説明

改良されたリサイクル特性を有する粉末、その製造方法および三次元の物品を製造する方法における粉末の使用

【課題】ポリアミド粉末を層状に重ねてレーザー焼結により成形体を形成するに際して、未使用粉末の添加量が少なく、廃棄するリサイクル粉末の量が少ない、ポリアミド粉末を提供する。
【解決手段】調節剤としてジカルボン酸で処理することにより得られるジカルボン酸処理ポリアミドまたはコポリアミド粉末と、調節剤としてジアミンで処理することにより得られるジアミン処理ポリアミドまたはコポリアミド粉末との、反対に二官能性に調節された二種のポリアミド粉末の混合物を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
近年しばしば設定される課題は、プロトタイプの速い提供である。粉末状熱可塑性材料にもとづき作業する方法が特に適しており、その際、層状に重ねて選択的に溶融し、硬化することにより所望の構造を製造する。その際溶融された部分を包囲する粉末層が十分な支持作用を提供するので、張り出した部分および切り取った部分での支持構造を省くことができる。同様に支持物を除去する引き続く作業も必要でない。この方法は少ない連続作業に適している。
【0002】
本発明は二官能性に調節されたポリアミドまたはコポリアミド、有利にナイロン−12をベースとする粉末、この粉末を使用する方法、およびこの粉末を使用して電磁エネルギーの導入により層の部分が選択的に溶融する、層状に重ねた方法により製造される成形品に関する。溶融した部分は冷却して硬化し、所望の成形品を形成する。過剰の粉末材料を除去する。
【背景技術】
【0003】
レーザー焼結は速いプロトタイプの形成および速い製造に特に適した方法である。この方法において室内のポリマー粉末に、選択的にレーザービームを短時間照射し、レーザービームが当たる粉末の粒子が溶融する。溶融した粒子が融合し、冷却後再び固化して固体材料を生じる。この方法により、新しい層を繰り返して塗布し、照射することにより、複雑な三次元の成形体を簡単に、かなり速く製造することができる。
【0004】
しかしレーザー焼結の他に多くの他の適当な方法が存在する。この場合に層状に重ねた方法の選択性はサセプター、吸収剤、抑制剤、またはマスクの適用により、またはレーザービーム、またはガラスファイバーケーブルによるエネルギーの集中した導入により達成することができる。
【0005】
本発明の粉末から本発明の成形品を製造できる一部の方法が以下に記載されるが、本発明をこれに限定するものでない。
【0006】
粉末状ポリマーから製造される成形品を実現するレーザー焼結法(速いプロトタイプ形成)は文献に詳細に記載されている(特許文献1および2参照)。この出願には広い範囲のポリマーおよびコポリマー、例えばポリアセテート、ポリプロピレン、ポリエチレン、イオノマーおよびポリアミド−11が記載されている。
【0007】
レーザー焼結法はブロックの形の成形体を製造し、前記ブロックは第1に所望の成分からなり、第2に通常の、主にリサイクル粉末として知られる照射されない粉末からなり、前記粉末はこのブロックに成形品が出現するまで、またはカバーが除去されるまで成分と一緒に残る。この粉末は成分を支持し、従って支持物なしにレーザー焼結法により張り出した部分および切り取った部分を製造することができる。使用される粉末の特性に依存して、未使用の粉末の濾過および添加後に他の形成法(リサイクル)で照射されない粉末を使用することができる。
【0008】
ポリアミド−12粉末が工学部品を製造するレーザー焼結に工業的に特に有利であることが示された。PA−12粉末から製造される部品は機械的負荷に関して要求される高い要求を満たし、従って引き続き押し出しまたは射出成形により製造される大量生産部品の特性に特に近い特性を有する。
【0009】
この場合に、融点が185〜189℃であり、融解エンタルピーが112±17kJ/モルであり、凝固点が138〜143℃であるポリアミド−12粉末を使用することが有利である(特許文献3参照)。この場合に平均粒度が50〜150μmである粉末を有利に使用し、この粉末は特許文献4または5に記載されるようにして得られる。
【0010】
良好な適合性を有する他の方法は特許文献6に記載されるSIB法または特許文献7に記載される方法である。両方の方法は赤外線加熱を用いて作業し、粉末を溶融する。溶融の選択性は第1の方法では抑制剤の適用により達成され、第2の方法ではマスクにより達成される。他の方法は特許文献8に記載されている。この明細書において、溶融に必要なエネルギーはマイクロ波発生器により導入され、選択性はサセプターの適用により達成される。他の適当な方法は、特許文献9、10および11に記載される、粉末に存在するかまたはインクジェット法により適用される吸収剤を使用して運転する方法である。
【0011】
技術水準の欠点は使用されるポリアミド粉末の照射されない部分がレーザー焼結機器の構造空間を支配する条件(高温、きわめて低い水分レベル)下で後縮合する傾向を有することである
一部の研究が明らかにするように、再生ポリアミド粉末およびコポリアミド粉末がISO307による明らかに増加した溶液粘度を有し、次の形成法に使用するために限られた能力のみを有する。
【0012】
速いプロトタイプ形成または速い製造装置で処理する間に一貫して良好な結果を達成するために、技術水準は常に再生粉末をかなりの量の未使用粉末と混合する。未使用粉末の必要な量は成分が消費する量よりかなり高い。結果として過剰の再生粉末が再利用できず、廃棄しなければならない。特にフィリグリー部品の場合に、このやり方でかなりの量のリサイクル粉末が生じ、他の形成法に使用できない。
【0013】
モノまたはジカルボン酸調節ポリアミドの使用にもとづくリサイクル性が改良された粉末は文献に記載されている(特許文献12参照)。この技術水準の欠点はこれにより製造される部品の破断時の引っ張り歪みの損失である。未使用の粉末の場合にもこれは10%以下の値に低下する。これは機能的プロトタイプとしての使用または速い製造への使用を制限する。
【0014】
金属石鹸のような特定の添加剤の添加によりリサイクル性の改良が達成される(特許文献13参照)。この場合の欠点は製造された部品が添加剤をある程度溶剤と接触して放出し、特に食品または皮膚と接触する特定の用途でその使用が制限されることである、
均一なジアミン調節粉末は不十分な結果を生じる。加熱した場合に溶液粘度はほぼ安定に維持されるが、知られていない副反応の結果として熱老化の際に溶解しないまたはゲル化した部分の形成が繰り返して認められる。
【特許文献1】米国特許第6136948号
【特許文献2】WO96/06881号
【特許文献3】欧州特許第0911142号
【特許文献4】ドイツ特許第19708946号
【特許文献5】ドイツ特許第4421454号
【特許文献6】WO01/38061号
【特許文献7】欧州特許第1015214号
【特許文献8】ドイツ特許第10311438号
【特許文献9】ドイツ特許第102004012682.8号
【特許文献10】ドイツ特許第102004012683.6号
【特許文献11】ドイツ特許第102004020452.7号
【特許文献12】ドイツ特許第10320590.4号
【特許文献13】ドイツ特許第10330591.2号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って本発明の課題は、それぞれの層の部分が選択的に溶融され、粉末が、未使用の粉末の少量の添加により、または未使用の粉末を完全に添加せずに、構造材料として直接再使用するために適しており、廃棄しなければならないリサイクル粉末の生じる量が減少する、層状に重ねる方法に使用する目的の粉末を提供することである。この目的は技術水準と比較して機械的特性を損失せず、溶剤と接触して添加剤が放出する可能性もない。
【課題を解決するための手段】
【0016】
意想外にも、反対に二官能性に調節されたポリアミドまたはコポリアミドの混合物がほとんど一定の溶液粘度を有する粉末を生じることができ、これらの反対に二官能性に調節されたポリアミドの混合物からなる粉末が、未使用の粉末を添加せずに、またはきわめて少ない量の未使用の粉末を添加して、速いプロトタイプ形成または速い製造法に繰り返して使用できることが見出された。本発明の粉末混合物において溶解しないまたはゲル化した部分の形成は成分I(以下参照)の完全な溶融が完全に満足する構造特性を生じるので、破壊的な作用を示さない、
従って本発明はそれぞれの層の部分が選択的に溶融され、反対に二官能性に調節されたポリアミド粉末または反対に二官能性に調節されたコポリアミド粉末の混合物からなる、層状に重ねた方法に使用するための、ポリアミド粉末またはコポリアミド粉末を提供する。
【0017】
本発明は更にそれぞれの層の部分が選択的に溶融され、反対に二官能性に調節されたポリアミドまたはコポリアミドの混合物を含有するポリマー粉末を使用する層状に重ねた方法で成形品を製造する方法を提供する。
【0018】
本発明は更にそれぞれの層の部分が選択的に溶融され、反対に二官能性に調節されたポリアミドまたはコポリアミドを含有する層状に重ねた方法により製造される成形品を提供する。
【0019】
本発明の粉末の利点は、それぞれの層の部分が選択的に溶融される層状に重ねた方法に使用するために、少量の未使用の粉末と混合してまたは混合せずに、リサイクル粉末の形で直接再使用することができることである。これらの優れたリサイクル特性はしばしばリサイクル粉末の廃棄を不要にする。
【0020】
優れたリサイクル特性の1つの理由は、特に、熱応力にさらした場合に未焼結粉末の溶液粘度の著しい増加が起こらないことである。これはおそらく本発明の粉末に存在する調節されたポリアミドまたはコポリアミドが調節されないポリアミドより後縮合の傾向が少ないことに関係する。これは種々の調節された粒子の内部で適用される。原則的に後縮合の現象は縮合により製造される任意のポリマー、すなわちポリエステル、ポリアミド等に関係する。PAはこの点で特に反応性であり、カルボキシル末端基の数とアミノ末端基の数がほぼ同じである場合に、後縮合が起こり、形成工程でポリアミドの溶液粘度が増加することが判明した。更に使用される粉末の末端基滴定が多くの場合に調節されない副反応によるアミノ基の損失がカルボキシ基に関して化学量論的により大きく、これが熱酸化架橋反応の存在を示すとみなされ、これが更に使用される粉末の流動性を弱めることを示す。この調節が実質的に個々のポリマー粒子内部の後縮合を阻止する。同様に溶融しない部分では粒界をこえる後縮合が起こらない。従って粉末の溶液粘度は速いプロトタイプ形成または速い製造工程で熱応力が発生した後でもほぼ安定に維持され、粉末を、これから製造される部品の機械的特性または表面特性を損なわずに他の通過に再使用できる。反対に溶融した部分では調節剤としてジ酸およびジアミンを使用する場合に、反対に二官能性に調節されたポリアミドまたはコポリアミドの反対の官能性末端基が溶融物内部で十分に高い温度で互いに出会うので、ポリマー鎖の延長が行われる。これは層境界をこえる良好な強度および弾性率および破断時引張り歪および密度に関するきわめて良好な構造特性を生じる。
【0021】
レーザー焼結に使用される通常の未使用粉末はISO307によるηrel=約1.6の溶液粘度を有する。2時間以上、極端な場合は数日の形成時間にわたるレーザー焼結の間の熱応力および熱酸化応力(後縮合+架橋)の結果として、照射されない粉末(リサイクル粉末)は多くの場合にわずかな流動性を示し、このリサイクル粉末をレーザー焼結に直接使用する場合は、結果として製造される成形品で欠陥と好ましくない孔の数が増加する。成形品は粗く、ざらざらした表面(ミカン肌効果)を有し、破断時引張り歪、引張り強さおよび弾性率に関する明らかに少ない機械的特性および減少した密度を有する。
【0022】
規格および一定の特性を満たす満足な部品を得るために、技術水準のリサイクル粉末はかなりの量の未使用粉末と混合しなければならない。次の形成工程で通常使用されるリサイクル粉末の量は20〜70%である。リサイクル粉末が充填剤、例えばガラスビーズを含有する場合は、一般に50%より多くのリサイクル粉末を使用できない。前記のミカン肌効果をある程度除くために、EOS社は、例えばその製品情報で(材料データシート、Fine polyamidePA2200,EOSINITP,2001年3月)、リサイクル粉末と未使用粉末の1:1、および2:1以下の比をすすめている。
【0023】
本発明の粉末は冒頭に記載の方法のいずれにおいても熱応力に対して明らかに影響が少なく、従ってそれぞれの層の部分が選択的に溶融される層状に重ねた方法に、直接または明らかに少ない未使用粉末の混合物と一緒に、リサイクル粉末として再使用することができる。これは粉末が充填剤または難燃剤のようなほかの添加剤を含有する場合にも該当する。これらのすべての場合において、本発明の粉末は明らかに改良されたリサイクル特性を有する。1つの特別な利点は粉末の完全なリサイクルが可能であることである。
【0024】
本発明の熱老化粉末のきわめて有効な再使用を可能にする他の理由は、意想外にも、本発明の粉末を熱老化した場合に、再結晶温度で沈殿が観察されず、多くの場合に再結晶温度の上昇が観察されることである。結果は、老化した本発明の粉末を使用して構造物を形成する場合に、達成される結晶特性が未使用粉末を使用して達成された特性とほとんど同じである。これまで通常使用された老化した粉末は、達成される温度が未使用粉末の達成温度より明らかに低い場合にのみ結晶し、従って再使用した粉末が形成構造に使用される場合にくぼみが生じる。
【0025】
本発明の粉末の他の利点は選択的レーザー焼結にしばしば使用される調節されないポリアミドをベースとする通常の粉末と任意の所望の量で(0〜100部)混合できることである。調節されないポリアミドをベースとする粉末と比較した場合に、得られる粉末混合物は溶液粘度の小さい上昇を示し、従って改良されたリサイクル性を生じる。
【0026】
本発明の粉末を、この粉末を使用する方法と同様に以下に説明するが、本発明をこれに限定するものでない。
【0027】
それぞれの層の部分が選択的に溶融される層状に重ねた方法に使用する本発明の粉末は反対に二官能性に調節されたポリアミドまたはコポリアミドの混合物からなる。これはジ酸調節されたおよびジアミン調節されたポリアミドまたはコポリアミドの混合物を意味する。本発明の混合物中のアミノ末端基とカルボキシ末端基の比が1:1にできるだけ近いことが有利である。
【0028】
例えばレーザー焼結工程で熱応力にさらされる通常の粉末の化学分析は分子量の増加から生じる溶液粘度の明らかな増加を示し、反応したカルボキシ末端基に関して化学量論的により多いアミノ末端基の数の減少を示す。これは第1にポリアミド粉末またはコポリアミド粉末中の遊離アミノ末端基およびカルボキシ末端基がRM/RP機器での条件下で水を除去して互いに反応することにより説明され、この反応は後縮合として知られる。第2にアミノ官能基の数の減少はこれらの基の熱酸化による除去、引き続く架橋に帰因する。
【0029】
混合物の第1成分の重合の間のジカルボン酸調節剤の作用は遊離アミノ末端基の数が減少することである。従って本発明により使用される第1ポリアミドまたはコポリアミド成分中に、過剰のカルボキシ末端基が存在する。
【0030】
対照的にジアミンは混合物の第2成分の重合の間に調節剤として使用され、遊離酸基の数の減少を生じる。従って、本発明により使用される第2ポリアミド成分IIまたはコポリアミド成分II中に過剰のアミノ末端基が存在する。
【0031】
2つの粉末状成分を、例えば高速混合機で混合するために、ドライブレンド法を使用する。
【0032】
酸末端基の全部の数が成分IおよびIIにわたるアミノ末端基の全部の数とほぼ同じになるように量的特性を有利に調節する。本発明の粉末混合物中の酸末端基とアミノ末端基の比、またはアミノ末端基と酸末端基の比は5:1より少なく、有利に3:1より少なく、特に有利に1.5:1、きわめて有利に1:1である。成分Iと成分IIの溶液粘度の差は場合により0.4以下、有利に0.2以下、特に有利に0.1以下である。他の有利な要素は、良好な流れの成分が悪い流れの成分を包囲するマトリックスのように作用して、製造される成分中の空洞の数を最小にするために、一方の成分と他方の成分の約0.3〜0.4の意図的な溶液粘度の差にある。
【0033】
溶液粘度はDIN307によりm−クレゾール溶液中で0.5%濃度で決定する。
【0034】
第1粉末成分のポリアミドまたはコポリアミド中の本発明の過剰のカルボキシ末端基または粉末の第2粉末成分のポリアミドまたはコポリアミド中の本発明の過剰のアミノ末端基は溶液粘度および本発明の粉末中のポリアミドまたはコポリアミドからの末端基の熱酸化損失の増加の明らかな減少または完全な除去を可能にする。
【0035】
本発明の第1粉末成分は有利に調節剤として有利にジカルボン酸0.01〜5部、有利に0.1〜2部を含有するポリアミドまたはコポリアミドからなる。
【0036】
本発明の第1粉末成分は特に有利にカルボキシ末端基とアミノ末端基の比が2:1またはこれより高いポリアミドまたはコポリアミドからなる。このポリアミドまたはコポリアミド中のアミノ末端基の含量は40ミリモル/kg以下、有利に20ミリモル/kg以下、特に有利に10ミリモル/kg以下であることができる。ポリアミドまたはコポリアミドの溶液粘度はISO307によりm−クレゾール中0.5%濃度で測定して有利に1.4〜2.0、特に有利に1.5〜1.8である。
【0037】
本発明の第2粉末成分は有利に調節剤としてジアミンを有利に0.01〜5部、有利に0.1〜2部含有するポリアミドまたはコポリアミドからなる。
【0038】
本発明の第2粉末成分は特に有利にカルボキシ末端基とアミノ末端基の比が1:2またはこれより大きいポリアミドまたはコポリアミドからなる。このポリアミドまたはコポリアミド中のカルボキシ末端基の含量は40ミリモル/kg以下、有利に20ミリモル/kg以下、特に有利に10ミリモル/kh以下であることができる。ポリアミドまたはコポリアミドの溶液粘度はISO307によりm−クレゾール中で測定して有利に1.4〜2.0、特に有利に1.5〜1.8である。
【0039】
粉末は反対に二官能性に調節されたおよび調節されないポリアミドまたはコポリアミドの混合物からなる。粉末は有利に反対に二官能性に調節されたおよび調節されないポリアミドの混合物からなり、混合物中の調節されたポリアミドまたはコポリアミドの割合は0.1〜99.9%、有利に5〜95%、特に有利に10〜90%であり、更に有利な範囲は30〜70%、40〜60%、および20〜80%である。粉末が反対に二官能性に調節されたおよび調節されない粉末の混合物からなるので、粉末の使用者は必要な場合に調節されない粉末または調節されないリサイクル粉末の予備的目録を利用できる。
【0040】
原則的に本発明の粉末に二官能性の調節剤を有するいずれのポリアミドも使用できる。しかし粉末が調節されたポリアミド−12またはポリアミド−11を含有することが有利である。特に粉末が沈殿したポリアミド−12を含有することが有利である。沈殿したポリアミド−12の製造は例えばドイツ特許第2906647号に記載されている。本発明の焼結粉末は特に有利に円形粒子形の沈殿したポリアミド−12を含有し、例えばドイツ特許第19708946号またはドイツ特許第4421454号により製造できる。本発明の粉末は特に有利に融点185〜189℃、融解エンタルピー112±17kJ/モルおよび凝固点138〜143℃を有する調節されたポリアミド−12を含有し、調節されない形と同様に欧州特許第0911142号に記載されている。
【0041】
コポリアミドは同様に本発明の粉末の1つまたは2つの成分に有利に使用することがsできる。ラクタム、ジアミン/ジカルボン酸塩および/またはアミノカルボン酸の群からの少なくとも1つの単位からなるコポリアミドが有利である。本発明の粉末は特に有利にラウロラクタム、カプロラクタム、およびアミノウンデカン酸からなる群からのモノマー単位を含有するかまたはほぼ等モル量の6〜22個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸、例えばアジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸、または10〜16個の炭素原子を有する脂肪族ジアミン、例えばヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、2,2,4−または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミンを含有する。脂肪族ジカルボン酸のほかに、一般に高いガラス転移温度を生じる芳香族ジカルボン酸も使用され、例はテレフタル酸またはイソフタル酸である。脂肪族ジアミンのほかに、芳香族ジアミンも使用され、例はイソホロンジアミン、ピペラジン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンである。相当する塩も使用できる。
【0042】
カプロラクタム、ラウロラクタムおよびAH塩からなる組合せがカプロラクタム、ラウロラクタムおよびDH塩またはカプロラクタムおよびラウロラクタムからなる組合せと同様に、特に知られている。これらのコポリアミドは特に低い融点を特徴とする。低い対称性コモノマー、特にトリメチルヘキサメチレンジアミン(TMD、異性体混合物)、イソホロンジアミン(IPD)、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(PACM、異性体混合物)は更に結晶性を減少し、極端な場合は完全に非晶質のコポリアミドを生じ、高い寸法安定性を生じ、適当な場合は成形品の透明度を増加する。他の適当なコモノマーおよびその選択の規則は当業者に知られており、例えばJ.G.Dolden、Polymer(1976、17)875−892頁に記載されている。
【0043】
反対の二官能性の調節を有する少なくとも2種の成分を有する本発明の粉末は有利に平均粒度d50が10〜250μm、有利に30〜100μm、特に有利に40〜80μmであるポリアミドまたはコポリアミドを含有する。BET表面積は有利に15m/g以下であり、有利に10m/gより小さく、特に有利に6m/gより小さい。粒度分布は狭くても、広くてもよく、二モードであってもよい。
【0044】
粉末の加工性を改良するために、または更に変性するために、無機異種顔料、遷移金属酸化物、安定剤、例えばフェノール、特に立体障害フェノール、粉末流動助剤および他の流動助剤、例えばヒュームドシリカおよび充填剤粒子または他の添加剤を粉末に添加することができる。記載できる特別の顔料はカーボンブラックおよび二酸化チタンである。添加されるこれらの物質の量は粉末中のポリマーの全質量を基準として有利に本発明の粉末に対する充填剤および添加剤に関して記載された濃度に従う。
【0045】
反対の二官能性の調節を有する少なくとも2種の成分を含有する本発明の粉末の熱老化の後に、再結晶温度(DSC冷却曲線での再結晶ピーク、ISO11357により冷却速度20K/分で測定した)および/または結晶化のエンタルピーは有利に未使用粉末の値より小さい値に移動しない。熱老化は粉末を再結晶温度から融点より数度低い温度までの範囲の温度に数分から2日以上さらすことを意味する。典型的な人工的老化の1つの例は再結晶温度±約5Kに等しい温度で5〜10日、有利に7日間行うことができる。構造物を形成するための粉末の使用中の老化は典型的に融点より1〜15K、有利に3〜10K低い温度で、個々の成分を形成するために必要な時間に依存して数分から2日までの時間行う。前記のRPおよびRM工程中に行われる熱老化において、三次元物品の層の形成中に溶融しない粉末を形成室内の形成工程の間の融点より数度低い温度にさらす。本発明の有利な調節された粉末は、粉末の熱老化の後に再結晶温度(再結晶ピーク)および/または結晶化のエンタルピーを有し、これらが高い値に移動する。再結晶温度および結晶化のエンタルピーが両方高い値に移動することが有利である。未使用粉末の形で138℃より高い再結晶温度を有する本発明の粉末はきわめて有利に135℃で7日間老化することにより得られるリサイクル粉末の形で未使用粉末の再結晶温度より0〜3K、有利に0.1〜1K高い再結晶温度を有する。
【0046】
反対に二官能性の調節を有する少なくとも2個の成分を有する本発明の粉末は少なくとも反対に二官能性に調節されたポリアミド成分または反対に二官能性に調節されたコポリアミド成分のほかに、少なくとも1種の他の充填剤または添加剤を含有することができる。これらの充填剤の例はガラス粒子、金属粒子、またはセラミック粒子、または難燃剤であってもよい。粉末は特に充填剤としてガラスビーズ、粒状アルミニウム、スチールショット、または粒状金属を含有することができる。
【0047】
充填剤粒子または添加剤粒子の平均粒度は有利にポリアミドまたはコポリアミド粒子の平均粒度より小さいかまたはほぼ同じである。充填剤または添加剤の平均粒度d50がポリアミドまたはコポリアミドの平均粒度d50を上回る量は有利に20%以下、有利に15%以下、特に5%以下でなければならない。粒度の具体的な限界は個々のRPまたはRM装置での許容できる層厚から生じる。他の有利な範囲は20μm以下、有利に15μm以下の充填剤または添加剤の粒度にある。本発明の粉末は有利に存在する全部のポリマーに対してこれらの充填剤または添加剤75質量%未満、有利に0.001〜70質量%、特に0.05〜50質量%、特に有利に0.5〜40質量%を含有する。
【0048】
添加剤および/または充填剤の前記の最大濃度が結果を上回る場合は、使用される充填剤または添加剤に依存して、これらのコポリマー粉末を使用して製造される成形品の機械的特性を明らかに損失することがある。
【0049】
反対に二官能性の調節を有する少なくとも2個の成分を含有する本発明の粉末は有利に粉末を製造する以下に記載される方法により製造される。この方法において粉末は2個のポリアミドまたはコポリアミドから製造され、ポリアミドまたはコポリアミドは反対に二官能性の調節を有し、第1成分が過剰のカルボキシ末端基を有し、第2成分が過剰のアミノ末端基を有することである。意想外にも未使用粉末を製造する出発物質が2つの反対に二官能性に調節された成分を有するポリアミドまたはコポリアミドである場合に、得られる粉末が完全にリサイクル可能であり、未使用粉末の形成特性とほぼ同じ形成特性を有することが判明した。
【0050】
第1ポリアミド成分またはコポリアミド成分は有利に調節剤としてジカルボン酸を0.01〜5部、有利に0.1〜2部含有する。本発明の粉末の第1成分中のカルボキシ末端基とアミノ末端基の比は有利に2:1以上、有利に5:1〜500:1、特に10:1〜50:1である。本発明の粉末を製造するために使用されるポリアミドまたはコポリアミドが第1成分中に40ミリモル/ポリアミドkg未満、有利に20ミリモル/ポリアミドkg、特に有利に10ミリモル/ポリアミドkg未満のアミノ末端基を含有することが有利である。
【0051】
第2ポリアミド成分または第2コポリアミド成分は有利に調節剤としてジアミン0.01〜5部、有利に0.1〜2部を有する。トリアミンも使用する。本発明の粉末の第2成分中のアミノ末端基とカルボキシ末端基の比は有利に2:1以上、有利に5:1〜500:1、特に有利に10:1〜50:1である。本発明の粉末を製造するために、第2成分中に、カルボキシ末端基含量が40ミリモル/ポリアミドまたはコポリアミドkgより少なく、有利に20ミリモル/ポリアミドまたはコポリアミドより少なく、特に有利に10ミリモル/ポリアミドまたはコポリアミドより少ない、ポリアミドまたはコポリアミドを使用することが有利である。
【0052】
調節されたポリアミドの製造を以下に説明する。調節されたポリアミド粉末の製造の主な特徴はドイツ特許第4421454号およびドイツ特許第19708946号に予め記載されている。これらの明細書においてこれらのポリアミドは流動床焼結粉末を生じる再沈殿のためのペレット化出発物質として記載されている。
【0053】
コポリアミドの製造は例えばドイツ特許第3248766号に記載され、当業者に周知である。熱可塑性ランダムコポリマーの製造の間に生じるペレットを引き続き低温、例えば−30℃で、衝撃ミル、またはピン付き円板ミル中で窒素下に粉砕し、粉末状粒子を得る。引き続き少なくとも1つの慎重なふるい分けを実施し、きわめて粗い粒子を除去する。引き続き材料を分別することが最も望ましい。本発明の粉末の粒度範囲は0〜150μm、有利に0〜120μmである。
【0054】
この場合に粒度分布はかなり広く維持される。D90/D10比の典型的な値は1:2〜1:15、有利に1:3〜1:5である。粉砕中に製造される鋭い角のある粒子を丸くし、かなり薄い層を適用する能力を改良するために、例えば高速ミキサーでの機械的後処理が望ましい。
【0055】
第1ポリアミド成分または第1コポリアミド成分に適した調節剤の例は2〜30個の炭素原子を有する直鎖状、環状、または分枝状、有機ジカルボン酸である。記載できるジカルボン酸の限定されない例は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、ブラシル酸、テトラデカンジ酸、ペンタデカンジ酸、オクタデカンジ酸、イソフタル酸、テレフタル酸、および適当なジカルボン酸の混合物である。特に適当なジカルボン酸は6〜30個の炭素原子を有する炭化水素鎖を有するジカルボン酸である。前記RP/RM法の間にポリアミドまたはコポリアミドの問題のない使用を可能にするために、調節剤として揮発性ジカルボン酸、特に150℃より低い、有利に180℃より低い、特に有利に190℃より低い沸点を有するジカルボン酸を使用しないことが有利である。前記RP/RM法での揮発性カルボン酸の使用はカルボン酸が粉末内部に化学的に結合しない形で残る場合は、これらのカルボン酸が形成工程の間に揮発し、レーザー焼結の場合に、燻蒸によりレーザー光学素子に不利に作用し、最も悪い場合は装置を損傷するので特に破壊的である。
【0056】
この場合にジカルボン酸の語は遊離カルボン酸官能基だけでなく、それぞれのカルボン酸の官能性誘導体を含むことを意味し、例は酸ハロゲン化物、エステル官能基、アミド官能基、無水物、ニトリル、または相当するカルボン酸塩であり、これらのそれぞれは重合/重縮合条件下で遊離カルボン酸に変換できる。
【0057】
第2ポリアミド成分または第2コポリアミド成分に適した調節剤の例は2〜30個の炭素原子を有する直鎖状、環状および分枝状有機ジアミンである。ジアミンに関して記載できる限定されない例は1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1.12−ジアミノドデカン、1,6−ジアミノ−2,2,4/2.4.4−トリメチルヘキサン、および1,3−ビス(アミノエチル)ベンゼン、メチルペンタジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、イソホロンジアミン、C10ジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、PACM、TMDおよび適当なジアミンの混合物である。6〜30個の炭素原子を有する脂肪族、環状脂肪族または芳香脂肪族ジアミンが特に適している。前記RP/RM法でのポリアミドまたはコポリアミドの問題のない使用を可能にするために、使用される調節剤が揮発性ジアミン、特に150℃以下、有利に180℃以下、特に有利に190℃以下の沸点を有するジアミンを含有しないことが有利である。前記RP/RM法での揮発性ジアミンの使用はこれらのジアミンが粉末内部に化学結合されない形で残る場合に、これらが形成工程の間に揮発し、レーザー焼結の場合に燻蒸によりレーザー光学素子に不利に作用し、最も悪い場合は装置を損傷するので特に破壊的である。沈殿粉末の場合は有利に沈殿の前に出発ペレットの抽出を行うことができる。
【0058】
この場合にジアミンの語は遊離アミン官能基だけでなく、それぞれのアミンの官能性誘導体を含むことを意味し、例はイソシアネートであり、これらのそれぞれは重合/重縮合条件下で遊離アミンに変換できる。
【0059】
調節剤は有利に重合が終了する前にポリアミドまたはコポリアミドに導入する。この重合はそれぞれのラクタム、例えばラウロラクタム、または適当なω−アミノカルボン酸、例えばω−アミノドデカン酸、または適当なコポリアミドの単位から出発することができる。ポリアミドまたはコポリアミドに触媒を添加することが有利であり、例は次亜リン酸である。
【0060】
しかし本発明の目的のために、第1成分の製造の場合にアミノ末端基がまたは第2成分の製造の場合にカルボキシ末端基が反応条件下で前記の範囲で反応する限りで、調節剤を溶融液中、固相中で、または溶液中で高分子ポリアミドまたはコポリアミドと反応させることもできる。原則的にポリアミドを使用する場合に、他の可能な方法は、ドイツ特許第2906647号に記載される沈殿法によるポリアミドの製造の間のポリアミドと調節剤の反応である。この沈殿法において、ポリアミド−12を溶剤、有利にエタノールに溶解し、この溶液から所定の条件下で晶出する。この工程の間に調節剤を例えばポリアミド−12の溶液に添加することができる。この時点で次亜リン酸のような触媒をポリアミドまたはコポリアミドに添加することが有利である。
【0061】
ジアミンおよびジカルボン酸をベースとするポリアミドを使用する場合に、これらはAABBポリアミドとして知られており、合成は公知方法で行われ、相当するポリアミド塩の溶液から、またはほぼ等モル比のジアミンおよびジカルボン酸の溶融物から出発する。この場合に変色を避けるために、ドイツ特許第4317189号により第一級アミンの添加により溶融したジカルボン酸が安定化されていることが有利である。
【0062】
本発明によりAABBタイプの場合は再び、本発明の粉末の第1成分に関して、過剰のカルボキシ末端基を使用してポリアミドを製造し、ポリアミドは調節剤としてジカルボン酸0.01〜5部、有利に0.1〜2部を含有する。AABBタイプの調節されたポリアミド中のカルボキシ末端基とアミノ末端基の比は有利に2:1以上、有利に5:1〜500;1、特に10:1〜50:1である。この場合に再び本発明の粉末の第1成分の製造に使用されるAABBタイプポリアミドが40ミリモル/ポリアミドkgより少ない、有利に20ミリモル/ポリアミドkgより少ない、特に有利に10ミリモル/ポリアミドkgより少ないアミノ末端基含量を有することが有利である。調節のために前記ジカルボン酸を再び使用することができ、AABBポリアミドに関して、ここで最も簡単な場合はポリアミドのベースとなる過剰のジカルボン酸を使用することができる。
【0063】
本発明の粉末の第2成分に関して、AABBポリアミドを使用する場合は、過剰のアミノ末端基を使用してポリアミドを製造し、ポリアミドは調節剤としてジアミン0.01〜5部、有利に0.1〜2部を含有する。AABBタイプのアミン調節されたポリアミド中のアミノ末端基とカルボキシ末端基の比は有利に2:1以上、有利に5:1〜500;1、特に10:1〜50:1である。この場合に再び本発明の粉末の第2成分の製造に使用されるAABBタイプポリアミドが40ミリモル/ポリアミドkgより少ない、有利に20ミリモル/ポリアミドkgより少ない、特に10ミリモル/ポリアミドkgより少ないカルボキシ末端基含量を有することが有利である。調節のために、任意の前記アミンを再び使用することができ、ここでAABBポリアミドに関して最も簡単な場合はポリアミドのベースとなる過剰のジアミンを使用することができる。
【0064】
第1成分および第2成分のために調節された、得られたポリアミドまたはコポリアミドをペレット化し、引き続き粉砕し、またはホモポリアミドの場合は、有利にドイツ特許第2906647号、ドイツ特許第19708946号、またはドイツ特許第4421454号(Huels社)により処理し、沈殿した粉末を生じる。本発明の粉末は2つの成分のドライブレンド混合により、例えば2つの成分を高速ミキサーに添加することにより得られる。ヒュームドシリカのような技術水準の粉末流動助剤を成分および/または混合物に添加することが有利である。粉末流動助剤の典型的な量は組成物に存在するポリアミドまたはコポリアミドに対して0.01〜10%である。
【0065】
製造方法により、本発明の粉末に存在するポリアミド粒子またはコポリアミド粒子は酸で調節されたまたはアミンで調節された粒子である。結果として、RP/RM装置に存在する熱応力のような長時間持続する熱応力にさらされる場合にも、個々の粒子内部で粘度の上昇または後縮合が実質的に抑制される。反対に、冷却後に成分を形成する溶融した部分で、2つの成分が互いに反応し、粘度上昇または後縮合を生じることができ、これは成分の結合した良好な機械的特性のために望ましい。本発明の粉末中の酸末端基の全部の数がアミノ末端基の全部の数にほぼ等しくなるように、量的割合を有利に調節する。本発明の粉末中の酸末端基とアミノ末端基またはアミノ末端基と酸末端基の比は3:1未満、有利に2:1未満、特に1.5:1、特に有利に1:1である。2つの出発成分の溶液粘度の差は場合により0.4以下、有利に0.2以下、特に0.1以下である。
【0066】
ポリアミドまたはコポリアミドをベースとし、それぞれの層の部分が選択的に溶融する層状に重ねる方法で成形体を製造する方法に使用するための本発明の方法により製造される、使用される未使用粉末は、典型的にISO307により、溶剤として1%リン酸ドープm−クレゾールおよび溶剤に対してポリアミド0.5質量%を使用してηrel=1.4〜2.0の溶液粘度、有利にηrel=1.5〜1.8の溶液粘度を有する。本発明の粉末が少なくとも1つのアミン調節されたおよび1つの酸調節された成分を含有する場合は、リサイクル粉末の溶液粘度およびアミノ末端基および酸末端基含量が未使用粉末の溶融粘度およびアミノ末端基および酸末端基とほとんど異ならず、従ってリサイクル粉末を慎重にに濾過後、再処理できる。しかし成分を形成する溶融した部分は溶液粘度の増加を示し、従って良好な機械的特性を示し、特に1つの調節された成分のみからなる材料と比較した場合に破断時引っ張り歪みの改良を示す。
【0067】
粉末を製造するために、未使用粉末の形で反対に二官能性に調節されたポリアミド粉末または反対に二官能性に調節されたコポリアミド粉末だけでなく、リサイクル粉末の形の調節されたポリアミド粉末または調節されたコポリアミド粉末を含有する混合物を製造することが有利である。製造される粉末が反対に二官能性に調節されたポリアミド粉末または反対に二官能性に調節されたコポリアミド粉末だけでなく、調節されないポリアミド粉末または調節されないコポリアミド粉末を含有する混合物であることが可能である。製造される粉末が反対に二官能性に調節されたポリアミドまたはコポリアミドだけでなく、種々の充填剤、例えばガラス粒子、セラミック粒子、または金属粒子、または他の添加剤、例えば難燃剤を含有する混合物であることが有利である。典型的な充填剤の例は粒状金属、例えば粒状アルミニウム、またはスチールショット、またはガラスビーズである。
【0068】
この場合に充填剤粒子の平均粒度は有利にポリアミドまたはコポリアミドの粒子の平均粒度より小さいかまたはほぼ等しい。充填剤の平均粒度d50がポリアミドまたはコポリアミドの平均粒度d50を上回る量は有利に20%以下、有利に15%以下、特に5%以下であるべきである。粒度の具体的な限界は前記方法(RP/RM法)に適しているRP/RM装置で許容される全部の高さまたは層厚から生じる。典型的に20〜80μmの平均直径を有するガラスビーズを使用する。他の利点は20μm以下、有利に15μm以下の充填剤または添加剤の平均粒度にある。
【0069】
本発明の粉末は有利にそれぞれの層の部分が選択的に溶融され、少なくとも2個の反対に二官能性に調節されたポリアミド成分または少なくとも2個の反対に二官能性に調節されたコポリアミド成分からなる粉末を使用する層状に重ねた方法で成形体を製造する方法に使用する。
【0070】
この方法に使用される粉末は、有利にカルボキシル末端基とアミノ末端基の比が2:1より大きく、40ミリモル/kgより小さいアミノ末端基含量を有し、ISO307による1.4〜2.0の相対的溶液粘度を有する、酸調節されたポリアミドまたはコポリアミドからなる第1成分およびアミノ末端基とカルボキシ末端基の比が2:1より大きく、40ミリモル/kgより小さいカルボキシ末端基を有し、ISO307による1.4〜2.0の相対的溶液粘度を有する第2成分からなる。
【0071】
粉末はポリアミド−11および/またはポリアミド−12を有することができる。
【0072】
この方法で第1成分として、ジカルボン酸またはその誘導体により調節されたポリアミドまたはコポリアミドを含有し、第2成分として、ジアミンまたはその誘導体により調節されたポリアミドまたはコポリアミドを含有する粉末を使用することが有利である。第1成分は1個以上の線状、環状または分枝状有機ジカルボン酸または2〜30個の炭素原子を有するその誘導体により調節されたポリアミドまたはコポリアミドを含有することができる。第2成分は1個以上の線状、環状または分枝状有機ジアミンまたは2〜30個の炭素原子を有するその誘導体により調節されたポリアミドまたはコポリアミドを含有することができる。
【0073】
それぞれの層の部分が選択的に溶融される層状に重ねた方法で成形体を製造するための本発明の方法に有利に使用される粉末はISO307による相対的溶液粘度が1.5〜1.8であるポリアミド粉末またはコポリアミド粉末を含有する。
【0074】
本発明の方法で、使用されるポリアミドまたはコポリアミドに対して、調節のために使用されるジカルボン酸0.01〜5質量%、有利に0.1〜2質量%を含有し、アミノ末端基含量が20ミリモル/ポリアミドまたはコポリアミドkg以下であり、有利に10ミリモル/ポリアミドまたはコポリアミドkgより小さい第1成分および使用されるポリアミドまたはコポリアミドに対して、調節のために使用されるジアミン0.01〜5質量%、有利に0.1〜2質量%を含有し、カルボキシ末端基含量が20ミリモル/ポリアミドまたはコポリアミドkg以下であり、有利に10ミリモル/ポリアミドまたはコポリアミドkgより小さい第2成分を使用することが特に有利であることが示された。前記方法を実施する1つの方法は反対に二官能性に調節されたおよび調節されないポリアミド粉末または反対に二官能性に調節されたおよび調節されないコポリアミド粉末の混合物を含有する粉末を使用し、混合物中の調節された粉末の割合は0.1〜99.9%、有利に5〜95%、特に25〜75%である。
【0075】
本発明の方法に使用され、反対に二官能性に調節されたポリアミドまたはコポリアミドを含有する粉末は、未使用粉末、リサイクル粉末、または未使用粉末とリサイクル粉末の混合物であってもよい。リサイクル粉末またはリサイクル粉末と未使用粉末の混合物を含有する粉末を使用することが前記方法で有利であり、混合物中の未使用粉末の割合は50%より少なく、有利に25%より少なく、特に10%より少ない。リサイクル粉末少なくとも40質量%を含有する粉末を使用することが得に有利である。
【0076】
使用される粉末は更に充填剤、有利に無機充填剤を含有することができる。使用されるこれらの無機充填剤の例はガラス粒子、セラミック粒子またはガラスビーズであってもよい。
【0077】
本発明の方法および本発明の粉末の使用はそれぞれの層の部分が選択的に溶融され、反対に二官能性に調節されたポリアミドまたはコポリアミドを含有する、層状に重ねた方法で成形体を製造する方法により製造される成形体に到達する。特に反対に二官能性に調節されたポリアミド−12を含有する成形体が達成できる。反対に二官能性に調節されたおよび調節されないポリアミドまたはコポリアミドの混合物を含有する成形体を得ることも可能であり、ポリアミドまたはコポリアミド混合物中の調節されたポリアミドまたはコポリアミドの割合は0.1〜100%である。
【0078】
本発明の成形体は特に老化材料の形で(前記のように老化する)本発明の粉末を使用することにより製造することができ、その際この材料の再結晶ピークおよび結晶化のエンタルピーは老化しない材料より小さくない。本発明の成形体は、有利に老化材料を使用して製造され、その再結晶ピークおよび結晶化のエンタルピーは老化しない材料より高い。リサイクル粉末の使用にもかかわらず、成形体の特性は未使用粉末から製造される成形体の特性とほとんど同じである。
【0079】
反対に二官能性に調節されたポリアミドまたはコポリアミド、特に反対に二官能性に調節されたポリアミド−12を含有する成形体の製造は成形体を製造するためにすべてのリサイクル粉末を使用することができるので、実質的により環境に適合し、経済的である。
【0080】
これらの成形体の適用分野は速いプロトタイプ形成および速い製造に見出される。後者は常に小さい製造工程、すなわち射出成形により製造される2個以上の部品の製造を意味するが、不経済である。ここでの例は少ない数でのみ製造される高品質の車用部品、または数が少ないだけでなく、利用時間も役割があるモータースポーツ用交換部品である。他の適用の例は高品質ファッション製品、例えば眼鏡フレームである。かなり多くの数で製造される類似の、独立の部品の製造も含まれ、例は補聴器である。本発明の部品を使用する工業的分野の可能な例は航空機産業、医療技術、機械工学、自動車構造、スポーツ工業、家庭用品産業、電気産業およびライフスタイル製品である。
【0081】
ポリアミドまたはコポリアミド粉末の老化特性に関する以下の例は本発明を更に説明するためのものであるが、本発明を実施例に限定することを意図しない。
【0082】
例1,本発明によらない、ドイツ特許第19708946号による調節されないポリアミド−12(PA12)の再沈殿
調節されないPA12(ηrel1.63、[COOH]=71ミリモル/kg、[NH]=63ミリモル/kg)40kgをIRGANOX1089(登録商標)(=N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)0.2kg、2−ブタノンで変性した、含水量1%のエタノール350lと一緒に0.8m3攪拌容器(D=90cm、h=170cm)中で、5時間以内で145℃に加熱し、攪拌しながら(ブレード撹拌機、d=42cm、回転速度=120rpm)この温度で1時間保持する。引き続きジャケット温度を120℃に低下し、同じ撹拌機回転速度で45K/hの冷却速度を使用して内部温度を125℃にする。この時点から同じ冷却速度を使用してジャケット温度を内部温度より2K〜3K低く維持する。同じ冷却速度を使用して内部温度を117℃にして、60分間一定に保持する。引き続き40K/hの冷却速度を使用して内部温度を110℃にする。この温度で沈殿が開始し、熱の発生から識別される。20分後、内部温度が沈殿の終了とともに低下する。懸濁液を75℃に冷却し、引き続きパドル乾燥機に移す。懸濁液から撹拌機を運転させながら、70℃/400ミリバールでの蒸留によりエタノールを除去し、残留物を20ミリバール/85℃で3時間更に乾燥する。
シーブ分析:
<32μm:4質量%、
<40μm:19質量%、
<50μm:44質量%、
<63μm:83質量%、
<80μm:91質量%、
<100μm:100質量%
BET:6.1m/g
かさ密度:442g/l。
【0083】
例2:ジカルボン酸調節PA12(成分I)の再沈殿
ラウロラクタム100部当たりドデカンジ酸1部の存在での加水分解LL重合により得られたPA12ペレット:ηrel=1.61、[COOH]=122ミリモル/kg、[NH]=5ミリモル/kgを使用して例1の試験を繰り返した。撹拌機回転速度(150rpm)を除いて、溶解、沈殿および乾燥の条件は例1で選択された条件である。生成物のかさ密度は425g/lであり、BETは6.6m/gであった。
シーブ分析により以下の値を生じた。
<32μm:8質量%、
<40μm:27質量%、
<50μm:61質量%、
<63μm:97質量%、
<90μm:100質量%
例3:ジアミン調節PA12(成分II)の再沈殿
例1の試験を繰り返した。
【0084】
ラウロラクタム100部当たりPACM−50 0.8部の存在での加水分解LL重合により得られたPA12ペレット:ηrel=1.76、[COOH]=24ミリモル/kg、[NH]=81ミリモル/kgを使用して例1の試験を繰り返した。撹拌機回転速度(150rpm)を除いて、溶解、沈殿および乾燥の条件は例1で選択された条件である。生成物のかさ密度は405g/lであり、BETは7.1m/gであった。
シーブ分析により以下の値を生じた。
<32μm:2質量%、
<40μm:17質量%、
<50μm:41質量%、
<63μm:50質量%、
<90μm:90質量%
<100μm:100質量%。
【0085】
例4(本発明による)
例2の酸調節ポリアミド粉末を例3のアミン調節ポリアミド粉末と40:60の比で混合した。混合物をMTIM20ミキサー中で400rpmで3分間で製造した。混合物のηrelは1.61である。
【0086】
例5(本発明による)
例2の酸調節ポリアミド粉末および例3のアミン調節ポリアミド粉末を、充填剤としてガラスビーズ(40〜80μm)と一緒に6:9:10の比で処理し、混合した。このために2つの粉末成分とガラスビーズを、一工程でMTIミキサーに入れ、混合物を同様に400rpmで5分間の混合時間で製造した。
【0087】
例6(本発明による)
成分Iのために、加水分解重縮合により得られ、ラウロラクタム60部、カプロラクタム25部、およびアジピン酸8.2部およびヘキサメチレンジアミン6.8部からなるランダムコポリアミドから、低温粉砕および引き続く分別により粉末を製造した。粉末が過剰のカルボキシル末端基を生じるように過剰のアジピン酸を選択する。滴定によりカルボキシル基170meq/gおよびアミノ末端基20meq/gを決定した。溶液粘度は1.41である。
【0088】
成分IIのために、加水分解重縮合により製造され、ラウロラクタム60部、カプロラクタム25部、およびアジピン酸7.4部およびヘキサメチレンジアミン7.7部からなるランダムコポリアミドから、低温粉砕および引き続く分別により粉末を製造した。粉末が過剰のアミノ末端基を生じるように過剰のヘキサメチレンジアミンを選択する。滴定によりカルボキシル基5meq/gおよびアミノ末端基165meq/gを決定した。溶液粘度は1.43である。
【0089】
成分IおよびIIをHenschelミキサー(1500rpm、2分)中で1:1の比で混合し、引き続きAerosil200 0.1部を同様にHenschelミキサー(500rpm、1分)中で混合物に添加した。溶液粘度は1.43である。MFR値は160℃/2.16kgに関して20g/10分として決定した。かさ密度は462g/lである。粒度分布は以下のように決定した。d10=18μm、d50=75μm、d90=112μm。滴定によりカルボキシル基88meq/gおよびアミノ末端基92meq/gを決定した。
【0090】
例7
レーザー焼結の間または前記RP/RM法の1つの間の熱の作用を160℃で乾燥棚中で短縮した時間にわたり熱コンディショニング試験によりシミュレートした。例1〜5の粉末を使用した。例6に関しては乾燥棚中で設定される温度は110℃であった。表1は滅コンディショニング試験の継続時間の関数としての後縮合ηrel値を示す。
【0091】
表1:乾燥棚中の160℃での熱コンディショニング試験(例6)
【0092】
【表1】

【0093】
例は調節されたポリアミドまたはコポリアミドを含有する例2および3の本発明の成分IおよびIIが溶液粘度の明らかな低い上昇を示すことを明らかに示す。ポリアミドまたはコポリアミドの後縮合は個々の粉末粒子内部で実質的に抑制される。
【0094】
本発明の粉末4、5および6は8時間の試験時間後に2より低い溶液粘度を示し、従ってレーザー焼結用のリサイクル粉末として再使用できるであろう。
【0095】
例8
以下の例8はレーザー焼結中の形成時間の関数としての調節されたおよび調節されないポリアミド−12粉末の溶液粘度の変化を示す。例9は例4の本発明の粉末の溶液粘度の変化を示す。
【0096】
表2:溶液粘度
【0097】
【表2】

【0098】
測定できる限りで、成分で後縮合が起こるが、消費されない粉末では起こらないことが明らかになる。これは特性を損失せずに次の形成工程に使用できる。
【0099】
例9(熱コンディショニング試験)
例1.3,4および6に記載のように粉末を製造し、RP/RM機器中で生じる熱応力をシミュレートするために、HeraeusVT5102真空乾燥棚中で、150℃で6日間熱コンディショニングした。得られる人工的に老化した粉末を引き続き未処理粉末40部、25部および10部と混合(補充)し、レーザー焼結装置(EOSINTP360、EOS社、Krailling、ドイツ)中で形成工程で消費した。以下の結果が達成された。
【0100】
【表3】

【0101】
本発明の粉末の利点は明らかに理解される。粉末を使用して製造した部品の表面特性は本発明でない粉末を使用して形成された部品の特性より明らかに高い。同じことが機械的特性に該当する。使用される熱コンディショニング粉末の量が増加するとともに違いが大きくなる。本発明の粉末は市場で要求される10〜25%の補充率で特に良好な適合性を示すが、5%の補充率でも許容される結果を生じる。
【0102】
例10(リサイクル試験)
例4の粉末をレーザー焼結装置(EOSINTP360、EOS社、Krailling、ドイツ)中で形成工程で、それぞれ9回通過して消費し、それぞれ再使用粉末に未処理粉末10部を補充し、ただし1回目の通過は未処理粉末100部で開始した。それぞれの通過はそれぞれ0.15mmの深さの約2000個の層を形成した。それぞれの場合に適当な処理温度を使用した。温度は、未処理粉末と混合しても先行する通過からの粉末を使用する場合に、未処理粉末だけを使用する場合より高い。種々の処理変数を使用して部品を形成した。速い照射で高いレーザー出力を使用する部品は遅い速度で低いレーザー出力を使用して製造した部品より良好な外観を有する傾向がある。これは特に8回目の通過から該当する、処理変数に関する詳細は機器製造者の規格に見出される。
【0103】
以下の結果が達成された。
【0104】
表4:リサイクル試験
【0105】
【表4】

【0106】
9回の通過後に良好な機械的特性と良好な表面を有する部品を形成することが可能であった。ゲル化にもかかわらず、部品の良好な機械的特性の損失のない本発明の粉末混合物を更に使用できる。
【0107】
例11:老化試験
人工的熱老化のために、例1および例4の粉末を真空乾燥棚中で135℃で7日間、人工的に老化した。
【0108】
本発明により製造した粉末と人工的に老化した試験品に、Perkin ElmerDSC7装置を使用して、DIN53765によるDSC検査を行った。これらの検査の結果を表5に示す。
【0109】
表5:老化試験の結果
【0110】
【表5】

【0111】
表5の結果から明らかなように、例4の本発明の粉末は老化工程後に未処理材料の再結晶温度より高い再結晶温度(再結晶ピーク)を有する。対照的に例1の公知の調節されない比較粉末は老化工程後に再結晶温度の明らかな低下を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれの粉末状層の選択的部分が溶融され、冷却後に硬化する層状に運転する方法に使用するための粉末において、粉末が、ジ酸およびジアミンで調節されたポリアミドおよび/またはコポリアミドの混合物を有することを特徴とする層状に運転する方法に使用するための粉末。
【請求項2】
粉末が、ジ酸およびジアミンで調節されたポリアミドおよび/またはコポリアミドの混合物を有し、混合物の平均粒子直径が30〜100μmである請求項1記載の粉末。
【請求項3】
粉末が、ジ酸およびジアミンで調節されたポリアミドおよび/またはコポリアミドの混合物を有し、混合物の平均粒子直径が40〜80μmである請求項2記載の粉末。
【請求項4】
粉末が、ジ酸およびジアミンで調節されたポリアミドおよび/またはコポリアミドの混合物を有し、混合物が5:1より小さい、カルボキシル末端基とアミノ末端基またはアミノ末端基とカルボキシル末端基の比を有する請求項1から3までのいずれかに記載の粉末。
【請求項5】
粉末が、ジ酸およびジアミンで調節されたポリアミドおよび/またはコポリアミドの混合物を有し、混合物が3:1より小さい、カルボキシル末端基とアミノ末端基またはアミノ末端基とカルボキシル末端基の比を有する請求項4記載の粉末。
【請求項6】
粉末が、ジ酸およびジアミンで調節されたポリアミドおよび/またはコポリアミドの混合物を有し、混合物が1.5:1より小さい、カルボキシル末端基とアミノ末端基またはアミノ末端基とカルボキシル末端基の比を有する請求項5記載の粉末。
【請求項7】
粉末が、ジ酸およびジアミンで調節されたポリアミドおよび/またはコポリアミドの混合物を有し、混合物が1.2:1より小さい、カルボキシル末端基とアミノ末端基またはアミノ末端基とカルボキシル末端基の比を有する請求項6記載の粉末。
【請求項8】
粉末が15m/gより小さいBET表面積を有する請求項1から7までのいずれかに記載の粉末。
【請求項9】
粉末が10m/gより小さいBET表面積を有する請求項8記載の粉末。
【請求項10】
粉末が調節されたポリアミド12を有する請求項1から9までのいずれかに記載の粉末。
【請求項11】
粉末が調節されたポリアミド11を有する請求項1から9までのいずれかに記載の粉末。
【請求項12】
粉末が調節されたコポリアミドを有する請求項1から9までのいずれかに記載の粉末。
【請求項13】
粉末がジ酸およびジアミンで調節されたおよび調節されないポリアミドまたはコポリアミドの混合物を有する請求項1から9までのいずれかに記載の粉末。
【請求項14】
粉末がジ酸およびジアミンで調節されたおよび調節されないポリアミドまたはコポリアミドの混合物を有し、その際混合物中の調節されたポリアミドまたはコポリアミドの割合が0.1〜99.9%である請求項13記載の粉末。
【請求項15】
粉末が少なくとも1個の他の充填剤または添加剤を有する請求項1から9までのいずれかに記載の粉末。
【請求項16】
充填剤としてガラス粒子を有する請求項15記載の粉末。
【請求項17】
充填剤として粒状アルミニウムを有する請求項15記載の粉末。
【請求項18】
添加剤として難燃剤を有する請求項15記載の粉末。
【請求項19】
粉末が少なくとも1個の流動助剤を有する請求項1から9までのいずれかに記載の粉末。
【請求項20】
粉末が5〜100%のリサイクル粉末、すなわち先行するRP/RM法からの溶融していない粉末を有する請求項1から9までのいずれかに記載の粉末。
【請求項21】
粉末の熱老化後に粉末の再結晶ピークおよび/または結晶エンタルピーが小さい値に移動しない請求項1から9までのいずれかに記載の粉末。
【請求項22】
粉末の熱老化後に再結晶ピークおよび/または結晶エンタルピーが大きい値に移動する請求項1から9までのいずれかに記載の粉末。
【請求項23】
それぞれの粉末状層の選択的部分が溶融され、冷却後に硬化する層状に運転する方法において、ジ酸およびジアミンで調節されたポリアミドおよび/またはコポリアミドの混合物を使用することを特徴とする層状に運転する方法。
【請求項24】
ジ酸およびジアミンで調節されたポリアミドおよび/またはコポリアミドの混合物を使用し、混合物の平均粒子直径が30〜100μmである、請求項23記載の方法。
【請求項25】
ジ酸およびジアミンで調節されたポリアミドおよび/またはコポリアミドの混合物を使用し、混合物の平均粒子直径が40〜80μmである、請求項24記載の方法。
【請求項26】
ジ酸およびジアミンで調節されたポリアミドおよび/またはコポリアミドの混合物を使用し、混合物が5:1より小さい、カルボキシル末端基とアミノ末端基またはアミノ末端基とカルボキシル末端基の比を有する請求項23から25までのいずれかに記載の方法。
【請求項27】
ジ酸およびジアミンで調節されたポリアミドおよび/またはコポリアミドの混合物を使用し、混合物が3:1より小さい、カルボキシル末端基とアミノ末端基またはアミノ末端基とカルボキシル末端基の比を有する請求項26記載の方法。
【請求項28】
ジ酸およびジアミンで調節されたポリアミドおよび/またはコポリアミドの混合物を使用し、混合物が1.5:1より小さい、カルボキシル末端基とアミノ末端基またはアミノ末端基とカルボキシル末端基の比を有する請求項27記載の方法。
【請求項29】
ジ酸およびジアミンで調節されたポリアミドおよび/またはコポリアミドの混合物を使用し、混合物が1.2:1より小さい、カルボキシル末端基とアミノ末端基またはアミノ末端基とカルボキシル末端基の比を有する請求項28記載の方法。
【請求項30】
使用される粉末が15m/gより小さいBET表面積を有する請求項23から29までのいずれかに記載の方法。
【請求項31】
使用される粉末が10m/gより小さいBET表面積を有する請求項30記載の方法。
【請求項32】
使用される粉末が調節されたポリアミド12を有する請求項23から31までのいずれかに記載の方法。
【請求項33】
使用される粉末が調節されたポリアミド11を有する請求項23から31までのいずれかに記載の方法。
【請求項34】
使用される粉末が調節されたコポリアミドを有する請求項23から31までのいずれかに記載の方法。
【請求項35】
使用される粉末がジ酸およびジアミンで調節されたおよび調節されないポリアミドまたはコポリアミドの混合物を有する請求項23から31までのいずれかに記載の方法。
【請求項36】
使用される粉末がジ酸およびジアミンで調節されたおよび調節されないポリアミドまたはコポリアミドの混合物を有し、混合物中の調節されたポリアミドまたはコポリアミドの割合が0.1〜99.9%である請求項35記載の方法。
【請求項37】
使用される粉末が少なくとも1個の他の充填剤または添加剤を有する請求項23から31までのいずれかに記載の方法。
【請求項38】
使用される粉末が充填剤としてガラス粒子を有する請求項37記載の方法。
【請求項39】
使用される粉末が充填剤として粒状アルミニウムを有する請求項37記載の方法。
【請求項40】
使用される粉末が添加剤として難燃剤を有する請求項37記載の方法。
【請求項41】
使用される粉末が少なくとも1個の流動助剤を有する請求項23から31までのいずれかに記載の方法。
【請求項42】
使用される粉末が5〜100%のリサイクル粉末、すなわち先行するRP/RM法からの溶融されていない粉末を有する請求項23から31までのいずれかに記載の方法。
【請求項43】
使用される粉末の熱老化後に粉末の再結晶ピークおよび/または結晶エンタルピーが小さい値に移動しない請求項23から31までのいずれかに記載の方法。
【請求項44】
使用される粉末の熱老化後に再結晶ピークおよび/または結晶エンタルピーが大きい値に移動する請求項23から31までのいずれかに記載の方法。
【請求項45】
使用される粉末がISO307による0.5%m−クレゾール中の溶液粘度1.4〜2を有する請求項23から31までのいずれかに記載の方法。
【請求項46】
使用される粉末がISO307による0.5%m−クレゾール中の溶液粘度1.5〜1.8を有する請求項23から31までのいずれかに記載の方法。
【請求項47】
それぞれの粉末状層の選択的部分が溶融され、冷却後に硬化する層状に運転する方法で製造される成形体において、成形体が、ジ酸およびジアミンで調節されたポリアミドまたはコポリアミドの混合物を有することを特徴とする層状に運転する方法で製造される成形体。
【請求項48】
成形体がジ酸およびジアミンで調節されたポリアミド12の混合物を有する請求項47記載の成形体。
【請求項49】
成形体がジ酸およびジアミンで調節されたおよび調節されないポリアミドまたはコポリアミドの混合物を有し、ポリアミド混合物中の調節されたポリアミドの割合が0.1〜100%である請求項47記載の成形体。
【請求項50】
老化した材料を使用して成形体が製造され、前記材料が老化していない材料の再結晶ピークおよび結晶エンタルピーより小さくない再結晶ピークおよび結晶エンタルピーを有する請求項47から49までのいずれかに記載の成形体。
【請求項51】
老化した材料を使用して成形体が製造され、前記材料が老化していない材料の再結晶ピークおよび結晶エンタルピーより高い再結晶ピークおよび高い結晶エンタルピーを有する請求項50記載の成形体。
【請求項52】
成形体が航空工学、宇宙工学、機械工学、医療技術、自動車構造、スポーツ産業または電気工業に使用される請求項47から49までのいずれかに記載の成形体。
【請求項53】
請求項1から9までのいずれかに記載の粉末の製造方法において、ベース材料として、一方では調節されていないポリアミドまたはコポリアミドを調節剤としてジカルボン酸で処理することにより得られる、ジ酸で調節されたポリアミドまたはコポリアミド粉末からなり、他方では調節されていないポリアミドまたはコポリアミドを調節剤としてジアミンで処理することにより得られる、ジアミンで調節されたポリアミドまたはコポリアミド粉末からなる混合物を使用することを特徴とする、粉末の製造方法。
【請求項54】
重合の間に調節されないポリアミドまたはコポリアミドの反応により処理を行う請求項53記載の方法。
【請求項55】
調節されないポリアミドまたはコポリアミドの処理を、溶融液中、固相中または溶液中での高分子ポリアミドまたはコポリアミドと調節剤との反応により行う請求項54記載の方法。
【請求項56】
ISO307による溶液粘度が1.4〜2.0である請求項1から9までのいずれかに記載の粉末。
【請求項57】
ISO307による溶液粘度が1.5〜1.8である請求項56記載の粉末。

【公開番号】特開2006−104470(P2006−104470A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−290556(P2005−290556)
【出願日】平成17年10月3日(2005.10.3)
【出願人】(501073862)デグサ アクチエンゲゼルシャフト (837)
【氏名又は名称原語表記】Degussa AG
【住所又は居所原語表記】Bennigsenplatz 1, D−40474 Duesseldorf, Germany
【Fターム(参考)】