説明

改変配列を有するレオウイルス

本発明は、改変レオウイルス核酸配列および改変レオウイルスポリペプチド配列、ならびにかかる改変核酸またはポリペプチド配列を含むレオウイルスを提供する。本発明は、改変配列を有するレオウイルスを含む医薬組成物、ならびにかかるレオウイルスを作製および使用する方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、35 U.S.C.119(e)に基づいて、2007年3月12日提出の米国特許出願第60/894,425号、および2007年11月21日提出の米国特許出願第60/989,568号に対する優先権を主張し、いずれも参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ウイルスに関連し、より具体的には改変配列を有するレオウイルスに関する。
【背景技術】
【0003】
レオウイルス(reovirus)という名称は、呼吸器および腸管オーファン(Respiratory and Enteric Orphan)ウイルスの頭文字に由来し、初期単離株はヒト呼吸器および腸管から得られたが、重篤な疾患とは関連しないことを反映する。レオウイルスは、二本鎖の分節RNAゲノムを有する。ビリオン(ウイルス粒子)は、直径60〜80nmであり、同心状の2つのカプシドシェルを有し、これらの各々は、二十面体である。哺乳動物のレオウイルスゲノムは、総ゲノムサイズが〜23.5kbpで、10の個々の分節において二本鎖RNAで構成される。個々のRNA分節は、サイズが異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願第60/894,425号
【特許文献2】米国特許出願第60/989,568号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Sabinの1959,Science,130:966
【非特許文献2】Fields et al.,1996,Fundamental Virology,3rd Ed.,Lippincott−Raven
【非特許文献3】Rosenの1960,Am.J.Hyg.,71:242、and Stanley,1967,Br.Med.Bull,23:150
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
3つの血清学的に異なるが、関連する種類のレオウイルスが、哺乳動物種:1型(代表的な株は、例えば、Lang(T1L)を含む)、2型(代表的な株は、例えば、Jones(T2J)を含む)、および3型(代表的な株は、例えば、DearingまたはAbney(それぞれT3DまたはT3A)を含む)から回収されている。3つの血清型は、中和および赤血球凝集抑制アッセイに基づいて容易に同定可能である(例えば、Sabinの1959,Science,130:966、Fields et al.,1996,Fundamental Virology,3rd Ed.,Lippincott−Raven、Rosenの1960,Am.J.Hyg.,71:242、and Stanley,1967,Br.Med.Bull,23:150を参照)。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書では、改変核酸およびポリペプチド配列を有するレオウイルスを提供する。配列改変は、例えば、1つもしくは複数のレオウイルスゲノム分節に改変を含む。改変配列を有するレオウイルスを含む医薬組成物、ならびにかかるレオウイルスを使用する方法も提供する。
【0008】
一態様においては、本発明は、1つもしくは複数のアミノ酸改変を有するλ−3ポリペプチドを有するレオウイルス、1つもしくは複数のアミノ酸改変を有するσ−3ポリペプチド、1つもしくは複数のアミノ酸改変を有するμ−1ポリペプチド、および/または1つもしくは複数のアミノ酸改変を有するμ−2ポリペプチドを提供する。かかるレオウイルスは、例えば、非自然発生的であることがある。別の態様においては、本発明は、1つもしくは複数のアミノ酸改変を有するレオウイルスλ−3ポリペプチド、1つもしくは複数のアミノ酸改変を有するレオウイルスσ−3ポリペプチド、1つもしくは複数のアミノ酸改変を有するレオウイルスμ−1ポリペプチド、および/または1つもしくは複数のアミノ酸改変を有するレオウイルスμ−2ポリペプチドを提供する。
【0009】
一例として、λ−3ポリペプチドの1つもしくは複数のアミノ酸改変は、ジェンバンク受入番号M24734.1に関連して番号付けられる、残基214におけるVal、残基267におけるAla、残基557におけるThr、残基755におけるLys、残基756におけるMet、残基926におけるPro、残基963におけるPro、残基979におけるLeu、残基1045におけるArg、残基1071におけるVal、またはそれらのいずれかの組み合わせであり得る。アミノ酸配列が残基214においてVal、または残基1071においてValである場合、アミノ酸配列は、アミノ酸配列に少なくとも1つの追加変更をさらに含むことに留意されたい。一実施形態においては、λ−3ポリペプチドは、配列番号18に示される配列を含む。
【0010】
さらなる一例として、σ−3ポリペプチドにおける1つもしくは複数のアミノ酸改変は、ジェンバンク受入番号K02739に関連して番号付けられる、残基14におけるLeu、残基198におけるLys、またはそれらのいずれかの組み合わせであり得る。アミノ酸配列が残基14においてLeuである場合、アミノ酸配列は、アミノ酸配列に少なくとも1つの追加変更をさらに含むことに留意されたい。一実施形態においては、σ−3ポリペプチドは、配列番号14に示される配列を含む。
【0011】
さらなる一例として、μ−1ポリペプチドにおける1つもしくは複数のアミノ酸改変は、ジェンバンク受入番号M20161.1に関連して番号付けられる、残基73においてAspであり得る。一実施形態においては、μ−1ポリペプチドは、配列番号16に示される配列を含む。
【0012】
また一例として、アミノ酸改変μ−2ポリペプチドは、ジェンバンク受入番号AF461684.1に関連して番号付けられる、残基528においてSerであり得る。一実施形態においては、μ−1ポリペプチドは、配列番号15に示される配列を含む。
【0013】
1つもしくは複数の改変を有する本明細書で説明されるようなレオウイルスは、レオウイルスσ−2ポリペプチドをさらに含み得る。かかるσ−2ポリペプチドは、ジェンバンク受入番号NP_694684.1に関連して番号付けられる、70位、127位、195位、241位、255位、294位、296位または340位のうちの1つもしくは複数においてCysを有し得る。一実施形態においては、σ−2ポリペプチドは、配列番号12に示される配列を含む。
【0014】
別の態様においては、本発明は、1つもしくは複数の核酸改変を有するL1ゲノム分節を有するレオウイルス、1つもしくは複数の核酸改変を有するS4ゲノム分節、1つもしくは複数の核酸改変を有するM1ゲノム分節、および/または1つもしくは複数の核酸改変を有するM2ゲノム分節を提供する。かかるレオウイルスは、例えば、非自然発生的であることがある。別の態様においては、本発明は、1つもしくは複数の核酸改変を有するL1ゲノム分節、1つもしくは複数の核酸改変を有するS4ゲノム分節、1つもしくは複数の核酸改変を有するM1ゲノム分節、および/または1つもしくは複数の核酸改変を有するM2ゲノム分節を提供する。
【0015】
一例として、L1ゲノム分節における1つもしくは複数の核酸改変は、ジェンバンク受入番号M24734.1に関連して番号付けられる、660位におけるT、817位におけるG、1687位におけるA、2283位におけるG、2284〜2286位におけるATG、2974位におけるC、2905位におけるC、2953位におけるC、3153位におけるA、または3231位におけるGを提供する。一実施形態においては、L1ゲノム分節は、配列番号8に示される配列を含む。
【0016】
さらなる一例として、S4ゲノム分節における1つもしくは複数の核酸改変は、ジェンバンク受入番号K02739に関連して番号付けられる、74位においてA、624位においてAであり得る。一実施形態においては、S4ゲノム分節は、配列番号4に示される配列を含む。
【0017】
さらなる一例として、M2ゲノム分節における核酸改変は、ジェンバンク受入番号M20161.1に関連して番号付けられる、248位においてCであり得る。一実施形態においては、M2ゲノム分節は、配列番号6に示される配列を含む。
【0018】
また一例として、M1ゲノム分節における核酸改変は、ジェンバンク受入番号AF461684.1に関連して番号付けられる、1595位においてTであり得る。一実施形態においては、M1ゲノム分節は、配列番号5に示される配列を含む。
【0019】
本明細書で説明されるようなレオウイルスは、本明細書で開示される任意の改変または改変の組み合わせを含み得る。一部の実施形態においては、本明細書で説明されるようなレオウイルスは再集合体である。ある実施形態においては、本明細書で説明されるようなレオウイルスは、配列番号1〜10に示される配列、または配列番号11、12、および16〜21、ならびに配列番号13または14のいずれかまたは両方に示されるポリペプチドを含む。一実施形態においては、本明細書で開示されるようなレオウイルスは、IDAC受入番号190907−01として同定される。
【0020】
本明細書で開示されるようなレオウイルスは、概して、対応する改変を含まないレオウイルスを超える増殖利点を呈する。代表的な増殖利点は、細胞溶解率の増加;プラーク作製サイズの増大;RNA複製率の増加;RNA転写率の増加;翻訳率の増加;ウイルスアセンブリおよび/またはパッケージング率の増加;子孫ウイルス数の増加;宿主細胞によって取り込まれるレオウイルスの能力の増大;脱殻能力の増大または増強;細胞溶解の増強またはアポトーシス、壊死または自食作用を含む細胞死の誘発;ヒト腫瘍細胞株を感染、溶解、殺傷する能力の増強;哺乳動物細胞の免疫原性の低下;インターフェロン感度に対する特異的感受性;宿主に対する毒性の低下;薬物間相互作用の増強;放射線治療相互作用の増強;または効果的な腫瘍エピトープの放出能力を含むが、これらに限定されない。
【0021】
本明細書で説明されるようなレオウイルスは、医薬的に容認可能な担体とともに、医薬組成物に含み得る。かかる医薬組成物は、例えば、1つもしくは複数の化学療法薬および/または1つもしくは複数の免疫抑制剤を含むことができる。
【0022】
さらに別の態様においては、本発明は、改良レオウイルスを作製する方法を提供する。かかる方法は、概して、レオウイルスの核酸配列を改変するステップと、1つもしくは複数の改良レオウイルスを選択するステップと、を含む。一部の実施形態においては、改変するステップは、例えば、レオウイルスに突然変異を生じさせるステップを含む。代表的な種類の突然変異誘発は、部位特異的突然変異誘発および化学的突然変異誘発を含むが、これらに限定されない。他の実施形態においては、改変するステップは、レオウイルスをヒト細胞株において培養するステップを含む。
【0023】
本明細書において開示される方法に従って作製される改良レオウイルスは、細胞溶解率の増加;プラーク作製サイズの増大;RNA複製率の増加;RNA転写率の増加;翻訳率の増加;ウイルスアセンブリおよび/またはパッケージング率の増加;子孫ウイルス数の増加;宿主細胞によって取り込まれるレオウイルスの能力の増大;脱殻能力の増大または増強;細胞溶解の増強またはアポトーシス、壊死または自食作用を含む細胞死の誘発;ヒト腫瘍細胞株を感染、溶解、殺傷する能力の増強;哺乳動物細胞の免疫原性の低下;インターフェロン感度に対する特異的感受性;宿主に対する毒性の低下;薬物間相互作用の増強;放射線治療相互作用の増強;または効果的な腫瘍エピトープの放出能力のために選択することができる。
【0024】
さらに別の態様においては、本発明は、患者における増殖性疾患を治療する方法を提供する。かかる方法は、概して、本明細書で説明されるような改変レオウイルス、またはかかる改変レオウイルスを含有する医薬組成物を患者に投与するステップを含む。通常、レオウイルスは、腫瘍崩壊を生じさせるのに有効な量で投与し、1回以上投与することができる。代表的な投与経路は、例えば、直接注射、経静脈的、経脈管的、髄腔内、筋肉内、皮下的、骨盤内、局所的、経口的、経直腸的、経膣的、経鼻腔的、または吸入による。本明細書で説明されるような増殖性疾患を治療する方法は、手術、化学療法、放射線治療、および免疫抑制療法などの1つもしくは複数の処置を伴い得る。
【0025】
別の態様においては、本発明は、本明細書で説明されるような改変配列、または改変配列を有するゲノム分節のいずれかの組み合わせを有するレオウイルスを含むキット(または製品)を提供する。キットは、本明細書で説明されるような1つもしくは複数の薬剤も含み得る。
【0026】
別段の定義がない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および化学的用語は、本発明が属する当該技術分野において通常の技術を有する者に一般に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書に記載されるものと同様または相当する方法および材料は、本発明の実施または試験において使用できるが、適切な方法および材料は、以下に説明する。加えて、材料、方法、および実施例は、単なる例証であり、限定することを意図しない。本明細書において言及されるすべての発行物、特許出願、特許、および別の参考文献は、それら全体を参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0027】
本発明の1つもしくは複数の実施形態に関する詳細は、添付の図面および以下の説明に記載する。本発明の別の特徴、目的、および利点は、図面および詳細な説明、および請求項から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】代表的なS1セグメント(配列番号1)、S2セグメント(配列番号2)、S3セグメント(配列番号3)、およびS4セグメント(配列番号4)のヌクレオチド配列である。
【図2】代表的なM1セグメント(配列番号5)、M2セグメント(配列番号6)、およびM3セグメント(配列番号7)のヌクレオチド配列である。
【図3】代表的なL1セグメント(配列番号8)、L2セグメント(配列番号9)、およびL3セグメント(配列番号10)のヌクレオチド配列である。
【図4】代表的なσ−1ポリペプチド(配列番号11)、σ−2ポリペプチド(配列番号12)、σ−NSポリペプチド(想定されるコード化配列1、配列番号13;想定されるコード化配列2、配列番号14)、およびσ−3ポリペプチド(配列番号15)のアミノ酸配列である。
【図5】代表的なμ−2ポリペプチド(配列番号16)、μ−1ポリペプチド(配列番号17)、およびμ−NSポリペプチド(配列番号18)のアミノ酸配列である。
【図6】代表的なλ−3ポリペプチド(配列番号19)、λ−2ポリペプチド(配列番号20)、およびλ−1ポリペプチド(配列番号21)のアミノ酸配列である。
【0029】
様々な図面における同様の参照記号は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示は、レオウイルスのヌクレオチドおよびアミノ酸配列における改変を説明する。かかる改変は、ウイルスが自身で複製および/またはパッケージする能力に影響し、したがって、レオウイルスの感染性および/または複製率を変更するように任意に選択する。
【0031】
改変配列を有するレオウイルスおよび作製方法
任意の3型哺乳動物オルトレオウイルス(本明細書では単に「レオウイルス」と称する)からのゲノム分節のいずれかを、本明細書で開示されるように改変することができる。代表的な3型哺乳動物オルトレオウイルスは、DearingおよびAbney株を含むが、これらに限定されない。例えば、ATCC受入番号VR−232およびVR−824を参照されたい。本明細書で開示されるように改変できるレオウイルスは、自然発生的レオウイルス(例えば、患者など自然のソースから単離される)および再集合体レオウイルス(例えば、米国特許第7,163,678を参照)を含む。
【0032】
レオウイルスの異なるゲノム分節に対する代表的な改変、およびコード化されたポリペプチドにおけるそれらの発現を表1に示す。表1に示される改変は、RNA依存性RNAポリメラーゼ、転写活性、および/またはRNA結合に関連した分節コード化ポリペプチドの配列における改変(改変の数および改変の多くが持つ非保守的性質の両方)を示す。例えば、本明細書で開示される新規改変の多くは、L1ゲノム分節に位置する。野生型L1ゲノム分節は、1,267アミノ酸(142kDa)タンパク質特異的λ−3をコード化する。λ−3は、レオウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼの触媒サブユニットを表し、レオウイルス粒子内のプラスおよびマイナス鎖RNA合成の両方を媒介する。さらなる改変は、M2ゲノム分節において観察された。野生型M2ゲノム分節は、粒子結合転写の調節に関与する、708アミノ酸(76kDa)タンパク質特異的μ−1をコード化する。加えて、改変は、それぞれσ−3およびμ−2をコード化し、転写または一本鎖または二本鎖RNA結合に関与するS4およびM1ゲノム分節においても観察された。
【0033】
したがって、本開示は、1つもしくは複数の核酸改変をそれぞれのゲノム分節に含みL1、S4、M1、M2またはかかるゲノム分節のいずれかの組み合わせを提供する。本明細書では、1つもしくは複数の核酸改変を有するレオウイルスL1ゲノム分節、1つもしくは複数の核酸改変を有するレオウイルスS4ゲノム分節、1つもしくは複数の核酸改変を有するレオウイルスM1ゲノム分節、および/または1つもしくは複数の核酸改変を有するM2ゲノム分節を提供する。
【0034】
レオウイルスL1ゲノム分節は、例えば、1つもしくは複数の以下のヌクレオチド:660位におけるT、817位におけるG、1687位におけるA、2283位におけるG、2284〜2286位におけるATG、2794位におけるC、2905位におけるC、2953位におけるC、3153位におけるA、または3231位におけるGのうちの1つもしくは複数のいずれかの組み合わせを含む(ジェンバンク受入番号M24734.1に関連して番号付けられる)。レオウイルスS4ゲノム分節は、例えば、1つもしくは複数の以下のヌクレオチド:74位におけるAまたは624位におけるAのいずれかの組み合わせを有する(ジェンバンク受入番号K02739に関連して番号付けられる)。レオウイルスM1ゲノム分節は、例えば、1595位におけるTヌクレオチドを有する(ジェンバンク受入番号AF461684.1に関連して番号付けられる)。レオウイルスM2ゲノム分節は、例えば、248位におけるCヌクレオチドを有する(ジェンバンク受入番号M20161.1に関連して番号付けられる)。指示された位置における指示されたヌクレオチドは、一般のデータベースで入手可能な別の対応する配列と比較した場合の改変を表す(例えば、ジェンバンク受入番号M24734.1、K02739、AF461684.1、およびM20161.1)。
【0035】
レオウイルスλ−3ポリペプチドは、例えば、1つもしくは複数のアミノ酸残基:残基214におけるVal、残基267におけるAla、残基557におけるThr、残基755におけるLys、残基756におけるMet、残基926におけるPro、残基963におけるPro、残基979におけるLeu、残基1045におけるArg、または残基1071におけるValのいずれかの組み合わせを有する(ジェンバンク受入番号M24734.1に関連して番号付けられる)。ポリペプチド配列が残基214においてValまたは残基1071においてValを含む場合、ポリペプチド配列は、アミノ酸配列に少なくとも1つの追加変更をさらに含むことに留意されたい。レオウイルスσ−3ポリペプチドは、例えば、1つもしくは複数のアミノ酸残基:残基14におけるLeuまたは残基198におけるLysのいずれかの組み合わせを有する(ジェンバンク受入番号K02739に関連して番号付けられる)。ポリペプチド配列が残基14においてLeuを含む場合、ポリペプチド配列は、アミノ酸配列に少なくとも1つの追加変更をさらに含むことに留意されたい。レオウイルスμ−1ポリペプチドは、例えば、残基73においてAspを有する(ジェンバンク受入番号AF461684.1に関連して番号付けられる)。レオウイルスμ−2ポリペプチドは、例えば、残基528においてSerを有する(ジェンバンク受入番号M20161.1に関連して番号付けられる)。指示された位置における指示されたアミノ酸は、一般のデータベースで入手可能な別の対応する配列と比較した場合の改変を表す(例えば、ジェンバンク受入番号M24734.1、K02739、AF461684.1、およびM20161.1)。
【0036】
本明細書で使用されるように、「非自然発生的」レオウイルスは、例えば、野生分離株(例えば、患者)に由来する野生型配列と比較して、少なくとも1つの核酸またはアミノ酸改変を有するレオウイルスである。「非自然発生的」レオウイルスは、研究室において操作または改変されたウイルスを意味する。かかる操作または改変されたレオウイルスは、実験室株または突然変異型を含む。これらの型は、核酸および/またはアミノ酸配列において、例えば、DearingおよびAbney株(例えば、それぞれATCC VR−824およびVF−232)から区別できる。1つもしくは複数のゲノム分節, コード化したポリペプチド, または両方に対する代表的な改変を本明細書で開示する。本明細書で記載される1つもしくは複数の改変を含むゲノム分節またはポリペプチドに加えて、レオウイルスは、S2ゲノム分節を任意に含み、σ−2ポリペプチドをコード化する。σ−2ポリペプチドは、例えば、以下の位置(ジェンバンク受入番号NP_694684.1に関連して番号付けられる):70位、127位、195位、241位、255位、294位、296位、または340位、のうちの1つもしくは複数またはすべてにおいてCysを有する。
【0037】
改変は、概して核酸レベルで生じ、コード化したポリペプチドにおいて発現し得るか、またはしない場合がある。核酸に対する改変は、単発性または多発性ヌクレオチド転位(プリンからプリンまたはピリミジンからピリミジン)または塩基転換(プリンからピリミジンまたはその逆)、および単発性または多発性ヌクレオチド欠失または挿入を含むが、これらに限定されない。核酸における改変は、コード化したポリペプチドにおける1つもしくは複数の保守的または非保守的アミノ酸置換、その地点からコード化される全く異なるポリペプチドをもたらす翻訳の読み枠におけるシフト(フレームシフト)、切断されたポリペプチドをもたらす早期終止コドン(「切断」)を生じ得るか、またはレオウイルス核酸における改変は、コード化したポリペプチドを全く変更しない場合がある(「サイレント」または「ナンセンス」)。保守的および非保守的アミノ酸置換に関する開示は、例えば、Johnson & Overington,1993,J.Mol.Biol,233:716−38、Henikoff & Henikoff,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:10915−19、および米国特許第4,554,101を参照されたい。
【0038】
レオウイルス粒子からの核酸は、例えば、市販の標準手法を使用して単離する。例えば、Schiff et al.,“Orthoreoviruses and Their Replication”,Ch52,in Fields Virology、Knipe & Howley,eds.,2006,Lippincott Williams & Wilkinsも参照されたい。本明細書で使用されるように、「単離」核酸は、それらが通常関連する別の核酸から本質的に分離される核酸を意味する。したがって、「単離」核酸は、本質的に非レオウイルス(例えば、宿主細胞)核酸を含まないレノウイルス核酸、または本質的に別のゲノム分節に対応する核酸を含まないレノウイルスゲノム分節を含むが、これらに限定されない。加えて、単離核酸は、組み換えまたは合成核酸などの人工核酸を含む。
【0039】
改変は、当該技術分野において既知の任意の数の方法を使用して、レオウイルスの核酸に生成する。例えば、部位特異的突然変異誘発を使用して、レオウイルス核酸配列を改変することができる。部位特異的突然変異誘発の最も一般的な方法の1つは、オリゴヌクレオチド特異的突然変異誘発である。オリゴヌクレオチド特異的突然変異誘発において、配列において望ましい変更をコード化するオリゴヌクレオチドは、対象となるDNAの1つの鎖にアニールさせ、DNA合成を開始するためのプライマとして作用する。この方法において、配列変更を含むオリゴヌクレオチドは、新しく合成された鎖に組み込まれる。例えば、Kunkel,1985,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:488、Kunkel et al.,1987,Meth.Enzymol,154:367、Lewis & Thompson,1990,Nucl.Acids Res.,18:3439、Bohnsack,1996,Meth.MoI.Biol,57:1、Deng & Nickoloff,1992,Anal Biochem.,200:81、and Shimada,1996,Meth.Mol Biol,57:157を参照されたい。
【0040】
当該技術分野における別の方法を日常的に使用して、改変を配列に導入する。例えば、改変核酸は、PCRまたは化学合成を使用して生成するか、またはアミノ酸配列に望ましい変更を有するポリペプチドは、化学的に合成することができる。例えば、BangおよびKentの2005,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,102:5014−9およびその参考文献を参照されたい。レオウイルスが通常増殖しない細胞型(例えば、ヒト細胞)および/または化学的突然変異誘発に関する選択(例えば、RuddおよびLemayの2005,J.Gen.Virology,86:1489−97を参照)を使用して、レオウイルスの核酸に改変を生成することもできる。例えば、表1に示される改変は、典型的にはレオウイルスを培養する技術において使用されないヒト細胞(例えば、ヒト胎児肝臓(HEK)293細胞)上でレオウイルスを培養することによって生成した。それに対して、レオウイルスを培養するために一般に使用される細胞は、例えば、Tylerの“Mammalian Reoviruses”Ch 53,page 1731−2,in Fields Virology、KnipeおよびHowley編の2006,Lippincott Williams & Wilkinsにおいて説明される。本明細書で説明される改変は、レオウイルスによるヒト細胞への適合を表す。これらのプラーク精製ステップそれぞれにおいて、最大プラーク(三重プラーク精製)を選択することによる選択ステップもあり、これらの細胞において、増殖または毒性利点があった。
【0041】
1つもしくは複数の改変をレオウイルス核酸またはポリペプチドに導入した後、当該技術分野において既知の方法を使用して、ウイルス粒子を再構成する。例えば、Schiff et al.,“Orthoreoviruses and Their Replication,”Ch 52,in Fields Virology、Knipe & Howley eds.,2006,Lippincott Williams & Wilkins、Smith et al.,1969,Virology,39(4):791−810、および米国特許第7,186,542号、第7,049,127号、第6,808,916号、および第6,528,305号を参照されたい。配列に1つもしくは複数の改変を有するレオウイルスは、例えば、マウスL929細胞または腫瘍性細胞(例えば、MCF7(ATCC受入番号HTB−22)、SKBR3(ATCC受入番号HTB−30)、またはMDA MB468(ATCC受入番号HTB132細胞)において培養し、例えば、1つもしくは複数の改変を含まないレオウイルスを超える増殖利点を示し得る任意の数の性質に基づいて選択する。細胞株(腫瘍性またはその他)における培養および/または動物モデル系の感染に続いて、レオウイルスを選択する。
【0042】
かかる性質は、溶解率の増加;プラーク作製サイズの増大;RNA複製率の増加;RNA転写率の増加;翻訳率の増加;ウイルスアセンブリおよび/またはパッケージング率の増加;子孫ウイルス数の増加;宿主細胞によって取り込まれるレオウイルスの能力の増大;脱殻能力の増加または増強;細胞溶解の増強またはアポトーシス、壊死または自食作用を含む細胞死の誘発;ヒト腫瘍細胞株を感染、溶解、殺傷する能力の増強;哺乳動物細胞の免疫原性の低下;インターフェロン感度に対する特異的感受性;宿主に対する毒性の低下;薬物間相互作用の増強;放射線治療相互作用の増強;または効果的な腫瘍エピトープの放出能力を含むが、これらに限定されない。追加として、改変配列を有するレオウイルスは、例えば、活性Ras経路を有する哺乳動物細胞を溶解性感染させる能力のために選択する。例えば、米国特許第7,052,832号を参照されたい。
【0043】
レオウイルス粒子は、当該技術分野において既知の任意の数の方法を使用して取得する。例えば、レオウイルスをL929マウス線維芽細胞またはヒト細胞(例えば、HEK293)において培養し、標準手法を使用してウイルス粒子を精製する。例えば、Schiff et al.,“Orthoreoviruses and Their Replication,”Ch 52,in Fields Virology、Knipe & Howley eds.,2006,Lippincott Williams & Wilkins、Smithet al.,1969,Virology,39(4):791−810、および米国特許第7,186,542号、第7,049,127号、第6,808,916号、および第6,528,305号を参照されたい。本明細書で使用されるように、「精製された」ウイルス粒子は、それに自然に付随する細胞構成要素から本質的に分離されるウイルス粒子を意味する。通常、ウイルス粒子は、それらが乾燥重量で少なくとも70%(例えば、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または99%)であり、ウイルスが自然に関連するタンパク質および別の細胞構成要素を含まない場合に「精製された」と見なされる。
【0044】
表1に示されるヌクレオチドおよびアミノ酸改変を含む、図1、2、および3(配列番号1〜10)に示される核酸配列および図4、5、および6(配列番号11〜20)に示されるアミノ酸配列を有するレオウイルスは、2007年9月19日にカナダ国際寄託当局(IDAC,カナダ公衆衛生局国立微生物学研究所,1015 Arlington St.,Winnipeg,Manitoba Canada R3E 3R2)に寄託され、受入番号190907−01が付与された。本寄託は、特許手続上の微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約に基づいて維持される。本寄託は例示的であり、単に当業者に対する便宜目的で行い、寄託が特許性を必要とすることを是認するものではない(例えば、35 U.S.C.§112に基づく)。
【0045】
改変配列を有するレオウイルスを使用する方法
前述したように(例えば、米国特許第6,110,461号、第6,136,307号、第6,261,555号、第6,344,195号、第6,576,234号、および第6,811,775号)、レオウイルスは、宿主細胞のRas経路機構を使用して、二本鎖RNA活性タンパク質キナーゼ(PKR)を下方制御し、したがって細胞内で複製する。これらの発見に基づいて、レオウイルスを使用して哺乳動物における増殖性疾患を治療するための方法が開発されている。代表的な哺乳動物は、マウス、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、ブタ、非ヒト霊長類、およびヒトを含む。本明細書で使用されるように、「患者」は増殖性疾患を有する任意の哺乳動物を含む。
【0046】
「増殖性疾患」は、細胞が正常な組織の増殖よりも速く増殖する、任意の細胞性疾患である。したがって、「増殖細胞」は、正常細胞よりも速く増殖している細胞である。増殖性疾患は、腫瘍とも称される新生物を含むが、これに限定されない。新生物は、膵癌、乳癌、脳腫瘍(例えば、膠芽細胞腫)、肺癌、前立腺癌、結腸直腸癌、甲状腺癌、腎癌、副腎癌、肝臓癌、神経線維腫症、および白血病を含むが、これらに限定されない。新生物は、充実性新生物(例えば、非上皮性悪性腫瘍または癌腫)または細網内皮系(例えば、リンパ腫または白血病)に影響する癌性増殖を含む。別の増殖性疾患は、神経線維腫症を含むが、これに限定されない。
【0047】
一般に、レオウイルスが治療として使用される増殖性疾患において、増殖細胞の少なくとも一部は、Ras遺伝子(またはRasシグナル経路の要素)が、直接(例えば、Rasにおける活性突然変異による)または間接的に(例えば、Ras経路における上流または下流要素の活性化による)活性化される突然変異を有する。Ras経路における上流要素の活性化は、例えば、表皮増殖因子受容体(EGFR)またはSosを用いる形質転換を含む。例えば、Wiessmuller & Wittinghofer,1994,Cellular Signaling,6(3):247−267、and Barbacid,1987,Ann.Rev.Biochem.,56,779−827を参照されたい。Ras経路における下流要素の活性化は、例えば、B−Raf内の突然変異を含む。例えば、Brose et al.,2002,Cancer Res.,62:6997−7000を参照されたい。加えて、レオウイルスは、PKRの突然変異または調節障害によって引き起こされる増殖性疾患を治療するために有用である。例えば、Strong et al.,1998,EMBO J,17:3351−662を参照されたい。
【0048】
本明細書で開示されるような改変配列を有するレオウイルスは、増殖性疾患を有する哺乳動物に投与する。本明細書で使用されるように、投与は、レオウイルスが増殖細胞に接触するようなレオウイルスの送達を意味する。レオウイルスが投与される経路は、疾患の種類および増殖細胞の位置に依存する。様々な投与経路を採用することができる。例えば、アクセス可能な充実性新生物の場合、レオウイルスは、直接注射によって投与する。造血新生物の場合、例えば、レオウイルスは、経静脈的または経脈管的に投与する。ある新生物、例えば、転移または脳腫瘍などの体内で容易にアクセスできない新生物の場合、レオウイルスは、哺乳動物の体を通して全身的に輸送され、それによって新生物に到達するような方法で(例えば、髄腔内、経静脈的、筋肉内、皮下的、または経腹膜的に)投与する。レオウイルスは、例えば、局部的(例えば、黒色腫の場合)、経口的(例えば、口腔または食道新生物の場合)、直腸的(例えば、結腸直腸新生物の場合)、経膣的(例えば、子宮頚部または膣新生物の場合)、経鼻的、または吸引によって(例えば、肺新生物の場合)、局所的にも投与する。レオウイルスは、1つもしくは複数の経路によって、および/または個体における1つもしくは複数の位置に任意に投与する。
【0049】
標的投与を使用して、レオウイルスを投与できる。例えば、レオウイルスを含む樹状細胞を被験体に投与できる。例えば、米国特許公開第2008/0014183号を参照されたい。標的送達の別の実施例においては、担体細胞を使用して、増殖性疾患の細胞を標的し、それらが担持するレオウイルスの免疫認識を回避する。例えば、Qiao et al.,2008,Nature Med,14:37−44、および国際公開第WO2008/009115号を参照されたい。
【0050】
本明細書で開示されるような改変配列を有するレオウイルスは、増殖性疾患を治療するために十分な量(例えば、「有効量」)で投与する。改変配列を有するレオウイルスを増殖細胞に投与することが、疾患の1つもしくは複数の症状または臨床的徴候に影響する場合、例えば、治療を行わない場合における兆候または症状と比較して、細胞の溶解(例えば、「腫瘍崩壊」)が増大する、増殖細胞数が減少する、新生物のサイズまたは進行が減退する、新生物に関連した疼痛が低減する場合に、増殖性疾患は「治療される」。本明細書で使用されるように、「腫瘍崩壊」という用語は、増殖細胞の少なくとも10%が溶解される(例えば、細胞の少なくとも20%、30%、40%、50%、または75%が溶解される)ことを意味する。溶解のパーセンテージは、例えば、哺乳動物の新生物のサイズまたは増殖細胞数の減少を測定する、または(例えば、増殖細胞のバイオプシから)生体外の細胞溶解量を測定することによって決定することができる。
【0051】
改変配列を有するレオウイルスの有効量は、個別基準で決定され、少なくとも一部は、使用される特定のレオウイルス;個体の体格、年齢、性別;および増殖細胞のサイズおよび別の性質に基づく。例えば、ヒトの治療の場合、存在する増殖細胞または新生物の種類、サイズ、および数に基づいて、レオウイルスの約10〜1012プラーク作製単位(PFU)を使用する。有効量は、体重1kg当たり約1.0PFU〜体重1kg当たり約1015PFUであり得る(例えば、体重1kg当たり約10PFU〜体重1kg当たり約1013PFU)。レオウイルスは、1回量または多回量(例えば、2回、3回、4回、6回、またはそれ以上)で投与する。多回量は、同時にまたは(例えば、数日または数週間の期間をかけて)連続して投与する。改変配列を有するレオウイルスを用いる治療は、数日から数ヶ月、または疾患の減退が達成されるまで継続する。
【0052】
本明細書で開示されるような改変配列を有するレオウイルスは、手術または増殖細胞(例えば、新生物)の除去と併せて、任意に投与されると考えられる。改変配列を有するレオウイルスは、放射線治療と併せて、または放射線治療に加えて、任意に投与されることも考えられる。さらに、改変配列を有するレオウイルスは、周知の抗癌性化合物、化学療法薬、および/または免疫抑制剤と併せて、またはそれらに加えて、任意に投与されると考えられる。かかる薬剤は、5−フルオロウラシル、マイトマイシンC、メトトレキサート、ヒドロキシウレア、ゲムシタビン、シクロホスファミド、ダカルバジン、ミトキサントロン、アントラサイクリン(エピルビシン、イリノテカン、およびドキソルビシン)、ハーセプチンなどの受容体に対する抗体、エトポシドまたはカンプトセシンなどのトポイソメラーゼ阻害剤、プレグナソーム、カルボプラチンおよびシスプラチンなどのプラチナ化合物、タキソールおよびタキソテールなどのタキサン、タモキシフェンおよび抗エストロゲンなどのホルモン治療薬、インターロイキン、インターフェロン、アロマターゼ阻害薬、黄体ホルモン薬、LHRH類似体、mTOR阻害薬(例えば、ラパマイシンおよびその誘導体;例えば、Homicsko et al.,2005,Cancer Res.,65:6882−90、and Rao et al.,2004,Curr.Cancer Drug Targets,4:621−35)を参照)、およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0053】
さらに改変配列を有するレオウイルスは、内皮透過性を増加させる、および/または間質液圧を減少させることができる薬剤と併せて投与されると考えられる。かかる薬剤は、例えば、TNF−αを含む。例えば、Sacchi et al.,2006,Clin.Cancer Res.,12:175−182を参照されたい。改変配列を有するレオウイルスは、本明細書で説明される治療法および薬剤のいずれかの組み合わせと併せて投与することができると考えられる。
【0054】
医薬組成物
少なくとも1つが本明細書で説明されるような改変配列を有する、1つもしくは複数のレオウイルスを含む医薬組成物を提供する。例えば、米国特許第6,576,234号を参照されたい。少なくとも1つが改変配列を有する1つもしくは複数のレオウイルスに加えて、医薬組成物は、典型的には医薬的に容認可能な担体を含む。医薬的に容認可能な担体は、レオウイルスに対する媒体、担体、または培地として作用する固体、半固体、または液体材料を含む。したがって、例えば、改変配列を有するレオウイルスを含む組成物は、錠剤、ピル、粉末、トローチ剤、小袋、カプセル、エリキシル剤、懸濁液、乳液、溶液、シロップ、エアロゾル(固体としてまたは液体培地中)、例えば、重量で最大10%の活性成分を含有する軟膏、軟質および硬質ゼラチンカプセル、座薬、無菌注射液、および無菌パッケージ化粉末の形態である。
【0055】
適切な担体の一部の実施例は、リン酸緩衝化生理食塩水または別の生理的に容認可能な緩衝液、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、スターチ、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、滅菌水、シロップ剤、およびメチルセルロースを含む。医薬組成物は、追加として、タルク、ステアリン酸マグネシウム、および鉱油などの平滑剤、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、安息香酸メチルおよび安息香酸プロピルヘキセドリンなどの保存剤、甘味剤、および香料添加剤を含み得るが、これらに限定されない。本発明の医薬組成物を配合して、当該技術分野において既知の処置を採用することによって投与した後に、改変配列を有するレオウイルスの迅速に、持続的に、または遅延的に放出できる。以下に説明する代表的な製剤に加えて、医薬組成物に使用するための別の適切な製剤は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(2003,Gennaro & Gennaro,eds.,Lippincott Williams & Wilkens)に見出される。
【0056】
錠剤などの固体組成物を調製する場合、改変配列を有するレオウイルスは、医薬担体と混合して固体組成物を作製する。任意に、錠剤またはピルをコーティングするか、または別の方法で化合して、持続性作用の利益を提供する剤形を提供する。例えば、錠剤またはピルは、内部投与および外部投与成分を含み、後者は、前者を覆うエンベロープ形体である。2つの成分は、例えば、胃内の分解に耐えるように機能する腸溶層によって分離され、内部成分が無傷で十二指腸を通過し、または遅延放出することを可能にする。かかる腸溶層またはコーティングには様々な材料が使用され、かかる材料は、多くのポリマー酸、およびポリマー酸とセラック、セチルアルコール、および酢酸セルロースなどの材料との混合物を含む。
【0057】
経口投与または注入用の改変配列を有するレオウイルスを含む液体製剤は、一般に、水溶液、適切に味を付けたシロップ、水性または油性懸濁液、およびコーン油、綿実油、ごま油、ココナッツ油、またはピーナッツ油などの食用油を含む味を付けた乳化剤、ならびにエリキシル剤および同様の医薬用賦形剤を含む。
【0058】
吸入用または吹き入れ用の組成物は、医薬的に容認可能な水性または有機溶媒中の溶液および懸濁液、またはそれらの混合物、および粉末を含む。これらの液体または固体組成物は、本明細書で説明されるような適切な医薬的に容認可能な賦形剤を任意に含む。かかる組成物は、例えば、局所または全身的作用のために、経口または経鼻呼吸経路によって投与する。医薬的に容認可能な溶媒中の組成物は、不活性ガスの使用によって噴霧する。噴霧した溶液は、例えば、噴霧装置、付属のフェイスマスクテント、または、間欠型正圧呼吸器から直接吸入する。溶液、懸濁液、または粉末組成物は、例えば、適切な方法で製剤を送達する装置から、経口的または経鼻的に投与する。
【0059】
本明細書で教示される方法で採用する別の製剤は、経皮的送達装置(「パッチ」)を採用する。かかる経皮的パッチを使用して、改変配列を有するレオウイルスを連続的または断続的に注入する。医薬剤を送達するための経皮パッチの構成および使用は、当該技術分野において既知の方法に従って行う。例えば、米国特許第5,023,252号を参照されたい。かかるパッチは、改変配列を有するレオウイルスの連続的、パルス、またはオンデマンド送達用に構成する。
【0060】
改変配列を有するレオウイルスは、任意に、投与前(例えば、医薬組成物に含める前)に、(例えば、キモトリプシンまたはトリプシンなどのプロテアーゼで処理することにより)化学的または生化学的に前処理する。プロテアーゼを用いた前処理は、ウイルスの外皮またはカプシドを取り除き、ウイルスの感染性を高めるために使用することができる。追加として、または代替として、改変配列を有するレオウイルスは、リポソームまたはミセルでコーティングし、レオウイルスに対する免疫を発達させた哺乳動物における免疫学的応答を低減または回避する。かかるレオウイルスは、「免疫保護レオウイルス」と称される。例えば、米国特許第6,565,831号および第7,014,847号を参照されたい。
【0061】
改変配列を有するレオウイルスまたはかかるレオウイルスを含む医薬組成物は、キットにパッケージ化することができる。キットは、任意に1つもしくは複数の化学療法剤および/または免疫抑制剤(例えば、抗アンチ受容体抗体)を含むと考えられる。医薬組成物、例えば、単位剤形で製剤化される。「単位剤形」という用語は、ヒト被験体および他の哺乳動物に対する単位用量として適切な物理的に不連続な単位を意味し、各単位は、適切な医薬的に容認可能な担体に関連して、望ましい治療効果を生成するように計算された既定量の改変配列を有するレオウイルスを含有する。
【0062】
本発明に従って、従来の分子生物学、微小生物学、生化学および組み換えDNA技術は、当該技術の範囲内で採用し得る。かかる技術は、文献において完全に説明する。本発明は、以下の実施例においてさらに説明し、請求項において説明する発明の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0063】
実施例1−シークエンシングおよび解析
レオウイルスを産生するための培養は、懸濁適合したHEK293S万能細胞バンク(MCB)から開始した。HEK293細胞は、L−グルタミンで補充した無血清培地(HEK293 SFMII)において維持した。HEK293細胞は、3つの15Lスピナーフラスコに増殖および播種し、3つのフラスコがそれぞれ12Lになるまでさらに拡大した。レオウイルスによるHEK293の感染は、ウイルスを細胞培地に直接接種することによって行った。HEK293S細胞の存続性が感染後20〜50%まで減少した際にウイルスを採取した。3つのスピナーすべてから得たウイルス材料を単一の無菌容器に貯留し、攪拌して均一混合液を作製した。3リットルの貯留した細胞懸濁液を除去し、円錐チューブに移して、最大3000rpmで15分間遠心分離した。次いで、100mLの精製調節培地を用いて細胞を再懸濁し、アルコール−ドライアイス浴で3回スナップ凍結した後、種ストックとして使用するために無菌のラベル付きクリオバイアルに充填した。
【0064】
ウイルスストックは、3回のプラーク精製を行うことによって調製した。付着したHEK293S細胞を6ウェル組織培養プレートに置き、上述の種ストックで感染させて、最大プラークのうちの2つを選んだ。これらの2つのプラークを個々に増幅および採取し、最大プラークのうちの2つを再度選んだ。この処置は、計3回再度繰り返した。2つのプラークのうち、1つは、後の拡大のための種ストックとして選択した。
【0065】
培養は、上述の同一の懸濁液で適合したHEK293S MCBから開始し、L−グルタミンで補充した同一のHEK293無血清培地(HEK293 SFMII)中で維持した。細胞をTフラスコから最大多発性3Lスピナーフラスコまで増殖させた。感染は、HEK293 SFM培地中で、プラーク精製したウイルスを最初に希釈し、次いで、8〜12mLの希釈ウイルスを細胞培地に追加することによって行った。HEK293S細胞の生存性が、感染後20〜50%まで減少した時点でウイルスを採取し、各スピナーを顕微鏡検査したところ、微生物汚染の欠失、および細胞変性効果(CPE)が細胞中に存在することを確認した。CPEは、膨張した粒状の外観を呈する細胞によって示した。スピナーから得た材料を単一の無菌容器に貯留し、攪拌して均一混合物を作製し、大量の採取試料を取り除いた。残りの貯留した細胞懸濁液を円錐チューブに移し、最大3000rpmで15分間遠心分離した。次いで、400mLの精製調節培地で細胞を懸濁し、濃縮細胞懸濁液をアルコール−ドライアイス浴で3回スナップ凍結して細胞を溶解した後、シーケンシング反応で使用するために無菌のラベル付きクリオバイアルに充填した。
【0066】
両方のRNA鎖を両方向からシークエンシングし、それぞれ10ゲノム分節の配列を重複するコンティグから組み立てた。各ゲノム分節の集合配列をNCBIデータベースのBLASTサーチで使用した(ワールドワイドウェブ上のncbi.nlm.nih.gov)。NCBIデータベースで見出された3つまたは4つの異なるレオウイルス配列の配置を試験し、最高の相同量を有する配置をさらなる解析に使用した。他の報告された配列と比較して、多型または改変を表1に示す。選択したレオウイルス株に固有のそれらの改変は、表1においてアスタリスク付きで示す。
【0067】
【表1A】

【0068】
【表1B】

【0069】
本発明は、その詳細な説明と併せて説明しているが、前述の説明は、例証を目的とするものであって、添付の請求項の範囲によって画定される、本発明の範囲を制限するものではないことを理解されたい。別の態様、利点、および改変は、以下の請求項の範囲内である。
【0070】
使用できる、併用できる、調製に使用できる材料、組成物、および成分または開示される方法および組成物の産物を開示する。これらおよび別の材料は、本明細書で開示し、これら材料の組み合わせ、サブセット、相互作用、群などを開示する場合、これらの成分の様々な個々の組み合わせおよび集合的組み合わせのそれぞれに関する特定の参考文献が明示的に開示されない場合があるが、本明細書においてそれぞれ特異的に考慮、説明することを理解されたい。例えば、レオウイルスの特定の改変または治療計画が開示および議論し、レオウイルスに対して作製できる多数の改変または計画について論じる場合、レオウイルスおよび計画の組み合わせおよび順列のそれぞれおよびすべては、それとは反対に明記されない限り、特異的に考慮される。同様に、これらの任意のサブセットまたは組み合わせも特異的に考慮および開示する。
【図1−1】

【図1−2】

【図2−1】

【図2−2】

【図3−1】

【図3−2】

【図3−3】

【図3−4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つもしくは複数のアミノ酸改変を有するλ−3ポリペプチドを含むレオウイルスであって、前記1つもしくは複数のアミノ酸改変が、ジェンバンク受入番号M24734.1に関連して番号付けられる、残基214におけるVal、残基267におけるAla、残基557におけるThr、残基755におけるLys、残基756におけるMet、残基926におけるPro、残基963におけるPro、残基979におけるLeu、残基1045におけるArg、残基1071におけるVal、またはこれらのいずれかの組み合わせから成る群より選択され、前記アミノ酸配列が、残基214におけるVal、または残基1071におけるValを含む場合、前記アミノ酸配列に少なくとも1つの追加改変をさらに含む、レオウイルス。
【請求項2】
前記λ−3ポリペプチドが、配列番号19を含む、請求項1に記載のレオウイルス。
【請求項3】
1つもしくは複数のアミノ酸改変を有するσ−3ポリペプチドを含むレオウイルスであって、前記1つもしくは複数のアミノ酸改変が、ジェンバンク受入番号K02739に関連して番号付けられる、残基14におけるLeu、残基198におけるLys、またはこれらのいずれかの組み合わせから成る群より選択され、前記アミノ酸配列が残基14においてLeuを含む場合、前記アミノ酸配列が、前記アミノ酸配列に少なくとも1つの追加改変をさらに含む、レオウイルス。
【請求項4】
前記σ−3ポリペプチドが、配列番号15を含む、請求項3に記載のレオウイルス。
【請求項5】
少なくとも1つのアミノ酸改変を有するμ−1ポリペプチドを含むレオウイルスであって、前記少なくとも1つのアミノ酸改変が、ジェンバンク受入番号M20161.1に関連して番号付けられる、残基73においてAspを含む、レオウイルス。
【請求項6】
前記μ−1ポリペプチドが、配列番号17を含む、請求項5に記載のレオウイルス。
【請求項7】
少なくとも1つのアミノ酸改変を有するμ−2ポリペプチドを含むレオウイルスであって、前記少なくとも1つのアミノ酸改変が、ジェンバンク受入番号AF461684.1に関連して番号付けられる、残基528においてSerを含む、レオウイルス。
【請求項8】
前記μ−2ポリペプチドが、配列番号16を含む、請求項7に記載のレオウイルス。
【請求項9】
レオウイルスσ−2ポリペプチドをさらに含む、請求項1、3、5、または7に記載のレオウイルス。
【請求項10】
前記σ−2ポリペプチドが、配列番号30(ジェンバンク受入番号NP_694684.1)に関連して番号付けられる、70位、127位、195位、241位、255位、294位、296位、または340位のうちの1つもしくは複数においてCysを含む、請求項9に記載のレオウイルス。
【請求項11】
前記σ−2ポリペプチドが、配列番号12を含む、請求項10に記載のレオウイルス。
【請求項12】
前記レオウイルスが再集合体である、請求項1から11のうちのいずれか一項に記載のレオウイルス。
【請求項13】
1つもしくは複数の核酸改変を有するL1ゲノム分節を含むレオウイルスであって、前記1つもしくは複数の核酸改変が、配列番号22(ジェンバンク受入番号M24734.1)に関連して番号付けられる、660位におけるT、817位におけるG、1687位におけるA、2283位におけるG、2284〜2286位におけるATG、2794位におけるC、2905位におけるC、2953位におけるC、3153におけるA、3231位におけるGから成る群より選択される、レオウイルス。
【請求項14】
前記L1ゲノム分節が、配列番号8を含む、請求項13に記載のレオウイルス。
【請求項15】
1つもしくは複数の核酸改変を有するS4ゲノム分節を含むレオウイルスであって、前記S4ゲノム分節における前記1つもしくは複数の核酸改変が、配列番号24(ジェンバンク受入番号K02739)に関連して番号付けられる、74位におけるAおよび624位におけるAから成る群より選択される、レオウイルス。
【請求項16】
前記S4ゲノム分節が、配列番号4を含む、請求項15に記載のレオウイルス。
【請求項17】
少なくとも1つの核酸改変を有するM2ゲノム分節を含むレオウイルスであって、前記少なくとも1つの核酸改変が、配列番号26(ジェンバンク受入番号M20161.1)に関連して番号付けられる、248位においてCを含む、レオウイルス。
【請求項18】
前記M2ゲノム分節が、配列番号6を含む、請求項17に記載のレオウイルス。
【請求項19】
少なくとも1つの核酸改変を有するM1ゲノム分節を含むレオウイルスであって、前記少なくとも1つの核酸改変が、配列番号28(ジェンバンク受入番号AF461684.1)に関連して番号付けられる、1595位においてTを含む、レオウイルス。
【請求項20】
前記M1ゲノム分節が、配列番号5を含む、請求項19に記載のレオウイルス。
【請求項21】
前記レオウイルスが再集合体である、請求項13から20のうちのいずれか一項に記載のレオウイルス。
【請求項22】
レオウイルスλ−3ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、前記レオウイルスλ−3ポリペプチドの前記配列が、1つもしくは複数のアミノ酸改変を含み、前記1つもしくは複数のアミノ酸改変が、ジェンバンク受入番号M24734.1に関連して番号付けられる、残基214におけるVal、残基267におけるAla、残基557におけるThr、残基755におけるLys、残基756におけるMet、残基926におけるPro、残基963におけるPro、残基979におけるLeu、残基1045におけるArg、残基1071におけるVal、またはこれらのいずれかの組み合わせから成る群より選択され、前記アミノ酸配列が、残基214におけるVal、または残基1071におけるValを含む場合、前記アミノ酸配列に少なくとも1つの追加変更をさらに含む、ポリペプチド。
【請求項23】
前記λ−3ポリペプチドが、配列番号19を含む、請求項22に記載のポリペプチド。
【請求項24】
レオウイルスσ−3ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、前記レオウイルスσ−3ポリペプチドの前記配列が、1つもしくは複数のアミノ酸改変を含み、前記1つもしくは複数のアミノ酸改変が、ジェンバンク受入番号K02739に関連して番号付けられる、残基14におけるLeu、残基198におけるLys、またはこれらのいずれかの組み合わせから成る群より選択され、前記アミノ酸配列が残基14においてLeuを含む場合、前記アミノ酸配列は、前記アミノ酸配列に少なくとも1つの追加変更をさらに含む、ポリペプチド。
【請求項25】
前記σ−3ポリペプチドが、配列番号15を含む、請求項24に記載のポリペプチド。
【請求項26】
レオウイルスμ−1ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、前記レオウイルスμ−1ポリペプチドの前記配列が、少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、前記少なくとも1つのアミノ酸改変が、ジェンバンク受入番号M20161.1に関連して番号付けられる、残基73においてAspを含む、ポリペプチド。
【請求項27】
前記μ−1ポリペプチドが、配列番号17を含む、請求項26に記載のポリペプチド。
【請求項28】
レオウイルスμ−2ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、前記レオウイルスμ−2ポリペプチドの前記配列が、少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、前記少なくとも1つのアミノ酸改変が、ジェンバンク受入番号AF461684.1に関連して番号付けられる、残基528においてSerを含む、ポリペプチド。
【請求項29】
前記μ−2ポリペプチドが、配列番号16を含む、請求項28に記載のポリペプチド。
【請求項30】
請求項22から29のいずれか一項に記載のポリペプチドを1つもしくは複数含む、レオウイルス。
【請求項31】
前記レオウイルスが、ジェンバンク受入番号NP_694684.1に関連して番号付けられる、70位、127位、195位、241位、255位、294位、296位、または340位のうちの1つもしくは複数においてCysを含むσ−2ポリペプチドをさらに含む、請求項30に記載のレオウイルス。
【請求項32】
前記σ−2ポリペプチドが、配列番号12を含む、請求項31に記載のレオウイルス。
【請求項33】
前記レオウイルスが再集合体である、請求項30から32のうちのいずれか一項に記載のレオウイルス。
【請求項34】
レオウイルスL1ゲノム分節の核酸配列を含む核酸分子であって、前記レオウイルスL1ゲノム分節の前記核酸配列が、1つもしくは複数の核酸改変を含み、前記1つもしくは複数の核酸改変が、ジェンバンク受入番号M24734.1に関連して番号付けられる、660位におけるT、817位におけるG、1687位におけるA、2283位におけるG、2284〜2286位におけるATG、2794位におけるC、2905位におけるC、2953位におけるC、3153位におけるA、3231位におけるGから成る群より選択される、核酸分子。
【請求項35】
前記L1ゲノム分節が、配列番号8を含む、請求項34に記載の核酸分子。
【請求項36】
レオウイルスS4ゲノム分節の核酸配列を含む核酸分子であって、前記レオウイルスS4ゲノム分節の前記核酸配列が、1つもしくは複数の核酸改変を含み、前記1つもしくは複数の核酸改変が、配列番号24(ジェンバンク受入番号K02739)に関連して番号付けられる、74位におけるAおよび624位におけるAから成る群より選択される、核酸分子。
【請求項37】
前記S4ゲノム分節が、配列番号4を含む、請求項36に記載の核酸分子。
【請求項38】
レオウイルスM1ゲノム分節の核酸配列を含む核酸分子であって、前記レオウイルスM1ゲノム分節の前記核酸配列が、少なくとも1つの核酸改変を含み、前記少なくとも1つの核酸改変が、配列番号26(ジェンバンク受入番号AF461684.1)に関連して番号付けられる、1595位にTを含む、核酸分子。
【請求項39】
前記M1ゲノム分節が、配列番号5を含む、請求項38に記載の核酸分子。
【請求項40】
レオウイルスM2ゲノム分節の核酸配列を含む核酸分子であって、前記レオウイルスM2ゲノム分節の前記核酸配列が、少なくとも1つの核酸改変を含み、前記少なくとも1つの核酸改変が、配列番号28(ジェンバンク受入番号M20161.1)に関連して番号付けられる、248位にCを含む、核酸分子。
【請求項41】
前記M2ゲノム分節が、配列番号6を含む、請求項40に記載の核酸。
【請求項42】
請求項34から41のいずれか一項に記載の前記核酸分子のうちの1つもしくは複数を含む、レオウイルス。
【請求項43】
前記レオウイルスが再集合体である、請求項42に記載のレオウイルス。
【請求項44】
配列番号1〜10において示されるような配列を有するゲノム分節を含む、レオウイルス。
【請求項45】
配列番号11、12、および16〜21、および配列番号13または14のうちの少なくとも1つにおいて示されるようなポリペプチドを含む、レオウイルス。
【請求項46】
IDAC受入番号190907−01を有する、請求項44または45に記載のレオウイルス。
【請求項47】
前記レオウイルスが、改変を含まないレオウイルスを超える増殖利点を呈する、請求項1から21、30から33、42から46のうちのいずれか一項に記載のレオウイルス。
【請求項48】
前記増殖利点が、細胞溶解率の増加;プラーク作製サイズの増大;RNA複製率の増加;RNA転写率の増加;翻訳率の増加;ウイルスアセンブリおよび/またはパッケージング率の増加;子孫ウイルス数の増加;宿主細胞によって取り込まれるレオウイルスの能力の増大;脱殻能力の増大または増強;細胞溶解の増強またはアポトーシス、壊死または自食作用を含む細胞死の誘発;ヒト腫瘍細胞株を感染、溶解、殺傷する能力の増強;哺乳動物細胞の免疫原性の低下;インターフェロン感度に対する特異的感受性;宿主に対する毒性の低下;薬物間相互作用の増強;放射線治療相互作用の増強;または効果的な腫瘍エピトープの放出能力から成る群より選択される、請求項47に記載のレオウイルス。
【請求項49】
請求項1から21、30から33、または42から48のうちのいずれか一項に記載のレオウイルス、および医薬的に容認可能な担体を含む、医薬組成物。
【請求項50】
1つもしくは複数の化学療法薬および/または1つもしくは複数の免疫抑制剤をさらに含む、請求項49に記載の医薬組成物。
【請求項51】
改良レオウイルスを作製する方法であって、前記レオウイルスの核酸配列を改変するステップと、1つもしくは複数の改良レオウイルスを選択するステップと、を含む、方法。
【請求項52】
前記改変するステップが、前記レオウイルスに突然変異を生じさせるステップを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記突然変異を生じさせるステップが、部位特異的突然変異誘発を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記突然変異を生じさせるステップが、化学的突然変異誘発を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記改変するステップが、前記レオウイルスをヒト細胞株において培養するステップを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項56】
前記改良レオウイルスが、細胞溶解率の増加;プラーク作製のサイズの増大;RNA複製率の増加;RNA転写率の増加;翻訳率の増加;ウイルスアセンブリおよび/またはパッケージング率の増加;子孫ウイルス数の増加;宿主細胞によって取り込まれるレオウイルスの能力の増大;脱殻能力の増大または増強;細胞溶解の増強またはアポトーシス、壊死または自食作用を含む細胞死の誘発;ヒト腫瘍細胞株を感染、溶解、殺傷する能力の増強;哺乳動物細胞における免疫原性の低下;インターフェロン感度に対する特異的感受性;宿主に対する毒性の低下;薬物間相互作用の増強;放射線治療相互作用の増強;または効果的な腫瘍エピトープの放出能力のために選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項57】
患者において増殖性疾患を治療する方法であって、請求項1から21、30から33、または42から48のうちのいずれか一項に記載のレオウイルス、または請求項49または50に記載の医薬組成物を前記患者に投与するステップを含む、方法。
【請求項58】
前記レオウイルスを、腫瘍崩壊を生じさせるために有効な量で投与する、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
手術、化学療法、放射線治療、および免疫抑制療法から成る群より選択される処置のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
前記レオウイルスまたは医薬組成物が1回以上投与される、請求項57に記載の方法。
【請求項61】
前記レオウイルスまたは医薬組成物が、経静脈的、経脈管的、髄腔内、筋肉内、皮下的、骨盤内、局所的、経口的、経直腸的、経膣的、経鼻腔的、直接注射または吸入によって投与される、請求項57に記載の方法。
【請求項62】
請求項1から21、30から33、または42から48のうちのいずれか一項に記載のレオウイルスを含むキット。
【請求項63】
1つもしくは複数の薬剤をさらに含む、請求項62に記載のキット。

【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【公表番号】特表2010−520758(P2010−520758A)
【公表日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552983(P2009−552983)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【国際出願番号】PCT/CA2008/000483
【国際公開番号】WO2008/110004
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(501332264)オンコリティクス バイオテク,インコーポレーテッド (16)
【Fターム(参考)】