説明

改良形ドーピングを伴う白色発光デバイス

白色光を生成する有機発光ダイオード(OLED)には、陽極、陽極の上に配置された正孔輸送層、正孔輸送層の上に配置された青色発光層、青色発光層の上に配置された電子輸送層、及び電子輸送層の上に配置された陰極が内含されている。正孔輸送層は、黄色発光及び赤色発光ドーパントの両方でドープされている。赤色、緑色及び青色カラーフィルタと併せて用いた場合、OLEDは良好な色品質及び高い効率で赤色、緑色及び青色光を生成する。カラーフィルタと併せて又はカラーフィルタ及び液晶ライトバルブの両方と併せてOLEDを用いるマルチカラー ディスプレイデバイスも同様に開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は白色光を生成する有機発光ダイオード デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード(OLED)は、低い駆動電圧、高輝度、広角検分及びフルカラー平面発光ディスプレイ能力を有することを理由として魅力的なデバイスである。Tang et al.は、その米国特許第4,769,292号及び第4,885,211号中で多層OLEDについて記述している。効率良く白色光を生成するOLED(白色OLED)は、例えば紙のように薄い光源、液晶ディスプレイ(LCD)中のバックライト、自動車の車内灯及び事務所の照明といった幾つかの利用分野にとって低コストの代替品であると考えられている。あらゆる発光デバイスについてそうであるように、白色OLEDは、明るく、かつ、電力消費の点から見て高効率であることが望ましい。白色OLEDの好ましいスペクトル及び精確な色は、意図されている利用分野に左右されることになる。例えば、特定の利用分野が、ヴューワが感知する色を改変する後処理なく白色として感知されることになる光を必要とする場合、OLEDによって発出される光が、約(0.33、0.33)の1931 Commission International d'Eclairage (CIE)色度座標(CIEx、CIEy)を有することが望ましい。その他の利用分野、特にOLEDによって発出される光が、その感知された色を改変するさらなる処理に付される利用分野については、OLEDによって発出される光がオフホワイト、例えば帯青白色、帯緑白色、帯黄白色又は帯赤白色であることで充分であるか、さらにはその方が望ましい可能性がある。以下では、「白色」という用語は、白色又はオフホワイトとして感知される光を意味するべく広義に使用される。このような光のCIE座標は、(CIEx+0.64CIEy)及び(0.64CIEx−CIEy)の数量がそれぞれ0.36〜0.76の範囲内及び−0.20〜+0.01の範囲内に入るような条件を少なくともおおよそ満たすものである。白色OLEDというのは、その発光がこの広義の白色であるOLEDを意味することになる。
【0003】
以下の特許及び刊行物は、正孔輸送層及び有機ルミネセント層を含み、2つの電極の間に置かれた白色光を発出する能力をもつOLEDを開示している。白色OLEDは、以前にJ. Shiによって米国特許第5,683,823号中で報告されており、そこでルミネセント層はホスト発光材料中に均一に分散された赤色及び青色発光材料を含んでいる。これらのデバイスは、良好なエレクトロルミネセント特性を有するものの、赤色及び青色ドーパントの濃度は、ホスト材料の0.12%及び0.25%といったように非常に低い。これらの濃度は、大規模生産中制御することが困難である。Sato et al.は、日本国特許第07,142,169号中で、正孔輸送層に隣接する青色発光層及び、それに続く赤色蛍光色素を含む領域を有する緑色発光層を形成することによって作られた白色光を発出する能力を有するOLEDを開示している。Kido et al.は、Applied Physics Letters 第64巻、815頁(1994)で、単一の発光層が重合体ホスト及び異なるスペクトル領域を発出する3つの蛍光色素を含有する白色OLEDについて報告している。Kido et al.は、Science、第267巻、1332頁(1995年)中で、もう一つの白色OLEDについて報告している。このデバイスでは、白色光を生成するために、異なる担体輸送特性を有し、個別に青色、緑色又は赤色光を発出する3つの発光層が用いられている。Littman et al.は、米国特許第5,405,709号中で、赤色ドーパントでドープされた電子輸送層を内含しかつ正孔注入及び正孔輸送ゾーンに隣接する青色発光再結合層をも同様に内含するもう一つの白色OLEDを開示している。Deshpande et al.は、Applied Physics Letters、第75巻、888頁(1999)で、正孔阻止層によって分離されている、緑色ルミネセンスをもつ1つの層及び赤色と青色ルミネセンスをもつ第2の層を用いた白色OLEDについて記述している。
【0004】
白色OLEDは、フルカラーディスプレイデバイス中でカラーフィルタと共に用いることができる。それらは、その他のマルチカラー又は機能的なカラーディスプレイデバイス中でカラーフィルタと共に用いることも可能である。かかるディスプレイデバイス中で使用するための白色OLEDは製造が容易であり、ディスプレイの各画素内で信頼性の高い白色光を生成する。しかしながら、カラーフィルタは各々の、元来の白色光の約30%しか伝送しない。従って、白色OLEDは高い発光収量を有していなければならない。OLEDは白色と呼ばれかつ白色又はオフホワイトに見え得るものの、この利用分野のためには、OLEDによって発出される光のCIE座標は、各々のカラーフィルタが通過させるスペクトル成分がこの光の中に充分な強度で存在するという必要条件に比べると重要性が低い。カラーフィルタを通過した後の色が、意図された利用分野に適切なものであるということも同様に重要である。フルカラーディスプレイ内で使用するためには、赤色、緑色又は青色フィルタ通過後の標準的な望ましい色は、それぞれ、CIE座標が約(0.64、0.36)の赤色、CIE座標が約(0.29、0.67)の緑色、及びCIE座標が約(0.15、0.19)の青色である。デバイスは同様に、長時間の作動における優れた安定性も有していなければならない。すなわち、デバイスを長時間にわたり動作させるにつれてのデバイスの輝度低下は、可能な限り最小でなければならない。
【0005】
カラーフィルタと共に用いられる場合の白色OLEDの利用分野における1つの問題点は、発光スペクトルの赤色成分の強度が所望の値より低い場合が多いということにある。従って、OLEDからの白色光を赤色フィルタを通して通過させると、所望のものよりも低効率の赤色光が提供され、赤色光の所望の強度を提供するために必要な電力は、所望のものよりも高くなる。その結果、赤色、緑色及び青色光を混合することによってディスプレイ中に白色を生成するために求められる電力も同様に、所望のものよりも高いものであり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、赤色フィルタと共に用いた場合に改善された効率及び色純度をもつ赤色光を生成する白色OLEDを生産することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、
a) 陽極;
b) 陽極の上に配置された正孔輸送層;
c) 正孔輸送層の上に配置された青色発光層;
d) 青色発光層の上に配置された電子輸送層;及び
e) 電子輸送層の上に配置された陰極を含み、
f) 該正孔輸送層がホスト材料、黄色ドーパント及び赤色ドーパントを含む
ことを特徴とする、白色光を生成する有機発光ダイオード(OLED)デバイス、を提供することによって達成される。
【0008】
全く予想外ではあるが、青色発光層並びにホスト材料、黄色ドーパント及び赤色ドーパントを内含する正孔輸送層の両方をOLED中に内含させることによって、赤色フィルタを伴う白色OLEDが生成する赤色光の強度を増強しかつその飽和度を改善することが可能であることが発見された。
【発明の効果】
【0009】
以下では、本発明の特長及び利点を記す。
【0010】
適切なカラーフィルタと併せて本発明に従って構築された白色OLEDを用いたフルカラー ディスプレイは改善された赤色成分強度を有する。
【0011】
適切なカラーフィルタと併せて本発明に従って構築された白色OLEDを用いたフルカラー ディスプレイは赤色画素のための所要電力が低い。
【0012】
適切なカラーフィルタと併せて本発明に従って構築された白色OLEDを用いたフルカラー ディスプレイは、赤色成分の改善された色純度を有する。
【0013】
本発明に従って構築されたOLEDは高い作動安定性を有する。
【0014】
本発明に従って構築されたはOLEDデバイスは、高い効率、低い駆動電圧及び優れた安定性を提供するべく一貫してかつ高い再現性で生産することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
従来のOLEDは、層中に電子及び正孔を注入する能力を有する電気接点と併せて有機発光層を内含する。発光層は、ルミネセント(すなわち、蛍光性又は燐光性)である材料及び電子及び正孔の両方を輸送する能力を有する材料を内含する。エレクトロルミネセンス(EL)として知られている発光は、この層内で電子−正孔対の再結合の結果として生成される。最も単純な構造では、図1に示されている通りのOLED100は、基板110及び陽極120と陰極170の間に挟まれた有機発光層140を有する。発光層140は、高いルミネセント効率を有する単一の純粋な有機又は有機金属材料であり得る。この利用分野に適した周知の材料は、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(Alq)であり、これは優れた緑色エレクトロルミネセンスを生成する。代替的には、発光層140は、電子及び正孔の両方を輸送する能力を有するホスト材料、及びドーパントとして比較的少量の単数又は複数のルミネセント色素を内含することができる。電子及び正孔の再結合よって開放されるエネルギーは、ドーパントによって可視放射線に変換される。
【0016】
OLEDは、陽極が陰極よりも高い電位にあるときに順方向バイアスされる1つのダイオードとして考えることができる。一般に、OLEDは、順方向バイアスされている場合20mA/cm2以上の大きな電流密度を輸送する能力を有するが、逆方向バイアスされている場合には、1μA/cm2よりもはるかに低い非常に小さい電流密度しか輸送しない。
【0017】
OLED100の単純な構造は、発光層が有機正孔輸送層と電子輸送層の間に位置づけられている図2に示される通りの三層構造(デバイス200)へと修正可能である。発光層は、主として正孔−電子再結合すなわちエレクトロルミネセンスのためのサイトとして機能する。付加的な層は、それぞれ陽極及び陰極から発光層まで正孔及び電子を輸送するのに役立つ。この構造中では、個々の有機層の機能は全く異なるものであり、従って独立して最適化可能である。かくして、所望の発光色並びに高い発光収量を生成するように発光層を選択することができる。同様にして、電子輸送及び正孔輸送層を、主としてその担体輸送特性について最適化することができる。
【0018】
図2で有機発光デバイス200は、光透過性陽極220が上に配置されている光透過性基板210を有している。有機発光構造は、陽極220及び陰極270の間で形成されている。その結果、有機発光構造は、透明な有機正孔輸送層240、有機発光層250及び有機電子輸送層260で構成されている。層230は、任意の正孔注入層である。陽極220及び陰極270の間に電位差(図示せず)が印加された時点で、陰極は電子輸送層260中に電子を注入し、電子は層260を横断して発光層250に移動することになる。同時に、正孔が陽極220から正孔輸送層240又は任意の正孔注入層230内に注入されることになる。正孔は、存在する場合には層230を横断して、かつ層240を横断して移動し、発光層中で又は正孔輸送層240と発光層250の間に形成された接合点で電子と再結合することになる。再結合事象は、光透過性陽極220及び基板210を通る光として発出されるエネルギーを放出する。代替的には、電子輸送層及び陰極を透明にし、かくして基板を通してよりもむしろ陰極を通した発光が容易になるように選択することができる。
【0019】
有機発光層の1つの好ましい実施形態は、単数又は複数のルミネセント色素でドープされたホスト材料を内含する。このようなドープされた発光層を用いて、高い効率のELデバイスを構築することができる。同時に、共通のホスト材料中又は異なるホスト材料で異なる発光スペクトル有するルミネセント色素を用いて発光の色を調整することができる。Tang et al.は、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第4,769,292号の中で、ホスト材料としてAlqを用いるELデバイスのためにこのドーパントスキームについてきわめて詳細に説明した。Shi et al.は、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第5,935,721号中で、ホスト材料として9,10−ジ−(2−ナフチル)アントラセン(ADN 及びその誘導体を用いた青色発光OLED用のためにこのドーパントスキームについてきわめて詳細に説明した。
【0020】
標準的には赤色、緑色及び青色の異なる発光色を伴う複数のOLED又は1つのアレイを用いてフルカラー又はマルチカラーディスプレイデバイスを構築することができる。この構築には、異なる要領で着色された画素内の異なる組成のOLEDの製造が必要である。
【0021】
赤色、緑色及び青色(RGB)カラーフィルタ即ち赤色、緑色又は青色光を透過させるフィルタと組み合わされた単一組成の白色OLEDを用いて代替的なフルカラー又はマルチカラー ディスプレイデバイスを構築することができる。RGBフィルタは、基板上に被着させるか(光透過が基板を通しての場合)、基板に内蔵するか、又は上部電極全体の上(光透過が上部電極を通しての場合)に被着させることができる。各々のカラーフィルタは異なるOLEDに対応する。電流が個々のOLEDを通して駆動される場合、OLEDは、白色光を生成し、これが、カラーフィルタによってろ過されて赤色、緑色又は青色光を生成する。RGBフィルタアレイを上部電極全体の上に被着させる場合には、上部電極を保護するために緩衝層を用いることができる。緩衝層は、例えば酸化ケイ素及び窒化ケイ素といった無機材料又は例えば重合体といった有機材料或いは無機及び有機材料の多重層を含むことができる。RGBフィルタアレイを提供するための方法は、当該技術分野において周知である。リソグラフィ手段、インクジェット印刷及びレーザー熱転写などは、RGBフィルタを提供することのできる方法のうちのほんの一部に過ぎない。
【0022】
白色光に加えてRGBフィルタを用いたこのフルカラーディスプレイの製造技術は、フルカラーディスプレイを製造するために用いられる精密シャドウマスク技術に比べていくつかの利点を有する。この技術は、精密な整列を必要とせず、低コストでかつ製造が比較的容易である。基板自体は標準的に、個々の画素にアドレスするための薄膜トランジスタ(TFT)含有する。Ching et al.に対する米国特許第5,550,066号及び第5,684,365号は、TFT基板のアドレッシング方法について記述している。
【0023】
もう一つの代替的フルカラー又はマルチカラーディスプレイデバイスは、液晶ディスプレイ用のバックライト(単複)として単数又は複数の白色OLEDを用いることによって構築可能である。このようなデバイスでは、OLED(単複)を通して電流が通過した時点で、OLED(単複)は一定強度かつ一定スペクトルの光を供給し、各画素の色は、カラーフィルタにより制御され、かつ各画素の輝度は液晶ライトバルブによって制御される。かくして、ディスプレイデバイスは、単数又は複数の白色OLED;OLED(単複)によって生成された白色光がカラーフィルタによってろ過されて着色光を生成するような形に配置された標準的には赤色、緑色及び青色フィルタを内含するカラーフィルタのアレイ;及びOLED(単複)が生成しかつカラーフィルタがろ過した白色光の輝度が液晶ライトバルブによって調節されるような形で各々が異なるカラーフィルタに対応している液晶ライトバルブのアレイを内含する。
【0024】
本発明に従って構築されたOLEDが図3〜6に例示されている。これらのOLEDはいずれのものも、カラーディスプレイデバイスを構築するために適切なカラーフィルタと併せて使用することが出来る。
【0025】
本発明に従って構築された1つの白色OLEDが図3に例示されている。該白色OLED300 は、光透過性陽極320が上に配置されている光透過性基板310を有している。有機白色発光構造は、陽極320と陰極370の間に構成されている。当該構造は、任意の正孔注入層330、正孔輸送層340、青色発光層350及び有機電子輸送層360を逐次内含する。青色発光層は、青色光を発出するように構築された発光層である。それは、単一の材料又はホスト、青色ドーパント及び任意には単数又は複数の付加的ドーパントを内含する材料の組合せのいずれかを内含することができる。正孔輸送層340は、黄色ドーパント及び赤色ドーパントで同時にドープ(同時ドープ)されている。青色、緑色、黄色又は赤色ドーパントは、ルミネセンスの特徴的な色がそれぞれ青色、緑色、黄色又は赤色であるドーパントである。本開示では、「青色」という用語は、紫色を帯びた青色、青色又は緑色がかった青色を意味するべく広義に使用されることになり;「黄色」という用語は、緑色がかった黄色、黄色、黄色がかったオレンジ色、オレンジ色がかった黄色、又はオレンジ色を意味するべく広義に使用されることになり;かつ「赤色」という用語は、赤色がかったオレンジ色、オレンジ色がかった赤色又は赤色を意味するべく広義に使用されることになる。
【0026】
図4は、有機正孔輸送層440が2つの正孔輸送副層441及び442含むという点を除き、図3に示されているものと類似の白色OLED400を描いている。副層442は青色発光層450に隣接しており、黄色ドーパント及び赤色ドーパントで同時ドープされている。副層441は、必ずしも黄色ドーパント及び赤色ドーパントの両方で同時ドープされているとは限らない。例えば、副層441は、発光ドーパントを全く含有しない可能性もある。代替的には、副層441を単数又は複数の発光ドーパントでドープすることもできる。構造400のその他の層は、基板410、陽極420、任意の正孔注入層430、電子輸送層460及び陰極470である。
【0027】
電子輸送層は、同様に単数又は複数の発光ドーパント(単複)を含有することもできる。電子輸送層全体を、発光ドーパント(単複)でドープすることが可能である。代替的には、電子輸送層は、青色発光層に隣接する電子輸送副層中に発光ドーパント(単複)が存在する状態でかつ陰極に隣接する電子輸送副層には発光ドーパント(単複)が不在である状態で、2つ以上の電子輸送副層を内含することができる。図5は、電子輸送層560が電子輸送副層561及び562に細分されているという点を除き図3のOLED300と同様であるOLED500を描いている。副層561は、青色発光層550に隣接しかつ発光ドーパントを含有しているが、一方、副層562は陰極570に隣接し発光ドーパントを全く含有していない。構造500のその他の層は、基板510、陽極520、任意の正孔注入層530及び正孔輸送層540である。図6は、電子輸送層660が電子輸送副層661及び662に細分されているという点を除き、図4中のOLED400と同様であるOLED600を描いている。副層661は、青色発光層650に隣接かつ発光ドーパントを含有しているが、一方副層662は陰極670に隣接し発光ドーパントを全く含有していない。構造600のその他の層は、基板610、陽極620、任意の正孔注入層630、正孔輸送層640及び正孔輸送副層641並びに同時ドープされた正孔輸送副層642である。
【0028】
本発明に従って構築されたOLEDは、標準的には図3中の基板310といった支持基板全体の上に構築される。陽極又は陰極のいずれであれ一つの電極が基板と接触状態にあり得る。代替的には、カラーフィルタ層といった付加的な層を、基板及び近い方の電極の間に置ことができる。便宜上、基板により近い方の電極を下部電極と呼び、他の電極を上部電極と呼ぶ。従来、下部電極は、例えば図3に示されるように陽極であるが、本発明はかかる構成に制限されるものではない。下部電極が陰極である場合、有機層の順序は、上述のものから逆転され、陽極は正孔輸送層又は任意の正孔注入層全体の上に被着される。
【0029】
基板は、意図された光の発出方向に応じて光透過性又は半透明のいずれかであり得る。光透過特性は、基板を通してEL発光を検分するために望ましい特性である。このような場合には、一般に透明なガラス又はプラスチックが使用される。上部電極を通してEL発光が検分される利用分野については、下部支持体の透過特性は重要ではなく、従って基板は、光透過性、光吸収性又は光反射性のいずれであっても良い。この場合に使用するための基板としては、ガラス、プラスチック、ケイ素を含めた半導体材料、セラミクス、回路基板材料、及び研磨金属表面が含まれるが、それに制限されるわけではない。当然のことながら、これらのデバイス構成中には光透明性の上部電極を提供することが必要である。
【0030】
本発明は、図3〜6に示されている特定の構造に関して記述されてきたが、類似の構造も該発明の範囲内に入る。特に、層のさらなる細分化、様々な目的のために用いられる付加的なドーパント及び付加的な層も、本発明の精神を逸脱せずに使用することが可能である。例えば、ドープされた又はされていない非常に薄い付加的な層を、発光層と正孔輸送層又は電子輸送層の間に挿入してそれらの間の接触の性質を修正することができる。このような層の厚みは、標準的には5nm以下である。もう一つの例としては、デバイスの作動安定性を改善する目的で正孔輸送層又は電子輸送層に付加的ドーパントを含有させることが可能である。さらにもう一つの例としては、電子の注入又は輸送を容易にするために、電子輸送層と陰極の間に付加的な層を挿入することができる。
【0031】
OLEDの陽極及び陰極は各々、Tang et al.が米国特許第4,885,211号中で開示している様々な形態のいずれかといったような都合の良いあらゆる従来の形態をとることができる。駆動電圧としても知られている作動電圧は、低仕事関数の陰極及び高仕事関数の陽極を用いた場合に実質的に削減させることが可能である。好ましい陰極は、4.0eV未満の仕事関数を有する1つの金属と、他の1つの金属、好ましくは4.0eVより大きい仕事関数を有する金属との組合せで構築されている陰極である。Tang et al.、米国特許第4,885,211号のMg:Ag合金は、1つの好ましい陰極構造である。Hung et al. は、米国特許第5,776,622号において、OLED内の電子の注入を増強させるためのLiF/Al二層の使用を開示した。Mg:Ag又はLiF/Alのいずれかで作られた陰極は、通常不透明であり陰極を通してディスプレイを検分することはできない。Gu et al. Applied Physics Letters、第68巻、2606頁(1996);Burrows et al. ,Journal of Applied Physics、第87巻、3080頁(2000);Parthasarathy et al. ,Applied Physics Letters、第72巻、2138頁(1998); Parthasarathy et al.,Applied Physics Letters、第76巻、2128 (2000);及び Hung et al.,Applied Physics Letters、第74巻、3209頁(1999)の一連の刊行物は、透明な陰極を開示してきた。これらの透明な陰極は、薄い半透明な金属(最高10nm)と金属の上面の酸化インジウム錫(ITO)の組合せをベースにしている。
【0032】
従来、陽極は導電性で透明な金属酸化物で形成されている。酸化インジウム錫は、その透明度、優れた導電性及び高い仕事関数のために陽極接点として広く用いられてきた。
【0033】
1つの好ましい実施形態では、図3中の陽極320といった陽極は、図3中の陽極320といった正孔注入層によって修正され得る。正孔注入層は、後続の有機層の膜形成特性を改善し、かつ正孔輸送層中への正孔の注入を容易にするのに役立つことができる。正孔注入層で使用するための適切な材料としては、米国特許第4,720,432号中に記述されているようなフタロシアニン銅(CuPc)といったポルフィリン化合物;米国特許第6,208,075号中に記述されているようなプラズマ被着のフッ素樹脂;及びm−MTDATA、通称名4,4’,4’’−トリス[(3−メチルフェニル)フェニルアミノ]−トリフェニルアミンといったいくつかの芳香族アミンが内含されるが、これらに制限されるわけではない。OLED中の正孔注入層中で使用するための代替的材料は、欧州特許第0,891,121Al号及び第1,029,909Al号中で開示されている。
【0034】
本発明に従ったドープされていない正孔輸送層又は副層、或いはドープされた又は同時ドープされた正孔輸送層又は副層のホスト材料は、少なくとも1つの正孔輸送化合物、例えば芳香族第3アミンを内含し、ここで後者は、その炭素原子のうち少なくとも1つが芳香環の一員である3つの炭素原子に結合された少なくとも1つの3価の窒素原子を含有する化合物であると理解される。1つの形態において、芳香族第3アミンは、モノアリールアミン、ジアリールアミン、トリアリールアミン又は高分子アリールアミンといったアリールアミンであり得る。単量体トリアリールアミンの例は、Klupfel et al.により米国特許第3,180,730号中で例示されている。単数又は複数のビニルラジカルで置換されかつ/又は少なくとも1つの活性水素含有基を含むその他の適切なトリアリールアミンは、Brantley et al.により、米国特許第3,567,450号及び第3,68,520号中で開示されている。
【0035】
より好ましい種類の芳香族第3アミンは、米国特許第4,720,432号及び第5,061,569号中に記述されている通りの少なくとも2つの芳香族第3アミン部分を内含する化合物である。正孔輸送層は、単独の芳香族第3アミン又は芳香族第3アミンの混合物で形成され得る。有用な芳香族第3アミンの実例が以下のリストである:
1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン
1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン
N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’’’−ジアミノ1,1’;4’,1’’:4’’,1’’’−クアテルフェニル
ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン
1,4−ビス[2−[4−[N,N−ジ(p−トリ)アミノ]フェニル]ビニル]ベンゼン(BDTAPVB)
N,N,N’,N’−テトラ−p−トリル−4,4’−ジアミノビフェニル
N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノビフェニル
N,N,N’,N’−テトラ−1−ナフチル4,4’−ジアミノビフェニル
N,N,N’,N’−テトラ−2−ナフチル4,4’−ジアミノビフェニル
N−フェニルカルバゾル
4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)
4,4’−ビス[N−(l−ナフチル)−N−(2−ナフチル)アミノ]ビフェニル(TNB)
4,4’−ビス[N−(l−ナフチル)−N−フェニルアミノ]−p−テルフェニル
4,4’−ビス[N−(2−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’−ビス[N−(3−アセナフテニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル
1,5−ビス[N−(l−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ナフタレン
4,4’−ビス[N−(9−アンスリル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’−ビス[N−(l−アンスリル)−N−フェニルアミノ]−p−テルフェニル
4,4’−ビス[N−(2−フェナンスリル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’−ビス[N−(8−フルオランセニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’−ビス[N−(2−ピレニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’−ビス[N−(2−ナフタセニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’−ビス[N−(2−ペリレニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’−ビス[N−(l−コロネニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル
2,6−ビス(ジ−p−トリルアミノ)ナフタレン
2,6−ビス[ジ−(1−ナフチル)アミノ]ナフタレン
2,6−ビス[N−(l−ナフチル)−N−(2−ナフチル)アミノ]ナフタレン
N,N,N’,N’−テトラ(2−ナフチル)−4,4’’−ジアミノ−p−テルフェニル
4,4’−ビス{N−フェニル−N−[4−(l−ナフチル)フェニル]アミノ}ビフェニル
2,6−ビス[N,N−ジ(2−ナフチル)アミノ]フルオレン
4,4’,4’’−トリス[(3−メチルフェニル)フェニルアミノ]トリフェニルアミン(MTDATA)
4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(TPD)
【0036】
3つ以上のアミン基を有する第3芳香族アミンは、オリゴマー材料を含め、正孔輸送化合物として使用することができる。さらに、ポリ(N−ビニルカルバゾル)(PVK)、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン及びPEDOT/PSSとも呼ばれているポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホナート)などの共重合体といった重合体正孔輸送材料を使用することができる。もう一つの種類の有用な正孔輸送材料には、欧州特許第1 009 041号中に記述されているような多環式芳香族化合物が内含される。
【0037】
本発明のドープされていない電子輸送層又は副層、或いはドープされた電子輸送層又は副層のホスト材料には、少なくとも1つの電子輸送材料が内含される。好ましい電子輸送材料は、米国特許第4,885,211号中に開示されているようなオキシン自体のキレート(一般に8−キノリノール又は8−ヒドロキシキノリンとも呼ばれる)を含めた、金属キレート化オキシノイド化合物である。Alqとしても知られるトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)が、一般に用いられる電子輸送材料の一つである。かかる化合物は、高レベルの性能を示しかつ、薄層の形で容易に製造可能である。有用な電子輸送材料のいくつかの例としては以下に示すものがある:
アルミニウムトリオキシン[通称名、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)]
マグネシウムビスオキシン[通称名、ビス(8−キノリノラト)マグネシウム(II)]
ビス[ベンゾ{f}−8−キノリノラト]亜鉛(II)
ビス(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)−μ−オキソ−ビス(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)
インジウムトリオキシン[通称名、トリ(8−キノリノラト)インジウム]
アルミニウムトリス(5−メチルオキシン)[通称名、トリス(5−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)]
リチウムオキシン[通称名、(8−キノリノラト)リチウム(I)]
ガリウムオキシン[通称名、トリス(8−キノリノラト)ガリウム(III)]
ジルコニウムオキシン[通称名、テトラ(8−キノリノラト)ジルコニウム(IV)]
【0038】
集合的にBAlqとして表示される関連材料も同様に電子輸送材料として使用することができる。Bryan et al.は、米国特許第5,141,671中において、かかる材料について論述している。BAlq化合物は混合リガンドアルミニウムキレートであり、特定的には、Rsが8−キノリノラト環状核の環状置換基であるビス(Rs−8−キノリノラト)(フェノラト)アルミニウム(III)キレートである。これらの化合物は、(RSQ)2AlOLという構造式で表わされ、式中、Qは置換8−キノリノラトリリガンドを表わし、Rsは3つ以上の置換8−キノリノラトリガンドのアルミニウムイオンに対する付着を立体的に阻害するための8−キノリノラト環置換基を表わし、OLはフェノラトリガンド、Oは酸素、そしてLはフェニル又は6〜24個の炭素原子の炭化水素置換フェニル部分である。
【0039】
その他の電子輸送材料としては、米国特許第4,356,429号に開示されているような様々なブタジエン誘導体及び米国特許第4,539,507号に記述されているような様々な複素環光沢剤が含まれる。ベンザゾール及びトリアジンも同様に有用な電子輸送材料である。
【0040】
青色発光層の1つの好ましい実施形態には、単数又は複数の青色ドーパントでドープされたホスト材料が含まれる。
【0041】
青色ドーパントと共に用いるのに適したホスト材料としては、米国特許第5,935,721号に記述されているような9,10−ジフェニルアントラセン及びその誘導体といったような、9及び10の位置に炭化水素又は置換炭化水素の置換基を有するアントラセンの誘導体が含まれる。9,10−ジ−(2−ナフチル)アントラセン(構造式I)の誘導体が、青色発光層中で青色ドーパント共に用いるための好ましい種類のホストを構成する。これらの誘導体の一般構造を以下に示す:
【0042】
【化1】

【0043】
なお式中、R1〜R6は、各々の環上の単数又は複数の置換基を表わし、各置換基は:
カテゴリー1: 水素、又は1〜24個の炭素原子のアルキル;
カテゴリー2: 5〜20個の炭素原子のアリール又は置換アリール;
カテゴリー3: 縮合芳香環又は環系を補完する、4〜24個の炭素原子を含む炭化水素;
カテゴリー4: 単結合を介して結合されるか、又は縮合複素芳香環系を補完する5〜24個の炭素原子のヘテロアリール又は置換ヘテロアリール、例えばチアゾリル、フリル、チエニル、ピリジル、キノリニル又はその他の複素環系;
カテゴリー5: 1〜24個の炭素原子のアルコキシルアミノ、アルキルアミノ又はアリールアミノ;又は
カテゴリー6: フルオロ、クロロ、ブロモ又はシアノ、
の中から個別に選択されている。
【0044】
青色発光層中のホストとして有用である9,10−ジ−(2−ナフチル) アントラセンの誘導体の実例としては、以下にその構造を示す9,10−ジ−(2−ナフチル)アントラセン(ADN)自体、及び2−t−ブチル−9,10−ジ−(2−ナフチル)アントラセン(TBADN)が含まれる:
【0045】
【化2】

【0046】
ADN、構造式II
【0047】
【化3】

【0048】
TBADN、構造式III
【0049】
米国特許第5,121,029号及び日本特許第08333569号に記述されているようなスチリルアリレン誘導体も同様に青色発光用として有用なホストである。例えば、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルエテニル)フェニル]アントラセン及び4,4’−ビス(2,2−ジフェニルエテニル)−1,1’−ビフェニル(DPVBi)は青色発光用として有用なホストである。
【0050】
9及び10の位置に炭化水素又は置換炭化水素の置換基を有し、青色ドーパントと共に用いるためのホスト材料として適しているアントラセンの付加的誘導体には、米国特許第6,534,199号に記述されているようなビアンスリル及びトリアンスリル化合物が含まれる。これらのアントラセン誘導体において、9位置にある置換基又は9及び10の両方の位置にある置換基には、アントラセン又は置換アントラセンが含まれる。これらのビアンスリル又はトリアンスリル化合物中のアントラセン部分のいずれもが、所望の場合、単数又は複数の炭化水素、ハロゲン、又はシアノ置換基(単複)を担持することができる。
【0051】
当該技術分野において数多くの青色ドーパントが既知であり、本発明を実践する上で用いるべく考慮されている。特に有用な種類の青色ドーパントには、ペリレン及びその誘導体、例えばアルキル、置換アルキル、アリール又はハロゲンといった単数又は複数の置換基を担持するペリレン核が含まれる。青色ドーパントとして用いるための特に好ましいペリレン誘導体は、2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン(TBP)である。もう一つの特に有用な種類の青色ドーパントとしては、米国特許第5,121,029号中に記述されている化合物を内含する、ジスチリルベンゼン及びジスチリルビフェニルといったようなジスチリルアレーンの青色発光誘導体が含まれる。青色ルミネセンスを提供するジスチリルアレーン誘導体の中で、特に有用であるのは、 ジスチリルアミンとしても同様に知られている、ジアリールアミノ基で置換されたものである。例としては、以下に示した一般構造を有するビス[2−[4−[N,N−ジアリールアミノ]フェニル]ビニル]−ベンゼン:
【0052】
【化4】

【0053】
構造式IV
及び、以下に示した一般構造を有するビス[2−[4−[N,N−ジアリールアミノ]フェニル]ビニル]ビフェニル:
【0054】
【化5】

【0055】
構造式V
が含まれ;
構造式IV及びVにおいて、R1〜R4は、同一のものであるか又は異なるものであり、かつ個別にアルキル、アリール、縮合アリール、ハロ又はシアノといった単数又は複数の置換基を表わし得る。1つの好ましい実施形態において、R1〜R4は、個別に、各々1個〜約10個の炭素原子を含有するアルキル基である。この種類の特に好ましい青色ドーパントは、1,4−ビス[2−[4−[N,N−ジ(p−トリル)アミノ]フェニル]ビニル]ベンゼン(BDTAPVB)である:
【0056】
【化6】

【0057】
構造式VI、BDTAPVB。
【0058】
もう一つの有用な種類の青色ドーパントは構造式VIIによって表わされ、その開示が本書中に包含されている2002年6月27日付けでBenjamin P. Hoag et al.により提出された「エレクトロルミネセントデバイス用うの有機 素子」という題の本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第10/183,242号中で記述されている。
【0059】
【化7】

【0060】
構造式VII
なお、構造式VII中:
− A及びA’は、少なくとも1つの窒素原子を含む6員の芳香環系に対応する独立したアジン環系を表わし;
− (Xan及び(Xbmは、単数又は複数の独立して選択された置換基を表わし、非環式置換基を内含するか又はA又はA’に縮合された環を形成するべく接合されており;
− m及びnは独立して0〜4であり;
− Za及びZbは独立して選択された置換基であり;
− 1、2、3、4、1’、2’、3’、及び4’は炭素又は窒素原子のいずれかとして独立して選択されている。
【0061】
構造式VIIに従ったドーパントの中で用いるのに適した置換基Xa、Xb、Za及びZbは、上述の本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第10/183,242号の中で論述されている。望ましくは、青色ルミネセンスを提供するためには、アジン環は1、2、3、4、1’、2’、3’及び4’が全て炭素となるようにキノリニル又はイソキノリニル環のいずれかであり;m及びnは両方とも2以上であり;かつ(Xan及び(Xbmは各々、接合して1つの芳香環を形成する少なくとも2つの置換基を表わしている。望ましくは、青色ルミネセンスを提供するためには、Za及びZbはフッ素原子である。
【0062】
好ましい青色ドーパントにはさらに、2つの縮合環系がキノリン又はイソキノリン系である、すなわち接合して6−6縮合環を形成する少なくとも2つのXa基及び2つのXb基が存在し;縮合環系が、それぞれ1−2、3−4、1’−2’又は3’−4’位置で縮合されており;縮合環のうちの1つ又は両方がアリール又はヘテロアリール基で置換されており;かつドーパントが構造式VIII、IX又はX形で描かれているような材料、が含まれる。この好ましい構造の青色ドーパントには、以下のものが含まれる。
【0063】
【化8】

【0064】
構造式VIII
【0065】
【化9】

【0066】
構造式IX
【0067】
【化10】

【0068】
構造式X
なお式中、各Xc、Xd、Xe、Xf、Xg及びXhは、水素又はその内の1つがアリール又はヘテロアリール基でなければならない独立して選択された置換基である。これらの化合物は、脱プロトン化されたビス(アジニル)アミンリガンドの二環窒素で錯化されたホウ素化合物として記述することができ、ここで二環窒素は、うち少なくとも1つの系がアリール又はヘテロアリール置換基を含有する異なる6−6縮合環系の成員である。
【0069】
青色ルミネセンスを提供しかつ青色発光層中において青色ドーパントとして有用な構造式VIII〜Xに従った化合物の制限的な意味のない実例は以下の通りである:
【0070】
【化11】

【0071】
構造式XI
【0072】
【化12】

【0073】
構造式XII
【0074】
【化13】

【0075】
構造式XIII
【0076】
【化14】

【0077】
構造式XIV
【0078】
【化15】

【0079】
構造式XV
【0080】
【化16】

【0081】
構造式XVI
【0082】
【化17】

【0083】
構造式XVII。
【0084】
青色ドーパントは、個別に青色ドーパントともなり得る化合物の混合物でもあり得る。青色発光層は、デバイスの発光収量を増大させることを主たる機能とする単数又は複数の付加的ドーパントを含有し得る。発光収量を増大させる種類の化合物には、トリアリールアミンが含まれる。この機能のための好ましい付加的トリアリールアミンドーパントには、NPB及びTNBが含まれる。
【0085】
正孔輸送層、電子輸送層、又は正孔輸送層及び電子輸送層の両方において黄色ドーパントとして用いるための好ましい材料は、構造式XVIIIによって表わされるものである:
【0086】
【化18】

【0087】
構造式XVIII
なお式中、Rl〜R6は、各環上の単数又は複数の置換基を表わし、各置換基は上述のカテゴリーの1つから個別に選択されている。Rl〜R4として好ましいのは、上述のカテゴリー3及び4から選択された置換基である。
【0088】
特に有用な黄色ドーパントの例としては、以下にその構造式が示されている、5,6、11,12−テトラフェニルナフタセン(ルブレン);6,11−ジフェニル5,12−ビス(4−(6−メチル−ベンゾチアゾール−2−イル)フェニル)ナフタセン(DBzR)及び5,6,11,12−テトラ(2−ナフチル)ナフタセン(NR)が含まれる:
【0089】
【化19】

【0090】
(ルブレン、構造式XIX)
【0091】
【化20】

【0092】
(DBzR、構造式XX)
及び
【0093】
【化21】

【0094】
(NR、構造式XXI)
【0095】
黄色ドーパントは同様に、個別に黄色ドーパントにもなり得る化合物の混合物でもあり得る。
【0096】
本発明中において有用な赤色ドーパントには、2002年12月31日付けの米国特許出願第10/334,324号中に記述されているようなジインデノペリレン化合物が含まれる。ジインデノペリレン化合物は構造式XXIIによって表わされ得る:
【0097】
【化22】

【0098】
構造式XXII
式中:
指示された置換基のいずれも接合してさらなる縮合環を形成できることを条件として;
1〜R16は赤色ルミネセンスを提供するヒドロ又はその他の置換基として独立して選択される;例えば、上述の米国特許出願第10/334,324号を参照のこと。
【0099】
赤色ルミネセンスを提供する1つの望ましい実施形態において、R1〜R16は、ヒドロ、アルキル及びアリールを内含するカテゴリーから独立して選択される。赤色ルミネセンスを提供する特に有用なジインデノペリレンドーパントは、R1〜R16が、以下に示す構造式により例示されているように、ジインデノペリレン骨格に対して縮合されたアリール環を含むアリール及びヒドロを内含するカテゴリーから独立して選択されているものである:
【0100】
【化23】

【0101】
ペリフランテン、
構造式XXIII;
【0102】
【化24】

【0103】
構造式XXIV;
【0104】
【化25】

【0105】
構造式 XXV;
【0106】
【化26】

【0107】
構造式XXVI;
【0108】
【化27】

【0109】
構造式XXVII;
【0110】
【化28】

【0111】
構造式XXVIII;
【0112】
【化29】

【0113】
構造式XXIX;
【0114】
【化30】

【0115】
構造式XXX;
【0116】
【化31】

【0117】
TPDBP、
構造式XXXI;
【0118】
【化32】

【0119】
構造式XXXII;
【0120】
【化33】

【0121】
構造式XXXIII;
【0122】
【化34】

【0123】
構造式XXXIV;
【0124】
【化35】

【0125】
構造式XXXV;
【0126】
【化36】

【0127】
構造式XXXVI;
【0128】
【化37】

【0129】
構造式XXXVII;
【0130】
【化38】

【0131】
構造式XXXVIII;
【0132】
【化39】

【0133】
構造式XXXIX;
【0134】
【化40】

【0135】
構造式XL;
【0136】
【化41】

【0137】
構造式XLI;
【0138】
【化42】

【0139】
構造式XLII;
【0140】
【化43】

【0141】
構造式XLIII;
【0142】
【化44】

【0143】
構造式XLIV;
【0144】
【化45】

【0145】
構造式XLV;
【0146】
【化46】

【0147】
構造式XLVI;
【0148】
【化47】

【0149】
構造式XLVII;又は
【0150】
【化48】

【0151】
構造式XLVIII、
特に好ましいジインデノペリレンドーパントは、ジベンゾ{([f,f’]−4,4’7,7’−テトラフェニル]ジインデノ−[1,2,3−cd:1’,2’,3’−lm]ペリレン(TPDBP)である。
【0152】
本発明において有用なその他の赤色ドーパントは、構造式(XLIX)で表わされる色素のDCMクラスに属する:
【0153】
【化49】

【0154】
(構造式XLIX)
式中、R3及びR5が共に縮合環を形成しないことを条件として、R1〜R5はヒドロ、アルキル、置換アルキル、アリール又は置換アリールから独立して選択された単数又は複数の基を表わし;R1〜R5は独立して非環式基を内含するか、又は対の形で接合されて単数又は複数の縮合環を形成する。
【0155】
赤色ルミネセンス提供する有用かつ都合の良い実施形態においては、R1〜R5は、ヒドロ、アルキル及びアリールから独立して選択される。DCMクラスの特に有用なドーパントの構造を以下に示す:
【0156】
【化50】

【0157】
構造式L、
DCJTB;
【0158】
【化51】

【0159】
構造式LI;
【0160】
【化52】

【0161】
構造式LII;
【0162】
【化53】

【0163】
構造式LIII;
【0164】
【化54】

【0165】
構造式LIV;
【0166】
【化55】

【0167】
構造式LV;又は
【0168】
【化56】

【0169】
構造式LVI。
好ましいDCMドーパントは、DCJTBである。赤色ドーパントは同様に、個別に赤色ドーパントにもなり得る化合物の混合物でもあり得る。
【0170】
クマリンは、Tang et al. により米国特許第4,769,292号及び第6,020,078号中に記述されているとおりの有用な緑色ドーパントの1種類である。有用な緑色クマリンの一例は以下にその構造を示すC545Tである:
【0171】
【化57】

【0172】
(C545T、構造式LVII)。
【0173】
キナクリドンは、もう一種類の有用な緑色ドーパントを代表する。有用なキナクリドンは、米国特許第5,593,788号、日本特許公報第09−13026A号及びその開示が本書中に包含されている「緑色有機発光ダイオードを含むデバイス」という題の、Lelia Cosimbescuにより2002年6月27日付けで提出され本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第10/184,356号の中で記述されている。
【0174】
特に有用な緑色キナクリドンの例を以下に示す:
【0175】
【化58】

【0176】
(構造式LVIII)
及び
【0177】
【化59】

【0178】
(DPQA、構造式LIX)。
【0179】
もう一つの有用な種類の緑色ドーパントは以下の構造式LXによって表わされる:
【0180】
【化60】

【0181】
(構造式LX)
式中:
A及びA’は、各々少なくとも1つの窒素原子を含む6員の芳香環系に対応する独立したアジン環系を表わし;
a及びXbは各々1つの独立して選択された置換基であり、うち2つは接合してA又はA’に対する縮合環を形成することができ;
m及びnは独立して0〜4であり;
YはH又は1つの置換基であり;
a及びZbは独立して選択された置換基であり;かつ
原子1〜4及び1’〜4’は、炭素又は窒素原子として独立して選択されている。
【0182】
構造式LXに従ったドーパント中で用いるのに適した置換基Xa、Xb、Y、Za及びZbは、上述の本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第10/183,242号の中で論述されている。望ましくは、緑色ルミネセンスを提供するために、アジン環は1、2、3、4、1’、2’、3’及び4’が全て炭素であるようにキノリニル又はイソキノリニル環のいずれかであり;m及びnは2以上であり;かつ(Xam及び(Xbnは各々、接合して芳香環を形成する少なくとも2つ置換基を表わす。望ましくは、緑色ルミネセンスを提供するために、Za及びZbaはフッ素原子である。
【0183】
一部の都合の良い実施形態では、1〜4及び1’〜4’は、全て炭素原子である。望ましくは、置換基Xaが環Aに縮合される環を形成するか、又は置換基Xbが環A’に縮合される環を形成するか、或いは両方の置換基Xa及びXbがそれぞれ環A及びA’に縮合される環を形成する。1つの有用な実施形態では、ハロ、アルキル、アリール、アルコキシ及びアリールオキシ置換基を内含するカテゴリーから選択された少なくとも1つのXa又はXb置換基が存在する。もう一つの実施形態では、フルオロ及びアルキル、アリール、アルコキシ及びアリールオキシ置換基を内含するカテゴリーから独立して選択されたZa及びZb置換基が存在する。1つの望ましい実施形態では、Za及びZbは両方ともフルオロ置換基である。Yは適切には、水素又はシアノ、カルボキシル、アルキル、トリフルオロメチル、アリール、アリール又は複素環といった置換基である。一般構造が構造式LX中に示されている有用な緑色ドーパントのいくつかの例についての構造式を以下に示す:
【0184】
【化61】

【0185】
構造式LXI;
【0186】
【化62】

【0187】
構造式LXII;
【0188】
【化63】

【0189】
構造式LXIII;
【0190】
【化64】

【0191】
構造式LXIV;又は
【0192】
【化65】

【0193】
構造式LXV。
【0194】
以下で、層中のドーパントの百分率は、薄膜被着モニターを用いて測定された層中の合計材料に対するドーパントの体積百分率を表わす。青色ドーパントは、青色発光層の0.1〜10%かつ好ましくは0.75〜2%を構成する。トリアリールアミン化合物といった付加的ドーパントは、青色発光層の0〜30%、かつ好ましくは0〜15%を構成する。黄色ドーパントは、それが赤色ドーパントと中で同時ドープされている正孔輸送層又は副層の0.5〜50%、好ましくは2〜30%を構成する。赤色ドーパントは、それが黄色ドーパントと中で同時ドープされている正孔輸送層又は副層の約0.1〜5%、かつ好ましくは0.5〜1%を構成する。緑色ドーパントが、電子輸送層又は副層中に存在する場合、それは当該層又は副層の0.1〜3%、かつ好ましくは0.25〜1%を構成する。赤色ドーパントが電子輸送層又は副層中に存在する場合、該赤色ドーパントは、当該層又は副層の0.1〜3%、かつ好ましくは0.25〜1%を構成する。
【0195】
正孔輸送層の厚みは、20〜約250nmの間、かつ好ましくは70〜150nmの間である。青色発光層の厚みは、10〜50nmの間、かつ好ましくは20〜40nmの間である。電子輸送層の厚みは、10〜100nmの間、かつ好ましくは20〜40nmの間である。正孔輸送層の副層のみが黄色及び赤色ドーパントで同時ドープされる場合、当該副層の厚みは、5〜50nmの間、かつ好ましくは10〜30nmの間である。発光ドーパントが電子輸送副層中に存在する場合、当該副層の厚みは、5〜40nmの間、かつ好ましくは10〜20nmの間である。付加的な層が発光層及び正孔輸送層又は電子輸送層の間に存在する場合、当該層厚みは、1〜10nm、かつ好ましくは2〜5nmの間である。陰極の厚みは通常、20〜400nmの間、かつ好ましくは50〜250nmの間である。
【0196】
本発明のOLEDは、白色光源を必要とするあらゆる利用分野で使用することができる。これらは、紙のように薄い光源といったコンパクトな光源として、及びオフィス照明及び自動車用のルームランプといった部域的照明において使用することができる。それらは、個別にアドレス可能な光源として又はLCD中のバックライトとしてディスプレイデバイス中で使用することができる。マルチカラーディスプレイデバイスにおいては、本発明に従って構築されたOLEDを赤色、緑色及び青色カラーフィルタと共に使用することができる。かかるフィルタは、フルカラー又はマルチカラーディスプレイの構築においてそれらを使用するための手段と同様、当該技術分野において周知である。赤色、緑色及び青色フィルタの代表例としては、市販のR37、G37及びB37フィルタがある。R37フィルタによって通過させられるスペクトル帯は、約585nmを超える全ての可視波長を含む。G37フィルタによって通過させられるスペクトル帯は、約480〜約585nmの間の全ての可視波長を内含する。B37フィルタによって通過させられるスペクトル帯は、約525nmより短い全ての可視波長を内含する。
【実施例】
【0197】
本発明及びその利点は、以下の実施例により例示される。以下で記述される全てのOLEDの製造手順は、比較例1のケースについて例示されている。各OLEDの電流−電圧特性は、定電流源測定ユニットを用いて評価された。エレクトロルミネセンススペクトル及び収量は、フィルタを使用せずに定電流源及びダイオードアレイ分光計を用いて評価された。発光を同様に市販のR37赤色、G37緑色又はB37青色フィルタを通してろ過し、各々の伝送された色についての測光性能も同様に測定した。
【0198】
実施例の一部について、シミュレーションされたフルカラー2.2インチ対角正方形OLEDディスプレイパネルの電力消費を、D60又はD65の白色点で100cd/m2の輝度について計算した。D60及びD65の白色点は、それぞれ(0.32、0.33)及び(0.31、0.33)のCIE座標に対応している。シミュレーションされたデバイスは、実施例の白色OLED、個別のR37、G37及びB37フィルタを伴う着色された画素及び透過率0.4の偏光子を内含していた。さらに、各画素が13Vの駆動電圧を必要とするものと仮定した。この値は、駆動回路中の非効率性をシミュレーションする目的で、OLED自体についての駆動電圧を超過している。シミュレーションされたディスプレイの赤色、緑色及び青色画素を駆動するために必要な電流を推定するために、所望のディスプレイ輝度及びCIE座標をカラーフィルタを通して測定された通りOLEDの発光収量及びCIE座標と組み合わせた。各画素についての輝度は、駆動電流に比例するものと仮定し、比例定数を20mA/cm2での輝度から評価した。かかるシミュレーションの方法は、当業者にとっては明白なものである。
【0199】
作動安定性(デバイス寿命)は、その輝度及び駆動電圧を監視しながら20mA/cm2の一定の平均電流密度及び70℃でOLEDを作動させることによって評価された。平均20mA/cm2の電流密度は、0.5ms周期の14V逆バイアスで交番する0.5ms周期の40mA/cm2電流密度として供給された。
【0200】
比較用例1
比較用例1のOLEDは、正孔輸送層(340)が黄色ドーパントのみを含有しているという点を除き、図3中に示されている該発明のデバイスと同一の構造を有していた。ガラス基板(210)上の80nmのITO層を、同一基板上の複数のOLEDの陽極(320)を画定するようにパターン化した。 陽極を順次、市販の洗剤中で超音波処理し、脱イオン水中で洗い流し及びトルエン蒸気中で脱脂した。ITO層を酸素プラズマを用いて約1分間処理し、次にCHF3のプラズマ援用被着によって1nmの過フッ化炭化水素層、つまり正孔注入層(330)をコーティングした。結果として得られたコーティング済みの基板を真空チャンバに移し、そこで以下の付加的な層を真空蒸着によって正孔注入層全体の上に順次製造した:正孔輸送層(HTL、340)としての2%のルブレンを含有する150nmのNPB、青色発光層(350)としての2%TBPでドープされた20nmのTBADN、電子輸送層(ETL、360)としての35nmのAlq、そして最後に複数のOLED用の陰極(370)を供給するようにパターン化された10%のAgを含有する220nmのMg。上述のシーケンスでOLEDの被着を完成した。次にOLEDを、周囲環境に対する保護のための乾燥窒素を満たしたグローブボックス中に密封包装した。
例2〜4
【0201】
HTLが2%のルブレン及び赤色ドーパントとしてのDCJTBで同時ドープされいる点を除き(表Ia中に百分率が示されている)、例2〜4のOLEDを比較用例1と類似の要領で構築した。カラーフィルタ無しでの駆動電圧及び測光パラメータ(発光収量及びCIE座標)の点から見た20mA/cm2の電流密度でのデバイスの性能も同様に表Ia中で報告されている。赤色、緑色青色カラーフィルタを伴う各OLEDについての同じ測光パラメータは、表Ibに報告されている。
【0202】
表Ia
20mA/cm2の電流密度でのカラーフィルタ無しのい例1〜4のOLEDの組成及び性能パラメータ
第2欄は、正孔輸送層中の赤色ドーパントの百分率DCJTBを示し;第3欄は駆動電圧を報告し;第4欄は発光収量を報告し;かつ第5欄はCIE座標を報告している、
【0203】
【表1】

【0204】
表Ib
R37赤色、G37緑色及びB37青色フィルタを通して測定された例1〜4のOLEDの測光特性
【0205】
【表2】

【0206】
例2〜4のOLEDは、比較用例1のOLEDに比べて、フィルタ無し及び赤色又は緑色フィルタで発光収量の増大を、そして青色フィルタで発光収量の軽度の減少を実証した。赤色フィルタでのCIE座標は極僅かに変化し、緑色及び青色フィルタでのCIE座標は幾分か変化した。駆動電圧には無視できる程度の変化しかなかった。赤色フィルタでの発光収量の増大は、本発明に従った同時ドープされた正孔輸送層を利用したことの利点である。
例5〜9
【0207】
例6〜9のOLEDを、図4に示される通りのOLED400の構造に従って調製した。正孔輸送層は、ドープされていないNPBの厚み130nmの副層(441)及び黄色ドーパントとしての2%のルブレン及び赤色ドーパントとしての様々な百分率のDCJTBで同時ドープされたNPBの厚み20nmの副層(442)を含んでいた。青色発光層(450)は、青色ドーパントとして5%のBDTAPVBでドープされたホストとしての厚み25nmのTBADNの層であった。電子輸送層(460)は、35nmのAlqであった。比較用例5のOLEDは、副層442がDCJTBを全く含有していない点を除き類似のものであった。基板(410)、陽極(420)、正孔注入層(430)及び陰極(470)に関しては、例5〜9のOLEDは、比較用例1のOLEDと同じであった。
【0208】
表IIa及びIIbは、DCJTBの百分率及びこれらのデバイスの20mA/cm2での性能を示している。D60白色点で作動させたシミュレーションされたディスプレイパネルの電力消費が含まれている。フィルタ無しの発光収量は、DCJTBドーパントの存在により幾分か減少した。駆動電圧には無視できる程度の変化しかなかった。緑色及び青色フィルタでの発光収量も同様に減少し、CIE座標は幾分か変化した。しかしながら、最も重要なことに、赤色フィルタでの発光収量は著しく増大し、かつ赤色フィルタでの色はより飽和した赤色に向かってシフトした。その上、D60白色点での予想電力消費が著しく減少した。赤色フィルタでの効率の増大、赤色の改善及びD60白色点での電力消費の減少は、本発明に従った同時ドープされた正孔輸送副層を使用したことの利点である。
【0209】
適切なカラーフィルタを伴う本発明に従って構築された白色OLEDによって生成された赤色光の発光収量が改善されたことから、適切なカラーフィルタを伴う本発明に従って構築された白色OLEDを用いたシミュレーションフルカラーディスプレイパネルは、赤色成分の効率の改善を示している。従って、適切なカラーフィルタを伴う本発明に従って構築された白色OLEDを用いたシミュレーションフルカラー ディスプレイは、赤色画素のための所要電力量の減少を示す。さらに、適切なカラーフィルタを伴う本発明に従って構築された白色OLEDを用いたシミュレーションフルカラーディスプレイは、赤色成分色純度の改善を示している。
【0210】
表IIa
例5〜9のOLEDの組成及び性能パラメータ
各欄は、表Iaと同一の意味を有している
【0211】
【表3】

【0212】
表IIb
R37赤色、G37緑色及びB37青色フィルタを通して測定された例5〜9のOLEDの測光特性及び光源としてこれらのOLEDを用いた2.2インチ対角正方形ディスプレイパネルの予測電力消費
【0213】
【表4】

【0214】
同じく20mA/cm2での例5及び7のデバイスのELスペクトルは図7に示されている。当該図において、矢印及び数字はそれぞれの例に付随するスペクトルを表わしている。HTL中に赤色ドーパントDCJTBを添加することで、スペクトルの赤色部分の強度は増大するが、一方スペクトルの青色部分の強度は減少した。青色及び赤色フィルタを通して測定された相対強度の変化及び赤色フィルタを通した発光の飽和度の増大は、OLEDの未ろ過発光スペクトル中のこれらの変化に原因があると考えられている。比較用例5のものに比べて例7についての未ろ過発光が、スペクトルの緑色領域の一部で比較的強くもう一つの部分で比較的弱いことから、緑色フィルタでの効率の減少が軽度であることの説明はさらに複雑である。
例10〜13
【0215】
比較用例10及び例11〜13のOLEDは、図3中に示されている構造を有し、かつ赤色ドーパントがDCJTBではなくTPDBPである点を除き、例1〜4のデバイスと類似の要領で調製された。
【0216】
表IIIa及びIIIbは、TPDBPの百分率とこれらのデバイスの性能を示している。赤色ドーパントとしてTPDBPが存在することの効果は、赤色ドーパントの百分率が増大するのに伴って駆動電圧が1ボルト未満だけ増大したという点を除き、例5〜9中のDCJTBのものと類似であった。しかしながら、最も重要なことに、色がより飽和した赤色に近づいた一方で、赤色フィルタでの発光収量はおよそ1.8の係数だけ増大した。比較用例10との関係における例11〜13の効率及び色の改善は、本発明に従った同時ドープされた正孔輸送層を用いることの利点を例示している。
【0217】
例10〜13デバイスのELスペクトルは、図8に示されている。該図中で、矢印及び数字はここでも又それぞれの例に付随するスペクトルを示している。赤色ドーパントTPDBPの最大の効果は、およそ560nmにピークをもつ黄色ドーパントルブレンの黄色発光を、およそ610nmにピークをもちかつさらに長い波長で実質的な強度を有する赤色ドーパントTPDBPの赤色がかった発光によって置き換えることにある。より小さな効果としては、およそ470nmにピークを有するTBPの青色発光の強度を低減させるということがある。赤色フィルタでの性能の改善は、未ろ過スペクトル中の赤色成分の増加の結果であると考えられている。
【0218】
表IIIa
例10〜13のOLEDの組成及び性能パラメータ
各欄は、赤色ドーパントがTPDBPである点を除き表laと同じ意味をもつ。
【0219】
【表5】

【0220】
表IIIb
R37赤色、G37緑色及びB37青色フィルタを通して測定された例10〜13のOLEDの測光特性
【0221】
【表6】

例14〜17
【0222】
例15〜17OLEDは、図4中に示された構造を有し、例5〜9のデバイスと類似の要領で調製された。正孔輸送層は、ドープされていないNPBの厚み130nmの副層(441)及び黄色ドーパントとしての3%のDBzR及び赤色ドーパントとしての様々な百分率のTPDBPで同時ドープされたNPBの厚み20nmの副層(442)を含んでいた。青色発光層(450)は、青色ドーパントとして2%のBDTAPVBでドープされたホストとしての厚み20nmのTBADNの層であった。電子輸送層(460)は、35nmのAlqであった。比較例14のOLEDは、副層442がTPDBPを全く含有していないという点を除き類似のものであった。基板(410)、陽極(420)、正孔注入層(430)及び陰極(470)に関して、例14〜17のOLEDは、比較用例1のOLEDと同じであった。
【0223】
表IVa及びIVbは、TPDBPの百分率及び20mA/cm2でのこれらのデバイスの性能を示している。D60白色点で作動させられたシミュレーションディスプレイパネルの電力消費も含まれていた。ここでも又、フィルタ無しの発光収量は、TPDBPドーパントの存在により幾分か減少した。駆動電圧は、僅かな量だけ減少した。緑色及び青色フィルタでの発光収量も同様に減少し、CIE座標は幾分か変化した。しかしながら、最も重要なことに、赤色フィルタでの発光収量は、著しく増大し、赤色フィルタでの色は、より飽和した赤色の方にシフトした。これらの例は、本発明に従った同時ドープされた正孔輸送副層の使用が、マルチカラーディスプレイの赤色画素のためのより飽和した赤色及び赤色フィルタを用いた効率の増大という利点を有していることを例示している。その上、例15のケースでは、D60白色点での予測電力消費は、比較用例14についてのものに比べて著しく減少した。この例は、本発明の範囲内で同時ドープされた層の組成を調整することによって、マルチカラーディスプレイが白色を表示している場合に電力消費の減少を達成することがで可能であるということを例示している。
【0224】
例14〜17のデバイスのELスペクトルは、図8中に示されているような例10〜13のものと類似であり、それらは類似の傾向を示している。赤色フィルタと共に使用された場合の比較用例14のものに比べた本発明の例15〜17の性能の改善は、TPDBPの赤色発光によってDBzRの黄色発光を置き換えたことにより引き起こされた、未ろ過スペクトル内の赤色成分の増大の結果であると考えられている。
【0225】
表Iva
例14〜17のOLEDの組成及び性能パラメータ
各欄は、表laと同じ意味を有する
【0226】
【表7】

【0227】
表Ivb
R37赤色、G37緑色及びB37青色フィルタを通して測定された例14〜17のOLEDの測光特性、及び光源としてこれらのOLEDを用いた2.2インチ対角正方形ディスプレイパネルの予測電力消費
【0228】
【表8】

【0229】
例18及び19
例18及び19のOLEDは、本発明の実践及び本発明に従って構築されたOLEDの性能についてさらに例示している。該OLEDは、図4中に示された構造を有し、例5〜9のデバイスと類似の要領で調製された。正孔輸送層は、ドープされていないNPBの厚み280nmの副層(441)及び黄色ドーパントとしての変動する百分率のルブレン及び赤色ドーパントとしての0.5%のTPDBPで同時ドープされたNPBのおよそ30nmの副層(442)を含んでいた。青色発光層(450)は、青色ドーパントとしての3%BDTAPVBでドープされ、かつ変動する百分率のNPBで付加的にドープされたホストとしてのTBADNの厚み40nmの層であった。電子輸送層(460)は、10mnのAlqであった。基板(410)、陽極(420)、正孔注入層(430)、及び陰極(470)に関して、例18〜19のOLEDは、比較用例1のOLEDと同じであった。
【0230】
表Va及びVbは、正孔輸送層の同時ドープされた副層中のルブレン百分率、及び青色発光層中のNPB百分率を、これらのデバイスの20mA/cm2での性能と併せて示している。ここに含まれているのは、D65白色点で作動させられたシミュレーションディスプレイパネルの電力消費である。
【0231】
表Va
例18〜19のOLEDの組成及び性能パラメータ
第2欄は、正孔輸送層(HTL2)の同時ドープされた副層中のルブレンの百分率を示している。
第3欄は青色発光層(EML)中のNPBの百分率を示している。
第4〜6欄は、表laの第3〜5欄と同じ意味を有する。
【0232】
【表9】

【0233】
表Vb
R37赤色、G37緑色及びB37青色フィルタを通して測定された例18〜19のOLEDの測光特性、及び光源としてこれらのOLEDを用いた2.2インチ対角正方形ディスプレイパネルの予測電力消費
【0234】
【表10】

【0235】
本発明に従って構築された例18及び19のデバイスは、赤色フィルタと共に用いられた場合に優れた赤色を、かつ緑色及び青色フィルタと共に用いられた場合に優れた緑色及び青色を示す。さらに、D65白色点での所要電力は非常に低い。従って、ここでも又、正孔輸送副層を赤色及び黄色ドーパントの両方で同時ドーピングすることにより本発明に従って優れた色品質及び高い電力効率を達成することができる。
例20〜21
【0236】
例21のOLEDは、図6中に示されている通りのOLED600の構造に従って構築された。正孔輸送層は、ドープされていないNPBの厚み130nmの副層(641)及び黄色ドーパントとしての3%のルブレン及び赤色ドーパントとしての0.5%のTPDBPで同時ドープされたNPBの20nmの副層(642)を含んでいた。青色発光層(650)は、青色ドーパントとしての3%のBDTAPVBでドープされたホストとしてのTBADNの厚み20nmの層であった。青色発光層に隣接する電子輸送副層(661)は、0.25%のTPDBPでドープされた厚み20nmのAlq層を含んでいた。陰極に隣接する電子輸送副層(662)は、15nmのドープされていないAlqを含んでいた。基板(610)、陽極(620)、正孔注入層(630)及び陰極(670)に関しては、例21のOLEDは、比較用例1のOLEDと同じであった。比較用例20のOLEDは、それがTPDBPを全く含有していないという点を除き、例21のものと同じであった。表VIa及びVIbは、20mA/cm2でのこれらのデバイス性能を示している。
【0237】
表Via
例20〜21のOLEDの組成及び性能パラメータ
第2〜4欄は、表Iaの第3〜5欄と同一の意味を有する。
【0238】
【表11】

【0239】
表Vib
R37赤色、G37緑色及びB37青色フィルタを通して測定された例20〜21のOLEDの測光特性
【0240】
【表12】

【0241】
本発明に従って構築された例21は、フィルタ無しでの発光収量の減少及び比較用例20に比べた駆動電圧の僅かな増大を示した。それでも例21では、比較用例20に比べて、赤色フィルタでの発光収量は著しく増大し、一方緑色及び青色フィルタ発光収量は減少した。例21中の赤色フィルタでの色も同様にさらに飽和度が高くなっていた。
【0242】
2つのOLEDの作動上の安定性を、20mA/cm2及び70℃でそれらを作動させることによって評価した。図9は、作動時間の関数としての初期値に対する輝度のプロットである。 図9は、作動時間の関数としての駆動電圧も同様に示している。当該図において、矢印及び数字はそれぞれの例と結び付けられた相対輝度及び駆動電圧を示している。両方のOLEDについての駆動電圧は、測定期間中非常に僅かしか変化しなかった。.しかしながら、200時間の作動後、比較用例20のOLEDの輝度は、約18%だけ減少し、一方例21のOLEDの輝度は僅かに約7%しか減少しなかった。従って、本発明に従って構築された例21のデバイスは、例20の対照デバイスに比べてはるかに高い作動安定性及びより長いデバイス寿命を示した。
【0243】
例22
この実施例のOLEDは、図6中に示されている通りのOLED600の構造に従って構築された。正孔輸送層は、ドープされていないNPBの厚み240nmの副層(641)及び黄色ドーパントとしての28%のルブレン及び赤色ドーパントとしての0.5%のTPDBPで同時ドープされたNPBの26nmの厚みの副層(642)を含んでいた。青色発光層(650)は、青色ドーパントとしての0.75%の構造式XVIに示されている化合物でドープされ、さらに0.5%のNPBで付加的にドープされたホストとしてのTBADNの厚み30nmの層であった。青色発光層に隣接する電子輸送副層(661)は、0.5%のDPQAでドープされた厚み15nmのAlq層を含んでいた。陰極に隣接する電子輸送副層(662)は、5nmのドープされていないAlqを含んでいた。基板(610)、陽極(620)、正孔注入層(630)及び陰極(670)に関しては、例22のOLEDは、比較用例1のOLEDと同じであった。
【0244】
表VIIa及びVIIbは、D65白色点で作動させたシミュレーションディスプレイパネルの電力消費を内含する20mA/cm2でのこのデバイスの性能を示している。
【0245】
表VIIa
例22のOLEDの性能パラメータ
【0246】
【表13】

【0247】
表VIIb
R37赤色、G37緑色、及びB37青色フィルタを通して測定された例22のOLEDの測光特性及び予測電力消費
【0248】
【表14】

【0249】
赤色、緑色及び青色フィルタと共に使用した場合、本発明に従って構築された例22のデバイスは、優れた色と優れた効率を示した。
【0250】
該発明は、一部の好ましい実施形態を特に参照して詳細に記述されてきたが、該発明精神及び範囲内で変更及び修正を加えることができるということが分かるだろう。例えば、正孔輸送層、電子輸送層又は発光層のいずれの中でも、単数又は複数の付加的ドーパント(単複)を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0251】
【図1】先行技術のOLEDを示す模式図である。
【図2】もう一つの先行技術OLEDを示す模式図である。
【図3】本発明に従って構築された白色OLEDを示す模式図である。
【図4】本発明に従って構築されたもう一つの白色OLEDを示す模式図である。
【図5】本発明に従って構築されたさらにもう一つの白色OLEDを示す模式図である。
【図6】本発明に従って構築されたさらにもう一つの白色OLEDを示す模式図である。
【図7】本発明に従って構築された白色OLEDを含む、白色OLEDのエレクトロルミネセンス(EL)スペクトルを示す模式図である。
【図8】本発明に従って構築された白色OLEDを含む、白色OLEDのエレクトロルミネセンス(EL)スペクトルを示す模式図である。
【図9】本発明に従って構築された白色OLEDを含む2つのOLEDについての作動時間の関数としての駆動電圧及び相対輝度値を示すグラフである。
【符号の説明】
【0252】
100 単純構造のOLED
110 基板
120 陽極
140 発光層
170 陰極
200 多層構造のOLED
210 基板
220 陽極
230 正孔注入層
240 正孔輸送層
250 発光層
260 電子輸送層
270 陰極
300 OLED
310 基板
320 陽極
330 正孔注入層
340 正孔輸送層
350 発光層
360 電子輸送層
370 陰極
400 OLED
410 基板
420 陽極
430 正孔注入層
440 正孔輸送層
441 正孔輸送副層
442 正孔輸送副層
450 発光層
460 電子輸送層
470 陰極
500 OLED
510 基板
520 陽極
530 正孔注入層
540 正孔輸送層
550 発光層
560 電子輸送層
561 電子輸送副層
562 電子輸送副層
570 陰極
600 OLED
610 基板
620 陽極
630 正孔注入層
640 正孔輸送層
641 正孔輸送副層
642 正孔輸送副層
650 発光層
660 電子輸送層
661 電子輸送副層
662 電子輸送副層
670 陰極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 陽極;
b) 陽極の上に配置された正孔輸送層;
c) 正孔輸送層の上に配置された青色発光層;
d) 青色発光層の上に配置された電子輸送層;及び
e) 電子輸送層の上に配置された陰極を含み、
f) 該正孔輸送層がホスト材料、黄色ドーパント及び赤色ドーパントを含む
ことを特徴とする、白色光を生成する有機発光ダイオード(OLED)デバイス。
【請求項2】
青色発光層がホスト材料及び青色ドーパントを内含する、請求項1に記載のOLED。
【請求項3】
青色発光層中のホスト材料が、9位及び10位に炭化水素又は置換炭化水素の置換基を有するアントラセン誘導体を内含する、請求項2に記載のOLED。
【請求項4】
ホスト材料が9,10−ジ−(2−ナフチル)アントラセン(ADN)又は2−t−ブチル−9,10−ジ−(2−ナフチル)アントラセン(TBADN)を内含する、請求項2に記載のOLED。
【請求項5】
青色ドーパントがペリレン又はペリレンの誘導体を内含する、請求項2に記載のOLED。
【請求項6】
青色ドーパントが2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン(TBP)を内含する、請求項2に記載のOLED。
【請求項7】
青色ドーパントがジスチリルベンゼン又はジスチリルビフェニルの青色発光誘導体を内含する、請求項2に記載のOLED。
【請求項8】
青色ドーパントがビス[2−[4−[N,N−ジアリールアミノ]フェニル]ビニル]アレーンを内含する、請求項2に記載のOLED。
【請求項9】
青色ドーパントが1,4−ビス[2−[4−[N,N−ジ(p−トリル)アミノ]フェニル]ビニル]ベンゼン(BDTAPVB)を内含する、請求項2に記載のOLED。
【請求項10】
青色ドーパントが、
【化1】

という構造式の化合物を内含し、
式中、
a、Xb、Za及びZb、1、2、3、4、1’、2’、3’、及び4’が青色ルミネセンスを提供するように選択されることを条件として;
− A及びA’が少なくとも1つの窒素原子を含む6員の芳香環系に対応する独立したアジン環系を表わし;
− (Xan及び(Xbmが単数又は複数の独立して選択された置換基を表わし、非環式置換基を内含するか又はA又はA’に縮合された環を形成するべく接合されており;
− m及びnが独立して0〜4であり;
− Za及びZbが独立して選択された置換基であり;
− 1、2、3、4、1’、2’、3’、及び4’が炭素又は窒素原子のいずれかとして独立して選択されている;
請求項2に記載のOLED。
【請求項11】
青色ドーパントが、
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

という構造の化合物を内含する、請求項2に記載のOLED。
【請求項12】
青色ドーパントが、
【化9】

という構造の化合物を内含する、請求項2に記載のOLED。
【請求項13】
青色ドーパントが青色発光層の0.1〜10体積%の間である、請求項2に記載のOLED。
【請求項14】
青色発光層がトリアリールアミンドーパントを内含する、請求項1に記載のOLED。
【請求項15】
青色発光層がドーパントとしてNPB又はTNBを内含する、請求項1に記載のOLED。
【請求項16】
正孔輸送層が第3芳香族アミンを内含する、請求項1に記載のOLED。
【請求項17】
黄色ドーパントが、
【化10】

という構造の化合物を内含し、
式中、
l〜R6が、各環上の単数又は複数の置換基を表わし、ここで各置換基が:
カテゴリー1: 水素、又は1〜24個の炭素原子のアルキル;
カテゴリー2: 5〜20個の炭素原子のアリール又は置換アリール;
カテゴリー3: 縮合芳香環又は環系を補完する、4〜24個の炭素原子を含む炭化水素;
カテゴリー4: 単結合を介して結合されるか、又は縮合複素芳香環系を補完する5〜24個の炭素原子のヘテロアリール又は置換ヘテロアリール、例えばチアゾリル、フリル、チエニル、ピリジル、キノリニル又はその他の複素環系;
カテゴリー5: 1〜24個の炭素原子のアルコキシルアミノ、アルキルアミノ又はアリールアミノ;又は
カテゴリー6: フルオロ、クロロ、ブロモ又はシアノ、
のうちの1つから個別に選択されている、請求項1に記載のOLED。
【請求項18】
黄色ドーパントが5,6,11,12−テトラフェニルナフタセン(ルブレン);6,11−ジフェニル5,12−ビス(4−(6−メチル−ベンゾチアゾール−2−イル)フェニル)ナフタセン(DBzR);又は5,6,11,12−テトラ(2−ナフチル)ナフタセン(NR)を内含する、請求項1に記載のOLED。
【請求項19】
赤色ドーパントが、
【化11】

という構造のジインデノペリレン化合物を内含し、
式中、R1〜R16が赤色ルミネセンスを提供するヒドロ又は置換基から独立して選択されている、請求項1に記載のOLED。
【請求項20】
赤色ドーパントが、
【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

【化36】

を内含する、請求項1に記載のOLED。
【請求項21】
赤色ドーパント化合物がTPDBPを内含する、請求項1に記載のOLED。
【請求項22】
赤色ドーパントが、
【化37】

という構造の化合物を内含し、
式中、
3及びR5が共に1つの縮合環を形成せず、かつR1〜R5が赤色ルミネセンスを提供するように選択されていることを条件として;
− R1〜R15が、ヒドロ、アルキル、置換アルキル、アリール、又は置換アリールの中から独立して選択された単数又は複数の基を表わし;
− R1〜R5が、アシル基を独立して内含するか、或いは対として接合されて単数又は複数の縮合環を形成している、
請求項1に記載のOLED。
【請求項23】
赤色ドーパントが、
【化38】

【化39】

【化40】

【化41】

【化42】

【化43】

【化44】

を内含する、請求項1に記載のOLED。
【請求項24】
赤色ドーパントがDCJTBである、請求項1に記載のOLED。
【請求項25】
黄色ドーパントが正孔輸送層の0.5〜50体積%の間である、請求項1に記載のOLED。
【請求項26】
赤色ドーパントが正孔輸送層の0.1〜5体積%である、請求項1に記載のOLED。
【請求項27】
正孔輸送層が2以上の正孔輸送副層を内含し;青色発光層に最も近い副層がホスト材料、黄色ドーパント及び赤色ドーパントを内含し;かつ陽極に最も近い副層が黄色ドーパントを含まないか、又は赤色ドーパントを含まない、請求項1に記載のOLED。
【請求項28】
黄色ドーパントの濃度が青色発光層に最も近い正孔輸送副層の0.5〜50体積%の間にある、請求項27に記載のOLED。
【請求項29】
赤色ドーパントの濃度が青色発光層に最も近い正孔輸送副層の0.1〜5体積%の間にある、請求項27に記載のOLED。
【請求項30】
電子輸送層が緑色ドーパントを内含する、請求項1に記載のOLED。
【請求項31】
電子輸送層がクマリン化合物を内含する、請求項1に記載のOLED。
【請求項32】
電子輸送層がC545Tを内含する、請求項1に記載のOLED。
【請求項33】
電子輸送層がキナクリドンを内含する、請求項1に記載のOLED。
【請求項34】
電子輸送層が
【化45】

【化46】

を内含する、請求項1に記載のOLED。
【請求項35】
電子輸送層が
【化47】

【化48】

【化49】

【化50】

【化51】

を内含する、請求項1に記載のOLED。
【請求項36】
電子輸送層が2つ以上の電子輸送副層を内含し、青色発光層に隣接する副層が緑色ドーパントを内含し、かつ陰極に隣接する副層が緑色ドーパントを含有しない、請求項1に記載のOLED。
【請求項37】
電子輸送層が赤色ドーパントを内含する、請求項1に記載のOLED。
【請求項38】
電子輸送層が、
【化52】

という構造のジインデノペリレン化合物を内含し、
式中、Rl−R16が赤色ルミネセンスを提供する水素又は置換基として独立して選択されている、請求項1に記載のOLED。
【請求項39】
電子輸送層が、
【化53】

【化54】

【化55】

【化56】

【化57】

【化58】

【化59】

【化60】

【化61】

【化62】

【化63】

【化64】

【化65】

【化66】

【化67】

【化68】

【化69】

【化70】

【化71】

【化72】

【化73】

【化74】

【化75】

【化76】

【化77】

【化78】

を内含する、請求項1に記載のOLED。
【請求項40】
電子輸送層がTPDBPを内含する、請求項1に記載のOLED。
【請求項41】
電子輸送層が、
【化79】

という構造の化合物を内含し、
式中、
3及びR5が共に1つの縮合環を形成せず、かつRl〜R5が赤色ルミネセンスを提供するように選択されていることを条件として;
− Rl〜R5は、ヒドロ、アルキル、置換アルキル、アリール又は置換アリールの中から独立して選択された単数又は複数の基を表わし;
− Rl〜R5は独立して非環式基を内含するか又は単数又は対として接合されて複数の縮合環を形成している、
請求項1に記載のOLED。
【請求項42】
電子輸送層が、
【化80】

【化81】

【化82】

【化83】

【化84】

【化85】

【化86】

を内含する、請求項1に記載のOLED。
【請求項43】
電子輸送層が、DCJTBを内含する、請求項1に記載のOLED。
【請求項44】
a)i) 陽極;
ii) 陽極の上に配置された正孔輸送層;
iii) 正孔輸送層の上に配置された青色発光層;
iv) 青色発光層の上に配置された電子輸送層;及び
v) 電子輸送層の上に配置された陰極を各々含み、
vi) 該正孔輸送層がホスト材料、黄色ドーパント及び赤色ドーパントを含み、
それらを通して電流が駆動された時点で白色光を生成する複数のOLED、並びに
b) 各OLEDが生成した白色光がその対応するフィルタによってろ過されるような形で各フィルタが異なる1つのOLEDに対応している、ディスプレイ中に配置された赤色、緑色、及び青色フィルタを内含するカラーフィルタアレイ、
を内含する、発光ディプレイ。
【請求項45】
カラーフィルタアレイが基板より上に配置され陽極がカラーフィルタアレイより上に配置されているか、或いは陽極が基板の上に配置されかつカラーフィルタアレイが陰極より上に配置されている、さらに1枚の基板を内含する、請求項44のディスプレイ。
【請求項46】
a)i) 陽極;
ii) 陽極の上に配置された正孔輸送層;
iii) 正孔輸送層の上に配置された青色発光層;
iv) 青色発光層の上に配置された電子輸送層;及び
v) 電子輸送層の上に配置された陰極を各々含み、
vi) 該正孔輸送層がホスト材料、黄色ドーパント及び赤色ドーパントを含み、
OLEDを通した電流の通過時に白色光を生成する単数又は複数のOLED、
b) OLEDが生成した白色光がカラーフィルタを通してろ過されるような形でディスプレイ中に配置されている赤色、緑色及び青色フィルタを内含するカラーフィルタアレイ、並びに
c) OLED(単複)が生成しカラーフィルタがろ過した白色光が液晶ライトバルブによって輝度調整されるような形でアレイ内に配置されている異なる1つのカラーフィルタに各々対応している液晶ライトバルブアレイ
を内含する、発光ディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−503092(P2007−503092A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523900(P2006−523900)
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/025635
【国際公開番号】WO2005/020283
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】