説明

放出制御植物成長養分成形生成物及びその製造方法

肥料生成物の様な植物成長養分成形生成物、並びにその様な植物成長成形生成物の製造方法及び使用方法が提供される。この生成物は、生分解性、水分散性、水溶性、熱可塑性の重合体結合剤と混合されている植物成長有効成分を含んでいる。この成形生成物は錠剤形態であり、植物成長有効成分は肥料を含んでいる、ことが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概括的に述べると、植物成長養分成形生成物とその様な植物成長成形生成物の製造方法とに関する。もっと詳細に述べると、本発明は、被覆植物養分や非被覆植物養分の様な植物成長有効成分を生分解性、水分散性、水溶性、熱可塑性の重合体結合剤と混合し、肥料生成物の様な好ましくは錠剤形態の植物成長養分成形生成物を製造することによって調製される、生成物に関する。本発明は、更に、その様な植物成長養分成形生成物の製造方法と、植物及び草木を処理するためのその様な成形生成物の使用方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
錠剤形態、大釘形態またはその他の形態の植物養分成形製剤は、限定領域の植物への植物成長養分の施用を達成目標とする場合には今まで知られていた。その様な従来の生成物の典型は、公開欧州特許出願EP0380193A2中に説明されている生成物である。この公開出願は、養分、有効成分、植物処理剤及び助剤を含む成型体の調製及び施用を説明している。この成型体は、エポキシ樹脂及びポリウレタン樹脂を含む熱硬化結合剤または化学硬化結合剤から成る物質架橋によって互いに結合された粒子から作られている。なお、ポリウレタン樹脂とエポキシ樹脂との両方が、架橋樹脂であるので、水やその他の溶剤に不溶である。
【特許文献1】公開欧州特許出願EP0380193A2公報
【0003】
米国特許第4,055,974号は、尿素ホルムアルデヒドの様な硬化された水不溶性熱硬化性樹脂の結合剤によって水不溶性、水膨潤性、親水性の重合体ゲルと結合されている肥料原料の粒子から調製された、肥料錠剤を説明している。その結果の錠剤は水を吸収して崩壊する様にされていると説明されている。しかし、公開欧州特許出願EP0380193A2中に説明されている錠剤と同様に、水不溶性結合剤は植物土壌に施用されるとそれらの遅い分解特性のために望ましくない環境結果を引き起こす。
【特許文献2】米国特許第4,055,974号公報
【0004】
しかも、米国特許第4,055,974号に従って錠剤を製造するために用いられる結合剤が熱硬化性樹脂であるので、その錠剤を製造するための効率的で且つ費用効果の高い融解処理技術を実行することができず、またその錠剤の製造における費用及び効率は不利な影響を受ける。
【0005】
米国特許第4,011,061号は水不溶性で且つ環境問題を引き起こす有機、薄膜形成好ましくは熱可塑性樹脂の結合剤を用いる肥料錠剤の製造を説明しており、米国特許第4,752,317号は大釘または錠剤として販売される非常に圧縮された生成物の製造を説明している。この生成物は、肥料成分を、水溶性であるが熱可塑性ではなくてその生成物を製造するために必要な技術に関連する問題を引き起こす、水分散性で加水分解されるリグノスルホン酸−アクリロニトリルグラフト共重合体の結合剤と混合することによって、調製される。
【特許文献3】米国特許第4,011,061号公報
【特許文献4】米国特許第4,752,317号公報
【0006】
肥料粒剤とポリウレタン結合剤とから調製された錠剤から成る幾つかの商業生成物が、現在のところ市販されている。しかし、これらの錠剤は総て、用いられているポリウレタン結合剤の耐久性に起因する環境不利益を示す。例えば、その様な錠剤中の所謂放出制御肥料粒剤がそれらの養分を被処理植物へ完全に放出すると、その肥料錠剤があたかも有効でなかったかの様にその錠剤はその最初の形状を保持する。しかも、これらの従来の植物成長養分錠剤の製造は、錠剤形成型における除去の困難な硬化樹脂残渣の蓄積に関して遭遇する問題の様な種々の問題を生じさせていた。
【0007】
市販されている現行の生成物の別の例は、被覆肥料粒剤と水膨潤性、熱硬化性の重合体結合剤とから調製された錠剤によって示されている。しかし、その不融解性の結果として、製造中に、乳濁液状態もしくは溶液状態の構成単量体またはプレポリマーからその重合体結合剤が添加されなければならず、このことは錠剤製造工程中における追加の乾燥段階を必要とする。究極の熱硬化性樹脂は熟成によって形成される。
【0008】
一般に、肥料錠剤の製造において用いられる植物成長/養分有効成分は被覆肥料であり、この被覆肥料は、使用中に非被覆肥料に比べて多くの利点を有しており、且つ植物の養分供給のために養分の制御放出を提供するための非常に有効な源であることが知られている。その養分は制御された速度でその肥料の被覆を介して放出され、この様にして植物の養分必要性に正確に一致させることができる。適切な被覆厚さまたは被覆組成の選択によって、適切な肥料寿命を達成することができる。その様にすることによって、これらの放出制御肥料の一回の施用で、植物の養分過給の危険も環境への肥料無機物の溶脱の危険もなく、可溶性肥料の複数回の施用を必要とする植物に必要な養分を供給することができる。
【0009】
放出制御肥料においては、1)被覆中の欠陥、2)被覆中の細孔、または3)浸透圧、の様な種々の方法で、肥料が被覆から放出されてよい。放出速度の一貫性に関しては、後者の二つの機構が最初の機構に比べて重要な利益を提供すると、今まで認識されてきた。被覆欠陥を介して肥料を放出する被覆肥料の例は、米国特許第5,219,465号、第5,405,426号及び第5,466,274号中に開示されている様な重合体上塗り付き硫黄被覆肥料である。重合体上塗り付き硫黄被覆肥料の主要な利点は、それらの比較的低い費用である。
【特許文献5】米国特許第5,219,465号公報
【特許文献6】米国特許第5,405,426号公報
【特許文献7】米国特許第5,466,274号公報
【0010】
被覆中の細孔を介して肥料を放出する被覆肥料の例は、米国特許第4,019,890号中に開示されている様なポリオレフィン被覆肥料によって示されている。
【特許文献8】米国特許第4,019,890号公報
【0011】
被覆を介する水蒸気透過とその後の浸透圧の蓄積とによる肥料の放出は、溶剤塗布熱硬化性樹脂被覆付き肥料によって示される。現在使用中の溶剤塗布熱硬化性樹脂被覆肥料の例は、米国特許第3,223,518号、第4,657,576号、第4,880,455号、第5,652,196号、第5,993,505号及び第6,139,597号中に開示されている。
【特許文献9】米国特許第3,223,518号公報
【特許文献10】米国特許第4,657,576号公報
【特許文献11】米国特許第4,880,455号公報
【特許文献12】米国特許第5,652,196号公報
【特許文献13】米国特許第5,993,505号公報
【特許文献14】米国特許第6,139,597号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によると、錠剤形態の生成物の様な従来の植物成長養分成形生成物の組成、形成及び使用に関して遭遇する問題は、同じまたは異なる寿命を有する所定量の一つ以上の型式の被覆粒剤と、任意に、非被覆肥料粒剤、吸水ゲル、除草剤、殺虫剤、殺菌剤、フェロモン、生物興奮剤、成長調節剤、動物忌避剤及び虫除け等の様なその他の原料とを、特定の適切な結合剤を用いて所定寸法の錠剤中へ一緒に結合することによって、容易且つ実際的に克服可能であることが見出された。成形形態(例えば錠剤)の寸法は、肥料が施される植物の養分必要性を満たす様に設計することができる。
【0013】
本発明の成形生成物(例えば錠剤)の製造における使用に好適な原料は、結合剤及び幾つかの場合には湿潤剤として機能する、生分解性、水分散性、水溶性、熱可塑性の重合体である。
【0014】
架橋樹脂結合剤かまたは乳濁液もしくは溶液からの添加を必要とする結合剤かを用いる、従来の成形生成物及びその製造技術に比較して、この熱可塑性結合剤は容易且つ効率的な錠剤製造を可能にしており、また、架橋、水不溶性の結合剤を使用する、従来の生成物及び製造技術に比較して、この水溶性結合剤は環境面で有利な、錠剤形態の生成物の様な成形生成物の製造を可能にしている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明による植物成長養分錠剤は、肥料粒剤の様な被覆植物養分粒剤及び非被覆植物養分粒剤を含む植物成長有効成分、生物興奮剤、成長調節剤、植物処理剤、肥料追加成分等、並びにこれらの混合物を利用して調製されてよい。
【0016】
同種または異種の被覆肥料粒剤を利用して植物成長養分錠剤が調製されることが好ましい。同種のつまり単一成分の粒剤が用いられる場合は、この粒剤は約0.1〜約10mm、好ましくは、約0.5〜5mmの範囲の直径を有している。異種のつまり複数成分の粒剤が用いられる場合は、この粒剤は種々の組成、直径(約0.1〜約10mm)、被覆型式及び被覆厚さ(寿命)等であってよい。異種の粒剤が用いられる場合は、錠剤を製造するために、小さな寸法の粒剤(約0.2〜1.5mm)がもっと大きな寸法の粒剤(約2〜5mm)と混合されることが好ましい。これらの粒剤は、約0.1〜150マイクロメートル、好ましくは約1〜110マイクロメートルの範囲の被覆厚さと、約1週間〜24カ月、好ましくは約3週間〜18カ月の範囲の寿命とで、それらの上に塗布されている一つ以上の被覆を有していてよい。本発明で使用される肥料粒剤は、窒素(N)、燐(P)及び/もしくはカリウム(K)、またはマグネシウム、カルシウム及び/もしくは種々の量のホウ素、鉄、コバルト、銅、マンガン、モリブデン、亜鉛の様な種々の微量要素を含んでいても含んでいなくてもよい種々の異なるNPK組成のうちの何れかの様な原料を含んでいてよい。好ましい実施形態においては、これらの粒剤は、約50〜100℃の範囲の温度に予熱され、その後に、融解物を形成するために前もって加熱されている約0.1〜40重量%、好ましくは約1〜25重量%の適切な結合剤と混合される。この混合物に、任意に、吸水ゲル、硝化抑制剤、ウレアーゼ抑制剤、除草剤、殺虫剤、殺菌剤、フェロモン、動物忌避剤、虫除け等、及びこれらの混合物の様な一つ以上のその他の成分が加えられてよい。
【0017】
結合剤としては、生分解性、水分散性、水溶性、熱可塑性の重合体原料が使用される。C1−C4−ポリアルキレン酸化物単独重合体、C1−C4−ポリアルキレン酸化物ブロック共重合体−及び三元重合体、ポリオレフィン−C1−C4−ポリアルキレン酸化物ブロック共重合体、並びにこれらの混合物から成る群に由来する重合体は、結晶化挙動、接着特性、水溶性、生分解性、及び幾つかの場合には湿潤特性に関して、意外に有利な特性を呈することが見出された。その様な重合体の適切な例は、ポリエチレン酸化物単独重合体、ポリエチレン酸化物−ブロック−ポリプロピレン酸化物共重合体、ポリエチレン酸化物−ブロック−ポリプロピレン酸化物−ブロック−ポリエチレン酸化物三元重合体、ポリプロピレン酸化物−ブロック−ポリエチレン酸化物−ブロック−ポリプロピレン酸化物三元重合体、ポリエチレン−ブロック−ポリエチレン酸化物共重合体、ポリエチレン−ブロック−ポリプロピレン酸化物共重合体、ポリプロピレン−ブロック−ポリエチレン酸化物共重合体、ポリプロピレン−ブロック−ポリプロピレン酸化物共重合体等、及びこれらの混合物である。
【0018】
結合剤の融解温度は、約50℃〜約160℃、好ましくは約50℃〜約100℃の範囲であることが好ましい。重合体結合剤の融解温度、融解粘度及び機械的挙動は、化学組成と、重合体の分子量と、ブロック共重合体の場合には更にポリエチレン酸化物−、ポリエチレン−、またはポリプロピレン−セグメントのブロック長との関数である。本発明によると、重合体の融解温度及び融解粘度が、結合剤による粒剤の安全で効率的な被覆を可能にするのに十分なほど低いが、結果の錠剤の十分な機械的な強度を可能にするのに十分なほど高い様に、重合体の物理的化学的特性が選択されてよい。
【0019】
ブロック共重合体には湿潤特性を呈するという追加的な利点が単独重合体に比べてあり、この湿潤特性は土壌中における吸水速度を高める。ブロック共重合体の水溶性及び湿潤性は水溶性セグメントの相対量に依存し、この相対量は錠剤の機械的安定性が影響を及ぼされない様に選択される。
【0020】
好ましい実施形態では、植物成長粒剤及び任意の補助成分が、約50〜100℃の範囲の温度に予熱され、その後に、融解物を形成するために前もって加熱されている約0.1〜40重量%の結合剤と混合される。その結果の混合物は成形型中へ導入され、この混合物は成形生成物を形成するためにその型中で冷却される。以下の例が、本発明の生成物と方法との細部を更に例証する。好ましい実施形態によって本発明が説明されるが、本発明の変更及び修正が当業者にとって明白である様に再分類されてよい。その様な変更及び修正は本明細書に添付の特許請求の範囲の範囲内であると考えられる。
【0021】
例1
3.1mmの平均直径を有しておりTheScottsCompanyによって販売されている83重量%の予熱されたOsmocote(登録商標)Exact(登録商標)Standard3−4Month肥料粒剤と、1.5mmの平均直径を有しておりTheScottsCompanyによって販売されている9重量%の予熱されたOsmocote(登録商標)Exact(登録商標)Mini3−4Monthとを、8000g/モルの分子量を有する8重量%のポリエチレン酸化物と、90℃で混合することによって、本発明による肥料錠剤が調製された。徹底的な混合の後に、混合物が錠剤型上に塗布され、その後に過剰な粒剤−結合剤混合物が擦り取られた。その型が周囲温度まで冷却されて、錠剤が取り外された。平均減量は少ないことを落下試験が示した。水中で、この錠剤はばらばらの粒剤へ急速に崩壊した。
【0022】
例2
TheScottsCompanyによって販売されており3.1mmの平均直径とNPKl6+ll+llとを有している375gのOsmocote(登録商標)Exact(登録商標)Standard3−4Month肥料粒剤と、4−ヒドロキシ−4−メチルペンタン−2−オンを含んでおりAshland−Sudchemie−KernfestGMBHによって販売されている5gのAskofen3289PartAポリオール製剤と、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート異性体及び同族体を含んでおりAshland−Sudchemie−KernfestGMBHによって販売されている5gのAskofen0281PartBとを、室温で組み合わせて混合することによって、従来技術による対照試料生成物が調製された。結果の混合物がシリコーンゴム錠剤型上に迅速に塗布され、過剰な混合物が擦り取られた。15〜20分の硬化後に、結果の錠剤が型から取り外された。ポリウレタン結合剤技術を利用するこれらの従来の生成物の製造は、本発明によって克服される種々の問題を呈することを、経験が示していた。例えば、この従来の技術を使えば、硬化後に樹脂を取り除くことが非常に困難であるので、総ての設備が迅速且つ定期的に清掃されなければならなかった。金属型表面への錠剤の強い付着の結果として金属型から錠剤を取り外すことが困難であると分かったので、錠剤を製造するためには高価なシリコーンゴム型が必要であった。実際問題として、樹脂の蓄積と型の破損とのためにその型を10週間毎に新しいのと取り替えなければならはないということが更に分かった。更に、Askofen3289PartAとAskofen0281PartBとが混合されてしまうと、ポットライフが非常に制限されるので、その結果の混合物を急速に塗布しなければならなかった。それにも拘らず、二度と使用できないかなりの量のこぼれ原料が生じることが分かった。
【0023】
それと比較して、例1によって本明細書中に例示されている様に本発明の製剤及び方法を用いることによって、従来技術の錠剤生成物の製造において遭遇する問題が効果的に且つ高い費用効率で解決されることが分かった。
【0024】
例3
更なる比較例において、熱硬化性結合剤を利用する三つの別個の商業的に利用可能な肥料錠剤試料が、生分解性、水分散性、水溶性、熱可塑性の重合体結合剤を用いる本発明の肥料錠剤の試料と比較され、水溶性、錠剤崩壊及び機械的安定性に関して肥料錠剤試料に対して行われた試験の結果が表にされた(以下の表1を参照)。
【0025】
この比較試験のために、TheScottsCompanyによって販売されている5.4グラムのOsmocote(登録商標)Plus肥料錠剤と、CompoGMBH&Co.KG.によって販売されている7.6グラムのBasacote(登録商標)PlusTabs6Month肥料錠剤と、Pokon&ChrysalBVによって販売されている6.0グラムのPokonSeasonComfort肥料錠剤とが、熱硬化性結合剤を利用して製造される従来の肥料錠剤の例として用いられた。本発明による肥料錠剤の例として、例1において用いられたのと同じ生分解性、水分散性、水溶性、熱可塑性の重合体結合剤を利用して、例1中に述べられている手順に従って、5.3gの肥料錠剤試料が調製された。
【0026】
これらの試料肥料錠剤が、21℃の200mlの水で満たされているガラスビーカー内に置かれた。この水中での19分後に、本発明に従って製造された錠剤がばらばらの粒剤へ離散することが分かった。PokonSeasonComfort錠剤といくらか大きなBasacotePlusTabs錠剤とは、膨潤を示したが、結合剤の溶解は示さなかった。5時間後に、Pokon錠剤とBasacote錠剤とは、柔らかい架橋された固まりのばらばらの粒剤へ崩壊した。OsmocotePlus錠剤は、その初期の形状を保持して堅いままであった。
【0027】
これらの試料錠剤について行われた比較試験の結果は以下の通りであった。
【表1】

a)錠剤がばらばらの粒剤へ崩壊するまでにかかる時間
b)21℃での2メートル落下試験における10個の錠剤の平均減量百分率
【0028】
例4
別の比較例では、5.4グラムのOsmocote(登録商標)Plus肥料錠剤と、7.6グラムのBasacote(登録商標)PlusTabs6Month肥料錠剤と、6.0グラムのPokonSeasonComfort肥料錠剤と、例1中に述べられている手順に従って調製された5.2gの本発明肥料錠剤との別個の試料が、別個のガラスビーカー内に置かれて、100°Cの炉内に30分間置かれた。その後、本発明に従って製造された錠剤は、結合剤の融解のために手で触れると同時にばらばらの被覆粒剤へ容易に崩壊することが分かった。Osmocote(登録商標)Plus錠剤、BasacotePlus錠剤及びPokonSeasonComfort錠剤は、それらの初期の形状を保持することが分かり、僅かな圧力印加や150℃への温度増加でさえも堅いままであり、これらの錠剤の各々で使用されている結合剤が、本発明中で用いられている様な熱可塑性重合体ではなく熱硬化性重合体であることを示した。
【0029】
例5
3.1mmの平均直径とNPK16+11+11とを有する予熱されたOsmocoteExactStandard3−4Month肥料粒剤である92重量%の試料が、夫々6000g/モル、8000g/モル、及び20,000g/モルの分子量を有する8重量%のポリエチレン酸化物と、90℃で混合された。徹底的な混合の後に、これらの試料混合物が別個の錠剤型上に塗布され、その後に過剰な各々の混合物が擦り取られた。この型が周囲温度まで冷却されて、この型から錠剤が取り外された。水中に置かれると、結果の試料錠剤の各々はばらばらの粒剤へ急速に崩壊した。6000及び8000g/モルの分子量を有するポリエチレン酸化物については平均減量を許容できるが、粒剤上における高分子量ポリエチレン酸化物結合剤の不規則な分布のために、20000g/モルの分子量を有するポリエチレン酸化物については平均減量を許容できないことを、落下試験が示した。このことは、重合体特性の選択が慎重に行われなければならないことを示している。高過ぎる分子量は、高過ぎる粘度と、それによる不利な混合挙動及び錠剤の機械的安定性の喪失とを、もたらす。しかし、低過ぎる分子量は、低い融点による粘着性と錠剤の機械的安定性の喪失とをもたらすかもしれない。従って、狭い幅の分子量しか安定な錠剤の製造に適していない様に思われる。
【0030】
例6
92重量%の予熱されたOsmocoteExactStandard5−6Month肥料粒剤が、Uniqemaによって販売されており14,000g/モルの分子量を有する8重量%のSynperonic(商標)PEF108ポリエチレン酸化物−ブロック−ポリプロピレン酸化物−ブロック−ポリエチレン酸化物三元重合体と、90℃の温度で混合された。徹底的な混合の後に、この混合物が錠剤型上に塗布され、その後に過剰な粒剤−結合剤混合物が擦り取られた。この型が周囲温度まで冷却されて、錠剤が取り外された。水中で、結果の錠剤はばらばらの粒剤へ急速に崩壊した。
【0031】
例7
92重量%の予熱されたOsmocoteExactStandard3−4Month肥料粒剤が、2250g/モルの分子量を有する8重量%のポリエチレン−ブロック−ポリエチレン酸化物共重合体と、90℃の温度で混合された。徹底的な混合の後に、この混合物が錠剤型上に塗布され、その後に過剰な粒剤−結合剤混合物が擦り取られた。この型が周囲温度まで冷却されて、錠剤が取り外された。水中で、結果の錠剤はばらばらの粒剤へ急速に崩壊した。
【0032】
例8
60重量%の予熱されたOsmocoteExact3−4Month肥料粒剤と、BASFによって販売されている20重量%のLuquasorb(登録商標)1161ポリアクリル酸ナトリウム吸水ゲルとが、8000g/モルの分子量を有する20%のポリエチレン酸化物と、90℃で混合された。徹底的な混合の後に、この混合物が錠剤型上に塗布され、その後に過剰な混合物が擦り取られた。この型が冷却されて、結果の錠剤が取り外された。この錠剤は水中で迅速に離散し、添加されたLuquasorb吸水ゲルは満足のいく膨潤挙動を示した。落下試験は許容できる錠剤安定性を示した。
【0033】
例9
92重量%の予熱されたOsmocoteExactStandard5−6Month肥料粒剤が、8000g/モルの分子量を有する87重量%のポリエチレン酸化物と13重量%のアルミニウムトリス−O−ホスホン酸エチル(ホセチル−アルミニウム)殺菌剤との8重量%の混合物と、90℃で混合された。徹底的な混合の後に、この混合物が錠剤型上に塗布され、その後に過剰な混合物が擦り取られた。この型が周囲温度まで冷却されて、結果の錠剤がこの型から取り外された。
【0034】
例10
92重量%の予熱された非被覆肥料粒剤(NPK17+10+13+微量要素)が、8000g/モルの分子量を有する8重量%のポリエチレン酸化物と混合された。徹底的な混合の後に、この混合物が錠剤型上に塗布され、その後に過剰な混合物が擦り取られた。この型が周囲温度まで冷却されて、結果の錠剤がこの型から取り外された。
【0035】
例11
TheScottsCompanyによって販売されており1.6mmの平均直径を有する92重量%の予熱されたOsmocote(登録商標)Start(NPK12+11+17+2MgO+微量要素)肥料粒剤が、8000g/モルの分子量を有する8重量%のポリエチレン酸化物と、90℃で混合された。徹底的な混合の後に、この混合物が錠剤型上に塗布され、その後に過剰な混合物が擦り取られた。この型が周囲温度まで冷却されて、結果の錠剤がこの型から取り外された。
【0036】
例12
11重量%の硫黄被覆を含む92重量%の予熱された硫黄被覆尿素肥料粒剤が、8000g/モルの分子量を有する8重量%のポリエチレン酸化物と、90℃で混合された。徹底的な混合の後に、この混合物が錠剤型上に塗布され、その後に過剰な混合物が擦り取られた。この型が周囲温度まで冷却されて、結果の錠剤がこの型から取り外された。
【0037】
例13
TheScottsCompanyによって販売されている92重量%の予熱されたOsmoform(登録商標)(NPK19+5+3+2Mg0+微量要素)肥料プリルが、8000g/モルの分子量を有する8重量%のポリエチレン酸化物と、90℃で混合された。徹底的な混合の後に、この混合物が錠剤型上に塗布され、その後に過剰な混合物が擦り取られた。この型が周囲温度まで冷却されて、結果の錠剤がこの型から取り外された。
【0038】
例14
92重量%の予熱されたBasacotePlus12Month(NPK15+8+l2+2MgO+微量要素)肥料粒剤が、8000g/モルの分子量を有する8重量%のポリエチレン酸化物と、75℃で混合された。徹底的な混合の後に、この混合物が錠剤型上に塗布され、その後に過剰な混合物が擦り取られた。この型が周囲温度まで冷却されて、結果の錠剤がこの型から取り外された。
【0039】
例15
WilliamSinclairHorticulturalLtdによって販売されている92重量%の予熱されたSinclairSincrocell12(NPK14+8+13+2Mg0+微量要素)肥料粒剤が、8000g/モルの分子量を有する8重量%のポリエチレン酸化物と、90℃で混合された。徹底的な混合の後に、この混合物が錠剤型上に塗布され、その後に過剰な混合物が擦り取られた。この型が周囲温度まで冷却されて、結果の錠剤がこの型から取り外された。
【0040】
例16
チッソ旭肥料株式会社によって販売されている92重量%の予熱されたNutricote(登録商標)放出制御肥料100日(NPKl3+13+13+2Mg0+微量要素)粒剤が、8000g/モルの分子量を有する8重量%のポリエチレン酸化物と、90℃で混合された。徹底的な混合の後に、この混合物が錠剤型上に塗布され、その後に過剰な混合物が擦り取られた。この型が周囲温度まで冷却されて、結果の錠剤がこの型から取り外された。
【0041】
例17
HaifaChemicalsLtd.によって販売されている92重量%の予熱されたMulticote(登録商標)4(NPK15+7+15+2MgO+微量要素)放出制御肥料粒剤が、8000g/モルの分子量を有する8重量%のポリエチレン酸化物と、90℃で混合された。徹底的な混合の後に、この混合物が錠剤型上に塗布され、その後に過剰な混合物が擦り取られた。この型が周囲温度まで冷却されて、結果の錠剤がこの型から取り外された。
【0042】
本発明の更なる実施形態では、固体基質の急速な利用が望まれている種々の水性系中または湿式環境中で使用することのできる粒剤または粉剤のための投与系が提供される。例えば、水泳プールへの施用のための様に消毒薬を供給して標準の薬品溶液の施用を置き換えるために、本発明の錠剤を作ることができる。塗料産業で用いられている様な浸漬浴中へ導入して長期間の浸漬中にこの浸漬浴中へ殺菌剤及び殺生物剤の様な薬品を加えるためにも、本発明の錠剤を作ることができる。更にまた、今まで用いられてきた高粘度ペーストの代替品として塗料中へ顔料または着色原料を導入するための投与系を提供するために、この錠剤を水溶性結合剤で作ることができる。
【0043】
本発明が、ある度の特殊性を有するその好ましい形態で説明されたが、この開示が例としてのみなされたことが理解されるべきである。組成及び成分の細部における多くの変更並びにその製造方法が、添付の特許請求の範囲中で限定されている様に、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物成長有効養分粒剤と、
生分解性、水分散性、水溶性、熱可塑性の重合体結合剤と
を具備する植物成長養分成形生成物。
【請求項2】
錠剤形態の、請求項1に記載の植物成長養分成形生成物。
【請求項3】
被覆植物養分、非被覆植物養分、生物興奮剤、成長調節剤、植物処理剤、肥料追加成分、及びこれらの混合物から成る群から、前記植物成長有効養分粒剤が選択されている、請求項1に記載の植物成長養分成形生成物。
【請求項4】
前記粒剤が被覆肥料粒剤である、請求項3に記載の植物成長養分成形生成物。
【請求項5】
少なくとも一つのその他の成分が前記植物成長有効養分粒剤及び前記結合剤と混合されており、吸水ゲル、硝化抑制剤、ウレアーゼ抑制剤、除草剤、殺虫剤、殺菌剤、フェロモン、動物忌避剤、虫除け、及びこれらの混合物から成る群から、前記その他の成分が選択されている、請求項1に記載の植物成長養分成形生成物。
【請求項6】
C1−C4−ポリアルキレン酸化物単独重合体、C1−C4−ポリアルキレン酸化物ブロック共重合体及び三元重合体、ポリオレフィン−C1−C4−ポリアルキレン酸化物ブロック共重合体、並びにこれらの混合物から成る群から、前記結合剤が選択されている、請求項1に記載の植物成長養分成形生成物。
【請求項7】
ポリエチレン酸化物単独重合体、ポリエチレン酸化物−ブロック−ポリプロピレン酸化物共重合体、ポリエチレン酸化物−ブロック−ポリプロピレン酸化物−ブロック−ポリエチレン酸化物三元重合体、ポリプロピレン酸化物−ブロック−ポリエチレン酸化物−ブロック−ポリプロピレン酸化物三元重合体、ポリエチレン−ブロック−ポリエチレン酸化物共重合体、ポリエチレン−ブロック−ポリプロピレン酸化物共重合体、ポリプロピレン−ブロック−ポリエチレン酸化物共重合体、ポリプロピレン−ブロック−ポリプロピレン酸化物共重合体、及びこれらの混合物から成る群から、前記結合剤が選択されている、請求項6に記載の植物成長養分成形生成物。
【請求項8】
植物成長養分有効成分の粒剤を準備することと、
前記粒剤を、生分解性、水分散性、水溶性、熱可塑性の重合体結合剤と混合することと、
前記混合物を植物成長養分成形生成物へ形成することと
を具備する植物成長養分成形生成物の製造方法。
【請求項9】
前記粒剤が、約50〜100℃の範囲の温度に予熱され、その後に、融解物を形成するために前もって加熱されている約0.1〜40重量%の前記結合剤と混合され、この結果の混合物を型中へ導入し、この型中の前記混合物を冷却して前記成形生成物を形成する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記生成物が錠剤形態に成形される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
被覆植物養分、非被覆植物養分、生物興奮剤、成長調節剤、植物処理剤、肥料追加成分、及びこれらの混合物から成る群から、前記粒剤が選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記粒剤が被覆肥料粒剤である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも一つのその他の成分が前記植物成長有効養分及び前記結合剤と混合され、被覆肥料粒剤、非被覆肥料粒剤、吸水ゲル、硝化抑制剤、ウレアーゼ抑制剤、除草剤、殺虫剤、殺菌剤、フェロモン、動物忌避剤、虫除け、及びこれらの混合物から成る群から、前記その他の成分が選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
C1−C4−ポリアルキレン酸化物単独重合体、C1−C4−ポリアルキレン酸化物ブロック共重合体及び三元重合体、ポリオレフィン−C1−C4−ポリアルキレン酸化物ブロック共重合体、並びにこれらの混合物から成る群から、前記結合剤が選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
ポリエチレン酸化物単独重合体、ポリエチレン酸化物−ブロック−ポリプロピレン酸化物共重合体、ポリエチレン酸化物−ブロック−ポリプロピレン酸化物−ブロック−ポリエチレン酸化物三元重合体、ポリプロピレン酸化物−ブロック−ポリエチレン酸化物−ブロック−ポリプロピレン酸化物三元重合体、ポリエチレン−ブロック−ポリエチレン酸化物共重合体、ポリエチレン−ブロックポリプロピレン酸化物共重合体、ポリプロピレン−ブロック−ポリエチレン酸化物共重合体、ポリプロピレン−ブロック−ポリプロピレン酸化物共重合体、及びこれらの混合物から成る群から、前記結合剤が選択される、請求項14に記載の方法。

【公表番号】特表2008−518869(P2008−518869A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536811(P2007−536811)
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【国際出願番号】PCT/US2005/036540
【国際公開番号】WO2006/044393
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(503403135)オーエムエス・インヴェストメンツ・インコーポレイティッド (4)
【Fターム(参考)】