説明

改良された放出特性を有する芳香物質含有マイクロカプセル

本発明は、マイクロカプセル、マイクロカプセル組成物並びにこれを含有する洗剤及び洗浄剤に関するが、その際マイクロカプセルはそのコア中に、マイクロカプセルのコアからの放出特性を1種以上の架橋剤の使用によって著しく遅らせてある、1種以上の芳香物質又は香料を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロカプセル、マイクロカプセル組成物並びにこれを含有する混合物、特に洗剤及び洗浄剤に関するが、その際、マイクロカプセルはそのコア中に、マイクロカプセルのコアからのそれらの放出特性を1種以上の架橋剤の使用によって著しく遅らせてある、1種以上の芳香物質又は香料を含有する。
【0002】
大抵の洗剤及び洗浄剤組成物は、配合剤自体又はそれを用いて処理した繊維又は表面に芳香を付与するために、芳香物質又は香料を含有する。芳香物質又は香料は、大抵は種々の化学物質又は酸化に対して程度の差はあれ鋭敏である多数の共役二重結合を有する化合物である。従って洗剤又は洗浄剤のその他の成分、例えば界面活性剤又は漂白剤と不利な交互作用を起こし、それによって芳香物質又は香料が分解され及び/又は香調が変わる恐れがある。もう一つの問題は、芳香物質又は香料の揮発性が屡高いことであり、それによって洗剤又は洗浄剤に最初に混入された芳香物質又は香料の量の大部分が既に使用前に揮発してしまう結果となる。前記した問題を克服するために、芳香物質又は香料をマイクロカプセル化した形で洗剤又は洗浄剤中に混入することが既に提案されている。このようなマイクロカプセルは既に詳説されている:
WO01/49817(BASF)には、少なくとも1種の芳香物質又は香料を含有する疎水性材料から成るコア及び1種以上のアクリル酸及び/又はメタクリル酸のC−C24アルキルエステル30〜100質量%、二官能性又は多官能性モノマー0〜70質量%、その他のモノマー0〜40質量%を含むエチレン性不飽和モノマーのラジカル重合により得られるシェルを有するマイクロカプセルを含有するマイクロカプセル組成物並びにこのマイクロカプセルを含有する洗剤又は洗浄剤組成物が記載されている。
【0003】
WO05/105291(Ciba)には特に、シェルが水溶性ビニルモノマー10〜75%、二官能性又は多官能性ビニルモノマー10〜75%及びその他のビニルモノマー10〜50%から成る混合物のラジカル重合によって得られる芳香物質及び香料を含有するマイクロカプセルが記載されている。
【0004】
WO93/02144(BASF)には、芳香物質又は香料を含む疎水性コアを有するマイクロカプセルが記載されている。この場合に、シェルは少なくとも1質量%のイオノゲンモノマー及び/又は数個エチレン性不飽和のモノマーのラジカル重合によって得られ、その際少なくとも1個の結合は塩基又は酸により加水分解可能である。
【0005】
US4798691(Japan Synthetic Rubber)には、疎水性コアを有していてよく、モノマー及び架橋性モノマーから成る混合物によって得られるシェルを有するマイクロカプセルも開示されている。
【0006】
しかしこれらのマイクロカプセルは全て、シェルが芳香物質又は香料に対して透過性がありすぎるか又はシェルが安定であり過ぎて、芳香物質又は香料を通常の機械的負荷で殆どないしは全く放出しないという欠点を有する。従って、本発明の根底をなす課題は、マイクロカプセルの機械的安定性及びコア中に存在する芳香物質又は香料に関するシェルの保持力が、公知技術に比して改良された芳香物質又は香料の保持力及び放出力が得られるように選択されている芳香物質又は香料を含有するマイクロカプセルを提供することである。これは、第一に芳香物質又は香料がより長時間に亘って放出されるべきであり、同時に摩擦によるカプセル崩壊後の"Burst−Release"効果がより長時間に亘って保障されることを意味する。
【0007】
この課題は意外にも請求項1から6に記載のマイクロカプセルによって解決される。特許請求項7及び8に記載の化学的組成物、請求項9から12に記載の使用並びに請求項13及び14に記載の物品も本発明の目的である。
【0008】
本発明の目的は、芳香物質又は香料を含有するコア(a)及びシェル(b)を有するマイクロカプセルであり、その際(b)は、1種以上のアクリル酸及び/又はメタクリル酸のC−C24−アルキルエステル及び少なくとも2種の異なる二官能性又は多官能性モノマーの重合により得られる。
【0009】
その際特定の実施態様が有利である。従って、相互に無関係に、(a)が少なくとも1種の疎水性材料を含有し、(b)がラジカル重合により製造可能であり、マイクロカプセル中のアクリル酸及び/又はメタクリル酸のC−C24−アルキルエステルの量が1〜99、99質量%であり、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のC−C18−アルキルエステルが含有されており、マイクロカプセル中の少なくとも2種の異なる二官能性又は多官能性モノマーの量が0.01〜70質量%であり、2、3、4又は5種の異なる二官能性又は多官能性モノマーが含有されており、マイクロカプセル中の付加的に非ビニル官能基を有する一官能性モノマーの量が0〜50質量%でありかつ付加的に非ビニル官能基を有するその他の一官能性モノマーがマイクロカプセル中に0〜40質量%の量で含有されている、マイクロカプセルが有利である。
【0010】
特に、相互に無関係に、(a)が少なくとも1種の疎水性材料及び少なくとも1種の芳香物質又は香料から成るか又は(a)が少なくとも1種の芳香物質又は香料から成り、(b)がラジカル重合により製造されており、マイクロカプセル中のアクリル酸及び/又はメタクリル酸のC−C24−アルキルエステルの量が20〜80質量%であり、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のC−C12−アルキルエステルが含有されており、マイクロカプセル中の少なくとも2種の異なる二官能性又は多官能性モノマーの量が5〜50質量%であり、2又は3種の異なる二官能性又は多官能性モノマーを含有し、マイクロカプセル中の付加的に非ビニル官能基を有する一官能性モノマーの量が10〜40質量%でありかつ付加的に非ビニル官能基を有するその他の一官能性モノマーがマイクロカプセル中に5〜35質量%の量で含有されている、マイクロカプセルが有利である。
【0011】
極めて特には、相互に無関係に、少なくとも1種の疎水性材料が、植物油、動物性油及び鉱油から成る群から選択したものであり、少なくとも1種の芳香物質又は香料が、天然の芳香物質又は香料、合成芳香物質又は香料及び半合成芳香物質又は香料から成る群から選択したものであり、マイクロカプセル中のアクリル酸及び/又はメタクリル酸のC−C24−アルキルエステルの量が35〜60質量%であり、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のC−C−アルキルエステルが含有されており、マイクロカプセル中の少なくとも2種の異なる二官能性又は多官能性モノマーの量が20〜40質量%であり、2種の異なる二官能性又は多官能性モノマーを含有し、マイクロカプセル中の付加的に非ビニル官能基を有する一官能性モノマーの量が20〜30質量%でありかつ付加的に非ビニル官能基を有するその他の一官能性モノマーがマイクロカプセル中に10〜30質量%の量で含有されている、マイクロカプセルが有利である。
【0012】
アクリル酸及び/又はメタクリル酸のC−C24−アルキルエステルとは、通常純粋なアルキルエステルだけではなく、変性された化合物、例えばアクリル酸のアルキルアミド又はビニルアルキルエーテルでもある。非限定的例は、t−ブチルアクリルアミド及びアクリルアミドである。
【0013】
更に二官能性又は多官能性モノマーとは、1個以上のラジカル重合性基を有し、従って重合で成長するポリマー鎖が相互に結合して三次元網状構造になることができる物質である。その際多官能性モノマーの他にオリゴマーの架橋剤を使用してもよい。非限定的例は、ブタンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールジメタクリレートであり、その際、ブタンジオールジアクリレート、ペンタエリスリットテトラアクリレート及びペンタエリスリットトリアクリレートが特に有利である。
【0014】
コア材料として使用することができる疎水性材料には、油、例えば植物油、動物性油、鉱油、パラフィン、クロロパラフィン、弗化炭化水素及びその他の合成油が挙げられる。代表的な非限定的例は、ひまわり油、菜種油、オリーブ油、落花生油、大豆油、灯油、ベンゼン、トルエン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、クロロホルム、四塩化炭素、塩素化ジフェニル及びシリコーン油である。高い沸点を有する疎水性材料、例えばジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、アルキルナフタリン、ドデシルベンゼン、テルフェニル、部分的に水素化されたテルフェニル、エチルヘキシルパルミテート、カプリン酸/カプリル酸−トリグリセリド、PPG−2ミリスチルエーテルプロピオネート;PPG−5Ceteth−20;C12−15−アルキル−ベンゾエート、鉱油(CAS:8042−47−5);セテアリールエチルヘキサノエート;ジメチコン;ポリイソブチレン(例えばBASF:Glisopal(R)、Oppanol(R))を使用してもよい。
【0015】
場合により芳香物質又は香料を含有するか又はこれから成る疎水性材料は、その融点と水の沸点との間の温度で水中に乳化させることができるように選択する。その際、低粘性疎水性材料は、<5Pasのブルックフィールド粘度を有する(DIN EBN ISO3219により23℃で5−スピンドル及び20rpmで測定)。
【0016】
芳香物質又は香料とは、所望の嗅覚特性を有し、本質的に非毒性である全ての有機物質である。これには特に通常洗剤又は洗浄剤又は香粧品で使用される全ての芳香物質又は香料が挙げられる。これらは天然、半合成又は合成起源の化合物であってよい。有利な芳香物質又は香料は、炭化水素、アルデヒド又はエステルの種類の物質に属するものであってよい。芳香物質又は香料には、成分の錯体混合物を含有しうる天然の抽出物及び/又は精油、例えばオレンジ油、シトロン油、ローズエキス、ラベンダー、ムスク、パチョリ、バルサムエッセンス、白檀油、笠松油及びシーダ油も含まれる。
【0017】
合成及び半合成芳香物質又は香料の非限定的例は、7−アセチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−1,1,6,7−テトラメチル−ナフタリン、α−イオノン、ss−イオノン、y−イオノン、α−イソメチルイオノン、メチルセドリロン、メチルジヒドロジャスモネート、メチル−1,6,10−トリメチル−2,5,9−シクロドデカトリエン−1−イル−ケトン、7−アセチル−1,1,3,4,4,6−ヘキサメチル−テトラリン、4−アセチル−6−t−ブチル−1,1−ジメチル−インダン、ヒドロキシフェニルブタノン、ベンゾフェノン、メチル−ss−ナフチル−ケトン、6−アセチル−1,1,2,3,3,5−ヘキサメチル−インダン、5−アセチル−3−イソプロピル−1,1,2,6−テトラメチル−インダン、1−ドデカナール、4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−l−カルボキシアルデヒド、7−ヒドロキシ−3,7−ジメチルオクタナール、10−ウンデセン−1−アール、イソ−ヘキセニル−シクロヘキシル−カルボキシアルデヒド、ホルミル−トリシクロデカン、ヒドロキシシトロネラール及びメチルアンスラニレートの縮合生成物、ヒドロキシシトロネラール及びインドールの縮合生成物、フェニル−アセトアルデヒド及びインドールの縮合生成物、2−メチル−3−(パラ−t−ブチルフェニル)−プロピオンアルデヒド、エチルバニリン、ヘリオトローピン、ヘキシル桂皮アルデヒド、アミル桂皮アルデヒド、2−メチル−2−(イソ−プロピルフェニル)−プロピオンアルデヒド、クマリン、デカラクトン−y、シクロペンタデカノリド、16−ヒドロキシ−9−ヘキサデセン酸−ラクトン、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−4,6,6,7,8,8−ヘキサメチルシクロペンタ−y−2−ベンゾピラン、ss−ナフトール−メチルエーテル、アムブロキサン、ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチル−ナフト[2,lb]フラン、セドロール、5−(2,2,3−トリメチルシクロペント−3−エニル)−3−メチルペンタン−2−オール、2−エチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オール、カリオフェニレンアルコール、トリシクロデセニルプロピオネート、トリシクロデセニルアセテート、ベンジルサリシレート、セドリルアセテート及びt−ブチル−シクロヘキシルアセテートである。
【0018】
特にヘキシル桂皮アルデヒド、2−メチル−3−(t−ブチルフェニル)−プロピオンアルデヒド、7−アセチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−1,1,6,7−テトラメチル−ナフタリン、ベンジルサリシレート、7−アセチル−1,1,3,4,4,6−ヘキサメチル−テトラリン、パラ−t−ブチル−シクロヘキシルアセテート、メチルジヒドロ−ジャスモネート、ss−ナフトール−メチルエーテル、メチル−ss−ナフチルケトン、2−メチル−2−(パラ−イソ−プロピルフェニル)−プロピオ−アルデヒド、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−4,6,6,7,8,8−ヘキサメチルシクロペンタ−y−2−ベンゾピラン、ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラヒドロナフト[2、lb]フラン、アニスアルデヒド、クマリン、セドロール、バニリン、シクロペンタデカノリド、トリシクロデセニルアセテート及びトリシクロデセニルプロピオネートが有利である。
【0019】
その他の芳香物質は、多数の起源からの精油、レジノイド及び樹脂、例えばペルバルサム、乳香レジノイド、蘇合香、ラダナム樹脂、ナツメグ、桂皮油、ベンゾイン樹脂、コリアンダー及びラヴァンジンである。その他に好適な芳香物質は、フェニルエチルアルコール、テルピン油、リナロール、酢酸リナリル、ゲラニオール、ネロール、2−(1,1−ジメチルエチル)−シクロヘキサノールアセテート、ベンジルアセテート及びオイゲノールである。
【0020】
芳香物質又は香料は、純物質として使用してもよいし、相互の混合物で使用してもよい。芳香物質又は香料は、単独の疎水性物質としてマイクロカプセルのコアを生成することができる。代わりにマイクロカプセルは芳香物質又は香料の他に、その中に芳香物質又は香料が溶解又は分散しているその他の疎水性材料を含有することができる。例えば室温で固体の芳香物質又は香料を使用する場合には、室温で液体の疎水性材料を溶液又は分散剤として使用するのが有利である。
【0021】
芳香物質又は香料の疎水性を高めるためにこの芳香物質又は香料にその他の疎水性材料を添加してもよい。
【0022】
有利には芳香物質又は香料又は芳香物質又は香料の混合物は、疎水性コア材料の1〜100質量%、有利には20〜100質量%である。疎水性材料は100℃より下の温度で、有利には60℃より下の温度で、特に有利には室温で液体である。
【0023】
本発明の実施態様の一つでは、マイクロカプセルのシェルはエチレン性不飽和モノマーの重合により製造する。シェルは、30〜100質量%、有利には30〜95質量%(各々シェル中のモノマーの全質量に対して)のアクリル酸及び/又はメタクリル酸の、1種以上のC−C24−アルキルエステル、有利には1種以上のC−C18−アルキルエステル、特に有利には1種以上のC−C12−アルキルエステル及び極めて特に有利には1種以上のC−C−アルキルエステルの重合によって製造する。その際、例えばメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソ−プロピルアクリレート、イソ−プロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、イソ−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソ−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、オクチルアクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレート及びパルミチルアクリレートが該当する。
【0024】
シェルの0〜70質量%、有利には5〜40質量%(各々シェル中のモノマーの全質量に対して)は、少なくとも2種の二官能性又は多官能性モノマー、即ち2個以上エチレン性不飽和化合物から成る混合物から成る。これは例えば、二価のC−C24−アルコールから誘導されるアクリル酸及びメタクリル酸エステル、例えばエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート及び1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート並びにジビニルベンゼン、メタリルメタクリルアミド、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、メチレンビスアクリルアミド、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリットアリルエーテル、ペンタエリスリットテトラアクリレート及びペンタエリスリットテトラメタクリレートである。
【0025】
シェルの0〜40質量%、有利には0〜30質量%はその他のモノマーから成っていてよい。これには、特にビニル芳香性化合物、例えばスチレン及びα−メチルスチレン、ビニルピリジン、C−C20−カルボン酸のビニルエステル、例えばビニルアセテート、ビニルプロピオネート、メタクリルニトリル、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノメタクリレート、ビニルシクロヘキサン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、メタクリル酸及び2−ヒドロキシプロピルメタクリレートが含まれる。
【0026】
マイクロカプセルは、シェルを形成するモノマー又はモノマー混合物を安定な水中油エマルジョンの油相中で重合させることによって得られるが、その際、油相は前記疎水性材料から成る。重合開始前に、少なくとも1種の芳香物質又は香料を含有するモノマー及び疎水性相の混合物が存在する必要がある。この製法は自体公知であり、例えばEP−A−0457154に記載されている。
【0027】
マイクロカプセルのコアは、水に乳化可能な疎水性材料から生成される。疎水性材料は同時に、重合によるカプセルシェル製造で使用されるモノマー混合物用の溶剤又は分散剤として働く。その場合に重合は安定な水中油エマルジョンの油相中で行われる。このエマルジョンは、例えば先ず付加的にモノマー及び重合開始剤並びに場合により重合調節剤を疎水性材料に溶解させ、こうして得た溶液を水性媒体中で乳化剤及び/又は保護コロイドで乳化させることによって得られる。しかし先ず疎水性相又はその成分を水相に乳化させ、次いでエマルジョンにモノマー又は重合開始剤並びに場合によりなお一緒に使用される助剤、例えば保護コロイド又は重合調節剤を添加してもよい。
【0028】
もう一つの方法では、疎水性材料及びモノマーを水に乳化させ、次いでなお重合開始剤のみを添加してもよい。疎水性材料をエマルジョン中で出来る限り完全にマイクロカプセル化させる必要があるので、有利には水中の溶解度が制限されているような疎水性材料を使用する。溶解度は有利には5質量%を超えてはならない。疎水性材料を水中油エマルジョンの油相中で完全にカプセル化させるために、モノマーをその疎水性材料中の溶解度に応じて選択するのが有利である。モノマーは油中に本質的に可溶性であるが、これから個々の油滴中の重合で、水中油エマルジョンの油相にも水相にも可溶性ではなく、油滴と水相の間の境界を移動するオリゴマー及びポリマーが生成する。そこで更に重合が経過する中に、最終的に疎水性材料をマイクロカプセルのコアとして包む壁材料が生成される。
【0029】
安定な水中油エマルジョンを生成するために、通常保護コロイド及び/又は乳化剤を使用する。好適な保護コロイドは、例えばセルロース誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びメチルセルロース、ポリビニルピロリドン及びN−ビニルピロリドンのコポリマー、ポリビニルアルコール及び部分的に加水分解されたポリビニルアセテートである。その際ポリビニルアルコールが特に有利である。更に、ゼラチン、アラビアゴム、キサンガム、アルギン酸塩、ペクチン、分解澱粉及びカゼインを使用することもできる。イオン性保護コロイドを使用してもよい。イオン性保護コロイドとしてポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸及びメタクリル酸から成るコポリマー、スルホエチルアクリレート、スルホエチルメタクリレート又はスルホプロピルメタクリレートを含有するスルホン酸基含有水溶性ポリマー、並びにN−(スルホエチル)−マレインイミド、2−アクリルアミド−2−アルキルスルホン酸、スチレンスルホン酸及びホルムアルデヒドのポリマー並びにフェノールスルホン酸及びホルムアルデヒドから成る縮合生成物を使用することができる。保護コロイドは通常エマルジョンの水相に対して0.1〜10質量%の量で添加する。イオン性保護コロイドとして使用されるポリマーは有利には平均モル質量M500〜1000000g/モル、有利には1000〜500000g/モルを有する。
【0030】
重合は通常ラジカル形成性重合開始剤の存在で行う。このために通常の全てのペルオキソ及びアゾ化合物を通常の使用量、例えば重合されるモノマーの質量に対して0.1〜5質量%で使用することができる。油相又はモノマーに可溶性であるような重合開始剤が有利である。例えばt−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシピバレート、t−アミルペルオキシピバレート、ジラウロイルペルオキシド、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート等である。
【0031】
水中油エマルジョンの重合は通常20〜100℃、有利には40〜90℃で行う。通常重合は常圧で行うが、しかし減圧又は高めた圧力で、例えば0.5〜20バールの範囲で行ってもよい。有利には水、保護コロイド及び/又は乳化剤、疎水性材料、重合開始剤及びモノマーから成る混合物を高速分散機で乳化させて疎水性材料の所望の液滴サイズにし、安定なエマルジョンを重合開始剤の分解温度を考慮して加熱して行う。その際、重合速度は公知方法で温度及び重合開始剤の量を選択することによって調節することができる。重合温度に到達後、モノマーの反応を完全にするために、重合を有利には更に長い時間、例えば2〜6時間行う。
【0032】
重合の間に重合反応混合物の温度を連続的に又は周期的に高める操作方法が特に有利である。これは上昇温度プログラムを用いて行われる。
【0033】
全体の重合時間をこの目的のために二つ以上の期間に分けることができる。第1重合期は、重合開始剤の緩慢な分解を特徴とする。第2重合期及び場合により更なる重合期では、重合開始剤の分解を促進するために反応混合物の温度を高める。温度は、1段階又は数段回で又は連続的に直線的又は非直線的に高めることができる。重合の初めと終わりの間の温度差は50℃までであってよい。通常この差は3〜40℃、有利には3〜30℃である。
【0034】
前記方法の一つにより得たマイクロカプセルを引き続き常法で噴霧乾燥させることができる。噴霧乾燥させたマイクロカプセルの再分散を容易にするために、分散液に噴霧乾燥前に場合により付加的な量の乳化剤及び/又は保護コロイドを添加することができる。好適な乳化剤又は保護コロイドはマイクロカプセル分散液の製造に関して前記したものである。通常水性マイクロカプセル分散液を、噴霧ミストで順流又は逆流で、有利には順流で誘導した温空気流中で噴霧する。温空気流の入口温度は、通常100〜200℃、有利には120〜160℃の範囲であり、空気流の出口温度は通常30〜90℃、有利には60〜80℃の範囲である。水性マイクロカプセル分散液の噴霧は、例えば一成分又は多成分ノズル又は回転盤を用いて行うことができる。噴霧乾燥したマイクロカプセルの分離は、通常サイクロン又はフィルター分離器を使用して行う。
【0035】
こうして得たマイクロカプセルは、有利には1〜100μm、特に有利には1〜50μm、極めて特に有利には1〜30μmの平均直径を有する。
【0036】
使用目的に基づいてシェルの厚さ対カプセルの直径の比に関しても有利な範囲がある。従って、シェルの厚さ対マイクロカプセルの直径の比が0.0005〜0.2、の範囲、特に有利には0.005〜0.08の範囲、極めて特に有利には0.015〜0.055の範囲であるマイクロカプセルが有利である。
【0037】
本発明のもう一つの目的は、前記したような化学的組成物を含有するマイクロカプセルである。従って液体のマイクロカプセル組成物又は噴霧乾燥したマイクロカプセルは特に洗剤又は洗浄剤の配合に使用することができる。しかし例えば接着剤、ペイント、化粧品、剥離剤及び分散液の配合用に使用することもできる。
【0038】
勿論、界面活性剤、殺菌剤、染料、酸、塩基、錯化剤、殺生物剤、ハイドロトロープ、増粘剤、ビルダー、コビルダー、酵素、漂白剤、漂白活性剤、腐食防止剤、漂白触媒、着色保護添加物、移染防止剤、灰色化防止剤、ソイルリリースポリマー、繊維保護添加物、シリコーン、抗菌剤及び保存剤、有機溶剤、溶解助剤、溶解改良剤及び香料から成る群から選択した少なくとも1種の物質を含有する化学的組成物が特に有利である。
【0039】
界面活性剤は通常疎水性部分及び親水性部分から成る。その際、疎水性部分は通常C原子4〜20個、有利にはC原子6〜19個、特に有利にはC原子8〜18個の鎖長を有する。疎水基の官能単位は通常OH基であり、その際アルコールは枝分かれしていてもよいし枝なしであってもよい。親水性部分は通常アルコキシル化単位(例えば酸化エチレン(EO)、酸化プロピレン(PO)及び/又は酸化ブチレン(BO))(その際これは通常このアルコキシル化単位2〜30個、有利には5〜20個が相互に並んでいる)及び/又は帯電した単位、例えばスルフェート、スルホネート、ホスフェート、カルボン酸、アンモニウム及びアンモニウムオキシドから成る。
【0040】
陰イオン界面活性剤の例は、カルボキシレート、スルホネート、スルホ脂肪酸メチルエステル、スルフェート、ホスフェートである。陽イオン界面活性剤の例は、第四級アンモニウム化合物である。ベタイン−界面活性剤の例は、アルキルベタインである。非イオン化合物の例は、アルコールアルコキシレートである。
【0041】
ここで"カルボキシレート"とは、分子中に少なくとも1個のカルボキシレート基を有する化合物である。本発明により使用することができるカルボキシレートの例は、石鹸、例えばアルカリ金属又はアンモニウムのステアレート、オレエート、ココエート;エーテルカルボキシレート、例えばAkypo(R)RO20、Akypo(R)RO50、Akypo(R)RO90である。
【0042】
"スルホネート"とは、分子中に少なくとも1個のスルホネート基を有する化合物である。本発明により使用することができるスルホネートの例は、アルキルベンゼンスルホネート、例えばLutensit(R)A−LBS、 Lutensit(R)A−LBN、Lutensit(R)A−LBA、Marlon(R)AS3、Maranil(R)DBS;アルキルスルホネート、例えばAlscoap OS−14P、BIO−TERGE(R)AS−40、BIO−TERGE(R)AS−40 CG、BIO−TERGE(R)AS−90 Beads、Calimulse(R)AOS−20、Calimulse(R)AOS−40、Calsoft(R)AOS−40、Colonial(R)AOS−40、Elfan(R)OS46、Ifrapon(R)AOS38、Ifrapon(R)AOS38P、Jeenate(R)AOS−40、Nikkol(R)OS−14、Norfox(R)ALPHAXL、POLYSTEP(R)A−18、Rhodacal(R)A−246L、Rhodacal(R)LSS−40A;スルホン化油、例えばトルコ赤油;オレフィンスルホネート;芳香族スルホネート、例えばNekal(R)BX、Dowfax(R)2A1である。
【0043】
ここで"スルホ脂肪酸メチルエステル"とは、一般式(I)
【化1】

[式中、RはC原子10〜20個を有し、有利にはRはC原子12〜18個、特に有利にはC原子14〜16個を有する]の単位を有する化合物である。
【0044】
ここで"スルフェート"とは、分子中に少なくとも1個のSO基を有する化合物である。本発明により使用することができるスルフェートの例は、脂肪アルコールスルフェート、例えば椰子油アルコールスルフェート(CAS97375−27−4)、例えばEMAL(R)10G、Dispersogen(R)Sl、Elfan(R)280、Mackol(R)100N;その他のアルコールスルフェート、例えばEmal(R)71、Lanette(R)E;椰子油アルコールエーテルスルフェート、例えばEmal(R)20C、Latemul(R)E150、Sulfochem(R)ES−7、Texapon(R)ASV−70Spec.、Agnique SLES−229−F、Octosol828、POLYSTEP(R)B−23、Unipol(R)125−E、130−E、Unipol(R)ES−40;その他のアルコールエーテルスルフェート、例えばAvanel(R)S−150、Avanel(R)S 150 CG、Avanel(R)S 150 CG N、Witcolate(R)D51−51、Witcolate(R)D51−53である。
【0045】
"ホスフェート"とは、分子中に少なくとも1個のPO基を有する化合物である。本発明により使用することができるホスフェートの例は、アルキルエーテルホスフェート、例えばMaphos(R)37P、Maphos(R)54P、Maphos(R)37T、Maphos(R)210T及びMaphos(R)210P;ホスフェート、例えばLutensit A−EP;アルキルホスフェートである。
【0046】
陰イオン界面活性剤は、化学的配合剤の製造で有利には塩の形で添加する。その際、好適な塩は、例えばアルカリ金属塩、例えばナトリウム、カリウム及びリチウム塩及びアンモニウム塩、例えばヒドロキシエチルアンモニウム−、ジ(ヒドロキシエチル)アンモニウム−及びトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウム塩である。
【0047】
"第四級アンモニウム化合物"とは、分子中に少なくとも1個のR基を有する化合物である。本発明により使用することができる第四級アンモニウム化合物の例は、椰子油−、牛脂−又はセチル/オレイルトリメチルアンモニウムのハロゲニド、メソスルフェート及びカルボネートである。
【0048】
特に好適な陰イオン界面活性剤としては、C−C25−アルキルアミン;N,N−ジメチル−N−(ヒドロキシ−C−C25−アルキル)アンモニウム塩;アルキル化剤で四級化されたモノ−及びジ−(C−C25−アルキル)ジメチルアンモニウム化合物;エステルクォート、特に、C−C22−カルボン酸でエステル化された、四級エステル化モノ−、ジ−及びトリアルカノールアミン;イミダゾリンクォート、特に式II又はIII
【化2】

[式中、変数は下記のものを表す:Rは、C−C25−アルキル又はC−C25−アルケニル;R10は、C−C−アルキル又はヒドロキシ−C−C−アルキル;R11は、C−C−アルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキル又は基R−(CO)−X−(CH−(X:−O−又は−NH−;m:2又は3)、その際少なくとも1個の基RはC−C22−アルキルである]の1−アルキルイミダゾリニウム塩が挙げられる。
【0049】
更に"ベタイン界面活性剤"とは、使用条件下で、即ち繊維洗浄の場合には常圧及び95℃までの室温の温度で、各々少なくとも1個の正及び負荷電を有する化合物である。その際"アルキルベタイン"とは、分子中に少なくとも1個のアルキル単位を有するベタイン界面活性剤である。本発明により使用することができるベタイン界面活性剤の例は、コカミドプロピルベタイン、例えばMAFO(R)CAB、Amonyl(R)380BA、AMPHOSOL(R)CA、AMPHOSOL(R)CG、AMPHOSOL(R)CR、AMPHOSOL(R)HCG、AMPHOSOL(R)HCG−50、Chembetain(R)C、Chembetain(R)CGF、Chembetain(R)CL、Dehyton(R)PK、Dehyton(R)PK45、Emery(R)6744、Empigen(R)BS/F、Empigen(R)BS/FA、Empigen(R)BS/P、Genagen(R)CAB、Lonzaine(R)C、Lonzaine(R)CO、Mirataine(R)BET−C−30、Mirataine(R)CB、Monatric(R)CAB、Naxane(R)C、Naxane(R)CO、Norfox(R)CAPB、Norfox(R)CoCo Betaine、Ralufon(R)414、TEGO(R)−Betain CKD、TEGO(R)Betain E KE 1、TEGO(R)−Betain F、TEGO(R)−Betain F50及びアミノキシド、例えばアルキルジメチルアミノキシド、即ち一般式(IV)
【化3】

[式中、R1、R2及びR3は、相互に無関係に、脂肪族、環状又は第三アルキル−又はアミドアルキル基を表す]の化合物、例えばMazox(R)LDA、Genaminox(R)、Aromox(R)14DW970である。
【0050】
非イオン界面活性剤は、非帯電の、中性pH範囲でイオン電荷を有さない、極性、親水性の、水溶性にするヘッド基を有する(陰イオン及び陽イオン界面活性剤とは異なり)界面活性物質であり、これは界面で吸着し、臨界ミセル濃度(cmc)より上で凝集して中性ミセルになる。親水性ヘッド基の種類によって(オリゴ)オキシアルキレン基、特に(オリゴ)オキシエチレン基(ポリエチレングリコール基)(これには脂肪アルコールポリグリコールエーテル(脂肪アルコールアルコキシレート)、アルキルフェノールポリグリコールエーテル並びに脂肪酸エトキシレート、アルコキシル化トリグリセリド及び混合エーテル(両端でアルキル化されたポリエチレングリコールエーテル)が含まれる)及び炭水化物基(これには例えばアルキルポリグリコシド及び脂肪酸−N−メチルグルカミドが含まれる)に分けられる。
【0051】
アルコールアルコキシレートは、C原子4〜20個、有利にはC原子6〜19個及び特に有利にはC原子8〜18個の鎖長を有する疎水性部(その際、アルコールは分枝していてもよいし、枝なしであってもよい)及び2〜30個の反復単位を有する、例えばエチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)及び/又はブチレンオキシド(BuO)のようなアルコキシル化単位である親水性部をベースとしている。例は、特にLutensol(R)XP、Lutensol(R)XL、Lutensol(R)ON、Lutensol(R)AT、Lutensol(R)A、Lutensol(R)AO、Lutensol(R)TOである。
【0052】
アルコールフェノールアルコキシレートは式(V)
【化4】

の化合物であり、これは酸化アルキレン、特に酸化エチレンのアルキルフェノールへの付加によって製造される。その際、有利にはR4=Hである。更にR5=Hである場合(従ってEOである)が有利であり、R5=CHである場合(従ってPOである)又はR5=CHCHである場合(BuOである)も有利である。更に、オクチル−[(R1=R3=H、R2=1,1,3,3−テトラメチルブチル(ジイソブチレン)]、ノニル−[(R1=R3=H、R2=1,3,5−トリメチルヘキシル(トリプロピレン)]、ドデシル−、ジノニル−又はトリブチルフェノールポリグリコールエーテル(例えばEO、PO、BuO)、R−C−O(EO/PO/BuO)n(R=C8〜C12及びn=5〜10である)が存在する化合物が特に有利である。このような化合物の非限定的例は、Nofox(R)OP−102、Surfonic(R)OP−120、T−Det(R)O−12である。
【0053】
脂肪酸エトキシレートは、異なる量の酸化エチレン(EO)で後処理した脂肪酸エステルである。
【0054】
トリグリセリドは、3個のヒドロキシ基全てが脂肪酸でエステル化されているグリセロールのエステル(グリセリド)である。
【0055】
脂肪酸アルカノールアミドは、一般式(VI)
【化5】

の化合物であり、これはアルキル基Rを有する少なくとも1個のアミド基及び1個又は2個のアルコキシル基を有し、その際、RはC原子11〜17個を有し、1≦m+n≦5である。
【0056】
アルキルポリグリコシドは、アルキルモノグリコシド(アルキル−α−D−及び−β−D−グルコピラノシド並びに僅かな割合の−グルコフラノシド)、アルキルジグルコシド(−イソマルトシド、−マルトシド等)及びアルキルオリゴグリコシド(−マルトトリオシド、−テトラオシド等)から成る混合物である。アルキルポリグリコシドは、特にグルコール(又は澱粉)から又はn−ブチルグルコシドから脂肪アルコールを用いる酸触媒反応(フィッシャー反応)によって得られる。アルキルポリグリコシドは一般式(VII)
【化6】

[式中、m=0〜3及びn=4〜20である]に相応する。
【0057】
例はLutensol(R)GD70である。
【0058】
一般式(VIII)
【化7】

の非イオン性N−アルキル化、有利にはN−メチル化脂肪酸アミドの群中で、R1はn−C12−アルキル−基を表し、R2はC原子1〜8個を有するアルキル基を表す。R2は有利にはメチルである。
【0059】
前記したように少なくとも1種の殺菌剤を含有する組成物が特に有利である。その際、少なくとも1種の殺菌剤は0.1〜20質量%、有利には1〜10質量%の(全)量で組成物中に存在する。
【0060】
殺菌剤は、酸化剤、ハロゲン、例えば塩素及び沃素及びこれらを遊離する物質、アルコール、例えばエタノール、1−プロパノール及び2−プロパノール、アルデヒド、フェノール、酸化エチレン、クロロヘキシジン及びメセトロニウムメチルスルフェートであってよい。
【0061】
殺菌剤の使用の利点は、病原体が処理した表面上で広がる恐れが殆どないことである。病原体は、細菌、胞子、真菌及びウィルスであってよい。
【0062】
染料は、特にAcid Blue 9、Acid Yellow 3、Acid Yellow 23、Acid Yellow 73、Pibment Yellow 101、Acid Green 1、Acid Green 25である。
【0063】
少なくとも1種の染料が0.1〜20質量%、特に有利には1〜10質量%の(全)量で存在する組成物が有利である。
【0064】
酸は、例えば石灰沈積を溶解又は阻止するために有利に使用される化合物である。酸の例は蟻酸、酢酸、クエン酸、塩酸、硫酸及びスルホン酸である。
【0065】
塩基は、錯化剤用に有利なpH範囲を調節するために有利に使用することができる化合物である。本発明により使用することができる塩基の例は、NaOH、KOH及びアミンエタノールである。
【0066】
無機ビルダーとしては特に下記のものが好適である:イオン交換特性を有する晶状及び非晶質アルモシリケート、例えば特にゼオライト:種々のゼオライトが好適であり、特に、Na−形又はNaが部分的にその他のカチオン、例えばLi、K、Ca、Mg又はアンモニウムと交換している形の、ゼオライトA、X、B、P、MAP及びHSが好適である;晶状珪酸塩、例えば特に二珪酸塩及び層状珪酸塩、例えばδ−及びβ−NaSi。珪酸塩はそのアルカリ金属−、アルカリ土類金属−又はアンモニウム塩の形で使用してよく、Na−、Li−及びMg−珪酸塩が有利である;非晶質珪酸塩、例えばナトリウムメタシリケート及び非晶質二珪酸塩;炭酸塩及び炭酸水素塩:これはアルカリ金属−、アルカリ土類金属−又はアンモニウム塩の形で使用することができる。Na−、Li−及びMg−炭酸塩及び−炭酸水素塩、特に炭酸ナトリウム及び/又は炭酸水素ナトリウムが有利である;並びにポリ燐酸塩、例えば三燐酸五ナトリウム。
【0067】
オリゴマー及びポリマーのコビルダーとしては、オリゴマー及びポリマーのカルボン酸、例えばアクリル酸及びアスパラギン酸のホモポリマー、オリゴマレイン酸、マレイン酸とアクリル酸、メタクリル酸又はC−C22−オレフィン、例えばイソブテン又は長鎖α−オレフィンとのコポリマー、ビニル−C−C−アルキルエーテル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、C−C−アルコールの(メタ)アクリル酸エステル及びスチレン。アクリル酸のホモポリマー及びアクリル酸とマレイン酸のコポリマーが有利である。オリゴマー及びポリマーのカルボン酸は酸の形又はナトリウム塩として使用される。
【0068】
錯化剤は、カチオンを結合することができる化合物である。これは水の硬度を減少させ、厄介な重金属イオンを沈澱させるために使用することができる。錯化剤の例は、NTA、EDTA、MGDA、DTPA、DTPMP、IDS、HEDP、β−ADA、GLDA、クエン酸、オキソイドコハク酸及びブタンテトラカルボン酸である。これら化合物を使用する利点は、多数の洗浄活性化合物が軟水中でより良好な作用を達成することであり、更に水硬度の減少によって洗浄後の石灰沈積の発生を防止することができることである。従って、これらの化合物の使用によって洗浄した表面を乾燥させる必要が省かれる。これは操作経過の観点から有利であり、特にこの方法で保存用に適用した本発明による組成物を部分的に再び除去しないから、特に望ましい。繊維の処理の場合に繊維はより良好な柔軟性を保ち、従ってより良好な着心地が得られる。
【0069】
好適な灰色化防止剤は、例えばカルボキシメチルセルロース及び酢酸ビニルのポリエチレングリコールへのグラフトポリマーである。
【0070】
好適な漂白剤は、例えば過酸化水素の無機塩への付加物、例えば過硼酸ナトリウム一水和物、過硼酸ナトリウム四水和物及び炭酸ナトリウム過水和物及び過カルボン酸、例えばフタルイミド過カプロン酸である。
【0071】
好適な漂白活性剤としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、ナトリウム−p−ノナノイルオキシベンゼンスルホネート及びN−メチルモルホリニウムアセトニトリルメチルスルフェートが好適である。
【0072】
好適な酵素は、例えばプロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、マンナナーゼ、オキシダーゼ及びペルオキシダーゼである。
【0073】
転染防止剤としては、例えば1−ビニルピロリドン、1−ビニルイミダゾール又は4−ビニルピリジン−N−オキシドのホモポリマー、コポリマー及びグラフトポリマーが好適である。クロロ酢酸と反応させた4−ビニルピリジンのホモポリマー及びコポリマーも転染防止剤として好適である。
【0074】
殺生物剤は、細菌を殺す化合物である。殺生物剤の例は、グルタルアルデヒドである。殺生物剤の使用の利点は、病原菌の蔓延を抑えることである。
【0075】
ハイドロトロープは、化学組成物中の1種又は数種の界面活性剤の溶解度を改良する化合物である。ハイドロトロープの例は、クメンスルホネートである。
【0076】
増粘剤は、化学組成物の粘度を高める化合物である。増粘剤の非限定的例は、ポリアクリレート及び疎水性変性ポリアクリレートである。増粘剤の使用の利点は、より高い粘度を有する液体が傾斜又は垂直表面上で低粘度を有する液体より高い滞留時間を有することである。これは組成物と洗浄すべき表面との間の相互作用時間を高める。
【0077】
本発明によるマイクロカプセルの本発明による化学的配合剤の製造用の使用は、本発明のもう一つの目的である。
【0078】
本発明のもう一つの目的は、本発明によるマイクロカプセルの表面処理用の使用である。その際、処理する表面が繊維、フリース、発泡体、タイル、カッヘル、大理石、セラミック、コンクリート、プラスチック、金属、エナメル、ガラスから成る群から選択したものである、使用が有利である。処理する物が繊維である使用が特に有利である。
【0079】
従って本発明によるマイクロカプセルの使用及び特に本発明によるマイクロカプセルを含有する化学組成物の繊維洗浄中での使用も本発明の特に有利な目的である。
【0080】
本発明のもう一つの目的は、本発明によるマイクロカプセルを有する物品であり、特に本発明によるマイクロカプセルをその表面に有する物品である。
【0081】
その際物品としては、接触、即ち圧力負荷に際して特定の香りを放出する物体が好適である。非限定的例は、全ての種類の包装材料、例えば厚紙、フィルム、接着剤、接着ラベル、洗浄タオル、フリース、皮革製品、ペイント及びラッカー、化粧品、全ての種類の容器、特に食品又は化粧品を含有するようなもの、ガラス、プラスチック部品、自動車等である。
【0082】
次に本発明を実施例につき詳説する:
実施例
例1−比較例:
二官能性架橋剤のみ:1,4−ブタンジオールジアクリレート
ディスペンサー攪拌機(直径5cm)を有する2l釜に、水相:水409.45g、ポリビニルアルコール[Mowiol(R)40/88(水中10%)]416.5g、NaNO1.91g及び油相:メチルメタクリレート46.2g、1,4−ブタンジオールジアクリレート44.55g、ジメチルアミノエチルメタクリレート9.25g、2−エチルチオグリコネート1.55g、シトラール(CAS−Nr.5392−40−5)100g、白油(CAS−Nr.8042−47−5)300gから成る混合物を添加した(全量1362.5g)。
【0083】
混合物を室温で40分間3500rpmで分散させ、次いで馬蹄形攪拌機を備えた2l釜に移した。t−ブチルペルピバレート(イソドデカン中の75%溶液)1.33g及び洗浄用に水1.15gを添加し、釜を1時間以内に70℃に加熱した。引き続き釜内容物を1時間85℃に加熱し、次いでこの温度で1時間保った。t−ブチルヒドロペルオキシドの10%水溶液4.89gを添加し、釜を90分間以内に25℃に冷却し、その際最初の80分間以内に水25.4g中のアスコルビン酸0.27gの溶液を配量添加した。この分散液の固体含量は37.6%、平均粒度は2.179μm(光散乱により測定)であった。
【0084】
例2−比較例:
四官能性架橋剤のみ:ペンタエリスリット−テトラアクリレート
ディスペンサー攪拌機(直径5cm)を有する2l釜に、水相:水409.45g、ポリビニルアルコール[Mowiol(R)40/88(水中10%)]416.5g、NaNO1.91g及び油相:メチルメタクリレート46.2g、ジメチルアミノエチルメタクリレート9.25g、ペンタエリスリット−テトラアクリレート40g、2−エチルチオグリコネート1.55g、シトラール(CAS−Nr.5392−40−5)100g、白油(CAS−Nr.8042−47−5)300gから成る混合物を添加した(全量1362.5g)。
【0085】
混合物を室温で40分間3500rpmで分散させ、次いで馬蹄形攪拌機を備えた2l釜に移した。t−ブチルペルピバレート(イソドデカン中の75%溶液)1.33g及び洗浄用に水1.15gを添加し、釜を1時間以内に70℃に加熱した。引き続き釜内容物を1時間85℃に加熱し、次いでこの温度で1時間保った。t−ブチルヒドロペルオキシドの10%水溶液4.89gを添加し、釜を90分間以内に25℃に冷却し、その際最初の80分間以内に水25.4g中のアスコルビン酸0.27gの溶液を配量添加した。この分散液の固体含量は37.8%、平均粒度は2.737μm(光散乱により測定)であった。
【0086】
例3:
架橋剤混合物:二官能性及び四官能性架橋剤:1,4−ブタンジオールジアクリレート&ペンタエリスリット−テトラアクリレート
ディスペンサー攪拌機(直径5cm)を有する2l釜に、水相:水328.45g、ポリビニルアルコール[Mowiol(R)40/88(水中10%)]333.2g、NaNO1.53g及び油相:メチルメタクリレート40g、1,4−ブタンジオールジアクリレート24g、ジメチルアミノエチルメタクリレート8g、ペンタエリスリット−テトラアクリレート8g、2−エチルチオグリコネート1.24g、シトラール(CAS−Nr.5392−40−5)80g、白油(CAS−Nr.8042−47−5)240gから成る混合物を添加した(全量1090g)。
【0087】
混合物を室温で40分間3500rpmで分散させ、次いで馬蹄形攪拌機を備えた2l釜に移した。t−ブチルペルピバレート(イソドデカン中の75%溶液)1.06g及び洗浄用に水1.15gを添加し、釜を1時間以内に70℃に加熱した。引き続き釜内容物を1時間85℃に加熱し、次いでこの温度で1時間保った。t−ブチルヒドロペルオキシドの10%水溶液3.91gを添加し、釜を90分間以内に25℃に冷却し、その際最初の80分間以内に水20.3g中のアスコルビン酸0.22gの溶液を配量添加した。この分散液の固体含量は37.8%、平均粒度は2.737μm(光散乱により測定)であった。
【0088】
例4:
放出特性の分析
例1から3からの完成した分散液をドクターで厚紙上に塗布した。香気印象を指で擦る前及び後で官能評価した(評価尺度参照)。
【0089】
【表1】

【0090】
本発明による生成物がより長い貯蔵時間改良された香気放出性を有することが明らかである。
【0091】
芳香物質及び香料をカプセル化するための更なる例:
例5:
ディスペンサー攪拌機(直径5cm)を有する2l釜に、水相:水592g、変性セルロース[Culminal MHPC100(水中5%)]190g、ポリビニルアルコール[Mowiol(R)15/79(水中10%)]47.5g、NaNO2.1g及び油相:メチルメタクリレート55.0g、1,4−ブタンジオールジアクリレート33g、ジメチルアミノエチルメタクリレート11g、ペンタエリスリット−トリアクリレート11g、2−エチルチオグリコネート1.7g、シトラール(CAS−Nr.5392−40−5)110g、白油(CAS−Nr.8042−47−5)330gから成る混合物を添加した(全量143.68g)。
【0092】
混合物を室温で40分間3500rpmで分散させ、次いで馬蹄形攪拌機を備えた2l釜に移した。t−ブチルペルピバレート(イソドデカン中の75%溶液)1.46g及び洗浄用に水1.26gを添加し、釜を1時間以内に70℃に加熱した。引き続き釜内容物を1時間85℃に加熱し、次いでこの温度で1時間保った。次いでt−ブチルヒドロペルオキシドの10%水溶液5.38gを添加し、釜を90分間以内に25℃に冷却し、その際最初の80分間以内に水20g中のアスコルビン酸0.14gの溶液を配量添加した。こうして製造した分散液に安定化するためにActicide MBS0.65g及びActizide MV0.72gを加えた。レオロジーを調節するために、増粘剤(Viscalex HV30(R))6.7gを添加し、pH値を水酸化ナトリウム溶液(17%)の添加によってpH7に調節した。
【0093】
この分散液の固体含量は37.6%、平均粒度は5.567μm(光散乱により測定)であった。
【0094】
例6:
ディスペンサー攪拌機(直径5cm)を有する2l釜に、水相:水592g、変性セルロース[Culminal MHPC100(水中5%)]190g、ポリビニルアルコール[Mowiol(R)15/79(水中10%)]47.5g、NaNO2.1g及び油相:メチルメタクリレート55.0g、1,4−ブタンジオールジアクリレート33g、ジメチルアミノエチルメタクリレート11g、ペンタエリスリット−トリアクリレート11g、2−エチルチオグリコネート1.7g、洗剤及び洗浄剤用の芳香物質混合物110g、白油(CAS−Nr.8042−47−5)330gから成る混合物を添加した(全量143.68g)。
【0095】
混合物を室温で40分間3500rpmで分散させ、次いで馬蹄形攪拌機を備えた2l釜に移した。t−ブチルペルピバレート(イソドデカン中の75%溶液)1.46g及び洗浄用に水1.26gを添加し、釜を1時間以内に70℃に加熱した。引き続き釜内容物を1時間85℃に加熱し、次いでこの温度で1時間保った。次いでt−ブチルヒドロペルオキシドの10%水溶液5.38gを添加し、釜を90分間以内に25℃に冷却し、その際最初の80分間以内に水28g中のアスコルビン酸0.3gの溶液を配量添加した。こうして製造した分散液に安定化するためにActicide MBS0.65g及びActizide MV0.72gを加えた。レオロジーを調節するために、増粘剤(Viscalex HV30(R))6.7gを添加し、pH値を水酸化ナトリウム溶液(17%)の添加によってpH8に調節した。
【0096】
この分散液の固体含量は36.8%、平均粒度は5.448μm(光散乱により測定)であった。
【0097】
例7:
ディスペンサー攪拌機(直径5cm)を有する2l釜に、水相:水216.62g、変性セルロース[Culminal MHPC100(水中5%)]95.15g、ポリビニルアルコール[Mowiol(R)15/79(水中10%)]23.65g、NaNO1.1g及び油相:メチルメタクリレート22.0g、1,4−ブタンジオールジアクリレート16.5g、メタクリル酸11g、ペンタエリスリット−トリアクリレート5.5g、洗剤及び洗浄剤用の芳香物質混合物55g、白油(CAS−Nr.8042−47−5)165gから成る混合物を添加した(全量629.14g)。
【0098】
混合物を室温で40分間3500rpmで分散させ、次いで馬蹄形攪拌機を備えた2l釜に移した。t−ブチルペルピバレート(イソドデカン中の75%溶液)0.73g及び洗浄用に水1gを添加し、釜を1時間以内に70℃に加熱した。引き続き釜内容物を1時間85℃に加熱し、次いでこの温度で1時間保った。次いでt−ブチルヒドロペルオキシドの10%水溶液2.75gを添加し、釜を90分間以内に25℃に冷却し、その際最初の80分間以内に水14g中のアスコルビン酸0.14gの溶液を配量添加した。この分散液の固体含量は41.1%、平均粒度は2.264μm(光散乱により測定)であった。
【0099】
例8:
ディスペンサー攪拌機(直径5cm)を有する2l釜に、水相:水427.12g、変性セルロース[Culminal MHPC100(水中5%)]138.4g、ポリビニルアルコール[Mowiol(R)15/79(水中10%)]34.4g、NaNO1.53g及び油相:メチルメタクリレート40.0g、1,4−ブタンジオールジアクリレート24g、ジメチルアミノメチルメタクリレート8g、ペンタエリスリット−トリアクリレート8g、2−エチルヘキシルチオグリコレート1.24g、洗剤及び洗浄剤用の芳香物質混合物80g、白油(CAS−Nr.8042−47−5)240gから成る混合物を添加した(全量1003g)。
【0100】
混合物を室温で40分間3500rpmで分散させ、次いで馬蹄形攪拌機を備えた2l釜に移した。t−ブチルペルネオデカノエート0.8g及び洗浄用に水1gを添加し、釜を1時間以内に50℃に加熱した。引き続き釜内容物を1時間70℃に加熱し、次いでこの温度で1時間保った。次いでt−ブチルヒドロペルオキシドの10%水溶液3.91gを添加し、釜を90分間以内に25℃に冷却し、その際最初の80分間以内に水25g中のアスコルビン酸0.22gの溶液を配量添加した。この分散液の固体含量は33.6%、平均粒度は2.27μm(光散乱により測定)であった。
【0101】
例9:
ディスペンサー攪拌機(直径5cm)を有する2l釜に、水相:水359.6g、変性セルロース[Culminal MHPC100(水中5%)]172.02g、ポリビニルアルコール[Mowiol(R)15/79(水中10%)]86.01g、NaNO1.58g及び油相:メチルメタクリレート40.51g、1,4−ブタンジオールジアクリレート25.8g、ジメチルアミノメチルメタクリレート8.6g、ペンタエリスリット−トリアクリレート8.6g、2−エチルヘキシルチオグリコレート1.33g、洗剤及び洗浄剤用の芳香物質混合物86.01g、C12−15安息香酸アルキルエステル(CAS68411−27−8)258.02gから成る混合物を添加した(全量1049g)。
【0102】
混合物を室温で40分間3500rpmで分散させ、次いで馬蹄形攪拌機を備えた2l釜に移した。t−ブチルペルネオデカノエート0.86g及び洗浄用に水1gを添加し、釜を1時間以内に50℃に加熱した。引き続き釜内容物を1時間70℃に加熱し、次いでこの温度で1時間保った。次いでt−ブチルヒドロペルオキシドの10%水溶液4.3gを添加し、釜を90分間以内に25℃に冷却し、その際最初の80分間以内に水21g中のアスコルビン酸0.23gの溶液を配量添加した。この分散液の固体含量は39.8%、平均粒度は2.89μm(光散乱により測定)であった。
【0103】
例10:
ディスペンサー攪拌機(直径5cm)を有する2l釜に、水相:水268.07g、変性セルロース[Culminal MHPC100(水中5%)]128g、ポリビニルアルコール[Mowiol(R)15/79(水中10%)]64g、NaNO1.22g及び油相:メチルメタクリレート30.14g、1,4−ブタンジオールジアクリレート19.2g、ジメチルアミノメチルメタクリレート6.4g、ペンタエリスリット−トリアクリレート6.4g、2−エチルヘキシルチオグリコレート0.99g、洗剤及び洗浄剤用の芳香物質混合物102.4g、C12−15安息香酸アルキルエステル(CAS68411−27−8)153.6gから成る混合物を添加した(全量780g)。
【0104】
混合物を室温で40分間3500rpmで分散させ、次いで馬蹄形攪拌機を備えた2l釜に移した。t−ブチルペルネオデカノエート1.28g及び洗浄用に水1gを添加し、釜を1時間以内に50℃に加熱した。引き続き釜内容物を1時間70℃に加熱し、次いでこの温度で1時間保った。次いでt−ブチルヒドロペルオキシドの10%水溶液3.2gを添加し、釜を90分間以内に25℃に冷却し、その際最初の80分間以内に水18.6g中のアスコルビン酸0.17gの溶液を配量添加した。この分散液の固体含量は37%、平均粒度は2.18μm(光散乱により測定)であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香物質又は香料を含有するコアa)及びシェルb)を有するマイクロカプセルであって、b)が、
− 1種以上のアクリル酸及び/又はメタクリル酸のC−C24−アルキルエステル及び
− 少なくとも2種の異なる二官能性又は多官能性モノマーの重合により得られる、マイクロカプセル。
【請求項2】
相互に無関係に、
− a)が少なくとも1種の疎水性材料を含有し、
− b)がラジカル重合により製造可能であり、
− マイクロカプセル中のアクリル酸及び/又はメタクリル酸のC−C24−アルキルエステルの量が1〜99、99質量%であり、
− アクリル酸及び/又はメタクリル酸のC−C18−アルキルエステルが含有されており、
− マイクロカプセル中の少なくとも2種の異なる二官能性又は多官能性モノマーの量が0.01〜70質量%であり、
− ラジカル重合性基を有する2、3、4又は5種の異なるモノマーを含有し、
− マイクロカプセル中の付加的に非ビニル官能基を有する一官能性ビニルモノマーの量が0〜50質量%であり、かつ
− 付加的に非ビニル官能基を有するその他の一官能性モノマーがマイクロカプセル中に0〜40質量%の量で含有されている、請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項3】
相互に無関係に、
− a)が少なくとも1種の疎水性材料及び少なくとも1種の芳香物質又は香料から成るか又はa)が少なくとも1種の芳香物質又は香料から成り、
− b)がラジカル重合により製造されており、
− マイクロカプセル中のアクリル酸及び/又はメタクリル酸のC−C24−アルキルエステルの量が20〜80質量%であり、
− アクリル酸及び/又はメタクリル酸のC−C12−アルキルエステルが含有されており、
− マイクロカプセル中の少なくとも2種の異なる二官能性又は多官能性モノマーの量が5〜50質量%であり、
− 2個以上の不飽和のラジカル重合性基を有する2又は3種の異なるモノマーを含有し、
− マイクロカプセル中の付加的に非ビニル官能基を有する一官能性ビニルモノマーの量が10〜40質量%であり、かつ
− 付加的に非ビニル官能基を有するその他の一官能性モノマーがマイクロカプセル中に5〜35質量%の量で含有されている、請求項1又は2に記載のマイクロカプセル。
【請求項4】
相互に無関係に、
− 少なくとも1種の疎水性材料が、植物油、動物性油、低粘性疎水性材料及び鉱油から成る群から選択されたものであり、
− 少なくとも1種の芳香物質又は香料が、天然の芳香物質又は香料、合成芳香物質又は香料及び半合成芳香物質又は香料から成る群から選択されたものであり、
− マイクロカプセル中のアクリル酸及び/又はメタクリル酸のC−C24−アルキルエステルの量が40〜60質量%であり、
− アクリル酸及び/又はメタクリル酸のC−C−アルキルエステルが含有されており、
− マイクロカプセル中の少なくとも2種の異なる二官能性又は多官能性モノマーの量が20〜40質量%であり、
− 2個以上の不飽和のラジカル重合性基を有する2種の異なるモノマーを含有し、
− マイクロカプセル中の付加的に非ビニル官能基を有する一官能性ビニルモノマーの量が20〜30質量%であり、かつ
− 付加的に非ビニル官能基を有するその他の一官能性モノマーがマイクロカプセル中に10〜30質量%の量で含有されている、請求項1から3までのいずれか1項に記載のマイクロカプセル。
【請求項5】
平均直径が0.8〜100μmの範囲である、請求項1から4までのいずれか1項に記載のマイクロカプセル。
【請求項6】
シェルの厚さ対マイクロカプセルの直径の比が0.005〜0.1の範囲である、請求項1から5までのいずれか1項に記載のマイクロカプセル。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項に記載のマイクロカプセルを含有する化学的組成物。
【請求項8】
界面活性剤、殺菌剤、染料、酸、塩基、錯化剤、殺生物剤、ハイドロトロープ、増粘剤、ビルダー、コビルダー、酵素、漂白剤、漂白活性剤、腐食防止剤、漂白触媒、着色保護添加物、移染防止剤、灰色化防止剤、ソイルリリースポリマー、繊維保護添加物、シリコーン、抗菌剤及び保存剤、有機溶剤、溶解助剤、溶解改良剤及び香料から成る群から選択した少なくとも1種の物質を含有する、請求項7に記載の化学的組成物。
【請求項9】
請求項7から8までのいずれか1項に記載の組成物の製造のための請求項1から6までの1項に記載のマイクロカプセルの使用。
【請求項10】
表面処理のための請求項1から6までのいずれか1項に記載のマイクロカプセルの使用。
【請求項11】
繊維洗浄における請求項1から6までのいずれか1項に記載のマイクロカプセルの使用。
【請求項12】
繊維洗浄における請求項7から8までのいずれか1項に記載の化学的組成物の使用。
【請求項13】
請求項1から6までのいずれか1項に記載のマイクロカプセルを有する物品。
【請求項14】
その表面にマイクロカプセルを有する請求項13に記載の物品。

【公表番号】特表2011−515203(P2011−515203A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542608(P2010−542608)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【国際出願番号】PCT/EP2009/050319
【国際公開番号】WO2009/090169
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】