説明

改善された汚染耐性を有する浄水膜

本発明は、液体分離及び浄水のための方法及び組成物を含む。本発明は、ドーパミンで処理されて、高い水フラックス及び高い親水性を有するポリドーパミン被覆膜を形成したポリマーマトリックス浄化膜を有する浄化膜を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、液体処理の分野、具体的には浄水膜を使用した汚染水の浄化のための液体処理の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の範囲を限定することなく、膜を使用した、より具体的には浄水膜を使用した浄化のための方法及び装置に関連して背景を記載する。浄水膜は汚染物質を除去するために世界中で使用されているが、その使用における主な欠点の1つは膜汚染である。一般に、膜汚染は膜表面上又は膜の内部細孔構造に水中の不純物が堆積すると生じる。これらの堆積物は水フラックスの劇的な低下をもたらし、これにより運転コストが増大し膜寿命が低下する。膜汚染の主な源の1つは有機化合物であり、これは市販のRO、NF及びUF膜等の疎水性表面に対し高い結合親和力を有する。ほとんどの研究は、膜の親水性を増加させることで表面に対する成分の結合親和力を低下させることにより、汚染を低減することに焦点を置いてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
必要とされるのは、汚染物付着を低減するための方法及び組成物であり、現行の市販のRO、NF及びUF膜の表面に施して高親水性表面を形成し得る方法及び組成物であることを、本発明者らは認識した。本発明者らは、膜の表面に施されたポリドーパミンコーティングが、表面親水性を増加させ、膜汚染の低減をもたらすことを認識した。この汚染の低減によって、例えば油−水エマルジョン、タンパク質溶液、及び天然水等の濾過時により高い膜フラックスが得られる。
【0004】
本発明者らは、多くの研究が、膜汚染を軽減するために、親水性分子の膜表面へのグラフト又は被覆を検証していることを認識した。しかしながら、本発明者らはまた、これらの技術の多くが、複数の種類の浄水膜に適用できず、また多くは、プラズマ処理等、商業的に実行不可能な処理ステップを必要とすることを認識した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、ポリドーパミン堆積が、膜の純水フラックスを劇的に低減することなく膜の親水性を増加させ、浄水膜表面の改質に使用された場合、汚染の軽減に理想的に好適であることを認識した。本発明は、ポリドーパミンコーティングを膜上に堆積させて、ポリドーパミン被覆膜を形成することにより、膜汚染を低減する方法を含む。ポリドーパミン被覆膜は、高い水フラックス及び増加した膜親水性を有し、これがドーパミン処理膜の汚染耐性に寄与する。
【0006】
本発明は、浄化膜と、前記浄化膜上に堆積されてポリドーパミン被覆膜を形成するポリドーパミン層であって、前記ポリドーパミン層が前記浄化膜の親水性を増加させ、前記ポリドーパミン被覆膜が高い水フラックスを有する、ポリドーパミン層と、分離された液体を収容するためにポリドーパミン被覆膜の異なる面に位置付けられた、1又は2以上の容器とを有する液体分離装置を含む。
【0007】
本発明はまた、ポリマーマトリックス浄化膜と、浄化膜上に堆積されて高い水フラックス及び高い親水性を有するポリドーパミン被覆膜を形成するポリドーパミン層とを有する浄化膜を含む。
【0008】
本発明はまた、浄化膜と、前記浄化膜上に堆積されてポリドーパミン被覆膜を形成するポリドーパミン層と、前記ポリドーパミン層にグラフトすることにより、又は前記ポリドーパミン層上に被覆することにより形成され得る別のポリマー層とを含む。ポリマー層は、浄化膜の汚染耐性をさらに向上させるために使用される。
【0009】
ここで、本発明の特徴及び利点のより完全な理解のために、添付の図面とともに、発明の詳細な説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ドーパミン及びポリドーパミンの構造の概略図である。
【図2】異なるポリドーパミン堆積時間での限外濾過(UF,ultrafiltration)ポリスルホン膜の浸透度のプロットである。
【図3】図3A、3B、3C、3D、及び3E並びに3Fは、ポリドーパミン改質及び非改質UF、ナノ濾過(NF,nanofiltration)並びに逆浸透(RO,reverse osmosis)膜に対する膜汚染試験のグラフである。
【図4】図4A、4B、及び4Cは、ポリドーパミン改質UF及びRO膜、表面にアミン末端ポリ(エチレングリコール)がグラフトされたポリドーパミン改質UF及びRO膜、並びに非改質UF及びRO膜の汚染を比較したプロットである。
【図5】初期の(汚染されていない)ポリドーパミン改質及び汚染されたポリドーパミン改質並びに非改質UF、NF、及びRO膜を通した純水フラックスを比較したプロットである。
【図6】磁気浮上天秤により測定された、各種基材に対する静的なタンパク質付着量のプロットである。
【図7】膜セルに接続された供給タンクを有するクロスフローシステムを示す図である。
【図8】修正されたクロスフローシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の様々な実施形態の作製及び使用を以下で詳細に説明するが、本発明は、広範な特定状況下で具現化され得る多くの適用可能な発明概念を提供することを認識されたい。本明細書に記載される特定の実施形態は、単に本発明を作製及び使用するための特定の手法の例示であり、本発明の範囲を定めるものではない。
【0012】
本発明の理解を容易とするために、いくつかの用語を以下に定義する。本明細書において定義される用語は、本発明に関連した分野における当業者により一般に理解されるような意味を有する。「a」、「an」及び「the」等の用語は、単数形のみを指すことを意図せず、一般的クラスを含み、その特定の例が例示のために使用され得る。本明細書における用語は、本発明の特定の実施形態を説明するために使用されるが、その使用は、特許請求の範囲における記述を除き、本発明の範囲を定めるものではない。
【0013】
本明細書において使用される場合、「分子」という用語は、共有化学結合により互いに保持された、明確な配置での2個以上の原子の組合せを指すように使用され、一般に、その組成及び化学的特性をまだ維持している純物質の最小粒子とみなされる。
【0014】
本明細書において使用される場合、「水フラックス」又は「フラックス」という用語は、所与の時間中に所与の膜面積を通して流れる溶液(例えば水、清浄水等)の体積を指すように使用される。カートリッジを通して流れる水量の測定量。
【0015】
さらに、個々のモノマー、コポリマー、サブユニット又はポリマーは、1又は2以上の分子、基又は原子で置換されていてもよい。改質の数、位置、場所及び種類は、当業者により変更され得る。改質は、低級アルキル基、アルケニル基、アミノ基、アリール基、アルキルアリール基、ハロゲン基、ハロ基、ハロアルキル基、ホスホリル基又はこれらの組合せのうちの1又は2以上の付加を含み得る。改質又は置換されたドーパミンは、置換されたポリドーパミンを膜表面上に形成することが、当業者に理解される。置換は、1又は2以上の低級アルキル基、アルケニル基、アミノ基、アリール基、アルキルアリール基、ハロゲン基、ハロ基、ハロアルキル基、ホスホリル基又はこれらの組合せであってもよい。置換ポリドーパミンは、1又2以上の基を有してもよく、基は類似又は異なる基であってもよい。
【0016】
本発明は、膜をドーパミンで処理して、膜表面上、及び多孔質膜の場合には膜細孔内にポリドーパミンを形成するために使用される堆積方法を含む。この方法は、実質的に任意の膜支持体に対するその適用の容易さにより、他の改質に勝る利点を有する。ポリドーパミンは、それが接触する実質的に任意の表面に非特異的に付着する。堆積プロセスは、ドーパミンをアルカリ性水溶液(例えば約pH8〜pH14)中に溶解し、その溶液中に膜をある特定の時間(例えば1分〜数日)含浸することにより生じる。膜をドーパミン溶液に暴露する時間の長さを変更して、膜表面上に堆積されるドーパミン(したがってポリドーパミン)の量を変化させることができることが、当業者に認識される。例えば、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)水性緩衝液(pH=8〜10)1ml当たりドーパミン2mgの濃度のドーパミン溶液を使用することができる。膜上に堆積されるドーパミン(したがってポリドーパミン)の量を変更するために、使用する緩衝液と同様ドーパミン濃度を変更することができ、所望により緩衝液なしでアルカリ性水溶液からドーパミンを適用することができることが、当業者に理解される。
【0017】
膜上に堆積されたポリドーパミン層又はポリドーパミンを有する膜組成であることに加え、本発明は、添加剤としてドーパミン/ポリドーパミンを有する層及び組成物を含む。ドーパミン/ポリドーパミンが添加剤の形態である場合、実際のドーパミン/ポリドーパミン濃度は、総濃度のパーセンテージとなり、0.001〜50パーセントであり得る。ドーパミン/ポリドーパミンのパーセンテージが50パーセントを超える場合、ドーパミン/ポリドーパミンがポリマーとみなされ、いかなる追加的な組成物も添加剤とみなされる。例えば、ドーパミン/ポリドーパミン添加剤濃度は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、30、40〜50パーセントであってもよい。ここで列挙されたパーセンテージは例であるため、当業者は、0.001〜50の範囲で列挙されたありとあらゆる値、例えば37.45%及び14.96%での、添加剤の使用を企図することを理解されたい。
【0018】
本発明者らは、改質が通常、膜の全体的な物質移動抵抗を著しく増加させるポリマー層の追加を含むため、表面改質を受けるほとんどの膜が、通常劇的な純水フラックス損失を有することを認識した。膜表面の改質時のこの水フラックスの損失の一例として、当業者はJu et al., Journal of Membrane Science, volume 307, pp. 260-267 (2008)を参照されたいが、この文献は、表3において、非改質膜における141L/(mhbar)から、ポリ(エチレングリコール)型材料で改質された膜における36L/(mhbar)への、限外濾過膜を通した水浸透度の低減を示している。膜上に堆積されるポリドーパミンの量は非常に少ないため、ポリドーパミン改質膜は、非被覆膜と比較して損失する純水フラックスが比較的少ないように簡単に加工することができる。
【0019】
さらに、親水性ポリマーコーティングは水中で膨潤するため、疎水性膜上への高親水性ポリマーコーティングを使用した場合、一般に剥離が問題となる。本発明者らは、ポリドーパミンの化学構造(例えば、ドーパミンモノマーは2個のヒドロキシル基を含有する)が、膜支持体との強固な物理的結合をもたらしやすいことを認識した。これらの物理的結合は、コーティング層の剥離が生じないような高いポリドーパミン結合を確実とする。この強固な結合の物的証拠は、ポリドーパミン改質ポリスルホンUF膜が極めて酸性の条件下(3N HCl)で5分間、ポリドーパミン層の見た目の損失なしに超音波処理された際に観察された。
【0020】
本発明者らは、ポリドーパミン堆積が様々な表面上に使用可能であり、膜材料に関わらない様々な膜に対する表面改質を可能とすることを認識した。当技術分野において使用されるほとんどの表面改質技術は、1つの特定種類の膜を使用してのみ達成されている。ポリドーパミンは、それが接触する実質的に任意の表面上に堆積させることができ、任意の膜上に使用することが可能である。さらに、本発明者らは、ポリドーパミンの親水性が、防汚表面改質剤として広く使用されているポリ(エチレン−グリコール)で改質された表面の親水性に匹敵する(接触角測定により確認される)ことを認識した。
【0021】
本発明者らは、ドーパミンをポリドーパミンに変換するための酸化反応及び堆積が比較的遅いプロセスであるため、十分なポリドーパミンが膜表面上に堆積するためには、かなりの時間を必要とすることを認識した。例えば、本発明者らは、生物膜形成の低減及び防汚の試験における使用のために、ドーパミン溶液中に60分間含浸した試料を使用した。これは極めて長いわけではないが、工業的実用性のためには、より短い、又はより長い含浸時間が最適とみなされ得る。本発明者らは、多くの因子に依存して、ドーパミン溶液中の膜含浸は、1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、11分、12分、13分、14分、15分、16分、17分、18分、19分、20分、21分、22分、23分、24分、25分、26分、27分、28分、29分、30分、31分、32分、33分、34分、35分、36分、37分、38分、39分、40分、50分、60分、120分又は120分を超える時間にいたるまで、溶液pH、ドーパミン濃度、基材材料温度等の因子に依存して変動し得ることを認識した。
【0022】
本発明者らは、適切に共役した分子がそれに共有結合し、疎水性膜と親水性コーティングとの間の中間層としてのポリドーパミンの使用を可能にするため、酸化(アルカリ性)環境下でのポリドーパミン構造もまた興味深いことを認識した。ポリドーパミン層は、膜支持体への付着を改善し、長期間の膜動作を可能にする。
【0023】
さらに、ポリドーパミン構造の親水性は、ポリドーパミン被覆疎水性膜の湿潤性を増加させ、膜の被覆に使用される溶液が膜表面を容易に湿潤させるため、親水性コーティング層中の欠陥を低減する。膜コーティング層は、汚染物をその下の膜の多孔質構造と接触させないことにより、さらに汚染を低減する。
【0024】
本発明は、基板層上のポリドーパミン堆積層を提供し、基板は、様々な物質及び材料となり得る。本発明のポリドーパミン堆積層は、高い親水性を提供し、浄水膜表面の改質に使用される場合、汚染の軽減に好適である。
【0025】
ポリドーパミン、すなわち親水性ポリマーは、それが接触する実質的に任意の表面上に堆積することができる。したがって、多くの膜浄水用途において効果的な防汚コーティング層として広く使用される可能性を有する。本発明者らは、ポリドーパミン層が、逆浸透(RO)ポリアミド、ナノ濾過(NF)ポリアミド、及び限外濾過(UF)ポリスルホン膜上に堆積されると、汚染に抵抗することを認識した。しかしながら、ドーパミンがこれらの膜の汚染特性にプラスの影響を与え得るなら、精密濾過(MF)膜等の他の膜及び濾材の汚染特性にもプラスの影響を与えるはずであることが、当業者に理解される。
【0026】
本発明は、ポリドーパミンコーティングを膜上に堆積させて、ポリドーパミン被覆膜を形成することにより、膜汚染を低減する方法を含む。ポリドーパミン被覆膜は、高い水フラックス及び増加した膜表面親水性を有する。
【0027】
いくつかの場合において、ポリドーパミン被覆膜のフラックスは、非被覆膜と同じであり、したがって、非被覆膜と比較して100%のフラックスを示す。疎水性精密濾過膜、又は大孔径限外濾過膜を用いたいくつかの場合において、ポリドーパミン改質は、細孔構造に付加的な湿潤性を付与することができ、これにより、その細孔サイズの無視できる減少と相まって、非改質膜のフラックスに勝る純水フラックスの効果的な増加がもたらされる。ポリドーパミン被覆膜は、膜上のコーティングの存在を鑑みて高いフラックスを有することができ、また、非改質膜のフラックスと比較して150%〜0%の範囲のフラックスとなり得る。ポリドーパミン改質膜の通常の高いフラックス値は、非改質膜と比較して、約125、110、99、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、及び5%のフラックスである。しかしながら、このパーセンテージは概算であり、±5パーセントで変動し得ることが、当業者に理解される。さらに、ポリドーパミン、膜、又はその両方は、ナノ金属、ナノ粒子、ハロゲン、ヒドロキシル基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、単環式アリール、低級アシル基、ROOH、ROSH、RSSH、OH、SOH、SOR、SOR、COOH、NH、NHR、NR、CONH、及びNH−−NH(式中、Rは、飽和又は不飽和の少なくとも1個の炭素系環を形成することができる、直鎖状又は分岐状炭化水素系鎖;アルキレン、シロキサン、シラン、エーテル、ポリエーテル、チオエーテル、シリレン、シラザン及びこれらの組合せを示す)から選択される1又は2以上の官能基のうちの1又は2以上の付加により、さらに改質され得る。
【0028】
ポリドーパミン改質に使用される支持膜は、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、エポキシ樹脂、環式オレフィンコポリマー、環式オレフィンポリマー、アクリレートポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンビニレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、又はポリエーテルイミドポリ(フェニレンビニレン)、ポリスルホン、スルホン化ポリスルホン、スチレンとアクリロニトリルポリ(アリーレンオキシド)とのコポリマー、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ピペラジン含有ポリマー、高分子電解質、ポリ(スチレン)、スチレン含有コポリマー、アクリロニトリルスチレンコポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−ビニルベンジルハライドコポリマー;ポリカーボネート;セルロースポリマー、酢酸セルロース−ブチレート、プロピオン酸セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、ポリアミド、ポリイミド、アリールポリアミド、アリールポリイミド、ポリエーテル、ポリ(アリーレンオキシド)、ポリ(フェニレンオキシド)、ポリ(キシレンオキシド);ポリ(エステルアミド−ジイソシアネート)、ポリウレタン、ポリエステル(ポリアリーレートを含む)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(アルキルメタクリレート)、ポリ(アクリレート)、ポリ(フェニレンテレフタレート)、ポリスルフィド、ポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)、ポリ(ブテン−1)、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリビニル、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(フッ化ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルエステル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(プロピオン酸ビニル)、ポリ(ビニルピリジン)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルエーテル)、ポリ(ビニルケトン)、ポリ(ビニルアルデヒド)、ポリ(ビニルホルマール)、ポリ(ビニルブチラール)、ポリ(ビニルアミド)、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(ビニルウレタン)、ポリ(ビニル尿素)、ポリ(ビニルホスフェート)、ポリ(ビニルサルフェート)、ポリアリル;ポリ(ベンゾベンズイミダゾール)、ポリヒドラジド、ポリオキサジアゾール、ポリトリアゾール、ポリ(ベンズイミダゾール)、ポリカルボジイミド、ポリホスファジン及びこれらの組合せのうちの1又は2以上を含み得る。
【0029】
膜コーティング層は、汚染物をその下の膜の多孔質構造と接触させないことにより、さらに汚染を低減する。親水性層の疎水性膜への結合はまた、親水性ポリマーの膨潤性が問題となる、パーベーパレーション及びガス分離を含む他の膜用途において実用的な目的を果たす。
【0030】
図1は、ドーパミン及びポリドーパミンの構造の概略図である。ドーパミンの自己重合反応は、溶液の色を、1時間未満で透明な赤色から暗褐色に変化させ、僅か数分の含浸時間後に、堆積したポリドーパミンが膜表面上に観察された。この堆積層は、3N HCl中約5分間の超音波処理後でも膜の変色がなかったことから、膜の表面上にしっかりと結合していた。さらに、膜表面を擦っても、堆積層の除去は観察されなかった。
【0031】
上記概略図は、ドーパミン及びポリドーパミン構造を提供するが、本発明はまた、使用可能な他のアミン置換ベンゼンジオール組成物も提供する。例えば、本発明は、他の任意の芳香族ジヒドロキシ基含有分子を使用して、膜改質剤を形成し得る。芳香族分子は、例えばベンゾチアゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、インダゾール、プリン、ベンズイミダゾール、ベンゾ[c]チオフェン、ベンゾチオフェン、イソインドール、インドール、イソベンゾフラン、ベンゾフラン、ナフタレン、ナフタレン誘導体、キノリン、キナゾリン、シンノリン、イソキノリン及びこれらのサブステーション及び改質物等、3〜8個の炭素を含有することができ、また1又は2以上のヘテロ原子を含むことができる。さらに、ドーパミン若しくは他の芳香族ジヒドロキシ及びアミン含有分子は、芳香族ジヒドロキシ、アミン、又はチオール官能基を含有する様々な異なる分子と共重合されていてもよく、又は、それらの分子との複数モノマー組成物の1要素であってもよい。これらのポリマーもまた、膜表面の改質に使用することができる。
【0032】
図2は、異なるポリドーパミン堆積時間でのUFポリスルホン膜の浸透度のプロットである。ポリドーパミン改質ポリスルホン膜を通した水の輸送は、ドーパミン重合溶液中での膜含浸時間の関数として特徴付けられる。より大量のポリドーパミンが膜上に堆積させられたことから、水フラックスは含浸時間の増加とともに低下した。しかしながら、1時間未満含浸された膜を試験した場合、これらの膜は、非改質膜に比べ極僅かしか水フラックスの減少を示さなかったため、興味深かった。例えば、30分の含浸時間での膜は、非改質膜純水フラックスの約80%を維持した。これは、膜の細孔構造が、概して、短い含浸時間ではポリドーパミン堆積に影響されなかったことを示唆している。ポリドーパミンは、膜の表面上に無欠陥付加層を形成しなかったが、膜表面及び膜細孔構造上にコンフォーマルにかなり堆積した。したがって、短時間のポリドーパミン含浸を用いると、膜純水フラックスを大きく損失することなく、接触角測定により観察されるより高い親水性を有する膜が得られた。表1は、接触角測定により観察される親水性と、ドーパミン溶液中の基材の暴露時間との相関関係を示す。表1:
【0033】
【表1】

【0034】
水中デカン捕捉気泡接触角測定を使用して、表面親水性を調べた。表1は、様々なドーパミン堆積時間でのポリスルホン膜の水中デカン捕捉気泡接触角を示す。自発性の急速なポリドーパミン堆積により、ポリスルホン膜の表面親水性に劇的な増加が観察された。上記表1に示されるように、ポリスルホンUF膜の接触角は、僅か10分間のドーパミン含浸後に大幅に減少した。より長期間含浸された膜の接触角は、最初のポリドーパミン堆積が生じた後は、表面親水性が影響を受けていなかったことを示している。ポリアミド(PA)RO(Dow FilmTec社製XLE膜)及びPA NF膜(Dow FilmTec社製NF−90膜)においては、非改質PA RO及びPA NF膜に対するデカン接触角がそれぞれ45°±3及び49°±2であり、一方30分を超える堆積時間での膜は36°±4(PA RO)及び40°±3(PA NF)の接触角を有していたことから、同様の表面親水性の増加が示された。この表面親水性の増加は、膜汚染耐性に対し劇的な影響を有した。
【0035】
より長い含浸時間では、ドーパミン堆積は最終的に細孔構造の収縮をもたらし、したがって膜フラックスを低減した。ポリドーパミンは、ガス分離又は水の脱塩用途等の分野において独特の分離特性を有する、極めて水素結合したネットワークを形成することができるため、この収縮(例えば含浸時間が16時間を越える場合)はまた興味深い。
【0036】
図3A、3B、3C、3D、3E及び3Fは、膜汚染試験のグラフである。図3Aは、1500ppm油−水エマルジョン(1350ppmの植物油及び150ppmのDC-193界面活性剤)による、非改質PSf限外濾過膜(GE Water社製A−1膜)、及びドーパミン溶液に対する30分間の暴露により形成されたポリドーパミン堆積層を有するPSf膜(GE Water社製A−1膜)の汚染における、時間の関数としてのフラックスのグラフであり、図3Bは、時間の関数としての阻止された全有機物のパーセントのグラフである。図3Cは、非改質RO膜(Dow FilmTec社製XLE)、及びドーパミン溶液に対する30分間の暴露により形成されたポリドーパミン堆積層を有するRO膜を通して濾過される、2000ppmのNaClを含む1500ppm油−水エマルジョンに対する、時間の関数としてのフラックスのグラフであり、図3Dは、時間の関数としての阻止された全塩のパーセントのグラフである。図3Eは、非改質NF膜(Dow FilmTec社製NF−90)、及びドーパミン溶液に対する30分間の暴露により改質されたNF膜により濾過される、2000ppmのNaClを含む1500ppm油−水エマルジョンに対する、時間の関数としてのフラックスのグラフであり、図3Fは、時間の関数としての阻止された全NaClのパーセントのグラフである。ポリドーパミンは、UF、NF及びRO膜における膜汚染耐性の増加をもたらす。例えば、図3Aは、1日の油水濾過後、ドーパミン処理膜が、非改質膜のフラックスよりもほぼ4倍高いフラックスを示すことを示している。同様に、図3B及び3DにおけるRO及びNF膜もまた、ドーパミンで処理された場合、油−水エマルジョン濾過中、より高いフラックスを有する。
【0037】
さらに、ドーパミン処理限外濾過膜はまた、非改質PSf膜よりも若干高い有機物阻止率を示す。供給ストリーム中に有機物が存在しない場合、非改質RO及びNF膜の塩阻止率は、そのそれぞれのポリドーパミン改質膜の塩阻止率より低い。しかしながら、非改質RO及びNF膜は、汚染実験において、ポリドーパミン改質膜よりも若干高い塩阻止率を示す。これはおそらく、塩の透過性に対するより大きな抵抗を形成する、非改質膜表面でのより厚い油滓層によりもたらされると考えられる。
【0038】
図4Aは、非改質ポリスルホンUF膜、ドーパミン溶液に対する30分間の暴露により改質されたポリスルホンUF膜、及びドーパミン溶液に対する30分間の暴露により改質した後、ポリドーパミン層にポリ(エチレングリコール)(PEG)アミン(Mw=1,000)のグラフトを行ったポリスルホンUF膜に対する、非イオン性界面活性剤/植物油汚染曲線を示す。PEGは、多くの表面に対する汚染物付着に抵抗することが示されており、したがってここでは同じ目的で使用される。観察され得るように、1日の油−水濾過後、PEG官能化膜のフラックスは、ポリドーパミン改質膜のフラックスよりも約30%高いことから、ポリドーパミン層へのPEGの結合がUF膜の汚染耐性を増加させる。
【0039】
図4Bは、ポリアミドRO膜に対する同様のデータを示す。1日の油−水濾過後、ポリドーパミン改質RO膜は、非改質膜のフラックスよりも約30%高いフラックスを示した。PEGアミン(Mw=5,000)がポリドーパミン層にグラフトされると、膜の初期フラックスは比較的低かった(21Lm−2−1)。しかしながら、この膜のフラックスはその初期フラックスとほぼ同一のままであったことから、1日の濾過の間、この膜の汚染は実質的に観察されなかった。
【0040】
図4Cは、135ppmデカン/15ppmドデシルトリメチルアンモニウムブロミド(DTAB)−水エマルジョンによる、非改質RO膜、1.5時間ポリドーパミン堆積したRO膜、及び1.5時間ポリドーパミン堆積した後、ポリドーパミン層にPEGアミン(Mw=5,000)のグラフトを行ったRO膜の汚染における、時間の関数としてのフラックスのグラフである。図4Cは、1日の濾過後、最終ポリドーパミン改質膜フラックスが、非改質膜のフラックスよりも約2倍高い(ポリドーパミン改質膜の3.1Lm−2−1から非改質RO膜の1.7Lm−2−1)ことから、ドーパミン処理膜は、荷電界面活性剤(この場合ではDTABが荷電界面活性剤である)が汚染物として優勢である場合、汚染に抵抗し得ることを示している。ポリドーパミン/PEG膜の初期フラックスは、比較的低かった(21Lm−2−1)。しかしながら、1日の濾過後、膜はその元のフラックスの約40%を維持した(24時間での最終フラックスは8Lm−2−1)ことから、ポリドーパミン層へのPEGグラフトは、膜汚染耐性において著しい改善を示した。したがって、ポリドーパミンは、PEGを任意の膜表面にグラフトするための汎用的方法であり、またこのポリドーパミン/PEG層は、膜の汚染耐性を劇的に改善すると結論付けることができる。本発明を鑑みて、ドーパミン構造にグラフトされ得るPEG又は関連構造の種類の多くの例が、当業者に認識される。例えば、多くのそのような化合物は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,280,853号明細書に教示されている。
【0041】
図5は、1日の汚染実験後の、非改質、ポリドーパミン改質、及びポリドーパミン/PEG UF、NF、及びROの純水浸透度を示す。純水データを収集する前に、超純水中で膜を濯ぎ(結合していないいかなる汚染物も除去するため)、その中で保存した。図5はまた、汚染前及び汚染後のこれらの膜の純水浸透度の比(不可逆汚染指数と呼ばれる)を示す。この試験の目的において、不可逆汚染とは、単純な濯ぎ/洗浄ステップにより回復され得ない、汚染実験中のフラックス損失として定義される。参考として、完全に非汚染性の膜の不可逆汚染指数は1である。ポリドーパミンは、膜の純水フラックスを大きく向上させた。例えば、非改質ポリスルホンUF膜は、汚染後0.09〜0.3Lm−2−1atm−1の浸透度を示すのみであったが、ポリドーパミン改質UF膜は40.8Lm−2−1atm−1の浸透度を示し、またポリドーパミン及びPEGアミン(Mw=1,000)グラフト改質UF膜は43.7Lm−2−1atm−1の浸透度を示した。NF及びRO改質膜も同様に、それらの非改質膜よりも高い水浸透度を示した。さらに、ポリドーパミン/PEG膜の不可逆汚染指数は、非改質及びポリドーパミン改質のみの膜の不可逆汚染指数より高かったことから、これらの膜の表面に対するPEGアミンのグラフトは、UF及びRO膜の不可逆汚染耐性を劇的に向上させた。図5Bは、150ppmのDTAB/デカンエマルジョンによる1日の汚染実験後の、非改質、ポリドーパミン改質、及びポリドーパミン/PEG(PEG Mw=5,000)RO膜の純水浸透度及び不可逆汚染指数を示す。純水データを収集する前に、クロスフローシステムにより(したがって膜表面上にわたり)、循環HCl溶液(pH=1.5)、続いてNaOH溶液(pH=12.5)でそれぞれ1時間膜を洗浄した。非イオン性油エマルジョンの不可逆汚染データと同様に、ポリドーパミン改質及びポリドーパミン/PEG RO膜において、フラックス回復の劇的な改善が認められた。例えば、1日のDTAB/デカンエマルジョン濾過及び洗浄サイクル後、非改質膜は、0.3Lm−2−1atm−1の純水浸透度を有し、一方ポリドーパミン改質及びポリドーパミン/PEG膜は、それぞれ2.8及び3.0Lm−2−1atm−1の浸透度を有していた。さらに、これらの膜の不可逆汚染指数は、改質後、劇的に増加した(非改質RO膜では0.04、ポリドーパミン及びポリドーパミン/PEG RO膜ではそれぞれ0.5及び1.0)。これらのデータは、膜表面に対するポリドーパミン堆積及びポリドーパミン堆積/PEGグラフトが、洗浄サイクル後の改善された膜効率をもたらすことを示している。
【0042】
図6は、非改質ポリスルホンUF膜、ドーパミン溶液に対する30分間の暴露により改質されたポリスルホンUF膜、ドーパミン溶液に対する3時間の暴露により改質されたポリスルホンUF膜、及びドーパミン溶液に対する30分間の暴露により改質した後、PEGアミン(Mw=1,000)グラフトを行ったポリスルホンUF膜への、静的なウシ血清アルブミン付着量データを示す。非改質膜とポリドーパミン処理膜との間で、総付着タンパク質において1/5倍の減少が見られたことから、ドーパミン堆積は、ポリスルホン膜へのタンパク質付着を明らかに低減した。さらに、ポリドーパミン処理膜とPEGグラフト膜との間で、タンパク質付着においてほぼ1/2倍の減少が生じた。これらのデータは、膜汚染を排除する上で重要なステップである、膜へのタンパク質付着を低減するドーパミン処理の有効性を明確に示している。
【0043】
ポリスルホン限外濾過A1支持体は、General Electric Water社により提供され、本明細書に記載の実施例においてUF膜として使用された。逆浸透ポリアミド膜(XLE RO)及びナノ濾過ポリアミド膜(NF−90)は、Dow FilmTec社により提供され、それぞれ、実施例に記載されるRO及びNF膜として機能した。ドーパミン、Trizma(TRIS)、デカン、DTAB、ウシ血清アルブミン及び水酸化ナトリウムは、Sigma Aldrich社から購入した。アミン末端PEG(PEGアミン)は、Laysan Bio, Inc、アラブ、AL(Mw=1,000)及びJenKem Tech社、アレン、TX(Mw=5,000)から購入した。超純水(18.2Mohm−cm、TOC 1ppb未満)は、Gradient A10/RiOs Millipore浄水システムから生成された。DC193非イオン性界面活性剤は、Dow Corning社から購入した。Wesson植物油は、現地のスーパーマーケットから購入した。
【0044】
膜へのドーパミン堆積は、5インチ×5インチの膜切片を、イソプロパノール中に少なくとも30分間浸漬することにより達成した。次いで、膜を超純水に移し、確実に全てのイソプロパノールが除去されるように2〜3回水を交換しながら、少なくとも2時間含浸した。水による濯ぎが完了したら、膜をガラス板にテープで貼り、鋳造リング(例えば直径12cm)を膜の表面にしっかりと固定した。ドーパミン溶液をガラスリングに加える前に、膜を超純水の流水で濯いだ。膜の前処理後、ドーパミン−HCl0.1グラムを、10〜15mM TRIS緩衝液(pH=8.8)50mLに添加した。試料を5秒間ボルテックスした。溶液を速やかに鋳造リング内に入れた。ロッカーを用いて溶液を撹拌した(例えば4度及び50rpm)。溶液は、反応の間、やや透明な赤色から暗褐色に徐々に変化した。視認できる褐色堆積物が膜表面上に生じた。堆積物の色は、堆積時間が増加するにつれてより暗色となった。次いで、超純水中で膜を濯ぎ、使用するまでその中で保存した。
【0045】
ポリドーパミン表面層へのPEGグラフトは、ポリドーパミン改質膜を、15mM TRIS緩衝液(pH=8.8〜9)中の1mg/mL PEGアミン(Mw=1000又は5000)中に、50〜60℃で、RO膜に対しては1時間、UF膜に対しては10時間含浸することにより達成した。アミン基は、アルカリ条件下で、マイケル付加反応又はシッフ塩基反応を介して、カテコール様ポリドーパミン構造と反応する。次いで、超純水中で膜を濯ぎ、使用するまでその中で保存した。
【0046】
膜の防汚能力の最終試験として、クロスフロー濾過ユニットを使用して汚染試験を行った。供給ストリームを加圧し、膜表面に対し接線方向に通過させ、膜表面で剪断力を形成して濃度分極/表面汚染を低減した。この種の濾過は、工業的濾過において広く使用されており、したがって、膜の汚染特性を評価するのに有用である。
【0047】
植物油40.5グラム及びDC193界面活性剤4.5グラム(9:1の油:界面活性剤比)を水に添加して、全体で3キログラムの溶液を作製することにより、非イオン性油/水エマルジョンを調製した。デカン4.05グラム、DTAB0.45グラムを水に添加して、全体で3キログラムの溶液を作製することにより、デカン/DTABエマルジョンを調製した。高速ブレンダ(Waring LBC15、トリントン、CT)内で、混合物を20,000rpmで3分間ブレンドした。混合物を純水で希釈し、全有機物濃度を、非イオン性油/水エマルジョンに対しては1,500ppm、デカン/DTABエマルジョンに対しては150ppmとした。各実験に対し新鮮なエマルジョンを調製した。しかしながら、使用したクロスフロー機器は、同時に最大3つの膜を試験することができた。クロスフローシステムは、Separation Systems Technologies社、サンディエゴ、CAから購入した。
【0048】
クロスフロー濾過中、膜間圧差は、2気圧〜20気圧の任意の値に調節可能であり、クロスフロー速度は、フローチャネルの形状(例えば長さ3インチ×幅1インチ×深さ1/8インチ)に応じた約400〜4000の範囲のレイノルズ数に対応して、0.4L/m〜4L/mに調節可能であった。この試験は、ポリスルホンUF膜に対して100psi(6.8気圧)の膜間圧差及び1.3L/分のクロスフロー速度(Re約1500)、NF及びRO膜に対して150psi(10.2気圧)及び3.75L/分のクロスフロー速度(Re約4500)に制限された。膜阻止率特性は、TOC分析器(Shimadzu Scientific Instruments社製Total Organic Carbon Analyzer、Model 5050A、コロンビア、MD、USA)を使用して、供給物及び透過物中の全有機炭素濃度を試験することにより計算される。
【0049】
不可逆汚染試験は、膜に対し、非イオン性油/水エマルジョン又はDTAB/デカンエマルジョンで24時間汚染することにより行った。非イオン性油/水エマルジョン汚染試験後、UF及びNF膜をセルから取り外し、1日にわたり超純水の流水下で3回濯ぎ、濯ぎの間は水中で保存した。膜の有効領域から3つの1インチ径切片を切り出し、これらの試料のそれぞれに対し、3.5cm有効領域デッドエンドセル(AdvantecMFS社製、ダブリン、CA)において、50psiでの純水フラックスを記録した。これらの試料のフラックスの平均を計算し、膜間圧(50psi)で除して汚染後純水浸透度を計算した。
【0050】
非イオン性油/水エマルジョン汚染試験後、以下の手順を用いてRO膜を濯いだ:システムを超純水で1度洗い流していかなる油−水エマルジョンも除去し、超純水で満たした。50psi膜間圧差で膜セルを通して水を循環させた。このプロセスを、20分毎にさらに2回(全体で3回の洗浄/濯ぎサイクル)繰り返した(全濯ぎ時間は1時間)。濯ぎが完了したら、システムを超純水で満たし、膜の純水フラックスを150psi膜間圧差で記録した。汚染実験後の膜の純水浸透度(圧力正規化フラックス)を、汚染実験前の膜の純水浸透度で除すことにより、不可逆汚染指数を計算した。UF膜の別個の膜試料に対する汚染実験前の純水浸透度は、11.5cmデッドエンドセル(Advantec MFS社製)内で、様々な圧力(すなわち、15、30、45psi)で測定した。NF及びRO膜の両方に対する汚染実験前の純水浸透度は、クロスフローシステム内で、150psi膜間圧差で測定した。RO膜に対するDTAB/デカンエマルジョン不可逆汚染実験では、以下の手順を使用して、1日の濾過後に洗浄サイクルを行った。クロスフローシステムを超純水で1度洗い流した(いかなるDTAB/デカンエマルジョンも除去するため)。システムを10Lの超純水で満たし、HCl溶液を使用してそのpHを1.5に調節した。酸性溶液を、50psi及び45℃で1時間、システムに循環させた。次いでシステムを超純水で洗い流し、10Lの超純水で満たし、そのpHをNaOHで12.5に調節した。アルカリ性溶液を、50psi及び45℃で1時間、システムに循環させた。次いで、全ての汚染物質が確実に除去されるように、システムを超純水で2回洗い流した。次いでシステムに超純水を満たし、膜の水フラックスを150psiで記録した。
【0051】
図1において、ポリスルホンUF膜の純水浸透度を試験するために、円筒型撹拌デッドエンドセルを使用した。この濾過様式では、全供給ストリームが膜に負荷され、純水浸透度の試験に理想的となる。各膜に対し、純水フラックス試験を、それぞれ10、20及び40psi(0.7、1.3及び2.7気圧)の3つの圧力で行った。11.5cmの有効濾過面積を有するデッドエンドセルサイズを使用した。
【0052】
静的タンパク質付着手順は、タンパク質付着後の6つの膜試料の重量と、タンパク質付着前の同じ膜の重量とを比較することにより達成された。膜は、イソプロパノール中で少なくとも2時間、次いで超純水中で少なくとも2時間、完全に濯いで浸漬してから、タンパク質付着試験前の秤量を行った。膜の重量は、±1μgの精度を有する磁気浮上天秤(Rubotherm社製、ドイツ)を使用して分析した。タンパク質付着試験は、1インチ径の膜をデッドエンド濾過セル内に設置することにより行った。pH=7.0のリン酸緩衝生理食塩水中の1mg/mLウシ血清アルブミン2mLを、デッドエンドセル内に導入し、室温でインキュベートした。1時間後、タンパク質溶液をセルからデカンテーションし、膜を取り出して、超純水中で3回濯ぎ、リン酸緩衝生理食塩水により導入されたいかなる塩残渣及びいかなる非結合タンパク質も除去した(濯ぎプロセスに全体で1時間費やした)。膜を50℃で30分間乾燥させてから、磁気浮上天秤内に設置した。6つの膜(全表面積21cm)を、同時に天秤内で秤量した。秤量は真空下で行い、6つの膜の重量を少なくとも30分間平衡に到達させてから、それらの最終重量を記録した。
【0053】
ここでは膜改質剤としてドーパミンが説明されているが、ドーパミンにおいて見られる官能化化学を使用した複数の実施形態が、同様の防汚膜被覆をもたらし得る。これらの重要な官能基は、カテコール様ジヒドロキシフェニル基及びアミン基であり、これらは、文献においてイガイの接着プラークにおける重要な要素として特定されている。したがって、その置換基が芳香族ジヒドロキシ基及びアミン基を含む分子、又は複数の分子が、膜表面の改質に使用され得る。さらに、チオール基がカテコール様ジヒドロキシフェニル基と反応することも示されている。したがって、任意のチオール含有分子を、任意の芳香族ジヒドロキシ基含有分子と組み合わせて、膜改質剤を形成することもできる。さらに、ドーパミン又は他の芳香族ジヒドロキシ及びアミン含有分子は、芳香族ジヒドロキシ、アミン、又はチオール官能基を含有する様々な異なる分子と共重合されていてもよい。これらの新たなポリマーもまた、膜表面の改質に使用することができる。
【0054】
現在、ほぼ全ての従来の膜改質は、それらがモジュール内に設置される前に行われている。一方、本発明のポリドーパミン処理及び組成物は、膜をモジュール形態に加工した後に膜に表面改質を行うことができるという、他の従来の表面改質技術に勝る利点を有する。本発明は、螺旋巻きモジュール、中空繊維モジュール、平坦シート又は他の予成形構造(別の箇所に記載)として購入された従来の浄水膜の改質のための方法及び組成物を提供する。ポリドーパミン及び同様の接着性ポリマーを大規模に市販の膜に被覆するためには、若干修正された浄水クロスフローシステムを使用することができる。例えば、図7は、実験室規模のクロスフローシステムの画像及び概略図を示す。
【0055】
図7は、膜セル14a、14b及び14cに接続された供給タンク12を有するクロスフローシステム10を示す。クロスフローシステム10はまた、流量計16、圧力計18、温度計20及び天秤22a、22b及び22cを含み得る。クロスフローシステム概略図24の通り、供給タンク12は、一定温度に維持され、側管28、流量計30及び圧力計32に接続されたポンプ26に接続されていることが分かる。圧力計32は、1又は2以上の膜セル14a、14b及び14cに接続されている。ここでは3つの膜セルが示されているが、これは単に簡潔性を目的としたものであり、本発明は多くの膜セル14を含み得ることが、当業者に理解される。1又は2以上の膜セル14a、14b及び14cは、物質のいくつかを通過させ、回収する(34a、34b及び34c)。これは、別個の容器として描かれているが、単一又は複数の容器が存在してもよいことが、当業者には容易に理解される。温度計36をシステムに装備することができる。図7に描写されたクロスフローシステム10において、供給タンク12内の供給水は、高い膜間圧で一連の膜セル14を通してポンピングされる。供給水の一部は、膜表面40に接触し、それにより、汚染物質を阻止しながら純水が膜40を通過して回収される(34)。膜40を通過しない供給水の部分は、その後の濾過のために供給タンク12に戻される。
【0056】
修正されたクロスフローシステムの概略図を、図8に示す。修正されたクロスフローシステム42は、ドーパミン溶液44を含有し、側管28、流量計30に接続されたポンプ26に接続された供給タンク12を含む。任意で、修正されたクロスフローシステム42は、膜セル14の前に位置付けられたフィルタ46及び膜モジュール40を含んでもよい。また、修正されたクロスフローシステム42は、圧力計32、温度計36及び/又は圧力調整器48に、必要となる任意の順番又は組合せで接続されてもよい。さらに、本発明は、膜セル14の前に位置付けられた、フィルタ46の「n」個の分配を含んでもよい。「n」は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10〜100、又は100を超える反復であってもよい。ここでは、一(1)個の膜セル14の前に位置付けられた一(1)個だけのフィルタ46が示されているが、これは簡潔性を目的としたものであり、本発明は複数の膜セル14を含み得ることが、当業者に理解される。図8に描写されたクロスフローシステム10において、供給タンク12内のドーパミン溶液44は、ポンプ26を使用して、高い膜間圧で一連の1又は2以上の膜セル14を通してポンピングされる。ドーパミン溶液44は、膜表面40と接触しながら通過し、これによりドーパミン溶液44は膜40上に堆積する。残りのドーパミン溶液44は、供給タンク12に戻される。
【0057】
本発明は、モジュール形態に加工された表面膜に対するポリドーパミン処理を提供する。例えば、螺旋巻き膜、中空繊維膜、及び平坦シート膜をポリドーパミンで被覆するために、標準的クロスフローシステム(1つのそのようなシステムは上述されている)は3つの様式で修正され得る。第1に、ドーパミン溶液44が膜40を透過しないようにするために、膜モジュール40の透過物側をまず遮蔽する。ゴム栓又はクランプ(又は当業者に知られた他のデバイス)(図示せず)を使用して膜40を遮蔽することができ、ドーパミン処理後に取り外す。第2に、アルカリ性ドーパミン溶液44は、膜モジュール40の供給側を通した水の流れを阻害する微小粒子(図示せず)を形成するため、供給ストリームから除去されなければならない。ポリドーパミン形成中に形成する微小粒子(図示せず)を除去するために、各膜モジュール40の入口付近に粒子フィルタ46が直列に設置される。或いは、粒子フィルタ46は、各膜セル14の入口への分配前に、さらに上流側に設置されてもよい。他のフィルタ46又は一連のフィルタ(図示せず)を使用して、各膜モジュール14の入口前で濾過を達成することができることが、当業者には容易に認識される。したがって、これらの粒子は、ドーパミン溶液44が膜モジュール14に導入される前に除去することができる。粒子フィルタ46の公称細孔直径は、0.05ミクロン〜20ミクロンの間であってもよく、好ましい公称細孔直径は約5ミクロンである。粒子フィルタ46の公称細孔直径は、単に粒子を濾過するのに十分であればよく、また異なる細孔直径を有する一連のフィルタ46を使用することができる。第3に、高い膜間圧を達成するための高出力ポンプの代わりに、小型ポンプ26が使用される。ポンプ26は、低圧(例えば0〜50psig、好ましい圧力範囲は0〜10psig)及び各膜セル14におけるドーパミン溶液44の滞留時間を0.0秒〜3時間(好ましい滞留時間は0.0秒〜10分)に維持する流速で、動作可能であるべきである。短い滞留時間は、膜セル14内に微小粒子が形成されないことを確実とする。滞留時間は、膜セル14の全供給側体積を、供給側ドーパミン溶液44の体積流量で除したものとして定義される。
【0058】
本発明はまた、直列の複数のモジュールを処理するための方法、装置、及び修正されたクロスフローシステム42を提供する。膜セル14は、修正されたクロスフローシステムに直列に追加することができるため、複数の膜セル14(例えば0〜100,000,000個)を、同時にポリドーパミン処理することができる。修正されたクロスフローシステムは、直列又は並列に接続された任意の数の膜モジュール(例えば、1〜10、数十、数百、数千、数万、数十万から100,000,000を超える膜モジュール)、一連のモジュールを含み得る。
【0059】
改質される膜は、部分的又は完全に、1又は2以上の種のポリマーで作製されていてもよい。例えば、ポリマー表面は、ポリエチレン(PE);ポリプロピレン(PP);ポリスチレン(PS);ポリエチレンテレフタレート(PET又はPETE);ポリアミド(PA);ポリスルホン;スルホン化ポリスルホン又は膜用途に好適な任意の他の高分子電解質;ポリエステルポリ塩化ビニル(PVC);ポリカーボネート(PC);アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS);ポリ塩化ビニリデン(PVDC);ポリテトラフルオロエチレン(PTFE);ポリメチルメタクリレート(PMMA);ポリ乳酸(PLA)、ポリピペラジン、及びこれらの組合せを含み得る。さらに、ポリエチレン(PE);ポリプロピレン(PP);ポリスチレン(PS);ポリエチレンテレフタレート(PET又はPETE);ポリアミド(PA);ポリエステルポリ塩化ビニル(PVC);ポリカーボネート(PC);アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS);ポリ塩化ビニリデン(PVDC);ポリテトラフルオロエチレン(PTFE);ポリメチルメタクリレート(PMMA);ポリ乳酸(PLA)は、当業者により改質、置換又は変質され得る。
【0060】
さらに、ポリマーは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート(全ての異性体)、ブチルアクリレート(全ての異性体)、2−エチルヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、アクリル酸、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、アクリロニトリル、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート(全ての異性体)、ヒドロキシブチルアクリレート(全ての異性体)、ジエチルアミノエチルアクリレート、トリエチレングリコールアクリレート、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミド、N−メチル−オールアクリルアミド、N−エチル−オールアクリルアミド、トリメトキシシリルプロピルアクリレート、トリエトキシシリルプロピルアクリレート、トリブトキシシリルプロピルアクリレート、ジメトキシメチルシリルプロピルアクリレート、ジエトキシメチルシリルプロピルアクリレート、ジブトキシメチルシリルプロピルアクリレート、ジイソプロポキシメチルシリルプロピルアクリレート、ジメトキシシリルプロピルアクリレート、ジエトキシシリルプロピルアクリレート、ジブトキシシリルプロピルアクリレート、ジイソプロポキシシリルプロピルアクリレート、酢酸ビニル、スチレン、ジエチルアミノスチレン、パラ−メチルスチレン、ビニル安息香酸、ビニルベンゼンスルホン酸、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、塩化ビニル、フッ化ビニル、臭化ビニル、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、メタクリル酸、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、メタクリロニトリル、アルファメチルスチレン、トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、トリエトキシシリルプロピルメタクリレート、トリブトキシシリルプロピルメタクリレート、ジメトキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジエトキシメチル−シリルプロピルメタクリレート、ジブトキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジイソプロポキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジメトキシシリルプロピルメタクリレート、ジエトキシシリルプロピルメタクリレート、ジブトキシシリルプロピルメタクリレート、ジイソプロポキシシリルプロピルメタクリレート、酪酸イソプロペニル、酢酸イソプロペニル、安息香酸イソプロペニル、塩化イソプロペニル、フッ化イソプロペニル、臭化イソプロペニル、イタコン酸、無水イタコン酸、イタコン酸ジメチル、イタコン酸メチルN−tert−ブチルメタクリルアミド、N−n−ブチルメタクリルアミド、N−メチル−オールメタクリルアミド、N−エチル−オールメタクリルアミド、イソプロペニル安息香酸、ジエチルアミノアルファメチルスチレン、パラ−メチル−アルファ−メチルスチレン、ジイソプロペニルベンゼン、イソプロペニルベンゼンスルホン酸、メチル2−ヒドロキシメチルアクリレート、エチル2−ヒドロキシメチルアクリレート、プロピル2−ヒドロキシメチルアクリレート、ブチル2−ヒドロキシメチルアクリレート、2−エチルヘキシル2−ヒドロキシメチルアクリレート、イソボルニル2−ヒドロキシメチルアクリレート、及びジメチルメタ−イソプロペニルベンジルイソシアネートから選択される1又は2以上の種のモノマーから作製されてもよい。いくつかの実施形態において、ポリマーは、部分的又は完全に、ポリ(1−フェニル−2−[p−トリメチルシリルフェニル]アセチレン、ポリ(1−トリメチルシリル−1−プロピン)、ポリ(エチレンオクテン)、架橋ポリ(エチレンオキシド)、及び1,2−ポリブタジエンから作製されてもよい。
【0061】
本発明のポリマーは、1又は2以上のハロゲン、ヒドロキシル基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、単環式アリール、低級アシル基及びこれらの組合せにより改質及び/又は置換されていてもよい。さらに、ポリマーの1又は2以上の官能基は、ROOH、ROSH、RSSH、OH、SOH、SOR、SOR、COOH、NH、NHR、NR、CONH、及びNH−−NH(式中、Rは、例えば、飽和又は不飽和の少なくとも1個の炭素系環を形成することができる、直鎖状又は分岐状炭化水素系鎖;アルキレン、シロキサン、シラン、エーテル、ポリエーテル、チオエーテル、シリレン、及びシラザンを示す)から選択され得る。
【0062】
ポリマーは、ポリ(1−フェニル−2−[p−トリメチルシリルフェニル]アセチレン(以降「PTMSDPA」と呼ばれる)、並びにポリ(1−トリメチルシリル−1−プロピン)(以降「PTMSP」と呼ばれる)、並びにポリ(エチレンオクテン)を含むエラストマー性及びゴム状ポリマーを含む、ゴム状ポリマー、剛性鎖ポリマー、ガラス状ポリマー及びこれらの組合せを含み得る。本発明に好適な他のポリマーは、置換又は非置換ポリマーであってもよく、ポリスルホン、スチレンとアクリロニトリルポリ(アリーレンオキシド)とのコポリマー、ポリカーボネート、及び酢酸セルロース、ポリスルホン;スチレン含有コポリマー、例えばアクリロニトリルスチレンコポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー及びスチレン−ビニルベンジルハライドコポリマーを含む、ポリ(スチレン);ポリカーボネート;セルロースポリマー、例えば酢酸セルロース−ブチレート、プロピオン酸セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース等;アリールポリアミド及びアリールポリイミドを含む、ポリアミド及びポリイミド;ポリエーテル;ポリ(アリーレンオキシド)、例えばポリ(フェニレンオキシド)及びポリ(キシレンオキシド);ポリ(エステルアミド−ジイソシアネート);ポリウレタン;ポリエステル(ポリアリーレートを含む)、例えばポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(アルキルメタクリレート)、ポリ(アクリレート)、ポリ(フェニレンテレフタレート)等;ポリスルフィド;上記以外のアルファ−オレフィン不飽和を有するモノマーからのポリマー、例えばポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)、ポリ(ブテン−1)、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリビニル、例えばポリ(塩化ビニル)、ポリ(フッ化ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルエステル)、例えばポリ(酢酸ビニル)及びポリ(プロピオン酸ビニル)、ポリ(ビニルピリジン)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルエーテル)、ポリ(ビニルケトン)、ポリ(ビニルアルデヒド)、例えばポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール)、ポリ(ビニルアミド)、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(ビニルウレタン)、ポリ(ビニル尿素)、ポリ(ビニルホスフェート)、及びポリ(ビニルサルフェート);ポリアリル;ポリ(ベンゾベンズイミダゾール);ポリヒドラジド;ポリオキサジアゾール;ポリトリアゾール;ポリ(ベンズイミダゾール);ポリカルボジイミド;ポリホスファジン等;並びに上記からの反復単位を有するブロックインターポリマーを含むインターポリマー、例えばパラ−スルホフェニルメタリルエーテルのアクリロニトリル−臭化ビニル−ナトリウム塩のターポリマー;並びに上記のいずれかを有するグラフト及びブレンドを含み得る。置換ポリマーを提供する置換基は、フッ素、塩素及び臭素等のハロゲン;ヒドロキシル基;低級アルキル基;低級アルコキシ基;単環式アリール;低級アシル基等を含む。
【0063】
本発明は、フェネチルアミン並びに改質及び置換フェネチルアミンモノマーの使用を含む。本発明は、様々なモノマー、ポリマー及び/又はコモノマーの組合せの重合を提供する。例えば、モノマーは、フェネチルアミン、3−トリフルオロメチルフェネチルアミン、2−クロロフェネチルアミン、3−クロロフェネチルアミン、4−クロロフェネチルアミン、2,4−ジクロロフェネチルアミン、3−ブロモフェネチルアミン、4−ヨードフェネチルアミン、3−ヒドロキシフェネチルアミン、4−ヒドロキシフェネチルアミン、2,4−ジヒドロキシフェネチルアミン、2−メチルフェネチルアミン、3−メチルフェネチルアミン、4−メチルフェネチルアミン、2,4−ジメチルフェネチルアミン、2,4,6−トリメチルフェネチルアミン、3−エチルフェネチルアミン、4−エチルフェネチルアミン、4−ヘキシルフェネチルアミン、3−ニトロフェネチルアミン、2−アミノフェネチルアミン、4−アミノフェネチルアミン、2,4−ジアミノフェネチルアミン、2−メトキシフェネチルアミン、3−メトキシフェネチルアミン、4−メトキシフェネチルアミン、2,4−ジメトキシフェネチルアミン、2,4,6−トリメトキシフェネチルアミン、3,4−ジメトキシフェネチルアミン、2−エトキシフェネチルアミン、3−エトキシフェネチルアミン、4−エトキシフェネチルアミン、3−プロポキシフェネチルアミン、4−ブトキシフェネチルアミン、4−t−ブトキシフェネチルアミン、3−メトキシメチルフェネチルアミン、4−メトキシメチルフェネチルアミン、3−(2−メトキシエチル)フェネチルアミン、4−(2−メトキシエチル)フェネチルアミン、4−(2−ヒドロキシエチル)フェネチルアミン、4−(3−ヒドロキシプロピル)フェネチルアミン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェネチルアミン、4−フェニルフェネチルアミン、4−(2−クロロフェニル)フェネチルアミン、4−(2−アミノフェニル)フェネチルアミン、3−(2,4,6−トリメチルフェニル)フェネチルアミン、4−フェノキシフェネチルアミン、4−(3−クロロフェノキシ)フェネチルアミン、4−(4−アミノフェノキシ)フェネチルアミン、3−ベンジルフェネチルアミン、4−フェネチルフェネチルアミン、3−アセチルフェネチルアミン、4−アセチルフェネチルアミン、4−(2−フェノキシエチル)フェネチルアミン、及びフェネチルアミンの3−ベンジルオキシフェネチルアミン、4−フルオロフェネチルアミン、3−ヒドロキシフェネチルアミン、2,5−ジヒドロキシフェネチルアミン、2−メチルフェネチルアミン、3−メチルフェネチルアミン、4−メチルフェネチルアミン、2,4−ジメチルフェネチルアミン、2,4,6−トリメチルフェネチルアミン、3−エチルフェネチルアミン、4−エチルフェネチルアミン、4−ヘキシルフェネチルアミン、3−ニトロフェネチルアミン、2−アミノフェネチルアミン、4−アミノフェネチルアミン、2,4−ジアミノフェネチルアミン、2−メトキシフェネチルアミン、2,5−ジメトキシフェネチルアミン、2,3−ジメトキシフェネチルアミン、3,5−ジメトキシフェネチルアミン、3,4,5−トリメトキシフェネチルアミン、3−メトキシフェネチルアミン、4−メトキシフェネチルアミン、2,4−ジメトキシフェネチルアミン、2,4,6−トリメトキシフェネチルアミン、3,4−ジメトキシフェネチルアミン、2−エトキシフェネチルアミン、3−エトキシフェネチルアミン、4−エトキシフェネチルアミン、3−プロポキシフェネチルアミン、4−ブトキシフェネチルアミン、4−t−ブトキシフェネチルアミン、3−メトキシメチルフェネチルアミン、4−メトキシメチルフェネチルアミン、3−メトキシエチルフェネチルアミン、4−メトキシエチルフェネチルアミン、4−ヒドロキシエチルフェネチルアミン、4−ヒドロキシプロピルフェネチルアミン、4−ヒドロキシエトキシフェネチルアミン、4−フェニルフェネチルアミン、4−(2−クロロフェニル)フェネチルアミン、4−(2−アミノフェニル)フェネチルアミン、3−(2,4,6−トリメチルフェニル)フェネチルアミン、4−フェノキシフェネチルアミン、4−(3−クロロフェノキシ)フェネチルアミン、3,4−メチレンジオキシフェネチルアミン、6−メトキシ−3,4−メチレンジオキシフェネチルアミン、2−メトキシ−3,4−メチレンジオキシフェネチルアミン、4,5−メチレンジオキシフェネチルアミン、3−メトキシ−4,5−メチレンジオキシフェネチルアミン、4−(4−アミノフェノキシ)フェネチルアミン、3−ベンジルフェネチルアミン、4−フェネチルフェネチルアミン、3−アセチルフェネチルアミン、4−アセチルフェネチルアミン、4−(2−フェノキシエチル)フェネチルアミン及び4−ヒドロキシフェネチルアミンの3−ベンジルオキシフェネチルアミン、並びにこれらの置換物及び改質物を含む、単一のモノマー又は2種以上のモノマーの組合せを含み得る。
【0064】
他の例には、β−フェニルエチルアミン(2−フェニルエチルアミン)、フェネチルアミン、4−ヒドロキシ−フェネチルアミン、3,4−ジヒドロキシ−フェネチルアミン、β,3,4−トリヒドロキシ−N−メチルフェネチルアミン、β,3,4−トリヒドロキシフェネチルアミン、β,3−ジヒドロキシ−N−メチルフェネチルアミン、2,4,5−トリヒドロキシフェネチルアミン、β,4−ジヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−N−tert−ブチル−フェネチルアミン、α−メチル−3−アセチルフェネチルアミン、β−ケトアンフェタミン、N−メチル−β−ケトアンフェタミン、3−クロロ−N−tert−ブチル−β−ケトアンフェタミン、3−トリフルオロメチル−N−エチル−アンフェタミン、3,4,5−トリメトキシフェネチルアミン、3,4−メチレンジオキシアンフェタミン、3,4−メチレンジオキシ−N−メチルアンフェタミン、3,4−メチレンジオキシ−N−メチル−β−ケトアンフェタミン、2,5−ジメトキシ−4−メチルアンフェタミン、2,5−ジメトキシ−4−ブロモアンフェタミン、2,5−ジメトキシ−4−ニトロアンフェタミン、2,5−ジメトキシ−4−ブロモフェネチルアミン、2,5−ジメトキシ−4−クロロフェネチルアミン、2,5−ジメトキシ−4−ヨードアンフェタミン、2,5−ジメトキシ−4−ヨードフェネチルアミン、2,5−ジメトキシ−4−メチルフェネチルアミン、2,5−ジメトキシ−4−エチルフェネチルアミン、2,5−ジメトキシ−4−フルオロフェネチルアミン、2,5−ジメトキシ−4−ニトロフェネチルアミン、2,5−ジメトキシ−4−エチルチオ−フェネチルアミン、2,5−ジメトキシ−4−イソプロピルチオ−フェネチルアミン、2,5−ジメトキシ−4−プロピルチオ−フェネチルアミン、2,5−ジメトキシ−4−シクロプロピルメチルチオ−フェネチルアミン、5−ジメトキシ−4−tert−ブチルチオ−フェネチルアミン、及び2,5−ジメトキシ−4−(2−フルオロエチルチオ)−フェネチルアミンが含まれる。チラミン、ドーパミン、エピネフリン(アドレナリン)、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)、フェニレフリン、6−ヒドロキシドーパミン、サルブタモール、アセチルアンフェタミン、カチノン、メトカチノン、ブプロピオン、フェンフルラミン、メスカリン、MDA、MDMA、MDMC、DOM、DOB、DON、2C−B、2C−C、DOI、2C−I、2C−D、2C−E、2C−F、2C−N、2C−T−2、2C−T−4、2C−T−7、2C−T−8、2C−T−9、及び2C−T−21。
【0065】
さらに、ポリマー、モノマー又はコポリマーは、低級アルキル基、アルケニル基、アミノ基、アリール基、アルキルアリール基、ハロゲン基、ハロ基、ハロアルキル基、ホスホリル基又はこれらの組合せのうちの1又は2以上の付加又は置換により改質され得る。さらに、改質物は、1又は2以上の低級アルキル、アルケニル、アミノ、アリール、アルキルアリール、ハロゲン、ハロ、ハロアルキル、ホスホリル又はこれらの組合せで同様に改質され得る。
【0066】
さらに、ポリマー、モノマー又はコポリマーは、親水性及び/又は疎水性であるモノマーを含んでもよく、また架橋してポリマーフィルム及び/又は膜を形成してもよい。ポリマーの架橋度を変えることにより、ポリマーは、大きく水を取り込むことなく非常に高濃度のイオン基(すなわちスルホン酸)を有することができることが、当業者に認識される。さらに、本発明は、スルホン化ポリマー構造及び基材を含み得る。例えば、逆浸透用途の現行のスルホン化ポリマー膜は、高い水フラックス及び高い塩素耐性で、約4〜約11のpH範囲にわたって安定性を示す。
【0067】
従来の浄水膜は、別の箇所で説明される螺旋巻きモジュール、中空繊維モジュール、及び平坦シートとして購入することができる。膜をモジュール形態に加工した後に膜に表面改質を行うことができるため、ポリドーパミンは、他の従来の表面改質技術に勝る大きな利点を有する。ほぼ全ての他の膜改質は、それらがモジュール内に設置される前に行われる必要がある。ポリドーパミン及び同様の接着性ポリマーを大規模に市販の膜に被覆するためには、若干修正された浄水クロスフローシステムが使用される。図7は、実験室規模のクロスフローシステムの写真及び概略図を示す。このシステムにおいて、供給水は、高い膜間圧で一連の膜セルを通してポンピングされる。ある割合の供給水が膜表面に接触し、そこで理論上はいかなる汚染物質も膜により阻止され、それによって純水が膜を通過し、有益な使用のために回収される。膜を通過しないいかなる供給水も、その後の濾過のために供給タンクに戻される。
【0068】
螺旋巻き膜、中空繊維膜、及び平坦シート膜をポリドーパミンで被覆するために、上述の標準的クロスフローシステムは次の3つの様式で修正される。1)膜モジュールの透過物側をまず遮蔽し、それによりいかなるドーパミン溶液も膜を透過しないようにする。ゴム栓又はクランプ等の遮蔽物は、ドーパミン処理後に取り外すことができる。2)ポリドーパミン形成中に形成するいかなる微小粒子も除去するために、各膜モジュールの入口付近に粒子フィルタが直列に設置される。アルカリ性ドーパミン溶液は、供給ストリームから除去されないと、膜モジュールの供給側を通した水の流れを阻害し得る微小粒子を形成する。したがって、これらの粒子は、溶液がモジュールに導入される前に除去されるべきである。粒子フィルタの公称細孔直径は、0.05ミクロン〜20ミクロンの間であるべきであり、好ましい公称細孔直径は約5ミクロンである。3)高い膜間圧を達成するために使用される高出力ポンプの代わりに、小型ポンプが使用される。小型ポンプは、低圧(0〜50psig、好ましい圧力範囲は0〜10psig)及び各モジュールにおけるドーパミン溶液の滞留時間を0秒〜3時間(好ましい滞留時間は0秒〜10分)に維持する流速で、動作可能であるべきである。短い滞留時間は、膜モジュール内に微小粒子が形成されないことを確実とする。滞留時間は、膜モジュールの全供給側体積を、供給側ドーパミン溶液の体積流量で除したものとして定義される。膜モジュールは、修正されたクロスフローシステムに直列に追加することができるため、0〜100000000の複数のモジュールを、同時にポリドーパミン処理することができる。修正されたクロスフローシステムの概略図を、図8に示す。
【0069】
さらに、ポリマーは、分離用膜、フィルム、シート、管、ロール、中空フィラメント、又は特定の形状の繊維状物体として作製されてもよい。さらに、多孔質分離膜又は基材を有するポリマー、及び多孔質分離膜に閉塞接触するコーティングもまた企図される。
【0070】
本明細書において説明されるいかなる実施形態も、任意の方法、キット、試薬、又は本発明の組成物に対して実施することができ、またその逆も成り立つと考えられる。さらに、本発明の組成物は、本発明の方法を達成するために使用することができる。
【0071】
本明細書に記載の特定の実施形態は、本発明の限定としてではなく、例示として示されていることが理解されよう。本発明の主な特徴は、本発明の範囲から逸脱せずに、様々な実施形態において使用することができる。当業者は、本明細書に記載された特定の手順の数々の均等物を認識し、又は慣例的にすぎない実験を用いて確認することができる。そのような均等物は、本発明の範囲内であるとみなされ、特許請求の範囲に包含される。
【0072】
本明細書中で言及される刊行物及び特許出願は全て、本発明が関連する技術分野における当業者の技術のレベルを示すものである。刊行物及び特許出願は全て、それぞれ個々の刊行物又は特許出願が、参照により具体的及び個別に組み込まれることが示された場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0073】
「a」又は「an」という単語の使用は、特許請求の範囲及び/又は明細書において「備えている」という用語と併せて使用される場合、「1つ」を意味し得るが、「1又は2以上」、「少なくとも1つ」、及び「1又は2つ以上」の意味とも一致する。特許請求の範囲における「又は」という用語の使用は、代替物のみを指すように、又は代替物が相互排他的であることが明示的に指定されない限り、「及び/又は」を意味するように使用されるが、本開示は、代替物のみ、並びに「及び/又は」を指す定義に対応する。本出願全体にわたり、値が、デバイス、その値を決定するために使用されている方法、又は試験対象間に存在する変動に固有の誤差の変動を含むことを示すために、「約」という用語が使用される。
【0074】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、「備えている」(及び「備えている」の任意の形、例えば「備える(comprise)」及び「備える(comprises)」)、「有している」(及び「有している」の任意の形、例えば「有する(have)」及び「有する(has)」)、「含んでいる」(及び「含んでいる」の任意の形、例えば「含む(includes)」及び「含む(include)」)、又は「含有している」(及び「含有している」の任意の形、例えば「含有する(contains)」及び「含有する(contain)」)という単語は、包含的又は非制限的であり、追加の列挙されていない要素又は方法ステップを除外しない。
【0075】
「又はそれらの組合せ」という用語は、本明細書において使用される場合、その用語に先行する列挙された項目の全ての順列及び組合せを指す。例えば、「A、B、C、又はそれらの組合せ」は、A、B、C、AB、AC、BC、又はABCのうちの少なくとも1つを含むことを意図し、具体的な文脈において順番が重要である場合、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC又はCABもまた含むことを意図する。引き続きこの例において、BB、AAA、MB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABB等の、1又は2以上の項目又は用語の反復を含有する組合せが、明示的に含まれる。典型的には、文脈から別の意味が明らかでない限り、任意の組合せにおける項目又は用語の数に制限はないことが、当業者に理解される。
【0076】
本明細書において開示及び請求される組成物及び/又は方法の全ては、本開示に照らして、必要以上の実験を行うことなく作製及び実行することができる。本発明の組成物及び方法を、好ましい実施形態に関して説明したが、本発明の概念、精神及び範囲から逸脱せずに、組成物及び/又は方法、並びに本明細書に記載の方法のステップ又はステップの順序に変更が適用され得ることが、当業者には明らかである。当業者に明らかな全てのそのような同様の代替例及び修正例は、添付の特許請求の範囲により定義されるような本発明の精神、範囲及び概念に含まれるものとみなされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜上にドーパミンを堆積させてポリドーパミン被覆膜を形成するステップ
を含み、前記ポリドーパミン被覆膜が、非改質膜よりも高い水フラックス及び増加した膜表面親水性を有する、膜汚染を減少させる方法。
【請求項2】
ポリドーパミン被覆膜の純水フラックスが、非改質膜のフラックスの0〜99%を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリドーパミン被覆膜の純水フラックスが、非改質膜のフラックスの約85%を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ドーパミンが、ハロゲン、ヒドロキシル基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、単環式アリール、低級アシル基及びこれらの組合せの付加から選択される1又は2以上の置換を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
膜が、RO膜、UF膜、NF膜又はこれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ポリドーパミン被覆膜が、以下のポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、エポキシ樹脂、環式オレフィンコポリマー、環式オレフィンポリマー、アクリレートポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンビニレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、又はポリエーテルイミドポリ(フェニレンビニレン)のうちの1又は2以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ドーパミンが、ROOH、ROSH、RSSH、OH、SOH、SOR、SOR、COOH、NH、NHR、NR、CONH、及びNH−−NH(式中、Rは、飽和又は不飽和の少なくとも1個の炭素系環を形成することができる、直鎖状又は分岐状炭化水素系鎖;アルキレン、シロキサン、シラン、エーテル、ポリエーテル、チオエーテル、シリレン、及びシラザンを示す)から選択される1又は2以上の官能基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ポリドーパミン被覆膜が、1又は2以上のポリスルホン、スチレンとアクリロニトリルポリ(アリーレンオキシド)とのコポリマー、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリスルホン;ポリ(スチレン)、スチレン含有コポリマー、アクリロニトリルスチレンコポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−ビニルベンジルハライドコポリマー;ポリカーボネート;セルロースポリマー、酢酸セルロース−ブチレート、プロピオン酸セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、ポリアミド、ポリイミド、アリールポリアミド、アリールポリイミド、ポリエーテル、ポリ(アリーレンオキシド)、ポリ(フェニレンオキシド)、ポリ(キシレンオキシド);ポリ(エステルアミド−ジイソシアネート)、ポリウレタン、ポリエステル(ポリアリーレートを含む)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(アルキルメタクリレート)、ポリ(アクリレート)、ポリ(フェニレンテレフタレート)、ポリスルフィド、ポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)、ポリ(ブテン−1)、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリビニル、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(フッ化ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルエステル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(プロピオン酸ビニル)、ポリ(ビニルピリジン)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルエーテル)、ポリ(ビニルケトン)、ポリ(ビニルアルデヒド)、ポリ(ビニルホルマール)、ポリ(ビニルブチラール)、ポリ(ビニルアミド)、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(ビニルウレタン)、ポリ(ビニル尿素)、ポリ(ビニルホスフェート)、ポリ(ビニルサルフェート)、ポリアリル;ポリ(ベンゾベンズイミダゾール)、ポリヒドラジド、ポリオキサジアゾール、ポリトリアゾール、ポリ(ベンズイミダゾール)、ポリカルボジイミド、ポリホスファジン及びこれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ポリドーパミン被覆膜に1又は2以上の第2のコーティングを施すステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ポリドーパミン被覆膜に1又は2以上の親水性コーティングを施すステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
浄化膜と、
前記浄化膜上に堆積されてポリドーパミン被覆膜を形成するポリドーパミン層であって、前記ポリドーパミン層が前記浄化膜の親水性を増加させ、前記ポリドーパミン被覆膜が高い水フラックスを有する、ポリドーパミン層と、
分離された液体を収容するために前記ポリドーパミン被覆膜の異なる面に位置付けられた、1又は2以上の容器と
を備える液体分離装置。
【請求項12】
疎水性浄化膜と、
前記疎水性浄化膜と接触して、非改質疎水性膜よりも高い水フラックス及び高い親水性を有するポリドーパミン被覆疎水性浄化膜を形成する、ポリドーパミン層と、
前記ポリドーパミン層と接触して、複数層の疎水性−ポリドーパミン−親水性浄化膜を形成する、親水性コーティングと
を備える浄化膜。
【請求項13】
ポリマーマトリックス浄化膜と、
浄化膜上に堆積されて、非改質膜よりも高い水フラックス及び高い親水性を有する芳香族ジヒドロキシ及びアミン被覆浄化膜を形成する、芳香族ジヒドロキシ及びアミン含有モノマーと
を備える浄化膜。
【請求項14】
ポリマーマトリックス浄化膜と、
前記浄化膜上に堆積されて、非改質膜よりも高い水フラックス及び高い親水性を有するポリドーパミン被覆浄化膜を形成する、ポリドーパミン層と
を備える浄化膜。
【請求項15】
従来型浄化膜の改質のためのポリドーパミン被覆浄化膜システムであって、
供給タンク内に配置されたドーパミン溶液と、
前記供給タンクに接続され、前記ドーパミン溶液を移動させて高い膜間圧を提供する、ポンプと、
前記ポンプを膜に接続して前記ドーパミン溶液を前記膜上に堆積させるための、膜入口接続部と、
前記膜を前記供給タンクに接続して前記ドーパミン溶液を前記供給タンクに戻すための、膜出口接続部と
を備える、ポリドーパミン被覆浄化膜システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−527632(P2011−527632A)
【公表日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517629(P2011−517629)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/050150
【国際公開番号】WO2010/006196
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(500039463)ボード・オブ・リージエンツ,ザ・ユニバーシテイ・オブ・テキサス・システム (115)
【Fターム(参考)】