説明

改装サッシユニット

【課題】既設枠の内周側に改装サッシが設けられる構造であっても、サッシの下側に浸入した水を効率良く室外に排出する排水経路を備えた改装サッシユニットを提供する。
【解決手段】室内外を連通する開口に既に設けられた既設枠の内周側に設けられる改装縦枠を有する改装サッシを有する改装サッシユニットであって、前記既設枠の下部に位置する既設下枠と前記改装枠の下部に位置する改装下枠との間に介在される下接合部材を有し、前記下接合部材は、見つけ方向において前記改装下枠より外側に延出されて前記既設下枠上に位置する延出部を有し、前記延出部は、当該延出部の上下の空間を連通する連通部を有しており、前記改装サッシの下側に浸入した水を、前記延出部から前記連通部を通して前記既設下枠に至らせて室外に排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設サッシが有する既設枠の内周側に設けられる改装サッシユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
改装サッシユニットとしては、例えば、建物の開口部に設けられた既設サッシが有する既設枠の内周側に屋内側取付部材及び屋外側取付部材を介して取り付けられる新設サッシが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−221816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような新設サッシは、既設サッシと新設サッシとの間に複数の部材を介して取り付けられるため、構造が複雑であり、室内側にて発生する結露水を室外に排出する経路を確保するのが難しいという課題がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、既設枠の内周側に改装サッシが設けられる構造であっても、サッシの下側に浸入した水を効率良く室外に排出する排水経路を備えた改装サッシユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために本発明の改装サッシユニットは、室内外を連通する開口に既に設けられた既設枠の内周側に設けられる改装枠を備えた改装サッシを有する改装サッシユニットであって、前記既設枠の下部に位置する既設下枠と前記改装枠の下部に位置する改装下枠との間に介在される下接合部材を有し、前記下接合部材は、見つけ方向において前記改装下枠より外側に延出されて前記既設下枠上に位置する延出部を有し、前記延出部は、当該延出部の上下の空間を連通する連通部を有しており、前記改装サッシの下側に浸入した水を、前記延出部から前記連通部を通して前記既設下枠に至らせて室外に排出することを特徴とする改装サッシユニットである。
【0007】
このような改装サッシユニットによれば、改装サッシの下側に浸入した、例えば結露水等を、見つけ方向において改装下枠より外側に延出された延出部を経由して既設下枠に至らせるので、改装枠を支持するために設けられている脚部や、既設枠に障子等を案内するために設けられているレール等を避けることなく、水の流れやすい排水経路を確保することが可能である。このとき、延出部に設けられ、延出部の上下の空間を連通する連通部を通して水を、既設下枠に至らせるので、延出部に至った水を連通部から容易に既設下枠に至らせることが可能である。さらに、既設下枠に至らせた水は、既設下枠に設けられている排水経路にて容易に室外に排出することが可能である。
【0008】
かかる改装サッシユニットであって、前記改装下枠は、前記改装サッシの室内側に設けられた額縁の室外側の部位を覆っており、前記額縁の下方に、当該額縁の室外側の縁より室内側に至るように突出して、前記水を前記延出部に案内する案内部を有することが望ましい。
例えば、結露水が多い場合には額縁上に水が溢れる虞があり、額縁上の水は改装下枠の隙間から内部に浸入する虞がある。上記改装サッシユニットによれば、額縁と改装下枠との隙間から内部に水が浸入した場合であっても、額縁の下方に設けられ、当該額縁の室外側の縁より室内側に至るように突出した案内部により、額縁の下側に浸入した水を確実に室外に排出することが可能である。
【0009】
かかる改装サッシユニットであって、前記案内部は、見つけ方向において前記改装下枠より外側にて前記延出部と連通することが望ましい。
このような改装サッシユニットによれば、案内部の水を、見つけ方向において改装下枠より外側にて延出部と連通する部位から延出部に至らせることが可能である。このため、改装下枠のレール等が水の経路に突出しないので、案内部に至った水を効率よく延出部に至らせることが可能である。
【0010】
かかる改装サッシユニットであって、前記案内部の室内側に前記額縁を支持する額縁支持部を有していることが望ましい。
このような改装サッシユニットによれば、案内部の室内側に額縁を支持する額縁支持部を有しているので、額縁と案内部とを適切な相対位置に配置しておくことが可能である。このため、額縁の室外側の縁から浸入する水を案内部に確実に至らしめることが可能である。また、案内部の室内側の部位が額縁の下側に当接されるので、額縁の室外側の縁から下方に伝わる水が額縁の下側を伝って室内側に戻ることを防止することが可能である。
【0011】
かかる改装サッシユニットであって、前記延出部の上には、前記既設枠の側方に位置する既設縦枠と前記改装枠の側方に位置する改装縦枠との間に介在される縦接合枠が設けられていることが望ましい。
このような改装サッシユニットによれば、水の排水経路となる延出部は、既設枠の側方に位置する既設縦枠と改装枠の側方に位置する改装縦枠との間に介在される縦接合枠の下に設けられるので、延出部を設けるためのスペースを別途設ける必要はないので、既設枠と改装枠との間隔を狭く抑えることが可能であり、また、外部に排水経路が露出することを防止することが可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、既設枠の内周側に改装サッシが設けられる構造であっても、サッシの下側に浸入した水を効率良く室外に排出する排水経路を備えた改装サッシユニットを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係る改装サッシユニットを説明するための縦断面図である。
【図2】本実施形態に係る改装サッシユニットを説明するための左側の水平断面図である。
【図3】水の経路を説明するための斜視図である。
【図4】水が室外側に流れ込む部位を示す斜視図である。
【図5】水が室外側にて排出される部位を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る改装サッシユニットについて図面を参照して説明する。
【0015】
本実施形態の改装サッシユニット1は、例えば、新たに設けられる改装サッシ10と、たとえば浴室内外を連通する開口2に設けられている既設サッシの既設枠50の内周側に、接合部材及び固定部材を介して既設枠50及び躯体3に取り付けられる改装サッシ10である。
【0016】
本実施形態では、図1、図2に示すように、室内外を連通する開口2に設けられた引き違いタイプの既設枠50の内周側に設けられる改装サッシユニット1について説明する。
【0017】
以下の説明においては、建物等に取り付けられた状態の既設枠50及び改装サッシ10を室内側から見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向または見付け方向、室内外方向である奥行き方向を見込み方向として示す。また、改装サッシユニットが備える各部材は、単体として説明する場合であっても開口2に取り付けられた状態で上下方向、見付け方向、見込み方向等となる方向にて方向を特定して説明する。また、開口の上部に取り付けられる枠部材の下側、開口2の下部に取り付けられる枠部材の上側、開口2の左側に取り付けられる枠部材の右側、開口2の右側に取り付けられる枠部材の左側を、開口2及び枠部材の中央側又は内側として説明する。
【0018】
以下の実施形態においては、建物に既に設けられている既存の既設枠50と、既設枠50を開口2の内側から覆うように改装される改装サッシ10とが登場するが、同じ名称を有する部位、部材には、各名称の前に「既設」または「改装」を付して説明する。例えば、既設枠が有する下枠や縦枠等は、既設下枠、既設縦枠等とし、改装サッシ10が有する縦枠や障子等は、改装縦枠、改装障子等として説明する。
【0019】
既設サッシの既設枠50は、引き違い障子用の枠体であり、既設サッシの既設障子(不図示)が案内される既設レール51a、51b、52a、52bを有する既設上枠51及び既設下枠52と、既設障子の既設戸先框(不図示)と係合する既設係合片53aを有する左右の既設縦枠53とが矩形状に枠組みされて開口2に設けられている。尚、既設上枠51、既設下枠52、及び、左右の既設縦枠53は押出成形部材であり、左右の既設縦枠53は、既設障子と係合する既設係合片53aの形状及び位置は異なるものの、互いにほぼ左右対称の形状をなしている。このため、以下の説明においては、左側の既設縦枠53及び改装サッシユニット1の左側部分について説明し、右側部分については説明を省略する。
【0020】
既設枠50は、既設上枠51が窓まぐさ3aに、既設下枠52が窓台3bに、左右の既設縦枠53が柱(方立)3cにそれぞれ固定されている。
【0021】
既設上枠51は、既設内障子(不図示)を案内するための既設内上レール51aと、既設外障子(不図示)を案内するための既設外上レール51bと、既設網戸(不図示)を案内するための既設網戸上レール51cと、既設額縁30と対向する既設上額縁対向部51dとを有している。既設内上レール51a、既設外上レール51b、既設網戸上レール51c、既設上額縁対向部51dは、上端側にて繋がっている。また、既設上枠51は、上部に設けられ上方に向かって突出された固定フィン51eにて窓まぐさ3aに固定されている。
【0022】
既設内上レール51a、既設外上レール51b、既設網戸上レール51c、既設上額縁対向部51dは、いずれも見付け方向の全域に渡って鉛直方向に垂設された板状の部位である。そして、室内側から既設上額縁対向部51d、既設内上レール51a、既設外上レール51b、既設網戸上レール51cの順で配置され、見込み方向に互いに間隔を隔てて対面するように設けられている。
【0023】
既設下枠52は、既設内障子(不図示)を案内するための既設内下レール52aと、既設外障子(不図示)を案内するための既設外下レール52bと、既設網戸(不図示)を案内するための既設網戸下レール52cと、既設額縁30に当接される既設下額縁対向部52dとが、見込み方向に互いに間隔を隔てて設けられている。既設内下レール52a、既設外下レール52b、既設網戸下レール52c、既設下額縁対向部52dは、いずれも上方に突出させて設けられた板状の部位である。既設下枠52の既設内下レール52a、既設外下レール52b、既設網戸レール52cはいずれも見付け方向における両端側が切除され、既設サッシとして使用される際に既設下枠52上に侵入した水を室外側に排出するための、既設サッシにおける排水経路をなしている。
【0024】
既設下額縁対向部52dは、見付け方向の全域に渡って設けられている。そして、室内側から既設下額縁対向部52d、既設内下レール52a、既設外下レール52b、既設網戸下レール52c、の順で、見込み方向に互いに間隔を隔てて配置されている。また、既設下額縁対向部52d及び既設内下レール52aと、既設外下レール52bと、既設網戸下レール52cとは、室内側から室外側に向かって順次低くなるように階段状に形成されている。既設下枠52は、室内側の部位が窓台3b上に載置されるとともに下方に向かって突出された固定フィン52eにて窓台3bに固定されている。
【0025】
既設縦枠53は、見込み方向に沿う平面でなる既設縦枠本体部53bと、既設縦枠本体部53bから開口2の中央側に突出され既設障子の既設戸先框が係合される既設係合片53aと、既設縦枠本体部53bの室内側にて室内に臨む面を形成する室内縦壁部53cと、既設枠50の室外側にて配置され既設縦枠本体部53bから開口2の中央側に突出され既設網戸の既設縦框に挿入される既設挿入片53dと、既設挿入片53dと見付け方向において反対側に既設縦枠本体部53bから突出された固定フィン53eと、を有している。
【0026】
改装サッシユニット1は、新たに取り付けられる改装サッシ10と、改装サッシ10を取り付けるための上枠接合部材35、下枠接合部材36、縦枠接合部材37と、上枠接合部材35を既設枠50に固定するための上枠接合部材固定金具40、改装上枠21を既設枠51側に固定するための延出板部44及び保持部材47と、改装下枠22を既設下枠52側に固定するための下枠ブラケット39、下連結部材49及び下枠接合部材固定金具41と、縦枠接合部材37を柱3cに固定するための縦枠接合部材固定金具42と、下側の改装額縁60と既設下枠52の間などから改装枠20の下側に浸入した水を受けるための水受部材48と、既設縦枠53と改装縦枠23とを室外側から覆う縦枠カバー部材45と、を有している。ここで、下枠接合部材36が下接合部材に相当する。
【0027】
改装サッシ10は、建物等の開口に直接新設可能な一般的なサッシである。すなわち、改装専用のサッシではない。改装サッシ10の改装枠20も引き違い障子用の枠体であり、改装サッシ10の改装障子12が案内される改装レール21a、21b、22a、22bを有する改装上枠21及び改装下枠22と、左右の改装縦枠23が矩形状に枠組みされている。改装上枠21、改装下枠22、及び、左右の改装縦枠23は押出成形部材であり、左右の改装縦枠23は改装障子12a、12bとの改装係合片23aを除いて互いに左右対称の形状をなしている。
【0028】
改装上枠21は、改装内障子12aを案内するための改装内上レール21aと、改装外障子12bを案内するための改装外上レール21bと、改装網戸14を案内するための改装網戸上レール21cとが、見込み方向に互いに間隔を隔てて設けられている。改装内上レール21aと、改装外上レール21bと、改装網戸上レール21cとは、改装上枠21の見付け方向の全域に渡って鉛直方向に垂設されている。また、改装網戸上レール21cは、改装上枠21の最も室外側に設けられている。改装上枠21の室内側の端部には、室内側に臨む室内側壁部21dが設けられている。
【0029】
また、改装上枠21は、改装内上レール21aと改装外上レール21bとの間にて分断されており、室外側の部位と室内側の部位とが断熱材24を介して接合されて断熱性が確保されている。
【0030】
改装下枠22は、改装内障子12aを案内するための改装内下レール22aと、改装外障子12bを案内するための改装外下レール22bと、改装網戸14を案内するための改装網戸下レール22cとが、見込み方向に互いに間隔を隔てて設けられている。改装下枠22の室内側の端部は、改装サッシ10の室内側に設けられた改装額縁60と対向する平面を有する額縁対向部22dが設けられている。額縁対向部22dの下端は、後述する下枠接合部材36に当接され、下枠接合部材固定金具41及び水受部材48とともに皿ビス65にて固定されている。
【0031】
額縁対向部22dと改装内下レール22aとを繋ぐ部位のほぼ中央には、下方に延出されて下枠接合部材固定金具41に支持される室内側脚部22eと、改装内下レール22aの下方に延出されて下枠接合部材36に支持される中央脚部22fと、改装外下レール22bの下方に延出されて下枠接合部材36に支持される室外側脚部22gと、を有し、中央脚部22fと室外側脚部22gとが下端側にて連結された連結部22hを有している。また、連結部22hから室外側に、改装網戸下レール22cとほぼ同じ位置まで延出された延出部22iが形成され、延出部22iの先端には、下枠接合部材36と係合する下枠係合部22kが設けられている。
【0032】
改装縦枠23は、見込み方向に沿う平面を有する改装縦枠本体部23bと、改装縦枠本体部23bから開口2の中央側に突出され改装障子12a、12bの改装戸先框12cが係合される改装係合片23aと、改装縦枠本体部23bの最も室内側に延出された改装縦枠延出部23cと、改装枠20の最も室外側に配置され改装縦枠本体部23bから開口2の中央側に突出され改装網戸14の改装縦框に挿入される改装挿入片23dと、改装枠20の最も室外側に配置され改装挿入片23dと見付け方向において反対側に突出された縁部23eと、を有している。ここで、改装縦枠延出部23cは、後述する既設縦枠53と改装縦枠23とを接合する縦枠接合部材固定金具42に当接される部位である。
【0033】
上枠接合部材35は、アルミニウム製の押し出し成形部材であり、既設上枠51に固定された上枠接合部材固定金具40を介して固定されている。
【0034】
上枠接合部材固定金具40は、既設内上レール51a及び既設外上レール51bの下縁に当接され、既設内上レール51aの室内側及び既設外上レール51bの室外側に延び下面が平坦な2つのレール当接部40aと、2つのレール当接部40a間を繋ぎ上方に窪んだ部位が水平面を有する連結部40bと、を備えたアルミニウム製の押出成形部材である。上枠接合部材固定金具40は、連結部40bの水平面をなす水平板部40cと2つの当接部40aとを繋ぐ部位が既設外上レール51bにビス止めされて既設上枠51に固定されている。
【0035】
上枠接合部材35は、既設上枠51の下方を覆い改装上枠21が固定される上枠固定板部35aと、上枠固定板部35aの室外側の端部側にて上方に突出する既設上枠当接部35bと、上枠固定板部35aの室外側の縁から下方に突出する改装上枠当接部35cとを有している。
【0036】
上枠接合部材35は、上面がほぼ平坦な板状をなす上枠固定板部35aが既設上枠51に固定された上枠接合部材35の水平板部40cと対向するように配置され、上枠固定板部35aが水平板部40cに下方からビスにて固定されている。このとき、上枠接合部材35の既設上枠当接部35bが既設上枠51に室内側から当接される。
【0037】
上枠接合部材35の室内側の端部には、下面に当接させて平板状の延出板部44が室内側に延出させて固定されており、延出板部44には、断面がほぼL字状をなす保持部材47が当接されて固定されている。保持部材47は、室外側の縁部から下方に垂設された垂下板部47aを有しており、垂下板部47aに改装上枠21の室内側壁部21dをビスにて固定するとともに、改装外上レール21bと改装網戸上レール21cとの間にて下方から上枠固定板部35aとともにビスが螺合されて改装上枠21が取り付けられている。
【0038】
下枠接合部材36は、アルミニウム製の押し出し成形部材であり、既設下枠52に固定された下枠ブラケット39と、下枠接合部材固定金具41を介して既設下枠52に固定されている。
【0039】
下枠ブラケット39は、既設下枠52の既設外下レール52bの室外側に当接されてビス止めされるレール固定部39aと、レール固定部39aがビス止めされた状態で既設網戸下レール52cの室内側に配置される網戸レール室内壁部39bとが上方で繋がったアルミニウム製の押出成形部材である。室外側固定部36eは、レール固定部39aがビス止めされた下枠ブラケット39の網戸レール室内壁部39bとの間に既設網戸下レール52cを挟み、室外側固定部36eを貫通するビスが網戸レール室内壁部39bに螺合されて固定されている。
【0040】
下枠接合部材固定金具41は、断面がほぼL字状をなす部材であり、平坦な面を有する下平板部41aと、下平板部41aが水平に配置された際に、下平板部41aの室外側に縁から垂設された垂設壁部41bとを有している。下枠接合部材固定金具41は、垂設壁部41bが既設内下レール52aに対し室外側から当接されて室外側からビス止めされており、下平板部41aが既設下枠52の既設下額縁対向部52dに支持されて水平面をなしている。
【0041】
下枠接合部材36は、室内側にて鉛直面を形成する室内側鉛直壁部36aと、室内側鉛直壁部36aの上下方向におけるほぼ中央から室外側に延出され、改装下枠22の室内側脚部22eが載置される内脚部載置部36bと、内脚部載置部36bの室外側の縁から垂下された部位の下縁から室外側に延出された下室外側延出部36cと、下室外側延出部36cの室外側縁部に設けられ、改装下枠22の下枠係合部22kと係合する係合凹部36dと、係合凹部36dから下方に垂設され、既設網戸下レール52cに下枠ブラケット39を介して固定される室外側固定部36eと、を有している。下枠接合部材36は、改装下枠22より見つけ方向の幅が大きく形成され、見つけ方向の両側に延出された延出部としての下接合部材延出部36fを有している。また、見つけ方向において両側に延出された下接合部材延出部36fには、見込み方向における中央より室外側に、下接合部材延出部36fの上下の空間を連通する連通部36gがそれぞれ設けられている。
【0042】
下枠接合部材36は、室内側鉛直壁部36aの下端と、下室外側延出部36cの室内側の部位とが下平板部41a上に載置されて、室外側固定部36eが下枠ブラケット39を介して既設外下レール52bに固定されることにより、既設下枠52側に固定されている。
【0043】
改装下枠22は、下枠係合部22kが係合凹部36dに係合されるとともに、中央脚部22fと室外側脚部22gとが下室外側延出部36c上に載置され、室内側脚部22eが内脚部載置部36bに載置されて、額縁対向部22dがカバー部材61とともに改装額縁60にビス止めされて取り付けられている。
【0044】
また、改装下枠22の室内側には、下平板部41aの室内側の部位と、額縁対向部22dの下部及び室内側鉛直壁部36aの上部とを連結する下連結部材49と、下連結部材49と共に額縁対向部22dの下部及び室内側鉛直壁部36aの上部にビス止めされる水受部材48とが設けられている。
【0045】
下連結部材49は、下平板部41aの室内側の部位の上面に当接されてビス止めされる上面固定部49aと、水受部材48の固定壁部48aに当接されてビス止めされる鉛直固定部49bとを有している。
【0046】
水受部材48は、額縁対向部22d、室内側鉛直壁部36a、鉛直固定部49bとともにビス止めされる固定壁部48aと、固定壁部48aがビス止めされた状態にて室内側鉛直壁部36aの上縁と同じ高さにてほぼ水平に室内側に向かって延出された平面部48bと、平面部48bの室内側の縁部から室内側に向かって高くなる傾斜を備えた傾斜部48cと、傾斜部48cの室内側の縁から上方に立設された水受壁部48dと、水受壁部48dの室内側の縁からほぼ水平な面を形成し、改装額縁を支持する額縁支持部48eとを有している。ここで、平面部48bと傾斜部48cと水受壁部48dとが案内部に相当する。このため、本実施形態においては、水受部材48が案内部を有している。
【0047】
水受部材48は、図3に示すように、改装下枠22より見つけ方向の幅が大きく形成されており、見つけ方向の両側に延出された下接合部材延出部36fを有する下枠接合部材36と同じ幅を有している。このため、額縁対向部22d、室内側鉛直壁部36a、鉛直固定部49b、固定壁部48aがビス止めされると、ほぼ同じ幅を有する水受部材48と下枠接合部材36とが、改装下枠22の、見つけ方向における両側に突出する。また、水受部材48と下枠接合部材36との両側に延出された部位は、既設下枠52の見つけ方向の幅より狭いため、既設下枠52上に位置している。また、見つけ方向における両側に突出した水受部材48と下枠接合部材36の端部には、図4に示すよう、端部を塞ぐためのキャップ46がビス止めされている。
【0048】
そして、見つけ方向において改装下枠22が存在する範囲では、水受部材48の平面部48bと、傾斜部48cと、水受壁部48dとは、改装下枠22の額縁対向部22d及び改装額縁60とともに、見つけ方向に連通する中空部10aをなしており、額縁対向部22dが途切れた両端側は、平面部48bと、傾斜部48cと、水受壁部48dと、改装額縁60とで囲まれた中空部10aと、下枠接合部材36の上方の空間とが、連通されている。このとき、平面部48bと、傾斜部48cと、水受壁部48dと、改装下枠22の額縁対向部22d及び改装額縁60とにて囲まれた中空部10a内の上部、及び、平面部48bと、傾斜部48cと、水受壁部48dと、改装額縁60とで囲まれた空間内の上部には、改装額縁60の室外側の縁60aが位置しており、改装額縁60の表面に沿って水が浸入した場合には、浸入した水が水受部材48上に至るように構成されている。このため、改装額縁60の表面に沿って水が浸入した水は、まず、平面部48bと、傾斜部48cと、水受壁部48dと、改装下枠22の額縁対向部22d及び改装額縁60とにて囲まれた中空部10a内に溜まり、中空部内の両端側となる、水受部材48の両端部側から下枠接合部材36上である下接合部材延出部36f上に流れ、下接合部材延出部36fに設けられた連通部36gを通って既設下枠52上に至る。既設下枠52上に至った水は、図3に示すように、既設下枠52の両端部側にて、既設内下レール52a、既設外下レール52b、既設網戸レール52cが切除された部位を排水経路とし、図5に示すように室外側固定部36eの脇から室外に排出される。
【0049】
既設縦枠53と改装縦枠23との間に介在される縦枠接合部材37は、アルミニウム製の押し出し成形部材であり、室外側にて改装縦枠23に係合され、室内側では、既設縦枠53に固定される既設縦枠ブラケット42aと、改装縦枠23に固定される改装縦枠ブラケット42cとが接合された縦枠接合部材固定金具42とともに改装縦枠23に固定されている。
【0050】
左の縦枠接合部材37は、水平断面形状が見込み方向に長いほぼ長方形状をなす中空部37aを有し、長方形状をなす中空部37aの室外側の面をなす室外縦壁部37bは、右側、すなわち開口2の中央側に延出されて、改装縦枠23の縁部23eと係合する係合部37cが形成されている。また、長方形状をなす中空部37aの室内側の面をなす室内縦壁部37dも右側、すなわち開口2の中央側に延出されており、延出された先端が改装縦枠23が有する改装縦枠本体部23bの左側面に当接されるとともに、改装縦枠ブラケット42c及び改装縦枠延出部23cとビス止めされる改装縦枠側延出部37eをなしている。
【0051】
既設縦枠ブラケット42aは、既設縦枠本体部53bの改装縦枠23側の面にビス止めされ、室内縦壁部53c避けて既設縦枠53、改装縦枠23及び縦枠接合部材37より室内側に延出されている。既設縦枠ブラケット42aの室内側に延出されている部位42bは、縦枠接合部材37の長方形状をなす中空部37aの見込み方向に沿う面と平行に配置されて縦枠接合部材37より既設縦枠53側に配置されている。改装縦枠ブラケット42cは、改装縦枠延出部23cの室内側に臨む面にビス止めされ、既設縦枠53、改装縦枠23及び縦枠接合部材37より室内側に延出されて既設縦枠ブラケット42aの室内側に延出されている部位42bとビスにて接合されている。
【0052】
縦枠接合部材37は、既設縦枠53及び改装縦枠23に固定されると、見つけ方向の両側に延出された下接合部材延出部36f上を覆うように配置される。すなわち、下接合部材延出部36fの左側の縁部に設けられた水密材(不図示)が、縦枠接合部材37が有する中空部37aの左側の壁部の下縁に当接されるように配置される。また、本実施形態の改装下枠22は、見込み方向における端部が改装縦枠23の内周側面に当接されて枠組みされているので、下枠接合部材36の、見込み方向において改装縦枠23の改装縦枠本体部23bより外側が下接合部材延出部36fとなる。このため、見付け方向において改装縦枠本体部23bと縦枠接合部材37とに挟まれた空間及び縦枠接合部材37の中空部37aを流れる水も下接合部材延出部36fに至らせて室外に排出される。図2では連通部36gが、縦枠接合部材37の中空部37aの下のみに設けられているが、見付け方向において改装縦枠本体部23bと縦枠接合部材37とに挟まれた空間の下まで延びていても良い。
【0053】
本実施形態の改装サッシユニット1によれば、改装サッシ10の下側に浸入した、例えば結露水等を、見つけ方向において改装下枠22より外側に延出された下接合部材延出部36fを経由して既設下枠52に至らせるので、改装枠20を支持するために設けられている室内側脚部22e、中央脚部22f、室外側脚部22gや、既設枠50に設けられている既設内下レール52a、既設外下レール52b、既設網戸下レール52c等を避けることなく、水の流れやすい排水経路を確保することが可能である。このとき、下接合部材延出部36fに設けられ、下接合部材延出部36fの上下の空間を連通する連通部36gを通して水を、既設下枠52に至らせるので、下接合部材延出部36fに至った水を連通部36gから容易に既設下枠52に至らせることが可能である。また、既設下枠52は既に取り付けられている既設サッシの下枠なので、既設下枠52に至らせた水を、既設下枠52に設けられている排水経路から容易に室外に排出することが可能である。
【0054】
また、例えば、結露水が多い場合には改装額縁60上に水が溢れる虞があり、改装額縁60上の水は改装下枠22との間のシールが切れた場合には、改装額縁60と改装下枠22との隙間から改装サッシ10の下側に浸入する虞がある。本実施形態の改装サッシユニット1によれば、改装額縁60と改装下枠22との隙間から改装サッシ10の下側に水が浸入した場合であっても、改装額縁60の下方に設けられ、当該改装額縁60の室外側の縁60aより室内側に至るように突出した水受部材48により、改装額縁60の下側に浸入した水を確実に室外に排出することが可能である。
【0055】
また、水受部材48は、見つけ方向において改装下枠22より外側にて下接合部材延出部36fと連通しているので、水受部材48に至った水を、見つけ方向において改装下枠22より外側にて下接合部材延出部36fに至らせることが可能である。このため、改装下枠22の改装内下レール22a、改装外下レール22b等が水の経路に突出しないので、水受部材48に至った水を効率よく下接合部材延出部36fに至らせることが可能である。
【0056】
また、水受部材48の室内側に改装額縁60を支持する額縁支持部48eを有しているので、改装額縁60と水受部材48とを正確に配置することが可能である。このため、改装額縁60の室外側の縁60aから浸入する水を確実に水受部材48に至らしめることが可能である。さらに、改装額縁60が額縁支持部48eに支持されているので、改装額縁60の強度を高めることが可能である。特に、本実施形態のような見込み方向の幅が広い改装額縁60には、障子の開閉時に使用者が手を着いたり、置物を置くなどして荷重がかかる場合があるが、このような場合であっても、改装額縁60が水受部材48の額縁支持部48eに支持されているので十分な強度を備えることが可能である。
【0057】
また、水受部材48の室内側の部位である額縁支持部48eが改装額縁60の下側に当接されるので、改装額縁60の室外側の縁60aから下方に伝わる水が改装額縁60の下側を伝って室内側に戻ることを防止することが可能である。
【0058】
また、水の排水経路となる下接合部材延出部36fは、既設枠50の側方に位置する既設縦枠53と改装枠20の側方に位置する改装縦枠23との間に介在される縦枠接合部材37の下に設けられるので、下接合部材延出部36fを設けるためのスペースを別途設ける必要はないので、既設縦枠53と改装縦枠23との間隔を狭く抑えることが可能であり、また、下接合部材延出部36fは改装縦枠23と縦枠接合部材37とによって隠されるので外部に排水経路が露出することを防止することが可能である。
【0059】
本実施形態においては、水受部材48を下枠接合部材36と別体に形成した例について説明したが、水受部材48の固定壁部48aと下枠接合部材36の室内側鉛直壁部36aとを同一の部位として一体化しても構わない。
【0060】
また、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0061】
1 改装サッシユニット、2 開口、10 改装サッシ、
20 改装枠、22 改装下枠、23 改装縦枠、
36 下枠接合部材、36f 下接合部材延出部、36g 連通部、
37 縦枠接合部材、40 水受部材、48b 平面部、
48c 傾斜部、48d 水受壁部、48e 額縁支持部、
50 既設枠、52 既設下枠、60 改装額縁、60a 室外側の縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内外を連通する開口に既に設けられた既設枠の内周側に設けられる改装枠を備えた改装サッシを有する改装サッシユニットであって、
前記既設枠の下部に位置する既設下枠と前記改装枠の下部に位置する改装下枠との間に介在される下接合部材を有し、
前記下接合部材は、見つけ方向において前記改装下枠より外側に延出されて前記既設下枠上に位置する延出部を有し、
前記延出部は、当該延出部の上下の空間を連通する連通部を有しており、
前記改装サッシの下側に浸入した水を、前記延出部から前記連通部を通して前記既設下枠に至らせて室外に排出することを特徴とする改装サッシユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の改装サッシユニットであって、
前記改装下枠は、前記改装サッシの室内側に設けられた額縁の室外側の部位を覆っており、
前記額縁の下方に、当該額縁の室外側の縁より室内側に至るように突出して、前記水を前記延出部に案内する案内部を有することを特徴とする改装サッシユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の改装サッシユニットであって、
前記案内部は、見つけ方向において前記改装下枠より外側にて前記延出部と連通することを特徴とする改装サッシユニット。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の改装サッシユニットであって、
前記案内部の室内側に前記額縁を支持する額縁支持部を有していることを特徴とする改装サッシユニット。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の改装サッシユニットであって、
前記延出部の上には、前記既設枠の側方に位置する既設縦枠と前記改装枠の側方に位置する改装縦枠との間に介在される縦接合枠が設けられていることを特徴とする改装サッシユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−102478(P2012−102478A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249999(P2010−249999)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】