説明

支払カード信号を特徴付ける方法およびその回路

負荷変調される弱いRF搬送波信号によりデータを送信する、非接触式の支払カードをテストするための基準リーダを提供する。基準リーダは、リーダアンテナおよび同相信号除去回路とを含む。同相信号除去回路は、リーダアンテナで受信した搬送波信号を復調するように構成して、低変調指数を有する支払カードのデータ信号を取り出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2004年7月15日に出願した米国特許仮出願第60/588270号の利点を請求するものである。本願はさらに、同日に出願した米国特許出願第 号、第 号、第 号および第 号にも関連するものであり、それらはすべて、前述の特許出願第60/588270号の利点を請求している。ここでは、前述の特許出願の全てを、参照として組み込むものとする。
【背景技術】
【0002】
無線周波識別(RFID)タグは、アンテナに接続された微小な集積回路(ICs)であり、簡単な識別情報、または、ICのサイズに依存して多少複雑な信号を有する問い合わせRF信号に応答することができる。RFID技術は、通信用の見地での接点または線路を必要としない。無線周波識別(RFID)技術は、今日経済的に発展し得るものであり、商業および産業用途にますます展開されつつある。例えば、RFID技術は今や、倉庫、店舗における品目のタグや、IDまたはアクセスカード等に広く用いられている。さらに、支払カード業界(例えば、マスターカード、アメリカン・エクスプレスおよびビザ)では、RFIDタグを内蔵した“非接触式”支払カードまたはクレジットカードの形式で、RFID技術を導入している。これら非接触式支払カードは、RFID対応支払端末との無線通信による電子支払トランザクションを行うのに使用できる。この非接触式支払カードは、例えば小売店、店およびスーパーマーケットでの、品物およびサービスに対する簡単、高速かつ便利な支払方法を、消費者に提供する。
【0003】
RFID技術のいくつかは、非接触式支払カードおよびカードリーダ/端末において使用可能である。非接触式システムの主要な構成要素は、非接触式リーダ(または、近接型結合装置(PCD))およびトランスポンダである。この非接触式リーダは、電子回路に接続したアンテナである。トランスポンダは、誘導性アンテナ、およびこのアンテナの端部に接続した集積回路から成る。リーダとトランスポンダとの組合せは、変成器として機能する。交流が主コイル(リーダのアンテナ)を流れると、電磁界が生成され、この電磁界が、第2のコイル(トランスポンダのアンテナ)に電流を誘起する。トランスポンダは、非接触式リーダ(PCD)によって伝送される電磁界(またはRFフィールド)を、ダイオード整流器を用いて直流電圧に変換する。この直流電圧は、トランスポンダの内部回路を附勢する。両アンテナの相対的配置および同調によって、一方の装置から他方の装置への結合効率が決まる。トランスポンダは、非接触式支払カードとすることができる。
【0004】
非接触式支払カードシステムを経済的に発展させ、かつ商業的な承認を得るためには、カードおよび端末が有する技術的特徴がカード提供者/発行人、ベンダーまたは端末製造者に固有の独自のものであっても、非接触式支払カードは、全てのまたは大部分のRFID対応支払端末で共通して使用できるものでなければならない。業界全体にわたる相互運用性が求められている。このような目的で、業界標準化機構および団体(例えば、国際標準化機構(ISO)および国際電気標準機関(IEC))は、自発的に、非接触式支払技術の実施に関する業界標準を策定してきた。ISO/IECが定めた標準の3つの例は、密着型、近接型および近傍型カードにそれぞれ適用できる、ISO/IEC10536,ISO/IEC14443およびISO/IEC15693標準である。
【0005】
ISO/IEC14443近接型カード標準(ISO14443)は、世界中で展開している幾つかの非接触式カードに用いられている。ISO14443近接型カード向けの目標動作範囲は、10cm以下であるが、この範囲は、電力要件、メモリサイズ、CPU、およびコプロセッサに応じて変化する。
【0006】
このISO14443標準仕様は、以下の4つの別個のパートを含む。
・パート1:物理特性。近接型ICカード(PICC)の物理的寸法を規定する。このカードは、ID−1サイズ(85.6mm×54.0mm×0.76mm)である。これは、銀行カードと同一サイズである。
・パート2:無線周波出力および信号インタフェース。周波数、データ転送速度、変調方式、およびビット符号化手順といった項目を含む、非接触式ICチップの主要な技術特性を規定する。パート2では、タイプAのインターフェースとタイプBのインターフェースという、2つのバリエーションを詳述している。両者とも同一周波数で動作し、かつ、同一データ転送速度を用いるが、変調方式およびビット符号化手順が互いに異なる。
・パート3:初期設定および衝突防止。初期設定は、カードをリーダの無線周波(RF)フィールド内にもたらした際に通信を確立するための、近接型結合装置(PCD)(即ち、リーダ)およびカードに対する要件を記述している。衝突防止は、多数のカードが同時に磁界に入った場合に、どのようなことが起こるかを規定し、システムがどのカードをトランザクションにどのように用いるかを識別し、かつ、存在する全てのカードを確実に一覧化して処理することを規定している。
・パート4:伝送プロトコル。トランザクション期間に通信を可能にするデータフォーマットおよびデータ要素を規定する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ISO14443に準拠すべき非接触式支払カードおよびカードリーダのシステムの場合、それらのカードおよびリーダは、自主基準の少なくともいくつかのパート要件を満たさなければならない。ISO14443の下で標準化されている非接触技術に加え、業界では、複数のメーカ独自の非接触式インターフェースも用いられている(例えば、CubicのGo−CardおよびSonyのFelicaカード等)。既存のカード技術の展開に伴って、相互運用性が課題となり得る。市場にてベンダーが展開するカードリーダは、幾つかの種類の異なるカードに適合するのが好適である。例えば、ISO14443のタイプAおよびタイプBのカード、ISO15693カード、ならびに、さらに他の任意のメーカ独自のカード種類に対応するカードリーダが求められている。
【0008】
単一のISO標準(例えば、ISO14443)に準拠するカード展開でさえも、おそらく相互運用性の課題が生じ得る。ISO14443標準において、非接触式ICカードおよびリーダシステムにおけるRF電力および信号インターフェースに関連する要件または仕様の全て(即ち、システムに関する開放型システム間相互接続(OSI)モデル)は、カードおよびリーダ用の別個の標準化テストを用いて規定される。ISO/IEC10373標準のパート6(ISO10373−6)は、非接触式の集積回路カード技術(近接型カード)に特有のテスト手法を扱っている。基準装置を用いて、非接触式カードおよびリーダの、ISO14443への準拠が検証される。ISO10373−6によれば、非接触式カードの特性を示す一組の“基準”カード(例えば、基準PICC)を、非接触式リーダの、仕様書への準拠を評価するのに用いる(例えば図1aを参照されたい)。例えば基準PICCは、PCDが発生または伝送する磁界をテストし、かつ、PICCを附勢する能力をテストするに用いる。同様に、典型的な非接触式リーダの特性を表すことができる“基準”リーダ(即ち、テストまたは基準PCD)は、非接触式カードの仕様準拠を測定するのに用いる。例えば、一対の外部センスコイルとつないだ基準PCDは、テスト期間中にカードが生成する負荷変調をテストするのに用いる。
【0009】
ISO10373−6の下での、個別のカードおよびリーダの準拠テスト手順では、配備する製品装置の個々の特性が、カードまたはリーダ用に設計した仕様範囲のどちらにも収まるも、この手順は、現場での相互運用性を保証するものではない。準拠するものとして検証したカードおよび/またはリーダは、(例えば、設計仕様範囲の境界または縁部での特性値を有するだけで)辛うじて準拠しているだけにすぎない。このような標準準拠手法は、現場での動作不良となり得る。例えば、辛うじて準拠するカードは、辛うじて準拠するだけであるカードリーダを用いては読取れなかったり、または、読取りが困難となる可能性がある。
【0010】
さらに、非接触式装置にとって重要なデータ送信および受信機能の検証に関して、ISO10373−6は、カードによって生成される負荷変調データ信号を間接的に測定するだけの対策をしている。ISO10373−6が製品カードのテスト用に規定したPCDテストアセンブリは、基準PCDリーダの外部に一対のセンスコイルを有している。これらの外部センスコイルは、テストしているカードが生成して送信する、負荷変調データ信号を測定するのに用いられる。しかしながら、これらのセンスコイルによって測定される負荷変調信号と、基準PCDのアンテナが物理的に受信する信号との間には、直接の、または、明確な関係はない。従って、外部センスコイルを用いて製品カードのデータ送信機能をテストすることは、ISOに準拠すると推定される製品カードのデータ信号変調が、その変調データ信号を適切に受信または処理する製品リーダの能力にとって十分であるか、または適合するという保証を直接与えるものではない。
【0011】
ここでは、非接触式の電子支払システムにて用いる電子支払装置の、相互運用性を高める手法を考察する。一般に容認されている標準に合致するカードおよびリーダの特性における、ばらつきを低減することに注目する。特に、支払装置の相互運用性を高めるための仕様順守手順およびテスト装置の改善に注目する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、電子支払システムにて用いる相互作用する支払カードおよびリーダのデータ送信および受信機能をテストするために、信号を特徴付ける手法を提供する。この信号を特徴付ける方法は、CMR回路を利用して、リーダのアンテナによって受信されり搬送波信号を復調し、これによりカードが送信する振幅の小さいデータ信号を正確に再生する。リーダのアンテナにて受信されるカードのデータ信号を解析することで、リーダのアンテナの代わりに外部センスコイルを用いる従来の方法よりも、カードのデータ送信機能をより正確に特徴付けることができる。
【0013】
PayPassのような、実現されている非接触式の支払カード技術の模範例は、製品支払カード機能のテスト用に設計した基準PCDリーダ装置に、CMR回路を設けている。CMR回路および基準PCDリーダアンテナの両者は、共通の回路基板上に作ることができる。
【0014】
本発明のさらなる機能、その性質および種々の利点を、添付の図面およびこれ以降の詳細の説明にて明らかにしていく。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
非接触式の電子支払システムにて用いられる相互作用する支払カードおよびリーダのデータ送信機能および受信機能をテストするための、信号特徴付け方法を提供する。この信号特徴付け方法は、リーダのアンテナによって受信される搬送波信号を復調して、カードによって送信される負荷変調されたデータ信号を再生するのにCMR回路を利用する。負荷変調されるデータ信号の振幅は、搬送波信号の振幅に比べて非常に小さくすることができる。リーダのアンテナにて受信される負荷変調データ信号を解析および測定することで、リーダのアンテナの代わりに外部センスコイルを用いる従来の方法よりも、カードのデータ送信機能をより正確に特徴付けることができる。
【0016】
ここでは、本発明による信号特徴付け方法およびその回路を、電子支払システムの実施例において記述するものであり、その実施例では、非接触式支払装置の仕様を、個々の非接触式支払装置の仕様を検証するための標準化テスト手法(即ち、ISO10373−6テスト手法、近接型カード)をさらに特定するISO14443標準のような、一般的な業界標準に準拠させることを目的としている。近年、出願人のマスターカード インターナショナル コーポレイテッド(“MasterCard”)は、(例えば、カードおよびカードリーダの発行人、ベンダーまたは製造元による)近接型支払カード技術を実現するために、独自の仕様であるMasterCard PayPass ISO/IEC14443(“PayPass”)実施仕様を開発してきた。このPayPassの実現は、ISO14443標準と整合性がとれており、本発明の原理を説明する例として都合がよい。本願で説明用に選択したPayPassは模範例に過ぎず、本発明の原理を、他の業界または企業独自の標準の下で動作する電子支払い装置およびシステムにより一般的に適用できることを理解されたい。
【0017】
ISO14443標準のような仕様に準拠する業界標準の電子支払システムでは、13.56MHzの搬送波信号により、非接触式のカードリーダと支払カードとの間で電力およびデータを送信する。ISO14443標準では、支払カードに要求して、847.5kHzの方形波の副搬送波でビット符号化データを106Kbpsにて送信させる(図2を参照されたい)。支払カードは、誘導負荷を回路に入れたり出したりする切り換えによって、すなわち負荷変調によって、振幅の弱い(または変調指数の低い)データ信号を、リーダが発生する搬送波信号に重畳させる。変調振幅は、ほとんどのカード動作において約数mVから約100mVまでの範囲であり、リーダが発生する約数ボルトの範囲内の振幅を有し得る搬送波信号に重畳される。低変調指数は、一般に負荷変調された搬送波信号の100分の1以下であり、カードデータ信号を抽出して正確に特徴付けたりまたは測定することは困難である。データ送信機の仕様準拠を確実なものとし、かつ、支払装置を相互運用できるようにするためには、このような正確な特徴付けまたは測定が必要となり得る。ISO10373−6は、PICC負荷変調をテストするのに、搬送波信号から値の小さい負荷変調信号を抽出するための、同相信号除去(CMR)と呼ばれる技術を推奨している。
【0018】
相互作用する支払カードとリーダのデータ送信機能および受信機能をテストする、本発明の信号特徴付け方法は、CMR技術に基づくものでもある。CMR回路は基準リーダ(例えば、PayPass基準リーダ)内に設けて、これはカードの機能性をテストするのに用いる。リーダのアンテナは、CMR回路の入力端に接続する。CMR回路は、基準PCDそれ自身が受信した変調搬送波信号を処理し、かつ振幅の大きい搬送波信号から、振幅の小さい負荷変調データ信号を抽出する。
【0019】
図4は、模範的なCMR回路400のブロック図を示し、これは、基準PCD(例えば、PayPass基準PCDなど、米国特許出願第 号を参照のこと)に含めることができる。CMR回路400は、位相ロックループ(PLL)回路404、微分器404、増幅器406、およびオプションのA/D変換器408を備える。CMR回路400の入力端は、リーダアンテナ408の出力リードに接続する。PLL回路404は、入力信号における微小なばらつきを平均化するように設計して、安定した周波数、位相および振幅を有する出力信号を発生させる。位相検出器および発振器のような既知の要素を含むPLL回路404は、既知の電子回路の設計原理(例えば、http://en.wikipedia.org/wiki/Phase−locked_loop. を参照されたい)を用いて、都合よく設計することができる。
【0020】
動作時には、テスト下にあるPICC410は、PayPass基準PCDの着地面の上に置く。テスト条件下にあるPICC410は、13.56MHzの搬送波信号に重畳された負荷変調データ信号を発生し、その信号が、アンテナ402によって受信される。PLL404は、受信した搬送波信号420を処理して、変調されていない13.56MHzの搬送波信号(即ち、カードによって負荷変調されていないもの)の正確なレプリカである、“搬送波レプリカ”信号422を生成する。複製搬送波信号422および受信信号420は、微分器404に供給されて、テスト条件下にあるPICC410が発生する振幅の小さいデータ信号424を正確に再生するために、後者の信号から前者の信号を抽出する。データ信号424は、その後、増幅器414によってさらに増幅することができ、さらに、グラフィカルな測定用のオシロスコープ上に直接表示するか、もしくは、測定または解析に先立ち、オプションのアナログデジタルコンバータ416を介して処理することができる。
【0021】
本発明の信号検出手法および回路は、非接触式の支払装置(即ち、消費者に発行する製品カードおよび業者が分配する製品リーダに配備する製品カード)の相互運用性を高めるための、同時係累出願の米国特許出願第 号に開示されているシステムおよび方法とともに用いることができる。この特許出願に開示されているシステムおよび方法は、ISO14443標準の下で容認されている動作範囲よりも狭い指定範囲内で、個々の製品カードおよびリーダが動作または機能し得るようにする。このシステムおよび方法は、ISO14443およびISO10373−6標準の下で個々の製品リーダおよびカードの仕様準拠を検証するのに用いられている基準装置(例えば、同時係属出願中の米国特許出願第 号に開示されているPayPass基準PICCおよびPayPass基準PCD装置等)との相互校正を含む。基準PCDは、基準PICCの機能的動作またはパラメータ(“公称カード範囲”)が観察される範囲を定めるのに用いられる。製品カードリーダは、基準PCDによって測定されたこの公称カード範囲以内に収まるような機能的動作またはパラメータを有することが要求される。逆に、基準PCDの機能的動作およびパラメータ(“公称リーダ範囲”)が観察される範囲を定めるのには、基準PICCが用いられる。製品リーダは、基準カードを読取る際に、公称リーダ範囲内にある機能的動作またはパラメータを有することが要求される。
【0022】
製品の非接触式支払装置のデータ転送における相互運用性を保証する模範的な処理手順は、以下のステップ、すなわち:
(a)基準PICCによって発生される異なる信号のレベルおよび特性を決定するために、まずPayPass基準PICCを基準PCDに対して校正してから、前記基準PICCによって異なる信号を発生することにより、PCDによるデータ受信(例えば、負荷変調感度)をテストするステップと、
(b)基準PCDが作り出す電力レベルおよびコマンド特性の両方を、基準PICCに対して校正してから、基準PCDが“平均”値コマンドをPICCに送信し、基準PCDは“平均”電力レベルを提供するようにして、基準PCDにてPICCによるデータ伝送を測定するステップとを含むことができる。
【0023】
基準PCD内に、リーダアンテナに結合させるCMR回路を設けることによって、リーダにより受信されるPICCのデータ信号に直接アクセスすることが可能となり、従って、PICCデバイスのデータ伝送機能をより正確に測定できるようになる。CMR回路は、PayPass基準PCDデバイスに他の電子回路と共に設けることができ、CMRは、電子支払システムに配備される幾つかの任意のカードリーダと共に用いることができる支払カードをテストするために設計される。PayPass基準PCDの電子回路は、電子支払システムに配備される幾つかのリーダおよび相互作用するカードの動作を代表する外的振る舞いを呈するように構成する。電子回路は、13.56MHzで共振する、約7mm径のアンテナを備えるプリント回路基板を含む。
【0024】
図5は、模範的なCMR回路500の回路図を示しており、この回路は、PayPass基準PCDのアンテナと共に用いて、PICCによる負荷変調によって作られる弱い信号を分離することができる。動作中、PCDのアンテナ入力からCMR回路500への信号は、振幅変調した約1VPPの13.56MHz搬送波とすることができる。変調されたカードデータ信号は、847.5KHzの方形副搬送波である。変調指数は極めて低いので、CMR回路400は、残留搬送波の振幅をかなり低減し(例えば、約40dBにまで)、これは、受信信号の変調指数を同じ量だけ効果的に増加させるため、847.5KHzのデータ信号を、現実に即した有効な方法でサンプリングすることができる。サンプリングおよび測定は、アナログデジタル変換器によって効果的に行うことができ、アナログデジタル変換器は、必要に応じて、独立型にも、またはオシロスコープへの組込み型にもすることができる。
【0025】
本発明を特に模範的な実施例につき記述してきたが、当業者には本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、様々な修正および変更を行い得ることに留意されたい。従って、本発明で開示した実施態様は単に例示にすぎず、本発明は添付の請求の範囲においてのみ制限される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】支払カードが発生する振幅の小さいデータ信号を測定するための外部センスコイルの組を含む、ISO10373−6に基づく基準リーダのテストアセンブリを示す図である。
【図2】ISO14443標準が規定する、非接触式の支払カードとリーダとのデータ送信用搬送波信号変調スキームの概略図である。
【図3】支払カードが発生する、低変調指数を有するデータ信号の概略図である。
【図4】本発明による基準リーダのアンテナに接続する、同相信号除去(CMR)回路のブロック図であり、このCMR回路は、アンテナで受信した搬送波信号を復調するように構成して、テスト下にある支払カードが送信するデータ信号を抽出する。
【図5】本発明の原理に応じて、基準リーダのアンテナと結合する模範的なCMR回路の回路図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子支払システムに配備される任意の幾つかのカードリーダで用いることができる、支払カードをテストするための基準リーダであって、該基準リーダが、
外的振る舞いが、電子支払システムに配備される幾つかのカードリーダの動作を代表し、かつテスト下にある前記支払カードに対して前記代表する外的振る舞いを呈するように構成した電子回路と、
当該基準リーダにて受信した振幅変調されたデータ信号を復調するためのCMR回路とを備えている、
ことを特徴とする基準リーダ。
【請求項2】
請求項1に記載の基準リーダにおいて、
前記幾つかのカードリーダが非接触式の支払カードリーダであり、
前記基準リーダの電子回路が、約13.56MHzの共振周波数を有するアンテナを備え、さらに、
前記アンテナの出力リードが、前記CMR回路に接続されている、
ことを特徴とする基準リーダ。
【請求項3】
請求項1に記載の基準リーダにおいて、
前記アンテナ、電子回路およびCMR回路が、プリント回路基板上に作られる、
ことを特徴とする基準リーダ。
【請求項4】
請求項1に記載の基準リーダにおいて、前記CMR回路が、
位相ロックループ(PLL)回路と、
微分器と、
増幅器とを備える、
ことを特徴とする基準リーダ。
【請求項5】
請求項1に記載の基準リーダにおいて、前記CMR回路が、アナログデジタル変換器をさらに備える、
ことを特徴とする基準リーダ。
【請求項6】
電子支払システムに配備される任意の幾つかのカードリーダで用いることができる、支払カードをテストするための基準リーダであって、該基準リーダが、
RF搬送波周波数に同調するアンテナであって、テスト下にある前記支払カードに、当該アンテナによって受信されるRF搬送波信号に重畳される負荷変調データ信号を発生させるアンテナと、
前記アンテナが受信する負荷変調されたカードデータ信号を復調するように結合させたCMR回路とを備える、
ことを特徴とする基準リーダ。
【請求項7】
請求項6に記載の基準リーダにおいて、
前記RF搬送波信号を13.56MHzの搬送波信号とし、かつ、
前記負荷変調されたカードデータ信号を、847.5KHzの副搬送波信号とする、
ことを特徴とする基準リーダ。
【請求項8】
請求項6に記載の基準リーダにおいて、
前記アンテナおよび前記CMR回路を、プリント回路基板上に作成した、
ことを特徴とする基準リーダ。
【請求項9】
請求項6に記載の基準リーダにおいて、前記CMR回路が、
位相ロックループ(PLL)回路と、
微分器と、
増幅器とを備える、
ことを特徴とする基準リーダ。
【請求項10】
請求項9に記載の基準リーダにおいて、前記CMR回路が、アナログデジタル変換器をさらに備える、
ことを特徴とする基準リーダ。
【請求項11】
電子支払システムに配備される任意の幾つかのカードリーダで用いることができる、RF搬送波信号の副搬送波信号を負荷変調することによってデータを送信する非接触式の支払カードの、データ送信機能のテスト方法であって、以下のステップ、すなわち:
(a)前記支払カードによって発生される負荷変調されたデータ信号を受信するのに、RF搬送波信号の周波数に同調する基準アンテナを用いるステップと、
(b)前記受信した負荷変調されたデータ信号を復調し、かつ、前記負荷変調された副搬送波データ信号を抽出するのに、CMR回路を用いるステップと、
を含む、
ことを特徴とするデータ送信機能のテスト方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、
(c)前記基準リーダから前記支払カードへとRF搬送波信号にて電力およびデータコマンドを送信するのに、基準アンテナを用いるステップをさらに含む、
ことを特徴とするデータ送信機能のテスト方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、
前記ステップ(c)が、前記PICCへの、平均値を有する電力の送信および平均値コマンドであるデータコマンドの送信に、前記基準アンテナを用いるステップをさらに含み、
前記平均値は、電子支払システムに配備される幾つかのリーダおよび相互作用するカードの動作を代表する値を示す、
ことを特徴とするデータ送信機能のテスト方法。
【請求項14】
請求項11に記載の方法において、前記受信した負荷変調されたデータ信号の復調、および、前記負荷変調された副搬送波データ信号の抽出にCMR回路を用いる前記ステップ(b)が、受信信号の変調指数を増やすために前記搬送波信号の振幅を小さくするステップを含む、
ことを特徴とするデータ送信機能のテスト方法。
【請求項15】
請求項11に記載の方法において、
(d)前記抽出した信号をサンプリングするためにアナログデジタル変換器を用いるステップをさらに含む、
ことを特徴とするデータ送信機能のテスト方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−507046(P2008−507046A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−521695(P2007−521695)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/025220
【国際公開番号】WO2006/020072
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(500557864)マスターカード インターナシヨナル インコーポレーテツド (18)
【Fターム(参考)】