説明

支持碍子形電圧検出装置

【課題】 幹線導体を支持・固定することで配線が完了し、高電圧の入力側と低電圧の出力側間の電気絶縁を向上した支持形電圧検出装置を提供する。
【解決手段】 碍子内部に、電圧検出用抵抗素子(5)と、被支持物である幹線導体を固定する複数の第1固定用金属ナット(4)と、碍子を盤に固定する複数の第2固定用金属ナット(8)と、電圧検出用抵抗素子の入力端子(6)及び出力端子(9)を備えた碍子形電圧検出装置において、第1固定用金属ナットの一部は電圧検出用抵抗素子の入力端子を兼用し導体取付け面(3)に面位置に露出して埋め込まれ、出力端子は碍子の底部取付け面(7)に露出して埋め込まれるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気抵抗素子を使用し高電圧回路から降圧して低電圧を検出する電圧検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の碍子形電圧検出装置は、電圧検出またはその他の電気的特性を得る目的のみのもので、碍子は内部の電気抵抗素子等の周囲からの保護及び電気絶縁の目的で使用されている。(例えば、特許文献1参照)。
図7において、16は碍子であり、内部に高電圧抵抗素子20等を収納している。入力側の配線は線路側からリード14により配線され、出力側はリード26a、26bにより配線されている。
このように、従来の碍子電圧検出装置は、電気抵抗素子等の周囲からの保護及び電気的絶縁の目的の為に碍子を使用するのであり、幹線から専用に分岐して配線する必要がある。
【特許文献1】特開平11−8041号(8頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の碍子形電圧検出装置では、碍子は内部抵抗素子の支持及び周囲からの電気絶縁の機能しか有してないので、幹線から装置への分岐配線を必要とした。また、専用に取付けスペースが必要となるため、配電盤等内部での使用が困難であるというような問題もあった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、抵抗素子を碍子内に内蔵し、碍子は幹線の導体支持・固定の機能を有し且つ幹線の導体を支持固定することで幹線から抵抗素子入力側への配線が完了するとともに、低電圧の抵抗素子出力線を碍子取付け底面から引き出すことにより、高電圧の入力側と低電圧の出力側間の電気絶縁を向上することができる支持碍子形電圧検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したのである。
請求項1に記載の発明は、碍子内部に、電圧検出用抵抗素子と、被支持物である幹線導体を固定する複数の第1固定用金属ナットと、前記碍子を盤に固定する複数の第2固定用金属ナットと、前記電圧検出用抵抗素子の入力端子及び出力端子を備えた支持碍子形電圧検出装置において、前記第1固定用金属ナットの一部は電圧検出用抵抗素子の入力端子を兼用し導体取付け面に面位置に露出して埋め込まれ、前記電圧検出用抵抗素子の出力端子は前記碍子の底部取付け面に露出して埋め込まれていることを特徴とするものである。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1記載の支持碍子形電圧検出装置において、前記電圧検出用抵抗素子を碍子内に螺旋状に配置したことを特徴とするものである。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1記載の支持碍子形電圧検出装置において、前記電圧検出用抵抗素子を碍子内につづら折り状に配置したことを特徴とするものである。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の支持碍子形電圧検出装置において、前記電圧検出用抵抗素子の出力側から口出し線を碍子取り付け面を通して碍子外部に引き出したことを特徴とするものである。
また、請求項5に記載の発明は、請求項4記載の支持碍子形電圧検出装置において、前記碍子の底部取付け面に断面Ω形の補助ベースを取付けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0005】
請求項1に記載の発明によると、接続導体を碍子に固定・支持することで、幹線から抵抗素子への接続を完了することができ、幹線からの分岐配線を省略することができる。
また、請求項2、3に記載の発明によると、碍子内部の電気抵抗素子の長さを直線配置に比べ長く設定出来、碍子自体の寸法を変えずに抵抗値の調整幅を大きく取ることが出来る。
また、請求項4に記載の発明によると、抵抗素子出力側配線用の中継端子を配電盤等内部の任意の位置に配置でき配線作業性・保守性を向上させることができる。
また、請求項5に記載の発明によると、碍子自体の取付けネジ及び抵抗素子出力側配線用端子台のネジの方向を、接続導体取付け側に向けて配置でき、碍子取付け・接続導体取付け、出力側配線の接続の一連の作業が全て一方向から可能とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【実施例1】
【0007】
図1は本発明の支持碍子形電圧検出装置の断面図である。図において、100は支持碍子形電圧検出装置、1は碍子、3は幹線導体取付け面、4は第1金属製埋込みナット、5は電気抵抗素子、6は入力側端子部、7は底部取付け面、8は第2金属製埋込みナット、9は出力側端子である。
図2は本発明の支持碍子形電圧検出装置を幹線導体と盤の取付けベースに固定した図である。図2(b)は側断面図、図2(c)は幹線導体取付け面を示す正面図、図2(a)は碍子取付け面を示す裏面図である。図2において、碍子1の幹線導体取付け面3に取付け面と面位置に金属製埋込みナット4を設け、埋込みナットの一部は電気抵抗素子5の入力側端子部6に接続されている。碍子の底部取り付け面7には碍子自体の金属製埋込みナット8及び電気抵抗素子の出力側端子9を有している。
【0008】
本発明が従来技術と異なる部分は、碍子が幹線接続導体2を支持固定できることと、接続導体2の碍子1への支持固定により幹線導体から電気抵抗素子入力側6に接続できること、及び電気抵抗素子出力側端子9を碍子底部取付け面7に備えた部分である
【0009】
このように電気抵抗素子5を碍子1内に内蔵し、碍子1は幹線の導体2を支持・固定する機能を持たせ且つ幹線の導体2を支持固定することで幹線から電気抵抗素子入力側6への配線を完了できるとともに、低電圧の電気抵抗素子出力線9を碍子取付け底面7から引き出すことにより、高電圧の入力側と低電圧の出力側間の電気絶縁を向上することができる。
【実施例2】
【0010】
図3は第2実施例の構成を示す図である。図において、碍子1内に内蔵する電気抵抗素子5を螺旋状に配置している。電気抵抗素子5を螺旋状に配置しているので、碍子1の大きさに影響を与えることなく、電気抵抗素子5の抵抗値の調整幅すなわち長さを大きく取ることが出来る。
【実施例3】
【0011】
図4は第3実施例の構成を示す図である。図において、碍子1内に内蔵する電気抵抗素子5をつづら折り状に配置している。電気抵抗素子5をつづら折り状に配置しているので、碍子1の大きさに影響を与えることなく、電気抵抗素子5の抵抗値の調整幅すなわち長さを大きく取ることが出来る。
【実施例4】
【0012】
図5は第4実施例の構成を示す図である。図において、碍子1内に内蔵する電気抵抗素子5の出力側から直接口出し線10を碍子底部7を通して碍子外部に引き出し、盤内側の任意の位置に設定した中継端子11に接続する。碍子底部7の出力端子9への接続をすることなく、盤内側の任意の位置に設定した中継端子11に接続出来る。
【実施例5】
【0013】
図6は第5実施例の構成を示す図である。図において、碍子底部7に碍子底部7より面積の広い断面Ω形の補助ベース12を取付ける。出力配線10は盤側取付けベース13と碍子用補助ベース12との間の空間を通して、盤内側の任意の位置に設定した中継端子11に接続する。碍子用補助ベース12を設けることにより出力側中継端子11への配線接続及び接続導体2の取付け及び碍子1の盤側ベース13への取り付けの一連の作業が全て一方向から可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の支持碍子形電圧検出装置の構成を示す側断面図
【図2】本発明の支持碍子形電圧検出装置を幹線導体と盤との間に配置した図
【図3】第2実施例の構成を示す側断面図
【図4】第3実施例の構成を示す側断面図
【図5】第4実施例の構成を示す側断面図
【図6】第5実施例の構成を示す側断面図
【図7】従来の碍子形電圧検出装置の構成を示す側断面図
【符号の説明】
【0015】
1 碍子
2 幹線側の導体
3 碍子の導体取り付け面
4 導体取付け面側金属製埋込みナット
5 電気抵抗素子
6 電気抵抗素子の入力側端子部
7 碍子の底部取付け面
8 底部取付け面側金属製埋込みナット
9 電気抵抗素子の出力側端子部
10 電気抵抗素子の出力側口出し線
11 電気抵抗素子の出力側中継端子
12 碍子底部取付け補助ベース
13 盤側取付けベース
100 支持碍子形電圧検出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
碍子内部に、電圧検出用抵抗素子と、被支持物である幹線導体を固定する複数の第1固定用金属ナットと、前記碍子を盤に固定する複数の第2固定用金属ナットと、前記電圧検出用抵抗素子の入力端子及び出力端子を備えた支持碍子形電圧検出装置において、
前記第1固定用金属ナットの一部は電圧検出用抵抗素子の入力端子を兼用し導体取付け面に面位置に露出して埋め込まれ、
前記電圧検出用抵抗素子の出力端子は前記碍子の底部取付け面に露出して埋め込まれていることを特徴とする支持碍子形電圧検出装置。
【請求項2】
前記電圧検出用抵抗素子を前記碍子内に螺旋状に配置したことを特徴とする請求項1記載の支持碍子形電圧検出装置。
【請求項3】
前記電圧検出用抵抗素子を前記碍子内につづら折り状に配置したことを特徴とする請求項1記載の支持碍子形電圧検出装置。
【請求項4】
前記電圧検出用抵抗素子の出力側から口出し線を碍子底部取付け面を通して碍子外部に引き出したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の支持碍子形電圧検出装置。
【請求項5】
前記碍子の底部取付け面に断面Ω形の補助ベースを取付けたことを特徴とする請求項4記載の支持碍子形電圧検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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