説明

改良型安全インターロック

【課題】流れ制御装置によって患者に流体を送達するためのポンプセット、より詳細には、ポンプセットが流れ制御装置に確実に装填されたことを判断するための安全インターロックデバイスを有するポンプセットを提供すること。
【解決手段】医療デバイスにおいて使用するための安全インターロックであって、該医療デバイスは、制御システムと、電磁放射線の源と、電磁放射線検出器とを有し、安全インターロックは、中心管状部分と、外側リング部分と、スポークコネクタ部分とを備え、該安全インターロックは、該電磁放射線の源からの電磁放射線の経路の中に入り該医療デバイスに取り付けられるように適合されることにより、該中心管状部分は、該医療デバイスに正しく装填されたとき、該電磁放射線を該電磁放射線検出器の方に反射する、安全インターロック。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は概して、流れ制御装置によって患者に流体を送達するためのポンプセットに関し、より詳細には、ポンプセットが流れ制御装置に確実に装填されたことを判断するための安全インターロックデバイスを有するポンプセットに関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
薬剤または栄養物を含む流体を患者に投与することは、当該技術分野で周知である。流体は、重力流によって患者に送達されることができるが、大抵は、患者に流体を制御された送達速度で送達する、例えば蠕動ポンプのような、流れ制御装置に装填されたポンプセットによって患者に送達される。蠕動ポンプは普通、筐体を備え、この筐体は、ギアボックスを介して少なくとも1つのモータと動作可能に係合するロータなどを含む。ロータは、モータによるロータの回転によって生じる蠕動作用によって流体をポンプセットの配管を通して駆動する。モータは、ロータを駆動する回転可能なシャフトに動作可能に接続され、このロータは次に、配管に漸次圧力を加え、そして、流体を制御された速度でポンプセットを通して駆動する。コントローラは、モータを作動させて、ロータを駆動する。ロータを使用しない他のタイプの蠕動ポンプも知られている。
【0003】
ポンプが、ポンプに対してプログラムされた流れパラメータに対応する正確な流量を送達するためには、投与供給セットが、ポンプに正しく装填されなくてはならない。ポンプセットがポンプに正しく取り付けられなかった場合、ポンプは、患者に対して不正確な流量を送達し得るか、またはポンプは、低流速警報を発し、状態の調査が必要となり、そして、セットを装填し直す必要が生じる。既存のポンプは、ポンプセットが正しく装填されたかどうかを検出するシステムを有する。検出システムを有するかかるポンプの例は、「SAFETY INTERLOCK SYSTEM FOR MEDICAL FLUID PUMPS」と題する同一人に譲渡された特許文献1、および「PUMP SET WITH SAFETY INTERLOCK」と題する特許文献2に示され、これらの開示は、参考として援用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4,913,703号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0253833号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一局面において、医療デバイスにおいて使用するための安全インターロックであって、該医療デバイスは、該医療デバイスの動作を制御するための制御システムを有し、安全インターロックは概して、流体が該安全インターロックを通過するための流体通路を画定する中心管状部分を備えている。外側リング部分は、安全インターロックを医療デバイスに取り付けるように適合されている。スポークコネクタ部分は、外側リング部分が、中心管状部分の少なくとも一部分に対して対向する関係で中心管状部分から半径方向外向きに間隔が置かれるように、中心管状部分を外側リング部分に接続する。安全インターロックが、電磁放射線の源からの電磁放射線の経路の中に入り医療デバイスに取り付けられるように適合されることにより、中心管状部分は、医療デバイスに正しく装填されたとき、電磁放射線を電磁放射線検出器の方に反射する。
【0006】
以下、本明細書において、他の目的および特徴は、一部において、明らかになり、一部において、指摘される。
【0007】
本発明は、さらに以下の手段を提供する。
【0008】
(項目1)
医療デバイスにおいて使用するための安全インターロックであって、該医療デバイスは、該医療デバイスの動作を制御するための制御システムと、電磁放射を行なうように該医療デバイスの該制御システムに動作可能に接続された電磁放射線の源と、該安全インターロックが該医療デバイスに正しく装填されたことを示すように該制御システムに動作可能に接続された電磁放射線検出器とを有し、安全インターロックは、
流体が該安全インターロックを通過するための流体通路を画定する中心管状部分と、
該安全インターロックを該医療デバイスに取り付けるように適合された外側リング部分と、
スポークコネクタ部分であって、該外側リング部分が、該中心管状部分の少なくとも一部分に対して対向する関係で該中心管状部分から半径方向外向きに間隔が置かれるように、該中心管状部分を該外側リング部分に接続する、スポークコネクタ部分と
を備え、
該安全インターロックは、該電磁放射線の源からの電磁放射線の経路の中に入り該医療デバイスに取り付けられるように適合されることにより、該中心管状部分は、該医療デバイスに正しく装填されたとき、該電磁放射線を該電磁放射線検出器の方に反射する、
安全インターロック。
【0009】
(項目2)
上記外側リング部分および上記スポークコネクタ部分は、上記安全インターロックが、上記医療デバイスに取り付けられたとき、上記電磁放射線の源から発される電磁放射線の上記経路の中に入っていない、上記項目のいずれか一項に記載の安全インターロック。
【0010】
(項目3)
上記外側リング部分および上記スポークコネクタ部分は、上記安全インターロックが、上記医療デバイスに取り付けられたとき、概ね共通の水平面内に配置される、上記項目のいずれか一項に記載の安全インターロック。
【0011】
(項目4)
上記外側リング部分は、透明のプラスチックリングを備え、上記スポークコネクタ部分は、透明のプラスチックスポークを備えている、上記項目のいずれか一項に記載の安全インターロック。
【0012】
(項目5)
上記外側リング部分は、上記安全インターロックが、上記医療デバイスに取り付けられたとき、上記電磁放射線の源からの電磁放射線の伝搬を妨げない、上記項目のいずれか一項に記載の安全インターロック。
【0013】
(項目6)
上記外側リング部分および上記スポークコネクタ部分は、赤外線放射と可視光の両方に対して実質的に透明である、上記項目のいずれか一項に記載の安全インターロック。
【0014】
(項目7)
上記電磁放射線の源は、電磁放射線の第1の源を備え、上記中心管状部分は、上記安全インターロックが正しく上記医療デバイスに装填されたとき、該医療デバイスの上記制御システムに動作可能に接続された電磁放射線の第2の源からの電磁放射線を、該制御システムに動作可能に接続された第2の電磁放射線検出器に到達することから遮るように適合される、上記項目のいずれか一項に記載の安全インターロック。
【0015】
(項目8)
上記スポークコネクタ部分は、上記中心管状部分の周りに受け取られたコネクタリングと、該コネクタリングから上記外側リング部分へ半径方向外向きに延びるスポークとを備えている、上記項目のいずれか一項に記載の安全インターロック。
【0016】
(項目9)
上記医療デバイスと組み合わせられた、上記項目のいずれか一項に記載の安全インターロック。
【0017】
(摘要)
医療デバイスにおいて使用するための安全インターロックであって、該医療デバイスは、該医療デバイスの動作を制御するための制御システムを有し、安全インターロックは、流体が該安全インターロックを通過するための流体通路を画定する中心管状部分を含む。外側リング部分は、安全インターロックを医療デバイスに取り付けるように適合されている。スポークコネクタ部分は、外側リング部分が、中心管状部分の少なくとも一部分に対して対向する関係で中心管状部分から半径方向外向きに間隔が置かれるように、中心管状部分を外側リング部分に接続する。安全インターロックが、電磁放射線の源からの電磁放射線の経路の中に入り医療デバイスに取り付けられるように適合されることにより、中心管状部分は、医療デバイスに正しく装填されたとき、電磁放射線を電磁放射線検出器の方に反射する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、経腸供給ポンプの斜視図であり、ポンプに装填された供給セットの断片的部分を示す。
【図2】図2は、供給セットのないポンプの斜視図である。
【図3】図3は、投与供給セットの正面図である。
【図4】図4は、ポンプおよび供給セットの要素を示すブロック図である。
【図5】図5は、本発明の安全インターロックデバイスの斜視図である。
【図6】図6は、ポンプおよび安全インターロックデバイスの拡大された、断片的区間である。
【図7】図7は、図6の上面、平面図である。
【図8】図8は、図7の概略図であり、安全インターロックデバイスからの電磁放射線の反射を示す。
【0019】
図面全部を通して、対応する参照文字は、対応する部品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ここで図面を参照すると、本発明の原理に従って構成された経腸供給ポンプ(一般的に、「ポンプ装置」)は概して、1で示される。供給ポンプは、概して3で示される筐体を備え、この筐体は、概して5で示される投与供給セット(一般的に、「ポンプセット」)を取り付けるように構成される(図1および図3を参照)。本明細書で使用されるとおりの「筐体」は、ポンプ1の作動部材を取り囲むことも、収容することもしない複数パート構造および構造を限定なく含む、多くの形の支持構造(示されず)を含み得ることは理解される。ポンプ1はまた、筐体3の前面に表示画面9を有し、表示画面9は、ポンプの状態および/または動作に関する情報を表示することができる。表示画面9の側面のボタン11は、ポンプからの情報を制御し、ポンプから情報を取得する際に使用するために提供される。示されたポンプ1は、経腸供給ポンプであるが、本発明は、医療用注入ポンプを含む、他のタイプの蠕動ポンプ(示されず)に対する用途を有することは理解される。本明細書に説明されたものと同じ汎用タイプのポンプは、「ENTERAL DELIVERY SET WITH SHADED DRIP CHAMBER」と題する同一人に譲渡された米国特許第4,909,797号に示され、この米国特許の開示は、参考として本明細書に援用されている。
【0021】
経腸供給ポンプ1はさらに、(概して23で示される)ポンプユニットを含み、このポンプユニットは、筐体3内に位置して図4に概略的に示されるポンプモータ25を備えている。電気コード27が、モータ25のための電源に接続するために、筐体3から延びる。代替的に、または追加的に、バッテリ(図されず)が、ポンプモータ25に電力を供給するために筐体3に受け入れられ得る。ポンプユニット23はさらに、(概して37で示される)ロータを含み、このロータは、ポンプユニットのロータシャフト(図されず)に取り付けられる。ロータ37は、内側ディスク39と、外側ディスク41と、3つのローラ43(1つだけが示される)とを含み、3つのローラ43は、ディスクに対してロータの長手方向軸回りで回転するために内側ディスクと外側ディスクとの間に取り付けられる。示される実施形態において、ポンプモータ25、ロータシャフトおよびロータ37は、「ポンプデバイス」と一般的に考えられ得る。ポンプ筐体3は、ロータ37の上の第1の下部くぼみ45と、第1の下部くぼみの概ね近くの第2の下部くぼみ47とを含む。筐体3は、第1の下部くぼみ45と概ね軸方向に整列した上部くぼみ49、および供給セット5の部分を受け入れかつこれを保持するために上部くぼみの底部にショルダ51を有する。第2の下部くぼみ47の上の筐体3内の湾曲したくぼみ53は、投与供給セット5の別の部分を受け入れ、これを所定の位置に保持する。下部くぼみ45、47、上部くぼみ49および湾曲くぼみ53は、個別にまたはグループとして、筐体3の「受け入れ部分」と一般的に考えられ得、この「受け入れ部分」は、以下により詳細に説明される態様で投与供給セット5の部分を受け入れる。
【0022】
ここで図3を参照すると、投与供給セット5は、概して55で示される配管(一般的に「導管」)を備え、この配管は、少なくとも1つの流体供給源と患者との間に流体経路を提供する。配管55は、医療グレードの変形可能なシリコーンで作られることができ、第1のチューブ区間57を備えており、第1のチューブ区間57は、点滴チャンバ59と概して61で示される安全インターロックデバイスとの間に接続される。第2のチューブ区間63は、安全インターロックデバイス61に接続され、配管55の出口においては、コネクタ、例えば逆目コネクタ65に接続されており、患者に取り付けられた胃造瘻術デバイス(図されず)への接続に対して適切である。第3のチューブ区間67は、配管55の入り口において栄養流体のバッグ69に接続され、そして、点滴チャンバ59に接続される。既に述べられたように、様々な構造のポンプセットが使用され得、例えば、再証明(recertification)セット(図されず)が、ポンプ精度を検証および/または修正するために使用され得る。ポンプ1は、どのようなセットが設置されたかを自動的に認識して、その動作を特定のポンプセットによって要求される動作に従うように変えるように構成されることができる。さらに、ポンプ1は、第1のチューブ区間57がポンプに正しく設置されたかどうかをセンサによって検出するように構成されることができる。
【0023】
図3に示されるように、安全インターロックデバイス61は、投与供給セット5の第1のチューブ区間57と第2のチューブ区間63とを接続する。安全インターロックデバイス61は、第1のチューブ区間57と第2のチューブ区間63との間の流体の流れを可能にするために中心軸ボア81を有する(図6)。図5および図6を参照すると、安全インターロックデバイス61は、チューブ57の一部分を受け入れる上部中心管状部分83、および第2のチューブ区間を安全インターロックデバイスに取り付けるために第2のチューブ区間63に受け入れられる下部中心管状部分89を有する。スポークコネクタ部分87は、中心管状部分83、89から半径方向外向きに、外側リング部分88の方に延びる。スポークコネクタ部分87は、中心管状部分83、89の周りに受け入れられたコネクタリング84と、コネクタリングから半径方向外向きに、外側リング部分88の方に延びるスポーク86とを含む。このように、外側リング部分88は、中心管状部分83、89から半径方向外向きに、中心管状部分の少なくとも一部分に対して対向する関係で間隔が置かれる。安全インターロックデバイス61、および特に中心管状部分83、89は、投与供給セット5から分離され得、および/または液体が安全インターロックデバイスを通り抜けないような方法で投与供給セットに取り付けられ得ることは理解されるべきである。
【0024】
外側リング部分88は、投与供給セット5がポンプに正しく装填されるとき(図1)、ポンプ1の第2の下部くぼみ47の底部に形成された、概して91で示される(図2)座部に受け入れられるような大きさとされる。示された実施形態において、座部91は、安全インターロックデバイス61の形状と対応するために概ね半円筒形であり、第2の下部くぼみ47において軸方向に面する表面95と第2の下部くぼみ47において半径方向に面する表面99とを含む。この実施形態において、ポンプ1の正しい機能は、中心管状部分83、89が、座部91の軸方向に面する表面95と実質的に向かい合わせの関係で着座しているとき概ね達成される。座部91内での安全インターロック61のその軸回りでの回転配向は、概して、動作とは関係がない。安全インターロック61を配置する他の方法が、本発明の範囲内において使用され得る。筐体3における安全インターロックデバイス61および座部91は、投与供給セット5が誤って移動することを防止するような形状、および安全インターロックデバイスを有さない不適格な供給セットの使用を防止するような形状とされ得る。示される実施形態においては、安全インターロックデバイス61および座部91は、形状が概ね円筒形であるが、他の形状(例えば六角形状)が、安全インターロックデバイスおよび座部に対して使用され得ることが理解される。
【0025】
ポンプ1はプログラムされることができるか、または所望の態様で動作に対して他の方法で制御されることができる。例えば、ポンプ1は、バッグ69から患者へ供給流体を提供するように動作を開始することができる。介護者は、例えば、送達されるべき流体の量、流体が送達される速度、および流体送達の頻度を選択し得る。図4に示されるように、ポンプ1は、マイクロプロセッサ79を含むコントローラ77(一般的に「制御システム」)を有し、マイクロプロセッサ79は、コントローラ77が、介護者によって開始されることのできるプログラミングを受取ることおよび/または予めプログラムされた動作ルーチンを含むことを可能にする。マイクロプロセッサ79は、モータ25を作動させるポンプエレクトロニクス80を制御する。ソフトウェアサブシステム82は、供給セット5が、ポンプ1に正しく配置されたかどうかを判断するために使用される。
【0026】
図4、6および7を参照すると、ポンプ1は、第2の下部くぼみ47に収容された赤外線(「IR」)エミッタ105(一般的に「電磁放射線の源」)を含む。IRエミッタ105は、供給セット5の安全インターロックデバイス61を打つ方向に赤外線域の(「第1の」)波長を有する電磁信号を発するように、コントローラ77に動作可能に接続される。示された実施形態において、電磁放射線の源は、赤外線(IR)エミッタ105であるが、電磁放射線の他のタイプの源が、本発明の範囲から逸脱することなく使用され得ることが理解される。第2の下部くぼみ47に位置する赤外線(「IR」)検出器109は、IRエミッタ105から赤外線信号を受信し、そして供給セット5がポンプ1に正しく配置されたことを示す表示をコントローラに提供するようにコントローラ77に動作可能に接続される。示される実施形態において、IR検出器109(一般的に「第1のセンサ」)は、赤外線放射を検出するが、他のタイプの電磁放射線を検出する電磁放射線センサが、本発明の範囲から逸脱することなく使用され得ることが理解される。IR検出器109は、赤外線放射を他のタイプの電磁放射線(例えば可視光または紫外光)から区別する。
【0027】
可視光エミッタ107(一般的に「第2の電磁放射線の源」)は、第2の下部くぼみ47に収容され得る。可視光エミッタ107は、供給セット5の安全インターロックデバイス61を打つ方向に可視域の(「第2の」)波長を有する電磁信号を発するように、コントローラ77に動作可能に接続される。示される実施形態において、電磁放射線の源は、可視光エミッタ107であるが、電磁放射線の他のタイプの源が、本発明の範囲から逸脱することなく使用され得ることが理解される。可視光検出器111(一般的に、「第2の電磁放射線検出器」および「第2のセンサ」)は、第2の下部くぼみ47に収容され、第2の下部くぼみ47は、IR検出器109の概ね近くであり、可視光エミッタ107と対向する。可視光検出器111は、周囲の環境(例えば、第2の波長の電磁放射線)からの可視光が検出されて、安全インターロックデバイス61が可視光を検出器に到達することから遮る位置で第2の下部くぼみ47に取り付けられていないことを示すとき、コントローラ77に信号を提供する。好ましくは、可視光検出器111は、可視域の電磁放射線を検出するように構成されるが、可視域の外側の電磁放射線(例えば、赤外線放射)を検出するようには構成されない。第2の電磁放射線検出器は、他の範囲、例えば紫外線域の電磁放射線を検出するように構成され得る。このようにして、可視光検出器111は、可視光を赤外線放射から区別することができる。本明細書において使用されるように、「第1の」または「第2の」波長の電磁放射線は、各々の場合において、ある範囲の波長、例えば、赤外線域、可視域および/または紫外域に該当する波長を包含することが意図されている。
【0028】
他のセンサ(図されず)、例えばポンプ1に配置されたポンプセットのタイプを判断するセンサおよび流れモニタリングセンサは、コントローラ77と通信して、ポンプの正確な動作を容易にすることができる。IRエミッタ105は、筐体3の第2の下部くぼみ47のアルコーブ113に配置されることにより、エミッタからの(図7において矢印A1で示される)電磁放射線は、安全インターロックデバイス61の上部中心管状部分83の方に向けられる(図6も参照)。安全インターロックデバイス61が、座部91に正しく位置しているとき、IRエミッタ105からの赤外線放射は、上部中心管状部分83から反射して離れることにより、赤外線放射は、IR検出器109の方に向けられ、これによって検出される。コネクタ部分87および外側リング部分88は、安全インターロック61が、ポンプ1に取り付けられたとき、概ね共通の水平面内に配置される。示された実施形態において、コネクタ部分87および外側リング部分88は、安全インターロック61が正しく座部91に位置しているとき、IRエミッタ105から発される放射線の経路の外、または放射線より上に位置する。しかしながら、コネクタ部分87および外側リング部分は、IRエミッタ105から発される放射線の経路に位置し得るか、またはIRエミッタより下に位置し得る。
【0029】
IR検出器は、座部91の半径方向に面する表面99におけるアルコーブ117に配置され、可視光エミッタ107は、アルコーブ115に配置され、そして、可視光検出器111は、アルコーブ119に配置される。アルコーブ113、115、117、119は、IRエミッタ105、可視光エミッタ107、ならびにIR検出器109および可視光検出器111を奥まった所に置いて、これらを安全インターロックデバイス61との物理的接触から保護する。図示されていないが、透明なプアスチックウィンドウが、エミッタ105、107および検出器109、111の各々をそれらの対応するアルコーブ113、115、117、119内で取り囲み、さらに保護し得る。さらに、アルコーブ117および119は、検出器109および111を周囲の(可視光と赤外線放射の両方を含み得る)電磁放射線から遮蔽することを補佐する。
【0030】
示された実施形態において、IRエミッタ105は、IR検出器109から約49度の位置に位置する。供給セット5が第2の下部くぼみ47に装填されていないとき、および安全インターロックデバイス61が座部91に受け入れられていないとき、IRエミッタ105からの赤外線放射は、IR検出器109によって検出されない。また、安全インターロックデバイス61が、座部91に受け入れられていないとき、ポンプ1の外側からの可視光(すなわち、周囲の光)および/または可視光エミッタ107からの可視光は、第2の下部くぼみ47に入り得、そして可視光検出器111によって検出される。中心管状部分83、89は好ましくは、赤外線放射を反射するが可視光を通さない材料で構成される。コネクタ部分87および外側リング部分88は好ましくは、赤外線放射および可視光に対して透明である材料、例えば透明なプラスチックで構成される。しかしながら、外側リング部分88および/またはコネクタ部分87は、可視光は透過しないが、赤外線放射は透過する材料で作られ得る。示された実施形態において、中心管状部分83、89は、モノリシックであるか、またはシングルピース構造によって形成される。しかしながら、中心管状部分83、89は、別個のピースから形成され、適切な手段によって共に取り付けられ得る。
【0031】
図8をここで参照すると、上部中心管状部分83からの赤外線放射の反射が概略示されている。IRエミッタ105が、円錐状の赤外線放射を上部中心管状部分83の側面に向かって行なう。IRエミッタ105は、中心管状部分83、89に対してほぼ垂直に配列される。円錐の中心線CLが、図面に示される。簡略さのために、円錐のほぼ半分の二等分線である放射光線R1が示される。光線R1は、円錐のこの半分における赤外線放射の予定される経路を示す。円錐の他の半分(すなわち、図8の中心線CLより上の部分)は、IR検出器109によって検出されることができる光信号を提供する際にあまり役に立たないか、または役に立たないと考えられる。光線R1は、ある角度で上部中心管状部分83の側面を打つ。光線R1は反射されて、くぼみ47の側面の方に戻る。最後に、光線R1は、IRエミッタ105の場所から約49度離れた場所でくぼみ47の側面を打つ。したがって、IR検出器109は好ましくは、ここに配置されるか、または約0〜50度の範囲に配置される。本発明の別の実施形態(示されず)においては、IR検出器は、IRエミッタから約60°の位置に配置される。
【0032】
使用に際しては、投与供給セットの供給流体バッグ69は、適切な支持、例えばIVポール(示されず)から吊るされることができる。点滴チャンバ59は、図1に示されるように、動作位置において、第1の下部くぼみ45および上部くぼみ49に配置されることができる。第1のチューブ区間57は、ロータ37の下方部分の周りに配置され、安全インターロックデバイス61は、第2の下部くぼみ47の底部の座部91に配置される。第2の下部くぼみ47の座部91は概して、安全インターロックデバイス61が、第1のチューブ区間57がロータ37の周りで実質的に引き延ばされる場所で第2の下部くぼみの中に配置されることができるように位置する。IRエミッタ105およびIR検出器109が、断続的にまたは継続的に、正しく装填された供給セット5の存在に対して点検し得る。安全インターロックデバイス61が座部91の正しい動作位置に受け入れられたとき、IRエミッタ105からの赤外線信号が、上部中心管状部分83の方に向けられる。中心管状部分は、IRエミッタからの赤外線信号を反射して、これをIR検出器109の方に向ける(図7および図8を参照)。IR検出器は周期的に動作して、供給セット5がポンプに正しく装填されたとき、赤外線放射の存在を検出する。IR検出器109は好ましくは、電磁スペクトルの可視光領域における波長を有する電磁放射線を検出することはできないことは理解される。IR検出器109は、赤外線信号を検出すると、対応する信号をマイクロプロセッサ79に送信する。また、安全インターロックデバイス61が、座部91に装填されたとき、周囲の光からの、および可視光エミッタ107からの可視光は、中心管状部分83、89によって、可視光検出器111に到達することから遮られる。セット5が装填されたとき、可視光検出器111は、マイクロプロセッサ79に信号を送信して、可視光が遮蔽され、ポンプ1は作動し得ることを示す。
【0033】
本発明を詳細に説明したが、修正および異形が、添付の請求項に定義された本発明の範囲から逸脱することなく可能であることは明らかである。
【0034】
本発明の、または本発明の好ましい実施形態の要素を導入するとき、冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、および「該」は、1つ以上の要素が存在することを意味するように意図されている。用語「備えている」、「含む」、および「有する」は、包括的であることが意図され、挙げられた要素以外にさらなる要素があり得ることを意味する。
【0035】
上記に照らして、本発明の幾つかの目的が達成され、他の有利な結果が達成されることが分かる。
【0036】
本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更が、上述の構造においてなされ得るので、上述に含まれかつ添付の図面に示されるすべての事項は、例示的であるとして解釈されるべきであり、限定的意味で解釈されるべきではないことが意図されている。
【符号の説明】
【0037】
1 ポンプ
3 筐体
5 投与供給セット
9 表示画面
11 ボタン
23 ポンプユニット
25 ポンプモータ
27 電気コード27
37 ロータ
57 チューブ
61 安全インターロックデバイス
69 バッグ
79 マイクロプロセッサ
83 上部中心管状部分
84 コネクタリング
86 スポーク86
87 スポークコネクタ部分
88 外側リング部分
89 下部中心管状部分
91 座部
107 可視光エミッタ
109 IR検出器
111 可視光検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療デバイスにおいて使用するための安全インターロックであって、該医療デバイスは、該医療デバイスの動作を制御するための制御システムと、電磁放射を行なうように該医療デバイスの該制御システムに動作可能に接続された電磁放射線の源と、該安全インターロックが該医療デバイスに正しく装填されたことを示すように該制御システムに動作可能に接続された電磁放射線検出器とを有し、安全インターロックは、
流体が該安全インターロックを通過するための流体通路を画定する中心管状部分と、
該安全インターロックを該医療デバイスに取り付けるように適合された外側リング部分と、
スポークコネクタ部分であって、該外側リング部分が、該中心管状部分の少なくとも一部分に対して対向する関係で該中心管状部分から半径方向外向きに間隔が置かれるように、該中心管状部分を該外側リング部分に接続する、スポークコネクタ部分と
を備え、
該安全インターロックは、該電磁放射線の源からの電磁放射線の経路の中に入り該医療デバイスに取り付けられるように適合されることにより、該中心管状部分は、該医療デバイスに正しく装填されたとき、該電磁放射線を該電磁放射線検出器の方に反射する、
安全インターロック。
【請求項2】
前記外側リング部分および前記スポークコネクタ部分は、前記安全インターロックが、前記医療デバイスに取り付けられたとき、前記電磁放射線の源から発される電磁放射線の前記経路の中に入っていない、請求項1に記載の安全インターロック。
【請求項3】
前記外側リング部分および前記スポークコネクタ部分は、前記安全インターロックが、前記医療デバイスに取り付けられたとき、概ね共通の水平面内に配置される、請求項2に記載の安全インターロック。
【請求項4】
前記外側リング部分は、透明のプラスチックリングを備え、前記スポークコネクタ部分は、透明のプラスチックスポークを備えている、請求項1に記載の安全インターロック。
【請求項5】
前記外側リング部分は、前記安全インターロックが、前記医療デバイスに取り付けられたとき、前記電磁放射線の源からの電磁放射線の伝搬を妨げない、請求項4に記載の安全インターロック。
【請求項6】
前記外側リング部分および前記スポークコネクタ部分は、赤外線放射と可視光の両方に対して実質的に透明である、請求項5に記載の安全インターロック。
【請求項7】
前記電磁放射線の源は、電磁放射線の第1の源を備え、前記中心管状部分は、前記安全インターロックが正しく前記医療デバイスに装填されたとき、該医療デバイスの前記制御システムに動作可能に接続された電磁放射線の第2の源からの電磁放射線を、該制御システムに動作可能に接続された第2の電磁放射線検出器に到達することから遮るように適合される、請求項1に記載の安全インターロック。
【請求項8】
前記スポークコネクタ部分は、前記中心管状部分の周りに受け取られたコネクタリングと、該コネクタリングから前記外側リング部分へ半径方向外向きに延びるスポークとを備えている、請求項1に記載の安全インターロック。
【請求項9】
前記医療デバイスと組み合わせられた、請求項1に記載の安全インターロック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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