説明

改質触媒の再生方法

【課題】より短時間で、かつ余分な燃料消費を抑えつつ、水蒸気改質触媒を再生することのできる改質触媒の再生方法を提供する。
【解決手段】炭化水素系燃料を水蒸気改質して水素を生成させるための水蒸気改質触媒を再生する、改質触媒の再生方法であって、水蒸気改質触媒が、αアルミナあたり2質量%以上25質量%以下の希土類元素酸化物と0.1質量%以上15質量%以下のアルカリ土類元素酸化物とをαアルミナに担持した担体に、活性金属としてルテニウムを担体に対して0.3質量%以上5質量%以下担持した触媒であって、炭化水素系燃料と水蒸気を触媒に供給して水蒸気改質反応を行った後、炭化水素系燃料の供給を瞬時に停止する一方、水蒸気の供給を継続し、水蒸気のみを触媒に供給して触媒を再生する改質触媒の再生方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素系燃料から水蒸気改質反応によって水素を生成するための改質触媒の再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化水素系燃料から水蒸気改質反応によって水素を生成するための水蒸気改質触媒は、コーク(炭素)析出によってその性能が劣化することが知られている。析出したコークを、水蒸気を用いて除去し、水蒸気改質触媒を再生することが知られている。
【0003】
特許文献1には、一日一回の駆動停止毎に改質触媒の再生モード運転を行う家庭用燃料電池システムの改質触媒再生方法が開示される。この再生モード運転は、システムの駆動停止信号を受けて、改質反応器温度を改質触媒の耐熱温度以下の所定温度に設定し、改質反応器に入る水の流量を所定流量に保持したまま、炭化水素燃料の流量を徐々に低下させて高S/C比とさせ、燃料流量がゼロになってからも、更に水だけを流入させ一定時間運転した後、改質反応器温度を低下させて全停止させる。これにより、駆動停止を利用して駆動停止前に常に改質触媒を再生する再生モード運転を行うので、改質触媒の寿命が大幅に延びると共に、効率の良い改質反応が行え、しかも常にリフレッシュした状態で運転が開始され良好な運転が行われるとされる。
【特許文献1】特開2004−247212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の技術は、いわゆるDSS(デイリースタートアップアンドシャットダウン)運転に好適とされている。しかし、特許文献1では、再生モード運転において、炭化水素燃料の流量を徐々に低下させなければならない。そのため、再生モード運転に要する時間が比較的長時間かかってしまう。また、再生モード運転において炭化水素燃料を消費してしまい、この分の燃料が無駄になる可能性もある。特にDSS運転では、起動停止に要する時間は極力短いことが要求され、また無駄な燃料消費は抑えるべきである。
【0005】
本発明の目的は、より短時間で、かつ余分な燃料消費を抑えつつ、水蒸気改質触媒を再生することのできる改質触媒の再生方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明により、炭化水素系燃料を水蒸気改質して水素を生成させるための水蒸気改質触媒を再生する、改質触媒の再生方法であって、
水蒸気改質触媒が、αアルミナあたり2質量%以上25質量%以下の希土類元素酸化物と0.1質量%以上15質量%以下のアルカリ土類元素酸化物とをαアルミナに担持した担体に、活性金属としてルテニウムを該担体に対して0.3質量%以上5質量%以下担持した触媒であって、
炭化水素系燃料と水蒸気を該触媒に供給して水蒸気改質反応を行った後、炭化水素系燃料の供給を瞬時に停止する一方、水蒸気の供給を継続し、水蒸気のみを該触媒に供給して該触媒を再生する改質触媒の再生方法が提供される。
【0007】
前記炭化水素系燃料が灯油であると本発明の効果が特に顕著である。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、より短時間で、かつ余分な燃料を消費せずに、水蒸気改質触媒を再生することのできる水蒸気改質触媒の運転方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
〔水蒸気改質触媒〕
本発明で用いる水蒸気改質触媒は、αアルミナベースの担体に、活性金属としてルテニウムを担持したものである。αアルミナ自体は表面積が比較的低いものの機械的強度が高く、水蒸気改質触媒の担体として一般的に用いられている。
【0010】
この担体は、αアルミナに、αアルミナあたり2質量%以上25質量%以下の希土類元素酸化物と0.1質量%以上15質量%以下のアルカリ土類元素酸化物とを担持したものである。
【0011】
希土類元素は、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Tb、Luからなる群から選ばれる一つ以上であり、なかでも触媒活性の観点からLaおよびCeが好ましい。
【0012】
希土類元素酸化物は、上記希土類元素の酸化物であって、触媒活性の観点から、LaO2およびCeO2、が好ましい。
【0013】
アルカリ土類元素は、Mg、Ca、Sr、Ba、Raからなる群から選ばれる一つ以上であり、なかでも触媒活性の観点からMg、Sr、Baが好ましい。
【0014】
アルカリ土類元素酸化物は、上記アルカリ土類元素の酸化物であって、触媒活性の観点から、MgO、SrO、BaOが好ましい。
【0015】
活性金属としては、希土類元素酸化物およびアルカリ土類元素酸化物を特定量担持して得られる担体に対して0.3質量%以上5質量%以下担持させる。
【0016】
触媒担体中における希土類元素の含有量は、希土類元素酸化物として、αアルミナに対して、外率(αアルミナ質量基準)で、2〜25質量%であることが必要であり、好ましくは5〜20質量%、さらに好ましくは10〜15質量%である。希土類元素酸化物の含有量が25質量%より多い場合、凝集が多くなり表面に出る金属の割合が極度に減少する。一方、2質量%より少ない場合には希土類元素の炭素析出抑制効果が不十分である。
【0017】
触媒担体中におけるアルカリ土類元素の含有量は、アルカリ土類元素酸化物として、αアルミナに対して、外率(αアルミナ質量基準)で、0.1〜15質量%であることが必要であり、好ましくは0.5〜12質量%、さらに好ましくは1〜10質量%である。アルカリ土類元素酸化物の含有量が15質量%より多い場合、凝集が多くなり表面に出る活性金属の割合が極度に減少する。一方、0.1質量%より少ない場合にはアルカリ土類元素の炭素析出抑制効果および活性向上効果が不十分となる。
【0018】
本発明の触媒中におけるルテニウムの含有量は、αアルミナに希土類元素酸化物とアルカリ土類元素酸化物を担持して得られる担体に対して、外率(担体重量基準)で、ルテニウム原子として、0.3〜5質量%であることが必要であり、好ましくは1〜4質量%、さらに好ましくは2〜3質量%である。ルテニウムの含有量が5質量%より多い場合、活性金属の凝集が多くなり表面に出る金属の割合が極度に減少する。一方、0.3質量%より少ない場合には十分な活性を示すことが出来ないため多量の担持触媒が必要となり、反応器を必要以上に大きくする必要が出るなどの問題が生じる。
【0019】
本発明で用いる水蒸気改質触媒は、ルテニウムの高分散触媒である。この触媒を用いることにより、後に詳述するように瞬時に炭化水素系燃料の供給を停止して水蒸気のみ触媒に供給しても、金属(ルテニウム)の凝集は起こらず、触媒は劣化しない。
【0020】
触媒は希土類元素酸化物、アルカリ土類元素酸化物およびルテニウムをαアルミナに担持して得られる。
【0021】
希土類元素酸化物およびアルカリ土類元素酸化物をαアルミナに担持する方法に関しては含浸法、ポアフィル法など公知の担持方法を採用できる。通常、金属塩もしくは錯体として水、エタノール、もしくはアセトンなどの溶媒に溶解させ、担体に含浸させる。担持させる金属塩もしくは金属錯体は、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、アセト酢酸塩などが好適に用いられる。
【0022】
担持工程に関しても特に制限はなく、同時または逐次的に含浸することができる。
【0023】
担持後、乾燥により水分をあらかた除去するが、この乾燥工程においても特に制限はなく、例えば、空気下もしくは不活性ガス下で温度100〜150℃で乾燥する方法が好適に用いられる。乾燥工程後、希土類元素およびアルカリ土類元素を担持した担体は350〜1000℃の温度で焼成することが好ましい。350℃以上で焼成することにより、担持元素の担体への固定化を良好にすることが容易である。また、1000℃以下とすることにより、担持元素の凝集を抑制することが容易である。焼成雰囲気は空気下が好ましく、ガス流量については特に制限はない。焼成時間は2時間以上が好ましい。2時間以上とすることにより担持元素の担体への固定化を良好にすることが容易である。
【0024】
焼成した担体を冷却後、次いでルテニウムの担持を行う。担持方法に関しては、含浸法、ポアフィル法など公知の担持方法を採用できる。通常、金属塩もしくは錯体として水、エタノール、もしくはアセトンなどの溶媒に溶解させ、担体に含浸させる。担持させる金属塩もしくは金属錯体は、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、アセト酢酸塩などが好適に用いられる。担持回数に関しても特に制限はなく一度または数度にわけて含浸することができる。
【0025】
担持後、乾燥により水分をあらかた除去するが、この乾燥工程においても特に制限はなく、例えば、空気下もしくは不活性ガス下で温度100〜150℃で乾燥する方法が好適に用いられる。
【0026】
こうして得られた担持触媒は、必要に応じて還元処理や金属固定化処理を行うことにより活性化される。処理方法は特に制限はなく、水素流通下での気相還元や液相還元が好適に用いられる。
【0027】
触媒担体成分として用いられるαアルミナとしては、孔径50〜10,000nmのマクロポアをもったαアルミナが好ましい。孔径50〜10,000nmの細孔容積は0.2〜1.0ml/gであることが好ましい。この細孔容積が0.2ml/g以上であれば良好な触媒活性が容易に得られる。一方、細孔容積が1.0ml/g以下であれば良好な触媒強度が容易に得られる。この細孔容積は水銀圧入法により測定することができる。
【0028】
〔水蒸気改質〕
水蒸気改質では、炭化水素系燃料とスチームを水蒸気改質触媒に供給して水蒸気改質反応を行い、水素を生成させる。
【0029】
水蒸気改質反応は、例えば450℃〜1000℃、好ましくは500℃〜850℃、さらに好ましくは550℃〜800℃の範囲で行うことができる。
【0030】
反応系に導入するスチームの量は、炭化水素系燃料に含まれる炭素原子モル数に対する水分子モル数の比(スチーム/カーボン比)として定義され、この値は好ましくは1〜10、より好ましくは1.5〜7、さらに好ましくは2〜5とされる。
【0031】
炭化水素系燃料が液体の場合、この時の空間速度(LHSV)は炭化水素系燃料の液体状態での流速をA(L/h)、触媒層体積をB(L)とした場合A/Bで表すことができ、この値は好ましくは0.05〜10h-1、より好ましくは0.1〜5h-1、さらに好ましくは0.2〜3h-1の範囲で設定される。
【0032】
なお、炭化水素系燃料が液体の場合は、これを予め気化したうえで改質触媒に供給すればよい。
【0033】
改質反応の圧力は、好ましくは大気圧〜20MPa、より好ましくは大気圧〜5MPa、さらに好ましくは大気圧〜1MPaの範囲で実施されるが、必要であれば大気圧以下で実施することも可能である。
【0034】
〔改質器〕
水蒸気改質を行うための改質器の構造としては、水蒸気改質を行うことが可能な公知の改質器構造を採用することができる。ただし、改質器には前述の特定の水蒸気改質触媒を収容させる。例えば、反応管に前述の水蒸気改質触媒を充填して触媒層を設け、水蒸気改質反応(吸熱反応)を行うための熱を供給するために、その反応管を外部から加熱するためのバーナーを設けた構造を採用することができる。
【0035】
〔触媒の再生〕
本発明では、水蒸気改質を停止する際に、炭化水素系燃料の供給を瞬時に停止する一方、水蒸気の供給を継続し、水蒸気のみを水蒸気改質触媒に供給してこの触媒を再生する。
【0036】
定格運転を行っている状態(定格流量の炭化水素系燃料を改質している状態)から停止しても良いし、部分負荷運転を行っている状態(定格流量に満たない炭化水素系燃料を改質している状態)から停止してもよい。
【0037】
炭化水素系燃料の供給を瞬時に停止するには、一度に炭化水素系燃料の供給量をゼロにする供給停止操作を行えばよい。ただし、この操作の後も、用いる装置内部に残留する炭化水素系燃料が水蒸気改質触媒に供給されることは許容される。供給停止操作後も、例えば10分程度、残留する炭化水素系燃料が水蒸気改質触媒に供給されることがあるが、これは許容される。
【0038】
水蒸気改質触媒の再生に際して、触媒を加熱する必要はない。触媒が改質温度から400℃程度まで温度低下する間に、コークが除去される。触媒の温度が400℃程度になったら水蒸気の供給を停止してよい。
【0039】
再生時間は5〜180分が好ましい、5分以上とすることで良好な再生効果が容易に得られる。一方、180分以下とすることで金属の凝集を抑制し触媒活性の低下を防止することが容易である。また、燃料を停止した後も加熱することにより再生効率を高めることも可能である。その時の触媒温度は400〜800℃が好ましい、400℃以上とすることにより良好な再生効果が容易に得られる。一方、800℃以下とすることにより金属の凝集を抑制し触媒活性の低下を防止することが容易である。
【0040】
具体的な改質器の運転方法について述べる。改質器(特には触媒層)には炭化水素燃料と水蒸気とが供給され、水蒸気改質が行われている状態にある。このとき、炭化水素系燃料は予め脱硫、気化、予熱などを行っておくことができる。また水蒸気は適宜、気化(水の)、予熱を行っておくことができる。触媒層は、適宜改質反応が進行可能な温度に加熱される。改質を停止する際に、炭化水素系燃料の供給を瞬時に停止する。このために、例えば、炭化水素系燃料を改質器に供給するラインをバルブによって閉止したり、炭化水素系燃料を改質器に供給するためのポンプや圧縮機を停止したりすることができる。水蒸気の改質器への供給は継続する。このような操作により、水蒸気による水蒸気改質触媒の再生を行うことができる。
【0041】
また、再生効率を高めるために再生時に触媒の加熱を続ける場合は、炭化水素系燃料の供給を停止した後も触媒層を加熱することができる。このために例えば、触媒層が所定温度になるように、改質器に備わるバーナーへの燃料供給を継続することができる。
【0042】
〔炭化水素系燃料〕
改質器で改質する炭化水素系燃料としては、改質ガスの原料として高温型燃料電池システムの分野で公知の、分子中に炭素と水素を含む(酸素など他の元素を含んでもよい)化合物もしくはその混合物を適宜用いることができ、炭化水素類、アルコール類など分子中に炭素と水素を有する化合物を用いることができる。例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、天然ガス、LPG(液化石油ガス)、都市ガス、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油等の炭化水素燃料、また、メタノール、エタノール等のアルコール、ジメチルエーテル等のエーテル等である。
【0043】
本発明の効果は、炭化水素燃料として灯油を用いる場合に特に顕著である。灯油はコークの生成が大きい傾向にあるからである。
【0044】
本発明によれば、特定の水蒸気改質触媒を用い、炭化水素系燃料の供給を瞬時に停止して水蒸気による触媒再生を行うことができ、従って、より短い時間で触媒再生を行うことが可能となり、また、余分な燃料の消費を抑えることができる。よって本発明は、特にDSS運転を行う発電システムにおいて用いられる水蒸気改質器において、触媒を再生するために好適に用いられる。
【実施例】
【0045】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0046】
[触媒調製]
(触媒A)
細孔容積0.4ml/g、BET表面積5m2/gのαアルミナを用意した。細孔容積とBET表面積は一般的な窒素吸着法より求めた。
【0047】
硝酸セリウムと硝酸マグネシウムを上記αアルミナに、担持酸化セリウム量が外率で13質量%、担持酸化マグネシウム量が外率で5重量%になる量を含浸担持した。これを、150℃で8時間以上乾燥後、800℃で8時間空気焼成して、触媒担体を得た。
【0048】
塩化ルテニウムを上記触媒担体に、担持ルテニウム量が外率で3質量%となる量を含浸担持し、120℃で12時間以上乾燥後、500℃で1時間水素還元した。これを触媒Aとする。
【0049】
(触媒B)
担持酸化セリウム量を1質量%とした以外は触媒Aの製造と同様にして、触媒Bを得た。
【0050】
(触媒C)
担持酸化マグネシウム量を0.08質量%とした以外は触媒Aの製造と同様にして、触媒Cを得た。
【0051】
(触媒D)
αアルミナに替えて、細孔容積0.4ml/g、BET比表面積170m2/gのγアルミナを用いた以外は触媒Aの製造と同様にして触媒Dを得た。
【0052】
[実施例1]
上記触媒を水蒸気改質反応で評価した。反応は固定床のマイクロリアクターを用いた。触媒充填量は50cm3である。炭化水素系原料として脱硫灯油(密度0.793g/cm3、硫黄分0.05質量ppm)を用いた。反応条件は以下の通りである。触媒層入口反応温度500℃、触媒層出口反応温度700℃、反応圧力0.1MPa、スチーム/カーボン比3.0mol/mol、LHSV2.0h-1。前記条件で起動・8時間運転・停止のサイクルを30回繰り返した。
【0053】
この際、触媒としては触媒Aを用い、水蒸気改質反応停止時にマイクロリアクター加熱用の加熱器停止とともに燃料供給を瞬時に停止させ、触媒層出口温度が400℃以下になった時点で水の供給を停止させた。
【0054】
[実施例2]
触媒Aを用い、水蒸気改質反応停止時に燃料供給を瞬時に停止させた後も、加熱器停止をおこなわず、触媒層入口温度500℃、触媒層出口温度700℃に保ちながら水を15分間流通させた。その後、水の供給を停止し加熱器停止を実施した。
【0055】
これ以外は実施例1と同様にして水蒸気改質器の起動停止を30回繰り返した。
【0056】
[比較例1]
触媒Aを用い水蒸気改質反応停止時に加熱器停止とともに燃料と水の供給を同時に停止させた。
【0057】
これ以外は実施例1と同様にして起動停止を30回繰り返した。
【0058】
[比較例2]
触媒Aに替えて触媒Bを用いた以外は実施例1と同様にして起動停止を30回繰り返した。
【0059】
[比較例3]
触媒Aに替えて触媒Cを用いた以外は実施例1と同様にして起動停止を30回繰り返した。
【0060】
[比較例4]
触媒Aに替えて触媒Dを用いた以外は実施例1と同様にして起動停止を30回繰り返した。
【0061】
反応ガスはガスクロマトグラフを用いて定量分析した。反応後の生成ガスH4およびCOの組成よりもとめた原料の転化率を表1に示す。ここで表1の転化率は原料がCO、C2の何れかに転化した割合であり、炭素を基準に計算したものである。
【0062】
また反応終了後、触媒を反応装置から抜き出し触媒に付着したカーボン量を測定した。この結果を表1に示す。
【0063】
表1から明らかなように、燃料供給を瞬時に停止させた後も水の供給をつづけた実施例1、2は比較例1に比べコーク堆積量が少なく高い灯油転化率を示している。また、燃料供給を瞬時に停止させた後も水の供給をつづけた場合でも触媒B〜Dは触媒Aに比べて、灯油転化率が低くなっている。
【0064】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、民生用もしくは自動車用燃料電池システムなど、DSS運転を行う発電システムに備わる改質器において特に好適に実施される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素系燃料を水蒸気改質して水素を生成させるための水蒸気改質触媒を再生する、改質触媒の再生方法であって、
水蒸気改質触媒が、αアルミナあたり2質量%以上25質量%以下の希土類元素酸化物と0.1質量%以上15質量%以下のアルカリ土類元素酸化物とをαアルミナに担持した担体に、活性金属としてルテニウムを該担体に対して0.3質量%以上5質量%以下担持した触媒であって、
炭化水素系燃料と水蒸気を該触媒に供給して水蒸気改質反応を行った後、炭化水素系燃料の供給を瞬時に停止する一方、水蒸気の供給を継続し、水蒸気のみを該触媒に供給して該触媒を再生する改質触媒の再生方法。
【請求項2】
前記炭化水素系燃料が灯油である請求項1記載の方法。

【公開番号】特開2008−238043(P2008−238043A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−81741(P2007−81741)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000004444)新日本石油株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】