説明

攪拌装置および自動分析装置

【課題】簡易な構成で、検体と試薬とを含む液体試料を非接触で攪拌する攪拌装置を提供すること。
【解決手段】所定方向に回転する反応テーブル13と、反応テーブル13上に弾性部材21cを介して円環状に固定配置され、試薬および検体を含む液体試料を保持する容器部21aの外周側面に歯車21bが形成された複数の反応容器21と、各反応容器21の移動空間E側部に設けられ、各反応容器21の半径方向の揺動を制限するとともに、移動空間E側に歯車21bに噛合する平歯が設けられた平歯部17aを有した固定レール部材171,172と、を備え、反応テーブル13の回転に伴って反応容器21の歯車21bと固定レール部材171,172の平歯部17aとが噛合して反応容器21を回転させるとともにこの回転に伴って弾性部材21cに弾性エネルギーを蓄積させ、歯車21bと平歯部17aとの噛合が開放されたときに弾性部材21cに蓄積された弾性エネルギーによって反応容器21を反転させる動作を繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体と試薬とを含む液体試料を攪拌する攪拌装置および、この攪拌装置を備えた自動分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、試薬容器から反応容器へ試薬を分注して反応容器の内部で試料と試薬とを反応させ、反応液の特性を測定することによって試料を分析する自動分析装置が知られている。この自動分析装置の反応容器内に保持された液体は、攪拌棒を用いて攪拌されていた。この攪拌棒は、ステンレス等の金属材料またはポリエチレン等の撥水性樹脂材料からなり、検体または試薬と接触する部位をフッ素系樹脂材料から成る熱収縮チューブによって覆われ、平板状、捻り板状、棒状または耳かき状等の形状をなしていた(特許文献1参照)。この攪拌棒は、反応容器内での攪拌終了後、反応容器から外部に引き抜かれ、洗剤や洗浄水で洗浄され、再び別の反応容器の攪拌に用いられる。
【0003】
ここで、反応容器に対する攪拌棒の出し入れは、洗浄によって洗い流されなかった液体や洗剤のコンタミネーションまたは洗浄水の持込みによる液体総量の変動に起因する分析精度の低下を招く問題がある。
【0004】
そこで、この問題を解決するため、反応容器に保持された液体を非接触で攪拌するものがある。たとえば、液体を保持した反応容器の外部に音波発生手段を設け、この音波発生手段から反応容器に向けて音波を発生させることによって液体を攪拌する自動分析装置が知られている(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平8−136550号公報
【特許文献2】特開2007−108062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、音波発生手段を用いて反応容器内の液体を非接触で攪拌する攪拌装置では、各反応容器に音波発生手段を設けなければならず、また反応テーブル上で回転する各反応容器の音波発生手段に対して電源を供給する機構が必要となり、装置自体が大型化するとともに複雑化を招くという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な構成で検体と試薬とを含む液体試料を非接触で攪拌することができる攪拌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる攪拌装置は、所定方向に回転する反応テーブルと、前記反応テーブル上に弾性部材を介して円環状に固定配置され、試薬および検体を含む液体試料を保持する容器部の外周側面に歯車が形成された複数の反応容器と、各反応容器の移動空間側部に設けられ、各反応容器の半径方向の揺動を制限するとともに、前記移動空間側に前記歯車に歯合する平歯が設けられた平歯部を有した固定レール部材と、を備え、前記反応テーブルの回転に伴って前記反応容器の歯車と前記固定レール部材の平歯部とが噛合して反応容器を回転させるとともにこの回転に伴って前記弾性部材に弾性エネルギーを蓄積させ、前記歯車と前記平歯部との噛合が開放されたときに前記弾性部材に蓄積された弾性エネルギーによって反応容器を反転させる動作を繰り返し行うことによって前記容器内部の液体試料を攪拌することを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる攪拌装置は、上記の発明において、前記固定レール部材は、前記移動空間の両側部に設けられ、該移動空間の外周側の外周レール部材と内周側の内周レール部材とを有し、前記平歯部が前記外周レール部材の内側または前記内周レール部材の外側とのいずれか一方に所定間隔で設けられたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる攪拌装置は、上記の発明において、前記固定レール部材は、前記移動空間の両側部に設けられ、該移動空間の外周側の外周レール部材と内周側の内周レール部材とを有し、前記平歯部が前記外周レール部材の内側と前記内周レール部材の外側とに所定間隔で交互に設けられたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる攪拌装置は、上記の発明において、前記反応容器は、隣接する反応容器間で各歯車の高さ方向位置を異ならせたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる攪拌装置は、上記の発明において、前記弾性部材は、渦巻きバネであることを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる攪拌装置は、上記の発明において、前記弾性部材は、コイルバネであることを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかる攪拌装置は、上記の発明において、前記弾性部材は、柱状弾性体であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記いずれかの発明に記載の攪拌装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる攪拌装置は、反応テーブルの回転に伴って反応容器の歯車と固定レール部材の平歯部とが噛合して反応容器を回転させるとともにこの回転に伴って弾性部材に弾性エネルギーを蓄積させ、前記歯車と前記平歯部との噛合が開放されたときに前記弾性部材に蓄積された弾性エネルギーによって反応容器を反転させる動作を繰り返し行うことによって前記容器内部の液体試料を攪拌する。このため、本発明の攪拌装置は、反応容器内の液体試料を簡易な構成で、非接触の攪拌を行うことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の自動分析装置にかかる実施の形態について説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかる自動分析装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、実施の形態1にかかる自動分析装置1は、分析対象である検体および試薬を反応容器21にそれぞれ分注し、分注した反応容器21内で生じる反応を光学的に測定する測定機構2と、測定機構2を含む自動分析装置1全体の制御を行うとともに測定機構2における測定結果の分析を行なう制御装置3とを備える。自動分析装置1は、これらの二つの機構が連携することによって複数の検体の分析を自動的に行う。
【0019】
まず、測定機構2について説明する。測定機構2は、検体移送部11、検体分注機構12、反応テーブル13、試薬庫14、試薬分注機構16、固定レール部材17、測光部18および洗浄部19を備える。
【0020】
検体移送部11は、液体検体を収容した複数の検体容器11aを保持し、図中の矢印方向に順次移送する複数の検体ラック11bを備える。検体移送部11上の所定位置に移送された検体容器11a内の検体は、検体分注機構12によって、反応テーブル13上に配列して搬送される反応容器21に分注される。
【0021】
検体分注機構12は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行うアーム12aを備える。このアーム12aの先端部には、検体の吸引および吐出を行うノズルが取り付けられている。検体分注機構12は、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を備える。検体分注機構12は、検体移送部11上の所定位置に移送された検体容器11aの中からノズルによって検体を吸引し、アーム12aを図中時計回りに旋回させ、反応容器21に検体を吐出して分注を行う。
【0022】
反応テーブル13は、反応容器21への検体や試薬の分注、測光、洗浄および汚れ検出用測光を行うために反応容器21を所定の位置まで移送する。この反応テーブル13は、制御部31の制御のもと、図示しない駆動機構が駆動することによって、反応テーブル13の中心を通る鉛直線を回転軸として回動自在である。反応テーブル13の上方と下方には、図示しない開閉自在な蓋と恒温槽がそれぞれ設けられている。
【0023】
試薬庫14は、反応容器21内に分注される試薬が収容された試薬容器15を複数収納できる。試薬庫14には、複数の収納室が配置されており、各収納室には試薬容器15が着脱自在に収納される。試薬庫14は、制御部31の制御のもと、図示しない駆動機構が駆動することによって、試薬庫14の中心を通る鉛直線を回転軸として時計回りまたは反時計回りに回動自在であり、所望の試薬容器15を試薬分注機構16による試薬吸引位置まで移送する。試薬庫14の上方には、開閉自在な蓋(図示せず)が設けられている。また、試薬庫14の下方には、保冷庫が設けられている。このため、試薬庫14内に試薬容器15が収納され、蓋が閉じられたときに、試薬容器15内に収容された試薬を冷却し、試薬容器15内に収容された試薬の蒸発や変性を抑制することができる。
【0024】
試薬分注機構16は、検体分注機構12と同様に、試薬の吸引および吐出を行う試薬ノズルが先端部に取り付けられたアーム16aを備える。アーム16aは、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行う。試薬分注機構16は、試薬庫14上の所定位置に移動された試薬容器15内の試薬をノズルによって吸引し、アーム16aを図中時計回りに旋回させ、反応テーブル13上の所定位置に搬送された反応容器21に分注する。
【0025】
測光部18は、たとえば、所定の測光位置に搬送された反応容器21に光源から分析光(340〜800nm)を照射し、反応容器21内の液体を透過した光を分光し、PDAなどの受光素子による各波長光の強度測定を行うことによって、分析対象である検体と試薬との反応液に特有の波長の吸光度を測定する。
【0026】
洗浄部19は、洗浄ノズルによって、測光部18による測定が終了した反応容器21内の混合液を吸引して排出するとともに、洗剤や洗浄水等の洗浄液を注入および吸引することで分析処理が終了した反応容器21を洗浄する。
【0027】
ここで、反応テーブル13の回転に伴って移動する複数の反応容器21の移動空間Eの両測部には、内周側に円筒状の内周レール部材171と外周側に円筒状の外周レール部材172とが同心円状に形成された固定レール部材17が設けられ、各反応容器21の半径方向の揺動を制限する。また、内周レール部材171には、移動空間E側に、所定間隔で平歯である平歯部17aが円環状に配置される。この平歯部17aは、各反応容器21が移動空間Eを移動する際に、各反応容器21が有する歯車と噛合して各反応容器21を回転させ、平歯部17aと各反応容器21の歯車との噛合が開放されて各反応容器21を反転させることによって、各反応容器21内の液体試料が攪拌される。
【0028】
つぎに、制御装置3について説明する。制御装置3は、制御部31、入力部32、分析部33、記憶部35および出力部36を備える。測定機構2および制御装置3が備えるこれらの各部は、制御部31に電気的に接続されている。
【0029】
制御部31は、CPU等を用いて実現され、自動分析装置1の各部の処理および動作を制御する。制御部31は、これらの各構成部位に入出力される情報について所定の入出力制御を行い、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行う。入力部32は、キーボード、マウス、入出力機能を兼ねたタッチパネル等を用いて実現され、検体の分析に必要な諸情報や分析動作の指示情報等を外部から取得する。また、入力部32は、図示しない通信ネットワークを介して制御部31への指示情報を取得し、送信する。分析部33は、測光部18によって測定された吸光度に基づいて検体の成分分析等を行う。記憶部35は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、分析装置1が処理を実行する際にその処理にかかわる各種プログラムをハードディスクからロードして電気的に記憶するメモリとを用いて実現され、検体の分析結果等を含む諸情報を記憶する。記憶部35は、CD−ROM、DVD−ROM、PCカード等の記憶媒体に記憶された情報を読み取ることができる補助記憶装置を備えてもよい。出力部36は、ディスプレイ、プリンタ、スピーカー等を用いて構成され、検体の分析結果を含む諸情報を出力する。また、出力部36は、図示しない通信ネットワークを介して外部装置に諸情報を出力する。
【0030】
以上のように構成された自動分析装置1では、列をなして順次搬送される複数の反応容器21に対して、検体分注機構12が検体容器11a中の検体を分注し、試薬分注機構16が試薬容器15中の試薬を分注した後、測光部18が検体と試薬とを反応させた状態の検体の分光強度測定を行い、この測定結果を分析部33が分析することで、検体の成分分析等が自動的に行われる。また、洗浄部19が、測光部18による測定が終了した後に搬送される反応容器21を搬送させながら洗浄することで、一連の分析動作が連続して繰り返し行われる。なお、この一連の分析動作における各反応容器21の移動空間Eでの移動中に、各反応容器21は、平歯部17aとの噛合とその開放とを繰り返すことによって回転および反転を行って、内部の液体試料を攪拌する。
【0031】
つぎに、図1に示した反応テーブル13上の反応容器21の構成、および反応容器21と固定レール部材17との配置構成について説明する。図2は、図1に示した反応容器21の構成を示す斜視図である。図2に示すように、反応容器21は、反応テーブル13上に弾性部材21cを介して、液体試料を保持する容器部21aが鉛直上方に固定配置される。さらに、反応容器21は、容器部21aの外周側面に形成された歯車21bを有する。
【0032】
容器部21aは、容量が数nL〜数mL程度の微量な柱状容器であり、具体的には、底を有した角柱状の筒で形成され、側壁と底壁とによって液体を保持する液体保持部が形成され、液体保持部の上部に開口を有する。容器部21aは、測光部18の光源から出射された分析光(340〜800nm)に含まれる光の80%以上を透過する透明素材、例えば、耐熱ガラスを含むガラス,環状オレフィンやポリスチレン等の合成樹脂によって形成される。ここで、側壁を角柱としたのは、反応容器21が回転および反転をした際に、内部の液体試料が攪拌し易いようにするためでもある。なお、側壁を円筒状にした場合には、円筒内部にフィンなどを設けておくと攪拌を効率的に行うことができる。
【0033】
ここで、歯車21bは、上述したように、容器部21aの外周側面に形成される。歯車21bは、図3に示すように、反応テーブル13が所定方向に回転することで、内周レール部材171の平歯部17aと噛合し、反応容器21を回転させるとともに、この回転に伴って弾性部材21cに弾性エネルギーを蓄積させる。弾性部材21cは、所定値以内の残留応力に応じて歪みを生じるが、残留応力がなくなると歪みもなくなる部材が使用される。弾性部材21cは、歯車21bと平歯部17aとの噛合が開放されたときに蓄積された弾性エネルギーによって反応容器21を反転させる動作を繰り返すことで、容器部21aに保持された液体試料を攪拌する。
【0034】
ここで、図4−1〜図4−4を参照して、反応容器21と平歯部17aとによる液体試料の攪拌動作について説明する。まず、反応テーブル13が時計方向に回転すると、反応テーブル13上の反応容器21は、移動空間E内を移動する(図4−1参照)。その後、反応容器21の歯車21aが平歯部17aに噛合する(図4−2参照)と、反応容器21は、時計方向に回転し、弾性部材21cに弾性エネルギーを蓄積する。さらに、反応容器21の移動に伴って反応容器21は、時計方向に回転し、弾性エネルギーを蓄積する(図4−3参照)。その後、反応容器21の移動に伴って、歯車21aと平歯部17aとの噛合状態が開放され、蓄積された弾性エネルギーが用いられて反応容器21が反時計方向に反転する(図4−4参照)。反応容器21の移動に伴って、歯車21aと平歯部17aとの噛合と噛合開放とを繰り返すことによって、反応容器21は、回転と反転とを繰り返し、液体試料を攪拌する。
【0035】
なお、図4−1〜図4−4における平歯部17aに替えて、図5に示すように、外周レール部材172に平歯部17bを設けるようにしてもよい。また、図4−1〜図4−4では内周レール部材171にのみ平歯部17aを設け、図5では外周レール部材172にのみ平歯部17bを設けたが、これに替えて、図6に示すように、内周レール部材171に平歯部17c、外周レール部材172に平歯部17dを交互に設け、各平歯部17c,17dが、反応容器21の移動に伴って、歯車21aが交互に噛合するようにしてもよい。この場合、反応容器21は、平歯部17cとの噛み合いによって時計方向に回転するとともに弾性エネルギーを蓄積し、次の平歯部17dまでの移動空間Eで開放状態になって反時計方向に反転し、次の平歯部17dとの噛み合いによってさらに反時計方向に回転しつつ弾性エネルギーを蓄積し、次の平歯部17cまでの移動空間Eで開放状態になって時計方向に反転し、次の平歯部17cとの噛み合いによってさらに時計方向に回転するとともに弾性エネルギーを蓄積するという回転および反転を繰り返すことになる。この場合、弾性エネルギーの開放時の回転と次の弾性エネルギーの蓄積時の回転とが同じ回転方向になるため、反応容器21の回転と反転とをスムーズに行うことができる。
【0036】
ここで、平歯部17a〜17dの周方向の長さは、任意に設定される。すなわち、反応容器21が大きな回転角度に耐え得るものであれば、平歯部17a〜17dの長さを、この大きな回転角度に対応して長くすればよいし、反応容器21が小さな回転角度にしか耐えられないものであれば、平歯部17a〜17dの長さを、この回転角度に対応して短くすればよい。同様に、移動空間E内の平歯部17a〜17d間の間隔も、弾性エネルギーの開放時間と移動速度とに対応して設定すればよい。逆に、これら平歯部17a〜17dの長さおよび設置間隔を適切に設定することによって、所望の攪拌処理量に設定することができる。
【0037】
ところで、上述した弾性部材21cは、弾性を有するものであればよいが、たとえば、図7および図8に示すような渦巻きバネ23aであることが好ましい。この渦巻バネ23aは、接続部23bによって渦巻き外側端部が反応テーブル13に固定され、接続部23cによって渦巻き内側端部が容器部21aに固定される。渦巻バネ23aの渦巻きは、反応容器21の鉛直方向中心軸周りに巻かれることになる。
【0038】
もちろん、弾性部材21cは、図9および図10に示すようなコイルバネ24aであってもよい。この場合、コイルバネ24aの一端24bは、反応テーブル13に固定接続され、コイルバネ24aの他端24cは、容器部21aに固定接続される。さらに、弾性部材21cは、図11に示すような、ゴムなどの弾性材料からなる柱状弾性体25aを用いても良い。
【0039】
この実施の形態1では、反応容器21内の液体試料を攪拌するため、反応テーブル13の回転に伴って反応容器21の歯車21bと内周レール部材171の平歯部17a,17cあるいは外周レール部材172の平歯部17b,17dとが噛合して反応容器21を回転させとともに、この回転に伴って弾性部材21cに弾性エネルギーを蓄積させ、歯車21bと平歯部17a〜17dとの噛合が開放されたときに、弾性部材21cに蓄積された弾性エネルギーによって反応容器21を反転させる動作を繰り返し行うことによって反応容器21内の液体試料を攪拌することができる。この結果、簡易な構成で、非接触の攪拌装置が実現され、液体または洗剤等のコンタミネーションを防止しつつ、検体と試薬とを含む液体試料を攪拌することができる。
【0040】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2にかかる攪拌装置について説明する。上述した実施の形態1では、隣接する反応容器間の各歯車の高さ方向位置が同一であったが、この実施の形態2では、隣接する反応容器間で各歯車の高さ方向位置の高さを異ならせるようにしている。
【0041】
図12は、本実施の形態2にかかる攪拌装置の反応容器の概要構成を示す一部を破断した斜視図である。図13は、図12に示した撹拌装置のX−X線断面図である。図12および図13に示すように、この実施の形態2では、隣接する反応容器21間で各歯車21b−1〜21b−4の高さ方向位置を異ならせている。この結果、隣接する反応容器21間を詰めた状態で配置することができるので、反応容器21群の密な配置が可能になり、従来の自動分析装置が配置する反応容器数とほぼ同じ程度の反応容器を反応テーブル上に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本実施の形態にかかる自動分析装置の構成を示す模式図である。
【図2】図1に示した反応容器の斜視図である。
【図3】反応テーブル上に配置された反応容器群の配置状態を示す一部を破断した斜視図である。
【図4−1】内周レール部材の移動空間側に平歯部が設けられた場合における反応容器の歯車が平歯部に噛合する前の状態を示す図である。
【図4−2】内周レール部材の移動空間側に平歯部が設けられた場合における反応容器の歯車と平歯部とが噛合している状態を示す図である。
【図4−3】内周レール部材の移動空間側に平歯部が設けられた場合における反応容器の歯車と平歯部とがさらに噛合している状態を示す図である。
【図4−4】内周レール部材の移動空間側に平歯部が設けられた場合における反応容器の歯車が平歯部から開放された状態を示す図である。
【図5】外周レール部材の移動空間側に平歯部が設けられた場合における反応容器の歯車と平歯部とが噛合した状態を示す図である。
【図6】内周レール部材と外周レール部材とに平歯部が所定間隔で交互に設けられた移動空間内において反応容器の歯車と平歯部とが噛合した状態を示す図である。
【図7】弾性部材が渦巻きバネである場合の反応容器の一部正面図である。
【図8】図7に示した弾性部材の平面図である。
【図9】弾性部材がコイルバネである場合の反応容器の一部正面図である。
【図10】図9に示した弾性部材の平面図である。
【図11】弾性部材がゴムなどの柱状弾性体である反応容器の一部正面図である。
【図12】本発明の実施の形態2にかかる攪拌装置の反応容器群の配置構成を示す一部を破断した斜視図である。
【図13】図12に示した反応容器群のX−X線断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 自動分析装置
2 測定機構
3 制御装置
11 検体移送部
11a 検体容器
11b 検体ラック
12 検体分注機構
12a,16a アーム
13 反応テーブル
14 試薬庫
15 試薬容器
16 試薬分注機構
17 固定レール部材
17a〜17d 平歯部
18 測光部
19 洗浄部
21 反応容器
21a 容器部
21b,21b−1〜21b−4 歯車
21c 弾性部材
23a 渦巻きバネ
23b,23c 接続部
24a コイルバネ
25a 柱状弾性体
31 制御部
32 入力部
33 分析部
35 記憶部
36 出力部
171 内周レール部材
172 外周レール部材
E 移動空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に回転する反応テーブルと、
前記反応テーブル上に弾性部材を介して円環状に固定配置され、試薬および検体を含む液体試料を保持する容器部の外周側面に歯車が形成された複数の反応容器と、
各反応容器の移動空間側部に設けられ、各反応容器の半径方向の揺動を制限するとともに、前記移動空間側に前記歯車に歯合する平歯が設けられた平歯部を有した固定レール部材と、
を備え、前記反応テーブルの回転に伴って前記反応容器の歯車と前記固定レール部材の平歯部とが噛合して反応容器を回転させるとともにこの回転に伴って前記弾性部材に弾性エネルギーを蓄積させ、前記歯車と前記平歯部との噛合が開放されたときに前記弾性部材に蓄積された弾性エネルギーによって反応容器を反転させる動作を繰り返し行うことによって前記容器内部の液体試料を攪拌することを特徴とする攪拌装置。
【請求項2】
前記固定レール部材は、前記移動空間の両側部に設けられ、該移動空間の外周側の外周レール部材と内周側の内周レール部材とを有し、前記平歯部が前記外周レール部材の内側または前記内周レール部材の外側とのいずれか一方に所定間隔で設けられたことを特徴とする請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項3】
前記固定レール部材は、前記移動空間の両側部に設けられ、該移動空間の外周側の外周レール部材と内周側の内周レール部材とを有し、前記平歯部が前記外周レール部材の内側と前記内周レール部材の外側とに所定間隔で交互に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項4】
前記反応容器は、隣接する反応容器間で各歯車の高さ方向位置を異ならせたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の攪拌装置。
【請求項5】
前記弾性部材は、渦巻きバネであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の攪拌装置。
【請求項6】
前記弾性部材は、コイルバネであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の攪拌装置。
【請求項7】
前記弾性部材は、柱状弾性体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の攪拌装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一つに記載の攪拌装置を備えたことを特徴とする自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図4−4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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