説明

改良されたレギュレータ装置を有する燃料流量計

本発明は、入口(112a)および出口(112b)を有するポンプ(112)によって燃料が送られるための燃料流量計(110)であって、
入口(114a)および出口(114b)を有し、ポンプの出口の下流側に配置された絞り弁(114)と、
絞り弁の入口をポンプの入口に接続する戻り回路(122)と、
戻り回路を開閉するのに適した可動式の弁部材と、弁部材(124)に固定され、絞り弁の入口と連通する第1のチャンバ(126)を絞り弁の出口と連通する第2のチャンバ(130)から軸方向に分離する圧力差検出面(118)と、第2のチャンバ(130)を絞り弁の出口に接続された第3のチャンバ(152)から軸方向に分離するピストン(150)であって、弁部材と共働するのに適した結合部材(170)を含む、ピストン(150)と、ピストンを弁部材から外した状態に保つ傾向がある軸方向の推力をピストン上に及ぼしながら第3のチャンバ内に配置された第2のばね(164)とを備える圧力レギュレータ装置(116)であって、第2のチャンバ(130)を第3のチャンバ(152)と連通させるチャネル(154)も含む、圧力レギュレータ装置とを備える燃料流量計(110)に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機のタービンエンジンなどのエンジン内に燃料を供給することを調節する分野に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、入口および出口を有するポンプによって燃料が送られるための燃料流量計であって、
入口および出口を有し、ポンプの出口の下流側に配置された絞り弁と、
絞り弁の入口をポンプの入口に接続する戻り回路と、
戻り回路を開閉するのに適した可動式の弁部材と、弁部材に固定され、絞り弁の入口と連通する第1のチャンバを絞り弁の出口と連通する第2のチャンバから軸方向に分離する圧力差検出面と、軸方向の推力を戻り回路を閉じる傾向がある方向に弁部材上に及ぼすようにして検出面に固定されながら、第2のチャンバ内に配置された第1のばねとを備える、圧力レギュレータ装置とを備えた燃料流量計に関する。
【背景技術】
【0003】
他の場所からすでに知られている1つのそのような流量計10が、図1に示されている。知られている方法では、流量計は、エンジンによって必要とされるレートよりも大きいレートで燃料の流れを送出するポンプ12によって上流側に燃料が送られる。絞り弁14が、ポンプと燃焼チャンバの注入器との間に配置される。この弁は、弁が開かれる開度の関数である流量Qを送出するように設計され、この開度は、弁レギュレータシステムによって制御される。
【0004】
主に絞り弁14が開かれる開度に依存する流量を得るために、絞り弁の出口14bと入口14aとの間の圧力差は、所定の値、または少なくとも限定された範囲で一定に維持されなければならない。これが、「デルタ−P」弁と一般的に称されるレギュレータ装置16の役割である。
【0005】
この目的のため、レギュレータ装置16は、2つの機能を有する:その第1の機能は、絞り弁14の出口と入口との間の圧力変動を検出することである。この第1の機能は、この例ではダイアフラムによって構成された検出面18、および第1のばね20によって実行され、ダイアフラムは、圧力差が上述された所定の値より大きい場合、第1のばねの力に対抗して軸方向に移動することができる。
【0006】
そのような状況下では、弁部材24は戻り回路22を開き、それによって燃料が絞り弁14aの入口からポンプ12の入口12aに戻るように流れることを可能にし、または戻り流量を増大させ、それによって絞り弁14を通る流量を減少させる。その結果、絞り弁の出口と入口との間の圧力差は、これが所定の値に到達するまで減少し、それによって弁部材24は、第1のばね20からの駆動の下で閉じられる。
【0007】
レギュレータ装置16は、最初、圧力差が所定の値を下回る限り、戻り回路22が弁部材24によって閉じられたままであるように較正されることが明記される。
【0008】
こうしてレギュレータ装置は、絞り弁の出口と入口との間の(所定の値に等しい)圧力差をほぼ一定に維持する。
【0009】
また、弁部材24の作用が全体的に漸進的であり、したがって弁部材24が平衡位置を占有できることも明記される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の流量計の欠点は、ダイアフラムが損傷した場合に生じる。ダイアフラムが穿孔された場合、または第1のチャンバと第2のチャンバとの間の封止をもはや達成しない場合、レギュレータ装置の第1のチャンバと第2のチャンバとの間の圧力差はもはや存在せず、その結果、弁部材に及ぼされた力は、第1のばねによって及ぼされた力とだけ等しくなることが理解され得る。これは、戻り回路22を閉じさせ、燃料がエンジンに供給されるレートにおいてかなりの望ましくない増大を招く。
【0011】
本発明の目的は、検出面18が損傷した場合であってもレギュレータ装置が一定の圧力差を維持し続ける改良された燃料流量計を提案することにより、この欠点を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、レギュレータ装置が、第2のチャンバを絞り弁の出口に接続された第3のチャンバから軸方向に分離し、弁部材と共働するのに適した結合部材を含むピストンと、ピストンを弁部材から外した状態に保つ傾向がある軸方向の推力をピストン上に及ぼしながら第3のチャンバ内に配置された第2のばねとをさらに備え、レギュレータ装置はまた、第2のチャンバを第3のチャンバと連通させるチャネルも含むということによってその目的を達成する。
【0013】
したがって、検出面が破損した場合、第1のチャンバ内の圧力は第2のチャンバ内の圧力と等しくなる。その結果、弁部材は、まず戻り回路を閉じる。燃料は、次いで、このときノズルとして作用するチャネルを流れ抜け、それによって第2のチャンバと第3のチャンバとの間に水頭損失を生じさせる。
【0014】
好ましくは、ただし必ずしもそうではないが、圧力差検出面は、可撓性のダイアフラムである。ベローズまたは任意の他の等価の面を提供することも同様に可能である。
【0015】
ピストンの動作は、特に第3のチャンバと第2のチャンバとの間の圧力差の関数として制御され、この差は、具体的には絞り弁の出口と絞り弁の入口との間の圧力差に対応している。
【0016】
圧力差が、第2のばねの剛性およびプリロードに応じて新しい所定の値より大きくなるとき、ピストンは、結合部材が弁部材に接触するまで、第2のばねの力に対抗して第3の検出チャンバに向かって移動し、その後ピストンは、弁部材を伴いながら移動し続ける。その結果、戻り回路が開かれ、絞り弁の出口と入口の圧力差が低減される。したがって、本発明の流量計のレギュレータ装置は、ダイアフラムが損傷したにもかかわらずこの圧力差を一定に保つことが理解され得る。したがって、そのような状況下では、緊急のレギュレータ装置として有利に作用するのはピストン、2つのばね、チャネル、および弁部材である。
【0017】
ダイアフラムの正常作動中、ピストンは移動せず、チャネルは、第2のばね内の圧力が絞り弁の出口における燃料の圧力に確実に対応することを可能にする。弁部材はこのとき、従来技術の流量計と同じ原理でピストンに対して自由に移動する。
【0018】
好ましいが非排他的である実施形態では、弁部材は、第2のチャンバ内に軸方向に延びる摺動ケージの端部に装着され、第1のばねは、第2のチャンバと第3のチャンバとの間を延びる調整棒によって弁部材の反対側の端部に保持されながら、ケージの内側に収容される。
【0019】
この調整棒により、ばねのプレロードを調整することができ、したがって絞り弁の前後で維持することが望まれる圧力差の所定の値を調整することができる。
【0020】
好ましくは、ノズル形成チャネルが調整棒内に形成される。にもかかわらず、チャネルをピストン内、ハウジング内、またはチャンバ26およびチャンバ30と連続的になる任意の他の要素内に形成することが可能である。
【0021】
変形形態では、チャネルは、ピストンがケージと結合されたときにピストンによって閉じられるようにして配置される。チャネルが閉じられたとき、燃料は、第1のチャンバと第2のチャンバとの間をもはや流れないことが理解され得る。
【0022】
1つの利点は、絞り弁114と平行な経路を備えた燃料を与えることによってエンジンへの望ましくない付加流量の供給を回避することである。
【0023】
別の変形形態では、チャネルは、第1のセクションと、第1のセクションより大きい第2のセクションとを有しており、それにより、ピストンがケージに結合されないとき、燃料は第1のセクションを介して流れ、一方でピストンがケージに結合されたとき、燃料は第2のセクションを介して流れる。
【0024】
例として、利点は、絞り弁を制御するシステムがダイアフラムの不具合を検出できるように流量を増大させることになり得る。ピストンの寸法、第2のばね164の剛性、およびプレストレスに対する適切な選択により、ダイアフラムの状態に関わらず、絞り弁の前後の圧力差を同じ値に調整することができる。流量計は、次いで、ダイアフラムの状態に関わらず同じ流量を送出する。そうではなく、ダイアフラムが損傷した場合、設計者は、ある効果、ただし装置を危険にさらさない効果が、絞られた流体を消費する装置上に生み出されるように制御される方法で流量を増大させようとすることがある。したがって、有利には、圧力差が、このときケージ、弁部材、第1のばね、および第2のばねによって調節されていることをパイロットに知らせることができる。
【0025】
好ましい変形形態では、ピストンは摺動体の形態であり、結合部材はフィンガを備え、フィンガは、検出面が損傷したとき、ケージを軸方向に移動させ戻り回路を開くことができるようにケージの当接面と共働するように設計される。
【0026】
検出面が損傷していないとき、結合部材は弁部材と共働しない。言い換えると、ピストンは弁部材を移動させず、完全にパッシブ状態である。
【0027】
本発明はまた、ポンプおよび本発明の燃料流量計を含む、タービンエンジン用の燃料回路も提供する。
【0028】
最後に、本発明は、本発明の燃料回路を含むタービンエンジンを提供する。
【0029】
本発明は、非限定的な例によって与えられた実施形態の以下の説明を読み取ることでより良好に理解され、その利点がより良好に現れ得る。本説明は、添付の図を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】弁部材がその開位置にある、損傷していない圧力差検出面を有する従来技術の燃料流量計を示す図である。
【図2】圧力差検出面が穿孔されたときの図1の流量計を示す図である。
【図3】弁部材がその閉位置にある状態の、正常作動時の本発明の燃料流量計の実施形態を示す図である。
【図4】弁部材が開位置にある状態の、正常作動時の図3の流量計を示す図である。
【図5】弁部材が、ピストンが移動される前の閉位置にある、圧力差検出面が穿孔された状態の悪化した作動における図3の流量計を示す図である。
【図6】弁部材がその開位置にあり、ピストンがその調節位置にある状態の、圧力差検出面が穿孔されたときの図5の流量計を示す図である。
【図7】ピストンがケージに結合されていない状態の、図4の流量計の変形形態を示す図である。
【図8】ピストンがケージに結合されたときの図7の流量計を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
従来技術の燃料流量計を示す図1は、明細書の導入部において上記で部分的に説明されている。ポンプが燃料タンクRに接続されること、およびレギュレータ装置16が戻り回路22と連通する第1のチャンバ26を有することが明記されている。この連通は、好ましくは弁部材24の上流側に形成された開口部28を介して行われる。
【0032】
正常作動において、この第1のチャンバは、特に検出面18、具体的には可撓性のダイアフラムによって、第1のチャンバ内の圧力が絞り弁14の入口14aの圧力と等しいように画定される。
【0033】
従来技術のレギュレータ装置はまた、ダイアフラム18によって画定され、レギュレータ装置の出口16bを絞り弁14の出口14bに接続する出口回路32と連通する第2のチャンバも含む。したがって、第2のチャンバ内の燃料の圧力は、絞り弁14の出口14bの圧力と等しいことが理解され得る。
【0034】
弁部材の移動を減じるために、出口回路32には、任意選択でノズル30aが取り付けられてもよい。
【0035】
参照記号Qは、弁を離れる燃料の流量を示している。これは、エンジンの注入器(図示せず)に送出される流量に対応している。
【0036】
図1では、ダイアフラム18によって検出された圧力差が、第1のばね20の調整によって設定された所定の値より大きいため、弁部材24は開いている。その結果、また上述されたように、ポンプによって供給された過剰な燃料は、戻り回路22を介してポンプの入口に戻される。
【0037】
ダイアフラム18が損傷した場合、ポンプを離れる燃料の一部は、穿孔されたダイアフラムを通って第2のチャンバ30内に、次いでオリフィス30aを介して流量計の出口14bへと自由に流れる。第1のチャンバと第2のチャンバの圧力差は、このときゼロであるか、または非常に小さいため、弁部材は、圧力が入口に及ぼされたにもかかわらず閉位置に留まる。戻り回路が閉じられる。その結果、ポンプ12を離れる燃料の全体の流れは、弁14を通り、またはレギュレータ装置16を通って上述された方法で流量計の出口に向かう。その後、「一定デルタ−P」レギュレータ装置16はもはやその機能を実行せず、弁14の前後の圧力差はもはや一定ではなくなる。これは、流量計によって送出された流量が、絞り弁14が予想された関係を適用して開かれる開度の関数として変化せず、すなわち流量計の一次関数とは対照的であることを意味する。一般的であるが非制限的な方法では、流量はこのとき、ダイアフラムが穿孔されていない場合のものよりも高いものである。
【0038】
図3から図6を参照すると、本発明による燃料流量計110のより詳細な説明が続いている。
【0039】
これらの図では、燃料回路99を見ることができ、この燃料回路99は、ポンプ112によって燃料が送られ、レギュレータ装置116に関連付けられた絞り弁114を含む、本発明による燃料流量計110を含む。
【0040】
これらの図から分かるように、燃料流量計110は、レギュレータ装置116が、弁部材124がそれに沿って移動できる軸でもある、第1のばね120の軸Aに沿って移動するのに適した摺動体として作用するピストン150も含む点で、従来技術の流量計とは異なる。
【0041】
ピストン150は、第2のチャンバ130を出口回路132に接続された第3のチャンバ152から分離する。結果として、第3のチャンバ152内の燃料の圧力は、絞り弁の出口114bの圧力と等しくなる。
【0042】
ピストン150は、ピストン壁150bから弁部材124に向かって軸方向に延びる円筒状の本体150aを含む。
【0043】
本発明によれば、第3のチャンバは、この例では、軸Aに沿って延びる調整棒156内に形成されたチャネル154を介して第2のチャンバに接続される。この調整棒156は、レギュレータ装置116のハウジング158上に回転可能に装着されることが明記される。この棒156は、ねじを形成しハウジング158から外側に突出する第1の端部156aと、第1のばね120の一方の端部を担持する第2の端部156bとを有している。従来技術のように、第1のばねの他方の端部は、可撓性のダイアフラム118および弁部材124に接続される。この装置は、ばねの端部を軸方向に移動させることによって第1のばね120のプレストレスを調整するように働く。本明細書で説明される非排他的な例では、棒156は、ハウジング158にねじ込まれ、それによって、ばね120の端部の軸方向位置を変更することができ、そのプレストレスを変更することができる。より正確には、第1のばね120は、好ましくは、軸Aに沿って移動可能であるケージ160内に収容され、このときケージ160の端部の一方は弁部材124を担持している。
【0044】
このケージ160は、燃料がレギュレータ装置を流れ抜けることを可能にするオリフィス160aを有している。
【0045】
依然として図3を参照すると、ピストン壁150aが、ハウジング158とピストン壁150aとの間の第3のチャンバ内に軸方向に延びる第2のばね164によって、軸Aに対して横断方向に延びるハウジング158の壁162に押し付けて軸方向に保持されることが分かる。第2のばねは、好ましくは調整棒156の周りに配置される。
【0046】
ピストン150の静止位置と呼ばれるこの位置では、チャネル154の第1の端部154aが第2のチャンバへと開口し、一方でチャネルの第2の端部154bが第3のチャンバ152へと開口することが分かり、それにより、両方のチャンバは、同じ圧力になるようになる。
【0047】
このチャネル154のセクションは、従来技術におけるノズル30aのように弁部材124の移動を減じるように設計によって任意選択で決定されてもよい。
【0048】
また、ピストンがその静止位置にあるとき、ケージはピストン150に対して自由に摺動することも明記される。具体的には、ケージは、ピストン本体150aの内部で摺動する。さらに、第2のばね164は、ダイアフラムが損傷していないとき、ピストンがその静止位置に留まるように寸法設定される。
【0049】
したがって、ダイアフラム118に対する損傷がない場合、本発明のレギュレータ装置116は、従来技術の装置のように作動する。
【0050】
図3では、絞り弁114の前後(すなわち出口114bと入口114aとの間)の燃料の圧力差は、所定の値未満であり、それにより、この圧力差は、弁部材124上に第1のばねによって及ぼされた力に反するほど十分ではない。したがって、弁部材は閉位置に留まり、戻り回路を遮断する。
【0051】
図4では、絞り弁114の前後の燃料の圧力差は、所定の値以上であり、それにより、ダイアフラム118上で作用する圧力差は、第1のばね120によって及ぼされた力以上の力を発生させ、そのため弁部材124が開くようになる。燃料は次いで、戻り回路122内に流れ込み、それによって圧力差を低下させる。
【0052】
したがって、燃料流量計の正常作動において、すなわちダイアフラム118が穿孔されていないとき、ピストン150および第2のばね164は、圧力差を調節する役割を実行しないことが理解され得る。
【0053】
図5および図6を参照すると、ダイアフラム118が損傷した場合にレギュレータ装置がどのように作動するかについての説明が続く。
【0054】
さまざまな理由のため、ダイアフラム118は劣化することがあり、結果として1つまたは複数の穴を有することがあり、それにより、第1のチャンバは第2のチャンバと流体連通させられる。そのような場合が、図5および図6に示されている。第1のチャンバと第2のチャンバとの間にはいかなる圧力差ももはや存在せず、それにより、第1のばね120は、図5に示されるように、弁部材をその閉位置にさせる。
【0055】
図5から分かるように、ダイアフラムが穿孔されたとき、燃料はダイアフラムを通り、次いでチャネル154を通って第1、第2、および第3のチャンバを流れることができる。
【0056】
チャネルは、好ましくは、第2のチャンバの直径より小さい直径を有しており、それにより、チャネル154は、第2のチャンバと第3のチャンバとの間に水頭損失を生じさせるノズルとして作用するようになる。このため、ピストンによって分離されたこれら2つのチャンバ間に圧力差が生じる結果となり、このとき第2のチャンバ内の圧力は、第3のチャンバ内の圧力より高くなる。
【0057】
この圧力差が、第2のピストン164によってピストン壁上に及ぼされた力より大きい力Fをピストンの面上に発生させるほど十分な場合、ピストンは、第3のチャンバ152に向かって軸方向に移動される。
【0058】
図6から分かるように、摺動形成ピストン150には、この摺動体とケージを機械的に結合するための結合部材170が設けられる。この結合部材170は、ピストン本体の一方の端部から軸Aに向かって径方向に延びるフィンガ172を有する。ピストン本体の内側に延びるケージの端部は、当接面174を有し、この当接面174は、ピストンの軸方向の移動中、ピストン本体のフィンガ172と共働するのに適した1つまたは複数の径方向の突出部によって形成される。
【0059】
図6を参照すると、絞り弁の前後の圧力差によって発生した力が、第2のばね164によって及ぼされた力より大きくなるとき、ピストンが第3のチャンバに向かって軸方向に移動することが理解され得る。この移動中、ピストン本体のフィンガ172は、当接面174と軸方向に接触するようになり、その後、ピストン150は、第3のチャンバに向かってケージおよび弁部材を引っ張る。次いで、弁部材はその開位置を取り、それによって戻り回路122を開く。
【0060】
したがって、ピストン150およびばね120および164は、弁部材124と共働して、ダイアフラムの損傷にもかかわらず燃料圧力差を調節することができる。
【0061】
これは、従来技術の流量計のダイアフラムの破損の場合に一般的に発生する、燃料が注入器に送出される際のレートにおける制御されない増大および絞られた流量と弁114が開かれる開度との間の関係に対する制御されない変更を回避する。
【0062】
さらに、この例では、ピストンの移動は、チャネル154の第2の端部154bが閉じられることを伴う。これは、ポンプ12と注入器との間の連通のための通路を閉じることにより、エンジンに送出される流量における増大の別の原因を解消するように働く。
【0063】
本発明の範囲を超えることなく、チャネルは、チャネルからの漏出量が許容される限り、ピストンによって決して閉じられないようにして形作られてもよい。
【0064】
図7および図8に示される変形形態では、チャネル154’は、第1のセクションS1と、第1のセクションS1より大きい第2のセクションS2とを有している。
【0065】
図7から分かるように、第1のセクションS1は、調整棒のヘッド156aとピストン内に形成された開口部150aの縁部との間に画定される。
【0066】
結果として、ピストンがケージ160に結合されないとき、燃料は、第1のセクションS1を介してチャネル154’を流れ抜ける。
【0067】
ここで図8を参照すると、第2のセクションS2は、棒156の本体内に形成された平坦部156bの底部との間に画定されることが理解され得る。
【0068】
平坦部156bがあることにより、第1のセクションS1より大きい第2のセクションS2を得ることができることが明確分かる。
【0069】
ピストンが図8のその結合位置にあるとき、ピストン内の開口部150aの縁部は平坦部156bに面しており、それによって、燃料がこのセクションS2を流れ抜けることを可能にする。
【0070】
これは、絞り弁114を離れる流量Qに付加された、較正された超過流量Q’を発生させる。
【0071】
この超過流量は、たとえば、絞り弁を離れる流量が約300L/hである場合、1時間あたり15リットル(L/h)でもよい。この超過流量は、検出可能でありながらも、絞り弁によって実行される調節の妨げになることを回避するように較正される。
【0072】
この超過流量Q’は、絞り弁の調節システムが、その調節関係を変更させたということによって検出される。
【0073】
絞り弁のみによって送出される流量Qより大きい、注入器の入口の流量Q’’が存在することにより、調節システムは、ダイアフラムが正常に作動している間に送出される流量Qに戻すために絞り弁によって送出される流量を減少させることが必要となる。この相違はすぐに検知可能であり、それによって圧力差検出面が損傷したことをパイロットに知らせることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口(112a)および出口(112b)を有するポンプ(112)によって燃料が送られるための燃料流量計(110)にして、
入口(114a)および出口(114b)を有し、ポンプの出口の下流側に配置された絞り弁(114)と、
絞り弁の入口をポンプの入口に接続する戻り回路(122)と、
戻り回路を開閉するのに適した可動式の弁部材と、弁部材(124)に固定され、絞り弁の入口と連通する第1のチャンバ(126)を絞り弁の出口と連通する第2のチャンバ(130)から軸方向に分離する圧力差検出面(118)と、軸方向の推力を戻り回路を閉じる傾向がある方向に弁部材上に及ぼすようにして検出面(118)に固定されながら第2のチャンバ(130)内に配置された第1のばね(120)とを備える、圧力レギュレータ装置(116)とを備えた流量計であって、レギュレータ装置(116)が、第2のチャンバ(130)を絞り弁の出口に接続された第3のチャンバ(152)から軸方向に分離するピストン(150)であって、弁部材と共働するのに適した結合部材(170)を含む、ピストン(150)と、ピストンを弁部材から外した状態に保つ傾向がある軸方向の推力をピストン上に及ぼしながら第3のチャンバ内に配置された第2のばね(164)とをさらに備え、レギュレータ装置がまた、第2のチャンバ(130)を第3のチャンバ(152)と連通させるチャネル(154)も含むことを特徴とする、燃料流量計(110)。
【請求項2】
圧力差検出面(118)が、可撓性のダイアフラムである、請求項1に記載の燃料流量計。
【請求項3】
圧力差検出面(118)が、ベローズである、請求項1に記載の燃料流量計。
【請求項4】
チャネル(154)が、ピストン(150)内に配置される、請求項2または3に記載の燃料流量計。
【請求項5】
チャネル(154)が、ハウジング(158)内に配置される、請求項2または3に記載の燃料流量計。
【請求項6】
弁部材(124)が、第2のチャンバ内に軸方向に延びる摺動ケージ(160)の端部に装着され、第1のばねが、第2のチャンバと第3のチャンバとの間を延びる調整棒(156)によって弁部材の反対側の端部に保持されながら、ケージの内側に収容されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の燃料流量計。
【請求項7】
チャネルが、調整棒(156)内に形成される、請求項6に記載の燃料流量計。
【請求項8】
チャネル(154)が、ピストンがケージ(160)に結合されたときにピストン(150)によって閉じられるようにして配置される、請求項6または7に記載の燃料流量計。
【請求項9】
チャネル(154)は、そのセクションが、ピストン(150)がケージ(160)に結合されたときにその初期の値とは異なる規定された値を有するようにして配置される、請求項6または7に記載の燃料流量計。
【請求項10】
ピストン(150)が摺動体の形態であり、結合部材がフィンガ(172)を備え、フィンガは、検出面が損傷したとき、ケージを軸方向に移動させ戻り回路を開くことができるようにケージ(160)の当接面(174)と共働するように設計される、請求項6から9のいずれか一項に記載の燃料流量計。
【請求項11】
第2のばね(164)が、調整棒(156)の周りに延びる、請求項6から10のいずれか一項に記載の燃料流量計。
【請求項12】
第2のばね(164)の機能が、弾性部材によって実行される、請求項6から11のいずれか一項に記載の燃料流量計。
【請求項13】
第1のばね(120)の機能が、弾性部材によって実行される、請求項6から12のいずれか一項に記載の燃料流量計。
【請求項14】
ポンプと、請求項1から13のいずれか一項に記載の燃料流量計とを含む、タービンエンジン用燃料回路(99)。
【請求項15】
請求項14に記載の燃料回路(99)を含むタービンエンジン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−505394(P2013−505394A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530306(P2012−530306)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際出願番号】PCT/FR2010/051779
【国際公開番号】WO2011/036363
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(501107994)ターボメカ (44)
【氏名又は名称原語表記】TURBOMECA