説明

擬似微細気泡を含む飲料とその製造方法

【課題】
実際の微細気泡を飲料に入れることなく、飲料に微細気泡を含んでいる感覚を付与することを目的とし、且つ、量販店や自動販売機での販売を可能とするために、製造工程における殺菌工程を経てもその効果を維持できる飲料を提供することを目的とする。
【解決手段】
金属イオンを供給する塩類と金属イオンと反応してゲル化する多糖類を反応させて微細なゲルを調製し、その微細なゲルを飲料に添加することによって上記課題を解決できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料に関し、特に実際には微細気泡を含んでいないにもかかわらず、微細気泡を含んでいるような感覚が得られる飲料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カプチーノ、キャラメルラテ、抹茶ラテ等のコーヒー飲料、またミックスジュースやスムージーの様な果実と乳製品をミキサーで混合した飲料等は、泡の感覚を楽しむ飲料として人気がある。これらの飲料は、主に店頭で注文をしてから直ぐに飲み終えるようなスタイルが多く、スーパーマーケット、コンビニエンスストアの量販店や自動販売機で販売される飲料の場合、泡を保った状態の飲料を提供することは極めて困難である。
【0003】
泡を楽しむことの出来る飲料は、起泡剤等を配合し商品化されているものもあるが、飲む前に強く振り、泡立てる必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、実際に泡を飲料に入れることなしに、飲料に微細気泡を含んでいる感覚を付与することを目的とするものであり、且つ、量販店や自動販売機での販売を可能とするために、製造工程における殺菌工程を経てもその効果を維持できる飲料を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意検討を行った結果、金属イオンを供給する塩類と金属イオンと反応してゲル化する多糖類を反応させて微細なゲルを調製し、その微細なゲルを飲料に添加することによって微細気泡を含んでいないにもかかわらず、微細気泡を含んでいるような感覚が得られる飲料を製造することができるという知見を得た。さらにこの微細なゲルは一般的な飲料の殺菌温度では溶融しない耐熱性を持つことから、量販店や自動販売機で販売が可能な飲料が製造できることを見出した。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、従来の技術では製造が不可能であった、常温流通が可能な微細気泡の感覚を模倣した飲料を製造できることにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明において微細なゲルを調製するためのゲル化剤としては、LMペクチン、アルギン酸、ジェランガム等の金属イオンと反応し、耐熱性のあるゲルを形成する多糖類が適している。
【0008】
本発明において微細なゲルを調製するためには、上記多糖類を0.05〜5.0重量%含有、好ましくは、0.5〜2.0重量%含有するが、この使用量は本発明の範囲を制限するものではない。
【0009】
本発明では、他の多糖類を併用することも出来る。多糖類としては、HMペクチン、カラギナン、グァーガム、タラガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、寒天、デンプン等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0010】
本発明における微細なゲルの調製には、金属イオンを添加するが、二価の金属イオンが好ましく、特にカルシウムイオンが好ましい。使用するカルシウム塩としては、乳酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム等が上げられるが、特に限定されるものではない。
【0011】
本発明における微細なゲルには、本発明の効果を損なわない範囲で、砂糖、水飴、液糖等の糖質、アスパルテーム、スクラロース、アスセルファムカリウム等の甘味料、色素、香料、酸味料、保存料、ビタミン類等を適宜、添加することが出来る。
【実施例】
【0012】
次に本発明の擬似微細気泡を含む飲料についてココアミルクドリンクの実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらによって、何ら限定されるものではない。
【0013】
(1)微細なゲルの調製
LMペクチンを0.9重量%、砂糖4.25重量%、ココア1.25重量%、インスタントコーヒー0.25重量%を予め混合しておき、約80℃の湯35.85重量%にプロペラ等で攪拌しながら、分散、溶解した。次に乳酸カルシウム0.25重量%、ココア1.25重量%、インスタントコーヒー0.25重量%、砂糖4.25重量%を予め混合しておき、約80℃の湯36.50重量%にプロペラ等で攪拌しながら、分散、溶解した。次にペクチンを含む溶液をプロペラ攪拌機等で激しく攪拌しながら、カルシウムを含む溶液を徐々に添加し、滑らかなペースト状になるまで攪拌した。さらに脱脂粉乳3.0重量%、砂糖1.50重量%を水10.50重量%
に溶解したものを加え、微細なゲルを調製した。
(2)擬似微細気泡を含むココアミルクドリンクの調製
脱脂粉乳3.0重量%、ココア2.5重量%、インスタントコーヒー0.5重量%、砂糖10.0重量%、カッパカラギナン0.025重量%を予め混合しておき、83.98重量%の水に分散した後、湯浴中で85℃まで攪拌、冷却してココアミルクドリンクを調製した。次に調製した微細なゲル7部に対し、ココアミルクドリンクを3部混合したものを容器に充填後、殺菌した。得られた飲料は、実際には微細気泡を含んでいないにもかかわらず、微細気泡を含んだ感覚が得られる飲料であった。
【産業上の利用の可能性】
【0014】
本発明により、従来の技術では困難であった常温流通が可能な微細気泡の感覚を模倣した飲料の製造が可能となった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属イオンと金属イオンと反応してゲル化する多糖類を反応させてできる微細なゲルを各種飲料に混合することによって、実際には微細気泡を含んでいないにもかかわらず、微細気泡を含んでいるような感覚が得られることを特徴とする飲料。
【請求項2】
金属イオンと反応してゲル化する多糖類を0.05〜5.0%含有する請求項1記載の飲料。
【請求項3】
金属イオンを供給する塩類を含有する請求項1記載の飲料。

【公開番号】特開2011−182665(P2011−182665A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49010(P2010−49010)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000176095)三晶株式会社 (12)
【Fターム(参考)】