説明

改善された湿潤強度特性を示す繊維性構造体

繊維性構造体及び/又はこのような繊維性構造体を含む衛生ティッシュ製品、より詳細には、従来の一時湿潤強度向上剤を含有する繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品と比較して改善された湿潤強度特性、特に一時湿潤強度特性を示す繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維性構造体及び/又はこのような繊維性構造体を含む衛生ティッシュ製品に関し、より詳細には、従来の一時湿潤強度向上剤を含有する繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品と比較して、改善された湿潤強度特性、特に一時湿潤強度特性を示す繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品に関する。
【背景技術】
【0002】
湿潤強度特性は特定の繊維性構造体、特に衛生ティッシュ製品、詳細にはトイレットペーパーにおいて重要である。繊維性構造体は湿潤強度を付与するために一時湿潤強度向上剤を利用している。市販の一時湿潤強度向上剤の例の1つは、バイエル・ケミカルズ(Bayer Chemicals)からのパレッツ(PAREZ)(登録商標)である。
【0003】
湿潤強度向上剤、特に一時湿潤強度向上剤を含有する衛生ティッシュ製品、詳細にはトイレットペーパーのような繊維性構造体は、初期総湿潤引張り強度(Initial Total Wet Tensile)、崩壊%(% Decay)、崩壊速度(Decay Rate)及び/又は詰まり%減少(% Clogging Reduction)などの湿潤強度特性を示す。これらの湿潤強度特性は、例えばこうした繊維性構造体を従来のトイレで流すことができるその流し易さに影響を与える。
【0004】
従来の一時湿潤強度向上剤を含む先行技術の繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品は、33%前後の5分時の崩壊%(% Decay)及び/又は64%前後の30分時の崩壊%を示す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
繊維性構造体の消費者の要求をよりよく満たすために、従来の一時湿潤強度向上剤を含有する既存の繊維性構造体を超える改善された湿潤強度特性、特に一時湿潤強度特性を示す湿潤強度向上剤、特に一時湿潤強度向上剤を含む繊維性構造体が依然として必要とされている。
【0006】
したがって、従来の一時湿潤強度向上剤を含む繊維性構造体と比較して、改善された湿潤強度特性を示す湿潤強度向上剤、特に一時湿潤強度向上剤を含む繊維性構造体を開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、従来の一時湿潤強度向上剤を含有する繊維性構造体と比較した場合に、改善された湿潤強度特性、特に一時湿潤強度特性を示す、繊維性構造体、特に一時湿潤強度向上剤を含有する繊維性構造体を提供することによって上記で特定された要求を満たす。
【0008】
本発明の1つの態様では、一時湿潤強度向上剤を含む繊維性構造体であって、この繊維性構造体が本明細書に記載される崩壊%試験方法によって測定される場合に、45%よりも大きい、及び/又は50%よりも大きい、及び/又は少なくとも約55%、及び/又は少なくとも約60%、及び/又は少なくとも約75%の5分時の崩壊%(% Decay)を示す(例えば図1に示されるように)繊維性構造体が提供される。
【0009】
本発明の別の態様では、一時湿潤強度向上剤を含む繊維性構造体であって、この繊維性構造体が本明細書に記載される崩壊%試験方法によって測定される場合に、65%よりも大きい、及び/又は70%よりも大きい、及び/又は少なくとも約75%、及び/又は少なくとも約80%、及び/又は少なくとも約85%、及び/又は少なくとも約90%の30分時の崩壊%(% Decay)を示す(例えば図1に示されるように)繊維性構造体が提供される。
【0010】
本発明のさらに別の態様では、一時湿潤強度向上剤を含む繊維性構造体であって、この繊維性構造体が本明細書に記載される崩壊速度計算に従って測定される場合に、約13よりも大きい、及び/又は約14よりも大きい、及び/又は約15よりも大きい、及び/又は約16よりも大きい、及び/又は約17よりも大きい、及び/又は約18よりも大きい崩壊速度勾配(Decay Rate slope)(例えば図2の直線の傾きによって示されるような)を示す繊維性構造体が提供される。
【0011】
本発明のなおさらに別の態様では、一時湿潤強度向上剤を含む繊維性構造体であって、この繊維性構造体が本明細書に記載される詰まり%減少試験方法によって測定される場合に、少なくとも約1.5倍、及び/又は少なくとも約2.0倍、及び/又は少なくとも約2.5倍、及び/又は少なくとも約3.0倍の詰まり%減少(Reduction in % Clogging)を示す(例えば図3に示されるように)繊維性構造体が提供される。
【0012】
本発明のさらに別の態様では、本発明に従う繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品であって、この繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品が本明細書に記載される柔軟性試験方法によって測定される場合に、+0.20PSUよりも大きい、及び/又は+0.30PSUよりも大きい、及び/又は+0.40PSUよりも大きい、及び/又は+0.50PSUよりも大きい柔軟性の改善を示す(例えば、図4に示されるように)繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品が提供される。
【0013】
したがって、本発明は、従来の一時湿潤強度向上剤を含む繊維性構造体と比較して、改善された湿潤強度特性を示す繊維性構造体、特に一時湿潤強度向上剤を含有する繊維性構造体を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(定義)
本明細書で使用する時、「繊維性構造体」とは、不織繊維から形成される基材を意味する。本発明の繊維性構造体は、湿式法、エアレイド法、スパンボンド法などのあらゆる好適なプロセスによって作製されてよい。繊維性構造体は、衛生ティッシュ製品に組み込むのに好適な1以上のプライの形態であってもよく、及び/又は手術用靴カバーを包含する手術用衣類などの不織布衣類、及び/又は手術用タオル及び拭き取り用品などの不織紙製品の形態であってもよい。
【0015】
本明細書で使用する時、「一時湿潤強度向上剤を含む(含有する)繊維性構造体」とは、剤を含まない繊維性構造体と比較して繊維性構造体の湿潤強度を増大させる剤を、繊維性構造体が含むことを意味する。1つの実施形態では、本剤は繊維性構造体の初期総湿潤引張り強度を増大させる。
【0016】
本明細書で使用する時、「繊維」は、その見かけの幅より非常に大きい見かけの長さを有する、すなわち長さ対直径の比が少なくとも約10である、細長い微粒子を意味する。本明細書で使用する時、より具体的には、「繊維」は抄紙用繊維を指す。本発明は、多様な抄紙用繊維、例えば天然繊維若しくは合成繊維、又はあらゆるその他の好適な繊維、及びそれらのあらゆる組み合わせなどを使用することを企図する。本発明で有用な抄紙用繊維には、木材パルプ繊維として一般的に既知のセルロース繊維が挙げられる。利用可能な木材パルプとしては、クラフトパルプ、亜硫酸パルプ、及び硫酸塩パルプなどの化学パルプ、並びに例えば、砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ、及び化学的に改質したサーモメカニカルパルプを包含するメカニカルパルプが挙げられる。しかしながら、化学パルプから作製されたティッシュシートには触知できる優れた柔軟性が付与されることから、化学パルプが好ましいことがある。落葉樹(以下、「広葉樹材」とも呼ばれる)及び針葉樹(以下、「針葉樹材」とも呼ばれる)の両方に由来するパルプを使用してもよい。広葉樹の繊維及び針葉樹の繊維は、混合することができ、あるいは、層状ウェブを提供するために層状に積層することができる。米国特許第4,300,981号及び同第3,994,771号が、広葉樹及び針葉樹の繊維の層化を開示する目的で、本明細書に参考として組み込まれる。また、上記分類のいずれか又はすべて、並びに始めの抄紙を容易にするために使用された充填剤及び接着剤などの他の非繊維性材料を含有してもよい、リサイクル紙に由来する繊維も、本発明に利用できる。上記に加えて、ポリマー類、具体的にはヒドロキシルポリマー類から作製される繊維及び/又は長繊維を本発明に使用してもよい。好適なヒドロキシルポリマー類の非限定的な例としては、ポリビニルアルコール、デンプン、デンプン誘導体類、キトサン、キトサン誘導体類、セルロース誘導体類、ゴム類、アラビナン類、ガラクタン類、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0017】
本明細書で使用する時、「衛生ティッシュ製品」とは、排尿及び排便後の清浄のための拭取り用具(トイレットペーパー)、耳鼻咽喉科学的な分泌物のための拭取り用具(顔用ティッシュ)として、並びに多機能の吸収及び洗浄用途(吸収性タオル)を意味する。
【0018】
本明細書で使用する時、「プライ」(単数又は複数)は、任意に他のプライと実質的に隣接した向かい合わせの関係に配置されて、多プライの繊維性構造体を形成する、個々の繊維性構造体を意味する。また、単一の繊維性構造体は、例えばそれ自体の上に折り重ねることにより、効果的に2つの「プライ」又は多「プライ」を形成できると考えられる。
【0019】
本明細書で使用する時、「坪量」は、ポンド/3000フィート2又はg/m2で報告されるサンプルの単位面積当りの重量である。坪量は、特定の面積(m2)の1又はそれ以上のサンプルを用意し、本発明に従う繊維性構造体及び/又はそのような繊維性構造体を含む紙製品のサンプルを、0.01gの最小感度を有する上皿天秤で秤量することにより測定される。天秤は、風防を使用することにより、気流及びその他の外乱から保護される。天秤の表示が一定になった時に、重量を記録する。平均重量(g)及びサンプルの平均面積(m2)を算出する。平均重量(g)をサンプルの平均面積(m2)で除算することにより坪量(g/m2)を算出する。必要ならば、g/m2単位における坪量をポンド/3000フィート2に変換できる。
【0020】
本明細書で使用する時、「キャリパー」は、サンプルの巨視的な厚さを意味する。本発明に従う繊維性構造体のサンプルのキャリパーは、その繊維性構造体のサンプルを、ロードフットのローディング面が約20.25cm2(3.14インチ2)の円形表面積を有するロードフットのローディング面よりもサイズが大きくなるように切断することによって測定される。サンプルを水平平坦面とロードフットのローディング面との間に押し込める。ロードフットのローディング面がサンプルに1520Pa(15.5g/cm2(約0.21psi))の封圧を加える。キャリパーは、得られる平坦面とロードフットのローディング面との間隙である。このような測定は、スウィング・アルバート・インストルメント・カンパニー(Thwing-Albert Instrument Company)(ペンシルペニア、フィラデルフィア(Philadelphia,PA))から入手可能なVIR電子厚さ試験機モデルII(VIR Electronic Thickness Tester Model II)で得ることができる。平均キャリパーを計算できるように、キャリパー測定を少なくとも5回繰り返して記録する。結果をミリメートルの単位で報告する。
【0021】
本明細書で使用する時、密度とは、サンプルの坪量を、適切な換算を加えたキャリパーで除算したもの意味する。本明細書で使用する見かけの密度は、単位g/cm3で表される。
【0022】
本明細書で使用する時、「重量平均分子量」は、「コロイド及び界面A、物理化学及び工学の状況」(Colloids and Surfaces A.Physico Chemical & Engineering Aspects)162巻、2000、107〜121頁に見出されるプロトコルに従って、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定されるような重量平均分子量を意味する。特に指定しない限り、本明細書の分子量の値はすべて、重量平均分子量を指す。
【0023】
本明細書で使用する時、「機械方向」又は「MD」は、抄紙機及び/又は製品製造機器を通る繊維性構造体の流れに平行な方向を意味する。
【0024】
本明細書で使用する時、「機械横方向」又は「CD」は、繊維性構造体及び/又は繊維性構造体を含む紙製品の同じ平面において、機械方向に垂直な方向を意味する。
【0025】
本明細書で使用する時、「崩壊%(% Decay)」とは、本明細書に記載される崩壊%試験方法に従って測定した場合の湿潤引張り強度の損失%を意味する。崩壊%(% Decay)が増加すると、繊維性構造体及び/又はその繊維性構造体を含む衛生ティッシュ製品の、下水システム及び/又は汚水浄化槽に詰まらずに流されるための能力が増大する。崩壊%(% Decay)は、通常は繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品のサンプル又はそれらの一部を水に浸漬した後の設定時間点において測定される。設定時間点は5分及び30分である。
【0026】
本明細書で使用する時、崩壊%(% Decay)は、そのままの繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品(いずれの一時湿潤強度向上剤も有さない)が本来有していることのある湿潤強度は考慮に入れない。
【0027】
本明細書で使用する時、「崩壊速度」とは、本明細書に記載される崩壊速度計算に従って測定される場合の、繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品に起こる湿潤引張り強度の損失の速度を意味する。崩壊速度は、繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品サンプルに関しての、湿潤引張り強度(g/2.54cm又はg/インチ)の時間(In Time)(秒)に対するプロットの傾きである。繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品の湿潤引張り強度は、5秒時(初期総湿潤引張り強度)、60秒時(1分時の湿潤引張り強度)、300秒時(5分時の湿潤引張り強度)、及び1800秒時(30分時の湿潤引張り強度)に測定される。
【0028】
本発明の繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品に関する湿潤引張り強度の時間(ln Time)に対するプロットは、例えばバイエル・ケミカルズ(Bayer Chemicals)から市販されているパレッツ(Parez)(登録商標)一時湿潤強度向上剤などの従来の一時湿潤強度向上剤を含む先行技術の繊維性構造体/衛生ティッシュ製品よりも、徹底的に高い崩壊速度勾配を示す。図2の崩壊速度勾配のグラフに図示されているように、パレッツ(Parez)(登録商標)一時湿潤強度向上剤を含む繊維性構造体/衛生ティッシュ製品の崩壊速度勾配は約6〜約12.75であったが、一方本発明の繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品の実施形態では、その勾配は13よりも大きかった。実際に計算された勾配は、それが湿潤引張り強度の減少値であるので、負であるが、本発明の目的のためには、負の符号が落とされて、その正の数字が崩壊速度勾配として示される。
【0029】
本明細書で使用する時、「詰まり%」とは、規定された量の繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品、特に一時湿潤強度向上剤を含む繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品が家庭用トイレ(具体的には1回当たりの流し量が6L(1.6ガロン)であるコーラー・ポートレート・ライト・トイレ(Kohler Portrait Lite toilet))及び排水管システムを貫通するのに失敗する回数のパーセントを意味する。詰まり%は、本明細書に記載される詰まり%試験方法に従って測定される。
【0030】
本明細書で使用する時、「詰まり%減少(Reduction in % Clogging)」とは、本発明に従う繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品が従来の一時湿潤強度向上剤(すなわち、本出願を提出した時点で市販されている及び/又は既知の一時湿潤強度向上剤)を含む繊維性構造体/衛生ティッシュ製品と比較した場合に示す詰まり%における減少(すなわち、1.5倍、2倍、2.5倍、及び/又は3倍等)を意味する。
【0031】
本明細書で使用する時、「重量平均分子量」は、「コロイド及び界面A、物理化学及び工学の状況」(Colloids and Surfaces A.Physico Chemical & Engineering Aspects)162巻、2000、107〜121頁に見出されるプロトコルに従って、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定されるような重量平均分子量を意味する。特に指定しない限り、本明細書の分子量の値はすべて、重量平均分子量を指す。
【0032】
(繊維性構造体)
本発明の繊維性構造体は、単プライ又は多プライの衛生ティッシュ製品に組み込まれてもよい。
【0033】
繊維性構造体は、クレーピング、及び/又はミクロ収縮、及び/又は急速移送(rush transferring)などによって短縮されていてもよく、あるいはクレーピングされないもののように短縮されていなくてもよく;クレーピングドクターブレードを有する円筒形の乾燥機からクレーピングされ、クレーピングドクターブレードを使用せずに円筒形乾燥機から取り出され、又は円筒形乾燥機を用いずに作製される。
【0034】
本発明の繊維性構造体は、紙、特に、従来のフェルト圧縮ティッシュペーパー、パターン圧縮ティッシュペーパー、及び嵩高な非圧縮ティッシュペーパーを包含するがこれらに限定されない衛生ティッシュペーパー製品に有用である。ティッシュペーパーは、均質な構造又は多層構造であってもよく、これらから作製されるティッシュペーパー製品は、単プライ構造又は多プライ構造であってもよい。
【0035】
1つの実施形態では、本発明の繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品は、約10g/m2〜約120g/m2の坪量、及び約0.60g/cc以下の密度を示してよい。
【0036】
別の実施形態では、本発明の繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品は、約35g/m2未満の坪量、及び約0.30g/cm3以下の密度を示してもよい。別の実施形態では、本発明の繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品は、約0.04g/cm3〜約0.20g/cm3の密度を示してもよい。
【0037】
繊維性構造体は、空気通過乾燥繊維性構造体、密度差繊維性構造体、湿式繊維性構造体、エアレイド繊維性構造体、従来の繊維性構造体、メルトブローン繊維性構造体、スパンボンド繊維性構造体、ロータリースパン繊維性構造体、及びこれらの混合物から成る群から選択されてよい。
【0038】
繊維性構造体は、単層初期繊維ウェブを生ずる繊維性完成紙料、又は多層初期繊維ウェブを生ずる繊維性完成紙料で作製されてもよい。
【0039】
本発明の繊維性構造体及び/又はこのような繊維性構造体を含む衛生ティッシュ製品は、総乾燥引張り強度が、本明細書に記載される総乾燥引張り強度試験方法によって測定した場合に、約150g/2.54cm(150g/インチ)よりも大きく、及び/又は約200g/2.54cm(200g/インチ)〜約1000g/2.54cm(1000g/インチ)、及び/又は約250g/2.54cm(250g/インチ)〜約850g/2.54cm(850g/インチ)である。
【0040】
本発明の繊維性構造体及び/又はこのような繊維性構造体を含む衛生ティッシュ製品は、初期総湿潤引張り強度が少なくとも約25g/2.54cm(25g/インチ)、及び/又は少なくとも約40g/2.54cm(40g/インチ)、及び/又は少なくとも約60g/2.54cm(60g/インチ)、及び/又は少なくとも約80g/2.54cm(80g/インチ)、及び/又は少なくとも約100g/2.54cm(100g/インチ)である。繊維性構造体及び/又はこのような繊維性構造体を含む衛生ティッシュ製品が、約600g/2.54cm(600g/インチ)未満、及び/又は約500g/2.54cm(500g/インチ)未満、及び/又は約400g/2.54cm(400g/インチ)未満の初期総湿潤引張り強度を有することが、望ましい。繊維性構造体及び/又はこのような繊維性構造体を含む衛生ティッシュ製品の初期総湿潤引張り強度は、本明細書に記載される初期総湿潤引張り強度試験方法によって測定される。初期総湿潤引張り強度は、その繊維性構造体を作っている材料及び/若しくはその繊維性構造体を作るのに使用されるプロセスの結果として、繊維性構造体中に本質的に存在することができ、並びに/又はその繊維性構造体中の一時湿潤強度向上剤の存在によって提供されることができる。一時湿潤強度向上剤は、当該技術分野で公知である。
【0041】
(繊維性構造体向上剤)
繊維性構造体/衛生ティッシュ製品が本明細書で記載するように、従来の一時湿潤強度向上剤を含む繊維性構造体/衛生ティッシュ製品と比較した場合に改善された湿潤強度特性を示す限りにおいて、当業者には公知の一時湿潤強度向上剤を包含する、あらゆる繊維性構造体/衛生ティッシュ製品向上剤を本発明の繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品に組み込んでよい。
【0042】
本発明の繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品で使用するのに好適な一時湿潤強度向上剤の非限定例としては、本明細書で記載される一時湿潤強度向上剤が挙げられる。
【0043】
(一時湿潤強度向上剤)
本発明の繊維性構造体で使用するのに好適な一時湿潤強度向上剤の非限定例は、一般に、約20,000〜約400,000、及び/又は約50,000〜約400,000、及び/又は約70,000〜約400,000、及び/又は約70,000〜約300,000、及び/又は約100,000〜約200,000の重量平均分子量を有する。
【0044】
本発明の繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品の形成において、一時湿潤強度向上剤は、存在する場合、一時湿潤強度向上剤が習慣的に添加される抄紙プロセスのいずれかの時点で希釈水溶液として添加されることができる。このような非繊維性向上剤は、参考として組み込まれる、ヤング、「繊維調製及びアプローチフロー(Fiber Preparation and Approach Flow)」、パルプ及び紙の化学及び化学技術(Pulp and Paper Chemistry and Chemical Technolog)、第2巻、881〜882頁に記載されている。
【0045】
1つの実施形態では、本発明の繊維性構造体は、繊維の約0.005重量%〜約5重量%、及び/又は約0.1重量%〜約2重量%、及び/又は約0.1重量%〜約1重量%のを含んでいる。
【0046】
本発明の一時湿潤強度向上剤は、本発明の繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品に湿潤引張り強度特性及び湿潤引張り崩壊特性を付与する。
【0047】
高い重量平均分子量(すなわち、300,000を超える重量平均分子量)を有する一時湿潤強度向上剤は、消費者の目的にとっては受け入れ難いほどゆっくりと崩壊する場合があることが見出された。それらは、5分後に35〜45%よりも良好な、及び/又は30分後に50〜65%よりも良好な湿潤引張り強度崩壊速度を達成しない場合がある。
【0048】
さらに、極端に低い重量平均分子量(すなわち70,000未満の重量平均分子量)を有する一時湿潤強度向上剤は、非常に低い湿潤強度を有する場合があり、繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品のための一時湿潤強度向上剤として最適ではない場合があることが見出された。
【0049】
本発明に従う一時湿潤強度向上剤は次式を有し:
【0050】
【化1】

式中、A(共架橋モノマー単位上に存在する部分)は、独立して、求電子性部分であり、その非限定例には次のものが挙げられ:
【0051】
【化2】

Z(ホモ架橋モノマー単位上に存在する部分)は、独立して、前記求電子性部分と不安定な共有結合を形成できる求核性部分であり、その非限定例としては次のものが挙げられ:
【0052】
【化3】

且つXは、独立して、−O−、−NH−、又は−NCH3−であり;R1及びR2は、独立して、置換若しくは非置換脂肪族基であり;Y1、Y2、及びY3は、独立して、−H、−CH3、又はハロゲンであり;Qは、カチオン性部分であり;Wは、前記求電子性部分と安定な共有結合を形成しない非求核性部分若しくは求核性部分である。Wに関する部分の非限定例としては、水溶性窒素複素環式部分及び/又は水溶性カルボン酸部分が挙げられる。
【0053】
aのモルパーセントは、約1%〜約47%、好ましくは約5%〜約30%の範囲であり、bのモルパーセントは、約0%〜約60%、好ましくは約0%〜約45%の範囲であり、cのモルパーセントは、約10%〜約90%、好ましくは約30%〜約80%の範囲であり、及びdは、約1%〜約40%、好ましくは約2%〜約20%、より好ましくは約5%〜約12%の範囲である。
【0054】
特に明確に指定しない限り、a、b、c、及びdに対する値は、本発明の一時湿潤強度向上剤のポリマー主鎖におけるモノマー単位の平均数に基づいたモルパーセント値であるものとする。
【0055】
本発明の一時湿潤強度向上剤のポリマー主鎖のモノマー単位は、本明細書に記載されるモルパーセンテージ範囲に対応する比率でポリマー全体に渡って不規則に分布されている。
【0056】
モノマー単位の各部類は、単一のモノマーを包含してもよく、その部類内の2つ以上の異なるモノマーの組み合わせを包含してもよい。モノマー単位の部類内の各モノマー単位のモルパーセントは、独立に選択されてよい。
【0057】
a.共架橋モノマー単位
本発明の一時湿潤強度向上剤の共架橋モノマー単位は求電子性部分を含み、次の構造を有するモノマーから誘導することができ:
【0058】
【化4】

式中、Y1及びAは、上記に定義された通りである。Aが次のものである場合:
【0059】
【化5】

1は、置換又は非置換、分枝状又は線状脂肪族基であることができる。脂肪族基は、好ましくはメチレン又はC2〜C18鎖、より好ましくはメチレン又はC2〜C7鎖、さらにより好ましくはメチレン又はC2鎖を含む。好ましくは、R1が置換されている場合、その置換基(類)はそのアルデヒド部分に関するα−メチレン位に電子求引性官能基を包含する。好適な電子求引性基としては、塩素、フッ素、及び臭素などのハロゲン類;−NHCOR’(式中、各R’は、独立して、置換又は非置換、分枝状又は線状C1〜C12脂肪族基である)のようなアミド類;ヒドロキシル基;アルコキシ基、好ましくはC1〜C8アルキル鎖を有するアルコキシ基;シアノ基、例えば、−CN;及びニトロ基、例えば、−NO2が挙げられるがそれらに限定されない。アルデヒド官能基は、任意に、当該技術分野で公知の技術によって重合時に化学的に保護されることができる。
【0060】
好適な共架橋モノマー単位の非限定例としては、N−(2,2−ジメトキシエチル)−N−メチルアクリルアミド、アクロレイン、メタクロレイン、グリオキシル化アクリルアミド、3,3−ジメトキシプロピルアクリルアミド、3,3ジエトキシプロピルアクリルアミド、3,3−ジメトキシプロピルメタクリルアミド、2,2−ジメトキシ−1−メチルエチルアクリレート、3,3−ジメトキシプロピルメタクリレート、2−(アクリロイルアミノ)エタノールジメチルアセタール、2−(メタクリロイルアミノ)プロパナールジメチルアセタール、5−(アクリロイルアミノ)ペンタナールジメチルアセタール、8−(アクリロイルアミノ)オクタナールジメチルアセタール、及び3−(N−アクリロイル−N−メチルアミノ)プロパナールジメチルアセタールが挙げられる。N−(2,2−ジメトキシエチル)−N−メチルアクリルアミドが最も好ましい。他の好適なモノマーは、米国特許第3,410,828号(ケキッシュ(Kekish)、1986年11月12日発行)及び米国特許第3,317,370号(ケキッシュ、1967年5月2日発行)に開示されており、両方の特許を参考として本明細書に組み込む。
【0061】
b.ホモ架橋モノマー単位
本発明の一時湿潤強度向上剤のホモ架橋モノマー単位は、求電子性部分(すなわち共架橋モノマー単位上に存在するアルデヒド部分)と不安定な共有結合を形成できる求核性部分を含む。この不安定な共有結合の結果として、その求核性部分は、それらのうちの少なくとも1つが本発明の一時湿潤強度向上剤である2つ以上の一時湿潤強度向上剤を、1つの一時湿潤強度向上剤上に存在する求核性部分と別の一時湿潤強度向上剤上に存在する求電子性部分の間に形成される不安定な共有結合を介して、互いに架橋することができる。故に、換言すれば、本発明の一時湿潤強度向上剤のみを含む混合物が、上記のように、求核性部分を介して互いに架橋されてもよく、又は本発明の一時湿潤強度向上剤と他の従来の一時湿潤強度向上剤の混合物が、本発明の一時湿潤強度向上剤上に存在する求核性部分を介して互いに架橋されてもよい。
【0062】
好適な求核性部分の非限定例は、ヒドロキシル含有部分である。
【0063】
本発明の一時湿潤強度向上剤のホモ架橋モノマー単位、すなわち式IにおいてZが結合されているモノマー単位は、次の構造を有するモノマーから誘導することができ:
【0064】
【化6】

式中、Y3及びZは、上記で定義された通りである。Zが次のものである場合:
【0065】
【化7】

2は、置換又は非置換、分枝状又は線状脂肪族基であることができる。脂肪族基は、好ましくはC2〜C18鎖、より好ましくはC2〜C7鎖、さらにより好ましくはC2〜C4鎖を含む。Zが−OHである場合、ホモ架橋モノマー単位中のヒドロキシル基は、当該技術分野で周知の技術によって重合時に化学的に保護される必要がある。
【0066】
好適なホモ架橋モノマー単位の非限定例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、グリセリルモノ−メタクリレート、グリセリルモノ−アクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート4−ヒドロキシブチルメタクリレート、ジエチレングリコールモノ−メタクリレート、ソルビトールメタクリレート、メチル2−ヒドロキシメチルアクリレート、3−メチルブタノール−2メタクリレート、3,3−ジメチルブタノール−2メタクリレート、エチル2−(ヒドロキシメチル)アクリレート、N−2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド、2−アクリルアミドグリコール酸、ポリ(エチレングリコール)アクリレート、及びアクリルアミドトリスヒドロキシメチルメタンが挙げられる。
【0067】
ホモ架橋モノマー単位のさらなる非限定例としては、次式を有するポリ(エチレングリコール)アクリレートが挙げられ:
【0068】
【化8】

式中、nは2〜100、好ましくは2〜50、より好ましくは2〜30の整数であり、及び次式を有するホモ架橋モノマー単位が挙げられる:
【0069】
【化9】

c.カチオン性モノマー単位
カチオン性モノマー単位は、重合後に本発明の一時湿潤強度向上剤に正電荷を付与するあらゆる重合可能なモノマーから誘導することができる。カチオン性モノマー単位は、水に溶解された場合に正に帯電することがあり、正に帯電するのが好ましい。好適な対イオンとしては、塩化物、フッ化物、臭化物、ヨウ化物、サルフェート、メチルサルフェート、ホスフェートなどを挙げることができる。
【0070】
好適なカチオン性モノマー単位の非限定例としては、3−(メタクリロイルアミノ)プロピルトリメチルアンモニウムクロリド、2−ビニル−N−メチルピリジニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、(p−ビニルフェニル)トリメチルアンモニウムクロリド、2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、トリメチル(p−ビニルベンジル)アンモニウムクロリド、p−ジメチルアミノエチルスチレン、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、2−メチルアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート(2-methylacrloyloxyethyltrimethyl ammonium methylsulfate)、及び3−アクリルアミド−3−メチルブチルトリメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
【0071】
本発明の好適なカチオン性モノマー単位のさらなる非限定例としては次のものが挙げられる:
【0072】
【化10】

d.非求核性及び/又は求核性モノマー単位
求電子性部分(すなわち共架橋モノマー単位上に存在するアルデヒド部分)と安定な共有結合を形成しない非求核性及び/又は求核性モノマー単位(Wを含有するモノマー単位)は、任意に、本発明の一時湿潤強度向上剤に組み込まれることができる。
【0073】
非求核性モノマー単位は、次の構造を有するモノマーから誘導することができ:
【0074】
【化11】

式中、W及びY2は上記で定義された通りであるが、Y2は好ましくはHである。好ましくは、Wは親水性である。Wが疎水部分である場合、組み込まれる量(b)は非水溶性であるコポリマーを生じ得るレベルよりも低くなければならない。
【0075】
好適な非求核性モノマー単位の非限定例としては、窒素複素環式部分を含有するモノマー単位、例えばビニルオキサゾリドン類、ビニルイミダゾール類、ビニルイミダゾリン類、ビニルピリジン類、及びN−ビニルピロリドン、2−ビニルピロリドンなどのようなビニルピロリドン類が挙げられる。
【0076】
モノマー単位出発試薬として有用な他の具体的な窒素複素環としては、N−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリジン、N−ビニル−2−オキサゾリドン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、2−ビニルイミダゾールN−ビニル−3−モルホリノン、N−ビニルカプロラクタムなどが挙げられる。これらの窒素複素環のうち、ビニルピロリドン類がとりわけ好ましい。
【0077】
非求核性親水性モノマー単位の他の非限定例は、N,N−ジメチルアクリルアミド及びメトキシポリ(エチレングリコール)メタクリレートである。
【0078】
非求核性疎水性モノマー単位の非限定例としては、アルキル、特にC1〜C4、アクリレート及びメタクリレートエステル類及びスチレン類が挙げられる。
【0079】
好適な非求核性モノマー単位の非限定例としては、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソ−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソ−プロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、α−メチルスチレン、ベンジルアクリレート、及びエチルヘキシルアクリレートが挙げられる。
【0080】
1つの実施形態では、非求核性疎水性モノマー単位はブチルアクリレートを包含する。
【0081】
求電子性部分と安定な共有結合を形成しない求核性モノマー単位の非限定例としては、カルボン酸が挙げられる。好適なカルボン酸の非限定例としては、アクリル酸、メタクリル酸、β−アクリルオキシプロピオン酸、ビニル酢酸、ビニルプロピオン酸、クロトン酸、エタクリル酸、α−クロロアクリル酸、α−シアノアクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、メチレンマロン酸、これらの塩類、及びそれらの混合物から成る群から選択されてよい、C38モノカルボン酸類及びC48ジカルボン酸類が挙げられる。
【0082】
より好ましくは、そのC38モノカルボン酸類、C48ジカルボン酸類、これらの塩類、及びこれらの混合物は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸から成る群から選択されてよい。
【0083】
驚くべきことに、一時湿潤強度向上剤、特に一時湿潤強度向上剤、より詳細にはブチルアクリレートなどの非求核性モノマー単位及び/又はポリ(エチレングリコール)アクリレート部分を含むホモ架橋モノマー単位を含む一時湿潤強度向上剤を含む繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品では、例えば、その繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品の湿潤引張り強度へのクレーピングの悪影響が最小限に抑えられ、並びに/あるいは本明細書に記載されるもの以外の一時湿潤強度向上剤を含有する繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品と比較して、繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品の柔軟性が改善されるということが見出された。
【0084】
理論に束縛されるものではないが、本発明の一時湿潤強度向上剤は、従来の一時湿潤強度向上剤よりも低いTgを示し、それ故、結果としてクレーピングプロセス時の破砕が回避されるものと考えられる。クレーピングプロセス時に破砕しないことによって、こうした一時湿潤強度向上剤を含み、特にこの一時湿潤強度向上剤が約100℃未満のTgを示す繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品における湿潤引張り強度の損失が、軽減され、又は阻止される。
【0085】
本発明の一時湿潤強度向上剤は、バルク、溶液、エマルション、又は懸濁液重合を包含する多種多様な技術によって作製することができる。重合方法及び重合のための技術は、高分子科学技術百科事典(Encyclopedia of Polymer Science and Technology)、インターサイエンス・パブリッシャーズ(Interscience Publishers)(ニューヨーク)、第7巻、361〜431頁(1967年)、及びカーク・オスマー工業化学百科事典(Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology)、第3版、第18巻、740〜744頁、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)(ニューヨーク)、1982年に概ね記載されており、これらの両方を参考として本明細書に組み込む。本発明に好適な一般的な反応技術に関しては、ソレンソン・W.P.(Sorenson,W.P.)及びキャンベル,T.W.(Campbell,T.W.)、高分子化学物質の調製法(Preparative Methods of Polymer Chemistry.)第2版、インターサイエンス・パブリッシャーズ(Interscience Publishers)(ニューヨーク)、1968年、248〜251頁(本明細書に参考として組み込まれる)も参照のこと。好ましくは、一時湿潤強度向上剤は、フリーラジカル共重合によって、水溶性反応開始剤を使用して製造される。好適なフリーラジカル反応開始剤としては、熱的反応開始剤、レドックス対、及び光化学反応開始剤が挙げられるが、これらに限定されない。レドックス及び光化学反応開始剤は、約30℃(86°F)より低い温度で開始される重合プロセスのために好ましい。こうした反応開始剤は、本明細書に参考として組み込まれる、カーク・オスマー工業化学百科事典(Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology)、第3版、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)(ニューヨーク)、第13巻、355〜373頁(1981年)に概ね記載されている。30℃以下でラジカルを与えることのできる典型的な水溶性反応開始剤には、過硫酸カリウム/硝酸銀、及びアスコルビン酸/過酸化水素などのレドックス対が挙げられる。好ましい方法では、約40℃(104°F)より高い温度で行われる重合プロセスにおいて熱的反応開始剤を利用する。40℃(104°F)以上でラジカルを与えることのできる水溶性反応開始剤が使用できる。これらには、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、及び2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリドが挙げられるが、これらに限定されない。特に好ましい方法の1つでは、水溶性の出発モノマーが水性アルコール溶媒中60℃(140°F)で、反応開始剤として2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリドを使用して重合される。溶媒は、典型的には、重合反応媒体のゲル化を防止するために少なくとも約10体積%のアルコールを含有しなければならない。このような反応に使用するのに好適なアルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及びブタノールなどであるが、これらに限定されない低分子量アルコールが挙げられる。
【0086】
別の技術は、米国特許第3,317,370号(ケキッシュ(Kekish)、1967年5月2日発行)、及び米国特許第3,410,828号(ケキッシュ、1968年11月12日発行)に記載されているような、溶液重合であり、これらの特許は両方とも本明細書に参考として組み込まれる。こうしたプロセスに従い、アクロレイン、又は他のアルデヒド系モノマーが非求核性水溶性窒素複素環式重合可能モノマー及びレドックス反応開始剤系と共に共重合される。コポリマーは次に、そのコポリマーを水溶性アミン又はアミン四級化物と反応させることによってカチオン性となされる。アミン四級化物類を包含する有用なアミン類としては、一級、二級、及び三級アミン類、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、又は前記のもののいずれかの部分的に若しくは完全に四級化された誘導体類、それらのヒドラジド類及び四級化物類、例えばベタインヒドラジドクロリド、N−N−ジメチルグリシンヒドラジド、非対称ジメチルヒドラジド類、ポリマー類、例えば、尿素とポリアルキレンポリアミン類の反応によって形成されるもの、グアニジン類、ビグアニド類、グアニル尿素類、モノ及びポリヒドロキシポリアミン類、並びにそれらの四級化物等が挙げられるが、これらに限定されない。このエマルション共重合技術を用いる場合には、分子量を本明細書に与えられる範囲内に制御することが必要となる。このための好適な方法を以下で説明する。
【0087】
一般に、一時湿潤強度向上剤の重量平均分子量が減少されると、初期湿潤強度は小さくなり、湿潤強度崩壊が速くなる。本発明の一時湿潤強度向上剤は、少なくとも約20,000、好ましくは少なくとも約70,000の分子量を有するべきである。分子量の上限は、以下にさらに説明される強度崩壊の望ましいレベルを付与するための向上剤の能力と、パルプスラリー若しくはパルプシートへと適用するための十分に低い粘度並びにこのような高分子量の向上剤の形成に関する技術的な及び経済的な問題のような現実的な考慮点との組み合わせによって制限されることになる。一般に、分子量は、約400,000未満、好ましくは約300,000未満、より好ましくは約200,000未満でなければならない。
【0088】
分子量は当業者には既知のこうした方法、例えば、反応温度を変化させること(温度の増加は典型的には分子量の減少をもたらす)、フリーラジカル反応開始剤の濃度を変化させること、及び連鎖移動剤を利用することによって制御することができる。好適な連鎖移動剤としては、β−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、グリセロール、アセトン、及びイソプロパノールが挙げられるが、これらに限定されない。他の好適な連鎖移動剤としては、本明細書に参考として組み込まれる、高分子ハンドブック(Polymer Handbook)、第2版、J.ブランドラップ(J.Brandrup)及びE.H.イマーガット(E.H.Immergut)編、ウィリー・インターサイエンス(Wiley-Intersciences)(ニューヨーク)、(1975年)、II−57〜II−104頁に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
(非限定的な合成例)
次の構造を有する、本発明の繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品に包含させるための好適な一時湿潤強度向上剤、詳細には一時湿潤強度向上剤の非限定例:
【0090】
【化12】

は以下のように調製することができる:
N−(2,2−ジメトキシエチル)−N−メチルアクリルアミド(45.71g、0.2369モル)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(214.55g、1.8477モル)、[3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(58.27g、0.2640モル)、n−ブチルアクリレート(33.83g、0.2682モル)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(2.147g、7.917ミリモル)、2−プロパノール(152mL)、アセトン(650mL)、及び水(1.48L)を、機械的攪拌器、温度プローブ、及び還流凝縮器を取り付けた5L三口丸底フラスコに加える。この溶液にアルゴンを30分間散布し、次いでアルゴン下で一定の攪拌を行いながら室温から55℃まで加熱し、この時点で反応が発熱反応となる。反応がもはや発熱性でなくなるまで反応温度を約58℃〜約60℃に維持する。さらに20時間、溶液を60℃に加熱する。このポリマーはアセタール保護基を有することになる。分析用サンプルを取り置いて、プロトンNMR分光法及びゲル浸透クロマトグラフィーによって特性を明らかにする。減圧下で2−プロパノール及びアセトンを除去し、次いで粘稠な溶液を水(2.9L)の入った12L三口丸底フラスコに移し、次に濃HCl(49mL)を加える。溶液を窒素下で、40℃で4時間加熱して保護基を加水分解する。室温まで冷却した後、NaOHで溶液をpH5に調整する。このポリマーの重量平均分子量は、典型的に約92,000となり、a、b、c、及びdは、典型的にそれぞれ、約9%〜約11%、約9%〜約11%、約69%〜約71%、及び約9%〜約11%となる。このポリマーのTgは典型的に約75℃となる。
【0091】
(試験方法)
A.崩壊%(% Decay)試験方法
a.サンプル調製−手抄き紙
サンプル繊維構造体がない場合には、崩壊%(% Decay)を試験するためにサンプル手抄き紙を調製することができる。手抄き紙は、100%未精製ノーザン・ソフトウッド・クラフト(NSK)から、NSKとユーカリとの混合物から、又は所望されるような他の繊維から形成することができる。NSK、又は他の繊維を水中に分散させた後、一時湿潤強度樹脂を粉砕されたパルプに加え、そのスラリーを1〜60分の範囲の一定時間攪拌する。手抄き紙は次のことを除いては本質的にTAPPI標準T205に従って作製される:
(1)シートをポリエステルワイヤ上で形成し、圧搾ではなく吸引によって脱水する;
(2)初期ウェブを真空によってポリエステル抄紙布地へと移動させる;
(3)シートを次にロータリードラム乾燥機上で蒸気により乾燥させる。
【0092】
b.試験
1.試験される繊維性構造体又は衛生ティッシュ製品の11.33cm(4.5インチ)幅×10.16cm(4インチ)長さのストリップを用意する。2.54cm(1インチ)幅のサンプルストリップをその繊維性構造体又は衛生ティッシュ製品から切断する。
【0093】
2.温度23±3℃(73±4°F)及び相対湿度50±10%にコンディション調整された室内で、サンプルストリップ[2.54cm(1インチ)幅]を電子引張り試験機、スウィング・アルバート・インストルメント・カンパニー(Thwing Albert Instrument Company)から市販されているEJA引張り試験機型番1376−18に取り付ける。2.54cm/分(1インチ/分)のクロスヘッドスピードで引張り試験機を作動させる。引張り装置は、水平ロッドがクランプ面と平行になり及び他の点ではクランプに対して対称に配置されるように、引張り試験機の下方クランプ内で固定される。下方クランプの位置は、ロッドの水平軸が上方クランプよりも正確に2.54cm(1インチ)低くなるように調節される。
【0094】
3.液体容器を、23ppmカルシウムイオン、7ppmマグネシウムイオン及び67ppm重炭酸ナトリウムを含有する標準の水道水で、容器の上部から0.3175cm(1/8インチ)まで満たす。測定用サンプルストリップを湿潤引張り装置中のロッドの下に通す。サンプルストリップの両端を一緒に配置し、緩みを取り除いて上方クランプを締める。サンプルストリップは水平ロッド及び上方クランプに関して中心に配置される。液体容器を持ち上げてサンプルストリップのループ状の端部を、少なくとも1.9cm(3/4インチ)の深さまで浸漬する。液体容器を所定位置に持ち上げてから液体容器を所定位置に保持したままの状態で、正確に5秒後に、引張り試験機を係合させた。荷重を記録する。湿潤引張り強度はg/2.54cm(g/インチ)の単位で表される。
【0095】
【数1】

湿潤引張り強度を機械方向(MD)及び機械横方向(CD)に対して計算する。
【0096】
総湿潤引張り強度(TWT)=平均湿潤引張り強度(MD)+平均湿潤引張り強度(CD)
4.次に、サンプルストリップを上記の工程3で記載したようにインテレクト(Intelect)500に挟む。液体容器をその一番上の位置まで持ち上げて、標準的な水道水に試験片のループ状端部を、少なくとも1.9cm(3/4インチ)の深さまで浸漬する。液体容器を所定の位置に持ち上げてから5分後に、湿潤引張り荷重を再び読み取る。
【0097】
【数2】

5.工程4を繰り返すが、但しサンプルストリップを標準の水道水に5分間ではなくて30分間浸漬する。崩壊%(% Decay)を次のように計算する:
【0098】
【数3】

B.総乾燥引張り試験方法
1.試験される繊維性構造体又は衛生ティッシュ製品の11.33cm(4.5インチ)幅×10.16cm(4インチ)長さのストリップを用意する。2.54cm(1インチ)幅のサンプルストリップを繊維性構造体又は衛生ティッシュ製品から切断する。
【0099】
2.温度23±3℃(73±4℃)及び相対湿度50±10%にコンディション調整された室内で、2.54cm(1インチ)のサンプルストリップを電子引張り試験機、スウィング・アルバート・インストルメント・カンパニー(Thwing Albert Instrument Company)から市販されているEJA引張り試験機型番1376−18に設置する。
【0100】
製造元の説明書に従って引張り試験機を5.08cm/分(2インチ/分)のクロスヘッドスピード及び10.16cm(4インチ/分)のゲージ長で作動させる。乾燥引張り強度をg/2.54cm(g/インチ)の単位で表す。
【0101】
【数4】

総乾燥引張り強度はサンプルストリップのMD及びCD引張り強度の算術和である。
【0102】
C.詰まり%減少(Reduction in % Clogging)試験方法
坪量が34.18g/m2(21ポンド/3000フィート2)であり、初期総湿潤引張り強度が少なくとも40g/2.54cm(40g/インチ)、好ましくは約60g/2.54cm(60g/インチ)〜約70g/2.54cm(70g/インチ)である一時湿潤強度向上剤を含む対照用の繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品を得る。
【0103】
対照用繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品と、試験される繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品の71.12cm(28インチ)長さ×10.43cm(4.5インチ)幅のストリップを得る。各ストリップを個々にそれ自体の上に折り畳んで、10.16cm(4インチ)長さ×10.43cm(4.5インチ)幅の折り畳まれたサンプルを形成する。
【0104】
温度23±3℃(73±4°F)及び相対湿度50±10%にコンディション調整された室内で、6枚の折り畳まれた対照用繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品を1回当たりの流し量が6L(1.6ガロン)であるコーラー・ポートレート・ライト・トイレ(Kohler Portrait Lite toilet)内に10秒間隔で1度に1枚ずつ入れる。各折り畳まれたサンプルはトイレ内に入れる前に秤量する。トイレは内径100mm(4インチ)の排水管に連結されている。排水管の全長は13.25m〜14m(43〜45フィート)である。排水管は2つの45℃肘部で構成された4つの湾曲部を包含する。水供給の管路の圧力を、138±21kPa(20±3psi)に調整する。通気孔を提供するために、単一の100mm(4インチ)内径の「T」をトイレと排水管の間に挿入する。
【0105】
6枚の折り畳まれた対照用サンプルをすべてトイレ内に入れた後、トイレを流す。
【0106】
各対照用サンプルのトイレ及び/又は排水管内での位置を記録する。
【0107】
サンプルが便器又は排水管を流れなかった場合、その試験を詰まり事象として記録する。
【0108】
流した後に便器中の水の高さが普通であるが、サンプルが便器/排水管を流れなかった場合には、トイレ/排水管からサンプルを取り除くために追加の流しを実行した後必要ならば押し込む。この場合は詰まり事象として報告する。
【0109】
流した後に便器中の水の高さが通常よりも高く、及びサンプルが自力で便器/排水管を流れなかった場合には、排水管は詰まったとみなされ、その水洗は失敗(詰まり事象)として記録される。そのときは、次の試験を行う前にトイレプランジャーを使用して排水管からティッシュを取り除く。
【0110】
便器/排水管が詰まり始めて水の高さが便器中で増加するが、その後何の介在もなしに自力で一掃される場合。これは詰まり事象としては記録されない。
【0111】
全部で10回、一掃され流したトイレで上記の工程を繰り返すことにより試験を行う。10回のうちの詰まり事象(失敗)が起こった回数に基づいてパーセント詰まりを計算する。
【0112】
試験される繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品に対して上記の工程を繰り返す。
【0113】
対照用の詰まり%を試験サンプルの詰まり%で割ることによって、いくらかでもあれば詰まり%減少(Reduction in % Clogging)(すなわち、何倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、等)を計算する。
【0114】
D.柔軟性試験方法
本発明に従う繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品の「柔軟性」を次のように測定する。理想的には、柔軟性試験の前に、試験されるサンプルを、TAPPI法#T402OM−88に従ってコンディション調整しなければならない。ここでは、サンプルを10〜35%の相対湿度レベル及び22℃〜40℃の温度範囲内で24時間、前調整する。この前調整工程の後、サンプルを48〜52%の相対湿度及び22℃〜24℃の温度範囲内で24時間コンディション調整する必要がある。理想的には、柔軟性パネル試験は、一定温度及び湿度の部屋という制限内で実施すべきである。これが実行可能でない場合には、対照用を包含するすべてのサンプルは同一の環境露出条件を受けるべきである。
【0115】
柔軟性試験は、「官能試験法マニュアル(Manual on Sensory Testing Methods)」、ASTMスペシャル・テクニカル・パブリケーション434(ASTM Special Technical Publication 434)、米国材料試験協会(the American Society For Testing and Materials)出版、1968年に記載されているものと同様の形態で、一対比較として実行され、この文献は本明細書に参考として組み込まれる。柔軟性は一対差異試験(Paired Difference Test)と称されるものを用いた主観的な試験によって評価される。この方法は、試験材料そのものに対して標準的な外観を使用する。柔軟性を触知させるために、2つのサンプルを被験者に見えないようにして渡し、その被験者に触知した柔軟性に基づいてそれらのうちの1つを選んでもらう。試験の結果をパネルスコアユニット(PSU)と称されるもので報告する。本明細書でPSUで報告される柔軟性データを得るための柔軟性試験に関しては、多くの回数の柔軟性パネル試験を実施する。各試験において、対をなしたサンプル3セットの相対的柔軟性を評価するために、10回の熟練した柔軟性の判定が要求される。各判定者がサンプルの対を1度に1対評価する:各対の一方のサンプルはXで示され、他方はYで示される。簡単にいえば、各Xサンプルを次のようにしてそれと対となされたYサンプルに対して等級化する:
1.XがYよりも少し柔らかいかもしれないと判定された場合には、プラス1の等級が与えられ、YがXよりも少し柔らかいかもしれないと判定された場合には、マイナス1の等級が与えられる;
2.XがYよりも確かに少し柔らかいと判定された場合には、プラス2の等級が与えられ、YがXよりも確かに少し柔らかいと判定された場合には、マイナス2の等級が与えられる;
3.XがYよりもかなり柔らかいと判定された場合には、Xに対してプラス3の等級が与えられ、YがXよりもかなり柔らかいと判定された場合には、マイナス3の等級が与えられる;そして、最後に:
4.XがYよりもずっと柔らかいと判定された場合には、Xに対してプラス4の等級が与えられ、YがXよりもずっと柔らかいと判定された場合には、マイナス4の等級が与えられる。
【0116】
等級を平均し、得られた値をPSUの単位とする。得られたデータは1つのパネル試験の結果とみなされる。1つよりも多いサンプルの対が評価される場合には、すべてのサンプルの対を、対統計分析(paired statistical analysis)によりそれらの等級に従ってランク付けする。次に、ゼロベース標準となるように選択されたいずれかのサンプルにゼロPSU値を与えるように、ランクの値を上又は下にシフトさせる。次いで、他のサンプルは、ゼロベース標準に対する相対的な等級によって測定されるようなプラス又はマイナスの値を有する。実施され平均されるパネル試験の回数は、主観的に知覚された柔軟性において約0.2PSUが優位性を表すような回数とする。次に未補正のPSUスコアをリント(lint)及び乾燥引張り強度に関して補正する。7.0(基準のリント値(lint value))を超えるリント値+1ごとに、未補正のPSUスコアを0.15PSUずつ減ずる。450g/2.54cm(450g/インチ)(基準の総乾燥引張り強度値)を超える総乾燥引張り強度100gごとに、未補正のPSUスコアを0.35PSUずつ減ずる。
【0117】
本発明の繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品を、本出願を提出する時点で市販されている及び/又は既知の一時湿潤強度向上剤を含む繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品と比較する。
【0118】
先行技術の繊維性構造体/衛生ティッシュ製品は、本出願を提出する時点で市販されている及び/又は既知の、最も良好な従来の一時湿潤強度向上剤、又は最も良好な従来の一時湿潤強度向上剤のうちの1つを含んでいる。
【0119】
本発明の繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品の種々の実施形態が図面に包含される。1つの図面における本発明の実施形態は、他の図面のいずれかにおける実施形態と必ずしも対応していない。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】先行技術の繊維性構造体/衛生ティッシュ製品、及び本発明に従う繊維性構造体/衛生ティッシュ製品の実施形態を示している崩壊%(% Decay)チャート。
【図2】先行技術の繊維性構造体/衛生ティッシュ製品、及び本発明に従う繊維性構造体/衛生ティッシュ製品の実施形態を示している崩壊速度勾配グラフ。
【図3】先行技術の繊維性構造体/衛生ティッシュ製品、及び本発明に従う繊維性構造体/衛生ティッシュ製品の実施形態を示している詰まり%減少(Reduction in % Clogging)チャート。
【図4】先行技術の繊維性構造体/衛生ティッシュ製品、及び本発明に従う繊維性構造体/衛生ティッシュ製品の実施形態を示している柔軟性チャート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
崩壊%試験方法によって測定された場合に、45%よりも大きい5分時の崩壊%、及び/又は65%よりも大きい30分時の崩壊%を示すことを特徴とする、繊維性構造体。
【請求項2】
前記繊維性構造体及び/又は前記繊維性構造体を含む単プライの又多プライ衛生のティッシュ製品が、少なくとも30g/2.54cmの初期総湿潤引張り強度を示す、請求項1に記載の繊維性構造体。
【請求項3】
前記繊維性構造体が、一時湿潤強度向上剤を含み、ここで好ましくは前記一時湿潤強度向上剤が、次の式を有する、請求項1又は2のいずれか一項に記載の繊維性構造体であって:
【化1】

式中、Aは、独立して次のものから選択される求電子性部分であり:
【化2】

Zは、独立して次のものから選択され:
【化3】

且つXは、独立して、−O−、−NH−、又は−NCH3−から選択され、R1及びR2は、それぞれ独立して置換若しくは非置換脂肪族基から選択され:Y1、Y2、及びY3は、それぞれ独立して−H、−CH3、又はハロゲンから選択され;Wは独立して前記求電子性部分Aと安定な共有結合を形成しない非求核性部分又は求核性部分であり;Qは、独立してカチオン性モノマー単位であり、式中、aのモルパーセントは、1%〜47%であり、bのモルパーセントは、0%〜70%であり、cのモルパーセントは、10%〜90%であり、及びdのモルパーセントは、1%〜40%であり;前記一時湿潤強度向上剤が、少なくとも70,000の重量平均分子量を有する、繊維性構造体。
【請求項4】
前記一時湿潤強度向上剤が、前記繊維性構造体中に繊維の0.005重量%〜5重量%の量で存在する、請求項3に記載の繊維性構造体。
【請求項5】
前記繊維性構造体が、13よりも大きい崩壊速度勾配を示すことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の繊維性構造体。
【請求項6】
前記繊維性構造体が、詰まり%減少試験方法によって測定された場合に、1.5倍よりも大きな詰まり%減少を示すことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の繊維性構造体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の繊維性構造体を含む衛生ティッシュ製品。
【請求項8】
前記衛生ティッシュ製品が、+0.20PSUよりも大きな柔軟性の改善を示す、請求項7に記載の衛生ティッシュ製品。

【図1】
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【公表番号】特表2007−508468(P2007−508468A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534465(P2006−534465)
【出願日】平成16年10月13日(2004.10.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/033653
【国際公開番号】WO2005/038131
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】