説明

改良型滅菌フィルタ装置、滅菌装置及び滅菌方法

【課題】改良された滅菌型フィルター装置を提供する。
【解決手段】滅菌型手乾燥装置が、手を乾燥させる滅菌された加熱空気の流れを生じさせるために使用される。この装置は、電力を装置に供給する電気制御回路を備えている。電気制御回路は、ハウジングを開いたときに電力の供給を不能にするカットオフ機構体を備えている。これは、ハウジングを開いたときにユーザが感電死する恐れを最小限に抑える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内装置で用いられるコンポーネントの改良に関し、室内装置は、室内装置から室内人間活動環境内に放出される内部空気流を有する。
【0002】
本発明の一観点は、特に、かかる室内装置から出る空気流を滅菌するために用いられるフィルタ装置の改良に関する。
【0003】
本発明の他の好ましい観点は、空気流から100%細菌除去を達成する目的に寄与する特徴に関する。
【0004】
また、本発明の他の観点は、空気流を特にハンドドライヤ、ヘアドライヤ、真空掃除機、換気扇(エアファン)、空気調和機(エアコンディショナ)、冷蔵庫、衣類タンブル乾燥機(これらには限定されない)に放出する改良型装置に関する。
【背景技術】
【0005】
空気流装置による細菌のまき散らし
空気を引き込み、次にこの空気を室内人間活動環境内に空気流として放出する室内装置は、病原菌、細菌、及びウイルスをまき散らす又は飛散させる媒介物であることが知られている。その結果、この環境内に居る人たちは、装置から放出された空気によってまき散らされた細菌に容易に接触する場合がある。
【0006】
例えば、先行技術としては、温風を放出して手を乾燥させる多くの手乾燥装置が挙げられる。かかる手乾燥装置を用いることは、衛生的であると考えられていた。しかしながら、予想に反して、これら先行技術の手乾燥装置は、実際には、病原菌をまき散らす手段であることが判明した。
【0007】
その理由は、これら先行技術の手乾燥装置からの温風は、それ自体、空気伝染細菌を含んでいるからである。これは、ハンドドライヤがトイレの細菌含有雰囲気から空気を引き込み、温かい病原菌取り込み空気流をユーザの濡れた手に吹き付けるからである。
【0008】
さらに、多くの人は、自分の手を完全に乾燥させるに足るほど長く温風中に自分の手を入れておくことはない。その結果、ユーザの手の温かい水分を含んだ環境は、ハンドドライヤにより手に吹き付けられた細菌が急増するのに理想的である。
【0009】
空気流中の微生物の多くは、ハンドドライヤの発熱体によっては殺菌されることはない。さらに、ハンドドライヤからの温風は、細菌が増殖する上で理想的な環境である。その結果、これら生きている細菌は、ユーザの手に吹き付けられる。実のところ、先行技術のかかる温風器は、実際、細菌レベルを最高500%まで増大させる場合のあることが判明した。
【0010】
100%には至らない細菌除去の問題
かかる先行技術の手乾燥装置は、公共施設、例えば公共トイレで広く用いられているが、これら装置を或る特定の分野、特に、医療分野、例えば病院や診療所及び更に育児所や食品業界で利用するには抵抗がある。
【0011】
例えば、外科医は、手術を行なう前に、抗菌性の液体又は石鹸で自分の手を洗う場合、外科医の手が細菌で再感染されると、又、外科医が先行技術の手乾燥装置の温風中で自分の濡れた手を乾かそうとしても、無益である。
【0012】
また、新たなミレニアムにおいて、ウイルス学者及び公共衛生係員は、致命的な流行性感冒及び他のウイルスの将来における世界的流行をかかる流行が起こるかどうかではなく、いつ起こるかという観点で予測している。かかる全世界的流行が勃発するとすれば、空気流を放出する室内装置に100%の細菌除去が要望されることも又予測できる。もしそうでなければ、かかる装置は、特に公共の場所において、たとえ例えば細菌の内90%を除去できるとしても、依然として世界的流行病において致命的なウイルスをまき散らす媒介物となる。換言すると、流行中、100%の細菌除去は、極めて重要になる。
【0013】
先行技術として挙げられる空気流装置は、細菌を殺すと共に(或いは)装置の空気流から細菌を除去するようになっているが、実際には、かかる公知の製品は、特に長期間にわたる使用により、装置の空気流から細菌の100%の除去に近づいてはいない。
【0014】
たとえかかる先行技術の装置が空気流中の細菌の一部を殺菌し又は除去できるとしても、100%細菌除去の最終的な目的は、実現困難なままである。
【0015】
それ故、本明細書の説明の始めにあたり、空気流からの細菌の100%の除去という本発明の目的と、細菌の殺菌又は除去を言い張るが、実際の性能においては空気流から細菌を例えば80%、それどころか90%又は95%の除去しか達成できない先行技術の装置とは区別される。
【0016】
100%の細菌除去を目的とする本発明は、必ずしも100%の細菌除去を目的としてはおらずこれを達成することもない先行技術の装置によっては解決される見込みのない別の1組の障害に直面している。
【0017】
先行技術
先行技術において、空気流装置が滅菌された状態の温風を生じさせることができる試みが行なわれた。この分野における主要な開発分野は、空気流中の細菌を殺菌しようとする紫外(UV)線の使用に焦点が当てられた。しかしながら、予測に反して、UV放射線は、空気流中の細菌を殺菌するという性能が貧弱であるということが確認された。
【0018】
まず最初に、思い出されなければならないこととして、たとえUV放射線が細菌の大部分を殺菌したとしても、事実としては、空気流中の残りの細菌がユーザの手に依然として到達することができ、そして、分の問題で増加し始める。
【0019】
第2に、微生物学者の中には、UVは単に細菌が繁殖し又は増殖するのを止めるという意味においてUV放射線は実際には細菌を殺すことはなく、単に細菌を減らしているだけであるという考えを持つ人がいる。これが本当ならば、その意味するところは、UV利用ハンドドライヤから出る温風は、依然として、非衛生的な含有物としての生きている細菌を含んでいる。
【0020】
この究極的な衛生化レベル、即ち、100%細菌除去は、外科的又は内科的用途にとって特に重要である。この点に関し、本発明者の行なった実験室試験の示すところによれば、現在市場に出ている紫外線利用手乾燥機械の中で、放出された空気流中の細菌を100%殺すものは存在しない。
【0021】
かくして、先行技術の手乾燥装置は、手の最も厳しい衛生化基準が特に外科手術の分野や開いた創の医学的治療において極めて重要である医療用途で用いるには都合の良くない場合が多い。
【0022】
もう1つの問題は、数週間、数か月又はそれどころか数年間にわたり、病原菌が装置の内部に集まる場合があるということである。空気流は、装置内部に引き込まれるので、連続使用により、或る量の細菌が、常時機械内に引き込まれる。換言すると、空気流に接触する機械の内面は全て、常時細菌に曝される。時間の経過につれて、機械の内部は、細菌源になる場合がある。機械をオフにすると又は機械が空気流を発生していない場合、内部の細菌は、成長して増殖し続ける場合がある。先行技術の装置は100%の細菌除去を行なうことができない場合、残った細菌は、装置内に留まり、装置の内面は、経時的に、細菌源になる場合がある。
【0023】
他形式の装置を用いても、これらの放出された空気流により細菌が室内にまき散らされる。例えば、空気調和機は、室外か室内環境からかのいずれかから空気を引き込み、次に、空気流を室内に放出する。かくして、空気調和機から放出された空気流中の細菌の100%の殺菌又は除去が行なわれなかった場合、或る期間にわたり、室内環境の空気中の細菌の漸次正味の増加が生じる可能性が多分にある。
【0024】
別な例として、真空掃除機は、これが床又は表面から粒子を吸い上げる際に細菌を引き込む。真空クリーナシステムの濾過は、空気流から粒子を濾過して除去できるが、微粒子としての細菌は空気流中に残存する。これらは、真空クリーナから出る空気流によって室内環境内にまき散らされる。
【0025】
細菌をまき散らす同一の現象は、空気流を引き込んで放出する他の空気流装置で見られる。これらとしては、例えば、ヘアドライヤ、ファン、及び衣類乾燥機が挙げられる。衣類乾燥機の場合、細菌を含んだ空気が室内環境から引き込まれ、衣類に吹き付けられる。
【0026】
冷蔵庫の場合でも、冷蔵庫は、空気を引き込み、細菌を含んだ空気を冷蔵庫の冷蔵室内に放出し、食料を細菌に曝す。
【0027】
本発明の幾つかの観点の中の幾つかの目的は、空気流を人間活動環境内に放出する装置が濾過装置を出る空気流中において100%の細菌除去を達成できるようにする1つ又は2つ以上の特徴を個々に又は組み合わせ状態で提供することにある。
【0028】
本発明のもう1つの目的は、先行技術における1つ又は2つ以上の問題を解決し又は軽減し、或いは、先行技術に勝る改良型代替手段を提供することにある。
【0029】
本明細書における先行技術に関する説明は、当業者の共通の一般知識の状態に関する承認又は注釈として取られるべきではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【特許文献1】米国特許第5,419,879号明細書
【特許文献2】英国特許出願第1,432,163号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0031】
本明細書は、本発明の幾つかの観点を含んでいる。
【0032】
本発明の第1の特徴によれば、手を乾燥させる実質的に滅菌された状態の加熱空気の流れを生じさせるようになった滅菌型手乾燥装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に設けられていて、手を乾燥させるために使用できる空気を加熱する加熱手段と、
使用の際に空気を前記ハウジングに導入させて前記加熱手段に達するよう移動させる入口手段と、
使用の際に前記加熱手段により加熱された後に空気を手を乾燥させるために使用できる加熱空気として放出させる出口手段と、
空気を空気流として前記入口手段から前記加熱手段を介して前記出口手段に迅速に移動させるようになった空気流発生手段とを有し、
前記装置は、使用の際に空気流を通す細菌捕捉フィルタ手段を備え、前記細菌捕捉フィルタ手段は、使用の際に、空気流中の細菌の大部分を捕捉して保持するようになっており、前記細菌捕捉フィルタ手段から出る空気流は前記細菌捕捉フィルタ手段に入ったときよりも滅菌度が高いものであるようになっており、
前記細菌捕捉フィルタ手段は、繊維状マトリックスの形態をしており、前記繊維状マトリックスは、その繊維に施された毒性の殺菌性物質を有し、前記殺菌性物質は、前記繊維に施された前記殺菌性物質に当たった細菌を殺すことができることを特徴とする装置が提供される。
【0033】
好ましくは、前記殺菌性物質は、液体塗布物質であり、前記液体塗布物質は、前記繊維に施されると、前記繊維上に見受けられる前記殺菌性物質に当たった細菌を捕捉する粘着性被膜を前記繊維上に提供する。
【0034】
例示の実施形態では、前記細菌捕捉フィルタ手段から出た前記空気流は、前記細菌捕捉フィルタ手段に入った前記空気流よりも細菌の数が少ない。
【0035】
好ましくは、前記細菌捕捉フィルタ手段から出た前記空気流には、細菌が全く存在せず又は少なくとも実質的に存在しない。
【0036】
好ましくは、前記細菌捕捉フィルタ手段から出た前記空気流には、粒子状細菌が100%存在しない。
【0037】
好ましくは、前記細菌捕捉フィルタ手段は、前記空気流が前記加熱手段に到達する前に前記空気流を遮断する。
【0038】
好ましくは、前記入口手段は、少なくとも1つの主入口を有し、前記手乾燥装置から放出された空気流は全て、まず最初に前記主入口を通過しなければならないようになっている。
【0039】
好ましくは、前記少なくとも1つの主入口は、全体が前記ハウジング内に設けられている。
【0040】
好ましくは、前記少なくとも1つの主入口は、前記空気流発生手段に入った空気が全て前記少なくとも1つの主入口を通過するよう前記空気流発生手段への入口内に設けられている。
【0041】
好ましくは、前記空気流発生手段は、ケーシング内に収納され、前記少なくとも1つの主入口は、前記ケーシングに設けられている。
【0042】
変形例として、前記少なくとも1つの主入口は、前記装置の前記ハウジングに設けられ、前記少なくとも1つの主入口は別として、前記ハウジングへの他の全ての入口は、稼働中、空気が前記少なくとも1つの主入口を通ってしか前記ハウジングに入ることができないように密封されている。
【0043】
好ましくは、前記入口手段は、前記主入口と直列に配置されていて、前記空気流を連続して次々に通す1つ又は2つ以上の補助入口を含む。
【0044】
前記主入口は、単位時間当たりの空気量に関する前記空気流発生手段の空気取り入れ要件を満足するのに十分な空気を収容する相当な空間だけ前記直列配置体中のその次の最も近くに位置する入口から離されているのが良い。
【0045】
前記補助入口のうちの少なくとも1つは、前記ハウジングの外面に設けられていて、前記ハウジングの外部からユーザにより接近可能であるのが良い。
【0046】
好ましくは、前記補助入口は各々、前記細菌捕捉フィルタ手段を備える。
【0047】
好ましくは、前記主入口は、前記細菌捕捉フィルタ手段を備える。
【0048】
好ましくは、前記細菌捕捉フィルタ手段は、前記空気流中の細菌粒子の大部分を遮って捕捉するほど十分高い密度の繊維状高密度フィルタ材料を含む。
【0049】
好ましくは、前記フィルタ材料は、不織繊維である。
【0050】
好ましくは、前記フィルタ材料は、前記繊維相互間に約150ミクロンであるよう選択された平均隙間又は細孔を有する。
【0051】
好ましくは、前記フィルタ材料の通気度は、約234.7cm3/cm2/秒である。
【0052】
前記細菌捕捉フィルタ手段は、使用中に前記フィルタ材料を交換用フィルタ材料と自動的に交換できるフィルタ交換機構体を含むのが良い。
【0053】
好ましくは、前記フィルタ交換機構体は、使用中、前記フィルタ材料を或る期間後、定期的に交換用フィルタ材料と交換する。好ましくは、前記フィルタ交換機構体は、使用中、前記フィルタ材料を連続的に又は間欠的に徐々に交換用フィルタ材料と交換する。好ましくは、前記フィルタ材料は、シート状ストリップの形態をしている。好ましくは、前記フィルタ材料は、電動式リール機構体によって運搬される。
【0054】
好ましくは、前記装置は、電力を前記装置に供給する電気制御回路を備え、前記電気制御回路は、前記ハウジングを開いたときにユーザが感電死する恐れを最小限に抑えるために前記ハウジングを開いたときに電力の供給を不能にするカットオフ機構体を備える。
【0055】
好ましくは、前記カットオフ機構体は、第1の状態にあるときにのみ、電力供給を可能にする二状態スイッチを有し、前記ハウジングを閉じたときに、前記スイッチを第1の状態に維持するアクチュエータが、前記ハウジング内に設けられ、前記アクチュエータは、前記ハウジングを開いたときに前記スイッチを第2の状態に作動させ、それにより、前記ハウジングが開かれたときに、前記装置への電力供給を不能にする。
【0056】
好ましくは、前記カットオフ機構体は、押し下げられたときにのみ、電力供給を可能にする弾性取り付けスイッチを有し、カットオフ機構体のアクチベータが、前記ハウジング内に設けられ、前記カットオフ機構体アクチベータは、前記ハウジングを閉じたときに、前記スイッチを押し下げ、前記ハウジングを開いたときに前記スイッチを持ち上げてオフにし、それにより、前記ハウジングを開いたときに、前記装置への電力供給を不能にするよう構成されている。
【0057】
好ましくは、前記弾性取り付けスイッチは、前記ハウジングのフードが着脱自在に取り付け可能なベースマウントに取り付けられ、前記カットオフ機構体アクチベータは、前記フードの内面に取り付けられている。
【0058】
好ましくは、前記カットオフ機構体アクチベータは、前記ハウジングのフードが着脱自在に取り付け可能なベースマウントに取り付けられ、前記弾性取り付けスイッチは、前記フードの内面に取り付けられている。
【0059】
前記カットオフ機構体アクチベータは、前記カットオフ機構体と接触状態にあるときに前記カットオフ機構体を作動させるデプレッサ(depressor )の形態をしているのが良い。
【0060】
前記ベースマウントは、直立取り付け面に締結されるようになっており、前記手乾燥装置は、前記ハウジングの前記ベースマウントに取り付けることにより前記直立取り付け面上に設置できるようになっているのが良い。
【0061】
前記手乾燥装置は、前記手乾燥装置が前記手乾燥装置の周りの周囲大気の一部を効果的に滅菌するように所定期間にわたり前記空気流発生手段を定期的に自動作動させるタイマ制御回路を備えているのが良い。
【0062】
前記タイマ制御回路は、前記加熱手段を同時に作動させることなく、前記装置を自動作動させるのが良い。
【0063】
変形例として、前記タイマ制御回路は、前記発熱体を同時に作動させながら前記装置を自動作動させても良い。
【0064】
前記タイマ制御回路は、光センサ手段を備えるのが良く、前記タイマ制御回路は、前記光センサにより周囲光が存在していることが示された場合にのみ、前記装置を自動作動させるに過ぎない。
【0065】
好ましくは、前記装置は、前記出口手段の近くに手があることを検出するハンドセンサ手段を備え、前記装置は、手がそのように検出されたとき、空気流発生手段及び前記加熱手段を作動させるようになっており、前記タイマ制御回路は、前記ハンドセンサ手段により前記出口手段の付近に手が存在していないことが検出された場合にのみ前記装置を自動作動させる。
【0066】
好ましくは、前記細菌捕捉フィルタ手段は、以下に説明する空気伝染細菌フィルタ装置を含む。
【0067】
本発明の第2の特徴によれば、手を乾燥させるための滅菌型手乾燥装置から実質的に滅菌状態の加熱空気の流れを生じさせる方法であって、
空気流発生手段を用いて空気を空気流として迅速に動かすステップと、
前記空気を加熱手段により加熱して前記空気流が手を乾燥させるために使用できるようにするステップと、
使用の際に前記空気流を通過させる細菌捕捉フィルタ手段を備えた前記手乾燥装置を用意するステップとを有し、
前記細菌捕捉フィルタ手段は、使用の際に、空気流中の細菌の大部分を捕捉して保持するようになっており、前記細菌捕捉フィルタ手段から出る空気流は前記細菌捕捉フィルタ手段に入ったときよりも滅菌度が高いものであるようになっており、
前記細菌捕捉フィルタ手段は、繊維状マトリックスの形態をしており、前記繊維状マトリックスは、その繊維に施された毒性の殺菌性物質を有し、前記殺菌性物質は、前記繊維に施された前記殺菌性物質に当たった細菌を殺すことができることを特徴とする方法が提供される。
【0068】
本発明の第3の特徴によれば、手を乾燥させる実質的に滅菌された状態の加熱空気の流れを生じさせるようになった滅菌型手乾燥装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に設けられていて、手を乾燥させるために使用できる空気を加熱する加熱手段と、
使用の際に空気を前記ハウジングに導入させて前記加熱手段に達するよう移動させる入口手段と、
使用の際に前記加熱手段により加熱された後に空気を手を乾燥させるために使用できる加熱空気として放出させる出口手段と、
空気を空気流として前記入口手段から前記加熱手段を介して前記出口手段に迅速に移動させるようになった空気流発生手段とを有し、
前記装置は、電力を前記装置に供給する電気制御回路を備え、
前記電気制御回路は、前記ハウジングを開いたときにユーザが感電死する恐れを最小限に抑えるために前記ハウジングを開いたときに電力の供給を不能にするカットオフ機構体を備えていることを特徴とする装置が提供される。
【0069】
好ましくは、前記カットオフ機構体は、第1の状態にあるときにのみ、電力供給を可能にする二状態スイッチを有し、前記ハウジングを閉じたときに、前記スイッチを第1の状態に維持するアクチュエータが、前記ハウジング内に設けられ、前記アクチュエータは、前記ハウジングを開いたときに前記スイッチを第2の状態に作動させ、それにより、前記ハウジングが開かれたときに、前記装置への電力供給を不能にする。
【0070】
好ましくは、前記カットオフ機構体は、押し下げられたときにのみ、電力供給を可能にする弾性取り付けスイッチを有し、カットオフ機構体のアクチベータが、前記ハウジング内に設けられ、前記カットオフ機構体アクチベータは、前記ハウジングを閉じたときに、前記スイッチを押し下げ、前記ハウジングを開いたときに前記スイッチを持ち上げてオフにし、それにより、前記ハウジングを開いたときに、前記装置への電力供給を不能にするよう構成されている。
【0071】
前記弾性取り付けスイッチは、前記ハウジングのフードが着脱自在に取り付け可能なベースマウントに取り付けられのが良く、前記カットオフ機構体アクチベータは、前記フードの内面に取り付けられている。
【0072】
前記カットオフ機構体アクチベータは、前記ハウジングのフードが着脱自在に取り付け可能なベースマウントに取り付けられるのが良く、前記弾性取り付けスイッチは、前記フードの内面に取り付けられている。
【0073】
前記カットオフ機構体アクチベータは、前記カットオフ機構体と接触状態にあるときに前記カットオフ機構体を作動させるデプレッサ(depressor )の形態をしているのが良い。
【0074】
前記ベースマウントは、直立取り付け面に締結されるようになっているのが良く、前記手乾燥装置は、前記ハウジングの前記ベースマウントに取り付けることにより前記直立取り付け面上に設置できるようになっている。
【0075】
本発明の第4の特徴によれば、滅菌型手乾燥装置のハウジングのフードが着脱自在に取り付けられるようになったベースプレートであって、
前記手乾燥装置は、電力を前記装置に供給する電気制御回路を備え、
前記ベースプレートは、使用の際に、前記フードが前記ベースプレートに取り付けられた状態で、前記ハウジングが開かれると、前記電気制御回路への電力供給を不能にして前記ハウジングを開いたときにユーザが感電死する恐れを最小限に抑えるためのカットオフ機構体を備えていることを特徴とするベースプレートが提供される。
【0076】
本発明の第5の特徴によれば、手を乾燥させる実質的に滅菌された状態の加熱空気の流れを生じさせるようになった滅菌型手乾燥装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に設けられていて、手を乾燥させるために使用できる空気を加熱する加熱手段と、
使用の際に空気を前記ハウジングに導入させて前記加熱手段に達するよう移動させる入口手段と、
使用の際に前記加熱手段により加熱された後に空気を手を乾燥させるために使用できる加熱空気として放出させる出口手段と、
空気を空気流として前記入口手段から前記加熱手段を介して前記出口手段に迅速に移動させるようになった空気流発生手段とを有し、
前記手乾燥装置は、前記空気流発生手段を所定の期間にわたり定期的に自動作動させるタイマ制御回路を備えていることを特徴とする装置が提供される。
【0077】
前記タイマ制御回路は、前記加熱手段を同時に作動させることなく、前記装置を自動作動させるのか良い。
【0078】
変形例として、前記タイマ制御回路は、前記発熱体を同時に作動させながら前記装置を自動作動させても良い。
【0079】
前記タイマ制御回路は、光センサ手段を備えるのが良く、前記タイマ制御回路は、前記光センサにより周囲光が存在していることが示された場合にのみ、前記装置を自動作動させるに過ぎない。
【0080】
前記装置は、前記出口手段の近くに手があることを検出するハンドセンサ手段を備えるのが良く、前記装置は、手がそのように検出されたとき、空気流発生手段及び前記加熱手段を作動させるようになっており、前記タイマ制御回路は、前記ハンドセンサ手段により前記出口手段の付近に手が存在していないことが検出された場合にのみ前記装置を自動作動させる。
【0081】
前記装置は、フレグランスの源であるフレグランス材料を備えるのが良く、前記フレグランスが前記空気流中に入り込むようになっている。
【0082】
本発明の第6の特徴によれば、所定期間にわたり滅菌型手乾燥装置の空気流発生手段を定期的に自動作動させるようになったタイミング回路コンポーネントであって、
前記滅菌型手乾燥装置は、手を乾燥させるための実質的に滅菌状態の加熱空気の流れを生じさせるようになっており、前記滅菌型手乾燥装置は、
ハウジングと、
前記ハウジング内に設けられていて、手を乾燥させるために使用できる空気を加熱する加熱手段と、
使用の際に空気を前記ハウジングに導入させて前記加熱手段に達するよう移動させる入口手段と、
使用の際に前記加熱手段により加熱された後に空気を手を乾燥させるために使用できる加熱空気として放出させる出口手段とを有し、
前記空気流発生手段は、前記空気を前記入口手段から前記加熱手段を介して前記出口手段まで空気流として迅速に移動させるようになっており、前記タイマ制御回路は、所定期間にわたって前記空気流発生手段を定期的に自動作動させるようになっていることを特徴とするタイミング回路コンポーネントが提供される。
【0083】
本発明の第7の特徴によれば、手を乾燥させるための実質的に滅菌状態の加熱空気の流れを生じさせるようになっている滅菌型手乾燥装置の周りの周囲大気を滅菌する方法であって、
所定期間にわたって前記空気流発生手段を定期的に自動作動させるようになったタイマ制御回路を備える手乾燥装置を用意するステップと、
前記タイマ制御回路を用いて所定期間にわたり定期的に前記滅菌型手乾燥装置を自動作動させるステップとを有し、前記手乾燥装置は、
ハウジングと、
前記ハウジング内に設けられていて、手を乾燥させるために使用できる空気を加熱する加熱手段と、
使用の際に空気を前記ハウジングに導入させて前記加熱手段に達するよう移動させる入口手段と、
使用の際に前記加熱手段により加熱された後に空気を手を乾燥させるために使用できる加熱空気として放出させる出口手段と、
空気を空気流として前記入口手段から前記加熱手段を介して前記出口手段に迅速に移動させるようになった空気流発生手段とを有することを特徴とする方法が提供される。
【0084】
本発明の第8の特徴によれば、空気を乾燥させるための加熱空気の空気流を生じさせるようになった手乾燥装置の周りの周囲大気に香りを付ける方法であって、
所定期間にわたり空気流発生手段を定期的に自動作動させるようになったタイマ制御回路を備える前記手乾燥装置を用意するステップと、
前記手乾燥装置がフレグランスの源であるフレグランス材料を備えるようにし、前記フレグランスが前記空気流中に入り込むようにするステップと、
前記タイマ制御回路を用いて所定期間にわたり定期的に前記手乾燥装置を自動作動させ、それにより、空気流中の前記フレグランスが前記手乾燥装置の周りの周囲大気に効果的に香りを付けるようにするステップとを有し、
前記手乾燥装置は、
ハウジングと、
前記ハウジング内に設けられていて、手を乾燥させるために使用できる空気を加熱する加熱手段と、
使用の際に空気を前記ハウジングに導入させて前記加熱手段に達するよう移動させる入口手段と、
使用の際に前記加熱手段により加熱された後に空気を手を乾燥させるために使用できる加熱空気として放出させる出口手段と、
空気を空気流として前記入口手段から前記加熱手段を介して前記出口手段に迅速に移動させるようになった空気流発生手段とを有することを特徴とする周囲大気の香り付け方法が提供される。
【0085】
本発明の第9の特徴によれば、手を乾燥させるための実質的に滅菌状態の加熱空気の流れを生じさせるようになった滅菌型手乾燥装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に設けられていて、手を乾燥させるために使用できる空気を加熱する加熱手段と、
使用の際に空気を前記ハウジングに導入させて前記加熱手段に達するよう移動させる入口手段と、
使用の際に前記加熱手段により加熱された後に空気を手を乾燥させるために使用できる加熱空気として放出させる出口手段と、
空気を空気流として前記入口手段から前記加熱手段を介して前記出口手段に迅速に移動させるようになった空気流発生手段と、
前記空気流を濾過するようになったフィルタ材料とを有し、
前記装置は、使用中、前記フィルタ材料を交換用フィルタ材料と自動的に交換することができるフィルタ交換機構体を有することを特徴とする装置が提供される。
【0086】
本発明の第10の特徴によれば、手を乾燥させるための実質的に滅菌状態の加熱空気の流れを生じさせるようになった滅菌型手乾燥装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に設けられていて、手を乾燥させるために使用できる空気を加熱する加熱手段と、
使用の際に空気を前記ハウジングに導入させて前記加熱手段に達するよう移動させる入口手段と、
使用の際に前記加熱手段により加熱された後に空気を手を乾燥させるために使用できる加熱空気として放出させる出口手段と、
空気を空気流として前記入口手段から前記加熱手段を介して前記出口手段に迅速に移動させるようになった空気流発生手段とを有し、
前記入口手段は、少なくとも1つの主入口を含み、前記装置内の空気流は全て、前記少なくとも1つの主入口を通過しなければならず、
前記少なくとも1つの主入口は、前記空気流発生手段への入口内に設けられ、前記空気流発生手段に入る空気が全て、この少なくとも1つの主入口を通過して濾過されるようになっていることを特徴とする装置が提供される。
【0087】
本発明の第11の特徴によれば、空気流を引き込み、空気流を人間活動環境内に放出する装置に用いられるようになった空気伝染細菌フィルタ装置であって、前記フィルタ装置は、空気流が順番に通る以下のもの、即ち、
i)繊維状マトリックスの形態をした捕捉フィルタ手段を有し、前記繊維状マトリックスは、その繊維に施された毒性の殺菌性物質を有し、前記殺菌性物質は、前記繊維に施された前記殺菌性物質に当たった細菌を殺すことができることを特徴とするフィルタ装置が提供される。
【0088】
好ましくは、前記捕捉フィルタ手段の通過後に、前記空気流は、
ii)カーボンフィルタ手段を通過し、前記カーボンフィルタ手段は、前記空気流を遮って前記空気流から前記捕捉フィルタ手段に由来する毒性の殺菌性物質のうちの幾分かを除去し、前記フィルタ装置を出て前記人間活動領域内に入る空気流には、細菌と微量の殺菌性物質の両方が実質的に含まれないようにする。
【0089】
好ましくは、前記空気伝染細菌フィルタ装置は、全体が前記装置の内部に配置されている。
【0090】
好ましくは、前記フィルタ装置は、フィルタバリヤ手段を備え、前記フィルタバリヤ手段は、使用の際に、前記フィルタ装置のための細菌不透性バリヤとなるよう前記捕捉フィルタ手段及び前記木炭フィルタ手段を収容している。
【0091】
好ましくは、前記フィルタバリヤ手段の前記細菌不透性バリヤは、前記捕捉フィルタ手段及び前記木炭フィルタ手段を前記装置の内部から分離して、前記空気流に使用された場合、前記装置内部の細菌又は他の汚染要因物が前記捕捉フィルタ手段を介してのみ前記フィルタ装置に入ることができ、前記フィルタ装置の他の部分を介しては前記フィルタ装置に入ることができないようになっている。
【0092】
好ましくは、前記細菌不透性バリヤは、互いに嵌まり合うようになったコンポーネントを有し、互いに嵌められると、細菌が前記コンポーネントの当接箇所を通って前記フィルタ装置の内部に入ることができないようになっている。
【0093】
好ましくは、前記フィルタバリヤ手段の前記細菌不透性バリヤは又、前記フィルタ装置内部の生きている細菌が前記フィルタ装置から逃げ出て前記装置内部に戻るのを阻止する。
【0094】
好ましくは、前記捕捉フィルタ手段と前記木炭フィルタ手段は、前記細菌不透性バリヤ内に密封された容積部だけ離されており、前記容積部は、前記空気流が前記捕捉フィルタ手段を出た後に入る一時的行き先として働くようになっている。
【0095】
好ましくは、前記捕捉フィルタ手段と前記木炭フィルタ手段は、これらの間の前記容積部が平らであり且つ平面状であるように全体として互いに平行である。
【0096】
好ましくは、使用中、前記空気流は、前記空気流が前記捕捉フィルタ手段及び前記木炭フィルタ手段の各々の表面に実質的に垂直であるような仕方で前記捕捉フィルタ手段から出て前記木炭フィルタ手段に入る。
【0097】
好ましくは、前記捕捉フィルタ手段及び前記木炭フィルタ手段の次に連続して、有益な放出可能物質を収容した放出フィルタ手段が設けられ、前記有益な放出可能物質は、使用中、前記フィルタ装置から放出された空気流中に入れ込まれるようになっている。
【0098】
前記捕捉フィルタ手段及び前記木炭フィルタ手段の次に連続して、各々が有益な放出可能物質を収容した2つ又は3つ以上の放出フィルタ手段が設けられるのが良く、前記有益な放出可能物質は、使用中、前記フィルタ装置から放出された空気流中に入れ込まれるようになっている。
【0099】
前記有益な放出可能物質は、空気によって運ばれる仕方でユーザに投与できる医薬品を含むのが良い。
【0100】
前記有益な放出可能物質は、フレグランスを含むのが良い。
【0101】
前記有益な放出可能物質は、抗菌物質を含むのが良い。
【0102】
好ましくは、前記有益な放出可能物質は、以下に説明する空気流活性化配合物と組み合わされ、前記有益な放出可能物質は、活性物質である。
【0103】
少なくとも、前記放出フィルタ手段は、平らなフィルタ材料片の形態をしているのが良く、前記平らなフィルタ材料片は、前記平らなフィルタ材料片が前記空気流中ではためくことができるよう前記フィルタ装置内に支持されている。
【0104】
好ましくは、前記殺菌性物質は、液体塗布物質であり、前記液体塗布物質は、前記繊維に施されると、前記繊維上に見受けられる前記殺菌性物質に当たった細菌を捕捉する粘着性被膜を前記繊維上に提供する。
【0105】
好ましくは、前記粘着性被膜は、当たった細菌粒子を前記繊維に物理的に保持することができ、前記細菌は、その場所に保持されて殺されるようになる。
【0106】
好ましくは、前記木炭フィルタ手段は、木炭粒子が注入された繊維状マトリックスである。
【0107】
好ましくは、前記木炭フィルタ手段は、前記空気流を再酸素化し、無臭化する。
【0108】
好ましくは、前記フィルタは各々、フィルタホルダ内に収容され、前記フィルタホルダは各々、前記フィルタを前記順序でしか互いに取り付けることができないようにする取り付け順序手段を備えている。
【0109】
好ましくは、フィルタホルダが各々、上述の順序で互いに取り付けられている場合、前記フィルタホルダは、互いに組み合わさって前記細菌不透性バリヤとなっている。
【0110】
好ましくは、各フィルタハウジングに設けられた前記取り付け順序手段は、異形輪郭の形態をしており、前記異形輪郭は、前記順序における次のものであるフィルタハウジングに設けられた対応の輪郭とのみ正確に合致できる。
【0111】
好ましくは、前記フィルタホルダは、スタックを形成するよう上述の順序で互いに嵌合する。
【0112】
好ましくは、前記繊維状マトリックスは、細菌粒子を物理的に捕捉すると同時に空気流に対する最小限の抵抗をもたらすようになっており、前記繊維状マトリックスは、従って、前記空気流に対する最小限の抵抗をもたらすよう細菌のサイズよりも極めて大きな繊維相互間の平均隙間又は細孔と、
前記繊維状マトリックスにより作られる前記空気流のための曲がりくねった経路とを有することを特徴とし、前記細菌粒子が前記マトリックスの前記繊維の少なくとも何割かに当たる確率が極めて高くなるようになっている。
【0113】
好ましくは、前記繊維相互間の前記平均隙間又は細孔は、約150ミクロンであるように選択されている。
【0114】
本発明の第12の特徴によれば、空気流により活性化される配合物であって、
少なくとも有効な期間にわたって空気で運ばれることができるようになる活性物質と、 前記活性物質が通常の室温及び通常の圧力では空気で運ばれるのを抑制する放出剤とを含み、
流動中の空気に対する前記配合物の暴露時に、前記放出剤は、前記活性成分を前記空気流中に放出することを特徴とする配合物が提供される。
【0115】
好ましくは、前記活性物質は、殺生剤及び(又は)フレグランスである。
【0116】
好ましくは、前記放出剤は、微孔質ポリマーである。
【0117】
前記放出剤は、マイクロカプセルポリマーシェルであるのが良い。
【0118】
前記放出剤は、メラミン−ホルムアルデヒドマイクロカプセル化シェルであるのが良い。
【0119】
前記シェルのサイズは、5〜100μmであるのが良い。
【0120】
好ましくは、前記配合物は、液体エマルションの状態で基体に吹き付けられる。
【0121】
フィルタが、送風装置内に設けられ、空気を前記フィルタ上でこれに沿って通し又は前記フィルタを通過させて前記活性物質を放出させる。
【0122】
本発明のこの12番目の観点の他の好ましい又はオプションとしての特徴は、単に分かりやすくする目的で、本明細書のこの箇所ではなく、本明細書の終わりの方に要約されると共に記載され、本明細書においては、本発明の化学的な観点は、可能な限り、機械的な観点から分けることができるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1A】滅菌型手乾燥装置の実施形態の下から見た斜視図であり、その補助フィルタ装置が分解組立て図で示されており、この実施形態が、直立表面、例えば壁に取り付けられた場合に、下から見た状態で示されている図である。
【図1B】装置がハウジング内部のその内部コンポーネントを示すために開かれて示されており、主フィルタ装置がファンケーシングに取り付けられていることを除き図1Aと同一の実施形態の上から見た斜視図である。
【図1C】図1A及び図1Bの実施形態のためのベースプレートの正面図であり、ベースプレートをこれが直立表面、例えば壁に取り付けられた場合に正面が見える状態で示す図である。
【図2A】図1Aの実施形態の側面図であり、ハウジングが閉鎖配置状態にある装置を示す図である(なお、或る特定の内部コンポーネントが、図2Aにおいて点線を用いて示されているが、フード内部の内部コンポーネントの大部分の細部は、分かりやすくするために図2Aから省かれている)。
【図2B】図1Aの実施形態の側面図であり、ハウジングが開放配置状態にある状態で装置を示す図である(なお、或る特定の内部コンポーネントが、図2Bにおいて点線を用いて示されているが、フード内部の内部コンポーネントの大部分の細部は、分かりやすくするために図2Bから省かれている)。
【図3】図1Aの実施形態において主孔に用いられる主フィルタのフィルタ装置の第1の実施形態の分解組立て図である。
【図4】ファンケーシングがその下側及び発熱体を示すためにばらばらにした状態で示されていることを除き、図1Bに見えるファンケーシングの下から見た斜視図であり、又、図4で主フィルタ装置の実施形態のコンポーネントがどこでファンハウジングの主孔に嵌まり込むかに対して示されたかかるコンポーネントの分解組立て斜視図である。
【図5】低乾燥装置の実施形態の前記回路要素の単純化されたブロック図である。
【図6A】シート状フィルタ材料をハウジングに設けられた孔を横切って連続的に又は間欠的に送るフィルタ交換機構体を有する別の改造実施形態の透視斜視図である。
【図6B】図6Aの実施形態の改造例を示す図である。
【図7A】図4の主孔に嵌まり込むために使用できる主フィルタ装置の第2の実施形態の分解組立て側面図である。
【図7B】図7Aのフィルタ装置の組立て側面図である。
【図8A】図7A及び図7Bの実施形態の2つのコンポーネントと比較した3つのフィルタコンポーネントを有する主フィルタ装置の第3の実施形態の分解組立て斜視図である。
【図8B】図8Aのフィルタ装置の組立て側面図である。
【図8C】4つのフィルタコンポーネントを備えた主フィルタ装置の第4の実施形態を示す図である。
【図8D】4つのフィルタコンポーネントを有する図8Cのフィルタ装置の組立て側面図である。
【図9A】フィルタ片が、これらのフィルタハウジング内部に配置された実施形態を示す図であり、空気流が存在しない場合で示されている図である。
【図9B】フィルタ片が、これらのフィルタハウジング内部に配置された実施形態を示す図であり、空気流が通過する場合で示されている図である。
【図10A】髪乾燥装置に用いられるフィルタ装置の更に別の実施形態を示す図である。
【図10B】図10Aの実施形態の改造例を示す図であり、改造内容は、フィルタ装置が追加の物質放出フィルタを備えていることであるということを示す図である。
【図10C】図8Cに示す4フィルタ装置とほぼ同じ4フィルタ装置を有する図10Aの実施形態の別の改造例を示す図である。
【図11A】真空掃除機に用いられるフィルタ装置の更に別の実施形態を示す図である。
【図11B】図8Cに示す4フィルタ装置とほぼ同じ4フィルタ装置を有する図11Aの実施形態の別の改造例を示す図である。
【図12A】空気循環ファンに用いられるフィルタ装置の別の実施形態の正面図である。
【図12B】空気循環ファンに用いられるフィルタ装置の別の実施形態の側面図である。
【図12C】空気循環ファンに用いられるフィルタ装置の別の実施形態の分解組立て側面図である。
【図12D】図8Cに示す実施形態の機能とほぼ同じ機能を有する4フィルタ装置を備えたファンに用いられるフィルタ装置の別の実施形態を示す図である。
【図12E】図8Cに示す実施形態の機能とほぼ同じ機能を有する4フィルタ装置を備えたファンに用いられるフィルタ装置の別の実施形態を示す図である。
【図13】衣類乾燥機に組み込まれたフィルタ装置の実施形態の単純な略図である。
【図14】冷蔵庫に組み込まれたフィルタ装置の実施形態の単純な略図である。
【発明を実施するための形態】
【0124】
本発明の観点を一層深く理解するために、図面を参照して本発明の各観点の実施形態を説明するが、これらは例示に過ぎない。
【0125】
図6A及び図6Bは、細部を最小限に抑えて作成され、フィルタ交換機構体の実施形態の細部のみを示していることが注目される。分かりやすくするために、乾燥機の他の内部詳細は、図6A及び図6Bでは、省かれており、図13及び図14についても同様である。
【0126】
互いに異なる実施形態の図面において、同一の要素は、単に種々の実施形態の理解を容易にするために、同一の参照符号で示されている。
【0127】
実施形態は、全範囲の細菌、病原菌等を殺すようになっており、「細菌」又は「病原菌」という用語は、一般的な意味に用いられており、本発明を或る特定の種類の有害な微生物の殺菌に限定するような生物学的な定義から狭く解されるべきではない。
【0128】
添付の図面を参照すると、図1Aは、ハンドドライヤ1の形態をした滅菌型手乾燥装置を示している。
【0129】
ドライヤ1は、空気流を引き込んでこれを人々が頻繁に出入りする人間活動環境、幾つかの例を挙げると、例えば、病院内の例えばトイレ又は洗面所内に放出する。
【0130】
ハンドドライヤ1は、手を乾燥させるための実質的に滅菌状態の加熱された空気の流れ又は空気流200Cを放出し又は吹き出すようになっている。例示の実施形態では、加熱空気の使用範囲は、約55℃〜65℃である。
【0131】
ハンドドライヤ1は、主フード10及びベースプレート11の形態をしたベースマウントを含むハウジングを有する。ベースプレート11は、図1B及び図1Cに最も良く示され、又、図2A及び図2Bにも示されている。
【0132】
図1Bでは、フード10は、ヒンジ12によってベースプレート11に取り付けられている。
【0133】
ヒンジ12は、フード10をベースプレート11から離脱させ又は取り外すことができるように設計されている。これにより、ハンドドライヤ1を簡単な2段階方法で設置することができ、即ち、まず最初に、ベースプレート11を直立した表面、例えば壁に取り付け、次に、フード10をベースプレート11のヒンジに取り付ける。
【0134】
ベースプレート11は、ねじ13、ボルト、又は他の適当な締結機構体によって壁に固定される。
【0135】
図1Aは、閉鎖位置に配置されたフード10を示しており、これは、ドライヤ1が定位置に設置されたときの配置形態である。
【0136】
図1Bは、開放位置に配置されたフード10を示している。
【0137】
図1Aと図1Bの両方において、ドライヤ1の向きは、これが壁に取り付けられた状態で記載されている。
【0138】
商業的実施形態では、フード10は、ベースプレート11にロックされ、ロック16Bをロック解除するには図1A及び図1Bで理解されるように、専用のキー16Aが必要である。
【0139】
空気流
全体の要約として、ドライヤ1を使用にあたって動作させてユーザの手を乾燥させる場合、周囲環境からの空気が、次の順序で、即ち、ハウジング内に引き込まれ又は吸い込まれ、次に加熱され、そして放出される。この空気流の経路は、概念的に、図1Aにおいては矢印200Aで、次に図1Bでは矢印200Bで、最後に図1Aでは矢印200Cで示されている。当然のことながら、ドライヤ1内での空気の実際の流れは、非常に複雑であって乱流状態であり、したがって、矢印200A,200B,200Cは、説明の便宜上単純化されている。
【0140】
空気加熱器
図4では、ドライヤ1は、発熱体300の形態をした加熱手段を備えている。発熱体300は、ファンケーシング400の開口部のところに配置され、図4ではファンケーシング400の別個の下から見た斜視図により明確に示されている。
【0141】
発熱体300は、ドライヤ1が温風を放出しているときに電気的に昇温されるようになった格子状のワイヤ又はプレートを含む。
【0142】
図1B及び図4に関し、発熱体300は、ハウジング10,11内に位置決めされ、この発熱体は、空気がユーザの手を乾燥させるのに十分に温かくなるよう空気流200Bを昇温させるために用いられる。
【0143】
入口手段
ドライヤ1は、空気を使用の際にハウジング10,11に流入させ、そして、発熱体300に到達するよう移動させる入口手段を有する。
【0144】
この実施形態では、入口手段は、空気を発熱体300に到達するよう移動させる領域又は通路であると考えられる。
【0145】
図1Bでは、入口手段は、図1Bの実施形態では相当な範囲のコンポーネント及び特徴を含む。最初に、入口手段は、空気をハウジングに流入させる補助フィルタ組立体520A,520B,520Cを含む。
【0146】
入口手段は、ハウジング10,11の洞穴状内部を更に含む。空気は、補助フィルタ組立体520A,520B,520Cを通り、次にハウジング10,11の洞穴状内部の中に流入する。
【0147】
入口手段は、ファンケーシング400の側部に設けられた主入口405を更に含む。この主入口405内には、主フィルタ組立体410A,410B,410C(及び以下に説明する他の実施形態)の形態をした主空気伝染細菌フィルタ装置が挿入される。
【0148】
主フィルタ組立体410A,410B,410Cの第1の実施形態の分解組立て図が、図3に示されている。
【0149】
図4は、主フィルタ組立体がファンケーシング400の主入口405にどこで嵌まり込むかと関連して主フィルタ組立体の実施形態を示している。
【0150】
図4では、主フィルタ組立体は、好ましくは、主入口又は主孔405に直に嵌まり込むベース要素410Aを有する。図7Bでは、ベース要素410Aは、ベース要素を主孔405に嵌合させてこれとロック状態にすることができる幾つかの弾性爪408を備えている。
【0151】
図3は、主フィルタ組立体410A,410B,410Cの一部の分解組立て図である。
【0152】
図3及び図4では、フィルタ材料410Bの形態をした細菌捕捉フィルタ手段が、フィルタホルダ410Cに取り付けられている。フィルタホルダ410Cは、ベース要素410に係合することができる。
【0153】
フィルタ材料410Bは、フィルタをフィルタホルダ410Cに取り付けるために用いられるスリットを備えている。使用にあたり、フィルタホルダ410Cに設けられた突出ピン411が、図4に示されると共に図7Bで最も良く示されているように、フィルタのスリットを通過する。
【0154】
フィルタホルダ410A,410Cは各々、粗いメッシュ414を有し、このメッシュも又、定位置にあるフィルタ材料410Bの運動を制限する。
【0155】
ベース要素410A及びフィルタホルダ410Cは、これら部品が差し込み形係合方式で互いに嵌まり合うことができるようにする対応の差し込み取り付け部品を備えている。他の実施形態では、他形式又は他様式の係合機構体、例えば、相互嵌合ピン若しくは圧力嵌め取り付け装置、又はプレス・アンド・ロック(press-and-lock)取り付け装置を用いることができる。
【0156】
出口手段
乾燥機1は、空気を発熱体300による加熱後に手を乾燥させるために用いられる加熱空気流200Cとして放出させる出口手段を有している。
【0157】
この実施形態では、出口手段は、空気をこれがドライヤ1から放出されるまで発熱体300から遠ざかって移動させる領域又は通路であると考えられる。
【0158】
図1Aでは、発熱体300は、フード10の前部に設けられた突出くちばし状開口部14内部に配置されている。それ故、例示の実施形態では、出口手段は、空気が入口手段を通って移動しなければならない距離と比較して、全体として距離がかなり短い。
【0159】
発熱体300を越えて流れた加熱空気は、開口部14を通過したほぼ直後にハウジングから出る。
【0160】
開口部14は、ユーザの指が発熱体300の加熱部分に触れるのを阻止するグリル15を有している。
【0161】
ファン
ドライヤ1を通る空気流200A,200B,200Cは、図4に示されている回転ファン401の形態をした空気流発生手段によって作られる。ファン401は、ファンケーシング400内部で回転するロータの形態をしている。円形ファン401の内側部分が、図4で理解できる。全体として円形の形をしたファンケーシング400は、円形ファン401を受け入れる。ファン401の回転は、図1Bに示されているモータ430により得られる。一例では、モータは、120ワット、7500rpmの交直両用電動機である。モータ430のケーシングは、細菌がモータ430のケーシングの隙間を介してファンケーシング400中の空気流に入り込むのを回避するよう密閉されている。
【0162】
ファンケーシング400内に設けられた回転ファン401は、空気を空気流として流れるように動かすようになっている。空気流は、最初の補助孔520D及びその補助フィルタ組立体520A,520B,520Cを経てハウジング内に流入し、次に、ハウジング10,11の洞穴状内部を通り、次に、主孔405を通り、そして主フィルタ組立体410A,410B,410Cを通り、ついには、空気流は、発熱体300に達する。次に、ファン401により生じた空気流又は空気の流れが、加熱空気流200Cとしてハウジングから放出され、この加熱空気流は、ユーザの手を乾燥させるために使用できる。
【0163】
主フィルタ装置の配置場所
ドライヤ1の入口手段は、主孔405の形態をした少なくとも1つの「主入口」を含む。この主孔は、空気及び細菌がファンケーシング400に入る唯一の入口であることが意図されている。
【0164】
「主入口」という概念は、ドライヤから放出された空気流が全て、最終的には、最初にこの主入口を通過しなければならないことである。この実施形態では、開口部は、ドライヤから出た空気流中の空気が全て或る箇所において文字通りその孔又は入口を通過しなければならない場合、「主孔」又は「主入口」であると定義される。
【0165】
効果的な細菌捕捉フィルタを1つ又は2つ以上の主入口に配置することにより、ドライヤから出る全ての空気流が細菌捕捉フィルタによって遮られるようになる。
【0166】
この実施形態では、主孔405は、ファンケーシング400に設けられている。主孔405は、ファンケーシング400に設けられた開口部内に位置し、したがって、ファンケーシング400に流入する空気が全て、この最終フィルタ410Bを通過しなければならないようになっている。空気流がファンケーシングに流入した後、装置1には唯一の出口14しかない。したがって、この孔405は、「主入口」と見なされる。というのは、これとは別にファンケーシングへの他の通路が存在しないからである。換言すると、最終出口14に通じる他の経路は存在しない。
【0167】
別法として、「主入口」の定義をより理解しやすくするため、例えば、図1Aの補助入口520Dは、「主入口」と見なすことはできない。というのは、空気が装置に流入する他の多くの仕方が存在するからである。例えば、細菌は、フード10を開いたときに補助フィルタ520Dをバイパスする場合があり、又は、フード10を閉じたときにフード10及びベースプレート11の隙間の中に入る場合がある。例えば、フード10を開いたとき、トイレの細菌含有周囲空気が、装置1の内部に流れ込む。また、入口520Dと最終出口14との間には、装置1の内部に多くの内面が存在し、かかる内面は、数箇月又は数年間の使用により、感染状態になり、細菌源として働く場合がある。補助フィルタ520Bは、他の仕方、例えば、開いたフードを通り又は内面から空気流に入り込むこの外部からの細菌を遮ることはなく、最終の主フィルタ410Bは、かかる外部細菌を止める。これは、補助入口520Dが「主入口」とは見なされず、又、補助フィルタ520Bが「主フィルタ」とは見なされないからである。
【0168】
主孔405の形態をした主入口は、図4で理解できる。図1Bの記載では、この主孔405は、主フィルタ組立体410A,410B,410Cがファンケーシングのこの主孔405内に挿入された状態で示されているので見えにくくなっている。
【0169】
この主フィルタ組立体410A,410B,410Cは、空気流が発熱体300に達する前に空気流を遮る。主孔405は、ドライヤ内の空気流の全てがドライヤから放出されなければならない場合にかかる空気流全てが通過しなければならない空気流中の箇所である。この場合、細菌粒子は、最終的に捕捉され、かくしてファンケーシング400に入るのが阻止される。好ましくは、ケーシング400,430の残部は、空気がモータケーシング430中へ入ることができないように密封されている。
【0170】
主フィルタ装置410A,410B,410Cをファンケーシングへの最終入口箇所のところに配置することにより、この主フィルタ装置は、考えられる最後の防御ラインとして働く。空気流中に残存しているかもしれない細菌は全て主フィルタ410Bによって遮られるようになる。たとえ細菌が予期せぬこととして装置の壁の隙間を通って又は装置内部の長期間にわたる細菌蓄積から機械に入ったとしても、かかる細菌は、出ている空気流200Cによりグリル15から放出することができない。というのは、装置から出る空気流は、最終的には主フィルタ装置410A,410B,410Cを通過しなければならないからである。
【0171】
かくして、主入口の識別及びハウジングへのその最終入口箇所405のところの主フィルタ装置の配設場所は、乾燥装置1から出る空気流200C中の細菌の100%除去及び破壊を達成する装置1の能力に寄与する特徴である。
【0172】
先行技術においては、装置内部の内面も又潜在的な細菌源であるということへの取り組みに対して考慮が払われなければ、100%細菌除去の達成は、困難であると考えられる。装置内の全ての内面及び部分は、潜在的な汚染要因物源である。例えば、内部塗装面は、毒素を生じさせる場合があり、更に又、空気流により、デブリが数年にわたる使用後に内部部品から剥がれる場合がある。先行技術においては、非常に初期に空気流路中に位置決めされたフィルタは、フィルタの下流側に位置する内面から細菌が剥がれ落ちるのを防止しようとはしない。
【0173】
それ故、この実施形態では、最終主フィルタ410Bを直接ファンハウジングに設けて空気流中の上流側に位置するこれら外部汚染要因物及び細菌が全てをこれらがファンハウジングに入る前に最終及び主フィルタ装置410A,410B,410Cによって捕捉されると共に遮ることができるようになっている。主フィルタ装置は、空気流が発熱体300及び出口箇所15に達する前の考えられる最後の場所に配置されている。(フィルタをファンハウジングの内部に配置することは不便である。というのは、これは、容易に交換することができないからであり、又、交換が容易でないフィルタは、時間の経過につれて、それ自体汚染源になる場合があるからである)。
【0174】
この実施形態では、主孔405及び関連の主フィルタ組立体410A,410B,410Cは、全体として装置ハウジング10,11内に配置されている。このようにすることにより、ユーザは、主フィルタ組立体に接近することができず、しかも、許可を受けた係員だけがこれに接近して交換することができるようにする。
【0175】
他の変形例では、2つ又は3つ以上の主孔405がファンケーシング400に設けられる場合があるが、かかる変形実施形態では、ファンケーシング400に流入した空気が全て、ファンケーシングのこれら1つ又は2つ以上の主孔405を通過しなければならないということが依然として必要である。
【0176】
この実施形態では、たとえ細菌がハウジング10,11の隙間に入り込んだ場合でも、ファンケーシングに設けられた主フィルタ410Bの配設場所がファンケーシング内に通じる唯一の入口なので、この主フィルタ410Bは、ファンケーシング400に入る細菌を全て遮ることができるようになる。
【0177】
図1A及び図1Bの実施形態では、主入口405は、空気流発生手段に通じる入口に設けられ、又は、他の変形例では、その実際の配設場所を変更することができる。ただし、空気流発生手段に流入した空気が全て、この最終入口を通過することを条件とする。
これら実施形態では、1つの主孔(又は複数の主孔)は、ファンケーシングに流入した空気流が全てこの主孔を通過しなければならないようにファンケーシング400に設けられ又はこれに結合されているに過ぎない。これは、図1Aの実施形態に示されているように、好ましく且つ最善の場所である。
【0178】
実施形態を設計する際の別の要因は、ファンケーシング400への主たる且つ唯一の開口部である主孔は、好ましくは、ドライヤ1の外部から接近可能であってはならないということである。例えば、ファンケーシング400への主孔405は、フード10の外面から接近可能であってはならず、もしそうであれば、許可を受けていないユーザが、ハンドドライヤ装置1の可動部品及び電気的配線部品に接近できるからである。また、これにより、有害物を装置の電動式部品中に挿入し、それどころか、水をファン及びモータ内に浴びせかける機会を荒らしを働く人に与える場合がある。これら全ての可能性により、危害がドライヤ1のユーザに加わる場合がある。
【0179】
細菌捕捉
細菌は、実際には、極めて微小な顕微鏡的粒子で構成される。本実施形態のドライヤ1は、細菌捕捉フィルタ手段を備えている。換言すると、細菌粒子を捕捉してドライヤ1から放出された空気に細菌粒子が実際に無く又は含まれていないようにする手段が設けられる。焦点は、細菌の殺菌には当てられず、細菌粒子の捕捉に向けられている。
【0180】
この実施形態では、図3において、主フィルタ組立体410A,410B,410Cの細菌捕捉フィルタ手段は、空気流中の細菌粒子の相当多くの部分を遮って捕捉するのに十分な密度のフィルタ材料の繊維状で高密度の全体的に非一様なマトリックスであるフィルタ材料410Bを含む。繊維は、細菌粒子の通過に対する物理的な障害物として働く。
この実施形態では、理想的には、フィルタ材料410Bは、例えば典型的な公衆トイレ施設で定期的に使用されたとすると、1箇月当たりほぼ1回の交換が必要とされることが分かっている。というのは、フィルタ材料中に細菌粒子が蓄積するからである。
【0181】
フィルタ材料
例示の好ましい実施形態では、フィルタ材料は、溶融腐食繊維材料である。腐食繊維が好ましい。というのは、織り方が密な織布又は織物は腐食繊維材料よりも一層空気流を制限する傾向があるので適切さが低いということが判明しているからである。
【0182】
図1Aの実施形態のフィルタ材料は、以下の特性を備えた材料の腐食ニードルフェルトポリエステル繊維状パッドである。
【0183】
〔表1〕
重量(gsm) 150 ISO 9073-1: 1989
厚さ(mm) 1.4mm〜1.8mm ISO 9073-2: 1995
引張り強さ(N/50mm): ISO 9073-3: 1989
−縦方向 165
−横方向 165
通気性 2,500 ISO 9230@20cm2200Pa
(l/sec/m2
【0184】
フィルタ材料の別の好ましいサンプルでは、通気性の判定は、オーストラリア国標準規格AS2001.2.34−90に従って行われた。結果は、フィルタ材料の好ましいサンプルの通気性は、234.7cm3/cm2/秒であり、変動係数は、5.9であった。
【0185】
フィルタ材料は、全体がランダムな織成マトリックス又はランダムレイ(random lay)を有する溶融ポリエステル繊維状マトリックスである。かくして、この繊維状マトリックスを通過した空気流中の細菌粒子は、ランダム繊維状マトリックスを通ってナビゲートするよう曲がりくねった流路を通過しなければならず、かくして、細菌粒子の各々が繊維のうちの1本に当たってこれによって捕捉され又はこれにくっ付く可能性が増大する。
【0186】
細菌の捕捉を助ける高密度のフィルタと迅速な空気流を確保する密度の低いフィルタの相反する要件の選択には妥協策が見出される場合が多い。
【0187】
問題は次の通りである。即ち、フィルタの密度又は厚さの増大により、一方においては、細菌粒子が一層効果的に捕捉されるが、それと同時に、フィルタを通る空気流が遅くなり、それにより、ファンモータがオーバーヒートする場合がある。したがって、100%細菌遮断という好ましい目的を達成することが望ましい場合、所与の実施形態について特定の動力モータ及びファンに用いられるフィルタ材料の適当な密度を見出すための何らかの実験を行うことが必要な場合がある。例えば、強力な空気流を生じさせる強力なファンでは、より密度が高く且つ(或いは)より厚さが大きなフィルタ材料を用いることができる。
【0188】
gsm(1平方メートル当たりのグラム数)で表されたフィルタメッシュ重量は、フィルタメッシュ中の隙間の平均サイズの性状についての見通しを与える。
【0189】
例えば、50gsm材料の繊維状マトリックスは、細菌粒子を適度に捕捉するが、50gsm繊維状材料は、ファン401に十分な空気流をもたらさないことが判明した。
先行技術においては、極めて目の細かいフィルタメッシュを選択することにより細菌濾過を達成しようとする傾向が存在する。先行技術の考え方は、魚を捕まえるネットの考え方に良く似ており、この場合、サイズは、細菌のサイズにマッチするほど十分小さくなければならない。これにより、問題が生じる。というのは、メッシュサイズが減少するにつれ、高速で通過する空気流の性能が減少するからである。この問題は、極めて目の細かいフィルタメッシュサイズに付きものの場合がある問題を考慮しないで非常に目の細かい滅菌フィルタに関する公知の先行技術では容易には認識されていない。
【0190】
本発明の実施形態は、相反する要望に関する問題を認識している。一方においては、フィルタメッシュが細菌粒子を捕まえるのに十分であることが望ましいが、他方においては、かかるフィルタメッシュは、これが最適な空気流を妨げるほど小さいものであってはならない。
【0191】
本発明の実施形態では、メッシュサイズは、不織布が約150ミクロンの繊維相互間の平均隙間又は細孔を有するという意味で、約150ミクロンウィーブであるものとして選択される。これは、非常に迅速な空気流が達成可能である一方で、細菌を100%捕捉する能力を保持したサイズ範囲にあるものとして広範なフィルタ材料から選択されていた。比較的大きな孔径である150ミクロンウィーブを用いることができる。というのは、このフィルタは、以下に説明するフィルタに施された粘着性の液体被膜と関連して用いられるからである。
【0192】
理論により限定するものではなく、150ミクロンウィーブは、細菌を捕捉するための適当なメッシュサイズとして先行技術において認識されていなかったことが考えられる。というのは、150ミクロンウィーブの細孔は、細菌粒子の代表的なサイズよりも極めて大きいからである。しかしながら、本実施形態では、繊維に粘着性の抗菌性液体が塗布されている場合、約150ミクロンに選択されたメッシュサイズは、適切なものになることが認識されている。というのは、大きな孔径は、迅速な空気流を可能にする一方で、細菌が100%繊維のうちの1本に当たり、粘着性被膜によりこれにくっ付くようにする十分に曲がりくねり且つランダムな流れ流路を提供するからである。
【0193】
かくして、選択された約150ミクロンのウィーブは、異なる仕組みを用いて細菌を捕捉する。細菌は、必ずしも、2つの近接した繊維の隙間相互間に捕捉されるわけではない(魚がネットで捕まえられるということの類推により)。これとは異なり、150ミクロンウィーブでの繊維状マトリックスのウィーブは、十分に曲がりくねった経路を提供し、繊維に当たり又はこれと衝突する細菌の確率が極めて高くなることが判明している。また、以下に説明するように、フィルタストランドは、フィルタ繊維に衝突する細菌粒子が空気流に同伴されるのではなく、繊維にくっ付く可能性が高いようにするために、粘着性物質で被覆される。換言すると、フィルタメッシュ又は約150ミクロンでは、繊維中の大きな隙間により、空気流は、フィルタ材料を非常に迅速に通過することができる。それと同時に、150ミクロンの繊維の密度により、空気中の細菌は、空気がフィルタを通って動く際にフィルタスレッドにより捕捉されるようになる。
【0194】
換言すると、相反する要件であるi)病原菌捕捉と、ii)空気流の速度の両方に取り組むために組み合わされるのは、繊維状材料の性状と繊維に施される粘着性被膜の性状である。
【0195】
約150ミクロンのフィルタは、当然のことながら、一般用途向けの市場では広く利用されているが、i)100%の病原菌捕捉とii)非常に高い空気流速度の両方を可能にする予期せぬ結果を与えたことは、約150ミクロンのフィルタメッシュの予測しなかった選択である。約150ミクロンメッシュの選択は、大きな孔径が典型的な細菌サイズの何倍にもなるので予想外である。本実施形態に用いられる選択により、この見かけ上大きなフィルタ孔径が粘着性被膜と組み合わされた場合、実際に且つ予想外に、理想的な選択肢になることが認識される。
【0196】
i)100%病原菌捕捉とii)非常に高い空気流速度を可能にする2重の且つ予想外の利益を依然として達成することができる許容性の上限と下限を150ミクロンマークからのプラス又はマイナス分散の観点で決定する何らかの実験を行うのが良い。
【0197】
主フィルタ材料410Bは、空気流中の細菌粒子の相当な部分を捕捉してフィルタ中に保持する。かくして、主フィルタ410Bから出た空気流は、空気流がフィルタ410Bに入ったときよりも滅菌度が高い。
【0198】
上記段落では、「保持する」という用語は、細菌のうちの相当な部分がフィルタに入るが、これを出ることができないということを示している。換言すると、主フィルタ410Bから出た空気流は、同一の主フィルタ410Bに入る空気流よりも細菌粒子の数が少ない。
【0199】
独立の微生物学的試験により立証された本実施形態の特徴として、フィルタ410Bを出た空気流は、細菌が100%完全に除去されていること又は少なくとも実質的に細菌が除去され且つ100%マークに極めて近い。換言すると、細菌粒子は、単に非活性化され又は殺菌されるのではなく、極めて大幅に空気流から物理的に除去されている。
【0200】
この実施形態の初期の実験モデルを、種々の微生物による空気汚染が存在していることが確認された工場の男性用トイレで試験した。ドライヤ1から1から出た空気流は、細菌粒子又は病原体が100%無いことが判明した。かくして、この実施形態の細菌捕捉フィルタ手段は、空気流中の細菌を100%捕捉することができ、細菌捕捉フィルタ手段から出た空気流は、100%細菌が存在せず又は実質的にそれに近いものであるようになっている。
【0201】
したがって、100%細菌の無い手の乾燥という目的を達成できる本発明の実施形態は、使い捨てのペーパータオルよりも手を乾燥させるのにより衛生的であるということができる。例えば、100%細菌除去に近いレベルでこのことを達成するモデルは、手術にかかる前に外科医によって使用されるのに適している。
【0202】
かくして、本発明のこの特徴では、ドライヤ1の実施形態は、実際の細菌粒子を捕捉して保持し、それにより細菌がドライヤから出て温かい空気流200C中に入るのを阻止する手段を備える。これは、先行技術のドライヤで用いられる空気フィルタとは概念的に異なっており、かかる空気フィルタは、大きな粒子、例えばダストやごみを濾過して除去するに過ぎず、又、細菌粒子の100%除去の規模で細菌を捕捉するようになっておらず又は意図されていない。かくして、単に「空気フィルタ」を記載した先行技術であっても、これが細菌粒子の実際の捕捉を教示していなければ、一見しただけで細菌捕捉フィルタ手段の先行技術開示として必ずしも取り扱われるべきではない。
【0203】
この実施形態の広義の前提は、細菌を効果的に殺菌するために、細菌粒子を捕捉しなければならないということである。これは、まず最初に細菌粒子を捕捉して保持するのではなく、細菌を流れるように動いている空気流中に同伴させながら細菌を殺菌しようとする先行技術の滅菌ドライヤとは異なる取り組み方である。実験において、かかる先行技術のシステムは、まず最初に細菌を捕捉し、次にフィルタ中に動かない状態に保持された捕捉状態の細菌を殺菌する本発明の実験的実施形態と比較して、細菌を空気流から除去する効率が遙かに低いということが判明した。
【0204】
以上要約すると、繊維状マトリックスは、細菌粒子を物理的に捕捉することができ、それと同時に、空気流に与える抵抗が最小限である。それ故、繊維相互間の平均隙間又は細孔は、空気流に与える抵抗が最小限であるように細菌のサイズよりも極めて大きい。また、空気流の曲がりくねった経路又は流路が、繊維状マトリックスによって作られ、細菌粒子がマトリックスの繊維のうちの少なくとも何割かに当たる確率が極めて高くなっている。
【0205】
フィルタ材料の例
一例として、本実施形態に用いられるフィルタ材料は、1平方メートル当たり150グラムの多数のランダム繊維を含むカードポリエステルスパンボンドメンブレンである。このフィルタ材料のキャリパ厚さは、1.4〜1.8mmである。150gsmフィルタ材料のこの比較的大きな細孔は、2500l/秒/m2の最大空気速度透過性を可能にする。
【0206】
この材料は、乾燥状態にあるとき、約30〜40ミクロンの平均隙間又は細孔により或る程度の繊維絡みを提供する。かくして、乾燥状態では、この材料は、100%細菌捕捉を達成するのは不適当である。というのは、細菌粒子は、通常、0.3〜30ミクロンであり、ウィルスは、0.01〜0.05ミクロンだからである。それ故、150gsmフィルタ材料は、その乾燥状態では、それ自体100%捕捉率又はこれに近い捕捉率を達成するという目的には適していそうもない。しかしながら、かかる見掛け上大きなメッシュサイズの選択は、繊維に施された粘着性被膜と組み合わされると、予想外にも、100%捕捉率という目的を達成するのに使用でき、しかも、大きな細孔を通る迅速な空気流速度を可能にする。
【0207】
被覆繊維の追加の粘着性は、150ミクロン細孔からのみ単独で示唆される通常予測される捕捉率の何倍も粒子を捕捉する能力を高める。
【0208】
殺菌性物質:ファイバ中の病原菌の殺菌
好ましい実施形態では、フィルタ材料410Bは、フィルタ材料に捕捉されて保持されている細菌を殺菌することができる殺菌性物質で被覆されている。
【0209】
繊維状マトリックスは、その繊維に施された毒性の殺菌性物質を有し、この毒性の殺菌性物質は、繊維に付着している殺菌性物質に当たった細菌を殺菌することができる。
【0210】
かくして、繊維中に捕捉されて保持された細菌の相当の部分は又、フィルタ内で繊維上で殺菌される。(フィルタ中に殺菌剤が設けられていない場合、細菌粒子が捕捉されると、フィルタ材料中に細菌感染が生じる場合がある)。
【0211】
この実施形態では、病原菌又は細菌を捕捉し、次にこれらがフィルタ中にある間に殺菌するのが有利である。もしそうでなければ、病原菌を単に捕捉したが殺菌しない場合、フィルタ内の細菌レベルは、経時的に次第に増加する。次に、機械をオフにし、又は稼働中でない場合、フィルタに付着している細菌が成長し、したがって、フィルタそれ自体が細菌源になり、この細菌源は、装置全体にわたって広がって内面を感染するようになる。
【0212】
細菌を殺菌するために用いられる殺菌性物質は、これがフィルタ中に捕捉された細菌の殺菌の役割を果たすことを条件として、液体又はゲルの形態であって良い。
【0213】
実際には、この実施形態においては、殺菌性物質は、アルコールを基剤とする液体スプレー内に含ませた状態で繊維状フィルタ材料に吹き付けられる。アルコールが蒸発すると、殺菌性物質は、繊維状ランダムマトリックス上に付着したままである。
【0214】
この実施形態では、殺菌性物質は、液体塗布物質である。殺菌性物質を液体として繊維に塗布すると、この殺菌性物質は、繊維上に粘着性被膜を形成し、この粘着性被膜は、繊維上に見られる殺菌性物質に当たった細菌の捕捉を助ける。粘着性被膜は、衝突した細菌粒子を繊維に物理的に保持することができ、したがって、細菌は、その場所に保持されて殺菌されるようになる。
【0215】
多くの殺菌性物質又は液体を用いてフィルタ410B,520B内に捕捉された細菌粒子を殺菌できることは理解されるべきである。この実施形態では、殺菌性物質は、オーストラリア国ビクトリア所在のヘルスガード・コーポレイション・オブ・キャンプベルフィールド(Healthguard Corporation of Campbellfield)により商品コードAFA-BK, 9-260として製造されている。
【0216】
この実施形態では、捕捉フィルタ410Bは、1箇月毎に交換されるべきである。というのは、フィルタに付着している抗菌性粘着性物質の効力は、長期にわたりその有効性を維持しないからである。
【0217】
別の変形例:フィルタ装置
図4の第1の実施形態では、主フィルタ組立体には1つの主フィルタ410Bが設けられている。この第1の実施形態では、抗菌性物質は、フィルタ410Bに当たった細菌を殺菌するが、欠点として、微量の抗菌性物質が空気流中に残る場合があり、フィルタから出て人間活動環境の雰囲気内に入る。これら微量の抗菌性物質は、平均的な人に対して危険である可能性は滅多に無いが、これらは、或る人々、特に、呼吸器疾患又は肺疾患を患っている人々に対してはかなり危険な場合がある。例えば、嚢胞性線維症を患っている人は、微量であっても雰囲気中の毒性物質により危害を受ける場合がある。
【0218】
抗菌性液体は、典型的には病毒細胞を100%殺菌できる効力レベルにあるとき、人に対して非常に毒性が高く且つ有害である傾向がある。例えば、これは、潜在的に目の刺激物である。
【0219】
殺菌性物質は、細菌を殺菌するために毒性が高いことが必要であるが、好ましくは、毒素は、空気流から除去される必要がある。
【0220】
微量の毒性物質を空気流から除去するため、図7A及び図7Bは、毒性の殺菌性物質を有する主繊維状フィルタ410Bに続き連続して木炭又はカーボンフィルタ手段が設けられていることを示す。この実施形態では、木炭フィルタ手段は、木炭又はカーボン粒子が注入された木炭注入繊維状又は多孔質フィルタ材料410Dの形態をしている。
【0221】
木炭注入フィルタ材料410B中の木炭又はカーボン粒子は、空気流を遮ってこの空気流から捕捉フィルタ410Bに施された被膜に由来する毒性の殺菌性物質を除去する。これにより、主フィルタ組立体から出た空気流が実質的に細菌粒子を含まないだけでなく、微量の殺菌性物質を含まないようになる。
【0222】
上述したように、殺菌性物質を空気流から除去することにより、肺の状態が非常に敏感な人が存在する人間活動環境、例えば病院内で使用することができる。
【0223】
また、殺菌性物質が空気流から除去されるので、これにより、オプションとして、第1の繊維状フィルタ410Bに付着している非常に効力の高い殺菌性物質を利用することができる。これは、次に木炭フィルタ410Dが設けられていない場合、空気流中の高い毒性が周囲環境内の人々を害する場合があるというのではないかと心配して、極めて毒性の高い物質を第1のフィルタ410B内に用いるのを控えることが必要であるからである。これに対し、次に木炭フィルタ410Dが設けられている場合、第1のフィルタ410B内に非常に毒性の高い物質を用いることにより、装置は、その殺菌性能において、高い効率を達成できる。この実施形態では、このように毒性の非常に高い物質を用いることができるということは、木炭フィルタが設けられていることにより、装置1から出た細菌が100%除去された空気流を達成することができるということに寄与する。
【0224】
さらに、理論によって束縛されるものではないが、木炭は、空気流が木炭注入フィルタ410Dを通って流れているときに空気流を再酸素化することが考えられる。
【0225】
かくして、木炭は、第1に、毒性抗菌性化学物質を除去する役割と、第2に、空気流を再酸素化する役割の2重の役割を有すると考えられる。木炭は又、空気流から悪臭及び異臭を除去すると考えられる。
【0226】
この実施形態では、繊維状フィルタ材料410Dには木炭粒子又は粉末が注入されるが、他の変形例では、多孔性の高い木炭又は木炭注入材料片も又使用できる。ただし、多孔性が空気流速度を実質的に損なわないほど十分であることを条件とする。
【0227】
この実施形態では、木炭フィルタ410Dは、細菌を捕捉して殺菌するために主として用いられているわけではない。細菌の捕捉及び殺菌のステップは、第1の捕捉フィルタ410Bで行われる。それ故、捕捉フィルタ410Bからの空気流は、これが木炭フィルタ410Dに入った時点で100%の細菌除去レベル又は少なくとも事実上そのレベルに達するようになる。
【0228】
事実、木炭又はカーボンは、細菌を捕捉して殺菌する上で低級材料であると考えられる。理論により束縛されるものではないが、木炭は、殺菌性物質を配置すべき基体ほど適当ではないと考えられる。というのは、恐らくは、殺菌性物質は、殺菌性物質を細菌を殺菌するのに利用できる表面上に付着させたものではなく、木炭粒子内部に吸収されるからである。また、木炭粒子は、この実施形態では液体又は液体塗布物質である殺菌性物質を汚染する場合があると考えられる。要約すると、この実施形態の木炭フィルタ410Dは、細菌を殺菌するステップを行うようにはなっていない。
【0229】
木炭粒子410Dは、この実施形態では、粘着性の抗菌性液体被膜を備えていないので、空気流からの細菌の100%除去は、空気流が木炭フィルタ410Dに達する前に達成されるべきである。もしそうでなければ、このことは、幾分かの細菌が木炭フィルタに達し、この細菌は、空気流が動作していないときに増殖する場合のあることを意味している。これにより、木炭フィルタは、経時的に細菌源に変化する場合がある。それ故、細菌の100%除去は、空気流が木炭フィルタに達する前に起こらなければならない。
【0230】
細菌が入ることができないフィルタハウジング
図7Aの第2の実施形態では(図4と同様な仕方で)、フィルタ組立体のベース要素410Aは、ファンケーシングの主入口又は主孔405に直接嵌まり込むようになっている。
【0231】
図7Aの分解組立て図では、第1のフィルタホルダ410Cは、ベース要素410Aに嵌まり、次に、第2のフィルタホルダ410Eに嵌まり、この第2のフィルタホルダは、第1のフィルタホルダ410Cに嵌まる。
【0232】
図7Bは、図7Aのコンポーネントを組立て状態で示している。組立て状態の部品は、差し込み形係合手段と共に嵌合する。ただし、他の形態の取り付け機構の使用が他の実施形態において可能である。
【0233】
図7Bでは、矢印409は、装置1が使用中であるときの空気流の方向を示している。図7Bでは、フィルタ装置は、フィルタバリヤ手段を備え、このフィルタバリヤ手段は、この実施形態では、フィルタホルダの壁を有し、これらフィルタホルダは、組み合わせ時に、互いに非常に緊密に嵌合する。フィルタ装置は、ベース要素410Aの下縁部とファンハウジングのインターフェイスにより作られるバリヤを更に有する。
【0234】
フィルタホルダ410C,410Eの壁は、使用の際に互いに嵌められると、主捕捉フィルタ410B及び木炭フィルタ410Dを収容するのに役立つ。フィルタバリヤ手段の正味の効果は、フィルタ410B,410Dのための細菌不透過性バリヤとなることにある。この効果的な細菌不透過性バリヤは、フィルタ410B,410Eを装置の内部から分離する。これが意味することは、空気流が装置1中に吹き込まれているときやそうでないときであっても、装置内部の細菌又は他の汚染要因物は、流入空気流に直接向いた主フィルタ410Bのフェースを介してフィルタ装置に入ることができるに過ぎない。汚染要因物及び細菌は、フィルタ装置の他の部分又は継手を通過することができない。
【0235】
図1A〜図4の実施形態では、空気伝染細菌フィルタ装置410A,410B,410C,410D,410Eは、全体が、装置1の内部に配置される。
【0236】
ベース要素410Aとフィルタハウジング410C,410Eを互いに嵌め合わせると、細菌は、これらコンポーネント410A,410C,410Eの緊密な嵌合に起因して得られる細菌不透過性ワイヤによりコンポーネント410A,410C,410Eの相互当接箇所を通ってフィルタ装置の内部に入ることができない。これは、潜在的に装置1の内面は、どの機械の場合も同様、これらの部品の構成材料からであるにせよ本明細書において説明する安全防護策にもかかわらず機械に入り込む細菌からのいずれであるにせよ、潜在的な汚染要因物源であるので有利である。それ故、細菌不透過性バリヤは、フィルタ組立体(410A〜410E)の側部又は継手を通る細菌の入り込みを阻止する。
【0237】
また、同じ細菌不透過性ワイヤは、フィルタ装置内部の生きている細菌が装置をオフにしたとき又は空気流を発生させていないときに装置の内部に逃げ込むのを阻止する。例えば、細菌は、図1Aのグリル15を通って入る場合がある。例えば、装置が使用されていないとき、細菌不透過性バリヤは、細菌が装置の内部に入るのを阻止する。これは、装置の内部それ自体が最終的に、細菌源になるのを阻止する(機械をオフにしたとき、主フィルタ410Bは、反対側の端部通路14を介して入った細菌が、装置の内部領域に達するのを阻止する。装置をもう1度オフにして使用すると、端部通路14内の細菌は、発熱体300からの熱によって殺菌される傾向がある)。
【0238】
フィルタ装置の表面内への細菌不透過性バリヤのこの形成は、可能な限り細菌が装置の内部に阻止するよう個々に且つ(或いは)組み合わせ状態で作用する装置の他の特徴部の機能を補完する。これは、乾燥装置1の内部がそれ自体細菌源になる状況を回避し又は最小限に抑えるためである。
【0239】
装置の内部への細菌の入り込みを最小限に抑えるこれら特徴部は、空気流からの100%の細菌除去を達成する装置1の能力に寄与する。換言すると、装置が空気流を発生させていない場合であっても、内部への細菌の入り込みを阻止することは、装置が、全体として100%の細菌除去という目的を達成できるかどうかに影響を及ぼす場合のある別の要因である。
【0240】
上述したように、主フィルタ装置410A〜410Eは、この実施形態では、ファンハウジング400への最終入口箇所のところに位置決めされると共に配置されている。この事実と合わせて、主フィルタ装置のために細菌不透過性バリヤを設けることにより、細菌が主フィルタ410Bの前部を除き且つこれを通ってしか、フィルタ組立体中の隙間又は継手を通って主孔405を通過することができないようになる。
【0241】
他の変形例では、フィルタ組立体のコンポーネントを互いに嵌合させる機構体は、いったん嵌合すると、コンポーネントをユーザによっては互いに引き離すことができないように設計されているのが良い。或る形態のロック機構体を提供することができる。これは、ユーザが、不注意にフィルタ組立体を開き、かくして、この中に入っている細菌を放出させないようにするためである。かかる実施形態の意図は、フィルタ組立体410A,410E全体を一体ユニットとして定期的に交換することにある。この実施形態では、フィルタ組立体を1箇月に少なくとも1回交換することが推奨される。
【0242】
注目されるように、幾つかの場合において、特に、非医学的周囲環境においては、厳密に言えば、木炭フィルタを用いることは必要ではない。一般的な健康状態の人々は、周囲大気中に出て行く空気流中の少量レベルの殺菌性物質を許容できる。
【0243】
一体ユニット:フィルタ及びそのコンポーネントの交換及び処分
図3、図7A、図7B、図8A、図8B、及び図1Bから、フィルタ装置は、組み立て状態において、一体且つ単一のユニットの形態をしている。換言すると、フィルタ装置の関連のコンポーネントは全て、単一の交換可能且つ使い捨て可能なユニット内に収納される。主フィルタ410Bが捕捉されて殺菌された細菌粒子で一杯になり始めると、主フィルタ装置全体を一体物として取り外して交換するのが良い。これは、主フィルタ組立体を楽に交換することができることにより、フィルタが捕捉されて殺菌された細菌粒子で詰まり始めたときに主フィルタ装置それ自体が細菌源にならないので有利である。交換が必要なのは繊維状フィルタ材料だけでなく、細菌で汚染された周囲コンポーネントである。かかる利点は、コンポーネントが別体のコンポーネントとして機械の周りに散在している先行技術の装置では得られない。
【0244】
一体ユニット:装置の内面の交換及び処分
このように単一ユニットを取り外して交換できることは、別の観点で理解できる。これにより、フィルタ要素410B,410Dの交換が可能になるだけでなく、まさに重要なこととして、これにより、最終孔405の最終入口箇所に最も近い装置1の「内面」412の取り外し及び交換が可能である。これにより、これら内面412はそれ自体、数箇月又は数年間の使用にわたっても、細菌又は他の汚染要因物で覆われた状態にはならない。
【0245】
これにより、装置の設計を装置が新品になった場合に果たすその潜在的性能ではなく、数年間の使用後におけるその潜在的な性能について評価しなければならないことが認識される。数年間経つと、機械の内面も又、細菌で汚染された状態になる場合がある。これは、長年にわたって働いている場合がある装置の長期間の使用にわたり空気流から100%の細菌除去を達成する困難性に別の要因を追加する。
【0246】
かくして、最終孔405の最も近くに位置する装置の重要な内面を交換できることは、この実施形態において、単に新品の装置ではなく、数年間の使用にわたり100%の細菌除去を達成することができることに寄与する別の要因である。
【0247】
先行技術の装置では、機械の周りに散在したコンポーネントは場合によっては取り外し可能であるが、内面を交換することは非常に困難である。したがって、本実施形態では、主フィルタ装置内に作られたこの密閉環境を単一ユニットとして取り外して交換できるということは、利点である。最終孔に通じる重要な内面を容易に交換することができる。これにより、最終捕捉フィルタ410Bの下流側に位置する内面はそれ自体、時間の経過につれて、細菌源にはならないようになる。
【0248】
図7B、図8B、図9A、及び図9Bでは、主捕捉フィルタ410Bと木炭注入フィルタ410Dは、容積隙間413の形態をした容積部によって分離されている。隙間413は、細菌不透過性バリヤ内に密封されている。容積隙間413は、空気流が捕捉フィルタ410Bを出た後に入る一時的行き先として働く。理論によって限定されるものではないが、この局限された容積隙間413は、空気乱流及び空気流速度の減少を増大させる場合のある広い洞穴状容積部全体にわたり空気流を拡散させるのではなく、空気流を局限された領域内に維持するのを助ける。
【0249】
主捕捉フィルタ410Bと木炭注入フィルタ410Dは、空気流が通過しない場合、一般に、互いに平行であり、これら相互間の容積部が平らであって且つ平面状になるようになっている。
【0250】
空気流は、主捕捉フィルタ410Bから出て空気流がフィルタ手段の各の表面に実質的に垂直になるような仕方で木炭注入フィルタ410Dに入る。
【0251】
図7Aでは、各フィルタコンポーネントのリムの高さは、各フィルタコンポーネント相互間の隙間413の距離を定める。フィルタ片相互間の距離は、空気がフィルタ装置全体を通って流れることができる能力に影響を及ぼすことが考えられる。これは、隙間無くフィルタ材料の単一の厚手のサンドイッチとして互いに配置された同一のフィルタ材料410B,410Dが、空気流の同一の速度の実現を可能にしないからである。
【0252】
木炭フィルタ410Dは、比較的捕捉フィルタに近接して位置すべきであり、したがって、主フィルタ410Bからの抗菌性毒性物質の実質的に全てを遮ることができるようになる。そうでない場合、木炭フィルタ410Dが、捕捉フィルタ410Bから非常に長い距離だけ離される場合、数年間の期間が経過すると、主捕捉フィルタ410Bと木炭注入フィルタ410Dとの間の装置の内面には、毒性の抗菌性化学物質の定常的な蓄積が生じている場合がある。かくして、隙間413ができるだけ小さいことは、利点である。隙間413が小さいことにより、主フィルタ410Bから出る空気流は、毒性抗菌性液体が装置の内面に被着する可能性がほとんど無い状態で、木炭フィルタ410D内にすぐと言っていいほど早く入ることになる。
【0253】
物質の放出
大まかに再検討すると、空気流は、細菌が繊維に塗布されている抗菌性液体により捕捉されて殺菌される捕捉フィルタ410Bを介してフィルタ装置に入る。次に、連続して、フィルタ410Bから出た空気流は、木炭注入フィルタ410Dに入り、ここで、空気流中の微量の抗菌性液体が除去される。
【0254】
図8A及び図8Bの第3の実施形態では、2つのフィルタ410B,410Dの後に、第3のハウジング410G内に保持された放出フィルタ410Fの形態をした放出フィルタ手段が設けられるのが良い。
【0255】
この放出フィルタ410Fの目的は、何らかの利点を有する或る放出可能な物質を空気流中に加え又は注入することにある。例えば、有益な放出可能な物質は、ユーザに空気で運ばれる仕方で投与できる医薬品であるのが良い。一例では、医薬品は、喘息で苦しんでいる人々によって使用される薬剤であるのが良い。代表的には、喘息で苦しんでいる人々は、薬剤蒸気を吸い込む吸入器を用いるが、本発明の実施形態を利用すると、その薬剤を周囲大気中に注入することができ、その結果、医薬品を微量の状態で連続的に吸い込むことができるようになる。この方式は、他の呼吸器疾患、例えば気管支炎や静脈洞炎と関連して利用できる。潜在的に、人々が蒸気を吸い込むことによって治療される疾患は、その物質を空気中に放出することにより緩和することができる。
【0256】
変形例として、有利な放出可能物質は、フレグレランスであっても良い。これは、装置1が不快の臭いのある環境、例えば、芳香剤を雰囲気中に注入する必要のある公衆トイレで用いる場合に有用である。これは、特にアロマテラピーの分野に利用できる。
【0257】
医療分野又は他の洗面所で用いられるハンドドライヤの場合、主フィルタ410Bからの毒性の高い殺菌性物質が好ましくは空気流から除去されるべきであっても、この次の放出フィルタ410Fは、毒性の低い抗菌性物質を放出することができ、この抗菌性物質は、捕捉フィルタ410Bに見られる毒性の高い物質と比較して効力が低い。この毒性の低い物質を手を乾かしながらユーザの手に差し向けるのが良い。これにより、手の追加の抗菌性処理が可能になる。
【0258】
この実施形態では、放出フィルタ410Fから放出された毒性の低い抗菌性物質も又、端部開口部14を介して装置1に入る量の細菌を殺菌し又は最小限に抑える追加の役割を果たす。
【0259】
上述したように、有益な放出可能物質は各々、化学物質放出剤と組み合わせて使用できる。
【0260】
ばたつきフィルタ
図9A及び図9Bは、フィルタがこれらのフィルタハウジング内に設けられた実施形態を示しており、図9Aは、空気流が無い場合であり、図9Bは、空気流が通過する場合である。
【0261】
この実施形態では、上述したフィルタは、ピン411にルーズに取り付けられた平らなフィルタ材料片の形態をしている。フィルタピンにルーズに取り付けることは、フィルタが図9Bに概略的に示されているように空気流中でばたつくことができるようになっていることである。理論により束縛されるものではないが、放出フィルタ410Fのこのばたつきは、放出可能な物質をフィルタ410Fの繊維から空気流中に放出するのを助けると考えられる。
【0262】
許容可能なフィルタ順序及び組み合わせ
本発明の種々の実施形態は、フィルタの或る範囲の許容可能な順序及び(又は)組み合わせを有することができる。
【0263】
フィルタ装置の全ての実施形態では、主細菌捕捉フィルタ410Bが、必要不可欠である。
【0264】
或る特定の医療環境に関し、捕捉フィルタ410Bの次に木炭注入繊維状フィルタ410Dを設けることが好ましく、主捕捉フィルタ410Bに用いられる微量の毒性の高い殺菌性物質に悪影響を受ける場合のある人々が存在している他の人間活動環境内においても同様である。微量の毒性殺菌性物質の悪影響を受けやすい多くの人々が存在していることは滅多に無い他の環境では、木炭注入繊維状フィルタ410Dを省いても良い。例えば、かかる場合、放出フィルタ410Fは、順序の中の次のフィルタとして捕捉フィルタ410Bの次に位置しても良い。
【0265】
また、他の環境では、放出フィルタ410Fが不要な場合があり、この場合、捕捉フィルタ410Bだけを設け、必要に応じ木炭注入繊維状フィルタ410Dを配置すると十分である。
【0266】
フィルタ順序及び組み合わせ:4つのフィルタ
図8C及び図8Dは、フィルタ装置が連続した4つのフィルタ410B,410D,410F,410FFを有する第4の実施形態を示している。
【0267】
図8C及び図8Dでは、フィルタ装置中の空気流は、まず最初に、主捕捉フィルタ410B及び木炭注入フィルタ410Dに遭遇する。これらの次に、2つの放出フィルタ410F,410FFが設けられている。
【0268】
この実施形態では、2つ又は3つ以上の放出フィルタ410F,410FFが設けられる場合、各放出フィルタは、好ましくは、互いに異なる有益な放出可能物質を収容する。
例えば、順序中の次のフィルタ410Fは、フレグランス又は香水を空気中に放出するのが良く、他方、順序中の最後のフィルタ410FFは、毒性の低い抗菌性物質を放出するのが良い。
【0269】
したがって、図8Cの4つのフィルタ形実施形態では、次の通りである。
【0270】
i)空気流中の細菌は、フィルタにより捕捉され、第1のフィルタ410Bに塗布されている有毒の毒性の高い抗菌性物質により殺菌され、
ii)有毒抗菌性物質は、木炭注入フィルタ410Dにより空気流から除去され、
iii)最後から2番目の放出フィルタ410Fからのフレグランス又は香水が、蒸発して空気流中に入れられ、
iv)ミスト状の緩和な抗菌性物質が最後の放出フィルタ410FFにより空気流中に放出され、したがって、装置から出る空気流は、緩和な非毒性抗菌性物質を含むようになる。
【0271】
注目されることとして、物質が完全に又は実質的に空気流中に蒸発することにより或る物質が空気流中に放出される。これとは対照的に、微粒子又は微細なミスト状の液体として空気流中に放出される他の物質がある。例えば、上述の例では、香水又はフレグランスが、空気流中に蒸発する可能性が多分にあり、これに対し、或る種類の緩和な抗菌性物質を空気流中に放出することは、空気流に入る微細なミストの形態で起こる可能性が多分にある。
【0272】
したがって、2つ又は3つ以上の放出フィルタ410F,410FFが設けられる場合及びこれらのうち一方が蒸発性物質を有し、他方がミストを形成する物質を有する場合、空気流は、まず最初に、蒸発性物質を含むフィルタ410Fに遭遇し、次に、ミストを形成する物質を含むフィルタ410FFに遭遇することが好ましい。
【0273】
このような順序及び配置が推奨されるが、その理由は、ミスト形成物質が最後から2番目のフィルタ(図8Aでは410F)に塗布された場合、ミストは、周囲環境中に放出されるのではなく、最後のフィルタ(410FF)上に捕捉され又は集まる可能性が多分にあるからである。
【0274】
許容可能なフィルタ順序を保証するフィルタ順序機構体
フィルタ装置中のコンポーネントが所望の順序で互いに配置され又は嵌合されるようにするため、フィルタホルダは各々、所定の許容可能な順序でのみ別のフィルタホルダと係合できる機構体を備える。フィルタホルダ410C,410E,410Gは各々、フィルタを上述の順序でしか互いに取り付けることができないような取り付け順序手段を備えている。
【0275】
各フィルタハウジングに設けられた取り付け順序手段は、許容可能な順序のうちの1つにおいて、次に位置するフィルタハウジングに設けられた対応の輪郭としか正確に合致しない異形輪郭の形態をしている。図7Bでは、取り付け順序手段では差し込み形マウントの形態をしている。ハウジング410C,410E,410Gの各々に対する差し込み形マウントの寸法及び位置は、上述したように、受け入れることができない組み合わせが起こる可能性が無いように設計されている。
【0276】
例えば、フィルタ装置の実施形態は、順序中の第1のフィルタである木炭注入繊維状フィルタ410Dを備えることができない。それ故、フィルタハウジング410C,410E,410Gは、許容可能な組み合わせにおけるフィルタハウジングの別なものとしか合致することができず又は連結することができないコネクタを備えた状態で設計されている。
【0277】
例えば、許容可能な組み合わせは、図7Bに見られ、この場合、主フィルタハウジング410Cの後部は、木炭注入フィルタのためのハウジング410Dの前部に合致し又はこれと結合することができる。
【0278】
他の実施形態では、取り付け順序手段は、1つのフィルタハウジングに設けられ、対応のピン穴が設けられた場合にフィルタハウジングの別のものとしか合致することができないピンの形態をしていても良い。ピン及びピン穴の配設場所は、許容可能な結合順序のみが可能であるように定められる。
【0279】
フィルタホルダの各々が許容可能な順序で互いに取り付けられた場合、フィルタホルダは、互いに組み合わさって上述した細菌不透過性バリヤを形成する。
【0280】
フィルタホルダは又、これ又上述した単一のスタックを形成する許容可能な順序で互いに嵌まり合う。
【0281】
1つ又は複数の補助フィルタ
図1A及び図1Bの実施形態では、主フィルタ組立体410A,410B,410C及び更に好ましくは410D〜410Gに加えて、入口手段が、主フィルタ装置410A〜410E/Gと直列に配置された1つ又は2つ以上の補助フィルタを更に有することが好ましい。
【0282】
図1Aの実施形態では、補助フィルタ520Bは、空気流中の細菌の数を部分的に減少させるが、空気流の全てが補助フィルタを通るわけではない。例えば、この実施形態では、フード10とベースプレート11との間の隙間を密封するゴムストリップが設けられていない場合、幾分かの空気流は、これら隙間を通ってドライヤ1に入ることができ、その結果、隙間を通る細菌の入り込みを可能にする。これは、この実施形態では、外部フィルタ520Bが単に「補助フィルタ」と見なされているからである。
【0283】
空気流の維持
1つ又は2つ以上の補助入口520Dは各々、細菌捕捉フィルタ手段(520B)を備えている。その理由として、2つ以上のフィルタを設けると、細菌が通過しなければならないフィルタ材料の全体的な組み合わせ「厚さ」が増大し、かくして、細菌がフィルタ材料により捕捉される可能性が高くなるからである。
【0284】
図1A及び図1Bの実施形態では、ハウジング10,11に流入した空気は、一連の孔を通過した後、最終的に発熱体300に達する(最初の補助孔520Dは、図1Aでは見えない。というのは、この孔520Dは、補助フィルタ組立体520A,520B,520Cが分解組立て図で示されているからであり、これにより、補助フィルタ組立体の3つの部分がどのようにこの孔520Dに嵌まっているかが分かる)。
【0285】
補助フィルタホルダ520A,520Cの粗いメッシュは、大きなダスト及び他の粒子を濾過して除去するのに有用である。他の実施形態は、補助フィルタ組立体内に構成された4つ以上の層を有しても良い。
【0286】
この最初の孔520Dのところに配置された補助フィルタ520Bは、ドライヤの入口手段に入った細菌粒子の相当な部分を止める。しかしながら、実際には、この補助フィルタ520Bにより全ての細菌粒子が捕捉されるわけではなく、更に、ハウジング10,11の隙間を通って、又、フード10が開いている場合でも別の細菌がドライヤ1に入る場合がある。したがって、主孔405に取り付けられた主フィルタ410Bは、最初の補助フィルタ520Bによる捕捉を免れた空気流中の細菌を捕捉するために用いられる。
【0287】
論理的に必然的なこととして、空気流が通過しなければならないフィルタ材料の厚さが大きければ大きいほど、空気流で運ばれる細菌が捕捉される可能性がそれだけ一層高くなる。しかしながら、単に内部ファンケーシング400に見られる主フィルタ410Bの厚さを増大させることは、実行可能な解決策ではない。これは、ファン401の作動にはファンの動作パラメータの一部として空気の或る特定の入力又はスループットが必要だからである。主フィルタ410Bを単に厚くした場合、それにより、ファンケーシングに入る空気の量が少なくなり、これは、ファン機構体の過熱及び劣化を生じさせる可能性が非常に高く、しかも、ファンモータに火が付くことさえあり得る。
【0288】
したがって、主フィルタ410Bの厚さを単に増大させるのではなく、2つ又は3つ以上の捕捉フィルタを直列に設けて空気流が通過しなければならないフィルタ材料の量を効果的に増大させることが好ましい。換言すると、空気流が主フィルタ410Bに至る前に通過しなければならない1つ又は2つ以上の補助フィルタ520Bを設けることが好ましい。
【0289】
変形例として、一連の捕捉フィルタが設けられた実施形態では、これらは、別の多数の捕捉フィルタコンポーネント410B,410Cを追加することによっても達成できる。この直列配置は、コンポーネントのスタックを増やすことによって達成される。換言すると、大きく且つ等価な厚さのたった1つの捕捉フィルタを設けるのではなく、数個の捕捉フィルタを直列に設ける方が良い。
【0290】
この実施形態では、補助フィルタ520Bは、主フィルタ410Bと直列であるとも考えることができる。というのは、空気流が順序によって次々に又はそのまま連続してこれらフィルタの各々を通過するからである。
【0291】
背景技術を説明すると、ファン組立体401は、空気をハウジング10,11内からポンプに吸い込む空気ポンプとして働く。ファン401により生じる空気流の速度を維持するためには、ファンが吸い込むのに十分なひとまとまりの空気がなければならない。これは、ハウジング10,11がかなり大きな内部を備えているからであり、したがって、かなり大きな塊の空気をファン組立体の近くに配置することができるようになる。これは又、主孔405及び主フィルタ組立体410A,410B,410Cが連続体中のその次の最も近くの入口、即ち、最初の補助孔520D及びそのフィルタ組立体520A,520Bから、単位時間当たりの空気の量の点で、ファン401の組立体の空気取り入れ要件を満足するのに十分な空気を収容したハウジング内の相当広い空間だけ離されているからである。
【0292】
一連のフィルタの利点
この実施形態では、少なくとも1つの補助入口520Dを、ハウジングの外部からユーザが接近できるようにハウジング10の外面に設けるのが良い。図1Aは、補助フィルタの組立体520A,520B,520Cを分解組立て図で示しており、そのコンポーネントにハウジング10の外部から接近して交換できることを示している。
【0293】
内部主フィルタ410B及び外部補助フィルタ510Bを有する図1A及び図1Bの実施形態では、外部フィルタ520Bは、ダスト及び大きな粒子の大部分を捕捉することが分かる。これにより、内部主フィルタ410Bをほとんど場合細菌粒子の捕捉のために使用できるようになる。
【0294】
実験的試験にあたり、補助フィルタ520Bだけが設けられている状態では、ドライヤ1は、ドライヤから放出された空気流中の細菌粒子の約79%の減少を達成できることが判明した。この効率の損失の理由は、幾分かの細菌がフード10の縁部とベースプレート11との間の微小な隙間を通ってハウジング10,11に入ったからであると考えられる。
【0295】
しかしながら、ファンハウジングの最後の入口405のところに設けられた主フィルタ410Bと補助フィルタ520Bの組み合わせの場合、実験的試験の示すところによれば、ドライヤ1は、放出された空気流200Cから細菌粒子を100%除去するという目的を達成できた。
【0296】
主フィルタがフード10の表面上に設けられると共にこれが唯一のフィルタ装置である変形例では、好ましくは、ハウジングへの他の全ての隙間又は入口の全てが使用中に密閉された場合、好ましい100%の細菌除去を達成することができる。例えば、ハウジング10とベースプレート11との間の隙間にゴムガスケットを備え付けるのが良く、その結果、フード10を閉じてベースプレート11に圧接したときにシールが作られるようになり、しかしながら、この変形例は、フードが開かれて細菌が装置内に導入された場合、効率が低い。換言すると、この実施形態では、装置の空気流経路のための意図及び設計により意図されていないハウジング内の隙間は全て、細菌の入り込みを阻止するようなレベルまで密封される。
【0297】
疑義が無いようにするため、意図及び設計による装置の空気流経路は、空気流を通すことができる意図を備えた孔を有することを特徴とし、空気が偶発的に入る場合のある意図しない隙間を備えていない。
【0298】
他の実施形態では、補助フィルタホルダ520A,520Cは又、フレグランスを含む塊状の材料を保持するのが良い。他の実施形態では、補助フィルタは、フレグランスキャリヤと抗菌性の殺菌物質で含浸されたフィルタ材料の両方を担持するのが良い。
【0299】
フィルタ交換
本実施形態では、フィルタは、実際に、細菌粒子を捕捉し、捕捉した粒子を殺菌する。
その結果、フィルタは、時間の経過によって死んだ細菌粒子で詰まった状態になる場合がある。それ故、図1Aの実施形態では、1つ又は複数のフィルタ410B,520Bを毎月交換することが推奨される。
【0300】
実際問題として、ドライヤのメンテナンスに対する責任を負っている人が、最適な動作条件を得るために必要なほど頻繁にフィルタを交換するのを忘れてしまう場合がある。フィルタを交換しないでこれが詰まり状態になった場合、これにより、モータの損傷が生じる場合がある。例えば、モータは、詰まり状態のフィルタによりモータが過熱しないようにするために必要なレベルよりも少ない空気がモータに達するので過熱する場合がある。
【0301】
それ故、図6A及び図6Bの変形実施形態では、細菌捕捉フィルタ手段は、フィルタ材料を使用の際に交換用フィルタ材料と自動的に交換できるフィルタ交換機構体を有する。
【0302】
図6Aの実施形態では、フィルタ交換機構体は、スプールモータ700を含む。図6Aでは、フィルタ材料は、コンベヤベルトに似た仕方でスプール710の周りに移動するシート状のフィルタ材料440Bのループの形態をしている。
【0303】
シート状フィルタ材料440Bは、図6Aのフード10に設けられた補助孔(図示せず)を横切って動いてその補助孔のフィルタとしての役目を果たすようになる。かくして、時間の経過につれ、フィルタ材料440Bが孔を横切って通ると、使用中のフィルタ材料が或る期間後に定期的に交換用フィルタ材料と交換される。
【0304】
他の実施形態では、シート状フィルタ材料440Bは、主フィルタ組立体で使用されるようになっているのが良い。
【0305】
スプールモータ700の動作は、スプールモータのタイミング及び動作を制御するマイクロプロセッサ制御回路によって制御される。モータ700は、フィルタ材料440Bを連続的か間欠的かのいずれかで移動させることができる。例えば、モータは、フィルタ材料を毎月1回移動させることができ、したがって、孔を覆っているフィルタ材料が効果的に毎月交換されるようになる。変形例として、モータ700は、フィルタ材料440Bを一定の非常に遅い動作で徐々に移動させても良い。これにより、多量のフィルタ材料が濾過プロセスに酸化することができる。このフィルタ材料440Bも又頻繁に、例えば、1箇月に1回交換すると仮定すると、このことが意味することは、この形態のサイクル式フィルタは、詰まり状態になる恐れが低い。
【0306】
この実施形態は、フィルタ材料が孔に対してぴんと張った状態に保持されるようにする案内を備えている。
【0307】
図6は、シート状フィルタ材料450Bがカメラのロールフィルムのように形成された別の変形例を示しており、このシート状フィルタ材料は、1つのスプールから次のスプールに進み、最終的に、第1のスプール710Aを離れ、その時点で、空気は、未濾過状態でハウジング10,11に入る。このことが意味することは、メンテナンスに責任を負っているユーザは、フィルタが第2のスプール110B上に完全に巻き取られる前に定時にフィルタを交換しなければならないということである。しかしながら、この変形例の利点は、フィルタがファンモータ430の損傷及び過熱をもたらす程度まで詰まった状態になる恐れが低いということである。
【0308】
注目されるように、図6A及び図6Bは、フィルタ交換機構体の実施形態の細部を示すためにのみ大まかに作成されており、分かりやすくするために、ドライヤの他の内部の詳細、例えばファンケーシング等は、図6A及び図6Bから省かれている。
【0309】
安全特徴
図1Aの実施形態では、図1B及び図3の内部主フィルタ組立体410A,410B,410Cは、ハウジングを開いてハウジング内の内部コンポーネントを露出させることによってのみ交換できる。
【0310】
この技術分野のハンドドライヤに関する一般的なコメントとして、電気技師としての訓練を受けなかったユーザによってハンドドライヤの本体又はハウジングを開くステップは、ユーザが感電死する恐れを増大させる場合がある。
【0311】
図1Aの実施形態では、ドライヤ1は、電力をドライヤ1に供給する電気制御回路を有している。電気制御回路は、ハウジングが開かれたときに電力供給を不能にしてハウジングを開いたときにユーザが感電死する恐れを最小限に抑えるためのカットオフ機構体を備えている。
【0312】
図1Bでは、カットオフ機構体は、押し下げたときにのみ電力供給を可能にする弾性取り付けスイッチ501の形態をしている。
【0313】
図2Aは、フード10が閉鎖状態にある本実施形態を示しており、図2Bは、フード10が開放状態にある同一の実施形態を示している。図2Bのこの開放状態では、ユーザは、内部コンポーネントに接近することができ、特に、内部主フィルタ410Bを交換することができる。
【0314】
ユーザが感電死する恐れを無くすため、フード19の内部は、直立ポスト502の形態をしたカットオフ機構体アクチベータ又はアクチュエータを備えている。図2Aと図2Bの比較から、フード10が閉じられていると、スイッチ501はポスト502の先端部によって押し下げられることは明白である。これに対し、フードを開くと、ポスト502の先端部は、スイッチ501を持ち上げ、それにより、ドライヤ1への電力供給が不能になる。
【0315】
スイッチ501は、ベースプレート11上に配置されてこれに取り付けられている。ハウジングのフード10は、ベースプレート11に着脱自在に取り付け可能である。ポスト502は、フードの内面に取り付けられている。
【0316】
変形実施形態では、デプレッサ(ポスト)をベースプレートに取り付ける一方でスイッチをフードの内面に取り付けても良い。
【0317】
カットオフ機構体の特徴は、少なくとも或る程度、好ましくは100%細菌が除去された加熱空気の流れを放出する滅菌乾燥装置の目的の達成に寄与する。これは、かかる特徴により、内部コンポーネントに露出されたときの感電死の恐れを生じさせることなく、内部フィルタ410Bをユーザにより交換できるからである。それ故、かかる特徴により、一連のフィルタをドライヤ内に収納することができる安全環境が得られる。
【0318】
ドライヤの設置
図1Aの実施形態では、ベースプレート11は、例えば壁に締結されている。ドライヤ1は、ハウジング10をベースプレート11に取り付けることにより壁に設置できる。これが意味することは、実際に、ドライヤ1に欠陥がある場合、ユーザは、フード10をベースプレート11から切り離して欠陥の無い交換用フード10を結合できるということである。
【0319】
電気カットオフスイッチ501は、ユーザがフード10を開き、フード及びその収納状態のコンポーネントの組立体を取り付け又は取り外す際の安全性レベルが向上することを意味している。カットオフスイッチ501により、装置1は、フードが閉じられるまで電気的に生きた(通電状態)になることはできないようになる。したがって、この特徴の商業的利点は、ドライヤ1を資格のある電気技術士ではない人によってメンテナンスできるということである。一般的に言って、これら乾燥装置のメンテナンスに対するコストの削減が得られ、又、装置を開かれた状態のドライヤに通電状態が生じないので資格のある電気技師がユニットを設置する要件が無い国で用いる場合、相当な節約が得られる。
【0320】
また、大形の建物、例えばホテル又は病院の建設の際、ベースプレートをまず最初に電気技師により設置して配線を電源につなぐことができ、次に、別の人が後でフード10をその取り付け状態のコンポーネント、例えば、400,430と共に取り付けることができる。
【0321】
フード10の組立体をベースプレート11から分離することができることによるもう1つの利点は、修理技術者がドライヤ10を定まった場所で修理する必要なく、ユーザは、フード組立体10をそのコンポーネントと共に単に取り外してこれを新品のフードと取り替えることができるということにある。次に、欠陥のあるフードを修理のために運び出すのが良い。これは、修理士がドライヤの設置されている場所で過剰な時間を費やす必要がないということを意味している。また、ユーザの経験する作動停止時間は、短く、ユーザは、助け無しにフードをそのコンポーネントと共に交換することができる。
【0322】
図1A及び図1Bの実施形態では、ドライヤ1は、ターミナルブロック500によって外部電源に接続される。ターミナルブロックは、外部電源へのドライヤ1の電気制御回路の接続を容易にする。
【0323】
図1Bでは、ドライヤ1の電気制御回路は、電源への接続のためにターミナルブロック500にプラグ接続できるプラグ503を有している。
【0324】
センサ
図1A及び図1Bでは、ドライヤ1は、検出器型センサの形態をしたセンサ手段を備えている。
【0325】
検出器型センサ600は、フード10の前部に設けられた突出端部開口部14の付近に手が存在しているかどうかを検出する。手が検出されると、検出器型センサ600は、回転ファン401及び発熱体300を作動させる。かくして、ユーザが自分の手を端部開口部14の下に配置すると、ドライヤ1は、自動的に作動してユーザの手の乾燥を開始する。
【0326】
この実施形態では、検出器型センサ600は、赤外センサを含む。
【0327】
周囲大気の衛生化
再検討のため、図1のドライヤは、ハウジング10,11に吸い込まれた空気から細菌粒子を除去し、空気を細菌粒子の全て又は実質的に全てが除去された状態で放出する能力を備える。かくして、ファン401が定期的に作動される場合、ドライヤ1のかかる変形実施形態は、雰囲気細菌除去装置として機能することができる。例えば、本実施形態のドライヤ1が30分毎、又は1時間毎、或いは他の或る適当な間隔で作動される場合、例えば公衆トイレ内の空気から、その空気伝染細菌の相当な部分が定期的に除去されて空気を清浄化できる。
【0328】
これを達成するため、改造された装置1は、ファン401を所定の期間にわたり定期的に自動作動させるタイマ制御回路を備えている。
【0329】
かくして、装置1の定期的な自動作動は、手乾燥装置の周りの周囲大気の一部を効果的に滅菌する。例えば、タイマ制御回路は、30分毎に3分間作動するのが良い。
【0330】
かかる改造型実施形態では、検出器型センサ600は又、手が存在していないかをどうかを検出することができる。検出器型センサ600により端部開口部14の付近に手が存在していないことが検出されると、これは、ドライヤ1を自動作動させて空気流を加熱しながら空気浄化モードで動作させることができる。これにより、ドライヤ1は、端部開口部14の下に配置された手に冷たい又は温かくない空気を吹き付けることがないようになる。かくして、タイマ制御回路は、装置1を一定の間隔で又は間欠的に作動させて装置1の周りの周囲大気を滅菌することができる。
【0331】
ハンドドライヤが周囲空気を滅菌する追加の機能を備えることができるようにするこの特徴は、特に、空気伝染疾患の発生が多い年のシーズンに有用である。例えば、これは、インフルエンザシーズンに特に有用である。
【0332】
また、この特徴により、ドライヤは、香りの付いた物質が更にフィルタホルダによって保持されている場合、芳香剤として働くことができる。例えば、フレグランス又は香水のパッドをフィルタホルダ410A,410C,520A,520C相互間に設けるのが良い。タイマ制御回路と関連して用いられた場合、このことは、洗面所又は公衆トイレ環境の周囲空気に自動的に且つ定期的に一定の間隔を置いてフレグランスを注入できるということを意味している。
【0333】
装置1を周囲環境空気を衛生化すると共に(或いは)フレグランスを周囲空気に与える手段として用いる場合、発熱体300を作動させないことが好ましく、もしそうでなければ、例えば、洗面所の温度が不必要に又はユーザにとって不快な程度まで増大する場合がある。
【0334】
変形例として、幾つかの実施形態では、発熱体300は、タイマ制御回路によりこの自動作動中依然として作動されるのが良い。この自動サイクル中、ヒータを動作状態にしておいても、周囲空気を過剰には昇温させないことが判明した。
【0335】
かくして、本発明の幾つかの実施形態は、芳香剤、滅菌ハンドドライヤ及び周囲空気衛生化手段の組み合わせとして機能することができる。
【0336】
別の実施形態では、タイマ制御回路は、光センサ手段504を備え、任意的に、タイマ制御回路が光センサ手段により周囲光が存在していることが分かった場合にのみ、周囲空気衛生化及び(又は)香り付けの目的で装置を自動作動させるに過ぎないように拘束されるのが良い。換言すると、この機能は、例えば洗面所又はトイレが真っ暗闇の中にある場合、自動作動することはないであろう。このことは、洗面所が日中にのみ用いられる場合に当てはまり、装置が夜中に連続して動作する必要はない。
【0337】
別の変形例
実施形態を説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲に含まれる改造例を想到できる。
【0338】
他の実施形態では、ファンケーシング400及びファンモータのコンポーネントをフード10の内部にではなく、ベースプレート11に締結しても良い。
他の実施形態では、空気流200Cをドライヤ1の周りの周囲環境に直接放出するのではなく、乾燥チャンバ内に放出しても良い。
【0339】
ポスト502及びカットオフ機構体の形状は、同一の機能を達成するならば様々であって良い。例えば、カットオフ機構体をヒンジ12のところに組み込んでも良い。この実施形態は、カットオフがフードを開いたときに生じる限り、カットオフ機構体の特定の外観には限定されない。
【0340】
フィルタの数は、特に、用いられるモータの出力に応じて様々であって良い。
【0341】
モータ又はファンの形式は、様々であって良い。
【0342】
本明細書における先行技術の説明は、当業者の共通の一般的な知識の現状の承認であると見なされるべきではない。
【0343】
本明細書は、本発明の多くの特徴に関する記載を含む。
【0344】
他の産業上の利用分野
本発明のフィルタ装置は、温風ハンドドライヤとは別に、空気流を吸い込んでこれを放出する他の装置にも利用できる。かかる他の装置としては、ヘアドライヤ、真空掃除機、ファン、空気調和器、冷蔵庫、衣類タンブル乾燥機等が挙げられるが、これらには限定されない。ヘアドライヤ、真空掃除機、ファン、及び冷蔵庫の以下の例示の実施形態において、ハンドドライヤ1のフィルタ装置の特徴及び利点、並びに好ましい特徴についての上述の説明は、ヘアドライヤ、真空掃除機、ファン、空気調和器、衣類乾燥機、冷蔵庫、及び他の適用可能な用途の大まかな説明に当てはまる。
【0345】
例:ヘアドライヤ
図10Aは、ヘアドライヤ2に用いられるフィルタ装置の実施形態を示している。
【0346】
ヘアドライヤ2を通る空気流は、矢印200A,200Cで表されている。周囲空気が、ヘアドライヤ2に入り(矢印200A)、温められ、次に、ヘアドライヤを出る(矢印200C)。
【0347】
ヘアドライヤ2に関する意図は、ハンドドライヤ1に関する意図と同一であり、即ち、ドライヤから出る高温空気200Cの流れ(熱風)には、細菌が含まれていないはずである。
【0348】
ヘアドライヤ2内へのフィルタ装置の配置原理は、空気流と関連したフィルタの順序の面においてハンドドライヤ1の配置原理と幾分類似しているが、ベース要素への取り付け順序は、逆になっている。
【0349】
図10Aは、主フィルタ組立体410A,410B,410C,410D,410Eの分解組立て図である。
【0350】
図10Aは、主フィルタ組立体がヘアドライヤのケーシング400の主入口405に嵌まり込む場所と関連して主フィルタ組立体を示している(読者がこの実施形態を理解するのを助けるためだけのために先の実施形態と同一の参照符号が用いられている)。
【0351】
図10Aでは、フィルタ組立体は、ヘアドライヤの主入口又は主孔405に直接嵌まり込むベース要素410Aを有している。
【0352】
ベース要素410Aは、ベース要素が主孔405と嵌合してこれとロック関係をなすことができるようにする幾つかの弾性爪408を備えている。
【0353】
ヘアドライヤの場合、細菌捕捉フィルタ410Bは、ベース要素410Aと直接接触していない。その代わりに、捕捉フィルタ410Bは、流入空気流路200Aを受け入れる順序において最初ものでなければならない。
【0354】
フィルタの順序は、常に、空気流200A,200Cの方向と関連して説明される。
【0355】
したがって、フィルタホルダ410Cは、細菌捕捉フィルタ材料410Bを担持するために用いられる。これは、空気流200Aがヘアドライヤ2に入るときに空気流200Aが遭遇する最初のフィルタである。この捕捉フィルタ410Bは、抗菌性の粘着性被膜で被覆されており、上述したように働く。
【0356】
次に、順序において、空気流は、木炭注入フィルタ410Dを担持するために用いられる別のフィルタホルダ410Eに遭遇する。この木炭フィルタ410Dは、空気流200Aを遮り、この空気流200Aから微量の殺菌性物質を除去する。
【0357】
木炭フィルタのためのフィルタホルダ410Eは、ベース要素410Aと係合するものである。
【0358】
ベース要素410Aは、ヘアドライヤ2の後端部に係合する。
【0359】
かくして、ヘアドライヤ2の主入口405に入った空気流は、細菌が100%含まれていないものであることができ、かくして、ユーザの手に放出される温かい空気流も又、100%細菌が含まれておらず、しかも、まさに重要なこととして、毒性の殺菌性物質が含まれていない。
【0360】
図10Bの別の実施形態では、第3のフィルタを順序において追加して上述したのと同様な仕方で物質放出フィルタを追加するのが良い。フレグランスを空気流に追加するのが良く、このフレグランスは、香りを乾燥中の髪に与えることができる。フレグランスフィルタは、ベース要素410Aと木炭フィルタホルダ410Eとのまさに間に位置決めされる。換言すると、フレグランスフィルタは、順序において最後のフィルタである。
【0361】
図10Cは、図8Cに示す4フィルタ装置とほぼ同じ4フィルタ装置を有する図10Aの実施形態の別の改造例を示している。
【0362】
他の実施形態では、フィルタ装置410A〜410Eをユーザの目に付かないようにヘアドライヤ2のケーシング内に収納するのが良い。フィルタの内部スタックも又、細菌不透過性バリヤを有し、この細菌不透過性バリヤは、ハンドドライヤ1の内部構造体と関連して説明した利点をもたらす。
【0363】
例:真空掃除機
図11Aは、真空掃除機3に用いられるフィルタ装置の実施形態を示している。
【0364】
真空掃除機3を通る空気流は、矢印200A,200Cで表されている。周囲空気が、真空掃除機3に入り(矢印200A)、ダスト及び大きな粒子に関して濾過され、次に、真空掃除機から出る(矢印200C)。しかしながら、この周囲空気は依然として細菌を含んでおり、したがって、フィルタ装置を用いて細菌及び病原菌を除去する。
【0365】
図11Aは、主フィルタ組立体410A,410B,410C,410D,410Eの分解組立て斜視図である。
【0366】
図11Aは、主フィルタ組立体が真空掃除機のケーシング400の後部の主出口405に嵌まり込む場所と関連して主フィルタ組立体を示している。(読者がこの実施形態を理解するのを助けるためだけのために先の実施形態と同一の参照符号が用いられている)。
【0367】
図11Aでは、フィルタ組立体は、真空掃除機の後部のところの主入口又は主出口孔405に直接嵌まり込むベース要素410Aを有している。
【0368】
ベース要素410Aは、ベース要素が主出口孔405に係合してこれとロック関係をなすことができるようにする幾つかの弾性爪408を備えている。
【0369】
真空掃除機の場合、この場合も又、捕捉フィルタ410Bは、流出空気流200Cに接触する順序中の最初のものである。
【0370】
フィルタの順序は、常に、空気流200A,200Cの方向と関連して説明される。
【0371】
図11Aでは、フィルタ組立体は、真空掃除機の主入口又は主出口孔405に直接嵌まり込むベース要素410Aを有している。ベース要素410Aは、ベース要素が主出口孔405と嵌合してこれとロック関係をなすことができるようにする幾つかの弾性爪408を備えている。
【0372】
真空掃除機から出た空気流200Cは、まず最初に、細菌捕捉フィルタ410Bに遭遇する。細菌捕捉フィルタ410Bは、ベース要素410に係合したフィルタホルダ410Cにより支持されると共にこれによって収納されている。この捕捉フィルタ410Bは、抗菌性の粘着性被膜で被覆されており、上述したように働く。
【0373】
ベース要素410A及びフィルタホルダ410Cは、これら部品が差し込み形係合手段と嵌まり合うことができるよう対応の差し込み取り付け部品を備えている。他の実施形態では、他形態の係合機構体、例えば、相互嵌合ピン又は圧力嵌めマウントを用いても良い。
【0374】
次に、順序において、空気流は、別のフィルタホルダ410Eにより支持され又は収納された木炭注入フィルタ410Dに遭遇する。この木炭フィルタ410Dは、空気流200Aを遮り、この空気流から微量の殺菌性物質を除去する。
【0375】
かくして、真空掃除機3の主出口405から出た空気流には、100%細菌が含まれておらず、しかも、まさに重要なこととして、毒性の殺菌性物質が含まれていない。かくして、これは、周囲大気の細菌による汚染に寄与することはない。
【0376】
他の実施形態では、フィルタ装置410A〜410Eをユーザの目に付かないようにヘアドライヤ2のケーシング内に収納するのが良い。フィルタの内部スタックも又、細菌不透過性バリヤを有し、この細菌不透過性バリヤは、ハンドドライヤ1の内部構造体と関連して説明した利点をもたらす。
【0377】
通常の真空掃除機から出た空気は、床から吸い込んだ病原菌を含む。それ故、上述のフィルタ装置は、真空掃除機からの流出空気流から細菌を除去するのを助ける。
【0378】
図11Bは、図8Cに示す4フィルタ装置とほぼ同じ4フィルタ装置を有する図11Aの実施形態の別の改造例を示している。
【0379】
例:ファン
図12Aは、フィルタ装置の実施形態を用いるファン4の正面図である。図12Bは、ファンの側面図である。
【0380】
ファン4を通る空気流は、矢印200A,200Cで表されている。
【0381】
回転可能なファン羽根4Aは、2つの反対側に位置すると共に対向したドーム半部状のケージ4B−F,4B−R(F=前、R=後)で構成されたケージから成るエンクロージャ内に収納されている。
【0382】
周囲空気(矢印200A)が、ドーム後側ドーム半部ケージ4B−Rを通ってファン4の後部に入り、前側ドーム半部ケージ4B−Fを通ってファンにより放出される(矢印200C)。
【0383】
図12Cは、主フィルタ組立体410A,410B,410C,410D,410E,410F,410Gの分解組立て側面図である。(読者がこの実施形態を理解するのを助けるためだけのために先の実施形態と同一の参照符号が用いられている)。
【0384】
後側ドーム半部ケージ4B−Rの外面には、フィルタ装置が取り付けられており、このフィルタ装置は、入れ子式のドーム半部フィルタホルダ410C,410E,410Gのスタックとして形成されている。これらフィルタホルダは各々、そのドーム内に、ハンドドライヤ1に用いられるフィルタと関連して上述した繊維状フィルタを支持している。
【0385】
この実施形態では、フィルタ装置の機能は、ファンから出た空気流200Cが単に流入する空気流200Aの場合よりも含んでいる細菌が実質的に少ないようにすることにある。
【0386】
図12Bは、フィルタホルダ410C,410E,410Gが全て互いに次々に取り付けられた主フィルタ組立体の側面図である。フィルタホルダ410C,410E,410Gは、図12Cの分解組立て図でより明確に示されている。
【0387】
フィルタホルダは、これらフィルタホルダを後側ドーム状ケージ4B−Rの後部に取り付けるようにすることができる取り付け手段を備えている。実際の取り付け手段は、ここには図示されていないが、多くの形態で具体化できる。
【0388】
空気流200Aをファン4に向かって引き込むと、この空気流は、まず最初に、第1のフィルタホルダ410Cに遭遇し、この第1のフィルタホルダは、ハンドドライヤ1と関連して上述した種類及び機能の細菌捕捉フィルタ材料410Bをその内側湾曲面上に保持した状態で備えている。
【0389】
次に、該当する場合には又は所望ならば、空気流200Aは、第2のフィルタホルダ410Eに遭遇し、この第2のフィルタホルダは、ハンドドライヤ1と関連して上述した種類及び機能の木炭粒子注入フィルタ10Dをその内側湾曲面上に保持した状態で備えている。
【0390】
好ましくは、空気流200Aは、第3のフィルタホルダ410Fに遭遇し、この第3のフィルタホルダは、ハンドドライヤ1と関連して上述した種類及び機能の放出フィルタ410Fをその内側湾曲面上に保持した状態で備えており、この放出フィルタは、放出可能な物質をフィルタ410Fの繊維から空気流中に放出する。
【0391】
かくして、ファンに流入してこれから放出された空気流は、周囲空気のレベルよりも細菌粒子のレベルが実質的に低く、しかも、まさに重要なこととして、捕捉フィルタ410B内の細菌を殺菌するために用いられる毒性の殺菌性物質が含まれていない。
【0392】
他の実施形態では、フィルタ装置410A〜410Gをユーザの目に付かないようにファン4のためのケーシング内部に収納するのが良い。
【0393】
フィルタホルダ410C,410E,410Gは、半円形ドーム状ケージとして形成され、かかる半円形ドーム状ケージは、ドームの半径に沿って設けられていて、フィルタホルダがファンの支持スタンド又はフレーム4Cに嵌まることができるよう一時的に広げることができるスリットを有する。
【0394】
フィルタホルダは各々、ファンのフレーム4Cを受け入れる中央に設けられた穴を更に有している。
【0395】
この実施形態では、ファンの実際の形態は、本発明の一部ではない。というのは、本発明のフィルタ装置の実施形態は、多種多様なファンに使用できるようになっているからである。
【0396】
図12D及び図12Eは、図8Cの実施形態の機能とほぼ同じ機能を有する4フィルタ装置を備えたファン用のフィルタ装置の別の実施形態を示している。
【0397】
例:空気調和器及び衣類乾燥機
フィルタ装置の実施形態は、空気調和器及び衣類又は衣服乾燥機にも組み込むことができる。衣類乾燥機の場合、フィルタ装置は、衣類が細菌を含んだ空気に当てられないようにするよう空気入口のところに位置している。
【0398】
ハンドドライヤ及び衣類乾燥機の場合、濾過は、空気流が装置に流入するときに行われる。
【0399】
ハンドドライヤ及び真空掃除機の場合、濾過は、空気流が装置を出るときに行われる。
【0400】
フィルタ装置の実施形態は、冷蔵庫にも組み込むことができ、それにより、冷蔵庫の内部に流入した空気が細菌を含まないようになる。
【0401】
これらの実施形態においても、3フィルタ及び4フィルタ装置を用いることができる。
【0402】
例:衣類乾燥機
図13は、衣類乾燥機5の簡単な略図である。この機械の実際の機構は、衣類乾燥機の分野の当業者には知られており、ここでは詳細には説明しない。
【0403】
衣類乾燥機5は、機械内に設けられていて、衣類を乾燥させるために熱風を受け入れるエンクロージャ5Aを有している。
【0404】
空気流200Aは、機械に入り、まず最初に、ハンドドライヤ1と関連して上述した種類及び機能の細菌捕捉フィルタ410Bを通過する。
【0405】
次に、順序において、空気流200Aは、ハンドドライヤ1と関連して上述した種類及び機能の木炭粒子注入フィルタ410Dを通過する。
【0406】
かくして、エンクロージャ5Aに入った空気流は、周囲空気のレベルよりも細菌粒子のレベルが実質的に低く、しかも、まさに重要なこととして、捕捉フィルタ410B内の細菌を殺菌するために用いられる毒性の殺菌性物質が含まれていない。
【0407】
また、3つ及び4つのフィルタ装置を衣類乾燥機に用いられるこれら実施形態に使用できる。
【0408】
例:冷蔵庫
図14は、冷蔵庫6の簡単な略図である。この機械の実際の機構は、衣類乾燥機の分野の当業者には知られており、ここでは詳細には説明しない。
【0409】
冷蔵庫6は、冷えた冷却空気を受け入れるエンクロージャ6Aを有している。
【0410】
空気流200Aは、機械に入り、まず最初に、ハンドドライヤ1と関連して上述した種類及び機能の細菌捕捉フィルタ410Bを通過する。
【0411】
次に、順序において、空気流200Aは、ハンドドライヤ1と関連して上述した種類及び機能の木炭粒子注入フィルタ410Dを通過する。
【0412】
かくして、エンクロージャ6Aに入った空気流は、周囲空気のレベルよりも細菌粒子のレベルが実質的に低く、しかも、まさに重要なこととして、捕捉フィルタ410B内の細菌を殺菌するために用いられる毒性の殺菌性物質が含まれていない。
【0413】
また、3つ及び4つのフィルタ装置を衣類乾燥機に用いられるこれら実施形態に使用できる。
【0414】
化学物質放出剤
ハンドドライヤ1の実施形態及び上述した空気流装置の他の実施形態では、空気流は、間欠的であることが可能である。換言すると、使用中の空気流が装置を介して生じない長い期間が存在する場合がある。
【0415】
図8A及び図8C、更に図10B、図10C、図11B、図12C、図12D等の例示の実施形態を参照する。1つ又は2つ以上の放出フィルタ410F,410FFが設けられているこれら実施形態では、空気で運ばれるようになることができる活性物質がフィルタ繊維に施されている。例えば、或る実施形態では、達成物質は、フレグランス、香水、又は緩和な非毒性抗菌性物質であるのが良い。
【0416】
空気流により活性化される配合物では、活性物質は、少なくとも有用な期間中、空気で運ばれるようになることができる。例えば、活性物質は、蒸発して蒸気になることができ、又はミストとして空気中に放出可能である。
【0417】
改造型実施形態では、活性物質を放出剤と組み合わせることができ、この放出剤は、活性物質が通常の室温及び圧力で空気で運ばれる状態になるのを制限するが、空気流への配合物の暴露時に、放出剤は、活性成分を空気流中に放出する。
【0418】
活性物質をかかる放出剤と組み合わせて用いた場合の利点は、空気流が装置中で稼働していないときに、雰囲気中への活性物質の受動的な放出が回避され又は最小限に抑えられることにある。
【0419】
かくして、フィルタに見受けられる活性物質は、たとえ稼働空気流が存在していないでも、活性物質が空気中に連続且つ漸次放出される場合と比較して、潜在的に長く持続することができる。
【0420】
活性物質は、本発明の目的のために有用に空気で運ばれるようにすることができる任意の物質又は物質の組み合わせであるのが良い。例えば、活性物質は、フレグランス、脱臭剤(消臭剤)、又は殺生剤であるのが良い。殺生剤は、殺菌剤又は殺虫剤であるのが良い。好ましくは、活性剤は、殺生剤、例えばn−アルキルジメチルベンジルアンモニウムサッカリネート(n-alkyl dimethyl benzyl ammonium saccharinate)、第四級アンモニウム塩(例えば、塩化物)、トリクロサン(Triclosan)、o−ベンジルクロロフェノール(o-benzyl chlorophenol)、2−フェニルフェノール(2-phenylphenol)及び(又は)N−アルキルN−エチルモルフォリニウムスルフェート(N-alkyl N-Ethyl morpholinium sulphates)である。
【0421】
好ましくは、活性物質は、周囲温度及び圧力の通常の範囲内では揮発性であるが、これは、活性物質がその有用な効果を有するのに十分な時間の間空気で運ばれたままであることが可能である限り、本発明にとって必須の要件ではない。
【0422】
活性物質は、キャリヤ中に溶け又は懸濁されても良い。キャリヤは、いったん周囲に放出されると、活性物質の揮発を促進するよう処方されているのが良い。キャリヤは、活性物質を時間が経っても劣化しないよう物理的に且つ(或いは)化学的に安定化させるよう処方されているのが良い。例えば、キャリヤは、活性物質が輸送又は貯蔵中太陽光にさらされることがある場合、活性物質の劣化を減少させるUV安定化剤を含むのが良い。
【0423】
キャリヤは、室温で揮発性であり、好ましくは哺乳動物に対して非毒性の溶剤、例えば水、アマニ油、適当な有機溶剤、アルコール、又はこれら混合物であるのが良い。溶剤混合物は、例えば、活性物質が互いに異なる可溶化又は溶解特性を有する2種類又は3種類の物質を含む場合に有利に使用できる。好ましくは、活性物質及び(又は)キャリヤが揮発性成分を含む場合、放出剤は、活性成分及び(又は)キャリヤを包封する。
【0424】
放出剤は、任意の物質又は物質の組み合わせを含み、かかる物質は、
(1)活性物質は例えば揮発により空気で運ばれるのを封じ込め又は遅らせるようになっており、
(2)通常の室温及び圧力状態で静止空気中で安定したままである。
【0425】
したがって、放出剤は、特定の用途で用いられる活性物質の特性に従って処方及び(又は)調製が様々である。したがって、放出剤は、活性物質と適合性があり、放出剤の種々の処方は、活性物質に応じて適用できる。活性物質を含浸させ、埋め込み、又は包封しても良く、或いは、物理的又は化学的に活性物質に結合しても良い。本発明の特に好ましい処方では、活性剤は、放出剤内にマイクロカプセル化された揮発性殺生剤を含む。別の好ましい形態では、活性物質は、フレグランスである。
【0426】
放出剤は、室温及び圧力では揮発性が低い又は事実上ゼロの溶剤、ゲル、ペースト又はスラリであっても良く、空気流及び(又は)温風を当てることによってのみ揮発可能な溶剤、ペースト、又はゲルであって良い。例えば、活性物質は、室温及び圧力で放出剤中に安定して含浸され、溶解され、又は混合されるのが良く、活性物質は、少なくとも実質的に、揮発に対して遅らされ、好ましくは、放出剤中に取り込まれる。流動中の空気にさらされ、任意的に加熱されると、放出剤は、揮発性になると共に(或いは)不安定になって活性成分を通過している空気流に放出するのが良い。
【0427】
放出剤が溶剤を含む場合、これは、室温及び圧力では粘性が高く且つ非揮発性であるのが良い。適当な溶剤の例としては、適当に重質の留分を含む植物油、例えば料理油、ラノリン(lanolin)、及び脂肪酸、例えばステアリン酸が挙げられる。
【0428】
放出剤がゲルを含む場合、これは、ポリマー材料であるのが良い。ポリマー材料は、ホモポリマー又はコポリマーであるのが良い。ポリマー材料は、架橋されるのが良い。
【0429】
好ましくは、放出剤は、小さなカプセル又はマイクロカプセルの形態をしている。マイクロカプセルは、代表的には、直径が500μm以下であり、好ましくは、5〜200μmである。特に好ましい形式のカプセルは、活性物質に対して不溶性の材料の全体として球形で中空のシェルを有する壁又はシェル形のカプセルである。材料は、通常は、プラスチック材料である。プラスチック材料は、任意的に架橋され、そして任意的に所望の特性を達成するために当該技術分野において知られている適当な添加剤を含むポリマー又はコポリマーであるのが良い。プラスチック材料は、樹脂であっても良い。プラスチックは、アミノ樹脂、例えば、尿素及びメラミンとホルムアルデヒドの縮合生成物であるのが良い。
【0430】
かかるシェルカプセルを製造する種々の方法が存在し、かかる方法としては、尿素−ホルムアルデヒド又はメラミン−ホルムアルデヒドポリマーからアミノプラスト樹脂カプセルを製造するために用いられる現場重縮合が挙げられる。このプロセスでは、例えば、攪拌条件下で尿素−ホルムアルデヒド又はメラミン−ホルムアルデヒド初期縮合物の水溶液中に活性物質の分散液又はエマルションを形成してあらかじめ選択されたサイズ範囲のカプセルを得るのが良い。条件を調節して酸触媒により初期縮合物の縮合を生じさせ、その結果、縮合物が溶液から分離し、分散状態の活性物質を包囲してマイクロカプセルを製造する。
【0431】
マイクロカプセルは、長期間にわたり優れた活性物質保持作用を示す。というのは、カプセルは、カプセル壁の健全性が損なわれて活性物質を放出し又は壁がその他の点で破断されるまで活性物質の蒸発又は他の損失を阻止するからである。本発明は、その最も好ましい形態では、静止空気中で良好な貯蔵安定性を有するが、迅速に流れる空気に当てられると、十分な構造的健全性を失うようになったポリマー壁を有するマイクロカプセルに関している。
【0432】
マイクロカプセルは、コアセルベーション法により形成されるが、このようにするかどうかは任意であり、かかるコアセルベーション法では、油リザーバの形態をしたキャリヤを非常に薄手のポリマーメンブレンで包囲し、このポリマーメンブレンは、一般的に、機械的に非常に不安定であるが、疎水性であり且つ例えば公衆トイレで見られる場合のある湿気のある条件に対して耐性がある。この特性は、活性物質送り出し用途に活用され、この場合、送り出しは、機械的な力、例えば、空気流を当てることにより開始され、それによりポリマーメンブレンの健全性が損なわれて活性物質が放出される。
【0433】
放出剤がペースト又はスラリを含む場合、これは、結合剤として作用するよう合成又は天然接着剤、例えば、アラビアゴム又は合成ポリマー接着剤を含むのが良い。
【0434】
放出剤は、微孔質カプセル化製品であっても良い。放出剤は、メラミンポリマーシェルであっても良い。メラミンポリマーシェルは、好ましくは、活性剤を保持するようになったマイクロカプセルで構成されている。ポリマーシェルは、不透性であるのが良く、したがって、揮発性活性剤、例えばフレグランス又は殺生剤を収容することができる。マイクロカプセルは、フレグランスと殺生剤の両方を収容することができる。フレグランスは、化学的に非反応性であるのが良く、したがって、劣化無く同一マイクロカプセル内に貯蔵できる。変形例として、マイクロカプセルの中には、フレグランス及びその他、又、殺生剤を収容するものがあって良い。マイクロカプセルの混合体を同一の装置、例えばフィルタカートリッジ内に収容することができる。マイクロカプセルは、寸法的に様々であって良く、例えば、3〜500μm、好ましくは3〜200μm、更により好ましくは、5〜100μmである。
【0435】
放出剤を基体に結合可能に又は違ったやり方で付着可能に適切に処方されるのが良い。基体は、多孔質パネル、例えばワイヤ又はプラスチックメッシュであるのが良い。パネルは、空気の流れを挿通させることができるのに十分な厚さのものであるのが良い。放出剤は、パネルの表面及びパネルそれ自体にくっ付くのに十分な粘着性又は他着性であるのが良い。
【0436】
基体は、濾過材であっても良い。濾過材は、用途及び必要な濾過特性に応じて天然又は合成材料であって良い。濾過材としては、セルロースを基材とする繊維、例えばコットンウィーブ又は合成材料、例えばポリエステル又はこれらの組み合わせが挙げられる。基体は、脱臭剤及び(又は)吸着剤として働く他の有用な物質、例えばカーボンで含浸され又は被覆されるのが良い。
【0437】
放出剤と活性物質は、吹き付け、ブラシ掛け又はロール掛けにより一緒になって塊として基体に塗布されるのが良く、任意的に積層されるのが良い。空気流を基体に当てると、配合物の表面層が劣化し、それにより、先に非露出状態の表面が周囲環境に露出される。配合物は、有利には、経時的に流動空気の多数回の適用により新たな表面材料を提供することができる。
【0438】
好ましくは、活性物質は、ポリマーマイクロカプセルの形態の放出剤に含まれる。マイクロカプセル剤をカートリッジ内への収納のために機体表面、例えばフィルタに吹き付け又は違ったやり方で塗布するのが良い。マイクロカプセル剤を塗布するのに、エマルションを基体に吹き付けるのが良い。適当なマイクロカプセル剤システムは、リード・パシフィック・プティ・リミテッド(Reed Pacific Pty Ltd)から“Potenza”という商品名で入手でき、オプションとして、空気流放出能力を与える適当な添加剤が含まれる。
【0439】
配合物は、配合物の保存や使用済みの同一のコンポーネントとの交換のために密閉カートリッジの形態で提供できる。カートリッジとしては、貯蔵のための配合物を収容した密閉容器が挙げられる。カートリッジは、好ましくは、配合物をいったんカートリッジに送り出すと、真空密封される。カートリッジは、組成物の成分に対して耐性のある任意適当な材料で作られるのが良い。適当な材料としては、透明度、熱成形性、及び一般的な耐薬品性に鑑みてAPET、PETG、ポリプロピレン、及びポリアクリロニトリルが挙げられる。透明度の低い他の材料としては、ポリエチレンやナイロンが挙げられる。強度及び耐薬品性に鑑みて他の材料、例えばアルミニウム又はステンレス鋼を選択しても良い。当然のことながら、当業者であれば、組成物の処方に応じて適当な材料又は材料の組み合わせを選択しよう。
【0440】
容器は、シールを含むのが良い。シールは、カートリッジの内容物を周囲環境に露出させるよう活性化されるのが良い。シールは、撓むことができ、取り外すことができ、又は突き刺し可能であるのが良い。シールは、カートリッジを実際の使用状態に配置すると、活性化されてその内容物を露出させるようになっているのが良い。シールは、メンブレン又はフィルムであるのが良い。メンブレン又はフィルムは、金属箔又は軟質プラスチック、又はポリエチレンで作られるのが良い。
【0441】
組成物を用途に応じ、使用中の予想空気流れ方向に関し、平行に又は直列に配置されたパネルの形態で基体に被着させるのが良い。変形例として、基体は、柱、こぶ状体又はアモルファス繊維の形態であっても良く、それにより、配合物の新たな表面は、先の組成物表面が次第に劣化すると、周囲の空気に露出される。
【0442】
通常の室温、湿度及び圧力は、存在場所及び季節を含む多くの要因に応じて様々であろう。一般に、赤道から遠くに離れた標高の高い場所は、温度が低く、空気圧力が低いことを特徴とし、赤道領域は、周囲温度が高く且つ湿度及び圧力が高いことを特徴とする。当業者であれば理解されるように、かかる要因は、配合物の組成を決定する際に考慮される必要がある。
【0443】
実施例1
レモンの臭いの付いたフレグランスをサイズが5〜100μmの超小形メラミンポリマーシェル内に包封した。ポリマーシェルは、放出トリガが活性化されるまでフレグランスを保存するようカプセル化又は包封フレグランスに対して不透性であった。(しかしながら、ポリマーシェルは、これらの構造的健全性が機械的攪拌により、例えば、移動する空気のブラストをポリマーシェルの表面に当てることにより容易に壊れるほど十分薄い。)マイクロカプセル剤をフィルタカートリッジに吹き付け、カートリッジを真空密封した。次にカートリッジを開き、洗面所用ハンドドライヤ内に収納した。ハンドドライヤをオンにすると、温風(約50℃)がカートリッジに通された。空気の流れが、構造的にマイクロカプセル剤ポリマーシェル壁を構造的に壊し、揮発性フレグランスが放出された。カートリッジをハンドドライヤ内に残し、個々の事例に基づいて、1日当たり何回もフレグランスの有効性について試験した。良好なフレグランスの広がりを35日間の期間にわたり観察した。適当なマイクロカプセル剤製品は、オーストラリア国NSWリッドコンベ所在のカンポイント・インターナショナル・プティ・リミテッド(Canpoint International Pty Limited)から市販されている。英国実験室による独立の試験結果の示すところによれば、濾過材への配合物の塗布の結果として、空気が活性カートリッジを収容した空気ドライヤを通過する際に生きている空気伝染菌類胞子が少なくとも79%減少した。
【0444】
実施例2
安定性のある香水入りゲルの形態をした適当な配合物の処方が、ブラハキス等(Vlahakis et al.)に付与された米国特許第5,419,879号明細書(以下、単に「ブラハキス」と言う場合がある)に記載されている。この米国特許第5,419,879号明細書は、化学成分の組み合わせで形成された香水入り安定ゲルの製造を記載している。香水入り安定ゲルの融点温度は、約125°F〜約150°Fである。ゲルの好ましい融点温度は、約140°Fである。香水入り安定ゲルの香水含有量は、配合物の重量を基準として約70.0%〜約85.0%である。好ましい香水含有量は、配合物の重量を基準として約75.0%〜約80.0%である。より好ましい香水含有量は、配合物の重量を基準として約75.0%である。この先行技術の香水入りゲルの安定性は、ゲルを固体で均一の一様な混合物として維持できることを意味している。香水入り安定ゲルは、液化せず又はスラリを形成せず、上述の温度条件下において固体としてのままであり、上述の香水含有量を有する。
【0445】
ブラハキスの香水入り安定ゲル配合物は、配合物の重量を基準として約2.0%〜約10.0%の水を含んでいる。好ましくは、この水は、当初無臭グリコールと混ぜ合わされると、その沸点の状態にあり、好ましくは、この水は、配合物の重量を基準として約5.0%の量である。
【0446】
香水入り安定ゲル配合物は、配合物の重量を基準として約5.0%〜約15.0%の石鹸を更に含む。好ましい石鹸は、炭素含有量がC12〜C20であり、融点が約158°F以上のステアリン酸ナトリウムである。好ましくは、石鹸は、チェリー、ジャスミン、ベビーパウダー、及びスパイス脱臭剤ゲルのための処方に関し配合物の重量を基準として約7.5%の量である。好ましくは、石鹸は、グリーンアップル、レモン、バブルガム、スペアミント、及びクチナシ脱臭剤ゲルのための処方に関し配合物の重量を基準として約9.0%の量である。これら後者の処方において石鹸の量を増大させると、融点が増大すると共に香水の可溶化が助けられる。
【0447】
ブラハキスの香水入り安定ゲル配合物は、配合物の融点を高くすると共にまず最初に配合物製品を溶液の状態に維持し、後で、配合物製品を固体として安定化させるのを助ける非イオン性界面活性剤を更に含む。好ましくは、非イオン性界面活性剤は、約100°F〜約150°Fの融点温度範囲をもたらすのに十分な量の酸化エチレンを含む。非イオン性界面活性剤の量は、好ましくは、配合物の重量を基準として約2.0%〜約15.0%である。より好ましくは、非イオン性界面活性剤の量は、配合物の重量を基準として約3.75%である。用いるのが好ましい非イオン性界面活性剤としては、ノニルフェノール(nonylphenol)、ポリエチレングリコール又はこれら混合物が挙げられる。製品中、酸化エチレンを100モル含むノンオキシノール(Nonoxynol)100、インコネルNP−100、及び80モルから最高150モルまでのノニルフェノールが挙げられる。ポリエチレングリコールとしては、ポリエチレングリコール8000及びBASFのプルラコルライン(Pluracol line)が挙げられる。使用できる他の非イオン性界面活性剤としては、BASFのテトロニック(Tetronic)及びテトロニックRライン(Tetronic R line)に類似した非イオン性界面活性剤が挙げられる。しかしながら、非イオン性界面活性剤のこの後者のグループは、一般的に言って、前者のグループよりも使用するのに費用が高く付く。
【0448】
香水入り安定ゲル配合物は、配合物の流量を基準として約0.1%〜約0.3%の防腐剤を更に含む。防腐剤は、香水入り安定ゲルの表面に付着したカビ又は菌類の成長を阻害するのを助ける。本発明に用いられる好ましい防腐剤は、グリダント(Glydant)(DMDMハイダントイン (DMDM Hydantoin)55%溶液)(C71224)として化学的に知られている、化学要約書番号は、(6440−58−0である)。好ましくは、防腐剤の量は、配合物の重量を基準として約0.25%である。
【0449】
ブラハキスの香水入り安定ゲル配合物は、香水成分を更に含むのが良い。ブラハキスの配合物に関する有効香水含有量は、配合物の重量を基準として約70.0%〜約85.0%であることが判明した。本発明の目的上、香水の量を配合物の重量を基準として約50%以下に減少させてより高い安定性をもたらすことは好ましは、他の成分は、配合物の重量百分率の残部を構成するよう比例して増大する。香水は、製品の香り特性を向上させる。適当な香水の特定の例としては、レモン、バブルガム、チェリー、スペアミント、グリーンアップル、ベビーパウダー、クチナシ、ジャスミン、薬草、スパイス等が挙げられる。用いられる主要な香りは、果物に似た臭いグループ及びフローラルな臭いのグループから得られる。しかしながら、所望の香りの種類に応じて、多種多様な香りを作ることが可能である。
【0450】
ブラハキスの香水入り安定ゲル配合物は、無臭グリコールを更に含む。化学配合物に用いられる無臭グリコールの量は、香水成分を可溶化するのを助けるのに十分であるべきである。無臭グリコールの添加は、配合物の蒸発速度の安定性を助けると共に配合物の融点の上昇に役立つ。好ましくは、用いられる無臭グリコールの量は、配合物の重量を基準として約0.1%〜約12.0%である。無臭グリコールの好ましい量は、配合物の重量を基準として約8.75%である。配合物中に用いられる好ましい無臭グリコールとしては、プロピレングリコール、グリセロール、ヘキシレングリコール又はこれらのうち2種類又は3種類以上の混合物が挙げられる。
【0451】
ブラハキスの香水入り安定ゲル配合物は、不活性充填材料を更に含むのが良い。配合物に用いられる充填材料の量は、配合物の重量を基準として0%〜約4.0%である。好ましくは、用いられる充填材料の量は、配合物の重量を基準として約0.5%である。充填材料は、珪藻土、クレー、泥、シリカ及び砂を含む群から選択されるのが良い。これら充填材料を配合物に追加することは、任意である。しかしながら、充填材料は、香水成分の蒸発速度を制御するのに役立つ。
【0452】
ブラハキスの香水入り安定ゲル配合物は、エタノール又は無臭ミネラルスピリットを更に含むのが良い。用いられるエタノール又は無臭ミネラルスピリットの量は、配合物の重量を基準として0%〜約5.0%である。好ましくは、用いられるエタノール又は無臭ミネラルスピリットの量は、配合物の重量を基準として約3.0%である。エタノール及び無臭ミネラルスピリットは、ゲルの性能に悪影響を及ぼさないで、香水のうちの幾分かを可溶化すると共に高価な香水のうちの幾つか(即ち、グリーンアップル)の製造費を減少させるのを助ける。好ましくは、ミネラルスピリットは、脂肪族炭化水素で構成される。
【0453】
ブラハキスの香水入り安定ゲルの製造では、(1)油相と(2)水相の混合が行なわれる。油相は、非イオン性界面活性剤と所望の香水を含む。まず最初に、非イオン性界面活性剤を約120°F〜約150°Fの温度まで加熱する。これを55ガロンジャケット付きステンレス鋼混合容器内で加熱する。混合容器の周りの加熱バンドは、非イオン性界面活性剤を加熱してこれを液化するよう働く。非イオン性界面活性剤を、バッチのサイズ及び用いられる加熱温度に応じて、このようにして約24〜48時間加熱する。
【0454】
非イオン性界面活性剤を十分に加熱して液化した後、これをより小型の頂部が開口した55ガロンジャケット付きステンレス鋼混合容器に移送する。この混合容器も又、この周りに加熱バンドを有し、この加熱バンドは、非イオン性界面活性剤及びこのステップであらかじめ測定された量追加された香水を加熱するよう働く。2つの成分を電気ミキサを用いて混合容器内で徹底的に混合し、この電気ミキサは、約750rpmで働く取り付け状態の攪拌器を備えている。香水を約120°F〜約150°Fの温度で約10分間非イオン性界面活性剤と混合する。
【0455】
香水入り安定ゲルの形成に必要な第2の相は、水相である。水相を製造するため、あらかじめ測定された量の無臭グリコールを沸騰して高温状態の水に添加する。グリコールと水を頂部が開口した55ガロンジャケット付きステンレス鋼混合容器内で互いに混ぜ合わす。2つの成分を電気ミキサにより混合容器内で徹底的に混合し、この電気ミキサは、約750rpmで動作する取り付け状態の攪拌器を備えている。無臭グリコールを約158°Fの温度で約5分間熱水中に混入する。次に、石鹸をあらかじめ測定された量でグリコール/水混合物に添加する。石鹸を混合容器内でグリコール/水混合物中に徹底的に混入し、ついには、石鹸が溶解し、凝集塊が残らないようにする。石鹸を約158°Fで約15分間〜30分間無臭グリコール及び水と混合する。
【0456】
次に、水と無臭グリコールと石鹸の混合物、即ち、水相を非イオン系界面活性剤と香水、即ち、油相に添加する。これら成分を全て電気ミキサにより混合容器内で140°Fを超える温度で徹底的にブレンドし、この電気ミキサは、約750rpmで作動する取り付け状態の攪拌器を備えている。防腐剤をこの混合段階で添加する。次に、これら成分を全て約15分間徹底的に混合する。
【0457】
最後に、オプションとしての充填材料をレードルを用いて所望量の充填材料を混合物中にすくって入れて混合物に添加するのが良い。混合物を徹底的に撹拌し、ついには、所望のコンシステンシーに達するようにする。
【0458】
配合物が完全にブレンドされ、これが依然として溶融状態にあることがいったん確認されると、配合物をレードルを用いて混合容器からすくって出して個々の脱臭剤容器内に入れる。
【0459】
最後に、配合物を収容した容器を、ディスペンサをコンベヤベルト上に載せ、冷風をこれらディスペンサに吹き付けることにより冷却する。冷風をエアコンディショニングユニットにより送られたトンネル中に通す。容器を3〜5分間トンネル内に配置している間、ゲル配合物は、ディスペンサ組立体内で凝固し、かくして、完成状態の香水入り安定ゲルを使い捨て脱臭剤容器内に固定する。一度に調製される配合物の量は、特定の日にディスペンサに充填されるべき量に制限される。代表的には、この量は、1日あたり200ポンド(90.7kg)から400ポンド(181.4kg)まで様々であって良い。
【0460】
実施例3
先行技術の英国特許出願第1,432,163号明細書(出願人:CIBA GEIGY AG)では、本発明で使用するのに適した遅延放出型調合薬が記載されており、活性物質の放出は、室温及び圧力では静止空気中では無視できるが、高温の空気流を受けると、例えば、電気ファン式ハンドドライヤ内に又はこれに隣接して設けられると、加速される。
【0461】
特に良好な長期間にわたり持続する脱臭効果は、英国特許出願第1,432,163号明細書の調合薬に従って以下のエアコンディショニング製剤を用いて得られる。
【0462】
1)ゲル化剤:ベントナイト誘導体又はアルミニウム石鹸
脱臭剤:ジメチルフマレート又はジエチルフマレート、及び
付香剤:ジフェニルメタン、ジフェニルエーテル、ボルニルアセテート又はこれらの混合物、この場合、ボルニルアセテート及びリナロールの脱臭作用は、90日後であっても依然として明らかである。
【0463】
2)ゲル化剤:ポリマー樹脂
脱臭剤:ジメチルフマレート又はジエチルフマレート
付香剤:ジフェニルエーテル、ボルニルアセテート
【0464】
3)ゲル化剤:ベントナイト誘導体、アルミニウム石鹸又はポリマー樹脂
脱臭剤:シトラール又は芳香核の無い数種類のアルデヒド
付香剤:ジフェニルメタン、この場合、ベントナイト誘導体をゲル化剤として用いると、脱臭作用は、90日後であっても依然として明らかである。
【0465】
4)ゲル化剤:ベントナイト誘導体
脱臭剤:フェニルアセトアルデヒド及び少なくとも1つの芳香核を含むこれに類似したアルデヒド
付香剤:ジフェニルメタン、ジフェニルエーテル、ボルニルアセテート、この場合、脱臭作用は、製剤を90日用いた後であっても依然として明らかである。
【0466】
5)ゲル化剤:アルミニウムジステアレート
脱臭剤:シトラールとジメチル及び(又は)ジエチルフマレートの重量比が1:5〜5:1の混合物
付香剤:ジフェニルエーテル又はボルニルアセテート、この場合、脱臭効果は、この製剤を90日間使用した後でも依然として明らかである。
【0467】
配合物は、好ましくは、次のようにして調製される。
1)全量のゲル化剤、例えば、アルミニウム石鹸及び液体パラフィンを連続して撹拌した状態で定期的に加熱し、ついには、70℃〜150℃の温度の均質のゲル化塊が得られるようにし、
2)結果的に得られたゲルを連続的に撹拌しながら90℃まで冷却し、全量の脱臭剤及び付香剤を添加し、
3)全量の脱臭剤及び付香剤を添加し、最後に、
4)結果的に得られた流体ゲルを約80℃の金型内に注ぎ込み又はこのゲルを造粒装置内で顆粒に加工する。
【0468】
例えばこの先行技術の配合物の製剤を冷却すると、固体製剤が得られる。この製剤は、金型から容易に取り出すことができ、次に、ケーシング、例えば、ブロワ型ハンドドライヤ内に取り付け可能なモジュール式カートリッジ内に詰め込むことができ、カートリッジは、貯蔵中の脱臭剤及び付香剤成分に対して不透過性であり、このカートリッジは、ユーザにより開けられ又は作動されて配合物が露出される。
【0469】
種々の実施形態は、例示として記載されているに過ぎず、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲に属する改造例を想到できる。
【0470】
以下に本発明の実施形態を記載する。
(態様1)手を乾燥させる実質的に滅菌された状態の加熱空気の流れを生じさせるようになった滅菌型手乾燥装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に設けられていて、手を乾燥させるために使用できる空気を加熱する加熱手段と、
使用の際に空気を前記ハウジングに導入させて前記加熱手段に達するよう移動させる入口手段と、
使用の際に前記加熱手段により加熱された後に空気を手を乾燥させるために使用できる加熱空気として放出させる出口手段と、
空気を空気流として前記入口手段から前記加熱手段を介して前記出口手段に迅速に移動させるようになった空気流発生手段とを有し、
前記装置は、使用の際に空気流を通す細菌捕捉フィルタ手段を備え、前記細菌捕捉フィルタ手段は、使用の際に、空気流中の細菌の大部分を捕捉して保持するようになっており、前記細菌捕捉フィルタ手段から出る空気流は前記細菌捕捉フィルタ手段に入ったときよりも滅菌度が高いものであるようになっており、
前記細菌捕捉フィルタ手段は、繊維状マトリックスの形態をしており、前記繊維状マトリックスは、その繊維に施された毒性の殺菌性物質を有し、前記殺菌性物質は、前記繊維に施された前記殺菌性物質に当たった細菌を殺すことができる装置。
(態様2)前記殺菌性物質は、液体塗布物質であり、前記液体塗布物質は、前記繊維に施されると、前記繊維上に見受けられる前記殺菌性物質に当たった細菌を捕捉する粘着性被膜を前記繊維上に提供する態様1記載の装置。
(態様3)前記細菌捕捉フィルタ手段から出た前記空気流は、前記細菌捕捉フィルタ手段に入った前記空気流よりも細菌の数が少ない態様1又は2記載の装置。
(態様4)前記細菌捕捉フィルタ手段から出た前記空気流には、細菌が全く存在せず又は少なくとも実質的に存在しない態様1乃至3の何れか1項記載の装置。
(態様5)前記細菌捕捉フィルタ手段から出た前記空気流には、粒子状細菌が100%存在しない態様1乃至4の何れか1項記載の装置。
(態様6)前記細菌捕捉フィルタ手段は、前記空気流が前記加熱手段に到達する前に前記空気流を遮断する態様1乃至5の何れか1項記載の装置。
(態様7)前記入口手段は、少なくとも1つの主入口を有し、前記手乾燥装置から放出された空気流は全て、まず最初に前記主入口を通過しなければならないようになっている態様1乃至6の何れか1項記載の装置。
(態様8)前記少なくとも1つの主入口は、全体が前記ハウジング内に設けられている態様7記載の装置。
(態様9)前記少なくとも1つの主入口は、前記空気流発生手段に入った空気が全て前記少なくとも1つの主入口を通過するよう前記空気流発生手段への入口内に設けられている態様8記載の装置。
(態様10)前記空気流発生手段は、ケーシング内に収納され、前記少なくとも1つの主入口は、前記ケーシングに設けられている態様9記載の装置。
(態様11)前記少なくとも1つの主入口は、前記装置の前記ハウジングに設けられ、前記少なくとも1つの主入口は別として、前記ハウジングへの他の全ての入口は、稼働中、空気が前記少なくとも1つの主入口を通ってしか前記ハウジングに入ることができないように密封されている態様7記載の装置。
(態様12)前記入口手段は、前記主入口と直列に配置されていて、前記空気流を連続して次々に通す1つ又は2つ以上の補助入口を含む態様7乃至11の何れか1項記載の装置。
(態様13)前記主入口は、単位時間当たりの空気量に関する前記空気流発生手段の空気取り入れ要件を満足するのに十分な空気を収容する相当な空間だけ前記直列配置体中のその次の最も近くに位置する入口から離されている態様12記載の装置。
(態様14)前記補助入口のうちの少なくとも1つは、前記ハウジングの外面に設けられていて、前記ハウジングの外部からユーザにより接近可能である態様12又は13記載の装置。
(態様15)前記補助入口は各々、前記細菌捕捉フィルタ手段を備えている態様12乃至14の何れか1項記載の装置。
(態様16)前記主入口は、前記細菌捕捉フィルタ手段を備えている態様7乃至15の何れか1項記載の装置。
(態様17)前記細菌捕捉フィルタ手段は、前記空気流中の細菌粒子の大部分を遮って捕捉するほど十分高い密度の繊維状高密度フィルタ材料を含む態様1乃至16の何れか1項記載の装置。
(態様18)前記フィルタ材料は、不織繊維である態様17記載の装置。
(態様19)前記フィルタ材料は、前記繊維相互間に約150ミクロンであるよう選択された平均隙間又は細孔を有する態様17記載の装置。
(態様20)前記フィルタ材料の通気度は、約234.7cm3/cm2/秒である態様17記載の装置。
(態様21)前記細菌捕捉フィルタ手段は、使用中に前記フィルタ材料を交換用フィルタ材料と自動的に交換できるフィルタ交換機構体を含む態様1〜20の何れか1項記載の装置。
(態様22)前記フィルタ交換機構体は、使用中、前記フィルタ材料を或る期間後、定期的に交換用フィルタ材料と交換する態様21記載の装置。
(態様23)前記フィルタ交換機構体は、使用中、前記フィルタ材料を連続的に又は間欠的に徐々に交換用フィルタ材料と交換する態様21記載の装置。
(態様24)前記フィルタ材料は、シート状ストリップの形態をしている態様21記載の装置。
(態様25)前記フィルタ材料は、電動式リール機構体によって運搬される態様24記載の装置。
(態様26)前記装置は、電力を前記装置に供給する電気制御回路を備え、
前記電気制御回路は、前記ハウジングを開いたときにユーザが感電死する恐れを最小限に抑えるために前記ハウジングを開いたときに電力の供給を不能にするカットオフ機構体を備えている態様1〜25の何れか1項記載の装置。
(態様27)前記カットオフ機構体は、第1の状態にあるときにのみ、電力供給を可能にする二状態スイッチを有し、前記ハウジングを閉じたときに、前記スイッチを第1の状態に維持するアクチュエータが、前記ハウジング内に設けられ、前記アクチュエータは、前記ハウジングを開いたときに前記スイッチを第2の状態に作動させ、それにより、前記ハウジングが開かれたときに、前記装置への電力供給を不能にする態様26記載の装置。
(態様28)前記カットオフ機構体は、押し下げられたときにのみ、電力供給を可能にする弾性取り付けスイッチを有し、カットオフ機構体のアクチベータが、前記ハウジング内に設けられ、前記カットオフ機構体アクチベータは、前記ハウジングを閉じたときに、前記スイッチを押し下げ、前記ハウジングを開いたときに前記スイッチを持ち上げてオフにし、それにより、前記ハウジングを開いたときに、前記装置への電力供給を不能にするよう構成されている態様26記載の装置。
(態様29)前記弾性取り付けスイッチは、前記ハウジングのフードが着脱自在に取り付け可能なベースマウントに取り付けられ、前記カットオフ機構体アクチベータは、前記フードの内面に取り付けられている態様28記載の装置。
(態様30)前記カットオフ機構体アクチベータは、前記ハウジングのフードが着脱自在に取り付け可能なベースマウントに取り付けられ、前記弾性取り付けスイッチは、前記フードの内面に取り付けられている態様28記載の装置。
(態様31)前記カットオフ機構体アクチベータは、前記カットオフ機構体と接触状態にあるときに前記カットオフ機構体を作動させるデプレッサ(depressor )の形態をしている態様29又は30記載の装置。
(態様32)前記ベースマウントは、直立取り付け面に締結されるようになっており、前記手乾燥装置は、前記ハウジングの前記ベースマウントに取り付けることにより前記直立取り付け面上に設置できるようになっている態様29又は30記載の装置。
(態様33)前記手乾燥装置は、前記手乾燥装置が前記手乾燥装置の周りの周囲大気の一部を効果的に滅菌するように所定期間にわたり前記空気流発生手段を定期的に自動作動させるタイマ制御回路を備えている態様1乃至32の何れか1項記載の装置。
(態様34)前記タイマ制御回路は、前記加熱手段を同時に作動させることなく、前記装置を自動作動させる態様33記載の装置。
(態様35)前記タイマ制御回路は、前記発熱体を同時に作動させながら前記装置を自動作動させる態様33記載の装置。
(態様36)前記タイマ制御回路は、光センサ手段を備え、前記タイマ制御回路は、前記光センサにより周囲光が存在していることが示された場合にのみ、前記装置を自動作動させるに過ぎない態様33乃至35の何れか1項記載の装置。
(態様37)前記装置は、前記出口手段の近くに手があることを検出するハンドセンサ手段を備え、前記装置は、手がそのように検出されたとき、空気流発生手段及び前記加熱手段を作動させるようになっており、前記タイマ制御回路は、前記ハンドセンサ手段により前記出口手段の付近に手が存在していないことが検出された場合にのみ前記装置を自動作動させる態様33乃至36の何れか1項記載の装置。
(態様38)前記細菌捕捉フィルタ手段は、態様80〜106のうちいずれか一に記載の空気伝染細菌フィルタ装置を含む態様1乃至37の何れか1項記載の装置。
【0471】
(態様39)手を乾燥させるための滅菌型手乾燥装置から実質的に滅菌状態の加熱空気の流れを生じさせる方法であって、
空気流発生手段を用いて空気を空気流として迅速に動かすステップと、
前記空気を加熱手段により加熱して前記空気流が手を乾燥させるために使用できるようにするステップと、
使用の際に前記空気流を通過させる細菌捕捉フィルタ手段を備えた前記手乾燥装置を用意するステップとを有し、
前記細菌捕捉フィルタ手段は、使用の際に、空気流中の細菌の大部分を捕捉して保持するようになっており、前記細菌捕捉フィルタ手段から出る空気流は前記細菌捕捉フィルタ手段に入ったときよりも滅菌度が高いものであるようになっており、
前記細菌捕捉フィルタ手段は、繊維状マトリックスの形態をしており、前記繊維状マトリックスは、その繊維に施された毒性の殺菌性物質を有し、前記殺菌性物質は、前記繊維に施された前記殺菌性物質に当たった細菌を殺すことができる方法。
(態様40)前記手乾燥装置は態様1乃至38の何れか1項記載のものである態様39記載の方法。
【0472】
(態様41)手を乾燥させる実質的に滅菌された状態の加熱空気の流れを生じさせるようになった滅菌型手乾燥装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に設けられていて、手を乾燥させるために使用できる空気を加熱する加熱手段と、
使用の際に空気を前記ハウジングに導入させて前記加熱手段に達するよう移動させる入口手段と、
使用の際に前記加熱手段により加熱された後に空気を手を乾燥させるために使用できる加熱空気として放出させる出口手段と、
空気を空気流として前記入口手段から前記加熱手段を介して前記出口手段に迅速に移動させるようになった空気流発生手段とを有し、
前記装置は、電力を前記装置に供給する電気制御回路を備え、
前記電気制御回路は、前記ハウジングを開いたときにユーザが感電死する恐れを最小限に抑えるために前記ハウジングを開いたときに電力の供給を不能にするカットオフ機構体を備えている装置。
(態様42)前記カットオフ機構体は、第1の状態にあるときにのみ、電力供給を可能にする二状態スイッチを有し、前記ハウジングを閉じたときに、前記スイッチを第1の状態に維持するアクチュエータが、前記ハウジング内に設けられ、前記アクチュエータは、前記ハウジングを開いたときに前記スイッチを第2の状態に作動させ、それにより、前記ハウジングが開かれたときに、前記装置への電力供給を不能にする態様41記載の装置。
(態様43)前記カットオフ機構体は、押し下げられたときにのみ、電力供給を可能にする弾性取り付けスイッチを有し、カットオフ機構体のアクチベータが、前記ハウジング内に設けられ、前記カットオフ機構体アクチベータは、前記ハウジングを閉じたときに、前記スイッチを押し下げ、前記ハウジングを開いたときに前記スイッチを持ち上げてオフにし、それにより、前記ハウジングを開いたときに、前記装置への電力供給を不能にするよう構成されている態様41記載の装置。
(態様44)前記弾性取り付けスイッチは、前記ハウジングのフードが着脱自在に取り付け可能なベースマウントに取り付けられ、前記カットオフ機構体アクチベータは、前記フードの内面に取り付けられている態様43記載の装置。
(態様45)前記カットオフ機構体アクチベータは、前記ハウジングのフードが着脱自在に取り付け可能なベースマウントに取り付けられ、前記弾性取り付けスイッチは、前記フードの内面に取り付けられている態様43記載の装置。
【0473】
(態様46)前記カットオフ機構体アクチベータは、前記カットオフ機構体と接触状態にあるときに前記カットオフ機構体を作動させるデプレッサ(depressor )の形態をしている態様44又は45記載の装置。
(態様47)前記ベースマウントは、直立取り付け面に締結されるようになっており、前記手乾燥装置は、前記ハウジングの前記ベースマウントに取り付けることにより前記直立取り付け面上に設置できるようになっている態様44又は45記載の装置。
(態様48)滅菌型手乾燥装置のハウジングのフードが着脱自在に取り付けられるようになったベースプレートであって、
前記手乾燥装置は、電力を前記装置に供給する電気制御回路を備え、
前記ベースプレートは、使用の際に、前記フードが前記ベースプレートに取り付けられた状態で、前記ハウジングが開かれると、前記電気制御回路への電力供給を不能にして前記ハウジングを開いたときにユーザが感電死する恐れを最小限に抑えるためのカットオフ機構体を備えているベースプレート。
(態様49)前記滅菌型手乾燥装置は態様41乃至47の何れか1項記載のものである態様48記載のベースプレート。
(態様50)前記手乾燥装置は態様1乃至25の何れか1項又は態様33乃至38の何れか1項記載のものである態様48又は49記載のベースプレート。
【0474】
(態様51)手を乾燥させる実質的に滅菌された状態の加熱空気の流れを生じさせるようになった滅菌型手乾燥装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に設けられていて、手を乾燥させるために使用できる空気を加熱する加熱手段と、
使用の際に空気を前記ハウジングに導入させて前記加熱手段に達するよう移動させる入口手段と、
使用の際に前記加熱手段により加熱された後に空気を手を乾燥させるために使用できる加熱空気として放出させる出口手段と、
空気を空気流として前記入口手段から前記加熱手段を介して前記出口手段に迅速に移動させるようになった空気流発生手段とを有し、
前記手乾燥装置は、前記空気流発生手段を所定の期間にわたり定期的に自動作動させるタイマ制御回路を備えている装置。
(態様52)前記タイマ制御回路は、前記加熱手段を同時に作動させることなく、前記装置を自動作動させる態様51記載の装置。
(態様53)前記タイマ制御回路は、前記発熱体を同時に作動させながら前記装置を自動作動させる態様51記載の装置。
(態様54)前記タイマ制御回路は、光センサ手段を備え、前記タイマ制御回路は、前記光センサにより周囲光が存在していることが示された場合にのみ、前記装置を自動作動させるに過ぎない態様51乃至53の何れか1項記載の装置。
(態様55)前記装置は、前記出口手段の近くに手があることを検出するハンドセンサ手段を備え、前記装置は、手がそのように検出されたとき、空気流発生手段及び前記加熱手段を作動させるようになっており、前記タイマ制御回路は、前記ハンドセンサ手段により前記出口手段の付近に手が存在していないことが検出された場合にのみ前記装置を自動作動させる態様33乃至36の何れか1項記載の装置。
(態様56)前記装置は、フレグランスの源であるフレグランス材料を備え、前記フレグランスが前記空気流中に入り込むようになっている態様51乃至55の何れか1項記載の装置。
【0475】
(態様57)所定期間にわたり滅菌型手乾燥装置の空気流発生手段を定期的に自動作動させるようになったタイミング回路コンポーネントであって、
前記滅菌型手乾燥装置は、手を乾燥させるための実質的に滅菌状態の加熱空気の流れを生じさせるようになっており、前記滅菌型手乾燥装置は、
ハウジングと、
前記ハウジング内に設けられていて、手を乾燥させるために使用できる空気を加熱する加熱手段と、
使用の際に空気を前記ハウジングに導入させて前記加熱手段に達するよう移動させる入口手段と、
使用の際に前記加熱手段により加熱された後に空気を手を乾燥させるために使用できる加熱空気として放出させる出口手段とを有し、
前記空気流発生手段は、前記空気を前記入口手段から前記加熱手段を介して前記出口手段まで空気流として迅速に移動させるようになっており、前記タイマ制御回路は、所定期間にわたって前記空気流発生手段を定期的に自動作動させるようになっているタイミング回路コンポーネント。
(態様58)前記手乾燥装置は、態様51乃至56の何れか1項又は態様1乃至32の何れか1項記載のものである態様57記載のタイミング回路コンポーネント。
【0476】
(態様59)手を乾燥させるための実質的に滅菌状態の加熱空気の流れを生じさせるようになっている滅菌型手乾燥装置の周りの周囲大気を滅菌する方法であって、
所定期間にわたって前記空気流発生手段を定期的に自動作動させるようになったタイマ制御回路を備える手乾燥装置を用意するステップと、
前記タイマ制御回路を用いて所定期間にわたり定期的に前記滅菌型手乾燥装置を自動作動させるステップとを有し、前記手乾燥装置は、
ハウジングと、
前記ハウジング内に設けられていて、手を乾燥させるために使用できる空気を加熱する加熱手段と、
使用の際に空気を前記ハウジングに導入させて前記加熱手段に達するよう移動させる入口手段と、
使用の際に前記加熱手段により加熱された後に空気を手を乾燥させるために使用できる加熱空気として放出させる出口手段と、
空気を空気流として前記入口手段から前記加熱手段を介して前記出口手段に迅速に移動させるようになった空気流発生手段とを有する方法。
(態様60)前記手乾燥装置は、態様51乃至56の何れか1項又は態様1乃至32の何れか1項記載のものである周囲大気の滅菌方法。
【0477】
(態様61)空気を乾燥させるための加熱空気の空気流を生じさせるようになった手乾燥装置の周りの周囲大気に香りを付ける方法であって、
所定期間にわたり空気流発生手段を定期的に自動作動させるようになったタイマ制御回路を備える前記手乾燥装置を用意するステップと、
前記手乾燥装置がフレグランスの源であるフレグランス材料を備えるようにし、前記フレグランスが前記空気流中に入り込むようにするステップと、
前記タイマ制御回路を用いて所定期間にわたり定期的に前記手乾燥装置を自動作動させ、それにより、空気流中の前記フレグランスが前記手乾燥装置の周りの周囲大気に効果的に香りを付けるようにするステップとを有し、
前記手乾燥装置は、
ハウジングと、
前記ハウジング内に設けられていて、手を乾燥させるために使用できる空気を加熱する加熱手段と、
使用の際に空気を前記ハウジングに導入させて前記加熱手段に達するよう移動させる入口手段と、
使用の際に前記加熱手段により加熱された後に空気を手を乾燥させるために使用できる加熱空気として放出させる出口手段と、
空気を空気流として前記入口手段から前記加熱手段を介して前記出口手段に迅速に移動させるようになった空気流発生手段とを有する周囲大気の香り付け方法。
(態様62)前記手乾燥装置は、態様51乃至56の何れか1項又は態様1乃至32の何れか1項記載のものである周囲大気の香り付け方法。
【0478】
(態様63)手を乾燥させるための実質的に滅菌状態の加熱空気の流れを生じさせるようになった滅菌型手乾燥装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に設けられていて、手を乾燥させるために使用できる空気を加熱する加熱手段と、
使用の際に空気を前記ハウジングに導入させて前記加熱手段に達するよう移動させる入口手段と、
使用の際に前記加熱手段により加熱された後に空気を手を乾燥させるために使用できる加熱空気として放出させる出口手段と、
空気を空気流として前記入口手段から前記加熱手段を介して前記出口手段に迅速に移動させるようになった空気流発生手段と、
前記空気流を濾過するようになったフィルタ材料とを有し、
前記装置は、使用中、前記フィルタ材料を交換用フィルタ材料と自動的に交換することができるフィルタ交換機構体を有する装置。
(態様64)前記フィルタ交換機構体は、使用中、前記フィルタ材料を或る期間後、定期的に交換用フィルタ材料と交換する態様63記載の装置。
(態様65)前記フィルタ交換機構体は、使用中、前記フィルタ材料を連続的に又は間欠的に徐々に交換用フィルタ材料と交換する態様63記載の装置。
(態様66)前記フィルタ材料は、シート状ストリップの形態をしている態様65記載の装置。
(態様67)前記フィルタ材料は、電動式リール機構体によって運搬される態様66記載の装置。
(態様68)前記フィルタ材料は、使用中、前記空気流を通す細菌捕捉フィルタ手段を含み、
前記細菌捕捉フィルタ手段は、使用の際に、空気流中の細菌の大部分を捕捉して保持するようになっており、前記細菌捕捉フィルタ手段から出る空気流は前記細菌捕捉フィルタ手段に入ったときよりも滅菌度が高いものであるようになっている態様63乃至67の何れか1項記載の装置。
(態様69)前記滅菌型手乾燥装置は、態様2乃至20の何れか1項又は態様26乃至38の何れか1項記載のものである態様68記載の装置。
(態様70)滅菌型手乾燥装置のフィルタ材料を交換する自動フィルタ交換機構体であって、前記フィルタ交換機構体は、態様64乃至68の何れか1項記載のフィルタ交換機構体である自動フィルタ交換機構体。
【0479】
(態様71)手を乾燥させるための実質的に滅菌状態の加熱空気の流れを生じさせるようになった滅菌型手乾燥装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に設けられていて、手を乾燥させるために使用できる空気を加熱する加熱手段と、
使用の際に空気を前記ハウジングに導入させて前記加熱手段に達するよう移動させる入口手段と、
使用の際に前記加熱手段により加熱された後に空気を手を乾燥させるために使用できる加熱空気として放出させる出口手段と、
空気を空気流として前記入口手段から前記加熱手段を介して前記出口手段に迅速に移動させるようになった空気流発生手段とを有し、
前記入口手段は、少なくとも1つの主入口を含み、前記装置内の空気流は全て、前記少なくとも1つの主入口を通過しなければならず、
前記少なくとも1つの主入口は、前記空気流発生手段への入口内に設けられ、前記空気流発生手段に入る空気が全て、この少なくとも1つの主入口を通過して濾過されるようになっている装置。
(態様72)前記空気流発生手段は、ケーシング内に収納され、前記少なくとも1つの主入口は、前記ケーシングに設けられている態様71記載の装置。
(態様73)前記少なくとも1つの主入口は、全体が前記ハウジング内に設けられている態様71記載の装置。
(態様74)前記少なくとも1つの主入口は、前記装置の前記ハウジングに設けられ、前記少なくとも1つの主入口は別として、前記ハウジングへの他の全ての入口は、稼働中、空気が前記少なくとも1つの主入口を通ってしか前記ハウジングに入ることができないように密封されている、態様71記載の装置。
(態様75)前記入口手段は、前記主入口と直列に配置されていて、前記空気流を連続して次々に通す1つ又は2つ以上の補助入口を含む態様71乃至74の何れか1項記載の装置。
(態様76)前記主入口は、単位時間当たりの空気量に関する前記空気流発生手段の空気取り入れ要件を満足するのに十分な空気を収容する相当な空間だけ前記直列配置体中のその次の最も近くに位置する入口から離されている態様75記載の装置。
(態様77)前記補助入口のうちの少なくとも1つは、前記ハウジングの外面に設けられていて、前記ハウジングの外部からユーザにより接近可能である態様75又は76記載の装置。
(態様78)前記滅菌型手乾燥装置は、態様1〜7のうちいずれか一又は態様26〜38のうちいずれか一に記載のものである態様71乃至77の何れか1項記載の装置。
(態様79)前記細菌捕捉フィルタ手段は、態様80乃至106の何れか1項記載の空気伝染細菌フィルタ装置の形態をしている態様71乃至78の何れか1項記載の滅菌型手乾燥装置。
【0480】
(態様80)空気流を引き込み、空気流を人間活動環境内に放出する装置に用いられるようになった空気伝染細菌フィルタ装置であって、前記フィルタ装置は、空気流が順番に通る以下のもの、即ち、
i)繊維状マトリックスの形態をした捕捉フィルタ手段を有し、前記繊維状マトリックスは、その繊維に施された毒性の殺菌性物質を有し、前記殺菌性物質は、前記繊維に施された前記殺菌性物質に当たった細菌を殺すことができる、フィルタ装置。
(態様81)前記捕捉フィルタ手段の通過後に、前記空気流は、
ii)カーボンフィルタ手段を通過し、前記カーボンフィルタ手段は、前記空気流を遮って前記空気流から前記捕捉フィルタ手段に由来する毒性の殺菌性物質のうちの幾分かを除去し、前記フィルタ装置を出て前記人間活動領域内に入る空気流には、細菌と微量の殺菌性物質の両方が実質的に含まれないようにする、態様80記載のフィルタ装置。
(態様82)前記空気伝染細菌フィルタ装置は、全体が前記装置の内部に配置されている態様81記載のフィルタ装置。
(態様83)前記フィルタ装置は、フィルタバリヤ手段を備え、前記フィルタバリヤ手段は、使用の際に、前記フィルタ装置のための細菌不透性バリヤとなるよう前記捕捉フィルタ手段及び前記木炭フィルタ手段を収容している態様82記載のフィルタ装置。
(態様84)前記フィルタバリヤ手段の前記細菌不透性バリヤは、前記捕捉フィルタ手段及び前記木炭フィルタ手段を前記装置の内部から分離して、前記空気流に使用された場合、前記装置内部の細菌又は他の汚染要因物が前記捕捉フィルタ手段を介してのみ前記フィルタ装置に入ることができ、前記フィルタ装置の他の部分を介しては前記フィルタ装置に入ることができないようになっている態様83記載のフィルタ装置。
(態様85)前記細菌不透性バリヤは、互いに嵌まり合うようになったコンポーネントを有し、互いに嵌められると、細菌が前記コンポーネントの当接箇所を通って前記フィルタ装置の内部に入ることができないようになっている態様83記載のフィルタ装置。
(態様86)前記フィルタバリヤ手段の前記細菌不透性バリヤは又、前記フィルタ装置内部の生きている細菌が前記フィルタ装置から逃げ出て前記装置内部に戻るのを阻止する態様83記載のフィルタ装置。
(態様87)前記捕捉フィルタ手段と前記木炭フィルタ手段は、前記細菌不透性バリヤ内に密封された容積部だけ離されており、前記容積部は、前記空気流が前記捕捉フィルタ手段を出た後に入る一時的行き先として働くようになっている、態様81乃至86の何れか1項記載のフィルタ装置。
(態様88)前記捕捉フィルタ手段と前記木炭フィルタ手段は、これらの間の前記容積部が平らであり且つ平面状であるように全体として互いに平行である態様87記載のフィルタ装置。
(態様89)使用中、前記空気流は、前記空気流が前記捕捉フィルタ手段及び前記木炭フィルタ手段の各々の表面に実質的に垂直であるような仕方で前記捕捉フィルタ手段から出て前記木炭フィルタ手段に入る態様87又は88記載のフィルタ装置。
(態様90)前記捕捉フィルタ手段及び前記木炭フィルタ手段の次に連続して、有益な放出可能物質を収容した放出フィルタ手段が設けられ、前記有益な放出可能物質は、使用中、前記フィルタ装置から放出された空気流中に入れ込まれるようになっている態様80乃至89の何れか1項記載のフィルタ装置。
(態様91)前記捕捉フィルタ手段及び前記木炭フィルタ手段の次に連続して、各々が有益な放出可能物質を収容した2つ又は3つ以上の放出フィルタ手段が設けられ、前記有益な放出可能物質は、使用中、前記フィルタ装置から放出された空気流中に入れ込まれるようになっている態様90記載のフィルタ装置。
(態様92)前記有益な放出可能物質は、空気によって運ばれる仕方でユーザに投与できる医薬品を含む態様90又は91記載のフィルタ装置。
(態様93)前記有益な放出可能物質は、フレグランスを含む態様90又は91記載のフィルタ装置。
(態様94)前記有益な放出可能物質は、抗菌物質を含む態様90又は91記載のフィルタ装置。
(態様95)前記有益な放出可能物質は、態様113乃至118の何れか1項記載の空気流により活性化される配合物と組み合わされ、前記有益な放出可能物質は、活性物質である態様90又は91記載のフィルタ装置。
(態様96)少なくとも、前記放出フィルタ手段は、平らなフィルタ材料片の形態をしており、前記平らなフィルタ材料片は、前記平らなフィルタ材料片が前記空気流中ではためくことができるよう前記フィルタ装置内に支持されている態様90又は91記載のフィルタ装置。
(態様97)前記殺菌性物質は、液体塗布物質であり、前記液体塗布物質は、前記繊維に施されると、前記繊維上に見受けられる前記殺菌性物質に当たった細菌を捕捉する粘着性被膜を前記繊維上に提供する、態様80乃至96の何れか1項記載のフィルタ装置。
(態様98)前記粘着性被膜は、当たった細菌粒子を前記繊維に物理的に保持することができ、前記細菌は、その場所に保持されて殺されるようになる態様87乃至97の何れか1項記載のフィルタ装置。
(態様99)前記木炭フィルタ手段は、木炭粒子が注入された繊維状マトリックスである態様81乃至98の何れか1項記載のフィルタ装置。
(態様100)前記木炭フィルタ手段は、前記空気流を再酸素化し、無臭化する態様81乃至99の何れか1項記載のフィルタ装置。
(態様101)前記フィルタは各々、フィルタホルダ内に収容され、前記フィルタホルダは各々、前記フィルタを前記順序でしか互いに取り付けることができないようにする取り付け順序手段を備えている態様81乃至100の何れか1項記載のフィルタ装置。
(態様102)フィルタホルダは各々、上述の順序で互いに取り付けられ、前記フィルタホルダは、互いに組み合わさって前記細菌不透性バリヤとなっている態様101記載のフィルタ装置。
(態様103)各フィルタハウジングに設けられた前記取り付け順序手段は、異形輪郭の形態をしており、前記異形輪郭は、前記順序における次のものであるフィルタハウジングに設けられた対応の輪郭とのみ正確に合致できる態様101記載のフィルタ装置。
(態様104)前記フィルタホルダは、スタックを形成するよう上述の順序で互いに嵌合する態様103記載のフィルタ装置。
(態様105)前記繊維状マトリックスは、細菌粒子を物理的に捕捉すると同時に空気流に対する最小限の抵抗をもたらすようになっており、
前記繊維状マトリックスは、従って、前記空気流に対する最小限の抵抗をもたらすよう細菌のサイズよりも極めて大きな繊維相互間の平均隙間又は細孔と、
前記繊維状マトリックスにより作られる前記空気流のための曲がりくねった経路とを有することを特徴とし、前記細菌粒子が前記マトリックスの前記繊維の少なくとも何割かに当たる確率が極めて高くなるようになっている態様80乃至104の何れか1項記載のフィルタ装置。
(態様106)前記繊維相互間の前記平均隙間又は細孔は、約150ミクロンであるように選択されている態様105記載のフィルタ装置。
(態様107)前記装置は、ハンドドライヤである態様80乃至106の何れか1項記載のフィルタ装置。
(態様108)前記装置は、ハンドドライヤであり、前記装置は、態様1乃至38の何れか1項、態様41乃至56の何れか1項、態様63乃至69の何れか1項、又は態様71乃至79の何れか1項に記載のものである、態様80乃至106の何れか1項記載のフィルタ装置。
(態様109)前記装置は、真空掃除機である態様80乃至106の何れか1項記載のフィルタ装置。
(態様110)前記装置は、ヘアドライヤである態様80乃至106の何れか1項記載のフィルタ装置。
(態様111)前記装置は、空気調和機である態様80乃至106の何れか1項記載のフィルタ装置。
(態様112)前記装置は、衣類乾燥機である、態様80乃至106の何れか1項記載のフィルタ装置。
【0481】
(態様113)空気流により活性化される配合物であって、
少なくとも有効な期間にわたって空気で運ばれることができるようになる活性物質と、 前記活性物質が通常の室温及び通常の圧力では空気で運ばれるのを抑制する放出剤とを含み、
流動中の空気に対する前記配合物の暴露時に、前記放出剤は、前記活性成分を前記空気流中に放出する配合物。
(態様114)前記活性物質は、殺生剤及び(又は)フレグランスである態様113記載の配合物。
(態様115)前記放出剤は、微孔質ポリマーである態様113又は114記載の配合物。
(態様116)前記放出剤は、マイクロカプセルポリマーシェルである態様113又は114記載の配合物。
(態様117)前記放出剤は、メラミン−ホルムアルデヒドマイクロカプセル化シェルである態様116記載の配合物。
(態様118)前記シェルのサイズは、5〜100μmである態様117記載の配合物。
【0482】
(態様119)態様113乃至118の何れか1項記載の配合物で処理されたフィルタ基体。
(態様120)前記配合物は、液体エマルションの状態で前記基体に吹き付けられる態様119記載のフィルタ基体。
(態様121)送風装置内に設けられ、空気を前記フィルタ上でこれに沿って通し又は前記フィルタを通過させて前記活性物質を放出させる態様120記載のフィルタ基体。
【0483】
(態様122)態様81乃至111の何れか1項記載の空気伝染細菌フィルタ装置のフィルタ装置に施される態様113乃至118の何れか1項記載の配合物の用途。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手を乾燥させる実質的に滅菌された状態の加熱空気の流れを生じさせるようになった滅菌型手乾燥装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に設けられていて、手を乾燥させるために使用できる空気を加熱する加熱手段と、
使用の際に空気を前記ハウジングに導入させて前記加熱手段に達するよう移動させる入口手段と、
使用の際に前記加熱手段により加熱された後に空気を手を乾燥させるために使用できる加熱空気として放出させる出口手段と、
空気を空気流として前記入口手段から前記加熱手段を介して前記出口手段に迅速に移動させるようになった空気流発生手段とを有し、
前記装置は、電力を前記装置に供給する電気制御回路を備え、
前記電気制御回路は、前記ハウジングを開いたときにユーザが感電死する恐れを最小限に抑えるために前記ハウジングを開いたときに電力の供給を不能にするカットオフ機構体を備えている装置。
【請求項2】
前記カットオフ機構体は、第1の状態にあるときにのみ、電力供給を可能にする二状態スイッチを有し、前記ハウジングを閉じたときに、前記スイッチを第1の状態に維持するアクチュエータが、前記ハウジング内に設けられ、前記アクチュエータは、前記ハウジングを開いたときに前記スイッチを第2の状態に作動させ、それにより、前記ハウジングが開かれたときに、前記装置への電力供給を不能にする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記カットオフ機構体は、押し下げられたときにのみ、電力供給を可能にする弾性取り付けスイッチを有し、カットオフ機構体のアクチベータが、前記ハウジング内に設けられ、前記カットオフ機構体アクチベータは、前記ハウジングを閉じたときに、前記スイッチを押し下げ、前記ハウジングを開いたときに前記スイッチを持ち上げてオフにし、それにより、前記ハウジングを開いたときに、前記装置への電力供給を不能にするよう構成されている請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記弾性取り付けスイッチは、前記ハウジングのフードが着脱自在に取り付け可能なベースマウントに取り付けられ、前記カットオフ機構体アクチベータは、前記フードの内面に取り付けられている請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記カットオフ機構体アクチベータは、前記ハウジングのフードが着脱自在に取り付け可能なベースマウントに取り付けられ、前記弾性取り付けスイッチは、前記フードの内面に取り付けられている請求項3記載の装置。
【請求項6】
前記カットオフ機構体アクチベータは、前記カットオフ機構体と接触状態にあるときに前記カットオフ機構体を作動させるデプレッサ(depressor )の形態をしている請求項4又は5記載の装置。
【請求項7】
前記ベースマウントは、直立取り付け面に締結されるようになっており、前記手乾燥装置は、前記ハウジングの前記ベースマウントに取り付けることにより前記直立取り付け面上に設置できるようになっている請求項4又は5記載の装置。
【請求項8】
滅菌型手乾燥装置のハウジングのフードが着脱自在に取り付けられるようになったベースプレートであって、
前記手乾燥装置は、電力を前記装置に供給する電気制御回路を備え、
前記ベースプレートは、使用の際に、前記フードが前記ベースプレートに取り付けられた状態で、前記ハウジングが開かれると、前記電気制御回路への電力供給を不能にして前記ハウジングを開いたときにユーザが感電死する恐れを最小限に抑えるためのカットオフ機構体を備えているベースプレート。
【請求項9】
前記滅菌型手乾燥装置は請求項1乃至7の何れか1項記載のものである請求項8記載のベースプレート。
【請求項10】
手を乾燥させるための実質的に滅菌状態の加熱空気の流れを生じさせるようになった滅菌型手乾燥装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に設けられていて、手を乾燥させるために使用できる空気を加熱する加熱手段と、
使用の際に空気を前記ハウジングに導入させて前記加熱手段に達するよう移動させる入口手段と、
使用の際に前記加熱手段により加熱された後に空気を手を乾燥させるために使用できる加熱空気として放出させる出口手段と、
空気を空気流として前記入口手段から前記加熱手段を介して前記出口手段に迅速に移動させるようになった空気流発生手段と、
前記空気流を濾過するようになったフィルタ材料とを有し、
前記装置は、使用中、前記フィルタ材料を交換用フィルタ材料と自動的に交換することができるフィルタ交換機構体を有する装置。
【請求項11】
前記フィルタ交換機構体は、使用中、前記フィルタ材料を或る期間後、定期的に交換用フィルタ材料と交換する請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記フィルタ交換機構体は、使用中、前記フィルタ材料を連続的に又は間欠的に徐々に交換用フィルタ材料と交換する請求項10記載の装置。
【請求項13】
前記フィルタ材料は、シート状ストリップの形態をしている請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記フィルタ材料は、電動式リール機構体によって運搬される請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記フィルタ材料は、使用中、前記空気流を通す細菌捕捉フィルタ手段を含み、
前記細菌捕捉フィルタ手段は、使用の際に、空気流中の細菌の大部分を捕捉して保持するようになっており、前記細菌捕捉フィルタ手段から出る空気流は前記細菌捕捉フィルタ手段に入ったときよりも滅菌度が高いものであるようになっている請求項10乃至14の何れか1項記載の装置。
【請求項16】
滅菌型手乾燥装置のフィルタ材料を交換する自動フィルタ交換機構体であって、前記フィルタ交換機構体は、請求項11乃至15の何れか1項記載のフィルタ交換機構体である自動フィルタ交換機構体。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図12E】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−196682(P2011−196682A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126338(P2011−126338)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【分割の表示】特願2007−543652(P2007−543652)の分割
【原出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(507177629)アルファ テクノロジーズ コーポレイション リミテッド (2)
【Fターム(参考)】