説明

攪拌装置

【課題】短時間でタンク内及びタンク内洗浄装置を清掃できるようにする。
【解決手段】開放口9を備えて、攪拌処理するための内容物の貯留可能なタンク1を、開放口9を上方に向けた内容物貯留状態と、開放口9を横方向に向けた内容物流出状態とに横軸心X周りに上下揺動自在に設け、内容物流出状態における内容物注ぎ部10を開放口9の一部に形成し、横軸回転の攪拌羽根2をタンク1内に装備し、タンク1の内方に向けて洗浄水を噴射自在なタンク内洗浄装置11を設け、内容物貯留状態で、タンク内洗浄装置11における横軸心Xを含む上下仮想平面よりも内容物注ぎ部側部分を、開放口9よりも上方に配置してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開放口を備えて、攪拌処理するための内容物の貯留可能なタンクを、前記開放口を上方に向けた内容物貯留状態と、前記開放口を横方向に向けた内容物流出状態とに横軸心周りに上下揺動自在に設け、前記内容物流出状態における内容物注ぎ部を前記開放口の一部に形成し、横軸回転の攪拌羽根を前記タンク内に装備し、前記タンクの内方に向けて洗浄水を噴射自在なタンク内洗浄装置を設けてある攪拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前記攪拌装置においては、図6に示すように、タンク内洗浄装置11を、内容物貯留状態の前記タンク1の前記開放口9の内側で、しかも、前記開放口9よりも低い位置に取り付けてあった(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第2557523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の攪拌装置では、タンク1を横向きに傾けて内容物流出状態に切換える際に、開放口9よりタンク1の外方に流出させる内容物が、開放口9の内側に取付けたタンク内洗浄装置11に接触して付着することがある。
そこで、タンク1内の洗浄においては、タンク内洗浄装置11から洗浄水を噴射するだけでは不十分で、タンク内洗浄装置11に付着した内容物を除去するために、人が洗浄水をかけて手作業で清掃しなければならず、時間が多く掛かるという問題点があった。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、短時間でタンク内及びタンク内洗浄装置を清掃できるようにするところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の特徴構成は、開放口を備えて、攪拌処理するための内容物の貯留可能なタンクを、前記開放口を上方に向けた内容物貯留状態と、前記開放口を横方向に向けた内容物流出状態とに横軸心周りに上下揺動自在に設け、前記内容物流出状態における内容物注ぎ部を前記開放口の一部に形成し、横軸回転の攪拌羽根を前記タンク内に装備し、前記タンクの内方に向けて洗浄水を噴射自在なタンク内洗浄装置を設けてある攪拌装置であって、前記内容物貯留状態で、前記タンク内洗浄装置における前記横軸心を含む上下仮想平面よりも前記内容物注ぎ部側部分を、前記開放口よりも上方に配置してあるところにある。
【0007】
本発明の第1の特徴構成によれば、前記内容物貯留状態で、前記タンク内洗浄装置における前記横軸心を含む上下仮想平面よりも前記内容物注ぎ部側部分を、前記開放口よりも上方に配置してあるために、前記タンクの開放口を傾けて内容物貯留状態から内容物流出状態に切換える際に、タンクと共にタンク内洗浄装置が傾いても、流出する内容物が前記内容物注ぎ部側部分には接触しにくくなる。
従って、従来装置のように内容物がタンク内洗浄装置に付着するのを減少させることができ、その上洗浄時には、タンクの内方に向けて洗浄水がタンク内洗浄装置から噴射するように取付けてあるために、タンクの内方の清掃はタンク内洗浄装置からの洗浄水の噴射だけで充分行うことができる。
よって、短時間にタンク内及びタンク内洗浄装置を清掃できる。
【0008】
本発明の第2の特徴構成は、前記タンク内洗浄装置に洗浄ノズルを設け、その洗浄ノズルを前記開放口の縁部に沿って所定間隔置きに複数配置してあると共に、前記横軸心方向に互いに対向する前記縁部夫々に設けた複数の前記洗浄ノズルで、互いに対向するもの同士の噴射標的高さを異ならせてあるところにある。
【0009】
本発明の第2の特徴構成によれば、本発明の第1の特徴構成による上述の作用効果を叶えることができるのに加えて、例えば、互いに対向して噴射する洗浄ノズル同士が同じ噴射標的高さの場合には、夫々の噴射水同士が噴射途中で衝突し合って標的まで到達せず、タンク内の洗浄が効率よく行われなくなるのに対し、本発明では、互いに対向するもの同士の噴射標的高さを異ならせてあるために、対向する洗浄ノズル夫々から噴射する洗浄水は、互いに噴射途中で衝突することなく標的まで到達させることができる。
従って、各洗浄ノズルからの噴射エネルギーを無駄にすることなく、効率よくタンクの内面及びタンク内の攪拌羽根を洗浄できる。
【0010】
本発明の第3の特徴構成は、前記タンク内洗浄装置に洗浄ノズルを設け、その洗浄ノズルを前記開放口の縁部に沿って所定間隔置きに複数配置してあると共に、前記横軸心方向に互いに対向する前記縁部夫々に設けた前記複数の前記洗浄ノズルで、隣接するもの同士の噴射標的方向を、異ならせてあるところにある。
【0011】
本発明の第3の特徴構成によれば、洗浄ノズルの隣接するもの同士の噴射標的方向を、異ならせてあることにより、全体として洗浄領域が偏るのを防止して満遍なく洗浄しやすくなる。
【0012】
本発明の第4の特徴構成は、前記タンク内洗浄装置を、前記内容物注ぎ部以外の前記開放口の縁部に沿って配置すると共に、前記開放口よりも上方に配置してあるところにある。
【0013】
本発明の第4の特徴構成によれば、前記タンクが内容物貯留状態の時に、攪拌羽根による内容物の攪拌によって、タンク内で内容物が盛り上がっても、開放口よりも上には達することがなく、そのために、前記内容物注ぎ部以外の前記開放口の縁部に沿って設けた全てのタンク内洗浄装置には、内容物が接触することがなくなる。
したがって、タンクに対する内容物の貯留量の多少に関わらず、タンク内の洗浄を短時間で良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】全体斜視図で、(a)は内容物貯留状態、(b)は内容物流出状態を示す。
【図2】洗浄ノズルからの洗浄水の噴出方向を示す全体図である。
【図3】全体平面図である。
【図4】縦断側面図である。
【図5】縦断正面図である。
【図6】従来例の縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、図面において従来例と同一の符号で表示した部分は、同一又は相当の部分を示している。
【0016】
図1〜図5に示すように、開放口9を備えて、攪拌処理するための、例えば、原料素材と抽出用液体とからなる内容物の貯留可能なタンク1を、開放口9を上方に向けた内容物貯留状態と、開放口9を横方向に向けた内容物流出状態とに横軸心X周りに上下揺動自在に設け、内容物流出状態における内容物注ぎ部10を開放口9の一部に形成し、横軸回転の攪拌羽根2をタンク1内に装備し、タンク1の内方に向けて洗浄水を噴射自在なタンク内洗浄装置11を設けてニーダーと称される抽出用の攪拌装置を構成してある。
【0017】
前記タンク1は、その底面が半円筒形であり、烏龍茶、緑茶、紅茶、ハトムギ、大麦、玄米、大豆、昆布、霊芝、椎茸、クコ、熊笹、アマチャズル、ミカンの皮等の原料素材の少なくとも一種と、水やアルコール溶液等の抽出用液体とからなる内容物を貯留可能である。
【0018】
前記タンク内洗浄装置11は、給水配管12とその給水配管12によって給水される複数の洗浄ノズル3からなり、内容物貯留状態のタンク1の開放口9よりも上方で、且つ、タンク1の内方に向けて洗浄水を噴射するようにタンク1に取付けてある。そして、給水配管12は、内容物注ぎ部10以外の開放口9の縁部の上方に沿って取り付けてあり、洗浄ノズル3を開放口9の縁部に沿って所定間隔置きに複数配置してある。
つまり、前記横軸心X方向に互いに対向する縁部夫々に設けた複数の洗浄ノズル3を、図2に示すように、ノズル近くの下方に向けた第1ノズル4と、対向する洗浄ノズル3の下方に向けた第2ノズル5と、洗浄水噴出孔を他より絞って対向する洗浄ノズル3の下方と平面視で内容物注ぎ部10側に傾けた第3ノズル6とに種類分けして、夫々噴射標的高さ及び方向を異ならせて設けてある。
【0019】
内容物注ぎ部10に対向する奥側の複数の洗浄ノズル3は、図2に示すように、手前下方に向けた第4ノズル7と、内容物注ぎ部10に向けて噴射する第5ノズル8とに略種分けされる。
【0020】
尚、各洗浄ノズル3は、噴射方向を適宜360度変更できるように給水配管12に取付けてある。
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
【0021】
〈1〉 前記洗浄ノズル3において、横軸心X方向に互いに対向する縁部夫々に設けた複数の洗浄ノズル3の内、互いに対向するもの同士の噴射標的高さを異ならせてあってもよい。例えば、互いに対向する一対の洗浄ノズル3の内、一方を前記第1ノズル4に設定し、他方を前記第2ノズル5に設定する。
〈2〉 前記タンク内洗浄装置11を、内容物注ぎ部10以外の開放口9の縁部に沿って配置すると共に、開放口9よりも上方に配置したが、少なくとも、内容物貯留状態で、タンク内洗浄装置11における横軸心Xを含む上下仮想平面よりも内容物注ぎ部側部分を、開放口9よりも上方に配置してあればよく、前記横軸心Xを含む上下仮想平面よりも内容物注ぎ部10とは反対の奥側部分を、開放口9の内側で、且つ、低い位置に、給水配管12及び洗浄ノズル3を共に配置してある場合、又は、洗浄ノズル3のみを開放口9の内側で低い位置に配置してある場合であっても良い。
〈3〉 前記タンク内洗浄装置11は、給水配管12に洗浄ノズル3を設けずに、洗浄ノズル3の代わりに、給水配管12の長手方向に複数の洗浄水吹出し孔を所定間隔置きに形成してあるものでもよい。
〈4〉 本発明の攪拌装置は、抽出用としての用途の例を示したが、例えば、練り餡などの粘性物の攪拌用に使用するものであっても良い。
【0022】
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0023】
1 タンク
2 攪拌羽根
3 洗浄ノズル
9 開放口
10 内容物注ぎ部
11 タンク内洗浄装置
X 横軸心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開放口を備えて、攪拌処理するための内容物の貯留可能なタンクを、前記開放口を上方に向けた内容物貯留状態と、前記開放口を横方向に向けた内容物流出状態とに横軸心周りに上下揺動自在に設け、前記内容物流出状態における内容物注ぎ部を前記開放口の一部に形成し、
横軸回転の攪拌羽根を前記タンク内に装備し、
前記タンクの内方に向けて洗浄水を噴射自在なタンク内洗浄装置を設けてある攪拌装置であって、
前記内容物貯留状態で、前記タンク内洗浄装置における前記横軸心を含む上下仮想平面よりも前記内容物注ぎ部側部分を、前記開放口よりも上方に配置してある攪拌装置。
【請求項2】
前記タンク内洗浄装置に洗浄ノズルを設け、その洗浄ノズルを前記開放口の縁部に沿って所定間隔置きに複数配置してあると共に、前記横軸心方向に互いに対向する前記縁部夫々に設けた複数の前記洗浄ノズルで、互いに対向するもの同士の噴射標的高さを異ならせてある請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項3】
前記タンク内洗浄装置に洗浄ノズルを設け、その洗浄ノズルを前記開放口の縁部に沿って所定間隔置きに複数配置してあると共に、前記横軸心方向に互いに対向する前記縁部夫々に設けた前記複数の前記洗浄ノズルで、隣接するもの同士の噴射標的方向を、異ならせてある請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項4】
前記タンク内洗浄装置を、前記内容物注ぎ部以外の前記開放口の縁部に沿って配置すると共に、前記開放口よりも上方に配置してある請求項1に記載の攪拌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−235238(P2011−235238A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109303(P2010−109303)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(309007911)サントリーホールディングス株式会社 (307)
【Fターム(参考)】