説明

放射圧を変換またはそれ以外に利用して機械的仕事を発生させる方法及び装置

【課題】光波によって供給される放射圧を利用して機械的仕事を発生する方法が提供される。
【解決手段】先ず、光波の伝播を閉じ込めるための閉じ込めチャンバを準備する。次に、反射表面を有する可動反射鏡を、閉じ込めチャンバ内に位置決めする。次いで、光波を閉じ込めチャンバ内へ導入し、反射表面の方向へ向かわせる。光波は反射表面と接触し、該表面上に放射圧を作用させる。本方法は、光波を伝送する、及びそれ以外に処理することをも提供する。この方法においては、光波を捕捉し、増強させる。閉じ込めチャンバ内へ導入する前に、例えば光増倍装置、または光波増強装置の動作によって光波を分割することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、電磁光波内に存在するエネルギを利用し、このエネルギを例えば機械的仕事のような仕事の形状に変換する方法及び装置に関する。また本発明は、光波を伝送する、またはそれ以外に処理する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本願の原出願である特願2006−507385の審査過程において、以下の特許文献が引用された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭54−27445号公報
【特許文献2】特開平6−233568号公報
【特許文献3】特開昭57−53721号公報
【特許文献4】特開平5−321819号公報
【特許文献5】特開平4−127588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光波によって供給される放射圧を利用して機械的仕事を発生する方法を提供することが、本願発明が解決しようとする課題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一面においては、光波によって供給される放射圧を使用して機械的仕事を発生する方法及び装置が提供される。本方法は、光波の伝播を閉じ込めるための閉じ込めチャンバを準備し、第1の反射表面を有する可動反射鏡を閉じ込めチャンバの第1の位置内に位置決めするステップを含む。光波は、閉じ込めチャンバ内に導入され、反射表面の方向に導かれる。その結果、光波は反射表面と接触し、該表面上に放射圧を作用させる。
【0006】
本発明のさらなる面においては、光波によって供給される放射圧を使用して機械的仕事を発生する装置が提供される。また本装置は、所定の反射光波経路に沿う光波の伝播を閉じ込めるように構成されている閉じ込めチャンバを含む。本装置は更に、開モード及び閉モードで選択的に動作可能な光スイッチを含む。開モードは光波が閉じ込めチャンバ内へ進入することを可能にし、閉モードは光波が閉じ込めチャンバから逃げ出すことを阻止する。更に、本装置は、閉じ込めチャンバの一方の端に位置決めされている反射鏡と、閉じ込めチャンバの第2の端に位置決めされている第2の反射表面とを有している。これらの反射表面は、所定の光路が第1の反射表面と第2の反射表面との間を伸びるように位置決めされている。本装置は、光路を第1の反射表面に対して繰り返し接触させることによって、可動反射鏡を所定の経路に沿って走行させることを可能にする。これにより、機械的仕事が生成される。
【0007】
本発明の別の面においては、光波を伝送する、及び/それ以外に処理する方法及び装置が提供される。一方法によれば、光波は捕捉され、次いで増強される。光は、本発明による光増倍装置または光波増強装置の動作によって分割することが好ましい。
【0008】
本発明の別の面においては、界面によって、及び/または界面を通して光波を伝送する方法及び装置が提供される。詳述すれば、本発明は、界面を開と閉との間(または透明状態またはモードと、反射状態またはモードとの間)で動作させる、即ちスイッチングさせる方法及び装置が提供される。スイッチング動作が、界面の相互作用の合計指数の処理を含むことが好ましい。好ましいモードにおいては、本方法は、圧縮によって境界界面を排除することを含む。
【0009】
好ましい実施の形態においては、本発明の装置は、少なくとも1つの光スイッチとしてのプリズムと、閉じ込めチャンバとを使用する。閉じ込めチャンバは、伝播光波をチャンバ内で反射させるための高度に反射性の1つまたはそれ以上の鏡を含む。1つの動作モードにおいては、鏡は放射圧を吸収し、光を反射させ、それによって閉じ込めチャンバ内の光エネルギの若干を機械的エネルギに変換し、及び/または仕事を発生させる。一実施の形態においては、本発明の方法は、少なくとも2つのプリズムを互いに近接させて位置決めし、2つの近接する面または壁の間を圧縮することによって両者の間の反射性の光界面を減少乃至は排除し、それによってあたかも界面が存在しないかのように光放射がそれを通過できるようにする。
【0010】
本発明の別の面においては、光波によって供給される放射圧を使用して機械的仕事を発生する方法が提供される。本方法は、最初に、光波の伝播を閉じ込めるための閉じ込めチャンバを準備し、第1の反射性表面を有する可動反射鏡を閉じ込めチャンバの第1の位置内に位置決めするステップを含む。次いで、第2の反射表面を閉じ込めチャンバ内の第2の位置に位置決めする。第1及び第2の反射表面の位置及び配向は、少なくとも部分的に、所定の反射光路を限定するように予め定められている。本方法は、次に、光波を閉じ込めチャンバ内へ導入するステップを含む。この導入ステップは、導入された光波を反射表面の1つの方向へ導き、それによって光波を所定の光路に沿って第1の反射表面と第2の反射表面との間を複数のサイクルにわたって伝播させるステップを含む。本方法によれば、光波は第1の反射表面と接触して第1の反射表面に放射圧を作用させ、次いでこの最初の反射表面に対してほぼ垂直な角度で反射する。
【0011】
本方法は更に、別の光波に関して導入ステップを繰り返し、それによって光波を第1の反射表面に繰り返し接触させ、第1の反射表面を放射圧によって所定の経路に沿って運動させるステップを含むことが好ましい。詳述すれば、位置決めステップは更に、第2の反射表面を有する第2の可動反射鏡を閉じ込めチャンバ内に位置決めするステップを含み、導入された光波を導くステップは光波を第2の反射表面に繰り返し接触させて第2の反射表面に放射圧を繰り返し作用させ、それによって第2の反射表面を第2の所定の経路に沿って走行させ、機械的仕事を発生させる。
【0012】
最も好ましくは、本方法は更に、プリズムを準備し、プリズムの体積が閉じ込めチャンバの一部分を構成するように、且つプリズムの少なくとも1つの面が閉じ込めチャンバの境界を形成するようにプリズムを位置決めするステップを含む。従って、導入ステップは、光波を1つの面を通してプリズム内へ導くことを含む。
【0013】
一実施の形態においては、光波または光ビームは、閉じ込めチャンバ内へ導入される前に第1の、即ち主プリズム内へ導かれる。主プリズム内において、光ビームは(好ましくは、光増倍装置の動作によって)複数回分割され、それ自体上へ向け直される(これは、ビーム長を圧縮する)。このようにして、閉じ込めチャンバ内へ導入された光波の強度は、好ましくは所定のレベルまで増加される。
【0014】
本発明のこれらの、及び他の特色及び長所は、以下の添付図面に基づく好ましい実施の形態の詳細な説明から明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】光波に関連した放射圧を使用して機械的仕事を発生させるための、本発明による光子エンジンのような装置の概要図である。
【図1a】閉モードにおける本発明による圧縮境界界面の詳細図である。
【図1b】開モードにおける本発明による圧縮境界界面の詳細図である。
【図2】本発明の装置と共に使用するのに適するピストンアセンブリの一実施の形態の概要図である。
【図3】本発明による光子エンジンの代替実施の形態の概要図である。
【図4a】本発明による光子エンジンと共に使用することができるプリズムを示す図である。
【図4b】本発明による光子エンジンと共に使用することができるプリズムを示す図である。
【図5】本発明の装置の別の実施の形態の概要図である。
【図6a】本発明による代替装置、及び該装置の動作方法を示す簡易平面図である。
【図6b】図6aの装置の側面図である。
【図7a】本発明による光子エンジンの代替主プリズム及び副プリズムを示す概要図である。
【図7b】図7aに示した本発明による光拡張器/収縮器の詳細断面図である。
【図7c】図7aに示した本発明による光拡張器/収縮器の平面図である。
【図7d】本発明による光拡張器/収縮器の動作を示す概要図である。
【図7e】本発明による主プリズムの光拡張器の動作を示す概要図である。
【図7f】本発明による主プリズムの光拡張器の動作を示す概要図である。
【図7g】本発明による主及び副プリズムの動作を示す概要図である。
【図7h】本発明による光拡張器の動作から得られる光ビームパターンを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1−7は、本発明による装置及び/または方法例を説明するための図である。本発明の種々の面は、これらの図面内に実現されている。
【0017】
本発明は、一般的には、光波に固有の、または光波から得ることができる放射圧を利用して、例えば機械的仕事のような仕事を発生させることに関する。この放射圧の源は、光源によって、より詳しくは、光源から本発明の装置内へ導かれる伝播電磁波によって供給される。本発明はまた、一般的に、これらの光波を伝送する、またはそれ以外に処理する方法及び装置に関する。本発明の光子エンジンの動作は、本発明のこの面の使用を含む。概述すれば、電磁波は、スイッチングモードで機能する少なくとも1つの動作可能なプリズムを通して閉じ込めチャンバ内へ導かれる。好ましい実施の形態においては、主プリズム及び副プリズムが使用され、これらは一緒に動作して第1のプリズムへ進入する光を反射させたり、または光を閉じ込めチャンバ内へ通過させたりする光スイッチ注入弁を構成する。
【0018】
光スイッチ動作(図1−7を参照して以下に説明する)は光学的現象に基づいており、2つの個々の媒体(即ち、プリズム)を界面に沿って圧縮し、これらの媒体を組合わせて1つの媒体として作用させることができる。先ず、光は所定の角度で主プリズム内へ導入される。光スイッチが閉モード、即ち非動作モードにある時には、光は主プリズムの背面、即ち壁において反射する。スイッチを開かせてそれを動作モードにするためには、外部駆動デバイスを動作させることによって、主及び副プリズム、即ち第1及び第2の個々の媒体を互いに他方に向かって圧縮する(もしくは、詳述すれば、副プリズムを主プリズムに対して、またはそれに向かって圧縮する)。このようにすると、2つのプリズムの間の境界、即ち共通面が除去され、2つの媒体は1つの媒体として機能する。典型的には、(閉モードにおける)この境界は、プリズムの材料とは異なる屈折率を有する空隙、または真空によって形成される、または与えられる。従って、第1のプリズム内へ導かれた光は第2のプリズムとの境界を通過し、第2のプリズムを通って閉じ込めチャンバ内へ進入する。閉じ込めチャンバ内に可動取付けされている反射鏡に垂直な角度で光がチャンバ内へ進入して伝播するように、光を所定の角度で主プリズム内へ導くことがさらなる長所である。
【0019】
光を閉じ込めチャンバ内に閉じ込める時には、光スイッチは閉じている。従って、閉じ込めチャンバ内の光波または光は円柱構造(columniation)を維持し、その中を連続的に伝播する。詳述すれば、閉じ込められた光は垂直の角度で第1の反射鏡から反射し、次いでほぼ45°の角度で副プリズムの面に衝突し、第2の鏡から再び垂直の角度で反射する。これら3回の反射が1完全サイクルを構成し、このサイクルが既知の所定の時間フレーム内で繰り返される。タイムフレームは、開モードと閉モードとの間の光スイッチの動作周波数の1/2に対応させることも好ましい。各サイクル中に光は3つの反射表面の間を高レートでサイクルし、放射圧は2つの鏡面へ伝送される、即ちそれらを通り、それによって光波のエネルギが機械的仕事、即ち鏡の運動に変換または変形される。好ましい実施の形態においては、鏡をピストンに作動的に結合し、且つシリンダアセンブリ(シリンダは光を吸収しないことが好ましい)内に収容してエンジンとして動作させる。
【0020】
本発明を理解し易くするために、先ずある概念を概術する。
【0021】
本発明の方法の対象である光波は、電磁波である。電磁波は線形運動量を輸送し、光がある表面を照射することによってその表面上に機械的圧力を加えることができる。この圧力は、光の個々の光子に関しては小さいことが理解されよう。しかしながら、十分な数の光子を用いれば、十分な機械的圧力を得ることができる。
【0022】
マックスウェル(J.C.)によれば、完全に吸収された光の平行ビームから得られる運動量pは、エネルギUを光速cで除した値に等しい。
p=U/c
【0023】
もし光ビームが全反射すれば、反射体に対して垂直に入射した時に得られる運動量は、合計吸収値の2倍である。
p=2U/c
【0024】
これらの例は、運動量転送のスペクトルの2つの極限を表している。一方の極限は、一端においてビームが完全に吸収される完全に非弾性的な場合を表す。これは粒子が互いにくっつき合い、殆どの運動エネルギが典型的に熱エネルギまたは変形のような別のエネルギ形状として失われるような完全に非弾性的な場合を表している。スペクトルの他方の極限は、全反射したビームが運動エネルギを保存するような完全に弾性的な衝突を表す。
【0025】
図2を参照する。以下のセクションにおいて、本発明による装置及び方法、即ちエンジンが発生するパワーの計算を説明する。計算は4つのセクション、即ち、力(F)、時間(T)、仕事(W)、及びパワー(P)に分割することができる。
【0026】
以下に、閉じ込めチャンバに進入する初期放射圧をp1とし、バウンス数zの後に放射圧が実効的に0になるまでに表面積Amを有する単一の鏡に加わる力の計算を詳述する。
0-z=p1m+p2m+p3m+…+pzm
【0027】
各放射圧とバウンスとの間の関係は、表面反射率ρの関数として表すことができる。
2=ρp1,p3=ρp2,p4=ρp3,…,pz=ρpz-1
【0028】
全ての表面におけるバウンスの間の放射圧関係を代入すると、次の関係が得られる。
0-z,total=p1m+εp1m+ε21m+…+εz1m
または、
【数1】

【0029】
単一の鏡に対して、4回毎のバウンスを力計算に付加すべきである。
0-z,single mirror=p1m+ρ41m+ρ81m+…+ρ4z / 41m
または、
【数2】

【0030】
力の時間、即ち持続時間は、光の走行距離を光の速度で除すことによって計算される。
t=zd/c
【0031】
あるボディに加わる合成力の仕事は、その運動エネルギの変化に等しい。単一のピストンヘッドの場合の仕事計算は次の通りである。
【数3】

【0032】
速度、加速度、及び力の間の関係は次の通りである。
v=at
F=ma → a=F/m
【0033】
従って、
v=(F/m)・t
【0034】
単一の鏡に加わる仕事を求めるために、力、時間、及び速度方程式を仕事方程式内に代入する。
【数4】

【0035】
1にほぼ等しい反射率の場合、第2の鏡に加わる力は第1の鏡に加わる力とほぼ等しい。従って、単一の閉じ込めチャンバ内の仕事の合計は、次の通りである。
【数5】

【0036】
パワーは、行っている仕事量の時間レートである。もし単一のチャンバが連続的に動作していれば、パワーは、圧縮フェーズ及び膨張フェーズからなるシリンダの完全動作、即ち完全サイクル(力は圧縮フェーズの半分の間に加えられ、膨張フェーズ中に除かれる)を考慮しなければならない。
【数6】

または、
【数7】

【0037】
4つの閉じ込めチャンバを有する光子エンジンの場合には、パワーは次のようになる。
【数8】

【0038】
図1−7を参照する。これらの図は、本発明による装置の幾つかの実施の形態を示している。即ち、図1、3、5、及び7の各図は、本発明による光子エンジン、及びそれと共に使用されるこれもまた本発明による種々のデバイスの例を示している。またこれらの図は、光波を伝送する、またはそれ以外に処理するための本発明によるデバイスを示している。これらのデバイスの1つは、圧縮境界光スイッチである。これらのデバイスの別のものは主プリズムであり、これは、その中へ導入される(即ち、閉じ込めチャンバ内へ導入する前に)光波の強度を増加させるために、光波を増倍、または分割することができる。
【0039】
図1は、光または光波を処理する、またはそれ以外に伝送する、及び/または放射圧を利用して機械的仕事を発生させる本発明によるシステム、及び/または装置100の概要図である。詳述すれば、装置100は、装置内へ導入された、または装置によって処理された光波によって供給される放射を利用する光子エンジン100である。本発明の光子エンジン100は、光波を受けるための主プリズム106、主プリズム106に作動的に、及び集合的に組合わされている副プリズム107、及び閉じ込めチャンバ102(図1に破線で示す)を含むことが好ましい。主プリズム106及び副プリズム107は、面と面(または、壁と壁)とが向き合って圧縮境界界面114を形成するように位置定めされている。先に概要説明したように、そして図1a及び1bを参照して詳細を後述するように、界面114は、1つのモードにおいて、2つの面の間に接近可能な、即ち圧縮可能な空隙または真空ギャップを実際に含むことができる。
【0040】
例示した光子エンジン100は更に、実質的に同一のピストンハウジングまたはシリンダ108、ピストンアセンブリ110、及び反射鏡112の対を含む。閉じ込めチャンバ102は、副プリズム107の前面、シリンダ108、及び鏡112によって限定されている。高度に反射性の鏡112が、可動ピストン110の平面上に取付けられている。鏡112及びピストン110は、シリンダ108内を一緒に走行する。詳細は後述するが、ピストンアセンブリ110は、クランクシャフトアセンブリ等に機械的に結合することができる。
【0041】
図1から明白なように、反射鏡112及びピストンアセンブリ110が運動することによって、副プリズム107の少なくとも何れかの側において閉じ込めチャンバ102の容積が増加または減少する。鏡112は、調和して(より大きいピストン/クランクシャフトアセンブリの一部として)運動することが好ましい。更に、主プリズム106と副プリズム107との間の圧縮境界114は、これも本発明による光スイッチによって制御される。前述したように、光スイッチは、圧電駆動メカニズム116によって作動させることができる。圧電駆動メカニズム116が空隙を(圧縮して)閉じると、光は閉じ込めチャンバ102内へ通過することができる。従って、駆動メカニズム116の動作は、制御可能な手法で光スイッチ114の開閉を決定する。
【0042】
光子エンジン100は、主プリズム106及び副プリズム107のために石英材料を使用することが好ましい。詳述すれば、光子エンジン100は、石英の2つの基本特性、即ち圧電効果及び内部全反射(TIR)で動作する圧縮境界光スイッチを含む。圧電効果は石英が電界中に配置された時に発生する。即ち、石英は、電界が存在する中で膨張する。石英の結晶構造は、3つの主軸X、Y、及びZを有している。そのX軸に沿って配向されている電界を印加することによって石英は、電界の方向に基づいて膨張または収縮する。もし電界がX軸に沿って圧縮をもたらすのであれば、石英はY軸に沿って、またはY軸内で膨張する。膨張中の石英をY軸に沿って拘束することによって、石英内にY軸に沿う応力が発生する。X軸に沿って配向された電界によるY軸内のこの応力、及び結果として生ずるひずみの発生を使用して、2つの石英片(即ち、主プリズム106及び副プリズム107)を圧縮する。
【0043】
図1aは、閉モード、即ち非動作モードにおける圧縮境界界面114の詳細を示している。このモードにおいては、主プリズム106の背面106cは、副プリズム107の前面107cから離間している。スネルの法則及び入射角を考慮して、開モードにおける光スイッチの動作を容易にするために、両プリズムの屈折率は十分に類似させる(例えば、互いに約5%乃至約20%以内にあることが好ましい)。また、閉モードにおける光スイッチの動作を容易にするために、両プリズムの屈折率はボイド(または、空気空間)とは十分に異ならせる。その結果、2つの面106c、107cの間に空隙170が得られる。本明細書において使用されている圧縮境界、または界面114は、空隙170及び面106c、107cを総称している。図1aは、石英、即ち主プリズム106の座標、または軸X、Yをも示している。典型的には、閉モード、即ち非動作モードにおける空隙170は約2,000nm乃至50nm、より好ましくは約1,000nm乃至100nmの深さを有している。
【0044】
図1bは、圧電駆動メカニズム116が動作した時の圧縮境界114の圧縮を示している。電界が印加された時、または励起された時、結果として空隙170は約100nm乃至0nmまで圧縮される。前述したように、電界が印加されるとX軸に沿う収縮がもたらされ、Y方向に応力が発生する(石英材料または面106cがY方向に膨張することを阻止されている結果として)。好ましいことに、駆動メカニズム116が作動すると、それは主プリズム106及び副プリズム107に、より詳しくは面106c及び107cに作用する。好ましくは、空隙170は約100nm乃至約0nmの深さに、より好ましくは約50nm乃至約0nmの深さに圧縮される。
【0045】
図1a及び1bは、本発明による主プリズム106、及び/または圧縮境界170を通る光波AAの伝送をも示している。図1aにおいては、光波AAは約45°の入射角で背面106cに衝突する。空隙170によって与えられる屈折率に起因して、光波AAはTIRによってその入射角に対してほぼ90°の方向へ反射する。図1bにおいては、空隙170が実質的に排除されており、また副プリズム107の石英材料が主プリズム106のそれと実質的に類似しているので、2つの面106c、107cは1つの単一媒体として機能する。即ち、異なる屈折率(空隙170によって与えられる)の効果が排除される。従って、光波AAは面106cを通り、遮られることなく副プリズム107の面107cを通過する。
【0046】
スネルの法則は、放射、または電磁波が1つの媒体から他の媒体へ通過する時の効果を述べている。結果として生ずる角度は、両媒体の屈折率における入射角の関数である。もしスネルの法則の結果が虚数であれば、その電磁波はTIRである。本発明による光子エンジン100はこの現象を使用し、光波を主プリズム内に閉じ込める(別の実施の形態に関連して説明する)。
【0047】
圧電圧縮を通してTIRを結合、また除去することによって、本発明による光スイッチが得られる。電圧が印加されないオフモードにおいては光波はTIRであり、閉じ込めチャンバ112の外側に留まる。電圧が印加されると光スイッチはオンモードにあると呼ばれ、TIR境界が除去される。これによって、光波は圧縮境界または界面CCを通過して閉じ込めチャンバ112内へ進入することができる。従って、本発明の方法の重要なステップにおいては、光スイッチは、光を捕捉または閉じ込めるように迅速にオン、次いでオフに作動する。
【0048】
好ましくは、駆動メカニズム116は、圧電石英、即ちプリズム106、107に信号を送る高電圧・低電流(静電気に近い)の源を含む。主及び副プリズム106、107の適切な面に取付けられている例えば銅板によって、機械的接続が与えられる。駆動メカニズムは更に、極めて高速の(ギガヘルツ)パルスでスイッチングを行う電界効果トランジスタを含む。最も好ましくは、パルスはナノ秒の間開かせ、次いでミリ秒の間オフにさせる。
【0049】
図2は、ピストン210及び鏡212を含む可動アセンブリの一実施の形態の概要図である。このアセンブリは、質量m(及び特定の面積)及び反射率Eを特徴としている。動作中、距離dを走行して圧縮境界214を通り、副プリズム207内へ進入する放射によって、鏡面は光束p1で照射される。放射圧pは、集合的に、鏡212及びピストンアセンブリ210に作用する機械的力を発生する。
【0050】
図3に、本発明による光子エンジンの代替実施の形態300を示す。図3においては、類似の要素に対しては類似の参照番号を付してある。図示の変形においては、主プリズム306は副プリズム307に近接して位置定めされている。即ち、主プリズム306の背面306cは副プリズム307の前面307cから離間し、主プリズム306と閉じ込めチャンバ302との間に圧縮境界界面314を形成している。この実施の形態においては、境界界面314は八角形断面スイッチ素子を構成している。光子エンジン300の設計及び動作の他の全ての面は、図1に示した光子エンジン100と実質的に類似している。図1の光子エンジン100と同様に、光子エンジン300は1対のシリンダ308、シリンダ308内に運動可能なように受入れられているピストン310、及びピストン310上に取付けられている高度に反射性の鏡312を含んでいる。
【0051】
図4a及び4bは、本発明の主プリズムとして使用するのに適切な種々のジオメトリ構造を有するプリズム406を示している。プリズム406は、屈折率が1.45より大きい結晶性石英材料で作ることが好ましい。実際には、光波を屈折させ、通過させ、または反射させる高度に研磨された表面を設けることが重要である。図4のプリズム406の面A、B、及びCは、この目的のために研磨されている。
【0052】
図5は、本発明によって放射エネルギを異なる形状のエネルギ、即ち仕事に変換するためのシステム501の概要図である。システム501は、前述したような光子エンジン500を使用している。更に、システム501は、3MTM放射光フィルムでカバー、即ちコーティングすることができる内側放物面を有する主捕集鏡541を使用している。システム501は更に、主コレクタ541上に取付けられ且つ主コレクタ541の内側放物面から反射する光を反射させるように位置決めされている少なくとも1つの副コレクタ鏡540を含む、または使用している。副コレクタ540は表面が小さいことが特徴であり、外側表面を3MTM放射光フィルムでカバー、即ちコーティングすると有利である。システムには更に、副コレクタ鏡540、及び主コレクタ鏡541が集めた光を光子エンジン500へ伝送するための光案内545も設けられている。好ましくは、システム501は、スタンド及びベースアセンブリ544、及びシステム501を放射源に向けるためのポインティングコントローラ543を含む。
【0053】
図6a及び6bは、本発明の光子エンジンの変形、即ち多重シリンダ光子エンジン600の概要図である。これらの図面は、本発明のエンジン600の動作をも示している。図6aは、調和して往復動する2つのシリンダ608、6087’を含むエンジン600の前面図である。図6bの側面図には、光子エンジン600の一方の側に4つのシリンダ608が示されている。シリンダ608は、クランクシャフトアセンブリ611に作動的に組合わされているピストンアセンブリ610の走行を受入れる。
【0054】
図6aに戻って、光子エンジン600は八角形の主プリズム606を含み、主プリズム606は類似形状の副プリズム607に接して位置決めされている(少なくとも部分的に、背面606c及び前面607cによって形成される圧縮境界界面614を介して)。副プリズム607は、各シリンダ608、608’に、従って各シリンダ608、608’内の鏡612及びピストン610に通じている。図6bの側面図に示されている4つの主プリズム606及び4つの副プリズム607の各対は、シリンダ608の対またはバンク及びその中に位置定めされているピストン610及びクランクアセンブリ611に作動的に組合わされている。
【0055】
図6aに戻って、圧縮境界界面614はプリズム圧電駆動メカニズム616によって作動的に駆動され、前述したように圧縮境界光スイッチ(CBLS)を開閉するように動作する。図6aに614aで示されている界面は、閉位置にある(破線で示す)光スイッチを表している。図6aは、光エンジン600の外部に設けられている光波の源617をも示している。光波617は、先ずコレクタ鏡618を介して捕捉、または集中され、主プリズム606への入射放射として向け直される(矢印AA参照)。光波AAは、約45°の入射角で背面606cに衝突する。もし光スイッチが閉位置(614aとして破線で示す)にあれば、光波AAは界面614aから反射され(破線参照)、プリズム606の別の面を通るように方向を変えられる(そして、主プリズム606から出て行く)。
【0056】
界面614が開位置(614bとして実線で示す)にある場合には、光波AAは界面614bを通って走行し、閉じ込めチャンバ602内へ進入して背面606に衝突する(矢印AA’参照)。更に、プリズム606及び607は、光波AA’が閉じ込めチャンバ602に進入し、シリンダ608内へ真っ直ぐに向かうように構成されている。従って、光波AA’は、好ましくはほぼ垂直の角度で鏡面612と接触し、その結果、比較的高い反射率が達成される。図示のように、光波はほぼ垂直に反射され、開いていた、そして今は閉位置にある界面614bに向かって戻され、約45°の角度で界面に衝突する。従って反射した光波AA’は閉じられた界面614bから、閉じ込めチャンバ602の第2のシリンダ608の方向へ反射される。前述したように、反射した光波AA’は、ほぼ垂直な配向で第2の鏡612にも衝突し、垂直な配向で(そして、高い反射率で)反射されて戻る。このように、光波AA’は今走行して来た光路と同一の光路に沿って反射され、第2の鏡612に到達する。一面においては、他の要素の中で特にプリズム606、607、シリンダ608、608’の配向によって所定の光路が限定される。この所定の光路は、図6に両頭矢印AA’によって示されている。
【0057】
これも前述したように、光波AA’が鏡612の表面に接触することによって放射圧がそれに加えられる。この放射圧は鏡612及びピストンアセンブリ610を図6に“X”で示す距離だけ変位させる(それによって、仕事を発生させる)ように働く。更に、この変位によってクランクシャフトアセンブリ611が回転させられ、それによって機械的エネルギが発生する。別のモードにおいては、駆動メカニズム614を周波数変調モードで動作させて光スイッチを開閉させ、副プリズム607の内側の放射の周波数に関係付けられた時間スケールで光が副プリズム607内へ進入できるようにすることができる。このようにして、ピストンアセンブリ612上の放射圧が増強される。
【0058】
図7は、本発明による光子エンジンの更に別の代替実施の形態の概要図であり、類似の要素には類似の参照番号が付されている。詳述すれば、図7aは、主プリズム706、及び主プリズム706内に埋め込まれている光ビーム拡張器/収縮器762を利用する副プリズム707の配列を示している。詳述すれば、光ビーム拡張器/収縮器762は、光ビームを複数回分割してそれをそれ自体の上に向け直すように機能し、最終的に閉じ込めチャンバ702a内へ導入される光波の強度を増加させる。
【0059】
図7の実施の形態においては、主プリズム706は八角形の形状であり、従って、8つの面または壁706a−706h(それらの若干だけが示されている)を有している。先行実施の形態におけるように、主プリズム706は石英材料で作ることが好ましい。主プリズム706は、第1の面706aから伸びる突起760を含み、この突起760はビーム入口として役立つ。ビーム入口760は、集中した円形の形状を有していることが好ましい。更に、主プリズム706の別の面706cは、副プリズム707の前面707cに接近して、またそれから離間して位置決めされる。前述したように、界面714は、本発明によって適切な駆動メカニズムによって動作させられて圧縮境界光スイッチを構成する。
【0060】
図7bの詳細図を参照する。本発明の更に別の面においては、主プリズム706には、主プリズム706の内部に位置決めされ且つ石英材料706’内に埋め込まれている光ビーム拡張器/収縮器762が設けられている。図7c及び7dには、拡張器/収縮器762のさらなる詳細が示されている。
【0061】
図7dを参照する。光拡張器/収縮器762は、石英材料706’内に埋め込まれているファセット付き石英ブロックである。物理的には、光拡張器/収縮器762は、その中に切られている同心状の空気界面786を有する石英材料706’の湾曲した円形区分である。ファセット付き石英ブロック762は、所与の直径を有する入射光ビームAAに心合わせされている。図7bに示すように、石英ブロック(即ち、光拡張器/収縮器762)は、1組の石英・空気界面の同心状の45°ファセットを有している。クロスハッチされた区分は、主プリズム706の石英材料706’、並びに石英ブロック762の石英材料706”を示している。残余のクロスハッチされていない領域は、石英材料が存在しないボイドである空気、または真空界面782である。より重要なことは、これらの空気界面782が石英材料の光学特性(即ち、屈折率)とは異なる光学特性を有することである。図7b及び平面図である図7cには、同心状の界面の外側シリンダを構成している同心状の鏡780も示されている。後述するように、鏡780は、動作中に光の最も外側の直径の同心状のシリンダを反射させるように機能し、それによって光路を反転させ、光収縮プロセスを開始させる。
【0062】
図7dは、本発明の光拡張器/収縮器762が、主プリズム706を通って走行する光ビームAAをどのように伝送、またはそれ以外に処理するかを示している。第1の伝送モードにおいては、光ビームAAE(拡張)は45°石英・空気界面784において反射する。各入射ビームは、外向きの方向に2回の90°反射を受け、それによってビームの直径はより大きい直径に変換(拡張)される。逆モードにおいては、光ビームAAC(収縮)は再度石英・空気界面784に衝突し、再び2回の90°反射を受けてその直径がより小さい直径に変換(収縮)される。
【0063】
以上のように、光拡張器/収縮器762は3つの動作、即ち、光拡張、光反射、及び光収縮を行う。光反射(AAL)は、光ビームAAが最大同心状シリンダまで拡張される度に1回発生する。これは、光AAL(反射)の方向を反転させる鏡780からの反射によって促される。光ビームが完全に拡張、収縮した時に光スイッチ(圧縮境界界面714)が活動化され、それによって閉じ込めるチャンバ702は図7gに示すように、2つの方向において充填され得るようになる。図7hは、ビーム束が主プリズム706内において増倍された後に、鏡710及びピストンアッセッブリ(図示せず)に作用する結果として生ずるビームパターンを示している。全ての光が閉じ込めるチャンバ702内に注入されると、光スイッチは閉位置に戻されるので、結果として生ずる閉じ込めチャンバ702内に閉じ込められる。このように、主プリズム706からの光ビーム束の増倍が、より高いパワー出力をもたらす。
【0064】
図7e及び7fは、圧縮境界光スイッチが閉モード、即ちオフモードにある時の主プリズム706の一般的動作を示している。収集された光ビームAAは、ビーム入口760を通してほぼ垂直の角度で主プリズム706内へ導入される。好ましくは、ビーム入口760は、主プリズム706内へ導入された光ビームAAが背面706c及び圧縮境界界面714へ向かって導かれるように配置する。最初に光スイッチは閉モード、即ち反射ステージにある。従って、光ビームAAはほぼ垂直の角度で、且つ主プリズム706の別の面706eに向かって反射する。この反射した光ビームAAの入射角は、光ビームAAがプリズム面706e(及び、次の面706g)からも反射するようになっている。従って、図7eに示すように、光ビームAAは、最初は内部全反射によって主プリズム706を周って回転する。
【0065】
好ましくは、収集されたビームAAは、主プリズム706に進入してビーム拡張器/収縮器762に進入するまでに、3回の光反射を受ける。光ビームAAがビーム拡張器/収縮器762に進入する方向は、ビームAAが拡張されるのか、または収縮されるのかを決定する。図7eには、光ビームAAは主プリズム706内を時計方向に回転するように示されている。この方向では、光ビームは、ビーム拡張器/収縮器762内へ進入すると拡張される。反対に、光ビームAAは主プリズム内で反時計方向に導くことができる。図7fに示すように、光ビームAAは、結果として光ビームが収縮するようにビーム拡張器/収縮器762に進入する。各回転、及びビーム拡張器/収縮器への導入によって光ビームAAは、同心状のシリンダの次のレベルへ拡張、または収縮する。しかしながら、拡張は、最大レベルの同心状シリンダにおける反射鏡によって制限される。この点において、光ビームAAの方向が反転され、それによって収縮プロセスが再開される。
【0066】
しかしながら、本発明による装置の構成要素の種々の配列及び展開が可能であること、及び特定の環境及び応用に従って変化することを理解されたい。しかしながら、上述したように、如何なる応用においても本発明の種々の面を適用することが可能である。例えば閉じ込めチャンバの設計、光学的スイッチングデバイス、及び光増倍装置または光波増強装置のような光エンジンの種々の面を、他のエンジンまたは機械的仕事デバイスと組合わせることができる。さらなる例として、ピストン及びシリンダアセンブリは、エネルギ蓄積デバイス(例えば、ばねデバイス)のような別のエネルギシステムに置換することができる。
【0067】
以上の本発明の説明は、単なる説明のためになされたに過ぎない。以上の説明は、本発明を、開示した装置及び方法に限定する意図がないことに注目されたい。上述した本発明の種々の面は、他の型のエンジン及び機械的仕事デバイス、及び放射圧を利用して機械的仕事を発生する方法に適用することができる。また、本発明が、上述した方法、これらの方法内に使用される装置、及び関係付けられた構成要素及びサブシステム内に実現されていることにも注目されたい。本発明のこれらの変形は、光学、エンジン技術、または他の関連技術に精通していれば、本明細書から容易に理解できよう。従って、上述した教示と同等の変形及び変更、及び関連技術のスキル及び知識は、本発明の範囲内にある。また更に、上述した実施の形態は、本発明を実施するための最良モードを説明するために、及び他の当分野に精通する人々が本発明及び他の実施の形態を、本発明の特定の応用または用途によって要求される種々の変更と共に使用することを可能にするために意図されたものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光波によって供給される放射圧を利用して機械的仕事を発生させる方法であって、
光波の伝播を閉じ込めるための閉じ込めチャンバを準備するステップと、
前記閉じ込めチャンバの第1の位置に第1の反射表面を有する可動反射鏡を、及び前記閉じ込めチャンバ内の第2の位置に第2の反射表面を位置決めするステップと、
を含み、
前記第1及び第2の反射表面の位置及び配向は、少なくとも部分的に、所定の反射光路を限定するように予め定められており、
前記方法は、前記閉じ込めチャンバ内へ光波を導入するステップを更に含み、
前記導入ステップは、前記導入された光波を最初に前記反射表面の一方の方向へ導き、それによって最初に前記反射性表面に接触させて前記最初の反射表面に放射圧を作用させ、次いで前記最初の反射表面に対してほぼ垂直な角度で反射させ、それによって前記反射した光波が前記反射表面の他方に対してほぼ垂直な角度で反射するように前記反射した光波を前記所定の通路に沿って走行させ、前記光波が再度前記最初の反射表面に対してほぼ垂直な角度で反射するように、且つ前記光波が所定の光路に沿って前記反射表面の間を複数のサイクルにわたって伝播して前記最初の反射表面に放射圧を繰り返し作用させるように前記最初の反射光路の方向に戻し、それによって前記最初の反射表面を所定の通路に沿って走行させて機械的仕事を発生させることを含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記最初の反射表面は前記第1の反射表面であり、前記導入された光波を導くステップは、前記光波を前記第1の反射表面の方向へ導くことを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記位置決めステップは、第2の可動反射鏡を前記閉じ込めチャンバ内に位置決めするステップを含み、前記第2の反射鏡は前記第2の反射表面を有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記導入された光波を導くステップは、前記光波を前記第2の反射表面に繰り返し接触させて前記第2の反射表面に放射圧を繰り返し作用させ、それによって前記第2の反射表面を第2の所定の通路に沿って走行させて機械的仕事を発生させることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
プリズムを準備し、前記プリズムの体積が前記閉じ込めチャンバの一部分を形成し且つ前記プリズムの少なくとも1つの面が前記閉じ込めチャンバの境界を形成するように前記プリズムを位置決めするステップを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記導入ステップは、前記光波を前記1つの面を通して前記プリズム内へ導くことを含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記導入ステップの前に、前記プリズムの前記1つの面を光学的に開いて前記光波を前記1つの面を通して前記閉じ込めチャンバへ進入させるステップと、
前記導入ステップの後に、前記1つの面を閉じて前記導くステップが前記光波を前記1つの面において繰り返し反射させるステップと、
を更に含むことを特徴とする請求項6に記載のステップ。
【請求項8】
前記位置決めステップは、第2の可動反射鏡を前記閉じ込めチャンバ内に位置決めするステップを含み、前記第2の反射鏡は前記第2の反射表面を有し、前記導くステップは前記光波を前記第1の反射表面、前記第2の反射表面、及び前記プリズムの前記1つの面の間で伝播させることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
第2のプリズムを準備し、前記第2のプリズムをその1つの面が前記第1のプリズムの1つの面に近接して位置するように位置決めするステップを更に含み、
前記第1の面を開くステップは、前記第1のプリズムの1つの面を前記第2のプリズムの1つの面に対して圧縮し、前記圧縮された両面に透明な界面を形成させることを含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
複数のサイクルが終了した後に、前記第1のプリズムの前記1つの面を開くステップを繰り返すステップと、別の光波に関して前記導入ステップを繰り返すステップと、前記第1のプリズムの前記1つの面を閉じるステップを繰り返すステップとを更に含み、前記第1の、または前記第2の反射表面への繰り返し接触が放射圧をもたらし、前記反射表面を所定の通路に沿って運動させて機械的仕事を発生させることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記可動反射鏡はピストン及びシリンダアセンブリと作動的に組合わされ、前記第1の反射表面の運動が前記ピストンを所定の通路に沿って運動させて機械的仕事を発生させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
光波によって供給される放射圧を利用して機械的仕事を発生させる方法であって、
光波の伝播を閉じ込めるための閉じ込めチャンバを準備するステップと、
前記閉じ込めチャンバの第1の位置に第1の反射表面を有する可動反射鏡を、及び前記閉じ込めチャンバ内の第2の位置に第2の反射表面を位置決めするステップと、
を含み、
前記第1及び第2の反射表面の位置及び配向は、少なくとも部分的に、所定の反射光路を限定するように予め定められており、
前記方法は、前記閉じ込めチャンバ内へ光波を導入するステップを更に含み、
前記導入ステップは、前記導入された光波を一方の反射表面の方向へ導き、それによって前記光波を所定の光路に沿って前記第1の反射表面と前記第2の反射表面との間で複数のサイクルにわたって伝播させ、それによって前記光波を前記第1の反射表面に接触させて前記第1の反射表面に放射圧を作用させ、次いで前記最初の反射表面に対してほぼ垂直の角度で反射させることを含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
別の光波に関して前記導入ステップを繰り返し、それによって前記第1の反射表面に繰り返し接触させて前記光波に放射圧を作用させ、前記第1の反射表面を所定の通路に沿って運動させるステップを更に含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記位置決めステップは、第2の可動反射鏡を前記閉じ込めチャンバ内に位置決めするステップを含み、前記第2の反射鏡は前記第2の反射表面を有し、前記導入された光波を導くステップは、前記光波を前記第2の反射表面に繰り返し接触させて前記第2の反射表面に放射圧を繰り返し作用させ、それによって前記第2の反射表面を第2の所定の通路に沿って走行させて機械的仕事を発生させることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
プリズムを準備し、前記プリズムの体積が前記閉じ込めチャンバの一部分を形成し且つ前記プリズムの少なくとも1つの面が前記閉じ込めチャンバの境界を形成するように前記プリズムを位置決めするステップを更に含み、前記導入ステップは前記光波を前記1つの面を通して前記プリズム内へ導くことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記導入ステップの前に、前記プリズムの前記1つの面を光学的に開いて前記光波を前記1つの面を通して前記閉じ込めチャンバへ進入させるステップと、
前記導入ステップの後に、前記1つの面を閉じて前記導くステップが前記反射した光波を前記1つの面において繰り返し反射させるステップと、
を更に含むことを特徴とする請求項15に記載のステップ。
【請求項17】
第2のプリズムを準備し、前記第2のプリズムをその1つの面が前記第1のプリズムの前記1つの面に近接して位置するように位置決めするステップを更に含み、
前記第1の面を開くステップは、前記第1のプリズムの前記1つの面を前記第2のプリズムの前記1つの面に対して圧縮し、前記圧縮された両面に透明な界面を形成させることを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
光波によって供給される放射圧を利用して機械的仕事を発生させる装置であって、
光波の伝播を所定の反射光波通路に沿って閉じ込めるように作られている閉じ込めチャンバと、
光波が前記閉じ込めチャンバへ進入することを可能にする開モードで、及び光波が前記閉じ込めチャンバから逃げ出すのを阻止する閉モードで選択的に動作可能な光学スイッチと、
前記閉じ込めチャンバの1つの端に位置決めされている第1の反射表面を有する反射鏡、及び前記閉じ込めチャンバの第2の端に位置決めされている第2の反射表面と、
を含み、
前記所定の光路は、第1の反射表面と前記第2の反射表面との間を伸び、
前記光路を前記第1の反射表面に対して繰り返し接触させ、放射圧を前記第1の反射表面に繰り返し作用させて前記可動反射鏡を所定の通路に沿って走行させることを可能にしそれによって機械的仕事を発生させる、
ことを特徴とする装置。
【請求項19】
前記閉じ込めチャンバの第2の端に位置決めされている第2の可動反射鏡を更に含み、前記第2の反射鏡は前記第2の反射表面を有していることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記閉じ込めチャンバ内に位置決めされている第1のプリズムを更に含み、前記第1のプリズムの体積が前記閉じ込めチャンバの一部分を形成し且つ前記第1のプリズムの1つの面が前記光学スイッチのゲートを形成し、
前記閉じ込めチャンバに近接して位置決めされている第2のプリズムを更に含み、前記第2のプリズムの1つの面は前記第1のプリズムの前記1つの面に近接して位置し、前記第1のプリズムと前記第2のプリズムとの間を圧縮することにより前記光学スイッチが前記開モードと前記閉モードとの間で動作する、
ことを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項21】
第1のピストン及び第2のピストンを更に含み、前記各ピストンは対応する第1または第2の可動反射鏡に作動的に組合わされ、前記可動反射鏡の運動が前記ピストンを走行させることを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
光波によって供給される放射圧を利用して機械的仕事を発生させる方法であって、
光波の伝播を閉じ込めるための閉じ込めチャンバを準備するステップと、
反射表面を有する可動反射鏡を前記閉じ込めチャンバの第1の位置に位置決めするステップと、
光波を前記閉じ込めチャンバ内へ導入するステップと、
を含み、
前記導入ステップは、前記光波を前記反射表面の方向へ導き、それによって前記光波を前記反射表面に接触させてそれに放射圧を作用させる、
ことを特徴とする方法。
【請求項23】
別の光波に関して前記導入ステップを繰り返し、それによって前記光波を前記第1の反射表面に繰り返し接触させて放射圧を作用させ、前記第1の反射表面を所定の通路に沿って運動させるステップを更に含むことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記位置決めステップは、第2の可動反射鏡を前記閉じ込めチャンバ内に位置決めするステップを含み、前記第2の反射鏡は第2の反射表面を有し、前記導入された光波を導くステップは、前記光波を前記第2の反射表面に繰り返し接触させて前記第2の反射表面に放射圧を繰り返し作用させ、それによって前記第2の反射表面を第2の所定の通路に沿って走行させることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
プリズムを準備し、前記プリズムの体積が前記閉じ込めチャンバの一部分を形成し且つ前記プリズムの少なくとも1つの面が前記閉じ込めチャンバの境界を形成するように前記プリズムを位置決めするステップを更に含み、前記導入ステップは前記光波を前記1つの面を通して前記プリズム内へ導くことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記導入ステップの前に、前記プリズムの前記1つの面を光学的に開いて前記光波を前記1つの面を通して前記閉じ込めチャンバへ進入させるステップと、
前記導入ステップの後に、前記1つの面を閉じて前記導くステップが前記反射した光波を前記1つの面において繰り返し反射させるステップと、
を更に含むことを特徴とする請求項25に記載のステップ。
【請求項27】
第2のプリズムを準備し、前記第2のプリズムをその1つの面が前記第1のプリズムの前記1つの面に近接して位置するように位置決めするステップを更に含み、
前記第1の面を開くステップは、前記第1のプリズムの前記1つの面を前記第2のプリズムの前記1つの面に対して圧縮し、前記圧縮された両面に透明な界面を形成させることを含む、
ことを特徴とする請求項26に記載の方法であり、光波によって供給される放射圧を利用して機械的仕事を発生させる方法であって、
光波の伝播を閉じ込めるための閉じ込めチャンバを準備するステップと、
反射表面を有する可動反射鏡を前記閉じ込めチャンバの第1の位置に位置決めするステップと、
光波を前記閉じ込めチャンバ内へ導入するステップと、
を含み、
前記導入ステップは、前記光波を前記反射表面の1つの方向へ導き、それによって前記光波を前記第1の反射表面に接触させて前記第1の反射表面に放射圧を作用させる、
ことを特徴とする方法。
【請求項28】
別の光波に関して前記導入ステップを繰り返し、それによって前記光波を前記第1の反射表面に繰り返し接触させて放射圧を作用させ、前記第1の反射表面を所定の通路に沿って運動させるステップを更に含むことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記位置決めステップは、第2の可動反射鏡を前記閉じ込めチャンバ内に位置決めするステップを含み、前記第2の反射鏡は第2の反射表面を有し、前記導入された光波を導くステップは、前記光波を前記第2の反射表面に繰り返し接触させて前記第2の反射表面に放射圧を繰り返し作用させ、それによって前記第2の反射表面を第2の所定の通路に沿って走行させることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項30】
プリズムを準備し、前記プリズムの体積が前記閉じ込めチャンバの一部分を形成し且つ前記プリズムの少なくとも1つの面が前記閉じ込めチャンバの境界を形成するように前記プリズムを位置決めするステップを更に含み、前記導入ステップは前記光波を前記1つの面を通して前記プリズム内へ導くことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記導入ステップの前に、前記プリズムの前記1つの面を光学的に開いて前記光波を前記1つの面を通して前記閉じ込めチャンバへ進入させるステップと、
前記導入ステップの後に、前記1つの面を閉じて前記導くステップが前記反射した光波を前記1つの面において繰り返し反射させるステップと、
を更に含むことを特徴とする請求項25に記載のステップ。
【請求項32】
第2のプリズムを準備し、前記第2のプリズムをその1つの面が前記第1のプリズムの前記1つの面に近接して位置するように位置決めするステップを更に含み、
前記第1の面を開くステップは、前記第1のプリズムの前記1つの面を前記第2のプリズムの前記1つの面に対して圧縮し、前記圧縮された両面に透明な界面を形成させることを含む、
ことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項33】
光波を伝送する方法であって、
第1の面を有する第1の透明光学媒体を準備するステップと、
第2の面を有する第2の透明光学媒体を前記第1の媒体に対して前記第1の面を前記第2の面から離間させ、それによって前記第1の媒体と前記第2の媒体との間に第3の光学媒体が得られるように位置決めするステップと、
を含み、
前記第1の媒体が前記第2の媒体の屈折率と実質的に類似した屈折率を有し、
前記方法は更に、
前記第2の媒体を前記第1の媒体に対して圧縮し、それによって前記第3の媒体を実質的に排除するステップ、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項34】
前記第1の透明光学媒体及び前記第2の光学媒体は、同一の材料であることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記圧縮ステップは、前記第1及び第2の媒体の一方に圧電効果を印加することを含むことを特徴とする請求項33に記載の方法。

【図1】
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【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図7d】
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【図7e】
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【図7f】
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【図7g】
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【図7h】
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【公開番号】特開2013−100819(P2013−100819A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−273140(P2012−273140)
【出願日】平成24年12月14日(2012.12.14)
【分割の表示】特願2006−507385(P2006−507385)の分割
【原出願日】平成16年3月19日(2004.3.19)
【出願人】(505352275)スペースデザイン コーポレイション (3)
【Fターム(参考)】