改良されたサイトカインの設計
本発明は、新規サイトカインであって、それらの同種受容体に対する改変された選択性/特異性を有するサイトカインに関する。特に、本発明は、死受容体5(TRAIL−R2)に対してよりも、死受容体4(TRAIL−R1)に対して優れた選択性を有する変異TRAILタンパク質に関する。加えて、本発明は、囮受容体であるDcR1(TRAIL−R3)およびDcR2(TRAIL−R4)に対してよりも、死受容体4(TRAIL−R1)に対して優れた選択性を示す変異TRAILタンパク質に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規サイトカインであって、それらの関連した受容体に対する改変された選択性/特異性を有するサイトカインに関する。
【背景技術】
【0002】
サイトカインは、主として白血球から分泌される増殖因子のファミリーであり、ナノモル以下の濃度で細胞過程をもたらし得る強力な調節因子として作用するメッセンジャータンパク質である。サイトカインは、それらのサイズから、体内に迅速に輸送され必要に応じて分解され得る。広範な細胞機能(特に免疫応答および細胞増殖)の制御におけるサイトカインの役割は、過去20年にわたる広範な研究により明らかになっている(非特許文献1)。これらの役割には、免疫応答の調節(非特許文献2)、炎症(非特許文献3)、創傷治癒(非特許文献4)、胚形成および発生、ならびにアポトーシス(非特許文献5)が含まれる。
【0003】
これまでのサイトカインの臨床用途は、免疫系の調節因子としてのそれらの役割(非特許文献6)、例えば、甲状腺癌に対する応答の促進におけるそれらの役割(非特許文献7)に重点が置かれていた。サイトカインは細胞増殖および分化を制御することから、サイトカインは抗癌標的にもなっている(非特許文献8,9)。サイトカインおよびサイトカイン受容体の新規突然変異は、耐病性を与える場合があることが示されている(非特許文献10)。活性を修飾し潜在的副作用を取り除くための合成サイトカイン(突然変異タンパク質)の創出も重要な研究方法となっている(非特許文献11)。
【0004】
このように、サイトカイン分子は、多様な生理学的機能において役割を果たし、それらの多くは疾患過程において役割を果たすことが分かっている。サイトカインの活性または特異性の改変は、疾患表現型を変えるための手段であり、そのようなものとして、新規サイトカイン分子の同定は科学的に非常に興味深い。
【0005】
特に興味深いのは、腫瘍壊死因子リガンド(TNF)ファミリーに属するリガンドである。これらのタンパク質は細胞増殖からアポトーシスに及ぶ広範な生物学的活性に関与している。
【0006】
TNFリガンドファミリーの一メンバーであるTRAILは、その可溶性形態で、in vitroおよびin vivoにて腫瘍細胞においてアポトーシスを選択的に誘導する。他のアポトーシス誘導TNFファミリーメンバーとは異なり、TRAILは、正常な健康組織に対して不活性であるように思われるため、潜在的癌治療用物質として高い関心を集めている(非特許文献12)。そのため、TRAILは腫瘍細胞に対する安全で強力な治療薬となる可能性がある。複数のin vitro研究により、肺、乳房、前立腺、膀胱、腎臓、卵巣および結腸の癌ならびに黒色腫、白血病および多発性骨髄腫などの異なる起源の多くの腫瘍細胞系統は、TRAIL誘導性アポトーシスに対して感受性が高いことが分かっている。
【0007】
また、TRAILは、自己免疫疾患(例えば関節リウマチ)などの免疫系修飾において重要な役割を果たし得ることも報告されている。
【0008】
最近の重要な刊行物により、TRAIL−R3(DcR1)は、遺伝毒性薬であるドキソルビシンの使用により、乳房腫瘍細胞においてp53によりアップレギュレートされることが示された(非特許文献13)。これは、野生型(WT)TRAILが囮受容体(アポトーシスを起こさない)とも結合するために、抗腫瘍療法においてその有効性が弱まる可能性があることを意味している。そのため、選択性/特異性が改変されたTRAILの変異体は、アポトーシス促進性受容体であるDR4(死受容体4、TRAIL−R1)またはDR5(死受容体5、TRAIL−R2)に直接結合するということも考えられる。さらに、そのような変異体は、囮受容体による結合を逃れ、アポプトトシス誘導性受容体(the apoptotosis-inducing receptors)であるDR4またはDR5に利用可能な状態を維持することができ、理論上は、癌治療における最大限に改善された用途を有するかもしれない。
【0009】
この点において、新規分子の選択性は、種々の受容体の活性化の特定の役割、それゆえいくつかの受容体と結合するリガンドの機能的効果、およびシグナル活性化に関係する関連疾患の病因への付随影響を理解するのに最も重要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Boppana, S.B (1996), Indian. J. Pediatr. 63(4):447-52
【非特許文献2】Nishihira, J. (1998), Int. J. Mol. Med. 2(1):17-28
【非特許文献3】Kim, P.K. et al (2000), Surg. Clin. North. Am. 80(3):885-894
【非特許文献4】Clark, R.A. (1991), J. Cell Biochem. 46(1):1-2
【非特許文献5】Flad, H.D. et al (1999), Pathobiology. 67(5-6):291-293
【非特許文献6】Rodriguez, F.H. et al (2000), Curr. Pharm. Des. 6(6):665-680
【非特許文献7】Schmutzler, C. et al (2000), 143(1):15-24
【非特許文献8】Lazar-Molnar, E. et al (2000), Cytokine. 12(6), 547-554
【非特許文献9】Gado, K. (2000), 24(4):195-209
【非特許文献10】van Deventer, S.J. et al (2000), Intensive Care Med. 26 (Suppl 1):S98:S102
【非特許文献11】Shanafelt, A.B. et al (1998), 95(16):9454-9458
【非特許文献12】Ashkenazi et al (1999), J. Clin. Invest 104, 155-162
【非特許文献13】Ruiz de Almodovar et al. (2003), Nov 17, Manuscript M311243200
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
死受容体5(TRAIL−R2)に対してよりも、死受容体4(TRAIL−R1)に対して優れた選択性を有する、変異TRAILタンパク質。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】FoldXによる計算の結果。負のΔΔGiは受容体結合の改善を示し、正のΔΔGiは受容体結合の低減を示す。
【図2A】精製リガンドWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yと、固定化したDR4−Ig、DR5−Ig、DcR1−IgおよびDcR2−Ig受容体キメラとの前定常状態結合を、表面プラズマ共鳴(SPR)を用いてリアルタイムで評価した。(A)SPRにより測定したDR5−Igに対するまたはDR4−Igに対するWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yの受容体結合;(B)SPRにより測定したDcR1−Igに対するまたはDcR2−Igに対するWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yの受容体結合。BSAとともに処方したDR4−IgおよびDR5−Ig調製物をセンサー表面上に固定化した。250nMのWT rhTRAILの応答と比較して結合を計算した。(C)前記精製リガンドと、固定化したOPG受容体キメラとの前定常状態結合を、表面プラズマ共鳴(SPR)を用いてリアルタイムで評価した。OPGに対するWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yの受容体結合をSPRにより測定した。BSAとともに処方したOPG調製物をセンサー表面上に固定化した。250nMのWT rhTRAILの応答と比較して結合を計算した。競合ELISA試験は、DR4−Ig(D)または競合相手としての可溶性DR5−Ig(E)を使用して実施した。rhTRAIL WTまたは変異体を0〜500ng/ウェルのDR4またはDR5とともに30分間プレインキュベートした。プレインキュベートした溶液を、DR4−Igでコーティングしたマイクロタイタープレートに入れた。様々な可溶性受容体濃度において、固定化したDR4−Igに対する選択的変異体の結合を、0ng/ウェルの可溶性の受容体の存在下で測定した値と比較して計算した。
【図2B】精製リガンドWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yと、固定化したDR4−Ig、DR5−Ig、DcR1−IgおよびDcR2−Ig受容体キメラとの前定常状態結合を、表面プラズマ共鳴(SPR)を用いてリアルタイムで評価した。(A)SPRにより測定したDR5−Igに対するまたはDR4−Igに対するWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yの受容体結合;(B)SPRにより測定したDcR1−Igに対するまたはDcR2−Igに対するWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yの受容体結合。BSAとともに処方したDR4−IgおよびDR5−Ig調製物をセンサー表面上に固定化した。250nMのWT rhTRAILの応答と比較して結合を計算した。(C)前記精製リガンドと、固定化したOPG受容体キメラとの前定常状態結合を、表面プラズマ共鳴(SPR)を用いてリアルタイムで評価した。OPGに対するWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yの受容体結合をSPRにより測定した。BSAとともに処方したOPG調製物をセンサー表面上に固定化した。250nMのWT rhTRAILの応答と比較して結合を計算した。競合ELISA試験は、DR4−Ig(D)または競合相手としての可溶性DR5−Ig(E)を使用して実施した。rhTRAIL WTまたは変異体を0〜500ng/ウェルのDR4またはDR5とともに30分間プレインキュベートした。プレインキュベートした溶液を、DR4−Igでコーティングしたマイクロタイタープレートに入れた。様々な可溶性受容体濃度において、固定化したDR4−Igに対する選択的変異体の結合を、0ng/ウェルの可溶性の受容体の存在下で測定した値と比較して計算した。
【図2C】精製リガンドWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yと、固定化したDR4−Ig、DR5−Ig、DcR1−IgおよびDcR2−Ig受容体キメラとの前定常状態結合を、表面プラズマ共鳴(SPR)を用いてリアルタイムで評価した。(A)SPRにより測定したDR5−Igに対するまたはDR4−Igに対するWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yの受容体結合;(B)SPRにより測定したDcR1−Igに対するまたはDcR2−Igに対するWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yの受容体結合。BSAとともに処方したDR4−IgおよびDR5−Ig調製物をセンサー表面上に固定化した。250nMのWT rhTRAILの応答と比較して結合を計算した。(C)前記精製リガンドと、固定化したOPG受容体キメラとの前定常状態結合を、表面プラズマ共鳴(SPR)を用いてリアルタイムで評価した。OPGに対するWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yの受容体結合をSPRにより測定した。BSAとともに処方したOPG調製物をセンサー表面上に固定化した。250nMのWT rhTRAILの応答と比較して結合を計算した。競合ELISA試験は、DR4−Ig(D)または競合相手としての可溶性DR5−Ig(E)を使用して実施した。rhTRAIL WTまたは変異体を0〜500ng/ウェルのDR4またはDR5とともに30分間プレインキュベートした。プレインキュベートした溶液を、DR4−Igでコーティングしたマイクロタイタープレートに入れた。様々な可溶性受容体濃度において、固定化したDR4−Igに対する選択的変異体の結合を、0ng/ウェルの可溶性の受容体の存在下で測定した値と比較して計算した。
【図2D】精製リガンドWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yと、固定化したDR4−Ig、DR5−Ig、DcR1−IgおよびDcR2−Ig受容体キメラとの前定常状態結合を、表面プラズマ共鳴(SPR)を用いてリアルタイムで評価した。(A)SPRにより測定したDR5−Igに対するまたはDR4−Igに対するWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yの受容体結合;(B)SPRにより測定したDcR1−Igに対するまたはDcR2−Igに対するWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yの受容体結合。BSAとともに処方したDR4−IgおよびDR5−Ig調製物をセンサー表面上に固定化した。250nMのWT rhTRAILの応答と比較して結合を計算した。(C)前記精製リガンドと、固定化したOPG受容体キメラとの前定常状態結合を、表面プラズマ共鳴(SPR)を用いてリアルタイムで評価した。OPGに対するWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yの受容体結合をSPRにより測定した。BSAとともに処方したOPG調製物をセンサー表面上に固定化した。250nMのWT rhTRAILの応答と比較して結合を計算した。競合ELISA試験は、DR4−Ig(D)または競合相手としての可溶性DR5−Ig(E)を使用して実施した。rhTRAIL WTまたは変異体を0〜500ng/ウェルのDR4またはDR5とともに30分間プレインキュベートした。プレインキュベートした溶液を、DR4−Igでコーティングしたマイクロタイタープレートに入れた。様々な可溶性受容体濃度において、固定化したDR4−Igに対する選択的変異体の結合を、0ng/ウェルの可溶性の受容体の存在下で測定した値と比較して計算した。
【図2E】精製リガンドWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yと、固定化したDR4−Ig、DR5−Ig、DcR1−IgおよびDcR2−Ig受容体キメラとの前定常状態結合を、表面プラズマ共鳴(SPR)を用いてリアルタイムで評価した。(A)SPRにより測定したDR5−Igに対するまたはDR4−Igに対するWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yの受容体結合;(B)SPRにより測定したDcR1−Igに対するまたはDcR2−Igに対するWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yの受容体結合。BSAとともに処方したDR4−IgおよびDR5−Ig調製物をセンサー表面上に固定化した。250nMのWT rhTRAILの応答と比較して結合を計算した。(C)前記精製リガンドと、固定化したOPG受容体キメラとの前定常状態結合を、表面プラズマ共鳴(SPR)を用いてリアルタイムで評価した。OPGに対するWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yの受容体結合をSPRにより測定した。BSAとともに処方したOPG調製物をセンサー表面上に固定化した。250nMのWT rhTRAILの応答と比較して結合を計算した。競合ELISA試験は、DR4−Ig(D)または競合相手としての可溶性DR5−Ig(E)を使用して実施した。rhTRAIL WTまたは変異体を0〜500ng/ウェルのDR4またはDR5とともに30分間プレインキュベートした。プレインキュベートした溶液を、DR4−Igでコーティングしたマイクロタイタープレートに入れた。様々な可溶性受容体濃度において、固定化したDR4−Igに対する選択的変異体の結合を、0ng/ウェルの可溶性の受容体の存在下で測定した値と比較して計算した。
【図3】DR5感受性Colo205細胞(A)ならびにDR4感受性ML−1細胞(B)およびEM−2細胞(C)における、WT rhTRAIL、D218Y変異体およびDR5選択的リガンドD269H/E195Rの生物活性。20ng/ml(Colo205)または100ng/ml(EM−2)のWT rhTRAILまたは変異体との3時間のインキュベーション後に、アポトーシス率をアネキシンV陽性率として測定した。これらの濃度は、WT rhTRAILがその最大アポトーシス誘導活性を表し始める濃度であることから選択した。アポトーシス誘導活性は、これらの濃度のWT rhTRAILのアポトーシス誘導活性と比較して計算する。
【図4】DR4選択性に関する20種の突然変異体の設計について計算したΔΔG値(kcal/mol)の表および座標表示グラフ。
【図5】前記精製リガンドと、固定化したDR4−IgおよびDR5−Ig受容体キメラとの前定常状態結合を、表面プラズマ共鳴(SPR)を用いてリアルタイムで評価した。SPRにより測定したDR5−IgおよびDR4−Igに対するWT rhTRAIL、G131R、N199RK201HおよびG131RN199RK201Hの受容体結合。BSAとともに処方したDR4−IgおよびDR5−Ig調製物をセンサー表面上に固定化した。250nMのWT rhTRAILの応答と比較して結合を計算した。
【図6A】(A)ML−1細胞、EM−2細胞およびA2780細胞ならびに(B)HL−60、Oci−AML3およびMOLM−13におけるTRAIL受容体の細胞表面発現。細胞を播種し(ML−1:300000細胞/ml、EM−2:300000細胞/ml、A2780:350000細胞/ml、HL−60:300000細胞/ml、Oci−AML3:750000細胞/ml、MOLM−13:1000000細胞/ml)、24時間後にDR4、DR5、DcR1およびDcR2の免疫蛍光標識のために回収した。培養皿から細胞を取り出し(A2780細胞は、軽いトリプシン処理により回収した)、PBS中1%BSAで2回洗浄した後、PBS中1%BSAによる一次抗体の1:100希釈物中で室温で40分間インキュベートした(DR4およびDR5:中和抗体、Alexis、DcR1およびDcR2:中和ヤギポリクローナル抗体、R&D Systems)。1%BSA/PBSで2回洗浄した後、細胞をFITC標識二次抗体(Sigma)の1:50希釈物中に再懸濁し、室温で40分間インキュベートした。PBS中1%BSAで1回そしてPBSで1回洗浄することにより過剰の二次抗体を除去した。フローサイトメトリーによる解析(FacsCalibur, Beckton Dickinson)の前に、これらの細胞をPBS中1%ホルムアルデヒド中に固定した。AF:自己蛍光、IC:アイソタイプ対照。
【図6B】(A)ML−1細胞、EM−2細胞およびA2780細胞ならびに(B)HL−60、Oci−AML3およびMOLM−13におけるTRAIL受容体の細胞表面発現。細胞を播種し(ML−1:300000細胞/ml、EM−2:300000細胞/ml、A2780:350000細胞/ml、HL−60:300000細胞/ml、Oci−AML3:750000細胞/ml、MOLM−13:1000000細胞/ml)、24時間後にDR4、DR5、DcR1およびDcR2の免疫蛍光標識のために回収した。培養皿から細胞を取り出し(A2780細胞は、軽いトリプシン処理により回収した)、PBS中1%BSAで2回洗浄した後、PBS中1%BSAによる一次抗体の1:100希釈物中で室温で40分間インキュベートした(DR4およびDR5:中和抗体、Alexis、DcR1およびDcR2:中和ヤギポリクローナル抗体、R&D Systems)。1%BSA/PBSで2回洗浄した後、細胞をFITC標識二次抗体(Sigma)の1:50希釈物中に再懸濁し、室温で40分間インキュベートした。PBS中1%BSAで1回そしてPBSで1回洗浄することにより過剰の二次抗体を除去した。フローサイトメトリーによる解析(FacsCalibur, Beckton Dickinson)の前に、これらの細胞をPBS中1%ホルムアルデヒド中に固定した。AF:自己蛍光、IC:アイソタイプ対照。
【図7】潜在的にDR4選択的なTRAIL突然変異体N199R/K201HとWT rhTRAILとのアポトーシス促進能の比較。漸増用量のN199R/K201HまたはWT rhTRAILでの24時間処置の24時間前に、ML−1細胞を300000細胞/mlの密度で播種した。このグラフは、アネキシンV陽性のフローサイトメトリー解析により決定した死細胞の割合を示している。
【図8】潜在的にDR4選択的なTRAIL突然変異体N199R/K201HとWT rhTRAILとのアポトーシス促進能の比較。漸増用量のN199R/K201HまたはWT rhTRAILでの24時間処置の24時間前に、EM−2細胞を300000細胞/mlの密度でを播種した。このグラフは、アネキシンV陽性のフローサイトメトリー解析により決定した死細胞の割合を示している。
【図9】潜在的にDR4選択的なTRAIL突然変異体N199R/K201Hと、DR5選択的突然変異体D269H/E195Rと、WT rhTRAILとのアポトーシス促進能の比較。漸増用量のN199R/K201H、D269H/E195RまたはWT rhTRAILでの24時間処置の24時間前に、A2780細胞を350000細胞/mlの密度で播種した。このグラフは、アネキシンV陽性のフローサイトメトリー解析により決定した死細胞の割合を示している。
【図10A】DR4選択的TRAIL突然変異体N199R/K201H/G131R、WT rhTRAILおよびDR5選択的突然変異体D269H/E195R(E195R)の、ML−1細胞におけるアポトーシス促進能。漸増用量のN199R/K201H/G131R、WT rhTRAILまたはD269H/E195R(この図ではE195Rと示している)での24時間処置の24時間前にML−1急性骨髄性白血病細胞を300000細胞/mlの密度で播種した。これらのグラフは、アネキシンV陽性のフローサイトメトリー解析により決定した死細胞の割合を示している。(A)WT rhTRAILとDR4選択的突然変異体N199R/K201H/G131Rとの効果の比較。(B)WT rhTRAILとDR5選択的突然変異体D269H/E195R(E195R)との効果の比較。
【図10B】DR4選択的TRAIL突然変異体N199R/K201H/G131R、WT rhTRAILおよびDR5選択的突然変異体D269H/E195R(E195R)の、ML−1細胞におけるアポトーシス促進能。漸増用量のN199R/K201H/G131R、WT rhTRAILまたはD269H/E195R(この図ではE195Rと示している)での24時間処置の24時間前にML−1急性骨髄性白血病細胞を300000細胞/mlの密度で播種した。これらのグラフは、アネキシンV陽性のフローサイトメトリー解析により決定した死細胞の割合を示している。(A)WT rhTRAILとDR4選択的突然変異体N199R/K201H/G131Rとの効果の比較。(B)WT rhTRAILとDR5選択的突然変異体D269H/E195R(E195R)との効果の比較。
【図11A】DR4選択的TRAIL突然変異体N199R/K201H/G131R、WT rhTRAILおよびDR5選択的突然変異体D269H/E195R(E195R)の、EM−2細胞におけるアポトーシス促進能。漸増用量のN199R/K201H/G131R、WT rhTRAILまたはD269H/E195Rでの24時間処置の24時間前に、EM−2慢性骨髄性白血病細胞を300000細胞/mlの密度で播種した。これらのグラフは、アネキシンV陽性のフローサイトメトリー解析により決定した死細胞の割合を示している。(A)WT rhTRAILとDR4選択的突然変異体N199R/K201H/G131Rとの効果の比較。(B)WT rhTRAILとDR5選択的突然変異体D269H/E195R(E195R)との効果の比較。
【図11B】DR4選択的TRAIL突然変異体N199R/K201H/G131R、WT rhTRAILおよびDR5選択的突然変異体D269H/E195R(E195R)の、EM−2細胞におけるアポトーシス促進能。漸増用量のN199R/K201H/G131R、WT rhTRAILまたはD269H/E195Rでの24時間処置の24時間前に、EM−2慢性骨髄性白血病細胞を300000細胞/mlの密度で播種した。これらのグラフは、アネキシンV陽性のフローサイトメトリー解析により決定した死細胞の割合を示している。(A)WT rhTRAILとDR4選択的突然変異体N199R/K201H/G131Rとの効果の比較。(B)WT rhTRAILとDR5選択的突然変異体D269H/E195R(E195R)との効果の比較。
【図12】DR4選択的TRAIL突然変異体N199R/K201H/G131Rと、DR5選択的突然変異体D269H/E195R(E195R)と、WT rhTRAILとのアポトーシス促進能の比較。漸増用量のN199R/K201H/G131R、D269H/E195RまたはWT rhTRAILでの24時間処置の24時間前に、A2780細胞を350000細胞/mlの密度で播種した。このグラフは、アネキシンV染色のフローサイトメトリー解析により決定した死細胞の割合を示している。
【図13A】DR4選択的TRAIL突然変異体N199R/K201H/G131R、WT rhTRAILおよびDR5選択的突然変異体D269H/E195R(E195R)の、HL−60細胞におけるアポトーシス促進能。漸増用量のN199R/K201H/G131R、WT rhTRAILまたはD269H/E195Rでの24時間処置の24時間前に、HL−60(前骨髄性白血病細胞、PML、AMLのサブタイプ)細胞を300000細胞/mlの密度で播種した。これらのグラフは、アネキシンV陽性のフローサイトメトリー解析により決定した死細胞の割合を示している。(A)WT rhTRAILとDR4選択的突然変異体N199R/K201H/G131Rとの効果の比較。(B)WT rhTRAILとDR5選択的突然変異体D269H/E195Rとの効果の比較。
【図13B】DR4選択的TRAIL突然変異体N199R/K201H/G131R、WT rhTRAILおよびDR5選択的突然変異体D269H/E195R(E195R)の、HL−60細胞におけるアポトーシス促進能。漸増用量のN199R/K201H/G131R、WT rhTRAILまたはD269H/E195Rでの24時間処置の24時間前に、HL−60(前骨髄性白血病細胞、PML、AMLのサブタイプ)細胞を300000細胞/mlの密度で播種した。これらのグラフは、アネキシンV陽性のフローサイトメトリー解析により決定した死細胞の割合を示している。(A)WT rhTRAILとDR4選択的突然変異体N199R/K201H/G131Rとの効果の比較。(B)WT rhTRAILとDR5選択的突然変異体D269H/E195Rとの効果の比較。
【図14A】DR4選択的TRAIL突然変異体N199R/K201H/G131R、WT rhTRAILおよびDR5選択的突然変異体D269H/E195R(E195R)の、Oci−AML3細胞におけるアポトーシス促進能。漸増用量のN199R/K201H/G131R、WT rhTRAILまたはD269H/E195Rでの24時間処置の24時間前に、Oci−AML3(AML)細胞を750000細胞/mlの密度で播種した。これらのグラフは、アネキシンV陽性のフローサイトメトリー解析により決定した死細胞の割合を示している。(A)WT rhTRAILとDR4選択的突然変異体N199R/K201H/G131Rとの効果の比較。(B)WT rhTRAILとDR5選択的突然変異体D269H/E195Rとの効果の比較。
【図14B】DR4選択的TRAIL突然変異体N199R/K201H/G131R、WT rhTRAILおよびDR5選択的突然変異体D269H/E195R(E195R)の、Oci−AML3細胞におけるアポトーシス促進能。漸増用量のN199R/K201H/G131R、WT rhTRAILまたはD269H/E195Rでの24時間処置の24時間前に、Oci−AML3(AML)細胞を750000細胞/mlの密度で播種した。これらのグラフは、アネキシンV陽性のフローサイトメトリー解析により決定した死細胞の割合を示している。(A)WT rhTRAILとDR4選択的突然変異体N199R/K201H/G131Rとの効果の比較。(B)WT rhTRAILとDR5選択的突然変異体D269H/E195Rとの効果の比較。
【図15A】DR4選択的TRAIL突然変異体N199R/K201H/G131R、WT rhTRAILおよびDR5選択的突然変異体D269H/E195R(E195R)の、MOLM−13細胞におけるアポトーシス促進能。漸増用量のN199R/K201H/G131R、WT rhTRAILまたはD269H/E195Rでの24時間処置の24時間前に、MOLM−13(AML)細胞を1000000細胞/mlの密度で播種した。これらのグラフは、アネキシンV陽性のフローサイトメトリー解析により決定した死細胞の割合を示している。(A)WT rhTRAILとDR4選択的突然変異体N199R/K201H/G131Rとの効果の比較。(B)WT rhTRAILとDR5選択的突然変異体D269H/E195Rとの効果の比較。
【図15B】DR4選択的TRAIL突然変異体N199R/K201H/G131R、WT rhTRAILおよびDR5選択的突然変異体D269H/E195R(E195R)の、MOLM−13細胞におけるアポトーシス促進能。漸増用量のN199R/K201H/G131R、WT rhTRAILまたはD269H/E195Rでの24時間処置の24時間前に、MOLM−13(AML)細胞を1000000細胞/mlの密度で播種した。これらのグラフは、アネキシンV陽性のフローサイトメトリー解析により決定した死細胞の割合を示している。(A)WT rhTRAILとDR4選択的突然変異体N199R/K201H/G131Rとの効果の比較。(B)WT rhTRAILとDR5選択的突然変異体D269H/E195Rとの効果の比較。
【図16】WT rhTRAILおよび変異体G131R/N199R/K201Hの、DR4およびDR5により媒介される細胞死の両方に反応するColo205細胞における生物活性。漸増用量のN199RK201HG131RまたはWT rhTRAILでの24時間処置の24時間前に、Colo205細胞を96ウェルプレートに増殖培地1ml当たり400000細胞の密度で播種し、MTTアッセイにより細胞増殖を測定した。
【図17】潜在的にDR4選択的なTRAIL突然変異体G131R/D218HとWT rhTRAILとのアポトーシス促進能の比較。漸増用量のG131R/D218HまたはWT rhTRAILでの24時間処置の24時間前に、ML−1細胞を300000細胞/mlの密度で播種した。このグラフは、アネキシンV陽性のフローサイトメトリー解析により決定した死細胞の割合を示している。
【図18】潜在的にDR4選択的なTRAIL突然変異体G131R/D218HとWT rhTRAILとのアポトーシス促進能の比較。漸増用量のG131R/D218HまたはWT rhTRAILでの24時間処置の24時間前に、EM−2細胞を300000細胞/mlの密度で播種した。このグラフは、アネキシンV染色のフローサイトメトリー解析により決定した死細胞の割合を示している。
【図19】潜在的にDR4選択的なTRAIL突然変異体G131R/D218Hと、DR5選択的突然変異体D269H/E195Rと、WT rhTRAILとのアポトーシス促進能の比較。漸増用量のG131R/D218H、D269H/E195RまたはWT rhTRAILでの24時間処置の24時間前に、A2780細胞を350000細胞/mlの密度で播種した。このグラフは、アネキシンV染色のフローサイトメトリー解析により決定した死細胞の割合を示している。
【図20A】WT rhTRAILおよび変異体G131R/N199R/K201Hの、DR4およびDR5により媒介される細胞死の両方に反応するBJAB細胞(BJABwt)(A)およびDR5について欠損しているBJAB細胞(BJABDR5DEF)(B)における生物活性。BJAB細胞を96ウェルプレートに増殖培地(+1.0μg/mlシクロヘキシミド)1ml当たり400000細胞の密度で播種し、漸増用量のG131RN199RK201HまたはWT rhTRAILを24時間加えた。MTTアッセイにより細胞増殖を測定した。
【図20B】WT rhTRAILおよび変異体G131R/N199R/K201Hの、DR4およびDR5により媒介される細胞死の両方に反応するBJAB細胞(BJABwt)(A)およびDR5について欠損しているBJAB細胞(BJABDR5DEF)(B)における生物活性。BJAB細胞を96ウェルプレートに増殖培地(+1.0μg/mlシクロヘキシミド)1ml当たり400000細胞の密度で播種し、漸増用量のG131RN199RK201HまたはWT rhTRAILを24時間加えた。MTTアッセイにより細胞増殖を測定した。
【図21A】WT rhTRAILおよび変異体G131Rの、DR4およびDR5により媒介される細胞死の両方に反応するBJAB細胞(BJABwt)(A)およびDR5について欠損しているBJAB細胞(BJABDR5DEF)(B)における生物活性。BJAB細胞を96ウェルプレートに増殖培地(+1.0μg/mlシクロヘキシミド)1ml当たり200000細胞の密度で播種し、漸増用量のG131RまたはWT rhTRAILを24時間加えた。MTTアッセイにより細胞増殖を測定した。
【図21B】WT rhTRAILおよび変異体G131Rの、DR4およびDR5により媒介される細胞死の両方に反応するBJAB細胞(BJABwt)(A)およびDR5について欠損しているBJAB細胞(BJABDR5DEF)(B)における生物活性。BJAB細胞を96ウェルプレートに増殖培地(+1.0μg/mlシクロヘキシミド)1ml当たり200000細胞の密度で播種し、漸増用量のG131RまたはWT rhTRAILを24時間加えた。MTTアッセイにより細胞増殖を測定した。
【図22】競合相手として可溶性DR5−Ig(A)、可溶性DR4−Ig(B)、可溶性DcR1−Ig(C)、または可溶性DcR2−Ig(D)を使用した、WT rhTRAILとの比較による変異体G131R/N199R/K201Hの競合ELISA.固定化したDR4−Igへの結合率は、可溶性競合相手の0ng/ウェルにおいて結合した量と比較して計算する。WT rhTRAILおよび変異体を0〜500ng/ウェルのDR4およびDR5とともに30分間プレインキュベートした。プレインキュベートした溶液を、DR4−Igでコーティングしたマイクロタイタープレートに入れた。
【図23A】変異体G131R/N199R/K201Hは、HL−60細胞において、WT rhTRAILよりも効率的に死誘導TRAIL受容体を活性化する。ミトコンドリア膜電位の決定により(A)またはプロカスパーゼ8活性化の決定により(B、上のパネル)、アポトーシスを測定した。上のバンドはプロカスパーゼ−8であり(55/53kDa)、一方、下の二重バンドはプロセッシングを受けたカスパーゼ−8(43/41kDa)である。この下のパネルは、同等のタンパク質負荷の指標としてβ−アクチンの発現を示している(B)。
【図23B】変異体G131R/N199R/K201Hは、HL−60細胞において、WT rhTRAILよりも効率的に死誘導TRAIL受容体を活性化する。ミトコンドリア膜電位の決定により(A)またはプロカスパーゼ8活性化の決定により(B、上のパネル)、アポトーシスを測定した。上のバンドはプロカスパーゼ−8であり(55/53kDa)、一方、下の二重バンドはプロセッシングを受けたカスパーゼ−8(43/41kDa)である。この下のパネルは、同等のタンパク質負荷の指標としてβ−アクチンの発現を示している(B)。
【図24A】阻害剤であるκ−Bキナーゼ(IKK)阻害剤BMS−345541(Calbiochem)でのNF−κB活性の阻害は、WT rhTRAILおよびG131R/N199R/K201Hの両方の生物活性を増強した。HL−60細胞を指示濃度のBMS−345541の存在または不在下で100ng/ml(A)または10ng/ml(B)のWT rhTRAILまたはG131R/N199R/K201Hで12時間処置した。TMREを用いてミトコンドリア膜電位の損失を測定することにより、細胞死の誘導を判断した。これらのグラフは、低ミトコンドリア膜電位(ΔΨm)を有する細胞の平均割合を示している。
【図24B】阻害剤であるκ−Bキナーゼ(IKK)阻害剤BMS−345541(Calbiochem)でのNF−κB活性の阻害は、WT rhTRAILおよびG131R/N199R/K201Hの両方の生物活性を増強した。HL−60細胞を指示濃度のBMS−345541の存在または不在下で100ng/ml(A)または10ng/ml(B)のWT rhTRAILまたはG131R/N199R/K201Hで12時間処置した。TMREを用いてミトコンドリア膜電位の損失を測定することにより、細胞死の誘導を判断した。これらのグラフは、低ミトコンドリア膜電位(ΔΨm)を有する細胞の平均割合を示している。
【図25】精製TRAIL変異体R149Iと、固定化したDR4−IgおよびDR5−Ig受容体キメラとの前定常状態結合を、表面プラズマ共鳴(SPR)を用いてリアルタイムで評価した。DR4−IgおよびDR5−Ig調製物を約700RUの密度でCM5センサー表面上に直接固定化した。250nMのWT rhTRAILの応答と比較して結合を計算した。
【図26】精製TRAIL変異体S159RおよびK201Rと、固定化したDR4−IgおよびDR5−Ig受容体キメラとの前定常状態結合を、表面プラズマ共鳴(SPR)を用いてリアルタイムで評価した。DR4−IgおよびDR5−Ig調製物を約700RUの密度でCM5センサー表面上に直接固定化した。250nMのWT rhTRAILの応答と比較して結合を計算した。
【図27】変異体S159RおよびWT rhTRAILと、直接固定化したDR4−Ig(A)またはDR5−Ig(B)との結合のセンサーグラム。
【図28】競合相手として可溶性DR4−Ig(A)、可溶性DR5−Ig(B)、可溶性DcR1−Ig(C)、または可溶性DcR2−Ig(D)を使用した、WT rhTRAILおよびS159Rの競合ELISA試験。
【図29】精製TRAIL変異体K204Yと、固定化したDR4−IgおよびDR5−Ig受容体キメラとの前定常状態結合を、表面プラズマ共鳴(SPR)を用いてリアルタイムで評価した。DR4−IgおよびDR5−Ig調製物を約800RUの密度でCM5センサー表面上に直接固定化した。250nMのWT rhTRAILの応答と比較して結合を計算した。
【図30】精製TRAIL変異体S215Dと、固定化したDR4−IgおよびDR5−Ig受容体キメラとの前定常状態結合を、表面プラズマ共鳴(SPR)を用いてリアルタイムで評価した。DR4−IgおよびDR5−Ig調製物を約800RUの密度でCM5センサー表面上に直接固定化した。250nMのWT rhTRAILの応答と比較して結合を計算した。DHER:D269H/E195R(DR5選択的rhTRAIL変異体、DR5結合についての陽性対照として使用した)。
【図31】変異体S215DおよびWT rhTRAILの競合ELISA。(A)競合相手として可溶性DR4−Igを使用した競合ELISA。(B)競合相手として可溶性DR5−Igを使用した競合ELISA。固定化したDR4−Igへ結合したリガンドの割合は、可溶性競合相手の0ng/ウェルにおいて結合した量と比較して計算する。WT rhTRAILおよび変異体を0〜500ng/ウェルのDR4およびDR5とともに30分間プレインキュベートした。プレインキュベートした溶液を、DR4−Igでコーティングしたマイクロタイタープレートに入れた。
【図32】WT rhTRAILおよび変異体S159Rの骨髄性ML−1(A)細胞系統およびEM−2(B)細胞系統に対する細胞傷害効果。アネビンVアッセイ(Annevin V assay)により細胞死の誘導を定量する際、ML−1細胞およびEM−2細胞を指示濃度のWETrhTRAILまたは変異体S159Rで24時間処置した。これらのグラフは、細胞死の1つの指標として誘導した平均アネキシンV陽性率を示している。
【図33】WT rhTRAILおよび変異体S159Rの結腸癌SW948細胞系統に対する細胞傷害効果。
【図34A】WT rhTRAILおよびD269HE195R(DR5選択的変異体、グラフにおけるE195R)と比較した、S159Rの、WT HCT116(上のパネル)およびp53欠損(p53−/−)HCT116(下のパネル)ヒト結腸癌細胞系統における細胞傷害効果。24時間(A)、48時間(B)および72時間(C)のインキュベーション後の細胞生存率をタンパク質濃度の関数として測定することにより、細胞傷害効果を評価した。このグラフは、対照と比較して平均生存率を示している。
【図34B】WT rhTRAILおよびD269HE195R(DR5選択的変異体、グラフにおけるE195R)と比較した、S159Rの、WT HCT116(上のパネル)およびp53欠損(p53−/−)HCT116(下のパネル)ヒト結腸癌細胞系統における細胞傷害効果。24時間(A)、48時間(B)および72時間(C)のインキュベーション後の細胞生存率をタンパク質濃度の関数として測定することにより、細胞傷害効果を評価した。このグラフは、対照と比較して平均生存率を示している。
【図34C】WT rhTRAILおよびD269HE195R(DR5選択的変異体、グラフにおけるE195R)と比較した、S159Rの、WT HCT116(上のパネル)およびp53欠損(p53−/−)HCT116(下のパネル)ヒト結腸癌細胞系統における細胞傷害効果。24時間(A)、48時間(B)および72時間(C)のインキュベーション後の細胞生存率をタンパク質濃度の関数として測定することにより、細胞傷害効果を評価した。このグラフは、対照と比較して平均生存率を示している。
【図35A】WT rhTRAILおよびD269HE195R(DR5選択的変異体、グラフにおけるE195R)と比較した、TRAIL変異体S159Rの、ヒト膵臓癌細胞系統、BxPcに対する生物学的効果。24時間(A)、48時間(B)および72時間(C)のインキュベーション後の細胞生存率をタンパク質濃度の関数として測定することにより、生物学的効果を評価した。
【図35B】WT rhTRAILおよびD269HE195R(DR5選択的変異体、グラフにおけるE195R)と比較した、TRAIL変異体S159Rの、ヒト膵臓癌細胞系統、BxPcに対する生物学的効果。24時間(A)、48時間(B)および72時間(C)のインキュベーション後の細胞生存率をタンパク質濃度の関数として測定することにより、生物学的効果を評価した。
【図35C】WT rhTRAILおよびD269HE195R(DR5選択的変異体、グラフにおけるE195R)と比較した、TRAIL変異体S159Rの、ヒト膵臓癌細胞系統、BxPcに対する生物学的効果。24時間(A)、48時間(B)および72時間(C)のインキュベーション後の細胞生存率をタンパク質濃度の関数として測定することにより、生物学的効果を評価した。
【図36A】WT rhTRAILおよびD269HE195R(DR5選択的変異体、グラフにおけるE195R)と比較した、TRAIL変異体S159Rの、ヒト肝細胞癌HepG2細胞系統に対する生物学的効果。24時間(A)、48時間(B)および72時間(C)のインキュベーション後の細胞生存率をタンパク質濃度の関数として測定することにより、生物学的効果を評価した。
【図36B】WT rhTRAILおよびD269HE195R(DR5選択的変異体、グラフにおけるE195R)と比較した、TRAIL変異体S159Rの、ヒト肝細胞癌HepG2細胞系統に対する生物学的効果。24時間(A)、48時間(B)および72時間(C)のインキュベーション後の細胞生存率をタンパク質濃度の関数として測定することにより、生物学的効果を評価した。
【図36C】WT rhTRAILおよびD269HE195R(DR5選択的変異体、グラフにおけるE195R)と比較した、TRAIL変異体S159Rの、ヒト肝細胞癌HepG2細胞系統に対する生物学的効果。24時間(A)、48時間(B)および72時間(C)のインキュベーション後の細胞生存率をタンパク質濃度の関数として測定することにより、生物学的効果を評価した。
【図37】フローサイトメトリーを用いた24時間処置後にアネキシンV染色により測定した、WT rhTRAILおよび変異体R149IおよびS215Dの、EM−2(A)細胞およびML−1(B)細胞における生物活性。このグラフは、アポトーシス細胞の割合を示している。
【図38】SPRにより測定したrhTRAIL WTおよびDR4選択的突然変異体の受容体結合ならびに競合ELISA。rhTRAIL WT、D218HおよびD218Yと、DR4−Igとの受容体結合をSPRにより測定し(A)またはDR5−Ig(B)との受容体結合を測定した。適当な高親和性複合体形成を表す前定常状態データを得るために、より少数の複合体を表す初期の速い解離速度を仮定して、注射終了の30秒後に各濃度での応答を記録した。250nmのrhTRAIL WTの応答と比較して受容体結合を計算した。競合ELISAでは、競合相手としてDR4−Ig(C)または競合相手として可溶性DR5−Ig(D)を使用した。rhTRAIL WTまたは変異体を0〜500ng/ウェルのDR4またはDR5とともに30分間プレインキュベートした。プレインキュベートした溶液を、DR4−Igでコーティングしたマイクロタイタープレートに入れた。様々な可溶性受容体濃度において、固定化したDR4−Igに対する選択的変異体の結合を、0ng/ウェルの可溶性の受容体の存在下で測定した値と比べて計算した。
【図39】Gly131 突然変異体の結合エネルギー予測。FoldXバージョン2.8により決定した、野生型rhTRAILと比較したときの、種々の死受容体とのGly−131変異体の結合についての結合エネルギーの予測差(ΔΔG)。エネルギーの変化は、kcal/molで測定し、単一受容体と結合している単一結合界面の変化に当てはまる。負のΔΔGiは受容体結合の改善を示し、正のΔΔGiは受容体結合の低減を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第1の態様によれば、死受容体5(TRAIL−R2)に対してよりも、死受容体4(TRAIL−R1)に対して優れた選択性を有する変異TRAILタンパク質を提供する。
【0014】
TRAIL(TNFSF10、TL2;APO2L;CD253;Apo−2Lとしても知られる)は、TNFリガンドファミリーのメンバーであり14 15、末端切断型細胞内ドメインを欠くまたは有する囮受容体などの2以上の受容体と結合するサイトカインの例である。TRAILは、TNF受容体ファミリーの5つの関連する受容体とも;死受容体4(DR4、TRAIL−R1)、死受容体5(DR5、TRAIL−R2、KILLLER、TRICK−2)とも、囮受容体1、(DcR1、TRAIL−R3、TRIDD)、囮受容体2(DcR2、TRAIL−R4、TRUNDD)とも、可溶性分泌受容体であるオステオプロテジェリン(OPG)とも結合するため、無差別のリガンドである。DR4(TRAIL−R1)およびDR5(TRAIL−R2)だけが機能的死ドメイン(DD)を含み、DcR1、DcR2またはOPGは機能的死ドメイン(DD)を含まないことから、これらの受容体とTRAILが結合するだけで、細胞外因性または死受容体媒介のアポトーシス経路の活性化を介して、アポトーシスが誘導される。また、TRAILは、そのような受容体を通じてだけでなくDcR2を通じて、生存促進NF−κΒ経路も誘導することができるように思われる。ある特定の細胞において支配する経路(アポトーシスまたは生存)を決定する因子については、ほとんど解明されていない。
【0015】
受容体DR4および/またはDR5は、DNA損傷性化学療法薬での治療後にアップレギュレートされ得ることは知られている。このような細胞では、化学療法薬はTRAIL誘導性アポトーシスに対する応答を著しく増加させることができる。文献では、DR5が死シグナルを伝達する主要な受容体であることが示唆されている。しかしながら、本発明者らは、少なくともいくつかの癌細胞ではアポトーシスシグナルはDR4により主として伝達されると考える。よって、この理由で、WT TRAILはDR5に対してより高い親和性を有することから、このような癌はWT TRAILに対する反応性が低い。このような癌の例としては、限定されるものではないが、慢性リンパ性白血病およびマントル細胞リンパ腫が挙げられる27。
【0016】
従って、DR4(TRAIL−R1)シグナル伝達の選択的誘導因子を得ることは、非常に興味深いことである。よって、本発明者らは、DR4受容体選択的TRAIL変異体を使用することで、野生型TRAILと比べて、有効性がより高い、また場合によっては副作用がより少ないより良好な療法が可能になり得ると考える。
【0017】
死受容体5に対してよりも、死受容体4に対して優れている選択性に加えて、本発明によるTRAIL変異体は、囮受容体であるDcR1(TRAIL−R3)およびDcR2(TRAIL−R4)およびOPGに対してよりも、死受容体4(TRAIL−R1)に対して優れた選択性を示すことが好ましい。DcR1およびOPGは死ドメインを含まないが、DcR2は末端切断型死ドメインを含む。TRAILがこれらの受容体と結合してもアポトーシスは誘導されず;それどころか、その結合により、DR4およびDR5から利用可能なTRAILが封鎖されることによって、またはDcR2を介してNF−κB活性化が誘導されることによって、実際にはアポトーシスが阻止されることもある。従って、本発明のTRAIL変異体は、この経路を介して封鎖されないことが好ましい。
【0018】
本発明の変異TRAIL分子は、細胞におけるアポトーシスの誘導において大変有用である。アポトーシスは、in vivoでも、ex vivoでもまたはin vitroでも誘導され得る。アポトーシスは癌性細胞で誘導されるが、健康な細胞では誘導されないことが好ましい。
【0019】
「変異体」TRAILタンパク質とは、TRAILタンパク質が、WT TRAILタンパク質(TNFSF10、TL2;APO2L;CD253;Apo−2Lとしても知られる)、Entrez GeneID:8743;受託番号NM_003810.2;UniProtKB/Swiss−Prot:P50591;UniProtKB/TrEMBL:Q6IBA9と、少なくとも1つのアミノ酸位置(2、3、4、5、6以上の一アミノ酸位置など)に関して異なっているということを意味する。
【0020】
「選択性」とは、本発明の変異体が、相対語であるDR5に対する親和性、好ましくは、さらに囮受容体であるDcR1(TRAIL−R3)およびDcR2(TRAIL−R4)に対する親和性よりも、DR4に対して実質的に高い親和性を有するということを意味する。「実質的により高い親和性」とは、DR4に対するTRAIL変異体の親和性が、DR5、DcR1、DcR2およびOPGに対する親和性と比べて、計れる程度により高いということである。好ましくは、TRAIL変異体の親和性は、DR5、DcR1、DcR2およびOPGの1以上に対してよりも、DR4に対して少なくとも1.5倍、2倍、5倍、10倍、100倍、あるいは1000倍以上である。より好ましくは、TRAIL変異体の親和性は、DR5、DcR1、DcR2およびOPGの全てに対してよりも、DR4に対して少なくとも1.5倍、2倍、5倍、10倍、100倍、あるいは1000倍以上である。結合相手に対するタンパク質の結合親和性の測定方法は、当技術分野で周知であり、例えば、競合アッセイ、表面プラズモン共鳴などが挙げられる。
【0021】
また、DR4に対する本発明のTRAIL変異体の結合親和性は、DR4に対するWT TRAIL分子の結合親和性よりも絶対的に高いことが好ましい。さらに、DR5に対する本発明のTRAIL変異体の結合親和性は、DR5に対するWT TRAIL分子の結合親和性よりも低くなければならない。DcR1、DcR2およびOPGに対して証明されている結合親和性にも同じことが当てはまることが好ましい。
【0022】
好ましくは、本発明によるTRAIL変異体は、DR4に対して、上記の表面プラズモン共鳴(Van der Sloot, et. al.16)により測定した(この場合、WT TRAILの親和性の測定値は7.2nMであった)、Kd=1000nM未満、好ましくはKd=100nM未満、より好ましくはKd=10nM未満、より好ましくはKd=5nM未満、より好ましくはKd=1nM未満の結合親和性を示す。
【0023】
好ましくは、本発明によるTRAIL変異体は、DR5に対して、上記の表面プラズモン共鳴(Van der Sloot, et. al.16)により測定した(この場合、WT TRAILの親和性の測定値は2.5nMであった)、Kd=1nMより高い、好ましくはKd=5nMより高い、好ましくはKd=10nMより高い、好ましくはKd=100nMより高い、より好ましくはKd=1000nMより高い結合親和性を示す。
【0024】
好ましくは、本発明によるTRAIL変異体は、DcR1に対して、上記の表面プラズモン共鳴(Van der Sloot, et. al.16)により測定した(この場合、WT TRAILの親和性の測定値は約25nMであった)、Kd=10nMより高い、好ましくはKd=25nMより高い、好ましくはKd=50nMより高い、好ましくはKd=100nMより高い、より好ましくはKd=1000nMより高いの結合親和性を示す。
【0025】
好ましくは、本発明によるTRAIL変異体は、DcR2に対して、上記の表面プラズモン共鳴(Van der Sloot, et. al.16)により測定した(この場合、WT TRAILの親和性の測定値は約8nMであった)、Kd=10nMより高い、好ましくはKd=25nMより高い、好ましくはKd=50nMより高い、好ましくはKd=100nMより高い、より好ましくはKd=1000nMより高い結合親和性を示す。
【0026】
突然変異に好適な残基の特定の例としては、限定されるものではないが、次の位置:131位、199位、201位、204位、215位および218位が挙げられる。好適な残基のさらなる例については表3に示す(すなわち、127位、129位、131位、133位、143位、144位、149位、155位、157位、159位、160位、161位、162位、179位、193位、194位、197位、198位、199位、201位、202位、203位、204位、205位、207位、212位、214位、215位、216位、218位、221位、224位、232位、239位、249位、251位、252位、261位、262位、263位、264位、265位、269位、270位、271位、272位のもの)。これらの突然変異のうち、149位、159位、193位、201位、212位および251位の残基が好ましい。
【0027】
本明細書において示すTRAILタンパク質配列におけるアミノ酸位置について、および特定のTRAIL突然変異体についての全ての言及は、配列番号1に示すアミノ酸配列を指すように意図されている。本発明の一態様は、これらの位置の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11以上において突然変異しているサイトカインに関する。これらの残基は、種々の受容体間で保存されない場所の、またはDR4に特有の場所の、本発明者らによって側鎖がDR4の結合界面に適合すると予測されているアミノ酸であるため、好ましい。
【0028】
本発明者らは複数の好ましい突然変異体を同定しており、これらを表3に示している。これらの突然変異体は全て、DR4受容体に対する親和性が増加しかつ/またはDR5受容体との結合が低減したことから選択された。安定していると見込めない突然変異体は表に含めなかった。これらの突然変異体の設計方法、それらの結合親和性の決定方法およびこれらの突然変異体の安定性の評価方法に関する説明については、実施例2を参照。149位、159位、193位、201位、204位、212位、215位および251位の突然変異が好ましい。次の突然変異R149I、R149M、R149N、R149K、S159R、Q193H、Q193K、N199R、K201R、K204D、K204E、K204L、K204Y、K212R、S215D、S215E、S215H、S215K、K251D、K251EおよびK251Qが特に好ましい。
【0029】
本発明の一実施形態において、表3の突然変異体の組合せを含んでなるTRAIL変異体を提供する。このような組合せは、表3の突然変異の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ以上を含み得る。本発明のさらなる実施形態において、前記TRAIL変異体は、表3の突然変異および本明細書に開示するさらなる突然変異を含んでなる突然変異の組合せを含み得る。
【0030】
当業者ならば分かるように、このようなアミノ酸の変化は、WT TRAILの結合特異性を変えるのに十分なものでなければならない。そのため、あるアミノ酸を、異なる生理化学的性質を有する別のアミノ酸の代わりに用いることが好ましい。このような置換としては、限定されるものではないが、塩基性アミノ酸の酸性アミノ酸への置換または酸性アミノ酸の塩基性アミノ酸への置換が挙げられる。このアミノ酸置換は非保存的であることがさらに好ましい。このような置換は、その突然変異周囲の領域の電荷および/または構造が変わる可能性があるため、そのタンパク質の結合特異性が変わる可能性が高い。しかしながら、FoldXのようなタンパク質設計アルゴリズムの使用により、アミノ酸を、同等の生理化学的性質を有するアミノ酸(例えばK201R)と置換する効果を評価することも可能になる。例えば、特定のアミノ酸を、類似の生理化学的性質を有しているがサイズが異なるアミノ酸と置換することで、1つの受容体との相互作用を最適化することができ、その一方でもう1つの受容体との相互作用が最適でなくなる。
【0031】
生理化学的性質に基づいたアミノ酸の分類を以下の表に示す。同等の生理化学的性質を有するアミノ酸を同じ行に示し、括弧内にそのアミノ酸の1文字略号を示している。同じ行内でのアミノ酸置換は保存的である:
【表1】
【0032】
特定のタイプの残基との上記位置における等価置換が好ましい。例えば、131位、199位および201位における好ましい突然変異は、塩基性アミノ酸へのものである。131位において特に好ましいのは、アルギニンまたはリジンへの突然変異である。突然変異体G131Rは、例えば、WT TRAILと比べて、DR4と、このリガンドの広範な生理的濃度にわたって優れた結合を示す。これに対し、DR5に対する親和性の増加ははっきりと分からない(図5)。
【0033】
本発明者らは、FoldX解析に基づいて、DR4−選択性を増加させる次のWT TRAIL内突然変異部位を予測している:
【表2】
【0034】
131位における好ましい突然変異は、塩基性残基であるアルギニンおよびリジンへのものである(図39)。149位における好ましい突然変異は、イソロイシンまたはメチオニンまたはアスパラギンまたはリジンへのものである。これらの突然変異は、DR5に対する親和性の低下をもたらすと予測されるが、DR4に対する親和性には影響を及ぼさない(図4)。159位においては、好ましい突然変異はアルギニンへのものである。予測によれば、この突然変異は、DR5に対する親和性の実質的な低下をもたらすはずである。ヒスチジンおよびリジンへの突然変異は、193位において好ましい突然変異であり、これらの突然変異はどちらもDR4に対して比較的わずかな親和性の増加をもたらすはずであり、この場合、ヒスチジンへの突然変異は、DR5についての親和性のさらなる低下を起こすと予測される(図4)。199位における好ましい突然変異は、アルギニンまたはヒスチジンへのものである。アルギニンへの突然変異は、例えば、DR4に対する親和性の増加をもたらすと予測されるが、一方、DR5に対する親和性は低下する(図4)。201位における好ましい突然変異は、ヒスチジンまたはアルギニンへのものである。K201のアルギニンへの突然変異は、例えば、DR4に対する親和性を増加させると予測されるが、一方、DR5に対する親和性は低下する(図1)。204位における好ましい突然変異は、酸性アミノ酸(特にアスパラギン酸もしくはグルタミン酸)、またはロイシンもしくはチロシンへのものである。これらの突然変異体は、DR5に対する親和性が低下していると予測されたが、酸性残基への突然変異の場合には、それに伴ってDR4に対する親和性がわずかに増加している(図4)。残基Lys212のアルギニンへの突然変異は、DR4に対する親和性のわずかな増加もたらすと予測される。
【0035】
215位においては、突然変異は酸性アミノ酸へのものでも塩基性アミノ酸へのものでもよく;グルタミン酸、ヒスチジン、リジンおよびアスパラギン酸が好ましい。S215のグルタミン酸およびリジンへの突然変異は、DR4受容体に対するTRAIL変異体の親和性を増加させると予測されたが、一方、DR5に対する親和性は低下する(図4)。前記残基のアスパラギン酸への突然変異は、TRAIL変異体のDR5結合親和性の劇的な低下をもたらすと予測されるが、一方、DR4受容体に対するその親和性はほんのわずかに低下すると予測される(図4)。
【0036】
218位においては、突然変異は塩基性アミノ酸へのものでも芳香族アミノ酸へのものでもよく;ヒスチジン、チロシン、グルタミン酸、リジンおよびフェニルアラニンが好ましい。これらの突然変異は全て、DR4受容体に対する親和性の増加とともに、DR5との結合能の低下を特徴としている。特に、D218Hは、DR4との結合の変化を示さないが、一方、DR5に対するその結合親和性は1.5〜3倍低下している(図2A)。また、これらの突然変異体は、WT TRAILと比べて、DR5と形成された複合体の解離速度がより速いのに対し、DR4複合体のものはほとんど影響を受けない(データは示していない)。さらに、突然変異体D218HおよびD218Yは、囮受容体であるDcR1およびDcR2ならびにOPGとの結合の低減も示す(図2B、2C)。
【0037】
251位における好ましい突然変異は、酸性アミノ酸(アスパラギン酸もしくはグルタミン酸)、またはグルタミンへのものである。これらの突然変異体は、DR5に対する親和性が低下していると予測された(図4)
これらの突然変異体は全て、コンピューターによる設計モデル(例えばFoldX)においてDR4(TRAIL−R1)受容体に対する親和性および/または選択性の増加を示すことから好ましい。これらの突然変異体のいくつかは、DR5(TRAIL−R2)との結合の低減をさらに示す。このような性質を有する好ましい突然変異としては、これまでに同定されているように、G131R、G131K、R149I、R149M、R149N、R149K、S159R、Q193H、Q193K、N199H、N199R、K201H、K201R、K204D、K204E、K204L、K204Y、K212R、S215E、S215D、S215H、S215K、D218Y、D218H、K251D、K251EおよびK251Qが挙げられる。最も好ましいのは、突然変異体G131R、G131K、R149I、S159R、N199H、N199R、K201H、K201R、K204E、K204D、S215E、S215H、S215K、S215D、D218YおよびD218Hである。
【0038】
これらの突然変異の多くは、DR4受容体との優れた結合を示し、突然変異Q192H、Q193K、N199R、K201R、K204D、K204E、K212R、S215E、S215HおよびS215Kの場合には、DR5受容体との結合の低減も示すと予測される。突然変異K201Rは、突然変異TRAILの、DR4およびDR5の両方との結合の増加をもたらした。しかしながら、DR4との結合の増加は、DR5との結合の増加よりもずっと高い。突然変異S215Dは、DR5との結合能が大幅に低下しているが、一方、DR4に対する結合親和性がほとんど変化していないというTRAILタンパク質をもたらす。
【0039】
また、突然変異の組合せも想定される。好ましい組合せは、131位、149位、159位、193位、199位、201位、204位、215位および218位における2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つまたは9つ全ての突然変異のものである。好ましい二重突然変異としては、199位と201位および131位と218位が挙げられる。特に好ましい組合せは、N199R/K201H、N199H/K201RおよびG131R/D218Hである。好ましい三重突然変異としては、131位、199位および201位が挙げられる。このような3つの組合せの好ましい例はG131R/N199R/K201Hである。この突然変異体は、WT TRAILや単一突然変異体G131Rと比べて、DR4受容体に対する親和性のかなりの増加を示すのに対し、DR5に対する親和性の増加は、WT TRAILと比べて、あまりはっきりと分からない(図5)。さらに好ましい組合せは、3つの組合せG131R/N199R/K201Hと、リスト:149位、159位、193位、204位、212位、215位、218位、および251位、のうちの1以上の位置における突然変異との組合せを含んでなる。より具体的には、前記3つの組合せは、次のリスト:R149I、S159R、S215Dのうちの1つ以上の突然変異と組み合わせることができる。
【0040】
さらに好ましい組合せは、S159Rと、リスト:149位、193位、204位、212位、215位、218位、および251位、のうちの1つ以上の突然変異との組合せを含んでなる。より具体的には、S159Rは、リスト:R149I、S215Dのうちの1つ以上の突然変異と組み合わせることができる。
【0041】
これらの組合せは、単一突然変異と比べて、DR4(TRAIL−R1)に対する親和性および/または選択性が優れていることから好ましい。類似の効果を示すその他の組合せも本発明の実施形態に含められる。
【0042】
上記突然変異は、全長TRAIL配列に導入することができる。しかしながら、好ましくは、上記突然変異はTRAIL配列の可溶性形態、例えばアミノ酸114〜281を含んでなるまたはアミノ酸95〜281を含んでなる形態に導入されるが;当業者ならば他の例も分かるであろう。よって、本発明による好ましいTRAIL変異体は、配列番号1に示す全長TRAIL配列の可溶性断片の変異体である。
【0043】
好ましい可溶性断片鋳型は、アミノ酸114〜281(本明細書ではrhTRAILと呼ぶ)を含んでなり、本明細書に記載する全ての突然変異体はこの長さのものである。メチオニンが前に付いたrhTRAILのWT TRAIL配列(114−281)は、配列番号3で示され、好ましいコード配列は配列番号4で示される;従って、本発明の変異体はこの配列から誘導することができる。
【0044】
しかしながら、当業者には理解されるように、これらの可溶性鋳型内の変異はこの可溶性形態の性質を保持する可能性が非常に高く、前記ポリペプチド配列内のこれらの境界のC末端および/またはN末端に追加の残基が含まれる場合には生物活性を示す。例えば、前記ポリペプチド断片が正確にフォールディングし生物活性を示す能力を損なうことなく、WT TRAIL配列から、または相同配列からの追加の1個、2個、3個、4個、5個、10個、20個あるいは30個以上のアミノ酸残基を、これらの境界のC末端および/またはN末端の一方または両方に含め得る。同様に、生物活性を損なうことなく、C末端またはN末端の一方または両方において1または数個のアミノ酸残基(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、10個以上)が欠失したこの鋳型の末端切断型変異体も可能である。
【0045】
本発明によるTRAIL変異体は、好ましくは、標的細胞においてアポトーシスを誘導する働きをする。「アポトーシスを誘導する」とは、本発明による化合物が標的細胞において細胞死を引き起こすように作用するということを意味する。本発明による化合物はin vivoおよび/またはin vitroにてアポトーシスを誘導し得る。
【0046】
当業者には明らかなように、アポトーシスは複数の異なるアッセイによって測定することができる。例としては、DNAラダーリングアッセイ(例えば、EP0835305;Immunex参照);Hoechst33342によるクロマチン断片化および凝縮の検出、アネキシンVおよびプロピジウムヨージドでの染色により測定される膜透過性と組み合わせたホスファチジルセリン露出の染色および検出が挙げられる。これらのアッセイに共通することは、活性を測定中のある濃度の化合物と持続的に接触させることにより死にかけている細胞で起こる生化学的または形態学的変化を測定するということである。細胞死は、前記化合物への暴露に応じた死にかけている細胞の割合の増加として表すことができる(すなわち未処理の対照細胞集団における死にかけている細胞の割合を、前記薬物に暴露した細胞集団におけるその割合から差し引く)。有効濃度は、一般に、IC50値(細胞の50%がアポトーシスを遂げる化合物の濃度である)として計算される。好ましくは、本発明による化合物は、1ng/ml〜1000ng/ml間、より好ましくは1ng/ml〜100ng/ml間、より好ましくは1ng/ml〜10ng/ml間の濃度において細胞の50%にアポトーシスを誘導する。
【0047】
好ましくは、本発明によれば、有用な化合物は、1ng/ml〜1000ng/ml間、より好ましくは1ng/ml〜100ng/ml間、より好ましくは1ng/ml〜10ng/ml間のIC50値を有する。
【0048】
また、アポトーシスは、カスパーゼの活性化や当業者に公知の他のアッセイによっても測定することができる。
【0049】
本発明によるTRAIL変異体は、様々な標的細胞においてアポトーシスを誘導する。標的細胞は癌性細胞であり、健康な細胞は含まない。本発明の変異体が標的とする癌性細胞はそれらの細胞表面においてDR4受容体を発現し、これにより癌性細胞には本発明の変異体の標的としてのしるしが付けられている。好ましい標的細胞としては、卵巣癌細胞、乳癌細胞、肺癌細胞、白血病(例えば急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)および慢性骨髄性白血病(CML)、リンパ腫(例えばマントル細胞リンパ腫)、バーキットリンパ腫(BJAB)などが挙げられる。当業者には他の例も公知であろう。標的細胞は、好ましくは、DR4およびDR5などの特定の細胞表面マーカーの相対的発現レベルによって特徴付けられ得る。
【0050】
本発明による化合物の標的細胞に対する特異的効果は、種々の種類の細胞を、そのIC50値の両側の範囲にある前記化合物濃度に暴露しもたらされた細胞死の程度を評価することにより判断することができる。実際には、細胞は特定の増殖状態にかなり正確な条件が必要であるため、大部分の化合物はある濃度でしかある程度のアポトーシスを引き起こさないということは事実である。よって、本発明による化合物が標的細胞において特異的にアポトーシスを引き起こすという場合には、これらの標的細胞でのみおよび他の種類の細胞に対して有害作用がないこの濃度領域でのみアポトーシスを引き起こすという濃度領域があるということである。
【0051】
以上に挙げた好適な突然変異は、以下に示す方法論を用いて同定されている。当然、この方法論は、本明細書においてこれまでに挙げ示したものと組み合わせるためのさらなる興味深い突然変異を選択するために繰り返し用いてよい。
【0052】
前記方法は、好ましくは、TRAILリガンド内の残基を、その標的受容体に対する結合親和性の増加をもたらすように、標的受容体との結合界面に適合すると予測されているアミノ酸側鎖コンホメーションを含む置換残基で置換することを必要とする。本発明者らは、コンピューター設計アルゴリズム FoldXを使用し、これにより逆フォールディングを実行した。簡潔には、このアルゴリズムは、固定主鎖構造に回転異性体ライブラリーのアミノ酸側鎖を施す。例えば、FoldXは、タンパク質リガンドとその受容体との予想される相互作用をモデリングすることを目的として、より良好な側鎖コンホメーションを探す回転異性体検索を行う。
【0053】
FoldXは、新規残基とその周囲のアミノ酸を適合させるアミノ酸突然変異を次のように行うことができる:まず選択した位置をアラニンへと突然変異させ、その周囲残基の側鎖エネルギーに注釈を付ける。次いで、このアラニンを選択したアミノ酸へと突然変異させ、その同じ周囲残基の側鎖エネルギーを再計算する。さらに、エネルギー差を示すものはそれら自体で変化させ、より有利である別の回転異性体があるかどうかを確認する。変性タンパク質をシミュレートするために、スコアリング関数の大部分の項を基準状態に対して釣り合わせる。側鎖配座異性体を全て基準状態と比較し、最後にモデリングした構造(PDB座標)を有する候補配列が得られる。モデリングした構造のエネルギー評価も、この方法論の一部として、同じプログラム(FoldX、h ttp://foldx.crg.esで入手可能なものなど)を使用して同時に行う。別のステップにおいて、受容体−リガンド複合体とリガンドおよび受容体単独のエネルギーを、FoldXを使用して計算し、これによりリガンドと受容体との相互作用の自由エネルギー(kcal mol−1)の計算が可能である。FoldXの力場モジュールは、前記タンパク質の水素結合ネットワークおよび静電ネットワークに加えて、その原子接触地図、その原子および残基の接近可能性、主鎖二面角のような構造特性を判断する。前記タンパク質と2以上の水素結合を起こす水分子の寄与も考慮する。FoldXは、続いて、全ての力場成分:極性および疎水性溶媒和エネルギー、ファンデルワールス相互作用、ファンデルワールス衝突、水素結合エネルギー、静電気、ならびに主鎖および側鎖エントロピーの計算を行う。
【0054】
次いで、このプログラムを使用して、考えられる全てのアミノ酸置換(好ましくは、グリシン、プロリン、およびシステインを除く)を、残りの構造に適合するコンホメーション(側鎖回転異性体)で前記タンパク質リガンド内の選択残基位置に導入する。グリシン、プロリン、およびシステインは、GlyおよびProが他のアミノ酸よりも主鎖コンホメーションに及ぼす影響が比較的大きいことから、好ましくは除外する(Glyはより柔軟であり、Proはそれほどでもない)。また、これらの残基は、変性状態において比較的大きな影響を及ぼす(Glyは高エントロピー、Proはより低い)。CysのSH基も望ましくない凝集などをもたらす場合がある。次いで、有利な突然変異を自由エネルギー(kcal mol−1)に関して評価し、不利な突然変異(例えば高度ファンデルワールス衝突)を排除する。続いて、配列および座標の出力を得て、例えば、Fold−Xプログラムを使用して、自由エネルギーの変化に関してランク付けする。このようにして、本発明のこの態様の方法は、置換するリガンドタンパク質内の1個以上の残基を、その標的受容体に対する結合親和性の増加をもたらすように、標的受容体との結合界面に適合すると予測されているアミノ酸側鎖コンホメーションを含む置換残基で置換する。
【0055】
有利な突然変異を組み合わせ、自由エネルギー(kcal mol−1)の変化に関して評価することができる。不利な組合せ(例えば高度ファンデルワールス衝突)は排除することができる。必要に応じて、設計プロセス後に、さらなる設計ラウンドのために配列および座標の出力を設計アルゴリズムに再導入する。第2、第3、第4、第5またはそれ以降の設計ラウンドを用いることがある。
【0056】
一度アミノ酸置換を同定したら、突然変異タンパク質を、部位特異的突然変異誘発を用いて実験的に作り出し、これらを発現させ、精製した後、安定性または選択性/特異性についてさらに生物活性の保持について試験する。より特異的な治療用リード分子を開発するために、同定された分子を、通常の分子進化技術を用いてさらに突然変異させることができる。分子進化の場合、1つの特に有用な技術はファージディスプレイである。
【0057】
本発明の第1の態様のTRAIL変異体は、融合タンパク質の一部を構成し得る。例えば、分泌すなわちリーダー配列、プロ配列、精製に役立つ配列、または例えば組換え生産中に、より高いタンパク質安定性を与える配列を含み得る1以上の追加アミノ酸配列を含むことが有利である場合が多い。あるいはまたは加えて、成熟TRAIL変異体は、別の化合物(TRAIL変異体の半減期を増加させる化合物(例えば、ポリエチレングリコール)など)と融合させてもよい。
【0058】
これらの融合タンパク質は、TRAIL変異体をコードするポリヌクレオチドを異種タンパク質配列のコード配列にインフレームでクローニングすることにより得ることができる。
【0059】
本明細書において用いる際の「異種」という用語は、本発明によるTRAIL変異体以外の任意のポリペプチドを示すように意図されている。N末端またはC末端のいずれかに連結される融合タンパク質に含めることができる異種配列の例としては、膜結合タンパク質の細胞外ドメイン、免疫グロブリン定常領域(Fc領域)、マルチマー化ドメイン、細胞外タンパク質のドメイン、シグナル配列、輸送配列、腫瘍標的ペプチドおよびアフィニティークロマトグラフィーにより精製可能な配列:が挙げられる。
【0060】
これらの異種配列の多くは、それらと融合するタンパク質の特異的生物活性を損なうことなく追加の性質を与えるために融合タンパク質中に一般に含められることから、発現プラスミドとして市販されている17。このような追加の性質の例は、体液中でのより長く続く半減期、細胞外局在性、またはいわゆる「ヒスチジンタグ」を形成するヒスチジンのストレッチ18によりまたはインフルエンザ血球凝集素タンパク質由来のエピトープである「HA」タグ18により可能になる、より簡単な精製手順である。必要に応じて、異種配列は、タンパク質分解切断により、例えばタンパク質と異種配列との間にタンパク質分解切断部位を挿入し、精製した融合タンパク質を適当なプロテアーゼに暴露することにより、除去することができる。これらの特徴は、医薬組成物の調製における融合タンパク質の生産および使用を容易にすることから、融合タンパク質には特に重要である。例えば、TRAIL変異体は、C末端に融合されたヘキサヒスチジンペプチドによって精製し得る。融合タンパク質が免疫グロブリン領域を含んでなる場合、この融合は、直接であってもよく、1〜3個のアミノ酸残基長以上(例えば、13個のアミノ酸残基長)であり得る短いリンカーペプチドを介してもよい。前記リンカーは、例えば、配列E−F−M(Glu−Phe−Met)のトリペプチドであってよく、または本発明の物質の配列と免疫グロブリン配列との間に導入されるGlu−Phe−Gly−Ala−Gly−Leu−Val−Leu−Gly−Gly−Gln−Phe−Metを含んでなる13−アミノ酸リンカー配列であってよい。得られた融合タンパク質は、体液内での滞留時間の延長(すなわち半減期の増加)、特異的活性の増加、発現レベルの増加、または融合タンパク質の精製の簡便化など性質が改善されている。
【0061】
一実施形態において、前記タンパク質はIg分子の定常領域に融合される。Ig分子の例としては、ヒトIgG1のCH2およびCH3ドメインのような重鎖領域が挙げられる。Ig分子の他のイソ型も本発明による融合タンパク質の作製に好適である(イソ型IgG2もしくはIgG4、または例えばIgMもしくはIgAのような他のIgクラスなど)。融合タンパク質は、モノマーまたはマルチマー、ヘテロ−もしくはホモマルチマーであってよい。
【0062】
さらに好ましい実施形態において、TRAIL変異体は、アミノ酸残基上で1以上の側鎖として存在する1個以上の官能基と結合する少なくとも1つの部分を含んでなり得る。好ましくは、前記部分はポリエチレン(PEG)部分である。ペグ化は、公知の方法、例えば、WO99/55377に記載されているものなどにより行ってよい。
【0063】
TRAIL変異体の生物学的合成を容易にするために、本発明の一態様は、以上に挙げたTRAIL変異体をコードする核酸分子を提供する。WT TRAILのコード配列は、登録番号NM_003810で与えられている。本発明によるTRAIL変異体をコードする核酸分子は、突然変異点に適当なコード配列を補うことによってこの配列から誘導し得る。本発明による好ましい核酸分子の例は、配列番号2で示される配列の変異体(全長遺伝子);またはコード配列である配列番号2のヌクレオチド88〜933(846ヌクレオチド長)である。WT rhTRAILの好ましいコード配列(アミノ酸114〜281)は、配列番号4で示され(メチオニンが前に付いたrhTRAIL114〜281)、それゆえ、本発明の変異体は、この配列の変異体により好ましくはコードされる。
【0064】
突然変異を全長またはrhTRAILコード配列に導入するために、当業者ならば、完璧に、前記配列内の関連位置において必要なコドンを置換することができるであろう。本明細書において記述する全てのアミノ酸数は全長TRAILタンパク質配列に関する。異なる宿主生物間のコドンバイアスを明らかにするために、当業者ならばこの件に関して公開されているテキストまたは周知の一般知識を参照し得る。
【0065】
例えば、様々な異なる種におけるコドン使用頻度は、h ttp://www.kazusa.or.jp/codon/:において見つけることができ;特に大腸菌(Escherichia coli)のコドン使用頻度情報については、h ttp://www.kazusa.or.jp/codon/cgi-bin/showcodon.cgi?species=155864:において見つけることができる。
【0066】
加えて、本明細書に記載の様々な突然変異体を作製するのに用いるプライマーを以下の表に例示する。当業者ならば、これから、完璧に、本発明による全長および可溶性断片突然変異体のコード配列を誘導することができるであろう。
【表3】
【0067】
【0068】
核酸は、DNAまたはRNA(またはそれらのハイブリッド)、あるいはそれらの類似体(修飾主鎖を含有するもの(例えばホスホロチオエート)またはペプチド核酸(PNA)など)であってよい。核酸は、一本鎖(例えばmRNA)でも二本鎖でもよく、本発明は、(例えばアンチセンス、プライミングまたはプロービングを目的とする)二本鎖核酸の個々の鎖の両方を含む。核酸は線状でも環状でもよい。核酸は標識してもよい。核酸は固相支持体に結合してもよい。
【0069】
本発明による核酸は、当然、多くの方法によって(例えば全体または一部の化学合成(例えばDNAのホスホルアミダイト合成)により、長い分子のヌクレアーゼ消化により、短い分子の連結により、ゲノムまたはcDNAライブラリーから、核酸ポリメラーゼの使用によるなど)調製することができる。
【0070】
よって、本発明はまた、本発明の核酸を含んでなるベクター(例えばプラスミド)(例えば発現ベクターおよびクローニングベクター)ならびにこのようなベクターで形質転換した(原核生物または真核生物の)宿主細胞も提供する。
【0071】
本発明はまた、本発明のTRAIL変異体を生産する方法であって、本発明の核酸で形質転換した宿主細胞を、前記変異体の発現を誘導する条件下で培養するステップを含む方法も提供する。
【0072】
本発明における使用に好適な発現系は、当業者に周知であり、多くはSambrook (1989)20およびFernandez et al. (1998)21に詳細に記載されている。一般的には、必要な宿主においてポリペプチドを生産するために核酸分子を維持、増殖または発現させるのに好適ないかなる系またはベクターも使用し得る。適当なヌクレオチド配列は、様々な周知の通常の技術(例えば、Sambrook20に記載されているものなど)のいずれかによって発現系に挿入し得る。一般的には、コード遺伝子は、プロモーター、リボソーム結合部位(細菌発現の場合)、場合によってはオペレーターなどの制御エレメントの制御下におくことができ、その結果所望のペプチドをコードするDNA配列は、形質転換を受けた宿主細胞のRNAに転写される。
【0073】
好適な発現系の例としては、例えば、染色体系、エピソーム系およびウイルス由来の系が挙げられ、それらには、例えば、細菌プラスミド、バクテリオファージ、トランスポゾン、酵母エピソーム、挿入エレメント、酵母染色体エレメント、ウイルス(バキュロウイルス、パポーベウイルス(SV40など)、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、偽狂犬病ウイルスおよびレトロウイルスなど)、またはそれらの組合せ:由来のベクター、例えばコスミドおよびファージミドを含む、プラスミドおよびバクテリオファージ遺伝子エレメント由来のものが含まれる。プラスミド内に含め発現させることができないよりも大きなDNA断片を送達するために、ヒト人工染色体(HAC)も使用し得る。
【0074】
特に好適な発現系としては、組換えバクテリオファージ、プラスミドまたはコスミドDNA発現ベクターで形質転換した微生物(細菌など);酵母発現ベクターで形質転換した酵母;ウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染させた昆虫細胞系;ウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)でまたは細菌発現ベクター(例えば、TiまたはpBR322プラスミド)で形質転換した植物細胞系;または動物細胞系が挙げられる。本発明のペプチドを生産するために無細胞翻訳系も使用することができる。
【0075】
組換えポリペプチドを長期にわたり高収量で生産するためには、安定した発現が好ましい。例えば、対象となるペプチドを安定に発現する細胞系統を、同じベクターまたは別のベクター上にウイルス複製起点および/または内因性発現エレメントおよび選択マーカー遺伝子を含み得る発現ベクターを用いて形質転換させてよい。ベクターの導入後、選択培地に変更する前に、細胞を富栄養培地で1〜2日間増殖させてよい。選択マーカーの目的は選択に対する耐性を与えることであり、選択マーカーの存在によって導入した配列の発現に成功した細胞の増殖および回主が可能になる。安定形質転換細胞の耐性クローンは、その細胞種に適当な組織培養技術を用いて増殖させ得る。
【0076】
発現用の宿主として利用可能な哺乳類細胞系統は当技術分野で公知であり、それらには、the American Type Culture Collection(ATCC)から入手可能な多くの不死化細胞系統が含まれる。そのような細胞系統としては、限定されるものではないが、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓(COS)細胞、C127細胞、3T3細胞、BHK細胞、HEK 293細胞、Bowes黒色腫細胞およびヒト肝細胞癌(例えばHep G2)細胞および複数の他の細胞系統が挙げられる。
【0077】
バキュロウイルス系では、バキュロウイルス/昆虫細胞発現系のための材料は、とりわけ、Invitrogen, San Diego CAからキットとして市販されている(「MaxBac」キット)。これらの技術は当業者に一般的に公知であり、Summers et al. 22に十分に記載されている。この系での使用に特に好適な宿主細胞としては、昆虫細胞例えばショウジョウバエ(Drosophila)S2細胞およびスポドプテラ(Spodoptera)Sf9細胞が挙げられる。
【0078】
当技術分野で公知の多くの植物細胞培養物および全植物遺伝子発現系が存在する。好適な植物細胞遺伝子発現系の例としては、米国特許第5,693,506号;米国特許第5,659,122号;米国特許第5,608,143号およびZenk (1991)23に記載されているものが挙げられる。特に、プロトプラストを単離し培養して完全な再生植物を得ることが可能な植物は全て利用することができ、それによって移入された遺伝子を含む完全な植物を回収することができる。限定されるものではないが、サトウキビ、サトウダイコン、綿、果実および他の樹木、マメ類および野菜の全ての主要な種を含む、ほとんど全ての植物は、培養細胞または組織から再生させることができる。
【0079】
特に好ましい原核生物発現系の例としては、連鎖球菌、ブドウ球菌、大腸菌、ストレプトミセス属の放線菌(Streptomyces)および枯草菌(Bacillus subtilis)を宿主細胞として使用するものが挙げられる。
【0080】
特に好適な真菌発現系の例としては、酵母(例えば、S.セレビシエ(S. cerevisiae))およびアスペルギウス属の菌(Aspergillus)を宿主細胞として使用するものが挙げられる。
【0081】
本発明のさらなる態様は、上記の突然変異体サイトカイン、核酸またはベクターを、製薬上許容される担体とともに含んでなる医薬組成物を含んでなり得る。本発明は、(a)上記のTRAIL変異体、核酸またはベクターと、(b)医薬担体とを含んでなる医薬組成物を提供する。
【0082】
成分(a)は前記組成物中の有効成分であり、これは治療上有効な量、例えばアポトーシスを誘導するのに十分な量で存在する。特定の患者に対する正確な有効量は、それらの患者のサイズおよび健康状態、疾患の性質および程度、ならびに投与のために選択された組成物または組成物の組合せによって決まるであろう。有効量は、通常の実験によって決めることができ、臨床医の判断の範囲内である。本発明の目的では、有効用量は、一般的には、約0.01mg/kg〜約5mg/kg、または約0.01mg/kg〜約50mg/kgまたは約0.05mg/kg〜約10mg/kg、好ましくは約10mg/kgであろう。好適な用量は、患者における濃度が血液中0.01ng/ml〜100μg/ml間、好ましくは1ng/ml〜およそ1μg/ml間、より好ましくはヒト血液中およそ10〜100ng/mlに達するように用いるべきである。TRAIL変異体は、前記組成物中に塩および/またはエステル形態で含めてよい。
【0083】
担体(b)は、それ自体は前記組成物を受ける患者に有害な抗体の産生を誘導せず、かつ過度に毒性をもたらすことなく投与することができる任意の物質であり得る。好適な担体は、大型でゆっくりと代謝される高分子、例えばタンパク質、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、重合アミノ酸、アミノ酸コポリマー、および不活性ウイルス粒子であり得る。このような担体は当業者に周知である。製薬上許容される担体には、水、生理食塩水、グリセロールおよびエタノールなどの液体が含まれ得る。このようなビヒクル中には、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝物質などのような補助剤も存在し得る。リポソームは好適な担体である。医薬担体の詳細な考察はGennaro24にある。
【0084】
本発明の医薬組成物は様々な形態に調製し得る。例えば、前記組成物は、注射可能物質として(溶液または懸濁液のいずれかとして)調製し得る。注射の前に液体ビヒクルで溶液または懸濁液とするのに好適な固体も調製することができる。前記組成物は、凍結乾燥してもよい。
【0085】
前記医薬組成物は、好ましくは無菌である。前記医薬組成物は、好ましくはパイロジェンフリーである。前記医薬組成物は、好ましくは、例えばpH6〜pH8間、一般的にはおよそpH7に緩衝化されている。
【0086】
本発明はまた、本発明の医薬組成物を含有する送達装置も提供する。前記装置は、例えば、シリンジであってよい。
【0087】
本発明のTRAIL変異体は、1種以上の他の化合物、好ましくは抗腫瘍化合物、より好ましくは本発明の変異体が標的とする癌性細胞に対して活性を有するものおよび/またはTRAIL変異体に対する腫瘍の反応性を高めるものと同時投与してよい。よって、本発明の組成物は1種以上の抗腫瘍薬を含んでよく、それらの例は当業者には公知であり、γ線照射ならびに化学療法薬、例えばアルキル化剤、代謝拮抗物質、植物アルカロイドおよびテルペノイド、ビンカアルカロイド、ポドフィロトキシン誘導体、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤、抗腫瘍性抗生物質、モノクローナル抗体、DNA損傷薬、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、プロテアソーム阻害剤、ホルモンなどが含まれる。好ましくは、使用する化学療法薬は、DR4(TRAIL−R1)受容体の表面発現を増加させかつ/またはDR4によるアポトーシス誘導を強化するように作用する。
【0088】
「アポトーシス誘導の強化」とは、化学療法薬が、その化学療法薬を受けていないサンプルと比べて、その化学療法薬の存在下でアポトーシスを遂げる細胞の数を増加させるということを意味する。好ましくは、この増加は1.5倍(より好ましくは2倍、4倍、8倍、10倍、20倍、100倍あるいは1000倍)である。
【0089】
本発明は、医薬として用いる本発明のTRAIL変異体を提供する。本発明はまた、疾患に罹患しているまたは罹患の危険性がある対象を治療するための方法であって、前記対象に本発明の医薬組成物を投与することを含む方法も提供する。本発明はまた、対象を治療するための医薬の製造における本発明の医薬組成物の使用も提供する。特に好適な疾患には、自己免疫障害および癌が含まれる。本発明者らが受容体選択的TRAIL変異体の医学的使用の可能性を考えている自己免疫障害の例は、様々な自己免疫性関節炎および多発性硬化症である。好適な癌としては、白血病、リンパ腫、黒色腫、前立腺癌、膀胱癌、腎臓癌、頭頸部癌、肝臓癌および乳癌、肺、卵巣および結腸の癌が挙げられる。好ましい実施形態において、前記癌は、卵巣癌、結腸癌、リンパ腫(例えばマントル細胞リンパ腫)または白血病(例えば急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)および慢性骨髄性白血病(CML))である。
【0090】
好ましくは、好適な癌は、細胞表面でDR4受容体を発現する細胞を含む。このような癌細胞は、当業者に公知の様々な手段により容易に同定することができ、それらの手段としては、限定されるものではないが、受容体特異的抗体を用いた免疫細胞化学、受容体特異的抗体を用いた蛍光活性化細胞選別(FACS)、受容体特異的抗体を用いたウエスタンブロット解析などが挙げられる。DR4特異的抗体は、例えば、Abcam (ab8414)から得ることができる。DR5抗体も同様に入手可能である(Sigma-Aldrich, D3938)。
【0091】
本発明のある特定の実施形態において、上記のように、本発明による化合物は、別の薬剤、例えば抗腫瘍薬とともに投与されることが好ましい。本発明の医薬組成物と組み合わせて使用するこのような薬剤の好適な例は、当技術分野で公知であり、例は以上に挙げている。
【0092】
また、本発明の変異TRAILを含んでなる医薬組成物は、場合によって、1以上のDR5、DcR1またはDcR2に対する抗体とともに投与され得ることも想定される。このようにして、DR5特異的経路またはTRAIL変異体の囮受容体との結合を介してシグナル伝達を遮断することがさらに可能である。DR4以外の受容体との残存結合活性が阻害され、本発明の突然変異サイトカインの特異性がさらにもっと高まることから、これは有利である。
【0093】
前記対象は、好ましくは哺乳類、より好ましくはヒトである。ヒトは成人であっても小児であってもよい。小児を対象とする組成物は、例えば安全性、投薬量、免疫原性などを評価するために、成人に対しても投与してよい。
【0094】
本発明の組成物は、一般的には、対象に直接投与されるであろう。直接送達は、注射剤により(例えば皮下、腹膜内、静脈内、筋肉内、または組織の間質腔へ;さらに腫瘍内への直接注射によっても)達成され得る。
【0095】
投薬治療は、単回投与スケジュールでも複数回投与スケジュールでもよい。
【0096】
本発明の使用および方法は、治療的に(例えば既存の疾患を治療するために)または予防的に(例えば遺伝子検査または家族歴などによって疾患の罹患率が予想される状況において)使用することができる。治療的使用が好ましく、治療の有効性は、本発明の医薬組成物の投与後に細胞力価をモニタリングすることにより、または症状をモニタリングすることにより検証することができる。
【0097】
よって、さらなる態様において、本発明は、サイトカインが関係している疾患の療法または診断において使用する、TRAIL変異体、またはこのような分子をコードする核酸分子、または記載した核酸分子を含有するベクターを提供する。本発明のこの態様は、このような疾患の治療のための方法であって、患者に、上記のサイトカイン、核酸またはベクターを、治療上許容される量で投与することを含む方法を含む。好ましい患者には哺乳類が含まれ、好ましくはヒトである。
【0098】
また、本発明によるTRAIL変異体は、例えば、前記患者の組織における遺伝子またはタンパク質(過剰発現した受容体など)の発現または活性レベルを評価すること、および前記発現または活性レベルを対照レベルと比較すること(ここで、レベルが前記対照レベルと異なっていることが疾患を示す)により、診断において使用し得る。
【0099】
TRAIL変異体は、さらに、例えば、候補化合物の潜在的抗癌活性について試験するための細胞系統において、アッセイにも使用し得る。特に興味深いのは、哺乳類、例えばヒトの癌性組織に由来する細胞系統である。このような細胞系統は疾患の研究に有用なモデルを提供し、疾患の治療または診断において有効な化合物の同定のためのスクリーニング法にも使用し得る。
【0100】
本発明はまた、主としてDR4特異的経路を介してシグナルを伝達する細胞系統においてアポトーシスを誘導するための方法も提供する。このような細胞系統は、様々な手段により容易に同定することができる。例えば、受容体特異的中和抗体は、1つの特定の受容体を介してシグナル伝達を阻害するために使用することができる。例えば、DR4およびDR5に対する抗体はそれぞれ、DR4またはDR5を介してシグナル伝達を阻害するために使用することができる。このような細胞系統の良好な候補は、DR5特異的抗体ではTRAIL誘導性アポトーシスを低減することができないが、DR4特異的抗体ではTRAIL誘導性アポトーシスを低減することができる細胞系統である。それに関する能力低下とは、アポトーシスを遂げる細胞の数が、DR4抗体が存在しないサンプルと比べて20%(より好ましくは30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%)減少することを意味する。このような細胞のさらなる同定方法は、当業者ならば容易に入手できる。このような細胞系統の例としては、限定されるものではないが、ML−1、EM−2、HL−60およびMOLM−13が挙げられる。
【0101】
本発明のさらなる態様は、上記の突然変異サイトカインを発現するように形質転換させたトランスジェニックまたはヒト化非ヒト動物を含んでなり得る。このようなトランスジェニック動物は疾患の研究に有用なモデルを提供し、疾患の治療または診断において有効な化合物の同定のためのスクリーニング法にも使用し得る。好ましいこのような動物は齧歯類、特にマウスである。
【0102】
次に、本発明の様々な態様および実施形態を、例としてさらに詳細に記載する。本発明の範囲を逸脱することなく、細部にわたる修飾を行い得ることは理解されよう。
【実施例】
【0103】
実施例1
WT rh TRAILおよび突然変異体の発現および精製
WT rhTRAILおよびTRAIL突然変異体構築物を大腸菌BL21(DE3)(Invitrogen)に形質転換した。WT rhTRAILおよび突然変異体を、2xLB培地、1%(w/v)グルコース、100μg/mlアンピシリンおよび追加の微量元素を用いて7.5l発酵槽(Applicon)において5lバッチ規模で増殖させた。この培養物を37℃、30%酸素飽和で対数増殖中期に増殖させ、続いて0.1〜1mM IPTGで誘導した。トリマー形成を促進するために、ZnSO4を100μMの濃度で加えた。温度を17〜28℃に下げ、培養物を静止期まで増殖させた。あるいは、同様のプロトコールを用いて、タンパク質を振盪フラスコにおいて1l規模で250rpmにて増殖させた。培養物がOD600 0.5に達したときにタンパク質発現を誘導し、誘導を5〜16時間続けた。この場合、使用した培地は追加の微量元素を含まない2xLBであった。
【0104】
単離したペレットを3容量の抽出バッファー(PBS pH8、10%(v/v)グリセロール、7mM β−メルカプト−エタノール)中に再懸濁した。音波処理を利用して細胞を破壊し、抽出物を40,000gでの遠心分離により清澄化した。続いて、この上清を、ニッケルをチャージしたIMAC Sepharose fast−flowカラムに流し、WT rhTRAILおよびTRAIL突然変異体を、Hymowitz25に記載されているとおり、次の修飾を加えて精製した:10%(v/v)グリセロールおよび最小濃度の100mM NaClを全バッファーに用いた。これにより精製中の凝集を防いだ。IMAC分画ステップ後、全バッファーに20μM ZnSO4および5mMのDTT(β−メルカプト−エタノールの代わりに)を加えた。最後に、Hiload Superdex 75カラムを使用するゲル濾過ステップを含めた。コロイド状Coomassieブリリアントブルーにより染色したSDS−PAGEゲルを用いて決定した精製されたタンパク質の純度は98%を超えていた。精製タンパク質溶液を液体窒素で急速冷凍し、−80℃で保存した。
【0105】
実施例2
選択性設計
WT TRAILの受容体結合界面を、DR4受容体に対する親和性を増加させる(=相互作用エネルギー(ΔΔGi)を減少させる)またはDR5に対する親和性を低下させる単一アミノ酸置換についてスクリーニングした。TRAIL−DR5受容体複合体では、結晶構造を使用し、TRAIL−DR4受容体複合体では、TRAIL−DR5受容体複合体に基づいて、DR4のシステインリッチドメイン(CRD)2および3と複合体化したTRAILからなる相同性モデルを構築した。DR4のCRD2および3は、DR5と非常に高い配列同一性(約50%)を示し、そのアラインメントには挿入も欠失も含まれない(示していない)ことから、TRAIL−DR5構造と同一のアミノ酸主鎖コンホメーションを有するTRAIL−DR4モデルを生み出すというモデリングアプローチを選択した。2つの異なる方法を用いてTRAIL−DR4モデルを構築した:1)WhatIfウェブインターフェース(h ttp://swift.cmbi.ru.nl/servers/html/index.html)を使用してTRAIL−DR4受容体複合体の初期モデルを作製し、続いてこのモデルをFoldXにより最適化し、または2)FoldXのタンパク質設計機能を使用してDR5配列をDR4配列に突然変異させ、その周囲のTRAILおよび受容体残基を同時に最適化して突然変異残基を適合させた。後者のアプローチ(アプローチ2)が好ましいものであることが分かった。
【0106】
TRAIL、DR5およびDR4モデルの溶媒接触可能表面上の帯電は、TRAILおよびDR5の表面静電学がTRAILおよびDR4の表面静電学より相互補完的であることを示す。複合体形成におけるエネルギー変化の予測は、測定した解離定数の変化と相関する。これは、複合体形成に最も大きな影響を及ぼすであろう受容体結合界面にある残基位置における突然変異を、我々の方法により確実に予測することができることを示している。
【0107】
FoldX設計プロセスは、DR4選択性を得るのに重要ないくつかのTRAIL受容体界面位置および(単一)アミノ酸置換を提示した(図1および図4)。
【0108】
さらに、DR4特異的TRAIL突然変異体を選択するために、次の方法論を使用した。可能な限り正確な設計プロセスを可能にするために、新バージョンのFoldXタンパク質設計アルゴリズムを、DR5に関するTRAILの入手可能な実験的受容体結合データに対して十分に確認した。このようにして確認したFoldX設計アルゴリズムを用いて、TRAIL−DR4受容体複合体の新規モデルを、X線結晶学により得られる入手可能なTRAIL−DR5構造(1D4V.pdb)に基づいて、(コンピューター内で)DR5アミノ酸を対応するDR4アミノ酸に突然変異させ、続いてFoldX設計アルゴリズムを用いて変化したアミノ酸残基と周囲の受容体およびTRAIL残基との相互作用を最適化することにより構築した。モデリングの鋳型として、DR5と複合体化したTRAILの別の入手可能な結晶構造(1D0G.pdb)を用いてこのプロセスを繰り返し、両方の鋳型の目視検査により、受容体結合界面のいくつかの領域における構造的偏向を明らかにした。後者の構造の分解能はより低く、その構造の一部は1D0Gに基づいて十分に解明されたモデルではないため、それ以上使用しなかった。続いて、TRAIL−DR4モデルを、入手可能な実験的受容体結合データに対して確認した。TRAIL−DR4複合体のモデルでは、予測および実験的アラニンスキャンデータと比較したときに相関係数R約0.7を得ることができた。
【0109】
次に、前記設計アルゴリズムを使用して、コンピューター内で、受容体結合界面に存在する各TRAILアミノ酸残基を全20種の異なる天然アミノ酸に突然変異させることにより、飽和スキャン(「マトリックススキャン」としても知られる)を実行した。より有利な静電学によりまたは間接的効果により受容体選択的効果を発揮する突然変異体を検出するために、一連の「界面」残基には受容体結合界面の周囲(最大約15Å)にも残基を含めた。各突然変異体については、DR4およびDR5受容体の両方に対して、相互作用エネルギーと複合体安定性エネルギーの両方を計算した。DR4受容体に対して有利な相互作用エネルギーおよび複合体安定性エネルギーを有し、DR5受容体に対して不利な相互作用エネルギーおよび/または複合体安定性エネルギーを有する突然変異体を選択した。DR4選択的変異体は次のように同定した:DR4受容体に対するΔΔG相互作用エネルギー計算値は、DR5受容体に対するΔΔG相互作用エネルギーよりも低いはずであり、DR4に対して計算したΔΔG相互作用エネルギーは0.5kcal/mol未満であるはずである。加えて、TRAIL−DR4複合体について、ΔΔG複合体安定性エネルギーは0.5kcal/mol未満であるはずであり、また、TRAIL−DR4複合体について、鎖内衝突は0.5kcal/mol未満であるはずである。鎖内衝突は、残基が隣接鎖と非常に良好な相互作用を有し得るため、タンパク質複合体の界面を再設計する際に重要であるが、それ自体の鎖に関しては非常に歪んだコンホメーションをとる。そのため、そのようなコンホメーション(0.5kcal/molより高い鎖内衝突エネルギーを有する)は現実的ではない。突然変異の一部については、別の基準を用いた:突然変異体がDR4およびDR5に対するΔΔG相互作用エネルギー計算値において差を示さないが、TRAIL−DR4複合体についてのΔΔG複合体安定性エネルギー計算値がTRAIL−DR5複合体についての値よりも低く、かつΔΔG複合体安定性エネルギーにおけるこの差が0.7kcal/molよりも大きく、加えてTRAIL−DR4複合体についてのΔΔG複合体安定性エネルギーおよび鎖内衝突が両方0.5kcal/mol未満である場合に、DR4選択的突然変異と見なした。作製された突然変異体構造の目視検査と相互作用、安定性および衝突についての上記数値の両方による突然変異の選択により、DR4受容体に対するTRAILの選択性に有利な効果を及ぼす表3記載の位置および突然変異がもたらされた。図4および図39は、最も興味深い突然変異をFoldXバージョン2.7および2.8によるddG計算値とともに表している。これらの値は、図1に用いた値を計算するのに使用したFoldXの以前のバージョン1.0と比べて、精度のわずかな向上を示す。
【0110】
実施例3
突然変異体D218YおよびD218Hの優れたDR4親和性および選択性
精製リガンドと、固定化したDR4およびDR5 Ig受容体キメラとの結合を、表面プラズモン共鳴(SPR)を用いてリアルタイムで評価した。37℃で0.5nm〜250nmに及ぶ受容体結合曲線を記録した。固定化したDR5−Igに対するD218YおよびD218Hの結合は、WT rhTRAILと比べて1.5倍低減した。これに対し、固定化したDR4−Igとの結合はほとんど変わらなかった(図2A)。これらの結果は、D218YおよびD218H変異体がWT rhTRAILと比べてDR4選択的になったことを示している。興味深いことに、WT rhTRAILと、とりわけDR4との親和性が温度に強く依存することが報告されている。しかしながら、25℃の温度でアッセイを繰り返した場合には、WT rhTRAIL、D218HおよびD218Yでは、DR4またはDR5との結合において有意な変化は観察されなかった(示していない)。両方の変異体は、DcR2との結合において約3倍の低減を示し、一方、DcR1との結合はほとんど変わらなかった(250nmにおいて重量レベルの約80%)(図2B)。DR4およびDR5について37℃で記録したセンサーグラムの目視検査により、WT rhTRAILは両方の受容体で解離速度は事実上なく、一方、D218HおよびD218Yは両方、両方の受容体で初期の解離速度の増大を示すことが明らかになった。しかしながら、DR4でのD218HおよびD218Yの解離速度はDR5受容体での解離速度よりもずっと低い。全体として、より高い親和性に加えて、DR4複合体形成の動態も、これらの変異体に有利である。さらに、これらの突然変異体はOPG受容体との結合の低減も示す(図2C)。
【0111】
DR5受容体の存在下でのDR4受容体に対するD218HおよびD218Yの選択性を評価するために、競合ELISA試験を実施した。可溶性DR5−Igは、固定化したDR4に対する結合の50%低減達成において、D218変異体の場合に、rhTRAIL WTの場合よりも9倍より大きく効果が低く(図2D,E)、一方、可溶性DR4−Igは、固定化したDR4−Igに対するrhTRAIL WTおよびD218変異体の結合の低減において同程度に効果的であった。これらの結果は、DR4およびDR5受容体の両方が存在する場合に、D218HおよびD218YがDR4受容体と優先的に結合することを示している。
【0112】
結論として、これは、DR4特異的突然変異体D218YおよびD218HがDR4に対する親和性が増加しており、DR5およびDcR1、DcR2およびOPGに対する親和性が低下していることを示している。
【0113】
実施例4
突然変異体D218YおよびD218Hの生物活性
D218YおよびD218H変異体の生物活性を試験するために、Colo205細胞およびEM−2細胞をこれらの変異体で処置した。これまでに、Colo205細胞は、主としてDR5により媒介されるTRAIL誘導性アポトーシスに対して感受性が高く、これに対して、ML−1細胞は、主として、DR4により媒介されるTRAIL誘導性アポトーシスに対して感受性が高いことが立証されている。EM−2細胞系統はDR4受容体だけを発現するため、DR4受容体により媒介されるTRAIL誘導性アポトーシスに対してのみ感受性が高い。Colo205では、WT rhTRAILおよびDR5選択的D269HE195R変異体と比べて、D218YおよびD218Hのアポトーシス誘導活性の大きな低下が観察された(図3a)。これに対し、細胞系統EM−2およびML−1では、D218YおよびD218H変異体は、100ng/mlより高い濃度においてアポトーシスを効果的に誘導することができた(図3Bおよび図C)のに対し、DR5選択的変異体D269HE195Rはアポトーシス誘導活性を本質的に欠いている。D218H突然変異体はD218Yと比べて増大したアポトーシス誘導活性を示したが、どちらの変異体もWT rhTRAILより活性がかなり低い。潜在的DR4選択的挙動に関しては、WT rhTRAIL感受性を補正することおよびWT rhTRAILと比較して前記変異体がアポトーシスを誘導し始める濃度を決定することことが重要である(図3)。Colo205細胞では、WT rhTRAILは約20ng/mlのタンパク質濃度において最大レベルのアポトーシスを誘導する。ML−1細胞およびEM−2細胞では、WT rhTRAILは約100ng/mlの濃度において最大レベルのアポトーシスを誘導する。Colo205細胞では20ng/mlの濃度のD218Y変異体で誘導される有意なアポトーシスがない一方、EM−2細胞およびML−1細胞においては、D218Y変異体は100ng/mlの濃度で有意な量のアポトーシスを誘導することができる。これは、WT rhTRAIL、D218YおよびDR5選択的変異体D269H/E195Rについての図3に示されている。D218YリガンドはEM−2細胞においてアポトーシスを効果的に誘導することができるのに対し、Colo205細胞においては生物活性の著しい低下を示す(図3)。まとめると、これらの結果は、D218YおよびD218H変異体が優先的にDR4を介してアポトーシスを誘導することを示している。
【0114】
実施例5
突然変異体G131R、N199RK201HおよびG131RN199RK201Hの優れたDR4親和性および選択性
精製リガンドと、固定化したDR4およびDR5 Ig受容体キメラとの結合を、表面プラズモン共鳴(SPR)を用いてリアルタイムで評価した。37℃で0.5nm〜250nmに及ぶ受容体結合曲線を記録した。BSAとともに処方したDR4−IgおよびDR5−Ig調製物をセンサー表面上に固定化した。250nMのWT rhTRAILの応答と比較して結合を計算した。前定常結合実験は、TRAIL変異体G131RおよびG131R/N199R/K201Hの親和性がWT rhTRAILと比較して増加していることを示している。相対的に、DR5との結合の増加はそれほど明らかではなかった(図5)。競合ELISAは、DR4−Igが、変異体G131R/N199R/K201Hと固定化したDR4−Igとの結合に対してWTで観察されるよりもずっと高い競争力を有し得るのに対し、DR5−Igは、前記変異体またはWTの存在下で競争挙動に差はないことを示した(それぞれ、図22Aおよび図22B)。これは、変異体G131R/N199R/K201HのDR4に対する選択性が増加していることを明らかに示している。
【0115】
要約すると、これらのデータは、これらの突然変異体がDR5受容体よりもDR4受容体を選択的に認識することを示している。
【0116】
実施例6
突然変異体G131RD218H、N199RK201HおよびG131RN199RK201Hの生物活性
これらの突然変異体がアポトーシスを誘導する可能性を、細胞系統ML1(急性骨髄性白血病細胞系統)、EM−2(慢性骨髄性白血病細胞系統)、A2780(卵巣癌細胞系統)、HL−60(急性骨髄性白血病細胞系統)、OCI−AML3(急性骨髄性白血病細胞系統)、MOLM 13(急性骨髄性白血病細胞系統)およびColo205(結腸癌細胞系統)において試験した。
【0117】
HL60細胞(DSMZ, ACC 3)、EM−2細胞(DSMZ, ACC 135)およびA2780細胞(Dr. Steven de Jong, University Medical Centre Groningen, The Netherlandsからの好意による提供)は、10%胎児ウシ血清(FBS)、2mMグルタミン、50Uペニシリンおよび50mg/mlストレプトマイシンを補給したRPMI培地で維持した。処置の24時間前に、前記細胞をそれぞれ、500,000細胞/ml、300,000細胞/mlおよび350,000細胞/mlで播種した。ML−1細胞系統は、20%FBS、2mMグルタミン、50U/mlペニシリンおよび50mg/mlストレプトマイシンを補給したRPMI培地で維持し、処置の24時間前に、300,000細胞/mlで播種した。MOLM−13細胞(DSMZ, ACC 554)は、10%FBS、2mMグルタミン、1mMピルビン酸ナトリウム、1%非必須アミノ酸(NEA)、50U/mlペニシリンおよび50mg/mlストレプトマイシンを補給したRPMI培地で維持し、処置の24時間前に、1,000,000細胞/mlで播種した。OCI−AML3細胞(DSMZ, ACC 582)は、20%FBS、2mMグルタミン、1mMピルビン酸ナトリウム、1%NEA、50Uペニシリンおよび50mg/mlストレプトマイシンを補給したMEMで維持し、処置の24時間前に、750,000細胞/mlで播種した。全ての細胞を加湿インキュベーター中、37℃、5%CO2で培養した。特に断りのない限り、全ての試薬はSigma-Aldrich社製のものである。DR4選択的TRAIL変異体の受容体選択性および/または生物活性の1つの指標として、それらのアポトーシス促進能を調べるために、細胞を漸増濃度(0〜250μg/ml)のN199R/K201H、G131R/D218H、N199R/K201H/G131R、D269H/E195RまたはWT rhTRAIL(Triskel Therapeutics Ltd.)で処置した。
【0118】
最初に、これらの細胞系統がDR4受容体をそれらの表面で発現するかどうかとその程度を検証した。これはDR4、DR5、DcR1およびDcR2の免疫蛍光標識によって調べた。細胞を培養皿から取り出た;A2780細胞は、軽いトリプシン処理により回収し、PBS中1%BSAで2回洗浄した。細胞をPBS中1%BSAによる一次抗体(DR4およびDR5:中和マウスモノクローナル抗体、Alexis、DcR1およびDcR2:中和ヤギポリクローナル抗体、R&D Systems)の1:100希釈物とともに室温で40分間インキュベートした。1%BSA/PBSで2回洗浄した後、細胞をFITC標識二次抗体の1:50希釈物中に再懸濁し、室温で40分間インキュベートした。まずPBS中1%BSAで次にPBSで洗浄することにより過剰の二次抗体を除去した。フローサイトメトリー(FacsCalibur, Beckton Dickinson)による解析の前に、細胞を1%ホルムアルデヒド/PBS中に固定した。これらの結果は図6に示している。
【0119】
ML−1細胞およびEM−2細胞は死誘導受容体(DR4およびD5)の両方を発現する。ML−1細胞は2つの囮受容体(DcR1およびDcR2)も発現するが、一方、EM−2細胞は発現しないか、または検出限界を下回る。細胞系統HL−60、Oci−AML3およびMOLM−13はそれらの表面で4つ全ての試験受容体を発現した。
【0120】
次いで、前記突然変異TRAILタンパク質をアポトーシスアッセイに用いて、上記の様々な癌細胞系統においてアポトーシスを誘導するそれらの能力を評価した。この目的のために、アネキシンVアッセイを用いた。
【0121】
ホスファチジルセリン(PS)の原形質膜外葉への露出は、アポトーシスの残遺物のクリアランスに必要である。Ca2+依存的リン脂質結合タンパク質であるアネキシン−Vは、PSと高親和性で結合する。処置後、細胞を軽いトリプシン処理により収集し、350xgでの遠心分離によりペレット化し、氷冷Ca2+バッファー(10mM HEPES/NaOH、pH7.4、140mM NaClおよび2.5mM CaCl2)で1回洗浄し、暗所で氷上でアネキシン−V−FITC(IQ Corporation)とともに15分間インキュベートした。Ca2+バッファーでの洗浄ステップを行った後、FACSCaliburフローサイトメーター(Becton Dickinson)で捕捉した。解析はCell Quest software(Becton Dickinson)を使用して行った。
【0122】
ML−1細胞、EM−2細胞およびA2780細胞を、様々な濃度の、WT rhTRAIL、候補のDR4選択的TRAIL変異体N199R/K201H/G131RならびにDR5選択的TRAIL変異体であるD269H/E195R(WO05/056596参照)で処置した。D269H/E195Rは、ML−1細胞およびEM−2細胞においてほとんどアポトーシス誘導活性がなく、これらの細胞系統のDR4依存性を確認した(図10、図11)。これに対し、D269H/E195Rは、A2780細胞においてWT rhTRAILより高いアポトーシス促進活性を示し、この場合はまた、A2780細胞の排他的なDR5感受性を確認した(図12)。一方、N199R/K201H/G131Rは、DR4応答性細胞系統ML−1およびEM−2においてWT rhTRAILより高いアポトーシス促進活性を示し(図10、11)、DR5応答性細胞であるA2780においては最低限の活性しか示さなかった(図12)。結腸癌細胞系統Colo205は、その細胞表面で4つ全ての受容体を発現することおよびDR4およびDR5を介してTRAIL誘導性アポトーシスを媒介することが分かっている26。それゆえに、DR4選択的変異体での処置は、これらの細胞においてアポトーシス効力の増強をもたらした(図16)。これらの結果は、N199R/K201H/G131Rが、DR4と選択的に結合するアゴニストリガンドであることを示している。
【0123】
二重突然変異体N199K/K201H(推定DR4選択的変異体でもある)を用いて同様の試験を行った。N199K/K201Hは、ML−1(図7)細胞およびEM−2(図8)細胞においてWT rhTRAILと同程度にアポトーシスを誘導した。N199K/K201Hでの処置は、A2780細胞においてWT rhTRAILと比較してアポトーシスの誘導を著しく減少させ、DR4選択的アゴニスト活性を示唆した(図9)。
【0124】
次いで、二重突然変異体G131R/D218H(推定DR4選択的変異体でもある)を用いてアゴニスト活性および受容体選択性の試験を行った。G131R/D218Hは、ML−1細胞においてWT rhTRAILと同程度にアポトーシスを誘導し(図17)、EM−2細胞においては細胞毒性をわずかに低減した(図18)。一方、G131R/D218Hでの処置は、A2780細胞においてWT rhTRAILと比較してアポトーシスの誘導を著しく減少させ、DR4選択的アゴニスト活性を示唆した(図19)。
【0125】
実施例7
G131RおよびG131R/N199R/K201Hの生物活性
DR4およびDR5により媒介される細胞死の両方に反応する野生型BJAB細胞(BJABwt)およびDR5欠損BJAB細胞(BJABDR5DEF)において、TRAIL変異体G131RおよびG131R/N199R/K201Hを使用する追加試験を行った。両方の突然変異体は、BJABwt細胞において(図20A、図21B)もBJABDR5DEF細胞において(図20B、図21B)も細胞死を誘導することができた。これは、これらの突然変異体が高度のDR4特異性を示すことおよびこれらの突然変異体がDR4受容体の強力なアゴニストであることを示している。
【0126】
実施例8
変異体G131R/N199R/K201Hの生物活性
TRAIL変異体G131R/N199R/K201Hを、HL−60細胞におけるその生物活性について試験した。HL60(急性骨髄性白血病;DSMZ, ACC 3)を、10%胎児ウシ血清(FBS)、2mMグルタミン、50Uペニシリンおよび50mg/mlストレプトマイシンを補給したRPMI培地で維持した。処置の24時間前に、細胞を300,000細胞/mlで播種した。細胞を加湿インキュベーター中、37℃、5%CO2で培養した。特に断りのない限り、全ての試薬はSigma-Aldrich社製のものである。N199R/K201H/G131RおよびWT rhTRAILがDR4を活性化する能力を比較するために、前記細胞を100ng/mlのN199R/K201H/G131R WT rhTRAILで指示された時間処置した後に活性化プロカスパーゼ−8およびアポトーシスの誘導を測定した。指示された時間に、ウエスタンブロット解析のために細胞を回収しまたは洗浄し、前記リガンドの不在下で完全培地中に再懸濁し、合計インキュベーション時間12時間後に解析した。
【0127】
図23から分かるように、変異体N199R/K201H/G131Rは、WT rhTRAILよりもずっと強力なDR4アクチベーターであり、これは、プロカスパーゼ−8のプロセッシング(ウエスタンブロッティン(Western Blottin)により検出される)および低ミトコンドリア膜電位を有する細胞の数の決定により測定される誘導された細胞死のレベルの両方(図23aおよび23b)により示される。
【0128】
実施例9
BMSと組み合わせた変異体N199R/K201H/G131Rの生物活性
三重突然変異体N199R/K201H/G131Rは、骨髄性細胞において非常に効果的であり、WT rhTRAILよりも効率的にDR4を活性化する(図23)。DR4およびDR5は両方、pr−カスパーゼ−8(pr-caspase-8)だけでなく、抗アポトーシスNF−kBも活性化することができるため、WT rhTRAILおよび変異体N199R/K201H/G131Rの両方の生物活性に対するNF−kB阻害の効果を試験した。Hl−60細胞を、阻害剤であるkBキナーゼ(IKK)阻害剤BMS−345541の存在または不在下でWTrhTRAIlまたはN199R/K201H/G131Rで12時間処置した(図24)。BMSの存在下でのWT rhTRAILに対する3つの組合せの効力の増強は、とりわけより低いリガンド濃度において明らかであり(10ng/ml;図24b)、そしてこのことは、高用量の薬物の潜在的に毒性の副作用を考慮すると抗癌治療としてのin vivo用途に有利であり得る。
【0129】
実施例10
SPRにより測定したR149I、S159R、K204Y、およびS215Dの結合活性ならびに競合ELISA
図25のSPRセンサーグラムによると、変異体R149Iが両方の死受容体に対する前定常状態親和性に大きな影響を及ぼさない場合でも、変異体R149IのDR5複合体は不安定化するのに対し、DR4のものはほとんど変化していないように思える。前定常状態SPR測定は、変異体S159RがDR4−Igに対してより高い見かけの親和性で結合することができる(図26A)のに対し、DR5−Igとの結合が低減している(図26B)ことを示しており、それゆえ、DR4特異性を明らかに示している。同様に、変異体K201Rでも、あまりはっきりしない場合でさえ、DR4特異性が示される(図26)。図27の変異体S159RとWT rhTRAILのセンサーグラムは、見かけの親和性だけでなく前記受容体分子との相互作用動態もDR4に有利に影響を受けていることを示している。加えて、図28に示す競合ELISA試験は、DR4−Igは、前記変異体と、固定化したDR4−Igとの結合に競合することができるが、DR5−Igはそうすることができないことを示しており、この場合も変異体S159RのDR4特異性を明らかに示している。
【0130】
突然変異K204YおよびS215Dも、DR4に有利に、受容体との結合に影響を及ぼす。前定常状態SPRにより測定したDR4−Igとの結合はあまり劇的には影響を受けないように見える一方、DR4−Igとの複合体は安定化し、DR5−Igのものは不安定化するように見える(図29および図30)。変異体S215Dは競合ELISAによりさらに解析した。この競合ELISAでは、DR4−Igだけが、S215Dと、固定化したDR4−Igとの結合に効果的に競合することができ、DR5−Igはそうすることができず(図31)、この突然変異によって誘導されるDR4特異性を示している。
【0131】
実施例11
S159Rの生物活性
TRAIL変異体S159Rの生物活性を種々の細胞系統において試験した。ヒト膵臓癌細胞系統BxPcおよびColo357は、10%胎児ウシ血清(FBS)、2mMグルタミン、50Uペニシリンおよび50mg/mlストレプトマイシンを補給したRPMI培地で維持した。HEPG2(ヒト肝細胞癌)細胞系統は、10%FBS、50Uペニシリンおよび50mg/mlストレプトマイシンを補給したDMEM培地で維持した。HCT116 WTおよびp53−/−(ヒト結腸癌)細胞系統は、10%FBS、50Uペニシリンおよび50mg/mlストレプトマイシンを補給したHEPES添加McCoy’s 5A培地で維持した。全ての細胞を加湿インキュベーター中、37℃、5%CO2で培養した。BxPc、Colo357およびHEPG2は150,000細胞/mlで播種した、HCT116 WTおよびp53−/−は200,000細胞/mlで播種した。細胞を3枚の96ウェルプレートに総量100μl/ウェルで播種した。播種の翌日、三連で細胞を適用量(0〜500ng/ml)のWT rhTRAIL、D269H/E195RまたはS159Rで処置した。24時間のインキュベーション後、MTTアッセイに1枚の96ウェル/プレート(24時間時点)を用い、他の2枚のプレートは再度同じ濃度のWT rhTRAIL、D269H/E195RおよびS159Rで処置し、さらに24時間インキュベートした。インキュベーション後、MTTアッセイに1枚の96ウェル/プレート(48時間時点)を用い、他の1枚のプレート(72時間時点)は上記のように処置し、さらに24時間インキュベートし、MTTアッセイにより解析した。処置後、これらのウェルに10μlのMTT溶液(ハンクス平衡塩類溶液中5mg/ml)を加え、プレートを加湿インキュベーター中、37℃、5%CO2で3時間インキュベートした。インキュベーション後、これらのウェルに100μlの停止溶液(40%ジメチルホルムアミド中20%SDS)を加え、プレートをオービタルシェーカー上に一晩置いてホルマザン沈殿物を溶かした。インキュベーション後、PerkinElmer Victor3マルチプレートリーダーにおいて吸光度を550nmで測定した。細胞生存率は、3つの複製ウェルの対照に対する平均割合として表した。
【0132】
変異体S159Rは、DR4感受性細胞系統ML−1(図32、上のパネル)、EM−2(図32、下のパネル)(どちらも骨髄性細胞系統)におけるアポトーシス活性が増加しており、そのDR4選択性を示している。また、S159Rは、ヒト結腸癌細胞系統、SW948において強い生物活性も示している(図33)。3つ全ての細胞系統において、前記変異体は、非常に低い濃度においても顕著なアポトーシスを引き起こし、WT rhTRAILと比較してこの変異体の効力の増強を示している。ヒト結腸癌HCT116におけるS159Rの高い効力(図34)は、この変異体の高い受容体−アゴニスト活性を明確に示している。また、S159Rの高い効力は、両方の死受容体を発現する膵臓癌細胞系統BxPcにおいても示された:DR4選択的変異体S159Rは、DR5特異的変異体D269H/E195Rと同程度に活性がある(図35)。予想通り、DR5がTRAIL死シグナルの主要トランスデューサーである細胞系統HepG2では、変異体S159Rはより活性が低い(図36)。
【0133】
結論として、変異体S159Rは非常に有効なDR4選択的変異体である。
【0134】
実施例12
R149IおよびS215Dの生物活性
図37では、WT rhTRAILと比較した、DR4応答性骨髄性細胞系統EM−2およびML−1における変異体R149IおよびS215Dの生物活性を示している。明らかに、両方の変異体は、WTより有効であり、より低い濃度でアポトーシスを誘導し、EM−2細胞における差はおよそ5倍、ML−1細胞における差は2倍であり、これらの変異体がDR4の強力なアゴニストであることを示している。
【0135】
実施例13
材料と方法−結合実験
表面プラズモン共鳴に基づくバイオセンサーBiacore 3000(Biacore AB)を使用して結合実験を行った。研究用CM5センサーチップ、N−ヒドロキシスクシミド(NHS)、N−エチル−N’−(3−ジエチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、エタノールアミン−HClおよび標準的なバッファー例えばHBS−NおよびHBS−EPは、製造業者から購入した。全てのバッファーを濾過し、脱気した。Biacore CM5センサーチップのセンサー表面へのDR4−IgおよびDR5−Ig受容体の固定化は、製造業者の使用説明書に従い、標準的なアミンカップリング手順により行った。受容体を約800レスポンスユニットのレベルでコーティングした。次いで、活性化したカップリング表面を反応部位について1Mエタノールアミン(pH8)でクエンチした。参照表面は、活性化CMデキストランからなり、後にエタノールアミンで遮断した。50μlアリコートのWT rhRAILおよび変異体を三連で250nM〜0.5nMの濃度、70μl/ml、37℃で、ランニング・サンプルバッファーとして0.005%界面活性剤P20(GE Healthcare)を補給したHBS−Nを使用して注入した。リガンドと受容体との結合をリアルタイムでモニタリングした。注入間に、1:1[10mMグリシン1.5M NaCl pH2]/エチレングリコールおよび接触時間35秒を用いて受容体/センサー表面を再生させた。
【0136】
[参照文献]
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規サイトカインであって、それらの関連した受容体に対する改変された選択性/特異性を有するサイトカインに関する。
【背景技術】
【0002】
サイトカインは、主として白血球から分泌される増殖因子のファミリーであり、ナノモル以下の濃度で細胞過程をもたらし得る強力な調節因子として作用するメッセンジャータンパク質である。サイトカインは、それらのサイズから、体内に迅速に輸送され必要に応じて分解され得る。広範な細胞機能(特に免疫応答および細胞増殖)の制御におけるサイトカインの役割は、過去20年にわたる広範な研究により明らかになっている(非特許文献1)。これらの役割には、免疫応答の調節(非特許文献2)、炎症(非特許文献3)、創傷治癒(非特許文献4)、胚形成および発生、ならびにアポトーシス(非特許文献5)が含まれる。
【0003】
これまでのサイトカインの臨床用途は、免疫系の調節因子としてのそれらの役割(非特許文献6)、例えば、甲状腺癌に対する応答の促進におけるそれらの役割(非特許文献7)に重点が置かれていた。サイトカインは細胞増殖および分化を制御することから、サイトカインは抗癌標的にもなっている(非特許文献8,9)。サイトカインおよびサイトカイン受容体の新規突然変異は、耐病性を与える場合があることが示されている(非特許文献10)。活性を修飾し潜在的副作用を取り除くための合成サイトカイン(突然変異タンパク質)の創出も重要な研究方法となっている(非特許文献11)。
【0004】
このように、サイトカイン分子は、多様な生理学的機能において役割を果たし、それらの多くは疾患過程において役割を果たすことが分かっている。サイトカインの活性または特異性の改変は、疾患表現型を変えるための手段であり、そのようなものとして、新規サイトカイン分子の同定は科学的に非常に興味深い。
【0005】
特に興味深いのは、腫瘍壊死因子リガンド(TNF)ファミリーに属するリガンドである。これらのタンパク質は細胞増殖からアポトーシスに及ぶ広範な生物学的活性に関与している。
【0006】
TNFリガンドファミリーの一メンバーであるTRAILは、その可溶性形態で、in vitroおよびin vivoにて腫瘍細胞においてアポトーシスを選択的に誘導する。他のアポトーシス誘導TNFファミリーメンバーとは異なり、TRAILは、正常な健康組織に対して不活性であるように思われるため、潜在的癌治療用物質として高い関心を集めている(非特許文献12)。そのため、TRAILは腫瘍細胞に対する安全で強力な治療薬となる可能性がある。複数のin vitro研究により、肺、乳房、前立腺、膀胱、腎臓、卵巣および結腸の癌ならびに黒色腫、白血病および多発性骨髄腫などの異なる起源の多くの腫瘍細胞系統は、TRAIL誘導性アポトーシスに対して感受性が高いことが分かっている。
【0007】
また、TRAILは、自己免疫疾患(例えば関節リウマチ)などの免疫系修飾において重要な役割を果たし得ることも報告されている。
【0008】
最近の重要な刊行物により、TRAIL−R3(DcR1)は、遺伝毒性薬であるドキソルビシンの使用により、乳房腫瘍細胞においてp53によりアップレギュレートされることが示された(非特許文献13)。これは、野生型(WT)TRAILが囮受容体(アポトーシスを起こさない)とも結合するために、抗腫瘍療法においてその有効性が弱まる可能性があることを意味している。そのため、選択性/特異性が改変されたTRAILの変異体は、アポトーシス促進性受容体であるDR4(死受容体4、TRAIL−R1)またはDR5(死受容体5、TRAIL−R2)に直接結合するということも考えられる。さらに、そのような変異体は、囮受容体による結合を逃れ、アポプトトシス誘導性受容体(the apoptotosis-inducing receptors)であるDR4またはDR5に利用可能な状態を維持することができ、理論上は、癌治療における最大限に改善された用途を有するかもしれない。
【0009】
この点において、新規分子の選択性は、種々の受容体の活性化の特定の役割、それゆえいくつかの受容体と結合するリガンドの機能的効果、およびシグナル活性化に関係する関連疾患の病因への付随影響を理解するのに最も重要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Boppana, S.B (1996), Indian. J. Pediatr. 63(4):447-52
【非特許文献2】Nishihira, J. (1998), Int. J. Mol. Med. 2(1):17-28
【非特許文献3】Kim, P.K. et al (2000), Surg. Clin. North. Am. 80(3):885-894
【非特許文献4】Clark, R.A. (1991), J. Cell Biochem. 46(1):1-2
【非特許文献5】Flad, H.D. et al (1999), Pathobiology. 67(5-6):291-293
【非特許文献6】Rodriguez, F.H. et al (2000), Curr. Pharm. Des. 6(6):665-680
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【非特許文献11】Shanafelt, A.B. et al (1998), 95(16):9454-9458
【非特許文献12】Ashkenazi et al (1999), J. Clin. Invest 104, 155-162
【非特許文献13】Ruiz de Almodovar et al. (2003), Nov 17, Manuscript M311243200
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
死受容体5(TRAIL−R2)に対してよりも、死受容体4(TRAIL−R1)に対して優れた選択性を有する、変異TRAILタンパク質。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】FoldXによる計算の結果。負のΔΔGiは受容体結合の改善を示し、正のΔΔGiは受容体結合の低減を示す。
【図2A】精製リガンドWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yと、固定化したDR4−Ig、DR5−Ig、DcR1−IgおよびDcR2−Ig受容体キメラとの前定常状態結合を、表面プラズマ共鳴(SPR)を用いてリアルタイムで評価した。(A)SPRにより測定したDR5−Igに対するまたはDR4−Igに対するWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yの受容体結合;(B)SPRにより測定したDcR1−Igに対するまたはDcR2−Igに対するWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yの受容体結合。BSAとともに処方したDR4−IgおよびDR5−Ig調製物をセンサー表面上に固定化した。250nMのWT rhTRAILの応答と比較して結合を計算した。(C)前記精製リガンドと、固定化したOPG受容体キメラとの前定常状態結合を、表面プラズマ共鳴(SPR)を用いてリアルタイムで評価した。OPGに対するWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yの受容体結合をSPRにより測定した。BSAとともに処方したOPG調製物をセンサー表面上に固定化した。250nMのWT rhTRAILの応答と比較して結合を計算した。競合ELISA試験は、DR4−Ig(D)または競合相手としての可溶性DR5−Ig(E)を使用して実施した。rhTRAIL WTまたは変異体を0〜500ng/ウェルのDR4またはDR5とともに30分間プレインキュベートした。プレインキュベートした溶液を、DR4−Igでコーティングしたマイクロタイタープレートに入れた。様々な可溶性受容体濃度において、固定化したDR4−Igに対する選択的変異体の結合を、0ng/ウェルの可溶性の受容体の存在下で測定した値と比較して計算した。
【図2B】精製リガンドWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yと、固定化したDR4−Ig、DR5−Ig、DcR1−IgおよびDcR2−Ig受容体キメラとの前定常状態結合を、表面プラズマ共鳴(SPR)を用いてリアルタイムで評価した。(A)SPRにより測定したDR5−Igに対するまたはDR4−Igに対するWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yの受容体結合;(B)SPRにより測定したDcR1−Igに対するまたはDcR2−Igに対するWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yの受容体結合。BSAとともに処方したDR4−IgおよびDR5−Ig調製物をセンサー表面上に固定化した。250nMのWT rhTRAILの応答と比較して結合を計算した。(C)前記精製リガンドと、固定化したOPG受容体キメラとの前定常状態結合を、表面プラズマ共鳴(SPR)を用いてリアルタイムで評価した。OPGに対するWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yの受容体結合をSPRにより測定した。BSAとともに処方したOPG調製物をセンサー表面上に固定化した。250nMのWT rhTRAILの応答と比較して結合を計算した。競合ELISA試験は、DR4−Ig(D)または競合相手としての可溶性DR5−Ig(E)を使用して実施した。rhTRAIL WTまたは変異体を0〜500ng/ウェルのDR4またはDR5とともに30分間プレインキュベートした。プレインキュベートした溶液を、DR4−Igでコーティングしたマイクロタイタープレートに入れた。様々な可溶性受容体濃度において、固定化したDR4−Igに対する選択的変異体の結合を、0ng/ウェルの可溶性の受容体の存在下で測定した値と比較して計算した。
【図2C】精製リガンドWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yと、固定化したDR4−Ig、DR5−Ig、DcR1−IgおよびDcR2−Ig受容体キメラとの前定常状態結合を、表面プラズマ共鳴(SPR)を用いてリアルタイムで評価した。(A)SPRにより測定したDR5−Igに対するまたはDR4−Igに対するWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yの受容体結合;(B)SPRにより測定したDcR1−Igに対するまたはDcR2−Igに対するWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yの受容体結合。BSAとともに処方したDR4−IgおよびDR5−Ig調製物をセンサー表面上に固定化した。250nMのWT rhTRAILの応答と比較して結合を計算した。(C)前記精製リガンドと、固定化したOPG受容体キメラとの前定常状態結合を、表面プラズマ共鳴(SPR)を用いてリアルタイムで評価した。OPGに対するWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yの受容体結合をSPRにより測定した。BSAとともに処方したOPG調製物をセンサー表面上に固定化した。250nMのWT rhTRAILの応答と比較して結合を計算した。競合ELISA試験は、DR4−Ig(D)または競合相手としての可溶性DR5−Ig(E)を使用して実施した。rhTRAIL WTまたは変異体を0〜500ng/ウェルのDR4またはDR5とともに30分間プレインキュベートした。プレインキュベートした溶液を、DR4−Igでコーティングしたマイクロタイタープレートに入れた。様々な可溶性受容体濃度において、固定化したDR4−Igに対する選択的変異体の結合を、0ng/ウェルの可溶性の受容体の存在下で測定した値と比較して計算した。
【図2D】精製リガンドWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yと、固定化したDR4−Ig、DR5−Ig、DcR1−IgおよびDcR2−Ig受容体キメラとの前定常状態結合を、表面プラズマ共鳴(SPR)を用いてリアルタイムで評価した。(A)SPRにより測定したDR5−Igに対するまたはDR4−Igに対するWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yの受容体結合;(B)SPRにより測定したDcR1−Igに対するまたはDcR2−Igに対するWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yの受容体結合。BSAとともに処方したDR4−IgおよびDR5−Ig調製物をセンサー表面上に固定化した。250nMのWT rhTRAILの応答と比較して結合を計算した。(C)前記精製リガンドと、固定化したOPG受容体キメラとの前定常状態結合を、表面プラズマ共鳴(SPR)を用いてリアルタイムで評価した。OPGに対するWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yの受容体結合をSPRにより測定した。BSAとともに処方したOPG調製物をセンサー表面上に固定化した。250nMのWT rhTRAILの応答と比較して結合を計算した。競合ELISA試験は、DR4−Ig(D)または競合相手としての可溶性DR5−Ig(E)を使用して実施した。rhTRAIL WTまたは変異体を0〜500ng/ウェルのDR4またはDR5とともに30分間プレインキュベートした。プレインキュベートした溶液を、DR4−Igでコーティングしたマイクロタイタープレートに入れた。様々な可溶性受容体濃度において、固定化したDR4−Igに対する選択的変異体の結合を、0ng/ウェルの可溶性の受容体の存在下で測定した値と比較して計算した。
【図2E】精製リガンドWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yと、固定化したDR4−Ig、DR5−Ig、DcR1−IgおよびDcR2−Ig受容体キメラとの前定常状態結合を、表面プラズマ共鳴(SPR)を用いてリアルタイムで評価した。(A)SPRにより測定したDR5−Igに対するまたはDR4−Igに対するWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yの受容体結合;(B)SPRにより測定したDcR1−Igに対するまたはDcR2−Igに対するWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yの受容体結合。BSAとともに処方したDR4−IgおよびDR5−Ig調製物をセンサー表面上に固定化した。250nMのWT rhTRAILの応答と比較して結合を計算した。(C)前記精製リガンドと、固定化したOPG受容体キメラとの前定常状態結合を、表面プラズマ共鳴(SPR)を用いてリアルタイムで評価した。OPGに対するWT rhTRAIL、D218HおよびD218Yの受容体結合をSPRにより測定した。BSAとともに処方したOPG調製物をセンサー表面上に固定化した。250nMのWT rhTRAILの応答と比較して結合を計算した。競合ELISA試験は、DR4−Ig(D)または競合相手としての可溶性DR5−Ig(E)を使用して実施した。rhTRAIL WTまたは変異体を0〜500ng/ウェルのDR4またはDR5とともに30分間プレインキュベートした。プレインキュベートした溶液を、DR4−Igでコーティングしたマイクロタイタープレートに入れた。様々な可溶性受容体濃度において、固定化したDR4−Igに対する選択的変異体の結合を、0ng/ウェルの可溶性の受容体の存在下で測定した値と比較して計算した。
【図3】DR5感受性Colo205細胞(A)ならびにDR4感受性ML−1細胞(B)およびEM−2細胞(C)における、WT rhTRAIL、D218Y変異体およびDR5選択的リガンドD269H/E195Rの生物活性。20ng/ml(Colo205)または100ng/ml(EM−2)のWT rhTRAILまたは変異体との3時間のインキュベーション後に、アポトーシス率をアネキシンV陽性率として測定した。これらの濃度は、WT rhTRAILがその最大アポトーシス誘導活性を表し始める濃度であることから選択した。アポトーシス誘導活性は、これらの濃度のWT rhTRAILのアポトーシス誘導活性と比較して計算する。
【図4】DR4選択性に関する20種の突然変異体の設計について計算したΔΔG値(kcal/mol)の表および座標表示グラフ。
【図5】前記精製リガンドと、固定化したDR4−IgおよびDR5−Ig受容体キメラとの前定常状態結合を、表面プラズマ共鳴(SPR)を用いてリアルタイムで評価した。SPRにより測定したDR5−IgおよびDR4−Igに対するWT rhTRAIL、G131R、N199RK201HおよびG131RN199RK201Hの受容体結合。BSAとともに処方したDR4−IgおよびDR5−Ig調製物をセンサー表面上に固定化した。250nMのWT rhTRAILの応答と比較して結合を計算した。
【図6A】(A)ML−1細胞、EM−2細胞およびA2780細胞ならびに(B)HL−60、Oci−AML3およびMOLM−13におけるTRAIL受容体の細胞表面発現。細胞を播種し(ML−1:300000細胞/ml、EM−2:300000細胞/ml、A2780:350000細胞/ml、HL−60:300000細胞/ml、Oci−AML3:750000細胞/ml、MOLM−13:1000000細胞/ml)、24時間後にDR4、DR5、DcR1およびDcR2の免疫蛍光標識のために回収した。培養皿から細胞を取り出し(A2780細胞は、軽いトリプシン処理により回収した)、PBS中1%BSAで2回洗浄した後、PBS中1%BSAによる一次抗体の1:100希釈物中で室温で40分間インキュベートした(DR4およびDR5:中和抗体、Alexis、DcR1およびDcR2:中和ヤギポリクローナル抗体、R&D Systems)。1%BSA/PBSで2回洗浄した後、細胞をFITC標識二次抗体(Sigma)の1:50希釈物中に再懸濁し、室温で40分間インキュベートした。PBS中1%BSAで1回そしてPBSで1回洗浄することにより過剰の二次抗体を除去した。フローサイトメトリーによる解析(FacsCalibur, Beckton Dickinson)の前に、これらの細胞をPBS中1%ホルムアルデヒド中に固定した。AF:自己蛍光、IC:アイソタイプ対照。
【図6B】(A)ML−1細胞、EM−2細胞およびA2780細胞ならびに(B)HL−60、Oci−AML3およびMOLM−13におけるTRAIL受容体の細胞表面発現。細胞を播種し(ML−1:300000細胞/ml、EM−2:300000細胞/ml、A2780:350000細胞/ml、HL−60:300000細胞/ml、Oci−AML3:750000細胞/ml、MOLM−13:1000000細胞/ml)、24時間後にDR4、DR5、DcR1およびDcR2の免疫蛍光標識のために回収した。培養皿から細胞を取り出し(A2780細胞は、軽いトリプシン処理により回収した)、PBS中1%BSAで2回洗浄した後、PBS中1%BSAによる一次抗体の1:100希釈物中で室温で40分間インキュベートした(DR4およびDR5:中和抗体、Alexis、DcR1およびDcR2:中和ヤギポリクローナル抗体、R&D Systems)。1%BSA/PBSで2回洗浄した後、細胞をFITC標識二次抗体(Sigma)の1:50希釈物中に再懸濁し、室温で40分間インキュベートした。PBS中1%BSAで1回そしてPBSで1回洗浄することにより過剰の二次抗体を除去した。フローサイトメトリーによる解析(FacsCalibur, Beckton Dickinson)の前に、これらの細胞をPBS中1%ホルムアルデヒド中に固定した。AF:自己蛍光、IC:アイソタイプ対照。
【図7】潜在的にDR4選択的なTRAIL突然変異体N199R/K201HとWT rhTRAILとのアポトーシス促進能の比較。漸増用量のN199R/K201HまたはWT rhTRAILでの24時間処置の24時間前に、ML−1細胞を300000細胞/mlの密度で播種した。このグラフは、アネキシンV陽性のフローサイトメトリー解析により決定した死細胞の割合を示している。
【図8】潜在的にDR4選択的なTRAIL突然変異体N199R/K201HとWT rhTRAILとのアポトーシス促進能の比較。漸増用量のN199R/K201HまたはWT rhTRAILでの24時間処置の24時間前に、EM−2細胞を300000細胞/mlの密度でを播種した。このグラフは、アネキシンV陽性のフローサイトメトリー解析により決定した死細胞の割合を示している。
【図9】潜在的にDR4選択的なTRAIL突然変異体N199R/K201Hと、DR5選択的突然変異体D269H/E195Rと、WT rhTRAILとのアポトーシス促進能の比較。漸増用量のN199R/K201H、D269H/E195RまたはWT rhTRAILでの24時間処置の24時間前に、A2780細胞を350000細胞/mlの密度で播種した。このグラフは、アネキシンV陽性のフローサイトメトリー解析により決定した死細胞の割合を示している。
【図10A】DR4選択的TRAIL突然変異体N199R/K201H/G131R、WT rhTRAILおよびDR5選択的突然変異体D269H/E195R(E195R)の、ML−1細胞におけるアポトーシス促進能。漸増用量のN199R/K201H/G131R、WT rhTRAILまたはD269H/E195R(この図ではE195Rと示している)での24時間処置の24時間前にML−1急性骨髄性白血病細胞を300000細胞/mlの密度で播種した。これらのグラフは、アネキシンV陽性のフローサイトメトリー解析により決定した死細胞の割合を示している。(A)WT rhTRAILとDR4選択的突然変異体N199R/K201H/G131Rとの効果の比較。(B)WT rhTRAILとDR5選択的突然変異体D269H/E195R(E195R)との効果の比較。
【図10B】DR4選択的TRAIL突然変異体N199R/K201H/G131R、WT rhTRAILおよびDR5選択的突然変異体D269H/E195R(E195R)の、ML−1細胞におけるアポトーシス促進能。漸増用量のN199R/K201H/G131R、WT rhTRAILまたはD269H/E195R(この図ではE195Rと示している)での24時間処置の24時間前にML−1急性骨髄性白血病細胞を300000細胞/mlの密度で播種した。これらのグラフは、アネキシンV陽性のフローサイトメトリー解析により決定した死細胞の割合を示している。(A)WT rhTRAILとDR4選択的突然変異体N199R/K201H/G131Rとの効果の比較。(B)WT rhTRAILとDR5選択的突然変異体D269H/E195R(E195R)との効果の比較。
【図11A】DR4選択的TRAIL突然変異体N199R/K201H/G131R、WT rhTRAILおよびDR5選択的突然変異体D269H/E195R(E195R)の、EM−2細胞におけるアポトーシス促進能。漸増用量のN199R/K201H/G131R、WT rhTRAILまたはD269H/E195Rでの24時間処置の24時間前に、EM−2慢性骨髄性白血病細胞を300000細胞/mlの密度で播種した。これらのグラフは、アネキシンV陽性のフローサイトメトリー解析により決定した死細胞の割合を示している。(A)WT rhTRAILとDR4選択的突然変異体N199R/K201H/G131Rとの効果の比較。(B)WT rhTRAILとDR5選択的突然変異体D269H/E195R(E195R)との効果の比較。
【図11B】DR4選択的TRAIL突然変異体N199R/K201H/G131R、WT rhTRAILおよびDR5選択的突然変異体D269H/E195R(E195R)の、EM−2細胞におけるアポトーシス促進能。漸増用量のN199R/K201H/G131R、WT rhTRAILまたはD269H/E195Rでの24時間処置の24時間前に、EM−2慢性骨髄性白血病細胞を300000細胞/mlの密度で播種した。これらのグラフは、アネキシンV陽性のフローサイトメトリー解析により決定した死細胞の割合を示している。(A)WT rhTRAILとDR4選択的突然変異体N199R/K201H/G131Rとの効果の比較。(B)WT rhTRAILとDR5選択的突然変異体D269H/E195R(E195R)との効果の比較。
【図12】DR4選択的TRAIL突然変異体N199R/K201H/G131Rと、DR5選択的突然変異体D269H/E195R(E195R)と、WT rhTRAILとのアポトーシス促進能の比較。漸増用量のN199R/K201H/G131R、D269H/E195RまたはWT rhTRAILでの24時間処置の24時間前に、A2780細胞を350000細胞/mlの密度で播種した。このグラフは、アネキシンV染色のフローサイトメトリー解析により決定した死細胞の割合を示している。
【図13A】DR4選択的TRAIL突然変異体N199R/K201H/G131R、WT rhTRAILおよびDR5選択的突然変異体D269H/E195R(E195R)の、HL−60細胞におけるアポトーシス促進能。漸増用量のN199R/K201H/G131R、WT rhTRAILまたはD269H/E195Rでの24時間処置の24時間前に、HL−60(前骨髄性白血病細胞、PML、AMLのサブタイプ)細胞を300000細胞/mlの密度で播種した。これらのグラフは、アネキシンV陽性のフローサイトメトリー解析により決定した死細胞の割合を示している。(A)WT rhTRAILとDR4選択的突然変異体N199R/K201H/G131Rとの効果の比較。(B)WT rhTRAILとDR5選択的突然変異体D269H/E195Rとの効果の比較。
【図13B】DR4選択的TRAIL突然変異体N199R/K201H/G131R、WT rhTRAILおよびDR5選択的突然変異体D269H/E195R(E195R)の、HL−60細胞におけるアポトーシス促進能。漸増用量のN199R/K201H/G131R、WT rhTRAILまたはD269H/E195Rでの24時間処置の24時間前に、HL−60(前骨髄性白血病細胞、PML、AMLのサブタイプ)細胞を300000細胞/mlの密度で播種した。これらのグラフは、アネキシンV陽性のフローサイトメトリー解析により決定した死細胞の割合を示している。(A)WT rhTRAILとDR4選択的突然変異体N199R/K201H/G131Rとの効果の比較。(B)WT rhTRAILとDR5選択的突然変異体D269H/E195Rとの効果の比較。
【図14A】DR4選択的TRAIL突然変異体N199R/K201H/G131R、WT rhTRAILおよびDR5選択的突然変異体D269H/E195R(E195R)の、Oci−AML3細胞におけるアポトーシス促進能。漸増用量のN199R/K201H/G131R、WT rhTRAILまたはD269H/E195Rでの24時間処置の24時間前に、Oci−AML3(AML)細胞を750000細胞/mlの密度で播種した。これらのグラフは、アネキシンV陽性のフローサイトメトリー解析により決定した死細胞の割合を示している。(A)WT rhTRAILとDR4選択的突然変異体N199R/K201H/G131Rとの効果の比較。(B)WT rhTRAILとDR5選択的突然変異体D269H/E195Rとの効果の比較。
【図14B】DR4選択的TRAIL突然変異体N199R/K201H/G131R、WT rhTRAILおよびDR5選択的突然変異体D269H/E195R(E195R)の、Oci−AML3細胞におけるアポトーシス促進能。漸増用量のN199R/K201H/G131R、WT rhTRAILまたはD269H/E195Rでの24時間処置の24時間前に、Oci−AML3(AML)細胞を750000細胞/mlの密度で播種した。これらのグラフは、アネキシンV陽性のフローサイトメトリー解析により決定した死細胞の割合を示している。(A)WT rhTRAILとDR4選択的突然変異体N199R/K201H/G131Rとの効果の比較。(B)WT rhTRAILとDR5選択的突然変異体D269H/E195Rとの効果の比較。
【図15A】DR4選択的TRAIL突然変異体N199R/K201H/G131R、WT rhTRAILおよびDR5選択的突然変異体D269H/E195R(E195R)の、MOLM−13細胞におけるアポトーシス促進能。漸増用量のN199R/K201H/G131R、WT rhTRAILまたはD269H/E195Rでの24時間処置の24時間前に、MOLM−13(AML)細胞を1000000細胞/mlの密度で播種した。これらのグラフは、アネキシンV陽性のフローサイトメトリー解析により決定した死細胞の割合を示している。(A)WT rhTRAILとDR4選択的突然変異体N199R/K201H/G131Rとの効果の比較。(B)WT rhTRAILとDR5選択的突然変異体D269H/E195Rとの効果の比較。
【図15B】DR4選択的TRAIL突然変異体N199R/K201H/G131R、WT rhTRAILおよびDR5選択的突然変異体D269H/E195R(E195R)の、MOLM−13細胞におけるアポトーシス促進能。漸増用量のN199R/K201H/G131R、WT rhTRAILまたはD269H/E195Rでの24時間処置の24時間前に、MOLM−13(AML)細胞を1000000細胞/mlの密度で播種した。これらのグラフは、アネキシンV陽性のフローサイトメトリー解析により決定した死細胞の割合を示している。(A)WT rhTRAILとDR4選択的突然変異体N199R/K201H/G131Rとの効果の比較。(B)WT rhTRAILとDR5選択的突然変異体D269H/E195Rとの効果の比較。
【図16】WT rhTRAILおよび変異体G131R/N199R/K201Hの、DR4およびDR5により媒介される細胞死の両方に反応するColo205細胞における生物活性。漸増用量のN199RK201HG131RまたはWT rhTRAILでの24時間処置の24時間前に、Colo205細胞を96ウェルプレートに増殖培地1ml当たり400000細胞の密度で播種し、MTTアッセイにより細胞増殖を測定した。
【図17】潜在的にDR4選択的なTRAIL突然変異体G131R/D218HとWT rhTRAILとのアポトーシス促進能の比較。漸増用量のG131R/D218HまたはWT rhTRAILでの24時間処置の24時間前に、ML−1細胞を300000細胞/mlの密度で播種した。このグラフは、アネキシンV陽性のフローサイトメトリー解析により決定した死細胞の割合を示している。
【図18】潜在的にDR4選択的なTRAIL突然変異体G131R/D218HとWT rhTRAILとのアポトーシス促進能の比較。漸増用量のG131R/D218HまたはWT rhTRAILでの24時間処置の24時間前に、EM−2細胞を300000細胞/mlの密度で播種した。このグラフは、アネキシンV染色のフローサイトメトリー解析により決定した死細胞の割合を示している。
【図19】潜在的にDR4選択的なTRAIL突然変異体G131R/D218Hと、DR5選択的突然変異体D269H/E195Rと、WT rhTRAILとのアポトーシス促進能の比較。漸増用量のG131R/D218H、D269H/E195RまたはWT rhTRAILでの24時間処置の24時間前に、A2780細胞を350000細胞/mlの密度で播種した。このグラフは、アネキシンV染色のフローサイトメトリー解析により決定した死細胞の割合を示している。
【図20A】WT rhTRAILおよび変異体G131R/N199R/K201Hの、DR4およびDR5により媒介される細胞死の両方に反応するBJAB細胞(BJABwt)(A)およびDR5について欠損しているBJAB細胞(BJABDR5DEF)(B)における生物活性。BJAB細胞を96ウェルプレートに増殖培地(+1.0μg/mlシクロヘキシミド)1ml当たり400000細胞の密度で播種し、漸増用量のG131RN199RK201HまたはWT rhTRAILを24時間加えた。MTTアッセイにより細胞増殖を測定した。
【図20B】WT rhTRAILおよび変異体G131R/N199R/K201Hの、DR4およびDR5により媒介される細胞死の両方に反応するBJAB細胞(BJABwt)(A)およびDR5について欠損しているBJAB細胞(BJABDR5DEF)(B)における生物活性。BJAB細胞を96ウェルプレートに増殖培地(+1.0μg/mlシクロヘキシミド)1ml当たり400000細胞の密度で播種し、漸増用量のG131RN199RK201HまたはWT rhTRAILを24時間加えた。MTTアッセイにより細胞増殖を測定した。
【図21A】WT rhTRAILおよび変異体G131Rの、DR4およびDR5により媒介される細胞死の両方に反応するBJAB細胞(BJABwt)(A)およびDR5について欠損しているBJAB細胞(BJABDR5DEF)(B)における生物活性。BJAB細胞を96ウェルプレートに増殖培地(+1.0μg/mlシクロヘキシミド)1ml当たり200000細胞の密度で播種し、漸増用量のG131RまたはWT rhTRAILを24時間加えた。MTTアッセイにより細胞増殖を測定した。
【図21B】WT rhTRAILおよび変異体G131Rの、DR4およびDR5により媒介される細胞死の両方に反応するBJAB細胞(BJABwt)(A)およびDR5について欠損しているBJAB細胞(BJABDR5DEF)(B)における生物活性。BJAB細胞を96ウェルプレートに増殖培地(+1.0μg/mlシクロヘキシミド)1ml当たり200000細胞の密度で播種し、漸増用量のG131RまたはWT rhTRAILを24時間加えた。MTTアッセイにより細胞増殖を測定した。
【図22】競合相手として可溶性DR5−Ig(A)、可溶性DR4−Ig(B)、可溶性DcR1−Ig(C)、または可溶性DcR2−Ig(D)を使用した、WT rhTRAILとの比較による変異体G131R/N199R/K201Hの競合ELISA.固定化したDR4−Igへの結合率は、可溶性競合相手の0ng/ウェルにおいて結合した量と比較して計算する。WT rhTRAILおよび変異体を0〜500ng/ウェルのDR4およびDR5とともに30分間プレインキュベートした。プレインキュベートした溶液を、DR4−Igでコーティングしたマイクロタイタープレートに入れた。
【図23A】変異体G131R/N199R/K201Hは、HL−60細胞において、WT rhTRAILよりも効率的に死誘導TRAIL受容体を活性化する。ミトコンドリア膜電位の決定により(A)またはプロカスパーゼ8活性化の決定により(B、上のパネル)、アポトーシスを測定した。上のバンドはプロカスパーゼ−8であり(55/53kDa)、一方、下の二重バンドはプロセッシングを受けたカスパーゼ−8(43/41kDa)である。この下のパネルは、同等のタンパク質負荷の指標としてβ−アクチンの発現を示している(B)。
【図23B】変異体G131R/N199R/K201Hは、HL−60細胞において、WT rhTRAILよりも効率的に死誘導TRAIL受容体を活性化する。ミトコンドリア膜電位の決定により(A)またはプロカスパーゼ8活性化の決定により(B、上のパネル)、アポトーシスを測定した。上のバンドはプロカスパーゼ−8であり(55/53kDa)、一方、下の二重バンドはプロセッシングを受けたカスパーゼ−8(43/41kDa)である。この下のパネルは、同等のタンパク質負荷の指標としてβ−アクチンの発現を示している(B)。
【図24A】阻害剤であるκ−Bキナーゼ(IKK)阻害剤BMS−345541(Calbiochem)でのNF−κB活性の阻害は、WT rhTRAILおよびG131R/N199R/K201Hの両方の生物活性を増強した。HL−60細胞を指示濃度のBMS−345541の存在または不在下で100ng/ml(A)または10ng/ml(B)のWT rhTRAILまたはG131R/N199R/K201Hで12時間処置した。TMREを用いてミトコンドリア膜電位の損失を測定することにより、細胞死の誘導を判断した。これらのグラフは、低ミトコンドリア膜電位(ΔΨm)を有する細胞の平均割合を示している。
【図24B】阻害剤であるκ−Bキナーゼ(IKK)阻害剤BMS−345541(Calbiochem)でのNF−κB活性の阻害は、WT rhTRAILおよびG131R/N199R/K201Hの両方の生物活性を増強した。HL−60細胞を指示濃度のBMS−345541の存在または不在下で100ng/ml(A)または10ng/ml(B)のWT rhTRAILまたはG131R/N199R/K201Hで12時間処置した。TMREを用いてミトコンドリア膜電位の損失を測定することにより、細胞死の誘導を判断した。これらのグラフは、低ミトコンドリア膜電位(ΔΨm)を有する細胞の平均割合を示している。
【図25】精製TRAIL変異体R149Iと、固定化したDR4−IgおよびDR5−Ig受容体キメラとの前定常状態結合を、表面プラズマ共鳴(SPR)を用いてリアルタイムで評価した。DR4−IgおよびDR5−Ig調製物を約700RUの密度でCM5センサー表面上に直接固定化した。250nMのWT rhTRAILの応答と比較して結合を計算した。
【図26】精製TRAIL変異体S159RおよびK201Rと、固定化したDR4−IgおよびDR5−Ig受容体キメラとの前定常状態結合を、表面プラズマ共鳴(SPR)を用いてリアルタイムで評価した。DR4−IgおよびDR5−Ig調製物を約700RUの密度でCM5センサー表面上に直接固定化した。250nMのWT rhTRAILの応答と比較して結合を計算した。
【図27】変異体S159RおよびWT rhTRAILと、直接固定化したDR4−Ig(A)またはDR5−Ig(B)との結合のセンサーグラム。
【図28】競合相手として可溶性DR4−Ig(A)、可溶性DR5−Ig(B)、可溶性DcR1−Ig(C)、または可溶性DcR2−Ig(D)を使用した、WT rhTRAILおよびS159Rの競合ELISA試験。
【図29】精製TRAIL変異体K204Yと、固定化したDR4−IgおよびDR5−Ig受容体キメラとの前定常状態結合を、表面プラズマ共鳴(SPR)を用いてリアルタイムで評価した。DR4−IgおよびDR5−Ig調製物を約800RUの密度でCM5センサー表面上に直接固定化した。250nMのWT rhTRAILの応答と比較して結合を計算した。
【図30】精製TRAIL変異体S215Dと、固定化したDR4−IgおよびDR5−Ig受容体キメラとの前定常状態結合を、表面プラズマ共鳴(SPR)を用いてリアルタイムで評価した。DR4−IgおよびDR5−Ig調製物を約800RUの密度でCM5センサー表面上に直接固定化した。250nMのWT rhTRAILの応答と比較して結合を計算した。DHER:D269H/E195R(DR5選択的rhTRAIL変異体、DR5結合についての陽性対照として使用した)。
【図31】変異体S215DおよびWT rhTRAILの競合ELISA。(A)競合相手として可溶性DR4−Igを使用した競合ELISA。(B)競合相手として可溶性DR5−Igを使用した競合ELISA。固定化したDR4−Igへ結合したリガンドの割合は、可溶性競合相手の0ng/ウェルにおいて結合した量と比較して計算する。WT rhTRAILおよび変異体を0〜500ng/ウェルのDR4およびDR5とともに30分間プレインキュベートした。プレインキュベートした溶液を、DR4−Igでコーティングしたマイクロタイタープレートに入れた。
【図32】WT rhTRAILおよび変異体S159Rの骨髄性ML−1(A)細胞系統およびEM−2(B)細胞系統に対する細胞傷害効果。アネビンVアッセイ(Annevin V assay)により細胞死の誘導を定量する際、ML−1細胞およびEM−2細胞を指示濃度のWETrhTRAILまたは変異体S159Rで24時間処置した。これらのグラフは、細胞死の1つの指標として誘導した平均アネキシンV陽性率を示している。
【図33】WT rhTRAILおよび変異体S159Rの結腸癌SW948細胞系統に対する細胞傷害効果。
【図34A】WT rhTRAILおよびD269HE195R(DR5選択的変異体、グラフにおけるE195R)と比較した、S159Rの、WT HCT116(上のパネル)およびp53欠損(p53−/−)HCT116(下のパネル)ヒト結腸癌細胞系統における細胞傷害効果。24時間(A)、48時間(B)および72時間(C)のインキュベーション後の細胞生存率をタンパク質濃度の関数として測定することにより、細胞傷害効果を評価した。このグラフは、対照と比較して平均生存率を示している。
【図34B】WT rhTRAILおよびD269HE195R(DR5選択的変異体、グラフにおけるE195R)と比較した、S159Rの、WT HCT116(上のパネル)およびp53欠損(p53−/−)HCT116(下のパネル)ヒト結腸癌細胞系統における細胞傷害効果。24時間(A)、48時間(B)および72時間(C)のインキュベーション後の細胞生存率をタンパク質濃度の関数として測定することにより、細胞傷害効果を評価した。このグラフは、対照と比較して平均生存率を示している。
【図34C】WT rhTRAILおよびD269HE195R(DR5選択的変異体、グラフにおけるE195R)と比較した、S159Rの、WT HCT116(上のパネル)およびp53欠損(p53−/−)HCT116(下のパネル)ヒト結腸癌細胞系統における細胞傷害効果。24時間(A)、48時間(B)および72時間(C)のインキュベーション後の細胞生存率をタンパク質濃度の関数として測定することにより、細胞傷害効果を評価した。このグラフは、対照と比較して平均生存率を示している。
【図35A】WT rhTRAILおよびD269HE195R(DR5選択的変異体、グラフにおけるE195R)と比較した、TRAIL変異体S159Rの、ヒト膵臓癌細胞系統、BxPcに対する生物学的効果。24時間(A)、48時間(B)および72時間(C)のインキュベーション後の細胞生存率をタンパク質濃度の関数として測定することにより、生物学的効果を評価した。
【図35B】WT rhTRAILおよびD269HE195R(DR5選択的変異体、グラフにおけるE195R)と比較した、TRAIL変異体S159Rの、ヒト膵臓癌細胞系統、BxPcに対する生物学的効果。24時間(A)、48時間(B)および72時間(C)のインキュベーション後の細胞生存率をタンパク質濃度の関数として測定することにより、生物学的効果を評価した。
【図35C】WT rhTRAILおよびD269HE195R(DR5選択的変異体、グラフにおけるE195R)と比較した、TRAIL変異体S159Rの、ヒト膵臓癌細胞系統、BxPcに対する生物学的効果。24時間(A)、48時間(B)および72時間(C)のインキュベーション後の細胞生存率をタンパク質濃度の関数として測定することにより、生物学的効果を評価した。
【図36A】WT rhTRAILおよびD269HE195R(DR5選択的変異体、グラフにおけるE195R)と比較した、TRAIL変異体S159Rの、ヒト肝細胞癌HepG2細胞系統に対する生物学的効果。24時間(A)、48時間(B)および72時間(C)のインキュベーション後の細胞生存率をタンパク質濃度の関数として測定することにより、生物学的効果を評価した。
【図36B】WT rhTRAILおよびD269HE195R(DR5選択的変異体、グラフにおけるE195R)と比較した、TRAIL変異体S159Rの、ヒト肝細胞癌HepG2細胞系統に対する生物学的効果。24時間(A)、48時間(B)および72時間(C)のインキュベーション後の細胞生存率をタンパク質濃度の関数として測定することにより、生物学的効果を評価した。
【図36C】WT rhTRAILおよびD269HE195R(DR5選択的変異体、グラフにおけるE195R)と比較した、TRAIL変異体S159Rの、ヒト肝細胞癌HepG2細胞系統に対する生物学的効果。24時間(A)、48時間(B)および72時間(C)のインキュベーション後の細胞生存率をタンパク質濃度の関数として測定することにより、生物学的効果を評価した。
【図37】フローサイトメトリーを用いた24時間処置後にアネキシンV染色により測定した、WT rhTRAILおよび変異体R149IおよびS215Dの、EM−2(A)細胞およびML−1(B)細胞における生物活性。このグラフは、アポトーシス細胞の割合を示している。
【図38】SPRにより測定したrhTRAIL WTおよびDR4選択的突然変異体の受容体結合ならびに競合ELISA。rhTRAIL WT、D218HおよびD218Yと、DR4−Igとの受容体結合をSPRにより測定し(A)またはDR5−Ig(B)との受容体結合を測定した。適当な高親和性複合体形成を表す前定常状態データを得るために、より少数の複合体を表す初期の速い解離速度を仮定して、注射終了の30秒後に各濃度での応答を記録した。250nmのrhTRAIL WTの応答と比較して受容体結合を計算した。競合ELISAでは、競合相手としてDR4−Ig(C)または競合相手として可溶性DR5−Ig(D)を使用した。rhTRAIL WTまたは変異体を0〜500ng/ウェルのDR4またはDR5とともに30分間プレインキュベートした。プレインキュベートした溶液を、DR4−Igでコーティングしたマイクロタイタープレートに入れた。様々な可溶性受容体濃度において、固定化したDR4−Igに対する選択的変異体の結合を、0ng/ウェルの可溶性の受容体の存在下で測定した値と比べて計算した。
【図39】Gly131 突然変異体の結合エネルギー予測。FoldXバージョン2.8により決定した、野生型rhTRAILと比較したときの、種々の死受容体とのGly−131変異体の結合についての結合エネルギーの予測差(ΔΔG)。エネルギーの変化は、kcal/molで測定し、単一受容体と結合している単一結合界面の変化に当てはまる。負のΔΔGiは受容体結合の改善を示し、正のΔΔGiは受容体結合の低減を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第1の態様によれば、死受容体5(TRAIL−R2)に対してよりも、死受容体4(TRAIL−R1)に対して優れた選択性を有する変異TRAILタンパク質を提供する。
【0014】
TRAIL(TNFSF10、TL2;APO2L;CD253;Apo−2Lとしても知られる)は、TNFリガンドファミリーのメンバーであり14 15、末端切断型細胞内ドメインを欠くまたは有する囮受容体などの2以上の受容体と結合するサイトカインの例である。TRAILは、TNF受容体ファミリーの5つの関連する受容体とも;死受容体4(DR4、TRAIL−R1)、死受容体5(DR5、TRAIL−R2、KILLLER、TRICK−2)とも、囮受容体1、(DcR1、TRAIL−R3、TRIDD)、囮受容体2(DcR2、TRAIL−R4、TRUNDD)とも、可溶性分泌受容体であるオステオプロテジェリン(OPG)とも結合するため、無差別のリガンドである。DR4(TRAIL−R1)およびDR5(TRAIL−R2)だけが機能的死ドメイン(DD)を含み、DcR1、DcR2またはOPGは機能的死ドメイン(DD)を含まないことから、これらの受容体とTRAILが結合するだけで、細胞外因性または死受容体媒介のアポトーシス経路の活性化を介して、アポトーシスが誘導される。また、TRAILは、そのような受容体を通じてだけでなくDcR2を通じて、生存促進NF−κΒ経路も誘導することができるように思われる。ある特定の細胞において支配する経路(アポトーシスまたは生存)を決定する因子については、ほとんど解明されていない。
【0015】
受容体DR4および/またはDR5は、DNA損傷性化学療法薬での治療後にアップレギュレートされ得ることは知られている。このような細胞では、化学療法薬はTRAIL誘導性アポトーシスに対する応答を著しく増加させることができる。文献では、DR5が死シグナルを伝達する主要な受容体であることが示唆されている。しかしながら、本発明者らは、少なくともいくつかの癌細胞ではアポトーシスシグナルはDR4により主として伝達されると考える。よって、この理由で、WT TRAILはDR5に対してより高い親和性を有することから、このような癌はWT TRAILに対する反応性が低い。このような癌の例としては、限定されるものではないが、慢性リンパ性白血病およびマントル細胞リンパ腫が挙げられる27。
【0016】
従って、DR4(TRAIL−R1)シグナル伝達の選択的誘導因子を得ることは、非常に興味深いことである。よって、本発明者らは、DR4受容体選択的TRAIL変異体を使用することで、野生型TRAILと比べて、有効性がより高い、また場合によっては副作用がより少ないより良好な療法が可能になり得ると考える。
【0017】
死受容体5に対してよりも、死受容体4に対して優れている選択性に加えて、本発明によるTRAIL変異体は、囮受容体であるDcR1(TRAIL−R3)およびDcR2(TRAIL−R4)およびOPGに対してよりも、死受容体4(TRAIL−R1)に対して優れた選択性を示すことが好ましい。DcR1およびOPGは死ドメインを含まないが、DcR2は末端切断型死ドメインを含む。TRAILがこれらの受容体と結合してもアポトーシスは誘導されず;それどころか、その結合により、DR4およびDR5から利用可能なTRAILが封鎖されることによって、またはDcR2を介してNF−κB活性化が誘導されることによって、実際にはアポトーシスが阻止されることもある。従って、本発明のTRAIL変異体は、この経路を介して封鎖されないことが好ましい。
【0018】
本発明の変異TRAIL分子は、細胞におけるアポトーシスの誘導において大変有用である。アポトーシスは、in vivoでも、ex vivoでもまたはin vitroでも誘導され得る。アポトーシスは癌性細胞で誘導されるが、健康な細胞では誘導されないことが好ましい。
【0019】
「変異体」TRAILタンパク質とは、TRAILタンパク質が、WT TRAILタンパク質(TNFSF10、TL2;APO2L;CD253;Apo−2Lとしても知られる)、Entrez GeneID:8743;受託番号NM_003810.2;UniProtKB/Swiss−Prot:P50591;UniProtKB/TrEMBL:Q6IBA9と、少なくとも1つのアミノ酸位置(2、3、4、5、6以上の一アミノ酸位置など)に関して異なっているということを意味する。
【0020】
「選択性」とは、本発明の変異体が、相対語であるDR5に対する親和性、好ましくは、さらに囮受容体であるDcR1(TRAIL−R3)およびDcR2(TRAIL−R4)に対する親和性よりも、DR4に対して実質的に高い親和性を有するということを意味する。「実質的により高い親和性」とは、DR4に対するTRAIL変異体の親和性が、DR5、DcR1、DcR2およびOPGに対する親和性と比べて、計れる程度により高いということである。好ましくは、TRAIL変異体の親和性は、DR5、DcR1、DcR2およびOPGの1以上に対してよりも、DR4に対して少なくとも1.5倍、2倍、5倍、10倍、100倍、あるいは1000倍以上である。より好ましくは、TRAIL変異体の親和性は、DR5、DcR1、DcR2およびOPGの全てに対してよりも、DR4に対して少なくとも1.5倍、2倍、5倍、10倍、100倍、あるいは1000倍以上である。結合相手に対するタンパク質の結合親和性の測定方法は、当技術分野で周知であり、例えば、競合アッセイ、表面プラズモン共鳴などが挙げられる。
【0021】
また、DR4に対する本発明のTRAIL変異体の結合親和性は、DR4に対するWT TRAIL分子の結合親和性よりも絶対的に高いことが好ましい。さらに、DR5に対する本発明のTRAIL変異体の結合親和性は、DR5に対するWT TRAIL分子の結合親和性よりも低くなければならない。DcR1、DcR2およびOPGに対して証明されている結合親和性にも同じことが当てはまることが好ましい。
【0022】
好ましくは、本発明によるTRAIL変異体は、DR4に対して、上記の表面プラズモン共鳴(Van der Sloot, et. al.16)により測定した(この場合、WT TRAILの親和性の測定値は7.2nMであった)、Kd=1000nM未満、好ましくはKd=100nM未満、より好ましくはKd=10nM未満、より好ましくはKd=5nM未満、より好ましくはKd=1nM未満の結合親和性を示す。
【0023】
好ましくは、本発明によるTRAIL変異体は、DR5に対して、上記の表面プラズモン共鳴(Van der Sloot, et. al.16)により測定した(この場合、WT TRAILの親和性の測定値は2.5nMであった)、Kd=1nMより高い、好ましくはKd=5nMより高い、好ましくはKd=10nMより高い、好ましくはKd=100nMより高い、より好ましくはKd=1000nMより高い結合親和性を示す。
【0024】
好ましくは、本発明によるTRAIL変異体は、DcR1に対して、上記の表面プラズモン共鳴(Van der Sloot, et. al.16)により測定した(この場合、WT TRAILの親和性の測定値は約25nMであった)、Kd=10nMより高い、好ましくはKd=25nMより高い、好ましくはKd=50nMより高い、好ましくはKd=100nMより高い、より好ましくはKd=1000nMより高いの結合親和性を示す。
【0025】
好ましくは、本発明によるTRAIL変異体は、DcR2に対して、上記の表面プラズモン共鳴(Van der Sloot, et. al.16)により測定した(この場合、WT TRAILの親和性の測定値は約8nMであった)、Kd=10nMより高い、好ましくはKd=25nMより高い、好ましくはKd=50nMより高い、好ましくはKd=100nMより高い、より好ましくはKd=1000nMより高い結合親和性を示す。
【0026】
突然変異に好適な残基の特定の例としては、限定されるものではないが、次の位置:131位、199位、201位、204位、215位および218位が挙げられる。好適な残基のさらなる例については表3に示す(すなわち、127位、129位、131位、133位、143位、144位、149位、155位、157位、159位、160位、161位、162位、179位、193位、194位、197位、198位、199位、201位、202位、203位、204位、205位、207位、212位、214位、215位、216位、218位、221位、224位、232位、239位、249位、251位、252位、261位、262位、263位、264位、265位、269位、270位、271位、272位のもの)。これらの突然変異のうち、149位、159位、193位、201位、212位および251位の残基が好ましい。
【0027】
本明細書において示すTRAILタンパク質配列におけるアミノ酸位置について、および特定のTRAIL突然変異体についての全ての言及は、配列番号1に示すアミノ酸配列を指すように意図されている。本発明の一態様は、これらの位置の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11以上において突然変異しているサイトカインに関する。これらの残基は、種々の受容体間で保存されない場所の、またはDR4に特有の場所の、本発明者らによって側鎖がDR4の結合界面に適合すると予測されているアミノ酸であるため、好ましい。
【0028】
本発明者らは複数の好ましい突然変異体を同定しており、これらを表3に示している。これらの突然変異体は全て、DR4受容体に対する親和性が増加しかつ/またはDR5受容体との結合が低減したことから選択された。安定していると見込めない突然変異体は表に含めなかった。これらの突然変異体の設計方法、それらの結合親和性の決定方法およびこれらの突然変異体の安定性の評価方法に関する説明については、実施例2を参照。149位、159位、193位、201位、204位、212位、215位および251位の突然変異が好ましい。次の突然変異R149I、R149M、R149N、R149K、S159R、Q193H、Q193K、N199R、K201R、K204D、K204E、K204L、K204Y、K212R、S215D、S215E、S215H、S215K、K251D、K251EおよびK251Qが特に好ましい。
【0029】
本発明の一実施形態において、表3の突然変異体の組合せを含んでなるTRAIL変異体を提供する。このような組合せは、表3の突然変異の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ以上を含み得る。本発明のさらなる実施形態において、前記TRAIL変異体は、表3の突然変異および本明細書に開示するさらなる突然変異を含んでなる突然変異の組合せを含み得る。
【0030】
当業者ならば分かるように、このようなアミノ酸の変化は、WT TRAILの結合特異性を変えるのに十分なものでなければならない。そのため、あるアミノ酸を、異なる生理化学的性質を有する別のアミノ酸の代わりに用いることが好ましい。このような置換としては、限定されるものではないが、塩基性アミノ酸の酸性アミノ酸への置換または酸性アミノ酸の塩基性アミノ酸への置換が挙げられる。このアミノ酸置換は非保存的であることがさらに好ましい。このような置換は、その突然変異周囲の領域の電荷および/または構造が変わる可能性があるため、そのタンパク質の結合特異性が変わる可能性が高い。しかしながら、FoldXのようなタンパク質設計アルゴリズムの使用により、アミノ酸を、同等の生理化学的性質を有するアミノ酸(例えばK201R)と置換する効果を評価することも可能になる。例えば、特定のアミノ酸を、類似の生理化学的性質を有しているがサイズが異なるアミノ酸と置換することで、1つの受容体との相互作用を最適化することができ、その一方でもう1つの受容体との相互作用が最適でなくなる。
【0031】
生理化学的性質に基づいたアミノ酸の分類を以下の表に示す。同等の生理化学的性質を有するアミノ酸を同じ行に示し、括弧内にそのアミノ酸の1文字略号を示している。同じ行内でのアミノ酸置換は保存的である:
【表1】
【0032】
特定のタイプの残基との上記位置における等価置換が好ましい。例えば、131位、199位および201位における好ましい突然変異は、塩基性アミノ酸へのものである。131位において特に好ましいのは、アルギニンまたはリジンへの突然変異である。突然変異体G131Rは、例えば、WT TRAILと比べて、DR4と、このリガンドの広範な生理的濃度にわたって優れた結合を示す。これに対し、DR5に対する親和性の増加ははっきりと分からない(図5)。
【0033】
本発明者らは、FoldX解析に基づいて、DR4−選択性を増加させる次のWT TRAIL内突然変異部位を予測している:
【表2】
【0034】
131位における好ましい突然変異は、塩基性残基であるアルギニンおよびリジンへのものである(図39)。149位における好ましい突然変異は、イソロイシンまたはメチオニンまたはアスパラギンまたはリジンへのものである。これらの突然変異は、DR5に対する親和性の低下をもたらすと予測されるが、DR4に対する親和性には影響を及ぼさない(図4)。159位においては、好ましい突然変異はアルギニンへのものである。予測によれば、この突然変異は、DR5に対する親和性の実質的な低下をもたらすはずである。ヒスチジンおよびリジンへの突然変異は、193位において好ましい突然変異であり、これらの突然変異はどちらもDR4に対して比較的わずかな親和性の増加をもたらすはずであり、この場合、ヒスチジンへの突然変異は、DR5についての親和性のさらなる低下を起こすと予測される(図4)。199位における好ましい突然変異は、アルギニンまたはヒスチジンへのものである。アルギニンへの突然変異は、例えば、DR4に対する親和性の増加をもたらすと予測されるが、一方、DR5に対する親和性は低下する(図4)。201位における好ましい突然変異は、ヒスチジンまたはアルギニンへのものである。K201のアルギニンへの突然変異は、例えば、DR4に対する親和性を増加させると予測されるが、一方、DR5に対する親和性は低下する(図1)。204位における好ましい突然変異は、酸性アミノ酸(特にアスパラギン酸もしくはグルタミン酸)、またはロイシンもしくはチロシンへのものである。これらの突然変異体は、DR5に対する親和性が低下していると予測されたが、酸性残基への突然変異の場合には、それに伴ってDR4に対する親和性がわずかに増加している(図4)。残基Lys212のアルギニンへの突然変異は、DR4に対する親和性のわずかな増加もたらすと予測される。
【0035】
215位においては、突然変異は酸性アミノ酸へのものでも塩基性アミノ酸へのものでもよく;グルタミン酸、ヒスチジン、リジンおよびアスパラギン酸が好ましい。S215のグルタミン酸およびリジンへの突然変異は、DR4受容体に対するTRAIL変異体の親和性を増加させると予測されたが、一方、DR5に対する親和性は低下する(図4)。前記残基のアスパラギン酸への突然変異は、TRAIL変異体のDR5結合親和性の劇的な低下をもたらすと予測されるが、一方、DR4受容体に対するその親和性はほんのわずかに低下すると予測される(図4)。
【0036】
218位においては、突然変異は塩基性アミノ酸へのものでも芳香族アミノ酸へのものでもよく;ヒスチジン、チロシン、グルタミン酸、リジンおよびフェニルアラニンが好ましい。これらの突然変異は全て、DR4受容体に対する親和性の増加とともに、DR5との結合能の低下を特徴としている。特に、D218Hは、DR4との結合の変化を示さないが、一方、DR5に対するその結合親和性は1.5〜3倍低下している(図2A)。また、これらの突然変異体は、WT TRAILと比べて、DR5と形成された複合体の解離速度がより速いのに対し、DR4複合体のものはほとんど影響を受けない(データは示していない)。さらに、突然変異体D218HおよびD218Yは、囮受容体であるDcR1およびDcR2ならびにOPGとの結合の低減も示す(図2B、2C)。
【0037】
251位における好ましい突然変異は、酸性アミノ酸(アスパラギン酸もしくはグルタミン酸)、またはグルタミンへのものである。これらの突然変異体は、DR5に対する親和性が低下していると予測された(図4)
これらの突然変異体は全て、コンピューターによる設計モデル(例えばFoldX)においてDR4(TRAIL−R1)受容体に対する親和性および/または選択性の増加を示すことから好ましい。これらの突然変異体のいくつかは、DR5(TRAIL−R2)との結合の低減をさらに示す。このような性質を有する好ましい突然変異としては、これまでに同定されているように、G131R、G131K、R149I、R149M、R149N、R149K、S159R、Q193H、Q193K、N199H、N199R、K201H、K201R、K204D、K204E、K204L、K204Y、K212R、S215E、S215D、S215H、S215K、D218Y、D218H、K251D、K251EおよびK251Qが挙げられる。最も好ましいのは、突然変異体G131R、G131K、R149I、S159R、N199H、N199R、K201H、K201R、K204E、K204D、S215E、S215H、S215K、S215D、D218YおよびD218Hである。
【0038】
これらの突然変異の多くは、DR4受容体との優れた結合を示し、突然変異Q192H、Q193K、N199R、K201R、K204D、K204E、K212R、S215E、S215HおよびS215Kの場合には、DR5受容体との結合の低減も示すと予測される。突然変異K201Rは、突然変異TRAILの、DR4およびDR5の両方との結合の増加をもたらした。しかしながら、DR4との結合の増加は、DR5との結合の増加よりもずっと高い。突然変異S215Dは、DR5との結合能が大幅に低下しているが、一方、DR4に対する結合親和性がほとんど変化していないというTRAILタンパク質をもたらす。
【0039】
また、突然変異の組合せも想定される。好ましい組合せは、131位、149位、159位、193位、199位、201位、204位、215位および218位における2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つまたは9つ全ての突然変異のものである。好ましい二重突然変異としては、199位と201位および131位と218位が挙げられる。特に好ましい組合せは、N199R/K201H、N199H/K201RおよびG131R/D218Hである。好ましい三重突然変異としては、131位、199位および201位が挙げられる。このような3つの組合せの好ましい例はG131R/N199R/K201Hである。この突然変異体は、WT TRAILや単一突然変異体G131Rと比べて、DR4受容体に対する親和性のかなりの増加を示すのに対し、DR5に対する親和性の増加は、WT TRAILと比べて、あまりはっきりと分からない(図5)。さらに好ましい組合せは、3つの組合せG131R/N199R/K201Hと、リスト:149位、159位、193位、204位、212位、215位、218位、および251位、のうちの1以上の位置における突然変異との組合せを含んでなる。より具体的には、前記3つの組合せは、次のリスト:R149I、S159R、S215Dのうちの1つ以上の突然変異と組み合わせることができる。
【0040】
さらに好ましい組合せは、S159Rと、リスト:149位、193位、204位、212位、215位、218位、および251位、のうちの1つ以上の突然変異との組合せを含んでなる。より具体的には、S159Rは、リスト:R149I、S215Dのうちの1つ以上の突然変異と組み合わせることができる。
【0041】
これらの組合せは、単一突然変異と比べて、DR4(TRAIL−R1)に対する親和性および/または選択性が優れていることから好ましい。類似の効果を示すその他の組合せも本発明の実施形態に含められる。
【0042】
上記突然変異は、全長TRAIL配列に導入することができる。しかしながら、好ましくは、上記突然変異はTRAIL配列の可溶性形態、例えばアミノ酸114〜281を含んでなるまたはアミノ酸95〜281を含んでなる形態に導入されるが;当業者ならば他の例も分かるであろう。よって、本発明による好ましいTRAIL変異体は、配列番号1に示す全長TRAIL配列の可溶性断片の変異体である。
【0043】
好ましい可溶性断片鋳型は、アミノ酸114〜281(本明細書ではrhTRAILと呼ぶ)を含んでなり、本明細書に記載する全ての突然変異体はこの長さのものである。メチオニンが前に付いたrhTRAILのWT TRAIL配列(114−281)は、配列番号3で示され、好ましいコード配列は配列番号4で示される;従って、本発明の変異体はこの配列から誘導することができる。
【0044】
しかしながら、当業者には理解されるように、これらの可溶性鋳型内の変異はこの可溶性形態の性質を保持する可能性が非常に高く、前記ポリペプチド配列内のこれらの境界のC末端および/またはN末端に追加の残基が含まれる場合には生物活性を示す。例えば、前記ポリペプチド断片が正確にフォールディングし生物活性を示す能力を損なうことなく、WT TRAIL配列から、または相同配列からの追加の1個、2個、3個、4個、5個、10個、20個あるいは30個以上のアミノ酸残基を、これらの境界のC末端および/またはN末端の一方または両方に含め得る。同様に、生物活性を損なうことなく、C末端またはN末端の一方または両方において1または数個のアミノ酸残基(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、10個以上)が欠失したこの鋳型の末端切断型変異体も可能である。
【0045】
本発明によるTRAIL変異体は、好ましくは、標的細胞においてアポトーシスを誘導する働きをする。「アポトーシスを誘導する」とは、本発明による化合物が標的細胞において細胞死を引き起こすように作用するということを意味する。本発明による化合物はin vivoおよび/またはin vitroにてアポトーシスを誘導し得る。
【0046】
当業者には明らかなように、アポトーシスは複数の異なるアッセイによって測定することができる。例としては、DNAラダーリングアッセイ(例えば、EP0835305;Immunex参照);Hoechst33342によるクロマチン断片化および凝縮の検出、アネキシンVおよびプロピジウムヨージドでの染色により測定される膜透過性と組み合わせたホスファチジルセリン露出の染色および検出が挙げられる。これらのアッセイに共通することは、活性を測定中のある濃度の化合物と持続的に接触させることにより死にかけている細胞で起こる生化学的または形態学的変化を測定するということである。細胞死は、前記化合物への暴露に応じた死にかけている細胞の割合の増加として表すことができる(すなわち未処理の対照細胞集団における死にかけている細胞の割合を、前記薬物に暴露した細胞集団におけるその割合から差し引く)。有効濃度は、一般に、IC50値(細胞の50%がアポトーシスを遂げる化合物の濃度である)として計算される。好ましくは、本発明による化合物は、1ng/ml〜1000ng/ml間、より好ましくは1ng/ml〜100ng/ml間、より好ましくは1ng/ml〜10ng/ml間の濃度において細胞の50%にアポトーシスを誘導する。
【0047】
好ましくは、本発明によれば、有用な化合物は、1ng/ml〜1000ng/ml間、より好ましくは1ng/ml〜100ng/ml間、より好ましくは1ng/ml〜10ng/ml間のIC50値を有する。
【0048】
また、アポトーシスは、カスパーゼの活性化や当業者に公知の他のアッセイによっても測定することができる。
【0049】
本発明によるTRAIL変異体は、様々な標的細胞においてアポトーシスを誘導する。標的細胞は癌性細胞であり、健康な細胞は含まない。本発明の変異体が標的とする癌性細胞はそれらの細胞表面においてDR4受容体を発現し、これにより癌性細胞には本発明の変異体の標的としてのしるしが付けられている。好ましい標的細胞としては、卵巣癌細胞、乳癌細胞、肺癌細胞、白血病(例えば急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)および慢性骨髄性白血病(CML)、リンパ腫(例えばマントル細胞リンパ腫)、バーキットリンパ腫(BJAB)などが挙げられる。当業者には他の例も公知であろう。標的細胞は、好ましくは、DR4およびDR5などの特定の細胞表面マーカーの相対的発現レベルによって特徴付けられ得る。
【0050】
本発明による化合物の標的細胞に対する特異的効果は、種々の種類の細胞を、そのIC50値の両側の範囲にある前記化合物濃度に暴露しもたらされた細胞死の程度を評価することにより判断することができる。実際には、細胞は特定の増殖状態にかなり正確な条件が必要であるため、大部分の化合物はある濃度でしかある程度のアポトーシスを引き起こさないということは事実である。よって、本発明による化合物が標的細胞において特異的にアポトーシスを引き起こすという場合には、これらの標的細胞でのみおよび他の種類の細胞に対して有害作用がないこの濃度領域でのみアポトーシスを引き起こすという濃度領域があるということである。
【0051】
以上に挙げた好適な突然変異は、以下に示す方法論を用いて同定されている。当然、この方法論は、本明細書においてこれまでに挙げ示したものと組み合わせるためのさらなる興味深い突然変異を選択するために繰り返し用いてよい。
【0052】
前記方法は、好ましくは、TRAILリガンド内の残基を、その標的受容体に対する結合親和性の増加をもたらすように、標的受容体との結合界面に適合すると予測されているアミノ酸側鎖コンホメーションを含む置換残基で置換することを必要とする。本発明者らは、コンピューター設計アルゴリズム FoldXを使用し、これにより逆フォールディングを実行した。簡潔には、このアルゴリズムは、固定主鎖構造に回転異性体ライブラリーのアミノ酸側鎖を施す。例えば、FoldXは、タンパク質リガンドとその受容体との予想される相互作用をモデリングすることを目的として、より良好な側鎖コンホメーションを探す回転異性体検索を行う。
【0053】
FoldXは、新規残基とその周囲のアミノ酸を適合させるアミノ酸突然変異を次のように行うことができる:まず選択した位置をアラニンへと突然変異させ、その周囲残基の側鎖エネルギーに注釈を付ける。次いで、このアラニンを選択したアミノ酸へと突然変異させ、その同じ周囲残基の側鎖エネルギーを再計算する。さらに、エネルギー差を示すものはそれら自体で変化させ、より有利である別の回転異性体があるかどうかを確認する。変性タンパク質をシミュレートするために、スコアリング関数の大部分の項を基準状態に対して釣り合わせる。側鎖配座異性体を全て基準状態と比較し、最後にモデリングした構造(PDB座標)を有する候補配列が得られる。モデリングした構造のエネルギー評価も、この方法論の一部として、同じプログラム(FoldX、h ttp://foldx.crg.esで入手可能なものなど)を使用して同時に行う。別のステップにおいて、受容体−リガンド複合体とリガンドおよび受容体単独のエネルギーを、FoldXを使用して計算し、これによりリガンドと受容体との相互作用の自由エネルギー(kcal mol−1)の計算が可能である。FoldXの力場モジュールは、前記タンパク質の水素結合ネットワークおよび静電ネットワークに加えて、その原子接触地図、その原子および残基の接近可能性、主鎖二面角のような構造特性を判断する。前記タンパク質と2以上の水素結合を起こす水分子の寄与も考慮する。FoldXは、続いて、全ての力場成分:極性および疎水性溶媒和エネルギー、ファンデルワールス相互作用、ファンデルワールス衝突、水素結合エネルギー、静電気、ならびに主鎖および側鎖エントロピーの計算を行う。
【0054】
次いで、このプログラムを使用して、考えられる全てのアミノ酸置換(好ましくは、グリシン、プロリン、およびシステインを除く)を、残りの構造に適合するコンホメーション(側鎖回転異性体)で前記タンパク質リガンド内の選択残基位置に導入する。グリシン、プロリン、およびシステインは、GlyおよびProが他のアミノ酸よりも主鎖コンホメーションに及ぼす影響が比較的大きいことから、好ましくは除外する(Glyはより柔軟であり、Proはそれほどでもない)。また、これらの残基は、変性状態において比較的大きな影響を及ぼす(Glyは高エントロピー、Proはより低い)。CysのSH基も望ましくない凝集などをもたらす場合がある。次いで、有利な突然変異を自由エネルギー(kcal mol−1)に関して評価し、不利な突然変異(例えば高度ファンデルワールス衝突)を排除する。続いて、配列および座標の出力を得て、例えば、Fold−Xプログラムを使用して、自由エネルギーの変化に関してランク付けする。このようにして、本発明のこの態様の方法は、置換するリガンドタンパク質内の1個以上の残基を、その標的受容体に対する結合親和性の増加をもたらすように、標的受容体との結合界面に適合すると予測されているアミノ酸側鎖コンホメーションを含む置換残基で置換する。
【0055】
有利な突然変異を組み合わせ、自由エネルギー(kcal mol−1)の変化に関して評価することができる。不利な組合せ(例えば高度ファンデルワールス衝突)は排除することができる。必要に応じて、設計プロセス後に、さらなる設計ラウンドのために配列および座標の出力を設計アルゴリズムに再導入する。第2、第3、第4、第5またはそれ以降の設計ラウンドを用いることがある。
【0056】
一度アミノ酸置換を同定したら、突然変異タンパク質を、部位特異的突然変異誘発を用いて実験的に作り出し、これらを発現させ、精製した後、安定性または選択性/特異性についてさらに生物活性の保持について試験する。より特異的な治療用リード分子を開発するために、同定された分子を、通常の分子進化技術を用いてさらに突然変異させることができる。分子進化の場合、1つの特に有用な技術はファージディスプレイである。
【0057】
本発明の第1の態様のTRAIL変異体は、融合タンパク質の一部を構成し得る。例えば、分泌すなわちリーダー配列、プロ配列、精製に役立つ配列、または例えば組換え生産中に、より高いタンパク質安定性を与える配列を含み得る1以上の追加アミノ酸配列を含むことが有利である場合が多い。あるいはまたは加えて、成熟TRAIL変異体は、別の化合物(TRAIL変異体の半減期を増加させる化合物(例えば、ポリエチレングリコール)など)と融合させてもよい。
【0058】
これらの融合タンパク質は、TRAIL変異体をコードするポリヌクレオチドを異種タンパク質配列のコード配列にインフレームでクローニングすることにより得ることができる。
【0059】
本明細書において用いる際の「異種」という用語は、本発明によるTRAIL変異体以外の任意のポリペプチドを示すように意図されている。N末端またはC末端のいずれかに連結される融合タンパク質に含めることができる異種配列の例としては、膜結合タンパク質の細胞外ドメイン、免疫グロブリン定常領域(Fc領域)、マルチマー化ドメイン、細胞外タンパク質のドメイン、シグナル配列、輸送配列、腫瘍標的ペプチドおよびアフィニティークロマトグラフィーにより精製可能な配列:が挙げられる。
【0060】
これらの異種配列の多くは、それらと融合するタンパク質の特異的生物活性を損なうことなく追加の性質を与えるために融合タンパク質中に一般に含められることから、発現プラスミドとして市販されている17。このような追加の性質の例は、体液中でのより長く続く半減期、細胞外局在性、またはいわゆる「ヒスチジンタグ」を形成するヒスチジンのストレッチ18によりまたはインフルエンザ血球凝集素タンパク質由来のエピトープである「HA」タグ18により可能になる、より簡単な精製手順である。必要に応じて、異種配列は、タンパク質分解切断により、例えばタンパク質と異種配列との間にタンパク質分解切断部位を挿入し、精製した融合タンパク質を適当なプロテアーゼに暴露することにより、除去することができる。これらの特徴は、医薬組成物の調製における融合タンパク質の生産および使用を容易にすることから、融合タンパク質には特に重要である。例えば、TRAIL変異体は、C末端に融合されたヘキサヒスチジンペプチドによって精製し得る。融合タンパク質が免疫グロブリン領域を含んでなる場合、この融合は、直接であってもよく、1〜3個のアミノ酸残基長以上(例えば、13個のアミノ酸残基長)であり得る短いリンカーペプチドを介してもよい。前記リンカーは、例えば、配列E−F−M(Glu−Phe−Met)のトリペプチドであってよく、または本発明の物質の配列と免疫グロブリン配列との間に導入されるGlu−Phe−Gly−Ala−Gly−Leu−Val−Leu−Gly−Gly−Gln−Phe−Metを含んでなる13−アミノ酸リンカー配列であってよい。得られた融合タンパク質は、体液内での滞留時間の延長(すなわち半減期の増加)、特異的活性の増加、発現レベルの増加、または融合タンパク質の精製の簡便化など性質が改善されている。
【0061】
一実施形態において、前記タンパク質はIg分子の定常領域に融合される。Ig分子の例としては、ヒトIgG1のCH2およびCH3ドメインのような重鎖領域が挙げられる。Ig分子の他のイソ型も本発明による融合タンパク質の作製に好適である(イソ型IgG2もしくはIgG4、または例えばIgMもしくはIgAのような他のIgクラスなど)。融合タンパク質は、モノマーまたはマルチマー、ヘテロ−もしくはホモマルチマーであってよい。
【0062】
さらに好ましい実施形態において、TRAIL変異体は、アミノ酸残基上で1以上の側鎖として存在する1個以上の官能基と結合する少なくとも1つの部分を含んでなり得る。好ましくは、前記部分はポリエチレン(PEG)部分である。ペグ化は、公知の方法、例えば、WO99/55377に記載されているものなどにより行ってよい。
【0063】
TRAIL変異体の生物学的合成を容易にするために、本発明の一態様は、以上に挙げたTRAIL変異体をコードする核酸分子を提供する。WT TRAILのコード配列は、登録番号NM_003810で与えられている。本発明によるTRAIL変異体をコードする核酸分子は、突然変異点に適当なコード配列を補うことによってこの配列から誘導し得る。本発明による好ましい核酸分子の例は、配列番号2で示される配列の変異体(全長遺伝子);またはコード配列である配列番号2のヌクレオチド88〜933(846ヌクレオチド長)である。WT rhTRAILの好ましいコード配列(アミノ酸114〜281)は、配列番号4で示され(メチオニンが前に付いたrhTRAIL114〜281)、それゆえ、本発明の変異体は、この配列の変異体により好ましくはコードされる。
【0064】
突然変異を全長またはrhTRAILコード配列に導入するために、当業者ならば、完璧に、前記配列内の関連位置において必要なコドンを置換することができるであろう。本明細書において記述する全てのアミノ酸数は全長TRAILタンパク質配列に関する。異なる宿主生物間のコドンバイアスを明らかにするために、当業者ならばこの件に関して公開されているテキストまたは周知の一般知識を参照し得る。
【0065】
例えば、様々な異なる種におけるコドン使用頻度は、h ttp://www.kazusa.or.jp/codon/:において見つけることができ;特に大腸菌(Escherichia coli)のコドン使用頻度情報については、h ttp://www.kazusa.or.jp/codon/cgi-bin/showcodon.cgi?species=155864:において見つけることができる。
【0066】
加えて、本明細書に記載の様々な突然変異体を作製するのに用いるプライマーを以下の表に例示する。当業者ならば、これから、完璧に、本発明による全長および可溶性断片突然変異体のコード配列を誘導することができるであろう。
【表3】
【0067】
【0068】
核酸は、DNAまたはRNA(またはそれらのハイブリッド)、あるいはそれらの類似体(修飾主鎖を含有するもの(例えばホスホロチオエート)またはペプチド核酸(PNA)など)であってよい。核酸は、一本鎖(例えばmRNA)でも二本鎖でもよく、本発明は、(例えばアンチセンス、プライミングまたはプロービングを目的とする)二本鎖核酸の個々の鎖の両方を含む。核酸は線状でも環状でもよい。核酸は標識してもよい。核酸は固相支持体に結合してもよい。
【0069】
本発明による核酸は、当然、多くの方法によって(例えば全体または一部の化学合成(例えばDNAのホスホルアミダイト合成)により、長い分子のヌクレアーゼ消化により、短い分子の連結により、ゲノムまたはcDNAライブラリーから、核酸ポリメラーゼの使用によるなど)調製することができる。
【0070】
よって、本発明はまた、本発明の核酸を含んでなるベクター(例えばプラスミド)(例えば発現ベクターおよびクローニングベクター)ならびにこのようなベクターで形質転換した(原核生物または真核生物の)宿主細胞も提供する。
【0071】
本発明はまた、本発明のTRAIL変異体を生産する方法であって、本発明の核酸で形質転換した宿主細胞を、前記変異体の発現を誘導する条件下で培養するステップを含む方法も提供する。
【0072】
本発明における使用に好適な発現系は、当業者に周知であり、多くはSambrook (1989)20およびFernandez et al. (1998)21に詳細に記載されている。一般的には、必要な宿主においてポリペプチドを生産するために核酸分子を維持、増殖または発現させるのに好適ないかなる系またはベクターも使用し得る。適当なヌクレオチド配列は、様々な周知の通常の技術(例えば、Sambrook20に記載されているものなど)のいずれかによって発現系に挿入し得る。一般的には、コード遺伝子は、プロモーター、リボソーム結合部位(細菌発現の場合)、場合によってはオペレーターなどの制御エレメントの制御下におくことができ、その結果所望のペプチドをコードするDNA配列は、形質転換を受けた宿主細胞のRNAに転写される。
【0073】
好適な発現系の例としては、例えば、染色体系、エピソーム系およびウイルス由来の系が挙げられ、それらには、例えば、細菌プラスミド、バクテリオファージ、トランスポゾン、酵母エピソーム、挿入エレメント、酵母染色体エレメント、ウイルス(バキュロウイルス、パポーベウイルス(SV40など)、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、偽狂犬病ウイルスおよびレトロウイルスなど)、またはそれらの組合せ:由来のベクター、例えばコスミドおよびファージミドを含む、プラスミドおよびバクテリオファージ遺伝子エレメント由来のものが含まれる。プラスミド内に含め発現させることができないよりも大きなDNA断片を送達するために、ヒト人工染色体(HAC)も使用し得る。
【0074】
特に好適な発現系としては、組換えバクテリオファージ、プラスミドまたはコスミドDNA発現ベクターで形質転換した微生物(細菌など);酵母発現ベクターで形質転換した酵母;ウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染させた昆虫細胞系;ウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)でまたは細菌発現ベクター(例えば、TiまたはpBR322プラスミド)で形質転換した植物細胞系;または動物細胞系が挙げられる。本発明のペプチドを生産するために無細胞翻訳系も使用することができる。
【0075】
組換えポリペプチドを長期にわたり高収量で生産するためには、安定した発現が好ましい。例えば、対象となるペプチドを安定に発現する細胞系統を、同じベクターまたは別のベクター上にウイルス複製起点および/または内因性発現エレメントおよび選択マーカー遺伝子を含み得る発現ベクターを用いて形質転換させてよい。ベクターの導入後、選択培地に変更する前に、細胞を富栄養培地で1〜2日間増殖させてよい。選択マーカーの目的は選択に対する耐性を与えることであり、選択マーカーの存在によって導入した配列の発現に成功した細胞の増殖および回主が可能になる。安定形質転換細胞の耐性クローンは、その細胞種に適当な組織培養技術を用いて増殖させ得る。
【0076】
発現用の宿主として利用可能な哺乳類細胞系統は当技術分野で公知であり、それらには、the American Type Culture Collection(ATCC)から入手可能な多くの不死化細胞系統が含まれる。そのような細胞系統としては、限定されるものではないが、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓(COS)細胞、C127細胞、3T3細胞、BHK細胞、HEK 293細胞、Bowes黒色腫細胞およびヒト肝細胞癌(例えばHep G2)細胞および複数の他の細胞系統が挙げられる。
【0077】
バキュロウイルス系では、バキュロウイルス/昆虫細胞発現系のための材料は、とりわけ、Invitrogen, San Diego CAからキットとして市販されている(「MaxBac」キット)。これらの技術は当業者に一般的に公知であり、Summers et al. 22に十分に記載されている。この系での使用に特に好適な宿主細胞としては、昆虫細胞例えばショウジョウバエ(Drosophila)S2細胞およびスポドプテラ(Spodoptera)Sf9細胞が挙げられる。
【0078】
当技術分野で公知の多くの植物細胞培養物および全植物遺伝子発現系が存在する。好適な植物細胞遺伝子発現系の例としては、米国特許第5,693,506号;米国特許第5,659,122号;米国特許第5,608,143号およびZenk (1991)23に記載されているものが挙げられる。特に、プロトプラストを単離し培養して完全な再生植物を得ることが可能な植物は全て利用することができ、それによって移入された遺伝子を含む完全な植物を回収することができる。限定されるものではないが、サトウキビ、サトウダイコン、綿、果実および他の樹木、マメ類および野菜の全ての主要な種を含む、ほとんど全ての植物は、培養細胞または組織から再生させることができる。
【0079】
特に好ましい原核生物発現系の例としては、連鎖球菌、ブドウ球菌、大腸菌、ストレプトミセス属の放線菌(Streptomyces)および枯草菌(Bacillus subtilis)を宿主細胞として使用するものが挙げられる。
【0080】
特に好適な真菌発現系の例としては、酵母(例えば、S.セレビシエ(S. cerevisiae))およびアスペルギウス属の菌(Aspergillus)を宿主細胞として使用するものが挙げられる。
【0081】
本発明のさらなる態様は、上記の突然変異体サイトカイン、核酸またはベクターを、製薬上許容される担体とともに含んでなる医薬組成物を含んでなり得る。本発明は、(a)上記のTRAIL変異体、核酸またはベクターと、(b)医薬担体とを含んでなる医薬組成物を提供する。
【0082】
成分(a)は前記組成物中の有効成分であり、これは治療上有効な量、例えばアポトーシスを誘導するのに十分な量で存在する。特定の患者に対する正確な有効量は、それらの患者のサイズおよび健康状態、疾患の性質および程度、ならびに投与のために選択された組成物または組成物の組合せによって決まるであろう。有効量は、通常の実験によって決めることができ、臨床医の判断の範囲内である。本発明の目的では、有効用量は、一般的には、約0.01mg/kg〜約5mg/kg、または約0.01mg/kg〜約50mg/kgまたは約0.05mg/kg〜約10mg/kg、好ましくは約10mg/kgであろう。好適な用量は、患者における濃度が血液中0.01ng/ml〜100μg/ml間、好ましくは1ng/ml〜およそ1μg/ml間、より好ましくはヒト血液中およそ10〜100ng/mlに達するように用いるべきである。TRAIL変異体は、前記組成物中に塩および/またはエステル形態で含めてよい。
【0083】
担体(b)は、それ自体は前記組成物を受ける患者に有害な抗体の産生を誘導せず、かつ過度に毒性をもたらすことなく投与することができる任意の物質であり得る。好適な担体は、大型でゆっくりと代謝される高分子、例えばタンパク質、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、重合アミノ酸、アミノ酸コポリマー、および不活性ウイルス粒子であり得る。このような担体は当業者に周知である。製薬上許容される担体には、水、生理食塩水、グリセロールおよびエタノールなどの液体が含まれ得る。このようなビヒクル中には、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝物質などのような補助剤も存在し得る。リポソームは好適な担体である。医薬担体の詳細な考察はGennaro24にある。
【0084】
本発明の医薬組成物は様々な形態に調製し得る。例えば、前記組成物は、注射可能物質として(溶液または懸濁液のいずれかとして)調製し得る。注射の前に液体ビヒクルで溶液または懸濁液とするのに好適な固体も調製することができる。前記組成物は、凍結乾燥してもよい。
【0085】
前記医薬組成物は、好ましくは無菌である。前記医薬組成物は、好ましくはパイロジェンフリーである。前記医薬組成物は、好ましくは、例えばpH6〜pH8間、一般的にはおよそpH7に緩衝化されている。
【0086】
本発明はまた、本発明の医薬組成物を含有する送達装置も提供する。前記装置は、例えば、シリンジであってよい。
【0087】
本発明のTRAIL変異体は、1種以上の他の化合物、好ましくは抗腫瘍化合物、より好ましくは本発明の変異体が標的とする癌性細胞に対して活性を有するものおよび/またはTRAIL変異体に対する腫瘍の反応性を高めるものと同時投与してよい。よって、本発明の組成物は1種以上の抗腫瘍薬を含んでよく、それらの例は当業者には公知であり、γ線照射ならびに化学療法薬、例えばアルキル化剤、代謝拮抗物質、植物アルカロイドおよびテルペノイド、ビンカアルカロイド、ポドフィロトキシン誘導体、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤、抗腫瘍性抗生物質、モノクローナル抗体、DNA損傷薬、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、プロテアソーム阻害剤、ホルモンなどが含まれる。好ましくは、使用する化学療法薬は、DR4(TRAIL−R1)受容体の表面発現を増加させかつ/またはDR4によるアポトーシス誘導を強化するように作用する。
【0088】
「アポトーシス誘導の強化」とは、化学療法薬が、その化学療法薬を受けていないサンプルと比べて、その化学療法薬の存在下でアポトーシスを遂げる細胞の数を増加させるということを意味する。好ましくは、この増加は1.5倍(より好ましくは2倍、4倍、8倍、10倍、20倍、100倍あるいは1000倍)である。
【0089】
本発明は、医薬として用いる本発明のTRAIL変異体を提供する。本発明はまた、疾患に罹患しているまたは罹患の危険性がある対象を治療するための方法であって、前記対象に本発明の医薬組成物を投与することを含む方法も提供する。本発明はまた、対象を治療するための医薬の製造における本発明の医薬組成物の使用も提供する。特に好適な疾患には、自己免疫障害および癌が含まれる。本発明者らが受容体選択的TRAIL変異体の医学的使用の可能性を考えている自己免疫障害の例は、様々な自己免疫性関節炎および多発性硬化症である。好適な癌としては、白血病、リンパ腫、黒色腫、前立腺癌、膀胱癌、腎臓癌、頭頸部癌、肝臓癌および乳癌、肺、卵巣および結腸の癌が挙げられる。好ましい実施形態において、前記癌は、卵巣癌、結腸癌、リンパ腫(例えばマントル細胞リンパ腫)または白血病(例えば急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)および慢性骨髄性白血病(CML))である。
【0090】
好ましくは、好適な癌は、細胞表面でDR4受容体を発現する細胞を含む。このような癌細胞は、当業者に公知の様々な手段により容易に同定することができ、それらの手段としては、限定されるものではないが、受容体特異的抗体を用いた免疫細胞化学、受容体特異的抗体を用いた蛍光活性化細胞選別(FACS)、受容体特異的抗体を用いたウエスタンブロット解析などが挙げられる。DR4特異的抗体は、例えば、Abcam (ab8414)から得ることができる。DR5抗体も同様に入手可能である(Sigma-Aldrich, D3938)。
【0091】
本発明のある特定の実施形態において、上記のように、本発明による化合物は、別の薬剤、例えば抗腫瘍薬とともに投与されることが好ましい。本発明の医薬組成物と組み合わせて使用するこのような薬剤の好適な例は、当技術分野で公知であり、例は以上に挙げている。
【0092】
また、本発明の変異TRAILを含んでなる医薬組成物は、場合によって、1以上のDR5、DcR1またはDcR2に対する抗体とともに投与され得ることも想定される。このようにして、DR5特異的経路またはTRAIL変異体の囮受容体との結合を介してシグナル伝達を遮断することがさらに可能である。DR4以外の受容体との残存結合活性が阻害され、本発明の突然変異サイトカインの特異性がさらにもっと高まることから、これは有利である。
【0093】
前記対象は、好ましくは哺乳類、より好ましくはヒトである。ヒトは成人であっても小児であってもよい。小児を対象とする組成物は、例えば安全性、投薬量、免疫原性などを評価するために、成人に対しても投与してよい。
【0094】
本発明の組成物は、一般的には、対象に直接投与されるであろう。直接送達は、注射剤により(例えば皮下、腹膜内、静脈内、筋肉内、または組織の間質腔へ;さらに腫瘍内への直接注射によっても)達成され得る。
【0095】
投薬治療は、単回投与スケジュールでも複数回投与スケジュールでもよい。
【0096】
本発明の使用および方法は、治療的に(例えば既存の疾患を治療するために)または予防的に(例えば遺伝子検査または家族歴などによって疾患の罹患率が予想される状況において)使用することができる。治療的使用が好ましく、治療の有効性は、本発明の医薬組成物の投与後に細胞力価をモニタリングすることにより、または症状をモニタリングすることにより検証することができる。
【0097】
よって、さらなる態様において、本発明は、サイトカインが関係している疾患の療法または診断において使用する、TRAIL変異体、またはこのような分子をコードする核酸分子、または記載した核酸分子を含有するベクターを提供する。本発明のこの態様は、このような疾患の治療のための方法であって、患者に、上記のサイトカイン、核酸またはベクターを、治療上許容される量で投与することを含む方法を含む。好ましい患者には哺乳類が含まれ、好ましくはヒトである。
【0098】
また、本発明によるTRAIL変異体は、例えば、前記患者の組織における遺伝子またはタンパク質(過剰発現した受容体など)の発現または活性レベルを評価すること、および前記発現または活性レベルを対照レベルと比較すること(ここで、レベルが前記対照レベルと異なっていることが疾患を示す)により、診断において使用し得る。
【0099】
TRAIL変異体は、さらに、例えば、候補化合物の潜在的抗癌活性について試験するための細胞系統において、アッセイにも使用し得る。特に興味深いのは、哺乳類、例えばヒトの癌性組織に由来する細胞系統である。このような細胞系統は疾患の研究に有用なモデルを提供し、疾患の治療または診断において有効な化合物の同定のためのスクリーニング法にも使用し得る。
【0100】
本発明はまた、主としてDR4特異的経路を介してシグナルを伝達する細胞系統においてアポトーシスを誘導するための方法も提供する。このような細胞系統は、様々な手段により容易に同定することができる。例えば、受容体特異的中和抗体は、1つの特定の受容体を介してシグナル伝達を阻害するために使用することができる。例えば、DR4およびDR5に対する抗体はそれぞれ、DR4またはDR5を介してシグナル伝達を阻害するために使用することができる。このような細胞系統の良好な候補は、DR5特異的抗体ではTRAIL誘導性アポトーシスを低減することができないが、DR4特異的抗体ではTRAIL誘導性アポトーシスを低減することができる細胞系統である。それに関する能力低下とは、アポトーシスを遂げる細胞の数が、DR4抗体が存在しないサンプルと比べて20%(より好ましくは30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%)減少することを意味する。このような細胞のさらなる同定方法は、当業者ならば容易に入手できる。このような細胞系統の例としては、限定されるものではないが、ML−1、EM−2、HL−60およびMOLM−13が挙げられる。
【0101】
本発明のさらなる態様は、上記の突然変異サイトカインを発現するように形質転換させたトランスジェニックまたはヒト化非ヒト動物を含んでなり得る。このようなトランスジェニック動物は疾患の研究に有用なモデルを提供し、疾患の治療または診断において有効な化合物の同定のためのスクリーニング法にも使用し得る。好ましいこのような動物は齧歯類、特にマウスである。
【0102】
次に、本発明の様々な態様および実施形態を、例としてさらに詳細に記載する。本発明の範囲を逸脱することなく、細部にわたる修飾を行い得ることは理解されよう。
【実施例】
【0103】
実施例1
WT rh TRAILおよび突然変異体の発現および精製
WT rhTRAILおよびTRAIL突然変異体構築物を大腸菌BL21(DE3)(Invitrogen)に形質転換した。WT rhTRAILおよび突然変異体を、2xLB培地、1%(w/v)グルコース、100μg/mlアンピシリンおよび追加の微量元素を用いて7.5l発酵槽(Applicon)において5lバッチ規模で増殖させた。この培養物を37℃、30%酸素飽和で対数増殖中期に増殖させ、続いて0.1〜1mM IPTGで誘導した。トリマー形成を促進するために、ZnSO4を100μMの濃度で加えた。温度を17〜28℃に下げ、培養物を静止期まで増殖させた。あるいは、同様のプロトコールを用いて、タンパク質を振盪フラスコにおいて1l規模で250rpmにて増殖させた。培養物がOD600 0.5に達したときにタンパク質発現を誘導し、誘導を5〜16時間続けた。この場合、使用した培地は追加の微量元素を含まない2xLBであった。
【0104】
単離したペレットを3容量の抽出バッファー(PBS pH8、10%(v/v)グリセロール、7mM β−メルカプト−エタノール)中に再懸濁した。音波処理を利用して細胞を破壊し、抽出物を40,000gでの遠心分離により清澄化した。続いて、この上清を、ニッケルをチャージしたIMAC Sepharose fast−flowカラムに流し、WT rhTRAILおよびTRAIL突然変異体を、Hymowitz25に記載されているとおり、次の修飾を加えて精製した:10%(v/v)グリセロールおよび最小濃度の100mM NaClを全バッファーに用いた。これにより精製中の凝集を防いだ。IMAC分画ステップ後、全バッファーに20μM ZnSO4および5mMのDTT(β−メルカプト−エタノールの代わりに)を加えた。最後に、Hiload Superdex 75カラムを使用するゲル濾過ステップを含めた。コロイド状Coomassieブリリアントブルーにより染色したSDS−PAGEゲルを用いて決定した精製されたタンパク質の純度は98%を超えていた。精製タンパク質溶液を液体窒素で急速冷凍し、−80℃で保存した。
【0105】
実施例2
選択性設計
WT TRAILの受容体結合界面を、DR4受容体に対する親和性を増加させる(=相互作用エネルギー(ΔΔGi)を減少させる)またはDR5に対する親和性を低下させる単一アミノ酸置換についてスクリーニングした。TRAIL−DR5受容体複合体では、結晶構造を使用し、TRAIL−DR4受容体複合体では、TRAIL−DR5受容体複合体に基づいて、DR4のシステインリッチドメイン(CRD)2および3と複合体化したTRAILからなる相同性モデルを構築した。DR4のCRD2および3は、DR5と非常に高い配列同一性(約50%)を示し、そのアラインメントには挿入も欠失も含まれない(示していない)ことから、TRAIL−DR5構造と同一のアミノ酸主鎖コンホメーションを有するTRAIL−DR4モデルを生み出すというモデリングアプローチを選択した。2つの異なる方法を用いてTRAIL−DR4モデルを構築した:1)WhatIfウェブインターフェース(h ttp://swift.cmbi.ru.nl/servers/html/index.html)を使用してTRAIL−DR4受容体複合体の初期モデルを作製し、続いてこのモデルをFoldXにより最適化し、または2)FoldXのタンパク質設計機能を使用してDR5配列をDR4配列に突然変異させ、その周囲のTRAILおよび受容体残基を同時に最適化して突然変異残基を適合させた。後者のアプローチ(アプローチ2)が好ましいものであることが分かった。
【0106】
TRAIL、DR5およびDR4モデルの溶媒接触可能表面上の帯電は、TRAILおよびDR5の表面静電学がTRAILおよびDR4の表面静電学より相互補完的であることを示す。複合体形成におけるエネルギー変化の予測は、測定した解離定数の変化と相関する。これは、複合体形成に最も大きな影響を及ぼすであろう受容体結合界面にある残基位置における突然変異を、我々の方法により確実に予測することができることを示している。
【0107】
FoldX設計プロセスは、DR4選択性を得るのに重要ないくつかのTRAIL受容体界面位置および(単一)アミノ酸置換を提示した(図1および図4)。
【0108】
さらに、DR4特異的TRAIL突然変異体を選択するために、次の方法論を使用した。可能な限り正確な設計プロセスを可能にするために、新バージョンのFoldXタンパク質設計アルゴリズムを、DR5に関するTRAILの入手可能な実験的受容体結合データに対して十分に確認した。このようにして確認したFoldX設計アルゴリズムを用いて、TRAIL−DR4受容体複合体の新規モデルを、X線結晶学により得られる入手可能なTRAIL−DR5構造(1D4V.pdb)に基づいて、(コンピューター内で)DR5アミノ酸を対応するDR4アミノ酸に突然変異させ、続いてFoldX設計アルゴリズムを用いて変化したアミノ酸残基と周囲の受容体およびTRAIL残基との相互作用を最適化することにより構築した。モデリングの鋳型として、DR5と複合体化したTRAILの別の入手可能な結晶構造(1D0G.pdb)を用いてこのプロセスを繰り返し、両方の鋳型の目視検査により、受容体結合界面のいくつかの領域における構造的偏向を明らかにした。後者の構造の分解能はより低く、その構造の一部は1D0Gに基づいて十分に解明されたモデルではないため、それ以上使用しなかった。続いて、TRAIL−DR4モデルを、入手可能な実験的受容体結合データに対して確認した。TRAIL−DR4複合体のモデルでは、予測および実験的アラニンスキャンデータと比較したときに相関係数R約0.7を得ることができた。
【0109】
次に、前記設計アルゴリズムを使用して、コンピューター内で、受容体結合界面に存在する各TRAILアミノ酸残基を全20種の異なる天然アミノ酸に突然変異させることにより、飽和スキャン(「マトリックススキャン」としても知られる)を実行した。より有利な静電学によりまたは間接的効果により受容体選択的効果を発揮する突然変異体を検出するために、一連の「界面」残基には受容体結合界面の周囲(最大約15Å)にも残基を含めた。各突然変異体については、DR4およびDR5受容体の両方に対して、相互作用エネルギーと複合体安定性エネルギーの両方を計算した。DR4受容体に対して有利な相互作用エネルギーおよび複合体安定性エネルギーを有し、DR5受容体に対して不利な相互作用エネルギーおよび/または複合体安定性エネルギーを有する突然変異体を選択した。DR4選択的変異体は次のように同定した:DR4受容体に対するΔΔG相互作用エネルギー計算値は、DR5受容体に対するΔΔG相互作用エネルギーよりも低いはずであり、DR4に対して計算したΔΔG相互作用エネルギーは0.5kcal/mol未満であるはずである。加えて、TRAIL−DR4複合体について、ΔΔG複合体安定性エネルギーは0.5kcal/mol未満であるはずであり、また、TRAIL−DR4複合体について、鎖内衝突は0.5kcal/mol未満であるはずである。鎖内衝突は、残基が隣接鎖と非常に良好な相互作用を有し得るため、タンパク質複合体の界面を再設計する際に重要であるが、それ自体の鎖に関しては非常に歪んだコンホメーションをとる。そのため、そのようなコンホメーション(0.5kcal/molより高い鎖内衝突エネルギーを有する)は現実的ではない。突然変異の一部については、別の基準を用いた:突然変異体がDR4およびDR5に対するΔΔG相互作用エネルギー計算値において差を示さないが、TRAIL−DR4複合体についてのΔΔG複合体安定性エネルギー計算値がTRAIL−DR5複合体についての値よりも低く、かつΔΔG複合体安定性エネルギーにおけるこの差が0.7kcal/molよりも大きく、加えてTRAIL−DR4複合体についてのΔΔG複合体安定性エネルギーおよび鎖内衝突が両方0.5kcal/mol未満である場合に、DR4選択的突然変異と見なした。作製された突然変異体構造の目視検査と相互作用、安定性および衝突についての上記数値の両方による突然変異の選択により、DR4受容体に対するTRAILの選択性に有利な効果を及ぼす表3記載の位置および突然変異がもたらされた。図4および図39は、最も興味深い突然変異をFoldXバージョン2.7および2.8によるddG計算値とともに表している。これらの値は、図1に用いた値を計算するのに使用したFoldXの以前のバージョン1.0と比べて、精度のわずかな向上を示す。
【0110】
実施例3
突然変異体D218YおよびD218Hの優れたDR4親和性および選択性
精製リガンドと、固定化したDR4およびDR5 Ig受容体キメラとの結合を、表面プラズモン共鳴(SPR)を用いてリアルタイムで評価した。37℃で0.5nm〜250nmに及ぶ受容体結合曲線を記録した。固定化したDR5−Igに対するD218YおよびD218Hの結合は、WT rhTRAILと比べて1.5倍低減した。これに対し、固定化したDR4−Igとの結合はほとんど変わらなかった(図2A)。これらの結果は、D218YおよびD218H変異体がWT rhTRAILと比べてDR4選択的になったことを示している。興味深いことに、WT rhTRAILと、とりわけDR4との親和性が温度に強く依存することが報告されている。しかしながら、25℃の温度でアッセイを繰り返した場合には、WT rhTRAIL、D218HおよびD218Yでは、DR4またはDR5との結合において有意な変化は観察されなかった(示していない)。両方の変異体は、DcR2との結合において約3倍の低減を示し、一方、DcR1との結合はほとんど変わらなかった(250nmにおいて重量レベルの約80%)(図2B)。DR4およびDR5について37℃で記録したセンサーグラムの目視検査により、WT rhTRAILは両方の受容体で解離速度は事実上なく、一方、D218HおよびD218Yは両方、両方の受容体で初期の解離速度の増大を示すことが明らかになった。しかしながら、DR4でのD218HおよびD218Yの解離速度はDR5受容体での解離速度よりもずっと低い。全体として、より高い親和性に加えて、DR4複合体形成の動態も、これらの変異体に有利である。さらに、これらの突然変異体はOPG受容体との結合の低減も示す(図2C)。
【0111】
DR5受容体の存在下でのDR4受容体に対するD218HおよびD218Yの選択性を評価するために、競合ELISA試験を実施した。可溶性DR5−Igは、固定化したDR4に対する結合の50%低減達成において、D218変異体の場合に、rhTRAIL WTの場合よりも9倍より大きく効果が低く(図2D,E)、一方、可溶性DR4−Igは、固定化したDR4−Igに対するrhTRAIL WTおよびD218変異体の結合の低減において同程度に効果的であった。これらの結果は、DR4およびDR5受容体の両方が存在する場合に、D218HおよびD218YがDR4受容体と優先的に結合することを示している。
【0112】
結論として、これは、DR4特異的突然変異体D218YおよびD218HがDR4に対する親和性が増加しており、DR5およびDcR1、DcR2およびOPGに対する親和性が低下していることを示している。
【0113】
実施例4
突然変異体D218YおよびD218Hの生物活性
D218YおよびD218H変異体の生物活性を試験するために、Colo205細胞およびEM−2細胞をこれらの変異体で処置した。これまでに、Colo205細胞は、主としてDR5により媒介されるTRAIL誘導性アポトーシスに対して感受性が高く、これに対して、ML−1細胞は、主として、DR4により媒介されるTRAIL誘導性アポトーシスに対して感受性が高いことが立証されている。EM−2細胞系統はDR4受容体だけを発現するため、DR4受容体により媒介されるTRAIL誘導性アポトーシスに対してのみ感受性が高い。Colo205では、WT rhTRAILおよびDR5選択的D269HE195R変異体と比べて、D218YおよびD218Hのアポトーシス誘導活性の大きな低下が観察された(図3a)。これに対し、細胞系統EM−2およびML−1では、D218YおよびD218H変異体は、100ng/mlより高い濃度においてアポトーシスを効果的に誘導することができた(図3Bおよび図C)のに対し、DR5選択的変異体D269HE195Rはアポトーシス誘導活性を本質的に欠いている。D218H突然変異体はD218Yと比べて増大したアポトーシス誘導活性を示したが、どちらの変異体もWT rhTRAILより活性がかなり低い。潜在的DR4選択的挙動に関しては、WT rhTRAIL感受性を補正することおよびWT rhTRAILと比較して前記変異体がアポトーシスを誘導し始める濃度を決定することことが重要である(図3)。Colo205細胞では、WT rhTRAILは約20ng/mlのタンパク質濃度において最大レベルのアポトーシスを誘導する。ML−1細胞およびEM−2細胞では、WT rhTRAILは約100ng/mlの濃度において最大レベルのアポトーシスを誘導する。Colo205細胞では20ng/mlの濃度のD218Y変異体で誘導される有意なアポトーシスがない一方、EM−2細胞およびML−1細胞においては、D218Y変異体は100ng/mlの濃度で有意な量のアポトーシスを誘導することができる。これは、WT rhTRAIL、D218YおよびDR5選択的変異体D269H/E195Rについての図3に示されている。D218YリガンドはEM−2細胞においてアポトーシスを効果的に誘導することができるのに対し、Colo205細胞においては生物活性の著しい低下を示す(図3)。まとめると、これらの結果は、D218YおよびD218H変異体が優先的にDR4を介してアポトーシスを誘導することを示している。
【0114】
実施例5
突然変異体G131R、N199RK201HおよびG131RN199RK201Hの優れたDR4親和性および選択性
精製リガンドと、固定化したDR4およびDR5 Ig受容体キメラとの結合を、表面プラズモン共鳴(SPR)を用いてリアルタイムで評価した。37℃で0.5nm〜250nmに及ぶ受容体結合曲線を記録した。BSAとともに処方したDR4−IgおよびDR5−Ig調製物をセンサー表面上に固定化した。250nMのWT rhTRAILの応答と比較して結合を計算した。前定常結合実験は、TRAIL変異体G131RおよびG131R/N199R/K201Hの親和性がWT rhTRAILと比較して増加していることを示している。相対的に、DR5との結合の増加はそれほど明らかではなかった(図5)。競合ELISAは、DR4−Igが、変異体G131R/N199R/K201Hと固定化したDR4−Igとの結合に対してWTで観察されるよりもずっと高い競争力を有し得るのに対し、DR5−Igは、前記変異体またはWTの存在下で競争挙動に差はないことを示した(それぞれ、図22Aおよび図22B)。これは、変異体G131R/N199R/K201HのDR4に対する選択性が増加していることを明らかに示している。
【0115】
要約すると、これらのデータは、これらの突然変異体がDR5受容体よりもDR4受容体を選択的に認識することを示している。
【0116】
実施例6
突然変異体G131RD218H、N199RK201HおよびG131RN199RK201Hの生物活性
これらの突然変異体がアポトーシスを誘導する可能性を、細胞系統ML1(急性骨髄性白血病細胞系統)、EM−2(慢性骨髄性白血病細胞系統)、A2780(卵巣癌細胞系統)、HL−60(急性骨髄性白血病細胞系統)、OCI−AML3(急性骨髄性白血病細胞系統)、MOLM 13(急性骨髄性白血病細胞系統)およびColo205(結腸癌細胞系統)において試験した。
【0117】
HL60細胞(DSMZ, ACC 3)、EM−2細胞(DSMZ, ACC 135)およびA2780細胞(Dr. Steven de Jong, University Medical Centre Groningen, The Netherlandsからの好意による提供)は、10%胎児ウシ血清(FBS)、2mMグルタミン、50Uペニシリンおよび50mg/mlストレプトマイシンを補給したRPMI培地で維持した。処置の24時間前に、前記細胞をそれぞれ、500,000細胞/ml、300,000細胞/mlおよび350,000細胞/mlで播種した。ML−1細胞系統は、20%FBS、2mMグルタミン、50U/mlペニシリンおよび50mg/mlストレプトマイシンを補給したRPMI培地で維持し、処置の24時間前に、300,000細胞/mlで播種した。MOLM−13細胞(DSMZ, ACC 554)は、10%FBS、2mMグルタミン、1mMピルビン酸ナトリウム、1%非必須アミノ酸(NEA)、50U/mlペニシリンおよび50mg/mlストレプトマイシンを補給したRPMI培地で維持し、処置の24時間前に、1,000,000細胞/mlで播種した。OCI−AML3細胞(DSMZ, ACC 582)は、20%FBS、2mMグルタミン、1mMピルビン酸ナトリウム、1%NEA、50Uペニシリンおよび50mg/mlストレプトマイシンを補給したMEMで維持し、処置の24時間前に、750,000細胞/mlで播種した。全ての細胞を加湿インキュベーター中、37℃、5%CO2で培養した。特に断りのない限り、全ての試薬はSigma-Aldrich社製のものである。DR4選択的TRAIL変異体の受容体選択性および/または生物活性の1つの指標として、それらのアポトーシス促進能を調べるために、細胞を漸増濃度(0〜250μg/ml)のN199R/K201H、G131R/D218H、N199R/K201H/G131R、D269H/E195RまたはWT rhTRAIL(Triskel Therapeutics Ltd.)で処置した。
【0118】
最初に、これらの細胞系統がDR4受容体をそれらの表面で発現するかどうかとその程度を検証した。これはDR4、DR5、DcR1およびDcR2の免疫蛍光標識によって調べた。細胞を培養皿から取り出た;A2780細胞は、軽いトリプシン処理により回収し、PBS中1%BSAで2回洗浄した。細胞をPBS中1%BSAによる一次抗体(DR4およびDR5:中和マウスモノクローナル抗体、Alexis、DcR1およびDcR2:中和ヤギポリクローナル抗体、R&D Systems)の1:100希釈物とともに室温で40分間インキュベートした。1%BSA/PBSで2回洗浄した後、細胞をFITC標識二次抗体の1:50希釈物中に再懸濁し、室温で40分間インキュベートした。まずPBS中1%BSAで次にPBSで洗浄することにより過剰の二次抗体を除去した。フローサイトメトリー(FacsCalibur, Beckton Dickinson)による解析の前に、細胞を1%ホルムアルデヒド/PBS中に固定した。これらの結果は図6に示している。
【0119】
ML−1細胞およびEM−2細胞は死誘導受容体(DR4およびD5)の両方を発現する。ML−1細胞は2つの囮受容体(DcR1およびDcR2)も発現するが、一方、EM−2細胞は発現しないか、または検出限界を下回る。細胞系統HL−60、Oci−AML3およびMOLM−13はそれらの表面で4つ全ての試験受容体を発現した。
【0120】
次いで、前記突然変異TRAILタンパク質をアポトーシスアッセイに用いて、上記の様々な癌細胞系統においてアポトーシスを誘導するそれらの能力を評価した。この目的のために、アネキシンVアッセイを用いた。
【0121】
ホスファチジルセリン(PS)の原形質膜外葉への露出は、アポトーシスの残遺物のクリアランスに必要である。Ca2+依存的リン脂質結合タンパク質であるアネキシン−Vは、PSと高親和性で結合する。処置後、細胞を軽いトリプシン処理により収集し、350xgでの遠心分離によりペレット化し、氷冷Ca2+バッファー(10mM HEPES/NaOH、pH7.4、140mM NaClおよび2.5mM CaCl2)で1回洗浄し、暗所で氷上でアネキシン−V−FITC(IQ Corporation)とともに15分間インキュベートした。Ca2+バッファーでの洗浄ステップを行った後、FACSCaliburフローサイトメーター(Becton Dickinson)で捕捉した。解析はCell Quest software(Becton Dickinson)を使用して行った。
【0122】
ML−1細胞、EM−2細胞およびA2780細胞を、様々な濃度の、WT rhTRAIL、候補のDR4選択的TRAIL変異体N199R/K201H/G131RならびにDR5選択的TRAIL変異体であるD269H/E195R(WO05/056596参照)で処置した。D269H/E195Rは、ML−1細胞およびEM−2細胞においてほとんどアポトーシス誘導活性がなく、これらの細胞系統のDR4依存性を確認した(図10、図11)。これに対し、D269H/E195Rは、A2780細胞においてWT rhTRAILより高いアポトーシス促進活性を示し、この場合はまた、A2780細胞の排他的なDR5感受性を確認した(図12)。一方、N199R/K201H/G131Rは、DR4応答性細胞系統ML−1およびEM−2においてWT rhTRAILより高いアポトーシス促進活性を示し(図10、11)、DR5応答性細胞であるA2780においては最低限の活性しか示さなかった(図12)。結腸癌細胞系統Colo205は、その細胞表面で4つ全ての受容体を発現することおよびDR4およびDR5を介してTRAIL誘導性アポトーシスを媒介することが分かっている26。それゆえに、DR4選択的変異体での処置は、これらの細胞においてアポトーシス効力の増強をもたらした(図16)。これらの結果は、N199R/K201H/G131Rが、DR4と選択的に結合するアゴニストリガンドであることを示している。
【0123】
二重突然変異体N199K/K201H(推定DR4選択的変異体でもある)を用いて同様の試験を行った。N199K/K201Hは、ML−1(図7)細胞およびEM−2(図8)細胞においてWT rhTRAILと同程度にアポトーシスを誘導した。N199K/K201Hでの処置は、A2780細胞においてWT rhTRAILと比較してアポトーシスの誘導を著しく減少させ、DR4選択的アゴニスト活性を示唆した(図9)。
【0124】
次いで、二重突然変異体G131R/D218H(推定DR4選択的変異体でもある)を用いてアゴニスト活性および受容体選択性の試験を行った。G131R/D218Hは、ML−1細胞においてWT rhTRAILと同程度にアポトーシスを誘導し(図17)、EM−2細胞においては細胞毒性をわずかに低減した(図18)。一方、G131R/D218Hでの処置は、A2780細胞においてWT rhTRAILと比較してアポトーシスの誘導を著しく減少させ、DR4選択的アゴニスト活性を示唆した(図19)。
【0125】
実施例7
G131RおよびG131R/N199R/K201Hの生物活性
DR4およびDR5により媒介される細胞死の両方に反応する野生型BJAB細胞(BJABwt)およびDR5欠損BJAB細胞(BJABDR5DEF)において、TRAIL変異体G131RおよびG131R/N199R/K201Hを使用する追加試験を行った。両方の突然変異体は、BJABwt細胞において(図20A、図21B)もBJABDR5DEF細胞において(図20B、図21B)も細胞死を誘導することができた。これは、これらの突然変異体が高度のDR4特異性を示すことおよびこれらの突然変異体がDR4受容体の強力なアゴニストであることを示している。
【0126】
実施例8
変異体G131R/N199R/K201Hの生物活性
TRAIL変異体G131R/N199R/K201Hを、HL−60細胞におけるその生物活性について試験した。HL60(急性骨髄性白血病;DSMZ, ACC 3)を、10%胎児ウシ血清(FBS)、2mMグルタミン、50Uペニシリンおよび50mg/mlストレプトマイシンを補給したRPMI培地で維持した。処置の24時間前に、細胞を300,000細胞/mlで播種した。細胞を加湿インキュベーター中、37℃、5%CO2で培養した。特に断りのない限り、全ての試薬はSigma-Aldrich社製のものである。N199R/K201H/G131RおよびWT rhTRAILがDR4を活性化する能力を比較するために、前記細胞を100ng/mlのN199R/K201H/G131R WT rhTRAILで指示された時間処置した後に活性化プロカスパーゼ−8およびアポトーシスの誘導を測定した。指示された時間に、ウエスタンブロット解析のために細胞を回収しまたは洗浄し、前記リガンドの不在下で完全培地中に再懸濁し、合計インキュベーション時間12時間後に解析した。
【0127】
図23から分かるように、変異体N199R/K201H/G131Rは、WT rhTRAILよりもずっと強力なDR4アクチベーターであり、これは、プロカスパーゼ−8のプロセッシング(ウエスタンブロッティン(Western Blottin)により検出される)および低ミトコンドリア膜電位を有する細胞の数の決定により測定される誘導された細胞死のレベルの両方(図23aおよび23b)により示される。
【0128】
実施例9
BMSと組み合わせた変異体N199R/K201H/G131Rの生物活性
三重突然変異体N199R/K201H/G131Rは、骨髄性細胞において非常に効果的であり、WT rhTRAILよりも効率的にDR4を活性化する(図23)。DR4およびDR5は両方、pr−カスパーゼ−8(pr-caspase-8)だけでなく、抗アポトーシスNF−kBも活性化することができるため、WT rhTRAILおよび変異体N199R/K201H/G131Rの両方の生物活性に対するNF−kB阻害の効果を試験した。Hl−60細胞を、阻害剤であるkBキナーゼ(IKK)阻害剤BMS−345541の存在または不在下でWTrhTRAIlまたはN199R/K201H/G131Rで12時間処置した(図24)。BMSの存在下でのWT rhTRAILに対する3つの組合せの効力の増強は、とりわけより低いリガンド濃度において明らかであり(10ng/ml;図24b)、そしてこのことは、高用量の薬物の潜在的に毒性の副作用を考慮すると抗癌治療としてのin vivo用途に有利であり得る。
【0129】
実施例10
SPRにより測定したR149I、S159R、K204Y、およびS215Dの結合活性ならびに競合ELISA
図25のSPRセンサーグラムによると、変異体R149Iが両方の死受容体に対する前定常状態親和性に大きな影響を及ぼさない場合でも、変異体R149IのDR5複合体は不安定化するのに対し、DR4のものはほとんど変化していないように思える。前定常状態SPR測定は、変異体S159RがDR4−Igに対してより高い見かけの親和性で結合することができる(図26A)のに対し、DR5−Igとの結合が低減している(図26B)ことを示しており、それゆえ、DR4特異性を明らかに示している。同様に、変異体K201Rでも、あまりはっきりしない場合でさえ、DR4特異性が示される(図26)。図27の変異体S159RとWT rhTRAILのセンサーグラムは、見かけの親和性だけでなく前記受容体分子との相互作用動態もDR4に有利に影響を受けていることを示している。加えて、図28に示す競合ELISA試験は、DR4−Igは、前記変異体と、固定化したDR4−Igとの結合に競合することができるが、DR5−Igはそうすることができないことを示しており、この場合も変異体S159RのDR4特異性を明らかに示している。
【0130】
突然変異K204YおよびS215Dも、DR4に有利に、受容体との結合に影響を及ぼす。前定常状態SPRにより測定したDR4−Igとの結合はあまり劇的には影響を受けないように見える一方、DR4−Igとの複合体は安定化し、DR5−Igのものは不安定化するように見える(図29および図30)。変異体S215Dは競合ELISAによりさらに解析した。この競合ELISAでは、DR4−Igだけが、S215Dと、固定化したDR4−Igとの結合に効果的に競合することができ、DR5−Igはそうすることができず(図31)、この突然変異によって誘導されるDR4特異性を示している。
【0131】
実施例11
S159Rの生物活性
TRAIL変異体S159Rの生物活性を種々の細胞系統において試験した。ヒト膵臓癌細胞系統BxPcおよびColo357は、10%胎児ウシ血清(FBS)、2mMグルタミン、50Uペニシリンおよび50mg/mlストレプトマイシンを補給したRPMI培地で維持した。HEPG2(ヒト肝細胞癌)細胞系統は、10%FBS、50Uペニシリンおよび50mg/mlストレプトマイシンを補給したDMEM培地で維持した。HCT116 WTおよびp53−/−(ヒト結腸癌)細胞系統は、10%FBS、50Uペニシリンおよび50mg/mlストレプトマイシンを補給したHEPES添加McCoy’s 5A培地で維持した。全ての細胞を加湿インキュベーター中、37℃、5%CO2で培養した。BxPc、Colo357およびHEPG2は150,000細胞/mlで播種した、HCT116 WTおよびp53−/−は200,000細胞/mlで播種した。細胞を3枚の96ウェルプレートに総量100μl/ウェルで播種した。播種の翌日、三連で細胞を適用量(0〜500ng/ml)のWT rhTRAIL、D269H/E195RまたはS159Rで処置した。24時間のインキュベーション後、MTTアッセイに1枚の96ウェル/プレート(24時間時点)を用い、他の2枚のプレートは再度同じ濃度のWT rhTRAIL、D269H/E195RおよびS159Rで処置し、さらに24時間インキュベートした。インキュベーション後、MTTアッセイに1枚の96ウェル/プレート(48時間時点)を用い、他の1枚のプレート(72時間時点)は上記のように処置し、さらに24時間インキュベートし、MTTアッセイにより解析した。処置後、これらのウェルに10μlのMTT溶液(ハンクス平衡塩類溶液中5mg/ml)を加え、プレートを加湿インキュベーター中、37℃、5%CO2で3時間インキュベートした。インキュベーション後、これらのウェルに100μlの停止溶液(40%ジメチルホルムアミド中20%SDS)を加え、プレートをオービタルシェーカー上に一晩置いてホルマザン沈殿物を溶かした。インキュベーション後、PerkinElmer Victor3マルチプレートリーダーにおいて吸光度を550nmで測定した。細胞生存率は、3つの複製ウェルの対照に対する平均割合として表した。
【0132】
変異体S159Rは、DR4感受性細胞系統ML−1(図32、上のパネル)、EM−2(図32、下のパネル)(どちらも骨髄性細胞系統)におけるアポトーシス活性が増加しており、そのDR4選択性を示している。また、S159Rは、ヒト結腸癌細胞系統、SW948において強い生物活性も示している(図33)。3つ全ての細胞系統において、前記変異体は、非常に低い濃度においても顕著なアポトーシスを引き起こし、WT rhTRAILと比較してこの変異体の効力の増強を示している。ヒト結腸癌HCT116におけるS159Rの高い効力(図34)は、この変異体の高い受容体−アゴニスト活性を明確に示している。また、S159Rの高い効力は、両方の死受容体を発現する膵臓癌細胞系統BxPcにおいても示された:DR4選択的変異体S159Rは、DR5特異的変異体D269H/E195Rと同程度に活性がある(図35)。予想通り、DR5がTRAIL死シグナルの主要トランスデューサーである細胞系統HepG2では、変異体S159Rはより活性が低い(図36)。
【0133】
結論として、変異体S159Rは非常に有効なDR4選択的変異体である。
【0134】
実施例12
R149IおよびS215Dの生物活性
図37では、WT rhTRAILと比較した、DR4応答性骨髄性細胞系統EM−2およびML−1における変異体R149IおよびS215Dの生物活性を示している。明らかに、両方の変異体は、WTより有効であり、より低い濃度でアポトーシスを誘導し、EM−2細胞における差はおよそ5倍、ML−1細胞における差は2倍であり、これらの変異体がDR4の強力なアゴニストであることを示している。
【0135】
実施例13
材料と方法−結合実験
表面プラズモン共鳴に基づくバイオセンサーBiacore 3000(Biacore AB)を使用して結合実験を行った。研究用CM5センサーチップ、N−ヒドロキシスクシミド(NHS)、N−エチル−N’−(3−ジエチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、エタノールアミン−HClおよび標準的なバッファー例えばHBS−NおよびHBS−EPは、製造業者から購入した。全てのバッファーを濾過し、脱気した。Biacore CM5センサーチップのセンサー表面へのDR4−IgおよびDR5−Ig受容体の固定化は、製造業者の使用説明書に従い、標準的なアミンカップリング手順により行った。受容体を約800レスポンスユニットのレベルでコーティングした。次いで、活性化したカップリング表面を反応部位について1Mエタノールアミン(pH8)でクエンチした。参照表面は、活性化CMデキストランからなり、後にエタノールアミンで遮断した。50μlアリコートのWT rhRAILおよび変異体を三連で250nM〜0.5nMの濃度、70μl/ml、37℃で、ランニング・サンプルバッファーとして0.005%界面活性剤P20(GE Healthcare)を補給したHBS−Nを使用して注入した。リガンドと受容体との結合をリアルタイムでモニタリングした。注入間に、1:1[10mMグリシン1.5M NaCl pH2]/エチレングリコールおよび接触時間35秒を用いて受容体/センサー表面を再生させた。
【0136】
[参照文献]
【特許請求の範囲】
【請求項1】
死受容体5(TRAIL−R2)に対してよりも、死受容体4(TRAIL−R1)に対して優れた選択性を有する、変異TRAILタンパク質。
【請求項2】
囮受容体であるDcR1(TRAIL−R3)およびDcR2(TRAIL−R4)に対してよりも、死受容体4(TRAIL−R1)に対して優れた選択性を示す、請求項1に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項3】
死受容体5(TRAIL−R2)に対する親和性よりも、死受容体4(TRAIL−R1)に対する親和性が実質的に高い、請求項1または請求項2に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項4】
囮受容体であるDcR1(TRAIL−R3)および/またはDcR2(TRAIL−R4)に対する親和性よりも、死受容体4(TRAIL−R1)に対する親和性が実質的に高い、請求項1〜3のいずれか一項に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項5】
野生型TRAIL分子よりも、DR4に対する結合親和性が高い、請求項1〜4のいずれか一項に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項6】
野生型TRAIL分子よりも、DR5、DcR1および/またはDcR2に対する結合親和性が低い、請求項1〜5のいずれか一項に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項7】
131位、149位、159位、193位、199位、201位、204位、212位、215位、218位および251位からなる群から選択される1以上の位置において突然変異している、請求項1〜6のいずれか一項に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項8】
前記1つ以上の突然変異が、G131R、G131K、R149I、R149M、R149N、R149K S159R、Q193H、Q193K、N199H、N199R、K201H、K201R、K204E、K204D、K204L、K204Y、K212R、S215E、S215H、S215K、S215D、D218Y、D218H、K251D、K251E、およびK251Qからなる群から選択される、請求項7に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項9】
199位および201位の両方が突然変異している、請求項7に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項10】
突然変異N199RおよびK201H、またはN199HおよびK201Rを含む、請求項8に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項11】
131位および218位の両方が突然変異している、請求項7に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項12】
突然変異G131RおよびD218Hを含む、請求項11に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項13】
131位、199位および201位の全てが突然変異している、請求項7に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項14】
突然変異G131R、N199RおよびK201Hを含む、請求項13に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項15】
149位、159位、193位、204位、212位、215位、218位および251位に1つ以上の突然変異をさらに含んでなる、請求項13または請求項14に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項16】
前記1つ以上の突然変異が149位、159位および215位にある、請求項15に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項17】
159位において、さらに149位、193位、204位、212位、215位、218位および251位からなる群から選択される1以上の位置において突然変異している、請求項7に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項18】
159位において、さらに149位および/または215位において突然変異している、請求項17に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項19】
131位および218位の両方が突然変異している、請求項7に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項20】
131位、199位、201位、215位および218位のアミノ酸の1以上が塩基性アミノ酸に置換されている、請求項7に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項21】
前記塩基性アミノ酸がリジン、アルギニンまたはヒスチジンである、請求項18に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項22】
215位のアミノ酸が酸性アミノ酸に置換されている、請求項7に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項23】
前記酸性アミノ酸がグルタミン酸またはアスパラギン酸である、請求項20に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項24】
表3に示す突然変異の1つ以上を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項25】
所望によりメチオニン残基が前に付いていてよい、全長TRAIL配列のアミノ酸114〜281の変異体を含んでなるまたはからなる断片である、請求項1〜24のいずれか一項に記載のTRAILタンパク質。
【請求項26】
配列番号3で示されるアミノ酸配列の変異体を含んでなるまたはからなる、請求項25に記載のTRAILタンパク質。
【請求項27】
癌細胞においてアポトーシスを誘導する、請求項1〜26のいずれか一項に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項28】
請求項1〜27のいずれか一項に記載の変異TRAILタンパク質をコードする、ポリヌクレオチド。
【請求項29】
配列番号2の変異体;配列番号2のヌクレオチド88〜933の変異体;配列番号4の変異体:である、請求項28に記載のポリヌクレオチド。
【請求項30】
請求項28または請求項29に記載のポリヌクレオチドを発現する、宿主細胞。
【請求項31】
哺乳類細胞においてアポトーシスを誘導するための、請求項1〜30のいずれか一項に記載のDR4特異的TRAIL変異体。
【請求項32】
前記哺乳類細胞が、主としてDR4特異的経路を介してシグナルを伝達する、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
前記哺乳類細胞が癌細胞である、請求項31または請求項32に記載の使用。
【請求項34】
前記癌細胞が卵巣癌、結腸癌または白血病の細胞である、請求項33に記載の使用。
【請求項35】
前記哺乳類細胞がヒト細胞である、請求項34に記載の使用。
【請求項36】
請求項1〜35のいずれか一項に記載のTRAIL変異体を含んでなる、医薬組成物。
【請求項1】
死受容体5(TRAIL−R2)に対してよりも、死受容体4(TRAIL−R1)に対して優れた選択性を有する、変異TRAILタンパク質。
【請求項2】
囮受容体であるDcR1(TRAIL−R3)およびDcR2(TRAIL−R4)に対してよりも、死受容体4(TRAIL−R1)に対して優れた選択性を示す、請求項1に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項3】
死受容体5(TRAIL−R2)に対する親和性よりも、死受容体4(TRAIL−R1)に対する親和性が実質的に高い、請求項1または請求項2に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項4】
囮受容体であるDcR1(TRAIL−R3)および/またはDcR2(TRAIL−R4)に対する親和性よりも、死受容体4(TRAIL−R1)に対する親和性が実質的に高い、請求項1〜3のいずれか一項に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項5】
野生型TRAIL分子よりも、DR4に対する結合親和性が高い、請求項1〜4のいずれか一項に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項6】
野生型TRAIL分子よりも、DR5、DcR1および/またはDcR2に対する結合親和性が低い、請求項1〜5のいずれか一項に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項7】
131位、149位、159位、193位、199位、201位、204位、212位、215位、218位および251位からなる群から選択される1以上の位置において突然変異している、請求項1〜6のいずれか一項に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項8】
前記1つ以上の突然変異が、G131R、G131K、R149I、R149M、R149N、R149K S159R、Q193H、Q193K、N199H、N199R、K201H、K201R、K204E、K204D、K204L、K204Y、K212R、S215E、S215H、S215K、S215D、D218Y、D218H、K251D、K251E、およびK251Qからなる群から選択される、請求項7に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項9】
199位および201位の両方が突然変異している、請求項7に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項10】
突然変異N199RおよびK201H、またはN199HおよびK201Rを含む、請求項8に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項11】
131位および218位の両方が突然変異している、請求項7に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項12】
突然変異G131RおよびD218Hを含む、請求項11に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項13】
131位、199位および201位の全てが突然変異している、請求項7に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項14】
突然変異G131R、N199RおよびK201Hを含む、請求項13に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項15】
149位、159位、193位、204位、212位、215位、218位および251位に1つ以上の突然変異をさらに含んでなる、請求項13または請求項14に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項16】
前記1つ以上の突然変異が149位、159位および215位にある、請求項15に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項17】
159位において、さらに149位、193位、204位、212位、215位、218位および251位からなる群から選択される1以上の位置において突然変異している、請求項7に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項18】
159位において、さらに149位および/または215位において突然変異している、請求項17に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項19】
131位および218位の両方が突然変異している、請求項7に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項20】
131位、199位、201位、215位および218位のアミノ酸の1以上が塩基性アミノ酸に置換されている、請求項7に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項21】
前記塩基性アミノ酸がリジン、アルギニンまたはヒスチジンである、請求項18に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項22】
215位のアミノ酸が酸性アミノ酸に置換されている、請求項7に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項23】
前記酸性アミノ酸がグルタミン酸またはアスパラギン酸である、請求項20に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項24】
表3に示す突然変異の1つ以上を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項25】
所望によりメチオニン残基が前に付いていてよい、全長TRAIL配列のアミノ酸114〜281の変異体を含んでなるまたはからなる断片である、請求項1〜24のいずれか一項に記載のTRAILタンパク質。
【請求項26】
配列番号3で示されるアミノ酸配列の変異体を含んでなるまたはからなる、請求項25に記載のTRAILタンパク質。
【請求項27】
癌細胞においてアポトーシスを誘導する、請求項1〜26のいずれか一項に記載の変異TRAILタンパク質。
【請求項28】
請求項1〜27のいずれか一項に記載の変異TRAILタンパク質をコードする、ポリヌクレオチド。
【請求項29】
配列番号2の変異体;配列番号2のヌクレオチド88〜933の変異体;配列番号4の変異体:である、請求項28に記載のポリヌクレオチド。
【請求項30】
請求項28または請求項29に記載のポリヌクレオチドを発現する、宿主細胞。
【請求項31】
哺乳類細胞においてアポトーシスを誘導するための、請求項1〜30のいずれか一項に記載のDR4特異的TRAIL変異体。
【請求項32】
前記哺乳類細胞が、主としてDR4特異的経路を介してシグナルを伝達する、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
前記哺乳類細胞が癌細胞である、請求項31または請求項32に記載の使用。
【請求項34】
前記癌細胞が卵巣癌、結腸癌または白血病の細胞である、請求項33に記載の使用。
【請求項35】
前記哺乳類細胞がヒト細胞である、請求項34に記載の使用。
【請求項36】
請求項1〜35のいずれか一項に記載のTRAIL変異体を含んでなる、医薬組成物。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図21A】
【図21B】
【図22】
【図23A】
【図23B】
【図24A】
【図24B】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34A】
【図34B】
【図34C】
【図35A】
【図35B】
【図35C】
【図36A】
【図36B】
【図36C】
【図37】
【図38】
【図39】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図21A】
【図21B】
【図22】
【図23A】
【図23B】
【図24A】
【図24B】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34A】
【図34B】
【図34C】
【図35A】
【図35B】
【図35C】
【図36A】
【図36B】
【図36C】
【図37】
【図38】
【図39】
【公表番号】特表2011−504369(P2011−504369A)
【公表日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534562(P2010−534562)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【国際出願番号】PCT/IB2008/003476
【国際公開番号】WO2009/066174
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(510141899)ライクスユニベルジテート フローニンゲン (3)
【出願人】(509237767)ナショナル ユニバーシティー オブ アイルランド, ゴールウェイ (12)
【出願人】(510141903)
【出願人】(510141914)
【出願人】(510142623)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【国際出願番号】PCT/IB2008/003476
【国際公開番号】WO2009/066174
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(510141899)ライクスユニベルジテート フローニンゲン (3)
【出願人】(509237767)ナショナル ユニバーシティー オブ アイルランド, ゴールウェイ (12)
【出願人】(510141903)
【出願人】(510141914)
【出願人】(510142623)
【Fターム(参考)】
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