放射性同位体材料を生成するための標的体およびその使用
標的体(12)から、濃縮された放射性同位体出発材料(14)を再生するためのシステムおよび方法が提供される。本システムおよび方法は、標的体の衝突後、比較的短時間(例えば、数時間)で、エネルギー粒子によって出発材料を再生することができ、標的体の化学処理を大幅に簡素化し、そのような処理(例えば、費用のかかる長期間の保存の必要性を減らす)の費用を低減する。具体的には、化学保護層(16)は、放射性同位体出発材料(14)と標的体(12)の基材(14)との間に配置される。標的体が、好適な源(例えば、粒子加速器)によって照射された後、次いで、化学保護層によって提供される保護のため、基材を除去することなく、照射された放射性同位体出発材料を取り除くことが可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、放射性同位体材料に関し、より具体的には、放射性同位体材料を効率的に生成するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本項は、本発明の種々の側面に関連し得、以下に説明および/または請求される、当技術分野の種々の側面を読者に紹介することを目的とする。本議論は、読者に背景技術情報を提供し、本発明の種々の側面のさらなる理解を促進する際に役立つと考えられる。故に、これらの記述は、従来の技術の承認としてではなく、この観点から読まれるべきものであることを理解されたい。
【0003】
放射性同位体の生成は、粒子加速器を介して、濃縮された放射性同位体出発材料を含有する標的上に、荷電または非荷電粒子を加速することによって達成可能である。典型的には、そのような材料は、高比率の非放射性材料を含み、非放射性材料が、エネルギー粒子(例えば、陽子または中性子)によって照射されると、少なくとも部分的に、放射性材料に変質し得る。その上に蒸着される非放射性出発材料を有する標的と衝突する際、荷電粒子(例えば、陽子)は、濃縮された放射性同位体出発材料の原子核と相互作用し、放射性同位体出発材料内で核反応を誘発し、それによって、所望の放射性同位体を生成する。残念ながら、標的の衝突の際、加速された陽子は、出発材料に隣接して配置される標的の基材(base material)とも相互作用し、それによって、比較的長期の減衰期間または半減期(放射性材料の初期量を半減するのに要する時間)を呈し得る、放射性同位体を生成する場合がある。その結果、基材の長期半減期放射性同位体は、出発材料の非放射性部分の即時再生を防止する傾向にある。結果として、放射線レベルが安全レベルに低下し、出発材料の供給源の非放射性部分の再生を可能にするまで、かなりの時間を要し得、ある場合には、6ヶ月以上を要する。この間、高放射性材料は、概して、特別領域内に保存されるため、放射性同位体の生成費用を大幅に増大させ得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
要旨
本発明の特定の例示的側面は、以下に記載される。これらの側面は、単に、本発明がとり得る特定の形態の概要を読者に提供するために提示されるものであって、これらの側面が、本発明の範囲を制限することを意図するものではないことを理解されたい。実際、本発明は、以下に記載され得ない種々の側面も包含する場合がある。
【0005】
エネルギー荷電粒子と衝突する標的体から、濃縮された放射性同位体出発材料を再生するためのシステムおよび方法が提供される。本システムおよび方法によって、オペレータは、標的体の衝突後、比較的短時間(例えば、数時間)で出発材料を再生することが可能となり、標的体の化学処理を大幅に簡素化し、そのような処理の費用を低減する(例えば、費用のかかる長期間に及ぶ保存の必要性を減らす)。具体的には、いくつかの実施形態では、化学保護層が、放射性同位体出発材料と標的体の基材との間に介在される。標的体が、好適な源(例えば、粒子加速器)によって照射された後、次いで、化学保護層によって提供される保護に起因して、基材を除去せずに、照射された放射性同位体出発材料を取り除くことが可能である。例えば、化学保護層は、照射された放射性同位体出発材料を除去するために使用される化学薬品に対し、化学的に耐性であってもよい。本システムおよび方法によって、オペレータは、標的体の単回衝突において、3つの異なる放射性同位体を得ることができ、放射性同位体生成の費用をさらに低減する。例えば、照射された放射性同位体出発材料は、概して、化学保護層と反応しない第1の化学薬品を介して除去され、続いて、化学保護層は、概して、基材と反応しない第2の化学薬品を介して除去され、次いで、基材は、続いて、第3の化学薬品を介して除去されてもよい。
【0006】
本発明の第1の側面は、エネルギー粒子と衝突すると、放射性医薬品が取得され得る放射性同位体を産出する、放射性同位体出発材料(例えば、タリウム203)を有する標的体を対象とする。放射性同位体出発材料は、化学保護層(例えば、粗仕上げまたはつや消し仕上げを有するクロム)上に配置され、次に、標的体の基層(例えば、銅またはアルミニウム)上に配置される。標的体は、エネルギー粒子で照射される標的体から熱を除去するように適合される、冷却剤システム(例えば、水等の循環流体冷却剤)に連結されてもよい(例えば、直接または間接的に接続される)。
【0007】
本発明の第2の側面は、放射性同位体の生成の際に使用するための標的体を対象とする。本標的体は、基盤(base)と、基盤上に配置される保護層と、保護層上に配置される放射性同位体出発材料とを含む。基盤、保護層、および出発材料は、保護層が、基盤と放射性同位体出発材料との間に介在されるように配向される。さらに、本標的体の基盤は、冷却路を含む。
【0008】
さらに本発明の第3の側面は、その上に配置される保護層を有する標的体を生成するための方法を対象とする。保護層(例えば、クロム層)は、標的体の基層上に電気めっきされてもよい。標的体の基層上のクロムの電気めっきは、粗い質感を有する表面を得るように行われてもよい。換言すると、表面は、光沢のある外観および平滑な感触ではなく、くすんだ外観および比較的粗い感触をとり得る。クロムの表面の粗い質感は、放射性同位体出発材料を保持するために好適な表面形態を提供する。例えば、本表面形態は、比較的長時間の電気めっきプロセス(例えば、5分ではなく、30分)によって達成されてもよい。
【0009】
さらに本発明の第4の側面は、放射性同位体の生成の際に使用するための標的体を生成するための方法を対象とする。本方法では、保護層(例えば、クロム層)は、標的体の基盤上に電気めっきされる。したがって、放射性同位体出発材料(例えば、タリウム203)は、保護層が、基盤と放射性同位体出発材料との間に位置するように、保護層上に蒸着される。
【0010】
さらに本発明の第5の側面は、照射された標的体から、材料を除去するための方法を対象とする。本側面では、第1の放射性同位体材料を含有する第1の層は、照射された標的体から化学的に剥離される。標的体の第2の層の除去は、標的体の第3の層を使用して、実質的に妨害または防止される。標的体のこの第3の層は、第1の層が、照射された標的体から化学的に剥離されるのに先立って、第1の層と第2の層との間に位置される。
【0011】
さらに本発明の第6の側面は、放射性同位体を生成するための方法を対象とする。本方法では、エネルギー粒子は、標的体の化学保護層上に蒸着される出発材料上で衝突し、出発材料の放射性同位体を生成する。
【0012】
さらに第7の側面では、本発明は、放射性同位体を生成するためのシステムを対象とする。本システムは、粒子加速器と、標的体と、粒子加速器に連結される制御システムとを含む。本第7の側面の標的体は、基盤と、基盤の表面上に配置される保護層と、保護層上に配置される放射性同位体出発材料とを含む。本保護層は、基盤と放射性同位体出発材料との間に位置する。さらに、保護層は、クロム、タンタル、タングステン、金、ニオブ、アルミニウム、ジルコニウム、または白金、あるいはそれらの組み合わせを含む。
【0013】
本発明の種々の側面に関連して上述した特徴には、種々の改良点が存在する。さらなる特徴も、同様にこれらの種々の側面に組み込むことができる。これらの改良点およびさらなる特徴は、個々に、またはあらゆる組み合わせで存在する場合がある。例えば、図示した実施形態のうちの1つ以上に関連して以下に説明する種々の特徴は、本発明の上述の側面のみに、またはそのあらゆる組み合わせに組み込むことができる。また、上述した課題を解決するための手段は、主張した内容を制限することなく、単に、本発明の特定の側面およびコンテキストに読者を精通させることを意図したものである。
【0014】
本発明のこれらの、および他の特徴、側面、および利点は、添付図面を参照して以下の発明を実施するための形態を読み取ることで、より良く理解されよう。複数の図面を通じて、同じ参照番号は同じ要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】粒子加速システムのブロック図である。
【図2】サイクロトロンの略図である。
【図3】線形粒子加速器の略図である。
【図4】切除された標的体の断面図である。
【図5】標的体の斜視図である。
【図6】標的体の斜視図である。
【図7】標的体を調製するための方法の流れ図である。
【図8】標的体の電気めっきのための方法の流れ図である。
【図9】放射性同位体を生成するための方法の流れ図である。
【図10】標的体から、複数の放射性材料を収集するための方法の流れ図である。
【図11】医療用画像を使用するための方法の流れ図である。
【図12】画像化システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の1つ以上の特定の実施形態を説明する。これらの実施形態の簡潔な説明を提供する努力において、実際の実装のすべての特徴が本明細書に記載されない場合がある。あらゆる技術または設計計画におけるように、任意のそのような実際の実装の開発においては、実装によって異なり得るシステム関連およびビジネス関連の制約に適合させるといった、開発者が目指す特定の目標を達成するためには、実装特有の多数の決定を行わなければならないものと理解されたい。さらに、そのような開発努力は、複雑かつ時間がかかるであろうが、それでもなお、本開示の利益を受ける当業者にとっては、設計、加工、および製造を行うルーチンであるということを理解されたい。
【0017】
本発明の種々の実施形態の要素を導入する場合、冠詞「a」、「an」、「the」および「said」は、1つ以上の要素の存在を意味するように意図されている。「備える」、「含む」、および「有する」という用語は、包括的であることを意図しており、記載された要素以外のさらなる要素が存在することを意味する。さらに、「上部」、「下部」、「〜の上に」、「〜の下に」、およびこれらの用語の変形例は、便宜上使用されるものであり、構成要素のいかなる特定の配向も必要としない。本明細書で使用されるように、「連結される」とは、直接または間接的に接続される、または接触している状態を示す。
【0018】
ここで図面を参照すると、図1は、例示的粒子加速システム10のブロック図である。システム10は、複数の層を有する標的体12を含み、これらのうちの少なくとも1つは、層がエネルギー荷電粒子によって照射されると、放射性同位体を生成するために適合される。標的体12は、エネルギー荷電粒子に衝突または照射されると、放射性同位体を生成し得る濃縮された放射性同位体出発材料を含む、層14を含んでもよい。次に、放射性同位体は、医療診断または治療目的のための放射性医薬品として、単独、または他の物質(例えば、標識剤(Tagging agent))と組み合わせて、使用されてもよい。層14は、カドミウム112、亜鉛68、またはタリウム203、あるいはそれらの組み合わせ等、放射性同位体出発材料を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、層14は、放射性医薬品タリウム201が得られ、核医学において使用可能な、濃縮されたタリウム203を含んでもよい。
【0019】
層14を成す出発材料は、標的体12上に出発材料を保持するように構成される、つや消し仕上げまたは粗表面を有する保護層16上に配置されてもよい。換言すると、保護層16の表面は、くすんだ外観および粗い感触をとり得る。保護層16は、基層18を化学的に遮蔽するように適合される化学薬品保護層である一方、標的体12は、標的体12の照射から生成される所望の放射性医薬品を得るように、化学的に処理される。保護層16は、クロム、および/または、層14が、衝突後、標的体12から化学的に剥離される際に使用される化学物質に対し不活性である、イリジウム、タンタル、タングステン、金、ニオブ、アルミニウム、ジルコニウム、または白金、あるいはそれらの組み合わせ等、他の材料を含んでもよい。すなわち、層16は、概して、基層18内に含有される、長期半減期を有する望ましくない放射性同位体副産物が、層14から生成される放射性同位体を含有し得る、硝酸等の化学剥離溶液内に溶解しないように防止してもよい。このように、保護層16は、出発材料が、比較的短時間で容易に再生され得るように、所望の放射性同位体のみ、化学剥離手順を介して得られることを確実にし得る。
【0020】
保護層16は、あらゆる接着層も中間層も使用せず、電気めっき、または基層18上への層16の形成を可能にする他の方法を介して、基層18上に蒸着されてもよい。例えば、標的体12は、比較的長時間(例えば、15、20、25、30、45、50分以上)電気めっきされ、基層18上の保護層16の量および粗度を増大してもよい。クロムの好適な粗層16は、クロムの従来の電気めっき(例えば、数分以下)よりも大幅に上回る約25〜30分間、基層18を電気めっきすることによって達成され得ることが分かっている。本長時間のクロムの電気めっきの結果(例えば、比較的厚い粗層16)は、概して、クロムの平滑な光沢層が望ましい他の用途には望ましくないことに留意されたい。そうは言っても、長時間の電気めっき特有の結果は、電気めっきされた層16上に他の材料を接着する改良された能力である。
【0021】
標的体12の基層18は、銅、アルミニウムおよび/または他の伝導性材料等、金属を含んでもよい。例えば、基層18は、アルミニウムから成形され、次いで、銅によって被覆されてもよい。伝導性であることによって、標的体12の基層18は、標的体12が照射される間、温度上昇に伴って、標的体12から、熱を効率的に逃がすように適合され得る。
【0022】
粒子加速システム10は、線22によって示されるように、荷電粒子を加速するように構成される粒子加速器20を含む。荷電粒子22は、粒子22が標的体12と衝突すると、放射性同位体材料を生成するのに十分なエネルギーを得るように加速する。したがって、層14は、放射性同位体と放射性同位体出発材料との混合物を含んでもよい。放射性同位体の生成は、加速された粒子22が、層14の出発材料と相互作用すると生じる、核反応を通して促進される。例えば、放射性同位体タリウム201を生成すると、濃縮されたタリウム203は、加速器20を介して加速される陽子22によって照射されてもよい。陽子22は、粒子22が、標的体12の方へ加速され得るように、加速器20内に荷電粒子22を注入する粒子源24から生じてもよい。
【0023】
加速された荷電粒子22が、標的体12と衝突すると、粒子の運動エネルギーのかなりの量は、標的体12によって吸収され得る。加速された粒子22によって付与されるエネルギーの吸収は、標的体12を加熱させ得る。標的体12の過熱を緩和するために、標的体12は、標的体12に隣接して配置される冷却剤システム26に連結され得る。冷却剤システム26は、水等の流体が、標的体12に沿って、または通して循環し、それによって、その照射の間、標的体12によって吸収される熱を除去し得るように、標的体12に流体的に連結される流体コネクタを含んでもよい。図示される実施形態では、冷却剤システム26は、標的体12から分離し、標的体12の背後に配置されるように示されている。他の実施形態では、冷却剤システム26は、標的体12の一部であってもよく、または標的体12から離れて配置されてもよい。
【0024】
粒子加速システム10は、粒子加速器20、標的体12、および/または冷却剤システム26に連結される、制御システム28を含む。制御システム28は、例えば、粒子22のエネルギーの加速、加速された荷電粒子22の電流の大きさ、ならびに加速器20の動作および機能性に関する他の動作パラメータ等、パラメータを制御するように構成されてもよい。制御システム28は、標的体12に連結され、例えば、標的体12の温度を監視してもよい。制御システム28は、冷却剤システム26に連結され、冷却剤の温度を制御し、および/または流量を監視ならびに/あるいは制御してもよい。
【0025】
次に図2を参照すると、別の粒子加速器40は、保護層16を有する標的体12と使用するように図示される。粒子加速器40は、陽子等の荷電粒子を加速するために使用される、サイクロトロンを含んでもよい。サイクロトロン40は、荷電粒子を加速するための定常磁場および交流電場を採用してもよい。サイクロトロン40は、特定の距離で離間した2つのD型中空真空チャンバ42、44を含んでもよい。チャンバ42、44間に配置されるのは、粒子源46である。粒子源46は、粒子47の軌跡が、中空D型真空チャンバ42、44間に配置される中心領域から開始するように、荷電粒子47を放出する。一定の方向および大きさの磁場48は、磁場48が、チャンバ42、44の平面に対し垂直に、内方または外方を指向し得るように、チャンバ42、44を通して生成される。真空チャンバ42、44を通って示される点線48は、チャンバ42、44の平面から内方または外方に指向する磁場を表す。換言すると、中空真空チャンバ42、44のD型表面は、磁場の方向に対し垂直に配置される。
【0026】
各中空真空チャンバ42、44は、それぞれ接続点52、54を介して、制御機器50に接続されてもよい。制御機器50は、例えば、制御機器50内に含まれる、交流電圧源を調節してもよい。交流電圧源は、矢印56によって示されるチャンバ42、44間の領域内に、交流電場を生成するように構成されてもよい。故に、電圧源によって提供される電圧信号の周波数は、チャンバ42、44間に振動電場を生成する。荷電粒子47が、粒子源46から放出されると、粒子47は、電場56によって影響を受け、特定の方向、すなわち、電荷が正または負であるかに応じて、電場にそって、または反する方向に、粒子47を移動させ得る。荷電粒子47が、チャンバ42、44の周囲を移動すると、粒子47は、電場の影響を受けなくなり得る。しかしながら、粒子47は、その速度に対し垂直方向に指向する磁場によって、影響を受け得る。この時点で、図2の円形路47によって示されるように、移動粒子47は、粒子47に均一円運動を行わせるローレンツ力を受け得る。故に、荷電粒子47が、チャンバ42、44間の領域を通過する度に、粒子47は、交流電場によって生じる電気力を受け、粒子47のエネルギーを増加させる。このように、粒子47がそこを通って横断する短時間の間の、チャンバ42、44間の領域における、チャンバ42、44間の電場の反復反転によって、粒子47は、D型チャンバ42、44の縁へ向かって外側に螺旋を描く。
【0027】
最終的に、粒子47に対し、その速度が速過ぎて、円形路を維持できず、それらを標的体12へ接線方向に放ち得るように、粒子47は、臨界半径に達する場合がある。粒子47が加速する間に得られるエネルギーは、粒子47が標的体12と衝突すると、標的体12に堆積され得る。結果として、これによって、標的体12内に核反応を開始させ、標的体12の層14〜18内に放射性同位体を生成し得る。制御機器50は、磁場48の大きさおよび電場56の大きさを制御し、それによって、標的体12と衝突する荷電粒子の速度と、ひいてはエネルギーを制御するように適合され得る。また、制御機器50は、図1に関して前述されたように、標的14および/または冷却剤システム26に連結され、標的14および/または冷却剤システム26のパラメータを制御するように適合されてもよい。
【0028】
図3は、保護層16を有する標的体12と使用するための線形粒子加速器70を図示する。線形加速器70は、銅またはアルミニウム等の伝導性材料から形成される長い中空管を含んでもよい。管72内に配置されるのは、伝導性材料から形成される小型の中空管74a〜74dである。線形加速器70の中空管72は、特定周波数のRF信号を放出し、管72内に伝播するように構成される電極を有する、無線(RF)発電機76に連結されてもよい。さらに、RF発電機76は、線形加速器70のRF周波数および他の機能性等、動作パラメータを制御するように適合された制御装置78に連結される。
【0029】
RF発電機76によって生成される電磁波は、粒子80が、管72の下流に伝播する電場に曝されると、粒子源82から生じる荷電粒子80を加速させる中空管72内を伝播する。本電場は、粒子80が運動エネルギーを得ると、管72をさらに下流に粒子80を加速させる。また、荷電粒子80は、図3に示されるように、中空管74a〜74dを通って誘導され、粒子80の線形路を確保する。図3に図示されるように、粒子80の速度が増大すると、中空管74a〜74dの全長は、中空管72の全長に沿って増加する。このように、荷電粒子80は、RF発電機76によって生成されるRF周波数に従って、最適に加速されてもよい。
【0030】
制御装置78は、中空管72、RF発電機76、標的体12、および/または冷却剤システム26に接続されてもよい。制御装置78は、RF発電機76の周波数を制御し、それによって、荷電粒子80が、中空管74a〜74dに沿って伝播すると、荷電粒子80の加速を制御してもよい。制御装置78は、標的体12に連結され、温度と、加速器70および標的体12に関わる他の関連フィードバック等のパラメータを監視してもよい。
【0031】
図4は、標的体12の実施形態の部分断面図である。標的体12は、濃縮されたタリウム203、カドミウム112、亜鉛68、またはクロム層16上に配置される他の種類の原材料等、出発材料14を含んでもよい。保護クロム層16は、標的基層18上に配置される。クロム層16は、電気めっきプロセスを介して、基層18上に配置可能である。再び、電気めっきプロセスは、基層18を保護するための所望の厚さが達成され、出発材料14をクロム層16に固定するための所望の粗度が達成されるように、クロムの従来の電気めっきと比較して、長時間であってもよい(例えば、数分以内ではなく、30分)。タンタル、タングステン、金、ニオブ、アルミニウム、ジルコニウム、または白金、あるいはそれらの組み合わせ等、他の材料が、電気めっきプロセスを介して、基層18上に配置されてもよい。
【0032】
クロム層16を基層18上に電気めっきするステップは、クロム層16が、出発材料14を支持し、放射性同位体を生成するために好適な属性を有することを確実にするための特定のステップを含んでもよい。そのような属性は、クロム層厚および表面質感を含み得る。電気めっきクロムを標的体12上に電気めっきするステップのプロセスは、クロム電気めっきのために指定された標的体12の部分をバフ研磨および/または研磨するステップを含んでもよい。クロム電気めっき用に指定されていない標的体12の部分は、標的体12のその部分へのクロムの電気めっきを防止し得る特定の保護コーティングで被覆されてもよい。したがって、標的体12は、クロムと、電気めっきプロセスに寄与する他の付随材料との溶液を含有するタンクまたは容器内に浸漬されてもよい。標的体12は、所望のクロム厚が、標的基層18上に電気めっきされるまで、タンク内に浸漬されてもよい。いくつかの実施形態では、標的体12は、25〜45分間、電気めっきされてもよい。電気めっきプロセスの間、電気めっきタンクは、約125度に維持されてもよい。
【0033】
クロムの所望の厚さが、基層18上に電気めっきされた後、標的体12は、クロムタンクから除去され、クロム層の厚さおよび他の属性が、出発材料14を支持するために好適であるか検証するために検査されてもよい。例えば、電気めっきプロセス前後の標的体12の重量差が測定され、クロム厚が得られてもよい。さらに、前述のように、標的体12が照射される間に、放射性同位体原材料を保持するように適合される粗表面形態を有するクロム層を得ることが望ましい場合がある。すなわち、クロム層16の表面は、荷電粒子によるその衝突の間、例えば、タリウム203を標的体12上に維持するために好適な粗度および粒度を有してもよい。したがって、標的体12が電気めっきされた後、その上に配置されるクロムは、クロム層16の表面が、その粗度を保持するように研磨される。クロム層16のそのような表面粗度特性は、電子顕微鏡を介して、および/または特定の期間の間、水を保持するその能力を介して、検査されてもよい。
【0034】
標的体12の基層18は、銅、アルミニウム、または他の伝導性材料、あるいはそれらの組み合わせ等、金属材料を含む、または実質的にそれらから成ってもよい。いくつかの実施形態では、基層18は、銅で被覆されるアルミニウム構造であってもよい。図4にさらに図示されるように、冷却剤通路90は、標的体12に沿った縦方向のチャネルまたは溝の一部として形成されてもよい。冷却剤チャネル90は、標的体12が、荷電粒子によって照射される間、熱が標的体12から除去され得るように、標的体12に沿って、流体流動を促進する。
【0035】
標的体12の衝突の際、衝突荷電粒子と、標的体12の材料の原子核との間の核の相互作用は、それらの原子核の一部を放射性同位体に変換し得る。例えば、衝突後、層14は、濃縮されたタリウム203と、放射性同位体鉛201との組み合わせを含んでもよい。鉛201は、続いて、核医学において使用するための所望の放射性同位体である、タリウム201に崩壊し得る。同様に、クロム層16および基層18のいくつかの原子核は、他の所望の放射性医薬品が産出され得る放射性同位体原子核に変化し得る。
【0036】
標的体12から所望の放射性医薬品を抽出するステップは、標的体12の化学処理を含んでもよい。標的体12の化学処理は、他はそのままの状態で、標的体12の特定の層を除去するように適合されてもよい。衝突後、例えば、タリウム203および鉛201は、それらの物質を除去するが、クロム層16は除去しないように構成される熱硝酸を使用して、標的体12から剥離されてもよい。すなわち、タリウム203等の放射性同位体出発材料は、化学薬品による除去の影響を受けやすく、タリウム203を標的体12から剥離させる一方、クロム層16は、そのような剥離化学薬品による除去に対し、化学的に不活性または耐性を有し、したがって、標的体12から剥離されなくてもよい。したがって、クロム層16は、硝酸剥離から基層18を遮蔽し、それによって、概して、基層18内に配置される、長期の半減期を有する放射性同位体金属が、タリウム203および鉛201を含有する溶液内に溶解させることを防止またはその可能性を低減する。このように、タリウム203および鉛201を含有する溶液のさらなる化学処理は、前述の物質が分離されるように、衝突後の比較的短い時間において行われてもよい。タリウム203および鉛201を含有する溶液は、再生可能であって、したがって、放射性医薬品のための追加タリウム201を生成するために再利用可能なタリウム203を含有する溶液を残し、さらに化学的に鉛201を分離するように処理することができる。このように、化学溶液から、非常に迅速に(例えば、数時間または数日)、タリウム203を再生し、それによって、概して、他の放射性同位体金属から生成される放射線レベルが低下するまでのタリウム203および201を含有する化学溶液の高価な格納(例えば、数ヶ月または数年)を回避することが可能であり得る。
【0037】
タリウム203および鉛201を含有する層14が、標的体12から除去された後、標的体12は、さらに化学的に処理し、クロム51が得られ得るクロム層16を除去してもよい。クロム51は、特に、赤血球を標識するための放射性医薬品として使用されてもよい。クロム51は、標的体12の基層18の金属と反応しない塩酸を使用して、標的体12から除去されてもよい。塩酸を使用するステップは、基層18から生成される放射性同位体金属(すなわち、標的体12の衝突の際)が、クロム51を含有する溶液内への溶解を防止し得る。このように、標的体12の単回衝突によって、2つの放射性医薬品、すなわち、層14からタリウム201と、層16からクロム51とを産出し得る。標的を衝突させ、放射性医薬品を生成するために使用される粒子加速器の運用費用は、比較的高額であり得るため、1つの標的照射片において、2つの放射性同位体を生成するステップは、放射性医薬品を生成するステップの費用効果を大幅に改善し得る。さらに後述されるように、標的の単回照射によって、標的体12の基層18によって生成される放射性同位体から得られ得る、第3の放射性医薬品をさらに生成してもよい。
【0038】
図5は、保護層16を有する他の標的体100の斜視図を示す。標的体100は、図1〜4を参照して論じられた標的体12に類似してもよい。故に、標的体100は、標的体12を参照して論じられたそれらの層に類似する層14、16、および18を含む。標的体100は、管状開口部102、104を有する中空チャンバ101を含むように示される。管状開口部102および104は、標的体100の裏面から、標的の基材18内に下方に延在する。管状開口部102、104は、チャネルが、2つの管状開口部102、104間に形成されるように、基層18内において、内部で接続さてもよい。
【0039】
管状開口部102、104は、図1に示される冷却剤源26等の外部冷却源に連結されてもよく、水等の冷却剤を標的体100に供給するように構成されてもよい。開口部102、104に連結される外部管を使用することによって、冷却剤は、開口部102を通して、その間に配置されるチャネル内に流入し、開口部104を介して、標的体100を再び冷却剤源へと流出し得る。基層18の内側に配置される溝106は、標的体100の表面積を増加し、それによって、標的が照射される間、標的体100が加熱すると、標的から冷却剤への熱伝達を改善するように構成される。
【0040】
図6は、保護層16を有する別の標的体120の斜視図である。標的体120は、図1〜4を参照して論じられた標的体12に類似する。特に、図6は、標的体120の裏面の斜視図を示す。図示される実施形態では、標的体120は、標的の基材18に電気めっきされたクロム等の保護層16に隣接して配置される源層14を含む。さらに、標的体120は、標的体120の裏面上の線形および円形チャネルを形成する溝122〜128を含んでもよい。溝122〜128は、実質的に、標的の基盤18内に延在し、それによって、標的体120の裏面の表面積を効果的に増加してもよい。他の実施形態では、溝122〜128は、他の形状および幾何学的形状を形成してもよく、および/または可変深度を有してもよい。標的体120の裏面は、図1を参照して本明細書で論じられた冷却剤源26等の冷却剤源に連結可能であってもよい。冷却剤源26は、標的が照射される間、加熱すると、冷却剤が溝またはチャネル122〜128を通して流動し、過度の熱を標的体120から除去し得るように、標的体120の裏面に冷却剤を供給してもよい。さらに、チャネル122は、冷却剤源26の一部とシールを形成してもよい。
【0041】
図7は、保護層を有する標的(例えば、12)を生成するためのプロセスを示す流れ図140である。本方法は、ブロック142から開始し、図1に示される基材18等の基材が生成される。基層18の材料は、銅、またはアルミニウム、あるいはそれらの組み合わせ等の金属物質を含んでもよい。したがって、本方法は、ブロック144に進み、図1に示されるクロム層16等の保護層が、基層18上に配置されてもよい。保護層16は、標的体12が化学的に処理され、層14が標的体12から除去されると、特定の化学薬品から基材18を化学的に遮蔽するように適合されてもよい。
【0042】
クロム層等の保護層16は、特定の厚さおよび粗度で、基層18上に電気めっきされることができる。例えば、電気めっきプロセスを大幅に延長(例えば、数分以内ではなく、20〜50分)し、厚さを増加させ、粗仕上げまたはつや消し仕上げされた表面を生成してもよい。したがって、本方法は、ブロック146に進み、タリウム203の層14等の供給源層または出発材料層が、保護層16上に配置されてもよい。
【0043】
図8は、電気めっきプロセスを示す流れ図150である。本プロセスは、ブロック151から開始し、電気めっきのために指定された標的体12の基層18の部分は、電気めっきに先立って、バフ研磨または研磨されてもよい。したがって、ステップ152では、電気めっき用に指定されていない基層18の部分は、それらの領域または部分が電気めっきされないように防止するように適合される被覆材料で被覆されてもよい。したがって、本方法は、ブロック153に進み、標的体12は、クロム溶液を含有するタンク内に浸漬されてもよい。タンクは、電気めっきプロセスを可能にする十分な電流を提供する電源に連結されてもよい。タンク内のクロム溶液は、20〜50分間、標的体12が電気めっきされると、華氏約125度の温度に維持されてもよい。次に、本方法は、ステップ154に進み、標的体12は、タンクから除去されてもよい。したがって、本方法は、ステップ155に進み、新しく形成され、電気めっきされたクロム層16の表面は、所望の質感および表面形態特性を有するかを検証するために検査されてもよい。そのような特性は、クロム層16の表面に適合し、層14を保持し得る。
【0044】
図9は、放射性同位体出発材料から放射性同位体を生成するためのプロセスの流れ図160である。プロセス160は、エネルギー粒子による標的体12の照射後、短期間(例えば、数ヶ月または数年ではなく、数時間あるいは数日)で比較的容易に、出発材料14を再生するための方法を提供する。本プロセスは、ブロック162から開始し、供給源または出発材料(例えば、タリウム203)は、保護層16上方の標的体12上に配置されてもよい。他の実施形態では、出発材料は、放射性医薬品が生成され得る他の種類の物質を含んでもよい。出発材料14が、標的体12上に配置されると、本プロセスは、標的体12が荷電粒子によって照射され得る間、ブロック164に進んでもよい。したがって、本プロセスは、ブロック166に進み、供給源層14の照射は、その一部を放射性医薬品として使用され得る放射性同位体に変化させる核反応を開始してもよい。例えば、エネルギー陽子とのタリウム203の衝突は、放射性同位体鉛201を産出し得る。鉛201が、放射性医薬品として使用される最終産物ではない場合があるが、その後続の原子核崩壊が、放射性医薬品、すなわち、タリウム201を生成し得る。
【0045】
本方法は、次いで、ブロック168に進み、原材料および新しく形成された放射性同位体材料を含有する層14は、標的体12から除去されてもよい(図1)。例えば、照射後、標的体12上に配置される鉛201およびタリウム203を剥離するステップは、熱硝酸溶液を使用することによって達成されてもよい。熱硝酸溶液は、クロム保護層16に影響を及ぼすことなく、層14を溶解し得る。したがって、本プロセスは、ブロック170に進み、放射性同位体材料および出発材料は、化学的に分離されてもよい。例えば、鉛201は、種々の好適な化学方法によって、出発タリウム203から分離されてもよい。原溶液から鉛201を除去後、タリウム203は、残される。故に、本方法は、ブロック172に進み、タリウム203等の出発材料は、再利用のために再生されてもよい。このように、タリウム203は、標的体12が照射された後、非常に迅速(例えば、数時間または数日)に再生および再利用されることができる。したがって、プロセス160は、6ヶ月以上も要し得る長期間後にのみ、タリウム203を再生することを可能にする以前の方法に対し大幅な改良を提供する。
【0046】
図10は、標的がエネルギー荷電粒子と衝突後、図1の標的体12等の標的から、放射性同位体を除去および分離するためのプロセスの流れ図190を示す。本方法は、ブロック192から開始し、放射性同位体出発材料および放射性同位体材料を含有する層14は、標的上に配置される。クロム保護層16等の保護層は、出発材料14下に配置されてもよく、また、標的体12の照射から生じる放射性同位体を含んでもよい。故に、本プロセスは、ブロック194に進み、放射性同位体および出発材料は、図9のプロセス160を参照して上述の化学処理等の化学処理を介して、標的体12から除去されてもよい。再び、そのような化学処理は、化学的に反応し、したがって、標的体12上に配置される放射性同位体および出発材料14のみ除去する一方、下層の保護クロム層16と反応しないように適合されてもよい。保護クロム層16は、基層18から生成される放射性同位体材料が、溶解または所望の放射性同位体材料および出発材料14を含有する溶液の一部とならないように、標的体12の下層の基層18を遮蔽するように適合される。概して、標的体12の基層18から生じる放射性同位体材料が、所望の放射性同位体材料と混合することを防止することによって、供給源放射性同位体材料のより効率的かつ迅速な回復が可能となり得る。
【0047】
したがって、放射性同位体および出発材料の両方が、標的体12から除去または剥離されると、本方法は、ブロック196に進み、放射性同位体材料および放射性同位体出発材料は、使用のために分離および収集されてもよい。本方法は、次いで、ブロック198に進み、そこから生成される放射性同位体を含む、保護クロム層16は、標的14から剥離されてもよい。このように、放射性医薬品として同様に使用可能な第2の放射性同位体副産物が、保護クロム層16から得られる。標的14からの保護クロム層16の除去は、クロム層16を除去する一方、標的の基層18が生成される材料に対し、化学的に不活性であるように設計された特定の化学薬品を使用して達成されてもよい。これは、概して、標的の基層18内に含有される長期の半減期を有する放射性同位体が、保護クロム保護層16から得られる放射性同位体を含有する溶液内に溶解することを防止する。特定の実施形態では、クロム51は、標的14が照射されると、副産物として、クロム層16内に生成され得、標的の基層18内に含有される金属と反応し得ない塩酸を使用して、標的14から除去することが可能である。再び、これによって、基層18内の長期間半減期の放射性同位体から生成される放射線レベルを容認可能なレベルまで崩壊させるまでに、長時間待機する必要なく、クロム51放射性同位体を得ることができる。
【0048】
したがって、本方法は、ステップ200に進み、基材またはその一部を剥離し、銅等の第3の放射性同位体を生成し、続いて、使用可能な放射性医薬品に崩壊して変化させてもよい。したがって、方法190は、単回照射において、標的から3つの放射性医薬品の生成を可能にし得る。これによって、放射性医薬品が得られ得る放射性同位体を生成する費用効果を大幅に改善する。
【0049】
図11は、本明細書に記載され、図1〜10を参照して図示される1つ以上の放射性医薬品を利用する、例示的核医学プロセスを示す流れ図210である。図示されるように、プロセス210は、ブロック212において、核医学のための放射性同位体アイソトープを提供することによって開始する。例えば、ブロック212は、前述のように、保護層16を有する標的体12から、タリウム201または別の放射性同位体を生成するステップを含んでもよい。ブロック214では、プロセス210は、患者の特定の部分、例えば、臓器のための放射性同位体を標的とするように適合される標識剤(例えば、エピトープまたは他の適切な生物学的配向部分)を提供するステップに進む。ブロック216では、プロセス210は、次いで、放射性同位体アイソトープを標識剤と結合し、核医学のための放射性医薬品を提供するステップに進む。特定の実施形態では、放射性同位体アイソトープは、特定の臓器または組織に集中する自然傾向を有し、したがって、放射性同位体アイソトープは、任意の補助標識剤を付与しない放射性医薬品として特徴付けられ得る。ブロック218では、プロセス210は、次いで、核医学施設または病院において、患者に放射性医薬品を投与するために好適なコンテナ等の注射または別のコンテナ内に1用量以上の放射性医薬品を抽出するステップに進んでもよい。ブロック220では、プロセス210は、1用量の放射性医薬品および1つ以上の補助流体を患者内に注射、または概して、投与するステップに進む。事前に選択された時間後、プロセス210は、患者の臓器または組織に標識された放射性医薬品を検出/画像化するステップに進む(ブロック222)。例えば、ブロック222は、ガンマ線カメラまたは他の放射線画像化デバイスを使用して、脳、心臓、肝臓、腫瘍、癌組織、または種々の他の臓器、あるいは罹患組織の組織上、内、もしくは境界に配置される放射性医薬品を検出するステップを含んでもよい。
【0050】
図12を参照すると、図1〜11の技術によって得られる放射性医薬品を使用し得る画像化システム240は、画像化デバイス242と、システム制御装置244と、データ取得および処理回路246と、プロセッサ248と、ユーザインターフェース250と、ネットワーク252とを含んでもよい。具体的には、画像化デバイス242は、放射性医薬品が被験者に投与された後、被験者の画像を表す信号を取得するように構成される。画像化システム240は、陽電子断層撮影法(PET)システム、シングルフォトンエミッションCTシステム、核医学ガンマ線カメラ、または別の好適な画像化モダリティを含んでもよい。被験者内の着目領域を示す画像データは、写真用フィルム等の従来の担体またはデジタル媒体のいずれかにおいて、画像化デバイス242によって生成されてもよい。
【0051】
システム制御装置244は、放射源制御装置回路、タイミング回路、患者または運動表と連動して、データ取得を調整するための回路、放射線検出器の位置を制御するための回路等、様々な回路を含んでもよい。画像化デバイス242は、画像データまたは信号取得後、デジタル値に変換し、画像データをデータ取得回路246に転送するため等、信号を処理してもよい。写真用フィルム等のアナログ媒体の場合、データ取得システムは、概して、フィルムのための担体と、フィルムを現像し、続いて、デジタル化され得るハードコピーを生成するための機器とを含んでもよい。デジタルシステムの場合、データ取得回路246は、所望に応じて、デジタルダイナミックレンジの調節、データの平滑化または鮮鋭化、ならびにデータストリームおよびファイルのコンパイル等、様々な初期処理機能を行ってもよい。データは、次いで、プロセッサ248に転送され、追加処理および分析が行われる。写真用フィルム等の従来の媒体の場合、プロセッサ248は、文字情報をフィルムに適用し、特定の注記または患者識別情報を添付し得る。デジタル画像化システムでは、データ処理回路は、データの実質的分析、データの順序付け、鮮鋭化、平滑化、特徴認識等を行う。
【0052】
最終的に、画像データは、閲覧および分析のために、オペレータ/ユーザインターフェース250に転送される。閲覧に先立って、動作が画像データ上で行われる際、オペレータインターフェース250は、収集された画像データに基づいて、再構築画像を閲覧するために有用なある地点に存在する。写真用フィルムの場合、画像は、ライトボックスまたは類似ディスプレイ上に載置され、放射線科医および主治医が、容易に画像シーケンスを読影および注釈を加えられるようにしてもよい。また、画像データは、ネットワーク252等を介して、遠隔位置に転送されることもできる。加えて、オペレータインターフェース250は、例えば、システム制御装置244とインターフェースをとることによって、画像化システムの制御を可能にしてもよい。
【0053】
本発明は、種々の変形例および代替形態を許容することができるが、本願明細書では、特定の実施形態を一例として図に示して詳述した。しかしながら、本発明を、開示された特定の形態に限定することを意図したものではないと理解されたい。むしろ、本発明は、以下の添付の特許請求の範囲によって定義される発明の精神および範囲内にあるすべての変形物、同等物、および代替物を網羅するものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、放射性同位体材料に関し、より具体的には、放射性同位体材料を効率的に生成するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本項は、本発明の種々の側面に関連し得、以下に説明および/または請求される、当技術分野の種々の側面を読者に紹介することを目的とする。本議論は、読者に背景技術情報を提供し、本発明の種々の側面のさらなる理解を促進する際に役立つと考えられる。故に、これらの記述は、従来の技術の承認としてではなく、この観点から読まれるべきものであることを理解されたい。
【0003】
放射性同位体の生成は、粒子加速器を介して、濃縮された放射性同位体出発材料を含有する標的上に、荷電または非荷電粒子を加速することによって達成可能である。典型的には、そのような材料は、高比率の非放射性材料を含み、非放射性材料が、エネルギー粒子(例えば、陽子または中性子)によって照射されると、少なくとも部分的に、放射性材料に変質し得る。その上に蒸着される非放射性出発材料を有する標的と衝突する際、荷電粒子(例えば、陽子)は、濃縮された放射性同位体出発材料の原子核と相互作用し、放射性同位体出発材料内で核反応を誘発し、それによって、所望の放射性同位体を生成する。残念ながら、標的の衝突の際、加速された陽子は、出発材料に隣接して配置される標的の基材(base material)とも相互作用し、それによって、比較的長期の減衰期間または半減期(放射性材料の初期量を半減するのに要する時間)を呈し得る、放射性同位体を生成する場合がある。その結果、基材の長期半減期放射性同位体は、出発材料の非放射性部分の即時再生を防止する傾向にある。結果として、放射線レベルが安全レベルに低下し、出発材料の供給源の非放射性部分の再生を可能にするまで、かなりの時間を要し得、ある場合には、6ヶ月以上を要する。この間、高放射性材料は、概して、特別領域内に保存されるため、放射性同位体の生成費用を大幅に増大させ得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
要旨
本発明の特定の例示的側面は、以下に記載される。これらの側面は、単に、本発明がとり得る特定の形態の概要を読者に提供するために提示されるものであって、これらの側面が、本発明の範囲を制限することを意図するものではないことを理解されたい。実際、本発明は、以下に記載され得ない種々の側面も包含する場合がある。
【0005】
エネルギー荷電粒子と衝突する標的体から、濃縮された放射性同位体出発材料を再生するためのシステムおよび方法が提供される。本システムおよび方法によって、オペレータは、標的体の衝突後、比較的短時間(例えば、数時間)で出発材料を再生することが可能となり、標的体の化学処理を大幅に簡素化し、そのような処理の費用を低減する(例えば、費用のかかる長期間に及ぶ保存の必要性を減らす)。具体的には、いくつかの実施形態では、化学保護層が、放射性同位体出発材料と標的体の基材との間に介在される。標的体が、好適な源(例えば、粒子加速器)によって照射された後、次いで、化学保護層によって提供される保護に起因して、基材を除去せずに、照射された放射性同位体出発材料を取り除くことが可能である。例えば、化学保護層は、照射された放射性同位体出発材料を除去するために使用される化学薬品に対し、化学的に耐性であってもよい。本システムおよび方法によって、オペレータは、標的体の単回衝突において、3つの異なる放射性同位体を得ることができ、放射性同位体生成の費用をさらに低減する。例えば、照射された放射性同位体出発材料は、概して、化学保護層と反応しない第1の化学薬品を介して除去され、続いて、化学保護層は、概して、基材と反応しない第2の化学薬品を介して除去され、次いで、基材は、続いて、第3の化学薬品を介して除去されてもよい。
【0006】
本発明の第1の側面は、エネルギー粒子と衝突すると、放射性医薬品が取得され得る放射性同位体を産出する、放射性同位体出発材料(例えば、タリウム203)を有する標的体を対象とする。放射性同位体出発材料は、化学保護層(例えば、粗仕上げまたはつや消し仕上げを有するクロム)上に配置され、次に、標的体の基層(例えば、銅またはアルミニウム)上に配置される。標的体は、エネルギー粒子で照射される標的体から熱を除去するように適合される、冷却剤システム(例えば、水等の循環流体冷却剤)に連結されてもよい(例えば、直接または間接的に接続される)。
【0007】
本発明の第2の側面は、放射性同位体の生成の際に使用するための標的体を対象とする。本標的体は、基盤(base)と、基盤上に配置される保護層と、保護層上に配置される放射性同位体出発材料とを含む。基盤、保護層、および出発材料は、保護層が、基盤と放射性同位体出発材料との間に介在されるように配向される。さらに、本標的体の基盤は、冷却路を含む。
【0008】
さらに本発明の第3の側面は、その上に配置される保護層を有する標的体を生成するための方法を対象とする。保護層(例えば、クロム層)は、標的体の基層上に電気めっきされてもよい。標的体の基層上のクロムの電気めっきは、粗い質感を有する表面を得るように行われてもよい。換言すると、表面は、光沢のある外観および平滑な感触ではなく、くすんだ外観および比較的粗い感触をとり得る。クロムの表面の粗い質感は、放射性同位体出発材料を保持するために好適な表面形態を提供する。例えば、本表面形態は、比較的長時間の電気めっきプロセス(例えば、5分ではなく、30分)によって達成されてもよい。
【0009】
さらに本発明の第4の側面は、放射性同位体の生成の際に使用するための標的体を生成するための方法を対象とする。本方法では、保護層(例えば、クロム層)は、標的体の基盤上に電気めっきされる。したがって、放射性同位体出発材料(例えば、タリウム203)は、保護層が、基盤と放射性同位体出発材料との間に位置するように、保護層上に蒸着される。
【0010】
さらに本発明の第5の側面は、照射された標的体から、材料を除去するための方法を対象とする。本側面では、第1の放射性同位体材料を含有する第1の層は、照射された標的体から化学的に剥離される。標的体の第2の層の除去は、標的体の第3の層を使用して、実質的に妨害または防止される。標的体のこの第3の層は、第1の層が、照射された標的体から化学的に剥離されるのに先立って、第1の層と第2の層との間に位置される。
【0011】
さらに本発明の第6の側面は、放射性同位体を生成するための方法を対象とする。本方法では、エネルギー粒子は、標的体の化学保護層上に蒸着される出発材料上で衝突し、出発材料の放射性同位体を生成する。
【0012】
さらに第7の側面では、本発明は、放射性同位体を生成するためのシステムを対象とする。本システムは、粒子加速器と、標的体と、粒子加速器に連結される制御システムとを含む。本第7の側面の標的体は、基盤と、基盤の表面上に配置される保護層と、保護層上に配置される放射性同位体出発材料とを含む。本保護層は、基盤と放射性同位体出発材料との間に位置する。さらに、保護層は、クロム、タンタル、タングステン、金、ニオブ、アルミニウム、ジルコニウム、または白金、あるいはそれらの組み合わせを含む。
【0013】
本発明の種々の側面に関連して上述した特徴には、種々の改良点が存在する。さらなる特徴も、同様にこれらの種々の側面に組み込むことができる。これらの改良点およびさらなる特徴は、個々に、またはあらゆる組み合わせで存在する場合がある。例えば、図示した実施形態のうちの1つ以上に関連して以下に説明する種々の特徴は、本発明の上述の側面のみに、またはそのあらゆる組み合わせに組み込むことができる。また、上述した課題を解決するための手段は、主張した内容を制限することなく、単に、本発明の特定の側面およびコンテキストに読者を精通させることを意図したものである。
【0014】
本発明のこれらの、および他の特徴、側面、および利点は、添付図面を参照して以下の発明を実施するための形態を読み取ることで、より良く理解されよう。複数の図面を通じて、同じ参照番号は同じ要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】粒子加速システムのブロック図である。
【図2】サイクロトロンの略図である。
【図3】線形粒子加速器の略図である。
【図4】切除された標的体の断面図である。
【図5】標的体の斜視図である。
【図6】標的体の斜視図である。
【図7】標的体を調製するための方法の流れ図である。
【図8】標的体の電気めっきのための方法の流れ図である。
【図9】放射性同位体を生成するための方法の流れ図である。
【図10】標的体から、複数の放射性材料を収集するための方法の流れ図である。
【図11】医療用画像を使用するための方法の流れ図である。
【図12】画像化システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の1つ以上の特定の実施形態を説明する。これらの実施形態の簡潔な説明を提供する努力において、実際の実装のすべての特徴が本明細書に記載されない場合がある。あらゆる技術または設計計画におけるように、任意のそのような実際の実装の開発においては、実装によって異なり得るシステム関連およびビジネス関連の制約に適合させるといった、開発者が目指す特定の目標を達成するためには、実装特有の多数の決定を行わなければならないものと理解されたい。さらに、そのような開発努力は、複雑かつ時間がかかるであろうが、それでもなお、本開示の利益を受ける当業者にとっては、設計、加工、および製造を行うルーチンであるということを理解されたい。
【0017】
本発明の種々の実施形態の要素を導入する場合、冠詞「a」、「an」、「the」および「said」は、1つ以上の要素の存在を意味するように意図されている。「備える」、「含む」、および「有する」という用語は、包括的であることを意図しており、記載された要素以外のさらなる要素が存在することを意味する。さらに、「上部」、「下部」、「〜の上に」、「〜の下に」、およびこれらの用語の変形例は、便宜上使用されるものであり、構成要素のいかなる特定の配向も必要としない。本明細書で使用されるように、「連結される」とは、直接または間接的に接続される、または接触している状態を示す。
【0018】
ここで図面を参照すると、図1は、例示的粒子加速システム10のブロック図である。システム10は、複数の層を有する標的体12を含み、これらのうちの少なくとも1つは、層がエネルギー荷電粒子によって照射されると、放射性同位体を生成するために適合される。標的体12は、エネルギー荷電粒子に衝突または照射されると、放射性同位体を生成し得る濃縮された放射性同位体出発材料を含む、層14を含んでもよい。次に、放射性同位体は、医療診断または治療目的のための放射性医薬品として、単独、または他の物質(例えば、標識剤(Tagging agent))と組み合わせて、使用されてもよい。層14は、カドミウム112、亜鉛68、またはタリウム203、あるいはそれらの組み合わせ等、放射性同位体出発材料を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、層14は、放射性医薬品タリウム201が得られ、核医学において使用可能な、濃縮されたタリウム203を含んでもよい。
【0019】
層14を成す出発材料は、標的体12上に出発材料を保持するように構成される、つや消し仕上げまたは粗表面を有する保護層16上に配置されてもよい。換言すると、保護層16の表面は、くすんだ外観および粗い感触をとり得る。保護層16は、基層18を化学的に遮蔽するように適合される化学薬品保護層である一方、標的体12は、標的体12の照射から生成される所望の放射性医薬品を得るように、化学的に処理される。保護層16は、クロム、および/または、層14が、衝突後、標的体12から化学的に剥離される際に使用される化学物質に対し不活性である、イリジウム、タンタル、タングステン、金、ニオブ、アルミニウム、ジルコニウム、または白金、あるいはそれらの組み合わせ等、他の材料を含んでもよい。すなわち、層16は、概して、基層18内に含有される、長期半減期を有する望ましくない放射性同位体副産物が、層14から生成される放射性同位体を含有し得る、硝酸等の化学剥離溶液内に溶解しないように防止してもよい。このように、保護層16は、出発材料が、比較的短時間で容易に再生され得るように、所望の放射性同位体のみ、化学剥離手順を介して得られることを確実にし得る。
【0020】
保護層16は、あらゆる接着層も中間層も使用せず、電気めっき、または基層18上への層16の形成を可能にする他の方法を介して、基層18上に蒸着されてもよい。例えば、標的体12は、比較的長時間(例えば、15、20、25、30、45、50分以上)電気めっきされ、基層18上の保護層16の量および粗度を増大してもよい。クロムの好適な粗層16は、クロムの従来の電気めっき(例えば、数分以下)よりも大幅に上回る約25〜30分間、基層18を電気めっきすることによって達成され得ることが分かっている。本長時間のクロムの電気めっきの結果(例えば、比較的厚い粗層16)は、概して、クロムの平滑な光沢層が望ましい他の用途には望ましくないことに留意されたい。そうは言っても、長時間の電気めっき特有の結果は、電気めっきされた層16上に他の材料を接着する改良された能力である。
【0021】
標的体12の基層18は、銅、アルミニウムおよび/または他の伝導性材料等、金属を含んでもよい。例えば、基層18は、アルミニウムから成形され、次いで、銅によって被覆されてもよい。伝導性であることによって、標的体12の基層18は、標的体12が照射される間、温度上昇に伴って、標的体12から、熱を効率的に逃がすように適合され得る。
【0022】
粒子加速システム10は、線22によって示されるように、荷電粒子を加速するように構成される粒子加速器20を含む。荷電粒子22は、粒子22が標的体12と衝突すると、放射性同位体材料を生成するのに十分なエネルギーを得るように加速する。したがって、層14は、放射性同位体と放射性同位体出発材料との混合物を含んでもよい。放射性同位体の生成は、加速された粒子22が、層14の出発材料と相互作用すると生じる、核反応を通して促進される。例えば、放射性同位体タリウム201を生成すると、濃縮されたタリウム203は、加速器20を介して加速される陽子22によって照射されてもよい。陽子22は、粒子22が、標的体12の方へ加速され得るように、加速器20内に荷電粒子22を注入する粒子源24から生じてもよい。
【0023】
加速された荷電粒子22が、標的体12と衝突すると、粒子の運動エネルギーのかなりの量は、標的体12によって吸収され得る。加速された粒子22によって付与されるエネルギーの吸収は、標的体12を加熱させ得る。標的体12の過熱を緩和するために、標的体12は、標的体12に隣接して配置される冷却剤システム26に連結され得る。冷却剤システム26は、水等の流体が、標的体12に沿って、または通して循環し、それによって、その照射の間、標的体12によって吸収される熱を除去し得るように、標的体12に流体的に連結される流体コネクタを含んでもよい。図示される実施形態では、冷却剤システム26は、標的体12から分離し、標的体12の背後に配置されるように示されている。他の実施形態では、冷却剤システム26は、標的体12の一部であってもよく、または標的体12から離れて配置されてもよい。
【0024】
粒子加速システム10は、粒子加速器20、標的体12、および/または冷却剤システム26に連結される、制御システム28を含む。制御システム28は、例えば、粒子22のエネルギーの加速、加速された荷電粒子22の電流の大きさ、ならびに加速器20の動作および機能性に関する他の動作パラメータ等、パラメータを制御するように構成されてもよい。制御システム28は、標的体12に連結され、例えば、標的体12の温度を監視してもよい。制御システム28は、冷却剤システム26に連結され、冷却剤の温度を制御し、および/または流量を監視ならびに/あるいは制御してもよい。
【0025】
次に図2を参照すると、別の粒子加速器40は、保護層16を有する標的体12と使用するように図示される。粒子加速器40は、陽子等の荷電粒子を加速するために使用される、サイクロトロンを含んでもよい。サイクロトロン40は、荷電粒子を加速するための定常磁場および交流電場を採用してもよい。サイクロトロン40は、特定の距離で離間した2つのD型中空真空チャンバ42、44を含んでもよい。チャンバ42、44間に配置されるのは、粒子源46である。粒子源46は、粒子47の軌跡が、中空D型真空チャンバ42、44間に配置される中心領域から開始するように、荷電粒子47を放出する。一定の方向および大きさの磁場48は、磁場48が、チャンバ42、44の平面に対し垂直に、内方または外方を指向し得るように、チャンバ42、44を通して生成される。真空チャンバ42、44を通って示される点線48は、チャンバ42、44の平面から内方または外方に指向する磁場を表す。換言すると、中空真空チャンバ42、44のD型表面は、磁場の方向に対し垂直に配置される。
【0026】
各中空真空チャンバ42、44は、それぞれ接続点52、54を介して、制御機器50に接続されてもよい。制御機器50は、例えば、制御機器50内に含まれる、交流電圧源を調節してもよい。交流電圧源は、矢印56によって示されるチャンバ42、44間の領域内に、交流電場を生成するように構成されてもよい。故に、電圧源によって提供される電圧信号の周波数は、チャンバ42、44間に振動電場を生成する。荷電粒子47が、粒子源46から放出されると、粒子47は、電場56によって影響を受け、特定の方向、すなわち、電荷が正または負であるかに応じて、電場にそって、または反する方向に、粒子47を移動させ得る。荷電粒子47が、チャンバ42、44の周囲を移動すると、粒子47は、電場の影響を受けなくなり得る。しかしながら、粒子47は、その速度に対し垂直方向に指向する磁場によって、影響を受け得る。この時点で、図2の円形路47によって示されるように、移動粒子47は、粒子47に均一円運動を行わせるローレンツ力を受け得る。故に、荷電粒子47が、チャンバ42、44間の領域を通過する度に、粒子47は、交流電場によって生じる電気力を受け、粒子47のエネルギーを増加させる。このように、粒子47がそこを通って横断する短時間の間の、チャンバ42、44間の領域における、チャンバ42、44間の電場の反復反転によって、粒子47は、D型チャンバ42、44の縁へ向かって外側に螺旋を描く。
【0027】
最終的に、粒子47に対し、その速度が速過ぎて、円形路を維持できず、それらを標的体12へ接線方向に放ち得るように、粒子47は、臨界半径に達する場合がある。粒子47が加速する間に得られるエネルギーは、粒子47が標的体12と衝突すると、標的体12に堆積され得る。結果として、これによって、標的体12内に核反応を開始させ、標的体12の層14〜18内に放射性同位体を生成し得る。制御機器50は、磁場48の大きさおよび電場56の大きさを制御し、それによって、標的体12と衝突する荷電粒子の速度と、ひいてはエネルギーを制御するように適合され得る。また、制御機器50は、図1に関して前述されたように、標的14および/または冷却剤システム26に連結され、標的14および/または冷却剤システム26のパラメータを制御するように適合されてもよい。
【0028】
図3は、保護層16を有する標的体12と使用するための線形粒子加速器70を図示する。線形加速器70は、銅またはアルミニウム等の伝導性材料から形成される長い中空管を含んでもよい。管72内に配置されるのは、伝導性材料から形成される小型の中空管74a〜74dである。線形加速器70の中空管72は、特定周波数のRF信号を放出し、管72内に伝播するように構成される電極を有する、無線(RF)発電機76に連結されてもよい。さらに、RF発電機76は、線形加速器70のRF周波数および他の機能性等、動作パラメータを制御するように適合された制御装置78に連結される。
【0029】
RF発電機76によって生成される電磁波は、粒子80が、管72の下流に伝播する電場に曝されると、粒子源82から生じる荷電粒子80を加速させる中空管72内を伝播する。本電場は、粒子80が運動エネルギーを得ると、管72をさらに下流に粒子80を加速させる。また、荷電粒子80は、図3に示されるように、中空管74a〜74dを通って誘導され、粒子80の線形路を確保する。図3に図示されるように、粒子80の速度が増大すると、中空管74a〜74dの全長は、中空管72の全長に沿って増加する。このように、荷電粒子80は、RF発電機76によって生成されるRF周波数に従って、最適に加速されてもよい。
【0030】
制御装置78は、中空管72、RF発電機76、標的体12、および/または冷却剤システム26に接続されてもよい。制御装置78は、RF発電機76の周波数を制御し、それによって、荷電粒子80が、中空管74a〜74dに沿って伝播すると、荷電粒子80の加速を制御してもよい。制御装置78は、標的体12に連結され、温度と、加速器70および標的体12に関わる他の関連フィードバック等のパラメータを監視してもよい。
【0031】
図4は、標的体12の実施形態の部分断面図である。標的体12は、濃縮されたタリウム203、カドミウム112、亜鉛68、またはクロム層16上に配置される他の種類の原材料等、出発材料14を含んでもよい。保護クロム層16は、標的基層18上に配置される。クロム層16は、電気めっきプロセスを介して、基層18上に配置可能である。再び、電気めっきプロセスは、基層18を保護するための所望の厚さが達成され、出発材料14をクロム層16に固定するための所望の粗度が達成されるように、クロムの従来の電気めっきと比較して、長時間であってもよい(例えば、数分以内ではなく、30分)。タンタル、タングステン、金、ニオブ、アルミニウム、ジルコニウム、または白金、あるいはそれらの組み合わせ等、他の材料が、電気めっきプロセスを介して、基層18上に配置されてもよい。
【0032】
クロム層16を基層18上に電気めっきするステップは、クロム層16が、出発材料14を支持し、放射性同位体を生成するために好適な属性を有することを確実にするための特定のステップを含んでもよい。そのような属性は、クロム層厚および表面質感を含み得る。電気めっきクロムを標的体12上に電気めっきするステップのプロセスは、クロム電気めっきのために指定された標的体12の部分をバフ研磨および/または研磨するステップを含んでもよい。クロム電気めっき用に指定されていない標的体12の部分は、標的体12のその部分へのクロムの電気めっきを防止し得る特定の保護コーティングで被覆されてもよい。したがって、標的体12は、クロムと、電気めっきプロセスに寄与する他の付随材料との溶液を含有するタンクまたは容器内に浸漬されてもよい。標的体12は、所望のクロム厚が、標的基層18上に電気めっきされるまで、タンク内に浸漬されてもよい。いくつかの実施形態では、標的体12は、25〜45分間、電気めっきされてもよい。電気めっきプロセスの間、電気めっきタンクは、約125度に維持されてもよい。
【0033】
クロムの所望の厚さが、基層18上に電気めっきされた後、標的体12は、クロムタンクから除去され、クロム層の厚さおよび他の属性が、出発材料14を支持するために好適であるか検証するために検査されてもよい。例えば、電気めっきプロセス前後の標的体12の重量差が測定され、クロム厚が得られてもよい。さらに、前述のように、標的体12が照射される間に、放射性同位体原材料を保持するように適合される粗表面形態を有するクロム層を得ることが望ましい場合がある。すなわち、クロム層16の表面は、荷電粒子によるその衝突の間、例えば、タリウム203を標的体12上に維持するために好適な粗度および粒度を有してもよい。したがって、標的体12が電気めっきされた後、その上に配置されるクロムは、クロム層16の表面が、その粗度を保持するように研磨される。クロム層16のそのような表面粗度特性は、電子顕微鏡を介して、および/または特定の期間の間、水を保持するその能力を介して、検査されてもよい。
【0034】
標的体12の基層18は、銅、アルミニウム、または他の伝導性材料、あるいはそれらの組み合わせ等、金属材料を含む、または実質的にそれらから成ってもよい。いくつかの実施形態では、基層18は、銅で被覆されるアルミニウム構造であってもよい。図4にさらに図示されるように、冷却剤通路90は、標的体12に沿った縦方向のチャネルまたは溝の一部として形成されてもよい。冷却剤チャネル90は、標的体12が、荷電粒子によって照射される間、熱が標的体12から除去され得るように、標的体12に沿って、流体流動を促進する。
【0035】
標的体12の衝突の際、衝突荷電粒子と、標的体12の材料の原子核との間の核の相互作用は、それらの原子核の一部を放射性同位体に変換し得る。例えば、衝突後、層14は、濃縮されたタリウム203と、放射性同位体鉛201との組み合わせを含んでもよい。鉛201は、続いて、核医学において使用するための所望の放射性同位体である、タリウム201に崩壊し得る。同様に、クロム層16および基層18のいくつかの原子核は、他の所望の放射性医薬品が産出され得る放射性同位体原子核に変化し得る。
【0036】
標的体12から所望の放射性医薬品を抽出するステップは、標的体12の化学処理を含んでもよい。標的体12の化学処理は、他はそのままの状態で、標的体12の特定の層を除去するように適合されてもよい。衝突後、例えば、タリウム203および鉛201は、それらの物質を除去するが、クロム層16は除去しないように構成される熱硝酸を使用して、標的体12から剥離されてもよい。すなわち、タリウム203等の放射性同位体出発材料は、化学薬品による除去の影響を受けやすく、タリウム203を標的体12から剥離させる一方、クロム層16は、そのような剥離化学薬品による除去に対し、化学的に不活性または耐性を有し、したがって、標的体12から剥離されなくてもよい。したがって、クロム層16は、硝酸剥離から基層18を遮蔽し、それによって、概して、基層18内に配置される、長期の半減期を有する放射性同位体金属が、タリウム203および鉛201を含有する溶液内に溶解させることを防止またはその可能性を低減する。このように、タリウム203および鉛201を含有する溶液のさらなる化学処理は、前述の物質が分離されるように、衝突後の比較的短い時間において行われてもよい。タリウム203および鉛201を含有する溶液は、再生可能であって、したがって、放射性医薬品のための追加タリウム201を生成するために再利用可能なタリウム203を含有する溶液を残し、さらに化学的に鉛201を分離するように処理することができる。このように、化学溶液から、非常に迅速に(例えば、数時間または数日)、タリウム203を再生し、それによって、概して、他の放射性同位体金属から生成される放射線レベルが低下するまでのタリウム203および201を含有する化学溶液の高価な格納(例えば、数ヶ月または数年)を回避することが可能であり得る。
【0037】
タリウム203および鉛201を含有する層14が、標的体12から除去された後、標的体12は、さらに化学的に処理し、クロム51が得られ得るクロム層16を除去してもよい。クロム51は、特に、赤血球を標識するための放射性医薬品として使用されてもよい。クロム51は、標的体12の基層18の金属と反応しない塩酸を使用して、標的体12から除去されてもよい。塩酸を使用するステップは、基層18から生成される放射性同位体金属(すなわち、標的体12の衝突の際)が、クロム51を含有する溶液内への溶解を防止し得る。このように、標的体12の単回衝突によって、2つの放射性医薬品、すなわち、層14からタリウム201と、層16からクロム51とを産出し得る。標的を衝突させ、放射性医薬品を生成するために使用される粒子加速器の運用費用は、比較的高額であり得るため、1つの標的照射片において、2つの放射性同位体を生成するステップは、放射性医薬品を生成するステップの費用効果を大幅に改善し得る。さらに後述されるように、標的の単回照射によって、標的体12の基層18によって生成される放射性同位体から得られ得る、第3の放射性医薬品をさらに生成してもよい。
【0038】
図5は、保護層16を有する他の標的体100の斜視図を示す。標的体100は、図1〜4を参照して論じられた標的体12に類似してもよい。故に、標的体100は、標的体12を参照して論じられたそれらの層に類似する層14、16、および18を含む。標的体100は、管状開口部102、104を有する中空チャンバ101を含むように示される。管状開口部102および104は、標的体100の裏面から、標的の基材18内に下方に延在する。管状開口部102、104は、チャネルが、2つの管状開口部102、104間に形成されるように、基層18内において、内部で接続さてもよい。
【0039】
管状開口部102、104は、図1に示される冷却剤源26等の外部冷却源に連結されてもよく、水等の冷却剤を標的体100に供給するように構成されてもよい。開口部102、104に連結される外部管を使用することによって、冷却剤は、開口部102を通して、その間に配置されるチャネル内に流入し、開口部104を介して、標的体100を再び冷却剤源へと流出し得る。基層18の内側に配置される溝106は、標的体100の表面積を増加し、それによって、標的が照射される間、標的体100が加熱すると、標的から冷却剤への熱伝達を改善するように構成される。
【0040】
図6は、保護層16を有する別の標的体120の斜視図である。標的体120は、図1〜4を参照して論じられた標的体12に類似する。特に、図6は、標的体120の裏面の斜視図を示す。図示される実施形態では、標的体120は、標的の基材18に電気めっきされたクロム等の保護層16に隣接して配置される源層14を含む。さらに、標的体120は、標的体120の裏面上の線形および円形チャネルを形成する溝122〜128を含んでもよい。溝122〜128は、実質的に、標的の基盤18内に延在し、それによって、標的体120の裏面の表面積を効果的に増加してもよい。他の実施形態では、溝122〜128は、他の形状および幾何学的形状を形成してもよく、および/または可変深度を有してもよい。標的体120の裏面は、図1を参照して本明細書で論じられた冷却剤源26等の冷却剤源に連結可能であってもよい。冷却剤源26は、標的が照射される間、加熱すると、冷却剤が溝またはチャネル122〜128を通して流動し、過度の熱を標的体120から除去し得るように、標的体120の裏面に冷却剤を供給してもよい。さらに、チャネル122は、冷却剤源26の一部とシールを形成してもよい。
【0041】
図7は、保護層を有する標的(例えば、12)を生成するためのプロセスを示す流れ図140である。本方法は、ブロック142から開始し、図1に示される基材18等の基材が生成される。基層18の材料は、銅、またはアルミニウム、あるいはそれらの組み合わせ等の金属物質を含んでもよい。したがって、本方法は、ブロック144に進み、図1に示されるクロム層16等の保護層が、基層18上に配置されてもよい。保護層16は、標的体12が化学的に処理され、層14が標的体12から除去されると、特定の化学薬品から基材18を化学的に遮蔽するように適合されてもよい。
【0042】
クロム層等の保護層16は、特定の厚さおよび粗度で、基層18上に電気めっきされることができる。例えば、電気めっきプロセスを大幅に延長(例えば、数分以内ではなく、20〜50分)し、厚さを増加させ、粗仕上げまたはつや消し仕上げされた表面を生成してもよい。したがって、本方法は、ブロック146に進み、タリウム203の層14等の供給源層または出発材料層が、保護層16上に配置されてもよい。
【0043】
図8は、電気めっきプロセスを示す流れ図150である。本プロセスは、ブロック151から開始し、電気めっきのために指定された標的体12の基層18の部分は、電気めっきに先立って、バフ研磨または研磨されてもよい。したがって、ステップ152では、電気めっき用に指定されていない基層18の部分は、それらの領域または部分が電気めっきされないように防止するように適合される被覆材料で被覆されてもよい。したがって、本方法は、ブロック153に進み、標的体12は、クロム溶液を含有するタンク内に浸漬されてもよい。タンクは、電気めっきプロセスを可能にする十分な電流を提供する電源に連結されてもよい。タンク内のクロム溶液は、20〜50分間、標的体12が電気めっきされると、華氏約125度の温度に維持されてもよい。次に、本方法は、ステップ154に進み、標的体12は、タンクから除去されてもよい。したがって、本方法は、ステップ155に進み、新しく形成され、電気めっきされたクロム層16の表面は、所望の質感および表面形態特性を有するかを検証するために検査されてもよい。そのような特性は、クロム層16の表面に適合し、層14を保持し得る。
【0044】
図9は、放射性同位体出発材料から放射性同位体を生成するためのプロセスの流れ図160である。プロセス160は、エネルギー粒子による標的体12の照射後、短期間(例えば、数ヶ月または数年ではなく、数時間あるいは数日)で比較的容易に、出発材料14を再生するための方法を提供する。本プロセスは、ブロック162から開始し、供給源または出発材料(例えば、タリウム203)は、保護層16上方の標的体12上に配置されてもよい。他の実施形態では、出発材料は、放射性医薬品が生成され得る他の種類の物質を含んでもよい。出発材料14が、標的体12上に配置されると、本プロセスは、標的体12が荷電粒子によって照射され得る間、ブロック164に進んでもよい。したがって、本プロセスは、ブロック166に進み、供給源層14の照射は、その一部を放射性医薬品として使用され得る放射性同位体に変化させる核反応を開始してもよい。例えば、エネルギー陽子とのタリウム203の衝突は、放射性同位体鉛201を産出し得る。鉛201が、放射性医薬品として使用される最終産物ではない場合があるが、その後続の原子核崩壊が、放射性医薬品、すなわち、タリウム201を生成し得る。
【0045】
本方法は、次いで、ブロック168に進み、原材料および新しく形成された放射性同位体材料を含有する層14は、標的体12から除去されてもよい(図1)。例えば、照射後、標的体12上に配置される鉛201およびタリウム203を剥離するステップは、熱硝酸溶液を使用することによって達成されてもよい。熱硝酸溶液は、クロム保護層16に影響を及ぼすことなく、層14を溶解し得る。したがって、本プロセスは、ブロック170に進み、放射性同位体材料および出発材料は、化学的に分離されてもよい。例えば、鉛201は、種々の好適な化学方法によって、出発タリウム203から分離されてもよい。原溶液から鉛201を除去後、タリウム203は、残される。故に、本方法は、ブロック172に進み、タリウム203等の出発材料は、再利用のために再生されてもよい。このように、タリウム203は、標的体12が照射された後、非常に迅速(例えば、数時間または数日)に再生および再利用されることができる。したがって、プロセス160は、6ヶ月以上も要し得る長期間後にのみ、タリウム203を再生することを可能にする以前の方法に対し大幅な改良を提供する。
【0046】
図10は、標的がエネルギー荷電粒子と衝突後、図1の標的体12等の標的から、放射性同位体を除去および分離するためのプロセスの流れ図190を示す。本方法は、ブロック192から開始し、放射性同位体出発材料および放射性同位体材料を含有する層14は、標的上に配置される。クロム保護層16等の保護層は、出発材料14下に配置されてもよく、また、標的体12の照射から生じる放射性同位体を含んでもよい。故に、本プロセスは、ブロック194に進み、放射性同位体および出発材料は、図9のプロセス160を参照して上述の化学処理等の化学処理を介して、標的体12から除去されてもよい。再び、そのような化学処理は、化学的に反応し、したがって、標的体12上に配置される放射性同位体および出発材料14のみ除去する一方、下層の保護クロム層16と反応しないように適合されてもよい。保護クロム層16は、基層18から生成される放射性同位体材料が、溶解または所望の放射性同位体材料および出発材料14を含有する溶液の一部とならないように、標的体12の下層の基層18を遮蔽するように適合される。概して、標的体12の基層18から生じる放射性同位体材料が、所望の放射性同位体材料と混合することを防止することによって、供給源放射性同位体材料のより効率的かつ迅速な回復が可能となり得る。
【0047】
したがって、放射性同位体および出発材料の両方が、標的体12から除去または剥離されると、本方法は、ブロック196に進み、放射性同位体材料および放射性同位体出発材料は、使用のために分離および収集されてもよい。本方法は、次いで、ブロック198に進み、そこから生成される放射性同位体を含む、保護クロム層16は、標的14から剥離されてもよい。このように、放射性医薬品として同様に使用可能な第2の放射性同位体副産物が、保護クロム層16から得られる。標的14からの保護クロム層16の除去は、クロム層16を除去する一方、標的の基層18が生成される材料に対し、化学的に不活性であるように設計された特定の化学薬品を使用して達成されてもよい。これは、概して、標的の基層18内に含有される長期の半減期を有する放射性同位体が、保護クロム保護層16から得られる放射性同位体を含有する溶液内に溶解することを防止する。特定の実施形態では、クロム51は、標的14が照射されると、副産物として、クロム層16内に生成され得、標的の基層18内に含有される金属と反応し得ない塩酸を使用して、標的14から除去することが可能である。再び、これによって、基層18内の長期間半減期の放射性同位体から生成される放射線レベルを容認可能なレベルまで崩壊させるまでに、長時間待機する必要なく、クロム51放射性同位体を得ることができる。
【0048】
したがって、本方法は、ステップ200に進み、基材またはその一部を剥離し、銅等の第3の放射性同位体を生成し、続いて、使用可能な放射性医薬品に崩壊して変化させてもよい。したがって、方法190は、単回照射において、標的から3つの放射性医薬品の生成を可能にし得る。これによって、放射性医薬品が得られ得る放射性同位体を生成する費用効果を大幅に改善する。
【0049】
図11は、本明細書に記載され、図1〜10を参照して図示される1つ以上の放射性医薬品を利用する、例示的核医学プロセスを示す流れ図210である。図示されるように、プロセス210は、ブロック212において、核医学のための放射性同位体アイソトープを提供することによって開始する。例えば、ブロック212は、前述のように、保護層16を有する標的体12から、タリウム201または別の放射性同位体を生成するステップを含んでもよい。ブロック214では、プロセス210は、患者の特定の部分、例えば、臓器のための放射性同位体を標的とするように適合される標識剤(例えば、エピトープまたは他の適切な生物学的配向部分)を提供するステップに進む。ブロック216では、プロセス210は、次いで、放射性同位体アイソトープを標識剤と結合し、核医学のための放射性医薬品を提供するステップに進む。特定の実施形態では、放射性同位体アイソトープは、特定の臓器または組織に集中する自然傾向を有し、したがって、放射性同位体アイソトープは、任意の補助標識剤を付与しない放射性医薬品として特徴付けられ得る。ブロック218では、プロセス210は、次いで、核医学施設または病院において、患者に放射性医薬品を投与するために好適なコンテナ等の注射または別のコンテナ内に1用量以上の放射性医薬品を抽出するステップに進んでもよい。ブロック220では、プロセス210は、1用量の放射性医薬品および1つ以上の補助流体を患者内に注射、または概して、投与するステップに進む。事前に選択された時間後、プロセス210は、患者の臓器または組織に標識された放射性医薬品を検出/画像化するステップに進む(ブロック222)。例えば、ブロック222は、ガンマ線カメラまたは他の放射線画像化デバイスを使用して、脳、心臓、肝臓、腫瘍、癌組織、または種々の他の臓器、あるいは罹患組織の組織上、内、もしくは境界に配置される放射性医薬品を検出するステップを含んでもよい。
【0050】
図12を参照すると、図1〜11の技術によって得られる放射性医薬品を使用し得る画像化システム240は、画像化デバイス242と、システム制御装置244と、データ取得および処理回路246と、プロセッサ248と、ユーザインターフェース250と、ネットワーク252とを含んでもよい。具体的には、画像化デバイス242は、放射性医薬品が被験者に投与された後、被験者の画像を表す信号を取得するように構成される。画像化システム240は、陽電子断層撮影法(PET)システム、シングルフォトンエミッションCTシステム、核医学ガンマ線カメラ、または別の好適な画像化モダリティを含んでもよい。被験者内の着目領域を示す画像データは、写真用フィルム等の従来の担体またはデジタル媒体のいずれかにおいて、画像化デバイス242によって生成されてもよい。
【0051】
システム制御装置244は、放射源制御装置回路、タイミング回路、患者または運動表と連動して、データ取得を調整するための回路、放射線検出器の位置を制御するための回路等、様々な回路を含んでもよい。画像化デバイス242は、画像データまたは信号取得後、デジタル値に変換し、画像データをデータ取得回路246に転送するため等、信号を処理してもよい。写真用フィルム等のアナログ媒体の場合、データ取得システムは、概して、フィルムのための担体と、フィルムを現像し、続いて、デジタル化され得るハードコピーを生成するための機器とを含んでもよい。デジタルシステムの場合、データ取得回路246は、所望に応じて、デジタルダイナミックレンジの調節、データの平滑化または鮮鋭化、ならびにデータストリームおよびファイルのコンパイル等、様々な初期処理機能を行ってもよい。データは、次いで、プロセッサ248に転送され、追加処理および分析が行われる。写真用フィルム等の従来の媒体の場合、プロセッサ248は、文字情報をフィルムに適用し、特定の注記または患者識別情報を添付し得る。デジタル画像化システムでは、データ処理回路は、データの実質的分析、データの順序付け、鮮鋭化、平滑化、特徴認識等を行う。
【0052】
最終的に、画像データは、閲覧および分析のために、オペレータ/ユーザインターフェース250に転送される。閲覧に先立って、動作が画像データ上で行われる際、オペレータインターフェース250は、収集された画像データに基づいて、再構築画像を閲覧するために有用なある地点に存在する。写真用フィルムの場合、画像は、ライトボックスまたは類似ディスプレイ上に載置され、放射線科医および主治医が、容易に画像シーケンスを読影および注釈を加えられるようにしてもよい。また、画像データは、ネットワーク252等を介して、遠隔位置に転送されることもできる。加えて、オペレータインターフェース250は、例えば、システム制御装置244とインターフェースをとることによって、画像化システムの制御を可能にしてもよい。
【0053】
本発明は、種々の変形例および代替形態を許容することができるが、本願明細書では、特定の実施形態を一例として図に示して詳述した。しかしながら、本発明を、開示された特定の形態に限定することを意図したものではないと理解されたい。むしろ、本発明は、以下の添付の特許請求の範囲によって定義される発明の精神および範囲内にあるすべての変形物、同等物、および代替物を網羅するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性同位体の生成において使用するための標的体であって、
冷却路を備える基盤と、
該基盤上に配置される保護層と、
該基盤上に配置される放射性同位体出発材料と、
を含み、該保護層は、該基盤と該放射性同位体出発材料との間に配置される、標的体。
【請求項2】
前記保護層は、クロムを備える、請求項1に記載の標的体。
【請求項3】
前記保護層は、クロム、タンタル、タングステン、金、ニオブ、アルミニウム、ジルコニウム、または白金、あるいはそれらの組み合わせを備える、請求項1に記載の標的体。
【請求項4】
前記保護層は、電気めっきされた層を備える、請求項1〜3のいずれかに記載の標的体。
【請求項5】
前記保護層は、つや消し仕上げを有する表面を備える、請求項1〜4のいずれかに記載の標的体。
【請求項6】
前記保護層は、化学薬品による除去に対し、化学的に耐性を有する材料を備え、前記放射性同位体出発材料は、該化学薬品による除去に対し影響を受けやすい、請求項1〜5のいずれかに記載の標的体。
【請求項7】
前記基盤は、前記化学薬品による除去に対し影響を受けやすい、請求項6に記載の標的体。
【請求項8】
前記保護層は、別の放射性同位体出発材料を備える、請求項1〜7のいずれかに記載の標的体。
【請求項9】
前記基盤は、別の放射性同位体出発材料を備える、請求項1〜8のいずれかに記載の標的体。
【請求項10】
前記放射性同位体出発材料は、タリウム203を備える、請求項1〜9のいずれかに記載の標的体。
【請求項11】
前記放射性同位体出発材料は、カドミウム112または亜鉛68を備える、請求項1〜9のいずれかに記載の標的体。
【請求項12】
放射性同位体生成のための標的体を生成するための方法であって、
該標的体の基盤上に保護層を電気めっきするステップと、
放射性同位体出発材料を該保護層上に配置するステップと、
を含む、方法。
【請求項13】
電気めっきのために指定された前記基盤のバフ研磨領域を備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
電気めっき用に指定されていない前記基盤の被覆領域を備える、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記保護層を電気めっきするステップは、つや消し仕上げを有する該保護層の表面を生成するステップを含む、請求項12〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記電気めっきするステップの継続時間を延長し、前記つや消し仕上げの粗度を増加させ、前記保護層の厚さを増大させるステップを含む、請求項12〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記保護層は、クロムを備える、請求項12〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記保護層は、クロム、タンタル、タングステン、金、ニオブ、アルミニウム、ジルコニウム、または白金、あるいはそれらの組み合わせを備える、請求項12〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記放射性同位体出発材料は、タリウム203、またはカドミウム112、または亜鉛68、あるいはそれらの組み合わせを備える、請求項12〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
流体冷却剤の循環を受けるように構成される冷却剤部分を有する、前記標的体を生成するステップを含む、請求項12〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
放射性同位体を生成するための方法であって、
標的体の化学保護層上に位置する出発材料にエネルギー粒子を衝突させ、該出発材料の放射性同位体を生成するステップを含む、方法。
【請求項22】
前記保護層によって保護された前記標的体の基材を除去することなく、前記放射性同位体を有する前記出発材料を除去するステップを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
除去するステップは、前記出発材料を化学的に除去する一方、前記化学保護層は、前記基材上方の前記標的体上に残されるステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記出発材料を除去した後、前記化学保護層を除去し、該化学保護層の別の放射性同位体を取得するステップを含む、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
前記出発材料を除去し、前記化学保護層を除去した後、前記基材の少なくとも一部を除去し、該基材のさらなる放射性同位体を取得するステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記出発材料は、濃縮されたタリウム203を備える、請求項21〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記放射性同位体を前記出発材料の残部から分離するステップを含む、請求項21〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記残部は、概して、長期の半減期を有する放射性材料を含まない、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
追加的な放射性同位体を生成するための前記出発材料の前記残部を再利用するステップを含む、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
衝突させるステップは、前記出発材料内で第1の放射性同位体と、前記化学保護層内で第2の放射性同位体と、前記標的体の基材内で第3の放射性同位体とを生成するステップを含む、請求項21〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
照射された標的体から材料を除去するための方法であって、
該標的体から、第1の放射性同位体材料を備える第1の層を化学的に剥離するステップと、
該標的体の第3の層を使用して、該標的体の第2の層の除去を実質的に低減または防止するステップと、
を備え、該第3の層は、該化学的剥離に先立って、該第1の層と該第2の層との間に位置付けられる、方法。
【請求項32】
前記第3の層は、前記第1の層を化学的に剥離するために使用される化学薬品に対し耐性を有する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記第1の層を化学的に剥離した後、前記照射された標的体から、第2の放射性同位体材料を備える前記第3の層を化学的に剥離するステップを含む、請求項31または32に記載の方法。
【請求項34】
前記第1の層を化学的に剥離し、前記第3の層を化学的に剥離した後、前記照射された標的体から、第3の放射性同位体材料を備える前記第2の層を化学的に剥離するステップを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記第2の層は、前記標的体の基盤を備える、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記第1の層の残留する部分から、前記第1の放射性同位体材料を化学的に分離するステップを含む、請求項31〜35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
1週間、1日、または数時間未満の比較的短時間以内に可能な追加的な放射性同位体生成のための前記残留する部分を再生するステップを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記第1の放射性同位体材料は、鉛201を備え、前記残留する部分は、濃縮されたタリウム203を備える、請求項36または37に記載の方法。
【請求項39】
前記第1の層は、タリウム203を備え、前記第2の層は、銅を備え、前記第3の層は、クロム51を備える、請求項31〜38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
放射性同位体を生成するためのシステムであって、
粒子加速器と、
基盤と、
該基盤の表面上に配置される保護層であって、クロム、タンタル、タングステン、金、ニオブ、アルミニウム、ジルコニウム、または白金、あるいはそれらの組み合わせを備える、保護層と、
該保護層上に配置される放射性同位体出発材料であって、該保護層は、該基盤と該放射性同位体出発材料との間に位置付けられる、放射性同位体出発材料と、
を備える、標的体と、
該粒子加速器に連結される制御システムと、
を備える、システム。
【請求項41】
前記粒子加速器は、サイクロトロンを備える、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記粒子加速器は、線形粒子加速器を備える、請求項40に記載のシステム。
【請求項43】
前記放射性同位体出発材料は、化学薬品による除去に対し影響を受けやすく、前記保護層は、概して、該化学薬品による除去に対し耐性を有する、請求項40、41、または42に記載のシステム。
【請求項1】
放射性同位体の生成において使用するための標的体であって、
冷却路を備える基盤と、
該基盤上に配置される保護層と、
該基盤上に配置される放射性同位体出発材料と、
を含み、該保護層は、該基盤と該放射性同位体出発材料との間に配置される、標的体。
【請求項2】
前記保護層は、クロムを備える、請求項1に記載の標的体。
【請求項3】
前記保護層は、クロム、タンタル、タングステン、金、ニオブ、アルミニウム、ジルコニウム、または白金、あるいはそれらの組み合わせを備える、請求項1に記載の標的体。
【請求項4】
前記保護層は、電気めっきされた層を備える、請求項1〜3のいずれかに記載の標的体。
【請求項5】
前記保護層は、つや消し仕上げを有する表面を備える、請求項1〜4のいずれかに記載の標的体。
【請求項6】
前記保護層は、化学薬品による除去に対し、化学的に耐性を有する材料を備え、前記放射性同位体出発材料は、該化学薬品による除去に対し影響を受けやすい、請求項1〜5のいずれかに記載の標的体。
【請求項7】
前記基盤は、前記化学薬品による除去に対し影響を受けやすい、請求項6に記載の標的体。
【請求項8】
前記保護層は、別の放射性同位体出発材料を備える、請求項1〜7のいずれかに記載の標的体。
【請求項9】
前記基盤は、別の放射性同位体出発材料を備える、請求項1〜8のいずれかに記載の標的体。
【請求項10】
前記放射性同位体出発材料は、タリウム203を備える、請求項1〜9のいずれかに記載の標的体。
【請求項11】
前記放射性同位体出発材料は、カドミウム112または亜鉛68を備える、請求項1〜9のいずれかに記載の標的体。
【請求項12】
放射性同位体生成のための標的体を生成するための方法であって、
該標的体の基盤上に保護層を電気めっきするステップと、
放射性同位体出発材料を該保護層上に配置するステップと、
を含む、方法。
【請求項13】
電気めっきのために指定された前記基盤のバフ研磨領域を備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
電気めっき用に指定されていない前記基盤の被覆領域を備える、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記保護層を電気めっきするステップは、つや消し仕上げを有する該保護層の表面を生成するステップを含む、請求項12〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記電気めっきするステップの継続時間を延長し、前記つや消し仕上げの粗度を増加させ、前記保護層の厚さを増大させるステップを含む、請求項12〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記保護層は、クロムを備える、請求項12〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記保護層は、クロム、タンタル、タングステン、金、ニオブ、アルミニウム、ジルコニウム、または白金、あるいはそれらの組み合わせを備える、請求項12〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記放射性同位体出発材料は、タリウム203、またはカドミウム112、または亜鉛68、あるいはそれらの組み合わせを備える、請求項12〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
流体冷却剤の循環を受けるように構成される冷却剤部分を有する、前記標的体を生成するステップを含む、請求項12〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
放射性同位体を生成するための方法であって、
標的体の化学保護層上に位置する出発材料にエネルギー粒子を衝突させ、該出発材料の放射性同位体を生成するステップを含む、方法。
【請求項22】
前記保護層によって保護された前記標的体の基材を除去することなく、前記放射性同位体を有する前記出発材料を除去するステップを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
除去するステップは、前記出発材料を化学的に除去する一方、前記化学保護層は、前記基材上方の前記標的体上に残されるステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記出発材料を除去した後、前記化学保護層を除去し、該化学保護層の別の放射性同位体を取得するステップを含む、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
前記出発材料を除去し、前記化学保護層を除去した後、前記基材の少なくとも一部を除去し、該基材のさらなる放射性同位体を取得するステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記出発材料は、濃縮されたタリウム203を備える、請求項21〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記放射性同位体を前記出発材料の残部から分離するステップを含む、請求項21〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記残部は、概して、長期の半減期を有する放射性材料を含まない、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
追加的な放射性同位体を生成するための前記出発材料の前記残部を再利用するステップを含む、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
衝突させるステップは、前記出発材料内で第1の放射性同位体と、前記化学保護層内で第2の放射性同位体と、前記標的体の基材内で第3の放射性同位体とを生成するステップを含む、請求項21〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
照射された標的体から材料を除去するための方法であって、
該標的体から、第1の放射性同位体材料を備える第1の層を化学的に剥離するステップと、
該標的体の第3の層を使用して、該標的体の第2の層の除去を実質的に低減または防止するステップと、
を備え、該第3の層は、該化学的剥離に先立って、該第1の層と該第2の層との間に位置付けられる、方法。
【請求項32】
前記第3の層は、前記第1の層を化学的に剥離するために使用される化学薬品に対し耐性を有する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記第1の層を化学的に剥離した後、前記照射された標的体から、第2の放射性同位体材料を備える前記第3の層を化学的に剥離するステップを含む、請求項31または32に記載の方法。
【請求項34】
前記第1の層を化学的に剥離し、前記第3の層を化学的に剥離した後、前記照射された標的体から、第3の放射性同位体材料を備える前記第2の層を化学的に剥離するステップを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記第2の層は、前記標的体の基盤を備える、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記第1の層の残留する部分から、前記第1の放射性同位体材料を化学的に分離するステップを含む、請求項31〜35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
1週間、1日、または数時間未満の比較的短時間以内に可能な追加的な放射性同位体生成のための前記残留する部分を再生するステップを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記第1の放射性同位体材料は、鉛201を備え、前記残留する部分は、濃縮されたタリウム203を備える、請求項36または37に記載の方法。
【請求項39】
前記第1の層は、タリウム203を備え、前記第2の層は、銅を備え、前記第3の層は、クロム51を備える、請求項31〜38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
放射性同位体を生成するためのシステムであって、
粒子加速器と、
基盤と、
該基盤の表面上に配置される保護層であって、クロム、タンタル、タングステン、金、ニオブ、アルミニウム、ジルコニウム、または白金、あるいはそれらの組み合わせを備える、保護層と、
該保護層上に配置される放射性同位体出発材料であって、該保護層は、該基盤と該放射性同位体出発材料との間に位置付けられる、放射性同位体出発材料と、
を備える、標的体と、
該粒子加速器に連結される制御システムと、
を備える、システム。
【請求項41】
前記粒子加速器は、サイクロトロンを備える、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記粒子加速器は、線形粒子加速器を備える、請求項40に記載のシステム。
【請求項43】
前記放射性同位体出発材料は、化学薬品による除去に対し影響を受けやすく、前記保護層は、概して、該化学薬品による除去に対し耐性を有する、請求項40、41、または42に記載のシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2010−512540(P2010−512540A)
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541366(P2009−541366)
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【国際出願番号】PCT/US2007/025431
【国際公開番号】WO2008/073468
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(503102685)マリンクロット インコーポレイテッド (33)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【国際出願番号】PCT/US2007/025431
【国際公開番号】WO2008/073468
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(503102685)マリンクロット インコーポレイテッド (33)
【Fターム(参考)】
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