説明

支線設計支援システム、支線設計支援方法及びプログラム

【課題】設計者が残不平均張力を容易に確認することができるようにする。
【解決手段】現場端末10は、電柱に張設される電線の張力を算出するための電線情報を設備管理サーバ20から取得し、取得した電線情報に基づいて電線の張力を算出する。現場端末10は、電線の張設方向を示す方位の入力を受け付け、方位が示す張設方向と、電線の張力とを示す不平均張力ベクトルを決定する。現場端末10は、支線の強度を算出するための支線設計情報の入力を受け付け、支線設計情報に基づいて支線の強度を算出する。現場端末10は、支線の施設方向の入力を受け付け、支線の施設方向及び強度を示す支線強度ベクトルを決定する。現場端末10は、不平均張力ベクトルと、支線強度ベクトルとを合成して残不平均張力ベクトルを算出し、算出した残不平均張力ベクトルを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支線設計支援システム、支援設計支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電柱に不平均張力が存在する場合には、電柱に支線を施設する必要がある。支線に必要な太さや根開きなどの仕様を決定するための計算は複雑であるため、コンピュータによる支援が提案されている。例えば、特許文献1では、地図情報システムの図面から電柱の支線方向を自動的に認識するシステムが提示されている。
【特許文献1】特開平08−83334号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムでは、設計者が指定する太さ及び方向の支線を施設した場合に、その支線の施設により分担できない残不平均張力がどれだけあるのかを確認することができない。
【0004】
本発明は、このような背景を鑑みてなされたものであり、設計者が残不平均張力を容易に確認することのできる支線設計支援システム、支線設計支援方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明のうち請求項1に記載の発明は、電柱に施設される支線の設計を支援するシステムであって、前記電柱に張設される架線の張力を算出するための張力情報の入力を受け付ける張力情報入力部と、前記張力情報に基づいて前記架線の張力を算出する張力算出部と、前記架線の張設方向に関する方向情報の入力を受け付ける方向情報入力部と、受け付けた前記方向情報と算出した前記張力とに基づいて、前記架線の前記張設方向及び前記張力を示す不平均張力ベクトルを決定する不平均張力ベクトル決定部と、前記支線の強度を算出するための強度情報の入力を受け付ける強度情報入力部と、前記強度情報に基づいて前記支線の強度を算出する強度算出部と、前記支線の施設方向の入力を受け付ける施設方向入力部と、前記支線の前記施設方向及び前記強度を示す支線強度ベクトルを決定する支線強度ベクトル決定部と、前記不平均張力ベクトルと前記支線強度ベクトルとを合成して残不平均張力ベクトルを算出し、算出した前記残不平均張力ベクトルを表示する残不平均張力表示部と、を備えることとする。
【0006】
本発明の支線設計支援システムによれば、架線にかかる不平均張力のうち、支線の施設により分担することのできない残不平均張力の大きさと方向とを示す残不平均張力ベクトルを表示することができる。したがって、支線の設計者は、不平均張力を全て分担可能になるような支線の設計を行うように、残不平均張力ベクトルを参照することができるので便利である。
【0007】
また、本発明のうち請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の支線設計支援システムであって、前記張力情報は、前記電柱に張設される前記架線の単位長さ当たりの重量と、前記電柱が設置される場所から前記架線により接続される他の電柱までの距離とを含むこととする。
【0008】
また、本発明のうち請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の支線設計支援システムであって、前記架線の単位長さ当たりの前記重量を管理する設備管理サーバ装置、前記電柱から前記他の電柱までの前記距離を測定する距離測定装置、及び、前記電柱から前記他の電柱への方位を測定する方位測定装置のそれぞれと接続され、前記張力情報入力部は、前記距離測定装置から前記距離の入力を受け付け、前記設備管理サーバ装置から前記重量の入力を受け付けることにより、前記張力情報の入力を受け付け、前記方向情報入力部は、前記方位測定装置から出力される前記方位を、前記方向情報として受け付けることとする。
【0009】
この場合、設備を管理する設備管理サーバ装置から架線の重量を取得し、取得した重量に基づいて各電線の張力を算出することが可能となる。したがって、電線の張力を正確に算出することができる。また、電柱の設置現場において架線の張力方向を測定することができる。したがって、例えば地図情報システムなどで電柱の位置を管理していない場合であっても、不平均張力のかかる方向を正確に算出することができる。
【0010】
また、本発明のうち請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の支線設計支援システムであって、前記張力情報には、前記架線の単位長さ当たりの重量と、前記電柱から前記架線により接続される他の電柱までの距離とが含まれており、前記張力算出部は、前記架線の所定の弛度をD(m)、前記単位長さ当たりの重量をW(kg/m)、重力加速度をg(m/s)、及び、前記距離をS(m)とした場合に、式

により前記張力T(kN)を算出することとする。
【0011】
また、本発明のうち請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の支線設計支援システムであって、前記張力情報入力部は、複数の前記架線についての前記張力情報の入力を受け付け、前記張力算出部は、前記架線のそれぞれについて前記張力を算出し、前記方向情報入力部は、前記架線のそれぞれについて前記方向情報の入力を受け付け、前記残不平均張力表示部は、前記架線のそれぞれについての前記張力及び前記張設方向を示す張力ベクトルを決定し、決定した全ての前記張力ベクトルを合成して前記不平均張力ベクトルを算出することとする。
【0012】
この場合、複数の架線の張力をベクトル演算により合成することにより、容易に不平均張力の大きさや方向を求めることができる。
【0013】
また、本発明のうち請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の支線設計支援システムであって、前記張力情報には、前記架線の長さが含まれており、前記架線が張設される腕金の長さを含む装柱情報の入力を受け付ける装柱情報入力部を備え、前記残不平均張力表示部は、前記架線の長さをS(m)、前記腕金の長さをL(m)とした場合に、式

により角度θを算出し、前記不平均張力ベクトルを所定方向にθ回転させた上で、前記支線強度ベクトルと合成することとする。
【0014】
この場合、架線を取り付ける腕金の長さを考慮して不平均張力を求めることができる。したがって、より正確な不平均張力を算出することができる。よって、より正確に残不平均張力を算出することが可能となり、設計者は、支線の設計を正確に行うことができる。
【0015】
また、本発明のうち請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の支線設計支援システムであって、前記張力情報には、前記架線の長さが含まれており、前記架線が張設される腕金の長さを含む装柱情報の入力を受け付ける装柱情報入力部を備え、第1及び第2の前記架線について、前記張力情報入力部が第1及び第2の前記張力情報の入力を受け付け、前記方向情報入力部が第1及び第2の前記方向情報の入力を受け付けた場合に、前記張力算出部は、前記第1及び第2の架線のそれぞれについて前記張力を算出し、前記残不平均張力表示部は、前記第1及び第2の架線のそれぞれについて、前記第1及び第2の前記方向情報と、算出した前記張力とに基づいて、前記架線の張力の大きさ及び方向を示す張力ベクトルを決定し、第1の前記張力ベクトルの逆ベクトルに対する第2の前記張力ベクトルの角度をθ、前記第1の架線の長さをS(m)、前記第2の架線の長さをS(m)、前記腕金の長さをL(m)とした場合に、式

により角度θを算出し、前記第1の張力ベクトルを所定方向にθ回転させ、式

により角度θを算出し、前記第2の張力ベクトルを、前記第1の張力ベクトルの回転方向とは逆方向にθ回転させ、前記第1及び第2の張力ベクトルを合成することにより前記不平均張力ベクトルを算出することとする。
【0016】
また、本発明のうち請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の支線設計支援システムであって、前記張力情報には、前記架線が張設される高さである張設高が含まれており、前記強度情報には、前記支線が取り付けられる高さである支線取付高が含まれており、前記張力算出部は、前記張設高を、前記支線取付高で割った商である換算係数を算出し、前記張力情報に基づいて算出される張力に前記換算係数を乗じた値を前記張力として算出することとする。
【0017】
この場合、架線や支線を取り付ける高さに応じて張力を補正することができる。すなわち、いわゆるモーメント合成により換算した張力を用いて支線の強度と比較することができる。したがって、より正確な残不平均張力を算出することができる。
【0018】
また、本発明のうち請求項9に記載の発明は、請求項1に記載の支線設計支援システムであって、設計に係る安全率の入力を受け付ける安全率入力部を備え、前記張力算出部は、前記張力情報に基づいて算出される前記張力に前記安全率を乗じることとする。
【0019】
また、本発明のうち請求項10に記載の発明は、請求項1に記載の支線設計支援システムであって、前記張設情報入力部は、前記電柱が設置される場所において、魚眼レンズを装着したカメラ装置により鉛直方向上方を撮影方向として撮影した画像データの入力を受け付け、受け付けた前記画像データ上における、前記張設方向の基準となる位置を示す第1の位置情報と、前記架線により前記電柱に接続される他の電柱の位置を示す第2の位置情報とを、前記方向情報として入力を受け付けることとする。
【0020】
また、本発明のうち請求項11に記載の発明は、請求項1に記載の支線設計支援システムであって、前記残不平均張力表示部は、前記不平均張力ベクトルの逆ベクトルを算出し、算出した前記逆ベクトルを表示することとする。
【0021】
また、本発明のうち請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の支線設計支援システムであって、前記残不平均張力表示部は、前記逆ベクトルの方向を±所定角度回転した範囲を、前記支線を施設すべき範囲として表示することとする。
【0022】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、設計者が残不平均張力を容易に確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態に係る支線設計支援システムについて説明する。本実施形態の支線設計支援システムは、電力会社が電柱を移設する場合に用いられる。電柱を移設する場合、移設先に設置される電柱(以下、移設電柱という。)には、張設される電線(架線)の張力により不平均張力がかかるので、不平均張力を分担するために、支線が施設される。本実施形態の支線設計支援システムは、そのような支線の施設方向や根開きなどの設計を支援するものである。なお本実施形態では、移設電柱の移設場所の現場において、設計者がPDAや携帯可能なノート型パーソナルコンピュータなどを用いて支線の設計を行うことを想定している。
【0025】
図1は、本実施形態に係る支線設計支援システムの全体構成を示す図である。同図に示すように、本実施形態の支線設計支援システムは、現場端末10及び設備管理サーバ20を含んで構成される。現場端末10と設備管理サーバ20とは、通信ネットワーク30を介して通信可能に接続されている。通信ネットワーク30は、例えば、イーサネット(登録商標)や公衆電話回線網により構築される、LAN(Local Area Network)やインターネットである。本実施形態では、通信ネットワーク30は、携帯電話網を利用したインターネットであることを想定している。
【0026】
設備管理サーバ20は、電柱や電線などの電力系統に係る設備に関する情報(以下、設備情報という。)を管理するコンピュータである。設備情報には、例えば、電線の種別、電柱の丈尺、径間、条数、電線の取り付け位置、既設の電柱の位置などがある。
【0027】
現場端末10は、設計者が操作する、例えば、PDA(Personal Digital Assistant)や携帯電話、ノートブック型のパーソナルコンピュータ、ワークステーションなどの、可搬型コンピュータである。現場端末10は、後述するように、通信ネットワーク30を介して設備管理サーバ20にアクセスし、移設対象の電柱に張設される電線の種別や条数、取り付け位置などの設備情報を取得して、電柱にかかる電線の張力を算出して、不平均張力や、支線により分担される不平均張力などを表示することにより、支線の設計を支援する。
【0028】
図2は、現場端末10のハードウェア構成を示す図である。同図に示すように、現場端末10は、CPU101、メモリ102、記憶装置103、通信インタフェース104、入力装置105、表示装置106、測定装置107を備えている。記憶装置103は、プログラムやデータを記憶する、例えば、ハードディスクドライブやフラッシュメモリなどである。CPU101は、記憶装置103に記憶されているプログラムをメモリ102に読み出して実行することにより各種の機能を実現する。通信インタフェース104は、通信ネットワーク30に接続するためのインタフェースである。通信インタフェース104は、例えば、イーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタや、ワイヤレスネットワークに接続するためのネットワークアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデムなどである。入力装置105は、データの入力を受け付ける、例えばタッチパネルやボタン、キーボード、マウスなどである。表示装置106は、データを表示する、例えばディスプレイである。測定装置107は、現場端末10の現在地点から周囲の電柱までの距離や方位を測定する、例えば、レーザー測定器やデジタルコンパスなどである。
【0029】
図3は、現場端末10のソフトウェア構成を示す図である。同図に示すように、現場端末10は、測定情報入力部111、電線情報取得部112、装柱情報取得部113、張力ベクトル生成部114、不平均張力ベクトル生成部115、支線設計情報入力部116、設計支援情報出力部117を備えている。
【0030】
測定情報入力部111は、移設電柱と電線で接続される電柱(以下、隣接電柱という。)の識別情報(以下、電柱名という。)と、レーザー測定器などの測定装置107を用いて測定した、移設地点から隣接電柱までの距離と、デジタルコンパスなどの測定装置107を用いて測定した、移設地点から隣接電柱への方位とを含む測定情報の入力を受け付ける。なお、測定情報入力部111は、測定装置107から距離や方位を読み取るようにしてもよいし、キーボードやタッチパネルなどの入力装置105から、距離や方位の入力を受け付けるようにしてもよい。
【0031】
測定情報入力部111が受け付ける測定情報の構成例を図4に示す。同図に示すように、測定情報には、隣接柱名、距離、及び方位が含まれる。隣接柱名は、隣接電柱の名称である。距離は、移設地点から隣接電柱までの距離である。なお、本実施形態では、測定情報に含まれる距離(すなわち、電柱の径間である。)を、径間に張設される電線の亘長として用いるものとする。方位は、北を0°とした場合の、移設地点から隣接電柱に向けた方位である。本実施形態では、設計者が移設地点に立ってレーザー測定器やデジタルコンパスなどの測定装置107を用いて距離や方位を測定するものとするが、これに限らず、例えば、地図情報システムから距離や方位を取得するようにしてもよい。
【0032】
図5は、測定情報入力部111が測定情報の入力を受け付ける場合に用いられるユーザインタフェースとしての画面41の一例を示す図である。画面41は、隣接電柱数の入力欄411に数が入力されると、入力された数の隣接電柱を示すアイコン412のそれぞれについて、電柱名の入力欄413、距離の表示欄414、及び方位の表示欄415を表示する。設計者は、キーボードやタッチパネルなどの入力装置105を操作して入力欄413に隣接電柱の電柱名を入力し、タッチパネルやマウスを操作してアイコン412をクリックすることにより、測定対象となる隣接電柱を指定する。測定情報入力部111は、測定装置107から取得した距離や方位を、指定された隣接電柱に対応する表示欄414及び415に表示する。上記のようにして、測定情報入力部111は、測定情報の入力を受け付ける。
【0033】
電線情報取得部112は、移設電柱に張設される電線に関する設備情報(以下、電線情報という。)を設備管理サーバ20から取得する。電線情報取得部112は、例えば、移設電柱を示す電柱名を設定した電線情報を取得するためのコマンドを設備管理サーバ20に送信し、コマンドに応じて設備管理サーバ20から送信される電線情報を受信することができる。電線情報取得部112が取得する電線情報の構成例を図6に示す。同図に示すように、電線情報には電線の電圧区分、線種、重量、隣接電柱名、条数、及び取付点が含まれている。重量は、電線の単位長さ(本実施形態では1mとする。)当たりの重量である。隣接電柱名は、この電線により接続される隣接電柱の識別情報である。条数は、移設電柱に張設される電線の本数である。取付点は、移設電柱に電線を取り付ける高さである。
【0034】
図7は、電線情報の表示画面42の一例を示す図である。同図に示すように、表示画面42では、隣接電柱の距離及び方位を表示する表示欄421と、設備管理サーバ20から取得した電線情報を一覧表示するための表示欄422と、移設電柱に電線が取り付けられる取付点の表示欄423とを備えている。設計者は、画面42を参照することにより、移設電柱に張設される電線についての情報を取得することができる。
【0035】
装柱情報取得部113は、電柱に電線を取り付ける腕金に関する情報(以下、装柱情報という。)を設備管理サーバ20から取得する。設備管理サーバ20から取得する装柱情報の構成例を図8に示す。同図に示すように装柱情報には、電柱名、相手電柱名、装柱、腕金長、及び突出方向が含まれている。装柱情報は、電柱名が示す第1電柱から、相手電柱名が示す第2電柱に張設される電線が、第1電柱においてどのような腕金に取り付けられるかを示す情報である。装柱は、腕金の取り付け方を示す情報であり、例えば水平配列の場合、「心付け」「片やり出し」「全やり出し」の何れかである。電線が移設電柱に取り付けられる位置は、腕金の長さ分だけ、電柱の位置からずれることになるため、本実施形態の支線設計支援システムでは、後述するように、張力方向を腕金の長さに応じて補正して、より正確な不平均張力を算出するようにしている。図9に、装柱情報を表示する画面43の一例を示す。同図に示すように、画面43は、装柱情報の入力欄431を備えている。
【0036】
張力ベクトル生成部114は、上述した測定情報、電線情報、及び装柱情報に基づいて、移設電柱にかかる不平均張力と、その張力方向を示すベクトル(以下、張力ベクトルという。)を生成する。張力ベクトル生成部114は、まず各電線についての張力を算出する。図10は、2つの電柱間に電線が張設された状態を示す図である。図10は、電柱441と、電柱442の間に電線443が、D(m)の弛度で張設されていることを示している。ここで、電線の単位長さ当たりの重量をW(kg/m)、重力加速度をg(m/s)、電柱441及び442の径間をS(m)、及び電線の最低点444における張力をT(kN)とした場合、カテナリの式より、次の式(1)が成り立つことが知られている。

【0037】
配電線は、線種の異なる多数の電線が架設されていることから、線種に関わらず亘長ごとに一定の弛度である方が、設計、施工が容易である。そこで、本実施形態では、電線の弛度Dは、例えば1mなどの定数であるものとする。したがって、最低点444における張力T(kN)は、次式(2)により求められる。

【0038】
電柱442の電線の支持点445における張力T’は、T’=T+WDで求められる。しかし、通常、WDはTに比べて十分小さいと考えられるので、本実施形態では、T’=Tとみなして、電線の支持点445における張力はTであるものとする。
また、張力は電線の条数に比例するので、実際の移設電柱にかかる張力は、上記の式により求められるTに条数を乗じた値となる。
【0039】
以上より、張力ベクトル生成部114は、各電線について、電線情報の単位長さ当たりの重量をW(kg/m)、測定情報の距離をS(m)として、上記式(2)により算出した値に、電線情報に含まれる条数を乗じて、張力Tを算出する。張力ベクトル生成部114は、算出した張力Tと、測定情報の方位とを示すベクトルを張力ベクトルとして算出する。
【0040】
支線設計情報入力部116は、支線の設計に関する情報(以下、支線設計情報という。)の入力を受け付ける。支線設計情報入力部116が受け付ける支線設計情報の構成例を図11に示す。同図に示すように、支線設計情報には、支線番号、施設方向、取付点、太さ、根開き、安全率が含まれる。支線番号は、支線の識別情報であり、支線設計情報入力部116が割り当てる。施設方向は、支線を施設する方向を示す。本実施形態では、施設方向は、北を0°とした方位で示すものとする。取付点は、支線を取り付ける高さを示す。太さは、支線の断面積を示す。なお、支線の太さは、支線の強度を算出するための情報である。なお、本実施形態では、支線の太さが「38mm」である場合に、支線の強度は、例えば20kNなどの所定の定数であるものとし、強度は太さに比例するものとする。したがって、支線の太さが「55mm」であれば、支線の強度は、20×55÷38≒28.95kNになる。また、支線の強度は、安全率により補正される。したがって、支線の強度は、上記所定の定数を安全率で割った商として算出される。
【0041】
支線設計情報を入力するための画面45の一例を図12に示す。画面45では、張力ベクトル生成部114が生成した電線毎の張力ベクトルが表示される。なお、以下の説明では、簡単のため、移設電柱は2本の隣接電柱と接続されることとする。図12の例では、「電柱1」が示す電柱についての張力ベクトル451と、「電柱2」が示すについての張力ベクトル452とが表示されている。画面45の下段には、支線情報の入力欄453が表示されている。設計者は、例えば、キーボードやタッチパネルなどの入力装置105を操作して、入力欄453の各項目に値を入力する。支線設計情報入力部116は、入力欄453に入力された各項目の値を含む支線設計情報を受け付ける。支線設計情報入力部116は、受け付けた支線設計情報に基づいて算出した強度を大きさとし、支線設計情報に含まれる施設方向を向きとした支線ベクトル454を表示する。なお、画面45の支線追加ボタン455が押下されると、入力欄453に、他の支線設計情報のための項目を追加表示して、他の支線設計情報も入力可能にするものとする。このようにして、設計者が入力欄453に1つ以上の支線設計情報の項目を入力することで、画面45に支線ベクトルと、電線の張力ベクトルとが表示される。したがって、設計者は、これらのベクトルを確認しながら設計作業を行うことができるので、効率的かつ効果的に設計作業を進めることができる。
【0042】
不平均張力ベクトル生成部115は、張力ベクトル生成部114が生成した張力ベクトルをベクトル演算により合成して、不平均張力ベクトルを生成する。不平均張力ベクトル生成部115は、張力ベクトルを合成する際に、電線の取付点に応じた張力の補正と、電線が取り付けられる腕金の長さに応じたベクトル方向の補正とを行う。
【0043】
図13は、腕金の長さに応じたベクトル方向の補正を説明するための図である。図13の例では、移設電柱461に、隣接電柱462及び隣接電柱463がそれぞれ電線464及び電線465により接続されている。移設電柱461と隣接電柱462との間の距離はSであり、移設電柱461と隣接電柱462との間の距離はSである。また、移設電柱461の腕金の長さはLである。なお、本実施形態では、簡単のため、腕金の突き出し方向は、移設電柱461から隣接電柱462への方向に対して直角であるものとして補正を行う。
【0044】
不平均張力ベクトル生成部115は、図13に示すように、移設電柱461の腕金の長さLに合わせて、電線464及び465の張設方向を補正するためには、電線464についての張力ベクトルは、隣接電柱462を中心として、反時計回りにθだけ回転させ、電線465についての張力ベクトルは、隣接電柱463を中心として、時計回りにθだけ回転させる必要がある。
【0045】
ここで、θは、次の式(3)により求めることができる。

また、θは、次の式(4)により求めることができる。

【0046】
なお、電線464及び465の亘長S及びSについては、変化が十分小さいと考えられるので、変化しないものとする。すなわち、この補正では、張力ベクトルの方向のみが補正されるものとする。
【0047】
次に、電線の取付点に応じた張力の補正について説明する。図14は、2本の電線が異なる取付点に張設された電柱471の例を示す図である。上述した式(2)により、電線472の張力がT、電線473の張力がTと算出された場合に、電線472の取付点がh(m)、電線473の取付点がh(m)であったとする。ここで、Tを、電線473をhに取り付けた場合の張力に補正する係数aは、「a=h÷h」で求められる。
【0048】
本実施形態では、全ての電線についての張力を、支線の取付点での張力に換算するものとする。したがって、支線設計情報に含まれる取付点をhとし、i番目の電線についての電線情報に含まれる取付点をh、上述した式(2)により算出された張力をTとした場合、補正後の張力Aは、次式(5)により求められる。
=T×(h÷h)・・・(5)
【0049】
以上より、不平均張力ベクトル生成部115は、張力ベクトルを合成する際に、ベクトルの方向を、上記式(3)及び(4)により補正し、張力ベクトルの大きさを、上記式(5)により補正する。
【0050】
不平均張力ベクトル生成部115は、上記のようにして各電線についての張力ベクトルを補正した上で、ベクトル計算により張力ベクトルを合成して、不平均張力ベクトルを生成する。
【0051】
このように、腕金の長さに応じて張力のかかる方向を補正し、取付点の異なる電線についての張力を支線の取付点に合わせて補正することで、移設電柱にかかる不平均張力を正確に算出することが可能となる。
【0052】
設計支援情報出力部117は、不平均張力や、不平均張力と支線の強度との差、すなわち、支線により分担できていない残不平均張力を出力する。設計支援情報出力部117が出力する画面50の一例を図15に示す。同図に示すように、画面50は、上述した図12の画面45に加えて、不平均張力ベクトル501が表示される。また、画面50には、不平均張力及び残平均張力の表示欄502が表示される。表示欄502に表示される不平均張力は、不平均張力ベクトル501の大きさであり、残不平均張力は、支線設計情報に基づいて算出される支線の強度を、不平均張力から引いた差である。また、画面50には、不平均張力ベクトルの方向と逆方向のプラスマイナス45°の範囲503が表示されている。範囲503は、効果的に支線を施設するための目安になる。
【0053】
なお、設計支援情報出力部117は、不平均張力ベクトルの逆ベクトルを表示するようにしてもよい。この場合、現場端末10は、支線を施設すべき場所を設計者に提示することができる。
【0054】
以上説明したように、本実施形態の支線設計支援システムによれば、電線にかかる不平均張力の大きさと方向とを表示することができる。したがって、設計者は、施設すべき支線の強度や、支線を施設すべき方向を容易に把握することができる。
【0055】
また、本実施形態の支線設計支援システムによれば、設計対象となる支線の強度や施設方向を入力することにより、その支線を施設した場合に、分担できない残不平均張力の大きさと方向とを表示することができる。したがって、設計者は、設計した支線を施設しても残不平均張力がある場合には、支線の根開きや取付点を変更したり、支線を追加したりすることができる。
【0056】
また、本実施形態の支線設計支線システムによれば、設備管理サーバ20から電線情報を取得し、現地で測定情報を測定装置107から取得して、電線の張力を算出することができる。したがって、電線の仕様などについては設備管理サーバ20から取得するようにし、径間や張設方向などについては、現場で測定するようにすることで、より正確に電線の張力を算出することができる。また、現場で隣接電柱との間の距離を測定することができるので、地図情報システムなどにおいて電柱の位置を管理していない場合であっても、不平均張力のかかる方向を正確に算出することができる。
【0057】
また、本実施形態の支線設計支援システムによれば、電柱に張設される複数の電線のそれぞれについての張力の大きさと方向を示すベクトルを、ベクトル演算により合成して不平均張力の大きさや方向を示す不平均張力ベクトルを算出することができる。したがって、容易に不平均張力の大きさや方向を求めることができる。
【0058】
また、本実施形態の支線設計支援システムによれば、電線を取り付ける腕金の長さを考慮して、電線の張力方向を補正することができる。したがって、より正確に不平均張力を算出することができるので、残不平均張力を正確に算出することができる。よって、設計者は、支線の設計をより正確に行うことができる。
【0059】
また、本実施形態の支線設計支援システムによれば、電線の取付点に応じて、いわゆるモーメント合成により換算した張力を用いて、支線の強度と比較することができる。したがって、より正確な残不平均張力を算出することができる。
【0060】
なお、本実施形態では、隣接電柱の方位は、デジタルコンパス等の測定装置107から取得するものとしたが、例えば、移設電柱の設置地点において魚眼レンズを装着したカメラにより撮影方向を鉛直方向上方にして撮影した画像データを用いて、方位を指定するようにしてもよい。この場合の画面例を図16に示す。測定情報入力部111は、魚眼レンズを装着したカメラにより撮影された画像データの入力を受け付け、受け付けた画像データに基づいて、画面61のように、移設電柱の設置地点の周辺の画像を表示する。図16の例では、画像611には、2本の隣接電柱612及び613が表示されている。設計者が、画面61において、画像611上の隣接電柱612及び613を、タッチパネルやマウスにより指定すると、測定情報入力部111は、画像の上を北(0°)とし、画像の重心を中心として、隣接電柱612及び613の方位を算出し、算出した方位を表示する。画面62の例では、隣接電柱612の方向を示す矢印621と、隣接電柱613の方向を示す矢印622とが表示されている。このように、魚眼レンズを装着したカメラにより撮影された画像に基づいて隣接電柱の方位を決定することができる。この場合、設計者は、カメラで撮影した画像データを入力し、画像に表示されている電柱を指定するだけで方位を容易に入力することができる。
【0061】
また、本実施形態では、電線の張設方向を決定するための情報として、移設電柱から隣接電柱への方位を用いるものとしたが、これに限らず、例えば、移設電柱の緯度経度などの位置情報と、隣接電柱の位置情報とに基づいて、電線の張設方向を決定するようにしてもよい。また、移設電柱から、ある一つの隣接電柱への方向を基準方向として、他の隣接電柱への方向を、基準方向からの角度として測定し、測定した角度に基づいて張設方向を決定するようにしてもよい。
【0062】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本実施形態に係る支線設計支援システムの全体構成を示す図である。
【図2】現場端末10のハードウェア構成を示す図である。
【図3】現場端末10のソフトウェア構成を示す図である。
【図4】測定情報入力部111が受け付ける測定情報の構成例を示す図である。
【図5】測定情報の入力を受け付ける場合に用いられるユーザインタフェースの一例を示す図である。
【図6】電線情報取得部112が取得する電線情報の構成例を示す図である。
【図7】電線情報の表示画面42の一例を示す図である。
【図8】設備管理サーバ20から取得する装柱情報の構成例を示す図である。
【図9】装柱情報を表示する画面43の一例を示す図である。
【図10】2つの電柱間に電線が張設された状態を示す図である。
【図11】支線設計情報入力部116が受け付ける支線設計情報の構成例を示す図である。
【図12】支線設計情報を入力するための画面45の一例を示す図である。
【図13】腕金の長さに応じたベクトル方向の補正を説明するための図である。
【図14】2本の電線が異なる取付点に張設された電柱471の例を示す図である。
【図15】設計支援情報出力部117が出力する画面50の一例を示す図である。
【図16】魚眼レンズを装着したカメラにより撮影方向を鉛直方向上方にして撮影した画像データを用いて方位を指定する場合の画面例を示す図である。
【符号の説明】
【0064】
10 現場端末、101 CPU、102 メモリ、
103 記憶装置、104 通信インタフェース、
105 入力装置、106 表示装置、107 測定装置、
111 測定情報入力部、112 電線情報取得部、113 装柱情報取得部、
114 張力ベクトル生成部、115 不平均張力ベクトル生成部、
116 支線設計情報入力部、117 設計支援情報出力部、
20 設備管理サーバ、30 通信ネットワーク、
41 画面、411 隣接電柱数の入力欄、412 アイコン、
413 電柱名の入力欄、414 距離の表示欄、415 方位の表示欄、
42 画面、421 表示欄、422 表示欄、423 取付点の表示欄、
43 画面、431 装柱情報の入力欄、
441 電柱、442 電柱、443 電線、
444 最低点、445 電線の支持点、
45 画面、451 張力ベクトル、452 張力ベクトル、
453 入力欄、454 支線ベクトル、455 支線追加ボタン、
461 移設電柱、462 隣接電柱、463 隣接電柱、
464 電線、465 電線、
471 電柱、472 電線、473 電線、
50 画面、501 不平均張力ベクトル、502 表示欄、503 範囲、
61 画面、611 画像、612 隣接電柱、613 隣接電柱、
62 画面、621 矢印、622 矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電柱に施設される支線の設計を支援するシステムであって、
前記電柱に張設される架線の張力を算出するための張力情報の入力を受け付ける張力情報入力部と、
前記張力情報に基づいて前記架線の張力を算出する張力算出部と、
前記架線の張設方向に関する方向情報の入力を受け付ける方向情報入力部と、
受け付けた前記方向情報と算出した前記張力とに基づいて、前記架線の前記張設方向及び前記張力を示す不平均張力ベクトルを決定する不平均張力ベクトル決定部と、
前記支線の強度を算出するための強度情報の入力を受け付ける強度情報入力部と、
前記強度情報に基づいて前記支線の強度を算出する強度算出部と、
前記支線の施設方向の入力を受け付ける施設方向入力部と、
前記支線の前記施設方向及び前記強度を示す支線強度ベクトルを決定する支線強度ベクトル決定部と、
前記不平均張力ベクトルと前記支線強度ベクトルとを合成して残不平均張力ベクトルを算出し、算出した前記残不平均張力ベクトルを表示する残不平均張力表示部と、
を備えることを特徴とする支線設計支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の支線設計支援システムであって、
前記張力情報は、前記電柱に張設される前記架線の単位長さ当たりの重量と、前記電柱が設置される場所から前記架線により接続される他の電柱までの距離とを含むこと、
を特徴とする支線設計支援システム。
【請求項3】
請求項2に記載の支線設計支援システムであって、
前記架線の単位長さ当たりの前記重量を管理する設備管理サーバ装置、前記電柱から前記他の電柱までの前記距離を測定する距離測定装置、及び、前記電柱から前記他の電柱への方位を測定する方位測定装置のそれぞれと接続され、
前記張力情報入力部は、前記距離測定装置から前記距離の入力を受け付け、前記設備管理サーバ装置から前記重量の入力を受け付けることにより、前記張力情報の入力を受け付け、
前記方向情報入力部は、前記方位測定装置から出力される前記方位を、前記方向情報として受け付けること、
を特徴とする支線設計支援システム。
【請求項4】
請求項1に記載の支線設計支援システムであって、
前記張力情報には、前記架線の単位長さ当たりの重量と、前記電柱から前記架線により接続される他の電柱までの距離とが含まれており、
前記張力算出部は、前記架線の所定の弛度をD(m)、前記単位長さ当たりの重量をW(kg/m)、重力加速度をg(m/s)、及び、前記距離をS(m)とした場合に、式

により前記張力T(kN)を算出すること、
を特徴とする支線設計支援システム。
【請求項5】
請求項1に記載の支線設計支援システムであって、
前記張力情報入力部は、複数の前記架線についての前記張力情報の入力を受け付け、
前記張力算出部は、前記架線のそれぞれについて前記張力を算出し、
前記方向情報入力部は、前記架線のそれぞれについて前記方向情報の入力を受け付け、
前記残不平均張力表示部は、前記架線のそれぞれについての前記張力及び前記張設方向を示す張力ベクトルを決定し、決定した全ての前記張力ベクトルを合成して前記不平均張力ベクトルを算出すること、
を特徴とする支線設計支援システム。
【請求項6】
請求項5に記載の支線設計支援システムであって、
前記張力情報には、前記架線の長さが含まれており、
前記架線が張設される腕金の長さを含む装柱情報の入力を受け付ける装柱情報入力部を備え、
前記残不平均張力表示部は、前記架線の長さをS(m)、前記腕金の長さをL(m)とした場合に、式

により角度θを算出し、前記不平均張力ベクトルを所定方向にθ回転させた上で、前記支線強度ベクトルと合成すること、
を特徴とする支線設計支援システム。
【請求項7】
請求項5に記載の支線設計支援システムであって、
前記張力情報には、前記架線の長さが含まれており、
前記架線が張設される腕金の長さを含む装柱情報の入力を受け付ける装柱情報入力部を備え、
第1及び第2の前記架線について、前記張力情報入力部が第1及び第2の前記張力情報の入力を受け付け、前記方向情報入力部が第1及び第2の前記方向情報の入力を受け付けた場合に、
前記張力算出部は、前記第1及び第2の架線のそれぞれについて前記張力を算出し、
前記残不平均張力表示部は、前記第1及び第2の架線のそれぞれについて、前記第1及び第2の前記方向情報と、算出した前記張力とに基づいて、前記架線の張力の大きさ及び方向を示す張力ベクトルを決定し、
第1の前記張力ベクトルの逆ベクトルに対する第2の前記張力ベクトルの角度をθ、前記第1の架線の長さをS(m)、前記第2の架線の長さをS(m)、前記腕金の長さをL(m)とした場合に、式

により角度θを算出し、前記第1の張力ベクトルを所定方向にθ回転させ、式

により角度θを算出し、前記第2の張力ベクトルを、前記第1の張力ベクトルの回転方向とは逆方向にθ回転させ、前記第1及び第2の張力ベクトルを合成することにより前記不平均張力ベクトルを算出すること、
を特徴とする支線設計支援システム。
【請求項8】
請求項1に記載の支線設計支援システムであって、
前記張力情報には、前記架線が張設される高さである張設高が含まれており、
前記強度情報には、前記支線が取り付けられる高さである支線取付高が含まれており、
前記張力算出部は、前記張設高を、前記支線取付高で割った商である換算係数を算出し、前記張力情報に基づいて算出される張力に前記換算係数を乗じた値を前記張力として算出すること、
を特徴とする支線設計支援システム。
【請求項9】
請求項1に記載の支線設計支援システムであって、
設計に係る安全率の入力を受け付ける安全率入力部を備え、
前記張力算出部は、前記張力情報に基づいて算出される前記張力に前記安全率を乗じること、
を特徴とする支線設計支援システム。
【請求項10】
請求項1に記載の支線設計支援システムであって、
前記張設情報入力部は、前記電柱が設置される場所において、魚眼レンズを装着したカメラ装置により鉛直方向上方を撮影方向として撮影した画像データの入力を受け付け、受け付けた前記画像データ上における、前記張設方向の基準となる位置を示す第1の位置情報と、前記架線により前記電柱に接続される他の電柱の位置を示す第2の位置情報とを、前記方向情報として入力を受け付けること、
を特徴とする支線設計支援システム。
【請求項11】
請求項1に記載の支線設計支援システムであって、
前記残不平均張力表示部は、前記不平均張力ベクトルの逆ベクトルを算出し、算出した前記逆ベクトルを表示すること、
を特徴とする支援設計支援システム。
【請求項12】
請求項11に記載の支線設計支援システムであって、
前記残不平均張力表示部は、前記逆ベクトルの方向を±所定角度回転した範囲を、前記支線を施設すべき範囲として表示すること、
を特徴とする支線設計支援システム。
【請求項13】
電柱に施設される支線の設計を支援する方法であって、
コンピュータが、
前記電柱に張設される架線の張力を算出するための張力情報の入力を受け付け、
前記張力情報に基づいて前記架線の張力を算出し、
前記架線の張設方向に関する方向情報の入力を受け付け、
受け付けた前記方位情報と算出した前記張力とに基づいて、前記架線の前記張設方向及び前記張力を示す不平均張力ベクトルを決定し、
前記支線の強度を算出するための強度情報の入力を受け付け、
前記強度情報に基づいて前記支線の強度を算出し、
前記支線の施設方向の入力を受け付け、
前記支線の前記施設方向及び前記強度を示す支線強度ベクトルを決定し、
前記不平均張力ベクトルと前記支線強度ベクトルとを合成して残不平均張力ベクトルを算出し、算出した前記残不平均張力ベクトルを表示すること、
を特徴とする支線設計支援方法。
【請求項14】
電柱に施設される支線の設計を支援するためのプログラムであって、
コンピュータに、
前記電柱に張設される架線の張力を算出するための張力情報の入力を受け付けるステップと、
前記張力情報に基づいて前記架線の張力を算出するステップと、
前記架線の張設方向に関する方向情報の入力を受け付けるステップと、
受け付けた前記方向情報と算出した前記張力とに基づいて、前記架線の前記張設方向及び前記張力を示す不平均張力ベクトルを決定するステップと、
前記支線の強度を算出するための強度情報の入力を受け付けるステップと、
前記強度情報に基づいて前記支線の強度を算出するステップと、
前記支線の施設方向の入力を受け付けるステップと、
前記支線の前記施設方向及び前記強度を示す支線強度ベクトルを決定するステップと、
前記不平均張力ベクトルと前記支線強度ベクトルとを合成して残不平均張力ベクトルを算出し、算出した前記残不平均張力ベクトルを表示するステップと、
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−181412(P2008−181412A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−15307(P2007−15307)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】