支承装置の取替工法及び該工法に用いる取替用支承装置
【課題】 主桁のジャッキアップ操作を行うための専用の受け台を不要にする。
【解決手段】 主桁4,5,6のフルウェブ部の所要個所にソールプレート27を取り付ける。ソールプレート27下方の増設横梁14上に配置した台座22上に支承本体26を取り付け、その上沓26aの上面とソールプレート27の下面との間に形成させる間詰め材充填空間部28に無収縮モルタル29を充填し、硬化させることで、増設横梁14と主桁4,5,6との間で、両者の間隔に一致する上下寸法を有する取替用支承装置21を形成させる。次いで、台座22のジャッキ挿入部24に挿入配置したジャッキ25により台座22ごと取替用支承装置21及び主桁4,5,6をジャッキアップして、既設の支承装置10を撤去し、しかる後、ジャッキダウンして主桁4,5,6の荷重を取替用支承装置21を介して増設横梁14へ伝えて支持させるようにする。
【解決手段】 主桁4,5,6のフルウェブ部の所要個所にソールプレート27を取り付ける。ソールプレート27下方の増設横梁14上に配置した台座22上に支承本体26を取り付け、その上沓26aの上面とソールプレート27の下面との間に形成させる間詰め材充填空間部28に無収縮モルタル29を充填し、硬化させることで、増設横梁14と主桁4,5,6との間で、両者の間隔に一致する上下寸法を有する取替用支承装置21を形成させる。次いで、台座22のジャッキ挿入部24に挿入配置したジャッキ25により台座22ごと取替用支承装置21及び主桁4,5,6をジャッキアップして、既設の支承装置10を撤去し、しかる後、ジャッキダウンして主桁4,5,6の荷重を取替用支承装置21を介して増設横梁14へ伝えて支持させるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、桁橋の橋脚と各主桁との間に介在させて設けて該各主桁の荷重を橋脚へ伝えて支持させるようにしてある支承装置のように、所要の支持構造物と、その上方に載置する被支持構造物との間に介在させて設けて該被支持構造物の荷重を上記支持構造物へ伝えて支持させるようにしてある既設の支承装置を、新規の支承装置に取り替えるために用いる支承装置の取替工法及び該工法に用いる取替用支承装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鋼橋の形式の1つに、多主I桁橋があり、この種の多主I桁橋の一例としては、たとえば、首都高速道路等の都市部の高架橋で用いられている図14(イ)(ロ)(ハ)及び図15に示す如き3主I桁橋がある。
【0003】
これは、橋幅方向の両側に立設した一対の脚柱2と、橋幅方向に延びてその両端部を上記各脚柱2にそれぞれ一体に取り付けた横梁3とからなる門型の鋼製橋脚1を備えている。
【0004】
更に、I桁からなる3本の主桁4,5,6を、橋幅方向に所要間隔で配置して、該各主桁4,5,6のうち、橋幅方向両端部の各主桁(以下、外主桁と云う)4,6の桁端はフルウェブとすると共に、橋幅方向中央部の主桁(以下、中主桁と云う)5の桁端には下部側に切欠き部7が設けてある。且つ上記中主桁5における上記切欠き部7の上側の桁端より所要寸法離れた桁端縁部所要個所の両側面と、その両側に位置する上記各外主桁4,6の桁端より所要寸法離れた桁端縁部所要個所の上部内側面とを、橋幅方向に延びる横桁(以下、端横桁と云う)8を介しそれぞれ一体に接続した構成として、上記中主桁5の切欠き部7が設けてある桁端と、上記各端横桁8の橋幅方向の外側端部寄り位置とを、上記鋼製橋脚1の横梁3の各橋軸方向面の下部に突設した桁受けブラケット9a,9b,9cの上側に、支承装置10を介在させて支持させた構成としてある。
【0005】
上記各支承装置10は、図15に示す如く、通常、上記各桁受けブラケット9a,9b,9c上に設置した台座11と、該各台座11上に取り付けた支承本体(シュー)12と、上記中主桁5の切欠き部7が設けてある桁端の下面、及び、上記各端横桁8の下面にて上記各支承本体12の真上となる所要個所にそれぞれ取り付けたソールプレート13とを備えて、該各ソールプレート13を、上記各支承本体12の上沓12aに図示しないセットボルトを介して連結した構成としてある。
【0006】
かかる構成としてあるI桁橋によれば、上記鋼製橋脚1の横梁3に、上記各主桁4,5,6を、該横梁3の上下寸法内で受けさせることができるため、上記横梁3の上下端部の高さ位置と、上記各主桁4,5,6の上下端部の高さ位置を揃えることができて、建築限界等により桁高制限を受ける場合に有利な構成とすることができるようにしてある。なお、図14(イ)(ロ)(ハ)では図示する便宜上、上記鋼製橋脚1の横梁3及び各主桁4,5,6の上側に設ける床版の記載を省略してある。(以後の図も同様。)
ところで、近年、上記図14(イ)(ロ)(ハ)及び図15に示した如き構成を有するI桁橋では、老朽化に伴う各支承装置10の支承本体12の機能の劣化や、支承周りの損傷が指摘されてきている。
【0007】
そのために、既設の各支承装置10の取り替えによる機能回復を図ると共に、支承周りの補強を行う改修方法として、いわゆる主桁フルウェブ化工事が従来行われている(たとえば、非特許文献1参照)。
【0008】
上記主桁フルウェブ化工事は、たとえば、図16(イ)(ロ)乃至図18(イ)(ロ)(ハ)の手順で行うようにしてある。すなわち、先ず、図16(イ)(ロ)に示す如く、図14(イ)(ロ)(ハ)及び図15に示したと同様の構成としてあるI桁橋における鋼製橋脚1の横梁3の下側に、橋軸方向に各主桁4,5,6の桁端縁部の下方位置まで延びる幅広の増設横梁14を配置して、その上端部を上記横梁3の下端部に一体に取り付けると共に、該増設横梁14の橋幅方向の両端部を、両脚柱2にそれぞれ一体に固定する。更に、上記増設横梁14の各橋軸方向面における上記各主桁4,5,6の真下となる位置には、個別のジャッキアップ用受け台15a,15b,15cを、上記中主桁5のウェブがフルウェブとなっている部分と対応する支間中央側位置まで橋軸方向に沿って突出するようにそれぞれ仮設する。
【0009】
次に、図17(イ)(ロ)(ハ)に示すように、上記増設横梁14の各ジャッキアップ用受け台15a,15b,15c上に設置したジャッキ16をそれぞれジャッキアップして、該各ジャッキ16の上側に上記各主桁4,5,6の下フランジをそれぞれ受けることで、該各主桁4,5,6に作用している荷重を、上記各ジャッキ16及び各ジャッキアップ用受け台15a,15b,15cを介し上記増設横梁14へ伝えて支持させるようにする。
【0010】
次いで、上記のようにして、各主桁4,5,6に作用している荷重を各ジャッキ16及び各ジャッキアップ用受け台15a,15b,15cを介して上記増設横梁14に受けさせると、上記鋼製橋脚1の横梁3の各橋軸方向面に設けてある各桁受けブラケット9a,9b,9c及びその上側の各支承装置10には、上記各主桁4,5,6からの荷重が作用しなくなるため、この状態で、上記横梁3より上記既設の各桁受けブラケット9a,9b,9c及び既設の各支承装置10を撤去する。
【0011】
その後、上記中主桁5の切欠き部7の周りに設けてあった下フランジを切除してから、図18(ロ)に示すように、該中主桁5の桁端を受けていた桁受けブラケット9b及び支承装置10が撤去された空間にて、上記中主桁5の残存するウェブに、該ウェブの切り欠かれた部分に嵌合可能な所要形状のフルウェブ化補強部材17を接合して、中主桁5の桁端をフルウェブ化する。更に、上記フルウェブ化された中主桁5の桁端における上記増設横梁14の上方で且つ後述する新規の支承装置19の上方に配される位置には、ウェブの下端から上端付近まで上下方向に延びる支点上補剛材18を、ウェブ両側面と下フランジにリブ状に取り付けて補強すると共に、該支点上補剛材18の橋軸方向の両側近傍個所のウェブ両側面と下フランジに、更に補強用のリブ20をそれぞれ取り付ける。同様に、図18(ハ)に示すように、上記各外主桁4,6の桁端における上記増設横梁14の上方で且つ後述する新規の支承装置19の上方に配される位置にも、支点上補剛材18をウェブ両側面と上下フランジにリブ状に取り付けて補強し、その橋軸方向両側近傍個所のウェブ両側面と下フランジに、更に補強用のリブ20をそれぞれ取り付ける。
【0012】
上記のようにして中主桁5の桁端のフルウェブ化が終了した後は、図18(イ)(ロ)(ハ)に示すように、上記増設横梁14における各主桁4,5,6の桁端の最終支承位置の真下となる所定個所に、図15に示した既設支承装置10と同様の図示しない台座、支承本体、ソールプレートからなる構成の新規支承装置19をそれぞれ設けてから、上記各ジャッキ16をジャッキダウンすることにより、上記各主桁4,5,6の桁端の最終支承位置を、上記各新規支承装置19を介して上記増設横梁14に支持させるようにして、既設の支承装置10の新規の支承装置19への取り替えと支承周りの補強の工事を終了する。
【0013】
しかる後、上記各ジャッキ16と増設横梁14に仮設してある各ジャッキアップ用受け台15a,15b,15cをそれぞれ撤去し、更に、必要に応じて、上記既設の各端横桁8の移設や取り替え等を行うようにしてある。
【0014】
【非特許文献1】下里哲弘,「首都高速道路の若返り作戦」,JSSC会誌,社団法人日本鋼構造協会,2003年10月,No.50,p.1−10
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところが、上記図16(イ)(ロ)乃至図18(イ)(ロ)(ハ)に示した従来の支承装置の取替工法では、鋼製橋脚1の横梁3に設けた桁受けブラケット9a,9b,9c上に既設の支承装置10に直接あるいは端横桁8を介して支持された各主桁4,5,6の当初の上下方向位置と、上記鋼製橋脚1に増設する増設横梁14上に新規の各支承装置19を介して各々支持させる各主桁4,5,6の上下方向位置が一致するように、上記新規の各支承装置19の高さ寸法をそれぞれ所定の寸法に設定することで、支承装置取替工事の前後で上記各主桁4,5,6の上下方向位置が変化しないようにしてあるが、上記鋼製橋脚1に対し増設横梁14を増設した後、該増設横梁14の上面における各主桁4,5,6の桁端の最終支承位置の真下となる所定個所に上記所定の高さ寸法を有する新規の各支承装置19を配設する作業を行うためには、上記各主桁4,5,6の桁端を当初の上下方向位置より所要寸法上方へ変位させて、上記増設横梁14の上面より該各主桁4,5,6の最終支承位置の下フランジ下面までの間隔を、上記新規の各支承装置19の高さ寸法よりも広げておく必要がある。
【0016】
又、各主桁4,5,6を直接あるいは端横桁8を介して支持していた既設の各支承装置10を撤去する際には、撤去作業を、該各支承装置10に上記各主桁4,5,6より作用している荷重を完全に抜いた後で行うようにしてある。
【0017】
そのために、上記従来の支承装置の取替工法では、上記各主桁4,5,6を、該各主桁4,5,6の長手方向における既設の各支承装置10による当初の支承位置、及び、上記新規の各支承装置19による最終支承位置のいずれとも異なる個所で一旦ジャッキアップする操作のために、上記増設横梁14に、上記各主桁4,5,6のジャッキアップ操作に専用に用いる仮設の各ジャッキアップ用受け台15a,15b,15cを設ける必要があり、よって、該各ジャッキアップ用受け台15a,15b,15cの製作に要する鋼材及び製造コストが嵩むと共に、上記各ジャッキアップ用受け台15a,15b,15cの設置や撤去に手間及び時間を要しているというのが実状である。
【0018】
そこで、本発明は、上記I桁橋の鋼製橋脚と各主桁との間に介在させて設けて該各主桁の荷重を橋脚へ伝えて支持させるようにしてある支承装置のように、所要の支持構造物と被支持構造物との間に介在させて設けて該被支持構造物の荷重を上記支持構造物へ伝えて支持させるようにしてある既設の支承装置を、上記被支持構造物のジャッキアップ操作に専用に用いるジャッキアップ用受け台を設ける必要をなくすことができるようにするための支承装置の取替工法及び該工法に用いる取替用支承装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、既設の支承装置で支持されている被支持構造物の所要個所にソールプレートを取り付け、該ソールプレートの下方の支持構造物上に、ジャッキ挿入部を備えた台座を配置すると共に、該台座の上側に支承本体を取り付けて、該支承本体の上沓の上面と上記ソールプレートの下面との間に間詰め材充填空間部を形成させ、次に、上記間詰め材充填空間部に間詰め材を入れることで、上記支持構造物と被支持構造物との間で、上記台座と支承本体と間詰め材とソールプレートからなり且つ上記支持構造物と被支持構造物との間隔に応じた上下寸法を有する取替用支承装置を形成し、次いで、上記台座のジャッキ挿入部に挿入配置したジャッキにより該台座ごと上記取替用支承装置をジャッキアップすることで、該取替用支承装置を介して上記被支持構造物をジャッキアップし、その後、上記既設の支承装置を撤去した後、上記ジャッキにより上記取替用支承装置及び被支持構造物をジャッキダウンして該被支持構造物を取替用支承装置を介して支持構造物に支持させるようにする支承装置の取替工法とする。
【0020】
更に、上記構成において、支承本体の上沓の上面とソールプレートの下面との間に形成させる間詰め材充填空間部に入れる間詰め材として、硬化性の流体を用いるようにする。
【0021】
又、請求項3に対応して、既設の支承装置で支持されている被支持構造物の所要個所に取り付けるソールプレートと、上記ソールプレートの下方の支持構造物上に配置するための台座と、該台座上に取り付ける支承本体と、該支承本体の上沓の上面と上記ソールプレートの下面との間に形成させる間詰め材充填空間部に入れるための間詰め材を備え、更に、上記台座を、台座天板の下方にジャッキ挿入部を備えて、該ジャッキ挿入部に挿入するジャッキにより台座自体をジャッキアップできるようにしてなる構成を有する取替用支承装置とする。
【0022】
更に、上記の取替用支承装置の構成において、支承本体の上沓の上面とソールプレートの下面との間に形成させる間詰め材充填空間部に入れる間詰め材を、硬化性の流体とした構成とする。
【0023】
更に又、上記の取替用支承装置の構成において、支承本体の上沓の外周縁部の上面側に、該上沓の上面とソールプレートの下面との間に形成させる間詰め材充填空間部を取り囲む堰部を設けるようにした構成とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)既設の支承装置で支持されている被支持構造物の所要個所にソールプレートを取り付け、該ソールプレートの下方の支持構造物上に、ジャッキ挿入部を備えた台座を配置すると共に、該台座の上側に支承本体を取り付けて、該支承本体の上沓の上面と上記ソールプレートの下面との間に間詰め材充填空間部を形成させ、次に、上記間詰め材充填空間部に間詰め材を入れることで、上記支持構造物と被支持構造物との間で、上記台座と支承本体と間詰め材とソールプレートからなり且つ上記支持構造物と被支持構造物との間隔に応じた上下寸法を有する取替用支承装置を形成し、次いで、上記台座のジャッキ挿入部に挿入配置したジャッキにより該台座ごと上記取替用支承装置をジャッキアップすることで、該取替用支承装置を介して上記被支持構造物をジャッキアップし、その後、上記既設の支承装置を撤去した後、上記ジャッキにより上記取替用支承装置及び被支持構造物をジャッキダウンして該被支持構造物を取替用支承装置を介して支持構造物に支持させるようにすることを特徴とする支承装置の取替工法としてあるので、最終的に被支持構造物を支持させる取替用支承構造物の設置個所で被支持構造物をジャッキアップすることができるため、被支持構造物のジャッキアップ操作に専用に用いるための受け台を設ける必要をなくすことができる。よって、支承装置の取替工事に要する工程を大幅に削減することができて、工期の短縮化を図ることが可能になる。
(2)既設の支承装置で支持されている被支持構造物の所要個所に取り付けるソールプレートと、上記ソールプレートの下方の支持構造物上に配置するための台座と、該台座上に取り付ける支承本体と、該支承本体の上沓の上面と上記ソールプレートの下面との間に形成させる間詰め材充填空間部に入れるための間詰め材を備え、更に、上記台座を、台座天板の下方にジャッキ挿入部を備えて、該ジャッキ挿入部に挿入するジャッキにより台座自体をジャッキアップできるようにしてなる構成を有する取替用支承装置とすることにより、上記(1)の支承装置の取替方法の実施に用いる取替用支承装置を容易に実現できる。(3)支承本体の上沓の上面とソールプレートの下面との間に形成させる間詰め材充填空間部に入れる間詰め材として、硬化性の流体を用いるようにすることにより、間詰め材充填空間部へ間詰め材を流動性を有する状態で注入、充填することで、該間詰め材充填空間部へ間詰め材を入れる作業を容易なものとすることができると共に、上記(1)に示した支承装置の取替工法で用いる取替用支承装置を、支持構造物と被支持構造物の間隔に応じた上下寸法でより確実に形成できる。
(4)支承本体の上沓の外周縁部の上面側に、該上沓の上面とソールプレートの下面との間に形成させる間詰め材充填空間部を取り囲む堰部を設けるようにした構成とすることにより、硬化性の流体である間詰め材を間詰め材充填空間部へ入れるときに、該間詰め材の流出を抑えることができて、間詰め材を間詰め材充填空間部へ容易に充填することができる。又、上記間詰め材充填空間部に確実に保持した状態で上記間詰め材を硬化させることができる。更には、硬化した間詰め材に上下方向の大きな荷重が作用する際に、該硬化した間詰め材の水平方向への変形を拘束する体積拘束効果を発揮させる効果が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
【0026】
図1乃至図11は本発明の支承装置の取替工法及び該工法に用いる取替用支承装置の実施の一形態として、図14(イ)(ロ)(ハ)及び図15に示したと同様に、支持構造物としての鋼製橋脚1に、被支持構造物としての主桁4,5,6の荷重を支持させる部分に設けてある既設の支承装置10を取替工事対象とする場合を示すもので、以下のようにしてある。
【0027】
すなわち、図1乃至図4は上記本発明の支承装置の取替工法で用いる取替用支承装置21を示すもので、図16乃至図18に示したと同様の上記鋼製橋脚1に増設する支持構造物としての増設横梁14の上面における上記各主桁4,5,6の最終支承位置の真下となる所要個所に設置するための台座22を備え、且つ該台座22を断面形状略門型とすると共に、台座天板23の下方にジャッキ25を側方より出し入れ可能なジャッキ挿入部24を備えてなる構成として、該ジャッキ挿入部24に挿入配置するジャッキ25により台座22自体をジャッキアップできるようにする。更に、上記台座22の上側に取り付ける支承本体26、被支持構造物としての主桁4,5,6の最終支承位置の下端に取り付けるソールプレート27、及び、上記支承本体26の上沓26aの上面と、上記ソールプレート27の下面との間に上下方向所要寸法の隙間として形成させる間詰め材充填空間部28に充填する間詰め材29を備えてなる構成とする。
【0028】
詳述すると、上記台座22は、たとえば、上記支承本体26として、底面形状が円形の支承本体26を用いる場合には、図2及び図3(イ)(ロ)(ハ)に示す如く、平面形状をU字型として上下方向に所要の高さ寸法を有する耐力壁部材30の上側に、該耐力壁部材30全体を覆う略半円形状の台座天板23を取り付け、且つ上記耐力壁部材30の下側に、該耐力壁部材30の内外方向の厚み寸法よりも広い所要幅で該耐力壁部材30に沿って水平面内でU字型に湾曲するベース部材31を取り付けて一体とすることで、上記平面形状U字型としてある耐力壁部材30及びベース部材31の内側に、該平面形状U字型としてある耐力壁部材30及びベース部材31の開口部分を通して側方からジャッキ25を出し入れ可能なジャッキ挿入部24を形成した構成としてある。これにより、上記台座22を、上記増設横梁14の上面に配置した状態で、その内側のジャッキ挿入部24へジャッキ25を挿入することで、該ジャッキ25を上記増設横梁14の上面と、台座天板23との間に配置できるようにしてある。よって、上記のようにして台座22のジャッキ挿入部24へ挿入配置したジャッキ25を伸長作動させることで、上記増設横梁14の上側で、該台座22自体をジャッキアップできるようにしてある。
【0029】
上記間詰め材29は、無収縮性又は硬化時における収縮率が極わずかな硬化性の流体として、たとえば、無収縮モルタル29を用いるようにしてある。
【0030】
上記ソールプレート27は、たとえば、所要の厚み寸法を有する方形の平板状とすると共に、所要の側面の上端部、たとえば、対向する一対の側面の上端部より水平方向外向きに所要寸法突出する取付部27aを備えた構成としてある。これにより、上記被支持構造物としての各主桁4,5,6の最終支承位置の下端部となる下フランジの下側に、上記ソールプレート27を配置した状態で、該ソールプレート27の上記各取付部27aを、上記各主桁4,5,6の下フランジにボルト等の図示しない所要の取付手段により取り付けて一体とすることができるようにしてある。
【0031】
上記支承本体26は、上沓26aを上記ソールプレート27の下端部の平面形状よりも一回り大きな方形としてある。更に、該上沓26aの外周縁部の上面には、所要寸法上方へ突出する堰部32が一体に設けてある。これにより、該堰部32の内側に上記ソールプレート27の下端部を上方より挿入できるようにして、上記上沓26aの上面と、上記ソールプレート27の下面との間に隙間としての間詰め材充填空間部28を形成させるときに、上記堰部32の上端位置が上記ソールプレート27の下端位置よりも高くなるようにすることで、上記間詰め材充填空間部28の周囲を該堰部32により取り囲むことができるようにしてある。よって、上記間詰め材充填空間部28へ上記間詰め材としての無収縮モルタル29を充填するときには、硬化前の流動性を有する無収縮モルタル29を上記堰部32の内側に溜めることで、該硬化前の無収縮モルタル29の間詰め材充填空間部28への充填を容易なものとすることができるようにしてあると共に、該無収縮モルタル29を上記間詰め材充填空間部28に確実に保持した状態で硬化させることができるようにしてある。更には、上記間詰め材充填空間部28へ充填した無収縮モルタル29が硬化した後は、該硬化した無収縮モルタル29の周りに配置されている上記堰部32により、硬化した無収縮モルタル29に対して上下方向の大きな荷重が作用する際に、該硬化した無収縮モルタル29のポアソン比に応じた水平方向への変形を拘束して体積拘束効果を発揮させる効果が期待できるようにしてある。26bは上記支承本体26の下沓である。
【0032】
更に、上記ソールプレート27の厚み寸法と、上記支承本体26の下端から上記堰部32と後述するボス36を除く上沓26aの上面までの高さ寸法と、台座22の高さ寸法は、該各寸法の和が、上記鋼製橋脚1に増設した増設横梁14の上面から、鋼製橋脚1の横梁3に設けた既設の桁受けブラケット9a,9b,9c上に既設の支承装置10と端横桁8を介して支持された状態の各主桁4,5,6の最終支承位置となるフルウェブ部の下フランジ下面までの上下方向寸法よりも所要寸法、たとえば、20〜30mm程度小さくなるようにしてある。これにより、上記増設横梁14の上面に台座22を介して設置した状態の支承本体26の上沓26aの上面と、上記各主桁4,5,6の最終支承位置の下フランジ下面に取り付けた状態のソールプレート27の下面との間に、上下方向寸法が20〜30mm程度となる隙間として間詰め材充填空間部28を形成させることができるようにしてある。なお、上記支承本体26の上沓26aの上面と上記ソールプレート27の下面との間に形成される間詰め材充填空間部28への間詰め材としての無収縮モルタル29の充填は、該間詰め材充填空間部28へ隙間なく充填できるようにしてあれば、たとえば、上記ソールプレート27及び上記各主桁4,5,6の下フランジの所要個所に貫通させて設けた図示しない注入孔を通して圧入するようにしたり、上記ソールプレート27と支承本体26の上沓26aに設けた堰部32との隙間を通して圧入したり、上記支承本体26の上沓26aやソールプレート27の所要個所に上記間詰め材充填空間部28に連通させるための注入口を予め設けて、該注入口より圧入する等、任意の充填手段を採用してよい。
【0033】
上記ソールプレート27や支承本体26の平面サイズは、被支持構造物としての上記各主桁4,5,6より取替用支承装置21に作用することとなる垂直荷重の大小に応じて、上記ソールプレート27や支承本体26や両者の間に充填する間詰め材としての無収縮モルタル29に作用する面圧が、該ソールプレート27や支承本体26や無収縮モルタル29の耐圧能の許容範囲内に収まるように適宜設定してあるものとする。
【0034】
更に、上記支承本体26の上沓26aの上面所要個所にはねじ穴33を設け、一方、上記ソールプレート27及び各主桁4,5,6の下フランジにおける上記ねじ穴33と対応する個所にはボルト孔(ボルト挿通孔)34を設けて、上記各主桁4,5,6の下フランジ、及び、その下側に取り付けたソールプレート27のボルト孔34に上方より挿通させたセットボルト35の先端部(下端部)を、上記支承本体26の上沓26aのねじ穴33に螺着させることで、上記ソールプレート27の下側に配置した上記支承本体26を、上記セットボルト35により吊って保持することができるようにしてある。
【0035】
なお、図1に示す如く、支承本体26の上沓26aの上面の中央部に、剪断拘束部材としてのボス36を、該上沓26aの上面と上記ソールプレート27の下面との間に形成させる間詰め材充填空間部28の上下方向寸法よりも大となる上下方向寸法で突設する一方、上記ソールプレート27の中央部に、上記ボス36の断面形状に応じた形状の嵌合孔37を設けた構成としてもよい。このようにすれば、上記ソールプレート27と上記支承本体26を上下方向に並べて配置するときに、該支承本体26の上沓26aに設けてあるボス36の上部を、上記ソールプレート27の嵌合孔37に下方より挿入して嵌合させることで、鋼製橋脚1の増設横梁14に台座22を介して取り付ける支承本体26の上沓26aと、上記各主桁4,5,6に取り付けたソールプレート27との間に水平方向に相対変位させようとする荷重が作用するときに、該荷重を上記上沓26aのボス36と、ソールプレート27の嵌合孔37との嵌合により受けることができるようにしてもよい。
【0036】
その他、図14乃至図18に示したものと同一のものには同一の符号が付してある。
【0037】
以上の構成としてある本発明の取替用支承装置21を用いて支承装置の取替工事を行う場合は、先ず、図5(イ)(ロ)に示す如く、図14(イ)(ロ)(ハ)及び図15に示したと同様の3主I桁橋の鋼製橋脚1の横梁3の下側に、橋軸方向に中主桁5のフルウェブ部の下方位置まで延びる幅広の増設横梁14を配置して、その上端部を上記横梁3の下端部に一体に取り付けると共に、該増設横梁14の橋幅方向の両端部を、両脚柱2にそれぞれ一体に固定する。又、予め、本発明の取替用支承装置21の構成要素である台座22と支承本体26とソールプレート27を分離した状態で準備すると共に、間詰め材として用いるための無収縮モルタル29、及び、上記台座22のジャッキ挿入部24へ挿入して用いるためのジャッキ25を別途用意しておく。
【0038】
上記のようにして増設横梁14を設けた後は、図6(イ)(ロ)に示す如く、上記各主桁4,5,6における上記増設横梁14の橋軸方向両端部の上方に位置するフルウェブ部分を最終支承位置に設定して、該最終支承位置の下フランジの下面に、上記ソールプレート27の取付部27aを、ボルト等の図示しない所要の取付手段により取り付ける。又、上記各主桁4,5,6の上記最終支承位置のウェブの両側面と下フランジには、図18(ロ)(ハ)に示したと同様に支点上補剛材18を設け、更に、該支点上補剛材18の橋軸方向の両側近傍個所のウェブ両側面と下フランジに、補強用のリブ20をそれぞれ取り付けるようにする。なお、この際、上記各主桁4,5,6のうち、中主桁5の場合は、図6(ロ)に示すように、支点上補剛材18の橋軸方向両側近傍個所のウェブの両側面と下フランジに予め設けるリブ20のうち、上記支点上補剛材18よりも桁端寄りに設けるリブとして、該中主桁5の切欠き部7に沿って設けてある既設のフランジをそのまま利用するようにしてもよい。このようにすれば、上記中主桁5に新設するリブ20の数を半減できるため、該中主桁5にリブ20を設けるための作業に要する手間及び時間を削減できるようになる。
【0039】
次に、図7(イ)に示すように(以後の工程は各主桁4,5,6について共通であるため、図示する便宜上、図7(イ)(ロ)乃至図11では、図6(ロ)に対応する図のみを示して各主桁4,5,6について実施する工程を説明するようにする。)、上記ソールプレート27の下側に支承本体26を配置して、該支承本体26の上沓26aの上面に突設してあるボス36を上記ソールプレート27に設けた嵌合孔37に挿入すると共に、上記上沓26aの上面の外周縁部に設けてある堰部32を上記ソールプレート27の下端部の周りに配置した状態で、上記各主桁4,5,6の下フランジと上記ソールプレート27のボルト孔34に上方より挿通させたセットボルト35の先端部を、上記支承本体26の上沓26aに設けてあるねじ穴33に螺着させて、該支承本体26を上記各ソールプレート27の下側に一旦吊り下げるようにして保持させる。
【0040】
次いで、図7(ロ)に示す如く、上記増設横梁14の上面と、上記支承本体26の下端との間に、台座22を挿入して仮設置する。
【0041】
上記のようにして支承本体26の下方に台座22を配置したら、上記セットボルト35を緩めることにより、図8(イ)に示すように、上記支承本体26を自重により下降させて、上記台座22の上に載置させ、この状態で、該各支承本体26の下沓26bの下端部を、対応する台座22の上端部に溶接等の所要の固定手段により固定して一体化する。これにより、上記台座22上に固定された支承本体26の上沓26aの上面と、上記ソールプレート27の下面との間には、隙間としての間詰め材充填空間部28が形成されるようになる。
【0042】
上記間詰め材充填空間部28が形成された後は、図8(ロ)に示すように、上記間詰め材充填空間部28に無収縮モルタル29を隙間なく充填する。これにより、上記間詰め材充填空間部28に充填された無収縮モルタル29が硬化して強度が発現されると、上記増設横梁14と、上記各主桁4,5,6の最終支承位置の下フランジとの間には、上記ソールプレート27と強度発現した無収縮モルタル29と支承本体26と台座22が上下方向に一体に連結された構成を具備して大きな垂直荷重に耐え得る強度を備えた本発明の取替用支承装置21が、上記増設横梁14の上面と、横梁3に既設の桁受けブラケット9a,9b,9cに既設の支承装置10や端横桁8(図5(イ)参照)を介して支持された状態の各主桁4,5,6の上記最終支承位置の下フランジの下面との間隔に一致した上下方向寸法で形成されるようになる。
【0043】
上記増設横梁14と各主桁4,5,6の最終支承位置の下フランジとの間隔に一致する取替用支承装置21が形成された後は、図9(イ)に示すように、上記取替用支承装置21における台座22のジャッキ挿入部24へジャッキ25を挿入して配置し、次いで、該ジャッキ25を伸長作動させることにより、図9(ロ)に示すように、上記台座22とその上側の支承本体26と、間詰め材充填空間部28に充填状態で硬化させた無収縮モルタル29と、ソールプレート27を一体としてなる本発明の取替用支承装置21を、該台座22ごとジャッキアップすることで、該取替用支承装置21の上端部のソールプレート27が最終支承位置に取り付けてある上記各主桁4,5,6をジャッキアップする。
【0044】
上記のようにして各主桁4,5,6のジャッキアップが行われると、鋼製橋脚1の横梁に設けてある桁受けブラケット9a,9b,9c上の既設の支承装置10より、上記各取替用支承装置21及びジャッキ25へ上記各主桁4,5,6からの荷重が盛替えられ、よって、上記既設の支承装置10及び桁受けブラケット9a,9b,9cには各主桁4,5,6の荷重が作用しなくなるため、この状態で、図10(イ)に示す如く、上記既設の支承装置10及び既設の桁受けブラケット9a,9b,9cの撤去を行う。
【0045】
その後、図10(ロ)に示すように、上記ジャッキ25を収縮させて上記取替用支承装置21を台座22ごとジャッキダウンさせると、上記各主桁4,5,6の荷重が、上記取替用支承装置21を介して上記増設横梁14に伝えられて支持されるようになる。よって、その後は、図11に示すように、上記取替用支承装置21の台座22のジャッキ挿入部24より上記ジャッキ25を撤去した後、上記台座22の下端部を、上記増設横梁14に溶接等の所要の固定手段により固定して一体化するようにする。これにより、上記既設の支承装置10から新たに設けた取替用支承装置21への支承装置の取替工事が完了するようになる。又、必要に応じて、既設の各端横桁8(図5(イ)参照)の移設や取り替え等を行うようにすればよい。
【0046】
更に、上記図11にて増設横梁14に固定した後の台座22のジャッキ挿入部24に、無収縮モルタル(図示せず)を充填するようにしてもよい。このようにすれば、台座内部の防錆、保護と、上記台座22にて下方にジャッキ挿入部24が設けてある台座天板23の自動車等による変動荷重に起因する撓みや振動を抑制する効果、すなわち、経年による疲労損傷の抑制効果が期待できる。
【0047】
このように、本発明の支承装置の取替工法及び該工法に用いる取替用支承装置によれば、鋼製橋脚1の横梁3に設けた桁受けブラケット9a,9b,9cに既設の支承装置10を介して支持されている各主桁4,5,6に設定した最終支承位置の下フランジの下面と、上記鋼製橋脚1に増設する増設横梁14の上面との間に、両者の間隔に一致する上下方向寸法を備えた取替用支承装置21を配置することができると共に、該取替用支承装置21を、下端部に位置する台座22にジャッキ挿入部24を設けてなる構成としてあることから、上記取替用支承装置21の台座22のジャッキ挿入部24に挿入配置するジャッキ25により該取替用支承装置21を介して上記各主桁4,5,6の最終支承位置をジャッキアップすることができる。したがって、上記主桁4,5,6の荷重を既設の支承装置10から、上記取替用支承装置21へ盛替えるときに、非特許文献1に示されたような従来の支承装置取替工法で要していた如き各主桁4,5,6のジャッキアップ操作に専用に用いるジャッキアップ用受け台を不要にできるため、支承装置の取替工事に要する工程を削減することができて、工期の短縮化を図ることが可能になる。
【0048】
更に、上記中主桁5は、既設の支承装置10による当初の支承位置である切欠き部7が設けてある桁端より、フルウェブ部分へと支承位置を変更するようにしてあるので、上記切欠き部7を補強するためのフルウェブ化の工程を不要にでき、このことによっても、支承装置の取替工事に要する工程を削減して、工期の短縮化を図ることが可能になる。
【0049】
更に又、上記台座22は、台座天板23の下方にジャッキ25を挿入するための空間を有する構成としてあるため、該台座天板23に局所的に大きな荷重が作用することは好ましくないが、支承本体26の下沓26bを上記台座天板23の面に対して荷重を分散して作用させるための応力部材として活用することができるようになる。よって、上記支承本体26の下沓26bが高剛性の厚肉の板材としてあることにより、上記台座天板23に局所的な応力が作用する虞を未然に防止できるようになるため、該台座天板23の板厚を減らす効果が期待できる。
【0050】
上記実施の形態では、底面形状が円形の支承本体26を用いることに対応させて、台座22の台座天板23を略半円形状とするものとして示したが、底面形状が四角形の支承本体26を用いる場合は、上記台座天板23を四角形とするようにすればよい。この場合、耐力壁部材30及びベース部材31は、平面形状U字型に代えて、上記四角形の台座天板23の三方の辺部に沿う平面形状コの字型のものとしてもよい。
【0051】
次に、図12(イ)(ロ)は本発明の実施の他の形態として、図1乃至図11の実施の形態における取替用支承装置21を構成するために用いる台座の別の例を示すもので、以下のような構成としてある。
【0052】
すなわち、図12(イ)(ロ)に示す台座22aは、矩形板状の台座天板23aの下側に、該台座天板23aの矩形の各対辺の中間部同士を結ぶ平面十字型として所要の高さ寸法を有する耐力壁部材30aの上端部を一体に取り付け、更に、上記耐力壁部材30aの下側に、該耐力壁部材30aの板厚寸法よりも広い所要幅で水平面内にて該耐力壁部材30aに沿う十字型のベース部材31aを取り付けて一体とすることで、上記台座天板23aの下方に配した平面十字型としてある耐力壁部材30a及びベース部材31aの4つの各コーナ部を、側方からジャッキ25を出し入れ可能なジャッキ挿入部24とした構成としてある。これにより、上記台座22aを、上記増設横梁14の上面に配置した状態で、各ジャッキ挿入部24に小型のジャッキ25を挿入することで、該各ジャッキ25を上記増設横梁14の上面と、台座天板23aとの間に配置できるようにしてある。よって、上記台座22aの4つのジャッキ挿入部24のうち、少なくとも対角方向の2つのジャッキ挿入部24にジャッキ25を個別に挿入して配置した状態で、上記各ジャッキ25を同期して伸長作動させることで、上記増設横梁14の上側で、該台座22a自体をジャッキアップすることができるようになる。
【0053】
したがって、以上の構成としてある台座22aを、図1乃至図11の実施の形態に示した台座22に代えて用いることができるため、該台座22に代えて本実施の形態の台座22aを用いて構成した取替用支承装置21によっても、上記図1乃至図11の実施の形態と同様の支承装置の取替工事を行うことができて、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0054】
上記各実施の形態においては、間詰め材として無収縮モルタル29を用いる場合について示したが、上記間詰め材29は、無収縮性又は硬化時における収縮率が極わずかな硬化性の流体であり、且つ、上記支承装置22の上沓26aの上面とソールプレート27の下面との間に形成される間詰め材充填空間部28に充填された状態で、各主桁4,5,6より作用する垂直荷重に耐え得る耐圧能を備えていれば、エポキシ樹脂等の樹脂や、その他、いかなる硬化性の流体を用いるようにしてもよい。
【0055】
更には、上記硬化性の流体の間詰め材29に代えて、各主桁4,5,6より作用する垂直荷重に耐え得る耐圧能を備えた鋼材等によるソリッドな間詰め材を用いるようにしてもよい。すなわち、図13に示すように、図8(イ)に示したと同様に、上記増設横梁14上に仮設置した台座22上に支承本体26の下沓26bを取り付け、且つ各主桁4,5,6の最終支承位置の下フランジの下面にはソールプレート27を取り付けた状態で、上記支承本体26の上沓26aの上面と、上記ソールプレート27の下面との間に隙間としての間詰め材充填空間部28を形成させた後、該間詰め材充填空間部28の上下方向寸法に対応した厚み寸法となるように鋼材等により製作したソリッドな間詰め材29aを、上記間詰め材充填空間部28へ側方より押し込み、必要に応じて上記間詰め材29aを上記支承本体26の上沓26aやソールプレート27の一方又は双方に溶接等の所要の固定手段で固定することにより、上記増設横梁14の上面と、上記各主桁4,5,6の最終支承位置の下フランジ下面との間にて、上記ソールプレート27と間詰め材29aと支承本体26と台座22が上下方向に連結された構成を具備して大きな垂直荷重に耐え得る強度を備え、且つ上記増設横梁14の上面と上記各主桁4,5,6の最終支承位置の下フランジ下面との間の間隔に一致した上下方向寸法を有する取替用支承装置21を形成させるようにしてもよい。なお、このようにソリッドな間詰め材29aを用いる場合は、上記間詰め材29aを、上記間詰め材充填空間部28へ側方より押し込む必要上、上記支承本体26の上沓26aの外周縁部上面側の堰部32は省略すればよい。又、上記支承本体26の上沓26aの上面中央部にボス36が設けてある場合は、上記間詰め材29aを、2分割以上の複数分割構造とすると共に、各分割体に上記ボス36との干渉を防止するための半円形や扇形等の切り欠きを設けておくようにすればよい。
【0056】
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、支承本体26の上沓26aと、上記各主桁4,5,6に取り付けたソールプレート27との間に水平方向に相対変位させようとする方向に作用する荷重に対する耐力を向上させる観点からすると、上記支承本体26の上沓26aにボス36を設けると共に、ソールプレート27に上記上沓26aのボス36を嵌合させるための嵌合孔37を設けることが好ましいが、上記上沓26aのボス36とソールプレート27の嵌合孔37は省略してもよい。
【0057】
又、図1乃至図11の実施の形態においては、支承本体26の上沓26aの上面外周縁部に、間詰め材充填空間部28を取り囲むための堰部32を一体に設けるものとして示したが、該上記上沓26aの堰部32を省略して上記間詰め材充填空間部28に間詰め材としての無収縮モルタル29を充填するときに、該間詰め材充填空間部28の周りに無収縮モルタル29の流出を阻止した状態で硬化させるための型枠を設けるようにしてもよい。
【0058】
上記のように支承本体26の上沓26aの上面側の堰部32及びボス36を共に省略する場合は、図6(イ)(ロ)に示したように主桁4,5,6の最終支承位置の下フランジの下面にソールプレート27を取り付けた後、図7(イ)に示したように、上記ソールプレート27に、一旦、支承本体26をセットボルト35により取り付けた状態としてから、図7(ロ)に示したように、該ソールプレート27に取り付けた支承本体26と、増設横梁14上面との間に台座22を挿入し、その後、図8(イ)に示すように上記セットボルト35を緩めて、上記支承本体26を台座22上に載置させるようにする工程に代えて、図6(イ)(ロ)に示したように主桁4,5,6の最終支承位置の下フランジの下面にソールプレート27を取り付けた後、該ソールプレート27の下面と増設横梁14の上面との間に、台座22及び支承本体26を、順次又は重ねた状態で一括して側方から挿入して配置するようにしてもよい。
【0059】
取替用支承装置21の台座は、取替用支承装置21自体及び主桁4,5,6より作用する荷重を支持でき、且つ台座天板23,23aの下方に、ジャッキ25を側方より出し入れ可能なジャッキ挿入部24を備えて、該ジャッキ挿入部24に挿入配置したジャッキ25により台座自体をジャッキアップできるようにしてあれば、図2及び図3(イ)(ロ)(ハ)に示した如き構成の台座22や、図12(イ)(ロ)に示した如き構成の台座22a以外のいかなる構成の台座を用いるようにしてもよい。
【0060】
本発明の支承装置の取替工法は、箱桁橋にて、支持構造物としての鋼製橋脚上に、被支持構造物としての箱桁を支持するために用いている支承装置10の取替工事に適用してもよい。更には、支持構造物の上側に被支持構造物が既設の支承装置10を介して支持され、且つ支承取替工事により新たに設ける取替用支承装置21による被支持構造物の最終支承位置を、上記既設の支承装置10による当初の支承位置と異なる個所に設定できれば、鋼橋における鋼製橋脚1による主桁4,5,6の支持部分以外のいかなる支持構造物上にて被支持構造物を支持している支承装置の取替工事に適用してもよい。
【0061】
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の支承装置の取替工法及び該工法に用いる取替用支承装置の実施の一形態として、I桁橋の鋼製橋脚に主桁を支持させる部分に設けてある支承装置の取替工事を行う場合の適用例を示すもので、取替工法で用いる取替用支承装置を示す一部切断概略側面図である。
【図2】図1の取替工法で用いる取替用支承装置を構成する台座を示す概略斜視図である。
【図3】図2の台座を示すもので、(イ)は概略平面図、(ロ)は概略正面図、(ハ)は概略切断側面図である。
【図4】図1の取替工法で用いる取替用支承装置における支承本体の上沓の上端部を拡大して示す切断側面図である。
【図5】図1の取替工法の手順を示すもので、(イ)鋼製橋脚の横梁の下方に増設横梁を設けた状態を示す概略平面図、(ロ)は(イ)のA−A方向矢視図である。
【図6】図1の取替工法における図5(イ)(ロ)に続く手順を示すもので、(イ)は外主桁の最終支承位置の下端部にソールプレートを取り付けた状態を、(ロ)は中主桁の最終支承位置の下端部にソールプレートを取り付けた状態をそれぞれ示す概略側面図である。
【図7】図1の取替工法における図6(イ)(ロ)に続く手順を示すもので、(イ)はソールプレートの下側に支承本体を取り付けた状態を示す一部切断概略側面図、(ロ)は増設横梁の上面に台座を設置した状態を示す一部切断該略側面図である。
【図8】図1の取替工法における図7(ロ)に続く手順を示すもので、(イ)は台座の上側に支承本体を取り付けて上沓とソールプレートとの間に間詰め材充填空間部を形成させた状態を示す一部切断概略側面図、(ロ)は間詰め材充填空間部に無収縮モルタルを充填して取替用支承装置を形成させた状態を示す一部切断概略側面図である。
【図9】図1の取替工法における図8(ロ)に続く手順を示すもので、(イ)は台座のジャッキ挿入部にジャッキを挿入して配置した状態を示す一部切断概略側面図、(ロ)はジャッキにより取替用支承装置を介した主桁のジャッキアップを行った状態を示す一部切断概略側面図である。
【図10】図1の取替工法における図9(ロ)に続く手順を示すもので、(イ)は既設の支承装置及び桁受けブラケットを撤去した状態を示す一部切断側面図、(ロ)は主桁をジャッキダウンした状態を示す一部切断概略側面図である。
【図11】図1の取替工法における図10(ロ)に続く手順を示すもので、ジャッキを撤去した後、台座を増設横梁上に固定した状態を示す一部切断概略側面図である。
【図12】本発明の実施の他の形態として、取替用支承装置に用いる台座の別の例を示すもので、(イ)は概略斜視図、(ロ)は概略平面図である。
【図13】本発明の実施の更に他の形態として、支承装置の取替工法に用いる取替用支承装置の別の例を示す一部切断概略側面図である。
【図14】多主I桁橋の一例として、従来首都高速道路等で用いられている3主I桁橋の概略を示すもので、(イ)は平面図、(ロ)は(イ)のB−B方向矢視図、(ハ)は(イ)のC−C方向矢視図である。
【図15】図14の3主I桁橋にて鋼製橋脚に主桁を支持させる部分に設けてある支承装置を拡大して示す概略側面図である。
【図16】従来主桁フルウェブ化工事として行われている支承装置の取替工法にて鋼製橋脚の横梁の下方に増設横梁を設けた状態を示すもので、(イ)は概略平面図、(ロ)は(イ)のD−D方向矢視図である。
【図17】主桁フルウェブ化工事にて各主桁をジャッキアップした状態を示すもので、(イ)は概略平面図、(ロ)は(イ)のE−E方向矢視図、(ハ)は(イ)のF−F方向矢視図である。
【図18】主桁フルウェブ化工事にて中主桁をフルウェブ化した後、増設横梁上に新たに設けた支承装置の上側に各主桁を載置した状態を示すもので、(イ)は概略平面図、(ロ)は(イ)のG−G方向矢視図、(ハ)は(イ)のH−H方向矢視図である。
【符号の説明】
【0063】
1 鋼製橋脚(支持構造物)
4,5,6 主桁(被支持構造物)
10 支承装置(既設の支承装置)
14 増設横梁(支持構造物)
21 取替用支承装置
22,22a 台座
24 ジャッキ挿入部
25 ジャッキ
26 支承本体
26a 上沓
27 ソールプレート
28 間詰め材充填空間部
29 無収縮モルタル(間詰め材)
29a 間詰め材
32 堰部
【技術分野】
【0001】
本発明は、桁橋の橋脚と各主桁との間に介在させて設けて該各主桁の荷重を橋脚へ伝えて支持させるようにしてある支承装置のように、所要の支持構造物と、その上方に載置する被支持構造物との間に介在させて設けて該被支持構造物の荷重を上記支持構造物へ伝えて支持させるようにしてある既設の支承装置を、新規の支承装置に取り替えるために用いる支承装置の取替工法及び該工法に用いる取替用支承装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鋼橋の形式の1つに、多主I桁橋があり、この種の多主I桁橋の一例としては、たとえば、首都高速道路等の都市部の高架橋で用いられている図14(イ)(ロ)(ハ)及び図15に示す如き3主I桁橋がある。
【0003】
これは、橋幅方向の両側に立設した一対の脚柱2と、橋幅方向に延びてその両端部を上記各脚柱2にそれぞれ一体に取り付けた横梁3とからなる門型の鋼製橋脚1を備えている。
【0004】
更に、I桁からなる3本の主桁4,5,6を、橋幅方向に所要間隔で配置して、該各主桁4,5,6のうち、橋幅方向両端部の各主桁(以下、外主桁と云う)4,6の桁端はフルウェブとすると共に、橋幅方向中央部の主桁(以下、中主桁と云う)5の桁端には下部側に切欠き部7が設けてある。且つ上記中主桁5における上記切欠き部7の上側の桁端より所要寸法離れた桁端縁部所要個所の両側面と、その両側に位置する上記各外主桁4,6の桁端より所要寸法離れた桁端縁部所要個所の上部内側面とを、橋幅方向に延びる横桁(以下、端横桁と云う)8を介しそれぞれ一体に接続した構成として、上記中主桁5の切欠き部7が設けてある桁端と、上記各端横桁8の橋幅方向の外側端部寄り位置とを、上記鋼製橋脚1の横梁3の各橋軸方向面の下部に突設した桁受けブラケット9a,9b,9cの上側に、支承装置10を介在させて支持させた構成としてある。
【0005】
上記各支承装置10は、図15に示す如く、通常、上記各桁受けブラケット9a,9b,9c上に設置した台座11と、該各台座11上に取り付けた支承本体(シュー)12と、上記中主桁5の切欠き部7が設けてある桁端の下面、及び、上記各端横桁8の下面にて上記各支承本体12の真上となる所要個所にそれぞれ取り付けたソールプレート13とを備えて、該各ソールプレート13を、上記各支承本体12の上沓12aに図示しないセットボルトを介して連結した構成としてある。
【0006】
かかる構成としてあるI桁橋によれば、上記鋼製橋脚1の横梁3に、上記各主桁4,5,6を、該横梁3の上下寸法内で受けさせることができるため、上記横梁3の上下端部の高さ位置と、上記各主桁4,5,6の上下端部の高さ位置を揃えることができて、建築限界等により桁高制限を受ける場合に有利な構成とすることができるようにしてある。なお、図14(イ)(ロ)(ハ)では図示する便宜上、上記鋼製橋脚1の横梁3及び各主桁4,5,6の上側に設ける床版の記載を省略してある。(以後の図も同様。)
ところで、近年、上記図14(イ)(ロ)(ハ)及び図15に示した如き構成を有するI桁橋では、老朽化に伴う各支承装置10の支承本体12の機能の劣化や、支承周りの損傷が指摘されてきている。
【0007】
そのために、既設の各支承装置10の取り替えによる機能回復を図ると共に、支承周りの補強を行う改修方法として、いわゆる主桁フルウェブ化工事が従来行われている(たとえば、非特許文献1参照)。
【0008】
上記主桁フルウェブ化工事は、たとえば、図16(イ)(ロ)乃至図18(イ)(ロ)(ハ)の手順で行うようにしてある。すなわち、先ず、図16(イ)(ロ)に示す如く、図14(イ)(ロ)(ハ)及び図15に示したと同様の構成としてあるI桁橋における鋼製橋脚1の横梁3の下側に、橋軸方向に各主桁4,5,6の桁端縁部の下方位置まで延びる幅広の増設横梁14を配置して、その上端部を上記横梁3の下端部に一体に取り付けると共に、該増設横梁14の橋幅方向の両端部を、両脚柱2にそれぞれ一体に固定する。更に、上記増設横梁14の各橋軸方向面における上記各主桁4,5,6の真下となる位置には、個別のジャッキアップ用受け台15a,15b,15cを、上記中主桁5のウェブがフルウェブとなっている部分と対応する支間中央側位置まで橋軸方向に沿って突出するようにそれぞれ仮設する。
【0009】
次に、図17(イ)(ロ)(ハ)に示すように、上記増設横梁14の各ジャッキアップ用受け台15a,15b,15c上に設置したジャッキ16をそれぞれジャッキアップして、該各ジャッキ16の上側に上記各主桁4,5,6の下フランジをそれぞれ受けることで、該各主桁4,5,6に作用している荷重を、上記各ジャッキ16及び各ジャッキアップ用受け台15a,15b,15cを介し上記増設横梁14へ伝えて支持させるようにする。
【0010】
次いで、上記のようにして、各主桁4,5,6に作用している荷重を各ジャッキ16及び各ジャッキアップ用受け台15a,15b,15cを介して上記増設横梁14に受けさせると、上記鋼製橋脚1の横梁3の各橋軸方向面に設けてある各桁受けブラケット9a,9b,9c及びその上側の各支承装置10には、上記各主桁4,5,6からの荷重が作用しなくなるため、この状態で、上記横梁3より上記既設の各桁受けブラケット9a,9b,9c及び既設の各支承装置10を撤去する。
【0011】
その後、上記中主桁5の切欠き部7の周りに設けてあった下フランジを切除してから、図18(ロ)に示すように、該中主桁5の桁端を受けていた桁受けブラケット9b及び支承装置10が撤去された空間にて、上記中主桁5の残存するウェブに、該ウェブの切り欠かれた部分に嵌合可能な所要形状のフルウェブ化補強部材17を接合して、中主桁5の桁端をフルウェブ化する。更に、上記フルウェブ化された中主桁5の桁端における上記増設横梁14の上方で且つ後述する新規の支承装置19の上方に配される位置には、ウェブの下端から上端付近まで上下方向に延びる支点上補剛材18を、ウェブ両側面と下フランジにリブ状に取り付けて補強すると共に、該支点上補剛材18の橋軸方向の両側近傍個所のウェブ両側面と下フランジに、更に補強用のリブ20をそれぞれ取り付ける。同様に、図18(ハ)に示すように、上記各外主桁4,6の桁端における上記増設横梁14の上方で且つ後述する新規の支承装置19の上方に配される位置にも、支点上補剛材18をウェブ両側面と上下フランジにリブ状に取り付けて補強し、その橋軸方向両側近傍個所のウェブ両側面と下フランジに、更に補強用のリブ20をそれぞれ取り付ける。
【0012】
上記のようにして中主桁5の桁端のフルウェブ化が終了した後は、図18(イ)(ロ)(ハ)に示すように、上記増設横梁14における各主桁4,5,6の桁端の最終支承位置の真下となる所定個所に、図15に示した既設支承装置10と同様の図示しない台座、支承本体、ソールプレートからなる構成の新規支承装置19をそれぞれ設けてから、上記各ジャッキ16をジャッキダウンすることにより、上記各主桁4,5,6の桁端の最終支承位置を、上記各新規支承装置19を介して上記増設横梁14に支持させるようにして、既設の支承装置10の新規の支承装置19への取り替えと支承周りの補強の工事を終了する。
【0013】
しかる後、上記各ジャッキ16と増設横梁14に仮設してある各ジャッキアップ用受け台15a,15b,15cをそれぞれ撤去し、更に、必要に応じて、上記既設の各端横桁8の移設や取り替え等を行うようにしてある。
【0014】
【非特許文献1】下里哲弘,「首都高速道路の若返り作戦」,JSSC会誌,社団法人日本鋼構造協会,2003年10月,No.50,p.1−10
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところが、上記図16(イ)(ロ)乃至図18(イ)(ロ)(ハ)に示した従来の支承装置の取替工法では、鋼製橋脚1の横梁3に設けた桁受けブラケット9a,9b,9c上に既設の支承装置10に直接あるいは端横桁8を介して支持された各主桁4,5,6の当初の上下方向位置と、上記鋼製橋脚1に増設する増設横梁14上に新規の各支承装置19を介して各々支持させる各主桁4,5,6の上下方向位置が一致するように、上記新規の各支承装置19の高さ寸法をそれぞれ所定の寸法に設定することで、支承装置取替工事の前後で上記各主桁4,5,6の上下方向位置が変化しないようにしてあるが、上記鋼製橋脚1に対し増設横梁14を増設した後、該増設横梁14の上面における各主桁4,5,6の桁端の最終支承位置の真下となる所定個所に上記所定の高さ寸法を有する新規の各支承装置19を配設する作業を行うためには、上記各主桁4,5,6の桁端を当初の上下方向位置より所要寸法上方へ変位させて、上記増設横梁14の上面より該各主桁4,5,6の最終支承位置の下フランジ下面までの間隔を、上記新規の各支承装置19の高さ寸法よりも広げておく必要がある。
【0016】
又、各主桁4,5,6を直接あるいは端横桁8を介して支持していた既設の各支承装置10を撤去する際には、撤去作業を、該各支承装置10に上記各主桁4,5,6より作用している荷重を完全に抜いた後で行うようにしてある。
【0017】
そのために、上記従来の支承装置の取替工法では、上記各主桁4,5,6を、該各主桁4,5,6の長手方向における既設の各支承装置10による当初の支承位置、及び、上記新規の各支承装置19による最終支承位置のいずれとも異なる個所で一旦ジャッキアップする操作のために、上記増設横梁14に、上記各主桁4,5,6のジャッキアップ操作に専用に用いる仮設の各ジャッキアップ用受け台15a,15b,15cを設ける必要があり、よって、該各ジャッキアップ用受け台15a,15b,15cの製作に要する鋼材及び製造コストが嵩むと共に、上記各ジャッキアップ用受け台15a,15b,15cの設置や撤去に手間及び時間を要しているというのが実状である。
【0018】
そこで、本発明は、上記I桁橋の鋼製橋脚と各主桁との間に介在させて設けて該各主桁の荷重を橋脚へ伝えて支持させるようにしてある支承装置のように、所要の支持構造物と被支持構造物との間に介在させて設けて該被支持構造物の荷重を上記支持構造物へ伝えて支持させるようにしてある既設の支承装置を、上記被支持構造物のジャッキアップ操作に専用に用いるジャッキアップ用受け台を設ける必要をなくすことができるようにするための支承装置の取替工法及び該工法に用いる取替用支承装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、既設の支承装置で支持されている被支持構造物の所要個所にソールプレートを取り付け、該ソールプレートの下方の支持構造物上に、ジャッキ挿入部を備えた台座を配置すると共に、該台座の上側に支承本体を取り付けて、該支承本体の上沓の上面と上記ソールプレートの下面との間に間詰め材充填空間部を形成させ、次に、上記間詰め材充填空間部に間詰め材を入れることで、上記支持構造物と被支持構造物との間で、上記台座と支承本体と間詰め材とソールプレートからなり且つ上記支持構造物と被支持構造物との間隔に応じた上下寸法を有する取替用支承装置を形成し、次いで、上記台座のジャッキ挿入部に挿入配置したジャッキにより該台座ごと上記取替用支承装置をジャッキアップすることで、該取替用支承装置を介して上記被支持構造物をジャッキアップし、その後、上記既設の支承装置を撤去した後、上記ジャッキにより上記取替用支承装置及び被支持構造物をジャッキダウンして該被支持構造物を取替用支承装置を介して支持構造物に支持させるようにする支承装置の取替工法とする。
【0020】
更に、上記構成において、支承本体の上沓の上面とソールプレートの下面との間に形成させる間詰め材充填空間部に入れる間詰め材として、硬化性の流体を用いるようにする。
【0021】
又、請求項3に対応して、既設の支承装置で支持されている被支持構造物の所要個所に取り付けるソールプレートと、上記ソールプレートの下方の支持構造物上に配置するための台座と、該台座上に取り付ける支承本体と、該支承本体の上沓の上面と上記ソールプレートの下面との間に形成させる間詰め材充填空間部に入れるための間詰め材を備え、更に、上記台座を、台座天板の下方にジャッキ挿入部を備えて、該ジャッキ挿入部に挿入するジャッキにより台座自体をジャッキアップできるようにしてなる構成を有する取替用支承装置とする。
【0022】
更に、上記の取替用支承装置の構成において、支承本体の上沓の上面とソールプレートの下面との間に形成させる間詰め材充填空間部に入れる間詰め材を、硬化性の流体とした構成とする。
【0023】
更に又、上記の取替用支承装置の構成において、支承本体の上沓の外周縁部の上面側に、該上沓の上面とソールプレートの下面との間に形成させる間詰め材充填空間部を取り囲む堰部を設けるようにした構成とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)既設の支承装置で支持されている被支持構造物の所要個所にソールプレートを取り付け、該ソールプレートの下方の支持構造物上に、ジャッキ挿入部を備えた台座を配置すると共に、該台座の上側に支承本体を取り付けて、該支承本体の上沓の上面と上記ソールプレートの下面との間に間詰め材充填空間部を形成させ、次に、上記間詰め材充填空間部に間詰め材を入れることで、上記支持構造物と被支持構造物との間で、上記台座と支承本体と間詰め材とソールプレートからなり且つ上記支持構造物と被支持構造物との間隔に応じた上下寸法を有する取替用支承装置を形成し、次いで、上記台座のジャッキ挿入部に挿入配置したジャッキにより該台座ごと上記取替用支承装置をジャッキアップすることで、該取替用支承装置を介して上記被支持構造物をジャッキアップし、その後、上記既設の支承装置を撤去した後、上記ジャッキにより上記取替用支承装置及び被支持構造物をジャッキダウンして該被支持構造物を取替用支承装置を介して支持構造物に支持させるようにすることを特徴とする支承装置の取替工法としてあるので、最終的に被支持構造物を支持させる取替用支承構造物の設置個所で被支持構造物をジャッキアップすることができるため、被支持構造物のジャッキアップ操作に専用に用いるための受け台を設ける必要をなくすことができる。よって、支承装置の取替工事に要する工程を大幅に削減することができて、工期の短縮化を図ることが可能になる。
(2)既設の支承装置で支持されている被支持構造物の所要個所に取り付けるソールプレートと、上記ソールプレートの下方の支持構造物上に配置するための台座と、該台座上に取り付ける支承本体と、該支承本体の上沓の上面と上記ソールプレートの下面との間に形成させる間詰め材充填空間部に入れるための間詰め材を備え、更に、上記台座を、台座天板の下方にジャッキ挿入部を備えて、該ジャッキ挿入部に挿入するジャッキにより台座自体をジャッキアップできるようにしてなる構成を有する取替用支承装置とすることにより、上記(1)の支承装置の取替方法の実施に用いる取替用支承装置を容易に実現できる。(3)支承本体の上沓の上面とソールプレートの下面との間に形成させる間詰め材充填空間部に入れる間詰め材として、硬化性の流体を用いるようにすることにより、間詰め材充填空間部へ間詰め材を流動性を有する状態で注入、充填することで、該間詰め材充填空間部へ間詰め材を入れる作業を容易なものとすることができると共に、上記(1)に示した支承装置の取替工法で用いる取替用支承装置を、支持構造物と被支持構造物の間隔に応じた上下寸法でより確実に形成できる。
(4)支承本体の上沓の外周縁部の上面側に、該上沓の上面とソールプレートの下面との間に形成させる間詰め材充填空間部を取り囲む堰部を設けるようにした構成とすることにより、硬化性の流体である間詰め材を間詰め材充填空間部へ入れるときに、該間詰め材の流出を抑えることができて、間詰め材を間詰め材充填空間部へ容易に充填することができる。又、上記間詰め材充填空間部に確実に保持した状態で上記間詰め材を硬化させることができる。更には、硬化した間詰め材に上下方向の大きな荷重が作用する際に、該硬化した間詰め材の水平方向への変形を拘束する体積拘束効果を発揮させる効果が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
【0026】
図1乃至図11は本発明の支承装置の取替工法及び該工法に用いる取替用支承装置の実施の一形態として、図14(イ)(ロ)(ハ)及び図15に示したと同様に、支持構造物としての鋼製橋脚1に、被支持構造物としての主桁4,5,6の荷重を支持させる部分に設けてある既設の支承装置10を取替工事対象とする場合を示すもので、以下のようにしてある。
【0027】
すなわち、図1乃至図4は上記本発明の支承装置の取替工法で用いる取替用支承装置21を示すもので、図16乃至図18に示したと同様の上記鋼製橋脚1に増設する支持構造物としての増設横梁14の上面における上記各主桁4,5,6の最終支承位置の真下となる所要個所に設置するための台座22を備え、且つ該台座22を断面形状略門型とすると共に、台座天板23の下方にジャッキ25を側方より出し入れ可能なジャッキ挿入部24を備えてなる構成として、該ジャッキ挿入部24に挿入配置するジャッキ25により台座22自体をジャッキアップできるようにする。更に、上記台座22の上側に取り付ける支承本体26、被支持構造物としての主桁4,5,6の最終支承位置の下端に取り付けるソールプレート27、及び、上記支承本体26の上沓26aの上面と、上記ソールプレート27の下面との間に上下方向所要寸法の隙間として形成させる間詰め材充填空間部28に充填する間詰め材29を備えてなる構成とする。
【0028】
詳述すると、上記台座22は、たとえば、上記支承本体26として、底面形状が円形の支承本体26を用いる場合には、図2及び図3(イ)(ロ)(ハ)に示す如く、平面形状をU字型として上下方向に所要の高さ寸法を有する耐力壁部材30の上側に、該耐力壁部材30全体を覆う略半円形状の台座天板23を取り付け、且つ上記耐力壁部材30の下側に、該耐力壁部材30の内外方向の厚み寸法よりも広い所要幅で該耐力壁部材30に沿って水平面内でU字型に湾曲するベース部材31を取り付けて一体とすることで、上記平面形状U字型としてある耐力壁部材30及びベース部材31の内側に、該平面形状U字型としてある耐力壁部材30及びベース部材31の開口部分を通して側方からジャッキ25を出し入れ可能なジャッキ挿入部24を形成した構成としてある。これにより、上記台座22を、上記増設横梁14の上面に配置した状態で、その内側のジャッキ挿入部24へジャッキ25を挿入することで、該ジャッキ25を上記増設横梁14の上面と、台座天板23との間に配置できるようにしてある。よって、上記のようにして台座22のジャッキ挿入部24へ挿入配置したジャッキ25を伸長作動させることで、上記増設横梁14の上側で、該台座22自体をジャッキアップできるようにしてある。
【0029】
上記間詰め材29は、無収縮性又は硬化時における収縮率が極わずかな硬化性の流体として、たとえば、無収縮モルタル29を用いるようにしてある。
【0030】
上記ソールプレート27は、たとえば、所要の厚み寸法を有する方形の平板状とすると共に、所要の側面の上端部、たとえば、対向する一対の側面の上端部より水平方向外向きに所要寸法突出する取付部27aを備えた構成としてある。これにより、上記被支持構造物としての各主桁4,5,6の最終支承位置の下端部となる下フランジの下側に、上記ソールプレート27を配置した状態で、該ソールプレート27の上記各取付部27aを、上記各主桁4,5,6の下フランジにボルト等の図示しない所要の取付手段により取り付けて一体とすることができるようにしてある。
【0031】
上記支承本体26は、上沓26aを上記ソールプレート27の下端部の平面形状よりも一回り大きな方形としてある。更に、該上沓26aの外周縁部の上面には、所要寸法上方へ突出する堰部32が一体に設けてある。これにより、該堰部32の内側に上記ソールプレート27の下端部を上方より挿入できるようにして、上記上沓26aの上面と、上記ソールプレート27の下面との間に隙間としての間詰め材充填空間部28を形成させるときに、上記堰部32の上端位置が上記ソールプレート27の下端位置よりも高くなるようにすることで、上記間詰め材充填空間部28の周囲を該堰部32により取り囲むことができるようにしてある。よって、上記間詰め材充填空間部28へ上記間詰め材としての無収縮モルタル29を充填するときには、硬化前の流動性を有する無収縮モルタル29を上記堰部32の内側に溜めることで、該硬化前の無収縮モルタル29の間詰め材充填空間部28への充填を容易なものとすることができるようにしてあると共に、該無収縮モルタル29を上記間詰め材充填空間部28に確実に保持した状態で硬化させることができるようにしてある。更には、上記間詰め材充填空間部28へ充填した無収縮モルタル29が硬化した後は、該硬化した無収縮モルタル29の周りに配置されている上記堰部32により、硬化した無収縮モルタル29に対して上下方向の大きな荷重が作用する際に、該硬化した無収縮モルタル29のポアソン比に応じた水平方向への変形を拘束して体積拘束効果を発揮させる効果が期待できるようにしてある。26bは上記支承本体26の下沓である。
【0032】
更に、上記ソールプレート27の厚み寸法と、上記支承本体26の下端から上記堰部32と後述するボス36を除く上沓26aの上面までの高さ寸法と、台座22の高さ寸法は、該各寸法の和が、上記鋼製橋脚1に増設した増設横梁14の上面から、鋼製橋脚1の横梁3に設けた既設の桁受けブラケット9a,9b,9c上に既設の支承装置10と端横桁8を介して支持された状態の各主桁4,5,6の最終支承位置となるフルウェブ部の下フランジ下面までの上下方向寸法よりも所要寸法、たとえば、20〜30mm程度小さくなるようにしてある。これにより、上記増設横梁14の上面に台座22を介して設置した状態の支承本体26の上沓26aの上面と、上記各主桁4,5,6の最終支承位置の下フランジ下面に取り付けた状態のソールプレート27の下面との間に、上下方向寸法が20〜30mm程度となる隙間として間詰め材充填空間部28を形成させることができるようにしてある。なお、上記支承本体26の上沓26aの上面と上記ソールプレート27の下面との間に形成される間詰め材充填空間部28への間詰め材としての無収縮モルタル29の充填は、該間詰め材充填空間部28へ隙間なく充填できるようにしてあれば、たとえば、上記ソールプレート27及び上記各主桁4,5,6の下フランジの所要個所に貫通させて設けた図示しない注入孔を通して圧入するようにしたり、上記ソールプレート27と支承本体26の上沓26aに設けた堰部32との隙間を通して圧入したり、上記支承本体26の上沓26aやソールプレート27の所要個所に上記間詰め材充填空間部28に連通させるための注入口を予め設けて、該注入口より圧入する等、任意の充填手段を採用してよい。
【0033】
上記ソールプレート27や支承本体26の平面サイズは、被支持構造物としての上記各主桁4,5,6より取替用支承装置21に作用することとなる垂直荷重の大小に応じて、上記ソールプレート27や支承本体26や両者の間に充填する間詰め材としての無収縮モルタル29に作用する面圧が、該ソールプレート27や支承本体26や無収縮モルタル29の耐圧能の許容範囲内に収まるように適宜設定してあるものとする。
【0034】
更に、上記支承本体26の上沓26aの上面所要個所にはねじ穴33を設け、一方、上記ソールプレート27及び各主桁4,5,6の下フランジにおける上記ねじ穴33と対応する個所にはボルト孔(ボルト挿通孔)34を設けて、上記各主桁4,5,6の下フランジ、及び、その下側に取り付けたソールプレート27のボルト孔34に上方より挿通させたセットボルト35の先端部(下端部)を、上記支承本体26の上沓26aのねじ穴33に螺着させることで、上記ソールプレート27の下側に配置した上記支承本体26を、上記セットボルト35により吊って保持することができるようにしてある。
【0035】
なお、図1に示す如く、支承本体26の上沓26aの上面の中央部に、剪断拘束部材としてのボス36を、該上沓26aの上面と上記ソールプレート27の下面との間に形成させる間詰め材充填空間部28の上下方向寸法よりも大となる上下方向寸法で突設する一方、上記ソールプレート27の中央部に、上記ボス36の断面形状に応じた形状の嵌合孔37を設けた構成としてもよい。このようにすれば、上記ソールプレート27と上記支承本体26を上下方向に並べて配置するときに、該支承本体26の上沓26aに設けてあるボス36の上部を、上記ソールプレート27の嵌合孔37に下方より挿入して嵌合させることで、鋼製橋脚1の増設横梁14に台座22を介して取り付ける支承本体26の上沓26aと、上記各主桁4,5,6に取り付けたソールプレート27との間に水平方向に相対変位させようとする荷重が作用するときに、該荷重を上記上沓26aのボス36と、ソールプレート27の嵌合孔37との嵌合により受けることができるようにしてもよい。
【0036】
その他、図14乃至図18に示したものと同一のものには同一の符号が付してある。
【0037】
以上の構成としてある本発明の取替用支承装置21を用いて支承装置の取替工事を行う場合は、先ず、図5(イ)(ロ)に示す如く、図14(イ)(ロ)(ハ)及び図15に示したと同様の3主I桁橋の鋼製橋脚1の横梁3の下側に、橋軸方向に中主桁5のフルウェブ部の下方位置まで延びる幅広の増設横梁14を配置して、その上端部を上記横梁3の下端部に一体に取り付けると共に、該増設横梁14の橋幅方向の両端部を、両脚柱2にそれぞれ一体に固定する。又、予め、本発明の取替用支承装置21の構成要素である台座22と支承本体26とソールプレート27を分離した状態で準備すると共に、間詰め材として用いるための無収縮モルタル29、及び、上記台座22のジャッキ挿入部24へ挿入して用いるためのジャッキ25を別途用意しておく。
【0038】
上記のようにして増設横梁14を設けた後は、図6(イ)(ロ)に示す如く、上記各主桁4,5,6における上記増設横梁14の橋軸方向両端部の上方に位置するフルウェブ部分を最終支承位置に設定して、該最終支承位置の下フランジの下面に、上記ソールプレート27の取付部27aを、ボルト等の図示しない所要の取付手段により取り付ける。又、上記各主桁4,5,6の上記最終支承位置のウェブの両側面と下フランジには、図18(ロ)(ハ)に示したと同様に支点上補剛材18を設け、更に、該支点上補剛材18の橋軸方向の両側近傍個所のウェブ両側面と下フランジに、補強用のリブ20をそれぞれ取り付けるようにする。なお、この際、上記各主桁4,5,6のうち、中主桁5の場合は、図6(ロ)に示すように、支点上補剛材18の橋軸方向両側近傍個所のウェブの両側面と下フランジに予め設けるリブ20のうち、上記支点上補剛材18よりも桁端寄りに設けるリブとして、該中主桁5の切欠き部7に沿って設けてある既設のフランジをそのまま利用するようにしてもよい。このようにすれば、上記中主桁5に新設するリブ20の数を半減できるため、該中主桁5にリブ20を設けるための作業に要する手間及び時間を削減できるようになる。
【0039】
次に、図7(イ)に示すように(以後の工程は各主桁4,5,6について共通であるため、図示する便宜上、図7(イ)(ロ)乃至図11では、図6(ロ)に対応する図のみを示して各主桁4,5,6について実施する工程を説明するようにする。)、上記ソールプレート27の下側に支承本体26を配置して、該支承本体26の上沓26aの上面に突設してあるボス36を上記ソールプレート27に設けた嵌合孔37に挿入すると共に、上記上沓26aの上面の外周縁部に設けてある堰部32を上記ソールプレート27の下端部の周りに配置した状態で、上記各主桁4,5,6の下フランジと上記ソールプレート27のボルト孔34に上方より挿通させたセットボルト35の先端部を、上記支承本体26の上沓26aに設けてあるねじ穴33に螺着させて、該支承本体26を上記各ソールプレート27の下側に一旦吊り下げるようにして保持させる。
【0040】
次いで、図7(ロ)に示す如く、上記増設横梁14の上面と、上記支承本体26の下端との間に、台座22を挿入して仮設置する。
【0041】
上記のようにして支承本体26の下方に台座22を配置したら、上記セットボルト35を緩めることにより、図8(イ)に示すように、上記支承本体26を自重により下降させて、上記台座22の上に載置させ、この状態で、該各支承本体26の下沓26bの下端部を、対応する台座22の上端部に溶接等の所要の固定手段により固定して一体化する。これにより、上記台座22上に固定された支承本体26の上沓26aの上面と、上記ソールプレート27の下面との間には、隙間としての間詰め材充填空間部28が形成されるようになる。
【0042】
上記間詰め材充填空間部28が形成された後は、図8(ロ)に示すように、上記間詰め材充填空間部28に無収縮モルタル29を隙間なく充填する。これにより、上記間詰め材充填空間部28に充填された無収縮モルタル29が硬化して強度が発現されると、上記増設横梁14と、上記各主桁4,5,6の最終支承位置の下フランジとの間には、上記ソールプレート27と強度発現した無収縮モルタル29と支承本体26と台座22が上下方向に一体に連結された構成を具備して大きな垂直荷重に耐え得る強度を備えた本発明の取替用支承装置21が、上記増設横梁14の上面と、横梁3に既設の桁受けブラケット9a,9b,9cに既設の支承装置10や端横桁8(図5(イ)参照)を介して支持された状態の各主桁4,5,6の上記最終支承位置の下フランジの下面との間隔に一致した上下方向寸法で形成されるようになる。
【0043】
上記増設横梁14と各主桁4,5,6の最終支承位置の下フランジとの間隔に一致する取替用支承装置21が形成された後は、図9(イ)に示すように、上記取替用支承装置21における台座22のジャッキ挿入部24へジャッキ25を挿入して配置し、次いで、該ジャッキ25を伸長作動させることにより、図9(ロ)に示すように、上記台座22とその上側の支承本体26と、間詰め材充填空間部28に充填状態で硬化させた無収縮モルタル29と、ソールプレート27を一体としてなる本発明の取替用支承装置21を、該台座22ごとジャッキアップすることで、該取替用支承装置21の上端部のソールプレート27が最終支承位置に取り付けてある上記各主桁4,5,6をジャッキアップする。
【0044】
上記のようにして各主桁4,5,6のジャッキアップが行われると、鋼製橋脚1の横梁に設けてある桁受けブラケット9a,9b,9c上の既設の支承装置10より、上記各取替用支承装置21及びジャッキ25へ上記各主桁4,5,6からの荷重が盛替えられ、よって、上記既設の支承装置10及び桁受けブラケット9a,9b,9cには各主桁4,5,6の荷重が作用しなくなるため、この状態で、図10(イ)に示す如く、上記既設の支承装置10及び既設の桁受けブラケット9a,9b,9cの撤去を行う。
【0045】
その後、図10(ロ)に示すように、上記ジャッキ25を収縮させて上記取替用支承装置21を台座22ごとジャッキダウンさせると、上記各主桁4,5,6の荷重が、上記取替用支承装置21を介して上記増設横梁14に伝えられて支持されるようになる。よって、その後は、図11に示すように、上記取替用支承装置21の台座22のジャッキ挿入部24より上記ジャッキ25を撤去した後、上記台座22の下端部を、上記増設横梁14に溶接等の所要の固定手段により固定して一体化するようにする。これにより、上記既設の支承装置10から新たに設けた取替用支承装置21への支承装置の取替工事が完了するようになる。又、必要に応じて、既設の各端横桁8(図5(イ)参照)の移設や取り替え等を行うようにすればよい。
【0046】
更に、上記図11にて増設横梁14に固定した後の台座22のジャッキ挿入部24に、無収縮モルタル(図示せず)を充填するようにしてもよい。このようにすれば、台座内部の防錆、保護と、上記台座22にて下方にジャッキ挿入部24が設けてある台座天板23の自動車等による変動荷重に起因する撓みや振動を抑制する効果、すなわち、経年による疲労損傷の抑制効果が期待できる。
【0047】
このように、本発明の支承装置の取替工法及び該工法に用いる取替用支承装置によれば、鋼製橋脚1の横梁3に設けた桁受けブラケット9a,9b,9cに既設の支承装置10を介して支持されている各主桁4,5,6に設定した最終支承位置の下フランジの下面と、上記鋼製橋脚1に増設する増設横梁14の上面との間に、両者の間隔に一致する上下方向寸法を備えた取替用支承装置21を配置することができると共に、該取替用支承装置21を、下端部に位置する台座22にジャッキ挿入部24を設けてなる構成としてあることから、上記取替用支承装置21の台座22のジャッキ挿入部24に挿入配置するジャッキ25により該取替用支承装置21を介して上記各主桁4,5,6の最終支承位置をジャッキアップすることができる。したがって、上記主桁4,5,6の荷重を既設の支承装置10から、上記取替用支承装置21へ盛替えるときに、非特許文献1に示されたような従来の支承装置取替工法で要していた如き各主桁4,5,6のジャッキアップ操作に専用に用いるジャッキアップ用受け台を不要にできるため、支承装置の取替工事に要する工程を削減することができて、工期の短縮化を図ることが可能になる。
【0048】
更に、上記中主桁5は、既設の支承装置10による当初の支承位置である切欠き部7が設けてある桁端より、フルウェブ部分へと支承位置を変更するようにしてあるので、上記切欠き部7を補強するためのフルウェブ化の工程を不要にでき、このことによっても、支承装置の取替工事に要する工程を削減して、工期の短縮化を図ることが可能になる。
【0049】
更に又、上記台座22は、台座天板23の下方にジャッキ25を挿入するための空間を有する構成としてあるため、該台座天板23に局所的に大きな荷重が作用することは好ましくないが、支承本体26の下沓26bを上記台座天板23の面に対して荷重を分散して作用させるための応力部材として活用することができるようになる。よって、上記支承本体26の下沓26bが高剛性の厚肉の板材としてあることにより、上記台座天板23に局所的な応力が作用する虞を未然に防止できるようになるため、該台座天板23の板厚を減らす効果が期待できる。
【0050】
上記実施の形態では、底面形状が円形の支承本体26を用いることに対応させて、台座22の台座天板23を略半円形状とするものとして示したが、底面形状が四角形の支承本体26を用いる場合は、上記台座天板23を四角形とするようにすればよい。この場合、耐力壁部材30及びベース部材31は、平面形状U字型に代えて、上記四角形の台座天板23の三方の辺部に沿う平面形状コの字型のものとしてもよい。
【0051】
次に、図12(イ)(ロ)は本発明の実施の他の形態として、図1乃至図11の実施の形態における取替用支承装置21を構成するために用いる台座の別の例を示すもので、以下のような構成としてある。
【0052】
すなわち、図12(イ)(ロ)に示す台座22aは、矩形板状の台座天板23aの下側に、該台座天板23aの矩形の各対辺の中間部同士を結ぶ平面十字型として所要の高さ寸法を有する耐力壁部材30aの上端部を一体に取り付け、更に、上記耐力壁部材30aの下側に、該耐力壁部材30aの板厚寸法よりも広い所要幅で水平面内にて該耐力壁部材30aに沿う十字型のベース部材31aを取り付けて一体とすることで、上記台座天板23aの下方に配した平面十字型としてある耐力壁部材30a及びベース部材31aの4つの各コーナ部を、側方からジャッキ25を出し入れ可能なジャッキ挿入部24とした構成としてある。これにより、上記台座22aを、上記増設横梁14の上面に配置した状態で、各ジャッキ挿入部24に小型のジャッキ25を挿入することで、該各ジャッキ25を上記増設横梁14の上面と、台座天板23aとの間に配置できるようにしてある。よって、上記台座22aの4つのジャッキ挿入部24のうち、少なくとも対角方向の2つのジャッキ挿入部24にジャッキ25を個別に挿入して配置した状態で、上記各ジャッキ25を同期して伸長作動させることで、上記増設横梁14の上側で、該台座22a自体をジャッキアップすることができるようになる。
【0053】
したがって、以上の構成としてある台座22aを、図1乃至図11の実施の形態に示した台座22に代えて用いることができるため、該台座22に代えて本実施の形態の台座22aを用いて構成した取替用支承装置21によっても、上記図1乃至図11の実施の形態と同様の支承装置の取替工事を行うことができて、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0054】
上記各実施の形態においては、間詰め材として無収縮モルタル29を用いる場合について示したが、上記間詰め材29は、無収縮性又は硬化時における収縮率が極わずかな硬化性の流体であり、且つ、上記支承装置22の上沓26aの上面とソールプレート27の下面との間に形成される間詰め材充填空間部28に充填された状態で、各主桁4,5,6より作用する垂直荷重に耐え得る耐圧能を備えていれば、エポキシ樹脂等の樹脂や、その他、いかなる硬化性の流体を用いるようにしてもよい。
【0055】
更には、上記硬化性の流体の間詰め材29に代えて、各主桁4,5,6より作用する垂直荷重に耐え得る耐圧能を備えた鋼材等によるソリッドな間詰め材を用いるようにしてもよい。すなわち、図13に示すように、図8(イ)に示したと同様に、上記増設横梁14上に仮設置した台座22上に支承本体26の下沓26bを取り付け、且つ各主桁4,5,6の最終支承位置の下フランジの下面にはソールプレート27を取り付けた状態で、上記支承本体26の上沓26aの上面と、上記ソールプレート27の下面との間に隙間としての間詰め材充填空間部28を形成させた後、該間詰め材充填空間部28の上下方向寸法に対応した厚み寸法となるように鋼材等により製作したソリッドな間詰め材29aを、上記間詰め材充填空間部28へ側方より押し込み、必要に応じて上記間詰め材29aを上記支承本体26の上沓26aやソールプレート27の一方又は双方に溶接等の所要の固定手段で固定することにより、上記増設横梁14の上面と、上記各主桁4,5,6の最終支承位置の下フランジ下面との間にて、上記ソールプレート27と間詰め材29aと支承本体26と台座22が上下方向に連結された構成を具備して大きな垂直荷重に耐え得る強度を備え、且つ上記増設横梁14の上面と上記各主桁4,5,6の最終支承位置の下フランジ下面との間の間隔に一致した上下方向寸法を有する取替用支承装置21を形成させるようにしてもよい。なお、このようにソリッドな間詰め材29aを用いる場合は、上記間詰め材29aを、上記間詰め材充填空間部28へ側方より押し込む必要上、上記支承本体26の上沓26aの外周縁部上面側の堰部32は省略すればよい。又、上記支承本体26の上沓26aの上面中央部にボス36が設けてある場合は、上記間詰め材29aを、2分割以上の複数分割構造とすると共に、各分割体に上記ボス36との干渉を防止するための半円形や扇形等の切り欠きを設けておくようにすればよい。
【0056】
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、支承本体26の上沓26aと、上記各主桁4,5,6に取り付けたソールプレート27との間に水平方向に相対変位させようとする方向に作用する荷重に対する耐力を向上させる観点からすると、上記支承本体26の上沓26aにボス36を設けると共に、ソールプレート27に上記上沓26aのボス36を嵌合させるための嵌合孔37を設けることが好ましいが、上記上沓26aのボス36とソールプレート27の嵌合孔37は省略してもよい。
【0057】
又、図1乃至図11の実施の形態においては、支承本体26の上沓26aの上面外周縁部に、間詰め材充填空間部28を取り囲むための堰部32を一体に設けるものとして示したが、該上記上沓26aの堰部32を省略して上記間詰め材充填空間部28に間詰め材としての無収縮モルタル29を充填するときに、該間詰め材充填空間部28の周りに無収縮モルタル29の流出を阻止した状態で硬化させるための型枠を設けるようにしてもよい。
【0058】
上記のように支承本体26の上沓26aの上面側の堰部32及びボス36を共に省略する場合は、図6(イ)(ロ)に示したように主桁4,5,6の最終支承位置の下フランジの下面にソールプレート27を取り付けた後、図7(イ)に示したように、上記ソールプレート27に、一旦、支承本体26をセットボルト35により取り付けた状態としてから、図7(ロ)に示したように、該ソールプレート27に取り付けた支承本体26と、増設横梁14上面との間に台座22を挿入し、その後、図8(イ)に示すように上記セットボルト35を緩めて、上記支承本体26を台座22上に載置させるようにする工程に代えて、図6(イ)(ロ)に示したように主桁4,5,6の最終支承位置の下フランジの下面にソールプレート27を取り付けた後、該ソールプレート27の下面と増設横梁14の上面との間に、台座22及び支承本体26を、順次又は重ねた状態で一括して側方から挿入して配置するようにしてもよい。
【0059】
取替用支承装置21の台座は、取替用支承装置21自体及び主桁4,5,6より作用する荷重を支持でき、且つ台座天板23,23aの下方に、ジャッキ25を側方より出し入れ可能なジャッキ挿入部24を備えて、該ジャッキ挿入部24に挿入配置したジャッキ25により台座自体をジャッキアップできるようにしてあれば、図2及び図3(イ)(ロ)(ハ)に示した如き構成の台座22や、図12(イ)(ロ)に示した如き構成の台座22a以外のいかなる構成の台座を用いるようにしてもよい。
【0060】
本発明の支承装置の取替工法は、箱桁橋にて、支持構造物としての鋼製橋脚上に、被支持構造物としての箱桁を支持するために用いている支承装置10の取替工事に適用してもよい。更には、支持構造物の上側に被支持構造物が既設の支承装置10を介して支持され、且つ支承取替工事により新たに設ける取替用支承装置21による被支持構造物の最終支承位置を、上記既設の支承装置10による当初の支承位置と異なる個所に設定できれば、鋼橋における鋼製橋脚1による主桁4,5,6の支持部分以外のいかなる支持構造物上にて被支持構造物を支持している支承装置の取替工事に適用してもよい。
【0061】
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の支承装置の取替工法及び該工法に用いる取替用支承装置の実施の一形態として、I桁橋の鋼製橋脚に主桁を支持させる部分に設けてある支承装置の取替工事を行う場合の適用例を示すもので、取替工法で用いる取替用支承装置を示す一部切断概略側面図である。
【図2】図1の取替工法で用いる取替用支承装置を構成する台座を示す概略斜視図である。
【図3】図2の台座を示すもので、(イ)は概略平面図、(ロ)は概略正面図、(ハ)は概略切断側面図である。
【図4】図1の取替工法で用いる取替用支承装置における支承本体の上沓の上端部を拡大して示す切断側面図である。
【図5】図1の取替工法の手順を示すもので、(イ)鋼製橋脚の横梁の下方に増設横梁を設けた状態を示す概略平面図、(ロ)は(イ)のA−A方向矢視図である。
【図6】図1の取替工法における図5(イ)(ロ)に続く手順を示すもので、(イ)は外主桁の最終支承位置の下端部にソールプレートを取り付けた状態を、(ロ)は中主桁の最終支承位置の下端部にソールプレートを取り付けた状態をそれぞれ示す概略側面図である。
【図7】図1の取替工法における図6(イ)(ロ)に続く手順を示すもので、(イ)はソールプレートの下側に支承本体を取り付けた状態を示す一部切断概略側面図、(ロ)は増設横梁の上面に台座を設置した状態を示す一部切断該略側面図である。
【図8】図1の取替工法における図7(ロ)に続く手順を示すもので、(イ)は台座の上側に支承本体を取り付けて上沓とソールプレートとの間に間詰め材充填空間部を形成させた状態を示す一部切断概略側面図、(ロ)は間詰め材充填空間部に無収縮モルタルを充填して取替用支承装置を形成させた状態を示す一部切断概略側面図である。
【図9】図1の取替工法における図8(ロ)に続く手順を示すもので、(イ)は台座のジャッキ挿入部にジャッキを挿入して配置した状態を示す一部切断概略側面図、(ロ)はジャッキにより取替用支承装置を介した主桁のジャッキアップを行った状態を示す一部切断概略側面図である。
【図10】図1の取替工法における図9(ロ)に続く手順を示すもので、(イ)は既設の支承装置及び桁受けブラケットを撤去した状態を示す一部切断側面図、(ロ)は主桁をジャッキダウンした状態を示す一部切断概略側面図である。
【図11】図1の取替工法における図10(ロ)に続く手順を示すもので、ジャッキを撤去した後、台座を増設横梁上に固定した状態を示す一部切断概略側面図である。
【図12】本発明の実施の他の形態として、取替用支承装置に用いる台座の別の例を示すもので、(イ)は概略斜視図、(ロ)は概略平面図である。
【図13】本発明の実施の更に他の形態として、支承装置の取替工法に用いる取替用支承装置の別の例を示す一部切断概略側面図である。
【図14】多主I桁橋の一例として、従来首都高速道路等で用いられている3主I桁橋の概略を示すもので、(イ)は平面図、(ロ)は(イ)のB−B方向矢視図、(ハ)は(イ)のC−C方向矢視図である。
【図15】図14の3主I桁橋にて鋼製橋脚に主桁を支持させる部分に設けてある支承装置を拡大して示す概略側面図である。
【図16】従来主桁フルウェブ化工事として行われている支承装置の取替工法にて鋼製橋脚の横梁の下方に増設横梁を設けた状態を示すもので、(イ)は概略平面図、(ロ)は(イ)のD−D方向矢視図である。
【図17】主桁フルウェブ化工事にて各主桁をジャッキアップした状態を示すもので、(イ)は概略平面図、(ロ)は(イ)のE−E方向矢視図、(ハ)は(イ)のF−F方向矢視図である。
【図18】主桁フルウェブ化工事にて中主桁をフルウェブ化した後、増設横梁上に新たに設けた支承装置の上側に各主桁を載置した状態を示すもので、(イ)は概略平面図、(ロ)は(イ)のG−G方向矢視図、(ハ)は(イ)のH−H方向矢視図である。
【符号の説明】
【0063】
1 鋼製橋脚(支持構造物)
4,5,6 主桁(被支持構造物)
10 支承装置(既設の支承装置)
14 増設横梁(支持構造物)
21 取替用支承装置
22,22a 台座
24 ジャッキ挿入部
25 ジャッキ
26 支承本体
26a 上沓
27 ソールプレート
28 間詰め材充填空間部
29 無収縮モルタル(間詰め材)
29a 間詰め材
32 堰部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設の支承装置で支持されている被支持構造物の所要個所にソールプレートを取り付け、該ソールプレートの下方の支持構造物上に、ジャッキ挿入部を備えた台座を配置すると共に、該台座の上側に支承本体を取り付けて、該支承本体の上沓の上面と上記ソールプレートの下面との間に間詰め材充填空間部を形成させ、次に、上記間詰め材充填空間部に間詰め材を入れることで、上記支持構造物と被支持構造物との間で、上記台座と支承本体と間詰め材とソールプレートからなり且つ上記支持構造物と被支持構造物との間隔に応じた上下寸法を有する取替用支承装置を形成し、次いで、上記台座のジャッキ挿入部に挿入配置したジャッキにより該台座ごと上記取替用支承装置をジャッキアップすることで、該取替用支承装置を介して上記被支持構造物をジャッキアップし、その後、上記既設の支承装置を撤去した後、上記ジャッキにより上記取替用支承装置及び被支持構造物をジャッキダウンして該被支持構造物を取替用支承装置を介して支持構造物に支持させるようにすることを特徴とする支承装置の取替工法。
【請求項2】
支承本体の上沓の上面とソールプレートの下面との間に形成させる間詰め材充填空間部に入れる間詰め材として、硬化性の流体を用いるようにする請求項1記載の支承装置の取替工法。
【請求項3】
既設の支承装置で支持されている被支持構造物の所要個所に取り付けるソールプレートと、上記ソールプレートの下方の支持構造物上に配置するための台座と、該台座上に取り付ける支承本体と、該支承本体の上沓の上面と上記ソールプレートの下面との間に形成させる間詰め材充填空間部に入れるための間詰め材を備え、更に、上記台座を、台座天板の下方にジャッキ挿入部を備えて、該ジャッキ挿入部に挿入するジャッキにより台座自体をジャッキアップできるようにしてなる構成を有することを特徴とする取替用支承装置。
【請求項4】
支承本体の上沓の上面とソールプレートの下面との間に形成させる間詰め材充填空間部に入れる間詰め材を、硬化性の流体とした請求項3記載の取替用支承装置。
【請求項5】
支承本体の上沓の外周縁部の上面側に、該上沓の上面とソールプレートの下面との間に形成させる間詰め材充填空間部を取り囲む堰部を設けるようにした請求項4記載の取替用支承装置。
【請求項1】
既設の支承装置で支持されている被支持構造物の所要個所にソールプレートを取り付け、該ソールプレートの下方の支持構造物上に、ジャッキ挿入部を備えた台座を配置すると共に、該台座の上側に支承本体を取り付けて、該支承本体の上沓の上面と上記ソールプレートの下面との間に間詰め材充填空間部を形成させ、次に、上記間詰め材充填空間部に間詰め材を入れることで、上記支持構造物と被支持構造物との間で、上記台座と支承本体と間詰め材とソールプレートからなり且つ上記支持構造物と被支持構造物との間隔に応じた上下寸法を有する取替用支承装置を形成し、次いで、上記台座のジャッキ挿入部に挿入配置したジャッキにより該台座ごと上記取替用支承装置をジャッキアップすることで、該取替用支承装置を介して上記被支持構造物をジャッキアップし、その後、上記既設の支承装置を撤去した後、上記ジャッキにより上記取替用支承装置及び被支持構造物をジャッキダウンして該被支持構造物を取替用支承装置を介して支持構造物に支持させるようにすることを特徴とする支承装置の取替工法。
【請求項2】
支承本体の上沓の上面とソールプレートの下面との間に形成させる間詰め材充填空間部に入れる間詰め材として、硬化性の流体を用いるようにする請求項1記載の支承装置の取替工法。
【請求項3】
既設の支承装置で支持されている被支持構造物の所要個所に取り付けるソールプレートと、上記ソールプレートの下方の支持構造物上に配置するための台座と、該台座上に取り付ける支承本体と、該支承本体の上沓の上面と上記ソールプレートの下面との間に形成させる間詰め材充填空間部に入れるための間詰め材を備え、更に、上記台座を、台座天板の下方にジャッキ挿入部を備えて、該ジャッキ挿入部に挿入するジャッキにより台座自体をジャッキアップできるようにしてなる構成を有することを特徴とする取替用支承装置。
【請求項4】
支承本体の上沓の上面とソールプレートの下面との間に形成させる間詰め材充填空間部に入れる間詰め材を、硬化性の流体とした請求項3記載の取替用支承装置。
【請求項5】
支承本体の上沓の外周縁部の上面側に、該上沓の上面とソールプレートの下面との間に形成させる間詰め材充填空間部を取り囲む堰部を設けるようにした請求項4記載の取替用支承装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−144454(P2010−144454A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324215(P2008−324215)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(509338994)株式会社IHIインフラシステム (104)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(509338994)株式会社IHIインフラシステム (104)
【Fターム(参考)】
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