説明

改善された安定性を有するシリコーン組成物のための基礎材料を製造するための連続的方法

【課題】予め疎水化された酸化補強充填剤及びオルガノポリシロキサンから成る基礎材料の連続的製造方法を提供する。
【解決手段】一般式RSiO(4−a−b)/2の少なくとも1のジオルガノポリシロキサン(A)と疎水化によって得られた炭素含量少なくとも0.5質量%を有する少なくとも1の予め疎水化された酸化補強充填剤(B)を第1工程で少なくとも2個の並んで配置された混練室2を備えた混練機カスケード1中で均一に混合混練し、第2工程の攪拌装置8(入口9により第1の工程で製造された材料を体積流Xで供給)中で後処理し、表面14の連続的更新下で回転する混合/混練機10並びに場合によるストリッパーを使用して脱気し、出口11により体積流Yで搬出する、500.000〜12.000.000mPasの粘度(25℃、1s−1の剪断速度で測定)を有する基礎材料の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、付加架橋性シリコーン組成物のための基礎材料を製造するための連続的方法に関し、この場合、これは、貯蔵後の粘度増加、SiH−分解、反応性の変化並びに添加剤分解に対する改善した安定性を示す。
【背景技術】
【0002】
シリコーンエラストマー分野の当業者には、充填剤含有シリコーン組成物、例えば液体シリコーンゴム(LSR=液体シリコーンゴム)のほとんどの部分が基礎材料から構成されることが知られている。液体シリコーンゴムの製造のために、この基礎材料は、加硫作用物質及び付加架橋性シリコーン組成物の他の典型的な構成成分と一緒に均一に混合され、これは加硫後に得られるシリコーンエラストマーを定められた最終的な性質に調整するのに役立つ。
【0003】
技術水準に基づいて、基礎材料の製造のために任意の予め疎水化された充填剤を使用して、相当するオルガノポリシロキサンと互いに均一に混合し、かつ混練する。基礎材料を製造するための他の方法は親水性充填剤を使用するものであって、この場合、この方法は、いわゆる配合プロセス中で適した処理剤の使用下でその場で(in-situ)疎水化をおこなう。これら双方の場合において、導入プロセスは、通常、プラネタリディソルバー又はニーダー、例えばSigma-ニーダー又はダブルキャビティーニーダー(Doppelmuldenkneter)中で実施され、この場合、これは連続的製造方法のために基本的に適していないものである。このバッチ法は、ここでは特にin−situプロセスであるが、望ましくない空時収量、高いエネルギー消費量及び引火性混合物の形成のリスクによる保護ガス導入の必要性により区別され、さらには極めてコスト及び労力がかかる。非連続式ニーダーにおいて、オルガノポリシロキサン及び予め疎水化された酸化補強充填剤から構成される基礎材料から成るシリコーン組成物は、高い貯蔵安定性で製造することができ、この際、この基礎材料をベースとして製造されたシリコーンエラストマーは、極めて均整のとれた機械的性状プロフィールにおいて優れている。
【0004】
技術水準において、シリコーン組成物を連続的工程で製造するための多くの技術が知られている。この中において、連続的工程は、基礎材料の連続的製造と同様に、多くの場合において1個又は少なくとも1個の成分から成る完成したシリコーン組成物の連続的製造にもあてはまる。
【0005】
連続的に製造された基礎材料から構成され、かつその際に予め疎水化された充填剤を使用するシリコーン組成物は、一般に、非連続的に製造された基礎材料を含有するシリコーン組成物と比較して減少した安定性を示す。
【0006】
基礎材料を製造するための連続的方法の際のオルガノポリシロキサン及び充填剤の比較的少ない滞留時間に基づいて、しばしば、充填剤凝集物の不完全な溶解がみられ、これは、シリコーンエラストマーにおける不均一性又は粗末な透明性を招きうるものであって、これについてはすでにEP 1203650 B1に挙げられている。
【0007】
技術水準により連続的に製造された基礎材料から製造されたシリコーン組成物の前記減少した安定性は、例えば貯蔵後のシリコーン組成物の粘度増加の形で明らかになり、これは特に、例えばシリコーン組成物の運搬の際の高められた温度において生じる。
【0008】
基礎材料を製造するための連続的方法の際のオルガノポリシロキサン及び充填剤の比較的少ない滞留時間に基づいて、これはさらに充填剤表面の不十分な不活性化を招きうるものであって、これにより、完成したシリコーン組成物における望ましくない反応の可能性がもたらされうる。例えば、完成したシリコーン組成物中で架橋剤としてオルガノ水素ポリシロキサンを使用する場合には、水素を発生下でのSiH−基の増加した分解が観察されうる。これは、酸素の存在下でかなりの爆発のリスクをもたらす。さらに、加硫後に得られたシリコーンエラストマーの性状プロフィールの変化のリスクが、付随して生じる架橋構造の変化に基づいて生じる。さらに自己接着性シリコーン組成物の場合には、十分に不活性化されていない充填剤表面が、充填剤表面の反応性基と添加剤、例えば結合剤との望ましくない反応を招き、これにより避けることのできない接着性の劣化を導く。
【0009】
EP 0462 032 A1において、基礎材料を製造するための連続的なin−situ法が記載され、この場合、この方法は、重付加反応を介して架橋可能なシリコーン組成物の製造に適している。配合は、二軸スクリュー押出機中で、ビニル基含有オルガノポリシロキサン、充填剤並びに液体ポリシラザン及び水の連続的かつ同時の供給によって実施する。
【0010】
EP 0776 751 A1には、基礎材料を製造するための連続的なin−situ法が記載されており、この場合、この方法は、基礎材料を二軸の連続的な押出及び混合機械中で製造する。この二軸の連続的押出混合機械はダブルルーメン装入管(zweilumiges Einlassrohr)を有しており、これに関しては、加水分解可能なオルガノ珪素化合物及び水から成る疎水化剤、並びに充填剤を外側のルーメンを介して、かつオルガノシロキサンを内側のルーメンを介して供給する。
【0011】
US 6749786 B2には、少ない揮発性成分含量を有する液体シリコーンゴム(LSR)を製造するための連続的in−situ法が記載されており、その際、押出機には、少なくとも70を上回るL/D比(直径に対する長さ)を使用する。脱気は、押出機出口直前に配置された複数個の開口部において実施する。
【0012】
前記すべてのin−situ法は、より多くの放出の不利益(廃ガスの問題点)を有し、これはそれぞれの混練機において生じ、かつ困難をもってのみ制御可能である。さらに連続的in−situ法の際に、疎水化の集中的な調整は制限された範囲でのみ可能であり、その結果、生成物の品質の比較的高い変動が認めらうる。in−situ法の他の欠点は、易発火性の混合物形成の前記リスクに基づく。
【0013】
EP 0807 509 A1は、特別な混練機カスケードの使用下で、長期安定性の付加架橋性液体シリコーンゴムの連続的製造方法を開示している。この際、混練機を用いて製造された基礎材料の脱気は、簡単な脱気容器を介して実施するが、しかしながら、剪断力の導入及びより高い平均滞留時間を有する特定の案出された後処理装置を介しての基礎材料の後処理を含むことはない。この基礎材料から製造されたシリコーン組成物は、すでに貯蔵の際の粘度増加に関する良好な安定性によって区別されるが、しかしながら、これらはさらに改善を必要としており、それというのも依然として完成したシリコーン組成物の耐久性の減少を招く望ましくない粘度増加を確認することができるためである。液体シリコーンゴムの場合には、変化した流動性に起因する高められた粘度は射出成形プロセス中での加工の際の問題を招きうる。他の当業者に公知の問題は、例えば、不十分な貯蔵安定性に基づいて粘度が高い値を示す場合の供給装置において生じる。さらに他の問題は、これらの基礎材料から製造されたシリコーン組成物がSiH−分解及び添加剤、例えば結合剤又は有機性塩基性安定化剤の分解に対する安定性についての顕著な改善の必要性である。EP 0807 509 A1中に記載された方法の他の欠点は、この連続的方法を用いてせいぜい300kg/hの体積流を実現しうることである。より高い装入量の場合には、基礎材料の安定性の顕著な低下を観察することができる。
【0014】
まとめると、シリコーン組成物のための基礎材料を製造するための従来公知の連続的方法は、射出成形中で加工するこのようなシリコーン組成物、特に液体シリコーンゴムを提供するといった要求を十分に充たすものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】EP 1203650 B1
【特許文献2】EP 0462 032 A1
【特許文献3】EP 0776 751 A1
【特許文献4】US 6749786 B2
【特許文献5】EP 0807 509 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって本発明は、技術水準を改善し、かつ予め疎水化された酸化補強充填剤及びオルガノポリシロキサンから構成される基礎材料を製造するための連続的方法を提供するといった課題に基づくものであって、この場合、この基礎材料から完成した付加架橋性液体シリコーンゴム組成物を製造し、この場合、この組成物は、以下の要求を充足するものである:
−特に高められた温度での貯蔵の際の粘度増加に対する高い安定性、
−反応性喪失に対する高い安定性、すなわち、貯蔵の際の架橋特性の変化が可能な限り生じないかあるいはわずかのみであること、
−添加剤、例えば結合剤又は安定化剤との望ましくない反応に対する高い安定性、
−加硫直後の、特に金属製加硫用金型からの容易な離型性、
−実用特性、例えば透明性及び機械的性状プロフィール、例えば特に引裂き抵抗(Weiterreisswiderstand)、引張強度(Reissfestigkeit)、破断点伸び(Reissdehung)及び永久歪み(Druckverformungsrest)の高い水準。
【0017】
本発明の他の課題は、300kg/hを上回る体積流の場合に可能な方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
したがって本発明の対象は、25℃で、かつ1s−1の剪断速度で測定された500.000〜12.000.000mPasの粘度を有する基礎材料を製造するための方法であり、この場合、この方法は、
一般式(I)
【化1】

[式中、Rはヒドロキシル基又は一価の、場合によってはハロゲン置換された、場合によってはO−、N−、S−又はP−原子を含有する1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基を意味するが、但し、脂肪族不飽和基を除く、
は、一価の、脂肪族不飽和の、場合によってはハロゲン置換された、場合によってはO−、N−、S−又はP−原子を含有する2〜10個の炭素原子を有する炭化水素基を意味し、
bは0.0001〜2の値を意味するが、但し、1.5<(a+b)≦3.0であり、かつ1分子当たり平均少なくとも2個の脂肪族不飽和基Rを含有し、かつ25℃で測定されたジオルガノポリシロキサン(A)の粘度が1〜40.000.000mPasである]の少なくとも1種のジオルガノポリシロキサン(A)と、
疎水化によって得られた炭素含量少なくとも0.5質量%を有する、少なくとも1個の予め疎水化された酸化補強充填剤(B)を、
第1の工程において、少なくとも2個の一列に並んで配置された混練室(2)を備えた混練機カスケード(1)中で互いに均一に混合し、かつ混練し、
この場合、前記混練室(2)はそれぞれ2個の軸平行な同方向又は逆方向に運転する混練機(3)を含み、かつ混練機(3)の軸(4)を横断して通過可能な開口部(5)で互いに連結しており、その際、少なくとも最初の混練室は入口(6)を有しており、かつ最後の混練室は出口(7)を有しており、
かつ、このようにして得られた材料は、後続の第2の工程で攪拌装置(8)中で後処理を行い、この攪拌装置(8)は入口(9)を備えており、この入口を介して第1の工程により製造された材料を、定められた体積流Xで攪拌装置(8)に供給し、表面(14)を連続的に更新しながら、回転する混合/混練機(10)並びに場合によるストリッパー(19)の使用下で剪断力を与え、かつ脱気し、かつ出口(11)を介して体積流Yで第2工程から搬出する。
【0019】
少なくとも1種のジオルガノポリシロキサン(A)の基Rに関する例は、アルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert.−ブチル基、n−ペンチル基、イソ−ペンチル基、ネオ−ペンチル基、tert.−ペンチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、2,2,4−トリメチルペンチル基、n−ノニル基及びオクタデシル基であり;シクロアルキル基、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、ノルボルニル基、アダマンチルエチル基又はボルニル基;アリール基又はアルカリール基、例えばフェニル基、エチルフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基又はナフチル基;アルアルキル基、例えばベンジル基、2−フェニルプロピル基又はフェニルエチル基、並びに前記基のハロゲン化されかつ有機基で官能化された誘導体、例えば3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−ヨードプロピル基、3−イソシアナトプロピル基、アミノプロピル基、メタクリルオキシメチル基又はシアノエチル基である。
【0020】
好ましい基Rは、1〜10個の炭素原子並びに場合によってはハロゲン置換基を含有する。特に好ましい基Rはメチル基、フェニル基及び3,3,3−トリフルオロプロピル基であり、特にメチル基である。
【0021】
基Rは、ヒドロシリル化反応が可能である。これに関する例はアルケニル基及びアルキニル基、例えばビニル基、アリル基、イソプロペニル基、3−ブテニル基、2,4−ペンタジエニル基、ブタンジエニル基、5−ヘキセニル基、ウンデセニル基、エチニル基、プロピニル基及びヘキシニル基;シクロアルケニル基、例えばシクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、3−シクロヘキセニルエチル基、5−ビシクロヘプテニル基、ノルボルネニル基、4−シクロオクテニル基又はシクロオクタジエニル基;アルケニルアリール基、例えばスチリル基又はスチリルエチル基、並びに前記基のハロゲン化され、かつヘテロ原子を含有する誘導体、例えば2−ブロムビニル基、3−ブロム−1−プロピニル基、1−クロロ−2−メチルアリル基、2−(クロロメチル)アリル基、スチリルオキシ基、アリルオキシプロピル基、1−メトキシビニル基、シクロペンテニルオキシ基、3−シクロヘキセニルオキシ基、アクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイル基又はメタクリロイルオキシ基である。
【0022】
好ましい基Rはビニル基、アリル基及び5−ヘキセニル基であり、特にビニル基である。
【0023】
一般式(I)のジオルガノポリシロキサン(A)の際の25℃で測定された粘度は、好ましくは1〜40.000.000mPas、特に好ましくは1〜8.000.000mPas、とりわけ1〜800.000mPasである。
【0024】
一般式(I)のジオルガノポリシロキサン(A)は、単峰性又は多峰性の分子量分布を有するジオルガノポリシロキサンであってもよいか、あるいは、単峰性又は多峰性の分子量分布を有する異なるジオルガノポリシロキサンから成る混合物であってもよい。
【0025】
一般式(I)のジオルガノポリシロキサンは、好ましくは平均1〜15、特に好ましくは平均1〜10、とりわけ好ましくは平均1〜4個の一価の、脂肪族不飽和の、場合によってはハロゲン置換され、場合によってはO−、N−、S−又はP−原子を含有する2〜10個の炭素原子を有する炭化水素基を有する。
【0026】
一般式(I)のジオルガノポリシロキサン(A)に関する例は線状、分枝又は環式のジオルガノポリシロキサンであり、その際、これは好ましくは式(CHSiO1/2、(HC=CH)(CHSiO1/2、(CHSiO2/2、(HC=CH)(CH)SiO2/2の単位から成るか又はこれらの混合物である。
【0027】
ジオルガノポリシロキサン(A)の好ましい実施態様は、(HC=CH)(CH)SiO2/2−及び(CHSiO2/2−単位を含有し、(CHSiO1/2−末端基を示すコポリマー、
(CHSiO2/2−単位を含有し、(HC=CH)(CHSiO1/2−末端基を示すコポリマー、
(HC=CH)(CH)SiO2/2−及び(CHSiO2/2−単位を含有し、(HC=CH)(CHSiO1/2−末端基を示すコポリマー、
(CHSiO2/2−単位を含有し、(CHSiO1/2−末端基を示すコポリマー、
(Ph)SiO2/2−及び(HC=CH)(CH)SiO2/2−単位を含有し、(CHSiO1/2−末端基を示すコポリマー、
(Ph)SiO2/2−、(CHSiO2/2−及び(HC=CH)(CH)SiO2/2−単位を含有し、(CHSiO1/2−末端基を示すコポリマー、
(Ph)SiO2/2−及び(HC=CH)(CHSiO2/2−単位を含有し、(HC=CH)(CHSiO1/2−末端基を示すコポリマー、
(Ph)SiO2/2−、(CHSiO2/2−及び(HC=CH)(CHSiO2/2−単位を有し、(HC=CH)(CHSiO1/2−末端基を示すコポリマー、
(Ph)(CH)SiO2/2−、(CHSiO2/2−及び(HC=CH)(CH)SiO2/2−単位を含有し、(CHSiO1/2−末端基を示すコポリマー、
(Ph)(CH)SiO2/2−、(CHSiO2/2−及び(HC=CH)(CH)SiO2/2−単位を含有し、(HC=CH)(CHSiO1/2−末端基を示すコポリマー、
(Ph)(CH)SiO2/2−及び(HC=CH)(CHSiO2/2−単位を含有し、(CHSiO1/2−末端基を示すコポリマーであり、
一般式(I)のジオルガノポリシロキサン(A)の特に好ましい実施態様は、
(HC=CH)(CH)SiO2/2−及び(CHSiO2/2−単位を含有し、(CHSiO1/2−末端基を示すコポリマー、
(CHSiO2/2−単位を含有し、(HC=CH)(CHSiO1/2−末端基を示すコポリマー、
(HC=CH)(CH)SiO2/2−及び(CHSiO2/2−単位を含有し、(HC=CH)(CHSiO1/2−末端基を示すコポリマー、
(CHSiO2/2−単位を含有し、(CHSiO1/2−末端基を示すコポリマーであり、
技術水準による通常の合成経路に基づいて、適した触媒及び反応成分の存在下で、一般式(I)のジオルガノポリシロキサン(A)は、Si−結合性OH−基の少ない含量、典型的には100質量−ppmを下回る含量を示すことができる。
【0028】
特に好ましい実施態様において、一般式(I)のジオルガノポリシロキサン(A)は、芳香族基を含有しない。
【0029】
補強充填剤(B)は予め疎水化されている。予め疎水化された補強充填剤(B)は、好ましくは、それぞれ酸化された予め疎水化された粉末状充填剤、例えば熱分解法シリカ、沈降シリカ及び珪素−アルミニウム混合酸化物又は繊維状充填剤、例えばアスベスト、又はこれらの混合物である。疎水化によって得られた充填剤(B)の炭素含量は、好ましくは少なくとも0.5質量%であり、かつ好ましくは多くとも6質量%である。充填剤の炭素含量測定の際に、少なくとも2時間、少なくとも200℃での乾燥によって、測定された炭素含量を充填剤(B)の疎水化層に関連することが証明される。
【0030】
補強充填剤(B)として特に好ましくは、熱分解法シリカ及び沈降シリカである。この活性化された補強充填剤の比表面積はBET法の測定によれば、少なくとも50m/gであるか、あるいは、好ましくは100〜400m/gである。このような活性化された補強充填剤は、シリコーンゴム分野における当業者には極めてよく知られた材料である。
【0031】
充填剤(B)は、例えばオルガノシラン、オルガノシラザン又はオルガノシロキサンを用いての処理によってか、あるいは、ヒドロキシル基のアルコキシ基へのエーテル化によって疎水化する。
【0032】
疎水化のための特に好ましい方法は、US 5057151に記載されている。
【0033】
本発明による方法にしたがって製造された基礎材料中の予め疎水化された酸化補強充填剤(B)の含量は、好ましくは0〜70質量%、特に好ましくは0〜50質量%、とりわけ好ましくは20〜40質量%である。
【0034】
本発明による方法にしたがって製造された基礎材料は、構成成分として選択的に、さらに添加剤(H)を、好ましくは70質量%まで、特に0.0001〜40質量%の量で含有していてもよい。これに関連して添加剤は、第1工程中、第2工程中並びに本発明による方法の前後に添加することができる。この添加剤は、例えば安定化剤、顔料又は使用される充填剤のオルガノポリシロキサンでの処理又は湿潤を容易にするか、あるいは、架橋後に得られたシリコーンエラストマーの定められた性質を調整するのに役立つ他の添加剤であってもよい。これらの添加剤は、例えば不活性充填剤、例えば石英、滑石、樹脂状ポリオルガノシロキサン、分散助剤、溶剤、結合剤、顔料、染料、可塑剤、有機性ポリマー、熱安定化剤等であってもよい。さらに挙げられる添加剤は活性炭、石英粉、ケイソウ土、粘土、チョーク、リトポン、カーボンブラック、グラファイト、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、カルボン酸金属塩、金属塵、繊維、例えばガラス繊維、プラスチック繊維、プラスチック粉末、染料、顔料等であってもよい。
【0035】
本発明による方法にしたがって製造された基礎材料は、好ましくは液体シリコーンゴムを製造するために使用する。
【0036】
これにより、架橋されたシリコーンゴムの十分に高い機械的強度を達成することができ、この場合、このシリコーンゴムは、本発明によって製造された基礎材料から製造され、本発明による方法の場合にはジオルガノポリシロキサン(A)と、疎水化によって得られる少なくとも0.5質量%の炭素含量を有する予め疎水化された酸化された補強充填剤(B)を、互いに均一に混合し、かつ混練しなければならない。
【0037】
驚くべきことに、前記の2工程プロセスによる本発明による方法からの基礎材料を用いてシリコーン組成物を製造することができ、この場合、このプロセスは第1工程がEP 0807509A1による従来公知の方法に相当し、かつ第2工程が、第1工程から得られた材料の前記攪拌装置(8)を介しての連続的後処理に相当するものであって、当該シリコーン組成物は、専らEP 0807509A1で記載された方法にしたがって製造されたシリコーン組成物に対して以下の利点を示す:
−特に高められた温度での貯蔵の際の粘度増加に対する改善された安定性、
−反応性喪失に対する改善された安定性、すなわち、貯蔵の際の架橋挙動の少ない変化、
−添加剤、例えば結合剤又は安定化剤との望ましくない反応に対する改善された安定性。
【0038】
さらにシリコーン組成物から架橋によって製造されるシリコーンエラストマーは、この場合、本発明によって製造された基礎材料を含有するものであって、加硫直後に特に金属製の加硫用金型から容易に離型することができ、かつ実用特性、例えば透明性、及び機械的性状プロフィール、例えば特に引裂き抵抗、引張強度、破断点伸び及び永久歪みの高い水準を示す。
【0039】
本発明による方法の他の利点は、300kg/hを上回る体積流が可能であることである。これは、従来技術に対する顕著に経済的利点を示す。
【0040】
好ましい実施態様において、本発明による方法は第1の工程において付加的に少なくとも1個の脱気装置、例えば脱気ドームを備えており、その中で減圧を適用する。特に好ましい実施態様においてこの減圧は硬化段階で適用する。
【0041】
本発明による方法の第2の工程において、第1の工程によって製造された材料は攪拌装置(8)中で後処理をおこない、これは入口(9)を介して供給され、この際、第1の工程により製造された材料を定められた体積流Xで攪拌装置(8)に供給し、表面(14)を連続的に交換しながら、回転する混合/混練装置の使用下で剪断力を与え、かつ出口(11)を介して体積流Yで第2の工程から搬出し、この際、このようにして得られた基礎材料は、25℃の温度及び1s−1の剪断速度の際に500.000〜12.000.000mPasの粘度を示す。
【0042】
本発明による方法の好ましい実施態様において、第2の工程における基礎材料の平均滞留時間は、第1の工程における基礎材料の平均滞留時間よりも長い。
【0043】
第2の工程中で製造された基礎材料のための滞留時間は、基礎材料によって占められる装置の容積と搬出する体積流Yとの商として定められる。これに関して滞留時間は、0.1〜15時間、好ましくは0.5〜10時間及び特に好ましくは1〜10時間である。
【0044】
第2の工程で使用された混合/混練装置(10)は、純粋な混合要素であると同様にさらに剪断要素であってもよい。一つの好ましい実施態様において、攪拌装置(8)は、混合/混練装置(10)として混合要素と同様にさらに剪断要素を含有する。装置のレイアウトによって、すなわち、基礎材料が第2の工程の攪拌装置(8)中に占める連続的操作において調整された容積及び体積流X及びYに依存して、連続的に操作される攪拌装置(8)で、異なる滞留時間に調節することができる。
【0045】
一つの好ましい実施態様において、第2の工程の攪拌装置(8)は、基礎材料が攪拌装置内部の十分な大きさのガススペース(13)と境界をなす程度に運転される。特に好ましい実施態様において、第2工程の攪拌装置(8)は、攪拌装置(8)の全容積に対して20〜90%、特に30〜80%の基礎材料が含まれる程度に運転される。
【0046】
本発明による方法の好ましい実施態様において、第2の工程中で、第1の工程により製造された材料は、第1工程と比較して少ない剪断力で攪拌する。
【0047】
本発明による方法の他の好ましい実施態様において、第1の工程により製造された材料は、第2の工程中で高められた温度で減圧処理をおこなう。この際、温度は80〜250℃、好ましくは120〜250℃及び特に好ましくは140〜230℃の範囲である。この際、圧力は1〜900mbar、好ましくは1〜300mbar及び特に好ましくは1〜100mbarである。
【0048】
本発明による方法の他の好ましい実施態様において、第2の工程における表面積−容積比は、第1の工程のものよりも大きい。
【0049】
表面積−容積比とは、本発明において、減圧(13)又はガススペースとの境界である基礎材料の表面(14)と、攪拌装置(8)中の基礎材料が占める容積(15)との比を意味する。この際、表面積−容積比は0.1〜10、好ましくは0.25〜10及び特に好ましくは0.5〜8の範囲である。
【0050】
本発明による方法の他の好ましい実施態様において、第2の工程において混合/混練装置(10)を使用し、これは、この装置は、以下のものを含む群から選択する:プラネタリ式撹拌機又ダブルプラネタリ式攪拌機、クロスアームミキサー、ヘリカルリボン式攪拌機、ディソルバーディスク、プロペラ式攪拌機、ストリッパー。この際、前記装置(10)の組合せ物を使用することもできる。特に好ましくは、第2の工程において混合/混練装置(10)を使用し、この装置は、以下のものから成る群から選択する;プラネタリ式撹拌機又はダブルプラネタリ式攪拌機、クロスアームミキサー、ディソルバーディスク、ストリッパー又はこれらの組合せ物。
【0051】
本発明による方法の他の好ましい実施態様において、第2の工程において複数個の混合/混練装置(10)を使用し、この場合、これは互いに無関係に運転する駆動装置(12)を介して操作する。この際、混合/混練装置(10)は、同方向又は逆方向に操作することができる。
【0052】
一つの好ましい実施態様において、第2の工程は加熱装置を備えており、それによって材料を250℃までの温度に上昇させることができる。これは、例えば少なくとも1個の熱ジャケットを介して実現することができ、この場合、これは、攪拌装置の外壁に取り付ける。他の可能性として、少なくとも1個の発熱体を攪拌装置の内部にしっかり固定して取り付け、この発熱体を介して基礎材料中への相当する熱入力を実施することができる。
【0053】
本発明による方法の一つの実施態様において、第2の工程の攪拌装置(8)中で、体積流Xを体積流Yに対して0.5〜1.5の範囲に調整する。
【0054】
本発明の他の好ましい実施態様において、第2工程の攪拌装置(8)中での材料の脱気を、連続的又は断続的なガス流(16)を用いて減圧下(13)中で実施し、その際、攪拌装置中に導入されるいわゆるキャリアガスは、揮発性成分の改善された除去に役立つ。特に好ましい実施態様において、不活性ガス、特に窒素をキャリアガスとして使用する。
【0055】
好ましい実施態様において、第1の工程は第2の工程と直接連結する。これは、好ましくは第1の工程において製造された基礎材料を、管系を介して、場合によっては輸送装置(17)、例えばポンプを用いて、第2の工程と直接連結する。これは、本発明による方法を用いての完全連続的な基礎材料の製造を保証する。
【0056】
本発明にしたがって使用される第2の工程は、連続的操作において、材料が常に十分な量で攪拌装置中に含まれるように制御する。これは、主として体積流X及びYの調整により実現する。付加的に、混合/混練装置(10)の回転数及び回転方向を制御することによって、剪断力導入並びに混合強度を適切に調整することができる。好ましい実施態様において、混合/混練装置(10)の回転数は、ディソルバーディスクを除き0.1〜150s−1、特に好ましくは1〜100s−1の範囲である。他の好ましい実施態様において、1個又は複数個のディソルバーディスクの回転数は、50〜1000s−1、特に好ましくは200〜600s−1である。
【0057】
第2の工程の好ましい実施態様において、混合/混練装置(10)は、材料を出口(11)に運搬するよう設置する。これによりさらに輸送装置(17)、例えばポンプ手段を用いて出口に運搬することができる。
【0058】
好ましくは第2工程の攪拌装置(8)中において、第1工程からの基礎材料のための入口(9)の他に、さらなる入口(18)が存在しており、この場合、この入口は、例えば加工助剤、他のオルガノポリシロキサン又は添加剤の供給を可能にする。
【0059】
第1及び第2の工程の可能な実施態様は、図1及び4において模式図的に示す。この図において、同要素は同数字を用いて表す。混練機カスケード(1)は、図1〜4のすべてにおいて4個の一列に並んで配置された混練室(2)を有する。これらの図は、本発明による方法のために使用することができる装置のまとまった可能な実施形態を表しているに過ぎず、この装置に何ら制限されるものではない。
【0060】
好ましくは、第1の工程の混練機カスケード(1)は、少なくとも3個の、特に少なくとも5個の混練室(2)を示す。入口(6)は混練室(2)中に直接的に案内することができるか、あるいは、2個の混練室(2)間に配置することができる。
【0061】
第1の工程の混練機カスケード(1)の好ましい実施態様において、最後の混練室は、生成物搬出を改善するためのポンプ羽根(Pumpfluegel)を有する。オルガノポリシロキサン(A)、充填剤(B)及び場合によっては基礎材料中の他の添加剤のような出発材料の供給及び混合は任意の順序でおこなう:さらに、例えば充填剤(B)の混練カスケード(1)の1個又はそれ以上の混練室(2)への供給を実施する。オルガノポリシロキサン(A)の供給は、最初の混練室(2)中と同様に、少なくとも部分的に、1個又はそれ以上の後続の混練室(2)中で実施することができ、これによって例えば材料の粘度を減少させる。すべての混練室(2)において必要な充填剤(B)を計量供給することができ、好ましくは最後の容器(2)中においては充填剤(B)を供給しない。これに関連して、必要不可欠な充填剤の全量を、例えば1個/2個/3個又は4個の最初の室(2)中にのみ供給することも可能であるが、勿論、すべてに亘っての取り分に応じた充填剤分散も同様に可能である。
【0062】
図1及び4において可能な実施態様として表された第2工程の攪拌装置(8)は、好ましくは金属製容器から成り、これは、入口(9)を有し、この入口(9)を介して第1の工程からの材料を体積流Xで供給する。混合/混練装置(10)は、場合によりさらにストリッパー(19)が補充されていてもよい。これは、駆動装置(12)、例えば電気モーター又は油圧式集成装置を用いて回転させ、かつ、例えば回転力制御装置を介して互いに無関係に調整することができる。攪拌装置(8)は、ガス入口及び出口(16)を有しており、その際、ガス入口を介して、好ましくはキャリアガスを装入し、かつガス出口において好ましくは減圧を適用する。第2の工程の出口(11)を介して、基礎材料の搬出を実施する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明による方法の一つの可能な実施態様を示す模式図
【図2】本発明による方法の一つの可能な実施態様を示す模式図
【図3】本発明による方法の一つの可能な実施態様を示す模式図
【図4】本発明による方法の一つの可能な実施態様を示す模式図
【実施例】
【0064】
以下の実施例は本発明を説明するものであるが、これに制限されるものではない。
【0065】
別記しない限り挙げられた例においては、すべての量及び百分率の記載は質量に対するものであり、かつ全ての圧力は0.10MPa(絶対圧)である。示された粘度は、20℃の温度で測定されたものである。
【0066】
すべての実施例の場合において、基礎材料(GM)は以下の構成成分を用いて製造する:
オルガノポリシロキサン(A)
25℃で測定された粘度約20.000mPasを有するビニルジメチルシロキシ−末端ポリジメチルシロキサン。
【0067】
予め疎水化された酸化補強充填剤(B)
BETにより測定された比表面積300m/g及び炭素含量3.9〜4.2質量%を有するWacker(R)HDK SKS 300熱分解法シリカ
結合剤
Wacker Chemie AG の商標GENIOSIL(R)GF80(CAS 2530-83-8)を有する3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
例1(本発明によらない例):
付加架橋性液体シリコーンゴムのための基礎材料1の連続的製造
IKA-Maschinenbau Janke &Kunkel GmbH & Co.KG, StaufenのConterna(R)混練装置は、それぞれ10lの容積を有する12個の室から成り、第1の室中で、20.000mPasの粘度を有するビニル末端基を有するポリジメチルシロキサン 150kg/h及びWacker(R) HDK SKS 300 95kg/hを計量供給した。第2室以降においてこの圧縮された材料は、50〜70UpMの回転数で、第2室〜第8室中で冷却しながら混練した。この中で、温度は約95℃に上昇させた。第9室、第10室及び第11室において、それぞれ20.000mPasの粘度を有するビニレン基を有するポリジメチルシロキサンを計量供給した。これに関する装入量は以下のとおりである:
第9室:15kg/h
第10室:16kg/h
第11室:17kg/h。
【0068】
第9室〜第11室中の混練機の回転数は約200UpMである。第12室は、生成物を、脱気容器中に運搬するポンプ羽根を備えている。混練装置中の基礎材料の滞留時間は、約28分である。脱気容器は、少量の揮発性シロキサンを廃ガス精製系に連行するために約5m/hのNで約200mbarの減圧下で洗浄する。基礎材料は、脱気容器からポンプによりストレーナユニットを介して貯蔵容器中に輸送する。これにより、258kg/hの基礎材料1を製造した。
【0069】
基礎材料1は透明であり、不均一性又は薄皮(Knoerzel)を有していなかった。
【0070】
例2(本発明によらない例):
付加架橋された液体シリコーンゴムのための基礎材料2の連続的製造
IKA-Maschinenbau Janke &Kunkel GmbH & Co.KG, Staufen のConterna(R)混練装置は、それぞれ10lの容積を有する12個の室から成り、第1の室中で、20.000mPasの粘度を有するビニル末端基を有するポリジメチルシロキサン 180kg/h及びWacker(R) HDK SKS 300 130kg/hを計量供給した。第2室以降この圧縮された材料は、50〜70UpMの回転数で、第2室〜第8室中で冷却しながら混練した。この中で、温度は約90℃に上昇させた。第9室、第10室及び第11室において、それぞれ20.000mPasの粘度を有するビニレン基を有するポリジメチルシロキサンを計量供給した。これに関する装入量は以下のとおりである:
第9室:20kg/h
第10室:22kg/h
第11室:24kg/h。
【0071】
第9室〜第11室中の混練機の回転数は約200UpMである。第12室は、生成物を、脱気容器中に運搬するポンプ羽根を備えている。脱気容器は、少量の揮発性シロキサンを廃ガス精製系に連行するために約5m/hのNで約200mbarの減圧下で洗浄する。基礎材料は、脱気容器からポンプによりストレーナユニットを介して貯蔵容器中に輸送する。これにより、376kg/hの基礎材料2を製造した。
【0072】
基礎材料2は透明であるがすでにわずかな不均一性(もや(Schleier))を示し、しかしながら薄皮は有していなかった。
【0073】
例3(本発明による例):
付加架橋された液体シリコーンゴムのための基礎材料3の連続的製造
IKA-Maschinenbau Janke &Kunkel GmbH & Co.KG, Staufen のConterna(R)混練装置は、それぞれ10lの容積を有する12個の室から成り、第1の室中で、20.000mPasの粘度を有するビニル末端基を有するポリジメチルシロキサン 180kg/h及びWacker(R) HDK SKS 300 130kg/hを計量供給した。第2室以降この圧縮された材料は、50〜70UpMの回転数で、第2室〜第8室中で冷却しながら混練した。この中で、温度は約90℃に上昇させた。第9室、第10室及び第11室において、それぞれ20.000mPasの粘度を有するビニレン基を有するポリジメチルシロキサンを計量供給した。これに関する装入量は以下のとおりである:
第9室:20kg/h
第10室:22kg/h
第11室:24kg/h。
【0074】
第9室〜第11室中の混練機の回転数は約200UpMである。第12室は、管系を介して後続の攪拌装置に運搬するためのポンプ羽根を備えている。
【0075】
攪拌装置は本発明による方法の第2の工程に相当し、かつ、図1による攪拌装置(8)の模式図に類似して構成する。この際、攪拌装置(8)は連続的操作中において、約60%まで基礎材料で充填する。攪拌装置(8)の容積は1,00mである。混練装置中の材料の滞留時間は約19分である。攪拌装置(8)中の材料の滞留時間は約96分である。攪拌装置(8)は、複数個のクロスアームミキサー(10)及び複数個のストリッパー(19)を備えている。このストリッパー(19)は、攪拌装置(8)内壁の付着した材料を剥離するのに役立つ。この装置の回転数は10U/分である。この材料は、攪拌装置(8)の外壁に取り付けられた加熱ジャケットを用いて、約150℃の温度に加熱する。少量の揮発性シロキサンの除去のために、攪拌装置(8)を約1m/h Nで、約70mbarの減圧下で洗浄する。引き続いてこの基礎材料を、攪拌装置(8)からポンプ(17)によりストレーナユニットを介して貯蔵容器中に輸送する。
【0076】
これによって376kg/hの基礎材料3を製造した。
【0077】
基礎材料3は透明であり、かつ不均一性又は薄皮のいずれも有するものではなかった。
【0078】
例1〜3により製造された基礎材料の粘度は、製造後直ぐの時点で1.000〜1.500Pasの範囲であった。
【0079】
安定性試験:
本発明による基礎材料及び本発明によらない基礎材料から製造された液体シリコーンゴムの試験のために、技術水準に基づき以下の方法で、2個の成分A及びBを製造する:
A−成分の製造:
基礎材料345.8gを、ビニル基含量2.5mmol/g及び350mm/sの粘度を有するメチルビニルシロキシ基含有ジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン3.5g及びPt−含量1質量%を有する触媒溶液0.7g、この場合、この触媒溶液は白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン−錯体をシリコーンポリマー中に含有するものである、と一緒に混合する。
【0080】
B−成分の製造:
基礎材料90gを、1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.1g、20.000mPasの粘度を有するビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン5.5g、ジメチルシロキシ−及びメチル水素シロキシ−単位(モル比2:1)から成る混合ポリマー3.3g、この場合、このポリマーはトリメチルシロキシ末端を有し、100mPasの粘度及び0.5%のSi−H含量を有するものである、と一緒に混合する。
【0081】
貯蔵後の粘度増加に対する安定性を試験するために、28日間に亘ってB−成分の粘度を増加した温度下で観察する。これは、液体シリコーンゴムの貯蔵安定性を評価するための当業者に公知の方法である。
【0082】
第1表において、レオメーターでD=0.89−1の剪断速度で測定した粘度[mPas]、この場合、これは例1〜3からの基礎材料を含有する液体シリコーンゴムのB−成分のものである、を示す。これは、混合物の製造直後(出発粘度)と50℃の温度でそれぞれの成分を貯蔵した後2週間及び4週間において粘度を測定したものである。
【0083】
【表1】

【0084】
貯蔵の際の根本的に好ましくない粘度増加は、本発明による方法によって製造された例3からの基礎材料3を含有する液体シリコーンゴムのB−成分に関しては、例1からの基礎材料1を含有するB−成分と比較して顕著に高い装入量であるにもかかわらず、最も少ない。このことから、本発明による方法にしたがって製造された基礎材料が、液体シリコーンゴム中で顕著に改善された貯蔵安定性を示すことが簡単に導かれる。これとは対照的に、例2からの基礎材料2を含有する液体シリコーンゴムのB成分は、例3から製造された基礎材料3に匹敵する装入量であるが、極めて大きい粘度増加を示す。これはかなり短い貯蔵時間後にすでに射出成形工程の際の重大な問題を招く。この結果は、本発明によって製造された基礎材料が、本発明によって製造された基礎材料をベースとする液体シリコーンゴムの射出成形の際の問題を考慮することなく、300kg/hを顕著に上回る装入量で製造することができることを明らかに示すものである。
【0085】
機械的性質の測定のために、付加架橋性液体シリコーンゴム配合物(LSR)の成分A及びBは比1:1で、羽根付き攪拌機(Fluegelruehrers)の使用下で互いに均一に混合し、引き続いて熱プレス中で165℃の温度で5分に亘って弾性の状態に変化させた(加硫化)。
【0086】
第2表に示された付加架橋性液体シリコーンエラストマーの機械的加硫性状の値は、この場合、これらエラストマーが本発明による基礎材料3及び本発明によらない基礎材料1から製造されたものであって、双方が、極めて均整のとれた機械的性状プロフィールを示した。
【0087】
【表2】

【0088】
SiH分解に対する安定性の試験は、異なるB−成分の前記に挙げられた貯蔵の際におけるSiH含量を、H−NMRを用いて、示された期間に亘って評価する方法で実施し、この場合、これは、一定の時間間隔での測定を実施することを意味する。
【0089】
これによって本発明による基礎材料3から製造されたB−成分のSiH含量が、最も少ないSiH分解を示すことを証明することができる。
【0090】
添加剤分解に対する安定性の試験は、B−成分中に結合剤系を含有する自己接着性液体シリコーンゴム配合物の例において実施する。
【0091】
自己接着性液体シリコーンゴムの製造:
0.1gの1−エチニル−1−シクロヘキサノール、20.000mPasの粘度(25℃)を有する5gのビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、メチル水素シロキシ−及びジメチルシロキシ単位からモル比1:2で成る2.4gの混合ポリマー、この場合、このポリマーは、トリメチルシロキシ−末端基及び100mPasの粘度並びにSi−H含量0.5%を有するものであり、1.2gのペンタメチルシクロペンタシロキサン、1.5gの3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを混合する。
【0092】
B−成分を基礎材料1〜3を用いて製造し、かつ25℃の温度での貯蔵後の粘度増加を3ヶ月の期間に観察する。付加的に、3ヶ月の期間に亘って結合剤含量を、赤外線分光法により定量する。
【0093】
本発明による基礎材料3を含有するB−成分を除いて、3ヶ月後に、3.000.000mPasを上回るB−成分の粘度増加を証明することができる。これは、射出成形の加工の際に、顕著な供給困難性あるいは加工上の問題を招く。
【0094】
IR−分光法によるB−成分の結合剤含量の測定の際に、基礎材料1及び2を含有するB−成分は、結合剤の顕著な分解を示すことを証明することができる。これとは対照的に、本発明による基礎材料3を含有するB−成分の場合には、わずかな結合剤分解のみを証明することができる。
【符号の説明】
【0095】
1 混練機カスケード、 2 混練室、 3 混練機、 4 軸、 5 開口部、 6 入口、 7 出口、 8 攪拌装置、 9 入口、 10 混合/混練装置、 11 出口、 12 駆動装置、 13 ガススペース(減圧下)、 14 表面、 15 基礎材料が占める容積、 16 ガス入口及び出口、 17 輸送装置、 18 入口、 19 ストリッパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
25℃及び1S−1の剪断速度で測定された500.000〜12.000.000mPasの粘度を有する基礎材料の製造方法において、
一般式I(I)
【化1】

[式中、Rは、ヒドロキシル基又は1価の、場合によってはハロゲン置換され、場合によってはO−、N−、S−又はP−原子を含有する1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基を意味し、この場合、この炭化水素基は脂肪族不飽和基ではなく、
は、一価の、脂肪族不飽和の、場合によってはハロゲン置換され、場合によってはO−、N−、S−又はP−原子を含有する2〜10個の炭素原子を有する炭化水素基を意味し、
bは0.0001〜2の値を意味するが、但し、1.5<(a+b)≦3.0であり、かつ1分子当たり平均少なくとも2個の脂肪族不飽和基Rを含有し、かつ、25℃で測定されたジオルガノポリシロキサン(A)の粘度は1〜40.000.000mPasである]の少なくとも1種のジオルガノポリシロキサン(A)を、
疎水化によって得られた少なくとも0.5質量%の炭素含量を有する、少なくとも1種の予め疎水化された酸化補強充填剤(b)と、
第1の工程において、少なくとも2個の一列に並んで配置された混練室(2)を備えた混練機カスケード(1)中で、互いに均一に混合し、かつ混練し、
この場合、前記混練室(2)はそれぞれ2個の軸平行な同方向又は逆方向に運転する混練機(3)を含み、かつこれは、混練機(3)の軸を横断して通過可能な開口部(5)で互いに連結しており、その際、少なくとも最初の混練室は入口(6)を有し、かつ最後の混練室は出口(7)を有しており、
かつ、このようにして得られた材料について、後続の第2の工程で、攪拌装置(8)中で後処理を行い、この攪拌装置(8)は入口(9)を有しており、これを介して第1の工程により製造された材料を、定められた体積流Xで攪拌装置(8)に供給し、表面(14)を連続的に更新しながら、回転する混合/混練装置(10)並びに場合によるストリッパー(19)の使用下で剪断力を与え、かつ脱気し、かつ出口(11)を介して体積流Yで第2工程から搬出することを特徴とする、25℃及び1S−1の剪断速度で測定された500.000〜12.000.000mPasの粘度を有する基礎材料の製造方法。
【請求項2】
第2工程における基礎材料の平均滞留時間が、第1工程における基礎材料の平均滞留時間よりも長い、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第2工程で、第1工程により製造された材料を、第1工程中よりも少ない剪断力で攪拌をおこなう、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
第2の工程における表面−容積比が、第1の工程における表面−容積比よりも大きい、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
第2工程で、第1工程により製造された材料を、高められた温度で減圧処理をおこなう、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−144174(P2010−144174A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287594(P2009−287594)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】