説明

改質フェノール樹脂

本発明は、改質フェノール樹脂、該フェノール樹脂の製造のための方法、改質フェノール樹脂を含むフェノール樹脂調合物、および該フェノール樹脂調合物の製造のための方法に関する。本発明は、さらに、対応するフェノール樹脂またはフェノール樹脂調合物の特定の使用、およびフェノール樹脂の製造のためのブロック共重合体の使用を記載している。本発明は、ブロック共重合体を含むフェノール樹脂であって、前記ブロック共重合体は、以下のセグメント:a)1つ以上のソフトセグメント、特に液状ゴム、b)反応性芳香族部分を含む1つ以上のハードセグメント、を有し、前記ブロック共重合体は、前記ハードセグメントの前記反応性芳香族部分によって前記フェノール樹脂中に組み込まれる、フェノール樹脂を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改質フェノール樹脂に関し、改質フェノール樹脂を製造するためのプロセスにも関する。本発明は、さらに、改質フェノール樹脂を含むフェノール樹脂調合物に関し、フェノール樹脂調合物を製造するためのプロセスにも関する。最後に、本発明は、適切なフェノール樹脂およびフェノール樹脂調合物のそれぞれ特定の使用、およびフェノール樹脂を製造するためのブロック共重合体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
フェノール樹脂は、フェノールとアルデヒド、特にホルムアルデヒドとの縮合物である。フェノール樹脂は、熱硬化性材料の系統に属する。三次元架橋のため、硬化した状態でフェノール樹脂には融点がない。特定の温度しきい値より高温で、フェノール樹脂は分解し始める。フェノール樹脂は、成形組成物、電気絶縁材料および断熱材料、ニス、摩擦コーティング、研磨材、木材系材料、および繊維系成形物を製造するためのバインダまたは接着剤または原材料として用いられる。フェノール樹脂は、鋳物バインダおよび耐火物バインダとしても用いられる。
【0003】
フェノール樹脂を用いて製造される製品の重要な利用分野は、電気産業、建設産業および木材産業、車両組立て、および航空宇宙も網羅している。これは、この材料が高い強度、剛性、および表面硬さを有し、温度変化に対する抵抗性も有するからである。フェノール樹脂は、低い熱膨張係数のため寸法安定であり、加熱に耐えることができる。フェノール樹脂の他の特徴は、優れた耐火性および難燃性であり、高い電気絶縁能力および断熱能力でもある。
【0004】
フェノール樹脂の合成においては、フェノール成分とアルデヒド成分とが触媒縮合反応において反応し、水を脱離して低分子量重合体が得られる。フェノール樹脂の性質を決定する上で決定的な要因は、アルデヒド成分に対するフェノール成分の比だけでなく触媒の選択でもある。ノボラックの合成においては酸が触媒として用いられる。レゾール縮合反応のためには塩基が用いられる。
【0005】
しかし、従来のフェノール樹脂系の不利な特徴は、多くの場合にフェノール樹脂にはある程度の望ましくないもろさがあり、従って限られた伸長性しか有さないことである。
【0006】
特許文献1は、液状ゴムをベースとするセグメントの導入を通じてフェノール樹脂を改質することによって、もろさを軽減するための配置を開示している。この目的のために、フェノール樹脂の合成時に液状ゴムをホルムアルデヒドまたはその誘導体、およびフェノールまたはその誘導体と反応させる。このことの結果は、フェノール樹脂の構造中への液状ゴムの化学的な組み込みである。ここでは、ゴムは、一般にゴム分子の2つの末端のそれぞれにおける単結合によって組み込まれ、従ってゴム分子の2つの末端は、カルボキシ基またはアミノ基などの官能基を有する。
【0007】
より低いネットワークの密度がフェノール樹脂の構造にある程度の可撓性を付与する結果となるので、一般に、得られるフェノール樹脂は対応する未改質のフェノール樹脂よりもろくない。
【0008】
用いることができる既知の液状ゴムの例は、官能基を含む以下の材料、すなわち、ポリブタジエンゴム、アクリルブタジエンゴム、またはシリコーンゴム、さらにビニルピリジン重合体またはアクリル酸−ブタジエン−スチレン重合体である。前記液状ゴム中の官能基の例は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基またはエポキシ基である。
【0009】
しかし、前記手順の不利な点は、改質プロセスがフェノール樹脂の化学的および熱的な経時変化に対して負の効果を有することである。樹脂の強度も減少することがある。全体としての加工性が減退する。樹脂は、貯蔵寿命も非常に短くなる。
【0010】
特許文献2に開示されているフェノール樹脂製造のためのプロセスもある。このプロセスにおいては、液状ゴムおよびエポキシ成分から誘導された中間体が最初に提供される。これは、次に、第2のステップにおいて、予め縮合したフェノール樹脂と反応する。中間体は、ここでは主として、約1000以下という測定可能なエポキシ当量によって明らかなその高い含有率の反応性エポキシ基によってフェノール樹脂と反応する。これは、とりわけ、フェノール樹脂のさらなる架橋を生じ、今度はこの架橋によって予め縮合したフェノール樹脂の粘度が非常に高くなる。高い粘度によって、フェノール樹脂のその後の加工が、特にテキスタイルまたは紙の含浸時に、より難しくなる。その上、前記の日本公開公報に開示されているフェノール樹脂には適切な貯蔵寿命が欠けている。例えば、わずか2、3日後には相分離が明らかに見られる。
【0011】
特許文献3は、フェノール樹脂を開示している。この場合、最初に液状ゴムをフェノール成分と反応させ、その結果、次にアルデヒド成分との反応によってフェノール樹脂を得ることができる。ここではポリブタジエンが液状ゴムとして用いられ、フェノール成分はこれらのものの二重結合への付加反応を行う。従って、液状ゴムは、重合体上にランダムな分布を有する芳香族部分を含み、液状ゴム−重合体鎖は、フェノール樹脂製造の状況で多数の架橋の可能性を提供する。ここでも、とりわけ1つの問題は、得られるフェノール樹脂の増加した粘度である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第97/17385号
【特許文献2】特開昭57−70119号公報
【特許文献3】英国特許第2 075 517号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
従って、従来技術の少なくとも1つの不利を軽減すること、特に、減少したもろさを有し、従って増加した伸長性を有するが、基本的に経時特性にはいかなる変化もないフェノール樹脂を提供することが本発明の目的である。フェノール樹脂は、最大の最終用途加工性も有するべきである。
【0014】
この目的は、請求項1に記載のフェノール樹脂によって実現される。有利な実施態様が従属請求項の主題である。
【0015】
本発明は、フェノール樹脂の構造中へのブロック重合体の形での芳香族セグメントの組み込みによって、フェノール樹脂の減少したもろさ、従って増加した伸長性を実現することができることを見いだした。しかし、熱的および化学的な経時劣化への抵抗性は保持される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
芳香族単位をベースとするセグメントを基本構造の中に統合するために本発明で用いられる方法は、芳香族単位を有するゴム、特に液状ゴムをフェノール樹脂の製造時に存在させることを含む。本発明におけるフェノール樹脂の製造時に、芳香族ゴムにおいてアルデヒド成分との反応が起こり、メチロール基(−CHOH)が形成される。次に、前記メチロール基は、フェノール自体との類似性によって、縮合反応に参加してフェノール−アルデヒド縮合物を作り出すことができる。その結果は、フェノール−ホルムアルデヒド縮合物中へのブロック共重合体の組み込み(詳しくはゴムのメチロール基によって)である。これに対して、国際公開第97/17385号の教示によれば、組み込みは、対応するゴムのヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基またはエポキシ基によって起こり、特開昭57−70119号の教示によれば、それは、ゴムのエポキシ基によって起こる。結果は、得られるフェノール樹脂の、従来技術と比べた構造の変化である。
【0017】
芳香族単位を有するゴムを反応体としてフェノール(誘導体)およびホルムアルデヒド(誘導体)とともにフェノール樹脂の合成時に用いると、結果としてホルムアルデヒド(誘導体)のためのさらなる架橋反応体として芳香族反応体が供給される。詳しくは、複数の化学結合、特に安定なメチレン基が芳香族単位によって作り出されるので、これによって、先行技術のフェノール樹脂と比べて架橋密度が増加する。この架橋によって、国際公開第97/17385号から知られているフェノール樹脂系と比べて改変された形態が生じる。得られた形態は、特に良好な化学的および熱的な経時劣化抵抗性を示す。架橋された系が湿気に曝露されるとき、経時劣化に関する抵抗値にも明白な改善がある。
【0018】
驚くべきことに、予測されていなかったにも関わらず、前記の改善された経時劣化抵抗性の値とともにフェノール樹脂の優れた伸張性(可撓化)も得られる。これは、フェノール樹脂の構造中に組み込まれたゴムの芳香族成分における比較的多数の架橋点によるものである。
【0019】
さらに、本発明のフェノール樹脂は、最大の貯蔵寿命を有する。本発明の目的の場合、貯蔵寿命は、主に、良好な相安定性、すなわちフェノール樹脂が約4から10℃、あるいは室温における長期の貯蔵の後でも相分離を示さないことを意味する。有利なことに、本発明のフェノール樹脂は、4〜10℃、好ましくは8℃において2日を超える、または少なくとも1週間、特に2ヶ月、または4ヶ月を超える貯蔵寿命を有する。この場合、これは、フェノール樹脂が識別可能な相分離をまったく、またはほとんど示さないことを意味する。
【0020】
有利なことに、本発明のフェノール樹脂の耐火性能は、今まで知られているフェノール樹脂のそれと基本的に一致する。これは、引火性だけでなく延焼性にもあてはまる。火事の場合に、本発明のフェノール樹脂からの煙の密度は、有利なことに、従来技術のフェノール樹脂からのものと基本的に一致する。
【0021】
本発明の1つの好ましい実施態様では、表現「芳香族単位を有するゴム」は、アクリル酸−ブタジエン−スチレン重合体を意味しない。前記重合体は、国際公開第97/17385号において言及されているが、該文書におけるフェノール樹脂の構造中への組み込みは、アルデヒド成分との反応によって形成されるメチロール基によってではなく、重合体上の官能基によって行われている。
【0022】
本発明に適しているゴムは、「ソフトセグメント」の形で、反応性のある芳香族単位を含む「ハードセグメント」と反応してブロック共重合体を生成する。次に、ブロック共重合体がフェノール樹脂の合成において用いられる。ブロック重合体は、一般に反応性のある芳香族系とゴムとの反応によって作り出される。
【0023】
フェノール樹脂の弾性は、前記樹脂中の芳香族単位を含むセグメントの含有率を増加させることによって増加させることができる。
【0024】
芳香族単位を含むセグメントの割合は、所望のもろさおよびフェノール樹脂の伸張性の関数として、それぞれ広く変化させることができる。しかし、フェノール樹脂中の芳香族単位を含むセグメントの割合は、それぞれの場合にフェノール樹脂の全重量を基準として、0.5から15重量%、特に1から10重量%、特に好ましくは2から8重量%であることが好ましい。4から6重量%の値も可能である。
【0025】
本発明のフェノール樹脂は、それぞれの場合にフェノール樹脂の全重量を基準として、0.5から15重量%、特に1から10重量%、特に好ましくは2から8重量%のブロック重合体を含む。割合は、4から6重量%であってもよい。ブロック重合体の割合は、適切な加工性を維持しつつ所望の強靭性を実現するために重要である。
【0026】
さらに、製造されるフェノール樹脂は、本発明のフェノール樹脂中の芳香族単位を有するゴムのセグメントの形成によって、特に衝撃抵抗性である。
【0027】
フェノール成分
フェノール樹脂の構造のためのフェノール化合物として、フェノール基を有する任意の所望の芳香族化合物を用いることができる。
【0028】
一般に、フェノール化合物の化学構造について特別な制約はなく、単環式フェノールまたは多環式フェノールのどちらを用いてもよい。単環式フェノールまたは多環式フェノールは1価であっても多価であってもよい。すなわち1つ以上のヒドロキシ基を有してよい。
【0029】
適当なフェノール化合物の例は、フェノール;フェノールのアルキル置換誘導体、例えばo−クレゾール、m−クレゾール、またはp−クレゾール;比較的高いアルキル化レベルのフェノール;ハロゲン置換フェノール、例えばクロロフェノールまたはブロモフェノール;多価フェノール、例えばレゾルシノールまたはピロカテコール;フェノールメラミン;および多環式フェノール、例えばナフトール、ビスフェノールA、またはビスフェノールFからなる群から選ぶことができる。
【0030】
アルデヒド成分
一般式R−CHOの化合物はどのようなものであってもフェノール樹脂中のアルデヒド成分として用いることができる。適切なアルデヒドは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、グリオキサール、およびフルフラールからなる群から選ぶことができる。
【0031】
ホルムアルデヒドは、本発明の目的の場合に用いることができる好ましいアルデヒドである。ホルムアルデヒドは、本発明において実際の反応が始まるまで、またはその直前に結合されるまで、ホルムアルデヒドを生成するために開裂しない形で用いることができる。本発明における例は、パラホルムアルデヒドおよびトリオキサンである。別の好ましい添加の形は、ホルムアルデヒドの水溶液(ホルマリン)の形である。
【0032】
芳香族単位を有するゴム
本発明のフェノール樹脂中に芳香族ゴムセグメントを含むのは、一般に、フェノール樹脂の合成において用いられるブロック共重合体から由来する。
【0033】
本発明のフェノール樹脂の目的の場合、芳香族ゴムセグメントを含むことによって樹脂の特定の伸張性、従って可撓化が得られるが、同時に、特に化学的および熱的な経時劣化の点で不利益は生じない。
【0034】
芳香族単位を有するゴムは、アルカリ触媒縮合プロセスを用いて得られる自己硬化性樹脂にも、酸触媒縮合プロセスを用いて得られるノボラックにも用いることができる。これらは、ヘキサメチレンテトラミンなどの通常の硬化剤によって硬化させることができる。
【0035】
本発明の目的の場合、フェノール樹脂中に、芳香族単位を有する適切なゴムの混合物を用いることも可能である。
【0036】
一般に、ブロック共重合体は、反応性芳香族系(ハードセグメント)と反応性液状ゴム(ソフトセグメント)との反応から作り出される。
【0037】
(i)反応性液状ゴム(ソフトセグメント)
本発明の目的の場合にフェノール樹脂の構造中に組み込まれる芳香族ゴムのソフトセグメントについては、ゴムが芳香族系と反応することができる限り、特に制約はない。この目的の場合に、好ましくは、反応性ゴムは少なくとも1つ、特に少なくとも2つの官能基(単数または複数)を有する。好ましくは、ゴムは芳香族系との反応のための反応基を有する中程度のモル質量の可撓性で長鎖の分子である。反応性基の性質については、ゴムの反応性基が芳香族系と反応することができる限り、特に制約はない。
【0038】
好ましくは、ゴムのモル質量は2500から8000g/mol、特に好ましくは3000から6000g/mol、特に3200から4500g/molである。この種類のゴムを用いる本発明のフェノール樹脂は、最小限の粘度および良好な衝撃抵抗特性を特徴とする。
【0039】
例えば、用いられるゴムは、ブタジエンの単独重合体類からなる群から選ばれる官能基化単独重合体、ブタジエンとアクリロニトリルとの共重合体、ならびにブタジエン、アクリロニトリルおよびアクリル酸の三元重合体を含んでよい。前記ゴムは、官能基化末端基として、カルボキシ基、アミノ基、またはメタクリレート基を有する。対応するゴムは、例えばEmerald Performance MaterialsからHyproTMRLPの商標(以前はHycar(登録商標)RLP)で市販されている。以下の品目、すなわちHyproTMCTBN 1300x8、HyproTMATBN 1300x45、およびHyproTMVTBNX 1300x33は本発明における例である。
【0040】
用いることができるゴムの他の例は、カルボキシ官能性ポリブタジエンである。適当な市販のゴムの例は、それぞれSartomerからのPoly bd(登録商標)45 CTおよびPoly bd(登録商標)R45HTLO(ヒドロキシ基によって官能基化されたブタジエン)である。Poly bd(登録商標)製品ライン中のエポキシ官能性液状ポリマーまたはアクリレート官能性液状ポリマーを用いることも可能である。
【0041】
用いることができるゴムの他の例は、Zeon Chemicalsによって製造され、Nipol(登録商標)として販売されているアクリロニトリルとブタジエンとのカルボキシル化共重合体である。1つの例は、Nipol(登録商標)1072である。
【0042】
得られるフェノール樹脂中に適当なソフトセグメントを組み込む他の例は、ヒドロキシ官能性ゴム、例えばSartomerから市販されている商標Krasol(登録商標)LBH 2000を有するゴムである。これらは、ブタジエン単独重合体である。イソシアネート官能性ゴムも適しており、例は、商標Krasol(登録商標)LBD 2000を有するゴムである。
【0043】
マレイン酸グラフト化液状ポリブタジエンも、本発明に用いられる液状ゴムとして適している。SartomerからのRicon(登録商標)130MA13は、この種類の液状ゴムの1例である。
【0044】
(ii)芳香族系(ハードセグメント)
本発明において用いられるブロック共重合体のハードセグメントについては、それがゴムの反応性基と反応することができる少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つの反応性基(単数または複数)を有し、芳香族部分を有する限り、特に制約はない。ハードセグメントの芳香族部分によって、フェノール樹脂の合成時にアルデヒド成分がフェノールだけでなくブロック共重合体の芳香族部分とも反応し、メチロール基を形成するという点で、フェノール樹脂中へのブロック共重合体の組み込みが可能になる。前記メチロール基は、次に、フェノール成分との類似性によって、フェノール樹脂を作り出すための縮合反応に参加する。最終的な結果は、フェノール樹脂中へのブロック共重合体の組み込みである。
【0045】
本発明の目的の場合、反応性芳香族系は、反応性芳香族部分を含む系である。本発明における反応性芳香族部分は、フェノール樹脂の形成において反応体として機能することができる芳香族部分である。例えば、これらの中には、フェノール類またはビスフェノール類に存在するもののような酸素置換芳香族部分がある。しかし、芳香族部分は、硫黄を含む置換基など、他の置換基によっても活性化することができる。反応性芳香族部分においてオルト位および/またはパラ位(活性化される置換基から見て)が置換されておらず、従って本発明においては前記位置においてフェノール樹脂への組み込みが可能になることが好ましい。
【0046】
例えば、ブロック共重合体の芳香族系は、エピクロロヒドリンとビスフェノールとの縮合物、エポキシ化ノボラック、固体DGEBA樹脂、クレゾール−ノボラックエポキシ樹脂、エポキシ化カシューナッツシェル油、トリルオキシメチルオキシラン、およびフェナルカミン(phenalkaminen)、ならびに芳香族無水物(例えば無水フタル酸、無水トリメリト酸、3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート、およびグリセロールトリストリメリテートからなる群から選ぶことができる。
【0047】
従って、本発明において用いられるブロック共重合体中に存在するハードセグメントは、例えば、芳香族エポキシ樹脂であってよい。この目的に適している材料は、例えば、ビスフェノール系、例えばビスフェノールAおよびビスフェノールFとエピクロロヒドリンとの縮合生成物である。市販の系の例は、ビスフェノールAのビスグリシジルエーテル(例えばHuntsmanからのAraldite(登録商標)GY 250)、ビスフェノールFのビスグリシジルエーテル(例えばHexionからのEpikote(登録商標)862)、およびエポキシ化ノボラック(例えばDow ChemicalsからのDEN(登録商標)431)である。
【0048】
比較的高分子量の誘導体、例えば固体DGEBA樹脂(例えばHexionからのEpikote(登録商標)1001)、またはクレゾール−ノボラック−エポキシ樹脂(例えばHuntsmanからのAraldite(登録商標)ECN 9699)を用いることも可能である。他の芳香族系、例えばエポキシ化カシューナッツシェル油(例えばCardanolからのCardolite(登録商標)NC 513)またはフェナルカミンも適している。
【0049】
ブロック共重合体中のハードセグメントとして用いることができる他の化合物は、トリルオキシメチルオキシラン、および芳香族無水物、例えば、無水フタル酸、無水トリメリト酸、3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート、またはグリセリントリストリメリテートである。
【0050】
(iii)本発明において用いられるブロック共重合体の製造
本発明において用いられるブロック共重合体は、ゴムと芳香族系との反応によって製造することができる。このための要件は、2つの成分がそれぞれ反応性官能基を有することであり得、その結果、本発明において用いられるブロック共重合体が反応時に前記官能基の反応によって形成される。
【0051】
本発明のブロック共重合体において、ソフトセグメント(S)が末端で1つまたは2つのハードセグメント(H)に結合していることが好ましい(下の図式中の変化形(I)および(II)参照)。ブロック共重合体の製造においてソフトセグメントとハードセグメントとの交互配列を実現するために、適当な反応パラメータの選択、例えばハードセグメントに対するソフトセグメントの量比の増加を用いることも可能である(下の図式中の変化形(III)参照)。前記の交互配列において、nは、好ましくは1から3である。
ブロック共重合体の結合変化形の図式:
(I) H−S
(II) H−S−H
(III) H−(S−H)
好ましくは、本発明のブロック共重合体は鎖状分子であるが、枝分かれ構造体、環状構造体、または架橋構造体が製造されることも可能である。
【0052】
エポキシ基を有する出発原料が用いられるとき、得られるブロック共重合体のエポキシ当量(EEW)が1000を超える、好ましくは少なくとも1200または1500、特に好ましくは少なくとも2000または少なくとも5000であることが有利である。エポキシ当量は、重量を基準とする、化合物中のエポキシ基の割合の指標である。ブロック共重合体のエポキシ当量が増加すると、エポキシ基の割合は減少し、フェノール樹脂中へのブロック共重合体の組み込みは、反応性芳香族部分によってより大きな度合いで進行する。
【0053】
エポキシ当量を決定するための既知の方法が当業者に利用可能である。好ましくは、決定はDIN標準53 188またはISO 7142にそれぞれ従って行われる。
【0054】
カルボキシ基を有する液状ゴムが用いられるなら、得られるブロック重合体の酸価は、好ましくは5未満、3未満、または好ましくは1未満、特に好ましくは0.5未満である。酸価は、酸基の割合の指標であり、1gの試験試料を中和するために必要な水酸化カリウムのmg重量を提示する。利用できるプロセス。好ましくは、酸価はDIN標準53402またはDIN標準EN ISO 2114に従って決定される。
【0055】
本発明においては、反応は、用いられるそれぞれの系に合せて適切に調節された条件下で行われる。従って、本発明における反応条件は、反応のそれぞれの成分に依存する。一般に、反応は60から200℃の範囲の温度、好ましくは140℃未満の温度で行われる。本発明における反応は、触媒を加えて行われても加えずに行われてもよい。
【0056】
本反応の目的の場合に触媒が用いられるなら、トリフェニルホスフィンなどのリン化合物、およびベンジルジメチルアミンなどの第三級アミンが用いられてよい。
【0057】
続くフェノール樹脂の合成においてブロック共重合体が直接用いられないときに触媒を使用するのが特に好ましい。なぜなら、製造プロセス時に触媒を使用すると得られるブロック共重合体の貯蔵寿命が低くなることがあるからである。
【0058】
適当な方法において、ブロック共重合体がさらに加工されるまで貯蔵されるなら、および/または、さらなる加工の場所へ輸送されるなら、ブロック共重合体は、水単独ではない溶媒中に溶解させてもよい。本発明における好ましい溶媒は、特にフェノール樹脂の製造においても用いることができる水混和性溶媒であり、例は、アセトンおよびメチルエチルケトン(MEK)などのケトンである。輸送される体積を最小限にするために、加えられる溶媒の量を最小限にすることができる。しかし、溶媒の量は、ブロック共重合体の取り扱いおよびさらなる加工が容易になる(例えば、良好なポンプ送液性が得られる)ように十分高くするべきである。有利なことに、溶媒中のブロック共重合体の割合は30から90%、好ましくは40から85%、特に好ましくは50から80%である。
【0059】
本発明のフェノール樹脂の製造
芳香族単位を有するゴムは、フェノール樹脂の製造のための最初の仕込みに導入することができ、次に、フェノール成分およびアルデヒド成分と反応させることができる。
【0060】
本発明のフェノール樹脂の製造は、酸性触媒(ノボラック)または塩基性触媒(レゾール)を用いて、先行技術から知られている様式で行なうことができる。この方法は、文献から当業者によく知られている高温、例えば還流温度における縮合反応を用いる。種々のフェノール樹脂が、触媒の性質、加えられるその量の関数として、また用いられる温度の関数としても製造される。適切な縮合反応の実施自体が当業者に知られている。先行技術の場合と同じく、当業者は、本発明のフェノール樹脂の製造において反応体の添加の順序、温度プロフィールの変化を実行することができ、中間体蒸留ステップも用いることができる。
【0061】
本発明においては、フェノール成分と、芳香族単位を有するゴムとが初期仕込みとして最初に用いられること、および次にアルデヒド成分が導入されることが好ましい。本発明において、アルデヒド成分は、フェノール成分と、芳香族単位を有するゴムとを含む初期仕込みの中にゆっくり供給されてもよく、または適切な前駆体化合物によってゆっくり放出されてもよい。
【0062】
1つの特に好ましい実施態様では、芳香族単位を有するゴムの製造、および本発明のフェノール樹脂の製造は、ワンポット反応で行われる。これは、芳香族単位を有する、最初に製造されたゴムがそのまま、すなわち基本的に後処理、単離または精製なしで、本発明のフェノール樹脂を製造するために用いられること、および/または単一の反応器の中で行なわれることを意味する。これを目的として、ゴムの製造後にフェノール成分をこの材料と混合し、次に、アルデヒド成分を加えるかまたは前駆体化合物から放出させる。
【0063】
本発明において提供される、芳香族単位を有するゴムを用いることによって、レゾールおよびノボラックを製造することができる。
【0064】
目的がノボラックを製造する場合は、フェノール成分、芳香族単位を有するゴム、およびアルデヒド成分を、酸、特にシュウ酸などの有機酸への暴露によって、反応させることができる。
【0065】
目的がレゾールを製造する場合は、フェノール成分、芳香族単位を有するゴム、およびアルデヒド成分を、塩基、特に有機塩基への曝露によって、反応させることができる。1つの好ましい実施態様では、フェノール成分またはアルデヒド成分を基準とする芳香族単位を有するゴムの割合は、0.5から15%、1から10%、または2から8%である。
【0066】
フェノール樹脂の製造について、水、またはアルコール例えばメタノール、あるいはそれらの混合物からなる群から選ばれた溶媒を用いることが可能である。
【0067】
本発明の目的の場合に、次に、溶媒、フェノール内容物、ホルムアルデヒド成分から誘導される内容物、および適切ならさらなる揮発性成分が少なくともある程度、または完全に反応体の系から除去されるように、前記反応から得られる樹脂を蒸留することができる。揮発性成分のこの除去は、フェノール樹脂の所望の利用分野の機能であり、必須ではない。
【0068】
本発明のフェノール樹脂の製造時にブロック共重合体を使用すると、広い範囲のさまざまなプロセスおよび用途においてさらに加工するために適している、透明かつ均一な樹脂系が得られる。
【0069】
本発明のフェノール樹脂は、通常、粘度の測定によって、固体含有率の測定によって、遊離ホルムアルデヒドの含有率によって、ホットプレートを用いることによって決定されるB時間によって特性を示すことができる。B時間は、樹脂の完全架橋に必要な時間である。
【0070】
得られるフェノール樹脂は、適切なら、さらなる改質プロセスに付してよい。従って、例えば、メチルエチルケトン(MEK)などの溶媒を、得られるフェノール樹脂と混合することが可能である。従って、特定の用途分野が本発明のフェノール樹脂に開かれ得る。
【0071】
本発明は、さらに、前記プロセスによって得ることができるフェノール樹脂を提供する。
【0072】
フェノール樹脂調合物
本発明は、さらに、本発明のフェノール樹脂を含むフェノール樹脂調合物を提供する。
【0073】
前記フェノール樹脂調合物の他の構成要素は、他の所望のフェノール樹脂、およびさらなる添加物または添加剤であってよい。
【0074】
本発明のフェノール樹脂は、フェノール樹脂以外の樹脂系を改変するためにも用いることができる。これを目的として、本発明のフェノール樹脂は、他の樹脂系とともに調合される。他の樹脂系は、例えば、メラミン樹脂、ウレア樹脂、ポリウレタン樹脂、ビスマレイミド樹脂、およびシアヌレート樹脂であってよい。
【0075】
従って、本発明は、さらに、適切なら調合物の形で、本発明のフェノール樹脂を含むメラミン樹脂、ウレア樹脂、ポリウレタン樹脂、ビスマレイミド樹脂、およびシアヌレート樹脂も提供する。
【0076】
フェノール樹脂調合物の個々の構成成分の適切な釣り合い、特に本発明のフェノール樹脂と標準的な樹脂とのブレンド化によって、対応するフェノール樹脂調合物の強靭さ、もろさ、および可撓性を制御することができる。
【0077】
本発明のフェノール樹脂およびフェノール樹脂調合物の使用
本発明は、さらに、本発明のフェノール樹脂の使用を提供する。一般に、本発明のフェノール樹脂は、従来のフェノール樹脂系、すなわち、芳香族単位を有するゴムを使用せずに製造されたフェノール樹脂が強靭さおよび可撓性の面で制約を受けるときにはいつでも有用である。
【0078】
本発明のフェノール樹脂またはフェノール樹脂調合物のための利用分野は、例えば繊維強化ラミネートの分野、例えば航空機組み立て用のパネルを製造する場合、および鉄道車両の内装の場合に見いだされる。
【0079】
他の使用は、紙用途、例えば紙系ラミネートおよびフィルターの製造においてであり、木材用途、例えば高圧積層板の製造においてでもある。
【0080】
本発明のフェノール樹脂またはフェノール樹脂調合物のための他の利用分野は、摩擦カバー材および研磨カバー材、ブレーキカバー材およびクラッチカバー材、および研摩紙の製造である。
【0081】
本発明のフェノール樹脂およびフェノール樹脂調合物は、エレクトロニクスおよび電気工学の分野、建物の建設、および家庭用デバイス、ならびに鋳物産業分野における利用のためにも用いることができる。従って、最終製品のそれぞれの特性プロフィールにおいてめざましい改善を実現することが可能である。
【0082】
本発明は、さらに、フェノール樹脂を製造するための、芳香族単位を有するゴムの使用を提供する。
【0083】
下記の実施例は、本発明のさらなる説明を提供する。
【実施例】
【0084】
本発明において用いるためのブロック共重合体(実施例1a)の製造
25kg反応器中の初期仕込みとして8kgの適切な反応性液状ゴム、Hypro CTBN 1300x8(製造業者:Emerald Performance Materials,U.S.A)を用いる。この液状ゴムは高い粘度を有するので、計量プロセスを改善するために50から100℃に予熱する。次に、2kgの市販ビスフェノールAジグリシジルエーテル、例えばEpikote(登録商標)828(製造業者:Hexion,U.S.A.)またはAraldite(登録商標)GY 250(製造業者:Huntsman,Switzerland)を加える。共重合体が得られる反応は、大気圧および140℃で2時間行なう。
【0085】
これによって酸価<1を有する高粘度のブロック共重合体が得られる。すなわち、反応性ゴム中に前もって存在するカルボキシ基はエポキシ基と反応した。これは、1600であるエポキシ当量によっても確かめられる。粘度は3200Pas(25℃で)である。前記手順を用いることによって以下の他のブロック共重合体を製造した。
【0086】
実施例1b:
9kgのHyproTMCTBN 1300x8、1kgのAraldite(登録商標)GY 250 EEW 7200、8900Pas。
【0087】
実施例1c:
7kgのHyproTMCTBN 1300x8、3kgのAraldite(登録商標)GY 250 EEW 800、1050Pas。
【0088】
実施例1d:
8kgのHyproTMCTBN 1300x8、2kgのCardolite(登録商標)NX 476 EEW 14159、140Pas。
【0089】
実施例1e:
8kgのHyproTMCTBN 1300x8、2kgのPolypox(登録商標)R6 EEW 1500、64Pas。
【0090】
実施例1f:
8kgのHyproTMCTB 2000x162、2kgのAraldite(登録商標)GY 250 EEW 1550、5400Pas。
【0091】
実施例1g:
8kgのHyproTMCTBN 1300x31、2kgのAraldite(登録商標)GY 250 EEW 1600、2600Pas。
【0092】
ブロック共重合体で改質したフェノール樹脂(実施例2a)の製造:
25kg反応器の中の初期仕込みとして10kgのフェノール、14.66kgのホルマリン(37%強度)、3.746kgの水、および0.5kgの実施例1aからのブロック共重合体を用いる。混合物を50℃で60分間均質化する。次に、0.38kgの50%強度の水酸化ナトリウム溶液を加え、温度を80から85℃に上昇させる。
【0093】
縮合反応を120分間行なう。次に、50から55mbarの真空下、50℃の温度における蒸留によって所望の固体含有率に達するまで水を除去する。
【0094】
比較例2b
比較を目的として、実施例2a)と同様であるがブロック共重合体を含まないフェノール樹脂を製造する。利用の実施例において、これを「対照」と呼ぶ。
【0095】
紙の強化のための改質フェノール樹脂の使用
最初に、単位面積あたり重量80g/mのナトリウムクラフト紙に、第一に実施例3からの対照、第二に実施例2からの改質樹脂系を含浸させた。試験ストリップをオーブン中130℃で完全に硬化させた。
【0096】
破壊荷重試験は、対照では139.5N、改質系では159.3Nの平均値を示す。これは、ブロック共重合体で改質したフェノール樹脂が明らかにより良好な弾性強靭特性を有することを意味する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロック共重合体を含むフェノール樹脂であって、前記ブロック共重合体は、以下のセグメント:
a)1つ以上のソフトセグメント、特に液状ゴム、
b)反応性芳香族部分を含む1つ以上のハードセグメント、
を有し、前記ブロック共重合体は、前記ハードセグメントの前記反応性芳香族部分によって前記フェノール樹脂中に組み込まれる、フェノール樹脂。
【請求項2】
前記フェノール樹脂中のブロック共重合体の割合は、前記フェノール樹脂を基準として0.5から15重量%であることを特徴とする、請求項1に記載のフェノール樹脂。
【請求項3】
前記ブロック共重合体は、ゴム(ソフトセグメント)と芳香族系(ハードセグメント)との反応によって得ることができる、請求項1または2に記載のフェノール樹脂。
【請求項4】
前記ゴムは、ブタジエンの単独重合体;ブタジエンとアクリロニトリルとの共重合体;ブタジエンのカルボキシ官能性単独重合体、アミン官能性単独重合体、またはメタクリレート官能性単独重合体、ブタジエンとアクリロニトリルとのカルボキシ官能性共重合体、アミン官能性共重合体、またはメタクリレート官能性共重合体;ブタジエン、アクリロニトリル、およびアクリル酸のカルボキシ官能性三元重合体、またはメタクリレート官能性三元重合体;カルボキシ官能性ポリブタジエン、エポキシ官能性ポリブタジエン、ヒドロキシ官能性ポリブタジエン、およびアクリレート官能性ポリブタジエン;イソシアネート官能性液状ゴム、およびマレイン酸グラフト化ポリブタジエンからなる群から選ばれたことを特徴とする、請求項3に記載のフェノール樹脂。
【請求項5】
前記芳香族系は、エピクロロヒドリンとビスフェノールとの縮合物、エポキシ化ノボラック、固体DGEBA樹脂、クレゾール−ノボラックエポキシ樹脂、エポキシ化カシューナッツシェル油、トリルオキシメチルオキシラン、およびフェナルカミン、および芳香族無水物からなる群から選ばれたことを特徴とする、請求項3または4に記載のフェノール樹脂。
【請求項6】
前記ブロック共重合体のエポキシ当量は、1000より大きく、好ましくは少なくとも1500であり、そして特に好ましくは少なくとも2000であることを特徴とする、請求項5に記載のフェノール樹脂。
【請求項7】
前記ブロック共重合体の酸価は、5より小さく、好ましくは1より小さく、そして特に好ましくは0.5より小さいことを特徴とする、請求項5に記載のフェノール樹脂。
【請求項8】
以下のステップ、
a)少なくとも1つのソフトセグメントと少なくとも1つのハードセグメントとを含む少なくとも1つのブロック共重合体を提供するステップ、
b)前記少なくとも1つのブロック共重合体とフェノール成分およびアルデヒド成分とを反応させるステップ
を含む、フェノール樹脂を製造するためのプロセスであって、前記ブロック共重合体は前記反応性芳香族部分によって前記フェノール樹脂中に組み込まれる、プロセス。
【請求項9】
前記ブロック共重合体を、後処理、単離、または精製をせずにアルデヒド成分およびフェノール成分と反応させ、および/または前記2つの反応ステップを単一の反応器の中で行うことを特徴とする、請求項7に記載のプロセス。
【請求項10】
前記フェノール成分は、フェノール;フェノールのアルキル置換誘導体、例えばo−クレゾール、m−クレゾールまたはp−クレゾール;比較的高いアルキル化レベルのフェノール;ハロゲン置換フェノール、例えばクロロフェノールまたはブロモフェノール;多価フェノール、例えばレソルシノールまたはピロカテコール;フェノールメラミン;および多環式フェノール、例えばナフトール、ビスフェノールA、またはビスフェノールFからなる群から選ばれたことを特徴とする、請求項8または9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記アルデヒド成分は、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、グリオキサール、およびフルフラールからなる群から選ばれることを特徴とする、請求項8または9に記載のプロセス。
【請求項12】
請求項8から11のいずれか1項に記載のプロセスのいずれかによって得ることができるフェノール樹脂。
【請求項13】
請求項1から7および12のいずれか1項に記載のフェノール樹脂を含む、フェノール樹脂調合物。
【請求項14】
請求項1から7および12のいずれか1項に記載のフェノール樹脂と、添加剤および/またはフェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、ビスマレイミド樹脂、およびシアヌレート樹脂からなる群から選ばれる他の樹脂との混合によって、請求項13に記載のフェノール樹脂調合物を製造するためのプロセス。
【請求項15】
以下のセグメント:
a)ソフトセグメント、特に液状ゴム、
b)反応性芳香族部分を含むハードセグメント、
を含むブロック共重合体であって、好ましくは、末端に反応性芳香族部分を有するブロック共重合体。
【請求項16】
フェノール樹脂を製造するための請求項14に記載のブロック重合体の使用。
【請求項17】
繊維強化ラミネートの分野における、特に航空機組み立ておよび鉄道車両の内装のためのパネルを製造するための、紙利用の分野における、特に紙系のラミネートおよびフィルターの製造における、木材利用の分野における、特に高圧積層板の製造における、摩擦カバー材および研磨カバー材、およびブレーキカバー材およびクラッチカバー材、および研摩紙の製造における、エレクトロニクスおよび電気工学の分野における、建物の建設における、家庭用デバイスのための、ならびに鋳物工業分野における、請求項1から6のいずれか1項に記載のフェノール樹脂、または請求項12に記載のフェノール樹脂調合物の使用。
【請求項18】
以下のステップ、
a)ゴムと芳香族系とを反応させて、ブロック重合体を得るステップ、
b)前記ブロック重合体とフェノール成分およびアルデヒド成分とを反応させるステップ、
を含むプロセスによって得ることができるフェノール樹脂であって、前記ブロック重合体は、前記芳香族系によって前記フェノール樹脂中に組み込まれる、フェノール樹脂。

【公表番号】特表2011−506712(P2011−506712A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538498(P2010−538498)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【国際出願番号】PCT/EP2008/011051
【国際公開番号】WO2009/080357
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(510172549)ナノレジンス アーゲー (2)
【Fターム(参考)】