説明

改善された抗生物活性を有するグリコペプチド組成物

改善された抗生物活性を有するグリコペプチド組成物ならびにそのような組成物の製造方法およびそれから作られる医薬組成物を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された抗生物活性(antibiotic activity)を有するグリコペプチド組成物、医薬としてのそれの使用、および改善された抗生物活性を有するグリコペプチド組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グリコペプチド抗生物質は、それらの化学構造を基に4グループ:
グループI(またはバンコマイシン型)は、1および3位に脂肪族アミノ酸を有する;
グループII(またはアボパルシン型)は、1および3位に芳香族アミノ酸残基を有する;
グループIII(またはリストセチン型)は、1および3位に芳香族アミノ酸が結合したエーテル結合以外はグループIIに類似している;および
グループIV(またはテイコプラニン型)は、グループIIIと同じアミノ酸配列に加えて、そのアミノ糖に結合した脂肪酸残基を有している;
に分類され得る。
(Yao, R. C.およびCrandall, L. W. , Glycopeptides, Classification, Occurrence, and Discovery in Glycopeptide antibiotics, ed. Nagarajan, R. , Marcel Dekker, Inc. , N. Y, N. Y. , 1章, 1-27頁 (1994))。
【0003】
テイコプラニンは、Actinoplanes teicomyceticusによって産生されるグリコペプチド抗生物質であり、細菌の細胞壁合成を阻害する、微生物起源の新規分子の発見を目的とした化学的研究計画中に発見された。(Goldstein,B. ら, Teicoplanin in Glycopeptide Antibiotics, ed. Nagarajan, R., Marcel Dekker, Inc. , N. Y, N. Y. , 8章, 273-307頁 (1994))。それは、1978年に初めて記載され、10年後にイタリアで臨床試験が行われた。(Parenti, F. ら, J. Chemotherapy, 12巻, 5-14頁, (2000))。
テイコプラニンは、バンコマイシンと多くの化学的および微生物学的性質を共有するが、テイコプラニンは、多くのグラム陽性細菌に対してより高い活性を有し、腎毒性がより低い。(Parent supra ; Janknegt, R. , (1991), Teicoplanin in Perspective, Pharmaceutisch Weekblad Scientific Edition, 13: 153-160)。
【0004】
テイコプラニンの分子構造は、図1に示される。全てのグリコペプチド抗生物質のように、テイコプラニンは線状のヘプタペプチド核を有し、その中の7つのアミノ酸の5つは、そのグループの全てのメンバーに共通である。残りの2つ(1および3位)は、エーテル結合で互いに結合する。(Yao, supra)。3つの糖部分、すなわち、D-マンノース、N-アセチル-D-グルコサミンおよびN-アシル-D-グルコサミンは、それぞれ、7、6および4のアミノ酸のアリール基に結合している。これらの糖は、インビトロで生物活性を有しないが、異なる薬物動態的性質を与えることが分かっている。(Reynolds P. E., Eur. J. Clin. Microbiol. Infect. Dis. , 8巻, 11号, 943-950頁, (1989))。
【0005】
テイコプラニンは、アシル部分 (C10およびC11脂肪酸)の性質においてのみ異なるテイコプラニンA2-1 (TA2-1)〜テイコプラニンA2-5 (TA2-5)で示される、密接に関連した5つの分子;RS-1〜RS-4; N-アシル-D-グルコサミン残基を欠く、より極性な成分テイコプラニンA3-1 (TA3-1)およびD-マンノース基も欠くテイコプラニンTA3-2を含む、異なる成分からなる。糖残基の水素での置換は、テイコプラニンA3成分として見なされる核アグリコンを生じる。異なる成分の分子構造は、ここの図2に示される。
【0006】
Coronelliらによる米国特許第4,239,751号は、異なるテイコプラニン成分の単離を記載している。TA3がTA2より低い抗生物活性を有することが、そこの表IVにも示される。
【0007】
Panzoneらによる米国特許第4,994,555は、醗酵ブロスの水溶液からのテイコプラニンの回収を記載している。Panzoneらは、さらに、「生物学的適用に使用されるように、テイコプラニンは、本質的に、少量のA3 (T-A3)要素を伴うA2 (T-A2)要素からなる。」(第2欄、51〜53行)と記載している。
【0008】
Farmaco, Edizione Scientifica (1987), 42 (10), 767-86における、Coronelliら:"Teicoplanin : Chemical,Physico-chemical and Biological Aspects"は、典型的なテイコプラニン製造バッチは、12%のTA3-1および約10%の水しか含まないことを述べている。
【0009】
Malabarbaら:"Teicoplanin, Antibiotics from Actinoplanes Teichomyceticus nov.sp, Journal of Antibiotics 1984 Japan, 37巻, 9号,1984, 988-999は、テイコプラニンから出発し、74%のTA3-1および16%のTA3-2 (HPLC)を含む粗物質(中間組成物)を製造したことを述べている。
【発明の開示】
【0010】
発明の概要
第1の観点において、
A:グリコシル化された形態のグリコペプチド抗生物質;および
B:1以上のグリコシル単位を欠いているグリコペプチド抗生物質の部分
を含み、AとBに関して(A resp. B)、すなわちB/(A+B) (w/w)として計算されたBの含量が、グリコペプチドおよび脱グリコシル化されたグリコペプチドの全量に対して約16%〜約73%(w/w)である、医薬組成物のようなグリコペプチド抗生物質組成物を提供することである。
【0011】
Aは、グリコペプチド グループI(バンコマイシン型);グリコペプチド グループII(アボパルシン型);グリコペプチド グループIII(リストセチン型);およびグリコペプチド グループIV(テイコプラニン型);これらいずれかの誘導体;ならびにそれらの組合せからなる群から選択され得る;そして、Bは、グリコペプチド グループI(バンコマイシン型);グリコペプチド グループII(アボパルシン型);グリコペプチド グループIII(リストセチン型);グリコペプチド グループIV(テイコプラニン型);これらいずれかの誘導体;およびそれらの組合せからなる群から選択されるグリコペプチドの脱グリコシル化された部分(例えば、非常に容易に加水分解できるグリコシル基が欠落している部分のような)である。グループIおよびIVのグリコペプチドが特に興味がある。現在、最も興味があるグリコペプチドは、テイコプラニンおよびバンコマイシンである。
【0012】
ある1つの態様において、本発明は、約18%〜約70%の範囲のBを含むグリコペプチド抗生物質組成物に関するが、その範囲は、約20%〜約60%、約21%〜約55%、約22%から約55%、約25%〜約50%、および約21%〜約70%の範囲の中から選択もされ得る。
【0013】
本発明は、テイコプラニン成分またはそれらの塩を含むテイコプラニン組成物も提供し、ここで、その組成物は、HPLC分析で測定して、約16%〜約73%の% (mgTA3)/(mg TA3 + mg TA2)を含む。さらなる態様において、テイコプラニン成分またはそれらの塩を含むテイコプラニン組成物を提供することであり、ここで、その組成物は、HPLC分析で測定して、約21%〜約60%の% (mgTA3)/(mg TA3 + mg TA2)を含む。その他の興味ある範囲は、17%〜70%、18%〜65%、19%〜75%、20%〜75%、22%〜60%、23%〜55%、21%〜70%、25%〜60%、25%〜50%であり、全ての値は「約」として理解される。
【0014】
さらにもう1つの観点において、本発明は、
a) TA2を含む組成物を加水分解することを含む方法:
b) TA2を含む組成物を酸または酵素で処理することにより、TA2を含む組成物を加水分解することを含む方法:
c) 加水分解が、テイコプラニン成分TA2およびTA3を分離しないで、醗酵から得られる粗テイコプラニン組成物に対して行われる、TA2を含む組成物を加水分解することを含む方法:および
d) 加水分解が、テイコプラニン成分TA2およびTA3を分離しないで、醗酵から得られる粗テイコプラニン組成物に対して行われる、TA2を含む組成物を酸または酵素で処理することにより、TA2を含む組成物を加水分解すること含む方法;
からなる群から選択される方法によって得られる、TA2およびTA3を含むテイコプラニン組成物を提供する。
【0015】
このテイコプラニン組成物は、
a) TA3/(TA2+TA3) (w/w)の比が73%未満;そして
b) TA3/(TA2+TA3) (w/w)の比が16%より低くない
ことにより特徴付けられる。興味のある態様において、TA3の重量は、TA3-1の重量として計算され、TA2の重量は成分TA2-1、TA2-2、TA2-3、TA2-4およびTA2-5の総重量として計算され、そしてもう1つの態様において、a)は約70%未満であり、かつb)は約18%より低くない。
【0016】
さらなる態様において、本発明は、
A: グリコシル化された形態にある、バンコマイシン抗生物質、またはその誘導体;および
B: バンコマイシンアグリコンまたはバンコサミンが欠落しているバンコマイシンのようなペプチド骨格上に1つまたは2つのグリコシル単位が欠落している、バンコマイシン抗生物質、またはその誘導体;を含み、
Bの含量が、すなわちB/(A+B) (w/w)のように計算して、バンコマイシンおよび脱グリコシル化バンコマイシンの総量の約10%〜約90% (w/w)である、
バンコマイシン組成物を提供する。その他の態様において、Bの含量は、約13%〜約80% (w/w);約15%〜約70%;約20%〜約60%、および約25%〜約55%の範囲から選択される。
【0017】
さらにもう1つの態様において、本発明は、本発明のグリコペプチド組成物、テイコプラニン組成物またはバンコマイシン組成物の医薬的に許容される量;および医薬的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。
【0018】
もう1つの態様において、本発明は、患者に、本発明のグリコペプチド組成物、テイコプラニン組成物またはバンコマイシン組成物を投与することを含む、微生物感染症の患者を治療する方法に関する。
さらにもう1つの態様において、改善された抗生物活性を有するテイコプラニン組成物の製造方法は、
(i) HPLC分析で測定して、約5%〜約60%の異なる% (mgTA3)/(mg TA3 + TA2)を含む、2つ以上のテイコプラニン組成物を作ること;
(ii) 組成物の抗生物活性を分析すること;
(iii) TA2とTA3との相乗効果があり、所望の改善された抗生物活性を有する組成物を特定すること
を含む。
【0019】
ある1つの態様において、TA2およびTA3を含むテイコプラニン組成物を製造する方法は、TA2を含む組成物を加水分解することを含む。
【0020】
図面の簡単な説明
図1は、テイコプラニン複合体の分子構造を示す。
図2は、異なるテイコプラニン成分の分子構造を示す。
図3は、TA3-1中に混合することにより、タゴシッド (TARGOCID)より高い抗生物活性を有するテイコプラニンを作ることが可能であったことを示すデータのグラフである。
図4は、3つのテイコプラニン組成物のHPLC線図を示す。
図5は、組成物の効力におけるテイコプラニンA3-1によるテイコプラニンA2の強化作用を示すデータのグラフである。
図6は、組成物のMICにおける、テイコプラニンA3-1によるテイコプラニンA2の強化作用を示すデータのグラフである。
【0021】
発明の詳細な説明
テイコプラニン組成物の増大された抗生物活性の明確な相乗効果が、組成物におけるTA2およびTA3の量の適当な比を用いることにより得られることは、予測できなかった発見であった。比較的純粋なTA3は、TA2より低い抗生物活性を有することが、当該技術において知られている。当該技術における教示とは反対に、組成物中のTA2およびTA3の相乗効果により、%(mgTA3)/(mg TA3 +TA2)のあるウインドウ(window)内で、改善された抗生物活性を有するテイコプラニン組成物を作ることができることを見出した。
【0022】
増加されたTA3:TA2比を得るために、TA3の量を増加して加えることにより、抗生物活性を大いに改善できる。理論で縛られることを望まないが、この相乗効果は、共通の作用、すなわち、細菌の細胞壁のペプチドグリカン合成における後期を阻害する形態を共有するグリコペプチド抗生物質のグループに共通である(Reynolds in Eur. J. Clin. Microbiol. Infect. Dis. 11月 1989, 943-950頁を参照)。
【0023】
本発明を記載する文脈において(特に、以下の特許請求の範囲の文脈において)、「1つ(a)」および「1つ(an)」および「その(the)」の語ならびに同じような対象物の使用は、もし、別にここで示されないか、または文脈により明らかに矛盾しなければ、単数形および複数形の両方を含むと解釈されるべきである。「なる(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」および「包含する(containing)」の語は、別の指摘がなければ、開放的な語(すなわち、「含むが、限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。ここで値の範囲の列挙は、ここに別の指摘がなければ、範囲内に含まれる各独立の値を個々に言及する速記方法としての機能を果たすことを単に意図しており、それが、ここで個々に列挙されるように、各独立の値が明細書中に組み込まれていることを意図する。ここに記載される全ての方法は、もし、別にここで示されないか、または別に文脈で明らかに矛盾しなければ、適当な任意の順序で行うことができる。ここに示される例のいずれか、および全ての例、または例示的な言葉(例えば、「のような(such as)」)は、もし別にクレームされてなければ、本発明を単によりよく説明するためであって、本発明の範囲に限定を与えるものではない。明細書中にない言葉は、本発明の実施に欠かせない非クレームの構成要素として解釈されるべきである。
【0024】
TA2の語は、テイコプラニンA2に対する標準的な短縮名である。ここで、この語は、テイコプラニンA2-1 (TA2-1)〜テイコプラニンA2-5 (TA2-5)を表す5つの密接に関連した分子およびRS-1〜RS-4のような、3つの炭水化物を有するテイコプラニンを含む。TA2の語は、置換基Rにおいて変更がなされた誘導体のような、その誘導体をも含む (図1を参照)。Rにおける例は、先行技術に示され、当業者に公知である。異なるTA2成分の分子構造における例は、ここの図1および2に示される。特に、ここで、TA2の語は、その組成物中に、テイコプラニンA2-1 (TA2-1)〜テイコプラニンA2-5 (TA2-5)およびRS-1〜RS-4からなる群から選択されるテイコプラニン成分、または最も主なテイコプラニン(3つの炭水化物部分を有する)の2、3、4、5、6、7またはそれより多くの合計のように3つの炭水化物部分を有する2以上のテイコプラニンの合計を表す。より好ましくは、TA2の語は、ここで、テイコプラニン成分TA2-2のみ、またはそれらの合計、すなわちテイコプラニンA2群 (A2-1+A2-2+A2-3+A2-4+A2-5)のようにテイコプラニンA2-1 (TA2-1)〜テイコプラニンA2-5 (TA2-5)からなる群から選択されるテイコプラニン成分を表す。より具体的には、TA2はA2-1+A2-2+A2-3+A2-4+A2-5の合計を表す。
【0025】
TA3の語は、テイコプラニンA3に対する標準の短縮名である。ここで、この語は、2つ(例えば、TA3-1)、1つ(例えば、TA3-2)または無炭水化物部分(例えば、テイコプラニンアグリコン)、個々または組合せ(例えば、2つ以下の炭水化物部分を有する全てのテイコプラニンの総計またはTA3-1およびTA3-2の合計)のどちらかを有するテイコプラニン成分を含む。具体的には、TA3の語は、テイコプラニン成分TA3-1のみを表す。TA3-1およびTA3-2の分子構造は、ここの図1および2に示される。
【0026】
組成物中のTA3およびTA2(または、その他のグリコペプチド、それらの誘導体およびそれらの脱グリコシル化された部分)の具体的な量は、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析のような公知の分析方法による、あらゆる好適な方法により測定され得る。簡単に、そのようなHPLC分析は、次の工程:(i)組成物の指定量の適当な試料溶液を有すること、(ii)適当な標準的稼動条件により、試料溶液の適当な量を用いてHPLC試験を行い、適当な自動積分法によりTA2のピーク面積およびTA3のピーク面積を測定することを含む。適当なHPLC分析のプロトコルは、ここの実施例1に示される。
【0027】
ここで使用されるように、「テイコプラニン組成物」のような「グリコペプチド組成物」は、塩の形態、溶媒和物(水和物を含む)および誘導体のあらゆるものを包含する。誘導体は、テイコプラニン成分の遊離のヒドロキシまたはフェノール基のいくつかもしくは全てのエステルおよび/またはエーテルを含む。その他の誘導体は、糖部分のアルキル化された、アシル化された、またはアセチル化されたアミノ基を含み得る。そのような塩の形態、誘導体等の詳細な記載はここに示される。
【0028】
前記のように、%(mgTA3)/(mg TA3 +TA2)のあるウインドウ内で、組成物中のTA2およびTA3の明確な相乗効果により、改善された抗生物活性を有するテイコプラニン組成物を作ることができること見出した。図3は、テイコプラニン組成物の抗生物活性における改善の例を示す。市販のテイコプラニン製品のタゴシッド(TARGOCID)が参考組成物として用いられた。タゴシッドの当該技術で公知の標準HPLC分析を基に、タゴシッドは約6.5%の%(mgTA3-1)/(mg TA3-1 + TA2)を有すると決定された。(タゴシッドは、アベンティス ファーマ(Aventis Pharma)からの市販のテイコプラニン製品であり、6.5%の決定された比は、テイコプラニンに対する日本薬局方の単行書(Official Japanese Monograph)(日本の厚生省(JP Ministry of Health))に適合し、単行書に開示されたように計算して、テイコプラニン組成物は、80.0%未満でA2成分(A2-1〜A2-5)を、15.0%より多くA3成分(A3-1)をそして5.0%より多く「その他もの」を含んではならないとそれは明言している)。図3のデータは、種々の組成物にTA3-1を添加することにより、タゴシッドより高い抗生物活性を有するテイコプラニン組成物を作ることが可能であったことを示している。図示のように、グラフは市販品のタゴシッドに対する点を含む。さらに、グラフは、相乗効果を示すためにTA3-1の量が量を変えて添加された2つのテイコプラニン物質のグラフを含む。TA2-2のグラフは、純粋なTA2-2にTA3-1の添加を示す。再び、明らかな相乗効果を生じる。より具体的には、約6.75%〜約60%の%(mgTA3)/(mg TA3 + TA2)の範囲内で、試験された組成物は、明らかにタゴシッドより高い抗生物活性を有した。
【0029】
テイコプラニン組成物は、HPLC分析で測定して、TA3およびTA2の総量を基にしてTA3を、約18重量%〜約40重量%含み得る。ある1つの態様において、テイコプラニン組成物は、HPLC分析で測定して、約20%〜約40%の範囲の%(ミリグラム(mg)TA3)/(mg TA3 + TA2)を含み、より具体的には、テイコプラニン組成物は、HPLC分析で測定して、約23%〜約40%の範囲の%(mg TA3)/(mg TA3 + TA2)を含み、なおより具体的には、テイコプラニン組成物は、約24%〜約40%の範囲の%(mg TA3)/(mg TA3 + TA2)を含み、なお一層具体的には、約25%〜約40%の範囲の%(mg TA3)/(mg TA3 + TA2)を含む。組成物中の脱グリコシル化されたグリコペプチドの割合に適用可能な範囲のその他の例は、ここに定義されるように、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%;約28%;約29%;約30%;約31%;約32%;約33%;約34%;約35%;約45%;約50%;約55%、約60%、約65%、約70%、または約80%から選択される値を有し、ここに記載された値は、範囲を形成するために自由に組合わせることができる。
【0030】
テイコプラニン組成物は、組成物の乾燥体のグラム(g)当たり、活性なTA2およびTA3成分の乾燥体を約600 mgより多く、具体的には、活性なTA2およびTA3成分の乾燥体を約700 mgより多く、より具体的には、活性なTA2およびTA3成分の乾燥体を約800 mgより多く含むことができる。
【0031】
テイコプラニン組成物の製造は、いわゆるバルク製品としてテイコプラニン組成物を供給するために、比較的大量で行われ得る。そのようなバルク製品は、いくつかの個々のテイコプラニン医薬組成物を作るために用いることができる。したがって、テイコプラニン組成物は、その組成物の全重量を少なくとも約100 g、より具体的には、少なくとも約500 gの状態にすることができる。個々の医薬組成物は、約1 mg〜約100 mgのテイコプラニン含量にすることができる。
【0032】
上記のように、市販のテイコプラニン医薬組成物のタゴシッドは、ここに記載された実施例で参考として用いられた。TA2およびTA3の特定された相乗効果を基に、本発明者は、HPLC分析で測定して、6.5%の%(mg TA3-1)/(mg TA3-1 + TA2)を有すると決定されたタゴシッドより優れた抗生物活性を有する組成物をごく普通に製造することができた。
【0033】
したがって、ある1つの態様において、ここに記載されたテイコプラニン組成物は、6.5%の%(mg TA3)/(mg TA3 + TA2)を有する対応のテイコプラニン組成物より高い抗生物活性を有する。ここで、抗生物活性は、試験菌株としてスタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus) ATCC 6538を用いる微生物寒天拡散アッセイで測定され、その測定された潜在的効力(potential potency) (TA2 + TA3のmg当たりのIU/組成物g)が、抗生物活性を計算するために用いられる。
【0034】
潜在的効力(TA2 + TA3のmg当たりのIU)単位の背景にある理論は、ここの表3を見ることにより示され得る。ここで、(IU/組成物mg)のような抗生物効力(potency)が、組成物に対して測定されることが見られる。組成物のTA2およびTA3の量も分かるので、表3に示されるような潜在的効力(TA2 + TA3のmg当たりのIU)を計算することはできる。
【0035】
ここに記載されたようにテイコプラニン組成物の潜在的効力は、6.5%の%(mg TA3)/(mg TA3 + TA2)を有する対応のテイコプラニン組成物より少なくとも約5 IU高くでき、具体的には、それは6.5%の%(mg TA3)/(mg TA3 + TA2)を有する対応のテイコプラニン組成物より、少なくとも約30 IU高く、より具体的には、それは6.5%の%(mg TA3)/(mg TA3 + TA2)を有する対応のテイコプラニン組成物より、少なくとも約50 IU高く、なおより具体的には、それは6.5%の%(mg TA3)/(mg TA3 + TA2)を有する対応のテイコプラニン組成物より、少なくとも約100 IU高く、なお一層具体的には、それは6.5%の%(mg TA3)/(mg TA3 + TA2)を有する対応のテイコプラニン組成物より、少なくとも約150 IU高い。ある状況下では、1000 IUのより高い活性を越えて得ることは困難であり得る。
【0036】
「6.5%の%(mg TA3)/(mg TA3 + TA2)を有する対応のテイコプラニン組成物」の語は、そのよりよい抗生物活性に関して評価されるテイコプラニン組成物として、それは、特定のTA2+TA3量のほかに、同じ成分、同じ塩等を含むべきであるという意味の標準の参考組成物として理解されるべきである。
【0037】
テイコプラニン成分のようなグリコペプチド、脱グリコシル化されたグリコペプチドおよびそれらの誘導体のいくつかおよび全ては、医薬的に許容される塩のような塩、およびエステルおよびエーテルのような誘導体、ならびにその他の化学的等価体に変換され、それらは、ここに記載されるように、本発明により、テイコプラニン組成物のようなグリコペプチド組成物の中に全て包含される。塩および誘導体は、当業者に公知の標準的な方法により製造され得る。例えば、ナトリウムおよびカリウム塩のような塩は、テイコプラニン成分のようなグリコペプチド、脱グリコシル化されたグリコペプチドおよびそれらの誘導体を適当なナトリウムまたはカリウム塩基と反応させて製造され得る。
医薬的に許容される塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩等の金属塩;またはカルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩を含む。
【0038】
エステルおよびエーテルは、例えば、Advanced Organic Synthesis, 第4版, J. March, John Wiley & Sons, 388-389頁, 395-396頁 (1992)の文献に示された方法により製造され得る。適当なエステルおよびエーテルは、C1-C12の直鎖または分枝鎖のアルキル、C3-C12シクロアルキル、および/またはC6-C36アリールを含む。ここで使用される「アリール」は、例えば、フェニル(C6H5)またはナフチル(C10H7)のような、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン等の環構造の特徴を有する化合物を意味する。アルキルまたはアリール基は、無置換であるか、またはヒドロキシ、C6-C36アリール、C3-C6シクロアルキル、C1-C12アルキル、ハロゲン(すなわち、F、Cl、Br、I)、C1-C12アルコキシ、C1-C12アルキルチオ、C1-C12パーフルオロアルキル、C6-C36パーフルオロアリール、ピリジル、シアノ、ニトロ、アミノ、C1-C12アルキルアミノ、C1-C12アミノアルキル、アシル、アミド、および/またはカルバモイルで置換されていてもよい。
【0039】
糖部分のアミノ基は、当業者に公知の標準的な方法により、アルキル化、例えば酸クロライドでアシル化またはアセチル化される。適当なアルキルおよびアシル基は、エステルおよびエーテルに対しての前記のそれらの基を含む。
【0040】
化学的等価体は、テトラミン酸誘導体にとって典型的である、例えば、La3+、Sm3+、Eu3+、GD3+のような遷移金属のような金属イオンとの安定な錯体であり、それらは、文献(K. Tanakaら, Chem. Pharm. Bull., 27巻, 1901 (1979); K. Matsuo, Chem. Pharm. Bull., 28巻, 2492, (1980))に示された方法により製造され得る。
【0041】
アルキル側鎖(R)の二重結合は、例えば、P. N. Rylander, "Hydrogenation Methods", Academic Press, New York 2章, (1985)の文献に示された方法により還元されるか、または"Modern Synthetic Reactions", W. A. Benjymin, Inc., New York, 446-452頁, (1972)にH. O. Houseにより記載された方法によりハロゲン化水素化(hydrohalogenated)され得る。ヒドロキシ化された誘導体は、例えば、Chem. Rev. 80巻, 187 (1980)の文献に記載されたようにOsO4のような試剤と二重結合の反応により製造され得る。
【0042】
誘導体は、例えばAdvanced Organic Synthesis, 4版, J. March, John Wiley & Sons, 826頁 (1992)に記載されたように、MCPBAを用いた酸化による二重結合のエポキシドへの変換によっても形成され得る。
【0043】
テイコプラニン組成物のようなグリコペプチド組成物は、任意に医薬的に許容される担体を含んでいてもよい、医薬組成物として製造され得る。ここで使用される「医薬的に許容される担体」によって、1以上の共存できる固形または液状の充填希釈剤、またはカプセル化物質が意味される。ここで使用される「共存できる」によって、組成物の成分が、通常の使用状況下で、組成物全体の医薬的有効性を実質的に減少するように作用することなく混じり合うことができることが意味される。
【0044】
医薬的な担体として役立ち得る物質のいくつかの例は、例えば、塩;乳糖、グルコースおよびショ糖のような糖;トウモロコシ澱粉および馬鈴薯澱粉のような澱粉;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースのようなセルロースおよびその誘導体;粉状トラガカント;モルト;ゼラチン;タルク;ステアリン酸;ステアリン酸マグネシウム;硫酸カルシウム;ピーナツ油、綿実油、胡麻油、オリーブ油、トウモロコシ油およびカカオ脂のような植物油脂;プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコールのようなポリオール;寒天;アルギン酸;水;発熱性物質なしの水;等張食塩水;およびリン酸緩衝液;脱脂粉乳;ならびに医薬製剤で用いられるその他の非毒性の両立できる物質を含む。
【0045】
医薬組成物は、湿潤剤、充填剤およびラウリル硫酸ナトリウムのような滑沢剤、ならびに着色剤、芳香剤、滑沢剤、賦形剤、錠剤化剤、安定化剤、抗酸化剤および保存剤等も含み得る。
ここに記載されるように、テイコプラニン医薬組成物のようなグリコペプチド医薬組成物は、筋肉内、静脈内、経口またはその他の投与形態で投与できる。
【0046】
ここに記載されるように、その他の医薬的に活性な物質(例えば、ストレプトマイシンのような)とのテイコプラニン医薬組成物のようなグリコペプチド医薬組成物は、活性化合物と例えば充填剤、乳化剤、滑沢剤、マスキング芳香剤、着色剤、または緩衝物質のような1以上の薬理学的に許容される助剤および/または賦形剤とを混合することにより製造することができ、その混合物を、例えば錠剤、コーティング錠、カプセル剤、顆粒剤、散剤、乳液、懸濁化剤、または非経口投与に適した液剤のような適当な剤形に変換することができる。
【0047】
助剤および/または賦形剤の例として、トラガカント、乳糖、タルク、寒天、ポリグリコール、エタノール、および水が挙げられる。水中懸濁液または溶液が非経口投与に好適である。媒体または希釈剤を用いずに、例えばカプセル剤のような適当な形態で、活性物質をそのまま投与することもできる。
【0048】
テイコプラニン組成物のような組成物は、散剤の形態(例えば適当な液体での溶解による注射用散剤のような)、特に食塩またはグルコースを含む散剤の形態にすることができる。ここで、約0.5重量%〜約15重量%の食塩を有する散剤が意図される。あらゆる慣用の注射用液(例えば、ブドウ糖溶液、グルコース溶液、蒸留および脱イオン水、ならびに標準の生理食塩水のような)が、ここに記載された粉末化製剤を溶解する液体として用いられ得る。
【0049】
ここに記載されるように、医薬組成物は、適当な医薬的に関連した指示書ととともに提供され得る。その指示書は、例えば、組成物の質および量、剤形、治療用途および投与方法(推奨される用量を含む)のような医薬的な関連情報を説明し得る。
【0050】
テイコプラニン組成物のようなグリコペプチド組成物は、患者における、グラム陽性細菌、特にメチシリン耐性株を含むブドウ球菌(staphylococcal bacteria)による感染のような微生物感染症の治療に役に立つ。ここに記載される組成物で治療され得るその他のグラム陽性細菌感染は、連鎖状球菌、腸球菌等で引き起こされるものを含む。「患者(patient)」の語は、ヒトの患者を含む哺乳類のような動物に関する。ある1つの態様において、それはヒトの患者である。ここに記載されるように、医薬組成物は、ヒトを含む哺乳類のような動物に、それら自身だけで、もう一つの活性成分との混合物で、および非経口投与できる医薬組成物の形態で医薬として投与することができる。
【0051】
医薬組成物は、経口、筋肉内、静脈内、またはその他の投与形態で投与することができる。
恒例により、特定の患者に適する剤形および投与方法ならびに用量範囲は、治療される種および個々の健康状態または病状に依存し、当該技術で公知の方法を用いて最適化され得る。
【0052】
したがって、概して、患者におけるテイコプラニン医薬組成物のようなグリコペプチド組成物の1日用量は、約0.05 mg/体重kg〜約50 mg/体重kg、より好ましくは約1 mg/体重kg〜約20 mg/体重kgであり得る。
改善された抗生物活性を有するテイコプラニン組成物の製造方法は、
(i) HPLC分析で測定して、約5%〜約60%の範囲の異なる%(mg TA3)/(mg TA3 + TA2)を含む、2つ以上のテイコプラニン組成物を作ること;
(ii) 組成物の抗生物活性を分析すること;
(iii) TA2とTA3との相乗効果があり、所望の改善された抗生物活性を有する組成物を特定すること
を含む。
【0053】
この方法の背景の全体的な発想は、ここで特定されたTA2とTA3との相乗効果に関する。
工程(i)において、約7.5%〜約50%の範囲の異なる%(mg TA3)/(mg TA3 + TA2)を含む2つ以上のテイコプラニン組成物が作られ、より具体的には、工程(i)において、約15%〜約40%の範囲の異なる%(mg TA3)/(mg TA3 + TA2)を含む2つ以上のテイコプラニン組成物が作られ、なおより具体的には、工程(i)において、約20%〜約40%の範囲の異なる%(mg TA3)/(mg TA3 + TA2)を含む2つ以上のテイコプラニン組成物が作られ、なおさらに具体的には、工程(i)において、約21%〜約40%の範囲の異なる%(mg TA3)/(mg TA3 + TA2)を含む2つ以上のテイコプラニン組成物が作られる。ある1つの態様において、工程(i)において、異なる4つ以上のテイコプラニン組成物が作られる。
【0054】
もう1つの態様において、工程(iii)で特定される組成物は、その抗生物活性が、試験菌株としてスタフィロコッカス アウレウスATCC 6538を用いる微生物寒天拡散アッセイにより測定され、その測定された潜在的効力(TA2 + TA3 mg当たりのIU/組成物g)が、抗生物活性を計算するために用いられ、6.5%の%(mg TA3)/(mg TA3 + TA2)を有する対応のテイコプラニン組成物より高い抗生物活性を有する。その評価と潜在的効力は、前記のようにして行うことができる。
【0055】
テイコプラニン組成物の製造方法法は、
(iv) 医薬組成物の%(mg TA3)/(mg TA3 + TA2)が、工程(iii)で特定された組成物の%に相当する%である、テイコプラニン成分またはそれらの医薬的に許容される塩もしくは誘導体の有効量と医薬的に許容される担体とを含むテイコプラニン医薬組成物を作ること
をさらに含むことができる。
【0056】
この工程(iv)における「相当する」の語は、医薬組成物の具体的な%(mg TA3)/(mg TA3 + TA2)が、工程(iii)で特定された組成物に関して、いくつか変化し得るという意味で、かなり広く理解されるべきである。特定された組成物の%は、抗生物活性に関して最適な%であり得る。しかしながら、当業者は、具体的なテイコプラニン組成物において、例えば製造の経済性のような異なる理由により、これをわずかに変更することを選択し得る。
【0057】
上記の工程(iv)のテイコプラニン医薬組成物は、前記のような本発明の第1の観点および関連する態様のテイコプラニン組成物の特徴を有するテイコプラニン組成物であり得る。
【0058】
本発明の別個の観点は、ここに記載されたようなテイコプラニン組成物の製造方法によって得られる、ここに記載されたようなテイコプラニン組成物に関する。異なる%(mg TA3)/(mg TA3 + TA2)を含むテイコプラニン組成物を作るための異なる戦略は、過度の実験を用いずに、通常の当業者により決定される。1つの典型的な方法は、市販のテイコプラニン組成物からTA3を精製し、対象のテイコプラニン組成物を強化するためにこの精製されたTA3を用いて、TA3が増量した組成物を作ることである。
【0059】
もう1つの例においては、脂肪酸末端を有するN-アシル-D-グルコサミン基がグリコペプチドの基本構造から除かれる加水分解により、TA2がTA3に変換され得る(ここの図1参照)。典型的な態様において、加水分解は、醗酵工程から得られる粗テイコプラニン生成物に対して行われる。その加水分解は、酸処理(ここで、穏和な条件が好ましい)および酵素により行われるような酸性、塩基性または酵素的に行うことができる。ここに記載されたようなテイコプラニン組成物を得るもう1つの典型的な方法は、醗酵産物中により高量のTA3が生じるように醗酵条件を調整することであろう。
【0060】
したがって、本発明の別個の観点は、TA3に富んだ(出発物質と比較して)、TA2およびTA3を含むテイコプラニン組成物の製造法に関し、その方法は、TA2およびTA3を含む組成物(例えば、約0.01;約0.03;約0.05;約0.07;約0.08;約0.09;約0.10より多い;または約0.11または約0.12よりなお多い(TA3)/(TA2 + TA3)(w/w)の比を有する組成物(出発物質)のような)のようなTA2を含有する組成物の、例えば酸または酵素での処理による加水分解を含む。最終生成物は、約80%より低い比を有することが目標にされ得る。加水分解は、テイコプラニン成分TA2および/またはTA3を分離することなく、醗酵から得られる粗テイコプラニン組成物に行われ得る。加水分解は、pHが、約1もしくは約2より高く、または約3よりなお高いような、0より高い条件のような穏和な条件下に行われ得る。加水分解が、酸加水分解として行われるとき、その加水分解は0〜約5のpH値で、または約0.1 N〜1 Nの濃度で塩酸を用いて行われることがここで意図される。テイコプラニンは、加水分解の間、(アルコールのような)極性有機溶媒または水とこれとの混液中に溶解され得る。テイコプラニン組成物の製造法の任意の工程は、規格化されたテイコプラニン組成物を得るために、TA3および/またはTA2を含む組成物と加水分解生成物とを混合することを含む。添加される組成物自身は、加水分解または醗酵により製造され得る。TA2のTA3への加水分解は、有利には、TA3/(TA2+TA3)の所望の比を有するテイコプラニン組成物を直接得るために(例えば、全てのTA2の完全な加水分解でなく)不完全であるべきである。
【0061】
さらなる観点において、テイコプラニン組成物は上記の方法で得られる。得られた組成物は、0.95未満のTA3/(TA2+TA3)(w/w)の比(例えば、約0.9;約0.8;約0.7;約0.6;約0.5;約0.4より小さいか、または約0.35よりなお小さくのような)および0.05より大きいTA3/(TA2+TA3)(w/w)の比(例えば、0.07;0.08;0.09;0.10;0.11;0.12;0.13;0.14;0.15;0.16;0.17;0.18;0.19;0.20;0.21;0.22;0.23より大きいか、または0.25よりなお大きくのような)を有する。上記の比は、B/(A+B)(w/w)として計算され、本発明のその他の組成物にも適用可能である。ある1つの態様において、テイコプラニン組成物におけるTA3/(TA2+TA3)(w/w)の比が、5%より高いが90%より低く;そしてTA3/(TA2+TA3)(w/w)の比が6.5%ではなく(例えば、6.25%〜6.75%の範囲外か、または6%〜7%の範囲外)、同様に10%でなく(例えば、9.75%〜10.25%の範囲外か、または9.5%〜10.5%の範囲外)、同様に15〜20%ではない(例えば、14.75%〜20.25%の範囲外か、または14.5%〜20.5%の範囲外)。TA3は、具体的にはTA3-1であり、そして/またはTA2は(TA2-1+TA2-2+TA2-3+TA2-4+TA2-5)の合計である。
【実施例】
【0062】
実施例1:異なる組成物におけるTA3-1およびTA2-2の相乗効果を解析すること
以下の実施例で用いられたテイコプラニン供給源は、表1で分かる。
【表1】

*)分析には、標準試薬が用いられ、それは、WHO国際標準に対応した。
【0063】
別に特定されなければ、実施例に記載された全てのその他の物質は、標準の実験用化学物質である。別に特定されなければ、実施例に記載された全ての装置は、標準の実験室関連装置である。
【0064】
テイコプラニンA3-1の精製
TA3-1(Alpharmaで製造)の増加した量を有する粗生成物を製造するために、50%エタノール溶液中のテイコプラニンTA2を、温度を上げて酸加水分解(1M HClを加え、その結果pH=0.6)して、TA2とTA3(TA3-2およびT-アグリコンを含む)の粗混合物に変換し、凍結乾燥した。
【0065】
純粋なTA3-1を製造するために、Xinchang Pharmaからの物質をプレパラティブ逆相C18 HPLCで精製した。得られた溶液を、過剰の塩を除くために順相HPLCで精製し、乾燥し粉末を得た。その成分の同定が、フローインジェクション分析液体クロマトグラフィー質量分析法(FIA-LC-MS)により行われた。
【0066】
テイコプラニンA2-2の精製
純粋なTA2-2成分は、TA3-1に対してと同じ方法を用いて製造された。
活性測定のためのHPLC分析の方法
下流の実験工程でごく普通に用いられたHPLC法は、次のとおりである:
カラム:ウォーターズ エクステラ(登録商標、Waters Xterra) RP18、3.5μm、4.6×150 mm
プレカラム:ウォーターズ エクステラ(登録商標、Waters Xterra) RP18 ガード(Guard)カラム、5μm、3.9×20 mm
カラムオーブン:28℃
緩衝液:0.2%ギ酸アンモニウム、pH 7.0
ギ酸アンモニウム4.0 gがMilli-Q水の約2リッターに溶解された。NH3でpHが7.0に調整され、全容積がMilli-Q水で正確に2.0 lに調整された。その緩衝液は、使用前に0.45μmのフィルターで濾過された。
移動相:溶出液A:90%緩衝液
10%アセトニトリル(CAN)
溶出液B:35%緩衝液
65%ACN
【0067】
HPLC分析に対する移動相勾配は、分での時間(min)および分当たりのミリリッター(ml/min)での流速で表2に示される。
【表2】

16は、直線勾配をいい、11は遅延段階(delayed step)勾配をいう。
成分の検出は、280ナノメータ(nm)でのUV検出器を用いてなされた。
【0068】
HPLC標準:タゴシッド、0.210 g/l
2.1〜42μgのテイコプラニンA2に相当する10〜200μlが、5ポイントの検量線のために注入され、手順の最初と30番目の試料毎の後に測定された。+/- 3%までの応答の偏差(=5つのTA2成分の全面積)は許容された。10%までの保持時間の偏差も許容された。
【0069】
下流の試料の製造
液体の試料が、約0.25〜2 g/lまで、25 mM HEPES緩衝液、pH 7で希釈され、希釈された試料の20μlが注入された。効力(potency)測定に用いられる溶液が調製され、20μlが直接注入された。
粉末が、25 mlメスフラスコ中で約25 mg秤量され、25 mM HEPES緩衝液、pH 7に溶解され、20μlが注入された。
HEPES緩衝液の調製:HEPES 2.98 gを約450 mlのMilli-Q水に溶解した。PHをNaOHで7.0に調整した。全容積をMilli-Q水で正確に500 mlに調整した。
【0070】
クロマトグラムは、Waters Millenium ソフトウェアの「valley to valley baseline」により3〜13分の範囲で自動的に積分され、定義されたTA3-1、TA2-1、TA2-2、TA2-3、TA2-4およびTA2-5のピークの面積が測定された。全ての質量の計算(活性mg/粉末g)は、TA2の検量線および試料と希釈液の重量に関する手順情報を用いるソフトウェアにより自動で行われた。5つのTA2成分の合わせた面積が、mg TA2/g 粉末の量の計算のために用いられた。TA3-1の量の計算のため、TA3-1のより低い分子量を補正するために、そのピークの面積に0.83の係数が掛けられた。TA3-1およびTA2-1の構成比は、TA3-1およびTA2-1の各質量を各々全質量で割る、すなわちmg(TA3-1)/mg(TA3-1 + TA2)により互いに計算された。
【0071】
寒天拡散による微生物効力の測定方法
テイコプラニンTA2、TA3-1単独または組合せの効力(potency)は、寒天拡散アッセイにより測定された。さらに、純粋なおよび強化された生成物の抗微生物効果が、マイクロ タイター トレーでの改良「MIC」による最小阻止濃度(MIC)の測定により研究された。
効力試験は、以下に記載のアッセイにしたがって行われる。一般的に、そのアッセイは、米国薬局方(USP) 25およびヨーロッパ薬局方(Ph. Eur) 第4版に対応するが、試験菌株に関して両薬局方と円筒(cylinder)より好ましいとして寒天孔(ポンド(ponds))に関してUSPとは異なる。試験は、USPの<111>節に記載されているような2,2デザインで行われる。
【0072】
物質および具体的装置
媒体: 抗生物質寒天培地(Difco)方法:0001-01-8
緩衝液:0.2Mリン酸緩衝液、pH 8.0
試験生物:スタフィロコッカス アウレウス ATCC 6538またはバチルス ズブチリス ATCC 6633
抗生物質標準規格:USP標準およびPh. Eur.標準に対応した標準試薬 あるいはUSPまたはPh. Eur. 参考標準試薬
大型プレート:アルミニウム枠を有するガラス
【0073】
標準および試料の保存溶液を約900 IU/mlで調整した。水4.0 ml中に約25.0 mgを含む標準規格テイコプラニンに緩衝液を加え25 mlにした。水4.0 ml中に約25.0 mgを含むテイコプラニン組成物の試料に緩衝液を加え25 mlにした。試料の量は、秤量された標準規格の実際の量により調整された。最終的に、標準規格および試料は、次の濃度:
2点アッセイ:
溶液1 高い: 約400 IU/ml
溶液2 低い: 約100 IU/ml
に緩衝液で希釈された。
【0074】
8×8ラテン方格デザインにしたがって、標準規格または試料がプレートに注がれた。注入後すぐに、プレートを34℃±2℃で16〜18時間、インキュベーター中に入れる。
結果は、その地域の直径を10倍の倍率および0.1 mmの精度で注意深く読み取ることにより解析された。統計的評価:計算および確認のために、全ての計算はコンピュータープログラムを用いて、Ph. Eur.およびUSPに提示されているガイドラインにしたがう。
【0075】
強化実験において、検査される試料の量(秤量される粉末の量)は、強化物質の対応する量により減量され、置き換えられるか、または保存溶液が定義された割合で混合された。
【0076】
MIC値の測定と結果
純粋なTA3-1、(テイコプラニン物質B TA2-X 96%、TA3-1 4%)およびそれらの混合物が用いられた。用いられた試験菌株は、それぞれ5×105/mlおよび5×104/mlの最終濃度のS. アウレウス(aureus) ATCC 6538であった。試験は通常のMIC試験の改良として、マイクロ タイター トレーで行われた。2倍希釈を用いる代わりに、0.40〜1.20 μg/mlを0.20 μlの分割および1.0〜4.0 μl/mlを1.0 μlの分割が用いられた。トレーは37℃でインキュベートされた。ウェルは24時間後に試験され、あらゆる成長が目視により確認された。「MIC」値は、目視で成長が見られなかった最小のテイコプラニン濃度として定義された。
【0077】
TA3-1の異なるレベルでの一連の強化実験が行われ、得られた混合物の効力が寒天拡散法により測定された。その結果が表3にまとめられている。
【表3】

TA2はTA2-1〜TA2-5の全含量であり、TA3はTA3-1の含量である。
【0078】
寒天拡散法による効力試験で、全ての強化実験は、TA3-1の相乗効果を明らかに示した。その証拠を強化するために、TA3-1の異なる量で強化されたテイコプラニンについての改良された抗微生物分析を用いて、いくつかの実験が行われた。それは、寒天拡散試験と対照的に液体媒体中で行われ、MIC値が測定された。その結果が表4にまとめられている(「MIC」−テイコプラニンおよび/またはTA3-1のS. aureus ATCC6538における値)。
【表4】

【0079】
この研究の結果は、TA2-2(807 IU/mg)よりTA3-1(570IU/粉末mg)がかなり低い効力であることを示す。したがって、そのより高い効力は、高い効力産物にA3-1の含量による効果をただ加えたことによるそれ自体だけでは説明されないだろう。唯一合理的な説明は、TA2と適当な量で組合わせたTA3が相乗効果を付加するということであろう。
【0080】
この研究では、可変の微生物効力のみを用いて、TA3の異なる量が、精製されたTA2-2単成分を含む様々な異なるテイコプラニン産物に添加された。5〜25%のテイコプラニン試料をTA3-1の相当する量で置き換えることは、IU/粉末mgで測定されて、試料の微生物効力を常に増加した。データはまた、活性なTA2が低活性なTA3-1で置き換えられたとき、その潜在能力(=粉末中のテイコプラニンの実際の特性)が増加したことを示し、それはTA2とTA3の相乗効果を示した。その結果は、ここの図3に示されるようにグラフ化されて目に見えるようにされ得る。図3は、標準規格、リチェット組成物、物質C組成物、およびTA2組成物からのデータを含む。
【0081】
図3の潜在的効力(IU/mg TA2+TA3-1)の比較により、TA3-1とその他のテイコプラニン成分との相乗効果がプロットで明らかである。高い効力を有する産物でさえも、TA2の一部がTA3-1で置き換えられるときに改善される。図3からも分かるように、相乗効果は、全TA2+TA3-1に対するTA3-1の割合が5%より上にあるとき起こるようであり、そしてTA3-1の量が増加するにつれて確実に増加するようである。
【0082】
MIC測定からの結果は、寒天拡散アッセイによる結果を支持した。S. aureusでのTA3-1単独での抗微生物効果は、テイコプラニンのそれよりかなり低かった。
【0083】
実施例2:異なる組成物におけるTA3-1とTA2の相乗効果の解析
物質:
以下のテイコプラニン供給源が用いられる。
【表5】

*)分析には、標準試薬が用いられ、それは、WHO国際標準に対応した。
実施例中に記載されたその他の全ての物質は、標準実験室用化学物質である。
【0084】
方法
実験準備
3つの実験は、タゴシッドおよびTA3-1単独の溶液、または次のTA3%を対象にした、異なる比率の混合溶液で行われた。
シリーズ1:0;20;25;30;35および60%
シリーズ2:10;15;20;25;40および80%
シリーズ3:15;30;35;40;50および100%
【0085】
HPLCによる活性の測定
活性の測定のためのHPLC-分析は、実施例1で記載された方法と同じである。5つのTA2成分(=TA2)およびTA3-1のそれぞれの含量(mg/粉末g)が分析され、TA3-1%が(mTA3-1)/(mTA2 +mTA3-1)(ここで、「m」は、活性化合物mg/粉末mgとして定義される)として計算された。
【0086】
生物学的アッセイ
テイコプラニンTA2、TA3-1単独または組合せの効力が、実施例1で記載された寒天拡散アッセイにより決定された。マイクロ タイター トレー中での改良されたMIC値は実施例1に記載されたように決定された。
【0087】
結果
図5は、強化実験全てからの集団TA3-1%に対する効力の結果(IU/粉末mg)をまとめたグラフを示す。このグラフは、40%TA3-1まで寒天拡散法によって効力の上昇を示し、その後効力が減少することを示す。TA3-1%が70%を越えると、その効力はタゴシッド単独と同じかまたは低いレベルに減少した。
【0088】
図6は、強化実験全てからの集団TA3-1%に対するMIC値(粉末μg/溶液ml)をまとめたグラフを示す。MIC値は、タゴシッドの約60%がTA3-1で置換されるまで同じレベルを保つ。TA3-1%がより高くなるにつれて、タゴシッド単独より4〜5倍高くなり、純粋なTA3-1のMIC値の端に向かってMIC値が上昇を始める。
【0089】
この研究の結果は、TA3-1単独の効力はタゴシッドのそれよりずっと低いことを示す。TA2の約40%までのTA3-1の対応量での置換は、IU/粉末mgで測定されて、試料の微生物効力を常に増加し、約70%TA3-1直前になって、タゴシッド単独より低い効力が見られた。したがって、まさに、より高い効力は、A3-1の量による効果の追加としてだけで説明されないだろう。唯一の合理的な説明は、TA3-1が相乗効果を付加するということであろう。
【0090】
このMIC測定の結果は、寒天拡散アッセイの知見を支持した。S.アウレウスでのTA3-1単独の抗微生物効果は、テイコプラニンTA2のそれより4〜5低かった。タゴシッドの約60%までも、MIC値にあらゆる増加なく、TA3-1で置き換えることが出来る。TA3-1の量の増加で、MIC値の減少は見られないけれども、60%までの予想されなかった安定なMIC値は、TA2とTA3との相乗効果によってのみ説明ができる。
【0091】
この研究により、テイコプラニンA2とA3との提案された相乗効果に対する証拠が与えられる。この相乗効果の仕組みはまだ明らかではないが、純粋なおよび強化された試料の寒天拡散法およびMIC測定の両方は、TA3とTA2との間に間違いなく相乗効果があることを示した。
【0092】
この発明の好ましい態様は、本発明を行った発明者に公知の一番最適な形態を含んで、ここに記載される。これらの好ましい態様の変法は、前の記載を読んで、通常の当業者に明らかになり得る。発明者は必要に応じてそのような変法を当業者が用いることを期待し、発明者は、この発明が、ここに具体的に記載されたようなものとは別に実行されることを意図する。したがって、この発明は、適用される法律で許可されるような、ここに付属する特許請求の範囲で列挙された主題の改良物および同等物全てを含む。さらに、その全ての可能な変法においての上記の要素のあらゆる組合せも、ここに別に示されないか、または文脈によって別に明らかに矛盾しなければ、本発明に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】図1は、テイコプラニン複合体の分子構造を示す。
【図2】図2は、異なるテイコプラニン成分の分子構造を示す。
【図3】図3は、TA3-1中に混合することにより、タゴシッド (TARGOCID)より高い抗生物活性を有するテイコプラニンを作ることが可能であったことを示すデータのグラフである。
【図4】図4は、3つのテイコプラニン組成物のHPLC線図を示す。
【図5】図5は、組成物の効力におけるテイコプラニンA3-1によるテイコプラニンA2の強化作用を示すデータのグラフである。
【図6】図6は、組成物のMICにおける、テイコプラニンA3-1によるテイコプラニンA2の強化作用を示すデータのグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A:グリコシル化された形態のグリコペプチド抗生物質;および
B:1以上のグリコシル単位を欠いているグリコペプチド抗生物質の部分
を含み、B/(A+B)(w/w)として計算されたBの含量が、グリコペプチドと脱グリコシル化されたグリコペプチドの全量に対して約14%〜約73%(w/w)である、
グリコペプチド抗生物質組成物。
【請求項2】
Aが、グリコペプチド グループI(バンコマイシン型);グリコペプチド グループII(アボパルシン型);グリコペプチド グループIII(リストセチン型);グリコペプチド グループIV(テイコプラニン型);これらいずれかの誘導体;およびそれらの組合せからなる群から選択され、
Bが、グリコペプチド グループI(バンコマイシン型);グリコペプチド グループII(アボパルシン型);グリコペプチド グループIII(リストセチン型);グリコペプチド グループIV(テイコプラニン型);これらいずれかの誘導体;およびそれらの組合せからなる群から選択されるグリコペプチドの脱グリコシル化された部分である、
請求項1に記載のグリコペプチド抗生物質組成物。
【請求項3】
Bの含量が、約16%〜約73%の範囲にあるか、または約18%〜約70%の範囲にある、請求項1または2に記載のグリコペプチド抗生物質組成物。
【請求項4】
Bの含量が、約20%〜約60%の範囲にあるか、または約18%〜約40%の範囲にある、請求項1または2に記載のグリコペプチド抗生物質組成物。
【請求項5】
Bの含量が、約21%〜約55%の範囲にある、請求項1または2に記載のグリコペプチド抗生物質組成物。
【請求項6】
組成物が、HPLC分析で測定して、約14%〜約73%の%(mg TA3)/(mg TA3 + mg TA2)を含む、テイコプラニン成分またはそれらの塩を含むテイコプラニン組成物。
【請求項7】
%(mg TA3)/(mg TA3 + mg TA2)が約16%〜約73%、または約17%〜約70%である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
%(mg TA3)/(mg TA3 + mg TA2)が約18%〜約60%である、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
%(mg TA3)/(mg TA3 + mg TA2)が約21%〜約55%であるか、または約18%〜約40%の範囲にある、請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
%(mg TA3)/(mg TA3 + mg TA2)が約25%〜約40%である、請求項6に記載の組成物。
【請求項11】
TA2がテイコプラニン成分TA2-1〜TA2-5の合計であり、TA3がテイコプラニン成分TA3-1である、請求項6〜10のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項12】
試験菌株としてスタフィロコッカス アウレウス ATCC 6538を用いる微生物寒天拡散アッセイにより抗生物活性が測定され、測定された潜在的効力(mg TA2 + TA3当たりのIU)が抗生物活性を計算するために用いられるとき、組成物が、6.5%の%(mg TA3)/(mg TA3 + TA2)を有する対応のテイコプラニン組成物より高い抗生物活性を有する、請求項6〜11のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項13】
テイコプラニン組成物の潜在的効力が、6.5%の%(mg TA3)/(mg TA3 + TA2)を有する対応のテイコプラニン組成物より少なくとも30 IU高い、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
A:バンコマイシン抗生物質、またはそのグリコシル化された形態の誘導体;および
B:ペプチド骨格上で1つまたは2つのグリコシル単位を欠いている、バンコマイシンアグリコンのような、バンコマイシン抗生物質、またはその誘導体
を含み、
B/(A+B)(w/w)として計算されたBの含量が、バンコマイシンおよび脱グリコシル化されたバンコマイシンの全量の約10%〜約90%(w/w)である、
バンコマイシン組成物。
【請求項15】
Bの含量が約15%〜約60%であるか、または約18%〜約40%の範囲にある、請求項14に記載のバンコマイシン組成物。
【請求項16】
請求項1〜15および24または25のいずれか一つに記載の組成物の医薬的に許容される量、ならびに医薬的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一つに記載の組成物を患者に投与することを含む、患者の微生物感染症を治療する方法。
【請求項18】
(i) HPLC分析で測定して、約5%〜約60%の異なる%(mg TA3)/(mg TA3 + TA2)を含む、2以上のテイコプラニン組成物を作ること;
(ii) 組成物の抗生物活性を分析すること;
(iii) TA2とTA3との相乗効果があり、所望の改善された抗生物活性を有する組成物を特定すること
を含む、改善された抗生物活性を有するテイコプラニン組成物の製造方法。
【請求項19】
(i) 4以上のテイコプラニン組成物が、約15%〜約40%の異なる%(mg TA3)/(mg TA3 + TA2)を含むように作られる、請求項18に記載のテイコプラニン組成物の製造方法。
【請求項20】
工程(iii)で特定される組成物が、試験菌株としてスタフィロコッカス アウレウス ATCC 6538を用いる微生物寒天拡散アッセイにより抗生物活性が測定され、測定された潜在的効力(mg TA2 + TA3当たりのIU)が抗生物活性を計算するために用いられるとき、6.5%の%(mg TA3)/(mg TA3 + TA2)を有する対応のテイコプラニン組成物より高い抗生物活性を有する、請求項18に記載のテイコプラニン組成物の製造方法。
【請求項21】
工程(iii)で特定される組成物が、試験菌株としてスタフィロコッカス アウレウス ATCC 6538を用いる微生物寒天拡散アッセイにより抗生物活性が測定され、測定された潜在的効力(mg TA2 + TA3当たりのIU)が抗生物活性を計算するために用いられるとき、6.5%の%(mg TA3)/(mg TA3 + TA2)を有する対応のテイコプラニン組成物より高い抗生物活性を有する、請求項19に記載のテイコプラニン組成物の製造方法。
【請求項22】
上記の方法が、テイコプラニン成分またはその医薬的に許容される塩もしくは誘導体の有効量と、医薬的に許容される担体とを混合することを含み、医薬組成物の%(mg TA3)/(mg TA3 + TA2)が、工程(iii)で特定される組成物の%に対応する%である、テイコプラニン医薬組成物を製造することをさらに含む、請求項18に記載のテイコプラニン組成物の製造方法。
【請求項23】
上記の方法が、テイコプラニン成分またはその医薬的に許容される塩もしくは誘導体の有効量と、医薬的に許容される担体とを混合することを含み、医薬組成物の%(mg TA3)/(mg TA3 + TA2)が、工程(iii)で特定される組成物の%に対応する%である、テイコプラニン医薬組成物を作ることをさらに含む、請求項19に記載のテイコプラニン組成物の製造方法。
【請求項24】
a) TA2を含む組成物を加水分解することを含む方法;
b) TA2を含む組成物を酸または酵素で処理することにより、TA2を含む組成物を加水分解することを含む方法;
c) 加水分解が、テイコプラニン成分TA2およびTA3を分離しないで、醗酵から得られる粗テイコプラニン組成物に対して行われる、TA2を含む組成物を加水分解することを含む方法;および
d) 加水分解が、テイコプラニン成分TA2およびTA3を分離しないで、醗酵から得られる粗テイコプラニン組成物に対して行われる、TA2を含む組成物を酸または酵素で処理することにより、TA2を含む組成物を加水分解することを含む方法;
(ここで、テイコプラニン組成物は、
a) TA3/(TA2+TA3)(w/w)の比が73%より高くない;そして
b) TA3/(TA2+TA3)(w/w)の比が16%より低くない
ことにより特徴付けられる)
からなる群から選択される方法によって得られる、TA2およびTA3を含むテイコプラニン組成物。
【請求項25】
i) a)TA3/(TA2+TA3)(w/w)の比が約70%より高くない;そして
b) TA3/(TA2+TA3)(w/w)の比が約18%より低くない;
ii) TA3の重量がTA3-1の重量として計算され、TA2の重量が成分TA2-1、TA2-2、TA2-3、TA2-4およびTA2-5の合計重量として計算されるか;または
iii) i)およびii)の組合せ
により特徴付けられる、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
医薬組成物を製造する方法における、請求項1〜15および24〜25のいずれか一つに記載の組成物の使用。
【請求項27】
HPLC分析で測定されるとき組成物が、約11%〜約60%の%(mg TA3)/(mg TA3 + mg TA2)を含むテイコプラニン成分またはその塩、および医薬的に許容される担体または賦形剤を含む、テイコプラニン医薬組成物。
【請求項28】
A:グリコシル化された形態のグリコペプチド抗生物質;および
B:1以上のグリコシル単位を欠いているグリコペプチド抗生物質の部分、
ならびに医薬的に許容される担体または賦形剤含み、
B/(A+B)(w/w)として計算されたBの含量が、グリコペプチドおよび脱グリコシル化されたグリコペプチドの全量に対して約11%〜約60%(w/w)である、
グリコペプチド抗生物質医薬組成物。
【請求項29】
組成物がHPLCで測定して約11%〜約60%の%(mg TA3)/(mg TA3 + mg TA2)を含むテイコプラニン成分またはその塩と、任意に医薬的に許容される担体または賦形剤とを含む、医薬用途のための単位用量。
【請求項30】
A:グリコシル化された形態のグリコペプチド抗生物質;および
B:1以上のグリコシル単位を欠いているグリコペプチド抗生物質の部分、
ならびに任意に医薬的に許容される担体または賦形剤含み、
B/(A+B)(w/w)として計算されたBの含量が、グリコペプチドおよび脱グリコシル化されたグリコペプチドの全量に対して約11%〜約80%(w/w)である、
グリコペプチド抗生物質組成物を含む、医薬用途のための単位用量。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−505841(P2007−505841A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526522(P2006−526522)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【国際出願番号】PCT/DK2004/000632
【国際公開番号】WO2005/025599
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(505371232)アルファーマ エーピーエス (13)
【氏名又は名称原語表記】ALPHARMA APS
【住所又は居所原語表記】11 Dalslandsgade,DK−2300 Copenhagen S,DENMARK
【Fターム(参考)】