擬似3次元画像を作成する表示装置
本発明は、3次元対象物を2次元表面に記録し表示する際、その空間様相を強化する表示装置を提供する。本発明に基づく表示装置は、ピラミッド状部と表示手段(801)とを備える。このピラミッド状部は半透明な部分的反射面(1501−1504)を有する。前記表示手段は、前記ピラミッド状部の面(1501−1504)にて反射される画像を提供する。各角度の画像を記録し本発明に基づく表示装置にそれを表示する方法も提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば表示目的としてまたは設計目的としてあるいは監視システムの表示部として使用する表示装置を提供する。
【0002】
背景技術
様々な分野において2次元(2D)表面に対象物を表示する際、その表示する対象物をできるだけ自然に表示することが求められる。そのような2D表面の一例は液晶表示装置である。自然な印象を与える上で極めて有用な仕組みは、対象物を回転させながらその画像を記録し、そのようにして記録した画像を液晶表示装置に表示することである。このような表示方法を取ると、観察者の脳は対象物の空間様相を知覚しやすい。
【0003】
米国特許第6,356,397号は、三角ミラーで形成したピラミッドであってパノラマシステムで使用するものを開示している。カメラで各ミラーを記録し、パノラマ画像を得る。カメラに代えて投影機等の画像処理装置を使用できると記載されている。
【0004】
発明の概要
本発明の目的は、1以上の2次元表面における3次元物体の表示を強化できる表示装置を提供することである。また本発明の目的は、観察者が直感できるような方法で所定場所をいくつかの角度から表示可能な表示装置を提供することである。
【0005】
本明細書において「基本ピラモイド」とは、固体の半透明ピラミッド形状であってミラー面と呼ぶ複数の三角面とピラモイド基部と呼ぶ基部とを有するものを指す用語である。本明細書において「ミラー面」とは、前記基本ピラモイドのミラー特性を有する面を指す用語である。すなわち光をほとんどあるいは全く拡散することなく反射できる面である。
【0006】
本明細書において「半透明」とは一般的な意味で使用する用語である。動作的に定義すれば、半透明物質とは白色光に対して少なくとも部分的に透明な物質である。
【0007】
前記基本ピラモイドは、半透明であってその面が部分的に反射性である物質から構成するか、あるいは複数のそのような物質の合成物から構成する。
【0008】
本明細書において「表示ピラモイド」とは基本ピラモイドから得られる構造であり、基本ピラモイドそれ自体か、あるいは基本ピラモイドの変形であって1以上の空洞を有するものである。
【0009】
なおこの定義は、表示ピラモイドの作成を特定の方法に限定するものではない。例えば基本ピラモイド自体を変更して表示ピラモイドを作成する等の方法に限定するものではない。基本ピラモイドの概念は、表示ピラモイドがどのようなものかを示す一助である。一実施例において、表示ピラモイドはいくつかの半透明平面ミラーをピラミッド状に接続して形成する。これらミラーは例えばエラストマスリーブ等の組み立て手段で接続するか、固着するか、または接着する。このような構成は図5Bに概略を示す。
【0010】
表示ピラモイドの基面は、該表示ピラモイドを形成する基本ピラモイドのピラモイド基面に平行な面である。
【0011】
本発明の第1態様が提供する表示装置は、
基本ピラモイドからなる少なくとも部分的に半透明な表示ピラモイドであってピラモイド基面と少なくとも3枚(その数をnとする)の表示ピラモイドミラー面とを有するものと、
1以上の画像表示面からなる表示手段であって該1以上の画像表示面からの放射光が前記表示ピラモイドミラー面の1以上の少なくとも一部に直接到達し得るように各画像表示面を配置したものとを備える。
【0012】
この種類の表示装置は、少なくとも部分的に半透明であって反射面を有する表示ピラモイドと、ピラモイドミラー面の1以上に光を直接放射可能な1以上の画像表示面とを備える。前記表示ピラモイドはその半透明性により、観察者が該表示ピラモイドの内部を見ることができ、それと同時に少なくとも1つの表示面に表示した画像の少なくとも一部からの反射を見ることができる。
【0013】
米国特許第6,356,397号が開示するパノラマシステムの欠点は、ミラーが半透明でないことである。そのためミラーへの画像の投影は、前記効果を生まない。また米国特許第6,356,397号は、前記ミラーへ画像を投影する投影機を開示する。この投影は、観察者に見える画像を形成しないため、本発明が意図する効果を生み出さない。投影機は光線を発生し、スクリーン等の画像形成面を照らす時にのみ画像を形成する。
【0014】
前記表示ピラモイドと前記表示手段とは、機械的手段によって直接接続しても良い。または前記表示ピラモイドと前記表示手段とは、分離手段を介して配置しても良い。
【0015】
前記表示手段は、所定画像情報を表示するための少なくとも1つの表示スクリーンまたは画像形成面を備える。観察者は、その表示スクリーンまたは画像形成面に画像を見ることができる。一方、投影機は所定画像情報を放射するが、観察者に画像情報を直接見せるための画像形成面を必要とする。
【0016】
表示装置における前記1以上の表示面の少なくとも1つでの画像を、前記表示ピラモイドのミラー面またはその一部において適切に反射するため、前記1以上の表示面は前記表示ピラモイドから適切な距離内に置かねばならない。ただし基本的にはどのような距離でも動作可能である。前記1以上の表示面のいずれかにおけるいずれかの点から前記表示ピラモイド上のいずれかの点までの最長距離は、前記表示ピラモイドを構成する基本ピラモイドの最長辺の3倍以下が合理的である。本発明の一実施例において、前記最長距離は前記最長辺の2倍以上である。また最長距離の許容最小値は最長辺の3/2である。ただし多くの実際例においてこの最長距離は短か過ぎる。
【0017】
前記条件は、前記1以上の表示面の合計サイズを制限すると共に、前記1以上の表示面を配置する際の前記表示ピラモイドからの距離を決定する。これにより前記表示ピラモイドと1以上の表示面とを組み合わせ、適切な単一体または単一配置を形成する。
【0018】
各表示面は平面または非平面でよい。本発明の第1態様に記載の通り、本発明の一実施例に基づく表示面のいずれの点も、該実施例のピラモイドミラー面の少なくとも1つにおける少なくとも一部へ光を直接放射できねばならない。液晶ディスプレイ、コンピュータモニタ、およびテレビは、実質的に平らな表示面を持つ。布を使用して平らな表示面を形成しても良い。平らな表示面は、自然な方法で画像を簡単に再生できる。そのような画像はデジタルカメラやフィルムカメラ等の従来の撮像手段で記録するため、平らな表示面を必要とする。
【0019】
いくつかの小型表示面を結合して合成表示面を形成することも有用である。例えば2x2配列の液晶ディスプレイ配列は、大型の単一液晶ディスプレイの実際的な代用となる。小型ディスプレイは取り扱いが容易であり、1つが故障しても比較的簡単に交換できる。
【0020】
一実施例において、前記表示手段は例えば液晶ディスプレイが提供するような単一の表示平面を有する。この表示平面はいかなる形状でもよく、例えば4:3方形、16:9方形、1:1方形、またはある種の楕円形である。
【0021】
表示装置における前記1以上の表示面の位置によって、該表示装置をある視点から観察した時、2以上の反射が重なることがある。このような反射の重なりを最小にするか解消するため、表示ピラモイドミラーの縁に遮光部を設ける。1つの遮光部は、隣接する2つのミラー面の問題を最小にできる。ミラー面の数と同数の遮光部を使用すれば、全ての隣接するミラー面間の反射を最小にするか解消できる。
【0022】
遮光部はピラモイドの各縁に1つずつ配置できる。これら遮光部の形状および配置は、前記1以上の表示面をn個の画像区画に分割して各画像区画が1個のピラモイドミラー面のみに光を伝達するようにする。
【0023】
より広義には、1以上の表示ピラモイドの縁に1以上の遮光部を配置し、各遮光部の形状および配置は、前記1以上の表示面の一部からの光が最大n−1個の表示ピラモイドミラー面に到達できるようにする。
【0024】
本発明の一実施例は非対称である。そのような実施例の場合、観察者は表示画像よりも表示装置そのものに気を取られてしまうことがある。それを防ぐため、前記1以上の表示面は表示ピラモイドの基部に実質的に平行であることが好ましい。また全てのミラー面はピラモイドの基部に対して同一角度を形成することが好ましい。この角度は多くの場合45度であることが好ましい。場合によっては20度から70度、例えば30度から60度、40度から50度が好ましい。
【0025】
表示ピラモイドは1以上の空洞を含むことができる。一実施例において、表示ピラモイドは薄い壁面を有してほとんど空洞である。
【0026】
表示ピラモイドのミラー面は穴を含むことができる。ミラー面はそのカバー率によって特徴付けることができる。ミラー面のカバー率は、そのミラー面の面積を、該表示ピラモイドを形成する基本ピラモイドのミラー面面積で割った値である。基本ピラモイドのミラー面に1個の穴を開けることによって表示ピラモイドを形成した場合、その穴の合計面積が前記基本ピラモイドの対応ミラー面の面積の40%であれば、該表示ピラモイドのミラー面のカバー率は0.6である。なぜなら基本ピラモイドにおけるミラー面の60%が表示ピラモイドに残っているからである。
【0027】
一実施例において、各表示ピラモイド面は少なくとも1/6のカバー率を有する。このカバー率は例えば少なくとも1/5、少なくとも1/4、少なくとも1/3、少なくとも1/2、少なくとも3/4、少なくとも4/5、少なくとも9/10、あるいは1である。
【0028】
1未満のカバー率はいくつかの利点を提供する。観察者は、表示ピラモイドの半透明性によりその内部を見ることができる。1以上のミラー面が1未満のカバー率を有するような表示装置の場合、表示ピラモイド内部の視認度および/または表示ピラモイド内に存在する物体や人物の視認度が向上する。ピラモイド内部で音声を発生しその音声を外部で聞けるようにする場合、1以上の穴や穴の配列は内部からの音の放出を助ける。
【0029】
表示ピラモイドの1以上の穴が表示ピラモイドの内部空洞に接続する場合、表示手段は表示ピラモイド内部やそこに存在する物体や人物の少なくとも一部を照明できる。ピラモイド内部に照明手段を設置し、それを表示手段を介して制御できる。ピラモイド内部を照明するために精巧な照明構造を使用しても良い。
【0030】
表示ピラモイドにおけるミラー面のカバー率を下げると極めて良好な効果を生み出せるが、0.25未満のカバー率は例えば三角形のミラー面の寸法を2分の1以下にしたものに対応するので観察者を混乱させる。
【0031】
部分的に空洞化したピラモイドの内部を照明する手段は、表示ピラモイド内部に物体があってその照明が不十分な時、有用である。表示ピラモイドのミラー面は半透明であるため、ピラモイド内部からの光を部分的に吸収する。照明を提供すれば、表示ピラモイド内部の物体の視認度を向上できる。
【0032】
表示ピラモイド内部の物体や人物が表示ピラモイド外部への音声を提供する場合、表示ピラモイド内部にマイクロフォン手段を内蔵するか、あるいは実質的にその音声を捕捉するようにマイクロフォン手段を配置することが好ましい。マイクロフォン手段は、1以上の面における穴の補助手段として使ったり、表示ピラモイド内部からの音声を外部で聞くための専用手段として使うことができる。
【0033】
音声を再生するためのスピーカ手段を内蔵することも有用である。このようなスピーカ手段は、例えば前記1以上の表示面の少なくとも1つに取り付けたりそこに内蔵できる。あるいは表示ピラモイドに取り付けても良い。またはスピーカ手段を本発明の一実施例の一部としてではなく提供しても良い。
【0034】
本発明の他の態様は、ある場所からの静止画または動画を再生する方法を提供する。この方法は、
ある場所について1以上の角度から画像記録を作成し、
本発明に基づく表示装置を使用して前記各角度の画像記録の少なくとも1つを表示する各段階を備える。
【0035】
本発明のさらに他の態様は、ある場所からの音声と静止画または動画とを再生する方法を提供する。この方法は、
ある場所について1以上の角度から画像記録および音声記録を作成し、
本発明に基づく表示装置の1以上の表示面に前記各角度の画像記録の少なくとも1つを表示し、前記表示装置がスピーカ手段を備える場合には該表示装置のスピーカ手段から音声を再生し、あるいは前記表示装置の一部ではなく提供するスピーカ手段から音声を再生する各段階を備える。
【0036】
各角度の画像記録は、前記表示ピラモイドを有する前記1以上の表示面を介して再生する。各角度の音声記録は、前記スピーカ手段を介して再生する。
【0037】
本発明の他の態様は、前記各段階に加え、前記表示ピラミッド内部のマイクロフォン手段によって録音した音声を前記スピーカ手段によって再生する段階を含む。前記スピーカ手段は、前記表示装置に内蔵するか、それとは別に提供することができる。
【0038】
前記表示装置は、前記表示手段に接続した画像プロセッサをさらに備えることができる。この画像プロセッサは、前記1以上の表示面に表示する画像を作成する。
【0039】
図面の詳細な説明
本発明は表示装置を提供する。この装置により観察者は、単一の2次元表示面を直接見る場合よりもさらに効率的に視覚情報を処理できる。このことは、観察者に提供する情報の重要部分が光景、事象、および対象物の空間様相である場合に特に意義がある。
【0040】
図1は、4つの面を有する基本ピラモイド101を概略的に示す。この基本ピラモイドは、ピラモイドミラー面102〜105とピラモイド基部106とピラモイド頂点107とピラモイド縁108〜111とを有する。n個の面を有する基本ピラモイドは、n個のピラモイドミラー面102とn個のピラモイド縁とn個の辺を有するピラモイド基部とを有する。基本ピラモイドは固体であり、いかなる材料あるいはいかなる材料の合成で構成しても構わない。図1のピラモイドミラー面は全て同一サイズであり、各ミラー面はピラモイド基部に対して45度の角度を作る。
【0041】
図2は、3つのミラー面を有する基本ピラモイド201を示す。全てのピラモイドミラー面は等しく、各ミラー面はピラモイド基部に対して45度の角度をなす。3つの等しいミラー面を有する表示ピラモイドは、本発明に基づく表示装置の一部として有用である。
【0042】
図3は、4つのミラー面を有する基本ピラモイド301を示す。少なくとも2つのミラー面は等しくない。本発明に基づく表示装置の表示ピラモイド部として使用した場合、この構成は対称性を欠くことで観察者を楽しませるであろう。各面がピラモイド基部に対して形成する角度は等しくない。そのため基本ピラモイド301における1以上のミラー面は、ピラモイド基面に平行でない方向に光を向かわせる。このため表示対象の空間様相が混乱する。
【0043】
図4は、3つのミラー面を有する基本ピラモイド401を示す。少なくとも2つのミラー面は等しくない。本発明に基づく表示装置の表示ピラモイド部として使用した場合、この構成は対称性を欠くことで観察者を楽しませるであろう。各面がピラモイド基部に対して形成する角度は等しくない。そのため基本ピラモイド401における1以上のミラー面は、ピラモイド基面に平行でない方向に光を向かわせる。このため表示対象の空間様相が混乱する。
【0044】
図5Aは、ほとんど空洞であって薄い壁面を有する表示ピラモイドを示す。全てのミラー面502〜505は表示ピラモイド基部に対して45度の角度をなす。
【0045】
図5Bは、図5Aの表示ピラモイドの分解図である。
【0046】
図6は、図5Aと同様の表示ピラモイドを示す。3つのミラー面は、内部空洞に接続した穴601〜603を含む。このような穴は表示ピラモイド内部に存在する物体の視認性を高めるとともに、ピラモイド内部の音声が外に出るのを助ける。穴601〜603は一例に過ぎず、穴の形状、特徴、提供形態等の好適例や限定例を示すものではない。
【0047】
図7は、図5Aと同様の表示ピラモイドを示す。全てのミラー面702〜705の頂部は欠けており、平らな頂部を形成している。これは特定の場合に有用な変形である。このような頂面を使用すれば、液晶ディスプレイ等の剛性ディスプレイ面を表示ピラモイド上に安定させることで表示装置を形成できる。
【0048】
図8は、本発明に基づく表示装置であって、図5Aと同様の表示ピラモイドと、単一表示面801を持った表示手段とを備える。表示面801は液晶ディスプレイでも良い。図の線と矢印は、光が表示面から放射され、ミラー面によって反射されることを示している。位置802〜805のいずれかにいる観察者は、1つのミラー面を正面に見ることができ、そのミラー面の上方に位置する表示面の一部が表示する画像を見ることができる。視角は図に示した線に限定されず極めて広いものであり、表示面からミラー面に至りそこから反射を介して前方へ進む任意の経路をたどることで理解できる。
【0049】
図8および他の図は表示面を半透明に描く。表示面が液晶ディスプレイのような表示スクリーンである場合、その表示面は一般に半透明ではない。表示面が背面投影用の布である場合、表示面は半透明であろう。表示面が半透明な図を使う理由は、重要部分を明示するためである。
【0050】
一実施例において、1以上の表示面はピラモイド基部面に平行な面に配置し、表示ピラモイドを形成する基本ピラモイドのピラモイド頂点に対応する点に交差させる。各辺が同一でありかつピラモイド基部面に対して45度の角度をなすような表示ピラモイドにおいては、表示対象物は該表示ピラモイドの中心に表示される。
【0051】
図9は、本発明に基づく表示装置であって、図5Aと同様の表示ピラモイドと、4つの独立表示面901〜904を持った表示手段とを備える。大型合成表示面は、例えばいくつかの小型液晶ディスプレイを結合することによって形成できる。いくつかの小型ディスプレイを使用することは極めて実際的な方法である。しかしながら表示面間のインタフェースには画像を表示できない。これは多くの場合好ましくないか、あるいは少なくとも不便である。しかしながら多くの場合深刻な問題ではない。
【0052】
図10は、図8と同様の表示装置であって4つの遮光部1001〜1004をさらに備える。遮光部は観察者の目に不要な反射が入るのを防ぐ。従って遮光部の追加は望ましい変更であることが多い。
【0053】
図11は、本発明の一実施例を示し、表示手段は画像形成面1101である。この実施例は遮光部1103〜1106をさらに備える。画像形成面には投影機1102によって背後から投影を行う。表示ピラモイドが大型の場合、例えばピラモイド基部が3mx3mである場合、液晶ディスプレイ等の表示面は実際的でない。そのような場合、図11の構成はより実際的な解決策である。
【0054】
図12は、例えば図10のような表示装置において、表示面801に4つの同一画像1201〜1204を表示したところを示す。図13は、図10の表示装置の表示面に図12の画像を表示したところを示す。位置802〜805にいる4人の観察者は、同一画像を表示装置に見ることになり、その表示画像について意見を交わすことができる。これは画像を見ると同時に対面で意見を交わす場合、有用な構成である。この方法は、4人が同一スクリーンを見たあと、互いに向き合い、それから意見を交わす方法とは対照的である。この構成の他の特徴は、2つの隣接する表示スクリーン部からの表示画像が、ピラモイド基部面の対角線に沿った方向から見た時、なめらかに結合することである。この効果は、隣接ミラー面に同一画像を表示することが必要である。この構成は、観察者が動きながら表示装置を見る時、対象物を良好に表示できるので有利である。
【0055】
例えば位置803から画像1301を見る観察者は、表示対象物が表示ピラモイドの内部に置かれているように感じる。焦点は、画像1301用のミラー面上方にある表示面部にあって、そのミラー面自体にはない。ミラー面は半透明であるため、観察者はピラモイド内部を見ることができる。すなわちミラー面を観察する観察者は、表示ピラモイド内部を見ると同時にミラー面の上方にある表示スクリーン部に表示される画像の反射を見る。表示スクリーン上の画像は表示ピラモイド内部の情景と結合するので、観察者は表示対象物が表示ピラモイド内部に置かれた物理的物体のように強く感じる傾向がある。この表示装置は、2次元ディスプレイが提供する2次元画像を擬似3次元(擬似3D)画像に変換する。これは、対象物の「ルックアンドフィール」が大切な要素である全ての設定において重要な機能である。例えば実演、プレゼンテーション、販売促進等の設定において重要である。
【0056】
本装置のこの特徴は、対象物が表示ピラモイド内部に置かれた物理的物体であるという感覚を著しく強める。表示面上の画像を輪郭線で分離すると、擬似3D感覚はさらに強まる。画像を分離するには切り抜き技術を使うことができる。単色背景と共に画像を記録し、コンピュータ処理等の後編集によってその背景を除去してから黒で置き換えることができる。液晶ディスプレイにおいて背景は黒となり、対象物だけを見ることができる。
【0057】
対象物を動的に回転することでさらなる空間様相を追加できる。観察者の脳は、対象物を回転表示すると、対象物の2D画像情報から3D画像を作り出す。この特性を本発明にも採用する。いずれの態様においても表示面上の画像は静止画でも動画でも構わない。
【0058】
本発明は前記したような特別の空間様相を提供するため、設計処理用表示装置として非常に有用である。ユーザは、表示装置上の物体に対してより緊密な関係を得られる。これは設計処理において極めて重要なことが多い。対象物が実体であるという感覚は、ユーザの創造性を刺激する設計環境を作り出す。現在、コンピュータディスプレイや紙等の2D表面上で設計する物体は、いわゆるモックアップとして物理的に実体化し、設計者が設計対象物を実際に体験できるようにすることが多い。モックアップの製作は一般にコストがかかる。なぜなら設計の各段階で原型製作が必要となるからである。本発明は、モックアップで得られるのと同じような対象物の理解をユーザに与えられる。しかもユーザはモックアップを実際に製作する必要はない。図14は例えば図10の表示装置の表示面801に画像1401〜1404を表示した図である。画像1401〜1404は90度間隔の4つの異なる角度から対象物を記録したものである。図15は図10の表示装置の表示面に図14の画像を表示した図である。観察者はこの表示装置の周囲を歩くことで、本発明が提供する擬似3D体験に加え、対象物の特別レイアウトによる空間様相を体験する。これは前記設計処理においてモックアップ製作の代替を提供する。1人以上の人間、例えば4人の人間が表示装置の別々のミラー面を観察し、それぞれの体験を語り合うことができる。これは設計において対象物の構成的特性を話し合うための有用な道具を提供する。これは基本的に、観察者が別々の角度から対象物のモックアップを見ている状況と同じである。前記切り抜き技術を使用することで、3次元感覚をさらに強化できる。ミラー面1501〜1504は画像1401〜1404をそれぞれ反射する。
【0059】
図16は大型表示装置を示し、図11に示した画像形成表示面1101と、各々が穴を有するミラー面1601〜1604と、マイクロフォン手段1610と、スピーカ手段1621〜1624と、照明手段1630とを備え、人物1640がいる。投影機を提供して画像形成表示面を照明し、ミラー面1601〜1604に反射する画像を提供する。表示ピラモイド内の人物1640は、半透明ミラー面を通して見える。各穴は特別の視認性を提供する。照明手段1630は、人物を照明するために使用できる。マイクロフォン手段は、その人物が喋ることを全て録音するために使用できる。位置803〜805のいずれかにいる観察者は、人物とミラー面に反射する画像との両方を観察できる。位置802に近い観察者は、わずかに左へ移動すれば人物1640とミラー面1604の反射との両方を見ることができる。実演、プレゼンテーション、販売促進の設定において、このような人物と反射画像との組み合わせは非常に強力な方法で使用できる。人物は観察者の目になって表示面に表示した画像と対話できる。例えばその人物は図16に示すように自動車を示しそれについて語ることができる。人物の声はスピーカ手段1621〜1624によって再生できる。他の音源からの音もスピーカ手段を通して提供できる。これは例えばスピーカ手段に接続した再生装置から再生する音楽である。
【0060】
図17は場所1701における4つの画像および/または音声レコーダ1702〜1705を示す。図17の場所は、建物、駐車場、遊び場、レクリエーション区域を含む。この場所を遠隔観察し、その場所の例えば犯罪を防止する。レコーダ1702〜1705の各カメラは、別々の角度からその場所の画像を記録する。その画像記録を図18に示す。画像1802はカメラ1702での記録、画像1803はカメラ1703での記録であり、以下同様である。レコーダ1702〜1705は同時に各角度からの音声を記録することもできる。
【0061】
図19は図10の表示面801に図18の各角度の画像記録を配置した図である。領域1902は図18の1802を表示し、領域1903は1803を表示する。以下同様である。図20は図10と同様の表示装置の表示面に図19の画像を表示した図である。図18の画像1802はミラー面2002に反射し、図18の画像1803はミラー面2003に反射する。以下同様である。この表示装置の周囲を移動すれば、例えば位置802〜805を移動すれば、観察者は場所1701を直感的に調査できる。これは、壁面に並べた4つのスクリーンに各角度の画像を表示する設定とは対照的である。観察者がある場所における動きを判断し認識しようとする時、空間様相は重要である。記録装置1702〜1705による各角度の音声記録は、スピーカ手段2006〜2009によって再生し、場所1701の遠隔調査に現実性をさらに追加できる。
【0062】
ミラー面は半透明であるため、表示ピラモイド内部の物体は外から見ることができる。観察者は表示画像とピラモイド内部の事象とを観察できる。この方法を使用すれば、場所1701等の場所に対象物を導入した場合、どのように見えるかを直接的で安価なやり方で視覚化できる。この方法を調査に使用すれば、樹木等の物体の導入がカメラ1702〜1705から見た場合どのような視覚効果を与えるかを調べることができる。
【0063】
前記場所はサッカー場のようなスポーツ競技場でも良い。前記表示装置は、観察者にその場所で行われている例えばサッカー試合にいるような臨場感を与える。なぜなら観察者は直感的な方法で異なる角度からその試合の周囲を移動し見ることができるからである。スピーカ手段2006〜2009が再生する音声は各角度からの画像記録に対応させ、例えば位置802〜805のいずれか等の所定位置にいる観察者が画像と音声との正しい組み合わせを体験できるようにする。
【0064】
図21は図11と同様の表示装置をベースとしたプレゼンテーションスタンド2100の実際的な設計例を示す。図21において、図11の投影機はスタンド2100に折りたたんで空間を節約している。これにより極めて小型のプレゼンテーションスタンドとなっている。投影機2102からの光線2107はミラー2103で反射し、プレゼンテーションスタンド2100の表示ピラモイドの頂部2106(穴)を通り抜ける。2104は表示ピラモイドのミラー面を示す。この表示ピラモイドはスタンド2105上に設置する。光2107はミラー2108で反射し、画像形成面2101に画像を形成し、表示ピラモイドのミラー面2104はその画像を反射する。画像形成面2101は例えば布製である。
【0065】
1以上の場所を調査する場合、それに対応する数の表示装置を含む構成とすれば、各場所における事象の処理に有効なばかりでなく、各場所間の空間関係を処理するためにも有効である。これら表示装置の相互配置は、各場所の実際配置に空間的に等しくする。観察者は、各表示ピラモイドの周囲を移動することにより、対応する場所の状況を観察できる。対象物や人物が第1場所から第2場所に移動した場合、観察者は、第1場所を示すピラモイドから第2場所を示すピラモイドへ移動することで、その対象物または人物を実際の空間で追うように追うことができる。これにより観察者は、調査対象区域での全体の動きをよりよく理解できる。
【0066】
この表示装置はコンピュータゲームの表示装置としても有用である。4人のゲームプレーヤは表示装置の周りに座り、各々の角度からアクションを観察できる。この設定が提供する親近感は、各プレーヤが共通の画像を観察していなくとも、著しい緊張感と臨場感とを提供できる。スピーカ手段を一体化しても良い。あるいは、スピーカやヘッドセットのように外部スピーカでも良い。
【0067】
建物サイズの実施例は住宅や商業の目的に使用できる。このような実施例では表示装置を上下逆に設置すると良い。すなわちピラモイド基部を上方に置き、表示面を下方に置き、光を表示ピラモイドのミラー面に向けて上方に放射する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】4つのミラー面を有する基本ピラモイドを示す。全てのピラモイドミラー面は等しく、各ミラー面はピラモイド基部に対して45度の角度をなす。
【図2】3つのミラー面を有する基本ピラモイドを示す。全てのピラモイドミラー面は等しく、各ミラー面はピラモイド基部に対して45度の角度をなす。
【図3】4つのミラー面を有する基本ピラモイドを示す。少なくとも2つのミラー面は等しくない。
【図4】3つのミラー面を有する基本ピラモイドを示す。少なくとも2つのミラー面は等しくない。
【図5A】ほとんど空洞であって薄い壁面を有する表示ピラモイドを示す。
【図5B】図5Aの表示ピラモイドの分解図である。
【図6】図5Aと同様の表示ピラモイドであって3つのミラー面が内部空洞に接続する穴を含む。
【図7】図5Aと同様の表示ピラモイドであって全てのミラー面の頂部が欠けている。
【図8】本発明に基づく表示装置であって、図5Aと同様の表示ピラモイドと、単一表示面を持った表示手段とを備える。
【図9】本発明に基づく表示装置であって、図5Aと同様の表示ピラモイドと、4つの独立表示面を持った表示手段とを備える。
【図10】図8と同様の表示装置であって4つの遮光部をさらに備える。
【図11】図8と同様の本発明実施例を示し、表示手段は画像形成面であり投影機によって背後から投影を行う。
【図12】図10と同様の表示装置の表示面に4つの同一画像を配置した図である。
【図13】図10の表示装置の表示面に図12の画像を表示した図である。
【図14】図10と同様の表示装置の表示面に異なる4つの画像を配置した図である。
【図15】図10の表示装置の表示面に図14の画像を表示した図である。
【図16】大型表示装置を示し、画像形成表示面と、スピーカ手段と、ミラー面と、マイクロフォン手段と、照明手段とを備え、表示ピラモイド内部に人がいる。画像形成表示面には投影機によって背後から投影を行う。
【図17】ある場所における4つの画像音声レコーダを示す。
【図18】図17の場所において4つの画像レコーダによって記録した各角度の画像記録を示す。
【図19】図10と同様の表示装置の表示面に図18の各角度の画像記録を表示した図である。
【図20】図10と同様の表示装置の表示面に図19の画像を表示した図である。
【図21】本発明に基づく表示装置をベースとしたプレゼンテーションスタンドの実際的な設計例を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば表示目的としてまたは設計目的としてあるいは監視システムの表示部として使用する表示装置を提供する。
【0002】
背景技術
様々な分野において2次元(2D)表面に対象物を表示する際、その表示する対象物をできるだけ自然に表示することが求められる。そのような2D表面の一例は液晶表示装置である。自然な印象を与える上で極めて有用な仕組みは、対象物を回転させながらその画像を記録し、そのようにして記録した画像を液晶表示装置に表示することである。このような表示方法を取ると、観察者の脳は対象物の空間様相を知覚しやすい。
【0003】
米国特許第6,356,397号は、三角ミラーで形成したピラミッドであってパノラマシステムで使用するものを開示している。カメラで各ミラーを記録し、パノラマ画像を得る。カメラに代えて投影機等の画像処理装置を使用できると記載されている。
【0004】
発明の概要
本発明の目的は、1以上の2次元表面における3次元物体の表示を強化できる表示装置を提供することである。また本発明の目的は、観察者が直感できるような方法で所定場所をいくつかの角度から表示可能な表示装置を提供することである。
【0005】
本明細書において「基本ピラモイド」とは、固体の半透明ピラミッド形状であってミラー面と呼ぶ複数の三角面とピラモイド基部と呼ぶ基部とを有するものを指す用語である。本明細書において「ミラー面」とは、前記基本ピラモイドのミラー特性を有する面を指す用語である。すなわち光をほとんどあるいは全く拡散することなく反射できる面である。
【0006】
本明細書において「半透明」とは一般的な意味で使用する用語である。動作的に定義すれば、半透明物質とは白色光に対して少なくとも部分的に透明な物質である。
【0007】
前記基本ピラモイドは、半透明であってその面が部分的に反射性である物質から構成するか、あるいは複数のそのような物質の合成物から構成する。
【0008】
本明細書において「表示ピラモイド」とは基本ピラモイドから得られる構造であり、基本ピラモイドそれ自体か、あるいは基本ピラモイドの変形であって1以上の空洞を有するものである。
【0009】
なおこの定義は、表示ピラモイドの作成を特定の方法に限定するものではない。例えば基本ピラモイド自体を変更して表示ピラモイドを作成する等の方法に限定するものではない。基本ピラモイドの概念は、表示ピラモイドがどのようなものかを示す一助である。一実施例において、表示ピラモイドはいくつかの半透明平面ミラーをピラミッド状に接続して形成する。これらミラーは例えばエラストマスリーブ等の組み立て手段で接続するか、固着するか、または接着する。このような構成は図5Bに概略を示す。
【0010】
表示ピラモイドの基面は、該表示ピラモイドを形成する基本ピラモイドのピラモイド基面に平行な面である。
【0011】
本発明の第1態様が提供する表示装置は、
基本ピラモイドからなる少なくとも部分的に半透明な表示ピラモイドであってピラモイド基面と少なくとも3枚(その数をnとする)の表示ピラモイドミラー面とを有するものと、
1以上の画像表示面からなる表示手段であって該1以上の画像表示面からの放射光が前記表示ピラモイドミラー面の1以上の少なくとも一部に直接到達し得るように各画像表示面を配置したものとを備える。
【0012】
この種類の表示装置は、少なくとも部分的に半透明であって反射面を有する表示ピラモイドと、ピラモイドミラー面の1以上に光を直接放射可能な1以上の画像表示面とを備える。前記表示ピラモイドはその半透明性により、観察者が該表示ピラモイドの内部を見ることができ、それと同時に少なくとも1つの表示面に表示した画像の少なくとも一部からの反射を見ることができる。
【0013】
米国特許第6,356,397号が開示するパノラマシステムの欠点は、ミラーが半透明でないことである。そのためミラーへの画像の投影は、前記効果を生まない。また米国特許第6,356,397号は、前記ミラーへ画像を投影する投影機を開示する。この投影は、観察者に見える画像を形成しないため、本発明が意図する効果を生み出さない。投影機は光線を発生し、スクリーン等の画像形成面を照らす時にのみ画像を形成する。
【0014】
前記表示ピラモイドと前記表示手段とは、機械的手段によって直接接続しても良い。または前記表示ピラモイドと前記表示手段とは、分離手段を介して配置しても良い。
【0015】
前記表示手段は、所定画像情報を表示するための少なくとも1つの表示スクリーンまたは画像形成面を備える。観察者は、その表示スクリーンまたは画像形成面に画像を見ることができる。一方、投影機は所定画像情報を放射するが、観察者に画像情報を直接見せるための画像形成面を必要とする。
【0016】
表示装置における前記1以上の表示面の少なくとも1つでの画像を、前記表示ピラモイドのミラー面またはその一部において適切に反射するため、前記1以上の表示面は前記表示ピラモイドから適切な距離内に置かねばならない。ただし基本的にはどのような距離でも動作可能である。前記1以上の表示面のいずれかにおけるいずれかの点から前記表示ピラモイド上のいずれかの点までの最長距離は、前記表示ピラモイドを構成する基本ピラモイドの最長辺の3倍以下が合理的である。本発明の一実施例において、前記最長距離は前記最長辺の2倍以上である。また最長距離の許容最小値は最長辺の3/2である。ただし多くの実際例においてこの最長距離は短か過ぎる。
【0017】
前記条件は、前記1以上の表示面の合計サイズを制限すると共に、前記1以上の表示面を配置する際の前記表示ピラモイドからの距離を決定する。これにより前記表示ピラモイドと1以上の表示面とを組み合わせ、適切な単一体または単一配置を形成する。
【0018】
各表示面は平面または非平面でよい。本発明の第1態様に記載の通り、本発明の一実施例に基づく表示面のいずれの点も、該実施例のピラモイドミラー面の少なくとも1つにおける少なくとも一部へ光を直接放射できねばならない。液晶ディスプレイ、コンピュータモニタ、およびテレビは、実質的に平らな表示面を持つ。布を使用して平らな表示面を形成しても良い。平らな表示面は、自然な方法で画像を簡単に再生できる。そのような画像はデジタルカメラやフィルムカメラ等の従来の撮像手段で記録するため、平らな表示面を必要とする。
【0019】
いくつかの小型表示面を結合して合成表示面を形成することも有用である。例えば2x2配列の液晶ディスプレイ配列は、大型の単一液晶ディスプレイの実際的な代用となる。小型ディスプレイは取り扱いが容易であり、1つが故障しても比較的簡単に交換できる。
【0020】
一実施例において、前記表示手段は例えば液晶ディスプレイが提供するような単一の表示平面を有する。この表示平面はいかなる形状でもよく、例えば4:3方形、16:9方形、1:1方形、またはある種の楕円形である。
【0021】
表示装置における前記1以上の表示面の位置によって、該表示装置をある視点から観察した時、2以上の反射が重なることがある。このような反射の重なりを最小にするか解消するため、表示ピラモイドミラーの縁に遮光部を設ける。1つの遮光部は、隣接する2つのミラー面の問題を最小にできる。ミラー面の数と同数の遮光部を使用すれば、全ての隣接するミラー面間の反射を最小にするか解消できる。
【0022】
遮光部はピラモイドの各縁に1つずつ配置できる。これら遮光部の形状および配置は、前記1以上の表示面をn個の画像区画に分割して各画像区画が1個のピラモイドミラー面のみに光を伝達するようにする。
【0023】
より広義には、1以上の表示ピラモイドの縁に1以上の遮光部を配置し、各遮光部の形状および配置は、前記1以上の表示面の一部からの光が最大n−1個の表示ピラモイドミラー面に到達できるようにする。
【0024】
本発明の一実施例は非対称である。そのような実施例の場合、観察者は表示画像よりも表示装置そのものに気を取られてしまうことがある。それを防ぐため、前記1以上の表示面は表示ピラモイドの基部に実質的に平行であることが好ましい。また全てのミラー面はピラモイドの基部に対して同一角度を形成することが好ましい。この角度は多くの場合45度であることが好ましい。場合によっては20度から70度、例えば30度から60度、40度から50度が好ましい。
【0025】
表示ピラモイドは1以上の空洞を含むことができる。一実施例において、表示ピラモイドは薄い壁面を有してほとんど空洞である。
【0026】
表示ピラモイドのミラー面は穴を含むことができる。ミラー面はそのカバー率によって特徴付けることができる。ミラー面のカバー率は、そのミラー面の面積を、該表示ピラモイドを形成する基本ピラモイドのミラー面面積で割った値である。基本ピラモイドのミラー面に1個の穴を開けることによって表示ピラモイドを形成した場合、その穴の合計面積が前記基本ピラモイドの対応ミラー面の面積の40%であれば、該表示ピラモイドのミラー面のカバー率は0.6である。なぜなら基本ピラモイドにおけるミラー面の60%が表示ピラモイドに残っているからである。
【0027】
一実施例において、各表示ピラモイド面は少なくとも1/6のカバー率を有する。このカバー率は例えば少なくとも1/5、少なくとも1/4、少なくとも1/3、少なくとも1/2、少なくとも3/4、少なくとも4/5、少なくとも9/10、あるいは1である。
【0028】
1未満のカバー率はいくつかの利点を提供する。観察者は、表示ピラモイドの半透明性によりその内部を見ることができる。1以上のミラー面が1未満のカバー率を有するような表示装置の場合、表示ピラモイド内部の視認度および/または表示ピラモイド内に存在する物体や人物の視認度が向上する。ピラモイド内部で音声を発生しその音声を外部で聞けるようにする場合、1以上の穴や穴の配列は内部からの音の放出を助ける。
【0029】
表示ピラモイドの1以上の穴が表示ピラモイドの内部空洞に接続する場合、表示手段は表示ピラモイド内部やそこに存在する物体や人物の少なくとも一部を照明できる。ピラモイド内部に照明手段を設置し、それを表示手段を介して制御できる。ピラモイド内部を照明するために精巧な照明構造を使用しても良い。
【0030】
表示ピラモイドにおけるミラー面のカバー率を下げると極めて良好な効果を生み出せるが、0.25未満のカバー率は例えば三角形のミラー面の寸法を2分の1以下にしたものに対応するので観察者を混乱させる。
【0031】
部分的に空洞化したピラモイドの内部を照明する手段は、表示ピラモイド内部に物体があってその照明が不十分な時、有用である。表示ピラモイドのミラー面は半透明であるため、ピラモイド内部からの光を部分的に吸収する。照明を提供すれば、表示ピラモイド内部の物体の視認度を向上できる。
【0032】
表示ピラモイド内部の物体や人物が表示ピラモイド外部への音声を提供する場合、表示ピラモイド内部にマイクロフォン手段を内蔵するか、あるいは実質的にその音声を捕捉するようにマイクロフォン手段を配置することが好ましい。マイクロフォン手段は、1以上の面における穴の補助手段として使ったり、表示ピラモイド内部からの音声を外部で聞くための専用手段として使うことができる。
【0033】
音声を再生するためのスピーカ手段を内蔵することも有用である。このようなスピーカ手段は、例えば前記1以上の表示面の少なくとも1つに取り付けたりそこに内蔵できる。あるいは表示ピラモイドに取り付けても良い。またはスピーカ手段を本発明の一実施例の一部としてではなく提供しても良い。
【0034】
本発明の他の態様は、ある場所からの静止画または動画を再生する方法を提供する。この方法は、
ある場所について1以上の角度から画像記録を作成し、
本発明に基づく表示装置を使用して前記各角度の画像記録の少なくとも1つを表示する各段階を備える。
【0035】
本発明のさらに他の態様は、ある場所からの音声と静止画または動画とを再生する方法を提供する。この方法は、
ある場所について1以上の角度から画像記録および音声記録を作成し、
本発明に基づく表示装置の1以上の表示面に前記各角度の画像記録の少なくとも1つを表示し、前記表示装置がスピーカ手段を備える場合には該表示装置のスピーカ手段から音声を再生し、あるいは前記表示装置の一部ではなく提供するスピーカ手段から音声を再生する各段階を備える。
【0036】
各角度の画像記録は、前記表示ピラモイドを有する前記1以上の表示面を介して再生する。各角度の音声記録は、前記スピーカ手段を介して再生する。
【0037】
本発明の他の態様は、前記各段階に加え、前記表示ピラミッド内部のマイクロフォン手段によって録音した音声を前記スピーカ手段によって再生する段階を含む。前記スピーカ手段は、前記表示装置に内蔵するか、それとは別に提供することができる。
【0038】
前記表示装置は、前記表示手段に接続した画像プロセッサをさらに備えることができる。この画像プロセッサは、前記1以上の表示面に表示する画像を作成する。
【0039】
図面の詳細な説明
本発明は表示装置を提供する。この装置により観察者は、単一の2次元表示面を直接見る場合よりもさらに効率的に視覚情報を処理できる。このことは、観察者に提供する情報の重要部分が光景、事象、および対象物の空間様相である場合に特に意義がある。
【0040】
図1は、4つの面を有する基本ピラモイド101を概略的に示す。この基本ピラモイドは、ピラモイドミラー面102〜105とピラモイド基部106とピラモイド頂点107とピラモイド縁108〜111とを有する。n個の面を有する基本ピラモイドは、n個のピラモイドミラー面102とn個のピラモイド縁とn個の辺を有するピラモイド基部とを有する。基本ピラモイドは固体であり、いかなる材料あるいはいかなる材料の合成で構成しても構わない。図1のピラモイドミラー面は全て同一サイズであり、各ミラー面はピラモイド基部に対して45度の角度を作る。
【0041】
図2は、3つのミラー面を有する基本ピラモイド201を示す。全てのピラモイドミラー面は等しく、各ミラー面はピラモイド基部に対して45度の角度をなす。3つの等しいミラー面を有する表示ピラモイドは、本発明に基づく表示装置の一部として有用である。
【0042】
図3は、4つのミラー面を有する基本ピラモイド301を示す。少なくとも2つのミラー面は等しくない。本発明に基づく表示装置の表示ピラモイド部として使用した場合、この構成は対称性を欠くことで観察者を楽しませるであろう。各面がピラモイド基部に対して形成する角度は等しくない。そのため基本ピラモイド301における1以上のミラー面は、ピラモイド基面に平行でない方向に光を向かわせる。このため表示対象の空間様相が混乱する。
【0043】
図4は、3つのミラー面を有する基本ピラモイド401を示す。少なくとも2つのミラー面は等しくない。本発明に基づく表示装置の表示ピラモイド部として使用した場合、この構成は対称性を欠くことで観察者を楽しませるであろう。各面がピラモイド基部に対して形成する角度は等しくない。そのため基本ピラモイド401における1以上のミラー面は、ピラモイド基面に平行でない方向に光を向かわせる。このため表示対象の空間様相が混乱する。
【0044】
図5Aは、ほとんど空洞であって薄い壁面を有する表示ピラモイドを示す。全てのミラー面502〜505は表示ピラモイド基部に対して45度の角度をなす。
【0045】
図5Bは、図5Aの表示ピラモイドの分解図である。
【0046】
図6は、図5Aと同様の表示ピラモイドを示す。3つのミラー面は、内部空洞に接続した穴601〜603を含む。このような穴は表示ピラモイド内部に存在する物体の視認性を高めるとともに、ピラモイド内部の音声が外に出るのを助ける。穴601〜603は一例に過ぎず、穴の形状、特徴、提供形態等の好適例や限定例を示すものではない。
【0047】
図7は、図5Aと同様の表示ピラモイドを示す。全てのミラー面702〜705の頂部は欠けており、平らな頂部を形成している。これは特定の場合に有用な変形である。このような頂面を使用すれば、液晶ディスプレイ等の剛性ディスプレイ面を表示ピラモイド上に安定させることで表示装置を形成できる。
【0048】
図8は、本発明に基づく表示装置であって、図5Aと同様の表示ピラモイドと、単一表示面801を持った表示手段とを備える。表示面801は液晶ディスプレイでも良い。図の線と矢印は、光が表示面から放射され、ミラー面によって反射されることを示している。位置802〜805のいずれかにいる観察者は、1つのミラー面を正面に見ることができ、そのミラー面の上方に位置する表示面の一部が表示する画像を見ることができる。視角は図に示した線に限定されず極めて広いものであり、表示面からミラー面に至りそこから反射を介して前方へ進む任意の経路をたどることで理解できる。
【0049】
図8および他の図は表示面を半透明に描く。表示面が液晶ディスプレイのような表示スクリーンである場合、その表示面は一般に半透明ではない。表示面が背面投影用の布である場合、表示面は半透明であろう。表示面が半透明な図を使う理由は、重要部分を明示するためである。
【0050】
一実施例において、1以上の表示面はピラモイド基部面に平行な面に配置し、表示ピラモイドを形成する基本ピラモイドのピラモイド頂点に対応する点に交差させる。各辺が同一でありかつピラモイド基部面に対して45度の角度をなすような表示ピラモイドにおいては、表示対象物は該表示ピラモイドの中心に表示される。
【0051】
図9は、本発明に基づく表示装置であって、図5Aと同様の表示ピラモイドと、4つの独立表示面901〜904を持った表示手段とを備える。大型合成表示面は、例えばいくつかの小型液晶ディスプレイを結合することによって形成できる。いくつかの小型ディスプレイを使用することは極めて実際的な方法である。しかしながら表示面間のインタフェースには画像を表示できない。これは多くの場合好ましくないか、あるいは少なくとも不便である。しかしながら多くの場合深刻な問題ではない。
【0052】
図10は、図8と同様の表示装置であって4つの遮光部1001〜1004をさらに備える。遮光部は観察者の目に不要な反射が入るのを防ぐ。従って遮光部の追加は望ましい変更であることが多い。
【0053】
図11は、本発明の一実施例を示し、表示手段は画像形成面1101である。この実施例は遮光部1103〜1106をさらに備える。画像形成面には投影機1102によって背後から投影を行う。表示ピラモイドが大型の場合、例えばピラモイド基部が3mx3mである場合、液晶ディスプレイ等の表示面は実際的でない。そのような場合、図11の構成はより実際的な解決策である。
【0054】
図12は、例えば図10のような表示装置において、表示面801に4つの同一画像1201〜1204を表示したところを示す。図13は、図10の表示装置の表示面に図12の画像を表示したところを示す。位置802〜805にいる4人の観察者は、同一画像を表示装置に見ることになり、その表示画像について意見を交わすことができる。これは画像を見ると同時に対面で意見を交わす場合、有用な構成である。この方法は、4人が同一スクリーンを見たあと、互いに向き合い、それから意見を交わす方法とは対照的である。この構成の他の特徴は、2つの隣接する表示スクリーン部からの表示画像が、ピラモイド基部面の対角線に沿った方向から見た時、なめらかに結合することである。この効果は、隣接ミラー面に同一画像を表示することが必要である。この構成は、観察者が動きながら表示装置を見る時、対象物を良好に表示できるので有利である。
【0055】
例えば位置803から画像1301を見る観察者は、表示対象物が表示ピラモイドの内部に置かれているように感じる。焦点は、画像1301用のミラー面上方にある表示面部にあって、そのミラー面自体にはない。ミラー面は半透明であるため、観察者はピラモイド内部を見ることができる。すなわちミラー面を観察する観察者は、表示ピラモイド内部を見ると同時にミラー面の上方にある表示スクリーン部に表示される画像の反射を見る。表示スクリーン上の画像は表示ピラモイド内部の情景と結合するので、観察者は表示対象物が表示ピラモイド内部に置かれた物理的物体のように強く感じる傾向がある。この表示装置は、2次元ディスプレイが提供する2次元画像を擬似3次元(擬似3D)画像に変換する。これは、対象物の「ルックアンドフィール」が大切な要素である全ての設定において重要な機能である。例えば実演、プレゼンテーション、販売促進等の設定において重要である。
【0056】
本装置のこの特徴は、対象物が表示ピラモイド内部に置かれた物理的物体であるという感覚を著しく強める。表示面上の画像を輪郭線で分離すると、擬似3D感覚はさらに強まる。画像を分離するには切り抜き技術を使うことができる。単色背景と共に画像を記録し、コンピュータ処理等の後編集によってその背景を除去してから黒で置き換えることができる。液晶ディスプレイにおいて背景は黒となり、対象物だけを見ることができる。
【0057】
対象物を動的に回転することでさらなる空間様相を追加できる。観察者の脳は、対象物を回転表示すると、対象物の2D画像情報から3D画像を作り出す。この特性を本発明にも採用する。いずれの態様においても表示面上の画像は静止画でも動画でも構わない。
【0058】
本発明は前記したような特別の空間様相を提供するため、設計処理用表示装置として非常に有用である。ユーザは、表示装置上の物体に対してより緊密な関係を得られる。これは設計処理において極めて重要なことが多い。対象物が実体であるという感覚は、ユーザの創造性を刺激する設計環境を作り出す。現在、コンピュータディスプレイや紙等の2D表面上で設計する物体は、いわゆるモックアップとして物理的に実体化し、設計者が設計対象物を実際に体験できるようにすることが多い。モックアップの製作は一般にコストがかかる。なぜなら設計の各段階で原型製作が必要となるからである。本発明は、モックアップで得られるのと同じような対象物の理解をユーザに与えられる。しかもユーザはモックアップを実際に製作する必要はない。図14は例えば図10の表示装置の表示面801に画像1401〜1404を表示した図である。画像1401〜1404は90度間隔の4つの異なる角度から対象物を記録したものである。図15は図10の表示装置の表示面に図14の画像を表示した図である。観察者はこの表示装置の周囲を歩くことで、本発明が提供する擬似3D体験に加え、対象物の特別レイアウトによる空間様相を体験する。これは前記設計処理においてモックアップ製作の代替を提供する。1人以上の人間、例えば4人の人間が表示装置の別々のミラー面を観察し、それぞれの体験を語り合うことができる。これは設計において対象物の構成的特性を話し合うための有用な道具を提供する。これは基本的に、観察者が別々の角度から対象物のモックアップを見ている状況と同じである。前記切り抜き技術を使用することで、3次元感覚をさらに強化できる。ミラー面1501〜1504は画像1401〜1404をそれぞれ反射する。
【0059】
図16は大型表示装置を示し、図11に示した画像形成表示面1101と、各々が穴を有するミラー面1601〜1604と、マイクロフォン手段1610と、スピーカ手段1621〜1624と、照明手段1630とを備え、人物1640がいる。投影機を提供して画像形成表示面を照明し、ミラー面1601〜1604に反射する画像を提供する。表示ピラモイド内の人物1640は、半透明ミラー面を通して見える。各穴は特別の視認性を提供する。照明手段1630は、人物を照明するために使用できる。マイクロフォン手段は、その人物が喋ることを全て録音するために使用できる。位置803〜805のいずれかにいる観察者は、人物とミラー面に反射する画像との両方を観察できる。位置802に近い観察者は、わずかに左へ移動すれば人物1640とミラー面1604の反射との両方を見ることができる。実演、プレゼンテーション、販売促進の設定において、このような人物と反射画像との組み合わせは非常に強力な方法で使用できる。人物は観察者の目になって表示面に表示した画像と対話できる。例えばその人物は図16に示すように自動車を示しそれについて語ることができる。人物の声はスピーカ手段1621〜1624によって再生できる。他の音源からの音もスピーカ手段を通して提供できる。これは例えばスピーカ手段に接続した再生装置から再生する音楽である。
【0060】
図17は場所1701における4つの画像および/または音声レコーダ1702〜1705を示す。図17の場所は、建物、駐車場、遊び場、レクリエーション区域を含む。この場所を遠隔観察し、その場所の例えば犯罪を防止する。レコーダ1702〜1705の各カメラは、別々の角度からその場所の画像を記録する。その画像記録を図18に示す。画像1802はカメラ1702での記録、画像1803はカメラ1703での記録であり、以下同様である。レコーダ1702〜1705は同時に各角度からの音声を記録することもできる。
【0061】
図19は図10の表示面801に図18の各角度の画像記録を配置した図である。領域1902は図18の1802を表示し、領域1903は1803を表示する。以下同様である。図20は図10と同様の表示装置の表示面に図19の画像を表示した図である。図18の画像1802はミラー面2002に反射し、図18の画像1803はミラー面2003に反射する。以下同様である。この表示装置の周囲を移動すれば、例えば位置802〜805を移動すれば、観察者は場所1701を直感的に調査できる。これは、壁面に並べた4つのスクリーンに各角度の画像を表示する設定とは対照的である。観察者がある場所における動きを判断し認識しようとする時、空間様相は重要である。記録装置1702〜1705による各角度の音声記録は、スピーカ手段2006〜2009によって再生し、場所1701の遠隔調査に現実性をさらに追加できる。
【0062】
ミラー面は半透明であるため、表示ピラモイド内部の物体は外から見ることができる。観察者は表示画像とピラモイド内部の事象とを観察できる。この方法を使用すれば、場所1701等の場所に対象物を導入した場合、どのように見えるかを直接的で安価なやり方で視覚化できる。この方法を調査に使用すれば、樹木等の物体の導入がカメラ1702〜1705から見た場合どのような視覚効果を与えるかを調べることができる。
【0063】
前記場所はサッカー場のようなスポーツ競技場でも良い。前記表示装置は、観察者にその場所で行われている例えばサッカー試合にいるような臨場感を与える。なぜなら観察者は直感的な方法で異なる角度からその試合の周囲を移動し見ることができるからである。スピーカ手段2006〜2009が再生する音声は各角度からの画像記録に対応させ、例えば位置802〜805のいずれか等の所定位置にいる観察者が画像と音声との正しい組み合わせを体験できるようにする。
【0064】
図21は図11と同様の表示装置をベースとしたプレゼンテーションスタンド2100の実際的な設計例を示す。図21において、図11の投影機はスタンド2100に折りたたんで空間を節約している。これにより極めて小型のプレゼンテーションスタンドとなっている。投影機2102からの光線2107はミラー2103で反射し、プレゼンテーションスタンド2100の表示ピラモイドの頂部2106(穴)を通り抜ける。2104は表示ピラモイドのミラー面を示す。この表示ピラモイドはスタンド2105上に設置する。光2107はミラー2108で反射し、画像形成面2101に画像を形成し、表示ピラモイドのミラー面2104はその画像を反射する。画像形成面2101は例えば布製である。
【0065】
1以上の場所を調査する場合、それに対応する数の表示装置を含む構成とすれば、各場所における事象の処理に有効なばかりでなく、各場所間の空間関係を処理するためにも有効である。これら表示装置の相互配置は、各場所の実際配置に空間的に等しくする。観察者は、各表示ピラモイドの周囲を移動することにより、対応する場所の状況を観察できる。対象物や人物が第1場所から第2場所に移動した場合、観察者は、第1場所を示すピラモイドから第2場所を示すピラモイドへ移動することで、その対象物または人物を実際の空間で追うように追うことができる。これにより観察者は、調査対象区域での全体の動きをよりよく理解できる。
【0066】
この表示装置はコンピュータゲームの表示装置としても有用である。4人のゲームプレーヤは表示装置の周りに座り、各々の角度からアクションを観察できる。この設定が提供する親近感は、各プレーヤが共通の画像を観察していなくとも、著しい緊張感と臨場感とを提供できる。スピーカ手段を一体化しても良い。あるいは、スピーカやヘッドセットのように外部スピーカでも良い。
【0067】
建物サイズの実施例は住宅や商業の目的に使用できる。このような実施例では表示装置を上下逆に設置すると良い。すなわちピラモイド基部を上方に置き、表示面を下方に置き、光を表示ピラモイドのミラー面に向けて上方に放射する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】4つのミラー面を有する基本ピラモイドを示す。全てのピラモイドミラー面は等しく、各ミラー面はピラモイド基部に対して45度の角度をなす。
【図2】3つのミラー面を有する基本ピラモイドを示す。全てのピラモイドミラー面は等しく、各ミラー面はピラモイド基部に対して45度の角度をなす。
【図3】4つのミラー面を有する基本ピラモイドを示す。少なくとも2つのミラー面は等しくない。
【図4】3つのミラー面を有する基本ピラモイドを示す。少なくとも2つのミラー面は等しくない。
【図5A】ほとんど空洞であって薄い壁面を有する表示ピラモイドを示す。
【図5B】図5Aの表示ピラモイドの分解図である。
【図6】図5Aと同様の表示ピラモイドであって3つのミラー面が内部空洞に接続する穴を含む。
【図7】図5Aと同様の表示ピラモイドであって全てのミラー面の頂部が欠けている。
【図8】本発明に基づく表示装置であって、図5Aと同様の表示ピラモイドと、単一表示面を持った表示手段とを備える。
【図9】本発明に基づく表示装置であって、図5Aと同様の表示ピラモイドと、4つの独立表示面を持った表示手段とを備える。
【図10】図8と同様の表示装置であって4つの遮光部をさらに備える。
【図11】図8と同様の本発明実施例を示し、表示手段は画像形成面であり投影機によって背後から投影を行う。
【図12】図10と同様の表示装置の表示面に4つの同一画像を配置した図である。
【図13】図10の表示装置の表示面に図12の画像を表示した図である。
【図14】図10と同様の表示装置の表示面に異なる4つの画像を配置した図である。
【図15】図10の表示装置の表示面に図14の画像を表示した図である。
【図16】大型表示装置を示し、画像形成表示面と、スピーカ手段と、ミラー面と、マイクロフォン手段と、照明手段とを備え、表示ピラモイド内部に人がいる。画像形成表示面には投影機によって背後から投影を行う。
【図17】ある場所における4つの画像音声レコーダを示す。
【図18】図17の場所において4つの画像レコーダによって記録した各角度の画像記録を示す。
【図19】図10と同様の表示装置の表示面に図18の各角度の画像記録を表示した図である。
【図20】図10と同様の表示装置の表示面に図19の画像を表示した図である。
【図21】本発明に基づく表示装置をベースとしたプレゼンテーションスタンドの実際的な設計例を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基本ピラモイドからなる少なくとも部分的に半透明な表示ピラモイドであってピラモイド基面と少なくとも3枚(その数をnとする)の表示ピラモイドミラー面とを有するものと、
1以上の画像表示面からなる表示手段であって該1以上の画像表示面からの放射光が前記表示ピラモイドミラー面の1以上の少なくとも一部に直接到達し得るように各画像表示面を配置したものとを備える表示装置。
【請求項2】
各表示ピラモイド面は少なくとも0.25のカバー率を有する、請求項1に基づく表示装置。
【請求項3】
いずれかの表示面のいずれかの点から前記表示ピラモイド上のいずれかの点までの最長距離は、前記基本ピラモイドの最長辺の2倍以下である、請求項1および2のいずれかに基づく表示装置。
【請求項4】
前記ピラモイドの各縁に1個の遮光部を配置し、これら遮光部の形状および配置は、前記1以上の表示面をn個の画像区画に分割して各画像区画が1個のピラモイド面のみに光を伝達できるようにした、請求項1〜3のいずれかに基づく表示装置。
【請求項5】
前記1以上の表示面は実質的に平面である、請求項1〜4のいずれかに基づく表示装置。
【請求項6】
前記1以上の表示面は共通面にある、請求項5に基づく表示装置。
【請求項7】
前記共通面は実質的に前記ピラモイド基面に平行である、請求項6に基づく表示装置。
【請求項8】
表示面は1つのみである、請求項1〜7のいずれかに基づく表示装置。
【請求項9】
全ての表示ピラモイドミラー面は同一サイズを有する、請求項1〜8のいずれかに基づく表示装置。
【請求項10】
前記表示ピラモイドは1以上の空洞を有する、請求項1〜9のいずれかに基づく表示装置。
【請求項11】
照明手段をさらに備える、請求項1〜10のいずれかに基づく表示装置。
【請求項12】
スピーカ手段をさらに備える、請求項1〜11のいずれかに基づく表示装置。
【請求項13】
マイクロフォン手段をさらに備える、請求項1〜12のいずれかに基づく表示装置。
【請求項14】
前記1以上の表示面の少なくとも1つに表示する画像を発生するため前記表示手段に接続した画像プロセッサをさらに備える、請求項1〜13のいずれかに基づく表示装置。
【請求項15】
ある場所について1以上の角度から画像記録を作成し、
請求項1〜14のいずれかに基づく表示装置を使用して前記各角度の画像記録の少なくとも1つを表示する各段階を備える、ある場所の静止画または動画を再生する方法。
【請求項16】
ある場所について1以上の角度から画像記録および音声記録を作成し、
請求項1〜14のいずれかに基づく表示装置の1以上の表示面に前記各角度の画像記録の少なくとも1つを表示し、前記表示装置がスピーカ手段を備える場合には該表示装置のスピーカ手段から音声を再生し、あるいは前記表示装置の一部ではなく提供するスピーカ手段から音声を再生する各段階を備える、ある場所の音声および静止画または動画を再生する方法。
【請求項17】
前記装置がマイクロフォン手段をさらに備え、該マイクロフォン手段を介して音声を記録し、前記スピーカ手段を介してその音声を再生する、請求項16に基づく方法。
【請求項18】
前記各角度の画像記録は前記1以上の表示面の別個の表示領域に表示し、前記装置は遮光部を含み、該遮光部の配置および形状は各表示領域からの放射光がただ1つの表示ピラモイドミラー面に直接到達できるようにした、請求項15〜17のいずれかに基づく方法。
【請求項1】
基本ピラモイドからなる少なくとも部分的に半透明な表示ピラモイドであってピラモイド基面と少なくとも3枚(その数をnとする)の表示ピラモイドミラー面とを有するものと、
1以上の画像表示面からなる表示手段であって該1以上の画像表示面からの放射光が前記表示ピラモイドミラー面の1以上の少なくとも一部に直接到達し得るように各画像表示面を配置したものとを備える表示装置。
【請求項2】
各表示ピラモイド面は少なくとも0.25のカバー率を有する、請求項1に基づく表示装置。
【請求項3】
いずれかの表示面のいずれかの点から前記表示ピラモイド上のいずれかの点までの最長距離は、前記基本ピラモイドの最長辺の2倍以下である、請求項1および2のいずれかに基づく表示装置。
【請求項4】
前記ピラモイドの各縁に1個の遮光部を配置し、これら遮光部の形状および配置は、前記1以上の表示面をn個の画像区画に分割して各画像区画が1個のピラモイド面のみに光を伝達できるようにした、請求項1〜3のいずれかに基づく表示装置。
【請求項5】
前記1以上の表示面は実質的に平面である、請求項1〜4のいずれかに基づく表示装置。
【請求項6】
前記1以上の表示面は共通面にある、請求項5に基づく表示装置。
【請求項7】
前記共通面は実質的に前記ピラモイド基面に平行である、請求項6に基づく表示装置。
【請求項8】
表示面は1つのみである、請求項1〜7のいずれかに基づく表示装置。
【請求項9】
全ての表示ピラモイドミラー面は同一サイズを有する、請求項1〜8のいずれかに基づく表示装置。
【請求項10】
前記表示ピラモイドは1以上の空洞を有する、請求項1〜9のいずれかに基づく表示装置。
【請求項11】
照明手段をさらに備える、請求項1〜10のいずれかに基づく表示装置。
【請求項12】
スピーカ手段をさらに備える、請求項1〜11のいずれかに基づく表示装置。
【請求項13】
マイクロフォン手段をさらに備える、請求項1〜12のいずれかに基づく表示装置。
【請求項14】
前記1以上の表示面の少なくとも1つに表示する画像を発生するため前記表示手段に接続した画像プロセッサをさらに備える、請求項1〜13のいずれかに基づく表示装置。
【請求項15】
ある場所について1以上の角度から画像記録を作成し、
請求項1〜14のいずれかに基づく表示装置を使用して前記各角度の画像記録の少なくとも1つを表示する各段階を備える、ある場所の静止画または動画を再生する方法。
【請求項16】
ある場所について1以上の角度から画像記録および音声記録を作成し、
請求項1〜14のいずれかに基づく表示装置の1以上の表示面に前記各角度の画像記録の少なくとも1つを表示し、前記表示装置がスピーカ手段を備える場合には該表示装置のスピーカ手段から音声を再生し、あるいは前記表示装置の一部ではなく提供するスピーカ手段から音声を再生する各段階を備える、ある場所の音声および静止画または動画を再生する方法。
【請求項17】
前記装置がマイクロフォン手段をさらに備え、該マイクロフォン手段を介して音声を記録し、前記スピーカ手段を介してその音声を再生する、請求項16に基づく方法。
【請求項18】
前記各角度の画像記録は前記1以上の表示面の別個の表示領域に表示し、前記装置は遮光部を含み、該遮光部の配置および形状は各表示領域からの放射光がただ1つの表示ピラモイドミラー面に直接到達できるようにした、請求項15〜17のいずれかに基づく方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公表番号】特表2008−525854(P2008−525854A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548696(P2007−548696)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際出願番号】PCT/DK2006/000041
【国際公開番号】WO2006/079341
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(507259671)
【氏名又は名称原語表記】Vizoo Invest ApS
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際出願番号】PCT/DK2006/000041
【国際公開番号】WO2006/079341
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(507259671)
【氏名又は名称原語表記】Vizoo Invest ApS
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]