説明

攪拌槽内の粉面検知装置

【課題】高温状態で粉体を撹拌する撹拌槽内に供給する材料粉量と排出する生成粉量を制御するために、撹拌槽内の粉面レベルを検出する必要がある。
【解決手段】高温で炭化分体を生成する炭化炉内において、原料粉の供給量および生成粉の排出量を制御するために、粉面の基準位置に撹拌時に粉体に発生する力を検出することで粉面を検出する検出器を設置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高温で使用する攪拌槽において、粉流体の流動によって生じる応力を直接検知して、粉体面を求めるレベル検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高温度領域における粉面や液面のレベルを検知するには、粉体や流体に直接接触して検知する方法と、接触させずに検知する方法とがある。
【0003】
流体に直接接触して検知する方法としては、振動式検知装置、静電容量式検知装置、パドル式検知装置などがある。例えば、特許文献1には、静電容量式センサを用いて界面を検出するものと、超音波を用い移動する界面を検出するものが開示されている。これらの検出装置は、250℃〜950℃の高温域で使用するためにはいずれも材質的にもまた構造的にも特殊なものとなり、そのため装置価格やメンテナンス価格が高価なものになり普及していない。概ね250℃以下の温度において使用されるべきものであり、250℃から950℃の範囲の高温で使用されるものではない。
【0004】
従って、この種の高温領域においては、特許文献2に記載されているようなカプセル内にセンサを設けたものや、流体に直接接触しない非接触式装置が主として使用されている。
【0005】
非接触式検知装置では、放射線レベル検知装置があるが、放射線源の取り扱いが困難であることや、非常に高価であり、一般にはあまり使用されていない。
【0006】
【特許文献1】特開平05−273032号公報
【特許文献2】特開平06−034310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述のように、従来技術の検知装置では構造的にも複雑で有ったり、取り扱い・メンテナンスが困難であったり、価格的にも非常に高価で有ったりして実用上適合する検知装置は無きに等しい状態である。
【0008】
本発明は構造的に簡単で且つ小型である検知装置を用いて高温の攪拌流体又は粒子の面を検出し面レベルに応じて供給する材料の量、及び排出する生成物の量を最適に制御できる攪拌装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
250℃から950℃の範囲の高温で炭化粉体を生成する撹拌槽内において、原料粉の供給量および生成粉の排出量を制御するために、粉面の基準位置に撹拌時に粉体に発生する力を検出することで粉面を検出する検出器を設置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
高温の粉体生成用の攪拌機構を備えた炭化炉内の粉体の量(粉面レベル)を計測して、炭化炉内に供給する原料粉の供給量、及び生成物の排出量を精度良く制御することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下図に示す実施例に基づいて本発明の攪拌装置を説明する。図1には本発明の粉面検知器を設けた粉体処理装置を示す。
【0012】
炭化炉1内部は、仕切り板12によって、炭化部2と乾留ガス燃焼部3とに区分されている。また炭化部2には、原料粉(例えば、乾燥コーヒー粕)が供給用の原料ホッパー7に適当な方法(例えば空気輸送装置)で搬送され、貯留されている。この貯留された原料粉は、原料ホッパー7に設けられている原料供給用ロータリーバルブ8と原料供給用スクリューフィーダ9を駆動制御することで、炭化炉1内の炭化部2に定期的に供給される。
【0013】
炭化部2の下方にはコーン部20で仕切られた空間が設けてあり、このコーン部20には高温ガスを供給するための空気孔21が複数設けてある。コーン部20で仕切られた空間には、都市ガスと燃焼空気を供給して燃焼させる炭化バーナ22から600〜800℃の高温ガスが供給される。この高温ガスが、コーン部20に設けてある空気孔21から原料粉間を通過して乾留ガス燃焼部3に上昇して行く。この高温ガスは、原料粉を加熱して残留酸素によって部分的に自己燃焼し、600〜800℃の高温となる。これにより、原料粉は乾留状態で炭化品になる。炭化された原料粉は、炭化品排出用スクリューフィーダ10及び炭化品排出ロータリーバルブ11を介して炭化炉1から排出される。
【0014】
ところで、本実施例の炭化炉では、炭化部2の粉面を略同じ状態を保持するように制御している。このため、粉面の基準となるべき位置に粉面検出センサ16を設け、その粉面検出センサ16の出力を、信号ケーブル17及び信号接続箱18を介して検出器(歪み計)19に送る。そして、検出器19にて粉面を検出して、その検出値に基づいて原料供給用と炭化品排出用スクリューフィーダ9,10等を駆動制御して供給する原料粉量と排出する炭化粉量とを制御している。
【0015】
炭化部2で発生した乾留ガスは乾留ガス燃焼部3に上昇し、この乾留ガス燃焼部3で乾留ガス燃焼用空気取入口23から取込んだ過剰空気によって自己燃焼し、無害化される。その後、排気配管13を経て熱交換器14で冷却水と熱交換して冷却され排風機15によって系外に排出される。熱交換器14で高温の排気ガスと熱交換して暖められ蒸発した冷却水は他で使用される。
【0016】
炭化炉1内の炭化部2には原料粉を均一過熱させるために、また、炭化時に発生するタール分によって原料粉が固着しないように、攪拌翼5を設けた攪拌棒4を駆動装置6で回転させることで、攪拌混合する構成となっている。以後この撹拌手段(撹拌翼5、撹拌棒4、駆動装置6を総称する)設けた部分を撹拌槽と称する場合もある。
【0017】
図2に粉面を検知する検出器の検知部の構成を示す。本実施例で使用する粉面検出センサ16は検知板25に、カプセル内に歪みゲージ26を設けた感応部を取付けたものである。
【0018】
攪拌手段が粉体を攪拌するときに粉体から粉面検出センサ16が力を受けて、発生する応力を検出して、応力値に応じて粉面が所定の高さ(レベル)にあるか否かを検出するものである。歪みゲージ26の出力は接続部27を介して耐熱性の信号線17及び信号接続箱18を介して検知器(歪み計)19に接続されている。検知板25は略b=15mm、L=200mmの受圧面を持つ板状体であり、その厚みは略1mm程度の薄いもので粉体の圧力を大きく受けるように受圧面の広い方が縦方向となるように構成されている。また、受圧面の後方は図1の炭化炉1に接続し易いようにm=10φの棒状になっている。
【0019】
粉面が低下すると、検知器19の出力が小さくなるか、全く出力が発生しなくなることで粉面低下を検知することが可能となる。なお、本図には図示していないが検知器19の出力は図示していない制御装置に接続されており、制御装置では検知器19の検出結果に基づいて、粉面が基準値以下の場合は原料粉を供給すると共に、生成物の排出を停止するように制御する。
【0020】
図3に検知板25の取付け状態を示す。図3(a)は装置を上から見た図を、図3(b)は装置を横から見た図を示している。図3に示すように、粉面検出センサ16は、水平方向に対してθ=45度の角度に傾斜して、炭化炉に取付けてある。また、攪拌翼5の上部から上方に、約Z=30mm離れた位置に検知板25の下端部が位置するように配置してある。
【0021】
図4に図3をA方向から見た図を示す。攪拌翼5は幅n=150mmの板状体で、攪拌軸に対してφ=45度の角度で回転軸に取付けてある。この構成で、回転方向との関係で、粉体を掻き揚げる作用を持つようになっている。
【0022】
今例えば粉体面がレベルBに示すように、攪拌翼5の下にあれば正に攪拌翼5は空を切る形となり、検知板には何等圧力が掛からず、歪み量は0となる。
【0023】
次に、粉体面がレベルAに示すように、攪拌翼5に当たる位置になると攪拌翼の掻き揚げ作用により、攪拌翼5が検知板25の直下又は近傍を通過したときのみ、粉体は検知板25に接触する。攪拌翼は上から見て時計回り方向に回転しており、粉体は回転の影響を受けて同じ方向に流動する。これによって、検知板25には応力が発生し、その応力に見合った歪を歪ゲージ26で検出する。攪拌翼が検知板の近傍を離れるに従って掻き揚げ力が無くなり、攪拌翼は空を切る形となり検知板に発生する歪み量は0となる。粉体面のレベルが検知板の位置より高くなる(検知板を覆う)と、検知板には所定の応力が作用していることなり、撹拌翼の通過に伴う発生する応力値の変化分は小さくなる。この状態を予め測定しておけば、粉体面のレベルを求めることが可能となる。
【0024】
例えば、攪拌翼の回転速度が1分間に3回転とすると、検知板には回転速度に同期した形で、1分間に3回の歪が発生する。従って、誤差検知を考慮して、1分間に1回以上の頻度で、ある数値以上の歪を検知するか否かで、粉体面がその位置(レベル)にあるか否かを計測することができる。
【0025】
以上の説明においては、検知板の設置場所を1箇所としているが、実際にはレベルの粉体面レベルの上限と下限位置にそれぞれ検知板を設けることで、上限用の検知板が歪みを検知すると、排出量を増加させ、下限用の検知板が歪みを検知すると排出量を減少させるように、排出の制御や、供給用の制御に用いている。
【0026】
また、本実施例では粉体を例にして説明したが、流動体を用いるものであれば本発明を適用することができる。
【0027】
以上のように、本発明のように、高温状態にある粉体面のレベルを検知し粉体の供給、排出の制御を容易に行うことができた。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】粉体処理装置の全体構成図である。
【図2】粉面検出センサ部の構成図である。
【図3】炭化炉にレベル検出センサを取付けた状態の説明図である。
【図4】レベル検出センサが分体の有無の状態を説明するための図面である。
【符号の説明】
【0029】
1…炭化炉、2…炭化部、3…乾留ガス燃焼部、4…撹拌棒、5…撹拌翼、6…駆動装置、7…原料ホッパー、8…原料供給用ロータリーバルブ、9…原料供給用スクリューフィーダ、10…炭化品排出用スクリューフィーダ、11…炭化品排出用ロータリーバルブ、16…粉面検出センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
250℃から950℃の範囲の高温で炭化粉体を生成する炭化炉内において、原料粉を均一に炭化するために、攪拌翼による攪拌槽構造とし、炭化炉内の原料粉の供給量および生成粉の排出量を制御するために、粉面の基準位置に撹拌時に粉体に発生する力を検出することで粉面を検出する検出器を設置したことを特徴とする撹拌槽内の粉面検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撹拌槽内の粉面検出装置において、
前記検出器が高温カプセル内に歪みゲージ式の圧力検出センサであることを特徴とする撹拌槽内の粉面検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−139207(P2009−139207A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−315548(P2007−315548)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】