説明

支持装置並びにこの支持装置用の軸受部材

【課題】
【解決手段】本発明は、少なくとも部分的に自己支持するコンベヤーベルト(2)の、スタック状に積み重なり螺旋状に延びている複数の巻部を支持する支持装置(1)に関し、この支持装置は、コンベヤーベルトを支持する少なくとも1つの軸受部材(9)と、この軸受部材を支持する部分(4)とを有する。この部分は、軸受部材がこれに沿って移動されるエンドレスループ内に延びている。本発明は、少なくとも1つの軸受部材が、複数の第1および第2のローラー手段(11,12)を有するローラー軸受部材(10)であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に支持装置に関し、特には、少なくとも部分的に自己支持した(self-supporting)コンベヤーベルトの、スタック状に積み重なり螺旋状に延びている複数の巻部を支持する支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
支持装置は、コンベヤーベルトを支持する少なくとも1つの軸受部材と、この軸受部材を支持する部分とを有し、この部分は、軸受部材がこれに沿って移動可能なエンドレスループ内に延びている。
【0003】
上述された支持装置は、例えば食料品産業で、螺旋状に動くコンベヤーベルト上に配置された食品が空気の流れに晒される小型の空気処理プラント内のコンベヤーベルトを支持するために使用される。空気の流れは、例えば、食品を冷凍もしくは加熱するようにされる。
【0004】
かくして、このタイプの空気処理プラントは、コンベヤーベルトと支持装置とを有する。コンベヤーベルトは、螺旋状の通路に配置され、支持装置は、コンベヤーベルトの最も下の巻部を支持するようにされる。コンベヤーベルトと支持装置との間の接触面内では、比較的大きな径方向内方の力と垂直方向下方の力とが与えられ、摩擦力が生じる。
【0005】
このコンベヤーベルトと支持装置との間の摩擦力を減じるために、垂直方向の力によって生じた摩擦力を減じ得る滑動軸受部を支持装置に配置させることが公知である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この解決法の欠点は、それでもやはり比較的高い摩擦力は生じることから、摩擦力の問題を十分には解決しない点である。更に、この公知の解決法は、コンベヤーベルトが支持装置に与える径方向内方の力によって生じた摩擦力に関する問題を解決できない。
【0007】
SE454,728号は、軸受部材収容ボールがコンベヤーベルトと部分との間に配置されている支持装置を開示している。支持装置は、コンベヤーベルトが静止するチェーンを有する。このチェーンは、ボールで静止して、部分とこのチェーンとによって既定されたチャネル内に配置され、ボールレース(ball race)を形成する。ボールは、コンベヤーベルトと部分との間のボール軸受部として働く。また、ボールの形の軸受部材を有する支持装置が、米国特許No.4,899,871および米国特許No.5,458,228とによって公知である。
【0008】
場合によっては、上述したタイプのボールの形の軸受部材を有する支持装置よりも動作速度および積載量に関して高い能力を有する支持装置が必要なことがある。
【0009】
米国特許No.3,006,456が、交互に配置され相互接続された複数の第1および第2の対のホイールを有する懸架装置を開示している。この装置は、長手方向のスロットを有する正方形管内で動くようにされている。第1の対のホイールは、リンクによって所定の部材に接続されるようにされたアクスルを夫々に有する。
【0010】
第2の対のホイールは、第1の対のホイールに対して垂直に配置されている。
【0011】
第1および第2の対のホイールは軸受部材として働かないことに注意しなくてはならない。
【0012】
軸受部材は、2つの部分の間の軸受部として働き、これら2つの部分を別個に動かすことができる。
【0013】
かくして、動作速度および積載量に関して高い能力を有し、螺旋状に動くコンベヤーベルトを支持する改良された支持装置が必要とされている。
【0014】
上述されたことを考慮すると、本発明の目的は、導入部で説明されたタイプの改良された支持装置を提供することである。
【0015】
本発明の特別な目的は、積載量に関して高い能力を有する支持装置を提供することである。
【0016】
支持装置は、長い寿命を有する軸受部材を備えると好ましい。
【0017】
また、支持装置は、製造、取付け、およびメンテナンスが容易であると好ましい。
【0018】
また、本発明の目的は、支持装置用の改良された軸受部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述された目的の少なくとも1つおよび以下の説明から明らかになるような他の目的を果たすために、支持装置が、本発明に係わって請求項1に述べられた特徴を有するように提供され、軸受部材が、請求項18に述べられた特徴を有するように提供される。また、好ましい実施形態が、夫々の従属請求項で既定されている。
【0020】
かくして、本発明の第1の態様に係われば、少なくとも部分的に自己支持したコンベヤーベルトの、スタック状に積み重なり螺旋状に延びた複数の巻部を支持する支持装置であって、コンベヤーベルトを支持する少なくとも1つの軸受部材とこの軸受部材を支持する部分とを有し、この部分は、軸受部材がこれに沿って移動可能なエンドレスループ内で延びている支持装置が提供される。この支持装置は、少なくとも1つの軸受部材が複数の第1および第2のローラー手段を備えたローラー軸受部材であることを特徴とする。
【0021】
これが、1つの改良された支持装置である。軸受部材とその支持部との共働とにより、支持装置は、軸受部材が長い寿命を有するように形成され得るのと同時に、比較的高い積載量に耐える能力も有することができる。従って、本発明の支持装置は、従来の支持装置よりも高い積載量能力を有するように形成可能である。
【0022】
本態様の本発明の支持装置の特別な利点は、コンベヤーベルトから部分への力の伝達が、ローラー軸受部材の形の軸受部材によって生じ、従って、軸受部材による線接触に影響される点である。従って、軸受部材の設計により、軸受部材の過負荷が線接触によって防がれ得るのと同時に、摩擦力が減じられ得る。
【0023】
更に、本発明の支持装置の利点は、動作速度に関して高い能力が与えられ得る点である。これは、本発明の支持装置が複数の第1および第2のローラー手段を備える軸受部材を有することによる。これにより、別個のユニットを夫々形成するボールの形状の軸受部材を有する従来の支持装置と比較されるように、軸受部材を統合ユニットとして設計することが可能になる。軸受部材の考えられる動作速度は、軸受部材内の摩擦力と磨耗との関数である。軸受部材を統合的なユニットとして設計することによって、摩擦力と、かくして、支持装置の動作する部分の磨耗とが、減じられ、これによって、高速での動作が可能にされる。
【0024】
本発明の支持装置のもう1つの利点は、部分には単純な形状が与えられて、例えば曲線状のボールレースを形成する必要がないことから、部分が簡単に設計および取付けされ得ることである。
【0025】
第1のローラー手段は、部分の横方向に方向付けられた軸を有すると好ましい。これは、第1のローラー手段が、コンベヤーベルトによる径方向もしくは垂直方向の力のいずれかを受けるように働き得ることを意味する。
【0026】
第2のローラー手段は、第1のローラー手段の軸と部分の長手方向との両方に対して垂直に方向付けられた軸を有すると好ましい。これは、第2のローラー手段が径方向もしくは垂直方向のいずれかの力を受けるように働き得ることを意味する。更に詳細には、第2のローラー手段は、第1のローラー手段が垂直方向の力を受ける場合には径方向の力を受けるように働き、第1のローラー手段が径方向の力を受ける場合には垂直方向の力を受けるように働く。このようにして、コンベヤーベルトと部分との間の力の伝達が軸受部材の第1および第2のローラー手段を通して成され、軸受部材は摩擦力を減じるように働き、また線接触によって長い寿命を有する、支持装置が提供される。
【0027】
好ましい実施形態の本発明の支持装置に係われば、軸受部材の第1および第2のローラー手段は、軸受部材の長手方向に沿って交互に配置される。このような方向付けにより、コンベヤーベルトと部分との間の力の伝達が、径方向と垂直方向との両方で均等にされる。
【0028】
もう1つの好ましい実施形態に係われば、これら第1および第2のローラー手段は、互いに離間している。互いに離間したローラー手段の配置により、これらが互いに係合できないことが確実にされる。この結果、これら第1および第2のローラー手段間の不要な摩擦抵抗が防がれるのと同時に、ローラー手段の磨耗が減じられる。
【0029】
更なる他の好ましい実施形態に係われば、隣接したローラー手段は、相互接続されて、長手方向に連続的に延びた軸受部材を形成している。このように設計された軸受部材は、取付けが簡単である。同時に、ローラー手段の上述された分離を果たすことも簡単である。分離は、例えば、これら第1および第2のローラー手段を接続する接続部がこれらを離れた状態に維持するようにも働くことを確実にすることによって果たされる。
【0030】
相互接続されたローラー手段は、エンドレスの軸受部材を形成するように配置可能である。軸受部材をエンドレスに配置する利点は、軸受部材の端部の問題を避けながらも、全てのローラー手段が互いに等距離で離間して配置され得る点である。
【0031】
第1および第2のローラー手段の一方の直径は、第1および第2のローラー手段の他方の幅よりも大きいことが好ましい。
【0032】
第1および第2のローラー手段の一方の幾何学的な中心は、軸受部材の長手方向に垂直な、2つの相互に直交する軸によって形成された所定の平面に垂直に見て、基本的に第1および第2のローラー手段の他方の回転軸に沿って配置されていると好ましい。この配置は、これによって実際の軸受面を構成するローラー手段の周方向面のみが部分およびコンベヤーベルトと接触されることが確実にされることから、好ましい。ローラー手段の周方向面のみが部分およびコンベヤーベルトと接触することによって、摩擦が減じられる。
【0033】
軸受部材のローラー手段は、部分の長手方向に沿って相対移動可能であると好ましい。これら第1および第2のローラー手段は、ばねの作用下で相対移動可能である。この移動性により、これがばねの作用によって生じるときにはとりわけ、別個の伸張手段が軸受部材に隣接してこれを伸張させるために配置される必要がない。
【0034】
他の好ましい実施形態に係われば、支持装置は、モータによって駆動可能でありコンベヤーベルトを動作させるようにされた少なくとも1つの動作手段を有する。この動作手段は、チェーンから構成されていると好ましい。
【0035】
運搬手段は、動作手段によって形成されると好ましい。
【0036】
支持装置は、夫々が部分に沿って延び、ベルトを動作させ長手方向の側端部で支持する2つのチェーンを有してもよい。ここで、ローラー軸受部材の形の軸受部材は、関連するチェーンと部分との間に配置されている。
【0037】
本発明の支持装置の更なる他の好ましい実施形態に係われば、部分は、この部分に沿って延び、L字形状の断面を有し、および軸受部材を受けるようにされた軸受座部を有する。この結果、部分は、これが複雑でない断面を有することから、単純な方法で製造可能である。更に、部分の取付けは極めて容易である。
【0038】
本発明の第2の態様に係われば、支持装置用の軸受部材がまた提供される。軸受部材は、並んで交互に配置されて細長い軸受部材を形成している第1のローラー手段と第2のローラー手段とによって特徴付けられ、また、これら第1および第2のローラー手段の回転軸が相互に直交し、および軸受部材の長手方向に対して垂直であることと、2つの隣接したローラー手段が、これらを互いに離間した状態に保持し軸受部材の長手方向でのローラー手段の相対移動を可能にする接続部材によって相互接続されていることとによって特徴付けられる。
【0039】
この結果、第1および第2のローラー手段が相対移動可能なように相互接続されている軸受部材が与えられる。このように設計された軸受部材は、線接触による力の伝達のために働き、軸受部材が効果的な長い寿命を有し得るようにする。更に、第1および第2のローラー手段の方向付けは、軸受部材が2つの直交する方向で軸受部として働き、かくして、垂直方向の力と径方向の力との両方を受けるように働き得ることを意味する。ローラー手段が分離されることによって、これらが互いに接触できないことが確実にされ、かくして、摩擦による好ましくない損傷を発生させないようにされる。
【0040】
第1および第2のローラー手段の一方の直径は、第1および第2のローラー手段の他方の幅よりも大きいと好ましい。
【0041】
これら第1および第2のローラー手段間の移動性が、夫々の接続部材内に形成され、軸受部材の長手方向に延び、および2つの隣接したローラー手段の一方のウェブを囲んだ細長い穴によって与えられ得る。この細長い穴により、単純かつ効果的な方法で移動性が与えられ得る。
【0042】
各接続部材は、ローラー手段の相互の弾性を与えるように配置可能である。隣接したローラー手段の相互の弾性により、軸受部材の弛みを伸ばすための伸張手段が不要になる。
【0043】
各ローラー手段は、ウェブを有すると好ましい。これにより、ローラー手段は、単純な方法で相互接続され得る。
【0044】
1つの好ましい実施形態に係われば、接続部材は、U字形状の各脚部に穴が形成され、これら穴は互いにアラインメントされているU字形状の断片を有し、このU字形状の断片のウェブが、第1および第2のローラー手段の一方のウェブを把持しし、穴は、第1および第2のローラー手段の他方のウェブを受ける。
【0045】
弾性の縁部が、U字形状の断片の脚部の一方の穴の端部に配置可能である。この縁部は、U字形状の断片の脚部の他方の穴に向かって延びている。これにより、ローラー手段間の弾性を簡単に果たすことができる。
【0046】
本発明の好ましい実施形態が、例を挙げて添付図面を参照しながら説明される。
【0047】
同じ機能を有する部品には、全文を通して同じ参照符号が与えられている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
図1は、ベルトのスタック3として以下に参照され図2に示されているように螺旋状に動くエンドレスのコンベヤーベルト2を支持するための本発明に係わる好ましい実施形態の支持装置1を示している。
【0049】
コンベヤーベルト2と組み合わせられた支持装置1は、冷蔵プラントなどの空気処理プラント内で有利に使用される。支持装置1およびベルトのスタック3は、冷気が貫流する周囲ケーシング内に配置されている。
【0050】
冷蔵プラント内の一連の動作は、例えば、食品がコンベヤーベルト上に配置されるようなことであってもよい。この場合、食品が、入口からケーシング内に導かれ、ケーシング内をコンベヤーベルト2の螺旋状の通路に沿って運ばれる間に冷気によって冷却される。食品がケーシングから出るときは、この食品が、戻り通路に沿ってケーシングの入口へと戻るコンベヤーベルト2から取り去られる。
【0051】
支持装置1は、螺旋状のコンベヤーベルト2の最も下の巻部を支持することによってベルトのスタック3を支持するようになっている。この支持装置1はまた、ベルトのスタック3の新たな最も下の巻部が導かれ得るように、それまでの最も下の巻部を持ち上げるようにされている。
【0052】
示された実施形態では、支持装置1は、その対向する両側面端部に沿ってコンベヤーベルト2を支持するようにされている。このために、支持装置1は、2つの部分4を有し、これら部分4が、夫々にエンドレスの通路に沿って延び、コンベヤーベルト2の夫々の側面端部5を支持する。各部分4は、コンベヤーベルト支持部6と戻り部(return portion)7とを有する。各部分4のコンベヤーベルト支持部6は、基本的にコンベヤーベルト2の最も下の巻部の側面端部5に沿って延びている。関連した部分4が、これら側面端部5を支持するようになっている。各部分4は、細長い軸受部材9を受ける軸受座部8を形成している。この軸受部材9は、コンベヤーベルト2によって支持装置1に与えられる垂直方向の力と径方向の力との両方を受けるように部分4と共働する。
【0053】
支持装置1は、全体的または部分的に自己支持するベルト2を支持するようにされ得る。
【0054】
自己支持するベルト2により、コンベヤーベルトの積み重ねられた巻部の少なくとも1つの側面端部5が、所定距離にわたって積み重ねられ、コンベヤーベルト2で下に位置する巻部の対向する側面端部5の一方の上を螺旋状に動くことができる。
【0055】
図1に示された支持装置1は、図2に示されているような完全に自己支持しているベルト2を対象としており、つまり、ベルトのスタックで下に位置する巻部は、上に重ねられた巻部を支持する。
【0056】
各部分4のコンベヤーベルト支持部6は、ピッチを有し、かくして、螺旋状の巻部の形状を仮定している。従って、コンベヤーベルト2の対向する両側端部5が、部分4の夫々のコンベヤーベルト支持部6に沿って動くときに、ベルトのスタック3が形成される。示された実施形態では、コンベヤーベルト支持部6は基本的に円形であり、従って、形成されるベルトのスタック3は円形の円筒形状を有する。しかし、コンベヤー支持部6が、他の形状、例えば楕円形状を有し、それによって、形成されるベルトのスタック3が楕円形の円筒形状を有してもよいことが理解されるだろう。
【0057】
コンベヤーベルト支持部6のピッチは、コンベヤーベルト2の高さに対応するようにされている。これは、コンベヤーベルト2の最も下の巻部がコンベヤー支持部6に沿って1回転したときに、この巻部が、コンベヤーベルト2の新たな最も下の巻部上に重ねられることを意味する。
【0058】
上述されたように、各軸受部材9は、コンベヤーベルト2によって支持装置1に与えられる力を部分4に振り分けることによってこの力を受けるように、関連した部分4と共働する。軸受部材9は、発生される摩擦力を減じるようにされている。
【0059】
軸受部材9は、図3に概略的に示されており、ここでこの図3を参照する。軸受部材9は、多数の第1および第2のローラー手段11,12を有するローラー軸受部材10によって形成されている。第1のローラー手段11は、これらの回転軸R1が部分4の長手方向Lに対して垂直になるように配置されている。第2のローラー手段は、これらの回転軸R2が部分の長手方向Lと第1のローラー手段の回転軸R1との両方に対して垂直になるように配置されている。ローラー手段11,12のこの方向付けにより、ローラー軸受部材10が、径方向と垂直方向との両方においてローラー軸受部として働くことができる。
【0060】
示されている実施形態では、第1および第2のローラー手段11,12は、関連する部分4とコンベヤーベルト2との間の力の伝達さえも可能にするように交互に配置されている。2つのローラー手段は、不要な摩擦力が相互接触によって発生されることを防ぐために、互いに離間している。
【0061】
軸受部材9は、摩擦が少ないため潤滑油を必要とせずに支持装置1内で働くことができる。
【0062】
第1のローラー手段11は、図4に示されているように、第2のローラー手段12の幅B2よりも大きな直径D1を有し、この逆も同様である。ローラー手段11,12は、これら第1および第2のローラー手段11,12の周方向面13のみが、部分4およびコンベヤーベルト2と接触するように互いに位置付けられている。かくして、コンベヤーベルト2から部分4への力の伝達は、軸受部材9のローラー手段11,12との線接触によって影響を受ける。これは、軸受部材9が拡張された積載量に耐え、長い寿命を有し得ることを意味する。
【0063】
この位置付けは、最大幅B1,B2を有する第1のローラー手段11が次に来る第2のローラー手段12の最大直径D1,D2内に配置されることによって果たされる。ローラー手段11,12が基本的に円筒形である場合、2つの隣接したローラー手段11,12の一方の中心Mが、図5に示されているように部分の長手方向に垂直な所定の平面内に見て、第2のローラー手段12の回転軸R2に沿って配置されている。
【0064】
ここで参照する図6は、支持装置1とこの上に配置されたコンベヤーベルト2との部分的な断面図である。より詳細には、この図6は、コンベヤーベルト2の下の巻部の側端部5が支持装置1の部分4によってどのように支持されているかを図示する断面である。支持装置1は、図1を参照して上述されたものに加えて、コンベヤーベルト2を動作させるチェーン15の形の動作手段14を有する。このチェーン15はまた、コンベヤーベルト2を支持する運搬手段16としても働き、部分4は、軸受部材9によってこのチェーン15を支持するようにされている。このチェーン15は、部分4によって延長され、部分4の戻り部7に沿って配置され得るモータによって駆動可能である。対応する構成物が、コンベヤーベルト2の他の側端部5を支持するようにされ得る。
【0065】
チェーン15は、部分4のコンベヤーベルト支持部6に沿ってコンベヤーベルト2の最も下の巻部を支持するようにされ、かくして、部分4とコンベヤーベルト2との間に配置されている。軸受部材9は、チェーン15と部分4との間に配置されている。チェーン15は、コンベヤーベルト2のための比較的平らな当接面17を有し、これによって、力の伝達さえも可能にされる。
【0066】
部分4は、L字形状の断面を有し、コンベヤーベルト2が部分4のコンベヤーベルト支持部6に沿って動くときに支持装置1に与えられる垂直方向下方の力と径方向内方の力とを簡単に受けることができる軸受座部8を形成している。
【0067】
部分4は、形成および取付けが簡単であり、また、軸受部材9の第1および第2のローラー手段11,12と十分に共働する。
【0068】
かくして、本発明に係われば、ベルトのスタック3を支持する支持装置1が提供される。支持装置1は、ベルトのスタック3を支持するために複数の第1および第2のローラー手段11,12を備えたローラー軸受部材10の形の軸受部材9を有する。
【0069】
1実施形態に係われば、軸受部材9は、ベルトのスタック3の最も下の巻部の対向する長手方向の両側端部5を支持するように配置されている。
【0070】
本発明の支持装置1は、動作速度と積載量との両方に関して高い能力を有するように作られ得る。
【0071】
積載量に関する高い能力は、これまでも論じられてきたもので、軸受部材9が線接触による力の伝達のために働くことによって果たされる。
【0072】
速度に関する高い能力は、軸受部材9を統合的なユニットの形に設計すること、即ち、ローラー手段11,12が細長い軸受部材9を形成するように相互接続されることによって果たされる。この結果、支持装置1内の相対移動可能な部分の数が、大きく減じられる。これは、摩擦力、かくして、支持装置の可動部上の摩擦が減じられて、より高い動作速度での動作が可能になることを意味する。
【0073】
図7は、1実施形態の軸受部材9の基本的な設計を示している。ローラー手段11,12は、互いに接続可能である。ローラー手段11,12は、接続部材19によって隣接したローラー手段11,12と簡単に接続され得るように、ウェブ18を有する。この接続部材19は、様々のローラー手段11,12を接続するのみならず離間した状態に維持もするようにされている。これによって、相互接続されたローラー手段11,12の周方向面13が互いに接触せず、かくして、更なる摩擦が発生されないことが確実にされる。
【0074】
図7に示された接続部材19の実施形態に係われば、この接続部材は、U字形状の断片20からなる。このU字形状の断片20は、各脚部22,23内に形成された穴21を有する。この穴21は、互いにアラインメントされる。このU字形状の断片20のウェブ24が、第1および第2のローラー手段11,12の一方のウェブ18を把持する。穴21は、第1および第2のローラー手段11,12の他方のウェブ18を受ける。フランジ26が、穴の端部25に配置されている。このフランジ26は、内方に曲げられ、軸受部材9を伸ばすときにローラー手段11,12のウェブ18に対して弾性的に作用するようにされている。2つのローラー手段11,12が互いに向けて動かされるとき、連続した2つの接続部材19が互いに接触し、2つのローラー手段11,12の周方向面間の接触を妨げる。かくして、接続部材19により、ローラー手段11,12間の接続が確実になされ、この接続により、ローラー手段11,12が互いに離間した状態に維持される。また、この接続は、軸受部材9を伸ばすことにおいて弾性的である。接続部材19の弾性により、軸受部材9の弛みを伸ばすための追加の伸張手段が不要になる。
【0075】
第2の実施形態の接続部材19が、図8に示されている。この接続部材19は、2つのローラー手段受け穴21が形成されている本体27を有する。これら穴21は、90°まで互いに回転され、第1および第2のローラー手段11,12のウェブ18を受けるようにされている。穴21が示されたような形で互いに回転されることにより、ローラー手段11,12は、これらの回転軸R1,R2が互いに垂直になるように方向付けられる。接続部材19は、4つの円形の断片28を有する金属シートで形成されている。穴21は、各セグメント28内に形成されている。金属シートは、穴21が対となって互いに重なる形で配置されるように、中央で曲げられる。各対の穴21は、1つの上述したローラー手段受け穴21を形成する。金属シートを回転させると、続いて、ローラー手段受け穴の互いの回転が行われる。このようにして、ローラー手段11,12の接続と分離との両方を行うことができる利点を有する接続部材19が、設けられる。
【0076】
第3の実施形態の接続部材19が、図9に示されており、ここで参照する。この実施形態は、第1および第2のローラー手段11,12のウェブ18を受けるようにされたローラー手段受け穴21を備えた2つの互いに回転される円形のセグメント28を有している。接続部材19は、数字の8の形状を有し、一方の円形セグメント28が他方の円形セグメント28に対して垂直に回転される。1つの円形セグメント28は、2つのディスク29からなっており、各ディスクは、ローラー手段受け穴21を有し、これら穴21は、互いにアラインメントされている。ディスク29間の間隙は、次に来る接続部材19の他の円形のセグメント28を受けることができるようにされている。このようにして、ローラー手段11,12を確実に接続または分離させる接続部材19が設けられている。
【0077】
もう1つの実施形態の接続部材19が、図10に示されており、ここで参照する。この実施形態は、互いにアラインメントされたローラー手段受け穴を夫々に有する2つのディスク29からなる2つの円形セグメント28により、図9に示された接続部材20とは異なる。更に、図9に示された実施形態は、第1の円形セグメント28内のローラー手段受け穴21が鍵穴であり、第2の円形セグメント28内のローラー手段受け穴21が、図10では明らかにするために余分に延びるように描かれた細長い穴31であることにより、異なる。2つの連続する接続部材19を接続するために、スペーサ部材32が第1のセグメント28の鍵穴30および第2のセグメント28の細長い穴31から挿入され得る。そして、ローラー手段11,12のウェブ18が、スペーサ部材32中に挿入される。このスペーサ部材32は、鍵穴30によってロックされる。
【0078】
スペーサ部材32は、軸受部材9の長手方向Lに弾性的に働き得る。この弾性は、穴21の中心軸に平行に延びたスペーサ部材32内のスロット33によって左右される。スペーサ部材はまた、接続部材19とローラー手段11,12のウェブ18とが互いに接触するのを防ぐ、即ち、金属同士の接触を防ぐ。
【0079】
第2のセグメント28内に形成された細長い穴31により、接続部材19によって相互接続された2つのローラー手段11,12が、軸受部材9の長手方向Lに対応した長さのこの細長い穴31の延長部内で相対的に移動可能になる。
【0080】
本発明は、上述された実施形態に制限されず、当業者は上述した支持装置1と含まれる軸受部材9とを様々な方法で改良できるであろうことが理解されるだろう。
【0081】
例えば、上述したチェーン15を使用せず、コンベヤーベルト2が軸受部材9に直接静止するようにさせることが可能である。チェーン15を、コンベヤーベルト2を動作させるために軸受部材2および関連した部分4とは別個に配置することが可能である。
【0082】
また、チェーン15が運搬手段16のみとして働くようにする、即ち、コンベヤーベルト2を動作させるのに使用されないチェーン15によって軸受部材9がコンベヤーベルト2を支持するようにすることも可能であることが理解されるだろう。
【0083】
軸受部材9が、直接的に、またはチェーン15を用いて非直接的に、一方の側端部5に沿ってコンベヤーベルト2を支持するように働く必要はない。かくして、1つ以上のセクション4をコンベヤーベルト2の下にその両側端部5から離間して配置させ、および軸受部材9を各セクション4に沿って配置させることも可能である。
【0084】
最後に、また、軸受部材9を様々な方法で設計することも可能である。かくして、並んだ複数の第1および第2のローラー手段11,12を交互に配置させる必要はない。ローラー手段11,12は、1つのグループが例えば3つの第1のローラー手段のグループと、これに続く3つの第2のローラー手段のグループとを有するように、グループで配置させることも考えられる。あるいは、軸受部材9が2つの別個の手段、連続した第1のローラー手段を含む第1の手段と、連続した第2のローラー手段を含む第2の手段とを有するようにすることも可能である。
【0085】
かくして、幾つかの改良例と変形例とが可能であり、つまり、本発明の範囲は、添付請求項によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】支持装置の斜視図である。
【図2】ベルトのスタックの斜視図である。
【図3】ローラー手段の部分的な概略図である。
【図4】第1および第2のローラー手段の概略的な側面図である。
【図5】第1および第2のローラー手段の相対的な位置付けの概略図である。
【図6】図1に示された支持装置の断面の部分的な概略図である。
【図7】ローラー手段と第1の実施形態の接続部材との上面図である。
【図8】第2の実施形態の接続部材の上面図である。
【図9】第3の実施形態の接続部材の上面図である。
【図10】他の実施形態の接続部材の上面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタック状に積み重なり螺旋状に延びている少なくとも部分的に自己支持したコンベヤーベルト(2)の複数の巻部を支持する支持装置(1)であって、
前記コンベヤーベルト(2)を支持する少なくとも1つの軸受部材(9)と、
この軸受部材(9)を支持する部分(4)とを具備し、
この部分(4)は、前記軸受部材(9)がこれに沿って移動可能なエンドレスループ内に延びている軸受装置において、
前記少なくとも1つの軸受部材(9)は、複数の第1のローラー手段(11)および第2のローラー手段(12)を有するローラー軸受部材(10)であることを特徴とする支持装置(1)。
【請求項2】
前記第1のローラー手段(11)は、前記部分(4)の長手方向(L)に対して垂直な、2つの互いに直交する軸によって形成された所定の平面と平行な第1の方向に方向付けられた軸(R1)を有する請求項1の支持装置(1)。
【請求項3】
前記第2のローラー手段(12)は、前記部分(4)の長手方向(L)に対して垂直な、2つの互いに直交する軸によって形成された所定の平面と平行な第2の方向に方向付けられた軸(R2)を有する請求項1もしくは2の支持装置(1)。
【請求項4】
前記第1のローラー手段(11)は、垂直方向の力を受けるようにされている前記全ての請求項のいずれか1の支持装置(1)。
【請求項5】
前記第2のローラー手段(12)は、径方向の力を受けるようにされている前記全ての請求項のいずれか1の支持装置(1)。
【請求項6】
前記第1のローラー手段(11)は、前記部分(4)の横方向に方向付けられた軸(R1)を有する前記全ての請求項のいずれか1の支持装置(1)。
【請求項7】
前記第2のローラー手段(12)は、第1のローラー手段(11)の軸(R1)と前記部分(4)の長手方向(L)との両方に対して垂直方向に方向付けられた軸(R2)を有する前記全ての請求項のいずれか1の支持装置(1)。
【請求項8】
前記第1のローラー手段(11)および第2のローラー手段(12)は、前記軸受部材(9)の長手方向(L)に交互に配置されている前記全ての請求項のいずれか1の支持装置(1)。
【請求項9】
前記第1のローラー手段(11)および第2のローラー手段(12)は、互いに離間している前記全ての請求項のいずれか1の支持装置(1)。
【請求項10】
隣接した前記第1のローラー手段(11)および第2のローラー手段(12)は、相互接続され、長手方向に連続的に延びた軸受部材(9)を形成している前記全ての請求項のいずれか1の支持装置(1)。
【請求項11】
前記相互接続された第1のローラー手段(11)および第2のローラー手段(12)は、エンドレスの軸受部材(9)を形成している請求項10の支持装置(1)。
【請求項12】
前記第1のローラー手段(11)および第2のローラー手段(12)の一方の直径(D1,D2)は、これら第1のローラー手段(11)および第2のローラー手段(12)の他方の幅(B1,B2)よりも大きい前記全ての請求項のいずれか1の支持装置(1)。
【請求項13】
前記第1のローラー手段(11)および第2のローラー手段(12)の一方の幾何学的な中心(M)は、前記軸受部材(9)の長手方向(L)に対して垂直な、2つの互いに直交する軸によって形成された所定の平面に垂直に見て、これら第1のローラー手段(11)および第2のローラー手段(12)の他方の回転軸(R1,R2)に基本的に沿って配置されている前記全ての請求項のいずれか1の支持装置(1)。
【請求項14】
前記軸受部材(9)の第1のローラー手段(11)および第2のローラー手段(12)は、前記部分(4)の長手方向(L)に相対移動可能である前記全ての請求項のいずれか1の支持装置(1)。
【請求項15】
前記第1のローラー手段(11)および第2のローラー手段(12)は、ばねの作用下で相対移動可能である請求項14の支持装置(1)。
【請求項16】
モータによって駆動可能であり前記コンベヤーベルト(2)を動作させる少なくとも1つの動作手段(14)を具備する前記全ての請求項のいずれか1の支持装置(1)。
【請求項17】
前記動作手段(14)は、チェーン(15)である請求項16の支持装置(1)。
【請求項18】
前記部分(4)に沿って延び前記コンベヤーベルト(2)を支持するようにされた運搬手段(16)を具備し、前記軸受部材(9)は、この運搬手段(16)と前記部分(4)との間に配置されている前記全ての請求項のいずれか1の支持装置(1)。
【請求項19】
前記運搬手段(16)は、チェーン(15)である請求項18の支持装置(1)。
【請求項20】
前記運搬手段(16)は、動作手段(14)によって形成されている請求項15もしくは16に係わる請求項18もしくは19の支持装置(1)。
【請求項21】
部分(4)に沿って夫々に延び、前記コンベヤーベルト(2)を動作させおよびこのベルトの長手方向の各側端部(6)でこのベルトを支持するようにされた2つのチェーン(15)を具備し、ローラー軸受部材(10)の形状を有する前記軸受部材(9)は、この関連したチェーン(15)と部分(4)との間に配置されている前記全ての請求項のいずれか1の支持装置(1)。
【請求項22】
前記部分(4)は、この部分に沿って延び、L字形状の断面を有し、および軸受部材(9)を受けるようにされた軸受座部(8)を備える前記全ての請求項のいずれかの支持装置(1)。
【請求項23】
第1のローラーおよび第2のローラー(11,12)を特徴とする支持装置(1)のための軸受部材(9)であって、
前記第1のローラー手段(11)および第2のローラー手段(12)は、細長い軸受部材(9)を形成するように連続して交互に配置され、
前記第1のローラー手段(11)および第2のローラー手段(12)の回転軸(R1,R2)が、互いに直交し、および前記軸受部材(9)の長手方向(L)に対して垂直に延び、
2つの隣接した第1のローラー手段(11)および第2のローラー手段(12)は、接続部材(19)によって相互接続され、
この接続部材は、隣接した第1のローラー手段(11)および第2のローラー手段(12)を互いに離間した状態に保持し、また、
前記軸受部材(9)の長手方向(L)における第1のローラー手段(11)および第2のローラー手段(12)の間の相対的な移動を可能にする軸受部材(9)。
【請求項24】
前記移動は、夫々の接続部材(19)内に形成され、軸受部材(9)の長手方向(L)に延び、および2つの隣接する第1のローラー手段(11)および第2のローラー手段(12)の一方のウェブ(11)を囲む長穴(31)によって可能にされる請求項23の軸受部材(9)。
【請求項25】
各接続部材(19)は、第1のローラー手段(11)および第2のローラー手段(12)の相互弾性を可能にするように配置されている請求項23もしくは24の軸受部材(9)。
【請求項26】
前記第1のローラー手段(11)および第2のローラー手段(12)の一方の直径(D1,D2)は、これら第1のローラー手段(11)および第2のローラー手段(12)の他方の幅(B1,B2)よりも大きい請求項23ないし25のいずれか1の軸受部材(9)。
【請求項27】
第1のローラー手段(11)および第2のローラー手段(12)の各々は、ウェブ(18)を有する請求項23ないし26のいずれか1の軸受部材(9)。
【請求項28】
前記接続部材(19)は、U字形状の断片(20)を備え、このU字形状の断片(20)は、その各脚部(22,23)に形成された穴(21)を有し、これら穴(21)は、互いにアラインメントし、また、U字形状の断片(20)のウェブ(24)が、第1のローラー手段(11)および第2のローラー手段(12)の一方のウェブを把持し、前記穴(21)は、第1のローラー手段(11)および第2のローラー手段(12)の他方のウェブ(18)を受ける請求項23ないし27のいずれか1の軸受部材(9)。
【請求項29】
弾性リップ(26)が、前記U字形状の断片(20)の脚部(22,23)の一方の穴の端部(25)に配置され、U字形状の断片(20)の脚部(22,23)の他方の穴(21)に向かって延びている請求項28の軸受部材(9)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2006−506300(P2006−506300A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−553336(P2004−553336)
【出願日】平成15年11月7日(2003.11.7)
【国際出願番号】PCT/SE2003/001698
【国際公開番号】WO2004/045994
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(500461387)フリゴスカンディア・イクイップメント・エービー (4)
【Fターム(参考)】