説明

支持特徴を有するエンドプロテーゼ構造体

本発明のエンドプロテーゼは、複数の蛇行リングを含み、この複数の蛇行リングは、フープ強度を増加させ、リコイルを抑制し、増加した表面積を提供する、支持特徴を有する。支持特徴は、蛇行リングの隣接する軸方向支柱の間に形成されてもよく、または、蛇行リングを一体に接合する軸方向長さの間に配置されてもよい。支持特徴は、I字形、C字形、V字形、U字形、S字形、Y字形、M字形、W字形、Z字形、らせん形、または他の種類等の、様々な種類の形状を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(1.発明の分野)
本発明は、エンドプロテーゼ(endoprosthesis)の設計に関し、特に、冠動脈または他の血管あるいは身体管腔等の、患者の身体管腔に移植されるために適合される、生分解性および非生分解性のステントまたはグラフトに関する。ステントは、動脈および静脈のアテローム硬化性狭窄の治療において特に有用である。
【背景技術】
【0002】
ステントは、冠動脈、頸動脈、伏在静脈グラフト、または大腿動脈等の血管または他の身体管腔の一部を開放状態にしておくか、または補強する機能を果たす、概して管状形状の器具である。それらはまた、プラークを安定させ、または人工弁を支持するために、流体通路を閉塞する解離した動脈の内層を支持および押し留めることに好適である。ステントは、種々の材料、特にポリマーおよび/または金属材料から形成することができ、そして、非生分解性、若しくは生分解性となるか、または、生分解性と非生分解性との両方の構成要素から形成されてもよい。ステントは、一般的には、カテーテルを使用して、身体管腔内の標的領域に送達される。バルーン拡張可能のステントでは、ステントは、バルーンカテーテルに取り付けられ、適切な領域へと進行させられ、そして、ステントは、バルーンを膨張させることによって拡張させられる。自己拡張ステントは、標的領域に送達され、解放され、必要な直径まで拡張して疾病を治療する。ステントはまた、種々の薬剤および薬物を溶出してもよい。
【0003】
図1を参照して、本心臓血管ステントにおいて採用される一般的なパターンは、短い軸方向連結部14によって接合される、複数の蛇行リング12を備えている。蛇行リングは、軸方向支柱16を備え、円周方向に隣接する支柱は、個々のリング12の円周方向への拡張を許容する際にヒンジの役割を果たす、冠部18によって接続される。これらのパターンは、分解性および非分解性の両方のステントおよび他のエンドプロテーゼに使用することができる。
【0004】
ステントおよび他のエンドプロテーゼの設計においては、いくつかの競合する目的に対処しなければならない。冠動脈ステントについては、通常、拡張後のステントの表面積を最大化する一方で、ステントを折り曲げて断面積を最小化することが可能であることが望ましい。最大化された表面積は、血管のリコイル(recoil)を低減するための強化された壁支持、および薬剤被覆ステントを採用する時の薬剤を送達するさらに優れた能力の両方を提供する。さらなる設計目的は、最小の力でステントが圧縮されることを可能にする一方で、拡張後の良好なフープ強度を依然として維持し、血管のリコイルにさらに抵抗することである。
【0005】
したがって、必要とされるものは、半径方向強度またはフープ強度を強化し、移植後の血管のリコイルを低減し、増加した表面積を提供する一方で、ステントのサイズおよび質量を維持または削減する、ステント設計またはステント材料である。本発明は、これらの要件のうちの少なくともいくつかを満たす。
【0006】
(2.背景技術の記載)
特許文献1は、内部拡張要素を介して軸方向に接続される蛇行リングを有する、ステントを記載している。特許文献2は、U字形コネクタによって円周方向に接合される箱形構造体を備える、ステントを記載している。特許文献3は、叉骨形コネクタによって接続される、軸方向に離間した蛇行バンドを備える、ステントを記載している。また、特許文献4および特許文献5も参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,773,455号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0093143号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2003/0144729号明細書
【特許文献4】米国特許第7,291,166号明細書
【特許文献5】米国特許第6,896,695号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、血管および他の管腔の状態を治療するために使用される、ステント、グラフト、または他の足場状管腔プロテーゼ等の、エンドプロテーゼを提供する。エンドプロテーゼは、基本構造に付加される支持特徴または要素を含む。ステントの基本構造は、上記で論じられた図1に概して示されるように、互いに直接的に接続されるか、または少なくとも1つの連結部または支柱と接続される、一連の円周方向蛇行リングから形成され、各リングは、冠部および支柱から構築される複数の拡張セグメントを備える。本発明によれば、基本構造は支持特徴で補強されており、支持特徴は、支持特徴のない構造と比較して、ステントの拡張時に、半径方向強度を増加させ、および/またはリコイルを低減することができる。支持特徴は、I字形、C字形、V字形、U字形、S字形、Y字形、M字形、W字形、Z字形、らせん形、または他の種類等の、様々な種類の形状を含有することができる。第1の実施形態では、支持特徴は、隣接する支柱のうちの少なくともいくつかを接続する。別の実施形態では、少なくとも1つの支持特徴は、少なくとも1つの軸方向に接続する連結部に接続する。
【0009】
したがって、本発明によれば、エンドプロテーゼは、複数の円周方向に拡張可能な蛇行リング、隣接するリングを接合する軸方向連結部、および支持特徴を備える。円周方向に拡張可能な蛇行リングはそれぞれ、冠部によって接合される軸方向支柱を含み、冠部は、リングが円周方向に開くにつれて支柱が広がることを可能にするヒンジとしての機能を果たす。軸方向連結部は、リングにおける冠部のうちの少なくともいくつかを接続することによって、隣接する蛇行リングを接合する。支持特徴は、蛇行リングのうちの少なくともいくつかの隣接する支柱のうちの少なくともいくつかの間に延在し、リングが円周方向に拡張するにつれて、支持特徴は伸長し、支柱は実質的に変形されないままである。
【0010】
エンドプロテーゼは、種々の従来のステント材料から構築されてもよく、バルーン拡張可能であるか、自己拡張式であるか、またはその両方の組み合わせであるか、のいずれかであってもよい。自己拡張式エンドプロテーゼの蛇行リングは、十分に弾性であることにより、送達の間においては、狭い断面積に拘束され、そして、血管系または他の身体管腔内において解放されて、円周方向に拡張した構成となることができる。対照的に、バルーン拡張可能エンドプロテーゼの蛇行リングは、十分に展性があることにより、一般的には、膨張性バルーンまたは他の拡張可能構造を使用して、リング内から半径方向外向きの力を作用されることによって、円周方向に拡張されることができる。特に好ましいステント材料は、鉄、亜鉛、鋼鉄、コバルト−クロム、ニッケル−チタン等の金属および合金、ならびに、ポリラクチド、ポリカプロラクトン、炭酸ポリエチレン、ポリラクチド−グリコリドの共重合体、ポリラクチド−炭酸トリメチレン、および同等物等のポリマーを含む。特定の材料および製造方法は、本出願と同じ日に出願された、共同所有出願第11/_________号(代理人整理番号022265−000520US)に記載されている。
【0011】
支持特徴は、エンドプロテーゼの蛇行リングが拡張されるにつれて、伸長あるいは拡張するように選択される、種々の特定の構成またはパターンを有してもよい。例示的な支持特徴の構成は、U字形コネクタ、V字形コネクタ、S字形コネクタ、らせん形コネクタ、W字形コネクタ、N字形コネクタ、Z字形コネクタ、および同等物を含む。エンドプロテーゼの露出した表面積を増加または制御するために、支持構造は、可変幅を有してもよく、例えば、らせん形コネクタは、表面積を増大または制御するように輪または円板形状のコアを含んでもよい。支持特徴の拡張が主要リング構造を変形または偏向しないように、支持特徴の幅および断面積は通常、蛇行リングの幅および断面積よりも小さい一方で、支持構造が蛇行リングに対して優先的に降伏できるようにする、偏向点を提供することによって、支持特徴の面積を増加させることが可能となる。例えば、支持特徴の複数部分は、エンドプロテーゼが拡張するにつれて最初に降伏するように、切欠を入れられてもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、1つ以上の付加的な支持特徴が、隣接する支柱のうちの少なくともいくつかの間に配置されてもよい。単一の支持特徴が採用される場合、それは通常、隣接する支柱における中間点の間に概して延在するが、他の場合においては、冠部によって一体に接続されない支柱の端に比較的近くに配置され得る。2つ以上の支持特徴が支柱の隣接するペアの間に提供される場合、それらは、支柱の長さに沿う任意の点に位置してもよく、一般的には、1つが中間点付近に位置し、もう1つが別の自由端(すなわち、冠部によって一体に接合されない端)付近に位置する。
【0013】
軸方向連結部は、通常、短い線状の梁を備え、線状の梁は、エンドプロテーゼの軸と軸方向に整列する。他の場合においては、線状の梁は、軸に対して、典型的には0度から45度までの、浅い角度で整列してもよい。
【0014】
本発明によるエンドプロテーゼは、軸方向連結部によって接合される、複数の円周方向に拡張可能な蛇行リングを備えてもよく、支持特徴は、隣接する蛇行リングの間の少なくともいくつかの隣接する軸方向連結部の間に延在する。隣接する軸方向連結部の間のこれらの支持特徴は、リングが円周方向に拡張するにつれて伸長する。隣接する軸方向連結部の間に接続される例示的な支持特徴は、蛇行コネクタを含み、通常、コネクタの折り畳み部分は、隣接する軸方向支柱の間の領域内に延在する。代替として、コネクタは、軸方向支柱の間の領域内へ突出する、対称的な延在長さを有する、「箱形」コネクタを備え得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、従来の蛇行リングステントを図示する。
【図2A】図2Aおよび2Bは、蛇行リングの隣接する軸方向支柱の間にU字形コネクタを有する、本発明のエンドプロテーゼの第1の実施形態を図示する。
【図2B】図2Aおよび2Bは、蛇行リングの隣接する軸方向支柱の間にU字形コネクタを有する、本発明のエンドプロテーゼの第1の実施形態を図示する。
【図3】図3は、拡張後の図2Aおよび2Bのステント構造を図示する。
【図4】図4および5は、コネクタを冠部に向かって(図4)、または冠部から離して(図5)配向することができる、支持特徴としての例示的なV字形コネクタを図示する。
【図5】図4および5は、コネクタを冠部に向かって(図4)、または冠部から離して(図5)配向することができる、支持特徴としての例示的なV字形コネクタを図示する。
【図6】図6は、支持構造としての例示的なS字形コネクタを図示する。
【図7】図7−9は、例示的ならせん形支持構造を図示し、図7は、外転らせんを図示し、図8は、輪のコアを有するらせんを図示し、図9は、円板のコアを有するらせんを図示する。
【図8】図7−9は、例示的ならせん形支持構造を図示し、図7は、外転らせんを図示し、図8は、輪のコアを有するらせんを図示し、図9は、円板のコアを有するらせんを図示する。
【図9】図7−9は、例示的ならせん形支持構造を図示し、図7は、外転らせんを図示し、図8は、輪のコアを有するらせんを図示し、図9は、円板のコアを有するらせんを図示する。
【図10】図10は、蛇行構造の開放端付近に位置するU字形コネクタを有する、例示的なエンドプロテーゼ構造を図示する。
【図11】図11および12は、隣接する軸方向支柱の間に支持特徴のペアを有する、例示的なエンドプロテーゼ構造を図示する。
【図12】図11および12は、隣接する軸方向支柱の間に支持特徴のペアを有する、例示的なエンドプロテーゼ構造を図示する。
【図13】図13は、半径方向および軸方向の両方に整列した伸長部分を有する、複合支持特徴を図示する。
【図14】図14、15A、および15Bは、図15Aおよび15Bに示されるように、2段階拡張を制御する、切欠状降伏点を有する、U字形支持特徴を図示する。
【図15A】図14、15A、および15Bは、図15Aおよび15Bに示されるように、2段階拡張を制御する、切欠状降伏点を有する、U字形支持特徴を図示する。
【図15B】図14、15A、および15Bは、図15Aおよび15Bに示されるように、2段階拡張を制御する、切欠状降伏点を有する、U字形支持特徴を図示する。
【図16】図16および17は、隣接する蛇行リングが角度を付けた軸方向連結部によって接続される、例示的なエンドプロテーゼ設計を図示する。図16はさらに、支持特徴としてのM字形コネクタを図示する一方で、図17は、支持特徴としてのN字形コネクタを図示する。
【図17】図16および17は、隣接する蛇行リングが角度を付けた軸方向連結部によって接続される、例示的なエンドプロテーゼ設計を図示する。図16はさらに、支持特徴としてのM字形コネクタを図示する一方で、図17は、支持特徴としてのN字形コネクタを図示する。
【図18】図18および19は、隣接する軸方向連結部を接続する支持特徴を図示し、図18は、蛇行パターンを図示し、図19は、箱形パターンコネクタを図示する。
【図19】図18および19は、隣接する軸方向連結部を接続する支持特徴を図示し、図18は、蛇行パターンを図示し、図19は、箱形パターンコネクタを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、ステント等のエンドプロテーゼを提供し、これは、基本ステント構造に追加される、支持の特徴または要素を伴う、血管および他の管腔の状態を治療するために使用される。ステントの基本構造は、1つ以上の蛇行リングから形成される。リングは、直接、または少なくとも1つの連結部によって相互接続されてもよい。各リングは、冠部および支柱から構築される複数の拡張セグメントから成る。次いで、ステントは、支持特徴のないステントと比較して、半径方向強度(例えば、フープ強度)を増加させ、表面積を増加させ、および/またはリコイルを低減する、支持特徴によって補強される。少なくとも1つの支持特徴は通常、冠部(ヒンジ)の回りで拡張する(広がる)軸方向支柱の対向する側面を接続する。代替として、支持特徴は、蛇行リングを接合する軸方向連結部を接続してもよい。セグメントの拡張時に、支持特徴は、半径方向強度を増加させ、および/またはリコイルを低減する。ステントは、非分解性または分解性であってもよく、分解は、生分解、生体浸食、生体吸収、および完全または部分的に生理学的環境中での壊変を含む。支持特徴は、拡張時に塑性変形を受けてステントの基本構造を補強してもよく、または代替として、弾性的に拡張して補強を提供してもよい。
【0017】
一実施形態では、少なくとも1つの支持特徴は、拡張時に変形を受け、ステントの基本構造を補強する。通常、少なくとも1つの支持特徴は、少なくとも1つの支持特徴がないステントと比較して、拡張されたステントの半径方向強度を、少なくとも15%、好ましくは、少なくとも50%、より好ましくは、少なくとも100%だけ増加させる。他の実施形態では、少なくとも1つの支持特徴は、拡張後に、15%未満、好ましくは7%未満、より好ましくは4%未満だけリコイルする、ステントを提供する。一事例では、少なくとも1つの支持特徴は、拡張してから少なくとも28日後に、20%未満、好ましくは10%未満、より好ましくは6%未満の、哺乳類の体内でのリコイルを伴うステントを提供する。
【0018】
支持特徴は、通常、支柱から支柱まで接続するが、代替として、または加えて、支柱から冠部まで、支柱から連結部まで、連結部から連結部まで、冠部から冠部まで、冠部から連結部まで、冠部から同じ冠部まで接続してもよい。例示的な支持特徴は、C字形、V字形、U字形、S字形、Y字形、M字形、W字形、Z字形、らせん形、または他の種類等の、様々な形状を含むことができる。これらの形状は、連続的または不連続的であってもよい。1つのリングについて少なくとも1つの種類の支持特徴が存在してもよい。
【0019】
支持特徴の厚さおよび/または幅は、隣接する拡張セグメントの厚さよりも大きいか、小さいか、またはほぼ等しくあってもよい。一実施形態では、支持特徴の厚さは、0.125mm(0.0005in)から2.5mm(0.010in)まで、好ましくは0.25mm(0.001in)から1.25mm(0.005in)まで、より好ましくは0.5mm(0.002in)から1mm(0.004in)までの範囲に及ぶ。一実施形態では、支持特徴の幅は、0.125mm(0.0005in)から2.5mm(0.010in)まで、好ましくは0.25mm(0.001in)から1.25mm(0.005in)まで、より好ましくは0.5mm(0.002in)から1mm(0.004in)までの範囲に及ぶ。一実施形態では、支持特徴の経路長は、1.25mm(0.005in)から25mm(1in)まで、好ましくは0.25mm(0.010in)から0.75mm(0.250in)まで、より好ましくは0.5mm(0.020in)から2.5mm(0.100in)までの範囲に及ぶ。
【0020】
一実施形態では、支持特徴が拡張セグメントまたは連結部に接続する角度は、約90度であるが、角度は、代替として、90度未満、または90度よりも大きくてもよい。通常、支持特徴が軸方向支柱または連結部に接続する角度は、30度から150度まで、好ましくは45度から135度まで、より好ましくは60度から120度までの範囲に及ぶ。
【0021】
支持特徴の材料は、金属、金属合金、ポリマー、複合材料、セラミック、またはそれらの組み合わせ、または他の種類の材料であってもよく、拡張セグメントまたは連結部と同様の種類、または異なる種類となり得る。
【0022】
これらの設計によって提供される、半径方向強度の増加および/またはリコイルの低減は、生分解性ステントにとって特に有益となり得る。エンドプロテーゼ設計およびパターンは、強化された強度および/または増加した弾性を提供するように、生分解性材料および非生分解性材料の両方に適用可能である。例示的な生分解性エンドプロテーゼ材料は、金属、金属合金、ポリマー、セラミック、複合材料、ならびにそれらの組み合わせでの他の材料を含む。生分解性材料の降伏強度は、通常、極限強度の少なくとも50%となり、好ましくは、極限強度の少なくとも75%であり、より好ましくは、極限強度の少なくとも90%である。生分解性ポリマーステント材料については、降伏強度は、37℃の水中で測定することができる。生分解性金属ステントに対する弾性係数は、通常、少なくとも50GPaとなり、好ましくは、少なくとも100GPaであり、より好ましくは、少なくとも150GPaである。生分解性ポリマーステントに対する弾性係数は、対照的に、37℃の水中で測定されたとき、少なくとも0.5GPaであり、好ましくは、少なくとも0.75GPaであり、より好ましくは、少なくとも1GPaである。降伏時のより高いひずみは、ステントのより大きいリコイルの一因となる場合がある。生分解性ポリマーステント材料に対する降伏ひずみは、37℃の水中で測定されたとき、好ましくはわずかに10%であり、好ましくは、わずかに5%であり、より好ましくは、わずかに3%である。生分解性ポリマーステント材料に対する塑性ひずみは、37℃の水中で測定されたとき、好ましくは、少なくとも20%であり、より好ましくは、少なくとも30%であり、さらにより好ましくは、少なくとも40%である一方で、ひずんだ生分解性ポリマーステント材料の弾性回復は、37℃の水中で測定されるとき、高々15%、好ましくは、高々10%、より好ましくは、高々5%である。
【0023】
生分解性ステント材料は、大きく異なる持続性を有してもよい。通常、材料は、移植後3年以内、より一般的には1年以内、さらに一般的には6ヶ月以内に実質的に分解する。血管内状態等の生理学的条件下で分解するときに、生分解性ステントは、1ヶ月後に、好ましくは、フープ強度の少なくとも25%を保持し、好ましくは、少なくとも40%を維持し、より好ましくは、少なくとも70%を維持する。
【0024】
生分解性ポリマーステント材料は、バルク(bulk)浸食、表面浸食、およびそれらの組み合わせを含む、いくつかの既知の機構のうちのいずれかによって分解してもよい。生分解性ポリマーステント材料は、通常、加水分解、酵素分解、酸化分解、光分解、生理学的環境下での分解、またはそれらの組み合わせにのうちの少なくとも1つによって分解する。
【0025】
好適な生分解性ポリマーステント材料は、ポリエステル、ポリ無水物、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ(エステルウレタン)、ポリ尿素、ポリエーテル、ポリアルキレンカーボネート、ポリアクリル酸、ポリアミン、ポリエステルアミド、ポリエステルアミン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンイミン、ポリシアノアクリレート、ポリホスファゼン、ポリリン酸、ポリホスホン酸、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリスルホン酸、ポリスルホンアミド、ポリラクチド、ポリグリコリド、再生セルロース、またはバイオポリマーあるいは混合物、ブロック重合体、共重合体、またはそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。これらのポリマーの実施例は、ポリ(L−乳酸)、ポリ(L/D−乳酸)、ポリ(L/DL−乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ならびに共重合体および異性体、ポリジオキサノン、ポリ(グルタミン酸エチル)、ポリ(ヒドロキシ酪酸)、ポリヒドロキシシ吉草酸および共重合体、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸−コ−ヒドロキシ吉草酸)、ポリカプロラクトン、ポリ無水物、ポリ(オルトエステル)、ポリ(エーテルエステル)、ポリ(炭酸トリメチレン)、ポリ(L−乳酸−コ−炭酸トリメチレン)、ポリ(L/D−乳酸−コ−炭酸トリメチレン)、ポリ(L/DL−乳酸−コ−炭酸トリメチレン)、ポリ(ポリカプロラクトン−コ−炭酸トリメチレン)、ポリ(グリコール酸−コ−炭酸トリメチレン)、ポリ(グリコール酸−コ−炭酸トリメチレン−コ−ジオキサノン)、炭酸ポリエチレン、炭酸ポリエチレンおよびポリ(炭酸トリメチレン)の共重合体、炭酸ポリプロピレン、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(リンゴ酸)、変性ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネートアジペート)、ポリ(ブチレンサクシネートテレフタレート)、ポリ(ブチレンアジペート−コ−テレフタレート)、澱粉ベースのポリマー、ヒアルロン酸、酸化または非酸化再生セルロース共重合体、および他の脂肪族ポリエステル、またはそれらの好適な共重合体を含むが、それらに限定されない。本発明における生分解性ポリマーステント材料は、ホモポリマー、共重合体、グラフト重合体、ブロック重合体、酸性または親水性型等の特殊官能基または末端基を伴うポリマー、または2つ以上のホモポリマーあるいは共重合体の混合物となり得る。
【0026】
生分解性ポリマーステント材料は、線状、分岐、架橋、ハイパー分岐、または樹状等の、様々な分子構造を有することができる。本発明における生分解性ポリマーステント材料は、分子量が、10KDaから10,000KDaまで、好ましくは100KDaから1000KDaまで、より好ましくは300KDaから600KDaまでの範囲に及ぶことができる。
【0027】
ある実施形態では、生分解性ポリマーステント材料は、少なくとも1つの添加物を組み込む。添加物は、強度、リコイル、または分解速度、またはそれらの組み合わせに影響を及ぼすことができる。添加物はまた、生分解性ステント材料の加工、放射線不透過性、または表面粗度、またはその他に影響を及ぼすこともできる。添加物は、生分解性または非生分解性となり得る。添加物は、混合、押出、射出成形、被覆、表面処理、化学的処理、機械的処理、スタンピング、またはその他、またはそれらの組み合わせによって、生分解性ステント材料に組み込むことができる。添加物は、生分解性ステント材料に組み込む前に、化学的に改質されることができる。
【0028】
一実施形態では、添加物の重量パーセントは、0.01%から25%まで、好ましくは、0.1%から10%まで、より好ましくは1%から5%までの範囲に及ぶことができる。一実施形態では、添加物は、少なくとも、ナノクレイ、ナノチューブ、ナノ粒子、剥離物、繊維、ウィスカ、プレートレット、ナノ粉末、フラーレン、ナノスフィア、ゼオライト、ポリマー、またはその他、またはそれらの組み合わせを含む。ナノクレイの実施例は、モンモリロナイト、スメクタイト、タルク、またはプレートレット形状粒子、またはその他、またはそれらの組み合わせを含む。粘土は、間入または剥離されることができる。粘土の実施例は、Cloisite NA、93A、30B、25A、15A、10A、またはその他、またはそれらの組み合わせを含む。繊維の実施例は、リネン、綿、レーヨン、アセテート等のセルロース繊維、羊毛または絹等のタンパク繊維;植物繊維;ガラス繊維;炭素繊維;金属繊維;セラミック繊維;ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリグリコネート、またはその他等の吸収性繊維を含む。ウィスカの実施例は、ヒドロキシアパタイトウィスカ、リン酸三カルシウムウィスカ、またはその他を含む。
【0029】
別の実施形態では、添加物は、少なくとも、改質デンプン、大豆、ヒアルロン酸、ヒドロキシアパタイト、リン酸トリカーボネート、ドデシル硫酸ナトリウム、塩化トリエチレンベンジルアンモニウム等の陰イオン性または陽イオン性の界面活性剤、D2W(Symphony Plastic Technologiesより)等のプロ分解剤(pro−degradant)、UV−H(Willow Ridge Plasticsより)等の光分解性添加物、PDQ(Willow Ridge Plasticsより)、TDPA、ポリ乳酸群およびそのランダムまたはブロック共重合体等の酸化性添加物、またはその他を含む。
【0030】
別の実施形態では、添加物は、非分解性ポリマーステント材料の分解を誘導することができる。例えば、D2W(Symphony Plastic Technologiesより)等のプロ分解剤、UV−H(Willow Ridge Plasticsより)等の光分解性添加物、PDQ(Willow Ridge Plasticsより)、TDPA、またはその他等の酸化性添加物、またはそれらの組み合わせは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、またはその他等の非分解性ステント材料の分解を開始することができる。さらに他の実施形態では、添加物は、電気活性または電解質ポリマー、含水ポリマー、乾燥剤、またはその他を含む。添加物は、酸、過塩素酸塩、硝酸塩、過マンガン酸塩、塩、またはその他、またはそれらの組み合わせ等の酸化剤を含んでもよい。添加物は、生分解性ポリマーステント材料のモノマーを含んでもよい。例えば、グリコール酸は、ポリグリコール酸またはその共重合体ステント材料への添加物である。添加物は、蜜蝋、低分子量ポリエチレン、またはその他等の、撥水モノマー、オリゴマー、またはポリマーを含んでもよい。他の実施形態では、添加物は、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、グリセロール、カフェイン、リドカイン、またはその他等の、水誘引剤モノマー、オリゴマー、またはポリマーとなり得る。他の実施形態では、添加物は、生分解性ポリマーステント材料の結晶化度に影響を及ぼすことができる。PLLAへのナノクレイの添加物の実施例は、その結晶化度に影響を及ぼす。さらに他の実施形態では、生分解性ポリマーステント材料は、ガンマまたは電子ビーム等の放射線への暴露時に、増加した結晶化度を有することができる。累積放射線量は、1Mradから100Mradまで、好ましくは5から50Mradまで、より好ましくは10から30Mradまでの範囲に及ぶことができる。生分解性ステント材料は、ステント材料を引き抜く(draw)か、加圧するか、および/または加熱することによって、半径方向および/または長軸方向に、生分解性ステント材料内のポリマー鎖の配向を増加させられることによって、増加した結晶化度を有する。別の実施形態では、ステント材料を引き抜くか、加圧するか、および/または加熱するステップは、同時に、または連続的に生じる。
【0031】
本明細書で開示されているパターンを有する生分解性ポリマーステントを調製するための具体的方法は、本出願と同じ日に出願された、同時係属出願第11/_______号(代理人整理番号022265−000520US)に記載されており、その開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0032】
本発明では、ステント材料は、免疫調節剤、抗癌剤、抗増殖剤、抗炎症剤、抗血栓剤、抗血小板剤、抗真菌剤、抗糖尿病薬、抗高脂肪血症剤、血管新生阻害剤、血管形成剤、降圧剤、治癒促進薬、または他の薬効分類の薬剤、またはそれらの組み合わせ等の薬物を含んでもよい。例示的な免疫調節剤は、ラパマイシン、エベロリムス、ABT 578、AP20840、AP23841、AP23573、CCI−779、重水素化ラパマイシン、TAFA93、タクロリムス、シクロスポリン、TKB662、ミリオシン、それらの類似体、プロドラッグ、代謝産物、スラット、またはその他、またはそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。
【0033】
例証的な抗癌剤は、アシビシン、アクラルビシン、アコダゾール、アクロナイシン、アドゼレシン、アラノシン、アルデスロイキン、アロプリノールナトリウム、アルトレタミン、アミノグルテチミド、アモナフィド、アムプリゲン、アムサクリン、アンドロゲン、アングイジン、アフィジコリングリシナート、アサレイ、アスパラギナーゼ、5−アザシチジン、アザチオプリン、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)、ベイカーズ・アンチホル(Baker’s Antifol)(可溶性)、ベータ−2’−デオキシチオグアノシン、ビサントレンhcl、硫酸ブレオマイシン、ブスルファン、ブチオニンスルホキシミン、BWA 773U82、BW 502U83.HC1、BW 7U85メシラート、セラセミド、カルベチマー、カルボプラチン、カルムスチン、クロランブシル、クロロキノキサリン−スルホンアミド、クロロゾトシン、クロモマイシンA3、シスプラチン、クラドリビン、コルチコステロイド、コリネバクテリウムパヴム、CPT−11、クリスナトール、シクロシチジン、シクロホスファミド、シタラビン、シテムベナ、ダビスマレアート、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシンHCl、デアザウリジン、デクスラゾキサン、ジアンヒドロガラクチトール、ジアジコン、ジブロモダルシトール、ジデムニンB、ジエチルジチオカルバメート、ジグリコアルデヒド、ジヒドロ−5−アザシチジン、ドキソルビシン、エキノマイシン、エダトレキセート、エデルホシン、エフロミチン、エリオット(Elliott)溶液、エルサミトルシン、エピルビシン、エソルビシン、リン酸エストラムスチン、エストロゲン、エタニダゾール、エチオホス、エトポシド、ファドラゾール、ファザラビン、フェンレチニド、フィルグラスチム、フィナステリド、酢酸フラボン、フロクスウリジン、リン酸フルダラビン、5−フルオロウラシル、Fluosol.RTM.、フルタミド、硝酸ガリウム、ゲムシタビン、酢酸ゴセレリン、ヘプスルファム、ヘキサメチレンビスアセトアミド、ホモハリントニン、硫酸ヒドラジン、4−ヒドロキシアンドロステンジオン、ヒドロキシ尿素、イダルビシンHCl、イホスファミド、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、インターロイキン−1アルファおよびベータ、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイキン−6、4−イポメアノール、イプロプラチン、イソトレチノイン、ロイコボリンカルシウム、酢酸ロイプロリド、レバミソール、リポソーマルダウノルビシン、リポソーム封入ドキソルビシン、ロムスチン、ロニダミン、マイタンシン、塩酸メクロレタミン、メルファラン、メノガリル、メルバロン、6−メルカプトプリン、メスナ、カルメット・ゲラン桿菌のメタノール抽出残渣、メトトレキサート、N−メチルホルムアミド、ミフェプリストン、ミトグアゾン、マイトマイシン−C、ミトタン、塩酸ミトキサントロン、単球/マクロファージコロニー刺激因子、ナビロン、ナホキシジン、ネオカルジノスタチン、酢酸オクトレオチド、オルマプラチン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パラ、ペントスタチン、ピペラジンジオン、ピポブロマン、ピラルビシン、ピリトレキシム、塩酸ピロキサントロン、PIXY−321、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、プレドニムスチン、プロカルバジン、プロゲスチン、ピラゾフリン、ラゾキサン、サルグラモスチム、セムスチン、スピロゲルマニウム、スピロムスチン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、スロフェヌル、スラミンナトリウム、タモキシフェン、タキソテール、テガフール、テニポシド、テレフタルアミジン、テロキシロン、チオグアニン、チオテパ、チミジン注射剤、チアゾフリン、トポテカン、トレミフェン、トレチノイン、塩酸トリフルオペラジン、トリフルリジン、トリメトレキセート、腫瘍壊死因子、ウラシルマスタード、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビンゾリジン、Yoshi 864、ゾルビシン、QP−2、エポシロンD、エポシロンC、パクリタキセル、ドセタキセル等のTaxol、ABJ879、パツピロン、MN−029、BMS247550、ET−743、テトラヒドロイソキノリンアルカロイド、シロリムス、アクチノマイシン、メトトレキサート、アンギオペプチン、ビンクリスチン、マイトマイシン、2−クロロデオキシアデノシン、またはその他などのエクチナサイジン、カスポファンギン、ファルネシル化ジベンゾジアゼピノン、ECO−4601、フルコナゾール、またはその他等の抗真菌剤、ホリスタチン、レプチン、ミッドカイン、アンジオゲニン、アンジオポエチン−1、ベカプレルミン、Regranex等の血管形成薬、カンスタチン、アンギオスタチン、エンドスタチン、レチノイド、ツミスタチン、バスキュロスタチン、アンジオアレスチン、バソスタチン、ベバシズマブ、プリノマスタット、またはその他等の抗血管形成薬、メトホルミン等の抗糖尿病薬、カンデサルタン、ディオバン、ジルチアゼム、アテノロール、アダラート、またはその他等の血圧降下剤、ラノラジン、硝酸イソソルビド、またはその他等の抗虚血薬を含む。
【0034】
例示的な抗炎症剤は、アスピリン、ジクロフェナク、インドメタシン、スリンダク、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム、テノキシカム、トルメチン、ケトロラク、オキサプロシン、メフェナム酸、フェノプロフェン、ナムブメトン(レラフェン)、アセトアミノフェン(Tylenol.RTM.)、およびそれらの混合物等の典型的な非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDS)、ニメスリド、NS−398、フロスリド、L−745337、セレコキシブ、ロフェコキシブ、SC−57666、DuP−697、パレコキシブナトリウム、JTE−522、バルデコキシブ、SC−58125、エトリコキシブ、RS−57067、L−748780、L−761066、APHS、エトドラク、メロキシカム、S−2474、およびそれらの混合物等のCOX−2阻害剤、ハイドロコルチゾン、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、メプレドニゾン、トリアムシノロン、パラメタゾン、フルプレドニゾロン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、フルドロコルチゾン、デスオキシコルチコステロン、プロピオン酸フルチカゾン、ピロキシカム、セレコキシブ、メフェナム酸、トラマドール、メロキシカム、メチルプレドニゾン、プソイドプテロシン、またはその他等のグルココルチコイド、ゾレドロン酸、アレンドロネートまたはその他等の高カルシウム血症薬、プラビックス、へパリン、アリクストラ、およびフラキシパリン、またはその他等の抗血栓症薬、またはそれらの混合物を含む。
【0035】
薬物の類似体、プロドラッグ、誘導体、前駆体、断片、塩、または他の改質体あるいは変異体の使用は、全て含まれる。
【0036】
これらの薬物の類似体、誘導体、プロドラッグ、塩、合成または生物学的同等物は、過剰増殖性疾患、狭窄、創傷治癒、癌、動脈瘤、糖尿病、腹部大動脈瘤、血管形成、高カルシウム血症、虚血、細動、不整脈、またはその他等の、必要とされる治療の種類に応じて、ステントから放出することができる。
【0037】
薬剤は、参照されて、全体として本願に組み込まれる、過去の特許出願に開示されているように、非分解性、部分的分解性、完全分解性の被覆、または組み合わせを使用して、インプラントから放出されることができる。薬剤は、被覆を伴うマトリクスとして組み込まれるか、またはステント上に塗布されて、速度制限障壁としての被覆によって覆われることができ、または薬剤は、ステント表面上に直接被覆されることができる。
【0038】
ステント上に薬剤および被覆を組み込むために使用される溶媒は、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、エタノール、または他の溶媒等の有機溶媒となり得る。一実施形態では、薬剤および/または薬剤ポリマーマトリクスを被覆するために使用される溶媒は、ポリマーステント材料の化学的または機械的特性に影響を及ぼさない。
【0039】
一実施形態では、超臨界二酸化炭素等の超臨界流体が、薬剤および/またはポリマーに対する担体溶媒として使用され、薬剤および/または薬剤ポリマーマトリクスによってステントを被覆する。二酸化炭素等の非反応性気体の使用は、薬物の化学的および物理的特性を改変し得る他の有機溶媒を使用する必要性を除去する。
【0040】
一実施形態では、ステント材料上の薬物の結晶化度は、90%より大きく、好ましくは93%より大きく、より好ましくは95%より大きい。
【0041】
一実施形態では、薬物は、生分解性ポリマーステント材料内に組み込まれ、管からステントへのレーザ切断の前に、ステント管類へと押出成形されることができる。別の実施形態では、薬剤は、押出またはレーザ切断中に薬剤の分解を防止するために、保護被覆内に組み込まれる。
【0042】
一実施形態では、薬剤放出速度は、ステント材料環境内でのステント材料の分解速度および生物学的反応イベントに対応して、ある時々において、およびある継続時間にわたって放出されるように構成されることができる。例えば、抗炎症薬、抗増殖薬、または免疫調節薬、またはこれらの組み合わせは、分解期間全体の間に放出するように作製されることができる。被覆の分解速度および/またはインプラントの分解速度に一致するように、複数の薬剤が放出されることができる。抗血小板または抗血栓の薬剤は、初期段階で放出されることができ、抗炎症剤または抗増殖剤または免疫抑制剤は、同時に、または後期段階に放出することができる。
【0043】
ここで、図2Aおよび2Bを参照して、本発明によるステント10は、図1に示されるステントと同じ基本パターンを有し、軸方向連結部14によって接合される、複数の隣接する蛇行リング12を含む。図示されるように、ステント10は、6つの隣接する蛇行リング12を含み、各リングは、一端においてヒンジ状冠部18によって接合される1対の軸方向支柱16を備える、6つの蛇行セグメントを含む。リングおよびセグメントの数は、ステントの所望のサイズの寸法に応じて、大きく異なってもよい。本発明によれば、支持特徴20は、図3に示されるように、支柱とともに円周方向に拡張し、通常は伸長するように、隣接する軸方向支柱16の間に配置され、接続される。支持特徴20は、図2Aおよび2Bに示されるように、拡張前には、概して閉じたU字形構成であり、図3に示されるように、蛇行リング12の半径方向への拡張中に、冠部18の回りの軸方向支柱16の開口部とともに、浅いV字形に開く。支持特徴20は、半径方向への拡張後のステントのフープ強度を強化し、拡張が完了した後のリコイルに抵抗することに役立ち、血管または他の管腔壁を支持するため、および選択的に管腔壁の中へ薬剤を送達するための付加的な領域を提供する。
【0044】
U字形の支持特徴20が、図2Aおよび2Bに図示されている一方で、図4−17に図示されるように、種々の他の構成が利用されてもよい。図4では、V字形支持特徴22が、隣接する軸方向支柱16の間に配置されている。図5の支持特徴24は、図4のものと概して同じであるが、それらが、反対方向を向いている、すなわち、冠部18に向かうよりもむしろ冠部から離れる方向を向いていることのみ異なる。S字形コネクタ26が、図6に図示されている一方で、らせん形コネクタ28が図7に示されている。図8が、中心に開口リングを有する代替のらせん形コネクタ30を示す一方で、図9は、中心に円板を有する同様の支持特徴32を示す。
【0045】
これまで示されているように、支持特徴20−32は、該支柱の中間点付近において隣接する軸方向支柱16に接続されている。支持特徴34はまた、図10に示されるように、軸方向支柱16の開放端付近に接続されてもよく、または、図11に示されるように、複数の対で、またはより多数で接続されてもよい。図12が、中間点付近において接合された1対のコネクタ34を図示する一方で、図13は、3点において隣接する軸方向支柱16の間に接合された複合支持特徴40を図示し、2点は支柱の開放端付近にあり、第3の点は冠部18の内側にある。
【0046】
ここで、図14、15A、および15Bを参照して、支持特徴42は、拡張を制御するために、その長さに沿って形成される偏向点44を有してもよい。例えば、U字形コネクタ42の中央に切欠44を配置することによって、支持特徴は、最初に、図15Aに示されるように、偏向点44において開き、後に、図15Bに示されるように、コネクタの冠部において開くようにプログラムされてもよい。そのようなプログラムされた開放は、軸方向支柱16が、支持特徴42を拡張するために必要とされる力によって有意に妨害されることなく、拡張することを確実にするのに役立つ。
【0047】
支持特徴および軸方向連結部の構造および配置におけるさらなる変化例が、提供されてもよい。図16に示されるように、支持特徴50がN字形コネクタを備えてもよい一方で、軸方向連結部52は、エンドプロテーゼの軸方向に対して角度を付けられてもよい。同様に、図17に示されるように、角度を付けた軸方向連結部62によってともに保持された蛇行リングを接合するために、N字形支持特徴60が提供されてもよい。
【0048】
ここで、図18および19を参照して、支持特徴はまた、本発明のエンドプロテーゼにおける軸方向連結部14の間に接続されてもよい。支持特徴70は、隣接する軸方向支柱16の間にある領域の中へ延在する、屈曲または折り畳み部分を有する、概して蛇行の構成を有する。図19のエンドプロテーゼにおける支持特徴72は、支持特徴が、隣接する軸方向支柱16の間にある領域の中へ延在する1対の突起74を有する箱形領域を含むことを除いて、70と同様である。両方の場合において、支持特徴70および72は両方とも、半径方向拡張後の蛇行リングのフープ強度を強化し、リコイルを抑制し、そして、組織を支持し、活性薬剤を送達するための増大した表面積を提供する。
【0049】
上記は、本発明の好ましい実施形態の完全な説明であるが、種々の代替案、修正、および同等物が使用されてもよい。したがって、上記の説明は、添付の請求項によって規定される、本発明の範囲を限定するものとして捉えるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の円周方向に拡張可能な蛇行リングであって、各蛇行リングは、冠部によって接合される軸方向支柱を含み、該冠部は、該リングが円周方向に開くにつれて該支柱が広がることを可能にする、ヒンジとしての機能を果たす、蛇行リングと、
隣接するリングにおける少なくともいくつかの冠部を接合する、軸方向連結部と、
該蛇行リングのうちの少なくともいくつかのうちの少なくともいくつかの隣接する支柱の間に延在する、支持特徴であって、該リングが円周方向に拡張するにつれて、該支持特徴は伸長し、該支柱は実質的に変形されないままである、支持特徴と
を備える、エンドプロテーゼ。
【請求項2】
生分解性材料を少なくとも部分的に備える、請求項1に記載のエンドプロテーゼ。
【請求項3】
金属を少なくとも部分的に備える、請求項1に記載のエンドプロテーゼ。
【請求項4】
前記蛇行リングは、十分に弾性であるので、それらは、狭い断面積に拘束され、そして、円周方向に拡張した構成となるように解放されることができる、請求項1に記載のエンドプロテーゼ。
【請求項5】
前記蛇行リングは、十分に展性であるので、それらは、該リング内から半径方向外向きの力を作用させることによって円周方向に拡張させられることができる、請求項1に記載のエンドプロテーゼ。
【請求項6】
前記支持特徴は、U字形コネクタを備える、請求項1に記載のエンドプロテーゼ。
【請求項7】
前記支持特徴は、V字形コネクタを備える、請求項1に記載のエンドプロテーゼ。
【請求項8】
前記支持特徴は、S字形コネクタを備える、請求項1に記載のエンドプロテーゼ。
【請求項9】
前記支持特徴は、らせん形コネクタを備える、請求項1に記載のエンドプロテーゼ。
【請求項10】
前記らせん形コネクタは、輪のコアを有する、請求項9に記載のエンドプロテーゼ。
【請求項11】
前記らせん形コネクタは、円板のコアを有する、請求項9に記載のエンドプロテーゼ。
【請求項12】
前記支持特徴は、W字形コネクタを備える、請求項1に記載のエンドプロテーゼ。
【請求項13】
前記支持特徴は、N字形コネクタを備える、請求項1に記載のエンドプロテーゼ。
【請求項14】
前記隣接する支柱のうちの少なくともいくつかの間に延在する、少なくとも1つの付加的な支持特徴をさらに備える、請求項1に記載のエンドプロテーゼ。
【請求項15】
前記支持特徴は、前記隣接する支柱における中間点の間に延在する、請求項1に記載のエンドプロテーゼ。
【請求項16】
前記支持特徴は、前記隣接する支柱における前記冠部近傍の点の間に延在する、請求項1に記載のエンドプロテーゼ。
【請求項17】
前記支持特徴は、隣接する軸方向支柱における2点と、該支柱を接合する前記冠部における1点との間に延在する、請求項1に記載のエンドプロテーゼ。
【請求項18】
前記支持特徴は、前記軸方向支柱の断面積よりも小さい断面積を有する、請求項1に記載のエンドプロテーゼ。
【請求項19】
前記支持特徴のうちの少なくともいくつかは、前記蛇行リングが円周方向に拡張させられたときに、優先的に降伏する偏向点を有する、請求項1に記載のエンドプロテーゼ。
【請求項20】
前記偏向点は、切欠を備える、請求項19に記載のエンドプロテーゼ。
【請求項21】
前記軸方向連結部は、線状の梁を備える、請求項1に記載のエンドプロテーゼ。
【請求項22】
前記線状の梁は、軸方向に整列している、請求項21に記載のエンドプロテーゼ。
【請求項23】
前記線状の梁は、前記軸に対してある角度で整列している、請求項21に記載のエンドプロテーゼ。
【請求項24】
複数の円周方向に拡張可能な蛇行リングであって、各蛇行リングは、冠部によって接合される軸方向支柱を含み、該冠部は、該リングが円周方向に開くにつれて該支柱が広がることを可能にする、ヒンジとしての機能を果たす、蛇行リングと、
隣接するリングにおける少なくともいくつかの冠部を接合する、軸方向連結部と、
隣接する蛇行リングの間の少なくともいくつかの隣接する軸方向連結部の間に延在する、支持特徴であって、該支持特徴は該リングが円周方向に拡張するにつれて伸長する、支持特徴と
を備える、エンドプロテーゼ。
【請求項25】
前記支持特徴は、蛇行コネクタを備える、請求項24に記載のエンドプロテーゼ。
【請求項26】
前記支持特徴は、箱形コネクタを備える、請求項24に記載のエンドプロテーゼ。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2010−516348(P2010−516348A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546552(P2009−546552)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/051497
【国際公開番号】WO2008/089446
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(507331221)エリクシアー メディカル コーポレイション (6)
【Fターム(参考)】