説明

改良されたスプレーパターン弁体

流体がスプレーノズルから出る前に流体流れが挿入体によって方向転換されるスプレーヘッドが提供される。特に、スプレーヘッドは、弁体とスプレーノズルキャビティとを通過する流体の経路を変更する、弁体内に配置された挿入体を有しており、スプレーノズルキャビティにおける流体の増大した混合、ひいては、流体がスプレーノズルから出るときの改良された横方向スプレー分布を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は印刷機、特に流体を供給するためのスプレーヘッドに関する。
【0002】
関連出願とのクロスリファレンス
本願は、米国特許出願第11/210039号明細書、"SPRAY BAR CONTROL FOR ACCOMMODATING MULTIPLE WEB WIDTH"及び米国特許出願第11/210033号明細書、"CENTRAL MANIFOLD SUPPLY FOR SPRAY BAR"に関連し、これらの明細書の開示内容は引用により本明細書に記載されたものとする。
【背景技術】
【0003】
背景
版胴に流体を供給するためにスプレーヘッドを使用することは印刷産業において知られている。スプレーヘッドは、あるタイプのスプレー分布をスプレーするように変更されている。しかしながら、各スプレーノズルは、流体の供給のための弁体及びソレノイドを有するスプレーヘッドに関連して働く。したがって、所望のスプレー分布は、部分的に、スプレーノズルと、弁体と、ソレノイドとの作動によって達成される。弁体のジオメトリがさらにスプレー分布に影響する。
【0004】
さらに、典型的な従来のスプレーヘッドは、ソレノイド弁が遮断されてから、スプレーノズルの先端から噴射される流体が停止するまでに遅れが生じる。この遅れは、スプレーノズルキャビティの容積が増大するとともに増大する。さらに、この時間の間に、流体圧力が所望の圧力よりも低くなり、完全なスプレー分布パターンを生じない。このことは、スプレーのエッジよりも中央からより多くの流体が噴霧されるという状況を生ぜしめ、不均一な横方向分布を生じる。
【0005】
遅れを減じようとするに当たって、従来の装置は、弁とスプレーノズルの先端との間の領域における流体の体積を最小限に減少させた。従来の装置は、弁体におけるオリフィスの寸法を減少させようとし、弁体に設けられたニップルでスプレーノズルのバックキャビティの体積を満たそうとした。あいにく、これらの装置は、スプレーノズルの先端の中心を通って真っ直ぐに流体を方向付ける傾向があり、ひいては、完全なスプレーパターンが発生されるのを妨げる。
【0006】
発明の概要
本発明の実施形態によれば、流体がスプレーノズルから出る前に流体流れを挿入体によって方向転換するスプレーヘッドが提供される。スプレーヘッドは、弁体とスプレーノズルキャビティとを通過する流体の流路を変更する、弁体内に配置された挿入体を有しており、スプレーノズルキャビティにおける流体の増大した混合を生じ、ひいては、流体がスプレーノズルから出る時の改良された横方向スプレー分布を生ぜしめる。
【0007】
本発明の別の実施形態によれば、スプレーノズルと、弁体と、挿入体とを有するスプレーヘッドが提供される。スプレーノズルはノズルアウトプットである。弁体は、インプットと、アウトプットと、弁インプットから弁アウトプットまで延びた内部通路とを有している。アウトプットはスプレーノズルに接続されている。挿入体は、弁インプットとノズルアウトプットとの間の流路に配置されており、挿入体は、弁インプットとノズルアウトプットとの間の流体流れを方向転換する。
【0008】
図面の簡単な説明
発明の別の目的、特徴及び利点は、添付の図面に関連した以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0009】
図1A及び図1Bは、図解のために拡大された、従来のスプレーヘッド及び対応する横方向スプレー分布チャートとを示している。
【0010】
図1Cは、印刷機の印刷ユニットの典型的な湿しシステムを示している。
【0011】
図2A及び図2Bは、本発明の実施形態によるスプレーヘッド及び挿入体を、対応する横方向スプレー分布チャートと共に示している。
【0012】
図3A〜図3Cは、本発明の別の実施形態によるスプレーヘッド及び挿入体を示している。
【0013】
詳細な説明
図1Aを参照すると、弁体115を備えた従来のスプレーヘッド150が示されており、弁体115は、キャビティ135とノズルオリフィス140とを有するノズル110に結合されている。流体130が弁体115を通過すると、図1Aに示されているように、流体130の一部はキャビティ135において混合され、流体130の一部は、混合されることなくノズルオリフィス140を真っ直ぐに通過する。これらの従来のスプレーヘッド150は、流体の一部をノズル110の先端の中心を真っ直ぐに方向付ける傾向があり、図1Bに示されているように、流体分布におけるスパイクを生じる。図1Bは、従来のスプレーヘッド150の横方向スプレー分布を示している。線110は、概して均一な横方向スプレー分布を表しているが、線105は横方向スプレー分布におけるスパイクを表している。上述のように、スパイク(表された線105)は、キャビティ135においてほとんど又は全く混合されずにノズルオリフィス140を流体が通過させられる結果であり、不均一な横方向スプレー分布を生じている。
【0014】
図1Cは、湿しローラに流体、例えば湿し水を噴霧するために配置されたスプレーヘッド130−1〜130−nを有する印刷機の典型的な湿しシステムを示しており、前記湿しローラは、流体を1つ又は2つ以上の別の湿しローラ(集合的に湿しローラ配列180)に引き渡し、別の湿しローラ自体は流体を印刷ユニットの版胴160の刷版170に引き渡す。
【0015】
本発明の実施形態によれば、横方向スプレー分布を改良するためのスプレーヘッドが提供される。本発明の実施形態において、スプレーヘッドは、ノズル先端部から完全なスプレーパターンを形成し、ソレノイド弁が閉鎖された後のスプレーノズルからの流体排出時間を最小限にする。
【0016】
図2Aは、横方向スプレー分布を改良するための本発明の原理を具体化したスプレーヘッド250を示している。図2Aに示されているように、スプレーヘッド250は、弁体260に結合されたスプレーノズル255を有している。弁体260は、内部通路215を介して弁アウトプット211に結合された弁インプット(図示せず)を有している。スプレーノズル255と弁体260との内部には挿入体265が配置されている。挿入体265は、弁体260とスプレーノズル255とを通る流体270の経路を変更し、ノズルキャビティ275における流体の混合を増大させる。
【0017】
図2Bは、スプレーヘッド250の横方向スプレー分布を示している。線210は、図1Cに示されたように、湿しローラアセンブリ180を介して例えば版胴160の刷版170へのスプレーヘッド250を介する流体のスプレー分布を示している。図2Bに示されているように、線210の上部は平らになっており、これは均一な横方向スプレー分布を表している。線210によって示された均一な横方向スプレー分布は、挿入体265によって生ぜしめられるノズルキャビティ275における流体270の増大した混合の結果である。
【0018】
図3A〜図3Cは、本発明の別の実施形態によるスプレーヘッド300と挿入体350とを示している。スプレーヘッド300は弁体305を有しており、この弁体は、弁アウトプット311において終わった弁体オリフィス315に接続された、インプット、フィードポート310を有している。弁体305はスプレーノズル325に結合されており、弁体オリフィス315はスプレーノズル325に接続されている。スプレーノズル325は、インプットとして、バックキャビティ320と、アウトプットとして、ノズルオリフィス330を有している。図3A〜図3Cには、本発明の実施形態による挿入体355も示されている。挿入体355は細長く、ねじ山付き領域360と、カップ領域365と、1対の向き合った平坦部355とを有している。挿入体355は、外径においてねじ山が形成されており(ねじ山付き領域360として示されている)、挿入体355を弁体305に固定するために弁体オリフィス315の対応するねじ山付き部分に螺合するように設計されている。向き合った平坦部355により、平坦部355と、弁体オリフィス315のねじ山付き壁部との間には通路が形成されている。バックキャビティ320に配置された挿入体355の部分は、弁体オリフィス330における挿入体355の部分の幅よりも大きな幅を有している。図3Cは、線A−Aに沿った図3Bの挿入体350の断面を示している。
【0019】
スプレーヘッド300を参照すると、流体は、フィードポート310及び弁体オリフィス315を通って弁体305に進入する。図3Aに示されているように、弁体オリフィス315は、長さに亘って直径が変化している。好適には、オリフィス315の直径は、挿入体355を保持するオリフィスの部分におけるよりも、挿入体355の上流におけるオリフィスの部分においてより小さい。スプレーヘッド300及び挿入体350を参照すると、流体は、弁体305から出るまで弁体オリフィス315と挿入体350の平坦部355との間を移動する。流体は、スプレーノズル325のバックキャビティ320に進入し、挿入体350の先端部の周囲を流れ、ノズルオリフィス330から流出することによってスプレーノズル325から排出され、例えば湿しローラへ供給される。挿入体350の頂上における凹んだカップ領域365の形状は、弁が開いているときの流体流れを最適化しかつ弁が閉じられた後に逃げ出す残留流体飛沫(例えば残留湿し水飛沫)の量を最小限にするように変更されることができる。
【0020】
上記は単に発明の原理を例示している。当業者は、発明の原理を具体化しかつひいては発明の精神及び範囲に含まれる多数のその他の構成を実施することができることが認められるであろう。
【0021】
例えば、上の開示に基づき、発明の原理は発明の利益を達成するために様々なカップ領域及び形状を容易に提供することができる。
【0022】
さらに、開示に基づき、挿入体350はより多くの又はより少ない平坦部及び形状を容易に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1A】図解のために拡大された、従来のスプレーヘッドを示している。
【図1B】対応する横方向スプレー分布チャートとを示している。
【図1C】印刷機の印刷ユニットの典型的な湿しシステムを示している。
【図2A】本発明の実施形態によるスプレーヘッド及び挿入体を示している。
【図2B】対応する横方向スプレー分布チャートを示している。
【図3A】本発明の別の実施形態によるスプレーヘッド及び挿入体を示している。
【図3B】本発明の別の実施形態によるスプレーヘッド及び挿入体を示している。
【図3C】本発明の別の実施形態によるスプレーヘッド及び挿入体を示している。
【符号の説明】
【0024】
110 ノズル、 115 弁体、 130 流体、 135 キャビティ、 140 ノズルオリフィス、 150 スプレーヘッド、 160 版胴、 170 刷版、 180 湿しローラ配列、 211 弁アウトプット、 250 スプレーヘッド、 255 スプレーノズル、 260 弁体、 265 挿入体、 275 ノズルキャビティ、 300 スプレーヘッド、 305 弁体、 311 弁アウトプット、 315 弁体オリフィス、 320 バックキャビティ、 325 スプレーノズル、 330 ノズルオリフィス、 350 挿入体 355 挿入体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプレーヘッドにおいて、
ノズルアウトプットを有するスプレーノズルと、
インプットと、アウトプットと、弁インプットから弁アウトプットへ延びた内部通路とを有する弁体とが設けられており、アウトプットがスプレーノズルに接続されており、
弁インプットとノズルアウトプットとの間の流体経路に配置された挿入体が設けられており、該挿入体が弁インプットとノズルアウトプットとの間において流体流れを方向転換させることを特徴とする、スプレーヘッド。
【請求項2】
挿入体が細長い形状を有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
スプレーノズルが、ノズル出口に接続されたインプットチャンバを有しており、挿入体が、内部通路からインプットチャンバへ延びている、請求項1記載のスプレーヘッド。
【請求項4】
インプットチャンバが、内部通路の直径よりも大きな直径を有する、請求項3記載のスプレーヘッド。
【請求項5】
インプットチャンバにおける挿入体の部分が、内部通路における挿入体の部分の幅よりも大きな幅を有する、請求項4記載のスプレーヘッド。
【請求項6】
挿入体が、流体流れを方向転換するための1つ又は2つ以上の平坦部を有する、請求項1記載の方法。
【請求項7】
挿入体が、カップ状の領域を有する頂上部を有する、請求項3記載の方法。
【請求項8】
挿入体が、ねじ山によって内部通路に接続されている、請求項1記載の方法。
【請求項9】
スプレーヘッドにおいて、
スプレーノズルと、
該スプレーノズルに接続されたオリフィスを有する弁体と、
流体がスプレーノズルから出る前に、オリフィスを通る流体流れを方向転換するための挿入体がオリフィス内に設けられていることを特徴とする、スプレーヘッド。
【請求項10】
挿入体が細長い挿入体である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
スプレーノズルが、ノズルアウトプットに接続されたインプットチャンバを有しており、挿入体がオリフィス内からインプットチャンバ内へ延びている、請求項9記載のスプレーヘッド。
【請求項12】
インプットチャンバが、オリフィスの直径よりも大きな直径を有する、請求項1記載のスプレーヘッド。
【請求項13】
インプットチャンバ内の挿入体の部分が、オリフィスにおける挿入体の部分の幅よりも大きな幅を有する、請求項12記載のスプレーヘッド。
【請求項14】
挿入体が、流体流れを方向転換するための1つ又は2つ以上の平坦部を有する、請求項9記載の方法。
【請求項15】
挿入体が、カップ状の領域を有する頂上部を有する、請求項11記載の方法。
【請求項16】
挿入体が、ねじ山によってオリフィスに接続されている、請求項9記載の方法。
【請求項17】
印刷ユニットにおいて、
湿しローラを有する湿しローラ配列と、
版胴と、
湿しローラ配列の湿しローラに流体を噴霧するために配置された複数のスプレーヘッドが設けられており、湿しローラ配列が、版胴に取り付けられた刷版に流体を転移するようになっており、各スプレーヘッドが、
ノズルアウトプットを有するスプレーノズルと、
インプットと、アウトプットと、弁インプットから弁アウトプットまで延びた内部通路とを有する弁体とを有しており、アウトプットがスプレーノズルに接続されており、さらにスプレーヘッドが、
弁インプットとノズルアウトプットとの間の流路に配置された挿入体を有しており、該挿入体が弁インプットとノズルアウトプットとの間で流体流れを方向転換することを特徴とする、印刷ユニット。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【公表番号】特表2009−504404(P2009−504404A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−527954(P2008−527954)
【出願日】平成18年8月7日(2006.8.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/030901
【国際公開番号】WO2007/024477
【国際公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(505332174)ゴス インターナショナル アメリカス インコーポレイテッド (48)
【氏名又は名称原語表記】Goss International Americas, Inc.
【住所又は居所原語表記】121 Broadway, Dover NH 03820, USA
【Fターム(参考)】