説明

攪拌ボールミル

本発明は、攪拌ボールミル(1)に関する。攪拌ボールミル(1)は、粉砕チャンバ(5)と、撹拌器とを有する。前記撹拌器は、回転可能に取り付けられかつ駆動される撹拌器シャフト(6)と、撹拌器シャフト(6)上に配置された加速器(7、8、9)とを有する。前記加速器は、最遠位の下流に配置され、すなわち、前記加速器(9)は、前記粉砕材料出口(21)の最も近隣に位置し、軸方向に延長され、前記篩(23)の軸方向長さに沿って延びる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉砕チャンバを有する攪拌ボールミルに関する。前記攪拌ボールミルは、側壁と、各場合における入口側の1つの前壁および出口側の1つの前壁と、撹拌器と、粉砕材料および粉砕媒体用の入口と、粉砕材料出口とにより、境界付けられる。前記撹拌器は、前記粉砕チャンバ内に配置され、前記撹拌器は、回転可能に取り付けられかつ駆動される撹拌器シャフトと、前記撹拌器シャフト上に配置された加速器とを有する。前記粉砕材料および粉砕媒体用の入口は、前記入口側上の前壁の近隣に配置される。前記粉砕材料出口は、前記出口側の前壁内に配置され、篩によって前記粉砕チャンバから分離される。本発明はまた、前記攪拌ボールミルの粉砕材料出口の上流に配置された篩の目詰まりを防止する方法にも関し、前記方法は、前記粉砕材料入口から前記粉砕材料出口へと流れる粉砕材料および粉砕媒体の質量流量を前記篩の領域において屈折させ、前記流れ方向と反対方向に前記篩の外面に沿ってガイドすることを特徴とする。
【背景技術】
【0002】
この種の公知の攪拌ボールミルの場合、粉砕材料出口の上流に配置された篩の目詰まりが短時間の作動時間後に増加していき、これに伴い処理量が低下していき、最後には前記篩清掃のために作動を中断しなければならなくなるという、未だ満足に解決されていない深刻な問題がある。
【0003】
この問題を解消するために、篩の上流に分離器を配置するなど、構造面からの多様な解決法が提案されている。この方向における最近の開発技術の1つについて、例えばEP−751830中に記載がある。この開発技術の場合、前記篩の上流に配置された分離器および前記分離器の上流に加えて、粗粒子と微粒子との間のプレスクリーニングのための上流デバイスを配置する。このデバイスでは、この中間空間中の粉砕材料および粉砕媒体の混合物の加速が残りの粉砕チャンバ中の加速よりも高くなるように、撹拌器の最終ディスクと分離器との間の実質的距離を提供し、これにより、「プレスクリーニング」と呼ばれる分離が発生する。このようにして、前記篩に到達する粗粉砕媒体を低減またはゼロにすることが可能となる。
【0004】
しかし、この解決法を用いた場合でも、作動が長引くと、篩の目詰まりが最終的に発生し得る。よって、本発明の目的は、上記とは異なるより効果的な方法によって篩の目詰まりを防止することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、以下の構成により、上記目的が達成される。すなわち、最遠位の下流に配置された加速器(すなわち、粉砕材料出口の最近位に配置された加速器)が、軸方向に延長され、前記篩の軸方向長さに沿って下流に延びる。このような様態で、本発明によれば、粉砕材料入口から粉砕材料出口へと流れる粉砕材料および粉砕媒体の質量流量が前記篩の領域において屈折され、前記篩の外面に沿って前記流れ方向と反対方向にガイドされる。
【0006】
好適には、前記加速器は、ブレードホイールとして形成される。さらに、前記ブレードホイールのブレードは、最遠位の下流に配置され、前記篩の軸方向長さ全体にわたって延び、どんな場合においても、前記篩の長さの少なくとも半分にわたって延びる。
【0007】
本発明の好適な実施形態によれば、前記篩を環状に包囲する屈折管が、前記出口側の前壁内に配置される。デッドスペース低減のために、前記屈折管の形状は好適には、cを軸方向に垂直に半割りした形状に類似する。
【0008】
本発明の特定の実施形態によれば、出口側の前壁に向かう方向において、前記篩が円錐形に幅広状となる。
【0009】
本発明のさらなる好適な実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による攪拌ボールミルの、軸方向平面を通じた断面図である。
【図2】図1の攪拌ボールミルの平面A−Aに対して垂直な断面を示す。
【図3】本発明による攪拌ボールミルの別の実施形態を示す。
【図4】図3の攪拌ボールミルの平面A−Aにおいて軸に対して垂直な断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本記載において、ミルからの粉砕材料の方向(すなわち、粉砕材料入口下流から粉砕材料出口への方向)に対する上流および下流という用語は、設計特徴についても用いられる。粉砕材料の流れは、黒矢印によって示す。
【0012】
図1中の軸方向断面図に図示される攪拌ボールミル1は、ハウジングを有する。前記ハウジングは、円筒状側壁2と、入口側の平面前壁3と、出口側上の平面前壁4とを含む。前記側壁および前記前壁により、粉砕チャンバ5が規定される。前記粉砕チャンバ中において、撹拌器が前記ハウジング軸に対して同軸方向に配置され、前記撹拌器は、入口側の前壁内に回転可能に取り付けられた撹拌器シャフト6と、ブレードホイール7、8および9の形態の3つの加速器とからなる。ブレードホイール7、8および9は、前記撹拌器シャフト上に等距離に配置される。
【0013】
前記入口側および中央ブレードホイール8上のブレードホイール7は同一であり、中央ディスク10からなる。中央ディスク10は、撹拌器シャフト6に固定的に接続され、撹拌器シャフトの近隣に配置された軸方向に平行の穴11と、中央ディスクの両側に配置された環状ディスク12とを有する。環状ディスク12において、複数の羽根13がこれらのディスク間において等しい角距離において配置される。外側ディスク12は、撹拌器シャフト6の周囲において環状に延びる開口部14を有する。
【0014】
あるいは、これらのブレードホイールを異なる様態で構成してもよく、その場合、これらのブレードホイールは、例えば、2つの平行ディスクと、前記平行ディスク間に配置されたブレードとからなる。また、これらの穴11は、軸に対する角度において延びる。このようにして、粉砕媒体の圧縮に対する反作用が得られる。これらの穴は、スロット状に形成してもよい。
【0015】
出口側上に配置されるかまたはそれぞれ最遠位の下流に配置されたブレードホイール9はまた、中央ディスク15を有する。中央ディスク15は、撹拌器シャフト6に固定的に接続され、穴16’を有する。これらの穴16’は、軸方向に平行であるか、または、軸に対して角度を以て延び、出口側の撹拌器シャフト端部の近隣に配置される。粉砕チャンバに向かって、その他のブレードホイールと同様に、環状ディスク16が距離を以て配置され、複数の羽根17により中央ディスク15に接続される。中央ディスク15の他方側において、環状ディスク18もある。しかし、これは、前記中央ディスクからより遠位距離において、出口側の前壁の近隣に配置される。このような、軸に対して角度を以たより大きな遠位距離は、各中央ディスクからの横方向環状ディスクの距離の少なくとも2倍である。これら2つディスクの間にも、複数の羽根19が延びる。これらの羽根の形状を図2中に示す。図2は、図1中の線A−Aに沿った断面を示す。これらの羽根は、撹拌器シャフトに対してらせん形状に形成される(すなわち、半径方向に対して曲線状かつ角度オフセットされる)。
【0016】
入口側の前壁3において、入口管20が配置される。入口管20は、撹拌器シャフト6の近隣において開口して、粉砕チャンバ内へと繋がる。出口側の前壁4の中央において、出口管21が撹拌器シャフトと同軸方向に配置される。この出口管は、環状ギャップ22を介して粉砕チャンバへと接続され、前記粉砕チャンバと前記ギャップへの入り口との間において、篩23が配置される。篩23により、粉砕媒体および粗粉砕材料粒子が出口へと通過するのが防止される。
【0017】
さらに、出口側の前壁において、屈折管24を包囲する篩が設けられる。前記屈折管は、弓型形状の断面を有し、例えば、ほぼトロイド形状の環状くぼみとして前壁中に存在する。前記屈折管の最低領域が、羽根19の中央のほぼ反対側に配置される。前記屈折管の半径方向の外側縁部は、粉砕チャンバの外周に対応し、これにより、流線形の遷移が得られる。前記屈折管の形状および配置に起因して、デッドスペースが防止され、粉砕材料および粉砕媒体の流れが最適化される。
【0018】
また、前記加速器の間に、前記撹拌器シャフト上にディスクを配置することができ、これらのディスクにより、粉砕が不十分な粉砕材料が撹拌器シャフトに沿って流れるのが防止される。
【0019】
上記したように、前記攪拌ボールミルの構造部品とは別に、図1は質量流量も示す。黒矢印25は、生成された質量流量(すなわち、粉砕媒体を含まない粉砕材料)を示す。線で描いた矢印26は、粉砕チャンバ内において行われる粉砕材料および粉砕媒体の混合の回路を示す。従って、粉砕部材として機能するブレードホイールの領域において、公知の回路が発生し、ここで、前記粉砕媒体の作用により、粉砕材料が粉末状にされる。
【0020】
図示のように、最遠位の下流に配置されたブレードホイール9(すなわち、出口側のブレードホイール)の領域において、同様に回路が発生し、ここで、粉砕材料および粉砕媒体の混合物が、ブレードホイールと側壁との間において、出口側の前壁への軸方向において実質的に流れ、ブレード周囲を流れて、篩23とブレードホイールとの間において、軸方向と反対方向に戻る。このような反対方向に方向付けられた流れにより、矢印27によって示される一部が前記ブレードを介して外部へと加速され、ここで、矢印28によって示される他方の部分は、先ず前記篩に沿って流れ、その後、通常であれば前記篩の目詰まりの原因となっていたであろう前記篩の外面上に蓄積されるのが防止される。さらに上流において、部分28が、やはり前記羽根により外側方向に回転される。
【0021】
これと同時に、不十分に粉末状にされた粉砕粒子の粉砕も、最遠位の下流において配置されたブレードホイール9の領域内において、粉砕媒体との接触を通じて行われる。この接触は、この領域においても行われる。
【0022】
前記屈折管の形成に起因して、前記流れ内のデッドスペースが防止され、これにより、前記回路内への粉砕媒体の再循環時において、ブレードホイールから粉砕媒体へと移動した運動エネルギーが保存される。従って、粉砕チャンバ全体が、粉砕材料の粉砕および分散のために用いられる。
【0023】
図3に示す実施形態は、既述した攪拌ボールミル1と実質的に同じ構造を有するが、既述した攪拌ボールミル1と異なる点として、篩23が円錐形に形成され、粉砕チャンバに向かってテーパー状となっている点がある。このような形状により、篩の洗浄を可能にする流れをより明確な様態でガイドすることが可能になる。
【0024】
図示および記載された例示的実施形態の場合、3つのブレードホイールのみが撹拌器シャフト上において配置されるが、他の実施形態においてより多数のブレードホイールを設けることも可能である。また、混合物流れの屈折が可能である限り、前記屈折管の形状を異なる様態で構成することも可能である。ブレードホイールに設けられる羽根の数は、広範囲内において異なってよく、好適には5個〜20個である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉砕チャンバを有する攪拌ボールミルであって、前記攪拌ボールミルは、側壁と、各場合における入口側の1つの前壁および出口側の1つの前壁と、撹拌器と、粉砕材料および粉砕媒体の入口と、粉砕材料出口とにより境界付けられ、前記撹拌器は、前記粉砕チャンバ内に配置され、前記撹拌器は、回転可能に取り付けられかつ駆動される撹拌器シャフトと、前記撹拌器シャフト上に配置された加速器とを有し、前記粉砕材料および粉砕媒体の入口は、前記入口側上の前壁の近隣に配置され、前記粉砕材料出口は、前記出口側の前壁内に配置され、かつ、篩によって前記粉砕チャンバから分離されている、攪拌ボールミルにおいて、最遠位の下流に配置された前記加速器、すなわち前記粉砕材料出口に最も近い前記加速器が、軸方向に延長されかつ前記篩の軸方向長さに沿って下流に延びることを特徴とする、攪拌ボールミル。
【請求項2】
前記加速器がブレードホイールとして形成されることを特徴とする、請求項1に記載の攪拌ボールミル。
【請求項3】
最遠位の下流に配置された前記ブレードホイールの場合において、前記ブレードが軸方向に延長されることを特徴とする、請求項2に記載の攪拌ボールミル。
【請求項4】
最遠位の下流に配置された前記加速器は、前記篩の軸方向長さ全体にわたって延びることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1つに記載の攪拌ボールミル。
【請求項5】
最遠位の下流に配置された前記加速器は、前記篩の軸方向長さの少なくとも半分にわたって延びることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1つに記載の攪拌ボールミル。
【請求項6】
前記出口側の前記前壁内において、前記篩を環状に包囲する屈折管が配置されることを特徴とする、請求項1に記載の攪拌ボールミル。
【請求項7】
前記屈折管は、弓型形状の断面を有することを特徴とする、請求項6に記載の攪拌ボールミル。
【請求項8】
前記屈折管は、トロイドを軸方向に垂直に半割りした形状を有することを特徴とする、請求項6に記載の攪拌ボールミル。
【請求項9】
前記屈折管の半径方向に外側の縁部は、前記粉砕チャンバの外周に対応することを特徴とする、請求項6に記載の攪拌ボールミル。
【請求項10】
前記篩は、円筒形であることを特徴とする、請求項1に記載の攪拌ボールミル。
【請求項11】
前記篩は、前記下流方向において円錐形に幅広状となることを特徴とする、請求項1に記載の攪拌ボールミル。
【請求項12】
前記ブレードホイールは、相互に距離を空けて配置された2つのディスクと、前記2つのディスクの間に配置されたブレードとからなることを特徴とする、請求項2に記載の攪拌ボールミル。
【請求項13】
前記ブレードホイールは、相互に距離を空けて配置された3つのディスクと、各場合において2つのディスクの間に配置されたブレードとからなることを特徴とする、請求項2に記載の攪拌ボールミル。
【請求項14】
前記ディスクに穴が設けられることを特徴とする、請求項9または10に記載の攪拌ボールミル。
【請求項15】
前記穴は、スロット状に形成されることを特徴とする、請求項11に記載の攪拌ボールミル。
【請求項16】
前記穴は、前記軸に対して角度オフセットされていることを特徴とする、請求項11に記載の攪拌ボールミル。
【請求項17】
前記加速器の間に、軸方向流れを防止するためのディスクが前記シャフト上に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の攪拌ボールミル。
【請求項18】
攪拌ボールミルの粉砕材料出口の上流に配置された篩の目詰まりを防止する方法であって、粉砕材料入口から粉砕材料出口へと流れる粉砕材料および粉砕媒体の質量流量が前記篩の領域内において屈折され、前記篩の外面に沿って、前記流れ方向と反対の方向にガイドされることを特徴とする、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−518525(P2012−518525A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550605(P2011−550605)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【国際出願番号】PCT/EP2010/052337
【国際公開番号】WO2010/112274
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(510187417)ヴィリー アー.バッホーフェン アーゲー (3)
【Fターム(参考)】