説明

改質連続気泡発泡体の集塵機中での使用

本発明は、長さ−幅−高さの寸法が常に1mm〜5cmの範囲にある成型物であって、
(a)密度が5〜500kg/m3の範囲にあり、平均空孔径が1μm〜1mmの範囲にある連続気泡発泡体を
(b)少なくとも一種のカチオン性ポリマーの水性配合物で処理し、
(c)さらに、成型工程で処理して得たものの、
集塵機中でのダスト結合材としての使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長さ−幅−高さの寸法が常に1mm〜5cmの範囲にある成型物であって、
(a)密度が5〜500kg/m3の範囲にあり、平均空孔径が1μm〜1mmの範囲にある連続気泡発泡体を
(b)少なくとも一種のカチオン性ポリマーの水性配合物で処理し、
(c)さらに、成型工程で処理して得たものの、
集塵機中でのダスト結合材としての使用に関する。
【0002】
本発明はまた、厚みが0.3〜2cmの範囲であるシート状成型物で、
(a)密度が5〜500kg/m3の範囲にあり、平均空孔径が1μm〜1mmの範囲にある連続気泡発泡体を
(b)少なくとも一種のカチオン性ポリマーの水性配合物で処理し、
(c)さらに、成型工程で処理して得たものの、
集塵機中でのダスト結合材としての使用に関する。
【0003】
本発明はまた、成型物とその製造方法に関する。本発明はまた、本発明の成型物を含む集塵機に関する。
【背景技術】
【0004】
発泡体、具体的にはいわゆる連続気泡発泡体は、いろいろな用途に使用されている。特に、合成材料からなる連続気泡発泡体が有用であることが証明されている。銘記すべき用途の例としては、シートクッションや、フィルター材料、空調システム、自動車部品、掃除材料である。
【0005】
集塵機、特に床用掃除機では、多くの場合、ダスト捕集空間への空気導入口とファン吸引側との間にダスト保持システムが設けられ、これにより、ファンに入る前にダストを捕捉している。ある特によく知られる変形例がが、袋状のフィルターであり、内部がダストに暴露され、即ち袋状のフィルターの内部にダストが付着する。このようなフィルターは、定期的な交換を必要とする。いくつかの集塵機、特に微減圧掃除機、多目的集塵機、または工業用装置では、ファンを取り囲んでフィルタが取り付けられ、その外側がダストに露出されている。これらの利点は、吸収容量が大きいことである;欠点は、このようなフィルターが、粗大ダスト用のみに設計されており、微細なダスト(アレルギーを引き起こす花粉や微生物も含む)は、このフィルターを通り抜けて、ファンによる真空掃除が必要な空間に再放出され、実質的にはダストを巻き上げることである。
【0006】
上記の集塵袋を備えた集塵機に加えて、集塵袋を使用しないいわゆる「無袋集塵機」が存在する。これらは、通常、ダスト分離用または予備ダスト捕集用のサイクロンを備え、下流に微細ダストフィルターを有している。無袋システムの今までに知られている欠点は、サイクロン中のごみの排出(ほとんどは、ダスト捕集容器の基部のバルブを通して行われる)により、ダストの雲が発生し、このシステムが非衛生的であることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、集塵機中での使用に好適なダスト結合材で、高いダスト捕集容量をもち、その使用が衛生的に完全に満足でき、微細なダストに結合可能なものを提供することである。他の目的は、本発明のダスト結合材の製造方法を提供することである。
【0008】
したがって、成型物を、最初に述べた用途に利用可能であることがわかった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、長さ−幅−高さの寸法が常に1mm〜5cmの範囲にある成型物であって、
(a)密度が5〜500kg/m3の範囲にあり、平均空孔径が1μm〜1mmの範囲にある連続気泡発泡体を
(b)少なくとも一種のカチオン性ポリマーの水性配合物で処理し、
(c)さらに、成型工程で処理して得たものが、
集塵機(vacuum cleaner)中でのダスト結合材として使用される。
【0010】
本発明によれば、厚みが0.3〜2cmの範囲であるシート状成型物で、
(a)密度が5〜500kg/m3の範囲にあり、平均空孔径が1μm〜1mmの範囲にある連続気泡発泡体を
(b)少なくとも一種のカチオン性ポリマーの水性配合物で処理し、
(c)さらに、成型工程で処理して得たものが、
集塵機(吸引装置:vacuum cleaner)中でのダスト結合材として使用できる。
【0011】
本発明の目的において、水性配合物とは、溶液、乳化液、または分散液を意味する。
【0012】
本発明で用いられる成型物の長さ−幅−高さの寸法は、常に1mm〜5cmの範囲にあり、好ましくは最大3cmである。
【0013】
本発明のある実施様態においては、少なくとも一つの寸法、すなわち長さ、幅または高さが、5mmより大きく、最大で5cm、好ましくは最大で3cmである。少なくとも二つの寸法またはすべて三つの寸法が5.5mmより大きく、最大で5cm、好ましくは最大で3cmであってもよい。
【0014】
本発明のもう一つの実施様態においては、本発明の成型物のすべて三つの寸法が、1mm〜5mmの範囲にある。本発明のある実施様態においては、本発明の成型物は、円柱、角柱、鞍、球、薄板、顆粒、ブロック、または立方体の形をとり、好ましくは、錠剤または切片材(ペレット)をとるか、星、アルファベット文字、またはハリネズミ型の成型物、または多孔質成型物の形をとる。
【0015】
本発明のもう一つの実施様態においては、本発明の成型物は、シート状のものであり、その厚みは0.3〜2cm、好ましくは0.5〜1.5cmの範囲である。ここでの長さと幅は、厚みより格段に大きなことが好ましく、例えば5倍であり、好ましくは少なくとも10倍である。長さと幅は、同じであっても異なっていてもよい。
【0016】
最後に述べた実施様態においては、本発明のシート状成型物は、例えば、マット、不織布、または一枚の織物に類似している。
【0017】
本発明のある実施様態においては、本発明で用いられる成型物は、およそ同じ大きさである。つまり、これらの寸法は、最大±10%の変動が許される。
【0018】
本発明で用いられる成型物の生産は、連続気泡発泡体から出発する。
【0019】
本発明のある実施様態においては、本発明で用いられる連続気泡発泡体は、合成有機発泡体であり、具体的には、ポリウレタン発泡体系の発泡体などの未改質有機発泡体や、尿素−ホルムアルデヒド樹脂系などのアミノプラスチック発泡体や、フェノールホルムアルデヒド樹脂系の発泡体であり、特にポリウレタン発泡体またはアミノプラスチック−ホルムアルデヒド樹脂、特にメラミン−ホルムアルデヒド樹脂系発泡体である。本発明において、ポリウレタン系の発泡体は、ポリウレタン発泡体とも呼び、メラミンホルムアルデヒド樹脂系の発泡体をメラミン発泡体とも呼ぶ。
【0020】
したがって、本発明で用いられる成型物は、合成有機材料を含む、好ましくはポリウレタン発泡体またはアミノプラスチック発泡体、特にメラミン発泡体を含む連続気泡発泡体より生産される。
【0021】
本発明の成型物の生産に用いられる未改質連続気泡発泡体(a)を、通常、本発明の目的の未改質発泡体(a)と呼ぶ。本発明の方法の実施にあたり用いられる未改質連続気泡発泡体(a)については、以下に詳細に述べる。
【0022】
本発明の製造方法の実施のために出発原料として用いられる連続気泡発泡体(a)は、
特に、全気孔のうち、少なくとも50%が、好ましくは60〜100%、特に好ましくは65〜99.9%が連通している発泡体である。なお、この値はDIN−ISO−4590に準じて求めたものである。
【0023】
出発原料として用いられる発泡体(a)は、好ましくは剛直な発泡体であり、本発明の目的のためには、これらの発泡体の、DIN53577に準じて求めた圧縮硬度が、40%圧縮で1kPa以上である。
【0024】
出発原料として用いられる発泡体(a)の密度は、3〜500kg/m3の範囲、好ましくは6〜300kg/m3、特に好ましくは7〜300kg/m3の範囲である。
【0025】
出発原料として用いられる連続気泡発泡体(a)の、切片の顕微鏡写真を観察して求めた平均空孔径(個数平均)は、1μm〜1mmの範囲、好ましくは50〜500μmの範囲である。
【0026】
本発明のある実施様態においては、出発原料として用いられる連続気泡発泡体(a)が、1m2当たり、孔径が最大20mmである空孔を最大の20個、好ましくは最大15個、特に好ましくは最大10個有している。他の空孔の径は通常、もっと小さい。
【0027】
本発明のある実施様態においては、出発原料として用いられる連続気泡発泡体(a)の、DIN66131に準じて求めたBET表面積が、0.1〜50m2/gの範囲、好ましくは0.5〜20m2/gの範囲にある。
【0028】
本発明のある実施様態においては、用いる出発原料が、合成有機材料からなる、好ましくはポリウレタン発泡体またはメラミン発泡体からなる連続気泡発泡体(a)を含んでいる。
【0029】
本発明の方法の実施のための、出発原料として特に好適なポリウレタン発泡体は公知である。これらの生産は、例えば次の反応による。
I)一種以上のポリイソシアネート、すなわち2個以上のイソシアネート基を持つ化合物と、
II)少なくとも2種のイソシアネート反応性基を有する一種以上の化合物とを、
III)一種以上の発泡剤と、
IV)一種以上の開始剤と、
V)一種以上の触媒の存在下で、また
VI)開孔剤として知られる材料の存在下で反応させる。
【0030】
ここで、開始剤IV)と発泡剤III)は、同一であってもよい。
【0031】
好適なポリイソシアネートI)の例は、2個以上のイソシアネート基を有する公知の脂肪族化合物、脂環式化合物、または芳香脂肪族化合物であり、好ましくは芳香族多官能性化合物である。
【0032】
具体的な例としては、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネートなどのC4〜C12−アルキレンジイソシアネート;シクロヘキサン1,3−ジイソシアネートやシクロヘキサン1,4−ジイソシアネートなどの脂環式のジイソシアネート、およびその異性体の所望の混合物、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、好ましくは、トリレン2,4−および2,6−ジイソシアネート芳香族などのジ−およびポリ−イソシアネート、およびその異性体の混合物、ジフェニルメタンの4,4’−、2,4’−、および2,2’−ジイソシアネートおよびその異性体混合物、ジフェニルメタンの4,4’−と2,4’−ジイソシアネートの混合物があげられ、他の例としては、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート類、ジフェニルメタンの、4,4’−、2,4’−、および2,2’−ジイソシアネートの混合物、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(粗製MDI)の混合物、および粗製MDIとトリレンジイソシアネートの混合物があげられる。これらのポリイソシアネートは、個別に用いてもよいし、混合物の形で用いてもよい。
【0033】
少なくとも2種のイソシアネート反応性基を有する化合物II)の例としては、特にジオール類やポリオール類があげられ、これらは特に公知の方法で製造される。具体的には、一種以上のアルキレンオキシド、具体的にはエチレンオキシドや、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドのアルカリ金属水酸化物触媒重合で製造されるポリエーテルポリオール類(ポリアルキレングリコール類)があげられる。
【0034】
極めて好ましい化合物II)は、エチレングリコールや、プロピレングリコール、ブチレングリコール.1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコールである。
【0035】
好適な発泡剤III)の例としては、水、不活性ガス、特に二酸化炭素、または、
物理発泡剤として知られるものである。物理発泡剤は、出発成分に対して不活性であり、室温でほぼ液体であり、ウレタン反応の条件下では気化する化合物である。上記化合物類の沸点は、好ましくは110℃未満、特に80℃未満である。物理発泡剤としては、出発成分I)やII)に添加された、あるいはこれらに溶解した不活性ガスも含まれ、その例としては、二酸化炭素や、窒素、希ガスがあげられる。
【0036】
好適な室温で液体の化合物は、主に、炭素原子が少なくとも4であるアルカン及び/又はシクロアルカン類、ジアルキルエーテル類、エステル類、ケトン類、アセタール類、炭素原子が1〜8であるフルオロアルカン類、アルキル鎖の炭素原子数が1〜3であるテトラアルキルシラン類、特にテトラメチルシランからなる群から選ばれる基である。
【0037】
具体例としては、プロパンや、n−ブタン、イソブタン、シクロブタン、n−、iso−、およびシクロペンタン、シクロヘキサン、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、ギ酸メチル、アセトンがあげられ、また、大気中で分解可能でオゾン層に有害でないフッ化アルカン、具体的には、トリフルオロメタンや、ジフルオロメタン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,1−トリフルオロ−2,2,2−クロロセン、1,1,2−トリフルオロ−1,2,2−トリクロロエタン、ジフルオロエタン、ヘプタフルオロプロパンがあげられる。上記の物理発泡剤は、単独で使用しても、相互に好みどおりに混合して使用してもよい。
【0038】
EP−A0351614は、連続気泡を発生させるのにパーフルオロアルカンを使用することを開示している。
【0039】
好適な開始剤IV)の例としては、水、有機ジカルボン酸類、脂肪族および芳香族の、場合によりN−モノ−、N,N−、およびN,N’−ジアルキル−二置換である、アルキル基の炭素原子数が1〜4であるジアミン類、えば場合によりN−モノ−置換およびN,N−ジアルキル置換のエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、1,3−プロピレンジアミン、1,3−または1,4−ブチレンジアミン、1,2−、1,3−、1,4−、1,5−、および1,6−ヘキサメチレンジアミン、アニリン、フェニレンジアミン類、2,3−、2,4−、3,4−、および2,6−トリレンジアミン、さらに4,4’−、2,4’−、および2,2’−ジアミノジフェニルメタンがあげられる。
【0040】
好適な触媒V)は、ポリウレタン化学で公知の触媒であり、その例としては、トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N,N’−ジメチルピペラジン、2−(ジメチルアミノエトキシ)エタノール、ジアザビシクロ−[2.2.2]−オクタン等の第三級アミン類や、特に有機金属化合物類、具体的には、チタン酸エステル類、第二鉄アセチルアセトネートなどの鉄化合物類、例えば酢酸第一スズ、オクタン酸第一スズ、ラウリン酸第一スズなどのスズ化合物類、または脂肪族のカルボン酸のジブチル錫塩(例えばジブチル錫ジアセテートやジブチル錫ジラウレート)などのジアルキル誘導体があげられる。
【0041】
開孔剤VI)の具体例としては、高極性のポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコール)で、鎖中のエチレンオキシド含量の高いもの、少なくとも50重量%を有するものがあげられる。これらは、発泡加工中に分離して表面張力に影響を与えて、開孔作用を発揮する。
【0042】
成分I)〜VI)の量的な比率は、従来のポリウレタン化学におけるものと同じである。
【0043】
本発明の製造方法の実施のために、出発原料として特に好適なメラミン発泡体は公知である。これらは、例えば、
VII)メラミン−ホルムアルデヒド前縮合物(ホルムアルデヒド以外のカルボニル化合物、例えばアルデヒドを分子内に縮合物として有していてもよい)と
VIII)一種以上の発泡剤と、
IX)一種以上の乳化剤と、
X)一種以上の硬化剤との発泡により製造される。
【0044】
メラミン−ホルムアルデヒド前縮合物VII)は、未改質材料であってもよいし、改質材料であってもよい。例えばメラミンに対して、最大20モル%が他の公知の熱硬化性成分で置き換えられていてもよく、具体的には、アルキル置換メラミンや、尿素、ウレタン、カルボキサミド、ジシアンジアミド、グアニジン、スルフリルアミド、スルホンアミド、脂肪族アミン、フェノール、フェノール誘導体で置き換わっていてもよい。改質メラミン−ホルムアルデヒド前縮合物は、例えば、ホルムアルデヒドとともに他のカルボニル化合物として、アセトアルデヒドや、トリメチロールアセトアルデヒド、アクロレイン、フルフラール、グリオキサール、フタルアルデヒド、テレフタルアルデヒドを含んでいてもよい。
【0045】
用いる発泡剤VIII)が、III)に記載のものと同じ化合物であってもよい。
【0046】
用いる乳化剤IX)は、既存のノニオン性、アニオン性、カチオン性、またはベタイン型の界面活性剤であってもよく、特にC12〜C30−アルキルスルホネート類、好ましくはC12〜C18−アルキルスルホネート類や、ポリエトキシ化C10〜C20−アルキルアルコール類、特に式R6−O(CH2−CH2−O)y−Hで表されるもの(式中、R6は、C10〜C20−アルキルから選ばれ、yは、例えば5〜100の範囲のすべての数字である)であってもよい。
【0047】
使用可能な硬化剤X)としては、特に、酸性化合物、具体的には、硫酸やリン酸などの無機ブレンステッド酸、酢酸やギ酸などの有機ブレンステッド酸、ルイス酸、潜在酸と呼ばれる化合物があげられる。
【0048】
EP−A0017672には、好適なメラミン発泡体が掲載されている。
【0049】
もちろん、出発原料として用いられる発泡体(a)は、発泡体化学で従来より使用されている添加物、例えば酸化防止剤や、難燃剤、充填材、顔料や染料などの着色剤、殺菌剤を含んでいる。
【0050】
【化1】

【0051】
また、本発明は、少なくとも一種のカチオン性ポリマー(以下、カチオン性ポリマー(b)と称する)から出発して実施される。
【0052】
本発明において、カチオン性ポリマー(b)とは、ポリマー分子当たり、平均して(個数平均)少なくとも一個の、ポリマー分子に共有結合した基とpHが0〜6の範囲、好ましくは最高5の範囲で正電荷を持つモノマーを重合単位の形で有する、天然の、好ましくは合成のホモポリマーおよびコポリマーを意味するものとする。例えば、第四級のホスホニウム塩、および第四級の、好ましくは第三級の、第二級の、特に第1級のアミノ基があげられる。
【0053】
本発明のある実施様態においては、カチオン性ポリマー(b)の平均分子量Mwは、500〜10000000g/molの範囲、好ましくは10000〜2000000g/molにある。
【0054】
本発明のある好ましい実施様態においては、カチオン性ポリマー(b)は、ポリエチレンイミン類およびポリビニルアミン類から選ばれる。
【0055】
本発明のある実施様態においては、カチオン性ポリマー、特にポリビニルアミンは、重合単位の形で取り込まれた、一種以上の他の無電荷コモノマーを含んでいてもよい。その例としては、C1〜C10−アルキル(メタ)アクリレート、特にアクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、またはアクリル酸−2−エチルヘキシルがあげられる。
【0056】
本発明のもう一つの実施様態においては、カチオン性ポリマー(b)が、重合単位の形で取り込まれた、一種以上の、他のポリマー分子に共有結合したpHが0〜6の範囲、好ましくは最高5の範囲で正電荷を有する基をもつコモノマーを含んでいてもよい。その例としては、N−ビニルイミダゾール、ジアリルジメチルアンモニウムなどのジアリルジC1〜C4−アルキルアンモニウム、2−(N,N−ジメチル)エチル(メタ)アクリルアミドなどのコ−N,N−ジ−C1〜C4−アルキル−C2〜C4−アルキル(メタ)アクリルアミド、または2−(N,N−ジメチル)エチル(メタ)アクリレートなどのω−N,N−ジ−C1〜C4−アルキル−C2〜C4−アルキル(メタ)アクリレートがあげられる。いずれの場合も、中和されて、例えばハロゲン化物、特に塩化物、または硫酸水素塩または硫酸塩となったものである。
【0057】
本発明の他の実施様態においては、ポリエチレンイミンとポリビニルアミンが、それぞれホモポリマーである。
【0058】
分子あたり少なくとも一個の第三級、第二級または第1級のアミノ基を持つ場合、カチオン性ポリマー(b)は、酸で中和された形で、特に有機酸または鉱酸で中和された形で存在していてもよい。カチオン性ポリマー(b)が、分子当たり平均して一個以上の第三級、第二級または第1級アミノ基を持つ場合、カチオン性ポリマー(b)は、部分的に、または好ましくは完全に酸で中和されて、特に有機酸または鉱酸で中和されていてもよい。好適な有機酸としては、例えば、α−またはβ−ナフタレンスルホン酸などのスルホン酸、酢酸やステアリン酸、安息香酸、テレフタル酸などの脂肪族または芳香族カルボン酸、硫酸や塩酸などの鉱酸があげられる。
【0059】
カチオン性ポリマー(b)は、アルキレンオキシド、特にエチレンオキシドで、親水性を示すように改質されていてもよい。第三級アミノ基あたり、1〜20molのアルキレンオキシド、特にエチレンオキシドを、特に好ましくは1〜4molのエチレンオキシドを重合させることができる。第二級アミノ基には、1〜40molのアルキレンオキシド、特にエチレンオキシド、特に好ましくは2〜30molのエチレンオキシドを重合させることができる。第1級アミノ基には、1〜60molのアルキレンオキシド、特にエチレンオキシド、特に好ましくは2〜40molのエチレンオキシドを重合させることができる。
【0060】
本発明のある実施様態においては、工程(b)で用いる水性配合物は、1〜60重量%の範囲の、好ましくは10〜40重量%の量のカチオン性ポリマー(b)を含んでいる。
【0061】
カチオン性ポリマー(b)を未改質発泡体(a)に接触させるには、いろいろな方法が考えられる。
【0062】
この接触は、例えば、未改質発泡体(a)のカチオン性ポリマー(b)の水性配合物中への浸漬、未改質発泡体(a)のカチオン性ポリマー(b)の水性配合物での含浸、未改質発泡体(a)のカチオン性ポリマー(b)の水性配合物での飽和、カチオン性ポリマー(b)の水性配合物の未改質発泡体(a)の一部または全部への噴霧塗布、またはカチオン性ポリマー(b)の水性配合物の未改質発泡体(a)上へのカレンダ加工により行うことができる。
【0063】
本発明のもう一つの実施様態においては、接触方法として、カチオン性ポリマー(b)の水性配合物を未改質発泡体(a)上に、ドクターナイフを使用して塗布する。飽和および噴射塗布の後、この材料を少なくとも2個のロール、例えば回転ロールにはさんで絞り、配合物を一様に分布させ、所望濃度に設定することができる。
【0064】
本発明のある実施様態においては、接触終了後、例えば0.1秒〜24時間、好ましくは0.5秒〜10時間、特に好ましくは1秒から6時間の範囲の時間、未改質発泡体(a)とカチオン性ポリマー(b)の水性配合物とを相互に作用させることができる。
【0065】
本発明のある実施様態においては、未改質発泡体(a)とカチオン性ポリマー(b)の水性配合物とは、0℃〜250℃の範囲、好ましくは5℃〜190℃、特に好ましくは10〜165℃の範囲の温度で接触させられる。
【0066】
本発明のある実施様態においては、未改質発泡体(a)とカチオン性ポリマー(b)の水性配合物とは、まず0℃〜50℃の範囲の温度で接触させられ、次いで加熱により、例えば60℃〜250℃、好ましくは65℃〜180℃の範囲に温度変更される。
【0067】
本発明のもう一つの実施様態においては、未改質発泡体(a)とカチオン性ポリマー(b)の水性配合物とは、まず0℃〜120℃の範囲で接触させられ、次いで、過熱により例えば30℃〜250℃、好ましくは125℃〜200℃の範囲に温度変更される。
【0068】
本発明のある好ましい実施様態においては、出発原料と未改質発泡体(a)とカチオン性ポリマー(b)の水性配合物の量が、本発明の生成物の密度が該当する未改質発泡体(a)より明らかに高くなるように選択される。
【0069】
本発明のある実施様態においては、未改質発泡体(a)のカチオン性ポリマー(b)と水性配合物の接触の間の操作を、大気圧で実施する。本発明のもう一つの実施様態においては、本発明の方法の実施のために操作を、加圧下で、例えば1.1バール〜10バールの範囲の圧力で実施する。本発明のもう一つの実施様態においては、本発明の方法の実施のための操作を、減圧下で、例えば0.1ミリバール〜900ミリバールの範囲、好ましくは最高100ミリバールで実施する。
【0070】
本発明のある実施様態においては、未改質発泡体(a)は、未改質発泡体(a)は、未改質発泡体(a)上のすべての面上でカチオン性ポリマー(b)が最高に均一となるように、カチオン性ポリマー(b)の水性配合物に接触させられる。好適な方法は、高効率の塗布方法である。具体的な例としては、完全飽和浸漬や、流下塗布、ドラム塗布、噴霧塗布、例えば圧縮空気吹き付け、エアレス吹き付け、さらには、高速回転噴霧、塗装、ドクター塗布、カレンダー塗布、散布、ローラー塗布、ワイピング、スピンコーティング、および遠心塗布があげられる。
【0071】
本発明のもう一つの実施様態においては、カチオン性ポリマー(b)の水性配合物が未改質発泡体(a)上で不均一に分布するように、未改質発泡体(a)がカチオン性ポリマー(b)の水性配合物に接触させられる。本発明のある実施様態においては、例えば、カチオン性ポリマー(b)の水性配合物を、吹き付けにより不均一に未改質発泡体(a)に塗布し、この材料を次いで相互作用させる。本発明のもう一つの実施様態においては、未改質発泡体(a)は、カチオン性ポリマー(b)の水性配合物で不完全飽和状態とする。本発明のもう一つの実施様態においては、未改質発泡体(a)の一部に、カチオン性ポリマー(b)の水性配合物を一度接触させ、未改質発泡体(a)の他の部分を少なくとも2回接触させる。もう一つの実施様態においては、未改質の発泡体(a)をカチオン性ポリマー(b)の水性配合物で完全に飽和させ、その最上層を、例えば水で回転洗浄する。この材料は次いで、相互作用させる。この結果、未改質発泡体(a)の内部は塗布され、外表面が非塗布状態となる。
【0072】
カチオン性ポリマー(b)の水性配合物の未改質発泡体(a)上での分布が不均一となるように未改質発泡体(a)をカチオン性ポリマー(b)の水性配合物で接触させると、例えばこの材料を2分間以上相互作用させると、カチオン性ポリマー(b)の水性配合物と接触するのが未改質発泡体(a)の最外層だけではなくなる。
【0073】
カチオン性ポリマー(b)の水性配合物の未改質発泡体(a)上での分布が不均一となるように未改質発泡体(a)をカチオン性ポリマー(b)の水性配合物に接触させる場合、本発明によれば、改質発泡体が、その断面において不均一な機械的性質を持つことが可能となる。例えば、本発明によれば、比較的多量のカチオン性ポリマー(b)の水性配合物に接触させられた位置は、カチオン性ポリマー(b)の水性配合物の量が少なかった位置より、柔らかくなる。
【0074】
本発明のある実施様態においては、カチオン性ポリマー(b)の水性配合物を不均一分布させるのに、多孔ロールまたは多孔金属シート上でのカレンダ加工を用いることができる。少なくとも一枚の多孔ロールまたは少なくとも一枚の多孔金属シート上で吸引除去用の真空を用いることにより、カチオン性ポリマー(b)の水性配合物の分布をより不均一とすることができる。
【0075】
本発明のある具体的な実施様態においては、材料の接触の後、二個の逆向きに回転するロール間で絞ることで、含液率が一定に、例えば未改質発泡体(a)の重量に対して20〜800重量%に設定される。カチオン性ポリマー(b)の配合物中の濃度は、1〜99重量%である。
【0076】
本発明のある実施様態においては、材料の接触の後、例えば一種以上の溶媒で、好ましくは水で洗浄することができる。
【0077】
本発明のある実施様態においては、材料の接触後、また適当なら洗浄後、例えば機械的に乾燥を行ってもよい。具体的には、絞りまたはカレンダ操作により、特に二個のローラー間での絞りにより、あるいは熱的に、例えば電子レンジ、または熱風ブロワー、または乾燥オーブン中で、特に真空乾燥オーブン中で乾燥を行ってもよい。その際、乾燥オーブンは、例えば、30〜150℃の範囲の温度で運転されていてもよい。真空乾燥オーブンの場合、「真空」とは0.1〜850mbarの範囲の圧力を意味する。
【0078】
いずれの乾燥工程をとるとしても、その処理時間は、本発明の目的の相互作用時間から除かれるものとする。
【0079】
本発明のある実施様態においては、熱乾燥は、20℃〜150℃の範囲の温度で、例えば10秒間〜20時間、加熱することで実施できる。
【0080】
本発明のある実施様態においては、未改質発泡体(a)がカチオン性ポリマー(b)の水溶液に接触させられ、また適当なら、pHが3.0〜7.5の範囲の触媒(d)に接触させられる。なお、この所望pHは、適当なら、酸、アルカリ金属水酸化物の水溶液、または緩衝剤の添加により調整される。緩衝剤の使用が好ましい。
【0081】
本発明のある実施様態においては、少なくとも一種の未改質発泡体(a)が、カチオン性ポリマー(b)の水性配合物だけでなく、適当なら触媒(d)と、またさらに以下の化合物から選ばれる少なくとも一種の添加物(e)と接触させられる。
【0082】
銀粒子や、フェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、グリオキサール、チアジアジン類、2,4−ジクロロベンジルアルコール類なとのモノマー状またはポリマー状の有機殺菌剤などの殺菌剤、好ましくは、MIT(2−メチル−3(2H)−イソチアゾロン)、CMIT(5−クロロ−2−メチル−3(2H)−イソチアゾロン)、CIT(5−クロロ−3(2H)−イソチアゾロン)、BIT(1,2−ベンゾイソチアゾール−3(2H)−オン)などのイソチアゾロン誘導体類、およびN,N−ジ−C1〜C10−アルキル−ω−アミノ−C2〜C4−アルキル(メタ)アクリレートのコポリマー、特にエチレンとN,N−ジメチル−2−アミノエチル(メタ)アクリレートのコポリマーなどの殺菌剤;活性炭、染料や顔料などの着色剤、香水などの芳香剤、サイクロデキストリンなどの脱臭剤。
【0083】
例えば、これは、少なくとも一種の未改質発泡体(a)をカチオン性ポリマー(b)の水性配合物と接触させ、いろいろな操作において、または好ましくは同時に少なくとも一種の添加物(e)に接触させて行われる。
【0084】
本発明のある実施様態においては、一種以上の添加物(d)が、例えば(b)に対して合計0〜50重量%、好ましくは0.001〜30重量%、特に好ましくは0.01〜25重量%、極めて好ましくは0.1〜20重量%の量で、カチオン性ポリマー(b)の水性配合物に添加される。
【0085】
本発明で用いられる成型物の生産のためには、カチオン性ポリマー(b)の水性配合物が、適当なら少なくとも一種の添加物(d)に未改質発泡体(a)と相互作用を持たせた後、さらに一種以上の機械的圧縮を行うこともできる。この機械的圧縮は、回分的に行っても連続的に行ってもよく、例えばプレスやプラテンで回分的に、または例えばロールやカレンダーで連続的に行ってよい。もしカレンダ加工が望ましい場合、一回以上のカレンダーがけも可能で、例えば1〜12回のカレンダーがけ、好ましくは5から10回のカレンダーがけが可能である。
【0086】
本発明のある実施様態においては、圧縮度が1:1.2〜1:12の範囲、好ましくは1:2.5〜1:5の範囲となるまで、機械的圧縮を行うことができる。
【0087】
本発明のある実施様態においては、この材料は、乾燥前にカレンダー加工される。
【0088】
本発明のある実施様態の方法では、カチオン性ポリマー(b)の水性配合物を、適当なら触媒を、適当なら少なくとも一種の添加物(d)を材料と接触させて材料に相互作用をさせた後、この生成物を次いで乾燥し、水で加湿し、機械力をもちいて圧縮、例えばカレンダー加工する。
【0089】
本発明のある実施様態の方法では、カチオン性ポリマー(b)の水性配合物を、適当なら少なくとも一種の添加物(d)を材料と接触させて未修飾発泡体(a)に相互作用をさせた後、この材料を熱固定してもよく、具体的には機械的圧縮の前または後に、あるいは二回の機械的圧縮工程の間に熱固定してもよい。例えば、熱固定は120℃〜250℃の温度で、5秒間〜5分間実施される。好適な装置の例としては、電子レンジ、熱風ブロワー式プラテンプレス、電熱または火炎式加熱乾燥オーブン、加熱ロールミル、または連続運転乾燥装置があげられる。
【0090】
上述のように、熱固定前に乾燥を行ってもよい。
【0091】
本発明のある実施様態の方法では、カチオン性ポリマー(b)の水性配合物を、適当なら少なくとも一種の添加物(d)を材料と接触させて未修飾発泡体(a)に相互作用をさせた後、この材料を熱固定でき、具体的には機械的圧縮の前または後に、あるいは二回の機械的圧縮工程の間に熱固定できる。例えば、熱固定は、150℃〜200℃の温度で、30秒間〜5分間行われる。好適な装置は乾燥オーブンである。
【0092】
ある具体的な実施様態においては、この機械的圧縮と熱固定を同時に行う、例えば、材料に相互作用をさせて、適当なら乾燥させた後、この発泡体を、一回以上熱ロールまたはカレンダーにかけるか、熱プラテン間で一回以上プレスする。もちろん、この材料を何度も繰返しカレンダーがけし、この過程で、冷ロールを用いて一回以上、熱ロールを用いて一回以上圧縮することもできる。本発明において、熱ロールの「熱」は、100〜250℃の範囲、好ましくは120〜200℃の範囲の温度をいう。
【0093】
少なくとも一回の成形工程(c)が実施される。少なくとも一種のカチオン性ポリマー(b)の水性配合物との接触と成形工程(c)とは、どのような順序で行ってもよい。カチオン性ポリマー(b)の水性配合物の接触をまず行い、ついで成形工程(c)を実施することが好ましい。
【0094】
本発明のある実施様態においては、成形工程(c)は、機械的に、例えば削り、切断、または粗砕により行われ、好ましくは、相当する大きな部品の開裂、打ち抜き、または切断により行われる。
【0095】
本発明のもう一つの実施様態においては、未改質発泡体(a)が、最初に規定した寸法をもつ成型物として生産され、発泡加工を、特に金型中で行なって未改質発泡体(a)を得て、これを少なくとも一種のカチオン性ポリマー(b)の水性配合物に接触させる。
【0096】
本発明は、さらに上述の方法で得られる、以下に本発明の成型物と称する成型物を提供する。
【0097】
本発明のある実施様態においては、本発明の成型物は、DIN−ISO−4590法で測定して、全気孔の少なくとも50%、60〜100%、特に好ましくは65〜99.8%が連通している発泡体、即ち連続気泡発泡体である。
【0098】
本発明の成型物の密度は、5〜1000kg/m3の範囲、好ましくは6〜500kg/m3、特に好ましくは7〜300kg/m3の範囲にある。本発明の発泡体の密度は、第一にはカチオン性ポリマー(b)での被覆の程度、適当なら触媒(d)での、適当なら少なくとも一種の添加物(d)での被覆の程度に、第二には出発原料の圧縮度に影響を受ける。密度と硬度または柔軟性は、被覆度と圧縮度とをうまく選択することで、望みどおり設定できる。
【0099】
本発明の成型物は、好ましくは、(b)からなる固体を、該当する未改質発泡体(a)の重量に対して、0.1〜95重量%の範囲の量で、好ましくは5〜30重量%、特に好ましくは10〜25重量%の量で含んでいる。
【0100】
本発明のある実施様態においては、連続気泡発泡体(a)は、合成有機発泡体からなる発泡体を含み、好ましくはポリウレタン発泡体またはメラミン発泡体である。
【0101】
本発明のある実施様態においては、カチオン性ポリマー(b)は、ポリビニルアミン類およびポリエチレンイミン類から選ばれる。
本発明の成型物は、例えばダスト結合材として使用できる。
【0102】
本発明の成型物は、特に集塵機(vacuum cleaner)中で、特にいわゆる無袋集塵機中で、例えばダスト結合材として使用することができる。
【0103】
本発明の目的において、ダスト結合材は、集塵機中に吸い込まれた粗いダストと好ましくはさらに細かいダストとに、部分的に、あるいは好ましくは大部分、例えば50重量%を超える比率で結合する。
【0104】
本発明の成型物の、ダスト結合材としての使用方法の一例は、次の通りである:
集塵機、特に無袋集塵機は、空気流中にダスト捕集容器を備えている。このダスト捕集容器は、例えばサイクロンの形をとっている。
【0105】
本発明のある実施様態においては、複数の成型物を、ダスト捕集容器中に直接供給する。この材料は、集塵機中にまたは吸引用の付属品に一体化された一個以上の供給装置を用いて供給される。あるいは、この材料が、ダスト捕集容器用の受器つきの外部装置の形をとっていてもよい。したがって、集塵機に他の可動部品の必要がなくなる。この一個以上の供給装置は、例えば、ベロ状、ピストン、ネジ、またはノズルの形をとっていてもよい。ダスト結合材は、直接添加しても、バルブを経由して添加してもよい。
【0106】
もう一つの実施様態においては、本発明の成型物は、直接的にダスト捕集容器に供給され、このダスト捕集容器と成型物とが一緒に集塵機に据え付けられる。
【0107】
本発明のもう一つの実施様態においては、成型物が、自動的にダスト捕集容器に供給される。この過程で、特定の量のダスト結合材が連続的に供給され、連続的に適当な量が追加供給される。この種の自動供給を、ダスト量の関数として行ってもよい。
【0108】
ダスト捕集容器は、集塵機のタイプの関数として、どのような形状・寸法をとっていてもよい。したがって、本発明の目的においては、ダスト捕集容器は、立方体、円柱、円錐状のいずれの形状であっても、不規則な形状であってもよい。好適な体積の例は、0.1dm3〜2dm3であるが、最大10dm3までの大体積も可能である。
【0109】
ダスト捕集容器の形状は、例えば、バッグ状、またはボックス状、またはサイクロン(遠心分離機)状であってもよい。ダスト捕集容器の充填レベルは、例えば電子的あるいは機械的に、例えばセンサーを用いて測定することができる。
【0110】
もう一つの実施様態においては、特に無袋集塵機では、ダスト捕集容器の形状は、ボックス型またはサイクロン状である。
本発明のある実施様態においては、このダスト捕集容器が、混合用の装置、例えば攪拌器のような機械装置、またはダスト捕集容器を駆動、例えば振動または回転させるモーターを備えている。本発明のもう一つの実施様態においては、このダスト捕集容器が混合装置を備えていない。
【0111】
本発明のもう一つの具体的な実施様態においては、本発明の成型物が、シート状、例えば不織布層、マット、または布帛であり、空気流が集塵機を出て環境中に放出される前に、集塵機中で空気流の清浄化のためにフィルターとして用いられる。本発明のシート状成型物の厚みは、0.5〜1.5cmの範囲、好ましくは0.5〜1.5cmである。本発明のシート状成型物の長さと幅は、好ましくは厚みよりはるかに大きく、例えばそれぞれ5倍、好ましくは少なくとも10倍大きい。長さと幅は、同じであっても異なっていてもよい。
【0112】
本発明のある実施様態においては、本発明のシート状成型物の厚みは、0.3〜2cm、好ましくは0.5〜1.5cmの範囲であり、その長さと幅は、それぞれ150〜250mmの範囲、好ましくは170〜230mmの範囲である。
【0113】
本発明のシート状成型物の表面は、特にさらに変更する必要もないが、ひだ状としてもよい。
【0114】
本発明のシート状成型物を、公知の方法で、例えばフィルターフレームを用いて、あるいは空気透過性または空気不透過性のダスト捕集容器を用いて、本発明の集塵機中で固定することができる。
【0115】
本発明のシート状成型物は、本発明の集塵機中で、例えばディープベッドフィルターまたは平フィルターとして、あるいは、(空孔径に応じて)前フィルタまたは最終フィルターとして使用できる。
【0116】
本発明のある実施様態においては、ダスト捕集容器に本発明の成型物を、10〜60体積%、好ましくは25〜50体積%の量で充填する。
【0117】
本発明のある実施様態においては、本発明の成型物は、自重に対して3000重量%のダストと、例えば500〜3000重量%のダストと結合できる。ダスト結合能力は、例えば重量的に測定できる。
【0118】
本発明はさらに、少なくとも一種の本発明の成型物を含む集塵機を、特に無袋集塵機を提供する。本発明はまた、少なくとも一種の本発明のシート状成型物を含む集塵機、特に無袋集塵機を提供する。
【0119】
少なくとも一種の本発明の成型物を含む無袋集塵機(以下に本発明の無袋集塵機と称する)が好ましい。本発明の無袋集塵機の作動時に、一個以上の本発明の成型物を、サイクロン中でダストとともに浮遊させる。この用途では、本発明の成型物は、実用的には、特にアレルギーを引き起こしうる微細ダストの、ダスト結合材(ダスト捕集剤)として作用する。ダストと本発明の成型物がともに浮遊させられるため、ダスト粒子が本発明の成型物に付着し、その自由な動きをなくし、サイクロンのごみを取り出すときに、ダストの雲を発生させなくする。飛散する代わりに、ダストは本発明の成型物と共に床に落下する。この用途で用いられているのは、主に、本発明の成型物の表面特性(吸着)である。この場合は、その優れた濾過性能は二次的である。
【0120】
本発明の成型物を、微細ダストフィルター中で、あるいは微細ダストフィルターとして、その使用期間を延長するのに用いることもできる。同じことが、集塵袋にもいえる。
【0121】
本発明はまた、成型物の製造方法(以下、本発明の製造方法と称す)であって、
(a)密度が5〜500kg/m3の範囲にあり、平均空孔径が1μm〜1mmの範囲にある連続気泡発泡体を提供し、
(b)少なくとも一種のカチオン性ポリマーの水性配合物に接触させ、
(c)その成型物の長さ−幅−高さの寸法が常に1mm〜5cm、好ましくは最大3cmの範囲となるように成形工程を実施し、
少なくとも一種のカチオン性ポリマーの水性配合物との接触(b)と成形工程(c)とをどのような順序で行ってもよいことを特徴とする製造方法を提供する。
【0122】
本発明はまた、厚みが0.3〜2cm、好ましくは0.5〜1.5cmの範囲であるシート状成型物の製造方法(以下、「本発明の製造方法」を称す)であって、
(a)密度が5〜500kg/m3の範囲にあり、平均空孔径が1μm〜1mmの範囲にある連続気泡発泡体を提供し、
(b)少なくとも一種のカチオン性ポリマーの水性配合物に接触させ、
(c)成形工程を実施し、
少なくとも一種のカチオン性ポリマーの水性配合物との接触(b)と成形工程(c)とをどのような順序で行ってもよいことを特徴とする製造方法を提供する。
【0123】
本発明の製造方法の詳細は、上述の通りである。
【0124】
本発明はまた、本発明の集塵機を用いて表面を、特に床の表面を掃除する方法(以下、本発明の掃除浄方法と称す)を提供する。本発明の掃除浄方法を実施するに当たり、公知の方法を使用できる。本発明の一個以上の集塵機を使用することで、非常にきれいな排気が得られ、細かなダストは本の少量巻き上げられるだけである。
【0125】
以下、実施例をもって発明を説明する。粒子径が<200μmの範囲であり、その50%値が<30μmである「粉砕スレート」鉱物試験ダストを、各実施例の試験に用いた。しかしながら他のダストも使用し、その例としては、ハウスダスト、庭園のダスト、砂、小麦粉(厨房ダスト)、花粉、カーボンブラックがあげられる。
【0126】
実施例
1.1未改質発泡体(a)の生産
開放容器中で、噴霧乾燥したメラミン/ホルムアルデヒド前縮合物(モル比1:3、モル質量約500g/mol)を3重量%のギ酸と1.5%のアルキル基の炭素原子数が12〜18であるアルキルスルホン酸混合物のナトリウム塩(K30乳化剤、バイエル社)とを含む水溶液に添加した。なお、上記の百分率は、メラミン/ホルムアルデヒド前縮合物に対するものである。メラミン/ホルムアルデヒド前縮合物と水とからなる全混合物中のメラミン/ホルムアルデヒド前縮合物の濃度は、74重量%であった。このように得られた混合物を激しく攪拌し、次いで20重量%のn−ペンタンを添加した。十分な時間(約3分)攪拌して、見かけ上均一な分散液を得た。これを、ドクターナイフを用いて、裏打ち材であるテフロン(登録商標)処理ガラス布上に塗布し、内部空気温度が150℃の乾燥オーブン中で発泡、硬化させた。発泡体の塊の中の温度は、n−ペンタンの沸点であり、これらの条件下では37.0℃である。7〜8分後、発泡体の膨張高が最高に達した。この発泡体を、さらに10分間乾燥オーブンで150℃に維持し、次いで、
180℃で30分間熱処理した。この結果、未改質発泡体(a.1)を得た。
【0127】
実施例1.1の未改質発泡体(a.1)について、次の特性値を得た。
99.6%連続気泡、DIN−ISO−4590、
圧縮硬度(40%)1.3kPa、DIN53577、
密度7.6kg/m3、EN−ISO845、
平均空孔径 210μm、切片の顕微鏡写真観察
BET表面積6.4m2/g、DIN66131、
音吸収93%、DIN52215、
音吸収>0.9、DIN52212.
【0128】
1.2改質発泡体の生産
実施例1.1の未改質発泡体を切断して、寸法が9cm−4cm−4cmである発泡体ブロックを得た。これらの発泡体ブロックの重量は、1.19〜1.34gの範囲であった。これらを、ポリビニルアミン(b1.1)〜(b1.3)またはポリエチレンイミン(b2.1)〜(b2.3)の5重量%水溶液に接触させた。具体的には、いずれの場合も、発泡体ブロックをポリマー(b1.1)〜(b1.3)または(b2.1)〜(b2.3)の水溶液(表1)に完全に浸漬して、このポリマー水溶液中に10秒間維持した。
これらの発泡体ブロックを相当する水性ポリマー溶液から分離し、直径が150mmで、隙間が8mmで、回転速度が32rpmである二個の逆向きに回転するロール間を通過させて過剰な水性ポリマー溶液を絞り除いた。
【0129】
この材料を次いで60℃の乾燥オーブン10時間乾燥させた。このようにして、本発明の改質発泡体S1.1〜S1.3および同S2.1〜S2.3を得た(表2)。
【0130】
【表1】

【0131】
表1に示すカチオン性ポリマーは、いずれも完全中和されている。(b1.1)〜(b1.3)は、95モル%加水分解のポリビニルアミン(ポリ−N−ビニルホルムアミドから加水分解)からなる。
【0132】
【表2】

【0133】
II.本発明の成型物の生産
金槌とパンチを用いて、厚みが3cmのマット状のS2.3発泡体をパンチして、本発明の成型物、直径が5mmで高さが1cmの円柱(F.1)と直径が10mmで高さが3cmの円柱(F.2)を得た。
【0134】
III.ダスト結合材の使用
IIに記載の本発明の成型物と40gの鉱物試験ダスト「粉砕スレート」とをサイクロン(外形寸法:高さ=260mm、直径=150mm)に供給し、速度が20m/sの空気流を用いて、1分間流動させた。鉱物試験ダスト粒子が本発明の成型物に衝突し、吸着された。鉱物試験ダストの付着した本発明の成型物の重量増を、重量測定により決定した。本発明の成型物の重量は、約16倍増加した。吸着され鉱物試験ダストの粒子径と化学組成(無機または有機)は、光散乱法で測定した。本発明の成型物は、例えば同じ形状の未改質発泡体(a.1)の成型物と較べると、優れたダスト結合能力を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ−幅−高さの寸法が常に1mm〜5cmの範囲にある成型物であって、
(a)密度が5〜500kg/m3の範囲にあり、平均空孔径が1μm〜1mmの範囲にある連続気泡発泡体を
(b)少なくとも一種のカチオン性ポリマーの水性配合物で処理し、
(c)さらに、成型工程で処理して得たものを、
集塵機中でダスト結合材として使用する方法。
【請求項2】
厚みが0.3〜2cmの範囲であるシート状成型物であって、
(a)密度が5〜500kg/m3の範囲にあり、平均空孔径が1μm〜1mmの範囲にある連続気泡発泡体を
(b)少なくとも一種のカチオン性ポリマーの水性配合物で処理し、
(c)さらに、成型工程で処理して得たものを、
集塵機中でダスト結合材として使用する方法。
【請求項3】
カチオン性ポリマー(b)が、分子当たり少なくとも一種の第一級、第二級または第三級アミノ基を有するポリマーから選ばれる請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
連続気泡発泡体(a)が合成有機発泡体からなる発泡体を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
連続気泡発泡体(a)がポリウレタン発泡体またはアミノプラスチック発泡体を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
カチオン性ポリマー(b)が、少なくとも部分中和されたポリエチレンイミン類およびポリビニルアミン類からから選ばれる請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記成形工程(c)が、開裂、打ち抜き、または切断から選ばれる請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
長さ−幅−高さの寸法が常に1mm〜5cmの範囲にあり、少なくとも一つの寸法が5.5mmより大きな成型物であって、
(a)密度が5〜500kg/m3の範囲にあり、平均空孔径が1μm〜1mmの範囲にある連続気泡発泡体を提供し、
(b)少なくとも一種のカチオン性ポリマーの水性配合物と接触させ
(c)成形工程を実施して製造された、
少なくとも一種のカチオン性ポリマーの水性配合物との接触(b)と成形工程(c)とをどのような順序で行ってもよいことを特徴とする成型物。
【請求項9】
厚みが0.3〜2cmの範囲の平坦な成型物であって、
(a)密度が5〜500kg/m3の範囲にあり、平均空孔径が1μm〜1mmの範囲にある連続気泡発泡体を
(b)少なくとも一種のカチオン性ポリマーの水性配合物で処理し、
(c)さらに、成型工程で処理して得た、
少なくとも一種のカチオン性ポリマーの水性配合物との接触(b)と成形工程(c)とをどのような順序で行ってもよいことを特徴とする成型物。
【請求項10】
連続気泡発泡体(a)が合成有機発泡体からなる発泡体を含む請求項8または9記載の成型物。
【請求項11】
連続気泡発泡体(a)がポリウレタン発泡体またはアミノプラスチック発泡体を含む請求項8〜10のいずれか一項に記載の成型物。
【請求項12】
カチオン性ポリマー(b)が、少なくとも部分中和されたポリエチレンイミン類およびポリビニルアミン類から選ばれる請求項8〜11のいずれか一項に記載の成型物。
【請求項13】
請求項8〜12のいずれか一項の成型物をダスト結合材として使用する方法。
【請求項14】
請求項8〜12のいずれか一項の成型物を集塵機内で使用する方法。
【請求項15】
請求項8〜12のいずれか一項の少なくとも一種の成型物を含む集塵機。
【請求項16】
成型物の製造方法であって、
(a)密度が5〜500kg/m3の範囲にあり、平均空孔径が1μm〜1mmの範囲にある連続気泡発泡体を提供し、
(b)少なくとも一種のカチオン性ポリマーの水性配合物に接触させ、
(c)その成型物の長さ−幅−高さの寸法が常に1mm〜5cmの範囲となるように
成形工程を実施する、
少なくとも一種のカチオン性ポリマーの水性配合物との接触(b)と成形工程(c)とをどのような順序で行ってもよいことを特徴とする製造方法。
【請求項17】
厚みが0.3〜2cmの範囲であるシート状成型物の製造方法であって、
(a)密度が5〜500kg/m3の範囲にあり、平均空孔径が1μm〜1mmの範囲にある連続気泡発泡体を提供し、
(b)少なくとも一種のカチオン性ポリマーの水性配合物に接触させ、
(c)成形工程を実施する、
少なくとも一種のカチオン性ポリマーの水性配合物との接触(b)と成形工程(c)とをどのような順序で行ってもよいことを特徴とする製造方法。
【請求項18】
請求項15に記載の少なくとも一種の集塵機を用いることを特徴とする表面の掃除方法。
【請求項19】
表面が床である請求項17に記載の方法。

【公表番号】特表2009−544463(P2009−544463A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521202(P2009−521202)
【出願日】平成19年7月11日(2007.7.11)
【国際出願番号】PCT/EP2007/057087
【国際公開番号】WO2008/009602
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】