ移動し、すなわち崩れて、操舵部材受入開口部92a、92b、92cの狭い通路を通ることを可能にする。解放部材96a、96b、96c、96d、96e、96fは、ステンレススチールで製作されるのが望ましいチューブまたはワイヤで構成される。解放部材は、PEEK操舵部材チューブの内部で低摩擦係数の作用を示す。遠位アンカー62は、金属素材で製作が可能で、または当業界で公知のようなポリマーまたは硬いプラスチック素材で製作が可能である。
【0027】
前述のような先端部捕捉メカニズムを解放部材受入開口部、例えば、92a、92b、92cを遠位アンカー62内に設けたものとして記載する一方で、先端部捕捉メカニズムは、操舵部材が通るスプライン(例えば、90a、90b、90c)内の貫通穴が、操舵部材を受け入れてロックするよう拡大されたキャビティ(例えば逆円錐形)を有して構成されるように構成してもよい。そのような実施形態では、解放部材はスプラインを越えて伸び、なお近位ステントグラフトのクラウンを捕捉しうるが、そのような捕捉の配置は、この実施形態では遠位アンカーとしてはたらくスプラインを越えた遠位捕捉スペース内になるであろう。この実施形態では、捕捉スペースは近位先端部捕捉スペースを持つものとして記載しうる。
【0028】
スプラインと貫通穴の使用を前述したが、スプラインのような配列を用いた他の配列は、操舵部材および解放部材を遠位アンカーへ誘導するカテーテルシャフトとサイドフックの使用を含みうる。それも、より大きい製造および設計の柔軟性を可能にするため使用してもよい。
【0029】
前述の実施形態で、遠位アンカーに関連してコレットのようなチューブ拡張可能部材の使用を記述したが、当業界に公知のように、1つが遠位アンカー内で解放可能な機械的妨害をする拡大されたロック部分を有する、並列したチューブまたはワイヤのあらゆる類似の構成が使用可能である。唯一の基準は、チューブワイヤまたはチューブのような要素が、両方がそれらの解放を妨げるよう相互に作用する拡張可能な部分を有する場合で並列して使用されるケースがありうるので、操舵部材のロックを外すのに必要とされる解放部材の構成が、容易におよびスムーズに引くことができ曲がり角でつかまる原因とならないよう、一般的に統一した直径または横断面でなければならないことであろう。
【0030】
多数の操舵および解放部材の操作で、ハンドル内での種々のワイヤおよびチューブの個別のまたは同調した移動が必要となる。先に述べたハンドル70を、詳細に記載する。配置されるステントグラフトの近位スプリングのおよそ半分またはそれより少ないクラウンの最初の部分的解放の後、カテーテルの遠位端部から近位またはハンドル端部への単純な引き動作がある。引きメカニズムは単純な直線状に引く動作であり、3本の引きワイヤ、すなわち、解放部材96d、96e、96fは、1つの引きプレート74または個々の解放部材引きタブ76a、76b、76cに接合してもよい。そのようなプレートおよびタブは、図13A、図13B、および図14に示される。
【0031】
カテーテルの操舵はそれぞれの操舵部材に個々に印加される張力を必要とするので、それぞれの操舵部材が、自身の、医師の所望に応じてカテーテルの端部に影響して移動させる作用力の印加ポイントを有する必要がある。操舵部材が張力下にある時間中、本実施形態では、ロックされた端部操舵ワイヤを用いてカテーテル操舵が行えるよう、操舵部材内(の中核において)にある解放部材は、そのロックされた(前方)ポジションを維持しなければならない。図9Aは、操舵部材および解放部材に接合された操舵部材および解放部材ハンドル要素を示す。操舵部材、例えば、88a、88b、88cは、操舵部材制御シリンダ71および操舵タブ72に固定される。操舵部材制御シリンダ71内およびそれに対して同軸の入れ子または同軸のスライドを有しおよび構成されて、解放部材制御要素98と制御タブ99は、操舵部材制御シリンダ71と同軸に配列される。
【0032】
この2点の入れ子および同軸配列は、図9Bに示されている。制御タブ99は、操舵部材および解放部材の両方が同時におよび同調した動作で移動する必要がある場合そうするように、操舵タブ72に近接および後方に位置して示される。
【0033】
図10A、図10B、図11A、図11B、および図11Cに示されるハンドル筐体100は、送達カテーテル(システム)40の近位端部の共用ハンドル70を保持しおよび接続する筐体を提供する。
【0034】
操舵タブおよび制御タブに対する操舵部材の操作を、図10A〜図12Cに示されるような側面図および端面図を参照して記載する。医師が送達カテーテル40の端部の操舵または横方向の移動をしたいとき、操舵部材内で操舵タブ72および制御タブ99の両方を近位で押し、図10Bの矢印78、および図11Aおよび図12Aに示すようにそれらを近くで移動することで得られる張力を発生させる必要がある。医師がロックされた操舵部材を解放するまたはロックを解除する準備ができたとき、それぞれの操舵部材に関連する解放部材を後退させる必要があり、周回スロット82内の操舵部材制御シリンダ71に関連する制御タブ99に力を加えることにより、解放部材制御要素98の回転が可能になる。制御タブ99を用いることで、解放部材制御要素98が図11Bおよび図12Bの矢印81に示すように、ロックを解除するスロット(長手方向)の位置へ回転されるとき、図11Cの矢印83に示す方向に制御タブ99の端部へ加えられた力を用いて、解放部材制御要素98の制御タブはロック解除スロット84に沿って後退させることが可能である。制御タブ99がロック解除スロット84の遠位端部に到達すると、制御タブ99のさらなる移動でスロットの端部と係合し、同時に操舵部材制御シリンダ71の近位方向への近位運動をも起こす。操舵部材制御シリンダ71の近位移動は、前述のように、近位スプリング60のクラウンの解放を引き起こす。
【0035】
前述の実施形態において、3つの操舵部材(例えば、92a、92b、92c)および6つの解放部材(例えば、96a、96b、96c、96d、96e、96f)を述べ記載した。6つの解放部材が周囲に均一に分散し、3つの操舵部材が同様に均等に分散することが対称的に好都合であるが、奇数のステントクラウンが使用される場合、近位スプリングで5つのクラウンが使用される構成において、操舵可能な送達カテーテルの操舵機能へ3つの張力を与える部材を提供する3つの操舵部材があり、一方、2つのクラウンが早くまたは部分的解放が可能となるよう、カテーテルの操舵機能を保持することが重要であろう。当業者は、最も効率的に目的を果たす操舵および解放部材の数を決定するであろう。いくつかの操舵可能なカテーテルでは、カテーテルを回転させて1つの操舵部材のみを使用することが好都合であるが、直径が長いカテーテルでは、周りの血管壁構造との摩擦抵抗の可能性があり、カテーテルの回転は困難でありうるので、勧められない。それで、大きなフレンチサイズのカテーテル(>18Fr)が使用される通常のステントグラフトでは、その3つの操舵部材の最小限を使用するよう求められるであろう。
【0036】
図13Aおよび図13Bは、端面図にそれぞれの操舵タブ72および制御タブ99が示される、3つの操舵部材制御シリンダおよびそれらの関連するハンドル筐体100’の構成を示す。この構成は、操舵部材のロックまたはロック解除に寄与しない3つの解放部材を同時に引く/後退させる引きプレートとしてはたらく、単一の3アーム(ヨーク)プレート74を示す。
【0037】
図14に示されるような他の構成では、操舵部材のロックまたはロック解除に寄与しない3つの解放部材は、引きタブ76a、76b、76cで個々に操作が可能である。ハンドル筐体(例えば、100(100’))は、例えば、図3Aおよび図3Bに見られるように、操舵部材がカテーテルシャフトを曲げるため引っ張られおよび解放されるとき、軸引張および圧縮力が操舵部材によりシャフトに沿って伝達されおよび対向されるよう、カテーテルシャフト80に接合される。
【0038】
前述の実施形態によるステントグラフトの送達方法は、治療箇所でのカテーテルの位置決め、対称的配置の可能性を向上するための治療箇所でのカテーテルの横方向の操作、ステントグラフトの近位端部周辺に均等に分散した近位スプリングのおよそ半分のクラウンの配置、およびさらにステントグラフトの近位端部でスプリングの以前に配置されていないクラウンの配置を含む。そこでは、操作のステップは、解放可能な操舵部材の操作を含んでもよい。そこでは、およそ半分のクラウンの配置のステップは、クラウン捕捉位置からクラウン解放位置への解放部材の移動を含んでもよい。そこでは、以前に配置されていないクラウンの配置のステップは、ロック位置から解放位置への操舵部材解放ワイヤの移動、およびクラウン捕捉位置からクラウン解放位置への操舵部材の移動を含んでもよい。そこでは、操作のステップは、少なくとも2つ以上の解放可能な操舵部材の1つ、少なくとも3つの解放可能な操舵部材の1つ、または少なくとも4つの解放可能な操舵部材の1つの操作を含んでもよい。
【0039】
形態および詳細において、記載された実施形態の趣旨および範囲から逸脱することなく、種々の変更がなされうることが、関連分野の当業者に明らかになるであろう。本明細書で述べたそれぞれの実施形態および本明細書で引用されたそれぞれの参照文献のそれぞれの特徴は、あらゆる他の実施形態の特徴と組み合わせて使用が可能であることも解る。本明細書で述べた特許および刊行物は、本明細書にその全体が参照により組み込まれる。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3A】
【図3B】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略的には、ステントおよびステントグラフトを送達するのに使用される操舵可能な先端部捕捉TAA送達システムに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、概略的には、医療装置および操作に関し、詳細には、血管系内にステントグラフトを配置する方法およびシステムに関する。
【0003】
生体の血管または他の類似の器官内の埋め込みの補綴具が、医療分野で広く知られている。例えば、生体適合性素材で形成された人工血管グラフト(例えばDacron(登録商標)素材または拡張された多孔性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)管)が、損傷または閉塞した生来の血管の置換またはバイパスに採用されてきた。
【0004】
フレーム構造により支持されたグラフト素材が、ステントグラフトまたは腔内グラフトとして公知である。一般に、動脈瘤および疾患により薄くまたは厚くなった血管壁の治療または分離(腔内の修復または除去)のためのステントグラフトの使用が公知である。
【0005】
多くのステントグラフトは「自己拡張」、すなわち、圧縮または収縮した状態で血管系内に挿入され、抑制がなくなると拡張が可能になる。自己拡張ステントグラフトは、通常は、径方向外方へ力を作用させるように構成された(例えば、曲げられたまたはカットされた)ワイヤまたはチューブを採用し、ステンレス鋼またはニチノール(ニッケル−チタニウム)のような適切な弾性物質を採用する。ニチノールは、さらに形状記憶特性を採用してもよい。
【0006】
特定の位置に埋め込まれた自己拡張ステントグラフトは、通常、ステントグラフトの使用を意図する血管の直径より少し大きい直径のチューブ状に構成される。一般に、ステントグラフトは、最小の侵襲の腔内送達、すなわち好都合な(およびより外傷が少ない)挿入ポイントにおいて続く膨脹を介して内腔または脈管または経皮的に達するための皮膚の切開、および内腔を通って補綴物が配置されるべき部位へのステントグラフトへの経路付けを通して通常は配置される。
【0007】
1つの例の腔内配置は、相対的な軸方向の移動のために設計された同軸の内側チューブおよびシースと送達カテーテルを用いて達成される。ステントグラフトは、圧縮されて、カテーテルの遠位端部の近位にあるシースの遠位端部内に配置され、カテーテルシャフトに取り付けられたステントストップまたは遠位ステントグラフト先端部捕捉メカニズムによって保持される。
【0008】
カテーテルは、その後、操作され、カテーテル(およびその中に含まれるステントグラフト)の端部が意図された治療部位の近くに位置決めされるまで、通常は、血管を通して、送られる。カテーテルシャフトは、その後、静止状態を保ち、一方で送達カテーテルのシースは引き抜かれる。カテーテルは、シースが引き抜かれるときステントグラフトが後退するのを防ぐストップまたは先端部捕捉部を有してもよい。
【0009】
シースが引き抜かれるにつれ、ステントグラフトはその近位端部から徐々に露出される(カバーが外される−解放される−配置される)。ステントグラフトが露出されるにつれ、それは、少なくとも露出されたステントグラフトの部分が、内腔の内部、例えば、血管壁の部分と表面接触となるように実質的に適合するように、径方向に拡張する。
【0010】
直線状の血管内では、ステントグラフトの配置は比較的単純である。しかし、複雑な血管、例えば大動脈弓または他の湾曲した血管内では、取り囲む血管が湾曲する一方で直線状の形状を保つカテーテルの傾向により、ステントグラフトの配置は複雑である。
【0011】
特に、大動脈弓内では、送達カテーテルの固さが、送達カテーテルの遠位先端部が大動脈弓の湾曲の外半径で(適合していなければ)血管壁に近接して位置決される状態を引き起こす。送達システムの遠位先端部の(外半径に対する)この偏った位置決めは、ステントグラフトが配置されたときにそれにかかる血流作用力の影響と組み合わさり、ステントグラフトが非対称的に配置される可能性が高い結果となる。
【0012】
図1Aは、実質的に胸部大動脈30の湾曲の外半径に適合したステントグラフト22を含む、ステントグラフト送達カテーテル20を示す。図1Bに示されるように、ステントグラフトが配置され始めたとき、矢印32で示される血流はステントグラフト22の近位端部においてベアスプリング24の最初の配置が胸弓の内半径に近いスプリングの部分が外側および下側(ステントグラフトの中心線から)に曲がるように不均一に開く状態を引き起こす。結果として、ステントグラフト22の近位端部26は血管壁と直交しない(図1C参照)。
【0013】
繰り返すと、ステントグラフト22の配置が始まると、血流(例えば、32)は最初に配置されたスプリング(例えば、24)を帆船の帆のように捉え、いくつかのスプリングおよび/またはステントグラフトの部分が血流の方向に優先的に曲がる状態を引き起こす。これは、図示されているように血管内で高く配置されたとき、大動脈弓の湾曲の内半径に近いスプリングまたはステントグラフトの部分が、ステントグラフトから(図1Bおよび1Cに示されるように湾曲の半径に対して内側に)下側に曲がるような不均一な配置を引き起こす。結果として、ステントグラフトの近位端部は大動脈弓の壁に対し直交に配置されない。この初期非対称形配置を修正するため、医師は通常はステントグラフトの再配置を試みるが、これは、含まれる特定のステントグラフトおよび解剖学的幾何学配置にもよるが、これは、通常望ましくない(血管壁擦傷およびより広範囲の損傷という結果となりうるので)。さらに、再配置により、付加的なカフ(延長部材)タイプのステントグラフトが配置される必要がありうる。
【0014】
本明細書に記載されるように、ステントグラフトの近位端部は血流路を経由して心臓に最も近い端部であり、一方、遠位端部は配置されたときに心臓から最も遠い端部である。反対に、送達カテーテルの遠位端部は操作者(ハンドル)から最も遠い端部と通常同一視され、一方、カテーテルの近位端部は操作者(ハンドル)から最も近い端部である。記述を明瞭にするため、本明細書で使用されるように、送達カテーテルの遠位端部は操作者から最も遠い端部(ハンドルから最も遠い端部)であり、一方、ステントグラフトの遠位端部は操作者に最も近い端部(ハンドルに最も近い端部)である。すなわち、カテーテルの遠位端部およびステントグラフトの近位端部がハンドルから最も遠い端部であり、一方、カテーテルの近位端部およびステントグラフトの遠位端部がハンドルに最も近い端部である。しかし、当業者は、アクセスする位置によってステントグラフトおよび送達システムの近位および遠位の呼称が、実際の使用状況で一致または逆である場合があることが解る。大腿動脈アクセスを用いるとき、装置およびカテーテルでは遠位端部は逆であり、一方、上腕動脈アクセスを用いるとき、それらは一致する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
1つの送達カテーテルシステム内で、操舵可能なカテーテルの機能および先端部解放メカニズムを用いて、湾曲した血管内にステントグラフトを配置する装置および方法が提供される。操舵メカニズムは、送達システムの遠位先端部を中央におき、それによって湾曲した血管内のステントグラフトの近位端部を中央におく。ステントグラフト送達システムのシースは後退させられ、カテーテル先端部捕捉メカニズム内で捕捉されたステントグラフトの近位スプリングの近位端部を露出する。ステントグラフトは血管の中央に保たれ、先端部捕捉メカニズムに保持されたクラウンの分割(全体より少ない)部分が、ステントグラフトが配置のため拡張されるにつれて湾曲した血管内で部分的に安定化するよう最初に解放される。ステントグラフトをさらに配置した後、送達システム先端部操舵メカニズムの張力は弛緩され、送達システム先端部捕捉メカニズムになお捕捉されているステントグラフトの近位端部のクラウンが解放される。
【0016】
ステントグラフトの近位スプリングが非制御で外側に曲がるのを防ぐため、先端部捕捉部を用いて、配置の前および同時に、ステントグラフトを含むカテーテルの端部を中央におくため送達カテーテルを操舵することにより、ステントグラフトの最初の配置(その近位端ステントグラフト素材)はその配置位置において湾曲した血管の軸方向中心線に対し実質的に直交する。ステントグラフトの最初の配置が対称的なので、最初の配置後にステントグラフトを再配置する必要をなくすことができる。従って、最初に配置されたステントグラフトは湾曲した血管内に正確に取り付けられ、付加的なステントグラフトを配置する必要がなくなる。
【0017】
これらおよび他の特徴は、添付の図と併せて後述の詳細な記載からより容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1A〜図1Cは、ステントグラフトを非対称的に配置する先行技術の送達システムの順送りの概略横断面図である。
【図2】図2A〜図2Eは、血管内の送達カテーテルを操舵し配置の間、先端部捕捉機能を提供する、先端部捕捉要素と操舵可能な要素を有する、送達システムの概略横断面図である。
【図3】図3Aは、図2Aに示されるような送達カテーテルの図式化した斜視図であり、図3Bは、シースの部分が取り除かれ、シース内に置かれるステントグラフトが示されていない図3Aの部分的にカットした図である。
【図4】カテーテルの先端部から見た、図3Bに示される送達カテーテル40の遠位端部のクローズアップした図である。
【図5】カテーテルのハンドル端部から見た、図4に示される送達カテーテル40の遠位部のクローズアップした図である。
【図6】図6Aおよび図6Bは、直線状および曲げられた構成およびそのハンドルに対する操作における図2Aのカテーテルの側面を図式化した図である。
【図7】図7A〜図7Cは、図2A〜図2Eに示されるような送達カテーテルからのステントの配置の順送りのステップの図式化した斜視図である。
【図8】図8A〜図8Dは、図2A〜図2Eに示されるような送達システムからのステントグラフトの配置に関連する配置の順送りのステップおよび動作を図式化した断面図である。
【図9】図9A〜図9Bは、図2A〜図2Eに示されるようなステントグラフトを配置する送達カテーテルのハンドルにおける特定の操舵部材および解放部材コントロール要素に実行されおよび観察されるような、要素および配置の順送りのステップを図式化した斜視図、側面図、および端面図である。
【図10】図10A〜図10Bは、図2A〜図2Eに示されるようなステントグラフトを配置する送達カテーテルのハンドルにおける特定の操舵部材および解放部材コントロール要素に実行されおよび観察されるような、要素および配置の順送りのステップを図式化した斜視図、側面図、および端面図である。
【図11】図11A〜図11Cは、図2A〜図2Eに示されるようなステントグラフトを配置する送達カテーテルのハンドルにおける特定の操舵部材および解放部材コントロール要素に実行されおよび観察されるような、要素および配置の順送りのステップを図式化した斜視図、側面図、および端面図である。
【図12】図12A〜図12Cは、図2A〜図2Eに示されるようなステントグラフトを配置する送達カテーテルのハンドルにおける特定の操舵部材および解放部材コントロール要素に実行されおよび観察されるような、要素および配置の順送りのステップを図式化した斜視図、側面図、および端面図である。
【図13】図13Aおよび図13Bは、図2A〜図2Eに示されるような送達カテーテルの使用を通してのステントグラフトの送達のためのハンドル筐体の配列の実施形態の端面図である。
【図14】図2A〜図2Eに示されるような送達カテーテルを使用したステントグラフトの送達のためのハンドル筐体の端面図の代替的な実施形態の代替の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
一体式先端部解放メカニズムを有する操舵可能なカテーテルを以下に述べる。弓形33の湾曲34の外半径に適合した送達カテーテル40(先端部42を有しステントグラフト44を含む)が入った大動脈弓30が、図2Aに示されている。送達カテーテル40の先端部42は血管の中央から離れて弓形の外半径に沿って自然に位置するので、血管の中央へカテーテルの先端部42の先端部および遠位端部46を移動するため(図2Bで血管の中央へ移動される送達カテーテル40の遠位端部46を示す移動矢印48で示されるように)、操舵メカニズム(後述)が使用される。図2Bに示されるような点線の記述に示すように血管の中央へ移動され、そこに保持されると、送達システムのシースをステントグラフト44の配置を開始するため後退させられる。分枝動脈、例えば28に対して送達カテーテル40を長手方向の位置に位置決めするため、コントラスト注入カテーテル50を使用してもよい。シース56が部分的に後退させられたとき、必要であれば、ステントグラフトを操作し所望に応じて(長手方向および径方向に)位置決めしてもよい。最初、図2Cに示されるように、全てのクラウン52a、52b、52c、52d、52e、52fは先端部42の先端部捕捉メカニズム54に捕捉されている。ステントグラフト44の近位端部58、すなわちグラフト素材の近位端が、分枝動脈に対して正しく位置決めされており(近接するが妨害していない)、近位スプリング60の6つのクラウンの半分の血管部分的配置(解放)の中央線に実質的に直交している、すなわち、図2Dに示すように52a、52c、および52eが、最初に安定化させ、かつ中央におく作用力を与えて、ステントグラフト44の近位端部58を径方向に中央におき、なお血管内の送達カテーテルの遠位端部に接合されていることを一度、医師が確認する。その後、シース56がステントグラフトを完全に配置するためさらに後退させられ、ステントグラフトおよび残りの未配置のクラウン52b、52d、52fが先端部から解放され、それによって図2Eに示すようにステントグラフト44が胸部大動脈30に完全に解放される。
【0020】
ステントグラフトの前述の送達を実行する送達メカニズムが、図3Aに図示されている。送達カテーテル40は、ガイドワイヤ64上を送達されるのが示される先端部42を有する。送達システムの近位端部68のハンドル70は、前述のようにカテーテルからステントグラフトを操舵および解放するメカニズムを提供する。
【0021】
図3Bは、送達システム40の先端部捕捉メカニズム54内に配置することができるのでステントグラフトのクラウンを表す短いワイヤを除く、ステントグラフトを図示しない送達カテーテル40の一部分を破断した図である。カテーテルシャフト80が、ハンドル70からカテーテル先端部42へ伸び、その中にガイドワイヤ内腔を構成している。この構成のカテーテルシャフトは、ステントグラフトが保持される領域内のスプラインを除くため芯がない領域であるスプラインシャフトからつくられる。中央シャフト80はPEEKからつくられる。少なくとも1つの操舵部材88aは、ハンドル70から遠位アンカー62へ伸び、この実施形態では先端部42の一部分である。操舵部材88aは、操舵タブ72に加えられた張力が操舵部材88a内の張力が操舵部材側のカテーテルの長さを短くする状態を起こし、カテーテルがその方向に曲がる状態を引き起こすよう、ハンドル内の操舵タブ(例えば72)で引いてもよい。
【0022】
そのような曲がりが、図6Aおよび6Bに示される送達カテーテルの側面図の比較で示され、そこでは操舵タブ72が後退させられ、操舵部材88aが遠位アンカー62を優先的に張力の側のハンドルへ引くカテーテル側の張力を生じ、図6Bの矢印90で示されるように曲がりまたはたわみを引き起こす。
【0023】
図4および図5は、送達カテーテル40の先端部および遠位アンカーの拡大図である。カテーテルシャフト80は、スプライン90a、90b、90c、90d、90e、90f下の空間においてステントのバルクを収容するため芯がない領域を有する。本明細書で示されるようなスプラインは、PEEKチューブのようなポリマー素材で作られた中空のチューブである、操舵部材88a、88b、88cを収容する貫通穴を有する。操舵部材88a、88b、88cは、遠位アンカー62内の操舵部材受入開口部92a、92b、92c内へ伸び、この実施形態では先端部42の一部分である。解放部材96d、96e、96fは、別のスプライン、すなわち90b、90d、90fを通って伸び、この実施形態では、ステントグラフトの近位スプリングの別のクラウンに捕捉および解放機能を提供する。
【0024】
図5では、スプラインの頂部、すなわち、90a、90b、90c、90d、90e、90fと遠位アンカー62の底部の間の空間内で捕捉されたクラウン部分、52a、52b、52c、52d、52e、52fが示されている。スプライン、例えば52aに面した遠位アンカー62の表面は、そこでの3つの操舵部材受入開口部92a、92b、92c、および3つの解放部材受入開口部94a、94b、94cを有する。操舵部材受入開口部、例えば、92a、92b、92cは、それぞれ、操舵部材88a、88b、88cの遠位端部が解放部材96a、96b、96cにより所定の位置にロックされるよう伸張されて置かれるように、遠位アンカー62の内部の直径が拡大されたキャビティである直径拡張円錐状穴(例えば、93a、93b、93c)へ通じ、図5に示されたおよびさらに後述するように拡張するコレットのような拡張可能なロック要素の除去を防ぐ機械的な妨害係合に関与する中核の要素としてはたらく。
【0025】
配置されるべきステントグラフトの近位ステントスプリング60のクラウン要素の順送りおよび部分的解放を、図7A〜図7C、図8A〜図8Dを参照して記載する。部分的に配置されたステントグラフトおよびその捕捉された状況の先端部が図7Aおよび図8Aに示されている。シース56は当業者に公知の(従って本明細書に記載しない)メカニズムを用いて部分的に後退させられている。近位スプリング60のクラウン52a、52b、52c、52d、52e、52fが、スプライン、例えば、90a、90bと遠位アンカー62の間の空間に捕捉されて示されている。シース56は部分的に後退させられている一方、先端部捕捉メカニズム54から移動が可能なクラウンはない。図8Aの図式化した断面に見られるように、クラウン52bは、カテーテルシャフト80と遠位アンカー62、スプライン90bおよび解放部材96dの末端部分の間の空間で捕捉される。ステントクラウン52eは、同様に、スプライン90e、遠位アンカー62、カテーテルシャフト80、および操舵部材88cの遠位端部へその中央線に沿って通る解放部材96cにより所定の位置に増強およびロックされた操舵部材88cの間で捕捉される。
【0026】
解放部材(ワイヤ)96d、96e、96fを、配置されるべきステントまたはステントグラフト、例えば、52bの、別の全てより多いまたは未満のクラウンを解放するため後退させてもよく、一方、血管内で中央におかれたカテーテルの遠位先端部を保持する操舵部材の張力は維持される。ステントグラフトの部分的配置が行われるとき、例えば、全てのクラウンの解放の前に、近位ステントの6つのクラウンの3つが解放され、一方、図7Bに見られるように、自身に関連付けられた対応する操舵部材を持たない解放部材96d、96e、96fの移動により、クラウン52b、52d、52fは解放されている。図8Bおよび図7Bに見られるように、近位スプリング60の円周の周りのクラウン52eおよび別のクラウンは捕捉されたままである。医師がまだ配置されていないクラウン、例えば52eの配置の準備ができたとき、図8Cに示されるように、操舵部材88cおよび88aの先端部ロックメカニズムをそれぞれ解除するため、解放部材96cおよび96aを最初に後退させなければならない。図8で、拡張可能なロック要素(コレット)86c、86aは、操舵部材受入開口部92c(図示)、92a(図示せず)の拡張された部分とともに一度阻害から解放される。操舵部材88c、88aは、前述のように、解放部材96d、96e、96fが後退させられたのと同様に容易に後退させることが可能で、これにより近位スプリング60のクラウン52eを解放する。6つのクラウンおよび近位スプリング60の全ての解放が図7Cに示され、これは図8Dで見られる状況に関連する。拡張可能なロック要素(コレット)86a、86b、86cは、操舵部材のチューブ状の素材のPEEKチューブにポリマー素材を成形することで構成が可能である。中央を通る横断方向の直線状カット(スロット)が、拡張された部分の2つの半分の部分が互いへ移動し、すなわち崩れて、操舵部材受入開口部92a、92b、92cの狭い通路を通ることを可能にする。解放部材96a、96b、96c、96d、96e、96fは、ステンレススチールで製作されるのが望ましいチューブまたはワイヤで構成される。解放部材は、PEEK操舵部材チューブの内部で低摩擦係数の作用を示す。遠位アンカー62は、金属素材で製作が可能で、または当業界で公知のようなポリマーまたは硬いプラスチック素材で製作が可能である。
【0027】
前述のような先端部捕捉メカニズムを解放部材受入開口部、例えば、92a、92b、92cを遠位アンカー62内に設けたものとして記載する一方で、先端部捕捉メカニズムは、操舵部材が通るスプライン(例えば、90a、90b、90c)内の貫通穴が、操舵部材を受け入れてロックするよう拡大されたキャビティ(例えば逆円錐形)を有して構成されるように構成してもよい。そのような実施形態では、解放部材はスプラインを越えて伸び、なお近位ステントグラフトのクラウンを捕捉しうるが、そのような捕捉の配置は、この実施形態では遠位アンカーとしてはたらくスプラインを越えた遠位捕捉スペース内になるであろう。この実施形態では、捕捉スペースは近位先端部捕捉スペースを持つものとして記載しうる。
【0028】
スプラインと貫通穴の使用を前述したが、スプラインのような配列を用いた他の配列は、操舵部材および解放部材を遠位アンカーへ誘導するカテーテルシャフトとサイドフックの使用を含みうる。それも、より大きい製造および設計の柔軟性を可能にするため使用してもよい。
【0029】
前述の実施形態で、遠位アンカーに関連してコレットのようなチューブ拡張可能部材の使用を記述したが、当業界に公知のように、1つが遠位アンカー内で解放可能な機械的妨害をする拡大されたロック部分を有する、並列したチューブまたはワイヤのあらゆる類似の構成が使用可能である。唯一の基準は、チューブワイヤまたはチューブのような要素が、両方がそれらの解放を妨げるよう相互に作用する拡張可能な部分を有する場合で並列して使用されるケースがありうるので、操舵部材のロックを外すのに必要とされる解放部材の構成が、容易におよびスムーズに引くことができ曲がり角でつかまる原因とならないよう、一般的に統一した直径または横断面でなければならないことであろう。
【0030】
多数の操舵および解放部材の操作で、ハンドル内での種々のワイヤおよびチューブの個別のまたは同調した移動が必要となる。先に述べたハンドル70を、詳細に記載する。配置されるステントグラフトの近位スプリングのおよそ半分またはそれより少ないクラウンの最初の部分的解放の後、カテーテルの遠位端部から近位またはハンドル端部への単純な引き動作がある。引きメカニズムは単純な直線状に引く動作であり、3本の引きワイヤ、すなわち、解放部材96d、96e、96fは、1つの引きプレート74または個々の解放部材引きタブ76a、76b、76cに接合してもよい。そのようなプレートおよびタブは、図13A、図13B、および図14に示される。
【0031】
カテーテルの操舵はそれぞれの操舵部材に個々に印加される張力を必要とするので、それぞれの操舵部材が、自身の、医師の所望に応じてカテーテルの端部に影響して移動させる作用力の印加ポイントを有する必要がある。操舵部材が張力下にある時間中、本実施形態では、ロックされた端部操舵ワイヤを用いてカテーテル操舵が行えるよう、操舵部材内(の中核において)にある解放部材は、そのロックされた(前方)ポジションを維持しなければならない。図9Aは、操舵部材および解放部材に接合された操舵部材および解放部材ハンドル要素を示す。操舵部材、例えば、88a、88b、88cは、操舵部材制御シリンダ71および操舵タブ72に固定される。操舵部材制御シリンダ71内およびそれに対して同軸の入れ子または同軸のスライドを有しおよび構成されて、解放部材制御要素98と制御タブ99は、操舵部材制御シリンダ71と同軸に配列される。
【0032】
この2点の入れ子および同軸配列は、図9Bに示されている。制御タブ99は、操舵部材および解放部材の両方が同時におよび同調した動作で移動する必要がある場合そうするように、操舵タブ72に近接および後方に位置して示される。
【0033】
図10A、図10B、図11A、図11B、および図11Cに示されるハンドル筐体100は、送達カテーテル(システム)40の近位端部の共用ハンドル70を保持しおよび接続する筐体を提供する。
【0034】
操舵タブおよび制御タブに対する操舵部材の操作を、図10A〜図12Cに示されるような側面図および端面図を参照して記載する。医師が送達カテーテル40の端部の操舵または横方向の移動をしたいとき、操舵部材内で操舵タブ72および制御タブ99の両方を近位で押し、図10Bの矢印78、および図11Aおよび図12Aに示すようにそれらを近くで移動することで得られる張力を発生させる必要がある。医師がロックされた操舵部材を解放するまたはロックを解除する準備ができたとき、それぞれの操舵部材に関連する解放部材を後退させる必要があり、周回スロット82内の操舵部材制御シリンダ71に関連する制御タブ99に力を加えることにより、解放部材制御要素98の回転が可能になる。制御タブ99を用いることで、解放部材制御要素98が図11Bおよび図12Bの矢印81に示すように、ロックを解除するスロット(長手方向)の位置へ回転されるとき、図11Cの矢印83に示す方向に制御タブ99の端部へ加えられた力を用いて、解放部材制御要素98の制御タブはロック解除スロット84に沿って後退させることが可能である。制御タブ99がロック解除スロット84の遠位端部に到達すると、制御タブ99のさらなる移動でスロットの端部と係合し、同時に操舵部材制御シリンダ71の近位方向への近位運動をも起こす。操舵部材制御シリンダ71の近位移動は、前述のように、近位スプリング60のクラウンの解放を引き起こす。
【0035】
前述の実施形態において、3つの操舵部材(例えば、92a、92b、92c)および6つの解放部材(例えば、96a、96b、96c、96d、96e、96f)を述べ記載した。6つの解放部材が周囲に均一に分散し、3つの操舵部材が同様に均等に分散することが対称的に好都合であるが、奇数のステントクラウンが使用される場合、近位スプリングで5つのクラウンが使用される構成において、操舵可能な送達カテーテルの操舵機能へ3つの張力を与える部材を提供する3つの操舵部材があり、一方、2つのクラウンが早くまたは部分的解放が可能となるよう、カテーテルの操舵機能を保持することが重要であろう。当業者は、最も効率的に目的を果たす操舵および解放部材の数を決定するであろう。いくつかの操舵可能なカテーテルでは、カテーテルを回転させて1つの操舵部材のみを使用することが好都合であるが、直径が長いカテーテルでは、周りの血管壁構造との摩擦抵抗の可能性があり、カテーテルの回転は困難でありうるので、勧められない。それで、大きなフレンチサイズのカテーテル(>18Fr)が使用される通常のステントグラフトでは、その3つの操舵部材の最小限を使用するよう求められるであろう。
【0036】
図13Aおよび図13Bは、端面図にそれぞれの操舵タブ72および制御タブ99が示される、3つの操舵部材制御シリンダおよびそれらの関連するハンドル筐体100’の構成を示す。この構成は、操舵部材のロックまたはロック解除に寄与しない3つの解放部材を同時に引く/後退させる引きプレートとしてはたらく、単一の3アーム(ヨーク)プレート74を示す。
【0037】
図14に示されるような他の構成では、操舵部材のロックまたはロック解除に寄与しない3つの解放部材は、引きタブ76a、76b、76cで個々に操作が可能である。ハンドル筐体(例えば、100(100’))は、例えば、図3Aおよび図3Bに見られるように、操舵部材がカテーテルシャフトを曲げるため引っ張られおよび解放されるとき、軸引張および圧縮力が操舵部材によりシャフトに沿って伝達されおよび対向されるよう、カテーテルシャフト80に接合される。
【0038】
前述の実施形態によるステントグラフトの送達方法は、治療箇所でのカテーテルの位置決め、対称的配置の可能性を向上するための治療箇所でのカテーテルの横方向の操作、ステントグラフトの近位端部周辺に均等に分散した近位スプリングのおよそ半分のクラウンの配置、およびさらにステントグラフトの近位端部でスプリングの以前に配置されていないクラウンの配置を含む。そこでは、操作のステップは、解放可能な操舵部材の操作を含んでもよい。そこでは、およそ半分のクラウンの配置のステップは、クラウン捕捉位置からクラウン解放位置への解放部材の移動を含んでもよい。そこでは、以前に配置されていないクラウンの配置のステップは、ロック位置から解放位置への操舵部材解放ワイヤの移動、およびクラウン捕捉位置からクラウン解放位置への操舵部材の移動を含んでもよい。そこでは、操作のステップは、少なくとも2つ以上の解放可能な操舵部材の1つ、少なくとも3つの解放可能な操舵部材の1つ、または少なくとも4つの解放可能な操舵部材の1つの操作を含んでもよい。
【0039】
形態および詳細において、記載された実施形態の趣旨および範囲から逸脱することなく、種々の変更がなされうることが、関連分野の当業者に明らかになるであろう。本明細書で述べたそれぞれの実施形態および本明細書で引用されたそれぞれの参照文献のそれぞれの特徴は、あらゆる他の実施形態の特徴と組み合わせて使用が可能であることも解る。本明細書で述べた特許および刊行物は、本明細書にその全体が参照により組み込まれる。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3A】
【図3B】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端部および遠位端部を有し、前記遠位端部が遠位アンカーを有するカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトに沿って前記遠位アンカーから前記カテーテルシャフトの前記近位端部のハンドルへ伸びる操舵部材と、
前記カテーテルシャフトに沿って、前記遠位アンカーから前記カテーテルシャフトの前記近位端部の前記ハンドルへ伸びる解放部材と、を備え、
ロック位置の前記解放部材が、前記操舵部材の遠位端部が前記遠位アンカー内の操舵部材開口部から分離するのを妨げるため設けられた遠位端部を有し、操舵部材解放要素が解放位置に移動されるとき、前記操舵部材の前記遠位端部が前記遠位アンカーから分離するのを妨げられない、
ことを特徴とする補綴物送達カテーテル。
【請求項2】
前記遠位アンカーが操舵部材受入開口部を有し、
前記操舵部材解放要素が解放位置に移動されるとき、前記操舵部材の前記遠位端部が前記遠位アンカー内の前記操舵部材開口部から分離するのを妨げられない、
請求項1に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項3】
前記操舵部材および前記解放部材が、前記カテーテルシャフトと、前記遠位アンカーと、スプラインと、前記操舵部材および前記解放部材の少なくとも1つとの間の近位捕捉空間内の腔内補綴物要素を捕捉する前記スプラインを通って伸びる、
請求項2に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項4】
前記スプラインが、中に、前記操舵部材および前記解放部材の少なくとも1つが通るように構成された貫通穴を有する、
請求項3に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項5】
前記スプラインが、前記近位捕捉空間から、前記操舵部材および前記解放部材の少なくとも1つの解放を妨げる少なくとも1つのサイドフックを有する、
請求項3に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項6】
前記腔内補綴物要素が、近位スプリング要素を有する、
請求項3に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項7】
前記腔内補綴物要素が、ステントの部分である、
請求項6に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項8】
前記腔内補綴物要素が、ステントグラフトの部分である、
請求項6に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項9】
前記操舵部材がチューブである、
請求項3に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項10】
操舵部材チューブが、遠位端部において拡張可能なロック要素を有する、
請求項9に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項11】
前記解放部材が、ワイヤまたはチューブである、
請求項10に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項12】
前記ワイヤまたはチューブが前記操舵部材チューブの前記拡張可能なロック要素内に位置決めされるものとして前記解放部材が構成されるときに前記ロック位置が生成され、前記ワイヤまたはチューブが前記操舵部材チューブの前記拡張可能なロック要素内に位置決めされないものとして前記解放部材が構成されるときに前記解放位置が生成される、
請求項11に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項13】
前記ワイヤまたはチューブが拡大端部ロック部を有する、
請求項11に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項14】
前記操舵部材がワイヤである、
請求項3に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項15】
前記ワイヤが拡大端部を有する、
請求項14に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項16】
前記解放部材がワイヤである、
請求項15に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項17】
前記ワイヤが拡大端部ロック部を有する、
請求項16に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項18】
前記遠位アンカーを越えて伸びる前記カテーテルシャフトと前記解放部材の間の遠位捕捉空間内で腔内補綴物要素を捕捉するバリアとしてはたらくため、前記解放部材が前記遠位アンカーを越えて伸びる、
請求項1に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項19】
前記遠位アンカーが、中に前記操舵部材が固定され、かつ周りに前記遠位捕捉空間から伸びる前記腔内補綴物要素の部分の位置決めが可能であるリブとして構成される、
請求項18に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項20】
前記腔内補綴物要素が、近位スプリング要素を有する、
請求項19に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項21】
前記操舵部材がチューブであり、
操舵部材チューブが自身の遠位端部において拡張可能なロック要素を有し、
前記解放部材がワイヤまたはチューブであり、
前記ワイヤまたはチューブが前記操舵部材チューブの前記拡張可能なロック要素内に位置決めされるものとして前記解放部材が構成されるときに前記ロック位置が生成され、前記ワイヤまたはチューブが前記操舵部材チューブの前記拡張可能なロック要素内に位置決めされないものとして前記解放部材が構成されるときに前記解放位置が生成される、
請求項19に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項22】
治療箇所でカテーテルを位置決めするステップと、
対称的配置の可能性を向上するため治療箇所で前記カテーテルを横方向に操作するステップと、
ステントグラフトの近位端部周辺に均等に分散したスプリングのおよそ半分のクラウンを配置するステップと、
ステントグラフトの近位端部でスプリングの以前に配置されていないクラウンを配置するステップとを含み、
前記操作のステップは解放可能な操舵部材の操作を含み、前記およそ半分のクラウンの配置のステップは、クラウン捕捉位置からクラウン解放位置への解放部材の移動を含み、前記以前に配置されていないクラウンの配置のステップは、ロック位置から解放位置への操舵部材解放ワイヤの移動、およびクラウン捕捉位置からクラウン解放位置への操舵部材の移動を含む、
ステントグラフトの送達方法。
【請求項23】
前記操作のステップが、少なくとも2つ以上の解放可能な操舵部材の1つの操作を含む、
請求項22に記載のステントグラフトの送達方法。
【請求項24】
前記操作のステップが、少なくとも3つの解放可能な操舵部材の1つの操作を含む、
請求項22に記載のステントグラフトの送達方法。
【請求項25】
前記操作のステップが、少なくとも4つの解放可能な操舵部材の1つの操作を含む、
請求項22に記載のステントグラフトの送達方法。
【請求項1】
近位端部および遠位端部を有し、前記遠位端部が遠位アンカーを有するカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトに沿って前記遠位アンカーから前記カテーテルシャフトの前記近位端部のハンドルへ伸びる操舵部材と、
前記カテーテルシャフトに沿って、前記遠位アンカーから前記カテーテルシャフトの前記近位端部の前記ハンドルへ伸びる解放部材と、を備え、
ロック位置の前記解放部材が、前記操舵部材の遠位端部が前記遠位アンカー内の操舵部材開口部から分離するのを妨げるため設けられた遠位端部を有し、操舵部材解放要素が解放位置に移動されるとき、前記操舵部材の前記遠位端部が前記遠位アンカーから分離するのを妨げられない、
ことを特徴とする補綴物送達カテーテル。
【請求項2】
前記遠位アンカーが操舵部材受入開口部を有し、
前記操舵部材解放要素が解放位置に移動されるとき、前記操舵部材の前記遠位端部が前記遠位アンカー内の前記操舵部材開口部から分離するのを妨げられない、
請求項1に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項3】
前記操舵部材および前記解放部材が、前記カテーテルシャフトと、前記遠位アンカーと、スプラインと、前記操舵部材および前記解放部材の少なくとも1つとの間の近位捕捉空間内の腔内補綴物要素を捕捉する前記スプラインを通って伸びる、
請求項2に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項4】
前記スプラインが、中に、前記操舵部材および前記解放部材の少なくとも1つが通るように構成された貫通穴を有する、
請求項3に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項5】
前記スプラインが、前記近位捕捉空間から、前記操舵部材および前記解放部材の少なくとも1つの解放を妨げる少なくとも1つのサイドフックを有する、
請求項3に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項6】
前記腔内補綴物要素が、近位スプリング要素を有する、
請求項3に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項7】
前記腔内補綴物要素が、ステントの部分である、
請求項6に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項8】
前記腔内補綴物要素が、ステントグラフトの部分である、
請求項6に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項9】
前記操舵部材がチューブである、
請求項3に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項10】
操舵部材チューブが、遠位端部において拡張可能なロック要素を有する、
請求項9に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項11】
前記解放部材が、ワイヤまたはチューブである、
請求項10に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項12】
前記ワイヤまたはチューブが前記操舵部材チューブの前記拡張可能なロック要素内に位置決めされるものとして前記解放部材が構成されるときに前記ロック位置が生成され、前記ワイヤまたはチューブが前記操舵部材チューブの前記拡張可能なロック要素内に位置決めされないものとして前記解放部材が構成されるときに前記解放位置が生成される、
請求項11に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項13】
前記ワイヤまたはチューブが拡大端部ロック部を有する、
請求項11に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項14】
前記操舵部材がワイヤである、
請求項3に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項15】
前記ワイヤが拡大端部を有する、
請求項14に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項16】
前記解放部材がワイヤである、
請求項15に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項17】
前記ワイヤが拡大端部ロック部を有する、
請求項16に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項18】
前記遠位アンカーを越えて伸びる前記カテーテルシャフトと前記解放部材の間の遠位捕捉空間内で腔内補綴物要素を捕捉するバリアとしてはたらくため、前記解放部材が前記遠位アンカーを越えて伸びる、
請求項1に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項19】
前記遠位アンカーが、中に前記操舵部材が固定され、かつ周りに前記遠位捕捉空間から伸びる前記腔内補綴物要素の部分の位置決めが可能であるリブとして構成される、
請求項18に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項20】
前記腔内補綴物要素が、近位スプリング要素を有する、
請求項19に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項21】
前記操舵部材がチューブであり、
操舵部材チューブが自身の遠位端部において拡張可能なロック要素を有し、
前記解放部材がワイヤまたはチューブであり、
前記ワイヤまたはチューブが前記操舵部材チューブの前記拡張可能なロック要素内に位置決めされるものとして前記解放部材が構成されるときに前記ロック位置が生成され、前記ワイヤまたはチューブが前記操舵部材チューブの前記拡張可能なロック要素内に位置決めされないものとして前記解放部材が構成されるときに前記解放位置が生成される、
請求項19に記載の補綴物送達カテーテル。
【請求項22】
治療箇所でカテーテルを位置決めするステップと、
対称的配置の可能性を向上するため治療箇所で前記カテーテルを横方向に操作するステップと、
ステントグラフトの近位端部周辺に均等に分散したスプリングのおよそ半分のクラウンを配置するステップと、
ステントグラフトの近位端部でスプリングの以前に配置されていないクラウンを配置するステップとを含み、
前記操作のステップは解放可能な操舵部材の操作を含み、前記およそ半分のクラウンの配置のステップは、クラウン捕捉位置からクラウン解放位置への解放部材の移動を含み、前記以前に配置されていないクラウンの配置のステップは、ロック位置から解放位置への操舵部材解放ワイヤの移動、およびクラウン捕捉位置からクラウン解放位置への操舵部材の移動を含む、
ステントグラフトの送達方法。
【請求項23】
前記操作のステップが、少なくとも2つ以上の解放可能な操舵部材の1つの操作を含む、
請求項22に記載のステントグラフトの送達方法。
【請求項24】
前記操作のステップが、少なくとも3つの解放可能な操舵部材の1つの操作を含む、
請求項22に記載のステントグラフトの送達方法。
【請求項25】
前記操作のステップが、少なくとも4つの解放可能な操舵部材の1つの操作を含む、
請求項22に記載のステントグラフトの送達方法。
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【公表番号】特表2012−524608(P2012−524608A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507238(P2012−507238)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【国際出願番号】PCT/US2010/029499
【国際公開番号】WO2010/123664
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(511126109)メドトロニック ヴァスキュラー インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【国際出願番号】PCT/US2010/029499
【国際公開番号】WO2010/123664
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(511126109)メドトロニック ヴァスキュラー インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】
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