説明

支線把持具

【課題】風に煽られても電柱支線用蔓巻防止具が支線に沿って必要もなくずり落ちないようにして、本来の蔓巻防止機能を常に発揮できるようにした支線把持具を提供する。
【解決手段】支線Dに装着される電柱支線用蔓巻防止具Bとは分離され、上端部に支線Dを上から押さえる上杆部3が設けられ外側面に螺子部5が形成された第一基体部1と、その下方に位置しかつ上端部に第一基体部1の螺子部5と螺合する螺子部13を設けた第二基体部11と、第一・第二基体部1,11の間に介装され、上端部に第一基体部1の上杆部3とその下方に位置して平行をなす下杆部23を設け、かつ第二基体部11と係合すると共に第二基体部11に対してその中心軸周りに自在に回転する中間基体部21と、からなり、第二基体部11をその中心軸周りに正逆自在に回転させることにより、第一基体部1に対し第二基体部11が進退動して、上・下杆部3,23との間で支線Dを把持するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電柱を支える支線に沿って蔓性植物や蛇などの動植物が巻き付き上がるのを防ぐ電柱支線用蔓巻防止具が必要もなくずり落ちるのを防止する支線把持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地面に建柱される一般の電柱は、地上から電柱の上端部近くまで支線を斜めに張設して支持補強されている。ところで、電柱を山間部や森林地帯に建柱した場合、その周囲に蔓や葛といった蔓性植物が群生していると、それら蔓や葛といった蔓性植物または蛇が支線に巻き付いて上がり電柱上部に達して、配電線事故を発生させている。これに対し、該配電線事故の発生をなくすべく、支線の一定高さ位置に蔓草や蛇が巻き付き上がるのを防止することができる大きさの直径を有した円筒状の電柱支線用蔓巻防止具を装着するようにしている。
【0003】
前記電柱支線用蔓巻防止具は、その中心軸線が含まれる面によって二等分された一対の半裁筒体からなる。両半裁筒体は、中心軸線と平行な一側端縁がヒンジ部によって連結され他側端縁が自在に開閉するようになっている。また、一方の半裁筒体内に、電柱支線用蔓巻防止具が支線に沿ってその一方向(上流方向)のみに摺動可能なように、該支線に挟着固定し得る挟着機構が一体に組み込まれている。そして、両半裁筒体の間に支線を介在させると共に前記挟着機構を支線に挟着固定することにより、電柱支線用蔓巻防止具を支線の所定高さ位置に装着している(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−95号公報(第4−6頁、図1、図4、図10)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記特許文献1の電柱支線用蔓巻防止具は、その自重により常に支線に沿って下流方向へ滑り落ちようとする力が働いている。また、蔓草や蛇が巻き付き上がるのを防止するために電柱支線用蔓巻防止具は比較的大きく形成されることから、風の影響を受け易い。例えば風に煽られると、電柱支線用蔓巻防止具に大きな振動や揺れが生じ、これにより支線を中心軸線とした回転力も加わる。一方、電柱支線用蔓巻防止具は、挟着機構により支線に挟着固定されているものの、該挟着機構は電柱支線用蔓巻防止具に一体に固着されていることから、前記振動、揺れ、回転力の影響を直接受ける。すなわち、電柱支線用蔓巻防止具が支線の回りに回転しようとすると、その回転力によって支線と挟着機構との間に滑りが発生し最終的に電柱支線用蔓巻防止具が回転してしまう。これにより、電柱支線用蔓巻防止具が支線に沿って徐々に下流方向へずり落ちて地面近くにまで達してしまい、本来の蔓巻防止機能が発揮できなくなるという課題があった。
【0006】
前記電柱支線用蔓巻防止具が支線に沿って下流方向へずり落ちるのは、一般に支線が複数本の鋼線を螺旋状により合わせて形成されているからであって、挟着機構がその外周面、すなわち螺旋状の外周面に沿って回転しながら滑ると、そのまま下方へ摺動するようになっているからである。
【0007】
そこで、本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、風に煽られても支線に装着された電柱支線用蔓巻防止具がその支線に沿って必要もなくずり落ちることがないようにして、本来の蔓巻防止機能を常に発揮できるようにした支線把持具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するため本発明の支線把持具は、支線に装着される電柱支線用蔓巻防止具とは分離して設けられ、上端部に支線を上から押さえる上杆部が設けられると共に外側面に螺子部が形成された第一基体部と、前記第一基体部の下方に位置しかつ上端部に前記第一基体部の螺子部と螺合する螺子部を設けた第二基体部と、前記第一基体部と第二基体部との間に介装され、上端部に前記第一基体部の上杆部とその下方に位置して平行をなす下杆部を設け、かつ前記第二基体部と係合すると共に前記第二基体部に対してその中心軸周りに自在に回転する中間基体部と、からなり、前記第二基体部をその中心軸周りに正逆自在に回転させることにより、前記第一基体部に対し前記第二基体部が進退動して、前記上杆部と下杆部との間で支線を把持するようにしたことを特徴とする。
【0009】
この際、前記上杆部と下杆部とを前記第二基体部の中心軸に対して所定の角度傾斜させると共に前記第二基体部の下端部には操作棒の先端部を着脱自在に係合させる係合部を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る支線把持具は、上端部に支線を上から押さえる上杆部が設けられると共に外側面に螺子部が形成された第一基体部と、第一基体部の下方に位置しかつ上端部に第一基体部の螺子部と螺合する螺子部を設けた第二基体部と、第一基体部と第二基体部との間に介装され、上端部に第一基体部の上杆部とその下方に位置して平行をなす下杆部を設け、かつ第二基体部と係合すると共に第二基体部に対してその中心軸周りに自在に回転する中間基体部と、から構成されている。そして、支線把持具を支線に装着される電柱支線用蔓巻防止具とは分離して設け、第二基体部をその中心軸周りに正逆自在に回転させることにより、上杆部と下杆部との間で支線を把持する。このように、支線把持具を電柱支線用蔓巻防止具とは分離して設けると共にその下流側の支線に取着するようにしたので、たとえ風に煽られても電柱支線用蔓巻防止具が支線を中心としその周りに回転することがあるとしても、支線把持具は回転することがない。これにより、電柱支線用蔓巻防止具がずり落ちることがなく、本来の蔓巻防止機能を常に発揮できるという効果を奏する。
【0011】
また、前記上杆部と下杆部とを第二基体部の中心軸に対して所定の角度傾斜させると共に第二基体部の下端部には操作棒の先端部を着脱自在に係合させる係合部を設けるようにすれば、第二基体部がほぼ鉛直に位置し、操作棒の先端部が第二基体部における下端部の係合部に係合し易く、支線の高所にも電柱支線用蔓巻防止具を押し上げ容易に保持できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る支線把持具の斜視図。
【図2】同分解斜視図。
【図3】(イ)は支線把持具の正面断面図、(ロ)は同左側面断面図。
【図4】支線把持具を支線に取着する前の正面図。
【図5】支線把持具を支線に取着した後の正面図。
【図6】電柱支線用蔓巻防止具の開いた状態の斜視図。
【図7】挟着機構部位を拡大して示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る支線把持具の実施の形態を図面に基づき詳しく説明する。そこで、まず、電柱支線用蔓巻防止具について説明する。図6は電柱支線用蔓巻防止具の開いた状態の斜視図、図7は挟着機構部位を拡大して示す斜視図である。
【0014】
電柱支線用蔓巻防止具Bは、円柱状の防止具本体40からなる。該防止具本体40は、遮光性を有する合成樹脂、例えば黒色のポリエチレン樹脂により成形され、筒状例えば所定の直径を有する円筒体をなすと共にその中心軸線を含む両端面は塞がれている。更に、詳しく説明すると、防止具本体40はその中心軸に沿って二等分割された一対の半裁筒体41a,41bからなる。各半裁筒体41a,41bは互いの半裁面が塞がれ、中心軸線を挟んだ平行な一側端縁42a,42aがヒンジ部43によって連接されると共に、これと対向位置する中心軸線と平行な他側端縁42b,42b側が自在に開閉するようになっている。
【0015】
そして、一方の半裁筒体41aの他側端縁42bの長手方向に沿った両側に雄型係合部材44a,44aが一体に設けられる。また、他方の半裁筒体41bの他側端縁42bの長手方向に沿った両側に、前記両雄型係合部材44a,44aと対向位置してこれら雄型係合部材44a,44aが係脱自在に係合し得る雌型係合部材44b,44bが一体に設けられている。各雄型係合部材44aは、弾性を有しかつ一定の間隔離れた平行な二股状の係止片45,45を有し、各係止片45の先端外側に外側を向く係止爪45aが突設されている。
【0016】
各雌型係合部材44bは、前記二股状の係止片45,45と対向する面に該二股状の係止片45,45がその弾性に抗して嵌入し得る程度の大きさの挿入口46を有した方形枠状に成形され、両側面には両係止片45,45が挿入されたとき外側の各係止爪45a,45aが係合し得る係合孔47,47が開設されている。更に、係合した状態で、各係合孔47の外側から各係止爪45aをその弾性に抗して互いに内側に押し込むことにより両係止爪45a,45aの係合が外れ、両係止片45,45が挿入口46から抜け出るようになっている。
【0017】
各半裁筒体41a,41bの互いに重なり合う各半裁面壁48a,48bに、防止具本体40の中心軸線に沿って横断面半円弧状の凹条部49,49が凹設される。そして、前記半裁筒体41a,41bを閉じたとき、両凹条部49,49が合致し防止具本体40の中心軸線に沿って該中心軸方向の両側端壁50,50で開口し支線Dを挿通する支線挿通孔51が形成されるようにしている。該支線挿通孔51の内径は、支線Dの外径よりも少し大きい寸法に設定されている。よって、前記中心軸線と支線Dの中心軸線とはほぼ一致することになる。
【0018】
各半裁筒体41a,41bの対向する半裁面壁48a,48bには、それらのほぼ中央に互いに対応位置して大きさの異なる方形状の凹窪部52a,52bが形成される。これら凹窪部52a,52bは半裁筒体41a,41bを閉じたとき、合致すると共にその中央で支線挿通孔51と連通することになる。この内、一方の半裁筒体41bの小さい凹窪部52a内には、一側面53aが前記凹条部49の底部よりやや下方に位置するプレート53が配置される。該プレート53は、その各四隅部にクランク状の取付片54が一体に突設され、半裁面壁48bに各取付片54を介してネジ55止めすることにより固定される。
【0019】
前記プレート53の一側面53aに、支線Dを挟着する挟着機構56が設けられる。該挟着機構56は、前記凹条部49を挟んだ一側に位置してその凹条部49と平行に突設されるストッパー片57と、他側に位置し支軸58aに軸着されてプレート53の一側面53aに沿って自在に回動するカム片58とからなる。そして、ストッパー片57とカム片58との間に支線挿通孔51に挿通した支線Dが介在して挟着され、該挟着機構56すなわち電柱支線用蔓巻防止具Bが支線Dに沿ってその一方向のみに摺動し得るようになる。
【0020】
前記カム片58を更に詳しく説明すると、該カム片58は、例えば、ねじりバネ(図示せず。)により、支軸58aを中心として常に一定の方向に回動するように付勢されている。また、前記ストッパー片57と対向する対向面58bは、該対向面58bと支軸58aとの距離が漸次変化するように形成されている。そして、カム片58がその付勢により回動するとき、対向面58bとストッパー片57との一番近い間隔は漸次狭くなる。すなわち、ストッパー片57とカム片58の対向面58bとの距離が漸次狭まることにより、その間に位置する支線Dがきつく挟着され、電柱支線用蔓巻防止具Bが支線Dに挟着固定されることになる。前記カム片58の一側面には、その付勢に抗してカム片58を回動させるための摘み59が突設されている。
【0021】
次に、本発明に係る支線把持具Aについて説明する。図1は本発明に係る支線把持具の斜視図、図2は同分解斜視図、図3の(イ)は支線把持具の正面断面図(ロ)は同左側面断面図、図4は支線把持具を支線に取着する前の正面図、図5は支線把持具を支線に取着した後の正面図である。
【0022】
支線把持具Aは、硬質合成樹脂、例えば黒色のポリエチレン樹脂により成形され、第一基体部1と、該第一基体部1の下方に位置する第二基体部11と、第一基体部1と第二基体部11との間に介装される中間基体部21と、から構成されている。第一基体部1は所定の長さを有する上杆部3を備え、該上杆部3の下面中央の長手方向に沿って凹条2が形成されている。該上杆部3の短手方向の一側に、下方へ伸びる支持板4が設けられている。この支持板4は、上杆部3の短手方向の両側に設けられている訳ではなく一方のみである。これは、後記するように上杆部3と下杆部23との間に支線Dが入るため他方を開放しておく必要があるためである。また上杆部3は、支持板4に対して約30度傾斜させてある。これは、支線Dが通常平地面に対して傾斜しており、支線把持具Aを支線Dにその真下から取着することら支持板4すなわち第二基体部11がほぼ鉛直に位置していることが好ましいからである。
【0023】
更に、上杆部3の上先端面3aと下杆部23の上先端面23aのうちの少なくともいずれか一方が電柱支線用蔓巻防止具Bにおける防止具本体40の下流側の側端面50に当たることになるも、これら上・下杆部3,23の上先端面3a,23aは外周縁が湾曲に形成される平面で滑らかに形成されている。よって、仮に、風に煽られ電柱支線用蔓巻防止具Bが支線Dを中心軸として回転しても、上・下杆部3,23の上先端面3a,23aは滑り、支線把持具Aはそのまま支線Dにしっかりと固定され、該支線Dを中心線としてほとんど回転するようなことはない。前記支持板4の外側面は外側へ円弧状に膨出し、その下側に螺子部である雄螺子部5が刻設されている。この雄螺子部5は、後記する第二基体部11の螺子部である雌螺子部13に螺合することになる。
【0024】
第二基体部11は、上下両端面が開放される円筒基体12からなり、上部内周面に前記第一基体部1における支持板4の雄螺子部5が螺合する螺子部としての雌螺子部13が刻設されている。また、円筒基体12の上部外周面に上下一対の環状鍔14a,14bが設けられ、その間に環状凹溝15が形成されている。更に、円筒基体12の下部周面に対向位置して、下端で開口する略T形状の係止溝16,16が設けられている。これら係止溝16,16には、後記する操作棒Cの先端部を着脱自在に係合させるためである。
【0025】
中間基体部21は、前記第一基体部1の上杆部3よりも幅広の下杆部23を備え、該下杆部23の上面にも前記上杆部3の凹条2と対応する凹条22が形成されている。該下杆部23の下面に前記第二基体部11の円筒基体12と同径の円筒基体24が突設され、該円筒基体24における外周面にその中心軸に沿ってかつ対向位置して保持杆25,25が延設されている。各保持杆25の先端内側に爪部26が設けられ、これら爪部26,26が前記第二基体部11における環状凹溝15内に嵌る。これにより、第二基体部11に中間基体部21が係合して一体をなし、かつ、中間基体部21に対し第二基体部11がその中心軸周りに正逆自在に回転することになる。また、前記下杆部23の上面に前記第一基体部1の支持板4が遊嵌される通孔27が開設され、更に、下杆部23の下面にガイド部材28が突設されている。このガイド部材28が前記通孔27に遊嵌される支持板4のグラつきを防止し、その外周面の雄螺子部5が第二基体部11の雌螺子部13から外れないようにしている。
【0026】
第一・第二基体部1,11及び中間基体部21は上記構成からなり、第二基体部11における円筒基体12の上に、中間基体部21を重ねると共に該中間基体部21の両保持杆25,25下端の爪部26,26を第二基体部11の環状凹溝15内に嵌める。次に、中間基体部21の通孔27に、第一基体部1の支持板4を上から挿通すると共に第二基体部11をその中心軸周りに回動させることにより支持板4の雄螺子部5を第二基体部11の雌螺子部13に螺合させる。これにより、第一・第二基体部1,11及び中間基体部21が一体となる。そして、第二基体部11をその中心軸周りに正・逆自在に回動させることにより、第一基体部1が中間基体部21に対してその中心軸に沿って進退動し、上杆部3と下杆部23とが自在に接離することになり、これら上・下杆部3,23により支線Dを自在に挟着できることになる。
【0027】
本発明の支線把持具Aは、上記構成からなり次に作用を説明する。図4は支線把持具を支線に取着する前の正面図、図5は支線把持具を支線に取着した後の正面図である。図中、Dは支線であり、地面(図示せず。)と電柱(図示せず。)との間に地面に対して斜め(例えば地面に対して約30度)に張設される。該支線Dは、数本の鋼線を螺旋状に撚り合わせて形成されている。そこで、まず、電柱支線用蔓巻防止具Bの両半裁筒体41a,41bを開き、一方の半裁筒体41aの凹条部49に、支線Dを沿わせると共に摘み59を摘んでカム片58をその付勢に抗して回動させる。この際、カム片58における対向面58bが、支線Dの上流側を向くように電柱支線用蔓巻防止具を配しておく。図6、図7では左側が支線Dの上流側となる。これにより、ストッパー片57とカム片58の対向面58bとの間隔が、支線Dを介入できるように広がる。そして、カム片58が軸着された側の半裁筒体41bの凹条部49内及びストッパー片57とカム片58との間に支線Dを配置する。また、他方の半裁筒体41aを閉じて雄型係合部材44aと雌型係合部材44bとを係合させ、各係止片45を各挿入口46に挿入すると共に各係止爪45aを係合孔47に係合させる。これにより、電柱支線用蔓巻防止具Bが支線Dに装着される。通常は、挟着機構56により支線Dに沿ってずり落ちることがない。
【0028】
次に、電柱支線用蔓巻防止具Bの下流側であって支線Dに支線把持具Aを装着する。すなわち、図4に示すように上杆部3と下杆部23との間隔をその間に支線Dが楽に入るように開けておき、第二基体部11の下端部の係止溝16に間接工具としての操作棒Cの先端部を係合させる。操作棒Cは約2〜4m程度の長さを有し、該操作棒Cの先端部は外径が第二基体部11内に挿通できる程度に設定され、その外周面に中心軸に対して直交する一対のピンe,eが突設されており、これらピンe,eを前記両側の係止溝16,16に嵌入する。そして、支線把持具Aを持ち上げ電柱支線用蔓巻防止具Bの下流側であって支線Dに近い位置に支線把持具Aを配置し、上杆部3と下杆部23の側方の開放側からその間に支線Dを介入する。また、操作棒Cを回動させて上杆部3と下杆部23との間隔を支線Dが抜けない程度に狭めておく。この状態で、操作棒Cを支線Dに沿って引き上げ同時に電柱支線用蔓巻防止具Bの下端面を押し、該電柱支線用蔓巻防止具Bを支線Dに沿って所望の高さ位置まで上流側へ押し上げる。最後に、そのまま操作棒Cを回動して上杆部3と下杆部23との間の間隔を狭めて、上杆部3と下杆部23とにより支線Dをしっかりと握持する。これにより、電柱支線用蔓巻防止具Bが所定の高さに挟着保持される。
【0029】
このように、電柱支線用蔓巻防止具Bと支線把持具Aとを分離して設け、支線Dにそれぞれ別個に装着するようにしている。しかも、電柱支線用蔓巻防止具Bにおける防止具本体40の下流側の側端面50に支線把持具Aの上・下杆部3,23の上先端面3a,23aのうちの少なくともいずれか一方が当たることになるが、これら上・下杆部3,23の上先端面3a,23aは外周縁が湾曲に形成される平面で滑らかに形成されていることから、仮に、風に煽られ電柱支線用蔓巻防止具Bが支線Dを中心軸として回転しても、上・下杆部3,23の先端面3a,23aは滑り、支線把持具Aはそのまま支線Dにしっかりと固定され、該支線Dを中心線としてほとんど回転するようなことはない。すなわち、支線把持具Aは電柱支線用蔓巻防止具Bの回転動作によってほとんど影響を受けないことである。これにより、本来の蔓巻防止機能を常に発揮できる。また、既に滑落している既存の電柱支線用蔓巻防止具Bにも、これを初めの所定位置まで支線Dに沿って引き上げ、その下流側の支線Dに支線把持具Aを取着するようにすれば、既存品が再利用でき極めて有益である。
【0030】
また、上杆部3と下杆部23とを第二基体部11の中心軸に対して所定の角度傾斜させると共に第二基体部11の下端部に操作棒Cの先端部を着脱自在に係合する係合溝16を設けているので、操作棒Cを使って支線把持具Aが操作し易く、支線の高所にも電柱支線用蔓巻防止具Bを容易に保持し装着できる。なお、支線把持具Aには直接に手で作業するようにしても良い。
【符号の説明】
【0031】
1 第一基体部
3 上杆部
5 螺子部(雄螺子部)
11 第二基体部
13 螺子部(雌螺子部)
16 係止溝
21 中間基体部
23 下杆部
A 支線把持具
B 電柱支線用蔓巻防止具
C 操作棒
D 支線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支線に装着される電柱支線用蔓巻防止具とは分離して設けられ、
上端部に支線を上から押さえる上杆部が設けられると共に外側面に螺子部が形成された第一基体部と、前記第一基体部の下方に位置しかつ上端部に前記第一基体部の螺子部と螺合する螺子部を設けた第二基体部と、前記第一基体部と第二基体部との間に介装され、上端部に前記第一基体部の上杆部とその下方に位置して平行をなす下杆部を設け、かつ前記第二基体部と係合すると共に前記第二基体部に対してその中心軸周りに自在に回転する中間基体部と、からなり、
前記第二基体部をその中心軸周りに正逆自在に回転させることにより、前記第一基体部に対し前記第二基体部が進退動して、前記上杆部と下杆部との間で支線を把持するようにしたことを特徴とする支線把持具。
【請求項2】
前記上杆部と下杆部とを前記第二基体部の中心軸に対して所定の角度傾斜させると共に前記第二基体部の下端部には操作棒の先端部を着脱自在に係合させる係合部を設けた請求項1記載の支線把持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−170301(P2012−170301A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31320(P2011−31320)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000243939)名伸電機株式会社 (38)
【Fターム(参考)】