説明

改良された先行指標を使用する重合検出及び制御

本発明の態様は一般的に、1個の反応器中で複数の触媒を使用するマルチモーダルポリマー製品の製造反応を含む、重合反応の検出及び制御方法に関する。本発明の態様は、サンプリング及びポリマー特性の試験を必要とせずに反応の迅速な検出及び制御を行う重合方法を提供する。本発明の方法は、反応器制御データ及び本発明の基本データを、数学的先行指標関数中でコントロール反応器条件まで使用し、その結果、製造品がこれら条件下で製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は米国公開番号2004−0044154号(米国予備出願第60/408430号を優先権主張の基礎として2003年2月18日出願、2004年3月4日公開、出願人ユニベーションテクノロジーズ社、5555SANFELIPE、SUITE1950、ヒューストン、TX77056)を優先権主張の基礎とする。本出願は又、予備出願第60/512502及び60/512335号(共に2003年10月17日出願)を優先権主張の基礎とする。
【0002】
本発明は、重合反応の迅速な検出及び制御方法を提供する。この方法は反応器プロセスデータに由来する数学関数であり、「先行指標」(LI)として表される数学関数を使用する。
【背景技術】
【0003】
ポリオレフィン製造プロセスを含有する動的、連続的プロセスを制御する試みは、プロセス工業の長年の目的であった。
モノマー、特にオレフィンモノマーのホモ重合及び共重合用気相プロセスは、当分野で良く知られている。これらプロセスは、例えば、樹脂粒子及び触媒の攪拌された及び/又は流動床中へ1種又は2種以上のガス状モノマーを導入することにより実施できる。
【0004】
オレフィンの流動床重合中、重合は流動床反応器中で行われ、ポリマー粒子のベッドがガス状反応モノマーを含む上昇ガス流により流体化状態を保たれる。攪拌床反応器中のオレフィン重合は、床の流体化に寄与する反応域中の機械攪拌器の作用により、ガス流動床反応器中の重合とは異なる。ここで使用される用語「流動床」は又、攪拌床(stirred-bed)プロセス及び反応器を含む。
【0005】
流動床反応器の開始は、一般的に予備成形されたポリマー粒子の床を使用する。重合工程中、フレッシュポリマーがモノマーの触媒的重合により生じ、ポリマー製品は引き出され床は一定量に維持される。工業的に好ましいプロセスは、流体化ガスを床へ分配し、ガスの供給が停止されたときに床のサポートとして働く、流体化グリッドを採用する。生成されたポリマーは、一般的に反応器の下部の流体化グリッド近くに配置された1以上の排出管を介して反応器から引き出される。流動床は、成長するポリマー粒子、ポリマー製品粒子及び触媒粒子の床を含む。この反応混合物は、反応器の頭頂部から引き出されるリサイクルガス、並びに追加された補充モノマーを共に含む流体化ガスの反応器の底部からの連続的上昇流により流体化状態に維持される。流体化ガスは反応器底部に流入し、流体化グリッドを通過し、上向きに流動床を通過する。
【0006】
種々の気相重合プロセスが公知である。例えば、リサイクル流は、米国特許第4543399及び4588790号に記載されているように露点未満の温度へ冷却されてもよく、その結果リサイクル流の一部は濃縮される。このプロセス中の液体のリサイクル流又は反応器中への意図的な供給は、一般的に「濃縮モード」操作と言われる。
【0007】
更なる流動床反応器及びその操作の詳細は、例えば、米国特許第4243619、4543399、5352749、5436304、5405922、5462999、及び6218484号に記載されており、その開示をここで資料として使用する。
【0008】
例えば、米国特許第5525678号は、比較的低分子量、高コモノマー含量ポリマーを製造するジルコニウムメタロセン、及び比較的高分子量、低コモノマー含量ポリマーを製造する非メタロセン系チタン等の触媒を示している。一般的に、エチレンは主要モノマーであり、少量のヘキセン又は他のα−オレフィンがポリエチレン密度を低下させるために添加される。ジルコニウム触媒はほとんどのコモノマー及び水素を組み込み、その結果例えば、約85%のヘキセン及び92%の水素が低分子量ポリマー中に含まれる。全体の分子量を調節するために水が添加され、それはジルコニウム触媒の活性を調節することにより起こる。
【0009】
2以上の触媒による重合の場合、ポリマー製品へのそれぞれの触媒の相対的寄与を検知して調整することが好ましく、その結果、重合条件を目的のポリマー特性を達成するために調整できる。反応器中で製造されたポリマーの特性は、反応温度、モノマー供給量、触媒供給量、共触媒供給量、水素ガス濃度、又は水供給量等の種々の操作パラメーターに影響される。目的の諸特性を有するポリマーを製造するために、反応器から排出されるポリマーは、サンプリングされ、実験的測定が行われポリマーの性質を特定される。1以上のポリマー特性が目的の範囲外であることが発見された場合、重合条件が調整され、ポリマーは再度サンプリングされる。しかし、この周期的サンプリング、試験及び調整は、遅くて好ましくないものであり、その理由はサンプリング及びポリマー特性の実験室的試験は時間がかかるからである。その結果、従来のプロセスでは手動的試験及び反応器制御により重合条件を効果的に調整することができる前に、大量の「規格外」ポリマーを生成するものであった。
【0010】
国際公開WO03/044061号の2個の気相成分濃度割合の周期的(rolling)平均では、それぞれの濃度は、上記刊行物の第13頁の式(7)に示されるように、反応器中へのその供給量により除された成分の気相モルフラクションとして順に表され、LIとして表示される。LIは、製造品の手動的分析を待つこと無しに製造されるポリマー特性を表示する。この技術は、従来技術よりも改良された制御を可能とする。しかし、国際公開WO03/044061号の技術の使用は、供給量が変化し、又上記等式が先行指標標的を選択する方法を考慮しないときにはある程度不正確な制御をもたらす。更に、工業的利用において、加重因子(weighting factor)を基礎とし、次に反応器中でのポリマー滞留時間を基礎とする先行指標が適用される改良がなされた。この後者の方法を使用する場合、ポリマー滞留時間を基礎とする先行指標は国際公開WO03/044061号の周期的平均よりも反応器挙動をより良く示し、より素早く、より応答性のある先行指標が求められた。このようなより応答性のある先行指標は、改良されたより適時な重合プロセスの制御を可能とし、それを行うことにより、意図しない反応器変数乱れに応じた試験外又は規格外ポリマーの減少、又は反応器変数の意図した変化に応じた試験外又は規格外ポリマー等の最小化を可能とする。例えば、異なる種類の材料を達成するためにそれら変数を変化させるには、反応器変数の調整により、メルトインデックス、フローインデックス、密度、分子量、分子量分布又はそれらの組み合わせ等のポリマー特性へ変化を及ぼす。
【特許文献1】米国特許第4543399号明細書
【特許文献2】米国特許第4588790号明細書
【特許文献3】米国特許第4243619号明細書
【特許文献4】米国特許第4543399号明細書
【特許文献5】米国特許第5352749号明細書
【特許文献6】米国特許第5436304号明細書
【特許文献7】米国特許第5405922号明細書
【特許文献8】米国特許第5462999号明細書
【特許文献9】米国特許第6218484号明細書
【特許文献10】米国特許第5525678号明細書
【特許文献11】国際公開WO03/044061号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このように、特に複数の触媒プロセス中で、ポリマー特性の変化、又は触媒のそれぞれの活性の変化を検出及び/又は予測する、より速い方法及びより正確な方法が望まれている。更に、単純な反応器データ及び製造品特性を基礎として、特別な型又は種類のポリマー製品を製造するために求められる反応器条件を予測する方法が望まれている。(計画的に又はプロセスパラメーター変動を通してのいずれかで)反応器プロセス条件が変化する時間の間、目的の規格に適合しないポリマー製品の製造を最小化させることが特に重要である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
まとめ
本発明の一態様は、下記ステップを含有するオレフィン重合方法に関する:
(a)重合反応器へ供給されるモノマー流量に対する重合反応器へのコモノマー又は水素流量の流量比FR1の決定ステップ;
反応器のリサイクルガス流中のモノマー濃度に対する選択されたコモノマー又は水素濃度の濃度比GR1の決定ステップ、
(b)下記で定義される先行指標関数LIを得るステップ:
【数1】

但しGR1は反応器中の時間Tにおけるコモノマー/エチレン濃度比又は水素/エチレン濃度比の現在値いずれかの現在値であり、リサイクルガス流の分析により決定され;
FR1はコモノマー/エチレン比又は水素/エチレン比の現在値のいずれかの、反応器中への流量比の現在値であり、時間Tにおける指数関数的重量輸送平均(EWMA)として表され;
FR2は時間Tよりtd(分)前の瞬間的流量比であり;
FR3は時間T−1よりtd(分)前のコモノマー又は水素の滞留時間を使用したEWMAであり;
β=1−exp(−T/(コモノマー滞留時間)=1−exp(−Δt/τ)であり;
ΔtはLI計算をアップデートするために選択される時間ステップであり;
τはLIを計算するために使用されるコモノマー又は水素の反応器内の滞留時間であり(但し、重合オレフィン中に溶解されたコモノマーはLIを計算するために使用されるコモノマー中に含まれる);
(c)LIを標的値と比較するステップ;並びに
(d)LI及び標的値間の偏差に応答して少なくとも1の反応器パラメーターを調節するステップ。
【0013】
本発明の別の態様は、重合反応器中での気相重合反応中の先行指標の制御を達成する方法であり、下記ステップを含有する方法である:
a)分数の分子及び分母はプロセス変化に対して同じ動的応答を示すように先行指標(LI)を計算するステップ;
b)上記先行指標(LI)を制御して操作するために少なくとも1のプロセス感受性変数を選択するステップ;
c)プロセス感受性変数を操作するステップ;並びに
d)ポリマー製品を取り出すステップ。
【0014】
又、本発明は、下記ステップを含有する気相流動床重合反応器中のオレフィン重合方法に関する:
(a)重合反応器へ供給されるモノマー流量に対する重合反応器へのコモノマー又は水素流量の流量比FR1の決定ステップ;
反応器のリサイクルガス流中のモノマー濃度に対する選択されたコモノマー又は水素濃度の濃度比GR1の決定ステップ、
(b)下記で定義される先行指標関数LIを得るステップ:
【数2】

但しGR1は反応器中の時間Tにおけるコモノマー/エチレン濃度比又は水素/エチレン濃度比の現在値いずれかの現在値であり、リサイクルガス流の分析により決定され;
FR1はコモノマー/エチレン比又は水素/エチレン比の現在値のいずれかの、反応器中への流量比の現在値であり、時間Tにおける指数関数的重量輸送平均(EWMA)として表され;
FR2は時間Tよりtd(分)前の瞬間的流量比であり;
FR3は時間T−1よりtd(分)前のコモノマー又は水素の滞留時間を使用したEWMAであり;
β=1−exp(−T/(コモノマー滞留時間)=1−exp(−Δt/τ)であり;
Δtは、LI計算をアップデートするために選択される時間ステップであり;
τは、LIを計算するために使用されるコモノマー又は水素の一方の反応器内の滞留時間であり(但し、オレフィン重合中に製造されたポリマー中に溶解されたコモノマーはLIを計算するために使用されるコモノマー中に含まれる);
(c)LIを標的値と比較するステップ;並びに
(d)LI及び標的値間の偏差に応答して少なくとも1の反応器パラメーターを調節するステップ。
【0015】
但し、上記重合は上記エチレン、並びに1−ブテン、1−ヘキセン又はそれらの混合物から選択された上記コモノマー、及び水素を含有し;
オレフィン重合は少なくとも1のメタロセン触媒及び少なくとも1の非メタロセン遷移金属触媒を含有する担持されたバイメタル性触媒系により触媒され、上記ポリマー製品は、それぞれブロード及び/又はバイモーダルである、分子量分布及び/又は組成物分布を含有し;
少なくとも1のメタロセン触媒化合物は、(RCp)2MX2(但し、Cpは置換されたシクロペンタジエニル環であり、Mはジルコニウムであり、Rはn−ブチルであり、Xはフッ素である)で表され;
少なくとも1の反応器パラメーターは、モノマー供給量、コモノマー供給量、触媒供給量、共触媒供給量、水素供給量、反応器温度、モノマー分圧、コモノマー分圧、水素分圧、水供給量、二酸化炭素供給量、不純物供給量、縮合剤供給量、イソプロピルアルコール供給量、酸素供給量、及びその組み合わせの群から選ばれる。
【0016】
本発明を、その構成及び操作方法の両方において、更なる目的及び利点と共に特徴付ける新規な特色は、添付図及び下記記載を参照して更に理解できる。しかし、それぞれの図は例示及び記載の目的のみに提供され、本発明の範囲を限定するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
発明の記載
本発明の例として、オレフィン重合方法を記載する。反応器中の反応成分濃度及び反応器への反応成分供給量の分析を使用して、高度に正確で非常に予測性の高い先行指標を抽出するために、数学的分析及び処理を適用した。これら先行指標は、反応器変数乱れ及びこれら乱れが生成されたポリマーに与える影響の迅速な診断を提供し、目的としない変数変化からの急速な回復を可能とする。更に、これら先行指標により、操作者は(1以上の反応器変数を意図的に変化させることにより)ポリマー特性の計画的な変化を起こすことができ、短くより経済的な転移時間で一組の特徴から別の特徴への計画的な変化を起こすことができる。
【0018】
本発明の方法の態様は、数種の反応器種、例えば、溶液反応器、スラリーループ反応器、超臨界ループ反応器、又は流動床、気相反応器に適用できる。下記には例示として流動床、気相反応器を示すが、本発明の方法は他の反応器種へも適用できる。
【0019】
先行指標
ここで使用される用語「先行指標」は、少なくとも二成分の濃度割合の関数を意味するために使用され、それぞれの濃度は順番に反応器中への供給量(単位時間当たり質量又は単位時間当たり修正体積等の公知の適切な単位)により除された成分のモルフラクションとして表される。従って、先行指標(LI)はモルフラクションχiとして表され、それは、成分の合計モルを基礎とするか、成分の部分集合を基礎とするi番目の成分のモルフラクションである。一方、先行指標は、反応器成分供給量割合及び反応器濃度を基礎として数学的に再配置された式を基礎としてもよく、後者は反応器中の適切な位置で測定されたデータである。本明細書中、気相濃度又は反応器中への成分供給量を検討するが、これらの用語は溶液又はスラリー反応器へ同様に適用され、上記濃度及び流量(flow rate)は液体若しくはスラリー濃度又は供給量(feed rate)をいう。反応器中のガス比(gas ratio)又はガス流量(gas flow rate)若しくは割合(比、ratio)のいずれの記載も成分濃度及び成分供給量のいずれかを意味し、その場合の反応物は本発明の反応機構で通常採用される液体又はスラリーである。
【0020】
本発明の一態様として、先行指標を使用した気相流動床反応器中のオレフィン重合方法を提供する。例えば、エチレン又はプロピレン等の主要モノマー、及びコモノマー(ブテン−1、ヘキセン−1及び/又はオクテン−1等)又は水素の二種の反応成分の濃度又はガス比GRは、反応器のリサイクルガス流中で決定される。ガス比(GR)の分析は、特定の時間での反応器内のガス比の決定要因である。1又は複数のガス比(GR)は反応成分の反応器への流量比(FR)と比較される。これら割合(FR及びGR)は、指数関数的加重因子(又はフィルター定数)と組み合わせて先行指標関数LIを提供する。LIは、実施中の重合反応の制御をし、又は反応器中の反応条件を変化させて、異なるポリマーの製造をする、換言すればポリマーの物理的性質の改質を行うのに有用である。又はLIは、複数の触媒系により製造されるポリマーを制御するのに有用であり、上記複数の触媒は同一又は異なり、マルチモーダル分子量分布及び/又はコモノマー含量を有するポリマーを製造する触媒系でもよい。この態様では、先行指標測定は、反応器の最新の、実際の状態に関連し、下記計算/等式は反応器変数を使用して、最新の先行指標を決定する。先行指標関数の制御は、反応器条件の手動的、自動的又は手動的及び自動的調整の組み合わせにより達成できる。
【0021】
1又は複数のガス比(GR)を決定するためのリサイクルガス流の分析は、有限時間(td又は遅延時間)を必要とし、それは又、1又は複数のガス比(GR)が流量比(FR)変化に応答して変化するための有限時間を必要とするために、操作(動的補正)は分数の分子及び分母を同相にし(同期させ)、先行指標(LI)を正確に保持するために分数の分子に対してなされる必要がある。分数の分母に使用されたどのような割合も分数の分子中に使用でき、即ち、エチレンのコモノマーに対する割合が分数の分母中の割合である場合、そのエチレンのコモノマーに対する割合は又、分数の分子の根拠となることができる。一方、エチレンの水素に対する割合が分数の分母中の割合である場合、そのエチレンの水素に対する割合は又、分数の分子の根拠となることができる。本発明の一の態様では、先行指標(LI)は下記一般式/計算(1a)に従って計算される。但し、便宜上及び統一するために、計算中の種々の成分の表記は、以前使用された米国予備出願第60/512502及び60/512355号の記載とは異なる。両方のバージョンを、計算/等式の以前のバージョン(ここでは(1))に対照させて下記に示す:
【数3】

【数4】

【0022】
但しGR1=GRinst.Tは、反応器中の時間T(now:現在)におけるコモノマー/エチレンガス比又は水素/エチレンガス比の現在値いずれかの現在値であり、リサイクル流の分析により決定される。
FR1=FRavg,Tは、コモノマー/エチレン比又は水素/エチレン比の現在値のいずれかの流量比の現在値であり、時間Tにおける指数関数的重量輸送平均(EWMA)として表される。
FR2=FRinst.T-tdは、時間ステップTよりtd(分)前の瞬間的流量比である。
FR3=FRavg.,(T-td)-1は、時間ステップT−1よりtd(分)前のコモノマー又は水素の滞留時間を使用したEWMAである。
β=WFpref.=1−exp(−T/(コモノマー滞留時間)=指数関数的加重因子又はフィルター定数(反応器中のコモノマー又は水素の滞留時間を基礎とする)=1−exp(−Δt/τ)である。但し、Δtは、LI計算をアップデートするために選択される時間ステップであり(一般的に=1分);τはLIを計算するために使用される原料(一般的に、コモノマー又は水素のいずれか)の滞留時間である。上記滞留時間は、リサイクルガス流中の原料(例えば、モノマー、及びコモノマー)重量及びポリマー床中に溶解された原料推定量を加算し、その合計を原料供給量により除して計算される。
【0023】
先行指標値(LI)又は、適正化値若しくは逆数等の先行指標(LI)関数は、標的値と比較され、少なくとも1の反応器パラメーターは、先行指標(LI)又は先行指標(LI)関数及び標的値の間の偏差に応答させて調整される。この先行指標の検出は、ポリマーサンプル単独の実験室的分析の使用と比較して、反応器パラメーターの調節を改良して迅速にし、製造されるポリマーの特性を調整し、反応器問題を迅速に診断し、その後の反応器問題の迅速な解決を可能とする。
【0024】
本発明の別の例では、先行指標(LI)を時間の関数として検出し、先行指標(LI)の時間挙動を検出して標的関数と比較する。
【0025】
本発明の別の態様では、先行指標標的(target)値(LIT)を計算して気相重合反応器を制御し、その結果その中で製造されるポリマー製品の特性を制御する下記方法が提供される。即ち、現在及び過去の反応器操作パラメーター、並びに過去の先行指標パラメーターにおいて反応器中で製造された以前のポリマー製品の分析を基礎とする先行指標(LI)データを得て、次に目的の将来のポリマー製品に関する新しい標的先行指標(LIT)を計算する(将来の目的のポリマー製品は、一般的に現在製造されるポリマーに比較して変化又は変質した少なくとも1の物理的性質を有する)。但し、上記標的先行指標(LIT)は下式2a及び3aで定義される。但し、便宜上及び統一するために、計算中の種々の成分の表記は、以前使用された米国予備出願第60/512502及び60/512355号の記載とは異なる。両方のバージョンを、計算/等式の以前のバージョン(ここでは(2及び3))に対照させて下記に示す:この等式は、標的フローインデックス(FIT)(但し本明細書におけるフローインデックスは、条件190/21.6におけるASTMD1238−01手順Bにより決定されたI21.6である)を製造するための標的先行指標(LIT)は、最新の反応器パラメーターにおいて触媒系により製造されるより高い分子量ポリマーのフローインデックス(FIH)の関数であるという発見を基礎とする。例えば、より高い分子量ポリマーのフローインデックス(FIH)が増加する場合、標的先行指標(LIT)は減少する。又、別の方法では、分子量分布の幅は、標的FIを達成するように製造されなくてはならないそれぞれの成分の相対量に影響する。

LItarget=(ln(FItarget)−A1−CCAT1xFIHMW,Current)/CCAT2. ・・・(2)

LIT=(ln(FIT)−A1−C’1xFIH)/C’2 ・・・(2a)
【0026】
但しA1=ln(FIOLD)−CCAT2xLIPREVIOUS-SBA−CCAT1xFIHMW,old ・・(3)
但し、A1=ln(FIO)−C’2xLIP−C’1xFIHO ・・・(3a)
但し、FItarget=FITは新しい標的先行指標(LIT)へ反応条件を調節した後に目的とされるポリマー製品の標的フローインデックスである。
但し、FIOLD=FIOは、先の先行指標反応器条件に従い製造されたポリマーの測定されたフローインデックスであり;CCAT1=C’1は触媒系に関する定数であり;LIPREVIOUS-SBA=LIPはシングルバック平均技術(SBA)により、先の先行指標反応器条件下で製造されたポリマーの測定されたフローインデックス(FIO)及びFIHO測定が実施される時間に関して先の時間から計算された先行指標であり;FIHMW,old=FIHOは、先の先行指標条件に従い製造されたポリマーについて測定されたより高い分子量ポリマーのフローインデックスである。FIHMW,Current=FIHは、現在の反応器パラメーター下の触媒系により製造されたより高い分子量ポリマーのフローインデックスである。FIHの決定は、バイモーダル又はマルチモーダル分子量分布ポリマーで有用であり、例えば2以上の触媒が、比較的低い少なくとも1の分子量分布の母集団及び少なくとも1の比較的高い分布を有する1のポリマーを製造するために使用できる。別の態様では、(比較的)低い及び高い分子量を有するポリマーのフローインデックスは、又この計算(2a及び3a)のためのより低い分子量ポリマーのフローインデックス(FIL)を使用できる。CCAT2=C’2は触媒系に関する定数である。C’1及びC’2は、それぞれの触媒系又はポリマー組成物について決定され、それは、少なくとも2のデータ点で、既知の先行指標値(LI)及びフローインデックス値(FI)と、現在の反応器パラメーター下での触媒系により製造されたより高い分子量ポリマーの少なくとも2の異なるフローインデックス(FIH)とを比較し、代数的にC’1及びC’2を解くことによる。C’1及びC’2はそれぞれ1〜10及び0.1〜10、並びにこれら範囲の全ての要素に変化することができる。同様に、先行指標のより複雑な(一般的に非線形)決定も又、本発明の範囲内であり、例えばCx、x番目の反応器定数、は(FIH)の二乗と組み合わせて使用できる(又別の態様では(FIL)を使用する)。
【0027】
又FIOがFITに近似し及びFIHの変化が予定されている場合に、最も有用な別の態様は、先行指標標的(LIT)値の下記ステップを含む計算方法であり、重合反応器を制御し、その結果その中で製造されるポリマー製品の特性を制御する方法も本発明の範囲内である:
a)先行指標標的(LIT)を計算するステップ。但し、上記先行指標標的(LIT)は下記で規定され;
LIT=LIP+C’4+C’3x(FIH−FIHO
但し、C’3及びC’4は触媒系に関する定数であり;
LIPはFIHOが測定されたサンプルの時間の先の時間から計算された先行指標であり、FIHOは先の先行指標条件下で製造されたポリマーについて測定された上記ポリマーのより高い分子量部分のフローインデックスであり、下式により決定される:
FIHO=ln(−0.33759+0.516577*ln(I21.6)−0.01523*(I21.6/I2.16));
但し、FIHは現在の反応器パラメーター下での触媒系により製造されたポリマーのより高い分子量部分のフローインデックスであり、反応条件の変化を基礎としたFIHの変化を示すモデルから推定される;及び
b)少なくとも1の反応器パラメーターを変化させ、新しい標的にあわせて先行指標を調節するステップ。但し、C’3及びC’4は、対応する触媒系から得られたデータを使用して、少なくとも2個のデータ点(FIHは変化し、FIは同一である)用の先行指標を比較して計算される。C’3は−0.7であるか、−6.0〜+4.0、又は−0.4から−1.0の範囲であり、C’4は0であるか、−3.0〜+3.0、又は−0.3から+0.3の範囲である。
【0028】
少なくとも1の反応器パラメーターは、新しい標的先行指標(LIT)にあわせて先行指標を変化させるように調節される。
【0029】
FIHモデルは、実際の触媒系及び分子量標的に依存する。本発明の実施例中の触媒系に使用されるFIHモデルは下記の通りである:
FIH=FIHO+0.005x(COCAT−COCATO)+0.072x(C2PP−C2PPO)+35.3x(H2/C2−H2/C2O
【0030】
但し、COCAT及びCOCATOは、それぞれ現在及び以前の値であり、共触媒のエチレン供給量への輸送平均(重量ppm単位)であり;C2PP及びC2PPOは、それぞれ現在及び以前の値であり、エチレン分圧の輸送平均(bar単位)であり;H2/C2及びH2/C2Oは、それぞれ現在及び以前の値であり、サイクルガス中の水素のエチレンに対するモル比の輸送平均(無次元単位)である。
【0031】
LIPREVIOUS-SBA=LIPはLIの指数関数的重量輸送平均であり、反応器中のポリマー滞留時間を基礎として下記加重因子で計算される。
λ=1−exp(−Δt/(ポリマー滞留時間)
【0032】
この計算は下記のとおり。
LIP=(λxLI)+(1−λ)xLIT-1
【0033】
本発明の別の態様では、少なくとも2の先行指標が検出され、複数の標的値又は標的関数と比較される。例えば、水素及びエチレンを基礎とするLIは、ヘキセン及びエチレンを基礎とするLIと組み合わせて使用される。
【0034】
本明細書においては、LIを計算する適切な反応器成分として、例えば、水素、モノマー、コモノマー、又はポリマー組成物分布の一部へ好ましく組み込まれるいずれかのトレーサー成分が挙げられる。LIを制御する適切な反応器パラメーターとして、例えばモノマー供給量、コモノマー供給量、触媒供給量、共触媒供給量、水素供給量、反応器温度、モノマー分圧、コモノマー分圧、水素分圧、水供給量、二酸化炭素供給量、不純物供給量、縮合剤供給量、イソプロピルアルコール供給量、酸素供給量、及びその組み合わせが挙げられる。
【0035】
本発明の別の態様では、先行指標LIの制御を達成する方法が提供され、それは一般的に、先行指標関数LIを制御するための操作用に少なくとも1のプロセス感受性パラメーターを選択するステップ、及び、そのプロセス感受性パラメーター値の変化を使用することによりプロセス感受性パラメーターを操作して、先行指標(LI)を制御するステップを含む。
【0036】
本発明の別の例では、フィルターが真のノイズフリー先行指標LIを提供するために適用され、それはプロセスパラメーターの値の変化を実施する前の安定した自動制御に役立つ。フィルター技術は「プロセス制御への応用の制御理論手引き」[Lowell B. Koppel、Prentice-Hall、1968、Appendix E.]に記載されている。
【0037】
本発明の別の態様では、重合は第一ポリマーを製造する第一触媒及び第二ポリマーを製造する第二触媒を含有する触媒系により触媒作用を受け、その方法により、ブロード、バイモーダル、又は両方ブロード若しくはバイモーダルの分布を有する、分子量及び/又は組成物のポリマー製品を製造する。本明細書では、バイモーダルとは少なくとも2の分子量及び/又は組成物分布を言い、それは3、4、5、6、7以上の分子量及び/又は組成物分布を意味する「マルチモーダル」を含む。反応器パラメーターは、第一及び第二触媒のそれぞれの活性又は2種の触媒のそれぞれの供給量を選択的に変化させるために選択されてもよく、1若しくは複数のバイモーダル分布又は両方の制御を可能とする。
【0038】
本発明の別の例では、少なくとも1の触媒はチーグラーナッタ型触媒である担持されたバイメタル性触媒を使用して、重合が行われる。
本発明の別の例では、少なくとも1の触媒はメタロセン系触媒である担持されたバイメタル性触媒を使用して、重合が行われる。
本発明の別の態様では、少なくとも1の触媒は少なくとも1のメタロセン触媒系化合物及び/又は公知の「チーグラーナッタ」型触媒等の少なくとも1の他の金属含有触媒であり、担持されたバイメタル性触媒を使用して、重合が行われる。
【0039】
本発明の別の態様では、触媒の一成分はメタロセン化合物Cp2MX2である担持されたバイメタル性触媒を使用して、重合が行われ、上記Cpは置換されたシクロペンタジエニル環であり、Mは第4族金属であり、Xはハライドである。又別の態様では、少なくとも1のメタロセン触媒化合物は、(RCp)2MX2であり、上記Cpは置換されたシクロペンタジエニル環であり、Mはジルコニウムであり;Rはn−ブチルでありXはフッ素である。
【0040】
等式(1a)中の供給量は、その単位が相殺されるので、適切な単位でよい。モルフラクションは無次元単位であり、従って先行指標も又無次元単位である。ここで記載される先行指標の使用は、対応する、完全ではない量が基礎とされる。1以上の先行指標は時間の関数として検出され、1以上の先行指標の変化は反応を検知し及び/又は制御するために下記のように使用される。従って、等式(1a)の関数又はそれらの変形式も又、本発明の範囲内である。例えば、先行指標の逆数はやはり先行指標であり、他の関数は、重合されるモノマー及び反応条件に依存して、分数の分子、分母、又は対象物の割合若しくは平均へ、目的とするように又は必要なように適用される。その結果得られた関数は、期間中の反応器変化の検出及び/又は制御を可能とする。
【0041】
等式(1a)中の分数の分子は、1又は両方の触媒成分が例えば水素ガス濃度又はコモノマーの気相濃度等に感受性のあるような量で使用される。用語「分数の分子」及び「分数の分母」は便宜上のみのために使用され、先行指標の逆数はそれ自身先行指標である。
例えば、先行指標は水素ガス(H2)及びエチレンモノマーの相対量を基礎とし、エチレンモノマーは便宜上「C2」と表される。この態様では、先行指標は「H2先行指標」として表される。
【0042】
又別の態様では、先行指標は、コモノマー(CM)及び主なモノマー(M)の相対量を基礎とし、例えば本発明の方法は大部分の重合されたモノマーユニット及び少量の重合されたコモノマーユニットを有するコポリマーを製造する。
又別の態様では、先行指標は、(主要な)モノマーとしてエチレンを基礎とし、そのコモノマーはC3−C12α−オレフィン、水素及びそれらの混合物の群から選ばれる。
又別の態様では、先行指標は、(主要な)モノマーとしてエチレンを基礎とし、そのコモノマーはC3−C8α−オレフィン、水素及びそれらの混合物の群から選ばれる。
又別の態様では、先行指標は、(主要な)モノマーとしてエチレンを基礎とし、そのコモノマーはC3−C6α−オレフィン、水素及びそれらの混合物の群から選ばれる。
【0043】
又別の態様では、オレフィン重合は第一ポリマーを製造する第一触媒及び第二ポリマーを製造する第二触媒を含有する触媒系により触媒作用を受け、その方法は、ブロード及びバイモーダルである分子量及び組成物の分布を有するポリマー製品を製造する。
又別の態様では、少なくとも1の反応器パラメーターの調整ステップは、第一及び/又は第二触媒の対応する生産性を変化させるために有効である。
【0044】
又別の態様では、触媒系は少なくとも1のメタロセン触媒及び少なくとも1の非メタロセン触媒を含有し、及び/又は少なくとも1のメタロセン及び少なくとも1の非メタロセン触媒は担持されてもよく、両方は同一サポート上に存在してもそれぞれ分離されたサポート上に存在してもよい。
【0045】
又別の態様では、オレフィン重合は少なくとも1のメタロセン触媒及び少なくとも1の非メタロセン遷移金属触媒を含有する担持されたバイメタル性触媒系により触媒作用を受け、その方法は、ブロード及び/又はバイモーダルである分布の、分子量、組成物、又は分子量及び組成物の両方のポリマー製品を製造する。例えば、エチレンモノマー及びコモノマー(1−ブテン、1−ヘキセン1−オクテン又はそれらの組み合わせ)のコポリマー中で、先行指標はコモノマーとしての1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン又はそれらの組み合わせ及びエチレンの相対量を基礎とする。
又別の態様では、ポリマーはエチレン及び1−ヘキセン、又はエチレン及び1−ブテンのコポリマーであり、先行指標は1−ヘキセン(又は1−ブテン)コモノマー及びエチレンの相対量を基礎とする。
【0046】
種々の成分の流量は、従来の流量計又はコリオリ(Coriolis)式流量計を使用して測定できる。成分の気相濃度は、ガス分析器38(図1)によるリサイクルガス流の分析により決定できる。
【0047】
必要ならば、1以上の先行指標は時間の関数として決定できる。
又別の態様では、LIは時間の関数として検出され、LIの時間挙動が検出されて標的関数と比較される。先行指標は複数の時間で決定できる。LIの決定時間の間隔は、適切な間隔でよい。LIを毎分、5分毎又はそれより長い又は短い時間間隔等の所定の間隔で決定すると便利である。一方、時間間隔はランダムでもよい。
【0048】
又別の態様では、少なくとも2の先行指標が、検出され標的値又は標的関数と比較される。例えば、H2先行指標及び(例えばコモノマーとして1−オクテン、1−ヘキセン又は1−ブテンを基礎とする)コモノマー先行指標が使用できる。
【0049】
流動床反応器
流動床反応器は公知であり;流動床反応器の例をここで例示としてのみ示す。当業者は、数多くの改変及び改良が、必要に応じて上記流動床反応器へ加えられることが認識できる。
【0050】
使用される触媒は、本発明を限定するものではないが、例えば1以上のチーグラーナッタ触媒及び/又はメタロセン触媒が挙げられる。触媒の混合物も又使用できる。特に、重合は、存在する2以上の異なる触媒で行われ、1個の反応器中で同時に活発に重合できる。2以上の触媒は、非メタロセン触媒及びメタロセン触媒等の異なる触媒型でもよく、望ましい特性を有する樹脂製品を製造できる。触媒は分離して又は物理的混合物として反応器へ供給されることができ、それぞれの触媒粒子は1以上の触媒化合物を含有してもよい。触媒が2個の活性な触媒サイトを有し、異なる分子量及び/又は異なるコモノマー含量のポリマーを製造する場合、バイモーダル分布の分子量、バイモーダル分布のコモノマー又は両方がバイモーダル分布のポリマーを製造できる。これらバイモーダル製品は、触媒単独から得られるもの、又はそれぞれの触媒単独から製造される個々の単一モードの樹脂の反応器後混合から得られるものとは異なる物理的性質を有することができる。
【0051】
図1は本発明の方法の実施に有用な気相流動床反応器20を示す。反応器20は反応器本体22を有し、それは一般的に垂直シリンダーであり、その下部領域には流体化グリッド24が配置されている。反応器本体22は流動床領域26及び減速領域28を内包し、それは一般的に反応器本体22の流動床領域26の直径に比べて増加した直径を有する。
【0052】
反応器本体22の頭頂部から離脱するガス状反応混合物「リサイクルガス流」には主に未反応モノマー、未反応水素ガス、イソペンタン等の不活性凝縮性ガス、及び窒素等の不活性非凝縮性ガスが含まれる。リサイクルガス流はライン30を経由して圧縮機32へ輸送され、圧縮機32から熱交換器34へ輸送される。微粒子を除去するために必要ならば、圧縮機32の上流で任意のサイクロン分離器36が図示のように使用できる。ガス分析器38が使用されて、種々の成分濃度を決定するためにリサイクルガス流をサンプリングする。一般的に、ガス分析器は気相クロマトグラフィー(GPC)、又は近赤外線分光機若しくはフーリエ変換近赤外線分光機(FT−NIR)等の分光器である。追加的熱交換器(図示せず)も又必要なら使用でき、圧縮機32の上流に配置できる。
【0053】
冷却されたリサイクルガス流は、熱交換器34からライン40を経由して排出される。上記のように、冷却されたリサイクルガス流はガス状でも、ガス状及び液体相の混合物でもよい。図1は任意の構成を示し、少なくともリサイクルガス流の一部は、液体凝縮物の形成が開始される温度(露点)以下まで冷却される。得られるガス液体混合物の全部又は一部はライン40を経由して分離器42へ輸送され、そこで液体の全部又は一部が除去される。ガス流の全部又は一部はいくらかの液体を含有してもよく、ライン44を経由して反応器下部領域の流体化グリッド24以下の場所まで輸送される。床の流体化条件を維持するのに充分な上昇流量がこの方法により提供される。
当業者は、使用される反応器が攪拌床反応器である場合には、流体化を維持するために必要なガス量は少なくてよいことが理解できる。
【0054】
任意の圧縮機46が、ライン44を経由して反応器底部へ流入するガスへ充分な速度を確実に付与するために使用されてもよい。反応器底部へ流入するガス流は、必要ならば凝縮された液体を含有してもよい。
【0055】
分離器42中でリサイクル流から分離された液体相の全部又は一部は、ライン48を経由して反応器頭頂部又はその近辺に配置されたマニフォールド50へ輸送される。必要ならば、ポンプ52がライン48中に設置され、マニフォールド50への液体の輸送を促進する。マニフォールド50へ流入する液体は、優れた熱交換特性を有し、かつ反応器壁と熱交換的に接触している複数の導管56を経由して、マニフォールド54へ流下する。導管56中の液体の通過により、温度差、継続時間及び熱交換的接触の範囲に応じて大きな又は小さな範囲で反応器内壁が冷却され、かつ液体は加熱される。従ってマニフォールド50へ流入する液体がマニフォールド54に達する時間には、それは完全に液体状態で保持されている加熱された流体であるか、部分的に又は全てが気化されている。
【0056】
図1に示されるように、加熱された流体(気体及び/又は液体)はマニフォールド54からライン58を通過し、反応器の流体化グリッド24下領域への流入前に、分離器42からライン44を経由して排出されるガスと一緒になる。同様の様式で、補充モノマーが反応器中へ液体又はガス状体のいずれかで、ライン60を経由して導入できる。マニフォールド54中に集められた気体及び/又は液体は又、反応器の流体化グリッド下領域(図示せず)中へ直接輸送されてもよい。
生成ポリマー粒子は、反応器からライン62を経由して従来法で、例えば米国特許第4621952号に記載されている方法及び装置により除去できる。
【0057】
触媒は連続的に又は断続的に、米国特許第3779712号に記載されている装置等の触媒フィーダー(図示せず)を使用して反応器中へ投入される。触媒は反応器へ、反応器壁から反応器直径の20〜40パーセント離れて、床高さの約5〜約30パーセント高さの位置で供給できる。適切な触媒を下記に記載する。
【0058】
窒素又はアルゴン等の触媒に不活性なガスは、触媒を床中へ供給するために使用できる。分離器42又はマニフォールド54からの冷凝縮された液体は又、触媒を床中へ輸送するために使用できる。
【0059】
本発明の方法で、流動床反応器は、バイモーダル分子量分布、バイモーダルコモノマー分布又はその両方を有するポリオレフィンを形成するように操作できる。適切なポリオレフィンとして、下記に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、及びそのコポリマーが挙げられる。
【0060】
例えば、少なくとも1のポリオレフィンは、ポリエチレンコポリマーを含有する。低密度ポリエチレン(LDPE)は、フリーラジカル開始剤を使用して高圧で、又はチーグラーナッタ若しくはバナジウム触媒を使用して気相プロセスで製造でき、一般的に0.916〜0.928g/cm3の範囲の密度を有する。LDPEは又、ポリマー主鎖から延びている比較的多数の長鎖ブランチのために、「分岐状」又は「不均一分岐状」ポリエチレンとして知られる。0.916〜0.928g/cm3等の同じ密度範囲を有し、直鎖状であり長鎖分岐を含まないポリエチレンも又知られており;この「直鎖状低密度ポリエチレン」(LLDPE)は従来のチーグラーナッタ触媒で又はメタロセン触媒で製造できる。一般的に0.928〜0.940g/cm3の範囲である比較的高密度のLDPEは、しばしば中密度ポリエチレン(MDPE)と言われる。より大きな密度を有するポリエチレンは、高密度ポリエチレン(HDPE)、例えば0.940g/cm3を超える密度を有するポリエチレンであり、一般的にチーグラーナッタ触媒で製造される。超低密度ポリエチレン(VLDPE)も又公知である。VLDPEは多くの異なるプロセスにより製造でき、それらのプロセスは、異なる特性を有するが、一般的に0.916g/cm3未満、一般的に0.890〜0.915g/cm3又は0.900〜0.915g/cm3の密度を有するポリエチレンとして表されるポリマーを生成する。
【0061】
ターポリマー等の2以上の種類のモノマーを有するポリマーも又、ここで使用される用語「コポリマー」に含まれる。適切なコモノマーとして、C3−C20α−オレフィン又はC3−C12α−オレフィン等のα−オレフィンが挙げられる。α−オレフィンコモノマーは直鎖状又は分岐状でもよく、必要ならば2以上のコモノマーが使用できる。適切なコモノマーの例として、直鎖状C3−C12α−オレフィン、α−オレフィン、及び1以上のC1−C3アルキルブランチを有するα−オレフィン、又はアリール基が挙げられる。例えば、プロピレン;3−メチル−1−ブテン;3,3−ジメチル−1−ブテン;1−ペンテン;1以上のメチル、エチル又はプロピル置換基を有する1−ペンテン;1以上のメチル、エチル又はプロピル置換基を有する1−ヘキセン;1以上のメチル、エチル又はプロピル置換基を有する1−ヘプテン;1以上のメチル、エチル又はプロピル置換基を有する1−オクテン;1以上のメチル、エチル又はプロピル置換基を有する1−ノネン;エチル、メチル又はジメチル置換された1−デセン;1−ドデセン;及びスチレンが挙げられる。上記コモノマーのリストは単なる例示であり、本発明を限定するものではないことは当然である。コモノマーとして、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン及びスチレンが挙げられる。
【0062】
他の使用できるコモノマーとして、極性ビニル、共役及び非共役系ジエン、アセチレン及びアルデヒドモノマーが挙げられ、それらはターポリマー組成物内に少量含有されてもよい。コモノマーとして使用できる非共役系ジエンとして、直鎖状、6〜15炭素原子含有、炭化水素ジオレフィン又はシクロアルケニル置換されたアルケンが挙げられる。適切な非共役系ジエンとして、例えば下記が挙げられる:(a)直鎖非環状ジエン、1,4−ヘキサジエン及び1,6−オクタジエン等;(b)分岐鎖状非環状ジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン等;3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン;及び3,7−ジメチル−1,7−オクタジエン;(c)単環脂環式ジエン、1,4−シクロヘキサジエン等;1,5−シクロ−オクタジエン及び1,7−シクロドデカジエン;(d)多環脂環式縮合及び架橋された環状ジエン、テトラヒドロインデン等;ノルボルナジエン;メチル−テトラヒドロインデン;ジシクロペンタジエン(DCPD);ビシクロ−(2.2.1)−ヘプタ−2,5−ジエン;アルケニル、アルキルジエン、シクロアルケニル及びシクロアルキリデンノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−(4−シクロペンテニル)−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、及び5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)等;並びに(e)シクロアルケニル置換されたアルケン、ビニルシクロヘキセン、アリルシクロヘキセン、ビニルシクロオクテン、4−ビニルシクロヘキセン、アリルシクロデセン、及びビニルシクロドデセン等が挙げられる。一般的に使用される非共役系ジエンは、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、及びテトラシクロ−(Δ−11,12)−5,8−ドデセンである。
【0063】
触媒
一般的定義
ここで使用される用語「触媒系」には、少なくとも1の「触媒成分」及び少なくとも1の「活性化剤」が含まれ、これらは共に更に本明細書において説明される。触媒系には又、サポート等のような他の成分が含まれていてもよく、単独の又は組み合わた触媒成分及び/又は活性化剤に限定されない。触媒系には又、ここで記載されるような任意の組み合わせの任意の数の触媒成分、並びにここで記載されるような任意の組み合わせの任意の活性化剤が含まれていてもよい。
【0064】
ここで使用される用語「触媒化合物」は、適切に活性化された場合に、オレフィンの重合又はオリゴマー化の触媒作用が可能な化合物であり、少なくとも1の第3族〜第12族原子、及び任意でそれに結合している少なくとも1の脱離基を有する触媒化合物をいう。
【0065】
ここで使用される用語「脱離基」は、触媒成分の金属中心へ結合した1以上の化学的成分であり、活性化剤により触媒成分から引き抜かれ、オレフィンの重合又はオリゴマー化に活性な種を生成するものをいう。上記活性化剤は下記に説明する。
【0066】
ここで使用される元素の周期律表の「族」に関して、周期律表の族についての「新たな」番号付け方式は、CRC HANDBOOK OF CHEMISTRY及びPHYSICS(David R. Lide編集、CRC Press社、第81版、2000年)に倣って用いた。
【0067】
ここで使用される「ヒドロカルビル」には、水素及び炭素を含み且つ水素が1個欠乏した脂肪族、環状、オレフィン性、アセチレン性及び芳香族基(即ち炭化水素基)が含まれる。「ヒドロカルビレン」は水素が2個欠乏したものである。
【0068】
ここで使用される「アルキル」には、水素が1個欠乏した直鎖状、分岐状及び環状パラフィン基が含まれる。従って、例えば−CH3基(メチル)及びCH3CH2−基(エチル)がアルキルの例である。
【0069】
ここで使用される「アルケニル」には、水素が1個欠乏した直鎖状、分岐状及び環状オレフィン基が含まれる。アルキニル基には、水素が1個欠乏した直鎖状、分岐状又は環状アセチレン基が含まれる。
【0070】
ここで使用される「アリール」基には、フェニル、ナフチル、ピリジル及びその他の基であってその分子がベンゼン、ナフチレン、フェナントレン、アントラセン等の環構造特徴を有するものが含まれる。例えば、C65-芳香族構造は「フェニル」であり、(C642-芳香族構造は「フェニレン」である。「アリールアルキル」基は、アルキル基にアリール基がぶら下がったものであり、その例としてベンジル、フェネチル、トリルメチルが挙げられる。「アルキルアリール」は、アリール基に1個以上のアルキル基がぶら下がったものであり、その例としてトリル、キシリル、メシチル、及びクミルが挙げられる。
【0071】
ここで使用される「アルキレン」には、水素が2個欠乏した直鎖状、分岐状又は環状炭化水素基が含まれる。従って、−CH2−(メチレン)及び−CH2CH2−(エチレン)はアルキレン基の例である。水素基が2個欠乏したその他の基には、「アリーレン」及び「アルケニレン」が含まれる。
【0072】
ここで使用される「ヘテロ原子」には、炭素及び水素以外の原子であって炭素に結合することができる任意の原子が含まれる。「ヘテロ原子含有基」は、ヘテロ原子を含有する炭化水素基であり、1以上の同一又は異なるヘテロ原子を含有することができる。例えば、ヘテロ原子含有基は、ホウ素、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、窒素、リン、酸素及びイオウの群から選ばれる1〜3原子を含有するヒドロカルビル基である。本発明を限定するものではない例としてヘテロ原子含有基には、イミン、アミン、オキシド、ホスフィン、エーテル、ケトン、オキソアゾリン複素環、オキサゾリン、チオエーテル等の基が含まれる。
【0073】
ここで使用される「複素環状」は、ヘテロ原子(非炭素原子)が記載されていない場合にも、ホウ素、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、窒素、リン、酸素及びイオウの群から選ばれる1〜3原子を含有する炭素主鎖を有する環骨格をいう。
【0074】
ここで使用される「アルキルカルボキシレート」、「アリールカルボキシレート」及び「アルキルアリールカルボキシレート」は、それぞれ任意の位置にカルボキシル基を有するアルキル、アリール及びアルキルアリールである。その例には、C65CH2C(O)O-、CH3C(O)O-等が含まれる。
【0075】
ここで使用される「置換(された)」とは、その用語の後に記載された基が任意の位置において1以上の水素の代わりに、少なくとも1の成分を有することを意味し、その成分は、ハロゲン基(特にCl、F、Br)、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミン基、ホスフィン基、アルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、C1〜C10アルキル基、C2〜C10アルケニル基及びそれらの組み合わせの群から選ばれる。置換アルキル及び置換アリール基の本発明を限定するものではない例として、アシル基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルボモイル(carbomoyl)基、アルキル−及びジアルキル−カルバモイル基、アシロキシ基、アシルアミノ基、アリールアミノ基、並びにそれらの組み合わせが含まれる。
【0076】
ここで使用される構造式は、化学の分野において通常理解されている通りに用いられる。金属原子(「M」、第3族〜第12族原子)とリガンド、リガンド原子又は原子(例えばシクロペンタジエニル、窒素、酸素、ハロゲンイオン、アルキル等)との間の関係を表わすのに用いられる線(−)、並びに「〜とゆるく結合した」、「〜に結合した」及び「〜に結合する」の語句は、「化学結合」を表わすことを意味するものであるので、特定種類の化学結合を表わすものに限定されるものでない。「化学結合」とは、組み合わされた集合体を1の単位又は「化合物」として機能させるのに充分強い原子間の吸引力と定義される。
【0077】
所定の構造や構造の一部についての立体化学に関しては、その構造についてその旨の記述がされていたり、点線及び/又は太線のような通常用いられる結合記号を使用することによって明らかでない限り、特に特定のものに限定されない。
【0078】
別途記載がない限り、本発明の具体例はいずれも、個々の説明及び下記実施例中で規定されるような金属原子「M」の酸化状態に限定されるものではない。金属原子「M」のリガンド形成(ligation)は、別途記載がない限り、本明細書に記載された化合物が中性となるようなものである。
【0079】
チーグラーナッタ触媒成分
本発明の触媒組成物は第一触媒成分を含み、それは非メタロセン化合物でもよくそれを含むものでもよい。しかし、特定の用途において第一触媒成分は、メタロセン化合物の一種でも下記で特定されるように本明細書の第二触媒成分とは構造において異なるメタロセン系触媒化合物でもよい。例えば、第一触媒成分は、下記資料に開示されたチーグラーナッタ触媒化合物でもよい:「チーグラー触媒」363-386(G.Fink、R.Mulhaupt及びH.H.Brintzinger編、Springer-Verlag1995);及び欧州特許第103120;102503;0231102;0703246号;RE33683号;米国特許第4302565;5518973;5525678;5288933;5290745;5093415及び6562905号。これら触媒の例は、下記を含有する:第4、5又は6族遷移金属オキシド、アルコキシド及びハライド、又はチタン、ジルコニウム若しくはバナジウムオキシド、アルコキシド及びハライド化合物;但し、任意でマグネシウム化合物、内部の及び/又は外部の電子供与体(アルコール、エーテル、シロキサン)、アルミニウム又はホウ素アルキル及びアルキルハライド、並びに無機的オキシドサポートと組み合わせてもよい。
【0080】
チーグラーナッタ触媒は、例えば、第二触媒成分と共に又はそれなしにサポート材料と組み合わされてもよい。第一触媒成分は、様々な方法でサポート上へ配置し又は固着してサポートと組み合わせることができる。これらの方法の一つとして、適切な非極性炭化水素希釈剤中のサポートのスラリーを、有機マグネシウム化合物と接触させ、それを次にスラリーの非極性炭化水素希釈剤中に溶解して溶液を形成し、次にその溶液から有機マグネシウム化合物をキャリア上に配置する。有機マグネシウム化合物は、式RMgR’で表され、R’及びRは同一又は異なり、C2〜C12アルキル基、又はC4〜C10アルキル基、又はC4〜C8アルキル基である。少なくとも1の例で、有機マグネシウム化合物はジブチルマグネシウムである。例えば、シリカスラリー中に含まれる有機マグネシウム化合物の量は、物理的又は化学的サポート上に配置される量であり、例えばサポート上のヒドロキシル基へ結合され、それ以上の量ではない。過剰の有機マグネシウム化合物は望ましくない副反応を生じる場合があるからである。通常行われる試験を使用して、有機マグネシウム化合物の最適量が決定できる。例えば、有機マグネシウム化合物は、スラリーを攪拌しながらスラリーへ、有機マグネシウム化合物がサポート溶媒中に検出されるまで添加できる。反対に、有機マグネシウム化合物は、サポート上に配置されるより過剰量で添加されてもよく、その場合配置されなかった過剰量は、ろ過及び洗浄により除去できる。有機マグネシウム化合物の量(モル)は、脱水されたシリカ量(グラム)を基礎として、一般的に例えば0.2mmol/g〜2mmol/gの範囲である。
【0081】
例えばチーグラーナッタ触媒は、任意で有機マグネシウム化合物を含有し、電子供与体、テトラエチルオルソシリケート(TEOS)等、又は式R”OH(但しR”はC1〜C12アルキル基、又はC1〜C8アルキル基、又はC2〜C4アルキル基)の有機アルコール、及び/又はエーテル又は環状エーテル、テトラヒドロフラン等と接触させられる。R”OHは、例えばn−ブタノールである。。有機アルコールの使用量は、R”OHを提供するための有効量であり:Mgmol/mol比は、例えば0.2〜1.5、0.4〜1.2、0.6〜1.1、又は0.9〜1.0である。
【0082】
有機マグネシウム及びアルコール処理されたスラリーは、非メタロセン遷移金属化合物と接触させる。適切な非メタロセン遷移金属化合物は第4〜6族金属化合物であり、例えばシリカスラリーを形成するために使用される非極性炭化水素中に可溶である。本発明を限定するものではない適切な第4、5又は6族遷移金属化合物の例として、例えば、チタン及びバナジウムハライド、オキシハライド又はアルコキシハライド、例えば四塩化チタン(TiCl4)、四塩化バナジウム(VCl4)及びオキシトリ塩化バナジウム(VOCl3)等、並びにチタン及びバナジウムアルコキシドが挙げられ、上記アルコキシド成分として分岐状又は非分岐状の1〜20炭素原子、又は1〜6炭素原子を含有するアルキル基が挙げられる。これら遷移金属化合物の混合物も又使用できる。非メタロセン遷移金属化合物の使用量は、マグネシウムに対して充分な遷移金属を与える程度であり、そのmol/mol比は、例えば0.3〜1.5、又は0.5〜0.8である。希釈剤は次に、エバポレート又はフィルター等による従来法で除去され、担持された第一触媒成分を得られる。
【0083】
第一及び第二触媒成分はどの順序でサポートと接触しても良い。本発明では例えば、第一触媒成分が上記のように最初にサポートと接触し、次にこの担持された第一触媒成分が第二触媒成分と接触してもよい。
【0084】
メタロセン触媒化合物
本発明で使用できる触媒系は、ここで記載する少なくとも1のメタロセン触媒成分を含有する。メタロセン触媒化合物は一般的に、例えば「1&2 METALLOCENE-BASED POLYOLEFINS」John Scheirs及びW.Kaminsky編,John Wiley;Sons,社.2000、G.G. Hlatky in 181 Coordination Chem. Rev. 243-296 (1999);及び、特にポリエチレン合成に対する「1−メタロセンベースのポリオレフィン」261-377(2000)の全体に記載されている。ここで記載されるメタロセン触媒化合物として、少なくとも1の第3族〜第12族金属原子に結合した1以上のCpリガンド(シクロペンタジエニル及び、シクロペンタジエニルとアイソローバル類似であるリガンド)、並びに少なくとも1の金属原子に結合した1以上の脱離基、を有するハーフサンドイッチ型及びフルサンドイッチ型化合物が挙げられる。以下、これら化合物を、「メタロセン」又は「メタロセン触媒成分」という。メタロセン触媒成分は、例えば更に下記に示されたようにサポート材料上に担持され、別の触媒成分と一緒に又は単独で担持されてもよい。
【0085】
Cpリガンドは、シクロアルカジエニルリガンド及び複素環状類似体等の1以上の環又は環系、少なくとも一部はπ−結合した系を含むものである。上記環又は環系は、具体的には第13族〜第16族原子の群から選ばれる原子を含み、Cpリガンドを構成する原子は、炭素、窒素、酸素、ケイ素、イオウ、リン、ゲルマニウム、ホウ素及びアルミニウム並びにそれらの組み合わせの群から選ばれ、炭素は環構成員の少なくとも50%を占める。又、Cpリガンドは、本発明を限定するものではない例として、置換又は非置換のシクロペンタジエニルリガンドの群から選ばれ、本発明を限定するものではない例としてシクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニル及び他の構造が挙げられる。これのリガンドの本発明を限定するものではない更なる例として、シクロペンタジエニル、シクロペンタフェナントレニル、インデニル、ベンズインデニル、フルオレニル、オクタヒドロフルオレニル、シクロオクタテトラエニル、シクロペンタシクロドデセン、フェナントロインデニル(phenanthrindenyl)、3,4−ベンゾフルオレニル、9−フェニルフルオレニル、8−H−シクロペント[タ]アセナフチレニル、7H−ジベンゾフルオレニル、インデノ[1,2−9]アントレン、チオフェノインデニル、チオフェノフルオレニル、それらの水素化誘導体(例えば、4,5,6,7−テトラヒドロインデニル、又は「H4Ind」)、それらの置換誘導体(下記に詳細に記載される)、並びにそれらの複素環誘導体が挙げられる。
【0086】
本発明のメタロセン触媒化合物の金属原子「M」は;例えば第3族〜第12族原子及びランタニド系列原子の群から選ばれてもよく;好ましくは第3族〜第10族原子の群から選ばれてもよく;更に好ましくはSc、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mn、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、及びNiの群から選ばれてもよく;又第4〜6族原子の群から選ばれてもよく;特に好ましくはTi、Zr、Hf原子から選ばれてもよく;又Zrでもよい。金属原子「M」の酸化状態は、例えば0〜+7の範囲であり;又別の態様では、+1、+2、+3、+4又は+5であり;又別の態様では+2、+3又は+4である。金属原子「M」へ結合する基は、特記しない限り、下記式及び構造中の化合物が電気的に中性であるようなものである。Cpリガンドは少なくとも1の化学結合を金属原子Mと形成して「メタロセン触媒化合物」を形成する。Cpリガンドは、触媒化合物へ結合している脱離基とは明確に区別され、その触媒化合物中で非常に置換/抽出反応を受けにくい。
【0087】
例えば本発明では、上記1以上の本発明のメタロセン触媒成分は式(I)で表されてもよい:
CpACpBMXn (I)
但し、Mは上記と同様であり;それぞれのXはMへ化学結合し;それぞれのCp基はMへ化学結合しており、;nは例えば、0、1〜4の整数、又は1若しくは2である。
【0088】
式(I)中のCpA及びCpBで表されるリガンドは、同一又は異なる、シクロペンタジエニルリガンド又はシクロペンタジエニルとアイソローバル類似であるリガンドであり、それらのいずれか又は両方はヘテロ原子を含有してもよく、それらのいずれか又は両方は基Rにより置換されていてもよい。例えば、CpA及びCpBは、独立してシクロペンタジエニル、インデニル、テトラヒドロインデニル、フルオレニル、及びそれらの置換された誘導体の群から選ばれる。
【0089】
式(I)のそれぞれのCpA及びCpBは、独立して、非置換、又は置換基Rの組み合わせで置換されていてもよい。本発明を限定するものではない構造(I)中で使用される置換基R、並びに構造(下記Va−d)中の環基の例として;水素基、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アシル、アロイル、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオール、ジアルキルアミン、アルキルアミド、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、カルバモイル、アルキル−及びジアルキル−カルバモイル、アシロキシ、アシルアミノ、アロイルアミノ、及びそれらの組み合わせの群から選ばれるものが挙げられる。
【0090】
本発明を限定するものではない、式(I)から(V)に関するアルキル置換基Rの他の例として、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジル、フェニル、メチルフェニル、及びtert−ブチルフェニル基、並びに、tert−ブチル、イソプロピル等のそれらの異性体全て等が挙げられる。他の可能な基として、フルオロメチル、フルオロエチル、ジフルオロエチル、ヨードプロピル、ブロモヘキシル、クロロベンジル等の置換されたアルキル及びアリール;トリメチルシリル、トリメチルゲルミル及びメチルジエチルシリル等のヒドロカルビル置換オルガノメタロイド基;トリス(トリフルオロメチル)シリル、メチルビス(ジフルオロメチル)シリル及びブロモメチルジメチルゲルミル等のハロカルビル置換オルガノメタロイド基;ジメチルホウ素等の二置換ホウ素基;ジメチルアミン、ジメチルホスフィン、ジフェニルアミン、メチルフェニルホスフィン等の二置換第15族基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、フェノキシ、メチルスルフィド及びエチルスルフィド等の第16族基が挙げられる。本発明を限定するものではない他の置換基Rとして、ブテン−3−イル、プロペン−2−イル及びヘキセン−5−イル等の、ビニル末端リガンドを含むオレフィン性不飽和置換基等のオレフィンが挙げられる。例えば、少なくとも2のR基、例えば2つの隣接したR基は、互いに結合し、炭素、窒素、酸素、リン、ケイ素、ゲルマニウム、アルミニウム、ホウ素又はそれらの組み合わせから選ばれた3〜30原子を有する環構造を形成してもよい。同様に、1−ブタニル等の置換基R基は、金属Mへの結合関係を形成してもよい。同様に、ブテン−1−イル等の置換基Rは元素Mとゆるく結合してもよい。
【0091】
上記式(I)及び下記式/構造(II)〜(V)のそれぞれのXは、独立して下記群から選ばれる:いずれかの脱離基例えば;ハロゲンイオン、ヒドリド、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C6〜C12アリール、C7〜C20アルキルアリール、C1〜C12アルコキシ、C6〜C16アリーロキシ、C7〜C18アルキルアリーロキシ、C1~12フルオロアルキル、C6〜C12フルオロアリール、及びC1〜C12ヘテロ原子含有炭化水素及び置換されたそれらの誘導体、又別の態様では;ヒドリド、ハロゲンイオン、C1~6アルキル、C2〜C6アルケニル、C7〜C18アルキルアリール、C1〜C6アルコキシ、C6〜C14アリーロキシ、C7〜C16アルキルアリーロキシ、C1〜C6アルキルカルボキシレート、C1〜C6フッ素化アルキルカルボキシレート、C6〜C12アリールカルボキシレート、C7〜C18アルキルアリールカルボキシレート、C1〜C6フルオロアルキル、C2〜C6フルオロアルケニル、及びC7〜C18フルオロアルキルアリール、又別の態様では;ヒドリド、塩化物、フッ素化物、メチル、フェニル、フェノキシ、ベンゾキシ、トシル、フルオロメチル及びフルオロフェニル、又別の態様では;C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C6〜C12アリール、C7〜C20アルキルアリール、置換されたC1〜C12アルキル、置換されたC6〜C12アリール、置換されたC7〜C20アルキルアリール及びC1〜C12ヘテロ原子含有アルキル、C1〜C12ヘテロ原子含有アリール及びC1〜C12ヘテロ原子含有アルキルアリール、又別の態様では;塩素、フッ素、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C7〜C18アルキルアリール、ハロゲン化C1〜C6アルキル、ハロゲン化C2〜C6アルケニル、及びハロゲン化C7〜C18アルキルアリール、又別の態様では;フッ素化物、メチル、エチル、プロピル、フェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、フルオロメチル(モノ−、ジ−及びトリフルオロメチル)及びフルオロフェニル(モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−及びペンタフルオロフェニル)、又別の態様では;フッ素。
【0092】
他の本発明を限定するものではない例では、式(I)のX基として、アミン、アミド化合物、ホスフィン、エーテル、カルボキシレート、ジエン、1〜20炭素原子含有炭化水素基、フッ素化炭化水素基(例えば、−C65(ペンタフルオロフェニル))、フッ素化アルキルカルボキシレート(例えば、CF3C(O)O-)、ヒドリド及びハロゲンイオン並びにその組み合わせが挙げられる。Xリガンドの他の例として、シクロブチル、シクロヘキシル、メチル、ヘプチル等のアルキル基、トリル、トリフルオロメチル、テトラメチレン、ペンタメチレン、メチリデン、メチオキシ(methyoxy)、エチオキシ、プロポキシ、フェノキシ、ビス(N−メチルアニリド)、ジメチルアミド、及びジメチルフォスファイド基が挙げられる。例えば、2以上のX’は縮合環又は環式の一部を形成してもよい。
【0093】
本発明の別の態様では、メタロセン触媒成分として、CpA及びCpBが少なくとも1の架橋基(A)により互いに架橋している式(I)の化合物であり、その構造は式(II)で表されるものが挙げられる:
CpA(A)CpBMXn (II)
【0094】
式(II)で表されるこれら架橋した化合物は、「架橋メタロセン」として知られる。構造(II)のCpA、CpB、M、X及びnは、上記式(I)用に定義されたものと同様であり;それぞれのCpリガンドはMへ化学結合しており、(A)はそれぞれのCpへ化学結合している。本発明を限定するものではない架橋基(A)の例として、炭素、酸素、窒素、ケイ素、アルミニウム、ホウ素、ゲルマニウム及びスズ原子及びそれらの組み合わせの少なくとも1等(本発明を限定するものではない)の少なくとも1の第13〜16族原子を有する二価の炭化水素基が挙げられ、上記ヘテロ原子は又中性結合価を満足するように置換されたC1〜C12アルキル又はアリールでもよい。架橋基(A)は又、ハロゲン基及びイオン等の上記(式(I)の)定義と同様の置換基Rを含有してもよい。本発明を限定するものではない他の架橋基(A)は、例えばC1〜C6アルキレン、置換されたC1〜C6アルキレン、酸素、イオウ、R’2C=、R’2Si=、−Si(R’)2Si(R’2)−、R’2Ge=、R’P=(但し、「=」は二重結合を表す。)が挙げられる。但し、R’は、独立してヒドリド、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ハロカルビル、置換されたハロカルビル、ヒドロカルビル置換されたオルガノメタロイド、ハロカルビル置換されたオルガノメタロイド、二置換されたホウ素、二置換された第15族原子、置換された第16族原子、及びハロゲン基の群から選ばれ;2以上のR’は、互いに結合して環又は環式を形成してもよい。例えば、式(II)の架橋メタロセン触媒成分は、2以上の架橋基(A)を有してもよい。
【0095】
本発明を限定するものではない架橋基(A)の他の例として、メチレン、エチレン、エチリデン、プロピリデン、イソプロピリデン、ジフェニルメチレン、1,2−ジメチルエチレン、1,2−ジフェニルエチレン、1,1,2,2−テトラメチルエチレン、ジメチルシリル、ジエチルシリル、メチル−エチルシリル、トリフルオロメチルブチルシリル、ビス(トリフルオロメチル)シリル、ジ(n−ブチル)シリル、ジ(n−プロピル)シリル、ジ(i−プロピル)シリル、ジ(n−ヘキシル)シリル、ジシクロヘキシルシリル、ジフェニルシリル、シクロヘキシルフェニルシリル、t−ブチルシクロヘキシルシリル、ジ(t−ブチルフェニル)シリル、ジ(p−トリル)シリル及びSi原子がGe又はC原子で置換されている対応成分;並びにジメチルシリル、ジエチルシリル、ジメチルゲルミル及びジエチルゲルミルが挙げられる。
【0096】
又別の態様では、架橋基(A)は、例えば4〜10、好ましくは5〜7環員を含有する環状でもよい。環構成員は上記の元素、好ましくは1以上のB、C、Si、Ge、N及びOから選ばれてもよい。又、本発明を限定するものではない、架橋成分又はその一部として存在する環構造の例として、シクロブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロヘプチリデン、シクロオクチリデン、並びに1又は2の炭素原子が少なくとも1のSi、Ge、N及びOに置換されている対応する環が挙げられる。環及びCp基の間の結合配置は、シス−、トランス−、又はそれらの組み合わせのいずれでも良い。
【0097】
環状架橋基(A)は飽和又は不飽和でもよく、1以上の置換基を有してもよく、1以上の他の環構造へ縮合していてもよい。存在する場合、上記1以上の置換基は、例えばヒドロカルビル(例えば、メチル等のアルキル)及びハロゲン(例えば、F、Cl)の群から選ばれてもよい。上記環状架橋成分が任意で縮合されてもよい上記1以上のCp基は、飽和又は不飽和でもよく、シクロペンチル、シクロヘキシル及びフェニル等の、例えば4〜10環員を有するもの、好ましくは5、6又は7環員(好ましくはC、N、O及びSの群から選ばれる)を有するものの群から選ばれる。更に、これら環構造は、例えばナフチル基の場合等、それ自身が縮合されてもよい。更に、これら(任意で縮合した)環構造は1以上の置換基を有してもよい。本発明を限定するものではないこれら置換基の具体的な例は、ヒドロカルビル(特にアルキル)基及びハロゲン原子である。
【0098】
式(I)及び(II)のリガンドCpA及びCpBは、互いに異なっても同一でもよい。
【0099】
又、本発明のメタロセン触媒成分として、架橋したモノリガンドメタロセン化合物(例えば、モノシクロペンタジエニル触媒成分)が挙げられる。この場合、少なくとも1のメタロセン触媒成分は、式(III)により表される、例えば米国特許第5055438号の架橋した「ハーフサンドイッチ型」メタロセンである:
CpA(A)QMXn (III)
但し、CpA基は、上記で定義され、Mへ結合し;(A)はQ及びCpAに結合した架橋基であり;Q基からの原子はMに結合し;nは0、又は1〜3の整数、又は1若しくは2である。上記式(III)中、CpA、(A)及びQは縮合環系を形成してもよい。式(III)のX基及びnは、上記式(I)及び(II)中の定義と同様である。例えば、CpAはシクロペンタジエニル、インデニル、テトラヒドロインデニル、フルオレニル、それらの置換体、及びそれらの組み合わせの群から選ばれてもよい。
【0100】
式(III)中、Qは、その中の結合原子(金属Mと結合している原子)は、第15族原子及び第16族原子の群から選ばれ;好ましくは窒素、リン、酸素又はイオウ原子、更に好ましくは窒素及び酸素の群から選ばれる;ヘテロ原子含有リガンドである。本発明を限定するものではないQ基の例として、アルキルアミン、アリールアミン、メルカプト化合物、エトキシ化合物、カルボキシレート(例えば、ピバレート)、カルバメート、アゼニル、アズレン、ペンタレン、ホスホリル、ホスフィンイミン、ピロリル、ピロゾリル、カルバゾリル、ボラベンゼン及びMと結合可能な、第15族及び第16族原子を含有するその他の化合物が挙げられる。
【0101】
又、本発明の少なくとも1のメタロセン触媒成分は、式(IVa)により表される非架橋の「ハーフサンドイッチ型」メタロセンでもよい:
CpAMQqn (IVa)
但し、CpAは(I)中のCp基と同様に定義され、Mと結合したリガンドであり;それぞれのQは独立してMと結合し;Qは例えばCpAへ結合し;Xは上記(I)中に記載の脱離基であり;nは0〜3、例えば1又は2であり;qは0〜3、例えば1又は2の範囲である。例えば、CpAはシクロペンタジエニル、インデニル、テトラヒドロインデニル、フルオレニル、それらの置換体、及びそれらの組み合わせの群から選ばれてもよい。
【0102】
式(IVa)中、QはROO-、RO−、R(O)−、−NR−、−CR2−、−S−、−NR2、−CR3、−SR、−SiR3、−PR2、−H、及び置換又は非置換のアリール基の群から選ばれ、RはC1〜C6アルキル、C6〜C12アリール、C1〜C6アルキルアミン、C6〜C12アルキルアリールアミン、C1〜C6アルコキシ、C6〜C12アリールオキシの群から選ばれる。本発明を限定するものではないQの例として、C1〜C12カルバメート、C1〜C12カルボキシレート(例えば、ピバレート)、C2〜C20アリル、及びC2〜C20ヘテロアリル成分が挙げられる。
【0103】
又、別に上記「ハーフサンドイッチ」メタロセンは式(IVb)で表されてもよく、例えば米国特許第6069213号に記載されている:
CpAM(Q2GZ)Xn 又は T(CpAM(Q2GZ)Xnm (IVb)
但し、M、CpA、X及びnは、上記の定義と同様であり;
2GZは多座(polydentate)のリガンドユニット(例えば、ピバレート)を形成し、少なくとも1のQ基はMと結合を形成し、次のように定義される。それぞれのQは独立して−O−、−NR−、−CR2及び−S−の群から選ばれ;Gは、炭素又はケイ素のいずれかであり;Zは、R、−OR、−NR2、−CR3、−SR、−SiR3、−PR2、及びヒドリドの群から選ばれる。Qが−NR−の場合、Zは−OR、−NR2、−SR、−SiR3、−PR2の群から選ばれ;Qの中性結合価はZにより充足され;それぞれのRは独立してC1〜C10ヘテロ原子含有基、C1〜C10アルキル、C6〜C12アリール、C6〜C12アルキルアリール、C1〜C10アルコキシ、及びC6〜C12アリールオキシの群から選ばれ;
nは例えば1又は2であり;
TはC1〜C10アルキレン、C6〜C12アリーレン及びC1〜C10ヘテロ原子含有基、並びにC6〜C12複素環基の群から選ばれる架橋基であり;それぞれのT基は隣接した「CpAM(Q2GZ)Xn」基と架橋してCpA基と化学結合している。
【0104】
式(IVb)中、mは1〜7の整数であり;mは2〜6の整数でもよい。
【0105】
又、本発明の少なくとも1のメタロセン触媒成分は、特に構造構造(Va)、(Vb)、(Vc)、(Vd)、(Ve)及び(Vf)で更に記載されてもよい:
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【0106】
但し構造(Va)〜(Vf)中、Mは、第3族〜第12族原子の群から選ばれ、第3族〜第10族原子の群から選ばれ、又第3族〜第6族原子の群から選ばれ、又第4族元素の群から選ばれ、又別の態様では及びZr及びHfの群から選ばれ、又別の態様ではZrである。又、(Va−ii)中のQは、アルキレン、アリール、アリーレン、アルコキシ、アリールオキシ、アミン、アリールアミン(例えば、ピリジル)アルキルアミン、ホスフィン、アルキルホスフィン、置換されたアルキル、置換されたアリール、置換されたアルコキシ、置換されたアリールオキシ、置換されたアミン、置換されたアルキルアミン、置換されたホスフィン、置換されたアルキルホスフィン、カルバメート、ヘテロアリル、カルボキシレート(本発明を限定するものではない適切な例として、トリメチルアセテート、ジメチルアセテート、メチルアセテート、p−トルエート、ベンゾエート、ジエチルカルバメート、及びジメチルカルバメート等のカルバメート及びカルボキシレート)、フッ素化アルキル、フッ素化アリール、並びにフッ素化アルキルカルボキシレートの群から選ばれ;Qを定義する飽和された基は、例えば1〜20炭素原子を含有し;芳香族基は例えば5〜20炭素原子を含有し;それぞれのR*は独立して:例えばヒドロカルビレン及びヘテロ原子含有ヒドロカルビレンから選ばれ;好ましくはアルキレン、置換されたアルキレン及びヘテロ原子含有ヒドロカルビレンの群から選ばれ;更に好ましくはC1〜C12アルキレン、C1〜C12置換されたアルキレン、及びC1〜C12ヘテロ原子含有ヒドロカルビレンの群から選ばれ;特に好ましくはC1〜C4アルキレンの群から選ばれ;本発明の別の好ましい例では、構造(Vb-f)中の両方のR*基は同一でもよい;
Aは、上記記載の構造(II)中の(A)と同様であり、好ましくは化学結合、−O−、−S−、−SO2−、−NR−、=SiR2、=GeR2、=SnR2、−R2SiSiR2−、RP=、C1〜C12アルキレン、置換されたC1〜C12アルキレン、2価のC4〜C12環状炭化水素及び置換又は非置換のアリール基から選ばれ;更に好ましくはC5〜C8環状炭化水素、−CH2CH2−、=CR2及び=SiR2の群から選ばれ;Rは例えばアルキル、シクロアルキル、アリール、アルコキシ、フルオロアルキル及びヘテロ原子含有炭化水素の群から選ばれ;Rは好ましくはC1〜C6アルキル、置換されたフェニル、フェニル、及びC1〜C6アルコキシの群から選ばれ;Rは更に好ましくはメトキシ、メチル、フェノキシ、及びフェニルの群から選ばれ;
Aは存在しなくてもよく、その場合それぞれのR*はR1〜R13の場合と同様に定義され;
それぞれのXは上記(I)中の記載のとおりであり;
nは0〜4の整数であり、好ましくは1〜3、更に好ましくは1又は2であり;
1〜R13(並びにR4'〜R7'及びR10'〜R13')は独立して:例えば、水素基、ハロゲン基、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C6〜C12アリール、C7〜C20アルキルアリール、C1〜C12アルコキシ、C1〜C12フルオロアルキル、C6〜C12フルオロアリール、及びC1〜C12ヘテロ原子含有炭化水素及びそれらの置換誘導体の群から選ばれ;好ましくは、水素基、フッ素基、塩素基、臭素基、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C7〜C18アルキルアリール、C1〜C6フルオロアルキル、C2〜C6フルオロアルケニル、C7〜C18フルオロアルキルアリールの群から選ばれ;更に好ましくは水素基、フッ素基、塩素基、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ヘキシル、フェニル、2,6−ジメチルフェニル、及び4−tert−ブチルフェニル基の群から選ばれ;隣接したR基は環を形成してもよく、飽和、部分飽和、又は完全飽和のいずれでもよい。
【0107】
(Va)により表されるメタロセン触媒成分の構造は、例えば、米国特許第5026798号、第5703187号、及び第5747406号に記載されているような多くの形状をとることができ、例えば、米国特許第5026798号及び米国特許第6069213号に記載されているような二量体又はオリゴマー型構造が挙げられる。
【0108】
例えば(Vd)中に表されるメタロセンのR1及びR2は、置換又は非置換の共役した6員の炭素環式を形成する。
【0109】
本発明を限定するものではないメタロセン触媒成分の例が下記に記載される:
シクロペンタジエニルジルコニウムXn
インデニルジルコニウムXn
(1−メチルインデニル)ジルコニウムXn
(2−メチルインデニル)ジルコニウムXn
(1−プロピルインデニル)ジルコニウムXn
(2−プロピルインデニル)ジルコニウムXn
(1−ブチルインデニル)ジルコニウムXn
(2−ブチルインデニル)ジルコニウムXn
(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
テトラヒドロインデニルジルコニウムXn
(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
シクロペンタジエニルジルコニウムXn
ペンタメチルシクロペンタジエニルチタンXn
テトラメチルシクロペンチルチタンXn
1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニルジルコニウムXn
ジメチルシリル(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ジメチルシリル(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)(1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ジメチルシリル(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)(1,2−ジメチル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ジメチルシリル(1,2,3,4−テトラメチル−シクロペンタジエニル)(2−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ジメチルシリル(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムXn
ジメチルシリル(2−メチルインデニル)(フルオレニル)ジルコニウムXn
ジフェニルシリル(1,2,3,4−テトラメチル−シクロペンタジエニル)(3−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ジメチルシリル(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−t−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ジメチルゲルミル(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)(3−イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ジメチルシリル(1,2,3,4−テトラメチル−シクロペンタジエニル)(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ジフェニルメチリデン(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムXn
ジフェニルメチリデン(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムXn
イソ−プロピリデンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
イソ−プロピリデン(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムXn
イソ−プロピリデン(3−メチルシクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムXn
エチレンビス(9−フルオレニル)ジルコニウムXn
メソ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムXn
エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムXn
エチレンビス(2−メチル−1−インデニル)ジルコニウムXn
エチレンビス(2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムXn
エチレンビス(2−プロピル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムXn
エチレンビス(2−イソプロピル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムXn
エチレンビス(2−ブチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムXn
エチレンビス(2−イソブチル4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムXn
ジメチルシリル(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムXn
ジフェニル(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムXn
エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムXn
ジメチルシリルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ジメチルシリルビス(9−フルオレニル)ジルコニウムXn
ジメチルシリルビス(1−インデニル)ジルコニウムXn
ジメチルシリルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムXn
ジメチルシリルビス(2−プロピルインデニル)ジルコニウムXn
ジメチルシリルビス(2−ブチルインデニル)ジルコニウムXn
ジフェニルシリルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムXn
ジフェニルシリルビス(2−プロピルインデニル)ジルコニウムXn
ジフェニルシリルビス(2−ブチルインデニル)ジルコニウムXn
ジメチルゲルミルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムXn
ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムXn
ジメチルシリルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ジメチルシリル(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムXn
ジフェニルシリル(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムXn
ジフェニルシリルビス(インデニル)ジルコニウムXn
シクロトリメチレンシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
シクロテトラメチレンシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
シクロトリメチレンシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(2−メチルインデニル)ジルコニウムXn
シクロトリメチレンシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
シクロトリメチレンシリルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムXn
シクロトリメチレンシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
シクロトリメチレンシリルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(N−tert−ブチルアミド)チタンXn
ビス(シクロペンタジエニル)クロムXn
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(n−ドデシル(dodecycl)シクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(イソブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(イソ−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(n−オキシチル(oxtyl)シクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(n−ペンチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(1,3−ビス(トリメチルシリル)シクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(1−エチル−2−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(1−エチル−3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(1−プロピル−3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(1−n−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(1−イソブチル3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(1−プロピル−3−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(1,3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムXn
ビス(4,7−ジメチルインデニル)ジルコニウムXn
ビス(インデニル)ジルコニウムXn
ビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムXn
シクロペンタジエニルインデニルジルコニウムXn
ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn
ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn
ビス(n−ペンチルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn
(n−プロピルシクロペンタジエニル)(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn
ビス[(2−トリメチルシリルエチル)シクロペンタジエニル]ハフニウムXn
ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn
ビス(2−n−プロピルインデニル)ハフニウムXn
ビス(2−n−ブチルインデニル)ハフニウムXn
ジメチルシリルビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn
ジメチルシリルビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn
ビス(9−n−プロピルフルオレニル)ハフニウムXn
ビス(9−n−ブチルフルオレニル)ハフニウムXn
(9−n−プロピルフルオレニル)(2−n−プロピルインデニル)ハフニウムXn
ビス(1−n−プロピル−2−メチルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn
(n−プロピルシクロペンタジエニル)(1−n−プロピル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムXn
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロプロピルアミド)チタンXn
ジメチルシリル(テトラメチルシクロ(eyclo)ペンタジエニル)(シクロブチルアミド)チタンXn
ジメチルシリル(テトラメチルシクロ(eyclo)ペンタジエニル)(シクロペンチルアミド)チタンXn
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロヘキシルアミド)チタンXn
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロヘプチルアミド)チタンXn
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロオクチルアミド)チタンXn
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロノニルアミド)チタンXn
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロデシルアミド)チタンXn
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロウンデシルアミド)チタンXn
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)チタンXn
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(sec−ブチルアミド)チタンXn
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−オクチルアミド)チタンXn
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−デシルアミド)チタンXn
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−オクタデシルアミド)チタンXn
メチルフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロプロピルアミド)チタンXn
メチルフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロブチルアミド)チタンXn
メチルフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンチルアミド)チタンXn
メチルフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロヘキシルアミド)チタンXn
メチルフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロヘプチルアミド)チタンXn
メチルフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロオクチルアミド)チタンXn
メチルフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロノニルアミド)チタンXn
メチルフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロデシルアミド)チタン、Xn
メチルフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロウンデシルアミド)チタンXn
メチルフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)チタンXn
メチルフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(sec−ブチルアミド)チタンXn
メチルフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−オクチルアミド)チタンXn
メチルフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−デシルアミド)チタンXn
メチルフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−オクタデシルアミド)チタンXn
ジフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロプロピルアミド)チタンXn
ジフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロブチルアミド)チタンXn
ジフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンチルアミド)チタンXn
ジフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロヘキシルアミド)チタンXn
ジフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロヘプチルアミド)チタンXn
ジフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロオクチルアミド)チタンXn
ジフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロノニルアミド)チタンXn
ジフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロデシルアミド)チタンXn
ジフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロウンデシルアミド)チタンXn
ジフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)チタンXn
ジフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(sec−ブチルアミド)チタンXn
ジフェニルシリル(テトラメチルシクロ(eyclo)ペンタジエニル)(n−オクチルアミド)チタンXn
ジフェニルシリル(テトラメチルシクロ(eyclo)ペンタジエニル)(n−デシルアミド)チタンXn
ジフェニルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−オクタデシルアミド)チタンXn、及びそれらの誘導体。
【0110】
「それらの誘導体」は、上記構造(Va−f)に記載の通り置換され又は環形成されたもの;金属「M」(Cr、Zr、Ti又はHf)をCr、Zr、Hf及びTiから選ばれる原子で置換したもの;「X」基をC1〜C5アルキル、C6アリール、C6~10アルキルアリール、フッ素又は塩素のいずれかで置換したもの;nは1、2又は3であるものを意味する。
【0111】
上記メタロセン触媒成分には、その構造的、光学的、又はエナンチオマー異性体(ラセミ混合物)が含まれ、例えば純粋なエナンチオマーでもよいのは当然である。
【0112】
ここで使用される、単一の、架橋した、非対称的に置換されたメタロセン触媒成分(ラセミ体及び/又はメソ異性体を含む。)は、それ自身、少なくとも2の異なる架橋メタロセン触媒成分を構成しない。例えば、本発明のメタロセンはそのラセミ体でもよい。
【0113】
本発明で使用できる「メタロセン触媒成分」は、ここで記載されるいずれの「態様」の組み合わせをも含むものである。
【実施例】
【0114】
本発明の触媒の(下記実施例の)例は、下記のとおり調製された:シリカサポート材料、Davison社製,商標「Sylopol」955シリカを使用した。シリカは875℃の温度で脱水された。次にそれぞれのサンプルのために、非メタロセン触媒が脱水されたシリカと組み合わされた。即ち、それぞれのサンプル用に500グラムのそれぞれ脱水されたシリカが,N2グローブボックス中の5リットルの三首丸底フラスコへ投入された。無水ヘキサン(2500ml)が次にフラスコへ添加され、シリカ/ヘキサンスラリーが生成された。スラリーは一定の攪拌下、温度54℃まで加熱され、380グラムの15重量%ジブチルマグネシウム溶液が20分かけてスラリーへ添加された。スラリーは次に追加的に30分放置された。ブタノール(27.4グラム)をヘキサンで、125ml容量フラスコ中で希釈した。全125mlの希釈されたブタノール溶液を、スラリーを内包するフラスコ中へ滴下し、次にそのスラリーは一定の攪拌下で温度54℃に30分間保持された。ブタノール量は目的の濃度に応じて変化できる。四塩化チタン(41.0グラム)をヘキサンで125ml容量フラスコ中で希釈した。次に全125mlの希釈された四塩化チタン溶液を、スラリーを内包するフラスコ中へ滴下した。溶液の滴下後、そのスラリーは温度54℃に30分間保持された。スラリーは次に室温まで放置冷却された。
【0115】
メタロセン触媒化合物は、次に四塩化チタン処理された脱水されたシリカのサンプルへ添加された。第一に、673グラムのメチルアルミノキサン(MAO)30重量%トルエン溶液を、N2グローブボックス中の新しいフラスコ中へ投入した。13.72グラムのメタロセンビス−n−ブチル−シクロペンタジエニルジルコニウムジフルオライドをMAO溶液へ添加し、得られた混合物を全ての固体が溶けるまで攪拌した。次に、MAO/メタロセン混合物を、徐々に予め調製したチタン反応スラリーを含むフラスコ中へ1時間かけて添加した。トルエン(50ml)を使用してフラスコ内に残ったMAO/メタロセン混合物を洗浄して、反応スラリーを含むフラスコ中へ流し入れた。Al/Zrモル比(MAO由来のAl)の範囲は90〜110であり;Ti/Zrモル比は6であった。それぞれバイメタル性触媒サンプルを含有する、上記で得られた混合物は、次に室温で1時間放置した。その後、それぞれの混合物をロータリーエバポレーターを使用して乾燥し、次にヘキサンの大部分を減圧21mmHg下、温度52℃で除去した。高沸点であるトルエンを次に減圧28mmHg下、温度70℃で除去した。最終的に乾燥バイメタル性触媒が茶色の流動性固体として得られる。それぞれのサンプルを、気相反応器中の分離した重合試行で、下表に示された条件下で使用してポリエチレンポリマー組成物を製造した。この実施例手順は、記載された量の250〜1000倍にスケールアップできる。それぞれの場合、水の反応器への添加を、反応条件の変化を促進するために行った。
下記表1は、ヘキセン先行指標の比較に関して図2で使用されたデータを示す。用語は実施例1で定義されている。
【0116】
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【0117】
全ての下記実施例は市販スケールの流動床反応器中で行われ、上記記載の触媒系、即ちビス−n−ブチル−シクロペンタジエニルジルコニウムジフルオライドベースの触媒を含有する上記記載のメタロセン及び四塩化チタンを含む系、を使用した。ポリマー製造速度は一般的に25000〜35000kg/hrであった。主要モノマーはエチレンであり、コモノマーは1−ヘキセンであった。H2、エチレン及び1−ヘキセンの気相濃度は、ガスクロマトグラフィーをガス分析器として測定された。フローインデックスI21.6データは、ASTM D1238−01手順Bに従い条件190/21.6で得られた。I2.16はASTM D1238−01手順Aに従い条件190/2.16で得られた。フローインデックス又は他の流動学的特性の同様な決定は、DIN等の他の試験プロトコルを使用して、ASTM手順を使用してここで概説されたものと類似の数学的決定法を使用して行うことも本発明の範囲内である。H2、水、エチレン及び1−ヘキセンの流量は、従来の流量計又はコリオリ式マス流量計を使用して測定された。FIHは下式から決定された:
FIH=ln(−0.33759+0.516577*ln(I21.6)−0.01523*(I21.6/I2.16))
【0118】
この式はブレンド研究により得られ、既知のI21.6を有する2種のポリマーが一緒にブレンドされ、次に結合されたI21.6及びI2.16が測定された。より高い分子量成分の既知のI21.6(定義されたFIH)は、上記式を発展させるために、組み合わされた特性と関係付けられた。
【0119】
実施例1:重合中の1−ヘキセンコモノマー滞留時間の指数関数的重量輸送平均先行指標
計算/等式を使用して計算された先行指標(図2中のLI実施例1として示される)。
【数5】

【0120】
但しGR1=反応器中の時間T(現在)における、コモノマー/エチレンガス比(本実施例中、1−ヘキセン/エチレン比が使用された)又は水素/エチレンガス比の現在値のいずれかの現在値であり、リサイクル流の分析により決定される。下記実施例中(比較例1及び2、並びに本実施例、実施例1)、1−ヘキセン比がGR1として使用された。
又、FR1=コモノマー/エチレン比又は水素/エチレン比の現在値のいずれかの流量比の現在値であり、時間Tにおける指数関数的重量輸送平均(EWMA)として表される。下記実施例並びに本実施例(実施例1、比較例1及び2)中、1−ヘキセン/エチレン比がFR1用に使用された。
【0121】
又、FR2=ステップT時間よりtd分前の1−ヘキセン/エチレン流量比の瞬間的流量比である。本実施例中、td=18分であり、それはだいたいのサイクルガス分析器サンプル輸送時間及び、この分析器の1/2サイクル時間である。
FR3=ステップT−1時間よりもtd分前のコモノマー又は水素滞留時間を使用したEWMAである。下記実施例及び本実施例(実施例1、比較例1及び2)中、1−ヘキセン/エチレン比をFR3として使用した。
【0122】
β=1−exp(−T/(コモノマー滞留時間)=指数関数的加重因子又はフィルター定数(反応器中のコモノマー又は水素の滞留時間に基づく)(ここでは1−ヘキセン滞留時間を使用した)=exp(−Δt/τ)、但し:
Δt=LI計算をアップデートするために選択された時間ステップ(具体的には1分);及び;
τはLIを計算するために使用される原料(一般的にコモノマー又は水素のいずれか)の滞留時間(この場合も同様に1−ヘキセン滞留時間が使用された);但し先行指標LI(実施例1)は表1中のプロセスデータを使用して計算された。加重因子βは反応器中の1−ヘキセン滞留時間を基礎とした。変化した反応器変数は、コモノマー(この場合、1−ヘキセン)流量FRであり、第1日、1900時間の時点で0.0135から0.0170まで変化した。図2中のデータは、フローインデックスFI、及び先行指標値間の比較的単調な相関関係を示す。のこぎり歯状パターンはガスクロマトグラフィー分析技術に関連し、データの数学的処理の一部ではない。従って、のこぎり歯状パターンを無視すると、実施例先行指標(LI実施例1)はフローインデックスと同じ方向に着実に移動し、他の2種の計算方法により得られるよりもよい性能であることが認められる。
【0123】
比較例1:ポリマー滞留時間;重合中の指数関数的に加重された輸送平均先行指標
実施例1と同じ反応器及び材料を使用してポリマーを製造した(データは同様に表1に示す)。しかし反応制御に使用された先行指標LI(比較例1)は、異なる数学的モデルを基礎とし、そのプロセスは:(a)反応器中へのコモノマー(1−ヘキセン)の流量を、モノマー(エチレン)の流量で除することにより流量比FRを決定するステップ、及び
(b)それぞれ反応器中のリサイクルガス流中のモノマー(エチレン)濃度で除された1−ヘキセン濃度の、瞬間的に対応する気相濃度比GRを決定するステップ;次に
シングルバック平均(SBA)先行指標関数LISBA,Tを下記のように決定するステップ:
【数6】

但しLISBA,Tはシングルバック平均先行指標であり、加重因子WFは反応中の時間Tにおける反応器中の平均ポリマー滞留時間を基礎とし、WFSBA=1−exp(−T/(ポリマー滞留時間))である。
但し、上記ポリマー滞留時間=反応器中のポリマー重量/ポリマー製造速度である。
【0124】
FRは反応器中への1−ヘキセン及びエチレンの平均流量であり;GRは、反応器システムのリサイクルガス流中の、1−ヘキセン及びエチレンの瞬間的な気相相対濃度比であり;WFSBAは加重因子であり、反応器中のポリマー滞留時間に依存し;SBAT-1は先の時間中のシングルバック平均値である。
この先行指標(比較例1のLI)は図2中に示され、図から読み取られるように、実施例1の先行指標(実施例1のLI)よりも、プロセス変化への応答がはるかに遅い。
【0125】
比較例2−単純(流量比/ガス比)先行指標
図2は追加的に別のLI関数、LIsimple(比較例2)を示し、それは単純ガス組成物比並びに反応器へのモノマー及びコモノマー流量比を基礎とし、平均化又は時間遅延は含まない。本実施例は国際公開WO03/044061号に記載のようにLIを基礎とする。本実施例は、適切な数学的加重無しの場合を示し、この単純先行指標値は予測されるフローインデックス値をオーバーシュートし、その結果から、この先行指標(LIsimple(比較例2)の制御を基礎とする反応器操作では、より安価な販売値しか得られないポリマー製品が製造されることが予測でき、その理由は製品のかなりのフラクションがフローインデックスFIの規格に合致しないためである。FI規格では一般的に、通常の販売値で販売するためにFIが目標値の20%以内におさまることが求められる。
【0126】
先行指標は、反応中の測定コース中8分間隔で決定された時間の関数である。表1は、同じ傾向を示し、それは図2中のプロットに明らかである。
【0127】
フローインデックスI21.6、及びメルトインデックスI2.16は、対応する時間でのポリマー製品のサンプル採取により数時間の時点で測定された。エチレン−1−ヘキセンコポリマーのフローインデックスFIと関係する、直ぐ上に記載された3個のLIの比較例の結果は、3個のLI用の先行指標データと関連して図2中に示され、FIを予測するための本発明のLI(実施例1のLI)方法の予測されなかった好ましい挙動が示される一方、単純ガスフロー−モノマー濃度LI(LI単純(比較例2))用のFI変化の非常なオーバーシュート結果並びにFIに対するポリマー滞留時間を基礎とするLISBA,Tの否定的な予測結果(比較例1)と比較される。
【0128】
図2中、先行指標の変化は、コモノマー(1−ヘキセン)流量FRの変化、即ち、第1日、1900時間の時点で0.0135から0.0170までの変化の直後に明白となる。しかし、ポリマー製品のフローインデックスの完全な変化は、より後(第2日、00:00時間)になるまでは明白ではない。これは、反応器制御のためにはFIの測定結果を待つよりも、先行指標、好ましくは実施例1の本発明の先行指標を使用すると利益があることを示す。更に、フローインデックスデータ点はポリマーサンプルが採取される時間とされる。実験室的なフローインデックスの決定は、実際には更に約1〜2時間必要である。従って、先行指標なしではより多くの規格外ポリマーが、フローインデックスサンプルを分析するために必要な1〜2時間製造され、その後に修正操作が行われた後にも追加的時間がプロセスラグとして生じる。
【0129】
図2に示されるように、コモノマー滞留時間LI(実施例1)を使用した加重因子を基礎とする先行指標は、ポリマー滞留時間を使用した加重因子を基礎とする先行指標LISBA,T(比較例1)よりも非常により正確でかつ予測性が高く、一方、先行指標LISBA,T(比較例1)は平均化をしない先行指標LIsimple(比較例2)よりも正確で予測性が高い。図2に示されるように、先行指標(LISBA比較例1)の使用は、本発明の態様の先行指標(LI実施例1)と比較すると、実質的に異なり多分ミスリードする指標を生じる。LISBA(比較例1)及び本発明の先行指標(LI実施例1)の差異は平均化技術の差異である。
【0130】
実施例3;先行指標設定点(Set point)でのH2/C2(水素/エチレン)ガス比変化の影響
下記実施例は、流動床反応器中で行われる気相重合手順に関し、気相重合反応器を制御し、その結果ポリマー製品の特性を制御するための目的の先行指標標的(LIT)値の計算方法を示す。
【0131】
【表2】

【0132】
表2は図3を構成するために使用されたデータを示す。
【0133】
最初にLIデータが現在及び過去の反応器操作パラメーターを基礎として得られ、反応器中で過去の先行指標パラメーター下で製造されたポリマー製品の過去の分析も又得られ、次に目的とする将来のポリマー製品に関する、新規な最も良いLItarget=LITが計算される。但しLITは下記で定義される:
LIT=(ln(FIT)−A1−C’1xFIH)/C’2
但しA1=ln(FIO)−C’2xLIP−C’1xFIHO
又FIT=標的ポリマー製品のフローインデックスであり、新しい先行指標への反応条件の調節後の目的とされる。FIOは先の先行指標反応器条件に従って製造された合計ポリマーの測定されたフローインデックスであり;FIHOは先の先行指標条件に従い製造されたポリマーで測定され又は計算されたより高い分子量ポリマーのフローインデックスであり;C’1は触媒系に関する定数であり、この場合は3.386であり;LIP又は先の先行指標は、シングルバック平均技術(SBA)により、先の時間からFIO及びFIHO測定が行われた時間の間計算された先行指標である。FIHは、LITが再計算された時間に、現在の反応器パラメーター下の触媒系により製造されると予測される高い分子量ポリマーのフローインデックスである。この場合、FIH予測は発生しているH2/C2の変化も想定している。C’2は触媒系に関する定数であり、この場合1.863である。
少なくとも1の反応器パラメーターは、先行指標がエチレンモノマー及びヘキセンコモノマーを使用する新しいLITとなるように変化するように調整され、その結果ポリエチレン−ベースのポリマー製品が製造される。この場合には特に、水素/エチレン比がこの結果を達成するために変化する。
【0134】
流動床はポリマー粒子で構成された。それぞれの試行中、エチレン及び水素の気体供給流が、反応器床の上流のリサイクルガスライン中へ導入された。上記導入は、熱交換器及び圧縮機の上流のリサイクルラインであった。液体ヘキセン及びイソペンタンが流動床へ導入された。トリメチルアルミニウムが、反応器床前に気体状又は液体状でリサイクルガスライン中へ添加された。エチレン、水素及びヘキセンコモノマーの個々のフローは、標的反応器条件を維持するように制御された。ガス濃度がオンラインクロマトグラフィーにより測定された。
【0135】
それぞれの試行中、担持されたバイメタル性触媒は精製窒素を使用して直接に流動床へ注入された。触媒注入速度はだいたい一定の製造速度を維持するように調整された。それぞれの試行中、使用された触媒は、875℃で脱水されたシリカ及びメタロセン化合物Cp2MX2で構成され、それぞれのCpはn−ブチル置換されたシクロペンタジエニル環であり、Mはジルコニウムであり、Xはフッ素である。チタン源はTiCl4であった。
【0136】
それぞれの試行中、成長するポリマー粒子の反応床は補充供給の連続フロー及び反応域を通るリサイクルガスにより流体化状態を維持された。それぞれの試行は標的反応器温度(床温度)を採用し、具体的には反応器温度約203°F又は95℃であった。それぞれの試行中、反応器温度はリサイクルガスの温度を(上下に)調整して約一定のレベルに維持され、重合による発熱速度の変化に適合させた。
【0137】
反応器はH2/C2モル比0.0068で安定していた。時間1の時点で(表2中、第2日、0630時間)、図3に示されるようにH2/C2モル比は増加を開始し、H2/C2は0.0090へ時間2(表2中、第2日、1835時間)で達した。この増加は反応器の安定な性能に障害を引き起こす。これは図3の上部両方のプロット群LItarget(比較例4);LIp実施例3及びFIH影響を有するLItarget実施例3)並びに下部のプロット群(FI及びFItarget)で示される。改良されたアルゴリズムを使用して先行指標設定点を決定することにより、FIH影響を有するLItarget実施例3の場合、反応器はより早く安定化する。改良されたアルゴリズムによりLI設定点が減少することが予測できる。変化の前後でLI要求を比較すると、改良されたアルゴリズムは正確であり;図3に示される期間の開始時点でのLItargetは、この期間の終了点でのLItargetよりも高い。
【0138】
比較例4.FIHを使用した先行指標設定点調節なしの制御操作
反応器を実施例3と同じモル比及び時間でH2/C2で安定させた。時間1で、上記実施例3で記載したように、H2/C2モル比が増加し始め、H2/C2は又時間2で実施例3と同様のレベルに達した。この増加は、反応器の安定性能への障害を引き起こした。実験室的に測定された製造物のFIは標的値以下に減少し、次に安定化する以前の標的値以上に増加した(図3のFIに表示される)。これらFI変化は非常に大きかったので、製造品性能に影響して最上規格製品よりも実質的に低い値の規格外製品を生じた。本実施例中の先行指標設定点(図中のLItarget(比較例4)に示される)は、時間1後約10時間まで調整されなかった。この先行指標は、図3中に「LItarget比較例4」として示される。この遅い調節は、FIの変化を悪化させた。
【0139】
実施例5.先行指標設定点でのFIHの変化の影響
下記実施例は、FIHの変化が先行指標設定点上にある劇的な変化を示す。FIH変化が考慮されない場合、反応器はより低品質のポリマーを製造する。
本実施例は実施例3で使用されたのと同じ反応系及び触媒からのデータを示す。表3のデータは、数時間にわたる平均条件を表す。図4は表3のデータをグラフで表す。表3及び図4は、FIHが増加するにつれ、LIは低くなり標的10に近い粒子I21.6が製造されることを示す。本実施例中のLIは、エチレンに対するヘキセン−1の、供給量及びガス比割合を基礎とする。
【0140】
【表3】

【0141】
本発明はいくつかの態様に関して記載され、示されるが、当業者は、本発明はここに示されない多くの異なる改変を含むことが理解できる。これらの理由のため、資料は単に従属クレームのみの発明の範囲を決定する目的で使用される。更に、本発明の所定の特徴は、数字的上限及び数字的下限の群の形で記載される。特記しない限り、これら上下限のいずれの組み合わせにより形成される範囲も本発明の範囲内である。
【0142】
特記しない限り、本明細書及び請求の範囲で、成分、特性、反応条件等の量を表す全ての数字は、本発明により得ることを目的とされる特性、及び測定誤差に基づいた概算値として扱われ、少なくとも通常の桁数字丸め法の適用により報告された特定数であると考えられる。上記本発明の広く設定された数字範囲及び値は、概算であるが、上記数字的値は、できるかぎり厳密に記載された。
【0143】
全ての優先権主張の基礎とする書類はここで、その使用が認められる場合に全て法律的に資料として使用する。更に、ここで挙げられた試験手順を含む全ての書類は、その使用が認められる場合に全て法律的に資料として使用する。
【0144】
ここで使用される種々の商標は、(商標)記号で示され、なんらかの商標権で保護される名称であることを示す。これら名称のいずれかは又、種々の法律的管轄で商標として登録されている。
【0145】
本発明及びその利点は詳細に記載されるが、種々の変形、置換及び改変が特許請求の範囲で定義された本発明の範囲内で行われることが理解される。更に、本出願の範囲は、本発明の明細書に記載されたプロセス、機械、製造、物の組成物、手段、方法及びステップの特定の態様に限定されることを意図していない。本明細書の記載に対応する態様として、実質的に同じ機能を発揮し又は実質的に同じ結果を達成するように開発される現在存在するか存在するであろう開示、プロセス、機械、製造、物の組成物、手段、方法及びステップ等も使用できることは容易に理解できる。従って、従属項の発明は、プロセス、機械、製造、物の組成物、手段、方法及びステップ等のそれらの範囲内に含まれることを意図している。
本発明をより完全に理解するために、下記記載が添付図面とともに資料とされる。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】本発明の態様の実施に一般的に有用な気相流動床反応器を示す。
【図2】時間の関数としての、他の比較用先行指標関数と比較された本発明の態様の先行指標の応答を示す。又、本発明の態様の先行指標と上記触媒系を使用して製造される樹脂(ポリオレフィン)のFIの変化との間の正確な相比較を示す。
【図3】標的先行指標LITの変化及び反応器中のパラメーター変化の最適なLITを決定する有効な方法を示す。
【図4】LIに対するFIH変化の影響を示す。
【符号の説明】
【0147】
20:気相流動床反応器
22:反応器本体
24:流体化グリッド
26:流動床領域
28:減速領域
32、46:圧縮機
34:熱交換器
36:サイクロン分離器
38:ガス分析器
42:分離器
50、54:マニフォールド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記ステップを含有するオレフィン重合方法:
(a)重合反応器へ供給されるモノマー流量(flow rate)に対する重合反応器へのコモノマー又は水素流量の流量比FR1の決定ステップ;
反応器のリサイクル流中のモノマー濃度に対する選択されたコモノマー又は水素濃度の濃度比GR1の決定ステップ、
(b)下記で定義される先行指標関数LIを得るステップ:
【数1】

但しGR1は反応器中の時間Tにおけるコモノマー/エチレン濃度比又は水素/エチレン濃度比の現在値いずれかの現在値であり、リサイクル流の分析により決定され;
FR1はコモノマー/エチレン比又は水素/エチレン比の現在値のいずれかの、反応器中への流量比(flow ratio)の現在値であり、時間Tにおける指数関数的重量輸送平均(EWMA)として表され;
FR2は時間Tよりtd(分)前の瞬間的流量比であり;
FR3は時間T−1よりtd(分)前のコモノマー又は水素の滞留時間を使用したEWMAであり;
β=1−exp(−T/(コモノマー滞留時間)=1−exp(−Δt/τ)であり;
Δtは、LI計算をアップデートするために選択される時間ステップであり;
τはLIを計算するために使用されるコモノマー又は水素の一方の反応器内の滞留時間であり(但し、重合オレフィン中に溶解されたコモノマーはLIを計算するために使用されるコモノマー中に含まれる);
(c)LIを標的値と比較するステップ;並びに
(d)LI及び標的値間の偏差に応答して少なくとも1の反応器パラメーターを調節するステップ。
【請求項2】
オレフィン重合は、溶液反応器、スラリーループ反応器、超臨界ループ反応器、又は流動床気相反応器の群から選ばれる反応器中で起こる請求項1の方法。
【請求項3】
オレフィン重合は気相流動床反応器中で起こる請求項1の方法。
【請求項4】
モノマーはエチレンであり、コモノマーはC3-C12−α−オレフィン及びそれらの混合物の群から選ばれる請求項1の方法。
【請求項5】
少なくとも1の反応器パラメーターは、モノマー供給量(feed rate)、コモノマー供給量、触媒供給量、共触媒供給量、水素供給量、反応器温度、モノマー分圧、コモノマー分圧、水素分圧、水供給量、二酸化炭素供給量、不純物供給量、縮合剤供給量、イソプロピルアルコール供給量、酸素供給量、及びその組み合わせの群から選ばれる請求項1の方法。
【請求項6】
オレフィン重合は少なくとも1の第一触媒及び少なくとも1の第二触媒を含有する触媒系により触媒される請求項1の方法であり、それぞれブロード及び/又はバイモーダルである、分子量分布及び/又は組成物分布を含有するポリマー製品を製造する方法。
【請求項7】
少なくとも1の反応器パラメーターの調節は少なくとも1の第一又は少なくとも1の第二触媒の相対的生産性を変更することができる請求項5の方法。
【請求項8】
更にポリマー製品の製造を含む請求項1の方法であり、オレフィン重合は少なくとも1のメタロセン触媒及び少なくとも1の非メタロセン遷移金属触媒を含有する担持されたバイメタル性触媒系により触媒され、上記ポリマー製品は、それぞれブロード及び/又はバイモーダルである、分子量分布及び/又は組成物分布を含有する方法。
【請求項9】
重合反応器中での気相重合反応中の先行指標の制御を達成する方法であり、下記ステップを含有する方法:
a)請求項1の先行指標(LI)を計算するステップ、但し上記LIは分数の分子及び分母を含有し、分数の分子及び分母はプロセス変化に対して同じ動的応答を示す;
b)上記先行指標(LI)を制御して操作するために少なくとも1のプロセス感受性変数を選択するステップ;
c)プロセス感受性変数を操作するステップ;並びに
d)ポリマー製品を取り出すステップ。
【請求項10】
上記少なくとも1のプロセス感受性変数は水供給量である請求項9の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−508444(P2007−508444A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−535526(P2006−535526)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/032174
【国際公開番号】WO2005/040227
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(599168648)ユニベーション・テクノロジーズ・エルエルシー (70)
【Fターム(参考)】